JPWO2012098850A1 - 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子および当該発光素子を備える光源 - Google Patents

窒化ガリウム系化合物半導体発光素子および当該発光素子を備える光源 Download PDF

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Abstract

活性層を備える窒化ガリウム系化合物半導体発光素子において、活性層は、井戸層104および障壁層103を含み、井戸層104および障壁層103の各々はm面を成長面とする半導体層であり、井戸層104は、下面および上面を有し、かつ、当該井戸層104の層厚方向に沿って下面からの距離に応じてIn組成が変化するIn組成分布を有しており、井戸層104のIn組成は、下面からの距離が一定の位置で極小を示し、井戸層104のうちIn組成が極小を示す部分は下面に平行に延びている。

Description

本発明は、窒化ガリウム系化合物半導体発光素子に関している。また、本発明は、当該発光素子を備える光源(典型的には白色光源)にも関している。
V族元素として窒素(N)を有する窒化物半導体は、そのバンドギャップの大きさから、短波長発光素子の材料として有望視されている。そのなかでも、窒化ガリウム系化合物半導体(GaN系半導体)の研究は盛んに行われ、青色発光ダイオード(LED)、緑色LED、ならびに、GaN系半導体を材料とする半導体レーザも実用化されている。
窒化ガリウム系半導体は、ウルツ鉱型結晶構造を有している。図1は、GaNの単位格子を模式的に示している。AlaGabIncN(0≦a,b,c≦1、a+b+c=1)半導体の結晶では、図1に示すGaの一部がAlおよび/またはInに置換され得る。
図2は、ウルツ鉱型結晶構造の面を4指数表記(六方晶指数)で表すために一般的に用いられている4つの基本ベクトルa1、a2、a3、cを示している。基本ベクトルcは、[0001]方向に延びており、この方向は「c軸」と呼ばれる。c軸に垂直な面(plane)は「c面」または「(0001)面」と呼ばれている。なお、「c軸」および「c面」は、それぞれ、「C軸」および「C面」と表記される場合もある。
ウルツ鉱型結晶構造には、図3に示すように、c面以外にも代表的な結晶面方位が存在する。図3(a)は、(0001)面、図3(b)は(10−10)面、図3(c)は(11−20)面、図3(d)は(10−12)面を示している。ここで、ミラー指数を表すカッコ内の数字の左に付された「−」は、「バー」を意味する。(0001)面、(10−10)面、(11−20)面、および(10−12)面は、それぞれ、c面、m面、a面、およびr面である。m面およびa面はc軸に平行な「非極性面」であるが、r面は「半極性面」である。m面は、(10−10)面、(−1010)面、(1−100)面、(−1100)面、(01−10)面、(0−110)面の総称である。
長年、窒化ガリウム系化合物半導体を利用した発光素子は、「c面成長(c−plane growth)」によって作製されてきた。本明細書において、「X面成長」とは、六方晶ウルツ鉱構造のX面(X=c、m、a、rなど)に垂直な方向にエピタキシャル成長が生じることを意味するものとする。X面成長において、X面を「成長面」と称する場合がある。また、X面成長によって形成された半導体の層を「X面半導体層」と称する場合もある。
c面成長によって形成された半導体積層構造を用いて発光素子を製造すると、c面が極性面であるため、c面に垂直な方向(c軸方向)に強い内部分極が生じる。分極が生じる理由は、c面において、Ga原子とN原子の位置がc軸方向にずれているからである。このような分極が発光層(活性層)に生じると、キャリアの量子閉じ込めシュタルク効果が発生する。この効果により、発光層内におけるキャリアの発光再結合確率が下がるため、発光効率が低下してしまう。
このため、近年、m面やa面などの非極性面、またはr面などの半極性面上に窒化ガリウム系化合物半導体を成長させることが活発に研究されている。非極性面を成長面として選択できれば、発光層の層厚方向(結晶成長方向)に分極が発生しないため、量子閉じ込めシュタルク効果も生じず、潜在的に高効率の発光素子を作製できる。半極性面を成長面に選択した場合でも、量子閉じ込めシュタルク効果の寄与を大幅に軽減できる。
図4(a)は、表面がm面である窒化物系半導体の断面(基板表面に垂直な断面)における結晶構造を模式的に示している。Ga原子と窒素原子は、m面に平行な同一原子面上に存在するため、m面に垂直な方向に分極は発生しない。なお、添加されたInおよびAlは、Gaのサイトに位置し、Gaを置換する。Gaの少なくとも一部がInやAlで置換されていても、m面に垂直な方向に分極は発生しない。
参考のために、図4(b)に、表面がc面である窒化物系半導体の断面(基板表面に垂直な断面)における結晶構造を模式的に示す。Ga原子と窒素原子は、c面に平行な同一原子面上に存在しない。その結果、c面に垂直な方向に分極が発生する。c面GaN系基板は、GaN系半導体結晶を成長させるための一般的な基板である。c面に平行なGa(又はIn)の原子層と窒素の原子層の位置がc軸方向に僅かにずれているため、c軸方向に沿って分極が形成される。
特許文献1の製造方法では、井戸層の層厚方向におけるIn組成のばらつきを抑えるために、GaN基板40の主面上に障壁層43,45,47,及び49と井戸層44,46,及び48とを交互に成長させることにより量子井戸構造(活性層50)を形成する工程において、InGaNを成長させることにより各井戸層を形成し、各障壁層の成長温度を第1の温度とし、各井戸層の成長温度を第1の温度より低い第2の温度とし、各井戸層を成長させる際に、Ga原料ガス(トリメチルガリウム)の供給を開始する前に予めInの原料ガスを供給しておく。
特許文献2の窒化物半導体レーザの作製方法では、InGaN井戸層のインジウム組成の均一性を向上可能な窒化物半導体レーザを作製するために、工程S110では、TMG、TMIn及びNH3を成長炉に供給して井戸層の膜厚DW0より薄い膜厚DW1(DW1<DW0)のInGaN薄膜の堆積を温度T1で行う。この薄膜は1nm厚である。工程S111では、TMIn及びNH3を成長炉に供給しながら温度T1からT2(T1<T2)に温度を変更する。工程S112では、TMIn及びNH3を成長炉に供給しながら温度を温度T2に保つ。工程S113では、TMIn及びNH3を成長炉に供給しながら温度T2からT1に温度を変更する。
特許文献3の発光素子において、活性層5は、InGaNを材料とする単一の量子井戸層にデルタ層4が埋め込まれており、それにより量子井戸層は、2つの量子井戸層3A及び3Bに互いに隔てられている。デルタ層4は、キャリアの移動に影響を与えるように量子井戸層3A及び3Bよりはバンドギャップが広く設定されるが、従来周知のマルチ量子井戸(MQW)構造に採用される障壁とは異なり、電子及び正孔の移動を実質的に誘起するように、その厚さが例えば1nm程度に設定される。
特許文献4の窒化物半導体発光素子では、基板1上に、少なくとも発光部が形成される活性層4を含む窒化物半導体積層部6を有し、活性層4がInxGa1-xN(0<x≦1)からなる井戸層7とAlyInzGa1-y-zN(0≦y<1、0≦z<1、0≦y+z<1、z<x)とからなる障壁層8とが交互に積層された多重量子井戸構造を備える構造になっている。そして、井戸層7が、AlvInwGa1-v-wN(0≦v<1、0≦w<1、0≦v+w<1、w<x)からなる薄膜障壁層7cにより、少なくとも第1の井戸層7aおよび第2の井戸層7bに分割され、薄膜障壁層7cは、膜厚が1原子層以上、20Å以下に形成されている。
特許文献5は、少なくともn型窒化物半導体層、活性層、p型窒化物半導体層からなる発光ダイオードにおいて、活性層中の発光層は複数の層からなり、異なるIn混晶比を持つ層が少なくとも2以上ともに接して形成される、窒化物半導体発光ダイオードに関するものである。
特開2009−253164号公報 特開2009−267124号公報 国際公開第2007/026767号 特開2007−150066号公報 特開2010−232290号公報
しかしながら、上述した従来の技術では、さらなる発光効率の向上が求められていた。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであり、発光効率を向上させることを目的とする。
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子は、活性層を備える窒化ガリウム系化合物半導体発光素子であって、前記活性層は、井戸層および障壁層を含み、前記井戸層および前記障壁層の各々はm面を成長面とする半導体層であり、前記井戸層は、下面および上面を有し、かつ、当該井戸層の層厚方向に沿って前記下面からの距離に応じてIn組成が変化するIn組成分布を有しており、前記井戸層のIn組成は、前記下面からの距離が一定の位置で極小を示し、前記井戸層のうちIn組成が極小を示す部分は前記下面に平行に延びている。
ある実施形態において、前記井戸層のIn組成は、前記下面からの距離が異なる複数の位置で極小を示し、前記複数の位置の間の位置で極大を示す。
ある実施形態において、前記極小を示すIn組成は、前記極大を示すIn組成の90%未満である。
ある実施形態において、前記極大および極小は、4nm以下の厚さを1周期として交互に現れる。
本発明の他の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子は、活性層を備える窒化ガリウム系化合物半導体発光素子であって、前記活性層は、井戸層および障壁層を含み、前記井戸層および前記障壁層の各々はm面を成長面とする半導体層であり、前記井戸層は、当該井戸層を複数の部分層に分割する少なくとも1つの分割層を有しており、前記分割層のIn組成は、前記部分層のIn組成の90%未満である。
ある実施形態において、前記分割層は、前記部分層が3nm以下の厚さになるように前記井戸層を分割する。
ある実施形態において、前記分割層は、AlaInbGacN(0≦a≦1、0≦b<1、0<c≦1)からなる。
ある実施形態において、前記分割層の厚さは、0.3nm以上0.8nm以下である。
ある実施形態において、前記分割層中では、層厚方向に平行な如何なる面のIn組成の平均値も、当該分割層全体のIn組成の平均値の±10%以内である。
ある実施形態において、前記井戸層は、AlxInyGazN(0≦x<1、0<y<1、0<z<1)からなる。
ある実施形態において、前記井戸層の厚さは、6nm以上20nm以下である。
ある実施形態において、前記障壁層の厚さは7nm以上40nm以下である。
ある実施形態において、前記活性層は、多重量子井戸構造である。
ある実施形態において、前記活性層は、複数の前記井戸層と、各井戸層の間に設けられた前記障壁層と有する。
ある実施形態において、前記極小を示す位置または前記分割層は、前記井戸層内でキャリアの発光再結合確率が最大となる位置と異なる。
本発明の光源は、上記いずれかの窒化ガリウム系化合物半導体発光素子と、前記窒化ガリウム系化合物半導体発光素子から放射された光の波長を変換する蛍光物質を含む波長変換部とを備える。
本発明による窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法は、m面を成長面として層厚方向に沿ってIn組成が変化する井戸層を形成する工程と、m面を成長面として前記障壁層を形成する工程とを備え、前記井戸層を形成する工程は、In原料を供給して前記井戸層を成長させるプロセスの途中において、In供給を抑制または停止する工程を含む。
ある実施形態において、In供給を抑制または停止する前記工程は、前記井戸層のIn組成を、前記井戸層の下面からの距離が一定の位置で極小にする。
ある実施形態において、In供給を抑制または停止する前記工程は、前記井戸層を成長させるプロセスの途中において、複数回繰り返される。
ある実施形態において、In供給を抑制または停止する前記工程は、前記井戸層を複数の部分層に分割する少なくとも1つの分割層を形成する。
ある実施形態において、前記井戸層を形成する工程は、In供給を抑制または停止する前記工程においても、成長温度および成長圧力を一定に維持する。
ある実施形態において、前記井戸層内でIn組成が極小である位置または前記分割層は、前記井戸層内でキャリアの発光再結合確率が最大となる位置と異なる。
本発明によれば、発光効率を向上させることができる。
GaNの単位格子を模式的に示す斜視図である。 ウルツ鉱型結晶構造の基本ベクトルa1、a2、a3、cを示す斜視図である。 (a)から(d)は、六方晶ウルツ鉱構造の代表的な結晶面方位を示す模式図である。 (a)はm面の結晶構造を示す図、(b)はc面の結晶構造を示す図である。 (a)および(b)は、本発明を実施しない場合のInGaN井戸層内部の層厚方向のIn組成ゆらぎを把握するために実施した3次元アトムプローブ分析の結果を示す図である。 (a)および(b)は、本発明の効果を比較するために実施した高分解能断面TEM(Transmission Electron Microscope)による分析結果を示す図である。 本発明の実施形態における窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の構成を模式的に示す縦断面図である。 本発明の実施形態における窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の活性層を作製する際の成長シーケンスの一例を示す模式図である。 本発明の実施形態において作製した試料のフォトルミネッセンス測定の結果を示すグラフである。 白色光源の実施形態を示す断面図である。
長年、窒化ガリウム系化合物半導体発光素子は、ほとんどの場合、c面を成長面として作製されてきた。c面成長では発光層(活性層)を構成するInGaN井戸層において量子閉じ込めシュタルク効果の発生が回避できないため、InGaN井戸層は典型的には5nm以下の厚さになるよう制御するのが一般的であった。量子閉じ込めシュタルク効果が発生すると、キャリアの発光再結合確率が下がって発光効率が低下する。量子閉じ込めシュタルク効果の発生を抑制するには、InGaN井戸層の厚さを薄くせねばならなかった。
しかし、m面をはじめとする非極性面成長では、そもそも量子閉じ込めシュタルク効果の発生がない。このため、InGaN井戸層の厚さを5nm以上にしても、原理的に発光効率の低下は起こらない。本発明者らは、別の実験によって、m面成長InGaN層の厚さが6nm以上のある一定の範囲内にあるとき、従来のc面成長では達成できないような、極めて高い発光効率を達成できることを確認している。
本発明者らは、InGaN井戸層を厚く堆積すると、層厚方向(深さ方向)にIn組成ゆらぎが顕著に発生することを見出した。また、In組成の顕著なゆらぎが、発光波長がねらいの値から大きく外れたり、素子の動作環境や動作状態によって発光波長にずれが生じてくるなど、発光素子の作製歩留まりが低下する要因となることを見出した。c面成長では、上述の通り、5nmを上回るような厚いInGaN層を堆積することは一般的ではなかったため、層厚方向に発生するIn組成ゆらぎが問題とはならなかった。
尚、本明細書中における「層厚方向」とは、結晶成長面に垂直であり、半導体層が成長する方向を示すものとする。たとえば、層厚方向にIn組成が増大するとは、半導体層の下面側(成長を開始した位置)から上面側(成長を完了した位置)に向かってIn組成が増大することを表わしている。ここで、「下面」および「上面」は、実際の「上下方向」とは関係なく規定される。また、半導体層の「下面」は、上述したように「成長開始位置」に相当するが、「上面」は「成長終了位置」に限定されない。「上面」は、エッチングにより、成長終了位置よりも下面に近づいていてもよい。
本発明のある実施形態の目的は、AlxInyGazN(0≦x<1、0<y<1、0<z<1)層内部において層厚方向に発生するIn組成ゆらぎを小さい範囲に抑えながら、6nm以上の厚さを有するm面成長AlxInyGazN(0≦x<1、0<y<1、0<z<1)層を歩留まりよく作製し、発光効率の良好な発光素子を提供することにある。また、本発明の他の実施形態の目的は、上記の発光素子を備える光源を提供することにある。
特許文献1には「障壁層と井戸層との格子定数の相違に起因して、井戸層の成長初期においてはIn組成が不十分となることがわかった。すなわち、井戸層(例えばInGaN)の成長を開始した直後においては障壁層(例えばGaN)の直上にて十分なInの取り込みが行われず、井戸層の成長に従って徐々にIn組成が増大し、或る程度の厚さに達した時点で所望のIn組成が実現される。」とある。しかし本発明者らが厚さを大きくしたInGaN層で検討したところでは、InGaN層内の層厚方向にIn組成ゆらぎが形成されやすい傾向があることは確かだが、それが常にIn組成が層厚方向に増加することになるとは限らず、逆に層厚方向にIn組成が減少する場合もあることがわかった。特に面内でIn組成の分布の仕方は異なり、分析する箇所によっては層厚方向にIn組成が増加したり、減少したり、あるいは無秩序に増加・減少を繰り返すようなゆらいだ様子であったりする。
特許文献2は、「InGaN井戸層の空間的なゆらぎの増加」を課題として、「第1の膜厚を有しており活性層のための第1のInGaN膜を窒化ガリウム系半導体領域上に形成する工程を備え、前記第1のInGaN膜を形成する前記工程は、第1のガリウム原料、第1のインジウム原料及び第1の窒素原料を成長炉に供給して、前記InGaN膜の形成のために、第1の温度で前記第1の膜厚より薄いInGaNの堆積を行う工程と、第2のインジウム原料及び第2の窒素原料を前記成長炉に供給しながら、前記第1の温度より高い第2の温度で前記InGaNの熱処理を行う工程と、前記熱処理の後に、少なくとも一回のInGaN堆積を行って前記第1のInGaN膜を形成する工程とを含む、ことを特徴とする方法」で解決することを開示している。しかしこのような方法では、特に厚いInGaN層を堆積する場合、非常に作製に時間がかかり、生産性が顕著に低下する。
従来、活性層内の障壁層で隔てられた井戸層を成長させるとき、その開始から終了まで一貫して、主要な制御パラメータを一定に維持するのが通例であった。ここで、「主要な制御パラメータ」は、窒化物半導体層の成長条件を規定するパラメータであり、成長温度、成長圧力、原料ガスの供給流量(μmol/min)を含む。「原料ガス」は、例えば、Ga、In、AlといったIII族の原料となる原料ガス、および、V族であるNの原料であるNH3を含む。非極性m面成長InGaN層を形成する場合、そのように主要な制御パラメータを一定に固定しても、層厚方向に自然にIn組成ゆらぎが発生し、かつ増大する。
本発明者らが検討を行った結果、以下のことが明らかになった。すなわち、特に発光波長が420nmを上回るようなIn組成を企図して形成されたInGaN層では、InGaN層内部のIn組成が層厚方向に増加したり、逆に減少したりする。また、In組成の増加または減少は単調である場合は少なく、多くは無秩序に増加・減少を繰り返すようなゆらぎ方を示す。まれに層厚方向にIn組成ゆらぎがほとんど発生しないことも起こりうるが、それは発光波長が420nm以下となるようにInGaN井戸層を成長した場合であることが多い。このようなIn組成のゆらぎは、層厚方向に対して垂直な方向(以下、「面内方向」という場合もある)にも発生する。層厚方向におけるIn組成の分布は、成長面に垂直な任意の断面で同一ではなく、断面ごとに異なり得る。
図5に、m面を成長面として堆積したInGaN井戸層のIn組成ゆらぎの分析結果を示す。InGaN井戸層のねらい厚さは9nmであり、フォトルミネッセンス(PL)測定による発光ピーク波長は450nmである。
図5(a)は、InGaN井戸層の内部を3次元アトムプローブ分析によって測定したマッピング画像である。マッピング画像では、1nm×1nm×1nmの立方体を単位体積としてInGaN井戸層を分割し、それぞれの単位体積におけるIn原子濃度(In組成)を示している。ここで、Inの原子濃度は、単位体積内に存在することが計測できた全ての原子の総数のうち、In原子の個数が占める割合である。図5(a)は、この測定結果に基づき、ある断面におけるIn組成を明度(濃淡)で示した図である。図5(a)には、積層された3つのInGaN井戸層におけるIn組成が、異なる明度で示されている。図5(a)の左側には、図の明度とIn組成との関係が示されている。図中の「7.0原子%」、「7.5原子%」、「8.0原子%」、「8.5原子%」、および「9.0原子%」は、それぞれ、6.995−7.004原子%、7.495−7.504原子%、7.995−8.004原子%、8.495−8.504原子%、8.995−9.004原子%の範囲にあることを意味している。図5(a)のグラフの縦軸は、試料の基準面からの深さである。
図5(b)は、同じ試料の3つのInGaN井戸層のうちの真ん中に位置するInGaN井戸層の層厚方向のIn組成ゆらぎを、面内のやや広い範囲(図5(a)において点線で囲まれる範囲)において平均化してグラフに表したものである。図5(a)の点線が囲まれた範囲は、約30nmの幅を有しているため、ある深さにおけるIn組成は、同じ深さに位置する約30個の1nm×1nm×1nmの立方体について平均したIn組成に相当している。
図5(a)によれば、ねらいどおりのIn組成が井戸層の層厚方向全体で均一に形成されている箇所は少なく、ほとんどの部分で層厚方向にIn組成が高い領域が存在したり、低い領域が存在したりして、In組成がゆらいでいることがわかる。このようにInGaN井戸層のIn組成は、層厚方向にも面内方向にも一様ではなく、三次元的にゆらいでいる。
層厚方向に発生するIn組成のゆらぎ方は、分析する面内の箇所によって異なっており、層厚方向に増加傾向を示したり減少傾向を示したり、増加・減少を無秩序に繰り返すなど様々である。しかし面内のやや広い範囲を平均化した図5(b)のグラフからは、In組成がゆらぐ幅(振幅)が、層厚方向に次第に大きくなっていく傾向があることがわかる。言い換えると、InGaN井戸層におけるIn組成ゆらぎは、InGaN井戸層の下面からの距離に応じて大きくなっていく。したがって、形成されるInGaN井戸層が厚くなるほど、InGaN井戸層内でIn組成ゆらぎの大きな部分が占める割合が増大する。
層厚方向に様々な組成でIn原子が分布するということは、様々な波長の発光準位が形成されることを意味しており、発光波長がねらいの波長から外れたり、ブロードな発光スペクトルになりやすかったりする。このことは、発光波長の歩留まりが低下することを意味する。
InGaN層内部で層厚方向にIn組成ゆらぎが発生する原因は明らかでない。一般的には、成長装置の性能によって決まるIn原料の供給・排気の遅れの効果(メモリー効果)や、下地結晶との格子不整合に起因する組成引き込み効果が原因であることも考えられる。いずれにせよ、図5(b)に示されるように、層厚方向に次第にIn組成ゆらぎの振幅が大きくなるようでは、高い内部量子効率を目的としてInGaN井戸層を厚く堆積するほど、発光波長の歩留まりが悪化することは間違いない。
本発明者らが検討したところでは、発光波長がおよそ420nmを上回るInGaN層を、4nmを超える厚さで堆積すると、発光波長の歩留まりが顕著に悪化しはじめる。そこで本発明者らは、4nmを超える厚さのInsGa1-sN(0<s<1)層を、層厚方向に発生するIn組成ゆらぎを抑えて堆積するには、厚さが4nmに至る前の段階で、一旦、In原料ガスの供給を抑制または停止し、相対的にIn組成の小さい、または全くIn原子を含まない層(IntGa1-tN、0≦t<s<1)を極めて薄く設けることが有効な対策となることを見出した。こうすることで層厚方向のIn組成ゆらぎがそれ以上大きくならないうちにゆらぎの幅を元に戻せるため、結果的に層厚方向のIn組成ゆらぎを低減することができるのである。
IntGa1-tN(0≦t<s<1)層を設けた直後、再度同じ成長条件でInsGa1-sN(0<s<1)層の堆積を再開すると、In組成ゆらぎはInsGa1-sN(0<s<1)層の堆積を開始した直後と同程度のゆらぎ幅で再発するに留まる。このため、層厚方向のIn組成ゆらぎは増大せず、In組成の分布は一定の幅の中で収束する。すなわちIntGa1-tN(0≦t<s<1)層は、層厚方向のIn組成ゆらぎの増大を防止する役割を果たす。以後、これを「ゆらぎ増大防止層」と呼ぶ。
InsGa1-sN(0<s<1)層内に設けるIntGa1-tN(0≦t<s<1)ゆらぎ増大防止層が厚くなりすぎると、これが障壁層として機能してしまう。するとInsGa1-sN(0<s<1)層は実質的に4nm以下の厚さしか持たないことになって発光波長は短波長化し、さらに高い内部量子効率も得られなくなる。したがってIntGa1-tN(0≦t<s<1)ゆらぎ増大防止層は、In組成ゆらぎの増大を防止しつつ、InsGa1-sN(0<s<1)井戸層内部でのキャリアの移動に障害とならない程度の厚さで形成されることが好ましい。
本発明者らの検討では、1原子層の厚さ以上でゆらぎの増大が防止される効果は得られるものの、4原子層以上の厚さにおいて、発光波長が短波長化しはじめ、キャリアの閉じ込め効果があらわれた。したがってIntGa1-tN(0≦t<s<1)ゆらぎ増大防止層の厚さは1原子層以上3原子層以下の間(0.3nm以上0.8nm以下)が望ましい。
ゆらぎ増大防止層ではIn組成が極小(local minimum)となる。IntGa1-tN(0≦t<s<1)ゆらぎ増大防止層は、キャリアに対して障壁層として機能しないので、井戸層内のキャリア分布に大きな影響を与えない。したがって、井戸層内でキャリアの発光再結合確率が最大となる位置(井戸層の層厚方向における中央部)は、ゆらぎ防止層の存在によって変わらず、ゆらぎ防止層の位置からずれている。言い換えると、In組成が極小を示す位置は、井戸層内でキャリアの発光再結合確率が最大となる位置とは異なっている。発光再結合確率が最大となるのは、井戸層内の層厚方向における中央部である。
本発明者らの検討によれば、IntGa1-tN(0≦t<s<1)ゆらぎ増大防止層のIn組成(t)は、母体となるInsGa1-sN(0<s<1)井戸層のIn組成(s)の90%未満(t<0.9s)まで相対的に小さくする必要がある。IntGa1-tN(0≦t<s<1)ゆらぎ増大防止層のIn組成(t)が、InsGa1-sN(0<s<1)井戸層のIn組成(s)の90%以上(t≧0.9s)であると、層厚方向のIn組成ゆらぎの増大を防止する効果は得られにくい。ゆらぎ増大防止層は、Inを含まないGaN層であってもよいし、Alを含んだAlaInbGacN(0<a≦1、0≦b<1、0<c≦1、b<0.9s)層であってもよい。
InsGa1-sN(0<s<1)井戸層は、IntGa1-tN(0≦t<s<1)ゆらぎ増大防止層も含めて、厚さが6nm以上20nm以下であると、高い内部量子効率を示すことができる。より好ましくは9nm以上17nm以下であると、さらに高い内部量子効率を示すことができる。InsGa1-sN(0<s<1)井戸層を、20nmを上回る厚さで堆積すると、蓄積された歪みにより格子緩和が発生する可能性が非常に高くなる。発光波長が450nmを上回る場合には、InsGa1-sN(0<s<1)井戸層が17nmよりも大きくなると格子緩和が起こりやすくなり、20nmよりも大きくなると更に格子緩和が起こりやすくなる。格子緩和は発光効率や信頼性を低下させる要因となる。
発光素子の活性層としては、InsGa1-sN(0<s<1)井戸層が単独に1層だけで存在するよりも、厚さが7nm以上40nm以下の障壁層で隔てられて、2周期以上の周期構造で構成されることが好ましい。InsGa1-sN(0<s<1)井戸層は複数層存在した方が、大電流駆動時において井戸層内部のキャリア密度が過剰に大きくなることを防ぎ、また活性層をオーバーフローするキャリアの数を減らすことができる。その際、InsGa1-sN(0<s<1)井戸層を隔てる障壁層としては、InsGa1-sN(0<s<1)井戸層のバンドギャップエネルギーより大きいバンドギャップエネルギーを有して、InsGa1-sN(0<s<1)井戸層にキャリアを閉じ込める役割を果たせるものであれば何でもよい。障壁層の厚さが7nm未満まで薄くなると、6nm以上で規定されるInsGa1-sN(0<s<1)井戸層にキャリアを閉じ込める効果が顕著に低下してしまう。また、障壁層の厚さが40nmを上回ると、発光素子の動作時において、複数存在するInsGa1-sN(0<s<1)井戸層に満遍なくキャリアを注入することが難しくなる。尚、障壁層にはSiやMgなど、n型、p型を示すドーパントが含まれていても、本実施形態の効果を得るのに何ら問題が生じないことは言うまでもない。
本発明のある実施形態では、In組成ゆらぎの増大を防止するために設けるIntGa1-tN(0≦t<s<1)ゆらぎ増大防止層のIn組成(t)と、母体であるInsGa1-sN(0<s<1)井戸層のIn組成(s)とが、t<0.9sの関係にある。すなわち、InsGa1-sN(0<s<1)井戸層の中のIn組成が、4nm以下の厚さを1周期として、層厚方向に略周期的に極大と極小が交互に現われるように分布し、なおかつ極小となるIn組成が、極大となるIn組成の90%未満となり、さらに極小を示す部分の厚さが0.3nm以上0.8nm以下となるように分布していることが好ましい。このようなIn組成が層厚方向に形成されるのであれば、本実施形態の効果を得ることができ、In組成分布の形成方法には何ら制限されない。IntGa1-tN(0≦t<s<1)ゆらぎ増大防止層の形成は、本実施形態の効果を得るための、有効な手段の一つである。
In組成分布が周期的であるということについては、本実施形態の効果を得るのに厳密な周期性が求められるものではない。何らかの分析方法において、常識的に周期的と判断できるような分布が示されるのであれば十分に本実施形態の効果を享受できる。
図6は、目標の厚さを9nmに設定した条件で堆積したInGaN井戸層の断面におけるIn組成を示すグラフである。具体的には、このグラフは、高分解能TEM分析を実施して得られた画像コントラストを数値化し、層厚方向に対応するヒストグラムで表わしたものである。数値は大きいほどIn組成が高いことに対応している。
図6(a)は、層厚方向のIn組成ゆらぎに対して何ら対策を施していない試料(比較例)のグラフである。グラフの左側には、この比較例の高分解能TEM像が示されている。高分解能TEM像の明度は、In組成に対応している。この高分解能TEM像上の矢印で示される直線上の画像コントラストを数値化したものが、図6(a)のグラフである。
一方、図6(b)は、本発明の実施例のグラフである。このグラフの左にも高分解能TEM像が示されている。この高分解能TEM像上の矢印で示される直線上の画像コントラストを数値化したものが、図6(b)のグラフである。この実施例は、InGaN井戸層を層厚方向に約3nmずつに分割する位置でIn原料の供給量を意図的に低減し、0.8nmの厚さを有する「ゆらぎ増大防止層」を形成した試料である。この1つの井戸層は、2つのゆらぎ増大防止層によって分割された3つの部分層と、2つのゆらぎ増大防止層とによって構成されている。ここで、「ゆらぎ増大防止層」は、分割層(dividing layer)として機能する。図6(b)に示す試料の井戸層の総厚は、およそ10.6nm(=3nm×3層+0.8nm×2層)となる。ゆらぎ増大防止層のIn組成は、分割された部分層のIn組成よりも低い(典型的には90%未満である)が、各ゆらぎ増大防止層は1つの井戸層の一部を構成しており、井戸層の一部として機能する。すなわち、ゆらぎ増大防止層は「障壁層」ではない。
何ら対策を施していない図6(a)の試料では、層厚方向のIn組成に対応するコントラストが無秩序に増加・減少を繰り返すために、極大・極小を示す箇所が複数、InGaN井戸層内部に生じている。これは図5(a)、(b)で示された結果と整合するものである。本明細書において、In組成の極大および極小とは、In組成を示すグラフ上の高周波ノイズを均した包絡線における極大および極小を意味するものとする。
図6(a)の試料では、その高分解能TEM像からわかるように、面内方向にもIn組成が揺らいでいる。この比較例の試料では、面内方向にもIn組成が揺らいでいるため、異なる断面で高分解能TEM分析を実施すると、図6(a)のグラフに示されるヒストグラムとは異なるヒストグラムが得られることになる。
このように、図6(a)のグラフに示されるIn組成分布にも極小および極大が現れているが、ある断面において極小を示す位置(InGaN井戸層の下面からの距離)は、他の断面でIn組成分布の極小を示す位置(InGaN井戸層の下面からの距離)と一致しているとは限られない。
これに対して、本発明の実施例では、図6(b)のグラフに示されるようにコントラストのゆらぎ方は略周期的であり、層厚方向におけるIn組成分布に極小と極大が交互に現われている。また、本実施例についての高分解能TEM像を観察すると、明度の低い部分(In組成が相対的に低い部分)によって明度の高い部分が分割されている。言い換えると、層厚方向においてIn組成分布が極小となる位置(InGaN井戸層の下面からの距離)は、面内方向に一定であり、In組成が相対的に低い部分は、InGaN井戸層の下面に平行に層状に伸びている。
およそ9nmの厚さのInGaN井戸層を3nmずつの要素に分割し、それぞれの要素について平均のIn組成を算出したときの要素間のばらつきが、図6(a)の試料に比べて図6(b)の試料の方が小さくなる。すなわち、「ゆらぎ増大防止層」を設けたInGaN井戸層の方が、井戸層全体でみたときのIn組成が一定に近い状態であるといえる。尚、図6(b)では、コントラストが極小を示す部分が、In原料の供給を抑制したゆらぎ増大防止層に対応しており、極小を示す部分におけるIn組成に対応するコントラストの大きさは、極大を示す部分におけるIn組成に対応するコントラストの大きさの90%未満である。
特許文献3には、極性面であるc面成長の活性層において、InGaN井戸層を、1nm未満の厚さの障壁層(デルタ層)で隔てた構造が開示されている。しかし特許文献3では、c面成長であるがゆえに回避できない内部分極の発生に起因するキャリア分布の偏りを解消することが目的であって、デルタ層は明確に障壁層として機能し、InGaN井戸層はこのデルタ層を挟む位置に存在するものでなければ発明の効果を得られず、発光に寄与しえない。反面、本実施形態では、そもそも非極性m面成長InGaN井戸層を対象とするために、内部分極は発生せず、キャリア分布の偏りは元来生じない。AlaInbGacN(0≦a<1、0≦b<1、0<c≦1、b<0.9s)層の挿入は、あくまで層厚方向に発生するIn組成ゆらぎの増大を抑える目的で実施するものである。井戸層内のAlaInbGacN(0≦a<1、0≦b<1、0<c≦1、b<0.9s)層は、0.3nmから0.8nmという極薄の厚さのために障壁層としては機能しない。
各々が「ゆらぎ増大防止層」を含む複数のInGaN井戸層が、7nm以上40nm以下の厚さの障壁層で隔てられていてもよい。その場合でも、個々のInGaN井戸層が非極性m面成長層であり、In組成ゆらぎが抑制されているから、それぞれのInGaN井戸層でキャリア分布は均一であり、望ましい良好な効率で発光に寄与することができる。複数のInGaN井戸層が存在することは、発光素子として大電流駆動時においても高効率を維持できるために望ましく、この点は特許文献3とは明らかに異なる特徴であり、本実施形態が特許文献3とは完全に発明の趣旨を異にすることを示すものである。
なお、図6(b)の実施例では、1つのInGaN井戸層が2つの「ゆらぎ増大防止層」を有しているが、本実施形態における井戸層は、このような場合に限定されない。本実施形態における井戸層は、単一の「ゆらぎ増大防止層」を含んでいてもよい。その場合、井戸層のIn組成は、その下面からの距離が一定の位置で1つの極小を示すことになる。このときのIn組成分布において、極小を示す位置の両側に、必ずしも極大は示されない。
(実施形態1)
以下、図7を参照しながら、本実施形態による窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を説明する。
本実施形態で使用する結晶成長用基板101は、m面GaN基板でも良いし、表面にm面GaN層が形成されたm面SiC基板、m面GaN層が形成されたr面サファイア基板やm面サファイア基板であってもよい。最も重要な点は、活性層がm面窒化物系半導体層である点である。
なお、本発明においては、「m面」は、±5°の範囲内でm面(傾斜していない場合のm面)から所定の方向に傾斜している面を含む。現実のm面半導体層の成長面は、m面に対して完全に平行な面である必要はなく、m面から所定の角度で傾斜していてもよい。傾斜角度は、活性層主面の法線とm面の法線とが形成する角度により規定される。傾斜角度θの絶対値は、c軸方向において5°以下、好ましくは1°以下の範囲であればよい。また、a軸方向において5°以下、好ましくは1°以下の範囲であればよい。この傾斜は、全体的にm面から傾斜しているが、微視的には1〜数原子層オーダーの高さのステップによって構成され、多数のm面領域を含んでいるものを含む。このため、m面から絶対値で5°以下の角度で傾斜している面は、m面と同様の性質を有すると考えられる。なお、傾斜角度θの絶対値が5°より大きくなると、ピエゾ電界によって内部量子効率が低下する場合が有る。しかし、傾斜角度θを例えば5°に設定した場合でも、製造ばらつきにより、現実の傾斜角度θは5°から±1°程度ずれる可能性がある。このような製造ばらつきを完全に排除することは困難であり、また、この程度の微小な角度ずれは、本発明の効果を妨げるものでもない。
GaN/InGaN多重量子井戸活性層105をはじめとする窒化ガリウム系化合物半導体の堆積は、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法で行う。まず基板101をバッファードフッ酸溶液(BHF)で洗浄し、その後十分に水洗して乾燥する。基板101は洗浄後、なるべく空気に触れさせないようにして、MOCVD装置の反応室に載置する。その後、窒素源であるアンモニア(NH3)のみを供給しながら基板をおよそ850℃まで加熱して基板表面にクリーニング処置を施す。
次にトリメチルガリウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)、さらにシラン(SiH4)を供給し、基板を1100℃程度に加熱してn−GaN層102を堆積する。シランはn型ドーパントであるSiを供給する原料ガスである。
次にSiH4の供給を止め、基板の温度を800℃未満まで降温してGaN障壁層103を堆積する。さらにトリメチルインジウム(TMI)の供給を開始してInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104を堆積する。本実施形態では、GaN障壁層103とInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104は2周期以上で交互に堆積することで、発光部となるGaN/InGaN多重量子井戸活性層105を形成する。2周期以上とするのは、InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の数が多い方が、大電流駆動時において井戸層内部のキャリア密度が過剰に大きくなることを防ぎ、また活性層をオーバーフローするキャリアの数を減らすことができるため、素子の特性が良好となるためである。ただし、1つの活性層が2つの障壁層104によって挟まれた単一のInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104を有していてもよい。
InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104は厚さが6nm以上20nm以下となるように成長時間を調整して堆積をおこなうことが望ましい。また、InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104を隔てるGaN障壁層103の厚さは、7nm以上40nm以下となるように成長時間を調整して堆積をおこなうことが望ましい。
本実施形態では、InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104を形成するとき、以下に詳述する方法により、井戸層104内にゆらぎ増大防止層110を形成する。
以下、図8を参照しながら、GaN/InGaN多重量子井戸活性層105の形成プロセスの一例を説明する。図8は、本実施形態で形成されるGaN/InGaN多重量子井戸活性層105の断面構成と、活性層形成中における原料ガス供給シーケンスの一例とを示している。図8の例では、3つのGaN障壁層103と2つのInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104とが交互に積層されている。GaN障壁層103およびInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104は、それぞれ、図8の左側から右側に向かって成長している。図中の太い矢印は、「層厚方向」を示している。
本実施形態では、InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104を堆積する際において、時刻t1で、TMIの供給を開始し、InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の厚さが4nmになる前の段階(時刻t2)で、TMIの供給を抑制または停止する。このとき、場合によっては、同時に、トリメチルアルミニウム(TMA)を適切な流量で供給してもよい。図8の例では、TMIの供給量を低減している間、TMAを供給している。こうして、本実施形態では、InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の他の部分よりも意図的にIn組成を低減したAlaInbGacN(0≦a<1、0≦b<1、0<c≦1)ゆらぎ増大防止層110を形成する。
ゆらぎ増大防止層110を形成するためにTMIの供給を抑制または停止する時間は、時刻t2から時刻t3までの期間である。InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の成長途中でIn供給量を相対的に少なくする時間(t3−t2)は、例えば2秒から8秒程度であり、1つのInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の成長に要する時間の例えば30%以下である。こうして、まず、図8に示す2つのInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104のうちの左側のゆらぎ防止層110が形成される。なお、図8では、ゆらぎ防止層110が明瞭な「層」として記載されているが、ゆらぎ防止層110の界面において、In組成は、必ずしもステップ状に変化している必要はない。InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104において、その下面からの距離が一定の位置でIn組成が局所的に低下している部分が存在し、その部分が面内方向に平行に延びていれば、その部分が「ゆらぎ防止層110」である。
AlaInbGacN(0≦a<1、0≦b<1、0<c≦1)ゆらぎ増大防止層110を1原子層から3原子層の厚さ(0.3〜0.8nm)で堆積した後は、時刻t3でTMAの供給を停止し、TMIを元の供給流量に戻してInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の堆積を継続する。ゆらぎ増大防止層110上のInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の厚さが再び4nmになる前の段階(時刻t4)において、再度TMIの供給を抑制または停止する。このとき、場合によっては、同時に、TMAを適切な流量で供給してもよい。こうして、第2のAlaInbGacN(0≦a<1、0≦b<1、0<c≦1)ゆらぎ増大防止層110を堆積する。TMIの供給を抑制または停止する時間は、時刻t4から時刻t5までの期間である。
この後、時刻t5から時刻t6までの間、第2のゆらぎ増大防止層110上のInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の厚さが再び4nmになる前の段階までTMIを供給してInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の残りの部分を形成する。
このような工程の繰り返しを何度かおこなって、AlaInbGacN(0≦a<1、0≦b<1、0<c≦1)ゆらぎ増大防止層110を含んだInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104を所望の厚さになるまで堆積する。尚、AlaInbGacN(0≦a<1、0≦b<1、0<c≦1)ゆらぎ増大防止層110はGaN障壁層103で隔てられた各InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104に対してそれぞれ挿入する。
図8の例では、同様の工程により、GaN障壁層に挟まれた第2のInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104を形成しているが、この形成は本実施形態にとって必須ではない。また、1つの活性層が3以上のInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104を有していてもよい。なお、2つ以上のInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104を形成する場合、各井戸層104の構成および厚さが相互に異なっていてもよい。
本実施形態では、上記の方法により、発光波長が450nm近傍となるように成長条件を調整し、9nmの厚さのInGaN井戸層と、15nmの厚さのGaN障壁層を交互に3周期堆積したGaN/InGaN多重量子井戸活性層(A:比較例)を作製した。これとは別に、InGaN層としての厚さは9nmで同一だが、これを3nmずつに分割する位置(InGaN層を3nmおよび6nm堆積した箇所)に、0.8nmの厚さのGaN層を設けた構造(井戸層としての総厚は10.6nmとなる)を1つの井戸層として、これを15nmの厚さのGaN障壁層と交互に3周期堆積したGaN/InGaN多重量子井戸活性層(B:実施例)を作製した。詳細な成長条件としては、どちらも成長温度750℃、成長圧力300Torr、TMG供給流量33μmol/min、NH3供給流量0.8mol/minを一定に維持し、InGaN井戸層の堆積時のみ、TMIを170μmol/minの流量で供給している。
上記の比較例と実施例について、PLの測定を行った。図9にPL測定の結果を示す。
標準的な方法で作製した比較例(A)では、強度がピークを示す波長の他にも短波長側に別のピークを持つような極めて半値幅の大きいPLスペクトルとなり、9nmの厚さのInGaN井戸層では発光波長の制御が困難であることを示唆する結果となった。
これに対して、AlaInbGacN(a=0、b=0、c=1)ゆらぎ増大防止層を挿入した実施例(B)では、ダブルピークは消失して単峰性のスペクトルが得られ、半値幅もおよそ10nm程度低減する結果を得た。これは、厚いInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104において発生する層厚方向のIn組成のゆらぎが低減することを示す結果である。本発明のある実施形態によれば、発光スペクトルがブロードになることを防ぎ、発光波長の歩留まりを高めることもできる。
本発明者らの検討によれば、発光波長が450nmとなるように成長条件を調整した上で厚さ9nmのInGaN層を作製する場合、In供給量を一定に保っていると、図5(b)に示すように、平均的なIn組成から最大で±30%の幅でIn組成のゆらぎが生じることがわかっている。しかし、本発明のある実施形態によれば、ゆらぎ増大防止層によって分割された各部分層において、In組成のゆらぎが±10%以内となる。すなわち、各部分層中の層厚方向または成長方向に平行な如何なる面のIn組成の平均値も、当該部分層全体のIn組成の平均値の±10%以内となる。このように、本実施形態では、井戸層の成長途中において意図的にInの供給を停止または低減することにより、全体としてIn組成ゆらぎを低減できる。
InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の層厚方向にIn組成のゆらぎが生じてしまうことへの対策としては、成長条件の準連続的な変化を実施することで本実施形態に代替することができると考えられる。例えば、層厚方向にIn組成が大きくなる傾向があれば、InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104を堆積するに伴って、それぞれ適切な範囲で、TMIを徐々に低減したり、成長温度を次第に昇温するなどすれば、In原子が結晶内部に取り込まれる量が低減して、結果的に層厚方向に一定のIn組成を得ることができる可能性がある。逆に層厚方向にIn組成が小さくなる傾向があれば、InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104を堆積するに伴って、適切な範囲で、TMIを徐々に増加したり、成長温度を次第に降温すれば良い。
しかし、このためには、当然ながら層厚方向に生じるIn組成がゆらぐ傾向を把握し、これを相殺するように成長条件を制御せねばならない。本発明者らの検討によれば、層厚方向のIn組成ゆらぎは無秩序であり、またある程度の幅をもっており、時として層厚方向に増大したり、時として層厚方向に減少したり、あるいはあまりIn組成が変化しなかったりする。この成長ごとの不確定さまでもカバーできるように、成長条件の準連続的な変化をおこなうのはほぼ不可能であって、実施したとしても再現性に乏しい。また、In組成ゆらぎの発生の仕方は上述のとおり、面内の不確定さも有しており、成長条件を連続的に変化させることで解決することは難しい。
この点、本実施形態は、面内で一律にIn組成を整えることができ、層厚方向のIn組成ゆらぎを抑制する効果を発揮できる。また、準連続的な成長条件の変化を施す場合に比べて再現性が高い。
更に、特許文献2の方法のように、成長の方式としての煩雑さがない。AlaInbGacN(0≦a<1、0≦b<1、0<c≦1)からなるゆらぎ増大防止層110の堆積は、InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の成長に連続して、TMIあるいは場合によってはTMAの供給の切り替えを実施するだけである。成長温度、成長圧力など、その他の成長条件は一定にして実施することができるため、きわめて簡便であり、生産性が高い方法であるといえる。
このように、本発明の実施形態でInyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の途中に挿入するAlaInbGacN(0≦a<1、0≦b<1、0<c≦1)ゆらぎ増大防止層110は、厚さが1原子層から3原子層の極めて薄いものであるにもかかわらず、InyGa1-yN(0<y<1)井戸層104の層厚方向に生じるIn組成ゆらぎを低減するのには極めて有効である。
再び図7に戻る。
GaN/InGaN多重量子井戸活性層105の堆積後は、TMIの供給を停止し、キャリアガスには窒素に加えて、水素の供給を再開する。さらに成長温度を850℃〜1000℃に上昇させ、トリメチルアルミニウム(TMA)と、p型ドーパントであるMgの原料としてビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を供給し、p−AlGaNオーバーフロー抑制層106を堆積する。次にTMAの供給を停止し、p−GaN層107を堆積する。
反応室から取り出した基板はフォトリソグラフィー等の手段を用いてp−GaN層106、GaN/InGaN多重量子井戸活性層105の所定の領域だけをエッチング等の手法を用いて除去し、n−GaN層102の一部を表出する。n−GaN層102が表出した領域にはTi/Al等で構成されるn側電極108を形成する。また、p側電極109としては、Pd/Ptからなる電極を用いればよい。
以上の過程によって、n型、p型それぞれのキャリアを注入することができるようになり、本実施形態による製造方法で作製したGaN/InGaN多重量子井戸活性層105において所望の波長で発光する発光素子を作製することができる。
(実施形態2)
本実施形態に係る上記の発光素子は、そのまま光源として使用されても良い。しかし、本実施形態に係る発光素子は、波長変換のための蛍光物質を備える樹脂などと組み合わせれば、波長帯域の拡大した光源(例えば白色光源)として好適に使用され得る。
図10は、このような白色光源の一例を示す模式図である。図10の光源は、図7に示す構成を有する発光素子100と、この発光素子100から放射された光の波長を、より長い波長に変換する蛍光体(例えばYAG:Yttrium Alumninum Garnet)が分散された樹脂層200とを備えている。発光素子100は、表面に配線パターンが形成された支持部材220上に搭載されており、支持部材220上には発光素子100を取り囲むように反射部材240が配置されている。樹脂層200は、発光素子100を覆うように形成されている。
本実施形態は、量子閉じ込めシュタルク効果のない窒化ガリウム系化合物半導体のm面で、層厚方向のIn組成ゆらぎの極めて小さい井戸層を活性層に有する発光素子を提供する。本実施形態を用いれば、高い内部量子効率を達成する井戸層を発光波長の歩留まりよく作製することが可能となる。
本発明は、例えば、発光ダイオード(LED)や半導体レーザに使用することができる。
101 基板
102 n−GaN層
103 GaN障壁層
104 InyGa1-yN(0<y<1)井戸層
105 GaN/InGaN多重量子井戸活性層
106 p−AlGaNオーバーフロー抑制層
107 p−GaN層
108 n側電極
109 p側電極
110 AlaInbGacN(0≦a<1、0≦b<1、0<c≦1)ゆらぎ増大防止層

Claims (22)

  1. 活性層を備える窒化ガリウム系化合物半導体発光素子であって、
    前記活性層は、井戸層および障壁層を含み、前記井戸層および前記障壁層の各々はm面を成長面とする半導体層であり、
    前記井戸層は、下面および上面を有し、かつ、当該井戸層の層厚方向に沿って前記下面からの距離に応じてIn組成が変化するIn組成分布を有しており、
    前記井戸層のIn組成は、前記下面からの距離が一定の位置で極小を示し、前記井戸層のうちIn組成が極小を示す部分は前記下面に平行に延びている、
    窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  2. 前記井戸層のIn組成は、前記下面からの距離が異なる複数の位置で極小を示し、前記複数の位置の間の位置で極大を示す、請求項1に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  3. 前記極小を示すIn組成は、前記極大を示すIn組成の90%未満である、請求項1または2に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  4. 前記極大および極小は、4nm以下の厚さを1周期として交互に現れる、請求項2または3に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  5. 活性層を備える窒化ガリウム系化合物半導体発光素子であって、
    前記活性層は、井戸層および障壁層を含み、前記井戸層および前記障壁層の各々はm面を成長面とする半導体層であり、
    前記井戸層は、当該井戸層を複数の部分層に分割する少なくとも1つの分割層を有しており、
    前記分割層のIn組成は、前記部分層のIn組成の90%未満である、窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  6. 前記分割層は、前記部分層が3nm以下の厚さになるように前記井戸層を分割する、請求項5に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  7. 前記分割層は、AlaInbGacN(0≦a≦1、0≦b<1、0<c≦1)からなる、請求項5または6に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  8. 前記分割層の厚さは、0.3nm以上0.8nm以下である、請求項5、6または7に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  9. 前記分割層中において、層厚方向に平行な如何なる面のIn組成の平均値も、当該分割層全体のIn組成の平均値の±10%以内である、請求項5から8の何れか一つに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  10. 前記井戸層は、AlxInyGazN(0≦x<1、0<y<1、0<z<1)からなる、請求項1から9の何れか一つに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  11. 前記井戸層の厚さは、6nm以上20nm以下である、請求項1から10の何れか一つに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  12. 前記障壁層の厚さは7nm以上40nm以下である請求項1から11の何れか一つに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  13. 前記活性層は、多重量子井戸構造である請求項1から12の何れか一つに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  14. 前記活性層は、複数の前記井戸層と、各井戸層の間に設けられた前記障壁層と有する、請求項1から13の何れか一つに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  15. 前記極小を示す位置または前記分割層は、前記井戸層内でキャリアの発光再結合確率が最大となる位置と異なる、請求項1から14の何れか一つに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
  16. 請求項1から15のいずれかに一つに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子と、
    前記窒化ガリウム系化合物半導体発光素子から放射された光の波長を変換する蛍光物質を含む波長変換部と
    を備える光源。
  17. m面を成長面として層厚方向に沿ってIn組成が変化する井戸層を形成する工程と、
    m面を成長面として前記障壁層を形成する工程と、
    を備え、
    前記井戸層を形成する工程は、In原料を供給して前記井戸層を成長させるプロセスの途中において、In供給を抑制または停止する工程を含む、窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法。
  18. In供給を抑制または停止する前記工程は、前記井戸層のIn組成を、前記井戸層の下面からの距離が一定の位置で極小にする、請求項17に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法。
  19. In供給を抑制または停止する前記工程は、前記井戸層を成長させるプロセスの途中において、複数回繰り返される、請求項17または18に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法。
  20. In供給を抑制または停止する前記工程は、前記井戸層を複数の部分層に分割する少なくとも1つの分割層を形成する、請求項17から19のいずれか一つに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法。
  21. 前記井戸層を形成する工程は、In供給を抑制または停止する前記工程においても、成長温度および成長圧力を一定に維持する、請求項17から20のいずれか一つに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法。
  22. 前記井戸層内でIn組成が極小である位置または前記分割層は、前記井戸層内でキャリアの発光再結合確率が最大となる位置と異なる、請求項17から21の何れかに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法。
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