JPWO2011099243A1 - サッカロマイセス・セレビシエ由来の特定のプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いる目的遺伝子の発現方法 - Google Patents

サッカロマイセス・セレビシエ由来の特定のプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いる目的遺伝子の発現方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、サッカロマイセス・セレビシエ由来の特定のプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いる、目的遺伝子の発現方法、及び、目的遺伝子産物の製造方法を提供するものである。サッカロマイセス・セレビシエ由来の特定のプロモーター(TDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター)を、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いることを特徴とする。

Description

本発明は、目的遺伝子の発現方法、及び、目的遺伝子産物の製造方法に関する。より詳細には、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来の特定のプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌス(Kluyveromyces marxianus)において用いる、目的遺伝子の発現方法、及び、目的遺伝子産物の製造方法に関する。
近年の遺伝子組換え技術の進展とともに、様々な有用なタンパク質の生産を、大腸菌等の微生物を用いて行うことが可能となった。しかし、真核生物由来の異種タンパク質遺伝子を、大腸菌を宿主として発現させると、正常なプロセシングや糖鎖の付加などの翻訳後の正常な修飾が行われないという問題があることが知られている。そのため、真核生物である酵母が、宿主として比較的利用されている。宿主酵母としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ、ピキア・パストリス、ピキア・メタノリカ、シゾサッカロマイセス・ポンベ、ハンゼヌラ・アノマーラ、クリベロマイセス・ラクティスなどが知られている(例えば特許文献1参照)。
異種タンパク質遺伝子を宿主にて発現させる際には、宿主内で機能するプロモーターの制御下にその異種タンパク質遺伝子を作動可能に配置した組換えポリヌクレオチドを宿主内に導入し、その形質転換体内においてその異種タンパク質を発現させる。プロモーターの転写活性は、異種タンパク質の発現効率を大きく左右する。そのため、転写活性の高いプロモーターが一般的に用いられている。例えば、宿主がサッカロマイセス・セレビシエである場合は、サッカロマイセス・セレビシエ由来の高転写活性プロモーターであるPGK1プロモーター、TEF1プロモーター、ADH1プロモーター、TPI1プロモーター、PYK1プロモーター、ENO1プロモーター、PMA1プロモーター、ADH1プロモーター、TDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーターなどが用いられることがあった。
ところで、クルイベロマイセス・マルシアヌスは、耐熱性酵母である(例えば、非特許文献1及び2)。通常の酵母でエタノール発酵をする場合、発酵熱によって発酵液の温度が上昇していくため、エタノール発酵を持続させるには発酵液を冷却しなければならなかった。そのため、エタノール発酵を工業的に行うには、大規模な冷却設備と、その冷却に要する多大なエネルギーコストが不可欠となる。しかし、クルイベロマイセス・マルシアヌスは48℃もの高温でも増殖が可能であるため(非特許文献3及び4)、そのような冷却設備やエネルギーコストを必要とせずに、効率的なエタノール発酵が可能となる。
一般的に、プロモーターは、そのプロモーターが由来する生物種の細胞内において最も高いプロモーター活性を示し、他の生物種においては、プロモーター活性そのものを示さないか、あるいは、低下したプロモーター活性を示す。
特開2008−29239号公報
Bioresource Technology (2007) 98, 3367-3374 Appl. Microbiol. Biotechnol. (2008) 79, 339-354 Applied and Environmental Microbiology (2008) 74, 7514-7521 Appl. Microbiol. Biotechnol. (2010) 85, 861-867
本発明は、サッカロマイセス・セレビシエ由来の特定のプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いる、目的遺伝子の発現方法、及び、目的遺伝子産物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、サッカロマイセス・セレビシエ由来の特定のプロモーター(TDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター)を、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いると、意外なことに、元来の宿主であるサッカロマイセス・セレビシエにおいて用いた場合よりも目的遺伝子が高発現することを見い出した。
さらに、サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーターは、サッカロマイセス・セレビシエにおいてはガラクトース誘導的な発現を全く示さないことが知られているが、本発明者らは、このプロモーターをクルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いると、非常に意外なことに、ガラクトース誘導的な発現を示すことを見い出した。
本発明者らは、以上の知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(1)サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いることを特徴とする目的遺伝子の発現方法や、(2)以下の(A)記載の組換えポリヌクレオチド、又は、以下の(B)記載のベクターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られる形質転換体を培養する工程を含むことを特徴とする上記(1)に記載の目的遺伝子の発現方法:(A)サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーターと、その制御下に作動可能に配置された目的遺伝子とを含む組換えポリヌクレオチド:(B)上記(A)に記載の組換えポリヌクレオチドを含むベクター:や、(3)プロモーターとしてサッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーターを用い、かつ、形質転換体の培養をガラクトース存在下で行うことを特徴とする上記(2)に記載の目的遺伝子の発現方法に関する。
また、本発明は、(4)サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いることを特徴とする目的遺伝子産物の製造方法や、(5)以下の(A)記載の組換えポリヌクレオチド、又は、以下の(B)記載のベクターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られる形質転換体を培養する工程(P)と、培養して得られた形質転換体から目的遺伝子産物を回収する工程(Q)とを含むことを特徴とする上記(4)に記載の目的遺伝子産物の製造方法:(A)サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーターと、その制御下に作動可能に配置された目的遺伝子とを含む組換えポリヌクレオチド:(B)上記(A)に記載の組換えポリヌクレオチドを含むベクターや、(6)プロモーターとしてサッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーターを用い、かつ、形質転換体の培養をガラクトース存在下で行うことを特徴とする上記(5)に記載の目的遺伝子産物の製造方法や、(7)サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いることを特徴とする目的遺伝子の発現効率を上昇させる方法に関する。
本発明の目的遺伝子の発現方法によると、目的遺伝子を高発現させることができる。また、本発明の目的遺伝子産物の製造方法によると、目的遺伝子産物を高効率で製造することができる。
ScTDH3プロモーターの発現解析試験1(グルコース培地)の結果(相対発現量(RLU/μl))を示す図である。 ScTDH3プロモーターの発現解析試験1(グルコース培地)の結果(相対発現量(RLU/OD・μl))を示す図である。 ScTDH3プロモーターの発現解析試験2(ガラクトース培地)の結果(相対発現量(RLU/μl))を示す図である。 ScTDH3プロモーターの発現解析試験2(ガラクトース培地)の結果(相対発現量(RLU/OD・μl))を示す図である。 ScTDH3プロモーターの発現解析試験3(様々な糖培地)の結果(相対発現量(RLU/μl))を示す図である。 ScTDH3プロモーターの発現解析試験3(様々な糖培地)の結果(相対発現量(RLU/OD・μl))を示す図である。 サッカロマイセス・セレビシエ由来の様々なプロモーター(ScTDH3プロモーター、ScILV5プロモーター、ScCWP2プロモーター)の発現解析試験の結果(相対発現量(RLU/OD・μl))を示す図である。
1.本発明の目的遺伝子の発現方法
本発明の目的遺伝子の発現方法は、サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーター(以下、まとめて「本発明におけるプロモーター」とも表示する。)を、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いることを特徴とする。本発明におけるプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いると、目的遺伝子を高発現させることができる。
本発明の目的遺伝子の発現方法のより好適な態様としては、以下の(A)記載の組換えポリヌクレオチド、又は、以下の(B)記載のベクターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られる形質転換体を培養する工程を含む。
(A)サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーターと、その制御下に作動可能に配置された目的遺伝子とを含む組換えポリヌクレオチド:
(B)上記(A)に記載の組換えポリヌクレオチドを含むベクター:
上記(A)における、サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーターとしては、配列番号1に示されるポリヌクレオチドを好適に例示することができ、サッカロマイセス・セレビシエ由来のILV5プロモーターとしては、配列番号2に示されるポリヌクレオチドを好適に例示することができ、サッカロマイセス・セレビシエ由来のCWP2プロモーターとしては、配列番号3に示されるポリヌクレオチドを好適に例示することができる。
上記(A)におけるプロモーターの変異体とは、配列番号1〜3のいずれかに示されるポリヌクレオチドの変異体であって、かつ、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいてプロモーター活性を有するポリヌクレオチドを意味する。かかるプロモーターの変異体としては、
(a)配列番号1〜3のいずれかに示されるポリヌクレオチドに対して80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の同一性を有し、かつ、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいてプロモーター活性を有するポリヌクレオチド:
(b)配列番号1〜3のいずれかに示されるポリヌクレオチドにおいて、1若しくは2個以上のヌクレオチドが欠失、置換若しくは付加されたポリヌクレオチドからなり、かつ、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいてプロモーター活性を有するポリヌクレオチド:
(c)配列番号1〜3のいずれかに示されるポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいてプロモーター活性を有するポリヌクレオチド:
上記(b)における「1若しくは2個以上のヌクレオチドが欠失、置換若しくは付加されたポリヌクレオチド」とは、例えば1〜20個、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個の任意の数のヌクレオチドが欠失、置換若しくは付加されたポリヌクレオチドを意味する。
上記(c)における「ストリンジェントな条件下」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、具体的には、80%以上、好ましくは85%以上の同一性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより同一性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である65℃、1×SSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)、0.1%SDS、又は0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件を挙げることができる。ハイブリダイゼーションは、モレキュラークローニング第2版等に記載されている方法に準じて行うことができる。上記(c)における「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」としては、プローブとして使用するポリヌクレオチドと一定以上の同一性を有するポリヌクレオチドが挙げることができ、例えば80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の同一性を有するポリヌクレオチドを好適に例示することができる。
上記の配列番号1〜3のいずれかに示されるポリヌクレオチドは、例えば、鋳型としてサッカロマイセス・セレビシエのゲノムDNAを用い、該ヌクレオチド配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドをプライマーに用いるPCR反応によって、または該ヌクレオチド配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドをプローブとして用いるハイブリダイゼーションによっても得ることができる。なお、染色体DNAは、常法(例えば、特開2008−237024号公報)に開示された方法により取得できる。
オリゴヌクレオチドの合成は、例えば、市販されている種々のDNA合成機を用いて常法に従って合成できる。また、PCR反応は、アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems)製のサーマルサイクラーGene AmpPCRSystem 2400を用い、TaqDNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)やKOD−Plus−(東洋紡績社製)などを使用して常法に従って行なうことができる。
また、前述のポリヌクレオチドの変異体は、化学合成、遺伝子工学的手法、突然変異誘発などの当業者に既知の任意の方法により作製することもできる。具体的には、配列番号1〜3のいずれかに示されるポリヌクレオチドに対し、変異原となる薬剤と接触作用させる方法、紫外線を照射する方法、遺伝子工学的な手法等を用いて、これらポリヌクレオチドに変異を導入することにより、ポリヌクレオチドの変異体を取得することができる。遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の変異を導入できる手法であることから有用であり、モレキュラークローニング第2版、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38,John Wiley & Sons (1987-1997)等に記載の方法に準じて行うことができる。
本発明におけるプロモーターは、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいてプロモーター活性を有する。あるポリヌクレオチドがクルイベロマイセス・マルシアヌスにおいてプロモーター活性を有するかどうかは、例えばそのポリヌクレオチドの下流にレポーター遺伝子を作動可能に連結した組換えポリヌクレオチドを作製する工程、その組換えポリヌクレオチドをクルイベロマイセス・マルシアヌスに形質転換して形質転換酵母を得る工程、その形質転換酵母におけるそのレポーター遺伝子の発現の程度を測定する工程を含む周知のレポーターアッセイ等により容易に確認することができる。
本発明の目的遺伝子の発現方法における「高発現」や、後述の本発明の目的遺伝子産物の製造方法における「高効率」には、本発明におけるプロモーターの下流に、分泌型ルシフェラーゼCLuc遺伝子を作動可能に連結した組換えポリヌクレオチドをクルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られた形質転換体を、YPD液体培地(1質量%酵母エキス、2質量%ポリペプトン、2質量%グルコース)にて28℃、48時間振盪培養したときの培養液中の分泌型ルシフェラーゼCLucの相対発現量(RLU/OD・μl)が、10000以上、好ましくは12000以上、より好ましくは14000以上、さらに好ましくは16000以上、より好ましくは18000以上であることを好適に含む。また、上記の「高発現」や、「高効率」は、上記培養液中の分泌型ルシフェラーゼCLucの相対発現量(RLU/μl)が、30万以上、好ましくは45万以上、より好ましくは60万以上、さらに好ましくは75万以上であることも、好適に含む。
本発明の目的遺伝子の発現方法おける「高発現」や、後述の本発明の目的遺伝子産物の製造方法における「高効率」の他の例としては、本発明におけるプロモーターの下流に、分泌型ルシフェラーゼCLuc遺伝子を作動可能に連結した組換えポリヌクレオチドをクルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られた形質転換体を、YPD液体培地(1質量%酵母エキス、2質量%ポリペプトン、2質量%グルコース)にて28℃、48時間振盪培養したときの培養液中の分泌型ルシフェラーゼCLucの相対発現量(RLU/OD・μl)が、上記組換えポリヌクレオチドをサッカロマイセス・セレビシエに導入して得られた形質転換体を、YPD液体培地(1質量%酵母エキス、2質量%ポリペプトン、2質量%グルコース)にて28℃、48時間振盪培養したときの培養液中の分泌型ルシフェラーゼCLucの相対発現量(RLU/OD・μl)に対して、割合として、3倍以上、好ましくは4倍以上、より好ましくは5倍以上、さらに好ましくは7倍以上、より好ましくは15倍以上、さらに好ましくは25倍以上、さらに好ましくは50倍以上であることを好適に含む。
本発明の目的遺伝子の発現方法おける「高発現」や、後述の本発明の目的遺伝子産物の製造方法における「高効率」のさらなる他の例としては、本発明におけるプロモーターの下流に、分泌型ルシフェラーゼCLuc遺伝子を作動可能に連結した組換えポリヌクレオチドをクルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られた形質転換体を、YPGal液体培地(1質量%酵母エキス、2質量%ポリペプトン、2質量%ガラクトース)にて28℃、48時間振盪培養したときの培養液中の分泌型ルシフェラーゼCLucの相対発現量(RLU/OD・μl)が、上記組換えポリヌクレオチドをクルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られた形質転換体を、YPD液体培地(1質量%酵母エキス、2質量%ポリペプトン、2質量%グルコース)にて28℃、48時間振盪培養したときの培養液中の分泌型ルシフェラーゼCLucの相対発現量(RLU/OD・μl)に対して、割合として、3倍以上、好ましくは4倍以上であることを好適に含む。
本発明におけるポリヌクレオチドとしては、相補的な二本鎖ポリヌクレオチドを好適に例示することができ、中でも相補的な二本鎖DNAを特に好適に例示することができる。
上記(A)の組換えポリヌクレオチドの「本発明におけるプロモーターの制御下に作動可能に配置された目的遺伝子」とは、本発明のプロモーターに転写因子が結合することにより、その目的遺伝子の発現が誘導されるように、本発明のプロモーターと、その目的遺伝子とが連結されていることを意味する。上記「目的遺伝子」としては、任意の遺伝子であればよいが、なんらかの有用なタンパク質をコードする有用タンパク質遺伝子を好適に例示することができる。有用タンパク質遺伝子としては、セルラーゼ遺伝子、アミラーゼ遺伝子等の糖化酵素遺伝子や、ウイルスワクチンタンパク質の遺伝子を好適に例示することができる。
上記(B)記載の本発明におけるベクターは、上記の本発明における組換えポリヌクレオチドを含む。本発明におけるベクターを用いると、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて、本発明における組換えポリヌクレオチドを保持したり、目的遺伝子を発現させるためにクルイベロマイセス・マルシアヌスを形質転換したりすることができる。本発明におけるベクターは、直鎖状であってもよいし、環状であってもよい。クルイベロマイセス・マルシアヌスは、直鎖状のベクターであっても染色体上において高頻度で組換えを生じさせることができ、その結果、形質転換することができる。また、環状のベクターの場合、さらに自己複製配列を含んでいれば、該ベクターはクルイベロマイセス・マルシアヌス細胞内にて自律複製し、酵母細胞内で保持され、その結果、形質転換することができる。
上記ベクターは、クルイベロマイセス・マルシアヌス細胞内で目的遺伝子を発現させることが可能であるものである限り特に制限されず、環状のプラスミドベクターとしては、例えばpKD1等を好適に例示することができる。
本発明における形質転換体は、本発明における組換えポリヌクレオチド、又は、本発明におけるベクターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスに導入することにより得られる。本発明における形質転換体は、その細胞内で目的遺伝子を高発現することができる。
本発明における組換えポリヌクレオチド、又は、本発明におけるベクターの酵母への導入方法としては、特に制限されず、ウイルスベクターを利用する方法、特異的受容体を利用する方法、細胞融合法等の生物学的方法;エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、遺伝子銃法、超音波遺伝子導入法等の物理的方法;リポフェクション法、リン酸カルシウム共沈殿法、リポソーム法、DEAEデキストラン法等の化学的方法;などの公知の方法を例示することができ、中でも簡便であって汎用性が高い点でリポフェクション法を好適に例示することができる。また、本発明における組換えポリヌクレオチド、又は、本発明におけるベクターがその酵母へ導入されたかどうかは、目的遺伝子として、又は、目的遺伝子に加えて、マーカー遺伝子を本発明における組換えポリヌクレオチドや本発明におけるベクターにマーカー遺伝子を挿入しておき、形質転換体におけるそのマーカー遺伝子の発現を確認するなどして容易に確認することができる。
本発明の目的遺伝子の発現方法のより好適な態様としては、前述したように、本発明における形質転換体を培養する工程を含むことを特徴とする。「本発明における形質転換体を培養する方法」としては、その形質転換体が増殖し得る限り特に制限されないが、例えばその形質転換体が増殖可能な温度条件下(例えば25〜50℃、好ましくは25〜40℃、より好ましくは28〜33℃)、YPD培地(1質量%酵母エキス、2質量%ポリペプトン、2質量%グルコース)にて、適当な時間(例えば1〜10日間、好ましくは1〜5日間、より好ましくは1〜3日間)、振盪培養する方法を好適に例示することができる。なお、本発明におけるプロモーターのうち、サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーターを用いた場合は、目的遺伝子をより顕著に高発現させ得ることから、糖源として、グルコースに代えて、ガラクトースを用いることが好ましい。すなわち、本発明におけるプロモーターのうち、サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーターを用いた場合は、得られた形質転換体の培養を、ガラクトース存在下で行うことが好ましい。
2.本発明の目的遺伝子産物の製造方法
本発明の目的遺伝子産物の製造方法は、本発明におけるプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いることを特徴とする。本発明におけるプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いると、目的遺伝子産物を高効率で製造することができる。
本発明の目的遺伝子産物の製造方法のより好適な態様としては、以下の(A)記載の組換えポリヌクレオチド、又は、以下の(B)記載のベクターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られる形質転換体を培養する工程(P)と、培養して得られた形質転換体から目的遺伝子産物を回収する工程(Q)とを含む。
(A)サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーターと、その制御下に作動可能に配置された目的遺伝子とを含む組換えポリヌクレオチド:
(B)上記(A)に記載の組換えポリヌクレオチドを含むベクター:
本発明の目的遺伝子産物の製造方法のより好適な態様における工程(P)は、前述の本発明の目的遺伝子の発現方法のより好適な態様における工程と同じである。また、上記工程(Q)における「培養して得られた形質転換体から目的遺伝子産物を回収する」方法としては、目的遺伝子産物を回収し得る限り特に制限されず、クロマトグラフィーを利用した方法、タグを利用した方法などの公知の方法を例示することができる。
3.本発明の目的遺伝子の発現効率を上昇させる方法
本発明の目的遺伝子の発現効率を上昇させる方法は、本発明におけるプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いることを特徴とする。本発明におけるプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いると、目的遺伝子の発現効率を向上させることができる。本発明の目的遺伝子の発現効率を上昇させる方法における好適な態様としては、前述の本発明の目的遺伝子の発現方法における好適な態様と同様の態様を例示することができる。
[サッカロマイセス・セレビシエからのプロモーターの単離]
公知の配列情報に基づき、サッカロマイセス・セレビシエからのTDH3プロモーター(ScTDH3プロモーター)、ILV5プロモーター(ScILV5プロモーター)、CWP2プロモーター(ScCWP2プロモーター)をそれぞれ単離した。ScTDH3プロモーターの配列は配列番号1に示され、ScILV5プロモーターの配列は配列番号2に示され、ScCWP2プロモーターの配列は配列番号3に示される。
[ScTDH3プロモーターの発現解析試験1(グルコース培地)]
サッカロマイセス・セレビシエ由来のScTDH3プロモーターが、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて目的遺伝子を発現させることができるかどうかを調べるために、以下のような発現解析試験を行った。
まずは以下の2つの形質転換体を、公知の形質転換法により、作製した。
(1)ScTDH3プロモーターの下流に、分泌型ルシフェラーゼCLuc遺伝子を作動可能に連結したScTDH3p−CLucをサッカロマイセス・セレビシエに導入して得られた比較例形質転換体1(Sc TF ScTDH3p−CLuc)。
(2)上記のScTDH3p−CLucをクルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られた実施例形質転換体1(Km TF ScTDH3p−CLuc)。
これらの両形質転換体を、それぞれYPD液体培地(1質量%酵母エキス、2質量%ポリペプトン、2質量%グルコース)にて28℃で振盪培養した。その培養液を経時的にサンプリングして、培養液1μl中の分泌型ルシフェラーゼCLucの相対発現量(RLU/μl)、及び、培養液のOD600を測定した。培養開始直後、培養開始から24時間経過後、48時間経過後、72時間経過後、96時間経過後、120時間経過後、及び、144時間経過後における測定結果(相対発現量(RLU/μl))を図1に示す。なお、図1のグラフは、各種の形質転換体につき、3クローンずつの平均値で示した。また、上記相対発現量(RLU/μl)の値を、培地のOD600の測定値で割って算出した値(相対発現量(RLU/OD・μl))で表した結果を図2に示す。図1及び図2の結果から分かるように、実施例形質転換体1は、比較例形質転換体1に比べて、早期かつ顕著な高発現性を示した。特に、実施例形質転換体1は、比較例形質転換体1と比較して、培養開始直後から高発現性を示し、培養開始から48時間経過後には、実施例形質転換体1は、比較例形質転換体1に比べて、割合として、139倍以上もの相対発現量(RLU/μl)(66倍以上もの相対発現量(RLU/OD・μl))を示した。実施例形質転換体1のこの「早期かつ顕著な高発現性」は、目的遺伝子産物等の単位時間当たりの製造効率を飛躍的に高めることとなるので、顕著な効果といえる。
以上のように、サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター(ScTDH3プロモーター)は、サッカロマイセス・セレビシエにおいて用いた場合に比べて、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いた場合に、早期かつ顕著な高発現性を示した。一般的に、プロモーターは、そのプロモーターが由来する生物種の細胞内において最も高いプロモーター活性を示し、他の生物種においては、プロモーター活性そのものを示さないか、あるいは、低下したプロモーター活性を示すことを考慮すると、本発現解析試験の結果は意外であった。なお、本明細書中の「活性量」は「相対発現量」と同義である。
[ScTDH3プロモーターの発現解析試験2(ガラクトース培地)]
実施例形質転換体1の早期かつ顕著な高発現性が、他の種類の糖を用いた場合にも得られるかどうか確認するために、上記実施例2における発現解析試験において、YPD液体培地に代えて、YPGal液体培地(1質量%酵母エキス、2質量%ポリペプトン、2質量%ガラクトース)を用いたこと以外は同じ方法で、発現解析を行った。その結果を図3に示す。また、その発現解析で得られた相対発現量(RLU/μl)の値を、培地のOD600の測定値で割って算出した値(相対発現量(RLU/OD・μl))で表した結果を図4に示す。図3及び図4の結果から分かるように、グルコース培地に代えてガラクトース培地を用いると、実施例形質転換体1は、より顕著な高発現性を示した。例えば、実施例形質転換体1は、ガラクトース培地条件下では、グルコース培地条件下に比べて、培養開始から48時間経過後には4.9倍以上もの相対発現量(RLU/μl)(5.1倍以上もの相対発現量(RLU/OD・μl))を示し、120時間経過後には4.9倍以上もの相対発現量(RLU/μl)(4.8倍以上もの相対発現量(RLU/OD・μl))を示した。ScTDH3プロモーターは、サッカロマイセス・セレビシエにおいてガラクトース誘導性を全く示さないことからすると、本発現解析試験の結果はきわめて意外であった。
なお、ガラクトース培地条件下における実施例形質転換体1は、比較例形質転換体1に比べて、培養開始から48時間経過後には833倍以上もの相対発現量(RLU/μl)(607倍以上もの相対発現量(RLU/OD・μl))を示し、120時間経過後には86倍以上もの相対発現量(RLU/μl)(72倍以上もの相対発現量(RLU/OD・μl))を示した。
[ScTDH3プロモーターの発現解析試験3(様々な糖培地)]
上記の実施例形質転換体1が、様々な糖培地を用いた場合にどのような発現性を示すかどうかを調べるために、実施例形質転換体1を用いた発現解析試験を行った。その発現解析試験の方法としては、上記実施例2における発現解析試験において、YPD液体培地中のグルコースに代えて、ガラクトース、フルクトース、又は、マンノースを同質量用いたこと以外は同じ方法を用いた。なお、YPD液体培地中のグルコースに代えてガラクトースを同質量用いた培地はYPGal液体培地となる。今回の発現解析において、培養開始から48時間経過後に測定した相対発現量(RLU/μl)の結果を図5に示す。また、その発現解析で得られた相対発現量(RLU/μl)の値を、培地のOD600の測定値で割って算出した値(相対発現量(RLU/OD・μl))で表した結果を図6に示す。
図5及び図6の結果から分かるように、フルクトースやマンノースを用いた場合は、グルコースを用いた場合と同程度の相対発現量を示した。ガラクトースを用いた場合にのみ、他の糖を用いた場合と比較して、約5倍以上もの相対発現量(RLU/μl)(約4.5倍以上もの相対発現量(RLU/OD・μl))を示した。この結果から、ScTDH3プロモーターをクルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いたときのガラクトース誘導性は、ガラクトースに特異的な誘導性であることが示された。
[サッカロマイセス・セレビシエ由来の様々なプロモーターの発現解析試験]
ScTDH3プロモーター以外の、サッカロマイセス・セレビシエ由来のプロモーターでも同様の効果が得られるかどうかを調べるために、以下のような発現解析試験を行った。
以下の4つの形質転換体を、公知の形質転換法により、作製した。
(3)ScILV5プロモーターの下流に、分泌型ルシフェラーゼCLuc遺伝子を作動可能に連結したScILV5p−CLucをサッカロマイセス・セレビシエに導入して得られた比較例形質転換体2(Sc TF ScILV5p−CLuc)。
(4)上記のScILV5p−CLucをクルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られた実施例形質転換体2(Km TF ScILV5p−CLuc)。
(5)ScCWP2プロモーターの下流に、分泌型ルシフェラーゼCLuc遺伝子を作動可能に連結したScCWP2p−CLucをサッカロマイセス・セレビシエに導入して得られた比較例形質転換体3(Sc TF ScCWP2p−CLuc)。
(6)上記のScCWP2p−CLucをクルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られた実施例形質転換体3(Km TF ScCWP2p−CLuc)。
ScTDH3プロモーターを用いた比較例形質転換体1及び実施例形質転換体1に加えて、上記の比較例形質転換体2〜3及び実施例形質転換体2〜3を用いて、上記実施例2における発現解析試験と同様の発現解析試験を行った。培養開始から48時間経過後に測定した相対発現量(RLU/OD・μl)の結果を図7に示す。なお、図7には、左から順に、比較例形質転換体1、実施例形質転換体1、比較例形質転換体2、実施例形質転換体2、比較例形質転換体3、実施例形質転換体3の結果を示す。
図7の結果から分かるように、実施例形質転換体1は、比較例形質転換体1に比べて18倍以上の相対発現量(RLU/OD・μl)を示し、実施例形質転換体2は、比較例形質転換体2に比べて7倍以上の相対発現量(RLU/OD・μl)を示し、実施例形質転換体3は、比較例形質転換体3に比べて4倍以上の相対発現量(RLU/OD・μl)を示した。また、実施例形質転換体2の相対発現量(40882RLU/OD・μl)、及び、実施例形質転換体3の相対発現量(29324RLU/OD・μl)は、いずれも、実施例形質転換体1の示した相対発現量(28251RLU/OD・μl)より高かった。
以上のように、サッカロマイセス・セレビシエ由来のILV5プロモーター(ScILV5プロモーター)、CWP2プロモーター(ScCWP2プロモーター)も、サッカロマイセス・セレビシエにおいて用いた場合に比べて、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いた場合に、顕著な高発現性を示した。
本発明は、目的遺伝子の高発現や、目的遺伝子産物の高効率での製造の分野において特に有用に利用することができる。

Claims (7)

  1. サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いることを特徴とする目的遺伝子の発現方法。
  2. 以下の(A)記載の組換えポリヌクレオチド、又は、以下の(B)記載のベクターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られる形質転換体を培養する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の目的遺伝子の発現方法:
    (A)サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーターと、その制御下に作動可能に配置された目的遺伝子とを含む組換えポリヌクレオチド:
    (B)上記(A)に記載の組換えポリヌクレオチドを含むベクター。
  3. プロモーターとしてサッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーターを用い、かつ、形質転換体の培養をガラクトース存在下で行うことを特徴とする請求項2に記載の目的遺伝子の発現方法。
  4. サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いることを特徴とする目的遺伝子産物の製造方法。
  5. 以下の(A)記載の組換えポリヌクレオチド、又は、以下の(B)記載のベクターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスに導入して得られる形質転換体を培養する工程(P)と、培養して得られた形質転換体から目的遺伝子産物を回収する工程(Q)とを含むことを特徴とする請求項4に記載の目的遺伝子産物の製造方法:
    (A)サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーターと、その制御下に作動可能に配置された目的遺伝子とを含む組換えポリヌクレオチド:
    (B)上記(A)に記載の組換えポリヌクレオチドを含むベクター。
  6. プロモーターとしてサッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーターを用い、かつ、形質転換体の培養をガラクトース存在下で行うことを特徴とする請求項5に記載の目的遺伝子産物の製造方法。
  7. サッカロマイセス・セレビシエ由来のTDH3プロモーター、ILV5プロモーター、CWP2プロモーター、及び、それらの変異体からなる群から選択されるプロモーターを、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいて用いることを特徴とする目的遺伝子の発現効率を上昇させる方法。
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