JPWO2012063827A1 - 全固体電池用スラリー、全固体電池用グリーンシート、全固体電池、および全固体電池用スラリーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
全固体電池用スラリーの分散性を高め、表面が平滑な全固体電池用グリーンシートを作製し、電池特性に優れた全固体電池を提供する。少なくとも無機材料と、有機材料と、溶媒とを含有する全固体電池用スラリーにおいて、前記有機材料は、少なくとも15000以上の分子量を有するノニオン系分散剤を含む。
Description
本発明は、全固体電池用スラリーに関し、さらに詳しくは、高い分散性を有する全固体電池用スラリーに関する。
また、本発明は、上記全固体電池用スラリーを使用した全固体電池用グリーンシートに関する。
また、本発明は、上記全固体電池用グリーンシートを使用した全固体電池に関する。
さらに、本発明は、全固体電池用スラリーの製造方法に関する。
近年、携帯電話や携帯用パーソナルコンピュータなどの携帯用電子機器の主電源やバックアップ用電源、またハイブリッド自動車(HEV)用電源などに、電池、特に二次電池が広く用いられている。そして、二次電池の中でも、エネルギー密度が高く、充放電可能なリチウムイオン二次電池が広く用いられている。
このようなリチウムイオン二次電池においては、イオンを移動させるための媒体として、炭酸エステルやエーテル系の有機溶媒等にリチウム塩を溶解した有機電解質(電解液)が従来から使用されている。
しかしながら、電解液を使用するリチウムイオン二次電池では、予期せぬ事態において、電解液が漏出する危険性が全くないとは断言できない。また、電解液に用いられる有機溶媒等は可燃性物質であるため、電池の安全性をさらに高めることが求められている。
そこで、リチウムイオン二次電池の安全性を高めるために、電解質として、有機溶媒系電解液に代えて、固体電解質を用いることが提案されている。特にナシコン(NASICON)構造を有する化合物は、リチウムイオンを高速で伝導することができるイオン伝導体であるため、このような化合物を固体電解質に用いた全固体二次電池の開発が進められている。
たとえば、特許文献1(特開2007−5279号公報)には、不燃性の固体電解質を用いてすべての構成要素を固体で構成した全固体リチウム二次電池が提案されている。この全固体リチウム二次電池は、リン酸化合物からなる活物質を含むスラリーをシート成形して得た活物質グリーンシートと、リン酸化合物からなる固体電解質を含むスラリーをシート成形して得た固体電解質グリーンシートを積層し、熱処理して作製されている。使用されるスラリーは、活物質または固体電解質粉末に、バインダーであるポリビニルブチラール樹脂、溶媒である酢酸n−ブチル、および可塑剤であるフタル酸ジブチルを加え、ジルコニアボールと共にボールミルで24時間混合することにより作製されている。
しかしながら、特許文献1のように、活物質や固体電解質等の無機材料に、バインダー、溶媒、可塑剤を加え混合してスラリーを作製した場合、無機材料の分散性が悪く、そのスラリーを用いてグリーンシートを作製した場合、シート表面の平滑性が悪いという問題や、シートの厚さが不均一になるという問題があった。特に、正極層または負極層の少なくとも一方と固体電解質層とが焼結によって接合された全固体電池においては、焼結後の固体電解質層と電極層の界面が、シート表面の平滑性により影響を受け、全固体電池の電池特性が悪くなるという問題があった。
そこで、本発明の目的は、高い分散性を有する全固体電池用スラリーを提供することである。
本発明の全固体電池用スラリーは、少なくとも無機材料と、有機材料と、溶媒とを含有する全固体電池用スラリーであって、前記有機材料は少なくとも15000以上の分子量を有するノニオン系分散剤を含有することを特徴としている。
本発明の全固体電池用スラリーは、15000以上の分子量を有するノニオン系分散剤を含有するため、無機材料表面の活性点の酸塩基性に関わらず無機材料の凝集を立体的に抑制させることができる。そのため、高い分散性を有する全固体電池用スラリーを得ることができる。
ノニオン系分散剤は、分子内にエーテル結合、エステル結合または側鎖に水酸基を有することが好ましい。
ノニオン系分散剤は、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
無機材料は、電極活物質、固体電解質前駆体、固体電解質、導電剤から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
無機材料は、ナシコン型構造を有する化合物を含有することが好ましい。
ノニオン系分散剤の含有量は、無機材料100重量部に対し、0.1〜35重量部であることが好ましい。この場合には、無機材料を分散させる効果が十分に得られ、さらに、有機ビヒクルの高粘度化を抑制することができるからである。
溶媒の含有量は、無機材料100重量部に対し、30〜1000重量部であることが好ましい。この場合には、全固体電池用スラリーの分散性と安定性を両立させることが可能となるからである。
また、全固体電池用スラリーに占める溶剤の体積比率は、65%以上85%以下であり、全固体電池用スラリーの粘度が0.1Pa・s以上3.4Pa・s以下であることが好ましい。この場合には、グリーンシートにクラックが発生するのを抑制し、電池特性の良好な全固体電池を作製することが可能となるからである。
この場合において、溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールなどのアルコール類、n−ヘキサン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、トルエン、酢酸エチレンから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、溶媒は、誘電率6以下の溶媒Aと、溶媒Aと可溶で誘電率が17以上の溶媒Bを含有し、溶媒Aを全溶媒に対して体積比率で1%よりも多く含むようにすることが好ましい。この場合には、スラリー中へのリチウムの溶出を抑制し、かつ、高い分散性を有する全固体電池用スラリー組成物を得ることができ、電池特性の良好な全固体電池を作製することが可能となるからである。
この場合において、溶媒Aは、n−ヘキサン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、トルエン、酢酸エチレンから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
溶媒Bは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
溶媒Aの体積比率は、全溶媒に対して10%以上であることが好ましい。
また、無機材料の体積平均粒径は0.5μm以上5μm以下であり、90体積%の平均粒径は0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。この場合には、より高い分散性を有する全固体電池用スラリーを得ることができ、電池特性の良好な全固体電池を作製することが可能となるからである。
この場合において、無機材料の99体積%の平均粒径は、0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。
また、有機材料は、ノニオン系分散剤である高分子材料C、およびノニオン系には限られない高分子材料Dを含有し、高分子材料Cが高分子材料Dよりも先に混合され、高分子材料Dの平均重合度が高分子材料Cの平均重合度より高く、溶解性パラメータSP値の差が5.0以下であることが好ましい。この場合には、より高い分散性を有する全固体電池用スラリーを得ることができ、電池特性の良好な全固体電池を作製することが可能となるからである。
この場合において、高分子材料Cの平均重合度は、100以上400以下であることが好ましい。
高分子材料Cと前記高分子材料Dとは、同一の構造単位を含むことが好ましい。
高分子材料Cの添加量は、無機材料100重量部に対し、0.1〜20重量部であることが好ましい。
上述した全固体電池用スラリーを用いて、全固体電池用グリーンシートを作製することができる。この場合には、全固体電池用グリーンシートは、シートの表面の平滑性が優れるとともに、シートの厚さが均一になる。
また、上述した全固体電池用グリーンシートを用いて、正極層、負極層、固体電解質層を作製し、正極層と負極層とを固体電解質層を介して積層一体化させ、焼成して、全固体電池用を作製することができる。この場合には、グリーンシートの表面の平滑性が優れているため、焼結後の固体電解質層と電極層の界面が、焼結によって密接に接合され、層間剥離やクラックの発生を抑制することができるため、全固体電池の電池特性も優れたものとなる。
本発明の全固体電池用スラリーの製造方法は、少なくとも無機材料と有機材料と溶媒とを含有する全固体電池用スラリーの製造方法であって、有機材料と、無機材料と、溶媒とを準備する工程と、有機材料と無機材料と溶剤とを混合しスラリーを得るスラリー作製工程を有しており、前記有機材料は、少なくとも15000以上の分子量を有するノニオン系分散剤を含んでいることを特徴としている。
さらに、本発明の全固体電池用スラリーの製造方法は、有機材料と、無機材料と、溶媒とを準備する工程と、有機材料と無機材料と溶媒とを混合し混合物を得る混合工程と、前記、混合工程で得た混合物と、他の有機材料を混合しスラリーを得るスラリー作製工程とを有し、前記有機材料は、少なくとも15000以上の分子量を有するノニオン系分散剤を含み、前記他の有機材料は、少なくともバインダーを含んでいることが好ましい。
さらに、本発明の全固体電池用スラリーの製造方法は、有機材料と、無機材料と、溶媒とを準備する工程と、無機材料と溶媒とを混合し混合物を得る混合工程と、有機材料と溶媒とを混合し有機ビヒクルを作製する有機ビヒクル作製工程と、前記混合物と前記有機ビヒクルとを混合する第2の混合工程とを有し、前記有機材料は、少なくとも15000以上の分子量を有するノニオン系分散剤を含むものとすることができる。
本発明によれば、高い分散性を有する全固体電池用スラリーを得ることができ、電池特性の良好な全固体電池を作製することが可能となる。
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。ここで述べる発明の実施形態は本発明を実施するための一例であり、ここに記述されている方法、形態に何ら限定されるものではない。
[第1実施形態]
本発明の全固体電池用スラリーは、少なくとも、無機材料と、有機材料と、溶媒とを含有する。有機材料の1種として15000以上の分子量を有するノニオン系分散剤を有する。前記分散剤は分散効果を有する分子量15000以上のノニオン系有機材料であれば特に限定されず、分子内にエーテル結合、エステル結合または側鎖に水酸基を有することが好ましい。具体的には、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
[第1実施形態]
本発明の全固体電池用スラリーは、少なくとも、無機材料と、有機材料と、溶媒とを含有する。有機材料の1種として15000以上の分子量を有するノニオン系分散剤を有する。前記分散剤は分散効果を有する分子量15000以上のノニオン系有機材料であれば特に限定されず、分子内にエーテル結合、エステル結合または側鎖に水酸基を有することが好ましい。具体的には、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明の全固体電池用スラリーは、分散剤と無機材料と溶媒とを混合して得られる。さらに、バインダーや可塑剤などの各種添加剤を混合しても良い。バインダーを添加する際、分散剤と無機材料と溶媒とを混合して混合物を作製し、前記混合物とバインダーとを混合すると良い。この場合、バインダーの凝集を抑制することが可能であり、高分散性の全固体電池用スラリーを得ることができる。
なお、前記無機材料、溶媒、バインダー等は特に限定されない。無機材料としては、電極活物質、固体電解質前駆体、固体電解質、導電剤や焼結助剤等が挙げられる。溶媒は有機溶媒でも水系溶媒でも良く、二次電池の要求特性、生産性等を考慮し、任意に設定することができる。
本発明の実施形態に係る電池積層体の模式的な断面図を図1に示す。
電池積層体10は、固体電解質を含む固体電解質層12と、負極層11と、正極層13と、を備えている。負極層11と正極層13は、固体電解質層12を介して互いに対向する位置に設けられている。そして、負極層11または正極層13の少なくとも一方と固体電解質層12とが焼成され接合されている。なお、図示していないが、固体電解質層12に接しない正極層13の面に集電体層が配置されていても良く、固体電解質層12に接しない負極層11の面に集電体層が配置されていても良い。
前記固体電解質層12を作製するための全固体電池用スラリー(固体電解質スラリー)は、無機材料として固体電解質を含有する。
また、前記正極層13を作製するための全固体電池用スラリー(正極スラリー)は、無機材料として少なくとも正極活物質を含有し、さらに固体電解質や導電剤を含有していても良い。
また、前記負極層11を作製するための全固体電池用スラリー(負極スラリー)は、無機材料として少なくとも負極活物質を含有し、さらに固体電解質や、金属材料や炭素材料などの導電剤を含有していても良い。
前記固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有し、電子伝導性が無視できるほど小さい材料を用いる。固体電解質の例としては、ハロゲン化リチウム、窒化リチウム、リチウム酸素酸塩、及びこれらの誘導体が挙げられる。また、リン酸リチウム(Li3PO4)等のLi−P−O系化合物、リン酸リチウムに窒素を混ぜたLIPON(LiPO4-xNx)、Li4SiO4等のLi−Si−O系化合物、Li−P−Si−O系化合物、Li−V−Si−O系化合物、ペロブスカイト構造を有するLa0.51Li0.35TiO2.94、La0.55Li0.35TiO3、Li3xLa2/3-xTiO3等のペロブスカイト系化合物、Li、La、Zrを有するガーネット型構造を有する化合物が挙げられるが、特に、ナシコン型構造を有する化合物を含んでいることが好ましい。ナシコン型構造を有する化合物の組成はLixMy(PO4)3(x=1〜2、y=1〜2、M=Ti、Ge、Al、Ga、Zrの少なくとも1つを含む)で表され、Pの一部がB、Si等で置換されていても良い。ナシコン型構造を有する化合物の例としては、例えばLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3やLi1.2Al0.2Ti1.8(PO4)3が挙げられる。
負極層11に含まれる負極活物質の種類は特に限定されない。負極活物質としては、黒鉛−リチウム化合物、Li−Al等のリチウム合金、Li3V2(PO4)3やLi3Fe2(PO4)3等のナシコン型のリチウム含有リン酸化合物、Li4Ti5O12、Ti、Nb、W、Si、Sn、Cr、Fe、Moからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素の酸化物等を用いても良い。具体的には、酸化チタン、酸化シリコン、酸化ニオブ、酸化錫、酸化クロム、酸化鉄、酸化モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物を含んでいることが好ましい。かかる酸化物は、重量当たりの容量が大きく、Liに対する電位が低い。そのため、容量密度が大きく、電池電圧が高くなり、エネルギー密度の高い全固体電池を得ることができる。
正極層13に含まれる正極活物質の種類は特に限定されない。正極活物質の例としては、LiCoO2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2等の層状化合物、LiMn2O4、LiNi0.5Mn1.5O4等のスピネル材料、LiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、LiNiPO4、Li3V2(PO4)3等のリン含有化合物が挙げられる。
負極層11および正極層13はナシコン型固体電解質を含んでいることが好ましい。固体電解質層12にナシコン型固体電解質を含んでいる場合、負極層11および正極層13と固体電解質層12とが焼成によって接合されやすくなるためである。
負極層11または正極層13の少なくとも一方と固体電解質層12とは、複数のグリーンシートを積層して積層体を形成し、積層体を焼成することにより接合されていることが好ましい。この場合、負極層11または正極層13の少なくとも一方と固体電解質層12とを一体的に焼成して接合することができるため、より安価に全固体電池を作製することが可能であるためである。
本発明に係る全固体電池は、一例として、以下のように製造される。
まず、無機材料として、電極活物質の材料と固体電解質の材料を用意する。この時、電極活物質が二種以上の元素の酸化物を含む場合には、各々の元素の酸化物を混合した材料を用意すれば良い。また、固体電解質がナシコン型固体電解質を含んでいる場合には、ナシコン型固体電解質の材料を用意する。例えばLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3とLi1.2Al0.2Ti1.8(PO4)3等、異なる組成のナシコン型固体電解質を混合した材料を用いても良い。また、ナシコン型固体電解質の材料には、ナシコン型固体電解質の結晶相を含む材料や、ナシコン型固体電解質の結晶相を析出するガラス材料を用いても良い。
なお、前記無機材料の体積平均粒径は、0.5μm以上5μm以下であり、90体積%の平均粒径が0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。この場合には、全固体電池用スラリー中での無機材料の凝集や沈降を抑制し、無機材料が高い分散性を維持したままの状態で、スラリーを安定化させることできるからである。無機材料の体積平均粒径が5μmを超えると、スラリーの分散性が時間と共に低下する。また、無機材料の90体積%の平均粒径が20μmを超えると、粗粒が沈降しやすくなる。また、粗粒の沈降を抑制しスラリーの分散性を更に安定化させるため、前記無機材料の99体積%の平均粒径が0.5μm以上20μm以下であることがより好ましい。
ここで、体積平均粒径は、粒度分布の積算50%粒子径であり、90体積%の平均粒径は、粒度分布の積算90%粒子径である。無機材料の粒子径測定は、レーザー回折散乱型粒度分布測定装置で測定できる。なお、前記無機材料の種類、溶媒は特に限定されない。無機材料としては、電極活物質、固体電解質前駆体、固体電解質、導電剤や焼結助剤等が挙げられる。溶媒は有機溶媒でも水系溶媒でもよく、全固体電池の要求特性、生産性等を考慮し、任意に設定することができる。
次に、本発明のスラリーの製造方法に従い、固体電解質層、正極層及び負極層の各々のスラリーを調製する。例えば、まず有機材料と溶媒とを混合し、有機ビヒクルを作製する。固体電解質層を形成するための固体電解質スラリーの作製方法の一例としては、固体電解質と溶媒を混合し混合物を作製する。次いで、前記混合物と前記有機ビヒクルを混合する。また、正極層や負極層を形成するためのスラリーの作製方法としては、固体電解質の他、正極活物質または負極活物質、導電剤などを混合し混合物を作製し、混合物に有機ビヒクルを加え混合することによりスラリーを作製する。
上記溶媒としては、水、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの環状脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのアシロニトリル類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類:メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類があげられる。これらの溶媒は、単独または2種以上を混合して、乾燥速度や環境上の観点から適宜選択して用いることができる。なお、上記有機ビヒクルを作製する際に使用する溶媒と、上記混合物を作製する際にしようする溶媒とは異なっていても良いが、同じ溶媒を用いることが好ましい。
なお、全固体電池用スラリーに占める溶媒の体積比率は、65%以上85%以下で、かつ、前記全固体電池用スラリーの粘度が0.1Pa・s以上3.4Pa・s以下であることが好ましい。前記全固体電池用スラリーに占める前記溶媒の体積比率が65%以上85%以下であり、前記全固体電池用スラリーの粘度が0.1Pa・s以上3.4Pa・s以下とすることにより、基材上に塗布したスラリーを乾燥する際に、基材上のスラリー内部に生じるスラリーの対流を抑制でき、クラックの発生を抑制することが可能となる。前記全固体電池用スラリーの粘度が0.1Pa・s以下の場合、基材上にスラリーを塗布することが難しく、前記全固体電池用スラリーの粘度が3.4Pa・s以上の場合、スラリー中における無機材料の分散性が低下し、グリーンシート表面に凹凸が発生する。
スラリーに占める溶媒の体積比率[%]は、スラリーに占める溶媒の体積比率[%]=溶媒の体積[cc]÷スラリーの体積[cc]により算出できる。ここで、スラリーの体積[cc]=無機材料の体積[cc]+有機材料の体積[cc]+溶媒の体積[cc]である。
なお、全固体電池用スラリーに占める溶媒の体積比率を、65%以上85%以下とし、かつ、前記全固体電池用スラリーの粘度が0.1Pa・s以上3.4Pa・s以下とするにあたっては、溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールなどのアルコール類、n−ヘキサン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、トルエン、酢酸エチレンから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
次に、固体電解質層、正極層及び負極層の各々のスラリーを成形してグリーンシートを作製する。成形方法は特に限定されないが、例えばダイコーター、コンマコーター等の公知の塗工機を用いた方法や、スクリーン印刷法等が挙げられる。
次に、固体電解質層、正極層及び負極層のグリーンシートを積層して積層体を形成する。積層方法は特に限定されないが、例えば熱間等方圧プレス(HIP)法、冷間等方圧プレス(CIP)法、静水圧プレス(WIP)法が挙げられる。
次に、積層体を焼成する。焼成により、正極層及び負極層と固体電解質層とが接合される。
最後に、焼成した積層体を例えばコインセル内に封止する。封止方法は特に限定されない。例えば、焼成後の積層体を樹脂で封止しても良い。また、Al2O3等の絶縁性を有する絶縁体ペーストを積層体の周囲に塗布あるいはディップして、これを熱処理することにより封止しても良い。
なお、正極層や負極層から効率的に電流を引き出すため、集電体層として正極層や負極層の上に金属層等の導電層を形成しても良い。導電層の形成方法は、例えばスパッタリング法が挙げられる。また、金属ペーストを塗布あるいはディップして、これを熱処理しても良い。
[第2実施形態]
第2実施形態は、上述した第1実施形態の構成の一部に変更を加えた。
[第2実施形態]
第2実施形態は、上述した第1実施形態の構成の一部に変更を加えた。
具体的には、溶媒に、次の2種類の溶媒Aと溶媒Bとを準備し、使用した。溶媒Aは、誘電率6以下のものからなる。溶媒Bは、溶媒Aと可溶で、誘電率が17以上のものからなる。そして、全溶媒に対する溶媒Aの割合は、体積比率で1%よりも多くなるようにした。第2実施形態の他の構成については、上述した第1実施形態と同じにした。
前記溶媒Aには、例えば、n−ヘキサン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、トルエン、酢酸エチレンから選択される少なくとも1種を使用することができる。
前記溶媒Bには、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールから選択される少なくとも1種を使用することができる。
なお、溶媒Aの体積比率が、全溶媒に対して10%以上90%以下であることが好ましい。誘電率の高い溶媒Bが一定量含まれることにより、有機材料を溶解して分散性の高いスラリーを得ることができるからである。
溶媒Aおよび溶媒Bは、固体電解質層、正極層及び負極層の各々のスラリーを調製する際に使用する。
スラリー調整に際しては、まず、溶媒Aと溶媒Bとの混合溶媒を作製する。
そして、固体電解質層を形成するための固体電解質スラリーを調製する場合には、有機材料と固体電解質と前記混合溶媒とを混合し固体電解質スラリーを調製する。なお、この方法に代えて、まず、溶媒Aと固体電解質とを混合して混合物を作製し、次に、前記混合物と有機材料、溶媒Bとを混合し固体電解質スラリーを作製するようにしても良い。
また、正極層や負極層を形成するためのスラリーを調整する場合には、固体電解質の他、正極活物質または負極活物質、導電剤などを混合し混合物を作製し、その混合物と有機材料と前記混合溶媒とを混合してスラリーを調製する。なお、この方法に代えて、まず、固体電解質の他、正極活物質または負極活物質、導電剤などと溶媒Aを混合し混合物を作製し、前記混合物と有機材料と溶媒Bとを混合してスラリーを調製するようにしても良い。
第2実施形態においても、かかるスラリーを使用して固体電解質層、正極層及び負極層のグリーンシートを作製した。そして、これらのグリーンシートを使用して、全固体電池を作製した。
本実施形態によれば、スラリー中へのリチウムの溶出を抑制し、かつ、高い分散性を有する全固体電池用スラリー組成物を得ることができ、電池特性の良好な全固体電池を作製することが可能となる。
[第3実施形態]
第3実施形態も、上述した第1実施形態の構成の一部に変更を加えた。
[第3実施形態]
第3実施形態も、上述した第1実施形態の構成の一部に変更を加えた。
具体的には、有機材料が、ノニオン系分散剤である高分子材料C、および高分子材料Dを含有し、高分子材料Cが高分子材料Dよりも先に前記無機材料と混合され、高分子材料Dの平均重合度が高分子材料Cの平均重合度より高く、溶解性パラメータSP値の差が5.0以下であるようにした。第3実施形態の他の構成については、上述した第1実施形態と同じにした。
溶解性パラメータSP値δは式1により表すことができ、2成分系溶液の溶解度の目安となる値である。
ここで、ΔEはモル蒸発エネルギー,Vはモル体積である。本実施形態では、このSP値の差を5.0以下とすることによって、スラリー中に含まれる有機材料が凝集せず、無機材料と有機材料とを均一に混合することができる。
また、高分子材料Dの平均重合度を高分子材料Cよりも高くすることにより、スラリーに適度な粘性を与えつつ、分散性が高い全固体電池用スラリーを得ることができる。
また、高分子材料Cの平均重合度が400以下であることが好ましい。さらに、平均重合度は100以上であることが好ましい。この場合、平均重合度が400よりも大きい場合、スラリー中で高分子材料Cが凝集しやすく、平均重合度が2よりも小さいと分散効果が小さくなるからである。
また、高分子材料Cと高分子材料Dとが同一の構造単位を含むことが好ましい。この場合には、高分子材料Cと高分子材料Dがスラリー中において相互に均一に分散しやすく、より分散性の高いスラリーを得ることができるからである。
高分子材料Cおよび高分子材料Dは、固体電解質層、正極層及び負極層の各々のスラリーを調製する際に使用する。
固体電解質層を形成するための固体電解質スラリーを調製する場合には、高分子材料Cと固体電解質を混合し混合物を作製した後、高分子材料Dと前記混合物を混合して固体電解質スラリーを調製する。
また、正極層や負極層を形成するためのスラリーを調整する場合には、固体電解質の他、正極活物質または負極活物質、導電剤などを混合し混合物を作製し、混合物と高分子材料Cとを混合した後、高分子材料Dと混合してスラリーを調製する。
なお、高分子材料Cをあらかじめ溶媒と混合し有機ビヒクルCを作製し、有機ビヒクルCと無機材料とを混合してもよい。また、高分子材料Dをあらかじめ溶媒と混合し有機ビヒクルDを作製した後、有機ビヒクルCと無機材料の混合物と有機ビヒクルDを混合しスラリーを調製してもよい。
平均重合度の低い高分子材料Cと無機材料を混合することにより、高分子材料Cが無機材料の表面に吸着し、スラリーの分散性を向上させる。さらに平均重合度の高い高分子材料Dを混合することで、分散性を保ちながら高分子材料Dがバインダーとして機能し、スラリーに適度な粘性を与えると考えられる。よって、高分子材料Dの平均重合度は、高分子材料Cの平均重合度よりも高ければ特に限定されない。また、高分子材料Cと高分子材料Dが同じ構造式を含む高分子材料であれば、スラリー中において相互に均一化するため、より分散性の高いスラリーを得ることができる。
第3実施形態においても、かかるスラリーを使用して固体電解質層、正極層及び負極層のグリーンシートを作製した。そして、これらのグリーンシートを使用して、全固体電池を作製した。
本実施形態によれば、より高い分散性を有する全固体電池用スラリーを得ることができ、電池特性の良好な全固体電池を作製することが可能となる。
本発明の有効性を確認するため、次の実験をおこなった。
[第1実験例]
第1実験例においては、分散される有機材料の種類を変えて、複数種類の分散液を作製し、各分散液の分散性を比較した。具体的には、分子量20000のノニオン系分散剤を用いた分散液(実施例1)と、アニオン系分散剤を用いた分散液(比較例1)と、カチオン系分散剤を用いた分散液(比較例2)とを作製し、分散性を比較した。
第1実験例においては、分散される有機材料の種類を変えて、複数種類の分散液を作製し、各分散液の分散性を比較した。具体的には、分子量20000のノニオン系分散剤を用いた分散液(実施例1)と、アニオン系分散剤を用いた分散液(比較例1)と、カチオン系分散剤を用いた分散液(比較例2)とを作製し、分散性を比較した。
なお、以下において特に記述されていない、各実施例、各比較例の材料、作製方法等については、上述した第1実施形態に開示した内容によった。
(実施例1)
分散剤としてノニオン系分散剤(分子量20000のポリビニルブチラール)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Eを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。無機粉末としてナシコン型固体電解質の組成を有するガラス粉末:Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(以下、無機粉末aとする。)を使用した。
(実施例1)
分散剤としてノニオン系分散剤(分子量20000のポリビニルブチラール)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Eを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。無機粉末としてナシコン型固体電解質の組成を有するガラス粉末:Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(以下、無機粉末aとする。)を使用した。
100重量部の無機粉末aと、150重量部の分散剤溶液Eを秤量し、無機粉末aと分散剤溶液Eを混合し分散液Eを作製した。
(比較例1)
分散剤としてアニオン系分散剤(マリアリム、日油株式会社)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Fを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
(比較例1)
分散剤としてアニオン系分散剤(マリアリム、日油株式会社)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Fを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
100重量部の無機粉末aと、150重量部の分散剤溶液Fを秤量し、無機粉末aと分散剤溶液Fを混合し分散液Fを作製した。
(比較例2)
分散剤としてカチオン系分散剤(アーカード C−50、ライオン株式会社)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Gを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
(比較例2)
分散剤としてカチオン系分散剤(アーカード C−50、ライオン株式会社)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Gを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
100重量部の無機粉末aと、150重量部の分散剤溶液Gを秤量し、無機粉末aと分散剤溶液Gを混合し分散液Gを作製した。
分散剤の極性がスラリー中における無機粉末の分散性に与える影響を確認するため、分散液E〜Gについて、チクソ性の有無により分散性の評価を行った。(表1)分散液の分散性は、ティー・エイ・インスツルメント(株)製 ARES RFSIIIを用いてひずみ制御により0〜200[1/s]の範囲を往復し、チクソ性の有無により評価した。評価は、実施例1を基準に、チクソ性が低い(または、同等である)場合を○とし、チクソ性が高い場合を×とした。
分子量20000のノニオン系を用いた実施例1の分散性は良く、カチオンおよびアニオン系分散剤を使用した比較例1および2はこれより劣った。
無機粉末aは、その表面に酸性と塩基性の活性点を両方有している。アニオン系の分散剤は酸性活性点に、カチオン性の分散剤は塩基性活性点にそれぞれ吸着し、ナシコン型固体電解質の分散剤として機能するが、いずれも酸・塩基性活性点の両方に作用することができない。一方、ノニオン系分散剤は酸・塩基性活性点の両方に作用することができるため、アニオン系またはカチオン系分散剤を用いた際に比べて粒子表面層に形成される吸着層が均一で粒子同士の接触を防ぐ立体障壁作用が高くなる為、ノニオン系分散剤を用いた場合に最も高い分散性が得られたものと推定される。
[第2実験例]
第2実験例においては、分散される有機材料に、いずれもノニオン系分散剤を使用して分散液を作製したが、ノニオン系分散剤の分子量を変化させ、得られた各分散液の分散性について比較した。具体的には、分子量を15000(実施例2)、18000(実施例3)、12000(比較例3)に変化させた。
[第2実験例]
第2実験例においては、分散される有機材料に、いずれもノニオン系分散剤を使用して分散液を作製したが、ノニオン系分散剤の分子量を変化させ、得られた各分散液の分散性について比較した。具体的には、分子量を15000(実施例2)、18000(実施例3)、12000(比較例3)に変化させた。
なお、以下において特に記述されていない、各実施例、各比較例の材料、作製方法等については、上述した第1実施形態に開示した内容によった。
(実施例2)
分散剤としてノニオン系分散剤(分子量15000のポリビニルブチラール)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Hを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
(実施例2)
分散剤としてノニオン系分散剤(分子量15000のポリビニルブチラール)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Hを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
100重量部の無機粉末aと、150重量部の分散剤溶液Hを秤量し、無機粉末aと分散剤溶液Hを混合し分散液Hを作製した。
(実施例3)
分散剤としてノニオン系分散剤(分子量18000のポリビニルブチラール)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Iを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
(実施例3)
分散剤としてノニオン系分散剤(分子量18000のポリビニルブチラール)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Iを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
100重量部の無機粉末aと、150重量部の分散剤溶液Iを秤量し、無機粉末aと分散剤溶液Iを混合し分散液Iを作製した。
(比較例3)
分散剤としてノニオン系分散剤(分子量12000のポリビニルブチラール)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Jを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
(比較例3)
分散剤としてノニオン系分散剤(分子量12000のポリビニルブチラール)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Jを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
100重量部の無機粉末aと、150重量部の分散剤溶液Jを秤量し、無機粉末aと分散剤溶液Jを混合し分散液Jを作製した。
分散剤の分子量がスラリー中における無機粉末の分散性に与える影響を確認するため、分散液H〜Jについて、チクソ性の有無により評価した。評価は、実施例1を基準に、チクソ性が低い(または、同等である)場合を○とし、チクソ性が高い場合を×とした。
比較例3のものは分散性が悪く、実施例2および実施例3のものは分散性がよかった。比較例3のスラリーでは、分散剤が低分子量であるため無機粉末同士が接触、凝集して分散性が低下したためと推定される。一方、分散剤の分子量が15,000以上の分散剤を用いた実施例2および実施例3の場合、粒子同士の接触を防ぐ立体障壁作用が高くなる為、高い分散性が得られたものと推定される。
[第3実験例]
第3実験例においては、分散される有機材料に、いずれも分子量20000のノニオン系分散剤を使用して分散液を作製したが、その含有量を変化させ、得られた各分散液の分散性について比較した(実施例4〜9)。
[第3実験例]
第3実験例においては、分散される有機材料に、いずれも分子量20000のノニオン系分散剤を使用して分散液を作製したが、その含有量を変化させ、得られた各分散液の分散性について比較した(実施例4〜9)。
なお、以下において特に記述されていない、各実施例の材料、作製方法等については、上述した第1実施形態に開示した内容によった。
(実施例4)
分散剤としてノニオン系分散剤(分子量20000のポリビニルブチラール)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Kを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
(実施例4)
分散剤としてノニオン系分散剤(分子量20000のポリビニルブチラール)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Kを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
100重量部の無機粉末aに対し、12重量部の分散剤溶液Kを秤量し、無機粉末aと分散剤溶液Kを混合し分散液K1を作製した。
(実施例5)
実施例4と同様にして分散液K2を作製した。分散液K2では、100重量部の無機粉末aに対し、60重量部の分散剤溶液Kを混合した。
(実施例6)
実施例4と同様にして分散液K3を作製した。分散液K3では100重量部の無機粉末aに対し、120重量部の分散剤溶液Kを混合した。
(実施例7)
実施例4と同様にして分散液K4を作製した。分散液K4では100重量部の無機粉末aに対し、240重量部の分散剤溶液Kを混合した。
(実施例8)
実施例4と同様にして分散液K5を作製した。分散液K5では、100重量部の無機粉末aに対し、420重量部の分散剤溶液Kを混合した。
(実施例9)
実施例4と同様にして分散液K6を作製した。分散液K6では100重量部の無機粉末aに対し、480重量部の分散剤溶液Kを混合した。
(実施例5)
実施例4と同様にして分散液K2を作製した。分散液K2では、100重量部の無機粉末aに対し、60重量部の分散剤溶液Kを混合した。
(実施例6)
実施例4と同様にして分散液K3を作製した。分散液K3では100重量部の無機粉末aに対し、120重量部の分散剤溶液Kを混合した。
(実施例7)
実施例4と同様にして分散液K4を作製した。分散液K4では100重量部の無機粉末aに対し、240重量部の分散剤溶液Kを混合した。
(実施例8)
実施例4と同様にして分散液K5を作製した。分散液K5では、100重量部の無機粉末aに対し、420重量部の分散剤溶液Kを混合した。
(実施例9)
実施例4と同様にして分散液K6を作製した。分散液K6では100重量部の無機粉末aに対し、480重量部の分散剤溶液Kを混合した。
分散剤の含有量がスラリー中における無機粉末の分散性に与える影響を確認するため、分散液K1〜K6について、チクソ性の有無により分散性の評価を行った。
分散液の分散性は、ティー・エイ・インスツルメント(株)製 ARES RFSIIIを用いてひずみ制御により0〜200[1/s]の範囲を往復し、チクソ性の有無により評価した。
表3に、評価結果を示す。
また、分散液K1〜K6を作製したのち24時間常温で放置したあとの分散性についても同様に評価を行った。
表4に、24時間常温放置後の評価結果を示す。
無機粉末100重量部に対しノニオン系分散剤の含有量は5〜35の範囲であることが特に好ましいことを確認した。また、作製した分散液を24時間放置した後の分散液の分散性を評価した。分散性の評価は分散液を24時間常温で放置したのち、実施例1と同様の方法でチクソ性の有無を評価した。分散液K1およびK6は24時間放置した後、若干チクソ性を示した。よって、分散剤の含有量が5〜35重量部の時、より効果的であることがわかる。
[第4実験例]
第4実験例においては、分散される有機材料の種類を変えて、複数種類のスラリーを作製し、それらのスラリーを使用して複数種類のグリーンシートを作製し、それらのグリーンシートを使用して複数種類の各全固体電池を作製し、それらの特性を比較した。具体的には、分子量20000のノニオン系分散剤を用いた場合(実施例10)と、アニオン系分散剤を用いた場合(比較例4)と、カチオン系分散剤を用いた場合(比較例5)を比較した。
第4実験例においては、分散される有機材料の種類を変えて、複数種類のスラリーを作製し、それらのスラリーを使用して複数種類のグリーンシートを作製し、それらのグリーンシートを使用して複数種類の各全固体電池を作製し、それらの特性を比較した。具体的には、分子量20000のノニオン系分散剤を用いた場合(実施例10)と、アニオン系分散剤を用いた場合(比較例4)と、カチオン系分散剤を用いた場合(比較例5)を比較した。
なお、以下において特に記述されていない、各実施例、各比較例の材料、作製方法等については、上述した第1実施形態に開示した内容によった。
(実施例10)
分散剤としてノニオン系分散剤(分子量20000のポリビニルブチラール)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Lを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
(実施例10)
分散剤としてノニオン系分散剤(分子量20000のポリビニルブチラール)を使用し、それを溶媒としてアルコールに溶解させ分散剤溶液Lを作製した。なお、溶媒100重量部に対し分散剤は10重量部とした。
電極活物質には、ナシコン型構造を有するLi3V2(PO4)3を使用し、電極活物質と無機粉末aを重量比で1:1となるように秤量し、分散剤溶液Lと混合し混合溶液を作製した(混合工程1)。
次に、前記混合溶液にバインダーとしてポリビニルアルコールを添加し電極スラリーを作成した(混合工程2)。なお、調合比は、質量比でLVP:バインダー=80:20とした。
また、無機粉末aと分散剤溶液Lを混合し(混合工程1)、ついで、前記バインダーを添加し、さらに混合し固体電解質スラリーを作製した(混合工程2)。なお、調合比は、質量比でLAGP:バインダー=80:20とした。
次に、電極スラリーをドクターブレードを用いてPETフィルム上に30μmの厚みでシート状に成形し、φ10mmに打ち抜き電極グリーンシートを作製した。
また、固体電解質スラリーをドクターブレードを用いてPETフィルム上に50μmの厚みでシート状に成形し、φ10mmに打ち抜き固体電解質グリーンシートを作製した。
次に、前記固体電解質グリーンシートからPETフィルムを剥離した4枚の固体電解質グリーンシートを積層し、60℃にて圧着することで固体電解質層を得た。グリーンシートを複数枚積層した理由は、焼結後の固体電解質層に十分な機械的強度を与えて、後述する工程における固体電解質層のハンドリングを容易にするためであり、複数枚積層することなく固体電解質層としても特に問題はない。
前記電極グリーンシートからPETフィルムを剥離した1枚の電極グリーンシートを、得られた固体電解質層の一方の面に積層し、60℃にて圧着して正極層を形成した。同様の方法で固体電解質層の他方の面に2枚の電極グリーンシートを圧着し、負極層を形成することで、積層体を得た。正極層と負極層で使用する電極グリーンシートの枚数に違いがある理由は、Li3V2(PO4)3を正極活物質として用いた場合と負極活物質として用いた場合のLi3V2(PO4)3グラム当たりの容量が約2倍異なることを考慮したためである。正負極層の厚みは使用する活物質の材料に応じて適宜変更することができる。
次に、得られた積層体を空気雰囲気下、500℃で熱処理し、バインダーの除去を行った。
その後、窒素雰囲気下、750℃で熱処理し、積層体を焼結し、焼結型の全固体電池を作製した。
得られた全固体電池を2032型コイン型電池に封止し、3.0〜4.5Vの電圧範囲で100μA/cm2の電流密度で定電流定電圧充放電を行い、充放電試験を実施した。
封止方法は特に限定されず、焼結した積層体を樹脂で封止する等しても良い。Al2O3等の絶縁性のペーストを積層体周囲に塗布あるいはディップし、これを熱処理して封止する等しても良い。正負極層から効率的に電流を引き出すため、集電体層として正負極層の上にスパッタリング等で金属層等の導電層を形成しても良い。また、正負極層の上に金属ペースト等を塗布あるいはディップし、これを熱処理して導電層を形成する等しても良い。
図2に、実施例10に係る全固体電池の充放電特性を示す。本発明に係る全固体電池は、良好な充放電特性を有することが確認された。
(比較例4)
実施例10と同様にして全固体電池を作製した。ただし、分散剤としてアニオン系分散剤(マリアリム、日油株式会社)を使用し、分散剤溶液として分散剤溶液Mを使用した。その結果、スラリーの分散性が悪く、作製したグリーンシートの表面には凹凸がみられ、良好なグリーンシートを成形することができなかった。さらに、作製した全固体電池の充放電特性を測定したところ、充放電できなかった。
(比較例5)
実施例10と同様にして全固体電池を作製した。ただし、分散剤としてカチオン系分散剤(アーカード C−50、ライオン株式会社)を使用し、分散剤溶液として分散剤溶液Nを使用した。
(比較例4)
実施例10と同様にして全固体電池を作製した。ただし、分散剤としてアニオン系分散剤(マリアリム、日油株式会社)を使用し、分散剤溶液として分散剤溶液Mを使用した。その結果、スラリーの分散性が悪く、作製したグリーンシートの表面には凹凸がみられ、良好なグリーンシートを成形することができなかった。さらに、作製した全固体電池の充放電特性を測定したところ、充放電できなかった。
(比較例5)
実施例10と同様にして全固体電池を作製した。ただし、分散剤としてカチオン系分散剤(アーカード C−50、ライオン株式会社)を使用し、分散剤溶液として分散剤溶液Nを使用した。
その結果、スラリーの分散性が悪く、作製したグリーンシートの表面には凹凸がみられ、良好なグリーンシートを成形することができなかった。さらに、作製した全固体電池の充放電特性を測定したところ、充放電できなかった。
表5に、実施例10、比較例4、比較例5の特性の比較結果を示す。
比較結果からわかるように、スラリーの分散性が悪い場合、グリーンシートの表面に凹凸ができる。さらに、このような表面の平滑性が悪いグリーンシートを複数枚積層して電池積層体を作製し焼結することによって、電池積層体内部での導通が悪くなり充放電不可能となったと考えられる。
[第5実験例]
第5実験例においては、スラリーに占める溶媒の体積比率、およびスラリーの粘度を変化させて、複数種類の固体電解質スラリーを作製し、それらのスラリーを使用して複数種類の固体電解質グリーンシートを作製し、それらのグリーンシートを使用して複数種類の全固体電池を作製し、それらの特性を比較した。特性としては、スラリーの分散性、グリーンシート表面のクラックの有無、全固体電池の放充電特性をみた。
第5実験例においては、スラリーに占める溶媒の体積比率、およびスラリーの粘度を変化させて、複数種類の固体電解質スラリーを作製し、それらのスラリーを使用して複数種類の固体電解質グリーンシートを作製し、それらのグリーンシートを使用して複数種類の全固体電池を作製し、それらの特性を比較した。特性としては、スラリーの分散性、グリーンシート表面のクラックの有無、全固体電池の放充電特性をみた。
なお、以下において特に記述されていない材料、作製方法等については、上述した第1実施形態に開示した内容によった。
無機粉末として、ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(LAGP)の結晶相を有する固体電解質粉末を準備した。
有機材料として、分子量20000のポリビニルブチラール樹脂を準備した。
溶媒としてアルコールを準備した。
まず、固体電解質を作製した。具体的には、Li2CO3、Al2O3、GeO2、H3PO4を乳鉢で混合し、空気雰囲気下、1200℃で5時間溶融した後、溶融物を流水中に滴下し、LAGPの組成を有するガラス粉末を作製した。前記ガラス粉末を乳鉢で粗粉砕した後、600℃で焼成し、乾式ジェットミルで粉砕してLAGPの結晶相を持つ固体電解質粉末を作製した。
次に、固体電解質スラリーを作製した。具体的には、表6に示す割合で、ポリビニルブチラール樹脂とアルコールを混合し有機ビヒクルを作製した。作製した有機ビヒクルと、固体電解質粉末と、玉石とをポリエチレン製ポットに封入してポット架上で回転しスラリー1〜7を作製した。
そして、スラリー1〜7の、固体電解質スラリーに占める溶剤比率を算出した。算出は、次の方法によった。
固体電解質粉末およびポリビニルブチラール樹脂を、それぞれトルエンの入ったメスシリンダー中に静かに沈め、このとき増量したトルエンの体積から、固体電解質粉末、及びポリビニルブチラール樹脂の真密度を算出した。アルコールの真密度は液体比重計を用いて測定した。測定した結果、固体電解質粉末の真密度:2.90g/cc、ポリビニルブチラール樹脂の真密度:1.10g/cc、アルコールの真密度:0.83g/ccであった。表6に示す混合比率と、固体電解質粉末、ポリビニルブチラール樹脂、アルコールの真密度からスラリー1〜7に占める溶媒の体積比率を算出した。
また、スラリー1〜7の粘度を測定した。測定は、次の方法によった。
スラリー1〜7を室温で3時間静置した後、ティー・エイ・インスツルメント(株)製ARES RFSIIIを用い、ひずみ制御によりせん断速度0〜200[1/s]の範囲でせん断応力[Pa]を測定した。なお、スラリー1のみ、静置後に僅かな沈降物を確認したため、粘度測定を行わなかった。
スラリー2〜7の測定結果から、スラリー2〜7を擬塑性流体に近似して、粘度を算出した。近似式には式2を用いた。図3に測定結果と近似曲線を示す。スラリー2〜7は式2の近似式で精度良く近似できた。(決定係数R2>0.998)
次に、固体電解質グリーンシートを作製した。具体的には、ドクターブレードを用いてPETフィルム上にスラリー2〜7を塗工し、40℃に加熱したホットプレート上で乾燥し固体電解質グリーンシートとなるグリーンシート2〜7を作製した。なお、グリーンシート2〜7の厚みが50μmとなるように、スラリー2〜7の塗工厚みを調整した。
次に、固体電解質グリーンシートの表面のクラックの発生状況を観察した。具体的には、図示していないが、グリーンシート2〜7の表面を走査型電子顕微鏡で観察し、クラックの有無を確認した。その結果を表7に示す。
表7に示すように、スラリーに占める溶媒の体積比率が65.3%〜81.4%であり、粘度が0.10〜3.45Pa・sの範囲で、クラックの無いグリーンシートを作製できることが確認された。
また、同様の方法により、表8に示す混合比率でスラリー8および9を作製し、粘度を算出した。また、スラリー8および9を用いてグリーンシート8、9を作製し、クラックの有無を確認した。
さらに、表9にスラリー8および9の体積比率と粘度の計算の結果、およびクラックの有無を示す。
スラリーに占める溶剤の体積比率が65.3%〜85.4%の範囲であっても、粘度が0.1Pa・s以下であれば、グリーンシートにクラックを生じることを確認した。また、スラリーの粘度が0.1〜3.4Pa・sの範囲であっても、スラリーに占める溶媒の体積比率が80%以上であれば、グリーンシートにクラックを生じることを確認した。
以上の結果から、スラリーに占める溶剤の体積比率が65%〜85%であり、かつ、粘度が0.1〜3.4Pa・sの範囲で、クラックの無いグリーンシートを作製できることが確認できた。
続いて、全固体電池を作製し、評価をおこなった。
まず、改めて、固体電解質スラリーを作製した。具体的には、表10に示す割合で、LAGPとポリビニルブチラール樹脂とアルコールを混合し固体電解質スラリーを作製した。
なお、表11に固体電解質スラリーの体積比率と粘度の計算の結果、およびクラックの有無を示す。
次に、電極スラリーを作製した。具体的には、電極活物質として、ナシコン型構造を有するLi3V2(PO4)3を使用した。前記電極活物質:45重量部、LAGP:50重量部、導電剤として炭素材料:5重量部、前記固体電解質スラリー:170重量部を混合し、電極スラリーを作成した。
次に、グリーンシートを作製した。具体的には、電極スラリーをドクターブレードを用いてPETフィルム上に30μmの厚みでシート状に成形し、φ10mmに打ち抜き電極グリーンシートを作製した。また、固体電解質スラリーをドクターブレードを用いてPETフィルム上に50μmの厚みでシート状に成形し、φ10mmに打ち抜き固体電解質グリーンシートを作製した。
次に、電池積層体を作製した。具体的には、前記固体電解質グリーンシートからPETフィルムを剥離した4枚の固体電解質グリーンシートを積層し、60℃にて圧着することで固体電解質層を得た。続いて、前記電極グリーンシートからPETフィルムを剥離した1枚の電極グリーンシートを、得られた固体電解質層の一方の面に積層し、60℃にて圧着して正極層を形成した。同様の方法で固体電解質層の他方の面に2枚の電極グリーンシートを圧着し、負極層を形成することで、電池積層体を得た。正極層と負極層で使用する電極グリーンシートの枚数に違いがある理由は、Li3V2(PO4)3を正極活物質として用いた場合と負極活物質として用いた場合のLi3V2(PO4)3グラム当たりの容量が約2倍異なることを考慮したためである。正負極層の厚みは使用する電極活物質の材料に応じて適宜変更することができる。
次に、全固体電池を作製した。具体的には、得られた電池積層体を空気雰囲気下、500℃で熱処理し、有機材料の除去を行った。その後、窒素雰囲気下、750℃で熱処理し、電池積層体を焼結し、全固体電池を得た。
得られた全固体電池を2032型コイン型電池に封止し、3.0〜4.5Vの電圧範囲で100μA/cm2の電流密度で定電流定電圧充放電を行い、充放電試験を実施した。
本実験例にかかる全固体電池は、クラックが発生せず、良好な充放電特性を有することが確認された。
[第6実験例]
第6実験例においては、誘電率の異なる複数の各溶媒にリチウムを含有する固体電解質を分散させ、固体電解質から溶媒へのリチウムの溶出量を調べた。そして、それらの結果から、溶媒の誘電率とリチウムの溶出量の関係を調べた。
[第6実験例]
第6実験例においては、誘電率の異なる複数の各溶媒にリチウムを含有する固体電解質を分散させ、固体電解質から溶媒へのリチウムの溶出量を調べた。そして、それらの結果から、溶媒の誘電率とリチウムの溶出量の関係を調べた。
まず、誘電率の異なる複数の溶媒を準備した。
また、固体電解質として、ナシコン型固体電解質Li1.2Al0.2Ti1.8(PO4)3(LATP)を準備した。
そして、各溶媒150重量部と固体電解質100重量部を、玉石と共にポリエチレン製のポットに封入し、150rpm、6時間、ポット架上で回転した後、室温に静置して上澄み液を抽出し、各溶剤に溶解したリチウムイオン濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で測定した。
表12に溶媒の誘電率(カッコ内の数値)とリチウムの溶出量を示す。
表に示すように、誘電率が17以上の溶媒では、リチウムの溶出量が2.0ppm以上と多いことがわかった。
[第7実験例]
第7実験例においては、誘電率6以下の溶媒Aと、誘電率17以上の溶媒Bを、混合比率を変化させて混合し、各混合溶媒a〜jを作製し、それらの各溶媒にリチウムを含有する固体電解質を分散させ、固体電解質から溶媒へのリチウムの溶出量を調べた。ただし、混合溶媒jは溶媒Bのみとした。そして、それらの結果から、溶媒Aと溶媒Bのそれぞれの誘電率、および溶媒Aと溶媒Bの混合比率と、リチウムの溶出量の関係を調べた。なお、特に明記しない場合は、固体電解質、溶出量の測定方法等については、第6実験例と同様にした。
[第7実験例]
第7実験例においては、誘電率6以下の溶媒Aと、誘電率17以上の溶媒Bを、混合比率を変化させて混合し、各混合溶媒a〜jを作製し、それらの各溶媒にリチウムを含有する固体電解質を分散させ、固体電解質から溶媒へのリチウムの溶出量を調べた。ただし、混合溶媒jは溶媒Bのみとした。そして、それらの結果から、溶媒Aと溶媒Bのそれぞれの誘電率、および溶媒Aと溶媒Bの混合比率と、リチウムの溶出量の関係を調べた。なお、特に明記しない場合は、固体電解質、溶出量の測定方法等については、第6実験例と同様にした。
まず、誘電率が6以下の溶媒Aと、誘電率が17以上の溶媒Bを、表13に示す体積比で混合し各混合溶媒a〜jを作製した。
そして、各混合溶媒a〜j150重量部と固体電解質100重量部を、玉石と共にポリエチレン製のポットに封入し、150rpm、6時間、ポット架上で回転した後、室温に静置して上澄み液を抽出し、各溶剤に溶解したリチウムイオン濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で測定した。
表13に各混合溶媒a〜jのリチウム溶出量を示す。
溶媒Aの含有量が、全溶媒に占める体積比率で1%である混合溶媒eにおいては、リチウムの溶出量が2.5ppm以上となったが、それ以外の混合溶媒においては、2.5ppm未満と良好であった。この結果から、誘電率が6以下の非極性、あるいは低極性溶剤と、誘電率が17以上の極性溶剤を混合した混合溶媒では、誘電率が6以下の非極性、あるいは低極性溶剤の混合比率を、全溶媒に占める体積比率で1%よりも多くすれば、固体電解質粉末からのリチウム溶出を抑制できることが確認できた。
[第8実験例]
第8実験例においては、スラリーに含有させる無機粉末の体積平均粒径を変化させて、複数種類の固体電解質粉末P1〜P8を作製し、それらの固体電解質粉末を使用して固体電解質スラリーP1〜P8を作製し、それらの分散性を比較した。
[第8実験例]
第8実験例においては、スラリーに含有させる無機粉末の体積平均粒径を変化させて、複数種類の固体電解質粉末P1〜P8を作製し、それらの固体電解質粉末を使用して固体電解質スラリーP1〜P8を作製し、それらの分散性を比較した。
なお、以下において特に記述されていない材料、作製方法等については、上述した第1実施形態に開示した内容によった。
まず、固体電解質を作製した。具体的には、Li2CO3、Al2O3、GeO2、H3PO4を乳鉢で混合し、空気雰囲気下で1200℃で5時間溶融した後、溶融物を流水中に滴下し、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3の組成を有するガラス粉末を作製した。得られたガラス粉末を乳鉢で粗粉砕した後、600℃で焼成してナシコン構造を有するLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(LAGP)の結晶相を有するリチウム含有リン酸化合物を得た。前記リチウム含有リン酸化合物を乾式ジェットミルで粉砕し、体積平均粒径、90体積%の平均粒径、99体積%の平均粒径が異なる固体電解質粉末P1〜P7を作製した。
また、これとは別に、Li2CO3、V2O5、H3PO4を乳鉢で混合し、空気雰囲気下、400℃で10時間焼成した後、導電剤となる炭素粉末を混合し、Li3V2(PO4)3(LVP)の組成を有するガラス粉末を作製した。得られたガラス粉末を乳鉢で粉砕した後、アルゴン雰囲気下で900℃、10時間焼成し、乾式ジェットミルで粉砕して、ナシコン構造を有するLVPの結晶相を持つ炭素−活物質複合体粉末を得た。なお、炭素粉末の添加量は、LAGP粉末90重量部に対し、炭素粉末10重量部とした。得られた炭素−活物質複合体粉末と固体電解質粉末Dを1:1の重量比で混合し、合材粉末P8を得た。
表14に固体電解質粉末P1〜P7および合材粉末P8の体積平均粒径、90体積%の平均粒径、99体積%の平均粒径を示す。なお、固体電解質粉末の粒度分布、体積平均粒径、90体積%の平均粒径、99体積%の平均粒径は、レーザー回折散乱型粒度分布測定装置により測定した。(マイクロトラックHRA:日機装(株)製)
図4に固体電解質粉末P1、図5に固体電解質粉末P2、図6に固体電解質粉末P3、図7に固体電解質粉末P4、図8に固体電解質粉末P5、図9に固体電解質粉末P6、図10に固体電解質粉末P7、図11に合材粉末P8の粒度分布曲線(実線)と累積粒度分布曲線(破線)をそれぞれ示す。
そして、得られた固体電解質粉末P1〜P7、合材粉末P8を用いて以下の様にスラリーを作製した。
まず、100重量部のアルコール溶媒に、20重量部のポリビニルブチラール樹脂を溶解して有機ビヒクルを作製した。なお、ポリビニルブチラール樹脂は、分子量20000のものを使用した。
次に、100重量部の固体電解質粉末P1〜P7または合材粉末P8と、150重量部の有機ビヒクルとを混合、撹拌しスラリーP1〜P8を作製した。
そして、スラリーP1〜P8の分散性を、ティー・エイ・インスツルメント(株)製 ARES RFSIIIを用いてひずみ制御により0〜200[1/s]の範囲を往復し、チクソ性の有無を調べて評価した。なお、測定は、スラリー作製直後と、スラリーを室温で24時間静置した後の2回行った。
表15にスラリーP1〜P8の分散性の評価結果を示す。評価は、以下に示すスラリーGを基準に、チクソ性が低い(または、確認されない)場合に○を、チクソ性が高い場合を×とした。また、スラリー製造に問題のない程度にチクソ性がやや高い場合を△とした。
これらの結果から、固体電解質粉末の体積平均粒径が5μm以下、90体積%の粒径が20μm以下のスラリーにおいて、スラリー作製直後の分散性が高いことが確認された。更に固体電解質粉末の99体積%の粒径が20μm以下のスラリーにおいて、24時間静置後の分散性が高いことが確認された。スラリーP8のように、電極活物質粉末と固体電解質粉末を含むスラリーにおいても、混合粉末の体積平均粒径が5μm以下、99体積%の粒径が20μm以下にすることで、分散性の高いスラリーを作製できることが確認できた。
[第9実験例]
第9実験例においては、スラリーに含有させる有機材料に、高分子材料Cおよび高分子材料Dを使用し、高分子材料Cを高分子材料Dよりも先に混合し、高分子材料Dの平均重合度が高分子材料Cの平均重合度より高く、溶解性パラメータSP値の差が5.0以下となるようにしてスラリーQ1〜Q13を作製し、それらの分散性を比較した。
[第9実験例]
第9実験例においては、スラリーに含有させる有機材料に、高分子材料Cおよび高分子材料Dを使用し、高分子材料Cを高分子材料Dよりも先に混合し、高分子材料Dの平均重合度が高分子材料Cの平均重合度より高く、溶解性パラメータSP値の差が5.0以下となるようにしてスラリーQ1〜Q13を作製し、それらの分散性を比較した。
なお、以下において特に記述されていない材料、作製方法等については、上述した第3実施形態に開示した内容によった。
高分子材料Cおよび高分子材料Dとして、基本構造が化学式1で表されるポリビニルアセタール樹脂を用いた。なお、化学式1中のRはプロピル基(C3H7−)である。高分子材料CおよびDの各構造単位の繰り返し単位X、Y、Zの値を表16に示す。なお、高分子材料C、あるいは高分子材料Dとして用いたポリビニルアセタール樹脂の重合度と分子量は、表17の通りである。
まず、平均重合度n1の高分子材料C:5重量部をアルコール溶媒:100重量部と混合し有機ビヒクルCを作製した。平均重合度n2の高分子材料D:20重量部をアルコール溶媒:100重量部と混合し有機ビヒクルDを作製した。
無機粉末として、ナシコン型構造のリチウム含有リン酸化合物Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(以下、LAGPという):100重量部に対し、有機ビヒクルC:15重量部を混合し混合液を作製した。次に、無機粉末(LAGP):100重量部に対し、有機ビヒクルD:100重量部を秤量した。前記混合液と有機ビヒクルCを12時間混合した後、有機ビヒクルDを加えて12時間混合し固体電解質スラリーを作製した。なお、平均重合度は、高分子材料をテトラヒドロフランなどの溶媒に溶解させ、GPC(Gel Permeation Chromatograohy)を用いて数平均分子量と重量平均分子量を測定した。得られた数平均分子量と重量平均分子量および、H1−NMR測定により求めたブチラール化度から重合度を計算できる。
平均重合度n1が100の高分子材料C、平均重合度200の高分子材料Dを用いて、上述した方法で固体電解質スラリーQ1を作製した。
平均重合度n1が200の高分子材料C、平均重合度400の高分子材料Dを用いて、上述した方法で固体電解質スラリーQ2を作製した。
平均重合度n1が400の高分子材料C、平均重合度600の高分子材料Dを用いて、上述した方法で固体電解質スラリーQ3を作製した。
平均重合度n1が600の高分子材料C、平均重合度800の高分子材料Dを用いて、上述した方法で固体電解質スラリーQ4を作製した。
平均重合度n1が400の高分子材料C、平均重合度1000の高分子材料Dを用いて、上述した方法で固体電解質スラリーQ5を作製した。
平均重合度n1が400の高分子材料C、平均重合度1700の高分子材料Dを用いて、上述した方法で固体電解質スラリーQ6を作製した。
平均重合度n1が1700の高分子材料C、平均重合度400の高分子材料Dを用いて、上述した方法で固体電解質スラリーQ7を作製した。
上記スラリーQ1〜Q7で使用した高分子材料CおよびDをそれぞれSP値が既知の溶媒に混合し、撹拌した時の高分子材料の溶解性からSP値を求めた。SP値が異なる溶媒を用意し、各溶媒に高分子材料を混合した。高分子が溶解した溶媒のSP値の最大値を高分子材料のSPと仮定した。こうして求めた高分子材料CおよびDのSP値の差を算出し、高分子材料CおよびDのSP値の差が5.0以下であるかを確認した。その結果を表18に示す。
次に、スラリーQ1〜Q7の固体電解質スラリー分散性を、ティー・エイ・インスツルメント(株)製 ARES RFSIIIを用いてひずみ制御により0〜200[1/s]の範囲を往復し、チクソ性の有無を調べて評価した。その結果を、表19に示す。
スラリーQ1〜Q6の分散性は良好であったが、スラリーQ7はチクソ性を示し分散性が悪かった。スラリーQ7は有機ビヒクルCと無機粉末の混合過程において凝集がおこり、その後、有機ビヒクルDを混合しても凝集したままであった。高分子材料Dよりも高分子材料Cの方が重合度が高く、凝集したと考えられる。
次に、高分子材料Cとして平均重合度n1が500のポリメタクリル酸エステル系のアクリル樹脂を用い、高分子材料Dとして、平均重合度n2が1000のポリメタクリル酸エステル系のアクリル樹脂を用いて実験をおこなった。なお、この場合の高分子材料Cの分子量は22000、高分子材料Dの分子量は44000である。
上述した方法により、高分子材料CとDのSP値を測定したところ、いずれも9.3であった。ゆえに、SP値の差は0である。
上述した方法により、無機粉末としてLAGPを用いて固体電解質スラリーQ8を作製した。スラリーQ8の分散性を上記の方法で評価したところ、チクソ性がなく、分散性の高いスラリーを得られたことを確認した。即ち、ポリビニルアセタール樹脂とは別の樹脂を用いた場合においても、高分子材料C、DのSP値が5.0以下の材料を使用することで、チクソ性がなく分散性の高いスラリーを得ることを確認した。
高分子材料C、Dとして、上記のポリビニルアセタール樹脂を用い、無機粉末としてLAGPを用いた。ただし、高分子材料Cの平均重合度n1は400であり、高分子材料Dの平均重合度n2は800である。
上述した方法により、LAGP:100重量部に対し、高分子材料Cの含有量が0.05重量部となるように固体電解質スラリーQ8を作製した。なお、無機粉末100重量部に対し、有機ビヒクルDを100重量部添加した。
スラリーQ8と同様の方法により、固体電解質スラリーQ9を作製した。ただし、LAGP:100重量部に対し、高分子材料Cの含有量が0.1重量部となるようにした。
スラリーQ8と同様の方法により、固体電解質スラリーQ10を作製した。ただし、LAGP:100重量部に対し、高分子材料Cの含有量が1重量部となるようにした。
スラリーQ8と同様の方法により、固体電解質スラリーQ11を作製した。ただし、LAGP:100重量部に対し、高分子材料Cの含有量が10重量部となるようにした。
スラリーQ8と同様の方法により、固体電解質スラリーQ12を作製した。ただし、LAGP:100重量部に対し、高分子材料Cの含有量が20重量部となるようにした。
スラリーQ8と同様の方法により、固体電解質スラリーQ13を作製した。ただし、LAGP:100重量部に対し、高分子材料Cの含有量が30重量部となるようにした。
高分子材料Cの含有量がスラリー中における無機粉末の分散性に与える影響を確認するため、有機ビヒクルDを混合する前の混合液と、有機ビヒクルDを混合した後のスラリーの両方について、上述した方法により、チクソ性の有無を調べて分散性の評価を行った。表20から明らかなように、無機粉末100重量部に対し有機材料Cの添加量は0.1〜20の範囲であることが好ましい。
本発明の全固体電池用スラリーは、全固体電池用スラリーの分散性を高め、表面が平滑な全固体電池用グリーンシートを作製することができる。従って、電池特性に優れた全固体電池の製造に有用である。
10:積層体
11:負極層
12:固体電解質層
13:正極層
11:負極層
12:固体電解質層
13:正極層
Claims (25)
- 少なくとも、無機材料と、有機材料と、溶媒とを含有する全固体電池用スラリーであって、
前記有機材料は、少なくとも15000以上の分子量を有するノニオン系分散剤を含有する、全固体電池用スラリー。 - 前記ノニオン系分散剤が、分子内にエーテル結合、エステル結合または側鎖に水酸基を有する、請求項1に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記ノニオン系分散剤が、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1または2に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記無機材料が、電極活物質、固体電解質前駆体、固体電解質、導電剤から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記無機材料が、ナシコン型構造を有する化合物を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記ノニオン系分散剤の含有量が、前記無機材料100重量部に対し、0.1〜35重量部である、請求項1〜5のいずれか1項に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記溶媒の含有量が、前記無機材料100重量部に対し、30〜1000重量部である、請求項1〜6のいずれか1項に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記全固体電池用スラリーに占める前記溶媒の体積比率が65%以上85%以下であり、前記全固体電池用スラリーの粘度が0.1Pa・s以上3.4Pa・s以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記溶媒が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール。1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールなどのアルコール類、n−ヘキサン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、トルエン、酢酸エチレンから選択される少なくとも1種を含む、請求項8に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記溶媒が誘電率6以下の溶媒Aと、前記溶媒Aと可溶で誘電率が17以上の溶媒Bを含有し、
前記溶媒Aを全溶媒に対して体積比率で1%よりも多く含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載された全固体電池用スラリー。 - 前記溶媒Aが、n−ヘキサン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、トルエン、酢酸エチレンから選択される少なくとも1種を含む、請求項10に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記溶媒Bが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール。1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールから選択される少なくとも1種を含む、請求項10または11に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記溶媒Aの体積比率が、全溶媒に対して10%以上である、請求項10〜12のいずれか1項に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記無機材料の体積平均粒径が0.5μm以上5μm以下であり、かつ、90体積%の平均粒径が0.5μm以上20μm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記無機材料の99体積%の平均粒径が0.5μm以上20μm以下である、請求項14に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記有機材料は、前記ノニオン系分散剤である高分子材料C、および高分子材料Dを含有し、
前記高分子材料Cが前記高分子材料Dよりも先に混合され、
前記高分子材料Dの平均重合度が前記高分子材料Cの平均重合度より高く、溶解性パラメータSP値の差が5.0以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載された全固体電池用スラリー。 - 前記高分子材料Cの平均重合度が100以上400以下である、請求項16に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記高分子材料Cと前記高分子材料Dとが同一の構造単位を含む、請求項16または17に記載された全固体電池用スラリー。
- 前記高分子材料Cの含有量が前記無機材料100重量部に対し、0.1〜20重量部である、請求項16〜18のいずれか1項に記載された全固体電池用スラリー。
- 請求項1〜19に記載された全固体電池用スラリーを用いた全固体電池用グリーンシート。
- 請求項20に記載された全固体電池用グリーンシートを用いて正極層、負極層、固体電解質層を作製し、正極層と負極層を固体電解質層を介して積層一体化させ、焼成して作製した全固体電池。
- 有機材料と、無機材料と、溶媒とを準備する工程と、
有機材料と無機材料と溶媒とを混合しスラリーを得るスラリー作製工程とを有する全固体電池用スラリーの製造方法であって、
前記有機材料は、少なくとも15000以上の分子量を有するノニオン系分散剤を含む、全固体電池用スラリーの製造方法。 - 有機材料と、無機材料と、溶媒とを準備する工程と、
有機材料と無機材料と溶媒とを混合し混合物を得る混合工程と、
前記混合工程で得られた前記混合物と他の有機材料を混合しスラリーを得るスラリー作製工程とを有する全固体電池用スラリーの製造方法であって、
前記有機材料は、少なくとも15000以上の分子量を有するノニオン系分散剤を含み、前記他の有機材料は、少なくともバインダーを含む、全固体電池用スラリーの製造方法。 - 前記有機材料が、前記ノニオン系分散剤である高分子材料C、および高分子材料Dを含有し、
前記混合工程で混合される前記有機材料が前記高分子材料Cであり、
前記スラリー作製工程で混合される前記他の有機材料が前記高分子材料Dであり、
前記高分子材料Dの平均重合度が前記高分子材料Cの平均重合度より高く、溶解性パラメータSP値の差が5.0以下である、請求項23に記載された全固体電池用スラリーの製造方法。 - 有機材料と、無機材料と、溶媒とを準備する工程と、
無機材料と溶媒とを混合し混合物を得る混合工程と、
有機材料と溶媒とを混合し有機ビヒクルを作製する有機ビヒクル作製工程と、
前記混合物と前記有機ビヒクルとを混合する第2の混合工程と、を有する全固体電池用スラリーの製造方法であって、
前記有機材料は、少なくとも15000以上の分子量を有するノニオン系分散剤を含む、全固体電池用スラリーの製造方法。
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