JP2016188316A - 樹脂組成物およびその用途 - Google Patents
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Abstract
Description
樹脂組成物およびその用途に関し、近赤外線吸収剤および樹脂を含む樹脂組成物およびその用途に関する。
銅イオンは、近赤外領域の光(以下、「近赤外線」ともいう)の吸収特性に優れており、銅イオンが有する近赤外線の吸収特性を利用した近赤外線吸収剤が従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、特定のホスホン酸化合物と、特定のリン酸エステル化合物と、銅イオンとを含有する近赤外線吸収剤が開示されている。特許文献1には該近赤外線吸収剤が、優れた透明性、耐熱性を有することが開示されている。
また、特許文献2には、特定のホスホン酸化合物と、特定のリン酸エステル化合物と、銅塩とを反応させて近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得た後に、特定の方法により精製することにより、精製された近赤外線吸収剤を含有する近赤外線吸収剤分散液の製造方法が開示されている。特許文献2には、該製造方法で得られる近赤外線吸収剤分散液は、近赤外線吸収剤の分散性に優れていること、該分散液から作製された樹脂組成物は、耐熱性に優れることが開示されている。
銅系の近赤外線吸収剤を製造する際の原料や、精製方法により銅系の近赤外線吸収剤の物性を向上させることは従来から検討されてきたが、それ以外の方法により近赤外線吸収剤を含む樹脂組成物の物性を向上させることは、未だ充分に検討されておらず、改良の余地があった。
一般に近赤外線は波長が800〜2500nmの光を意味する。銅系の近赤外線吸収剤は、波長が800〜1100nmの極近赤外線領域の吸収には優れるが、該範囲よりも長波長側の近赤外線の吸収能力は低く、広い範囲の近赤外線を吸収することが可能な樹脂組成物としては、未だ改良の余地が存在した。
本発明は、従来の銅系の近赤外線吸収剤を含む樹脂組成物よりも、広い範囲の近赤外線、特に波長が800〜2000nmの光を吸収することが可能な樹脂組成物を提供すること、および該樹脂組成物の用途を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を達成するため鋭意研究を重ねた結果、複数の近赤外線吸収剤を含有する樹脂組成物は、従来の銅系の近赤外線吸収剤錯体よりも、広い範囲の近赤外線を吸収することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、およびタングステン酸系化合物から選択される少なくとも1種の近赤外線吸収剤(A)と、少なくとも下記一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩を含む近赤外線吸収剤(B)と、樹脂とを含む。
前記樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびノルボルネン樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましく、ポリビニルブチラール樹脂、またはエチレン‐酢酸ビニル共重合体であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、近赤外線吸収剤(A)を0.00001〜10質量部、近赤外線吸収剤(B)を0.01〜15質量部および樹脂を60〜99.98999質量部含む(但し、樹脂組成物を100質量部とする)ことが好ましい。
前記近赤外線吸収剤(A)が、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズから選択される少なくとも1種の近赤外線吸収剤(A’)およびタングステン酸系化合物であることが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、前記樹脂組成物から形成される。
本発明の合わせガラスは、前記合わせガラス用中間膜を有する。
本発明の合わせガラス用中間膜は、前記樹脂組成物から形成される。
本発明の合わせガラスは、前記合わせガラス用中間膜を有する。
本発明の樹脂組成物は、従来の銅系の近赤外線吸収剤を含む樹脂組成物よりも、広い範囲の近赤外線、特に波長が800〜2000nmの光を、バランスよく吸収することができる。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の樹脂組成物は、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、およびタングステン酸系化合物から選択される少なくとも1種の近赤外線吸収剤(A)と、少なくとも下記一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩を含む近赤外線吸収剤(B)と、樹脂とを含む。
本発明の樹脂組成物は、複数の種類の近赤外線吸収剤を含むため、広い範囲の近赤外線特に波長が800〜2000nmの光を充分に吸収することが可能である。
本発明の樹脂組成物は、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、およびタングステン酸系化合物から選択される少なくとも1種の近赤外線吸収剤(A)と、少なくとも下記一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩を含む近赤外線吸収剤(B)と、樹脂とを含む。
本発明の樹脂組成物は、複数の種類の近赤外線吸収剤を含むため、広い範囲の近赤外線特に波長が800〜2000nmの光を充分に吸収することが可能である。
[近赤外線吸収剤(A)]
本発明の樹脂組成物は、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、およびタングステン酸系化合物から選択される少なくとも1種の近赤外線吸収剤(A)を含む。
なお、本発明において、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、およびタングステン酸系化合物から選択される少なくとも1種の近赤外線吸収剤(A)を、単に近赤外線吸収剤(A)とも記す。
本発明の樹脂組成物は、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、およびタングステン酸系化合物から選択される少なくとも1種の近赤外線吸収剤(A)を含む。
なお、本発明において、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、およびタングステン酸系化合物から選択される少なくとも1種の近赤外線吸収剤(A)を、単に近赤外線吸収剤(A)とも記す。
本発明の樹脂組成物は、近赤外線吸収剤(A)として、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズから選択される少なくとも1種の近赤外線吸収剤(A’)およびタングステン酸系化合物を含むことが、広い範囲の近赤外線をバランスよく吸収する観点から好ましい。
近赤外線吸収剤(A)が、近赤外線吸収剤(A’)およびタングステン酸系化合物を含む場合には、近赤外線吸収剤(A)100質量部中に、好ましくは近赤外線吸収剤(A’)を10〜99質量部、タングステン酸系化合物を1〜90質量部含み、より好ましくは近赤外線吸収剤(A’)を20〜95質量部、タングステン酸系化合物を5〜80質量部含む。
スズドープ酸化インジウムは、一般にITOと表記される、酸化インジウム(III)(In2O3)と、酸化スズ(IV)(SnO2)との無機化合物である。ITOとしては、市販の粉末を粉砕して用いても、分散品を用いてもよく、従来公知の方法等によって製造して用いてもよい。ITOは近赤外線の中でも1300nmよりも長波長の光に対する吸収性に優れるため、後述の近赤外線吸収剤(B)と共に用いると、樹脂組成物の広い範囲の近赤外線吸収性を高めることができる。
前記ITOは通常、平均粒径が10〜100nmであり、好ましくは10〜80nmである。平均粒径が10〜80nmであれば、近赤外線吸収剤(B)と共に樹脂に分散させた際に、偏在することなく組成物中に分散することが可能である。平均粒径としては、樹脂への分散性の観点から、20〜50nmであることがより好ましい。
アンチモンドープ酸化スズは、一般にATOと表記される、酸化アンチモン(III)(Sb2O3)と、酸化スズ(IV)(SnO2)との無機化合物である。ATOとしては、市販の粉末を粉砕して用いても、分散品を用いてもよく、従来公知の方法等によって製造して用いてもよい。ATOは近赤外線の中でも1300nmよりも長波長の光に対する吸収性に優れるため、後述の近赤外線吸収剤(B)と共に用いると、樹脂組成物の広い範囲の近赤外線吸収性を高めることができる。
前記ATOは通常、平均粒径が10〜100nmであり、好ましくは10〜80nmである。平均粒径が10〜80nmであれば、近赤外線吸収剤(B)と共に樹脂に分散させた際に、偏在することなく組成物中に分散することが可能である。平均粒径としては、樹脂への分散性の観点から、20〜60nmであることがより好ましい。
タングステン酸系化合物は、タングステン酸(WO3)に別の金属元素をドープまたはタングステンと置換することにより得られる化合物であり、下記一般式(I)で表されるタングステン酸系化合物(金属ドープタングステン酸)が好ましい。
MyWOz ・・・(I)
(式中、MはCs、Rb、K、Na、Ba、Ca、Sr、Mg、Nb、Ge、In、およびTlから選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、yは0.1〜0.5、zは2.2〜3.0を示す。)
(式中、MはCs、Rb、K、Na、Ba、Ca、Sr、Mg、Nb、Ge、In、およびTlから選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、yは0.1〜0.5、zは2.2〜3.0を示す。)
タングステン酸系化合物としては、市販の粉末を粉砕して用いても、分散品を用いてもよく、従来公知の方法、例えば2012−82109号公報に開示された方法等によって製造して用いてもよい。タングステン酸系化合物は、極近赤外線領域(800〜1100nm)の吸収性には若干劣るが、近赤外線領域全体に幅広い吸収を持つ。このため、後述の近赤外線吸収剤(B)と共に用いると、樹脂組成物の広い範囲の近赤外線吸収性を高めることができる。なお、タングステン酸系化合物のみで極近赤外線領域の光を充分に吸収することは、タングステン酸系化合物の量(濃度)を高めることにより可能であるが、この場合には、タングステン酸系化合物は、可視光領域の光も若干吸収するため、樹脂組成物の青みが強くなり、可視光透過率が低下するという欠点があった。本発明の樹脂組成物は、極近赤外線領域(800〜1100nm)の吸収性に優れる近赤外線吸収剤(B)を用いるため、タングステン酸系化合物の量(濃度)を高くすることなく、また、樹脂組成物の青みを強くすることなく、可視光透過率を下げることなく近赤外線領域全体に充分な吸収性を有する樹脂組成物を得ることができる。
前記タングステン酸系化合物は通常、平均粒径が10〜100nmであり、好ましくは10〜80nmである。る。平均粒径が10〜80nmであれば、近赤外線吸収剤(B)と共に樹脂に分散させた際に、偏在することなく組成物中に分散することが可能である。平均粒径としては、樹脂への分散性の観点から、20〜60nmであることがより好ましい。
[近赤外線吸収剤(B)]
本発明の樹脂組成物は、少なくとも一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩を含む近赤外線吸収剤(B)を含む。
本発明の樹脂組成物は、少なくとも一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩を含む近赤外線吸収剤(B)を含む。
なお、本発明において、少なくとも下記一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩を含む近赤外線吸収剤(B)を、単に近赤外線吸収剤(B)とも記す。
前記一般式(1)におけるR11としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロへキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基等が挙げられる。
近赤外線吸収剤(B)を製造する際に、前記一般式(1)における前記R11が炭素数の大きな基、分子鎖の長い基であると、分散性が低下する傾向があるため、R11としては、水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基または炭素数が1〜10のフッ素化アルキル基であることが好ましい。
近赤外線吸収剤(B)は、極近赤外線領域(800〜1100nm)の吸収性には優れるが、該範囲よりも長波長側の近赤外線の吸収能力は低い。本発明の樹脂組成物は近赤外線吸収剤(B)を、近赤外線吸収剤(A)と共に用いるため、広い範囲の近赤外線吸収性に優れる。
本発明に用いられる近赤外線吸収剤(B)は、少なくとも一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩を含んでおり、一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩のみからなる近赤外線吸収剤であってもよく、一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩および他の成分からなる近赤外線吸収剤であってもよい。
一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩および他の成分からなる近赤外線吸収剤としては、例えば一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩の製造の際に分散剤を用いることにより得られる、一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩および分散剤からなる近赤外線吸収剤、一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩からなる微粒子あるいは一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩および分散剤からなる微粒子が、樹脂で被覆された近赤外線吸収剤、一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩からなる微粒子あるいは一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩および分散剤からなる微粒子が、ポリシロキサンで被覆された近赤外線吸収剤等を用いることができる。なお、前記樹脂やポリシロキサンで被覆された近赤外線吸収剤を、被覆されたホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤とも記す。なお、被覆されたホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤は、ホスホン酸銅塩が樹脂やポリシロキサンで覆われているため、樹脂や近赤外線吸収剤(A)、必要に応じて用いられるその他の成分のホスホン酸銅塩への影響を抑制することが可能である。このため、樹脂や近赤外線吸収剤(A)、必要に応じて用いられるその他の成分として、一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩と反応性を有する成分を用いる場合には、被覆されたホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤を用いることが好ましい。
本発明に用いられる近赤外線吸収剤(B)の製造方法について以下説明する。
本発明に用いられる近赤外線吸収剤(B)が、被覆されたホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤以外の場合、すなわち、被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤、例えば一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤、一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩および分散剤からなる近赤外線吸収剤の場合には、例えば以下の方法で製造することができる。
本発明に用いられる近赤外線吸収剤(B)が、被覆されたホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤以外の場合、すなわち、被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤、例えば一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤、一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩および分散剤からなる近赤外線吸収剤の場合には、例えば以下の方法で製造することができる。
一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩の製造方法としては、溶媒中で、下記一般式(2)で表わされるホスホン酸化合物と、後述の銅塩とを、好ましくは分散剤存在下で混合し、反応混合物を得る工程(以下、反応工程とも記す)、該反応混合物中の溶媒を除去することによりホスホン酸銅塩からなる微粒子を得る工程(以下、溶媒除去工程とも記す)
を有する方法が挙げられる。
を有する方法が挙げられる。
前記一般式(2)で表わされるホスホン酸化合物におけるR11は、前述の一般式(1)におけるR11と同様である。
なお、一般式(2)で表されるホスホン酸化合物としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
なお、一般式(2)で表されるホスホン酸化合物としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
前記銅塩としては、2価の銅イオンを供給することが可能な銅塩が通常用いられる。前記銅塩としては、前記一般式(1)で表わされるホスホン酸銅塩以外の銅塩であればよい。前記銅塩としては例えば、酢酸銅無水物、蟻酸銅無水物、ステアリン酸銅無水物、安息香酸銅無水物、エチルアセト酢酸銅無水物、ピロリン酸銅無水物、ナフテン酸銅無水物、クエン酸銅無水物等の有機酸銅塩、該有機酸銅塩の水和物もしくは水化物;酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅等の無機酸銅塩、該無機酸銅塩の水和物もしくは水化物;水酸化銅が挙げられる。なお、銅塩としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
銅塩としては、酢酸銅無水物、酢酸銅1水和物が、溶解性や副生成物の除去の点から好ましく用いられる。
銅塩としては、酢酸銅無水物、酢酸銅1水和物が、溶解性や副生成物の除去の点から好ましく用いられる。
前記一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩を製造する際には、好ましくは分散剤が用いられる。分散剤を用いると、一般式(1)で表わされるホスホン酸銅塩の分散性が向上するため好ましい。前記分散剤としては、リン酸エステル化合物が挙げられ、例えば一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物および一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物、該リン酸エステル化合物中のリン酸、すなわち水酸基を塩基で中和した化合物(中和リン酸エステル化合物)が挙げられる。なお、中和に用いる塩基としては水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
nは2〜65の整数であり、好ましくは4〜65の整数であり、より好ましくは4〜45の整数であり、特に好ましくは6〜45の整数である。nが2未満である場合には、本発明の樹脂組成物の透明性が不充分となる場合がある。また、nが65を超えると、充分な透明性を有する樹脂組成物を得るために必要な、リン酸エステル化合物の量が増え、コスト高の原因となる傾向がある。
また、R5は、炭素数6〜35のアルキル基または炭素数6〜35のアルキルフェニル基であり、炭素数6〜25のアルキル基または炭素数6〜25のアルキルフェニル基であることが好ましく、炭素数6〜25のアルキル基であることがより好ましく、炭素数12〜20のアルキル基であることが特に好ましい。R5が、炭素数6未満の基であると、樹脂組成物の透明性が不充分となる場合がある。また、R5が、炭素数35を超える基であると、充分な透明性を有する樹脂組成物を得るために必要な、リン酸エステル化合物の量が増え、コスト高の原因となる傾向がある。
前記一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩を得る際には、前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物、前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物の少なくとも一方が用いられることが好ましいが、前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物、前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物の両方を用いることがより好ましい。
前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物および前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物を用いると、本発明の樹脂組成物の透明性、耐熱性に優れる傾向があり好ましい。前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物、前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物の両方を用いる場合には、一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物と、一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物との割合は、特に限定されないが、通常はモル比((3a):(3b))で10:90〜90:10である。
また、前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよく、前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
また、リン酸エステル化合物分散剤としては、他のリン酸エステルを用いることも可能である。他のリン酸エステルとしては、例えばリン酸トリエステルが挙げられ、該リン酸トリエステルは、単独で用いても、前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物および一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物等と共に用いてもよい。
前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物および前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物としては、市販されているリン酸エステル化合物、例えばDLP−8、DLP−10、DDP−8、DDP−10、TDP−8、TDP−10(以上、日光ケミカルズ(株)製)や、プライサーフA219B、プライサーフA210B(以上、第一工業製薬(株)製)等を用いることもできる。また、これらのリン酸エステル化合物中のリン酸、すなわち水酸基を適当な塩基で中和した化合物(中和リン酸エステル化合物)を用いることもできる。中和に使用する塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
また、前記一般式(2)で表わされるホスホン酸化合物は、前記銅塩中の銅1モルあたり、0.4モル以上であることが好ましく、0.5〜1.5モルであることがより好ましく、0.7〜1.2モルであることが特に好ましい。前記範囲内では、樹脂組成物の透明性、耐熱性が特に優れるため好ましい。前記一般式(2)で表わされるホスホン酸化合物は、前記分散剤1モルあたり、5モル以上用いることが好ましく、8〜100モル用いることがより好ましく、10〜80モル用いることが特に好ましい。5モルを下回ると、樹脂組成物の、近赤外線の吸収特性が悪化する場合や、耐熱性が低下する場合がある。
前記溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、水等が挙げられ、良好に反応を行う観点から、エタノール、THFまたはDMFが好ましい。また、反応工程は、好ましくは室温〜60℃、より好ましくは20〜40℃の温度条件で、好ましくは0.5〜50時間、より好ましくは1〜30時間行われる。
前記反応工程では、前記一般式(2)で表されるホスホン酸化合物と、前記銅塩とが反応し、該反応によって、前記溶媒に溶解しない微粒子状のホスホン酸銅塩(一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩)が生成する。前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物および一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物は、反応時に良好な分散剤として作用することができるため、前記ホスホン酸銅塩は分散性が高く保たれ、凝集を抑制することができる。
なお、前記反応工程では、前記一般式(2)で表されるホスホン酸化合物と銅塩との反応のみではなく、例えば前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物および一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物と、銅塩の一部とが反応してもよい。また、原料の一部が反応せずに残存していてもよい。
なお、前記ホスホン酸銅塩の製造方法では、通常、前記反応混合物から、少なくとも前記溶媒の一部を除去することにより、ホスホン酸銅塩からなる微粒子を得る。
溶媒除去工程では、反応混合物中から、少なくとも前記溶媒の一部を除去する。溶媒除去工程では、溶媒以外にも、反応混合物中の液体成分を合わせて除去してもよい。
溶媒除去工程では、反応混合物中から、少なくとも前記溶媒の一部を除去する。溶媒除去工程では、溶媒以外にも、反応混合物中の液体成分を合わせて除去してもよい。
溶媒除去工程では、通常反応混合物を加熱することにより、少なくとも前記溶媒の一部を除去するが加熱条件は、通常、室温〜70℃であり、好ましくは40〜60℃である。また、溶媒除去工程は、常圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。減圧下で溶媒除去工程を行う場合には、加熱を行わなくてもよい場合や、加熱温度が低くてもよい場合がある。溶媒除去工程では、溶媒の一部を除去しても、全てを除去してもよいが、溶媒をすべて除去した場合には、ホスホン酸銅塩を樹脂中に分散させる前に、超音波処理等を行い、ホスホン酸銅塩の分散液を得る必要がある。このため、溶媒除去工程では溶媒の一部を除去し、ホスホン酸銅塩は、ホスホン酸銅塩の分散液として得ることが好ましい。
また、溶媒除去工程を行った後に、ホスホン酸銅塩からなる微粒子中に含まれる不純物の除去を目的として、ホスホン酸銅塩からなる微粒子を、分散媒に分散した後に、該分散媒を除去する工程を設けてもよい。
また、溶媒除去工程で、ホスホン酸銅塩を、ホスホン酸銅塩の分散液として得た場合には、ホスホン酸銅塩からなる微粒子中に含まれる不純物の除去を目的として、さらに分散媒を添加した後、溶媒や分散媒を除去する工程を設けてもよい。
また、ホスホン酸銅塩からなる微粒子中に含まれる不純物の除去を目的として、ホスホン酸銅塩を含む分散液や、反応混合物中のホスホン酸銅塩からなる微粒子を、湿式ジェットミルにより微粒子化する工程を設けてもよい。
前記ホスホン酸銅塩は通常、平均粒径が1〜1000nmである。平均粒径が1〜1000nmであれば、近赤外線吸収剤(A)と共に樹脂に分散させた際に、偏在することなく組成物中に分散することが可能である。平均粒径としては、樹脂への分散性の観点から、5〜300nmであることがより好ましい。
次に、本発明に用いられる近赤外線吸収剤(B)が、被覆されたホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤である場合、例えば一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩からなる微粒子あるいは一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩および分散剤からなる微粒子が、樹脂で被覆された近赤外線吸収剤、一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩からなる微粒子あるいは一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩および分散剤からなる微粒子がポリシロキサンで被覆された近赤外線吸収剤の場合には、例えば以下の方法で製造することができる。
まず、一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩からなる微粒子あるいは一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩および分散剤からなる微粒子が、樹脂で被覆された近赤外線吸収剤の製造方法について説明する。
前記樹脂で被覆された近赤外線吸収剤は、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子を樹脂で被覆することにより得ることが可能である。該近赤外線吸収剤を製造するためには、樹脂を得るために以下のモノマーが通常は用いられる。
前記樹脂としては、成形性の観点から、モノマーの少なくとも一部として単官能性モノマーを用いて形成されることが好ましく、単官能性モノマーとしては、例えば単官能芳香族ビニル化合物、単官能(メタ)アクリル酸エステル、α‐オレフィンが挙げられ、これらは一種で用いても、二種以上で用いてもよい。
前記単官能芳香族ビニル化合物としては例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、エチルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロルスチレン、ジブロムスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレンが挙げられる。
前記単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、n−ラウリルアクリレート、n−ラウリルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、n−ステアリルアクリレート、n−ステアリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレートが挙げられる。前記単官能(メタ)アクリル酸エステルとしてはメチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が好ましい。
前記α−オレフィンとしては、通常炭素数4〜18のα‐オレフィンが用いられ、例えば、1−ブテン、1−プロペン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、近赤外線吸収剤の耐熱性の観点から、モノマーの少なくとも一部として架橋剤を用いて形成されることが好ましい。
架橋剤とは、一分子中に少なくとも2つ以上、ラジカル重合可能な官能基をもつ化合物であり、例えば多官能芳香族ビニル化合物、多官能(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、これらは一種で用いても、二種以上で用いてもよい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「メタクリル酸」および「アクリル酸」を意味する。
架橋剤とは、一分子中に少なくとも2つ以上、ラジカル重合可能な官能基をもつ化合物であり、例えば多官能芳香族ビニル化合物、多官能(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、これらは一種で用いても、二種以上で用いてもよい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「メタクリル酸」および「アクリル酸」を意味する。
前記多官能芳香族ビニル化合物としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリビニルベンゼンが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートが挙げられる。
架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート等が好ましい。
前記樹脂としては、通常はモノマーとして架橋剤と、単官能(メタ)アクリル酸エステルとを用いて形成されることが好ましい。
前記樹脂としては、通常はモノマーとして架橋剤と、単官能(メタ)アクリル酸エステルとを用いて形成されることが好ましい。
前記樹脂を製造する際に用いるモノマー100質量部あたり、架橋剤を1質量部以上、単官能性モノマーを99質量部以下用いることが好ましく、架橋剤を5〜99質量部、単官能性モノマーを1〜95質量部用いることがより好ましく、架橋剤を10〜90質量部、単官能性モノマーを10〜90質量部用いることが特に好ましい。
一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩からなる微粒子あるいは一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩および分散剤からなる微粒子が樹脂で被覆された近赤外線吸収剤の製造方法としては、特に限定はないが例えば、前述のホスホン酸銅塩からなる微粒子存在下で、モノマーの重合を行い、ホスホン酸銅塩からなる微粒子および樹脂からなる重合物を得て、必要により重合物を粉砕することにより、樹脂で被覆された近赤外線吸収剤が得られる。
モノマーの重合法としては、特に限定はなく、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等の重合法によって行われる。これらの中でも、重合が容易な塊状重合が好ましい。なお、塊状重合では得られる重合物が、バルク(塊)の形で得られるため、該重合物を粉砕することにより、樹脂で被覆された近赤外線吸収剤が得られる。
樹脂で被覆された近赤外線吸収剤を製造する方法との具体例としては、前述の方法で得られた被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤の微粒子をモノマーに分散させ、銅塩含有モノマーを得て、前記銅塩含有モノマーを塊状重合し、重合物を得て、前記重合物を粉砕することにより、粉末状の樹脂で被覆された近赤外線吸収剤を得る方法が挙げられる。
前記銅塩含有モノマーを得る方法としては、被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子を分散媒に分散し、分散液を得て、該分散液にモノマーを添加した後に、分散媒を除去することにより銅塩含有モノマーを得る方法が挙げられる。
分散媒としては、前記ホスホン酸銅塩からなる微粒子を分散することが可能なものが用いられ、通常は低沸点の有機物が用いられ、例えば塩化メチレン、アセトン、メタノール、クロロホルム等が用いられる。
前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子を分散媒に分散させる方法としては、例えば分散媒を前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子に添加し、超音波照射、ホモジナイザー、攪拌、加温攪拌等の方法によって、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子を分散媒中に分散させる方法が挙げられる。
次いで分散液に前述のモノマーを添加することにより、モノマーを好ましくは溶解させる。次いで分散媒を除去することにより、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子が分散した、銅塩含有モノマーを得ることができる。
分散媒を除去する方法としては、特に限定はなく、例えば減圧による分散媒の除去、加温と減圧の組み合わせによる除去等が挙げられる。
なお、分散液にモノマーを添加する場合には、モノマーの一部を分散液に添加し、分散媒の除去を行った後に、残りのモノマーをさらに添加し、混合を行ってもよい。
なお、分散液にモノマーを添加する場合には、モノマーの一部を分散液に添加し、分散媒の除去を行った後に、残りのモノマーをさらに添加し、混合を行ってもよい。
このようにして、被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子がモノマーに分散した銅塩含有モノマーを得ることができる。なお、被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子と、モノマーとの使用量の割合としては、被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子1質量部に対して、モノマーを0.01〜20質量部用いることが好ましく、0.1〜15質量部用いることがより好ましい。モノマーの量が0.01質量部より少ないとホスホン酸銅塩からなる微粒子を被覆することができない場合があり、モノマーの量が20質量部よりも多いと、近赤外線吸収剤(B)と共に用いる樹脂等の他の成分の物性に影響を与える恐れがある。
なお、近赤外線吸収剤を製造する際には、前述のように銅塩含有モノマーを塊状重合する方法が挙げられるが、塊状重合では、モノマーを好適に重合するために、通常はラジカル重合開始剤を、モノマーを分散液に添加するのと同時、あるいはモノマーを添加した後に添加し、ラジカル重合開始剤を含む銅塩含有モノマーを得ることが好ましい。
前記ラジカル重合開始剤としては、特に限定はなく、例えば有機過酸化物系重合開始剤、アゾ系ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤は、通常モノマー100質量部に対して、0.3〜5.0質量部用いられる。
前記銅塩含有モノマーを塊状重合し重合物を得る際には、例えばモールドや試験管等に前記銅塩含有モノマーを注入し、通常は重合温度20〜200℃、重合時間1〜40時間の条件で重合が行われる。
前記塊状重合により得られた重合物を、粉砕することにより樹脂で被覆された近赤外線吸収剤を得ることができる。前記重合物を粉砕する方法としては、特に限定はないが例えば、サンドミル、ジェットミル、ボールミル、アトライター、振動ミル等を用いて行うことができる。
樹脂で被覆された近赤外線吸収剤は、例えば前述の方法で製造することが可能であり、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子が、樹脂で被覆された粉末である。得られた樹脂で被覆された近赤外線吸収剤の平均粒径としては、0.05〜100μmであることが好ましく、0.05〜50μmであることがより好ましい。前記範囲内では、本発明の樹脂組成物は、透明性に優れるため好ましい。
なお、本発明において、樹脂で被覆されているとは、被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子の、表面の少なくとも一部が樹脂で覆われていることを意味し、樹脂で被覆された近赤外線吸収剤としては、被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子の表面全体が樹脂で覆われていることが好ましい。
次に一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩からなる微粒子あるいは一般式(1)で表されるホスホン酸銅塩および分散剤からなる微粒子がポリシロキサンで被覆された近赤外線吸収剤の製造方法について説明する。
前記ポリシロキサンで被覆された近赤外線吸収剤は、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子を、ポリシロキサンで被覆することにより得ることが可能である。
前記近赤外線吸収剤を構成する、ポリシロキサンとしては、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子を被覆することが可能であればよく、特に限定は無い。
ポリシロキサンとしては、アルコキシシラン、アルコキシシランの加水分解物、およびこれらの縮合物から選択される少なくとも1種のケイ素系化合物から形成されることが好ましい。
前記アルコキシシランは、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。アルコキシシランは一般にケイ素原子にアルコキシ基が結合した構造を有しているが、アルコキシシランとしては、ケイ素原子に四つのアルコキシ基が結合した四級のアルコキシシラン、三つのアルコキシ基が結合した三級のアルコキシシラン、二つのアルコキシ基が結合した二級のアルコキシシランの何れを用いてもよい。また、一つのアルコキシ基が結合した一級のアルコキシシランを、アルコキシシランの一部として用いてもよい。
前記アルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン等が好ましい。
一般にアルコキシシランは、酸、アルカリ存在下では容易に加水分解・縮合反応が起こる。またアルコキシシランの加水分解物やアルコキシシランは加熱されると縮合反応が起こる。ケイ素系化合物としては、アルコキシシラン、アルコキシシランの加水分解物、およびこれらの縮合物の混合物を用いてもよい。
特に、取り扱いが容易なことから縮合物を用いることが好ましい。
特に、取り扱いが容易なことから縮合物を用いることが好ましい。
前記縮合物としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、メチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40、エチルシリケート48(コルコート(株)製)、Mシリケート51、シリケート40、シリケート45(多摩化学工業(株)製)等が挙げられる。
前記ポリシロキサンで被覆された近赤外線吸収剤は、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子が、ポリシロキサンで被覆された粉末であり、その製造方法としては特に限定は無いが、例えば、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子存在下で、前記ケイ素系化合物を加水分解・縮合することによりポリシロキサンとすることにより、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤およびポリシロキサンからなる反応物を得て、該反応物を粉砕することにより、前記ポリシロキサンで被覆された近赤外線吸収剤を得ることができる。
加水分解・縮合するための反応条件としては、通常は10〜250℃、より実施に対して好ましいのは室温〜100℃である。また、反応を加速させるために、酸、塩基などの触媒を用いてもよい。また、乾燥を行う際には、通常は10〜250℃、好ましくは50℃〜200℃で行われる。
また、反応物を粉砕する方法としては、特に限定は無いが、メノウ乳鉢、サンドミル、ジェットミル、ボールミル、アトライター、振動ミル等を用いて反応物を粉砕することができる。
前記ポリシロキサンで被覆された近赤外線吸収剤を得るために用いる、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子と、ケイ素系化合物との使用量の割合としては、前記ケイ素系化合物が、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子中の銅1質量部に対して、SiO2換算で0.3〜20質量部用いることが好ましく、0.5〜15質量部用いることがより好ましい。前記ケイ素系化合物の使用量が前記範囲を下回ると被覆が不充分で固体として得られず実施に適さない恐れがあり、前記範囲を上回ると作業性の低下および赤外線吸収効果を得るために必要な添加量が多くなり実施に適さない恐れがある。
なお、SiO2換算の質量部とは、前記ケイ素系化合物としては様々な構造の化合物を用いることが可能であるが、ケイ素系化合物が有するケイ素原子の量を求め、ケイ素系化合物が、該量のケイ素原子を有する二酸化ケイ素であると仮定した場合の質量部である。
前記ポリシロキサンで被覆された近赤外線吸収剤は、例えば前述の方法で製造することが可能であり、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子がポリシロキサンで被覆された粉末である。得られたポリシロキサンで被覆された近赤外線吸収剤の平均粒径としては、0.01〜100μmであることが好ましく、0.03〜50μmであることがより好ましく、0.05〜1μmが特に好ましい。前記範囲内では、本発明の樹脂組成物は、透明性に優れるため好ましい。
なお、本発明において、ポリシロキサンで被覆されているとは、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子の表面の少なくとも一部がポリシロキサンで覆われていることを意味し、ポリシロキサンで被覆された近赤外線吸収剤としては、前記被覆されていないホスホン酸銅塩からなる近赤外線吸収剤からなる微粒子の表面全体がポリシロキサンで覆われていることが好ましい。
[樹脂]
本発明に用いられる樹脂としては、前述の近赤外線吸収剤(A)および(B)を分散することが可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、以下の樹脂を用いることができる。
本発明に用いられる樹脂としては、前述の近赤外線吸収剤(A)および(B)を分散することが可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、以下の樹脂を用いることができる。
本発明に用いる樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびノルボルネン樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂が、近赤外線吸収剤を良好に分散することが可能であり、かつ可視光線の透過性に優れることから好ましい。
前記樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂およびエチレン‐酢酸ビニル共重合体から選択される少なくとも一種の樹脂であることがより好ましく、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、およびエチレン‐酢酸ビニル共重合体から選択される少なくとも一種の樹脂であることが特に好ましく、ポリビニルブチラール樹脂、またはエチレン‐酢酸ビニル共重合体が最も好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、前述の近赤外線吸収剤(A)および(B)の分散性に優れる。このため、ポリビニルアセタール樹脂を含有する樹脂組成物を用いた合わせガラス用中間膜は、ガラスとの密着性に優れるため好ましい。また、ポリビニルアセタール樹脂を含有する樹脂組成物は柔軟であるため、合わせガラスを様々な温度条件下においた場合に、温度変化に伴う合わせガラス用中間膜の変形が少ないため好ましい。ポリビニルアセタール樹脂としては、特にポリビニルブチラール樹脂(PVB)を用いることが、ガラス密着性、分散性、透明性、耐熱性、耐光性などの観点から好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂をアルデヒドによりアセタール化することにより得ることができる。
ポリビニルアルコール樹脂は、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られるものであり、鹸化度80〜99.8モル%のポリビニルアルコール樹脂が一般的に用いられる。上記ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度は、好ましい下限は200、上限は3000であり、より好ましい下限は500、上限は2200である。200未満であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下する場合がある。一方、3000を超えると、樹脂組成物の成形性が悪くなる場合があり、樹脂組成物の剛性が大きくなり過ぎ、加工性が悪くなる場合がある。なお、ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度、および鹸化度は、例えば、JISK 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定することができる。
ポリビニルアルコール樹脂は、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られるものであり、鹸化度80〜99.8モル%のポリビニルアルコール樹脂が一般的に用いられる。上記ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度は、好ましい下限は200、上限は3000であり、より好ましい下限は500、上限は2200である。200未満であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下する場合がある。一方、3000を超えると、樹脂組成物の成形性が悪くなる場合があり、樹脂組成物の剛性が大きくなり過ぎ、加工性が悪くなる場合がある。なお、ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度、および鹸化度は、例えば、JISK 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定することができる。
アルデヒドとしては特に限定されず、例えば、炭素数が1〜10のアルデヒド等が挙げられ、具体的には、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルテヒド、n−へキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−へキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒド等が好ましく、炭素数が4のブチルアルデヒドがより好ましい。
前記ポリビニルアセタール樹脂の分子量、分子量分布およびアセタール化度は特に限定されないが、アセタール化度は、一般に40〜85%であり、好ましい下限は60%、上限は75%である。
前記ポリビニルアセタール樹脂は、必要な物性に応じて、二種以上を組み合わせたブレンド物であってもよい。
エチレン‐酢酸ビニル共重合体を用いると、前述の近赤外線吸収剤(A)および(B)の分散性に優れ、得られる樹脂組成物が、ガラス密着性、分散性、透明性、耐熱性、耐光性等に優れることから好ましい。
エチレン‐酢酸ビニル共重合体を用いると、前述の近赤外線吸収剤(A)および(B)の分散性に優れ、得られる樹脂組成物が、ガラス密着性、分散性、透明性、耐熱性、耐光性等に優れることから好ましい。
〔樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は、近赤外線吸収剤(A)と近赤外線吸収剤(B)と樹脂とを含む。本発明の樹脂組成物は、近赤外線吸収剤(A)および(B)を含むため、極近赤外線領域(800〜1100nm)だけでなく、幅広い範囲の近赤外線、特に波長が800〜2000nmの光を充分に吸収することが可能である。本発明の樹脂組成物は、前記範囲の光を充分に吸収することができるため、遮熱性に優れる。
本発明の樹脂組成物は、近赤外線吸収剤(A)と近赤外線吸収剤(B)と樹脂とを含む。本発明の樹脂組成物は、近赤外線吸収剤(A)および(B)を含むため、極近赤外線領域(800〜1100nm)だけでなく、幅広い範囲の近赤外線、特に波長が800〜2000nmの光を充分に吸収することが可能である。本発明の樹脂組成物は、前記範囲の光を充分に吸収することができるため、遮熱性に優れる。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではない。前記樹脂組成物の製造方法としては、例えば、トルエン、エタノール/トルエン混合溶媒、メタノール/トルエン混合溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等の溶剤に、樹脂、近赤外線吸収剤(A)分散液、近赤外線吸収剤(B)分散液を添加あるいは、樹脂、近赤外線吸収剤(A)および近赤外線吸収剤(B)の分散液を添加した後、撹拌、超音波照射等によって、樹脂を溶解させ、分散液を得て、該分散液から溶剤を除去する方法が挙げられる。また、別の方法としては、トルエン、エタノール/トルエン混合溶媒、メタノール/トルエン混合溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等の溶剤に、樹脂を添加した後、撹拌、超音波照射等によって、樹脂を溶解させ、次いで樹脂が溶解した溶液中に、近赤外線吸収剤(A)分散液、近赤外線吸収剤(B)分散液を添加、あるいは近赤外線吸収剤(A)および近赤外線吸収剤(B)の分散液を添加した後、撹拌、超音波照射等を行い、分散液を得て、該分散液から溶剤を除去する方法が挙げられる。
なお、前記近赤外線吸収剤(A)分散液、近赤外線吸収剤(B)分散液、近赤外線吸収剤(A)および近赤外線吸収剤(B)の分散液は、近赤外線吸収剤(A)、近赤外線吸収剤(B)あるいは近赤外線吸収剤(A)および(B)を、トルエン、メタノール、塩化メチレン、クロロホルム等に分散することにより調製することができる。
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物を100質量部とすると、近赤外線吸収剤(A)を0.00001〜10質量部、近赤外線吸収剤(B)を0.01〜15質量部および樹脂を60〜99.98999質量部含むことが好ましく、近赤外線吸収剤(A)を0.0001〜8質量部、近赤外線吸収剤(B)を0.05〜12質量部および樹脂を60〜99.9499質量部含むことがより好ましい。
近赤外線吸収剤(A)が前記範囲より少ないと、近赤外線領域の幅広い範囲において、光を充分に吸収することができない場合があり、前記範囲を上回ると、ブリードしたり透明度が低下するなどの問題が発生する場合がある。近赤外線吸収剤(B)が前記範囲より少ないと、極近赤外線領域の光を充分に吸収することができない場合があり、前記範囲を上回ると、ブリードしたり透明度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
本発明の樹脂組成物は、広い範囲の近赤外線を吸収することが可能なため、合わせガラス等の構造材料用の中間膜として好適に使用することが可能である。
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、各種添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、他の分散剤、架橋剤、キレート剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、色調補正剤、pH調整剤等が挙げられる。これらの添加剤は、本発明の樹脂組成物を製造する際に、添加されてもよく、前述の近赤外線吸収剤(A)、近赤外線吸収剤(B)、樹脂それぞれを製造する際に添加されてもよい。
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、各種添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、他の分散剤、架橋剤、キレート剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、色調補正剤、pH調整剤等が挙げられる。これらの添加剤は、本発明の樹脂組成物を製造する際に、添加されてもよく、前述の近赤外線吸収剤(A)、近赤外線吸収剤(B)、樹脂それぞれを製造する際に添加されてもよい。
前記可塑剤としては、例えば、3GO(トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート))が挙げられる。
これらの添加剤は、樹脂組成物を100質量部とすると、通常は2〜39.98999質量部、好ましくは10〜39.9499質量部用いられる。
これらの添加剤は、樹脂組成物を100質量部とすると、通常は2〜39.98999質量部、好ましくは10〜39.9499質量部用いられる。
〔樹脂組成物の用途〕
本発明の樹脂組成物は、通常、近赤外線を吸収することが望まれる用途に用いられる。
本発明の樹脂組成物から形成される樹脂膜は、広い範囲の近赤外線吸収能に優れるため、合わせガラス用中間膜等の構造材料用中間膜として好適に用いられる。
本発明の合わせガラスは、前記合わせガラス用中間膜を有している。本発明の合わせガラスを構成するガラスとしては特に限定はなく、従来公知のものを用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、通常、近赤外線を吸収することが望まれる用途に用いられる。
本発明の樹脂組成物から形成される樹脂膜は、広い範囲の近赤外線吸収能に優れるため、合わせガラス用中間膜等の構造材料用中間膜として好適に用いられる。
本発明の合わせガラスは、前記合わせガラス用中間膜を有している。本発明の合わせガラスを構成するガラスとしては特に限定はなく、従来公知のものを用いることができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1.ブチルホスホン酸銅塩の合成)
酢酸銅1水和物10.0g(5×10-2mol)を、エタノール500gに溶解させた溶液(a1)、並びに、酢酸銅1水和物に対して等モルのブチルホスホン酸6.92gおよび下記リン酸エステル化合物(A)2.0gを、エタノール5gに溶解させた溶液(b1)をそれぞれ準備した。
〔実施例1〕
(1.ブチルホスホン酸銅塩の合成)
酢酸銅1水和物10.0g(5×10-2mol)を、エタノール500gに溶解させた溶液(a1)、並びに、酢酸銅1水和物に対して等モルのブチルホスホン酸6.92gおよび下記リン酸エステル化合物(A)2.0gを、エタノール5gに溶解させた溶液(b1)をそれぞれ準備した。
なお、前記リン酸エステル化合物(A)は、前記一般式(3a)で表されるリン酸エステル化合物(モノエステル)と、前記一般式(3b)で表されるリン酸エステル化合物(ジエステル)との混合物であり、前記式中におけるnの平均が20であり、R21、R22、R23が炭素数13〜15のアルキル基であるものである。なお、リン酸エステル化合物(A)中のモノエステルとジエステルとの存在比(モル比)は、ほぼ1:1である。
次いで、上記で得られた溶液(a1)と溶液(b1)とを混合し、室温下で2時間攪拌して反応させた。
反応後、反応液をナス型フラスコに移し、エバポレーターを用いて40℃にてエタノールを50%程減圧留去したところに分散媒としてトルエン500gを添加、再度減圧留去することによりフラスコ内のエタノールを除いた。減圧留去は分散媒が100g程度になるまで行った。生成したブチルホスホン酸銅塩はトルエンに分散しており、その平均粒径は150nmで残酢酸濃度は3000ppmであった。
反応後、反応液をナス型フラスコに移し、エバポレーターを用いて40℃にてエタノールを50%程減圧留去したところに分散媒としてトルエン500gを添加、再度減圧留去することによりフラスコ内のエタノールを除いた。減圧留去は分散媒が100g程度になるまで行った。生成したブチルホスホン酸銅塩はトルエンに分散しており、その平均粒径は150nmで残酢酸濃度は3000ppmであった。
次いで同分散液を湿式ジェットミルに2回通して分散処理を行ったところ、平均粒径は64nmとなった。
この分散液にメタノール12gを添加して60℃で8時間程加温した後にトルエン150gを添加して40℃で減圧留去して溶媒が60gとした。この時の平均粒径は120nmで酢酸濃度は1500ppmであった。この分散液を湿式ジェットミルに2回通すことで分散処理を行ったところ平均粒径は68nmとなった。
以上の工程を経てブチルホスホン酸銅塩を16.7wt%を含むトルエン分散液Aを作成した。
この分散液にメタノール12gを添加して60℃で8時間程加温した後にトルエン150gを添加して40℃で減圧留去して溶媒が60gとした。この時の平均粒径は120nmで酢酸濃度は1500ppmであった。この分散液を湿式ジェットミルに2回通すことで分散処理を行ったところ平均粒径は68nmとなった。
以上の工程を経てブチルホスホン酸銅塩を16.7wt%を含むトルエン分散液Aを作成した。
(2.)
セシウムドープタングステン酸のメチルイソブチルケトン分散液(含有量18.5wt%)を4倍量のメチルイソブチルケトンで希釈、撹拌してセシウムドープタングステン酸の含有量が4.6wt%の分散液Bを得た。
なお、セシウムドープタングステン酸の粒径は動的光散乱法で測定したところ、平均粒径が70nmであった。
セシウムドープタングステン酸のメチルイソブチルケトン分散液(含有量18.5wt%)を4倍量のメチルイソブチルケトンで希釈、撹拌してセシウムドープタングステン酸の含有量が4.6wt%の分散液Bを得た。
なお、セシウムドープタングステン酸の粒径は動的光散乱法で測定したところ、平均粒径が70nmであった。
(3.中間膜用フィルムの作成)
ポリビニルブチラール樹脂20gをトルエン400g、エタノール150gの混合溶媒に溶解し、可塑剤であるトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)7.6gを添加してよく撹拌した。
ポリビニルブチラール樹脂20gをトルエン400g、エタノール150gの混合溶媒に溶解し、可塑剤であるトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)7.6gを添加してよく撹拌した。
この溶液にトルエン分散液A1.95gを撹拌しながら添加、更に分散液Bを0.51g添加して近赤外線吸収能を有する樹脂溶液を作成した。
この溶液を40℃の真空乾燥機に入れて真空で溶媒を除いて近赤外線吸収能を有する樹脂組成物を作成した。
樹脂組成物を、120℃のプレスで成形し、厚さ0.78mmの近赤外線吸収能を有する合わせガラス用中間膜を作成した。
この溶液を40℃の真空乾燥機に入れて真空で溶媒を除いて近赤外線吸収能を有する樹脂組成物を作成した。
樹脂組成物を、120℃のプレスで成形し、厚さ0.78mmの近赤外線吸収能を有する合わせガラス用中間膜を作成した。
(4.合わせガラスの作成)
3で得た合わせガラス用中間膜を2枚のガラス(25mm×75mm×1mm厚)で挟んでオートクレーブに入れて15MPaの圧力をかけ、130℃で30分加熱、加圧した後に取り出して、合わせガラスを作成した。
3で得た合わせガラス用中間膜を2枚のガラス(25mm×75mm×1mm厚)で挟んでオートクレーブに入れて15MPaの圧力をかけ、130℃で30分加熱、加圧した後に取り出して、合わせガラスを作成した。
(5.評価)
得られた合わせガラスの分光スペクトルを日立製U4100を用いて300〜2500nmの範囲で測定した。
合わせガラスは、波長が800〜2000nmの光を効率的に吸収することができた。合わせガラスの分光スペクトルより、ISO9050:2003に拠って日射透過率と可視光透過率を求めたところ日射透過率47.8%、可視光透過率81.5%であった。
得られた合わせガラスの分光スペクトルを日立製U4100を用いて300〜2500nmの範囲で測定した。
合わせガラスは、波長が800〜2000nmの光を効率的に吸収することができた。合わせガラスの分光スペクトルより、ISO9050:2003に拠って日射透過率と可視光透過率を求めたところ日射透過率47.8%、可視光透過率81.5%であった。
〔比較例1〕
トルエン分散液Aを使用しなかった以外は実施例1と同様に行い、合わせガラスを作成し、評価を行った。
比較例1で得られた合わせガラスは、日射透過率は51.5%、可視光透過率81.0%であった。
トルエン分散液Aを使用しなかった以外は実施例1と同様に行い、合わせガラスを作成し、評価を行った。
比較例1で得られた合わせガラスは、日射透過率は51.5%、可視光透過率81.0%であった。
〔実施例2〕
トルエン分散液Aの添加量を、1.95gから、3.28gに変更し、分散液Bを、アンチモンドープ酸化スズの酢酸エチル分散液(ATO含有量40wt%)0.73gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、合わせガラスを作成し、評価を行った。
なお、アンチモンドープ酸化スズの粒径は動的光散乱法で測定したところ、平均粒径が40nmであった。
実施例2で得られた合わせガラスは、波長が800〜2000nmの光を効率的に吸収することができ、日射透過率39.2%、可視光透過率71.6%だった。
トルエン分散液Aの添加量を、1.95gから、3.28gに変更し、分散液Bを、アンチモンドープ酸化スズの酢酸エチル分散液(ATO含有量40wt%)0.73gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、合わせガラスを作成し、評価を行った。
なお、アンチモンドープ酸化スズの粒径は動的光散乱法で測定したところ、平均粒径が40nmであった。
実施例2で得られた合わせガラスは、波長が800〜2000nmの光を効率的に吸収することができ、日射透過率39.2%、可視光透過率71.6%だった。
〔比較例2〕
トルエン分散液Aを使用しなかった以外は実施例2と同様に行い、合わせガラスを作成し、評価を行った。
比較例2で得られた合わせガラスは、日射透過率は56.6%、可視光透過率75.5%であった。
トルエン分散液Aを使用しなかった以外は実施例2と同様に行い、合わせガラスを作成し、評価を行った。
比較例2で得られた合わせガラスは、日射透過率は56.6%、可視光透過率75.5%であった。
〔実施例3〕
トルエン分散液Aの添加量を、1.95gから、3.28gに変更し、分散液Bを、スズドープ酸化インジウムのトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)分散液(ITO含有量10wt%)0.44gに変更し、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)の添加量を7.6gから、7.16gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、合わせガラスを作成し、評価を行った。
トルエン分散液Aの添加量を、1.95gから、3.28gに変更し、分散液Bを、スズドープ酸化インジウムのトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)分散液(ITO含有量10wt%)0.44gに変更し、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)の添加量を7.6gから、7.16gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、合わせガラスを作成し、評価を行った。
なお、アンチモンドープ酸化スズの粒径は動的光散乱法で測定したところ、平均粒径が25nmであった。
実施例3で得られた合わせガラスは、波長が800〜2000nmの光を効率的に吸収することができ、日射透過率45.1%、可視光透過率80.5%であった。
実施例3で得られた合わせガラスは、波長が800〜2000nmの光を効率的に吸収することができ、日射透過率45.1%、可視光透過率80.5%であった。
〔比較例3〕
トルエン分散液Aを使用しなかった以外は実施例3と同様に行い、合わせガラスを作成し、評価を行った。
比較例3で得られた合わせガラスは、日射透過率64.8%、可視光透過率84.5%であった。
トルエン分散液Aを使用しなかった以外は実施例3と同様に行い、合わせガラスを作成し、評価を行った。
比較例3で得られた合わせガラスは、日射透過率64.8%、可視光透過率84.5%であった。
〔実施例4〕
トルエン分散液Aの添加量を、1.95gから、3.28gに変更し、分散液Bの添加量を0.51gから、0.40gに変更し、更にアンチモンドープ酸化スズの酢酸エチル分散液(ATO含有量40wt%)0.58gを添加した以外は、実施例1と同様に行い、合わせガラスを作成し、評価を行った。
実施例4で得られた合わせガラスは、波長が800〜2000nmの光を効率的に吸収することができ、日射透過率39.4%、可視光透過率73.2%だった。
トルエン分散液Aの添加量を、1.95gから、3.28gに変更し、分散液Bの添加量を0.51gから、0.40gに変更し、更にアンチモンドープ酸化スズの酢酸エチル分散液(ATO含有量40wt%)0.58gを添加した以外は、実施例1と同様に行い、合わせガラスを作成し、評価を行った。
実施例4で得られた合わせガラスは、波長が800〜2000nmの光を効率的に吸収することができ、日射透過率39.4%、可視光透過率73.2%だった。
Claims (7)
- 前記樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびノルボルネン樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 近赤外線吸収剤(A)を0.00001〜10質量部、近赤外線吸収剤(B)を0.01〜15質量部および樹脂を60〜99.98999質量部含む(但し、樹脂組成物を100質量部とする)請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂が、ポリビニルブチラール樹脂、またはエチレン‐酢酸ビニル共重合体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記近赤外線吸収剤(A)が、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズから選択される少なくとも1種の近赤外線吸収剤(A’)およびタングステン酸系化合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物から形成される合わせガラス用中間膜。
- 請求項6に記載の合わせガラス用中間膜を有する合わせガラス。
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WO2018116907A1 (ja) * | 2016-12-20 | 2018-06-28 | 日信化学工業株式会社 | 高誘電率樹脂組成物 |
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