JPWO2011040019A1 - タイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法 - Google Patents

タイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2011040019A1
JPWO2011040019A1 JP2011504077A JP2011504077A JPWO2011040019A1 JP WO2011040019 A1 JPWO2011040019 A1 JP WO2011040019A1 JP 2011504077 A JP2011504077 A JP 2011504077A JP 2011504077 A JP2011504077 A JP 2011504077A JP WO2011040019 A1 JPWO2011040019 A1 JP WO2011040019A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tire
unit
current
resonance
inverter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011504077A
Other languages
English (en)
Inventor
湯河 潤一
潤一 湯河
中田 秀樹
秀樹 中田
陽一 黒沢
陽一 黒沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Publication of JPWO2011040019A1 publication Critical patent/JPWO2011040019A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01MTESTING STATIC OR DYNAMIC BALANCE OF MACHINES OR STRUCTURES; TESTING OF STRUCTURES OR APPARATUS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G01M17/00Testing of vehicles
    • G01M17/007Wheeled or endless-tracked vehicles
    • G01M17/02Tyres
    • G01M17/025Tyres using infrasonic, sonic or ultrasonic vibrations
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C23/00Devices for measuring, signalling, controlling, or distributing tyre pressure or temperature, specially adapted for mounting on vehicles; Arrangement of tyre inflating devices on vehicles, e.g. of pumps or of tanks; Tyre cooling arrangements
    • B60C23/06Signalling devices actuated by deformation of the tyre, e.g. tyre mounted deformation sensors or indirect determination of tyre deformation based on wheel speed, wheel-centre to ground distance or inclination of wheel axle
    • B60C23/065Signalling devices actuated by deformation of the tyre, e.g. tyre mounted deformation sensors or indirect determination of tyre deformation based on wheel speed, wheel-centre to ground distance or inclination of wheel axle by monitoring vibrations in tyres or suspensions

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Measuring Fluid Pressure (AREA)
  • Tires In General (AREA)

Abstract

タイヤの状態を高精度に検出することができるタイヤ状態検出装置。タイヤ状態検出装置(10)は、ホイールに固定される空気入りタイヤ(108)のタイヤ状態を検出する装置であって、所定の振動をタイヤに入力する振動入力部(310)と、所定の振動が入力されたときのタイヤ(108)の周波数情報を取得する周波数情報取得部(320)と、取得された周波数情報からタイヤ(108)の共振周波数を抽出し、抽出したタイヤ(108)の共振周波数から、タイヤ(108)を外側慣性モーメント、内側慣性モーメント、およびこれらの間に働く弾性力のばね定数を用いてモデル化したときの、ばね定数を算出するタイヤ状態推定部(330)とを有する。

Description

本発明は、車両のタイヤの内圧等のタイヤ状態を検出するタイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法に関する。
近年、自動車に対する安全性の向上が求められ、この安全性を担保する要素技術の研究開発が盛んに進められている。この安全性を担保する要素技術の一つにタイヤの空気圧の検出がある。タイヤの空気圧を検出する方法として、一般的に、直接的検出方法と間接的検出方法とが知られている。
直接的検出方法とは、圧力センサ等のセンサがタイヤのホイール内部に直接的に配置され、このセンサで取得された圧力情報に基づいてタイヤの空気圧を検出する方法である。当該センサで取得された圧力情報は、例えば無線を介して、タイヤのホイール内に配置された送信機から車内の受信アンテナを介して、受信機およびメータ等の表示器に送信される。直接的検出方法は、タイヤの空気圧を高精度に検出することができるため、例えば四輪のタイヤの空気圧が同時に低下した場合でも検出することが可能である。
しかし、この直接的検出方法では、センサが非常に高価であり導入するためのコストがかかるため、現在タイヤの空気圧検出に関して普及するまでには至っていない。また、ホイールを交換することにより、再びセンサを配置する必要が生じるため、当該配置にコストもかかるという問題点がある。したがって、現在では、コストの観点からタイヤの空気圧検出に関しては間接的検出方法が普及している。
間接的検出方法とは、自動車の四輪のタイヤのうち特定のタイヤの空気圧が他のタイヤの空気圧と比べて相対的に低下していることを検出する方法である(例えば、特許文献1参照)。間接的検出方法は、ABS(Antilock Brake System)を拡張してタイヤの空気圧を検出する。ABSは、各タイヤの回転速度を測定し、この測定した回転速度をブレーキの制御に利用する。タイヤの回転速度は自動車の走行速度とタイヤの半径で定まる。また、タイヤの空気圧が低下した場合には、タイヤがつぶれるため、タイヤの回転半径が小さくなる。その結果、空気圧の低下したタイヤだけ回転速度が速くなる。この回転速度の違いにより、タイヤの空気圧を検出する。このような間接的検出方法は、既存のABSを拡張して利用することができるため、上記した直接的検出方法に比べて安価に導入することができる。
このような間接的検出方法の一例として、下記に示す非特許文献1がある。非特許文献1に記載の技術は、タイヤのばね定数がタイヤの空気圧に依存するという関係、およびタイヤのばね定数はタイヤの共振周波数に比例するという関係を利用している。非特許文献1には、これらの関係に基づいて、測定されたタイヤの回転速度に対して周波数解析を行うことにより、タイヤの共振周波数を検出し、この検出した共振周波数に対応するタイヤの空気圧を検出する方法が開示されている。
特開平05−133831号公報
梅野孝治、「車輪速センサを用いたタイヤ空気圧検出法の開発」、豊田中央研究所 R&Dレビュー、1997年12月、Vol.32 No.4
しかし、非特許文献1による方法では、タイヤに機械共振を発生させるための加振源を、自動車が路面上を走行する場合にタイヤに発生する振動であるとして、タイヤの回転速度を導出している。非特許文献1による方法でタイヤの回転速度を導出する場合には、路面との摩擦係数またはタイヤの摩耗等の外乱の影響を受ける。また、自動車が路面上を走行する場合においてタイヤに発生する振動を加振源としているため、タイヤに機械共振が発生した場合には、自動車の外乱の影響を受けた機械共振または当該影響を受けていない機械共振のどちらであるのかが高精度に判定することができなかった。このように、自動車の外乱の影響を考慮してタイヤの共振周波数を検出する方法では、当該外乱の影響を無視することができないために高精度に検出することができなかった。結果的に、タイヤの空気圧を高精度に検出することが難しいという問題点があった。
本発明の目的は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、タイヤ状態を高精度に検出することができるタイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法を提供することである。
本発明のタイヤ状態検出装置は、ホイールに固定される空気入りタイヤのタイヤ状態を検出するタイヤ状態検出装置であって、所定の振動を前記タイヤに入力する振動入力部と、前記所定の振動が入力されたときの前記タイヤの周波数情報を取得する周波数情報取得部と、取得された前記周波数情報から前記タイヤの共振周波数を抽出し、抽出した前記タイヤの共振周波数から、前記タイヤを外側慣性モーメント、内側慣性モーメント、およびこれらの間に働く弾性力のばね定数を用いてモデル化したときの、前記ばね定数を算出するタイヤ状態推定部とを有する。
本発明のタイヤ状態検出方法は、ホイールに固定される空気入りタイヤのタイヤ状態を検出するタイヤ状態検出方法であって、所定の振動を前記タイヤに入力するステップと、前記所定の振動が入力されたときの前記タイヤの周波数情報を取得するステップと、取得された前記周波数情報から前記タイヤの共振周波数を抽出するステップと、抽出された前記タイヤの共振周波数から、前記タイヤを外側慣性モーメント、内側慣性モーメント、およびこれらの間に働く弾性力のばね定数を用いてモデル化したときの、前記ばね定数を算出するステップとを有する。
本発明に係るタイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法によれば、タイヤ状態を高精度に検出することができる。
本発明の実施の形態1に係るタイヤ状態検出装置を含む車両の内部構成の一例を示すブロック図 実施の形態1におけるインバータ出力電流の出力指令値の時間変化を示す図 実施の形態1における電流検出部で検出されるインバータ出力電流の実際出力値の時間変化を示す図 実施の形態1に係るタイヤ状態検出装置の動作の一例を示すフローチャート 実施の形態1におけるインバータ制御部による動作の一例を示すフローチャート 実施の形態1に係るタイヤ状態検出装置の車両停止中における動作の一例を示すフローチャート 実施の形態1における車両停車中のインバータ出力電流の出力指令値の時間変化を示す図 実施の形態1における車両停車中に電流検出部で検出されるインバータ出力電流の実際出力値の時間変化を示す図 実施の形態1における単一のモータ部に対して複数のタイヤが配置されている車両の全体構成の一例を示す図 実施の形態1における単一のモータ部に対して2つのタイヤが配置されている場合のインバータ出力電流の実際出力値の時間変化を示す図 実施の形態1における、単一のモータ部に対して2つのタイヤが配置されている場合で、かつ、車両停車中におけるインバータ出力電流の実際出力値の時間変化を示す図 本発明の実施の形態2に係るタイヤ状態検出装置を含む車両の内部構成の一例を示すブロック図 実施の形態2における回転角速度算出部で導出されたモータ部の回転角速度の時間変化を示す図 実施の形態2に係るタイヤ状態検出装置の動作の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態3に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態3におけるタイヤの力学的モデルを示す図 実施の形態3に係るタイヤ状態検出装置の動作の一例を示すフローチャート 実施の形態3におけるタイヤの周波数特性の一例を示す図 本発明の実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置の動作の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置の動作の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置の動作の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態7に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態7におけるモータ駆動系の構成の一例を示す制御ブロック図 本発明の実施の形態8に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 本発明の実施の形態9に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 本発明の実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 本発明の実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素および同一の処理には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
なお、各実施の形態の説明に先立って、主要な用語を以下のように定義する。
「共振用振動」とは、タイヤに共振を発生させるための後述の所定の振動をいう。
「走行用トルク」とは、車両の走行のためにタイヤに掛かるトルク(回転する力)である。
「共振用トルク」とは、共振用振動を発生させるためにタイヤに掛かるトルクである。
「合成トルク」とは、共振用トルクと走行用トルクとの合成トルクである。
「走行用電流」とは、走行用トルクを発生するためのモータ駆動電流(インバータ出力電流)である。
「共振用電流」とは、共振用トルクを発生するためのモータ駆動電流(インバータ出力電流)である。
「合成駆動電流」とは、合成トルクを発生するためのモータ駆動電流(インバータ出力電流)である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るタイヤ状態検出装置10を含む車両1の内部構成を示すブロック図である。図1に示すように、車両1は、アクセルペダル100、アクセルポジションセンサ部101、ECU102、インバータ制御部103、インバータ部104、バッテリ部105、電流検出部106、モータ部107、タイヤ108、共振周波数検出部109、内圧導出部110、および情報提示部111を有する。また、タイヤ状態検出装置10は、主に、ECU102、インバータ制御部103、インバータ部104、バッテリ部105、電流検出部106、共振周波数検出部109、内圧導出部110および情報提示部111から構成される。本実施の形態では、モータ部107が、タイヤ108に機械共振を発生させるための加振源である。
アクセルペダル100は、車両1内の運転席の足元に配置される車両部品であり、ドライバが運転中に加速等して車両1を走行させる場合に使用される。ドライバによるアクセルペダル100の踏込量は、アクセルポジションセンサ部101によって検出される。
アクセルポジションセンサ部101は、ドライバによるアクセルペダル100の踏込量を検出し、この検出した踏込量に関する情報を含むAP開度情報をECU102に送出する。
ECU102は、マイコン、ROMまたはRAM等により構成される電子制御装置(Electronic Control Unit)であり、所定の信号処理を行う。例えば、ECU102は、アクセルポジションセンサ部101から送出されたAP開度情報を取得し、この取得したAP開度情報に応じた走行用トルクを導出する。また、ECU102は、インバータ部104に走行用電流を出力させるための制御情報を、インバータ制御部103に送出する。走行用電流は、ECU102で導出された走行用トルクをモータ部107が駆動するために、インバータ部104がモータ部107に対して出力する必要のある電流である。なお、このインバータ制御部103に送出される制御情報には、AP開度情報に応じて導出された走行用トルクの値、および当該走行用トルクの値に対応する走行用電流をインバータ部104に出力させるための指令情報等が含まれる。
また、ECU102は、当該制御情報をインバータ制御部103に送出したとき、共振周波数検出部109に、共振用電流の出力指令値を生成させるための共振用電流生成指令情報を送出する。共振用電流の出力指令値とは、インバータ制御部103を介して、インバータ部104から共振用電流を出力させるための指令値を示す。共振用電流生成指令情報とは、共振周波数検出部109が共振用電流の出力指令値を生成するための指令情報を示す。共振周波数検出部109は、この共振用電流生成指令情報をECU102から取得したとき、共振用電流の出力指令値を生成し、この生成した共振用電流の出力指令値を、所定のタイミングでインバータ制御部103に送出する。
ECU102が共振用電流生成指令情報を共振周波数検出部109に出力するタイミングは、ECU102がインバータ制御部103に制御情報を送出したタイミングと同時である必要は特にない。例えば、ECU102は、共振用電流の生成指令情報をインバータ制御部103に出力する旨のタイミング情報を、常時送出しても良い。また、車両1を運転しているドライバから所定のスイッチ等が押下されたタイミングに合わせて、ECU102は、共振用電流の生成指令情報をインバータ制御部103に出力する旨のタイミング情報を、送出しても良い。
インバータ制御部103は、インバータ部104に走行用電流を出力させるための制御情報を、ECU102から取得する。インバータ制御部103は、当該制御情報に含まれる走行用トルクの値に対応する走行用電流の出力指令情報を、インバータ部104へ送出する。走行用電流の出力指令情報とは、当該走行用電流の出力指令値、および当該走行用電流の出力指令値をインバータ部104から出力させるための指令情報等が含まれる。走行用電流の出力指令値とは、当該走行用電流をインバータ部104に出力させるための指令値を示す。
また、インバータ制御部103は、共振周波数検出部109で生成された共振用電流を取得する。この共振用電流は、共振用電流の出力指令値を示す。共振周波数検出部109から共振用電流の出力指令値を取得したとき、インバータ制御部103は、上記した走行用電流の出力指令値と、上記した共振用電流の出力指令値とを重畳した合成駆動電流の出力指令値を含む合成駆動電流の出力指令情報をインバータ部104に送出する。合成駆動電流は、走行用電流と共振用電流との和である。さらに、合成駆動電流の出力指令値とは、走行用電流の出力指令値と、共振用電流の出力指令値とが加算された値を示す。また、合成駆動電流の出力指令情報には、合成駆動電流の出力指令値、および当該合成駆動電流の出力指令値をインバータ部104に出力させるための指令情報等が含まれる。
図2は、インバータ制御部103の制御の下で、インバータ部104が出力するインバータ出力電流の出力指令値の時間変化を示した図である。パラメータIqa*は走行用電流の出力指令値を表し、パラメータIqb*は共振用電流の出力指令値を表し、パラメータIq*はインバータ出力電流の出力指令値を表す。図2に示すように、横軸は時間を表し、縦軸はインバータ出力電流を表す。図2に示すように、インバータ出力電流は、走行用電流の出力指令値Iqa*と共振用電流の出力指令値Iqb*とが重畳された上記した合成駆動電流の出力指令値Iq*である。
共振用電流の出力指令値は、タイヤ108固有の共振周波数付近で掃引されたパルス信号、または正弦波信号等の交流信号で表される。インバータ制御部103は、インバータ部104が実際に出力した走行用電流または合成駆動電流の各実際出力値を電流検出部106を介して取得する。インバータ制御部103は、この取得した実際出力値と、図2に示したインバータ出力電流の出力指令値とが一致するようにインバータ部104を制御する。
インバータ部104は、インバータ制御部103から送出された走行用電流の出力指令情報を取得する。インバータ部104は、この取得した走行用電流の出力指令情報に含まれる走行用電流の出力指令値を、バッテリ部105から必要な電力の供給を受けたうえで出力する。また、インバータ部104は、インバータ制御部103から上記した合成駆動電流の出力指令情報を取得した場合、当該出力指令情報に含まれる合成駆動電流を、バッテリ部105から必要な電力の供給を受けたうえで出力する。
バッテリ部105は、インバータ部104が出力する走行用電流、または合成駆動電流を出力するために必要な電力をインバータ部104に供給する。
電流検出部106は、インバータ部104から実際に出力された走行用電流または合成駆動電流の各実際出力値を検出する。電流検出部106は、常時、走行用電流または合成駆動電流の各実際出力値を検出する。この検出された走行用電流または合成駆動電流の各実際出力値は、インバータ制御部103および共振周波数検出部109で検出される。
モータ部107は、インバータ部104に出力された走行用電流または合成駆動電流の各実際出力値を入力し、この入力された走行用電流または合成駆動電流の各実際出力値に基づいて、ECU102で導出された走行用トルクの値を出力してタイヤ108を駆動する。タイヤ108は、いわゆる車両1のタイヤであり、車両1に対して安定的かつ固定的に接続されている。タイヤ108は、ホイールとの間で気体を内包している。気体には、空気または窒素等が該当する。図1には一輪のタイヤが示されているが、後述するように、複数輪のタイヤが接続されていても構わない。
図3は、図2に示すインバータ出力電流の出力指令値に対して、インバータ部104が出力したインバータ出力電流の実際出力値の時間変化を示す図である。
共振周波数検出部109は、図3に示すように、電流検出部106を介して走行用電流または合成駆動電流であるインバータ出力電流の各実際出力値を検出する。共振周波数検出部109は、当該取得したインバータ出力電流が極小となっているときの周波数をタイヤ108の共振周波数として導出する。このインバータ出力電流が極小となるときの周波数がタイヤ108の共振周波数となるのは以下の説明による。
インバータ部104から実際に出力されたインバータ出力電流がモータ部107に入力されてタイヤ108に機械共振が発生したとする。このとき、当該共振により、当該タイヤ108と安定的かつ固定的に接続されているモータ部107内には電磁誘導により逆起電力が誘起される。この誘起された逆起電力に基づいて、モータ部107へ入力される電流と逆方向に当該逆起電力による反対電流が流れるため、インバータ部104から見たモータ部107のインピーダンスが極大になる。モータ部107のインピーダンスが極大のとき、モータ部107へ入力される電流が最も流れにくい状態となるため、図3に示すように、インバータ出力電流は極小値をとる。したがって、インバータ出力電流が極小のとき、タイヤ108は機械共振し、モータ部107に安定的かつ固定的に接続されたタイヤ108の共振周波数が検出される。
共振周波数検出部109は、タイヤ108の共振周波数の導出において、例えば、電流検出部106により検出されたインバータ出力電流を周波数解析(FFT等)する。この周波数解析によるスペクトル波形においては、タイヤ108の共振周波数で急峻なピークが現れるため、このピークが現れるときの周波数がタイヤ108の共振周波数と判断される。共振周波数検出部109は、検出した共振周波数に関する情報を内圧導出部110に送出する。
内圧導出部110は、共振周波数検出部109から送出された共振周波数に基づいてタイヤ108の内圧を導出する。タイヤ108の内圧は、例えば、タイヤ108の共振周波数とタイヤのばね定数とが比例関係にあること、およびタイヤのばね定数とタイヤ108の内圧とが比例関係にあること(例えば、非特許文献1参照)に基づいて導出される。ただし、内圧の導出方法は、非特許文献1に記載の方法に限定されない。
情報提示部111は、内圧導出部110に導出されたタイヤ108の内圧に関する内圧情報を車両1のドライバに対して提示する。この提示では、メータ等で表示しても良いし、車両1に予め配設されているナビゲーション装置のディスプレイ等に表示しても良い。
(タイヤ状態検出装置10の動作)
次に、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10の動作について図4および図5を参照して説明する。
図4は、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10の動作を説明するフローチャートである。図5は、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10のインバータ制御部103の動作の詳細を説明したフローチャートである。
車両1を運転するドライバがアクセルペダル100を所定量踏み込んだ場合、アクセルポジションセンサ部101は当該踏まれたアクセルペダル100の踏込量を検出する。ECU102は、この検出された踏込量に関する情報を含むAP開度情報をアクセルポジションセンサ部101から取得する(S101)。
ECU102は、アクセルポジションセンサ部101から送出されたAP開度情報を取得する(S101のYES)。ECU102は、この取得したAP開度情報に基づき、モータ部107がタイヤ108を回転させるために必要な出力トルク(走行用トルク)を算出する(S102)。ECU102は、インバータ部104に走行用電流を出力させるための制御情報をインバータ制御部103に送出する(S103)。上記したとおり、当該制御情報がインバータ制御部103に送出されたとき、ECU102は、共振周波数検出部109に、共振用電流の出力指令値を生成させる共振用電流生成指令情報を送出する。
図5に示すように、インバータ制御部103は、ECU102から制御情報を取得した場合(S103aのYES)、共振周波数検出部109から、共振用電流の出力指令値を取得した否かを判断する(S103b)。インバータ制御部103は、共振用電流の出力指令値を取得した場合(S103bのYES)、走行用電流の出力指令値と共振用電流の出力指令値とを重畳した合成駆動電流の出力指令値を生成する(S103c)。インバータ制御部103は、インバータ部104に、この生成した合成駆動電流の出力指令値を出力するように制御する合成駆動電流の出力指令情報を送出する(S103d)。
インバータ部104は、インバータ制御部103から合成駆動電流の出力指令情報を取得する。インバータ部104は、この取得した合成駆動電流の出力指令情報に基づき、バッテリ部105から必要な電力の供給を受け(S104)、当該出力指令情報に対応する合成駆動電流を出力する(S105)。
電流検出部106は、インバータ部104から実際に出力された合成駆動電流の実際出力値を検出する(S106)。この検出された合成駆動電流(インバータ出力値)の実際出力値の時間変化は、図3に示すとおりである。
共振周波数検出部109は、電流検出部106によって検出された合成駆動電流(インバータ出力値)の実際出力値が極小となっているときの周波数をタイヤ108の共振周波数として導出する。共振周波数検出部109は、例えば、電流検出部106により検出された合成駆動電流を周波数解析(FFT等)することによって、タイヤ108の共振周波数を検出する(S107)。
内圧導出部110は、共振周波数検出部109から送出された共振周波数に基づいてタイヤ108の内圧を導出する(S108)。情報提示部111は、内圧導出部110に導出されたタイヤ108の内圧に関する内圧情報を車両1のドライバに対して提示して(S109)、タイヤ状態検出装置の動作は終了する。
以上のように、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10では、共振周波数検出部109がタイヤ108固有の共振周波数付近で掃引した共振用電流をインバータ制御部103に送出する。インバータ制御部103は、この共振用電流と走行用電流とを重畳した合成駆動電流の出力指令値をインバータ部104に送出する。インバータ部104が実際に出力した合成駆動電流の実際出力値からタイヤ108の共振周波数を検出する。
したがって、タイヤ108と安定的かつ固定的に接続されたモータ部107に入力される合成駆動電流の実際出力値の時間変化からタイヤ108の機械共振を判定するため、車両1の外乱の影響を考慮する必要がなくなり、タイヤ108の共振周波数を高精度に判定することができる。タイヤ108の共振周波数を高精度に判定することができるため、結果的に、タイヤの内圧を高精度に検出することができる。
(車両停車中におけるタイヤ状態検出装置10の動作)
次に、車両1が停車中である場合に、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10がタイヤ108の内圧を導出する動作について、図6〜図8を参照して説明する。
図6は、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10における車両停止中の動作を説明するフローチャートである。図7は、車両停車中に、インバータ制御部103がインバータ部104に送出したインバータ出力電流の出力指令値の時間変化を示す図である。図8は、車両停車中に、電流検出部106で検出されるインバータ出力電流の実際出力値の時間変化を示す図である。
車両1が停車中である場合には、アクセルペダル100はドライバに踏み込まれない。すなわち、アクセルポジションセンサ部101は、アクセルペダル100からの踏込量を検出しない。ECU102は、例えばドライバから所定のスイッチ等の押下に対応する入力信号を取得し、この入力信号に基づいて、共振周波数検出部109に共振用電流生成指令情報を送出する(S110)。この共振用電流生成指令情報が共振周波数検出部109に送出されるタイミングは、ドライバからの所定スイッチ等押下のタイミングである必要は特にない。例えば、不図示の車輪速度センサ等により車両1が運転停止と判断されたタイミングでも良いし、不図示のタイマー等の計測によって運転停止直後から所定時間経過したときのタイミングでも構わない。また、運転停止中である場合に、ECU102が常時、共振周波数検出部109に共振用電流生成指令情報を送出するようにしても良い。
共振周波数検出部109は、ECU102から共振用電流生成指令情報を取得した場合(S110のYES)、共振用電流の出力指令値を生成し、この生成した共振用電流の出力指令値を所定のタイミングでインバータ制御部103に送出する(S111)。
インバータ制御部103は、共振用電流の出力指令値を取得し(S111のYES)、インバータ部104に、この取得した共振用電流の出力指令値を出力するように制御する共振用電流の出力指令情報を送出する(S112)。この送出される共振用電流の出力指令情報に含まれる共振用電流の出力指令値は、図2に示した共振用電流の出力指令値Iqb*に相当する(図7参照)。S112以降の処理は、図4で示した対応する参照符号と同一の処理であるため、説明を省略する。
以上のように、車両1が運転停止中を継続している状態のときと、車両1が走行中である状態のときとは、インバータ制御部103がインバータ部104に出力させる電流の出力指令値の絶対値が異なる。具体的には、車両1が走行中である状態に対応するインバータ出力電流の絶対値は、図2に示したように、インバータ出力電流の出力指令値Iq*(=(走行用電流の出力指令値Iqa*)+(共振用電流の出力指令値Iqb*))である。一方、車両1が運転停止中を継続している状態に対応するインバータ出力電流の絶対値は、図7に示したように、共振用電流の出力指令値Iqb*のみである。
したがって、車両1が運転停車中を継続している状態のままであっても、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10は、インバータ部104に出力させるインバータ出力電流の指令値を共振用電流の出力指令値とするだけで、タイヤの共振周波数を高精度に判定することができる。結果的に、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10は、車両1の運転状態に関係なく、走行中でも停車中でも、タイヤの内圧を高精度に検出することができる。
図9は、複数のタイヤ108が差動ギヤを介してモータ部107と固定的に配置されている車両の全体構成を示す外観図である。
本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10は、車両1が図9に示すような車両である場合においても、同様に、タイヤ108の内圧を高精度に検出することができる。つまり、モータ部107には、一輪のタイヤ108が取り付けられても良いし、複数輪のタイヤ108が取り付けられても良い。
図10は、モータ部107に対して2つのタイヤが配置されている場合で、2つのタイヤ共振周波数が現れる様子を示す図である。この場合、タイヤ状態検出装置10は、それぞれのタイヤ108に対して、個別に図4および図5に示した動作を行う。インバータ部104が出力したインバータ出力電流の実際出力値には、図10に示すように、第1のタイヤ108の共振周波数(共振点)に対応する第1の極小値、および第2のタイヤ108の共振周波数(共振点)に対応する第2の極小値が検出される。
図11は、モータ部107に対して2つのタイヤが配置されている場合で、車両が停車中である場合において、2つのタイヤ共振周波数(共振点)にそれぞれ対応する第1および第2の極小値が現れる様子を示す図である。
本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10は、図9に示すような車両に搭載されている場合であって、さらに、当該車両が停車中である場合においても、同様に、タイヤ108の内圧を高精度に検出することができる。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2に係るタイヤ状態検出装置20を含む車両2の内部構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置20が本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10と異なる点は、図12に示すように、タイヤ状態検出装置20がモータ部201、エンコーダ部202および回転角速度算出部203を有する点である。これらの点以外は実施の形態1と同様であり、図12において、図1と共通する構成要素には同じ参照符号が付されている。
モータ部201には、実施の形態1のモータ部107に、エンコーダ部202が更に備えられている。エンコーダ部202は、モータ部201のステータに対するロータの回転角度を検出し、この検出された回転角度を回転角速度算出部203に送出する。エンコーダ部202は、インクリメンタルエンコーダまたはアブソリュートエンコーダ等の光学式エンコーダでも良いし、ホール素子等で構成される磁気式エンコーダでも良い。
回転角速度算出部203は、エンコーダ部202から送出された回転角度を取得し、この取得した回転角度に対して時間微分を行って回転角速度ωを導出する。パラメータωは回転角速度を表す。回転角速度算出部203は、この導出された回転角速度ωを共振周波数検出部109に送出する。
インバータ制御部103がインバータ出力電流の出力指令値をインバータ部104に出力した場合、回転角速度算出部203に導出された回転角速度は図13のように示される。図13は、回転角速度算出部203で導出されたモータ部201の回転角速度の時間変化を示す図である。
インバータ部104から実際に出力された合成駆動電流がモータ部201に入力されてタイヤ108に機械共振が発生したとする。このとき、タイヤ108に安定的かつ固定的に接続されているモータ部201の回転速度は、タイヤ108の共振周波数において最も高くなる。このため、エンコーダ部202から出力された回転角度を時間微分することによって導出された回転角速度ωは、タイヤ108の共振周波数に近づくにつれて徐々に大きくなり、共振周波数において極大となる。したがって、図13に示すように、モータ部201の回転角速度が極大になった場合、タイヤ108は機械共振し、モータ部201に安定的かつ固定的に接続されたタイヤ108の共振周波数が検出される。
(タイヤ状態検出装置20の動作)
次に、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置20の動作について図14を参照して説明する。図14は、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置20の動作を説明するフローチャートである。なお、図14に示すインバータ制御の動作は、図5に示す内容と同一であるため、インバータ制御の動作の説明は省略する。
車両2を運転するドライバがアクセルペダル100を所定量踏み込んだ場合、アクセルポジションセンサ部101は当該踏まれたアクセルペダル100の踏込量を検出する。ECU102は、この検出された踏込量を含むAP開度情報をアクセルポジションセンサ部101から取得する(S101)。
ECU102は、アクセルポジションセンサ部101から送出されたAP開度情報を取得する(S101のYES)。ECU102は、この取得したAP開度情報に基づき、モータ部201がタイヤ108を回転させるために必要な出力トルク(走行用トルク)を算出する(S102)。ECU102は、インバータ部104に走行用電流を出力させるための制御情報をインバータ制御部103に送出する(S103)。当該制御情報がインバータ制御部103に送出されたとき、ECU102は、共振周波数検出部109に、共振用電流の出力指令値を生成させる共振用電流生成指令情報を送出する。
インバータ部104は、インバータ制御部103から合成駆動電流(インバータ出力電流)の出力指令情報を取得する。インバータ部104は、この取得した合成駆動電流の出力指令情報に基づき、バッテリ部105から必要な電力の供給を受け(S104)、当該出力指令情報に対応する合成駆動電流を出力する(S105)。
電流検出部106は、インバータ部104から実際に出力された合成駆動電流の実際出力値を検出する(S106)。この検出された合成駆動電流の実際出力値は、インバータ制御部103で検出される。
エンコーダ部202は、モータ部201の回転角度を検出し(S201)、この検出された回転角度を回転角速度算出部203に送出する。回転角速度算出部203は、エンコーダ部202から送出されたモータ部201の回転角度を取得し、この取得した回転角度を時間微分することによって回転角速度ωを検出する(S202)。回転角速度算出部203は、この導出された回転角速度ωを共振周波数検出部109に送出する。
共振周波数検出部109は、回転角速度算出部203に導出されたモータ部201の回転角速度ωを取得し、この取得した回転角速度の値が極大となっているときの周波数をタイヤ108の共振周波数として導出する。共振周波数検出部109は、例えば、回転角速度算出部203により導出された回転角速度を周波数解析(FFT等)することによって、タイヤ108の共振周波数を検出する(S107)。
内圧導出部110は、共振周波数検出部109から送出された共振周波数に基づいてタイヤ108の内圧を導出する(S108)。情報提示部111は、内圧導出部110に導出されたタイヤ108の内圧に関する内圧情報を車両2のドライバに対して提示して(S109)、タイヤ状態検出装置の動作は終了する。
以上のように、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置20では、共振周波数検出部109がタイヤ108固有の共振周波数付近で掃引した共振用電流をインバータ制御部103に送出する。インバータ制御部103は、この共振用電流と走行用電流とを重畳した合成駆動電流の出力指令値をインバータ部104に送出する。インバータ部104が実際に出力した合成駆動電流の実際出力値により駆動されたモータ部201の回転角度をエンコーダ部202が検出し、この検出された回転角度の時間微分からモータ部201の回転角速度が導出される。この導出されたモータ部201の回転角速度からタイヤ108の共振周波数が検出される。
したがって、タイヤ108と安定的かつ固定的に接続されたモータ部107の回転角速度の時間変化からもタイヤ108の機械共振を判定することができる。このため、車両2の外乱の影響を考慮する必要がなく、タイヤ108の共振周波数を高精度に判定することができる。タイヤ108の共振周波数を高精度に判定することができるため、結果的に、タイヤの内圧を高精度に検出することができる。
以上、添付図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明の入力装置はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記の各実施の形態では、タイヤ状態検出装置10または20は、内圧導出部110および情報提示部111を必須の構成であるとして説明した。しかし、これら内圧導出部110および情報提示部111は、タイヤ状態検出装置10または20に対して任意の構成であっても構わない。
上記した各実施の形態では、共振用電流の出力指令情報は、共振周波数検出部109が発生するものとして説明した。しかし、共振周波数検出部109が共振用電流を発生しなくても構わない。例えば、共振周波数検出部109は、共振用電流の出力指令情報をインバータ制御部103自身に発生させるためのタイミング情報と、タイヤ108固有の共振周波数に関する情報とを送出する。インバータ制御部103は、当該タイミング情報を取得した時点で、タイヤ108固有の共振周波数付近で掃引した共振用電流の出力指令値を発生し、上記した走行用電流の出力指令値と重畳した合成駆動電流の出力指令値を含む合成駆動電流の出力指令情報をインバータ部104に送出する。また、インバータ制御部103は、共振周波数検出部109からタイヤ108固有の共振周波数に関する情報を取得しなくても構わない。例えば、インバータ制御部103は、ECU102からタイヤ108固有の共振周波数に関する情報を取得するようにすれば良い。
実施の形態2に係るタイヤ状態検出装置20は、実施の形態1に係るタイヤ状態検出装置10と同様、当該タイヤ状態検出装置20を含む車両2が運転停止中の場合でも、タイヤ108の内圧を導出することができる。また、タイヤ状態検出装置20は、モータ部201に複数のタイヤが安定的かつ固定的に接続されている場合においても、実施の形態1に係るタイヤ状態検出装置10と同様、各タイヤ108の内圧を導出することができる。
(実施の形態3)
図15は、実施の形態3に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図である。
図15に示すように、タイヤ状態検出装置10は、ホイールに固定されるタイヤ(以下単に「タイヤ」という)108に接続される装置であり、振動入力部310、周波数情報取得部320、およびタイヤ状態推定部330を有する。タイヤ108は、この車両に対して安定的かつ固定的に接続されており、ホイールとの間で、空気や窒素等の気体を内包している。
なお、周波数情報取得部320は、実施の形態1および実施の形態2におけるエンコーダ部202、電流検出部106、共振周波数検出部109、および回転角速度算出部203に対応する。また、タイヤ状態推定部330は、実施の形態1および実施の形態2における内圧導出部110に対応する。
振動入力部310は、所定の振動をタイヤ108に入力する。所定の振動は、タイヤ108の共振周波数を後述の周波数情報取得部320が抽出し易くするための、タイヤ108の回転方向に掛ける微小な前後振動であり、トルクの大きさと振動周波数とにより定義されるものである。この所定の振動は、上述の定義の通り、「共振用振動」という。
振動入力部310は、タイヤ108の駆動系を電気的または機械的に制御することにより振動を加えても良いし、駆動系とは独立してタイヤ108に直接に機械的に振動を加えても良い。直接に機械的に振動を加える場合、振動入力部310は、例えば、タイヤ108のホイール等に取り付けられた、電磁型の加振器や、偏芯したマスが小型モータに取り付けられたアンバランスマス型の加振器とすることができる。また、振動入力部310は、例えば、アクティブサスペンションのような、ダンパの油圧制御装置とすることができる。
周波数情報取得部320は、振動入力部310によって共振用振動が入力された場合のタイヤ108の周波数情報を取得する。周波数情報は、後述のタイヤ108の共振周波数を抽出するための情報である。周波数情報は、例えば、タイヤ108の回転角速度を含む。また、タイヤ108のリムがモータにより駆動される場合には、周波数情報は、モータ駆動型車両における誘導起電力低減のためのインバータ制御電圧である。回転角速度の場合、例えば、タイヤ108のステータに対するロータの回転角度を検出するエンコーダ(図示せず)を配置してリムの回転角度を取得し、リムの回転角度に対してそれぞれ時間微分を行うことにより取得することができる。エンコーダとしては、例えば、インクリメンタルエンコーダまたはアブソリュートエンコーダ等の光学式エンコーダや、ホール素子等により構成される磁気式エンコーダが挙げられる。
タイヤ状態推定部330は、周波数情報取得部320が取得した周波数情報から、タイヤ108の共振周波数を抽出して、タイヤ108の状態を推定する。そして、タイヤ状態検出装置10は、タイヤ108の力学的モデルを用いて、タイヤ108の状態を推定する。具体的には、タイヤ状態推定部330は、タイヤ108の力学的モデルのねじりばね定数を、タイヤ108の状態の検出を行う毎に算出し、算出されたねじりばね定数に基づいてタイヤ108の状態を推定する。
図16は、タイヤ状態推定部330が用いるタイヤ108の力学的モデルを示す図である。
図16に示すように、タイヤ108の力学的モデル410は、タイヤ108のリム420の慣性モーメント、タイヤ108のトレッド430の慣性モーメント、これらを結合するばね(ねじりばね)440、およびダンパ450を含む。すなわち、タイヤ108の力学的モデル410は、タイヤ108に発生する機械的な振動を、ねじり振動現象としてモデル化したものである。力学的モデル410は、以下に示す各変数を用いて表現される。
:リム420の慣性モーメント(内側慣性モーメント)
:トレッド430の慣性モーメント(外側慣性モーメント)
K:タイヤ108のねじりばね定数
D:タイヤ108の等価粘性係数
:車両側からリム420に掛けられる出力トルク
:タイヤ108が転動することにより路面からトレッド430に掛けられる外乱トルク
ω:リム420の回転角速度
ω:トレッド430の回転角速度
なお、θは、リム420とトレッド430との回転角度差とする。慣性モーメントJ、外側慣性モーメントJ、および等価粘性係数Dは、固定値とみなすことができるパラメータである。ねじりばね定数Kは、リム420とトレッド430とを結合するタイヤ108の側面ゴム部の弾性を表すパラメータであり、空気圧(以下「タイヤ内圧」という)に依存する。出力トルクTは、制御対象である。外乱トルクTは、不明なパラメータである。回転角速度ωは、高精度に測定可能なパラメータである。
タイヤ状態検出装置10は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体等を有する。この場合、上述の各機能部の一部または全部は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。タイヤ状態検出装置10は、例えば、車両に搭載され、タイヤ108の駆動系に接続されたECUの形態を取ることができる。
このようなタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108の共振周波数を抽出するので、タイヤ108のねじりばね定数を高精度で取得して、タイヤ108の状態を検出できる。
次に、タイヤ状態検出装置10の動作について説明する。
図17は、実施の形態3に係るタイヤ状態検出装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、タイヤ状態を推定するタイミング(以下「推定実施タイミング」という)が到来する毎に、振動入力部310は、所定の振動をタイヤ108へ入力する(S1090)。推定実施タイミングは、検出対象となる車両の走行中でも駐停車中でも良く、一定速度での走行中でも不定速度での走行中でも良い。また、推定実施タイミングは、予め定められた周期で到来しても良いし、ドライバによりスイッチ押下等の所定の操作が行われた時であっても良い。
そして、周波数情報取得部320は、タイヤ108の周波数情報を取得し、取得された周波数情報をタイヤ状態推定部330へ出力する(S1100)。タイヤ状態推定部330は、入力された周波数情報から、タイヤ108の共振周波数を抽出する(S1120)。そして、タイヤ状態推定部330は、抽出した共振周波数から、タイヤ108のねじりばね定数Kを算出する(S1130)。
ここで、タイヤ状態推定部330が共振周波数を検出し、共振周波数に基づいてねじりばね定数Kを算出する手法について説明する。ここでは、周波数情報としてリム420の回転角速度ωがタイヤ状態推定部330へ入力された場合について説明する。
なお、周波数情報は、例えば、回転角速度、モータ駆動用の電圧に対して、モータの回転により発生する誘導起電力を抑える電流を制御するための制御電圧の周波数である。
図18は、タイヤ108の周波数特性の一例を示す図である。横軸は周波数fを示し、縦軸はリム420の回転角速度ωのパワースペクトル密度を示す。
タイヤ状態推定部330は、リム420の回転角速度ωに対してFFT(Fast Fourier Transform)等の周波数解析を行うことにより、図18に示すスペクトル波形461を得ることができる。
図18に示すように、タイヤ108の周波数特性を示すスペクトル波形461において、タイヤ内圧による影響を受ける共振周波数は、サスペンションの前後振動とタイヤ108のねじりばね共振との連成共振として周波数462に現れる。この現象の詳細については、例えば非特許文献1に記載されているため、ここでの説明を省略する。
そして、スペクトル波形461には、タイヤ108の共振周波数である上述の周波数462において急峻な山のピークが現れる。
そこで、タイヤ状態推定部330は、スペクトル波形461のピーク位置を検出することによって、共振周波数462を取得する。
ところで、タイヤ108の共振周波数fc0は、一般に二慣性系モデルから、以下の式(1)のように表される。
Figure 2011040019
したがって、タイヤ状態推定部330は、共振周波数fc0を検出し、固定値である慣性モーメントJおよび外側慣性モーメントJから、式(1)を用いて、ねじりばね定数Kを算出することができる。
ここで、周波数情報には、タイヤと路面との摩擦係数や凹凸に起因して生じる、ねじり共振周波数以外の振動成分による振動雑音が多く含まれる。共振周波数fc0は、このような振動雑音に埋もれ易いため、従来技術においては検出が困難であった。
そこで、上述の通り、タイヤ状態検出装置10は、振動入力部310により、共振周波数fc0が抽出され易くする所定の振動を、タイヤ108に入力するようにしている。これにより、タイヤ状態検出装置10は、共振周波数fc0をより確実にかつ高い精度で抽出することができる。
なお、タイヤ状態推定部330は、例えば、以下に説明する手法により、共振周波数fc0を算出して、ねじりばね定数Kを算出しても良い。
タイヤ状態推定部330は、非特許文献1に記載のように一括型最小二乗推定法等を利用して、ねじりばね定数Kを算出しても良い。
そして、タイヤ状態推定部330は、算出された共振周波数fc0から、式(1)を用いて、タイヤ108のねじりばね定数Kを算出する。
このように、タイヤ状態検出装置10は、共振周波数fc0を抽出することができれば、現在のタイヤ108の状態を精度良く表すねじりばね定数Kを、算出することができる。
以上のように、実施の形態3に係るタイヤ状態検出装置10は、所定の振動をタイヤ108に加えて、タイヤ108の周波数情報を取得し、その周波数情報からタイヤ108の共振周波数を抽出する。そして、タイヤ状態検出装置10は、抽出した共振周波数から、タイヤ108の状態を推定する。これにより、タイヤ状態検出装置10は、タイヤ108の力学的モデルのねじりばね定数を都度算出することができ、タイヤ108の状態を高精度に検出することができる。
なお、上述の非特許文献1記載の技術は、後述のタイヤ108の共振周波数が抽出され易くするための振動の入力を行っていない。したがって、非特許文献1記載の技術では、共振周波数を確実かつ高精度に抽出することはできない。
したがって、このような非特許文献1記載の技術に比べて、本発明に係るタイヤ状態検出装置10は、より高い精度でタイヤ108の状態の検出を行うことができる。
(実施の形態4)
図19は、本発明の実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態3の図15に対応するものである。
実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態3と異なる主な点は、過去に取得されたタイヤ状態に関する情報に基づいて共振用振動を決定する振動入力部310aと、タイヤ状態に関する情報をフィードバックするタイヤ状態推定部330aとが配置されていることである。
タイヤ状態推定部330aは、ねじりばね定数Kの変化に基づいて、タイヤ108の空気圧が著しく低下したか否かを判定する。そして、タイヤ状態推定部330aは、共振周波数fc0と、パンク等によるタイヤ空気圧の著しい低下(以下「空気圧低下」という)の有無についての判定結果とを保持する。
振動入力部310aは、タイヤ状態推定部330aが保持する共振周波数fc0および空気圧低下の有無の情報を取得する。そして、振動入力部310aは、これらの情報に基づいて、共振周波数fc0が抽出され易い振動となるように、トルクの大きさおよび振動周波数の少なくとも一方、またはこれらの両方を制御する。トルクの大きさおよび振動周波数の一方が固定値である場合には、振動入力部310aは、固定値ではない他方のみを制御すれば良い。
図20は、実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態3の図17に対応するものである。
振動入力部310aは、推定実施タイミングが到来する毎に、タイヤ状態推定部330aに保存されている、前回の推定実施タイミングで取得された(以下単に「前回の」という)共振周波数fc0および空気圧低下の有無の情報を読込む(S1050)。
この情報の読込みは、例えば、振動入力部310aが、タイヤ状態推定部330aに対して情報要求指令を送出し、この情報要求指令を取得したタイヤ状態推定部330aが、情報を振動入力部310aへ送出しても良い。そして、振動入力部310aは、空気圧低下無しであれば(S1051:NO)、この共振周波数fc0を含む振動を発生させるための共振用振動を決定し(S1060)、決定した共振用振動をタイヤ108へ入力する(S1090)。共振用振動の決定の詳細については後述する。なお、空気圧低下有りの場合(S1051:YES)には、振動入力部310aは、共振用振動の出力は行わず処理を終了する。
一方、タイヤ状態推定部330aは、ねじりばね定数K(t)を算出すると(S1130)、今回の推定実施タイミングで取得された(以下単に「今回の」という)ねじりばね定数K(t)と前回のねじりばね定数K(t−1)との差が、予め定めた閾値以上であるか否かを判断する(S1140)。なお、tは、最新の周波数情報に基づくパラメータであることを示し、t−nは、n回前の推定実施タイミングで入力された周波数情報に基づくパラメータであることを示す。
タイヤ状態推定部330aは、今回のねじりばね定数K(t)と前回のねじりばね定数K(t−1)との差が閾値以上である場合、つまりタイヤ内圧が急激に変化したといえる場合には(S1140:YES)、タイヤ108の空気圧低下が発生したと判定する(S1150)。そして、タイヤ状態推定部330aは、空気圧低下が発生した旨を示す空気圧低下情報を保存する(S1160)。
この空気圧低下情報は、次回の推定実施タイミングの(以下単に「次回の」という)ステップS1050において、振動入力部310aにより読込まれる。そして、タイヤ交換または修理後のリセット処理が行われるまで、つまり空気圧低下無しの空気圧低下情報が入力されるまで、振動入力部310aは、共振用振動の出力を停止する。なお、このリセット処理は、タイヤ交換を行った後にドライバ等が図示しないリセットボタンを押下する等により指示される。リセット処理が指示されると、タイヤ状態推定部330aは、保存しているタイヤ空気圧低下情報を破棄する。
また、タイヤ状態推定部330aは、差が閾値未満である場合には(S1140:NO)、共振周波数fc0およびばね定数K(t)を保存する(S1180)。これらのうち、共振周波数fc0は、次回のステップS1050において振動入力部310aにより読込まれる。また、ばね定数K(t)は、次回のステップS1140において前回のばね定数K(t−1)として用いられる。
なお、タイヤ状態推定部330aは、複数回分のばね定数K(t−1)、K(t−2)、・・・K(t−m)(m:正の整数)を保存しておいても良い。そして、タイヤ状態推定部330aは、保存しておいた複数回分のばね定数のうちの任意の1つもしくは最大値、または平均値と、今回のばね定数K(t)との差を、判定に用いても良い。
以下、共振用振動の決定の詳細について説明する。
共振周波数fc0が不明な段階では、共振周波数fc0が抽出され易い振動も不明である。したがって、振動入力部310aは、共振用トルクを、広い周波数帯域において、低い周波数から高い周波数へ、もしくは、高い周波数から低い周波数へと掃引する正弦波状のトルクに決定する。すなわち振動入力部310aは、共振周波数fc0が不明である初期状態においては、共振周波数fc0を確実に抽出できるよう、比較的広い範囲を探索するような振動トルクを、共振用トルクに決定する。
ところが、このような広い周波数帯域に対する探索には、比較的時間が掛かる。
そこで、タイヤ状態検出装置10は、直前に共振周波数fc0が検出されている場合には、探索範囲を絞り込み、探索時間の短縮を図る。具体的には、振動入力部310aは、タイヤ状態推定部330aから取得した前回の共振周波数fc0を含む狭い周波数帯域に限定した振動トルクを、共振用トルクに決定する。
例えば、振動入力部310aは、前回の共振周波数fc0を含む範囲に周波数の上限・下限値を設定し、下限値の周波数から上限値の周波数へ、もしくは、上限値の周波数から下限値の周波数へと掃引する正弦波状のトルクを、共振用トルクに決定する。または、振動入力部310aは、前回の共振周波数fc0を含む範囲に通過帯域を限定した帯域通過フィルタを作成し、振動入力部310aは、白色雑音を意図的に発生させ、この白色雑音を、生成した帯域通過フィルタに通過させて得られる白色雑音トルクを、共振用トルクに決定する。
なお、振動入力部310aは、共振周波数fc0の変化が少ない場合にのみ探索範囲の絞り込みを行っても良い。また、振動入力部310aは、複数回分の共振周波数fc0の平均値を用いて、探索範囲の絞り込みを行っても良い。更には、振動入力部310aは、この平均値の算出を行う場合、大きく外れている値を除外して、平均値を算出しても良い。これにより、タイヤ状態検出装置10は、共振周波数fc0の抽出精度を向上させることができる。
また、タイヤ108に空気圧低下が発生したりタイヤ108が交換されたりした場合には、タイヤ108の状態が大きく変化するため、共振周波数fc0が大幅に変わっている可能性が高い。したがって、そのような場合には、振動入力部310aは、探索範囲の絞り込みを解除して、比較的広い範囲を探索するような振動トルクを、共振用トルクに決定する。
このように、実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置10は、共振周波数fc0の探索時間を短縮させることができる。これにより、実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108の状態を、短時間で検出することができる。
(実施の形態5)
図21は、本発明の実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態4の図19に対応するものである。
実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態4と異なる主な点は、タイヤ内圧算出部340および情報提示部350を有することである。なお、タイヤ内圧算出部340は、実施の形態1および実施の形態2の内圧導出部110に対応し、情報提示部350は、実施の形態1および実施の形態2の情報提示部111に対応する。
タイヤ内圧算出部340は、タイヤ状態推定部330aからねじりばね定数K(t)を取得し、ねじりばね定数K(t)に基づいてタイヤ108の内圧を算出する。具体的には、タイヤ内圧算出部340は、タイヤ108の内圧は、例えば、タイヤのばね定数Kとタイヤ108の内圧との相関関係を予め記憶しており、この相関関係を用いて、ばね定数K(t)からタイヤ108の内圧を算出する。この相関関係は、テーブルによって定義されても良いし、関数によって定義されても良い。そして、タイヤ内圧算出部340は、算出したタイヤ108の内圧を、内圧情報として情報提示部350へ出力する。
ねじりばね定数Kとタイヤ108の内圧との間の相関関係は、比例関係である。ねじりばね定数Kとタイヤ108の内圧との間の比例関係およびこれに基づくタイヤ108の内圧の検出手法の詳細は、例えば非特許文献1に記載されているため、ここでの説明を省略する。但し、タイヤ内圧算出部340が用いるタイヤ108の内圧の検出手法は、非特許文献1に記載の手法に限定されない。
また、タイヤ内圧算出部340は、タイヤ状態推定部330aに空気圧低下情報が保持されている場合には、これを取得し、情報提示部350へ出力する。
情報提示部350は、タイヤ内圧算出部340から内圧情報または空気圧低下情報を入力されると、内圧情報および空気圧低下情報の内容を、ドライバに対して提示する。この提示は、例えば、インストルメントパネルやナビゲーション装置のディスプレイにおける表示や、ラウドスピーカからの音声出力によって行われる。
図22は、実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態4の図20に対応するものである。
タイヤ状態推定部330aは、タイヤ108に空気圧低下が発生したと判定すると(S1150)、空気圧低下情報を保存すると共に、タイヤ内圧算出部340へ出力する(S1161)。また、タイヤ状態推定部330aは、今回のねじりばね定数K(t)と前回のねじりばね定数K(t−1)との差が予め定めた閾値未満である場合には(S1140:NO)、ねじりばね定数K(t)をタイヤ内圧算出部340へ出力する(S1170)。そして、タイヤ状態推定部330aは、ねじりばね定数K(t)を保存する(S1180)。
タイヤ内圧算出部340は、ねじりばね定数K(t)を入力された場合は、ねじりばね定数K(t)から、タイヤ108の内圧を算出する(S1190)。そして、タイヤ内圧算出部340は、算出した内圧を、内圧情報として情報提示部350へ出力する。また、タイヤ内圧算出部340は、空気圧低下情報を入力された場合は、タイヤ108に空気圧低下が発生していることを情報提示部350へ出力する。この結果、タイヤ108の内圧を示す内圧情報と、タイヤ108に空気圧低下が発生していることを示す空気圧低下情報とが、適宜、タイヤ108の状態に応じてドライバに提示されることになる(S1200)。
このように、実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108の状態をドライバに対して提示するので、空気の注入やパンク修理等の適切な処置を、ドライバに対して促すことができる。これにより、実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置10は、車両に対する安全性の向上や燃費の向上を図ることができる。
なお、情報提示の対象は、ドライバに限定されず、他の同乗者や、車両の整備者、車両の遠隔監視者であっても良い。整備者に対して提示を行う場合は、タイヤ状態検出装置10は、内圧情報および空気圧低下情報、または、これらの基となる各情報を記録する記録媒体を備える必要がある。また、遠隔監視者に対して提示を行う場合には、タイヤ状態検出装置10は、管理サーバ等の外部装置に対して内圧情報および空気圧低下情報を送信する通信装置を備える必要がある。
(実施の形態6)
図23は、本発明の実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態5の図21に対応するものである。
実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10は、バッテリ部510、インバータ部520、およびモータ部530を駆動系とするタイヤ108に適用されるものである。実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態5と異なる主な点は、振動入力部310aがインバータ制御部311に置き換わり、周波数情報取得部320が回転角速度検出部321に置き換わっていることである。なお、バッテリ部510、インバータ部520、およびモータ部530は、実施の形態1および実施の形態2のバッテリ部105、インバータ部104、およびモータ部107、201にそれぞれ対応する。また、インバータ制御部311および回転角速度検出部321は、実施の形態1および実施の形態2のインバータ制御部103および回転角速度算出部203にそれぞれ対応する。
バッテリ部510は、インバータ部520が電流を出力するために必要な電力を、インバータ部520に供給する蓄電池である。
インバータ部520は、後述のインバータ制御部311から入力される、モータ駆動電流の出力指令値に従って、モータ部530に対して電力を出力する。
モータ部530は、インバータ部520から供給される電力によりトルクを発生し、タイヤ108を駆動する。
インバータ制御部311は、ドライバが車両を加速するために踏み込んだアクセルペダル(例えば実施の形態1および実施の形態2のアクセルペダル100)の踏込量を示す操作情報(以下単に「操作情報」という)を入力する。この入力は、例えば、実施の形態1および実施の形態2のアクセルポジションセンサ部101を用いて行われる。そして、インバータ制御部311は、操作情報から、走行用トルクの値を決定する。また、インバータ制御部311は、実施の形態5の振動入力部310aと同様に、共振用トルクを決定する。そして、インバータ制御部311は、共振用トルクと走行用トルクとの合成トルクがモータ部530から出力されるような、モータ駆動電流の出力指令値を、インバータ部520へ出力する。
さらに、インバータ制御部311は、モータ部530のモータ駆動電流の実際出力値を電流検出部(図示せず)により検出する。そして、インバータ制御部311は、この実際出力値がインバータ制御部311で算出した出力指令値に一致するように、インバータ部520のモータ部530に対する電力供給を制御する。
インバータ制御部311は、このような出力指令値の生成を、合成トルクの値を算出することにより行っても良いし、共振用電流と走行用電流とを合成することによって(加算することによって)行っても良い。
回転角速度検出部321は、タイヤ108から、タイヤ108のリムの回転角速度ωを検出し、上述の周波数情報として、タイヤ状態推定部330aへ出力する。回転角速度検出部321は、例えば、タイヤ108のステータに対するロータの回転角度を検出するエンコーダ(図示せず)から、リムの回転角度を取得する。そして、回転角速度検出部321は、リムの回転角度に対してそれぞれ時間微分を行うことにより、回転角速度ωを算出する。
なお、回転角速度検出部321は、例えば、インクリメンタルエンコーダまたはアブソリュートエンコーダ等の光学式エンコーダや、ホール素子等により構成される磁気式エンコーダ等を用いて、回転角度を取得しても良い。また、回転角速度検出部321は、タイヤ108から直接に回転角度または回転角速度を取得しても良い。
タイヤ状態推定部330aは、回転角速度検出部321から入力される回転角速度ωに基づいて、タイヤ108の共振周波数fc0を算出する。
図24は、実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態5の図22に対応するものである。
まず、アクセルペダルが踏み込まれると、インバータ制御部311は、アクセルペダルの踏込量に基づく走行用トルクの値を導出し(S1010)、走行用トルクの値に対応する走行用電流を導出する(S1020)。そして、インバータ制御部311は、推定実施タイミングではない場合には(S1030:NO)、走行用電流を出力指定値としてインバータ部520へ出力する。この結果、モータ部530からは、走行用電流のみがモータ駆動電流として出力され(S1040)、走行用トルクのみがタイヤ108に掛けられる。
一方、推定実施タイミングである場合には(S1030:YES)、インバータ制御部311は、前回の共振周波数fc0を読み込む(S1050)。そして、インバータ制御部311は、空気圧低下無しであれば(S1051:NO)、前回の共振周波数fc0を含む振動を発生させるための共振用トルクを導出する(S1061)。そして、インバータ制御部311は、共振用トルクの値に対応する共振用電流を導出し(S1070)、走行用電流に共振用電流を重畳した合成駆動電流の出力指令値を生成し、インバータ部520へ出力する(S1081)。この結果、モータ部530からは、合成駆動電流がモータ駆動電流として出力され(S1091)、合成駆動トルクがタイヤ108に掛けられる。
そして、回転角速度検出部321は、タイヤ108の回転角速度ωを検出し、時系列の回転角速度信号として、タイヤ状態推定部330aへ出力する(S1101)。タイヤ状態推定部330aは、入力される回転角速度信号を、上述の、前回の共振周波数fc0を含む帯域を通過帯域とする帯域通過フィルタに通過させる(S1110)。そして、帯域通過フィルタを通過した後の回転角速度信号から、タイヤ108の共振周波数fc0を抽出する(S1120)。
このように、実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10は、操作情報を入力し、モータ駆動電流の値を制御することにより、走行用トルクおよび共振用トルクの入力を行う。これにより実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10は、操作情報を取得可能であってモータ駆動電流の値を指定可能な駆動系のタイヤ108に対して、容易に共振用振動を入力することができる。
また、実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108と安定的かつ固定的に接続されたモータ部530から共振用振動を入力するので、周波数情報における共振周波数および共振周波数以外の振動成分の影響を小さくすることができる。
また、実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10は、モータ部530を駆動するために設置されている回転角度センサから取得される回転角速度を周波数情報として取得するので、振動を検出するための別のセンサを用意する必要が無い。
なお、停車中の場合は、ドライバがアクセルペダルを踏んでいない状態であり、走行用トルクはゼロとなる。したがって、タイヤ状態検出装置10は、停車中にタイヤ108の状態の検出を行う場合には、共振用トルクのみをタイヤ108に入力することになる。
(実施の形態7)
図25は、実施の形態7に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態6の図23に対応するものである。
実施の形態7に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態6と異なる主な点は、回転角速度検出部321が、電流取得部322および回転角速度検出部323に置き換わることである。
電流取得部322は、モータ部530から、モータ駆動電流の実際出力値を取得し、回転角速度検出部323へ出力する。
回転角速度検出部323は、モータ駆動電流の実際出力値Iから、タイヤ108のリムの回転角速度ωを算出して、タイヤ状態推定部330aへ出力する。
ここで、回転角速度検出部323における、モータ駆動電流の実際出力値Iから回転角速度ωを算出する手法について説明する。
図26は、モータ駆動系の構成の一例を示す制御ブロック図である。
インバータ制御部311のPI制御器521は、モータ部530で検出される合成駆動電流の実際出力値が、インバータ制御部311により算出された合成駆動電流(の指令値)に一致するように、モータ部530を流れる電流の実際出力値Iを制御する制御器である。すなわち、PI制御器521は、インバータ制御部311で算出した出力指令値Iq_refに、モータ部530の実際出力値Iが一致するような制御電圧Vq_refを、モータ部530に印加する。
モータ回路531は、巻き線コイルのインダクタンスLおよび巻き線コイルの抵抗Rによりモデル化が可能な電子回路である。実際出力値Iにより、トルク定数Kに比例する出力トルクTが、タイヤ108に加えられる。そして、タイヤ108の回転と共に、モータ部530のロータが回転角速度ωで回転する。このときモータ部530では、ロータの回転角速度ωに比例する(比例定数K)逆起電力−Kωが生じ、モータ部530の巻き線コイルの両端には、電圧V=Vq_ref−Kωが、実際入力電圧値として入力される。この関係から、以下の式(2)が導出される。
Figure 2011040019
回転角速度検出部323は、実際出力値Iおよび制御電圧Vq_refから、式(2)を用いてモータ部530の回転角速度(つまりタイヤ108のリムの回転角速度)ωを算出し、タイヤ状態推定部330aへ出力する。
このように、実施の形態7に係るタイヤ状態検出装置10は、モータ部530に出力される駆動電流の実際出力値およびインバータ制御部311で算出される制御電圧から回転角速度ωを検出することができるので、エンコーダ等のセンサを不要とすることができる。
なお、実施の形態7は、モータ部530が、回転子の表面に永久磁石を貼り付けた、表面磁石構造の同期モータであって、d軸電流が零である電流制御を想定したものであるが、モータ部530の構成はこれに限定されない。例えば、モータ部530が、回転子の内部に永久磁石を埋め込んだ、埋め込み磁石構造の同期モータであって、d軸電流が非零での電流制御系を想定した場合においても、同様に回転角速度ωを検出することが可能である。
(実施の形態8)
図27は、実施の形態8に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態6の図23に対応するものである。
実施の形態8に係るタイヤ状態検出装置10は、バッテリ部510、インバータ部520、モータ部530、およびインバータ制御部540を駆動系とするタイヤ108に適用されるものである。実施の形態8に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態6と異なる主な点は、インバータ制御部311が制御部312に置き換わっていることである。なお、制御部312は、実施の形態1および実施の形態2のECU102に対応する。
インバータ制御部540は、後述の制御部312から入力される、タイヤ108の出力トルクの値に基づいて、その出力トルクをモータ部530が出力するようなモータ駆動電流の出力指令値を算出し、インバータ部520へ出力する。または、インバータ制御部540は、後述の制御部312から入力される、タイヤ108の出力トルクをモータ部530が出力するようなモータ駆動電流に基づいて、そのモータ駆動電流を出力する出力指令値を算出し、インバータ部520へ出力する。
制御部312は、実施の形態5記載の振動入力部310aと同様に、操作情報に基づく走行用トルクの値と、共振用トルクの値とを決定する。そして、制御部312は、タイヤ108の出力トルクの値として、共振用トルクと走行用トルクとを合成した合成トルクの値を、インバータ制御部540へ出力する。なお、出力トルクの値の出力は、出力トルクの値そのものではなく、出力トルクをタイヤ108に出力するためのモータ部530へのモータ駆動電流の出力により行われても良い。
このように、実施の形態8に係るタイヤ状態検出装置10は、操作情報を入力し、出力トルクの値を制御することにより、走行用トルクおよび共振用トルクの入力を行う。これにより、実施の形態8に係るタイヤ状態検出装置10は、操作情報を取得可能であって出力トルクの値を指定可能な駆動系のタイヤ108に対して、容易に共振用振動を入力することができる。
(実施の形態9)
図28は、実施の形態9に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態6の図23に対応するものである。
実施の形態9に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態6と異なる主な点は、電流指示部313を有していることである。なお、制御部312は、実施の形態1および実施の形態2のECU102に対応する。
電流指示部313は、実施の形態6のインバータ制御部311と同様に、共振用トルクを決定する。そして、電流指示部313は、決定した共振用トルクをモータ部530が出力するようなモータ駆動電流の値を、共振用電流の値として、インバータ制御部311へ出力する。
インバータ制御部311は、アクセルペダルの踏込量に対応する走行用トルクの値を決定し、この走行用トルクをモータ部530が出力するような走行用電流の値を算出する。そして、インバータ制御部311は、電流指示部313から入力される共振用電流の値を、走行用電流の値に加算して合成駆動電流の値を算出し、算出結果を、出力指令値としてインバータ部520へ出力する。
このように、実施の形態9に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108に固有の振動を発生させる共振用電流を生成する電流指示部313を有することにより、走行用電流に重畳した合成駆動電流をモータ部530へ出力し、走行用トルクおよび共振用トルクの入力を行う。これにより、実施の形態9に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108に対して、容易に共振用振動を入力することができる。
(実施の形態10)
図29は、実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態8の図27に対応するものである。
実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態8と異なる主な点は、共振用振動指示部314を有していることである。なお、共振用振動指示部314は、実施の形態1および実施の形態2のECU102に対応する。
共振用振動指示部314は、実施の形態9の電流指示部313と同様に、共振用トルクを決定する。そして、共振用振動指示部314は、決定した共振用トルクの値を、制御部312へ出力する。
制御部312は、ドライバが車両を加速するために踏み込んだアクセルペダル(図示せず)の踏込量に対応する走行用トルクを決定する。そして、制御部312は、共振用振動指示部314から入力された共振用トルクと走行用トルクとの合成トルクを算出し、インバータ制御部540へ出力する。または、制御部312は、この走行用トルクがモータ部530から出力されるようなモータ駆動電流(すなわち、走行用電流)の値を導出すると共に、制御部312は、共振用振動指示部314から入力された共振用トルクをモータ部530が出力するようなモータ駆動電流(すなわち、共振用電流)の値を導出して、走行用電流に共振用電流を重畳した合成駆動電流を生成し、インバータ制御部540へ出力する。
このように、実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108に固有の振動を発生させる共振用トルクを生成する共振用振動指示部314を有することにより、走行用トルクと重畳した合成トルクに基づく合成駆動電流をモータ部530へ出力し、走行用トルクおよび共振用トルクの入力を行う。これにより、実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108に対してモータ駆動電流の値を指定可能な駆動系のタイヤ108に対して、容易に共振用振動を入力することができる。
(実施の形態11)
図30は、実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態6の図23に対応するものである。
実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態6と異なる主な点は、回転角速度検出部321が配置されていないことである。
タイヤ状態推定部330aは、インバータ制御部311が算出した図26のモータ部530に対する制御電圧Vq_refを入力し、例えば以下の手法により共振周波数fc0を算出して、タイヤ108の状態を推定する。
図26において説明した関係から、以下の式(3)が導出される。
Figure 2011040019
この式(3)において、右辺第2項+第3項(Iの項)は、モータ部530がインバータ制御部311から入力されるモータ駆動電流の出力指令値Iq_refを出力するように制御されているため、入力である出力指令値Iq_refと同じ周波数特性が現れる。一方、右辺第1項(Kωの項)は、式(1)において説明したような、共振周波数fc0を含む振動に応じて発生する逆起電力である。したがって、式(3)の制御電圧Vq_refを用いることにより、タイヤ内圧の影響を受けるねじりばねの共振周波数fc0を検出することが可能である。
制御電圧Vq_refから共振周波数fc0を検出する手法としては、上述の周波数解析を制御電圧Vq_refに対して行って共振周波数fc0を示す急峻なピーク位置を検出する手法や、上述の一括型最小二乗推定法を利用する手法を採用し得る。
このように、実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置10は、モータ部530に対する制御電圧からタイヤ108の状態を推定するので、回転角速度取得部を不要とすることができる。すなわち、実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108の角度や回転角速度を検出するセンサを使用することなく、センサを使用する構成と同等の精度で、タイヤ108の状態を検出することができる。
なお、実施の形態6〜実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置は、タイヤに所定の振動を入力する手法として、インバータ部への入力信号を制御するようにしたが、モータ部への入力信号(つまり制御電圧)を直接に制御しても良い。すなわち、タイヤ状態検出装置は、インバータ部を含む構成であっても良い。
また、実施の形態6〜実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置は、タイヤ内圧算出部および情報提示部を必ずしも備えなくても良い。
また、実施の形態8〜実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置は、回転角速度取得部に代えて、実施の形態7の電流取得部および回転角速度検出部を備えても良い。
また、実施の形態8〜実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置は、回転角速度取得部を必ずしも備えなくてもよく、実施の形態11で説明した制御電圧から共振周波数を抽出するようにしても良い。
2009年9月30日出願の特願2009−228279の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明に係るタイヤ状態検出装置は、タイヤ状態を高精度に検出することができるタイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法として有用であり、特に、自動車または鉄道の車両等の一部に用いられる装置として有用である。
1、2 車両
10、20 タイヤ状態検出装置
100 アクセルペダル
101 アクセルポジションセンサ部
102 ECU
103、311、540 インバータ制御部
104、520 インバータ部
105、510 バッテリ部
106 電流検出部
107、201、530 モータ部
108 タイヤ
109 共振周波数検出部
110 内圧導出部
111、350 情報提示部
202 エンコーダ部
203 回転角速度算出部
310、310a 振動入力部
312 制御部
313 電流指示部
314 共振用振動指示部
320 周波数情報取得部
321、323 回転角速度検出部
322 電流取得部
330、330a タイヤ状態推定部
340 タイヤ内圧算出部
521 PI制御器
531 モータ回路
本発明は、車両のタイヤの内圧等のタイヤ状態を検出するタイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法に関する。
近年、自動車に対する安全性の向上が求められ、この安全性を担保する要素技術の研究開発が盛んに進められている。この安全性を担保する要素技術の一つにタイヤの空気圧の検出がある。タイヤの空気圧を検出する方法として、一般的に、直接的検出方法と間接的検出方法とが知られている。
直接的検出方法とは、圧力センサ等のセンサがタイヤのホイール内部に直接的に配置され、このセンサで取得された圧力情報に基づいてタイヤの空気圧を検出する方法である。当該センサで取得された圧力情報は、例えば無線を介して、タイヤのホイール内に配置された送信機から車内の受信アンテナを介して、受信機およびメータ等の表示器に送信される。直接的検出方法は、タイヤの空気圧を高精度に検出することができるため、例えば四輪のタイヤの空気圧が同時に低下した場合でも検出することが可能である。
しかし、この直接的検出方法では、センサが非常に高価であり導入するためのコストがかかるため、現在タイヤの空気圧検出に関して普及するまでには至っていない。また、ホイールを交換することにより、再びセンサを配置する必要が生じるため、当該配置にコストもかかるという問題点がある。したがって、現在では、コストの観点からタイヤの空気圧検出に関しては間接的検出方法が普及している。
間接的検出方法とは、自動車の四輪のタイヤのうち特定のタイヤの空気圧が他のタイヤの空気圧と比べて相対的に低下していることを検出する方法である(例えば、特許文献1参照)。間接的検出方法は、ABS(Antilock Brake System)を拡張してタイヤの空気圧を検出する。ABSは、各タイヤの回転速度を測定し、この測定した回転速度をブレーキの制御に利用する。タイヤの回転速度は自動車の走行速度とタイヤの半径で定まる。また、タイヤの空気圧が低下した場合には、タイヤがつぶれるため、タイヤの回転半径が小さくなる。その結果、空気圧の低下したタイヤだけ回転速度が速くなる。この回転速度の違いにより、タイヤの空気圧を検出する。このような間接的検出方法は、既存のABSを拡張して利用することができるため、上記した直接的検出方法に比べて安価に導入することができる。
このような間接的検出方法の一例として、下記に示す非特許文献1がある。非特許文献1に記載の技術は、タイヤのばね定数がタイヤの空気圧に依存するという関係、およびタイヤのばね定数はタイヤの共振周波数に比例するという関係を利用している。非特許文献1には、これらの関係に基づいて、測定されたタイヤの回転速度に対して周波数解析を行うことにより、タイヤの共振周波数を検出し、この検出した共振周波数に対応するタイヤの空気圧を検出する方法が開示されている。
特開平05−133831号公報
梅野孝治、「車輪速センサを用いたタイヤ空気圧検出法の開発」、豊田中央研究所 R&Dレビュー、1997年12月、Vol.32 No.4
しかし、非特許文献1による方法では、タイヤに機械共振を発生させるための加振源を、自動車が路面上を走行する場合にタイヤに発生する振動であるとして、タイヤの回転速度を導出している。非特許文献1による方法でタイヤの回転速度を導出する場合には、路面との摩擦係数またはタイヤの摩耗等の外乱の影響を受ける。また、自動車が路面上を走行する場合においてタイヤに発生する振動を加振源としているため、タイヤに機械共振が発生した場合には、自動車の外乱の影響を受けた機械共振または当該影響を受けていない機械共振のどちらであるのかが高精度に判定することができなかった。このように、自動車の外乱の影響を考慮してタイヤの共振周波数を検出する方法では、当該外乱の影響を無視することができないために高精度に検出することができなかった。結果的に、タイヤの空気圧を高精度に検出することが難しいという問題点があった。
本発明の目的は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、タイヤ状態を高精度に検出することができるタイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法を提供することである。
本発明の一態様に係るタイヤ状態検出装置は、ホイールに固定される空気入りタイヤのタイヤ状態を検出するタイヤ状態検出装置であって、所定の振動を前記タイヤに入力する振動入力部と、前記所定の振動が入力されたときの前記タイヤの周波数情報を取得する周波数情報取得部と、取得された前記周波数情報から前記タイヤの共振周波数を抽出し、抽出した前記タイヤの共振周波数から、前記タイヤを外側慣性モーメント、内側慣性モーメント、およびこれらの間に働く弾性力のばね定数を用いてモデル化したときの、前記ばね定数を算出するタイヤ状態推定部とを有する。
本発明の一態様に係るタイヤ状態検出方法は、ホイールに固定される空気入りタイヤのタイヤ状態を検出するタイヤ状態検出方法であって、所定の振動を前記タイヤに入力するステップと、前記所定の振動が入力されたときの前記タイヤの周波数情報を取得するステップと、取得された前記周波数情報から前記タイヤの共振周波数を抽出するステップと、抽出された前記タイヤの共振周波数から、前記タイヤを外側慣性モーメント、内側慣性モーメント、およびこれらの間に働く弾性力のばね定数を用いてモデル化したときの、前記ばね定数を算出するステップとを有する。
本発明に係るタイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法によれば、タイヤ状態を高精度に検出することができる。
本発明の実施の形態1に係るタイヤ状態検出装置を含む車両の内部構成の一例を示すブロック図 実施の形態1におけるインバータ出力電流の出力指令値の時間変化を示す図 実施の形態1における電流検出部で検出されるインバータ出力電流の実際出力値の時間変化を示す図 実施の形態1に係るタイヤ状態検出装置の動作の一例を示すフローチャート 実施の形態1におけるインバータ制御部による動作の一例を示すフローチャート 実施の形態1に係るタイヤ状態検出装置の車両停止中における動作の一例を示すフローチャート 実施の形態1における車両停車中のインバータ出力電流の出力指令値の時間変化を示す図 実施の形態1における車両停車中に電流検出部で検出されるインバータ出力電流の実際出力値の時間変化を示す図 実施の形態1における単一のモータ部に対して複数のタイヤが配置されている車両の全体構成の一例を示す図 実施の形態1における単一のモータ部に対して2つのタイヤが配置されている場合のインバータ出力電流の実際出力値の時間変化を示す図 実施の形態1における、単一のモータ部に対して2つのタイヤが配置されている場合で、かつ、車両停車中におけるインバータ出力電流の実際出力値の時間変化を示す図 本発明の実施の形態2に係るタイヤ状態検出装置を含む車両の内部構成の一例を示すブロック図 実施の形態2における回転角速度算出部で導出されたモータ部の回転角速度の時間変化を示す図 実施の形態2に係るタイヤ状態検出装置の動作の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態3に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態3におけるタイヤの力学的モデルを示す図 実施の形態3に係るタイヤ状態検出装置の動作の一例を示すフローチャート 実施の形態3におけるタイヤの周波数特性の一例を示す図 本発明の実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置の動作の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置の動作の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置の動作の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態7に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態7におけるモータ駆動系の構成の一例を示す制御ブロック図 本発明の実施の形態8に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 本発明の実施の形態9に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 本発明の実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図 本発明の実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素および同一の処理には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
なお、各実施の形態の説明に先立って、主要な用語を以下のように定義する。
「共振用振動」とは、タイヤに共振を発生させるための後述の所定の振動をいう。
「走行用トルク」とは、車両の走行のためにタイヤに掛かるトルク(回転する力)である。
「共振用トルク」とは、共振用振動を発生させるためにタイヤに掛かるトルクである。
「合成トルク」とは、共振用トルクと走行用トルクとの合成トルクである。
「走行用電流」とは、走行用トルクを発生するためのモータ駆動電流(インバータ出力電流)である。
「共振用電流」とは、共振用トルクを発生するためのモータ駆動電流(インバータ出力電流)である。
「合成駆動電流」とは、合成トルクを発生するためのモータ駆動電流(インバータ出力電流)である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るタイヤ状態検出装置10を含む車両1の内部構成を示すブロック図である。図1に示すように、車両1は、アクセルペダル100、アクセルポジションセンサ部101、ECU102、インバータ制御部103、インバータ部104、バッテリ部105、電流検出部106、モータ部107、タイヤ108、共振周波数検出部109、内圧導出部110、および情報提示部111を有する。また、タイヤ状態検出装置10は、主に、ECU102、インバータ制御部103、インバータ部104、バッテリ部105、電流検出部106、共振周波数検出部109、内圧導出部110および情報提示部111から構成される。本実施の形態では、モータ部107が、タイヤ108に機械共振を発生させるための加振源である。
アクセルペダル100は、車両1内の運転席の足元に配置される車両部品であり、ドライバが運転中に加速等して車両1を走行させる場合に使用される。ドライバによるアクセルペダル100の踏込量は、アクセルポジションセンサ部101によって検出される。
アクセルポジションセンサ部101は、ドライバによるアクセルペダル100の踏込量を検出し、この検出した踏込量に関する情報を含むAP開度情報をECU102に送出する。
ECU102は、マイコン、ROMまたはRAM等により構成される電子制御装置(Electronic Control Unit)であり、所定の信号処理を行う。例えば、ECU102は、アクセルポジションセンサ部101から送出されたAP開度情報を取得し、この取得したAP開度情報に応じた走行用トルクを導出する。また、ECU102は、インバータ部104に走行用電流を出力させるための制御情報を、インバータ制御部103に送出する。走行用電流は、ECU102で導出された走行用トルクをモータ部107が駆動するために、インバータ部104がモータ部107に対して出力する必要のある電流である。なお、このインバータ制御部103に送出される制御情報には、AP開度情報に応じて導出された走行用トルクの値、および当該走行用トルクの値に対応する走行用電流をインバータ部104に出力させるための指令情報等が含まれる。
また、ECU102は、当該制御情報をインバータ制御部103に送出したとき、共振周波数検出部109に、共振用電流の出力指令値を生成させるための共振用電流生成指令情報を送出する。共振用電流の出力指令値とは、インバータ制御部103を介して、インバータ部104から共振用電流を出力させるための指令値を示す。共振用電流生成指令情報とは、共振周波数検出部109が共振用電流の出力指令値を生成するための指令情報を示す。共振周波数検出部109は、この共振用電流生成指令情報をECU102から取得したとき、共振用電流の出力指令値を生成し、この生成した共振用電流の出力指令値を、所定のタイミングでインバータ制御部103に送出する。
ECU102が共振用電流生成指令情報を共振周波数検出部109に出力するタイミングは、ECU102がインバータ制御部103に制御情報を送出したタイミングと同時である必要は特にない。例えば、ECU102は、共振用電流の生成指令情報をインバータ制御部103に出力する旨のタイミング情報を、常時送出しても良い。また、車両1を運転しているドライバから所定のスイッチ等が押下されたタイミングに合わせて、ECU102は、共振用電流の生成指令情報をインバータ制御部103に出力する旨のタイミング情報を、送出しても良い。
インバータ制御部103は、インバータ部104に走行用電流を出力させるための制御情報を、ECU102から取得する。インバータ制御部103は、当該制御情報に含まれる走行用トルクの値に対応する走行用電流の出力指令情報を、インバータ部104へ送出する。走行用電流の出力指令情報とは、当該走行用電流の出力指令値、および当該走行用電流の出力指令値をインバータ部104から出力させるための指令情報等が含まれる。走行用電流の出力指令値とは、当該走行用電流をインバータ部104に出力させるための指令値を示す。
また、インバータ制御部103は、共振周波数検出部109で生成された共振用電流を取得する。この共振用電流は、共振用電流の出力指令値を示す。共振周波数検出部109から共振用電流の出力指令値を取得したとき、インバータ制御部103は、上記した走行用電流の出力指令値と、上記した共振用電流の出力指令値とを重畳した合成駆動電流の出力指令値を含む合成駆動電流の出力指令情報をインバータ部104に送出する。合成駆動電流は、走行用電流と共振用電流との和である。さらに、合成駆動電流の出力指令値とは、走行用電流の出力指令値と、共振用電流の出力指令値とが加算された値を示す。また、合成駆動電流の出力指令情報には、合成駆動電流の出力指令値、および当該合成駆動電流の出力指令値をインバータ部104に出力させるための指令情報等が含まれる。
図2は、インバータ制御部103の制御の下で、インバータ部104が出力するインバータ出力電流の出力指令値の時間変化を示した図である。パラメータIqa*は走行用電流の出力指令値を表し、パラメータIqb*は共振用電流の出力指令値を表し、パラメータIq*はインバータ出力電流の出力指令値を表す。図2に示すように、横軸は時間を表し、縦軸はインバータ出力電流を表す。図2に示すように、インバータ出力電流は、走行用電流の出力指令値Iqa*と共振用電流の出力指令値Iqb*とが重畳された上記した合成駆動電流の出力指令値Iq*である。
共振用電流の出力指令値は、タイヤ108固有の共振周波数付近で掃引されたパルス信号、または正弦波信号等の交流信号で表される。インバータ制御部103は、インバータ部104が実際に出力した走行用電流または合成駆動電流の各実際出力値を電流検出部106を介して取得する。インバータ制御部103は、この取得した実際出力値と、図2に示したインバータ出力電流の出力指令値とが一致するようにインバータ部104を制御する。
インバータ部104は、インバータ制御部103から送出された走行用電流の出力指令情報を取得する。インバータ部104は、この取得した走行用電流の出力指令情報に含まれる走行用電流の出力指令値を、バッテリ部105から必要な電力の供給を受けたうえで出力する。また、インバータ部104は、インバータ制御部103から上記した合成駆動電流の出力指令情報を取得した場合、当該出力指令情報に含まれる合成駆動電流を、バッテリ部105から必要な電力の供給を受けたうえで出力する。
バッテリ部105は、インバータ部104が出力する走行用電流、または合成駆動電流を出力するために必要な電力をインバータ部104に供給する。
電流検出部106は、インバータ部104から実際に出力された走行用電流または合成駆動電流の各実際出力値を検出する。電流検出部106は、常時、走行用電流または合成駆動電流の各実際出力値を検出する。この検出された走行用電流または合成駆動電流の各実際出力値は、インバータ制御部103および共振周波数検出部109で検出される。
モータ部107は、インバータ部104に出力された走行用電流または合成駆動電流の各実際出力値を入力し、この入力された走行用電流または合成駆動電流の各実際出力値に基づいて、ECU102で導出された走行用トルクの値を出力してタイヤ108を駆動する。タイヤ108は、いわゆる車両1のタイヤであり、車両1に対して安定的かつ固定的に接続されている。タイヤ108は、ホイールとの間で気体を内包している。気体には、空気または窒素等が該当する。図1には一輪のタイヤが示されているが、後述するように、複数輪のタイヤが接続されていても構わない。
図3は、図2に示すインバータ出力電流の出力指令値に対して、インバータ部104が出力したインバータ出力電流の実際出力値の時間変化を示す図である。
共振周波数検出部109は、図3に示すように、電流検出部106を介して走行用電流または合成駆動電流であるインバータ出力電流の各実際出力値を検出する。共振周波数検出部109は、当該取得したインバータ出力電流が極小となっているときの周波数をタイヤ108の共振周波数として導出する。このインバータ出力電流が極小となるときの周波数がタイヤ108の共振周波数となるのは以下の説明による。
インバータ部104から実際に出力されたインバータ出力電流がモータ部107に入力されてタイヤ108に機械共振が発生したとする。このとき、当該共振により、当該タイヤ108と安定的かつ固定的に接続されているモータ部107内には電磁誘導により逆起電力が誘起される。この誘起された逆起電力に基づいて、モータ部107へ入力される電流と逆方向に当該逆起電力による反対電流が流れるため、インバータ部104から見たモータ部107のインピーダンスが極大になる。モータ部107のインピーダンスが極大のとき、モータ部107へ入力される電流が最も流れにくい状態となるため、図3に示すように、インバータ出力電流は極小値をとる。したがって、インバータ出力電流が極小のとき、タイヤ108は機械共振し、モータ部107に安定的かつ固定的に接続されたタイヤ108の共振周波数が検出される。
共振周波数検出部109は、タイヤ108の共振周波数の導出において、例えば、電流検出部106により検出されたインバータ出力電流を周波数解析(FFT等)する。この周波数解析によるスペクトル波形においては、タイヤ108の共振周波数で急峻なピークが現れるため、このピークが現れるときの周波数がタイヤ108の共振周波数と判断される。共振周波数検出部109は、検出した共振周波数に関する情報を内圧導出部110に送出する。
内圧導出部110は、共振周波数検出部109から送出された共振周波数に基づいてタイヤ108の内圧を導出する。タイヤ108の内圧は、例えば、タイヤ108の共振周波数とタイヤのばね定数とが比例関係にあること、およびタイヤのばね定数とタイヤ108の内圧とが比例関係にあること(例えば、非特許文献1参照)に基づいて導出される。ただし、内圧の導出方法は、非特許文献1に記載の方法に限定されない。
情報提示部111は、内圧導出部110に導出されたタイヤ108の内圧に関する内圧情報を車両1のドライバに対して提示する。この提示では、メータ等で表示しても良いし、車両1に予め配設されているナビゲーション装置のディスプレイ等に表示しても良い。
(タイヤ状態検出装置10の動作)
次に、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10の動作について図4および図5を参照して説明する。
図4は、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10の動作を説明するフローチャートである。図5は、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10のインバータ制御部103の動作の詳細を説明したフローチャートである。
車両1を運転するドライバがアクセルペダル100を所定量踏み込んだ場合、アクセルポジションセンサ部101は当該踏まれたアクセルペダル100の踏込量を検出する。ECU102は、この検出された踏込量に関する情報を含むAP開度情報をアクセルポジションセンサ部101から取得する(S101)。
ECU102は、アクセルポジションセンサ部101から送出されたAP開度情報を取得する(S101のYES)。ECU102は、この取得したAP開度情報に基づき、モータ部107がタイヤ108を回転させるために必要な出力トルク(走行用トルク)を算出する(S102)。ECU102は、インバータ部104に走行用電流を出力させるための制御情報をインバータ制御部103に送出する(S103)。上記したとおり、当該制御情報がインバータ制御部103に送出されたとき、ECU102は、共振周波数検出部109に、共振用電流の出力指令値を生成させる共振用電流生成指令情報を送出する。
図5に示すように、インバータ制御部103は、ECU102から制御情報を取得した場合(S103aのYES)、共振周波数検出部109から、共振用電流の出力指令値を取得した否かを判断する(S103b)。インバータ制御部103は、共振用電流の出力指令値を取得した場合(S103bのYES)、走行用電流の出力指令値と共振用電流の出力指令値とを重畳した合成駆動電流の出力指令値を生成する(S103c)。インバータ制御部103は、インバータ部104に、この生成した合成駆動電流の出力指令値を出力するように制御する合成駆動電流の出力指令情報を送出する(S103d)。
インバータ部104は、インバータ制御部103から合成駆動電流の出力指令情報を取得する。インバータ部104は、この取得した合成駆動電流の出力指令情報に基づき、バッテリ部105から必要な電力の供給を受け(S104)、当該出力指令情報に対応する合成駆動電流を出力する(S105)。
電流検出部106は、インバータ部104から実際に出力された合成駆動電流の実際出力値を検出する(S106)。この検出された合成駆動電流(インバータ出力値)の実際出力値の時間変化は、図3に示すとおりである。
共振周波数検出部109は、電流検出部106によって検出された合成駆動電流(インバータ出力値)の実際出力値が極小となっているときの周波数をタイヤ108の共振周波数として導出する。共振周波数検出部109は、例えば、電流検出部106により検出された合成駆動電流を周波数解析(FFT等)することによって、タイヤ108の共振周波数を検出する(S107)。
内圧導出部110は、共振周波数検出部109から送出された共振周波数に基づいてタイヤ108の内圧を導出する(S108)。情報提示部111は、内圧導出部110に導出されたタイヤ108の内圧に関する内圧情報を車両1のドライバに対して提示して(S109)、タイヤ状態検出装置の動作は終了する。
以上のように、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10では、共振周波数検出部109がタイヤ108固有の共振周波数付近で掃引した共振用電流をインバータ制御部103に送出する。インバータ制御部103は、この共振用電流と走行用電流とを重畳した合成駆動電流の出力指令値をインバータ部104に送出する。インバータ部104が実際に出力した合成駆動電流の実際出力値からタイヤ108の共振周波数を検出する。
したがって、タイヤ108と安定的かつ固定的に接続されたモータ部107に入力される合成駆動電流の実際出力値の時間変化からタイヤ108の機械共振を判定するため、車両1の外乱の影響を考慮する必要がなくなり、タイヤ108の共振周波数を高精度に判定することができる。タイヤ108の共振周波数を高精度に判定することができるため、結果的に、タイヤの内圧を高精度に検出することができる。
(車両停車中におけるタイヤ状態検出装置10の動作)
次に、車両1が停車中である場合に、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10がタイヤ108の内圧を導出する動作について、図6〜図8を参照して説明する。
図6は、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10における車両停止中の動作を説明するフローチャートである。図7は、車両停車中に、インバータ制御部103がインバータ部104に送出したインバータ出力電流の出力指令値の時間変化を示す図である。図8は、車両停車中に、電流検出部106で検出されるインバータ出力電流の実際出力値の時間変化を示す図である。
車両1が停車中である場合には、アクセルペダル100はドライバに踏み込まれない。すなわち、アクセルポジションセンサ部101は、アクセルペダル100からの踏込量を検出しない。ECU102は、例えばドライバから所定のスイッチ等の押下に対応する入力信号を取得し、この入力信号に基づいて、共振周波数検出部109に共振用電流生成指令情報を送出する(S110)。この共振用電流生成指令情報が共振周波数検出部109に送出されるタイミングは、ドライバからの所定スイッチ等押下のタイミングである必要は特にない。例えば、不図示の車輪速度センサ等により車両1が運転停止と判断されたタイミングでも良いし、不図示のタイマー等の計測によって運転停止直後から所定時間経過したときのタイミングでも構わない。また、運転停止中である場合に、ECU102が常時、共振周波数検出部109に共振用電流生成指令情報を送出するようにしても良い。
共振周波数検出部109は、ECU102から共振用電流生成指令情報を取得した場合(S110のYES)、共振用電流の出力指令値を生成し、この生成した共振用電流の出力指令値を所定のタイミングでインバータ制御部103に送出する(S111)。
インバータ制御部103は、共振用電流の出力指令値を取得し(S111のYES)、インバータ部104に、この取得した共振用電流の出力指令値を出力するように制御する共振用電流の出力指令情報を送出する(S112)。この送出される共振用電流の出力指令情報に含まれる共振用電流の出力指令値は、図2に示した共振用電流の出力指令値Iqb*に相当する(図7参照)。S112以降の処理は、図4で示した対応する参照符号と同一の処理であるため、説明を省略する。
以上のように、車両1が運転停止中を継続している状態のときと、車両1が走行中である状態のときとは、インバータ制御部103がインバータ部104に出力させる電流の出力指令値の絶対値が異なる。具体的には、車両1が走行中である状態に対応するインバータ出力電流の絶対値は、図2に示したように、インバータ出力電流の出力指令値Iq*(=(走行用電流の出力指令値Iqa*)+(共振用電流の出力指令値Iqb*))である。一方、車両1が運転停止中を継続している状態に対応するインバータ出力電流の絶対値は、図7に示したように、共振用電流の出力指令値Iqb*のみである。
したがって、車両1が運転停車中を継続している状態のままであっても、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10は、インバータ部104に出力させるインバータ出力電流の指令値を共振用電流の出力指令値とするだけで、タイヤの共振周波数を高精度に判定することができる。結果的に、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10は、車両1の運転状態に関係なく、走行中でも停車中でも、タイヤの内圧を高精度に検出することができる。
図9は、複数のタイヤ108が差動ギヤを介してモータ部107と固定的に配置されている車両の全体構成を示す外観図である。
本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10は、車両1が図9に示すような車両である場合においても、同様に、タイヤ108の内圧を高精度に検出することができる。つまり、モータ部107には、一輪のタイヤ108が取り付けられても良いし、複数輪のタイヤ108が取り付けられても良い。
図10は、モータ部107に対して2つのタイヤが配置されている場合で、2つのタイヤ共振周波数が現れる様子を示す図である。この場合、タイヤ状態検出装置10は、それぞれのタイヤ108に対して、個別に図4および図5に示した動作を行う。インバータ部104が出力したインバータ出力電流の実際出力値には、図10に示すように、第1のタイヤ108の共振周波数(共振点)に対応する第1の極小値、および第2のタイヤ108の共振周波数(共振点)に対応する第2の極小値が検出される。
図11は、モータ部107に対して2つのタイヤが配置されている場合で、車両が停車中である場合において、2つのタイヤ共振周波数(共振点)にそれぞれ対応する第1および第2の極小値が現れる様子を示す図である。
本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10は、図9に示すような車両に搭載されている場合であって、さらに、当該車両が停車中である場合においても、同様に、タイヤ108の内圧を高精度に検出することができる。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2に係るタイヤ状態検出装置20を含む車両2の内部構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置20が本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置10と異なる点は、図12に示すように、タイヤ状態検出装置20がモータ部201、エンコーダ部202および回転角速度算出部203を有する点である。これらの点以外は実施の形態1と同様であり、図12において、図1と共通する構成要素には同じ参照符号が付されている。
モータ部201には、実施の形態1のモータ部107に、エンコーダ部202が更に備えられている。エンコーダ部202は、モータ部201のステータに対するロータの回転角度を検出し、この検出された回転角度を回転角速度算出部203に送出する。エンコーダ部202は、インクリメンタルエンコーダまたはアブソリュートエンコーダ等の光学式エンコーダでも良いし、ホール素子等で構成される磁気式エンコーダでも良い。
回転角速度算出部203は、エンコーダ部202から送出された回転角度を取得し、この取得した回転角度に対して時間微分を行って回転角速度ωを導出する。パラメータωは回転角速度を表す。回転角速度算出部203は、この導出された回転角速度ωを共振周波数検出部109に送出する。
インバータ制御部103がインバータ出力電流の出力指令値をインバータ部104に出力した場合、回転角速度算出部203に導出された回転角速度は図13のように示される。図13は、回転角速度算出部203で導出されたモータ部201の回転角速度の時間変化を示す図である。
インバータ部104から実際に出力された合成駆動電流がモータ部201に入力されてタイヤ108に機械共振が発生したとする。このとき、タイヤ108に安定的かつ固定的に接続されているモータ部201の回転速度は、タイヤ108の共振周波数において最も高くなる。このため、エンコーダ部202から出力された回転角度を時間微分することによって導出された回転角速度ωは、タイヤ108の共振周波数に近づくにつれて徐々に大きくなり、共振周波数において極大となる。したがって、図13に示すように、モータ部201の回転角速度が極大になった場合、タイヤ108は機械共振し、モータ部201に安定的かつ固定的に接続されたタイヤ108の共振周波数が検出される。
(タイヤ状態検出装置20の動作)
次に、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置20の動作について図14を参照して説明する。図14は、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置20の動作を説明するフローチャートである。なお、図14に示すインバータ制御の動作は、図5に示す内容と同一であるため、インバータ制御の動作の説明は省略する。
車両2を運転するドライバがアクセルペダル100を所定量踏み込んだ場合、アクセルポジションセンサ部101は当該踏まれたアクセルペダル100の踏込量を検出する。ECU102は、この検出された踏込量を含むAP開度情報をアクセルポジションセンサ部101から取得する(S101)。
ECU102は、アクセルポジションセンサ部101から送出されたAP開度情報を取得する(S101のYES)。ECU102は、この取得したAP開度情報に基づき、モータ部201がタイヤ108を回転させるために必要な出力トルク(走行用トルク)を算出する(S102)。ECU102は、インバータ部104に走行用電流を出力させるための制御情報をインバータ制御部103に送出する(S103)。当該制御情報がインバータ制御部103に送出されたとき、ECU102は、共振周波数検出部109に、共振用電流の出力指令値を生成させる共振用電流生成指令情報を送出する。
インバータ部104は、インバータ制御部103から合成駆動電流(インバータ出力電流)の出力指令情報を取得する。インバータ部104は、この取得した合成駆動電流の出力指令情報に基づき、バッテリ部105から必要な電力の供給を受け(S104)、当該出力指令情報に対応する合成駆動電流を出力する(S105)。
電流検出部106は、インバータ部104から実際に出力された合成駆動電流の実際出力値を検出する(S106)。この検出された合成駆動電流の実際出力値は、インバータ制御部103で検出される。
エンコーダ部202は、モータ部201の回転角度を検出し(S201)、この検出された回転角度を回転角速度算出部203に送出する。回転角速度算出部203は、エンコーダ部202から送出されたモータ部201の回転角度を取得し、この取得した回転角度を時間微分することによって回転角速度ωを検出する(S202)。回転角速度算出部203は、この導出された回転角速度ωを共振周波数検出部109に送出する。
共振周波数検出部109は、回転角速度算出部203に導出されたモータ部201の回転角速度ωを取得し、この取得した回転角速度の値が極大となっているときの周波数をタイヤ108の共振周波数として導出する。共振周波数検出部109は、例えば、回転角速度算出部203により導出された回転角速度を周波数解析(FFT等)することによって、タイヤ108の共振周波数を検出する(S107)。
内圧導出部110は、共振周波数検出部109から送出された共振周波数に基づいてタイヤ108の内圧を導出する(S108)。情報提示部111は、内圧導出部110に導出されたタイヤ108の内圧に関する内圧情報を車両2のドライバに対して提示して(S109)、タイヤ状態検出装置の動作は終了する。
以上のように、本実施の形態に係るタイヤ状態検出装置20では、共振周波数検出部109がタイヤ108固有の共振周波数付近で掃引した共振用電流をインバータ制御部103に送出する。インバータ制御部103は、この共振用電流と走行用電流とを重畳した合成駆動電流の出力指令値をインバータ部104に送出する。インバータ部104が実際に出力した合成駆動電流の実際出力値により駆動されたモータ部201の回転角度をエンコーダ部202が検出し、この検出された回転角度の時間微分からモータ部201の回転角速度が導出される。この導出されたモータ部201の回転角速度からタイヤ108の共振周波数が検出される。
したがって、タイヤ108と安定的かつ固定的に接続されたモータ部107の回転角速度の時間変化からもタイヤ108の機械共振を判定することができる。このため、車両2の外乱の影響を考慮する必要がなく、タイヤ108の共振周波数を高精度に判定することができる。タイヤ108の共振周波数を高精度に判定することができるため、結果的に、タイヤの内圧を高精度に検出することができる。
以上、添付図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明の入力装置はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記の各実施の形態では、タイヤ状態検出装置10または20は、内圧導出部110および情報提示部111を必須の構成であるとして説明した。しかし、これら内圧導出部110および情報提示部111は、タイヤ状態検出装置10または20に対して任意の構成であっても構わない。
上記した各実施の形態では、共振用電流の出力指令情報は、共振周波数検出部109が発生するものとして説明した。しかし、共振周波数検出部109が共振用電流を発生しなくても構わない。例えば、共振周波数検出部109は、共振用電流の出力指令情報をインバータ制御部103自身に発生させるためのタイミング情報と、タイヤ108固有の共振周波数に関する情報とを送出する。インバータ制御部103は、当該タイミング情報を取得した時点で、タイヤ108固有の共振周波数付近で掃引した共振用電流の出力指令値を発生し、上記した走行用電流の出力指令値と重畳した合成駆動電流の出力指令値を含む合成駆動電流の出力指令情報をインバータ部104に送出する。また、インバータ制御部103は、共振周波数検出部109からタイヤ108固有の共振周波数に関する情報を取得しなくても構わない。例えば、インバータ制御部103は、ECU102からタイヤ108固有の共振周波数に関する情報を取得するようにすれば良い。
実施の形態2に係るタイヤ状態検出装置20は、実施の形態1に係るタイヤ状態検出装置10と同様、当該タイヤ状態検出装置20を含む車両2が運転停止中の場合でも、タイヤ108の内圧を導出することができる。また、タイヤ状態検出装置20は、モータ部201に複数のタイヤが安定的かつ固定的に接続されている場合においても、実施の形態1に係るタイヤ状態検出装置10と同様、各タイヤ108の内圧を導出することができる。
(実施の形態3)
図15は、実施の形態3に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図である。
図15に示すように、タイヤ状態検出装置10は、ホイールに固定されるタイヤ(以下単に「タイヤ」という)108に接続される装置であり、振動入力部310、周波数情報取得部320、およびタイヤ状態推定部330を有する。タイヤ108は、この車両に対して安定的かつ固定的に接続されており、ホイールとの間で、空気や窒素等の気体を内包している。
なお、周波数情報取得部320は、実施の形態1および実施の形態2におけるエンコーダ部202、電流検出部106、共振周波数検出部109、および回転角速度算出部203に対応する。また、タイヤ状態推定部330は、実施の形態1および実施の形態2における内圧導出部110に対応する。
振動入力部310は、所定の振動をタイヤ108に入力する。所定の振動は、タイヤ108の共振周波数を後述の周波数情報取得部320が抽出し易くするための、タイヤ108の回転方向に掛ける微小な前後振動であり、トルクの大きさと振動周波数とにより定義されるものである。この所定の振動は、上述の定義の通り、「共振用振動」という。
振動入力部310は、タイヤ108の駆動系を電気的または機械的に制御することにより振動を加えても良いし、駆動系とは独立してタイヤ108に直接に機械的に振動を加えても良い。直接に機械的に振動を加える場合、振動入力部310は、例えば、タイヤ108のホイール等に取り付けられた、電磁型の加振器や、偏芯したマスが小型モータに取り付けられたアンバランスマス型の加振器とすることができる。また、振動入力部310は、例えば、アクティブサスペンションのような、ダンパの油圧制御装置とすることができる。
周波数情報取得部320は、振動入力部310によって共振用振動が入力された場合のタイヤ108の周波数情報を取得する。周波数情報は、後述のタイヤ108の共振周波数を抽出するための情報である。周波数情報は、例えば、タイヤ108の回転角速度を含む。また、タイヤ108のリムがモータにより駆動される場合には、周波数情報は、モータ駆動型車両における誘導起電力低減のためのインバータ制御電圧である。回転角速度の場合、例えば、タイヤ108のステータに対するロータの回転角度を検出するエンコーダ(図示せず)を配置してリムの回転角度を取得し、リムの回転角度に対してそれぞれ時間微分を行うことにより取得することができる。エンコーダとしては、例えば、インクリメンタルエンコーダまたはアブソリュートエンコーダ等の光学式エンコーダや、ホール素子等により構成される磁気式エンコーダが挙げられる。
タイヤ状態推定部330は、周波数情報取得部320が取得した周波数情報から、タイヤ108の共振周波数を抽出して、タイヤ108の状態を推定する。そして、タイヤ状態検出装置10は、タイヤ108の力学的モデルを用いて、タイヤ108の状態を推定する。具体的には、タイヤ状態推定部330は、タイヤ108の力学的モデルのねじりばね定数を、タイヤ108の状態の検出を行う毎に算出し、算出されたねじりばね定数に基づいてタイヤ108の状態を推定する。
図16は、タイヤ状態推定部330が用いるタイヤ108の力学的モデルを示す図である。
図16に示すように、タイヤ108の力学的モデル410は、タイヤ108のリム420の慣性モーメント、タイヤ108のトレッド430の慣性モーメント、これらを結合するばね(ねじりばね)440、およびダンパ450を含む。すなわち、タイヤ108の力学的モデル410は、タイヤ108に発生する機械的な振動を、ねじり振動現象としてモデル化したものである。力学的モデル410は、以下に示す各変数を用いて表現される。
:リム420の慣性モーメント(内側慣性モーメント)
:トレッド430の慣性モーメント(外側慣性モーメント)
K:タイヤ108のねじりばね定数
D:タイヤ108の等価粘性係数
:車両側からリム420に掛けられる出力トルク
:タイヤ108が転動することにより路面からトレッド430に掛けられる外乱トルク
ω:リム420の回転角速度
ω:トレッド430の回転角速度
なお、θは、リム420とトレッド430との回転角度差とする。慣性モーメントJ、外側慣性モーメントJ、および等価粘性係数Dは、固定値とみなすことができるパラメータである。ねじりばね定数Kは、リム420とトレッド430とを結合するタイヤ108の側面ゴム部の弾性を表すパラメータであり、空気圧(以下「タイヤ内圧」という)に依存する。出力トルクTは、制御対象である。外乱トルクTは、不明なパラメータである。回転角速度ωは、高精度に測定可能なパラメータである。
タイヤ状態検出装置10は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体等を有する。この場合、上述の各機能部の一部または全部は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。タイヤ状態検出装置10は、例えば、車両に搭載され、タイヤ108の駆動系に接続されたECUの形態を取ることができる。
このようなタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108の共振周波数を抽出するので、タイヤ108のねじりばね定数を高精度で取得して、タイヤ108の状態を検出できる。
次に、タイヤ状態検出装置10の動作について説明する。
図17は、実施の形態3に係るタイヤ状態検出装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、タイヤ状態を推定するタイミング(以下「推定実施タイミング」という)が到来する毎に、振動入力部310は、所定の振動をタイヤ108へ入力する(S1090)。推定実施タイミングは、検出対象となる車両の走行中でも駐停車中でも良く、一定速度での走行中でも不定速度での走行中でも良い。また、推定実施タイミングは、予め定められた周期で到来しても良いし、ドライバによりスイッチ押下等の所定の操作が行われた時であっても良い。
そして、周波数情報取得部320は、タイヤ108の周波数情報を取得し、取得された周波数情報をタイヤ状態推定部330へ出力する(S1100)。タイヤ状態推定部330は、入力された周波数情報から、タイヤ108の共振周波数を抽出する(S1120)。そして、タイヤ状態推定部330は、抽出した共振周波数から、タイヤ108のねじりばね定数Kを算出する(S1130)。
ここで、タイヤ状態推定部330が共振周波数を検出し、共振周波数に基づいてねじりばね定数Kを算出する手法について説明する。ここでは、周波数情報としてリム420の回転角速度ωがタイヤ状態推定部330へ入力された場合について説明する。
なお、周波数情報は、例えば、回転角速度、モータ駆動用の電圧に対して、モータの回転により発生する誘導起電力を抑える電流を制御するための制御電圧の周波数である。
図18は、タイヤ108の周波数特性の一例を示す図である。横軸は周波数fを示し、縦軸はリム420の回転角速度ωのパワースペクトル密度を示す。
タイヤ状態推定部330は、リム420の回転角速度ωに対してFFT(Fast Fourier Transform)等の周波数解析を行うことにより、図18に示すスペクトル波形461を得ることができる。
図18に示すように、タイヤ108の周波数特性を示すスペクトル波形461において、タイヤ内圧による影響を受ける共振周波数は、サスペンションの前後振動とタイヤ108のねじりばね共振との連成共振として周波数462に現れる。この現象の詳細については、例えば非特許文献1に記載されているため、ここでの説明を省略する。
そして、スペクトル波形461には、タイヤ108の共振周波数である上述の周波数462において急峻な山のピークが現れる。
そこで、タイヤ状態推定部330は、スペクトル波形461のピーク位置を検出することによって、共振周波数462を取得する。
ところで、タイヤ108の共振周波数fc0は、一般に二慣性系モデルから、以下の式(1)のように表される。
Figure 2011040019
したがって、タイヤ状態推定部330は、共振周波数fc0を検出し、固定値である慣性モーメントJおよび外側慣性モーメントJから、式(1)を用いて、ねじりばね定数Kを算出することができる。
ここで、周波数情報には、タイヤと路面との摩擦係数や凹凸に起因して生じる、ねじり共振周波数以外の振動成分による振動雑音が多く含まれる。共振周波数fc0は、このような振動雑音に埋もれ易いため、従来技術においては検出が困難であった。
そこで、上述の通り、タイヤ状態検出装置10は、振動入力部310により、共振周波数fc0が抽出され易くする所定の振動を、タイヤ108に入力するようにしている。これにより、タイヤ状態検出装置10は、共振周波数fc0をより確実にかつ高い精度で抽出することができる。
なお、タイヤ状態推定部330は、例えば、以下に説明する手法により、共振周波数fc0を算出して、ねじりばね定数Kを算出しても良い。
タイヤ状態推定部330は、非特許文献1に記載のように一括型最小二乗推定法等を利用して、ねじりばね定数Kを算出しても良い。
そして、タイヤ状態推定部330は、算出された共振周波数fc0から、式(1)を用いて、タイヤ108のねじりばね定数Kを算出する。
このように、タイヤ状態検出装置10は、共振周波数fc0を抽出することができれば、現在のタイヤ108の状態を精度良く表すねじりばね定数Kを、算出することができる。
以上のように、実施の形態3に係るタイヤ状態検出装置10は、所定の振動をタイヤ108に加えて、タイヤ108の周波数情報を取得し、その周波数情報からタイヤ108の共振周波数を抽出する。そして、タイヤ状態検出装置10は、抽出した共振周波数から、タイヤ108の状態を推定する。これにより、タイヤ状態検出装置10は、タイヤ108の力学的モデルのねじりばね定数を都度算出することができ、タイヤ108の状態を高精度に検出することができる。
なお、上述の非特許文献1記載の技術は、後述のタイヤ108の共振周波数が抽出され易くするための振動の入力を行っていない。したがって、非特許文献1記載の技術では、共振周波数を確実かつ高精度に抽出することはできない。
したがって、このような非特許文献1記載の技術に比べて、本発明に係るタイヤ状態検出装置10は、より高い精度でタイヤ108の状態の検出を行うことができる。
(実施の形態4)
図19は、本発明の実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態3の図15に対応するものである。
実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態3と異なる主な点は、過去に取得されたタイヤ状態に関する情報に基づいて共振用振動を決定する振動入力部310aと、タイヤ状態に関する情報をフィードバックするタイヤ状態推定部330aとが配置されていることである。
タイヤ状態推定部330aは、ねじりばね定数Kの変化に基づいて、タイヤ108の空気圧が著しく低下したか否かを判定する。そして、タイヤ状態推定部330aは、共振周波数fc0と、パンク等によるタイヤ空気圧の著しい低下(以下「空気圧低下」という)の有無についての判定結果とを保持する。
振動入力部310aは、タイヤ状態推定部330aが保持する共振周波数fc0および空気圧低下の有無の情報を取得する。そして、振動入力部310aは、これらの情報に基づいて、共振周波数fc0が抽出され易い振動となるように、トルクの大きさおよび振動周波数の少なくとも一方、またはこれらの両方を制御する。トルクの大きさおよび振動周波数の一方が固定値である場合には、振動入力部310aは、固定値ではない他方のみを制御すれば良い。
図20は、実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態3の図17に対応するものである。
振動入力部310aは、推定実施タイミングが到来する毎に、タイヤ状態推定部330aに保存されている、前回の推定実施タイミングで取得された(以下単に「前回の」という)共振周波数fc0および空気圧低下の有無の情報を読込む(S1050)。
この情報の読込みは、例えば、振動入力部310aが、タイヤ状態推定部330aに対して情報要求指令を送出し、この情報要求指令を取得したタイヤ状態推定部330aが、情報を振動入力部310aへ送出しても良い。そして、振動入力部310aは、空気圧低下無しであれば(S1051:NO)、この共振周波数fc0を含む振動を発生させるための共振用振動を決定し(S1060)、決定した共振用振動をタイヤ108へ入力する(S1090)。共振用振動の決定の詳細については後述する。なお、空気圧低下有りの場合(S1051:YES)には、振動入力部310aは、共振用振動の出力は行わず処理を終了する。
一方、タイヤ状態推定部330aは、ねじりばね定数K(t)を算出すると(S1130)、今回の推定実施タイミングで取得された(以下単に「今回の」という)ねじりばね定数K(t)と前回のねじりばね定数K(t−1)との差が、予め定めた閾値以上であるか否かを判断する(S1140)。なお、tは、最新の周波数情報に基づくパラメータであることを示し、t−nは、n回前の推定実施タイミングで入力された周波数情報に基づくパラメータであることを示す。
タイヤ状態推定部330aは、今回のねじりばね定数K(t)と前回のねじりばね定数K(t−1)との差が閾値以上である場合、つまりタイヤ内圧が急激に変化したといえる場合には(S1140:YES)、タイヤ108の空気圧低下が発生したと判定する(S1150)。そして、タイヤ状態推定部330aは、空気圧低下が発生した旨を示す空気圧低下情報を保存する(S1160)。
この空気圧低下情報は、次回の推定実施タイミングの(以下単に「次回の」という)ステップS1050において、振動入力部310aにより読込まれる。そして、タイヤ交換または修理後のリセット処理が行われるまで、つまり空気圧低下無しの空気圧低下情報が入力されるまで、振動入力部310aは、共振用振動の出力を停止する。なお、このリセット処理は、タイヤ交換を行った後にドライバ等が図示しないリセットボタンを押下する等により指示される。リセット処理が指示されると、タイヤ状態推定部330aは、保存しているタイヤ空気圧低下情報を破棄する。
また、タイヤ状態推定部330aは、差が閾値未満である場合には(S1140:NO)、共振周波数fc0およびばね定数K(t)を保存する(S1180)。これらのうち、共振周波数fc0は、次回のステップS1050において振動入力部310aにより読込まれる。また、ばね定数K(t)は、次回のステップS1140において前回のばね定数K(t−1)として用いられる。
なお、タイヤ状態推定部330aは、複数回分のばね定数K(t−1)、K(t−2)、・・・K(t−m)(m:正の整数)を保存しておいても良い。そして、タイヤ状態推定部330aは、保存しておいた複数回分のばね定数のうちの任意の1つもしくは最大値、または平均値と、今回のばね定数K(t)との差を、判定に用いても良い。
以下、共振用振動の決定の詳細について説明する。
共振周波数fc0が不明な段階では、共振周波数fc0が抽出され易い振動も不明である。したがって、振動入力部310aは、共振用トルクを、広い周波数帯域において、低い周波数から高い周波数へ、もしくは、高い周波数から低い周波数へと掃引する正弦波状のトルクに決定する。すなわち振動入力部310aは、共振周波数fc0が不明である初期状態においては、共振周波数fc0を確実に抽出できるよう、比較的広い範囲を探索するような振動トルクを、共振用トルクに決定する。
ところが、このような広い周波数帯域に対する探索には、比較的時間が掛かる。
そこで、タイヤ状態検出装置10は、直前に共振周波数fc0が検出されている場合には、探索範囲を絞り込み、探索時間の短縮を図る。具体的には、振動入力部310aは、タイヤ状態推定部330aから取得した前回の共振周波数fc0を含む狭い周波数帯域に限定した振動トルクを、共振用トルクに決定する。
例えば、振動入力部310aは、前回の共振周波数fc0を含む範囲に周波数の上限・下限値を設定し、下限値の周波数から上限値の周波数へ、もしくは、上限値の周波数から下限値の周波数へと掃引する正弦波状のトルクを、共振用トルクに決定する。または、振動入力部310aは、前回の共振周波数fc0を含む範囲に通過帯域を限定した帯域通過フィルタを作成し、振動入力部310aは、白色雑音を意図的に発生させ、この白色雑音を、生成した帯域通過フィルタに通過させて得られる白色雑音トルクを、共振用トルクに決定する。
なお、振動入力部310aは、共振周波数fc0の変化が少ない場合にのみ探索範囲の絞り込みを行っても良い。また、振動入力部310aは、複数回分の共振周波数fc0の平均値を用いて、探索範囲の絞り込みを行っても良い。更には、振動入力部310aは、この平均値の算出を行う場合、大きく外れている値を除外して、平均値を算出しても良い。これにより、タイヤ状態検出装置10は、共振周波数fc0の抽出精度を向上させることができる。
また、タイヤ108に空気圧低下が発生したりタイヤ108が交換されたりした場合には、タイヤ108の状態が大きく変化するため、共振周波数fc0が大幅に変わっている可能性が高い。したがって、そのような場合には、振動入力部310aは、探索範囲の絞り込みを解除して、比較的広い範囲を探索するような振動トルクを、共振用トルクに決定する。
このように、実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置10は、共振周波数fc0の探索時間を短縮させることができる。これにより、実施の形態4に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108の状態を、短時間で検出することができる。
(実施の形態5)
図21は、本発明の実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態4の図19に対応するものである。
実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態4と異なる主な点は、タイヤ内圧算出部340および情報提示部350を有することである。なお、タイヤ内圧算出部340は、実施の形態1および実施の形態2の内圧導出部110に対応し、情報提示部350は、実施の形態1および実施の形態2の情報提示部111に対応する。
タイヤ内圧算出部340は、タイヤ状態推定部330aからねじりばね定数K(t)を取得し、ねじりばね定数K(t)に基づいてタイヤ108の内圧を算出する。具体的には、タイヤ内圧算出部340は、タイヤ108の内圧は、例えば、タイヤのばね定数Kとタイヤ108の内圧との相関関係を予め記憶しており、この相関関係を用いて、ばね定数K(t)からタイヤ108の内圧を算出する。この相関関係は、テーブルによって定義されても良いし、関数によって定義されても良い。そして、タイヤ内圧算出部340は、算出したタイヤ108の内圧を、内圧情報として情報提示部350へ出力する。
ねじりばね定数Kとタイヤ108の内圧との間の相関関係は、比例関係である。ねじりばね定数Kとタイヤ108の内圧との間の比例関係およびこれに基づくタイヤ108の内圧の検出手法の詳細は、例えば非特許文献1に記載されているため、ここでの説明を省略する。但し、タイヤ内圧算出部340が用いるタイヤ108の内圧の検出手法は、非特許文献1に記載の手法に限定されない。
また、タイヤ内圧算出部340は、タイヤ状態推定部330aに空気圧低下情報が保持されている場合には、これを取得し、情報提示部350へ出力する。
情報提示部350は、タイヤ内圧算出部340から内圧情報または空気圧低下情報を入力されると、内圧情報および空気圧低下情報の内容を、ドライバに対して提示する。この提示は、例えば、インストルメントパネルやナビゲーション装置のディスプレイにおける表示や、ラウドスピーカからの音声出力によって行われる。
図22は、実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態4の図20に対応するものである。
タイヤ状態推定部330aは、タイヤ108に空気圧低下が発生したと判定すると(S1150)、空気圧低下情報を保存すると共に、タイヤ内圧算出部340へ出力する(S1161)。また、タイヤ状態推定部330aは、今回のねじりばね定数K(t)と前回のねじりばね定数K(t−1)との差が予め定めた閾値未満である場合には(S1140:NO)、ねじりばね定数K(t)をタイヤ内圧算出部340へ出力する(S1170)。そして、タイヤ状態推定部330aは、ねじりばね定数K(t)を保存する(S1180)。
タイヤ内圧算出部340は、ねじりばね定数K(t)を入力された場合は、ねじりばね定数K(t)から、タイヤ108の内圧を算出する(S1190)。そして、タイヤ内圧算出部340は、算出した内圧を、内圧情報として情報提示部350へ出力する。また、タイヤ内圧算出部340は、空気圧低下情報を入力された場合は、タイヤ108に空気圧低下が発生していることを情報提示部350へ出力する。この結果、タイヤ108の内圧を示す内圧情報と、タイヤ108に空気圧低下が発生していることを示す空気圧低下情報とが、適宜、タイヤ108の状態に応じてドライバに提示されることになる(S1200)。
このように、実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108の状態をドライバに対して提示するので、空気の注入やパンク修理等の適切な処置を、ドライバに対して促すことができる。これにより、実施の形態5に係るタイヤ状態検出装置10は、車両に対する安全性の向上や燃費の向上を図ることができる。
なお、情報提示の対象は、ドライバに限定されず、他の同乗者や、車両の整備者、車両の遠隔監視者であっても良い。整備者に対して提示を行う場合は、タイヤ状態検出装置10は、内圧情報および空気圧低下情報、または、これらの基となる各情報を記録する記録媒体を備える必要がある。また、遠隔監視者に対して提示を行う場合には、タイヤ状態検出装置10は、管理サーバ等の外部装置に対して内圧情報および空気圧低下情報を送信する通信装置を備える必要がある。
(実施の形態6)
図23は、本発明の実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態5の図21に対応するものである。
実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10は、バッテリ部510、インバータ部520、およびモータ部530を駆動系とするタイヤ108に適用されるものである。実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態5と異なる主な点は、振動入力部310aがインバータ制御部311に置き換わり、周波数情報取得部320が回転角速度検出部321に置き換わっていることである。なお、バッテリ部510、インバータ部520、およびモータ部530は、実施の形態1および実施の形態2のバッテリ部105、インバータ部104、およびモータ部107、201にそれぞれ対応する。また、インバータ制御部311および回転角速度検出部321は、実施の形態1および実施の形態2のインバータ制御部103および回転角速度算出部203にそれぞれ対応する。
バッテリ部510は、インバータ部520が電流を出力するために必要な電力を、インバータ部520に供給する蓄電池である。
インバータ部520は、後述のインバータ制御部311から入力される、モータ駆動電流の出力指令値に従って、モータ部530に対して電力を出力する。
モータ部530は、インバータ部520から供給される電力によりトルクを発生し、タイヤ108を駆動する。
インバータ制御部311は、ドライバが車両を加速するために踏み込んだアクセルペダル(例えば実施の形態1および実施の形態2のアクセルペダル100)の踏込量を示す操作情報(以下単に「操作情報」という)を入力する。この入力は、例えば、実施の形態1および実施の形態2のアクセルポジションセンサ部101を用いて行われる。そして、インバータ制御部311は、操作情報から、走行用トルクの値を決定する。また、インバータ制御部311は、実施の形態5の振動入力部310aと同様に、共振用トルクを決定する。そして、インバータ制御部311は、共振用トルクと走行用トルクとの合成トルクがモータ部530から出力されるような、モータ駆動電流の出力指令値を、インバータ部520へ出力する。
さらに、インバータ制御部311は、モータ部530のモータ駆動電流の実際出力値を電流検出部(図示せず)により検出する。そして、インバータ制御部311は、この実際出力値がインバータ制御部311で算出した出力指令値に一致するように、インバータ部520のモータ部530に対する電力供給を制御する。
インバータ制御部311は、このような出力指令値の生成を、合成トルクの値を算出することにより行っても良いし、共振用電流と走行用電流とを合成することによって(加算することによって)行っても良い。
回転角速度検出部321は、タイヤ108から、タイヤ108のリムの回転角速度ωを検出し、上述の周波数情報として、タイヤ状態推定部330aへ出力する。回転角速度検出部321は、例えば、タイヤ108のステータに対するロータの回転角度を検出するエンコーダ(図示せず)から、リムの回転角度を取得する。そして、回転角速度検出部321は、リムの回転角度に対してそれぞれ時間微分を行うことにより、回転角速度ωを算出する。
なお、回転角速度検出部321は、例えば、インクリメンタルエンコーダまたはアブソリュートエンコーダ等の光学式エンコーダや、ホール素子等により構成される磁気式エンコーダ等を用いて、回転角度を取得しても良い。また、回転角速度検出部321は、タイヤ108から直接に回転角度または回転角速度を取得しても良い。
タイヤ状態推定部330aは、回転角速度検出部321から入力される回転角速度ωに基づいて、タイヤ108の共振周波数fc0を算出する。
図24は、実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態5の図22に対応するものである。
まず、アクセルペダルが踏み込まれると、インバータ制御部311は、アクセルペダルの踏込量に基づく走行用トルクの値を導出し(S1010)、走行用トルクの値に対応する走行用電流を導出する(S1020)。そして、インバータ制御部311は、推定実施タイミングではない場合には(S1030:NO)、走行用電流を出力指定値としてインバータ部520へ出力する。この結果、モータ部530からは、走行用電流のみがモータ駆動電流として出力され(S1040)、走行用トルクのみがタイヤ108に掛けられる。
一方、推定実施タイミングである場合には(S1030:YES)、インバータ制御部311は、前回の共振周波数fc0を読み込む(S1050)。そして、インバータ制御部311は、空気圧低下無しであれば(S1051:NO)、前回の共振周波数fc0を含む振動を発生させるための共振用トルクを導出する(S1061)。そして、インバータ制御部311は、共振用トルクの値に対応する共振用電流を導出し(S1070)、走行用電流に共振用電流を重畳した合成駆動電流の出力指令値を生成し、インバータ部520へ出力する(S1081)。この結果、モータ部530からは、合成駆動電流がモータ駆動電流として出力され(S1091)、合成駆動トルクがタイヤ108に掛けられる。
そして、回転角速度検出部321は、タイヤ108の回転角速度ωを検出し、時系列の回転角速度信号として、タイヤ状態推定部330aへ出力する(S1101)。タイヤ状態推定部330aは、入力される回転角速度信号を、上述の、前回の共振周波数fc0を含む帯域を通過帯域とする帯域通過フィルタに通過させる(S1110)。そして、帯域通過フィルタを通過した後の回転角速度信号から、タイヤ108の共振周波数fc0を抽出する(S1120)。
このように、実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10は、操作情報を入力し、モータ駆動電流の値を制御することにより、走行用トルクおよび共振用トルクの入力を行う。これにより実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10は、操作情報を取得可能であってモータ駆動電流の値を指定可能な駆動系のタイヤ108に対して、容易に共振用振動を入力することができる。
また、実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108と安定的かつ固定的に接続されたモータ部530から共振用振動を入力するので、周波数情報における共振周波数および共振周波数以外の振動成分の影響を小さくすることができる。
また、実施の形態6に係るタイヤ状態検出装置10は、モータ部530を駆動するために設置されている回転角度センサから取得される回転角速度を周波数情報として取得するので、振動を検出するための別のセンサを用意する必要が無い。
なお、停車中の場合は、ドライバがアクセルペダルを踏んでいない状態であり、走行用トルクはゼロとなる。したがって、タイヤ状態検出装置10は、停車中にタイヤ108の状態の検出を行う場合には、共振用トルクのみをタイヤ108に入力することになる。
(実施の形態7)
図25は、実施の形態7に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態6の図23に対応するものである。
実施の形態7に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態6と異なる主な点は、回転角速度検出部321が、電流取得部322および回転角速度検出部323に置き換わることである。
電流取得部322は、モータ部530から、モータ駆動電流の実際出力値を取得し、回転角速度検出部323へ出力する。
回転角速度検出部323は、モータ駆動電流の実際出力値Iから、タイヤ108のリムの回転角速度ωを算出して、タイヤ状態推定部330aへ出力する。
ここで、回転角速度検出部323における、モータ駆動電流の実際出力値Iから回転角速度ωを算出する手法について説明する。
図26は、モータ駆動系の構成の一例を示す制御ブロック図である。
インバータ制御部311のPI制御器521は、モータ部530で検出される合成駆動電流の実際出力値が、インバータ制御部311により算出された合成駆動電流(の指令値)に一致するように、モータ部530を流れる電流の実際出力値Iを制御する制御器である。すなわち、PI制御器521は、インバータ制御部311で算出した出力指令値Iq_refに、モータ部530の実際出力値Iが一致するような制御電圧Vq_refを、モータ部530に印加する。
モータ回路531は、巻き線コイルのインダクタンスLおよび巻き線コイルの抵抗Rによりモデル化が可能な電子回路である。実際出力値Iにより、トルク定数Kに比例する出力トルクTが、タイヤ108に加えられる。そして、タイヤ108の回転と共に、モータ部530のロータが回転角速度ωで回転する。このときモータ部530では、ロータの回転角速度ωに比例する(比例定数K)逆起電力−Kωが生じ、モータ部530の巻き線コイルの両端には、電圧V=Vq_ref−Kωが、実際入力電圧値として入力される。この関係から、以下の式(2)が導出される。
Figure 2011040019
回転角速度検出部323は、実際出力値Iおよび制御電圧Vq_refから、式(2)を用いてモータ部530の回転角速度(つまりタイヤ108のリムの回転角速度)ωを算出し、タイヤ状態推定部330aへ出力する。
このように、実施の形態7に係るタイヤ状態検出装置10は、モータ部530に出力される駆動電流の実際出力値およびインバータ制御部311で算出される制御電圧から回転角速度ωを検出することができるので、エンコーダ等のセンサを不要とすることができる。
なお、実施の形態7は、モータ部530が、回転子の表面に永久磁石を貼り付けた、表面磁石構造の同期モータであって、d軸電流が零である電流制御を想定したものであるが、モータ部530の構成はこれに限定されない。例えば、モータ部530が、回転子の内部に永久磁石を埋め込んだ、埋め込み磁石構造の同期モータであって、d軸電流が非零での電流制御系を想定した場合においても、同様に回転角速度ωを検出することが可能である。
(実施の形態8)
図27は、実施の形態8に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態6の図23に対応するものである。
実施の形態8に係るタイヤ状態検出装置10は、バッテリ部510、インバータ部520、モータ部530、およびインバータ制御部540を駆動系とするタイヤ108に適用されるものである。実施の形態8に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態6と異なる主な点は、インバータ制御部311が制御部312に置き換わっていることである。なお、制御部312は、実施の形態1および実施の形態2のECU102に対応する。
インバータ制御部540は、後述の制御部312から入力される、タイヤ108の出力トルクの値に基づいて、その出力トルクをモータ部530が出力するようなモータ駆動電流の出力指令値を算出し、インバータ部520へ出力する。または、インバータ制御部540は、後述の制御部312から入力される、タイヤ108の出力トルクをモータ部530が出力するようなモータ駆動電流に基づいて、そのモータ駆動電流を出力する出力指令値を算出し、インバータ部520へ出力する。
制御部312は、実施の形態5記載の振動入力部310aと同様に、操作情報に基づく走行用トルクの値と、共振用トルクの値とを決定する。そして、制御部312は、タイヤ108の出力トルクの値として、共振用トルクと走行用トルクとを合成した合成トルクの値を、インバータ制御部540へ出力する。なお、出力トルクの値の出力は、出力トルクの値そのものではなく、出力トルクをタイヤ108に出力するためのモータ部530へのモータ駆動電流の出力により行われても良い。
このように、実施の形態8に係るタイヤ状態検出装置10は、操作情報を入力し、出力トルクの値を制御することにより、走行用トルクおよび共振用トルクの入力を行う。これにより、実施の形態8に係るタイヤ状態検出装置10は、操作情報を取得可能であって出力トルクの値を指定可能な駆動系のタイヤ108に対して、容易に共振用振動を入力することができる。
(実施の形態9)
図28は、実施の形態9に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態6の図23に対応するものである。
実施の形態9に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態6と異なる主な点は、電流指示部313を有していることである。なお、制御部312は、実施の形態1および実施の形態2のECU102に対応する。
電流指示部313は、実施の形態6のインバータ制御部311と同様に、共振用トルクを決定する。そして、電流指示部313は、決定した共振用トルクをモータ部530が出力するようなモータ駆動電流の値を、共振用電流の値として、インバータ制御部311へ出力する。
インバータ制御部311は、アクセルペダルの踏込量に対応する走行用トルクの値を決定し、この走行用トルクをモータ部530が出力するような走行用電流の値を算出する。そして、インバータ制御部311は、電流指示部313から入力される共振用電流の値を、走行用電流の値に加算して合成駆動電流の値を算出し、算出結果を、出力指令値としてインバータ部520へ出力する。
このように、実施の形態9に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108に固有の振動を発生させる共振用電流を生成する電流指示部313を有することにより、走行用電流に重畳した合成駆動電流をモータ部530へ出力し、走行用トルクおよび共振用トルクの入力を行う。これにより、実施の形態9に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108に対して、容易に共振用振動を入力することができる。
(実施の形態10)
図29は、実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態8の図27に対応するものである。
実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態8と異なる主な点は、共振用振動指示部314を有していることである。なお、共振用振動指示部314は、実施の形態1および実施の形態2のECU102に対応する。
共振用振動指示部314は、実施の形態9の電流指示部313と同様に、共振用トルクを決定する。そして、共振用振動指示部314は、決定した共振用トルクの値を、制御部312へ出力する。
制御部312は、ドライバが車両を加速するために踏み込んだアクセルペダル(図示せず)の踏込量に対応する走行用トルクを決定する。そして、制御部312は、共振用振動指示部314から入力された共振用トルクと走行用トルクとの合成トルクを算出し、インバータ制御部540へ出力する。または、制御部312は、この走行用トルクがモータ部530から出力されるようなモータ駆動電流(すなわち、走行用電流)の値を導出すると共に、制御部312は、共振用振動指示部314から入力された共振用トルクをモータ部530が出力するようなモータ駆動電流(すなわち、共振用電流)の値を導出して、走行用電流に共振用電流を重畳した合成駆動電流を生成し、インバータ制御部540へ出力する。
このように、実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108に固有の振動を発生させる共振用トルクを生成する共振用振動指示部314を有することにより、走行用トルクと重畳した合成トルクに基づく合成駆動電流をモータ部530へ出力し、走行用トルクおよび共振用トルクの入力を行う。これにより、実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108に対してモータ駆動電流の値を指定可能な駆動系のタイヤ108に対して、容易に共振用振動を入力することができる。
(実施の形態11)
図30は、実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態6の図23に対応するものである。
実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置10が実施の形態6と異なる主な点は、回転角速度検出部321が配置されていないことである。
タイヤ状態推定部330aは、インバータ制御部311が算出した図26のモータ部530に対する制御電圧Vq_refを入力し、例えば以下の手法により共振周波数fc0を算出して、タイヤ108の状態を推定する。
図26において説明した関係から、以下の式(3)が導出される。
Figure 2011040019
この式(3)において、右辺第2項+第3項(Iの項)は、モータ部530がインバータ制御部311から入力されるモータ駆動電流の出力指令値Iq_refを出力するように制御されているため、入力である出力指令値Iq_refと同じ周波数特性が現れる。一方、右辺第1項(Kωの項)は、式(1)において説明したような、共振周波数fc0を含む振動に応じて発生する逆起電力である。したがって、式(3)の制御電圧Vq_refを用いることにより、タイヤ内圧の影響を受けるねじりばねの共振周波数fc0を検出することが可能である。
制御電圧Vq_refから共振周波数fc0を検出する手法としては、上述の周波数解析を制御電圧Vq_refに対して行って共振周波数fc0を示す急峻なピーク位置を検出する手法や、上述の一括型最小二乗推定法を利用する手法を採用し得る。
このように、実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置10は、モータ部530に対する制御電圧からタイヤ108の状態を推定するので、回転角速度取得部を不要とすることができる。すなわち、実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置10は、タイヤ108の角度や回転角速度を検出するセンサを使用することなく、センサを使用する構成と同等の精度で、タイヤ108の状態を検出することができる。
なお、実施の形態6〜実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置は、タイヤに所定の振動を入力する手法として、インバータ部への入力信号を制御するようにしたが、モータ部への入力信号(つまり制御電圧)を直接に制御しても良い。すなわち、タイヤ状態検出装置は、インバータ部を含む構成であっても良い。
また、実施の形態6〜実施の形態11に係るタイヤ状態検出装置は、タイヤ内圧算出部および情報提示部を必ずしも備えなくても良い。
また、実施の形態8〜実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置は、回転角速度取得部に代えて、実施の形態7の電流取得部および回転角速度検出部を備えても良い。
また、実施の形態8〜実施の形態10に係るタイヤ状態検出装置は、回転角速度取得部を必ずしも備えなくてもよく、実施の形態11で説明した制御電圧から共振周波数を抽出するようにしても良い。
2009年9月30日出願の特願2009−228279の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明に係るタイヤ状態検出装置は、タイヤ状態を高精度に検出することができるタイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法として有用であり、特に、自動車または鉄道の車両等の一部に用いられる装置として有用である。
1、2 車両
10、20 タイヤ状態検出装置
100 アクセルペダル
101 アクセルポジションセンサ部
102 ECU
103、311、540 インバータ制御部
104、520 インバータ部
105、510 バッテリ部
106 電流検出部
107、201、530 モータ部
108 タイヤ
109 共振周波数検出部
110 内圧導出部
111、350 情報提示部
202 エンコーダ部
203 回転角速度算出部
310、310a 振動入力部
312 制御部
313 電流指示部
314 共振用振動指示部
320 周波数情報取得部
321、323 回転角速度検出部
322 電流取得部
330、330a タイヤ状態推定部
340 タイヤ内圧算出部
521 PI制御器
531 モータ回路

Claims (11)

  1. ホイールに固定される空気入りタイヤのタイヤ状態を検出するタイヤ状態検出装置であって、
    所定の振動を前記タイヤに入力する振動入力部と、
    前記所定の振動が入力されたときの前記タイヤの周波数情報を取得する周波数情報取得部と、
    取得された前記周波数情報から前記タイヤの共振周波数を抽出し、抽出した前記タイヤの共振周波数から、前記タイヤを外側慣性モーメント、内側慣性モーメント、およびこれらの間に働く弾性力のばね定数を用いてモデル化したときの、前記ばね定数を算出するタイヤ状態推定部と、を有する、
    タイヤ状態検出装置。
  2. 前記タイヤ状態推定部は、
    前記ばね定数の変化から、前記タイヤの空気圧低下の発生を検出する、
    請求項1記載のタイヤ状態検出装置。
  3. 前記周波数情報取得部は、
    前記タイヤの回転角速度を前記周波数情報として取得する、
    請求項1記載のタイヤ状態検出装置。
  4. 前記振動入力部は、
    前記空気圧低下の発生が検出されたとき、および、前回抽出された前記タイヤの共振周波数が存在しないとき、第1の周波数帯域を前記所定の振動の周波数に決定し、前記空気圧低下の発生が検出されておらず、かつ、前回抽出された前記タイヤの共振周波数が存在するとき、前回抽出された前記タイヤの共振周波数を含み前記第1の周波数帯域よりも狭い第2の周波数帯域を前記所定の振動の周波数に決定する、
    請求項2記載のタイヤ状態検出装置。
  5. 算出された前記ばね定数から、前記タイヤの内圧を算出するタイヤ内圧算出部と、
    算出された前記内圧および検出された前記空気圧低下の発生のうち、少なくとも1つを提示する情報提示部と、を更に有する、
    請求項2記載のタイヤ状態検出装置。
  6. 前記ホイールは、モータにより駆動されるホイールであり、
    前記振動入力部は、
    前記モータに対して電流を供給するインバータの前記モータに対する制御電圧を、前記モータから前記所定の振動が発生されるように制御する、
    請求項1記載のタイヤ状態検出装置。
  7. 前記振動入力部は、
    前記タイヤの回転のための走行用電流に、前記所定の振動のための共振用電流を重畳した合成駆動電流が、前記モータから出力されるように、前記制御電圧を制御する、
    請求項6記載のタイヤ状態検出装置。
  8. 前記周波数情報取得部は、
    前記モータから出力される駆動電流から、前記回転角速度を取得する、
    請求項3記載のタイヤ状態検出装置。
  9. 前記振動入力部は、
    前記モータに対して電流を供給するインバータが前記モータから前記所定の振動を発生するよう制御するための指令情報を算出する、
    請求項7記載のタイヤ状態検出装置。
  10. 前記ホイールは、モータにより駆動されるホイールであり、
    前記振動入力部は、
    前記モータに対して電流を供給するインバータの前記モータに対する制御電圧を、前記モータから前記所定の振動が発生されるように制御し、
    前記周波数情報取得部は、
    前記制御電圧を前記周波数情報として取得する、
    請求項1記載のタイヤ状態検出装置。
  11. ホイールに固定される空気入りタイヤのタイヤ状態を検出するタイヤ状態検出方法であって、
    所定の振動を前記タイヤに入力するステップと、
    前記所定の振動が入力されたときの前記タイヤの周波数情報を取得するステップと、
    取得された前記周波数情報から前記タイヤの共振周波数を抽出するステップと、
    抽出された前記タイヤの共振周波数から、前記タイヤを外側慣性モーメント、内側慣性モーメント、およびこれらの間に働く弾性力のばね定数を用いてモデル化したときの、前記ばね定数を算出するステップと、を有する、
    タイヤ状態検出方法。
JP2011504077A 2009-09-30 2010-09-29 タイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法 Pending JPWO2011040019A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009228279 2009-09-30
JP2009228279 2009-09-30
PCT/JP2010/005871 WO2011040019A1 (ja) 2009-09-30 2010-09-29 タイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2011040019A1 true JPWO2011040019A1 (ja) 2013-02-21

Family

ID=43825864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011504077A Pending JPWO2011040019A1 (ja) 2009-09-30 2010-09-29 タイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20110219864A1 (ja)
JP (1) JPWO2011040019A1 (ja)
CN (1) CN102227619B (ja)
WO (1) WO2011040019A1 (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5531265B2 (ja) * 2010-10-12 2014-06-25 パナソニック株式会社 タイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法
US9329103B2 (en) 2011-01-28 2016-05-03 GM Global Technology Operations LLC Methods and systems for characterizing vehicle tires
KR101326919B1 (ko) * 2011-12-12 2013-11-11 현대자동차주식회사 Tpms 센서의 위치 검출 장치 및 그 방법
JP5857781B2 (ja) * 2012-02-15 2016-02-10 日産自動車株式会社 電動モータを用いた車両の制振制御装置
DE102013222758A1 (de) * 2012-11-15 2014-06-05 Gm Global Technology Operations, Llc Verfahren und Systeme für das Charakterisieren von Fahrzeugreifen
JP6103298B2 (ja) * 2013-05-17 2017-03-29 パナソニックIpマネジメント株式会社 タイヤセンサシステム
US9076272B2 (en) * 2013-05-28 2015-07-07 Infineon Technologies Ag Wheel speed sensor and interface systems and methods
US9527352B2 (en) * 2013-06-17 2016-12-27 Infineon Technologies Ag Indirect tire pressure monitoring systems and methods using multidimensional resonance frequency analysis
FR3009080B1 (fr) * 2013-07-23 2016-12-30 Michelin & Cie Methode de test de la resistance a une perte de pression d'un pneumatique
US9016116B1 (en) * 2013-10-07 2015-04-28 Infineon Technologies Ag Extraction of tire characteristics combining direct TPMS and tire resonance analysis
KR101683728B1 (ko) * 2015-06-26 2016-12-07 현대오트론 주식회사 타이어 특성에 따른 타이어 압력 모니터링 장치 및 그 방법
KR101683730B1 (ko) * 2015-07-13 2016-12-07 현대오트론 주식회사 속도 구간을 이용한 타이어 압력 모니터링 장치 및 그 방법
FR3056451B1 (fr) * 2016-09-23 2018-11-02 Continental Automotive France Procede d'assistance au gonflage de pneumatiques d'un vehicule
IT201800002034U1 (it) * 2018-03-07 2019-09-07 Dispositivo per la caratterizzazione viscoelastica non distruttiva dei materiali dotato di pulsante a scatto
CN108973544B (zh) * 2018-08-16 2020-09-08 杭州容大智造科技有限公司 一种利用电流检测轮胎气压的设备
CN109658543B (zh) * 2018-11-27 2021-07-09 汉海信息技术(上海)有限公司 一种车辆的车轮故障处理方法、车辆及***
DE102019206595A1 (de) * 2019-05-08 2020-11-12 Zf Friedrichshafen Ag Verfahren und Prüfstand zur Bestimmung von Reifeneigenschaften
ES2940097T3 (es) * 2019-12-20 2023-05-03 Schneider Toshiba Inverter Europe Sas Procedimientos y dispositivos para determinar una frecuencia de resonancia de un sistema mecánico

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10193934A (ja) * 1997-01-09 1998-07-28 Toyota Motor Corp タイヤ空気圧異常判定装置
JP2001063327A (ja) * 1999-08-30 2001-03-13 Denso Corp タイヤ空気圧警報装置
JP2005047306A (ja) * 2003-07-29 2005-02-24 Bridgestone Corp インホイールモータの支持方法、及び、インホイールモータシステム
JP2008110742A (ja) * 2005-12-16 2008-05-15 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ空気圧低下警報装置および方法、ならびにタイヤ空気圧低下警報プログラム
JP2009150834A (ja) * 2007-12-21 2009-07-09 Bridgestone Corp タイヤ空気圧推定システム

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0891904B1 (en) * 1997-07-18 2002-04-10 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Wheel condition estimating apparatus
JP3540311B2 (ja) * 2002-05-31 2004-07-07 松下電器産業株式会社 モータ駆動制御装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10193934A (ja) * 1997-01-09 1998-07-28 Toyota Motor Corp タイヤ空気圧異常判定装置
JP2001063327A (ja) * 1999-08-30 2001-03-13 Denso Corp タイヤ空気圧警報装置
JP2005047306A (ja) * 2003-07-29 2005-02-24 Bridgestone Corp インホイールモータの支持方法、及び、インホイールモータシステム
JP2008110742A (ja) * 2005-12-16 2008-05-15 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ空気圧低下警報装置および方法、ならびにタイヤ空気圧低下警報プログラム
JP2009150834A (ja) * 2007-12-21 2009-07-09 Bridgestone Corp タイヤ空気圧推定システム

Also Published As

Publication number Publication date
US20110219864A1 (en) 2011-09-15
CN102227619A (zh) 2011-10-26
WO2011040019A1 (ja) 2011-04-07
CN102227619B (zh) 2013-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2011040019A1 (ja) タイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法
JP5531265B2 (ja) タイヤ状態検出装置およびタイヤ状態検出方法
CN104228489B (zh) 使用多维共振频率分析的间接轮胎压力监测***和方法
US9016116B1 (en) Extraction of tire characteristics combining direct TPMS and tire resonance analysis
WO2021004403A1 (en) Road type recognition
US11536579B2 (en) Methods and systems for determining a vehicle route based on an estimation of the weight of the vehicle
US8299909B2 (en) Apparatus, method and program for detecting decrease in tire air pressure including means to reject data
JP2013505167A (ja) ホイール位相角度情報を用いて車両のホイールの自動位置決めを行うシステム及び方法
JP4617371B2 (ja) タイヤ空気圧低下検出装置および方法、ならびにタイヤの空気圧低下検出プログラム
JP2003146036A (ja) 車両における空気タイヤの走行トレッドの剥離開始の検出方法
CN106061761A (zh) 路面状态估计方法
JP2009513945A (ja) 車両タイヤの内圧を検出する方法
CN105283365A (zh) 轮胎接地状态估计方法
KR20120099304A (ko) 타이어 상태 판정 장치
JP2014532170A (ja) 車両ホイールの転がり抵抗を推定する方法
JP5689105B2 (ja) タイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラム
US20230202241A1 (en) Enhanced tracking of tire tread wear
CN108973544B (zh) 一种利用电流检测轮胎气压的设备
JP5562466B1 (ja) 適合補助システムおよび適合補助方法
JP2014044053A (ja) タイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラム
KR101499745B1 (ko) 운동에너지 등가연료지수를 이용한 차량 연비 계산 방법
JPH06297923A (ja) タイヤ空気圧検知装置
JP2012086747A (ja) ハイドロプレーニング現象の予測方法とその装置
KR102685295B1 (ko) 차량의 타이어압의 검사 방법
JP6969363B2 (ja) タイヤの減圧の検出装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130722

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140603