JPWO2012105150A1 - 樹脂組成物およびその用途 - Google Patents
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Abstract
本発明は、合わせガラス等の構造材料用の中間膜として好適に用いることが可能な、アイオノマー樹脂とホスホン酸銅塩とを含む、近赤外線吸収能に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明の樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の多価金属アイオノマー樹脂と、一般式(1)で表わされるホスホン酸銅塩とを含む。
Description
本発明は、樹脂組成物およびその用途に関し、詳しくは多価金属アイオノマー樹脂と、ホスホン酸銅塩とを含む樹脂組成物およびその用途に関する。
従来から、自動車等の車両、建築物、太陽電池等の各種用途で、合わせガラスが用いられている。合わせガラス用中間膜としては、ポリビニルブチラール樹脂膜、アイオノマー樹脂膜等が知られている。
特にアイオノマー樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂と比べて強度、硬度共に優れており、かつ耐久性、透明性、接着性に優れるため合わせガラス等の構造材料用の中間膜として好適に使用することが可能である。
ところで、太陽光線には、可視光線の他に紫外線、赤外線等が含まれている。赤外線の中でも波長が可視光に近い赤外線は、近赤外線と呼ばれる。近赤外線は熱線とも呼ばれ車両や建築物内部の温度上昇の原因の一つである。
該温度上昇を抑制するために、車両や建築物に用いられる合わせガラスに、可視光線の透過性を保持したまま、熱線吸収性を付与することが考えられる。例えば、ホスホン酸銅塩と、ポリシロキサン成分と、可塑剤と、分散剤とを含有する銅塩組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。一般に金属塩を、樹脂と混合して得られた樹脂組成物は高温にさらされた場合には、可視光線の透過性が低下する場合や、黄変する場合があった。しかしながら、特許文献1には、前記銅塩組成物と樹脂とを含有する樹脂組成物は、高温にさらされた場合であっても可視光の透過性および安定性に優れる赤外線吸収膜を提供することが可能である旨が開示されている。また、特許文献1には、銅塩組成物と混合される樹脂としてポリビニルアセタール樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体(EVA)、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂等が開示されている。
しかしながら、合わせガラス用中間膜として好適に用いることが可能な、アイオノマー樹脂に、近赤外線吸収能を付与することは未だ充分に検討されていなかった。
本発明は、上記従来技術を鑑みてされたものであり、アイオノマー樹脂とホスホン酸銅塩とを含む、近赤外線吸収能に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた。研究の中で本発明者らは、アイオノマー樹脂と、近赤外線吸収剤であるホスホン酸銅塩とを混合すると、アイオノマー樹脂の種類によっては得られる樹脂組成物は着色し、近赤外線吸収能に劣ることを見出した。発明者らはこの原因が、アイオノマー樹脂が含有する金属イオンと、近赤外線吸収剤中に含有される銅イオンとのイオン交換にあると推測した。
本発明者らはさらに研究を重ね、アイオノマー樹脂として、多価金属アイオノマー樹脂を用いることにより、可視光線の透過性に優れ、かつ近赤外線吸収能に優れた樹脂組成物を提供することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の多価金属アイオノマー樹脂と、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸銅塩とを含むことを特徴とする。
[一般式(1)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
前記多価金属が、二価の金属であることが好ましく、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムから選択される少なくとも1種の二価の金属であることがより好ましい。
前記多価金属が、二価の金属であることが好ましく、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムから選択される少なくとも1種の二価の金属であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記多価金属アイオノマー樹脂100質量部あたり、前記ホスホン酸銅塩を0.05〜30質量部含有することが好ましい。
本発明の樹脂膜および合わせガラス用中間膜は、前記樹脂組成物から形成される。
本発明の合わせガラス用中間膜は、前記樹脂組成物から形成される層、および該層の両側に他の樹脂組成物から形成される層を有し、前記他の樹脂組成物から形成される層の少なくとも一層が、紫外線カット層であることが好ましい。
本発明の合わせガラスは、前記ガラス用中間膜を有する。
本発明の樹脂組成物は、特定の多価金属アイオノマー樹脂と、ホスホン酸銅塩とを含み、可視光線の透過性および近赤外線吸収能に優れる。また、該樹脂組成物から形成される樹脂膜は、合わせガラス用中間膜として好適に用いることが可能である。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の多価金属アイオノマー樹脂と、一般式(1)で表わされるホスホン酸銅塩とを含むことを特徴とする。
〔多価金属アイオノマー樹脂〕
本発明に用いられる多価金属アイオノマー樹脂としては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の多価金属アイオノマー樹脂を用いることができる。
本発明に用いられる多価金属アイオノマー樹脂としては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の多価金属アイオノマー樹脂を用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、アイオノマー樹脂の中でも、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の多価金属アイオノマー樹脂を用いることにより、得られる樹脂組成物から形成される中間膜を用いて合わせガラスを製造した際に、強度、硬度、耐久性、透明性および接着性に優れる。
なお、本明細書において、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の多価金属アイオノマー樹脂を、単に多価金属アイオノマー樹脂とも記す。本発明に用いられる多価金属アイオノマー樹脂とは、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基の少なくとも一部を二価以上の金属イオンで中和することにより得られるアイオノマー樹脂である。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、少なくともエチレン由来の構成単位および不飽和カルボン酸由来の構成単位を有する共重合体であり、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
前記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。
前記他のモノマーとしては、1−ブテン等が挙げられる。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体としては、該共重合体が有する全構成単位を100モル%とすると、エチレン由来の構成単位を75〜99モル%有することが好ましく、不飽和カルボン酸由来の構成単位を1〜25モル%有することが好ましい。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の多価金属アイオノマー樹脂は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和または架橋することにより得られるアイオノマー樹脂であるが、該カルボキシル基の中和度は、通常は1〜90%であり、好ましくは5〜85%である。
本発明に用いられる多価金属アイオノマー樹脂におけるイオン源としては、多価金属、すなわち二価以上の金属であればよい。多価金属としては、二価の金属が好ましく、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムから選択される少なくとも1種の二価の金属がより好ましく、亜鉛およびマグネシウムから選択される少なくとも1種の二価の金属が特に好ましく、亜鉛が最も好ましい。
本発明に用いられる多価金属アイオノマー樹脂の製造方法としては特に限定はなく、従来公知の製造方法によって、製造することが可能である。
例えば、エチレンと不飽和カルボン酸とを、高温、高圧下でラジカル共重合を行い、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を製造し、該エチレン・不飽和カルボン酸共重合体と、前記イオン源を含む金属化合物とを反応させることにより、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の多価金属アイオノマー樹脂を製造することができる。
また、本発明に用いられる多価金属アイオノマー樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、三井デュポンポリケミカル製、ハイミラン 1705、ハイミラン 1706、ハイミラン 1702、ハイミラン 1855、ハイミラン 1557、ハイミラン 1554、ハイミラン 1650等が挙げられる。
〔一般式(1)で表わされるホスホン酸銅塩〕
本発明の樹脂組成物は、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸銅塩を含む。
本発明の樹脂組成物は、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸銅塩を含む。
[一般式(1)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
前記前記R11としては、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましい。具体的にはR11としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が好ましい。なお、一般式(1)で表わされるホスホン酸銅塩としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
前記前記R11としては、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましい。具体的にはR11としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が好ましい。なお、一般式(1)で表わされるホスホン酸銅塩としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
なお、本明細書において、「一般式(1)で表わされるホスホン酸銅塩」を、単に「ホスホン酸銅塩」とも記す。
なお、前記ホスホン酸銅塩としてフッ素原子を含む銅塩、すなわち、R11が炭素数1〜20のフッ素化アルキル基であるホスホン酸銅塩を用いると、前述の多価金属アイオノマー樹脂に対する、ホスホン酸銅塩の分散性が向上する傾向がある。
また、R11が炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である場合には、R11が水素原子または炭素数1〜20のアルキル基である場合と比べて、ホスホン酸銅塩の屈折率を低くすることができる。多価金属アイオノマー樹脂との屈折率の差が小さいホスホン酸銅塩を採用することにより、本発明の樹脂組成物の透明性をより向上させることができる。
本発明に用いる、ホスホン酸銅塩の製造方法としては、特に限定はないが、例えば以下の方法で製造することができる。
前記ホスホン酸銅塩の製造方法としては、溶媒中で、下記一般式(2)で表わされるホスホン酸化合物と、銅塩とを、必要に応じて分散剤存在下で、混合し、反応混合物を得る工程(以下、反応工程とも記す)、該反応混合物中の溶媒を除去することによりホスホン酸銅塩を得る工程(以下、溶媒除去工程とも記す)を有する方法が挙げられる。
[一般式(2)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
前記一般式(2)で表わされるホスホン酸化合物としては、R11が水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であるものが好ましい。一般式(2)で表されるホスホン酸化合物としては例えば、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ヘプチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ノニルホスホン酸、デシルホスホン酸、ウンデシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、トリデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ペンタデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ヘプタデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸等のアルキルホスホン酸が挙げられる。なお、一般式(2)で表されるホスホン酸化合物としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
前記一般式(2)で表わされるホスホン酸化合物としては、R11が水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であるものが好ましい。一般式(2)で表されるホスホン酸化合物としては例えば、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ヘプチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ノニルホスホン酸、デシルホスホン酸、ウンデシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、トリデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ペンタデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ヘプタデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸等のアルキルホスホン酸が挙げられる。なお、一般式(2)で表されるホスホン酸化合物としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
前記銅塩としては、2価の銅イオンを供給することが可能な銅塩が通常用いられる。前記銅塩としては例えば、無水酢酸銅、無水蟻酸銅、無水ステアリン酸銅、無水安息香酸銅、無水エチルアセト酢酸銅、無水ピロリン酸銅、無水ナフテン酸銅、無水クエン酸銅等の有機酸の銅塩、該有機酸の銅塩の水和物もしくは水化物;酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅等の無機酸の銅塩、該無機酸の銅塩の水和物もしくは水化物;水酸化銅が挙げられる。なお、銅塩としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
銅塩としては、無水酢酸銅、酢酸銅1水和物が、溶解性や副生成物の除去の点から好ましく用いられる。
ホスホン酸銅塩を製造する際には、分散剤を用いてもよい。分散剤を用いると、一般式(1)で表わされるホスホン酸銅塩の分散性が向上するため好ましい。前記分散剤としては、例えば一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物および一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物、該リン酸エステル化合物中のリン酸(P−OH)、すなわち水酸基を塩基で中和した化合物が挙げられる。なお、中和に用いる塩基としては水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
[一般式(3a)および(3b)中、R21、R22およびR23は、−(CH2CH2O)nR5で表される1価の基であり、nは4〜25の整数であり、R5は、炭素数6〜25のアルキル基または炭素数6〜25のアルキルフェニル基を示す。ただし、R21、R22およびR23は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
前記nは6〜15の整数であるとより好ましい。nが4未満である場合には、合わせガラス等を製造した際に透明性が不充分となる場合がある。また、nが25を超えると、充分な透明性を有する合わせガラス等を得るために必要な、リン酸エステル化合物の量が増え、コスト高の原因となる傾向がある。
前記nは6〜15の整数であるとより好ましい。nが4未満である場合には、合わせガラス等を製造した際に透明性が不充分となる場合がある。また、nが25を超えると、充分な透明性を有する合わせガラス等を得るために必要な、リン酸エステル化合物の量が増え、コスト高の原因となる傾向がある。
また、R5は、炭素数6〜25のアルキル基または炭素数6〜25のアルキルフェニル基であり、炭素数6〜25のアルキル基であることが好ましく、12〜20のアルキル基であることがより好ましい。R5が、炭素数6未満の基であると、合わせガラス等を製造した際に透明性が不充分となる場合がある。また、R5が、炭素数25を超える基であると、充分な透明性を有する合わせガラス等を得るために必要な、リン酸エステル化合物の量が増え、コスト高の原因となる傾向がある。
前記ホスホン酸銅塩からなる微粒子を得る際には、前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物、前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物の少なくとも一方が用いられることが好ましいが、前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物、前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物の両方を用いることがより好ましい。前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物および前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物を用いると、合わせガラス等の透明性、耐熱性に優れる傾向があり好ましい。前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物、前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物の両方を用いる場合には、一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物と、一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物との割合は、特に限定されないが、通常はモル比((3a):(3b))で10:90〜90:10である。
また、前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよく、前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物および前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物としては、市販されているリン酸エステル化合物、例えばDLP−8、DLP−10、DDP−8、DDP−10、TDP−8、TDP−10(以上、日光ケミカルズ(株)製)や、プライサーフA219B、プライサーフA210B(以上、第一工業化学(株)製)等を用いることもできる。また、これらのリン酸エステル化合物中のリン酸、すなわち水酸基を適当な塩基で中和した化合物を用いることもできる。中和に使用する塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
なお、ホスホン酸銅塩を製造する際には、前記銅塩1モルあたり、一般式(2)で表されるホスホン酸化合物を0.5〜1.5モル用いることが好ましいく、0.8〜1.2モル用いることがより好ましい。また、分散剤が、一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物および一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物、および/または該リン酸エステル化合物中のリン酸、すなわち水酸基を塩基で中和した化合物である場合には、前記銅塩1モルあたり、0.02〜0.40モル用いることが好ましい。
前記溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、水等が挙げられ、良好に反応を行う観点から、エタノール、THFまたはDMFが好ましい。また、反応工程は、好ましくは室温〜60℃、より好ましくは20〜40℃の温度条件で、好ましくは0.5〜50時間、より好ましくは1〜30時間行われる。
前記反応工程では、前記一般式(2)で表されるホスホン酸化合物と、前記銅塩とが反応し、該反応によって、前記溶媒に溶解しない微粒子状のホスホン酸銅塩が生成する。前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物および一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物を用いた場合には、反応時に良好な分散剤として作用することができるため、前記ホスホン酸銅塩は分散性が高く保たれ、凝集を抑制することができる。
なお、前記反応工程では、前記一般式(2)で表されるホスホン酸化合物と銅塩との反応のみではなく、例えば前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物および一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物と、銅塩の一部とが反応してもよい。また、原料の一部が反応せずに残存していてもよい。
なお、前記ホスホン酸銅塩を製造する際には、通常、前記反応混合物から、少なくとも前記溶媒の一部を除去することにより、ホスホン酸銅塩を微粒子として得る。
溶媒除去工程では、反応混合物中から、少なくとも前記溶媒の一部を除去する。溶媒除去工程では、溶媒以外にも、反応混合物中の液体成分を合わせて除去してもよい。
溶媒除去工程では、例えば反応混合物をろ過し、固形分を得て、該固形分を乾燥することにより、ホスホン酸銅塩を得る方法が挙げられる。該乾燥の条件としては、温度が、通常、室温〜230℃であり、好ましくは60〜200℃である。また該乾燥は常圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。減圧下で乾燥を行う場合には、加熱を行わなくてもよい場合や、乾燥を行う際の温度が低くてもよい場合がある。また、乾燥時間としては、通常0.5〜3時間である。
また、溶媒除去工程の別の方法としては、反応混合物を加熱することにより、少なくとも前記溶媒の一部を除去することによりホスホン酸銅塩を得る方法が挙げられる。加熱条件は、通常、室温〜70℃であり、好ましくは40〜60℃である。また、溶媒除去工程は、常圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。減圧下で溶媒除去工程を行う場合には、加熱を行わなくてもよい場合や、加熱温度が低くてもよい場合がある。
また、溶媒除去工程を行った後に、ホスホン酸銅塩中に含まれる不純物の除去を目的として、ホスホン酸銅塩を、分散媒に分散した後に、該分散媒を除去する工程を設けてもよい。
本発明に用いられるホスホン酸銅塩としては通常、平均粒径が1〜1000nmのホスホン酸銅塩からなる微粒子が用いられる。平均粒径が1〜1000nmであれば、ホスホン酸銅塩からなる微粒子が偏在することなく存在する樹脂組成物を得ることができる。平均粒径としては、樹脂組成物の透明性を確保するため、5〜300nmであることがより好ましい。
〔樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は、前述の多価金属アイオノマー樹脂と、ホスホン酸銅塩とを含む組成物であればよいが、通常は、前述の多価金属アイオノマー樹脂と、ホスホン酸銅塩とを溶融混練することにより製造される。溶融混練は、プラストグラフ、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー等の公知の混練機を用いて行うことができる。また、溶融混練は通常100〜230℃の範囲で行われる。
本発明の樹脂組成物は、前述の多価金属アイオノマー樹脂と、ホスホン酸銅塩とを含む組成物であればよいが、通常は、前述の多価金属アイオノマー樹脂と、ホスホン酸銅塩とを溶融混練することにより製造される。溶融混練は、プラストグラフ、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー等の公知の混練機を用いて行うことができる。また、溶融混練は通常100〜230℃の範囲で行われる。
本発明の樹脂組成物は、多価金属アイオノマー樹脂100質量部あたり、前記ホスホン酸銅塩を0.05〜30質量部含有することが好ましく、0.1〜20質量部含有することがより好ましい。0.05質量部より少ないと充分な近赤外線吸収特性が得られない可能性があり、30質量部より多いと樹脂の透明性や接着性が大幅に低下するおそれがある。
本発明の樹脂組成物は、可視光線の透過性および近赤外線吸収能に優れ、樹脂として多価金属アイオノマー樹脂を含むため、強度、硬度共に優れており、かつ耐久性、透明性、接着性に優れるため合わせガラス等の構造材料用の中間膜として好適に使用することが可能である。
また、本発明の樹脂組成物には、各種添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、例えば分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。これらの添加剤は、前述の溶融混練を行う際に、多価金属アイオノマー樹脂およびホスホン酸銅塩と共に混練されてもよく、ホスホン酸銅塩を製造する際や、多価金属アイオノマー樹脂を製造する際に添加されてもよい。
〔樹脂組成物の用途〕
本発明の樹脂組成物は、アイオノマー樹脂が用いられる各種用途に用いることが可能であるが、近赤外線を吸収することが望まれる用途に通常は用いられる。
本発明の樹脂組成物は、アイオノマー樹脂が用いられる各種用途に用いることが可能であるが、近赤外線を吸収することが望まれる用途に通常は用いられる。
本発明の樹脂組成物から形成される樹脂膜は、可視光線の透過性および近赤外線吸収能に優れ、強度、硬度共に優れており、かつ耐久性、透明性、接着性に優れるため、合わせガラス用中間膜等の構造材料用中間膜として好適に用いることが可能である。
本発明の樹脂膜は、前記本発明の樹脂組成物のみから形成されてもよく、本発明の樹脂組成物から形成される層および他の層を有する積層体であってもよい。
例えば、前記合わせガラス用中間膜としては、本発明の樹脂組成物のみから形成される樹脂膜であってもよいが、例えば本発明の樹脂組成物から形成される層の両側に、他の樹脂組成物から形成される層を有する合わせガラス用中間膜であってもよい。前記他の樹脂組成物から形成される層を設ける場合には、該層の少なくとも一層が、紫外線カット層であることが好ましい。また、本発明の樹脂組成物から形成される層の両側に、紫外線カット層を設けることがより好ましい。また、本発明の樹脂組成物から形成される層の両側に、他の樹脂組成物から形成される層を設ける場合には、本発明の樹脂組成物から形成される層の両側に、それぞれ一層以上の層を設けてもよい。
合わせガラス用中間膜が、三層構造の合わせガラス用中間膜で有る場合には、層構成が紫外線カット層/本発明の樹脂組成物から形成される層/紫外線カット層であることが好ましい。
紫外線カット層を設けると、合わせガラスの可視光透過率を長期間にわたって維持することができる傾向があるため好ましい。また、紫外線カット層を設けない場合には、本発明の樹脂組成物に紫外線吸収剤を添加することにより、紫外線カット層を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
前記他の樹脂組成物から形成される層を構成する樹脂としては特に限定は無いが、本発明の樹脂組成物から形成される層との密着性や、ガラスとの密着性の観点からアイオノマー樹脂が好ましい。この場合に使用されるアイオノマー樹脂に含有される金属は多価金属でもよく、Na、Li、K等の1価金属でもよい。前記他の樹脂組成物に各種添加剤を含有させることにより、他の樹脂組成物から形成される層に所望の物性を付与することができる。他の樹脂組成物から形成される層が紫外線カット層である場合には、通常他の樹脂組成物として紫外線吸収剤を含有する組成物を用いる。
また、本発明の合わせガラスは、前記合わせガラス用中間膜を有している。本発明の合わせガラスを構成するガラスとしては特に限定はなく、従来公知のものを用いることができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
(エチルホスホン酸銅塩の合成)
反応容器中で、エチルホスホン酸32.34gをメタノール500mlに溶解し、そこに酢酸銅一水和物58.67gを添加し、4時間加熱還流を行い、懸濁液を得た。
(エチルホスホン酸銅塩の合成)
反応容器中で、エチルホスホン酸32.34gをメタノール500mlに溶解し、そこに酢酸銅一水和物58.67gを添加し、4時間加熱還流を行い、懸濁液を得た。
得られた懸濁液を濾過し、残渣を200℃で2時間乾燥して淡青色の粉末(エチルホスホン酸銅塩)49.79g(収率98%)を得た。
(樹脂組成物の製造)
前記エチルホスホン酸銅塩2重量部と、エチレン‐メタクリル酸共重合体のZn塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の29%をZnイオンで中和したアイオノマー)138重量部とを、プラストグラフ(ブラベンダー社製)に供給し、190℃、スクリュー回転数30rpmで15分間溶融混練し、エチルホスホン酸銅塩を含む樹脂組成物(1)を得た。
前記エチルホスホン酸銅塩2重量部と、エチレン‐メタクリル酸共重合体のZn塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の29%をZnイオンで中和したアイオノマー)138重量部とを、プラストグラフ(ブラベンダー社製)に供給し、190℃、スクリュー回転数30rpmで15分間溶融混練し、エチルホスホン酸銅塩を含む樹脂組成物(1)を得た。
〔実施例2〕
エチレン‐メタクリル酸共重合体のZn塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の29%をZnイオンで中和したアイオノマー)を、エチレン‐メタクリル酸共重合体のZn塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の13%をZnイオンで中和したアイオノマー)に代えた以外は実施例1と同様に行い樹脂組成物(2)を得た。
エチレン‐メタクリル酸共重合体のZn塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の29%をZnイオンで中和したアイオノマー)を、エチレン‐メタクリル酸共重合体のZn塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の13%をZnイオンで中和したアイオノマー)に代えた以外は実施例1と同様に行い樹脂組成物(2)を得た。
〔比較例1〕
エチレン‐メタクリル酸共重合体のZn塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の29%をZnイオンで中和したアイオノマー)を、エチレン‐メタクリル酸共重合体のNa塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の30%をNaイオンで中和したアイオノマー)に代えた以外は実施例1と同様に行い樹脂組成物(c1)を得た。
エチレン‐メタクリル酸共重合体のZn塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の29%をZnイオンで中和したアイオノマー)を、エチレン‐メタクリル酸共重合体のNa塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の30%をNaイオンで中和したアイオノマー)に代えた以外は実施例1と同様に行い樹脂組成物(c1)を得た。
〔比較例2〕
エチレン‐メタクリル酸共重合体のZn塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の29%をZnイオンで中和したアイオノマー)を、エチレン‐メタクリル酸共重合体のNa塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の54%をNaイオンで中和したアイオノマー)に代えた以外は実施例1と同様に行い樹脂組成物(c2)を得た。
エチレン‐メタクリル酸共重合体のZn塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の29%をZnイオンで中和したアイオノマー)を、エチレン‐メタクリル酸共重合体のNa塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の54%をNaイオンで中和したアイオノマー)に代えた以外は実施例1と同様に行い樹脂組成物(c2)を得た。
〔アイオノマーの分析〕
アイオノマー樹脂をキシレン/ブタノール=1/1(vol%)の混合溶媒にいれ加温下で溶解し、6M塩酸/メタノール溶液を滴下して室温冷却後、メタノールで再沈を行い、ろ過し、測定試料とした。得られた試料をプレスシート化し、シートの一部を分取しKBr wafer法(顕微FT−IR透過法:300μm×300μm)で測定した。アイオノマー樹脂中の全メタクリル酸量は、ポリメタクリル酸由来の吸収:1698cm-1とポリエチレン由来の吸収:1467cm-1の比率から求めた。
アイオノマー樹脂をキシレン/ブタノール=1/1(vol%)の混合溶媒にいれ加温下で溶解し、6M塩酸/メタノール溶液を滴下して室温冷却後、メタノールで再沈を行い、ろ過し、測定試料とした。得られた試料をプレスシート化し、シートの一部を分取しKBr wafer法(顕微FT−IR透過法:300μm×300μm)で測定した。アイオノマー樹脂中の全メタクリル酸量は、ポリメタクリル酸由来の吸収:1698cm-1とポリエチレン由来の吸収:1467cm-1の比率から求めた。
次にアイオノマー樹脂20mgを正確に秤量し、硫酸2mlと過酸化水素2mlによる湿式分解後、100mlに定容し、各イオン量をICP−AESで定量した。
〔分光特性評価〕
実施例、比較例で得られた樹脂組成物の分光透過率を以下の方法で測定した。
実施例、比較例で得られた樹脂組成物の分光透過率を以下の方法で測定した。
実施例、比較例で得られた樹脂組成物をそれぞれ、150℃のプレス機(「WF−50」、神藤金属工業社製)により5分間予備加熱し、次いで15MPaの圧力で5分間加熱加圧することにより、厚さ0.76mmのシートを作製した。
該シートについて、分光光度計(U−4000、(株)日立製作所製)を用いて分光透過率を測定した。
分光透過率の測定結果を図1〜4に示す。なお、図1は実施例1の樹脂組成物から形成されたシートの分光透過率であり、図2は実施例2の樹脂組成物から形成されたシートの分光透過率であり、図3は比較例1の樹脂組成物から形成されたシートの分光透過率であり、図4は比較例2の樹脂組成物から形成されたシートの分光透過率である。
図1〜4から明らかなように、多価金属アイオノマー樹脂と、ホスホン酸銅塩とを含む樹脂組成物から形成されたシートは、800〜1200nmの近赤外領域に幅広い吸収帯を有する。一方、一価金属アイオノマー樹脂とホスホン酸銅塩とを含む樹脂組成物から形成されたシートは、600〜1200nm付近に弱い吸収帯を有する。
すなわち、本発明の樹脂組成物から形成されたシートは、可視光の透過性および赤外線の吸収能に優れるのに対し、一価金属アイオノマー樹脂とホスホン酸銅塩とを含む樹脂組成物から形成されたシートは、可視光の透過性および近赤外線の吸収能に劣る。
〔実施例3〕
(紫外線カット層用シートの作製)
エチレン‐メタクリル酸共重合体のNa塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の54%をNaイオンで中和したアイオノマー)100重量部と、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール 2重量部とをプラストグラフ(ブラベンダー社製)に供給し、190℃、スクリュー回転数30rpmで15分間溶融混練し、紫外線吸収剤を含む樹脂組成物(a)を得た。
(紫外線カット層用シートの作製)
エチレン‐メタクリル酸共重合体のNa塩(15wt%のメタクリル酸単位を有するエチレン‐メタクリル酸共重合体中に含まれるカルボキシル基の54%をNaイオンで中和したアイオノマー)100重量部と、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール 2重量部とをプラストグラフ(ブラベンダー社製)に供給し、190℃、スクリュー回転数30rpmで15分間溶融混練し、紫外線吸収剤を含む樹脂組成物(a)を得た。
該樹脂組成物(a)を、150℃のプレス機(「WF−50」、神藤金属工業社製)により5分間予備加熱し、次いで15MPaの圧力で5分間加熱加圧することにより、厚さ1.0mmの紫外線カット層用シートを作製した。
(近赤外線吸収層用シートの作製)
実施例1で得たエチルホスホン酸銅塩を含む樹脂組成物(1)を150℃のプレス機(「WF−50」、神藤金属工業社製)により5分間予備加熱し、次いで15MPaの圧力で5分間加熱加圧することにより、厚さ0.75mmの近赤外線吸収層用シートを作製した。
実施例1で得たエチルホスホン酸銅塩を含む樹脂組成物(1)を150℃のプレス機(「WF−50」、神藤金属工業社製)により5分間予備加熱し、次いで15MPaの圧力で5分間加熱加圧することにより、厚さ0.75mmの近赤外線吸収層用シートを作製した。
(合わせガラスの作製)
前記紫外線カット層用シートを、鋏を用いて切り出し、25×75mmの紫外線カット層用シートを二枚用意した。
前記紫外線カット層用シートを、鋏を用いて切り出し、25×75mmの紫外線カット層用シートを二枚用意した。
近赤外線吸収層用シートを、鋏を用いて切り出し、25×75mmの近赤外線吸収層用シートを一枚用意した。
切り出した紫外線カット層用シート、近赤外線吸収層用シート、紫外線カット層用シートをこの順に重ね、150℃のプレス機(「WF−50」、神藤金属工業社製)により5分間予備加熱し、次いで15MPaの圧力で5分間加熱加圧することにより、紫外線カット層用シート、近赤外線吸収層用シート、紫外線カット層用シートの順で積層された厚さ2.7mmの樹脂シートを作成した。
90℃に加熱したガラス板(25×75mm、厚さ1mm)に、積層された樹脂シートを載せ、更に90℃に加熱したガラス板(25×75mm、厚さ1mm)を重ねた後にローラーを用いて仮圧着を行った。
仮圧着を行ったガラスセットを、オートクレーブを用いて130℃15MPaで30分加熱圧着を行い、合せガラスを作製した。
なお、得られた合わせガラスの層構成は、ガラス板/紫外線カット層/近赤外線吸収層/紫外線カット層/ガラス板である。
〔実施例4〕
(近赤外線吸収層用シートの作製)
実施例1で得たエチルホスホン酸銅塩を含む樹脂組成物(1)を150℃のプレス機(「WF−50」、神藤金属工業社製)により5分間予備加熱し、次いで15MPaの圧力で5分間加熱加圧することにより、厚さ0.75mmの近赤外線吸収層用シートを作製した。
(近赤外線吸収層用シートの作製)
実施例1で得たエチルホスホン酸銅塩を含む樹脂組成物(1)を150℃のプレス機(「WF−50」、神藤金属工業社製)により5分間予備加熱し、次いで15MPaの圧力で5分間加熱加圧することにより、厚さ0.75mmの近赤外線吸収層用シートを作製した。
(合わせガラスの作製)
近赤外線吸収層用シートを、鋏を用いて切り出し、25×75mmの近赤外線吸収層用シートを一枚用意した。
近赤外線吸収層用シートを、鋏を用いて切り出し、25×75mmの近赤外線吸収層用シートを一枚用意した。
90℃に加熱したガラス板(25×75mm、厚さ1mm)に、切り出した近赤外線吸収層用シートを重ね、更に90℃に加熱したガラス板(25×75mm、厚さ1mm)を重ねた後にローラーを用いて仮圧着を行った。
仮圧着を行ったガラスセットを、オートクレーブを用いて130℃15MPaで30分加熱圧着を行い、合せガラスを作製した。
なお、得られた合わせガラスの層構成は、ガラス板/近赤外線吸収層/ガラス板である。
〔耐光性試験〕
実施例3、実施例4で作製した合せガラスの耐光性試験を行った。
実施例3、実施例4で作製した合せガラスの耐光性試験を行った。
耐光性試験は、スガ試験機社製スーパーキセノンウェザーメーターSX75を用い、180W/m2(ブラックパネル温度63℃、湿度50%、降雨無し)の条件で200時間行った。結果を表1に示す。
なお、表1における可視光透過率は分光光度計(U−4000、(株)日立製作所製)を用いて測定した分光透過率データよりJIS R 3106に基づいて算出した。
Claims (8)
- 前記多価金属が、二価の金属である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記多価金属が、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムから選択される少なくとも1種の二価の金属である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記多価金属アイオノマー樹脂100質量部あたり、前記ホスホン酸銅塩を0.05〜30質量部含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物から形成される樹脂膜。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物から形成される合わせガラス用中間膜。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物から形成される層、および該層の両側に他の樹脂組成物から形成される層を有し、
前記他の樹脂組成物から形成される層の少なくとも一層が、紫外線カット層である合わせガラス用中間膜。 - 請求項6または7に記載の合わせガラス用中間膜を有する合わせガラス。
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