JPWO2010147192A1 - 高比表面積のカーボンナノチューブ集合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本願発明は、触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境で、比表面積が高い、単層CNT集合体を高効率で連続的に安定に製造する方法を提供するものであり、具体的には、排気体積を、加熱体積より小さく調整して基材を合成炉内に設置する工程と、設置した前記基材上の触媒層を還元及び/又は微粒子化するフォーメーション工程と、炭素を含有し且つ酸素を含有しない原料ガスと、酸素を含有する触媒賦活物質とを、前記触媒層及び/又は触媒微粒子と接触させると共に、加熱してカーボンナノチューブを成長させる成長工程と、を備え、前記成長工程では、ガス供給管から供給される原料ガスを前記基材平面に対して略平行方向の複数の方向に分配又は分散した後に、この原料ガスを、前記基材平面に対して略垂直方向に前記触媒層及び/又は触媒微粒子に接触させるものである。

Description

本発明は高炭素環境、触媒賦活物質含有の原料から連続的に、高比表面積の配向した単層CNT集合体の高効率での製造法に関するものである。
近時、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料、および生体関連材料などの機能性新素材へのカーボンナノチューブ(以下、CNTとも称する)の展開が期待されており、その用途、品質、および量産性などに対する検討が精力的に進められている。
CNTの製造方法の一つに、化学気相成長法(以下、CVD法とも称する)が知られている(特許文献1などを参照されたい)。この方法は、約500℃〜1000℃の高温雰囲気下で炭素化合物などの原料ガスを触媒の触媒微粒子と接触させることを特徴としており、触媒の種類や配置、あるいは原料ガスの種類や、還元ガス、キャリアーガス、合成炉や反応条件といった態様を様々に変化させた中でのCNTの製造が可能であり、CNTの大量生産に適したものとして注目されている。またこのCVD法は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と多層カーボンナノチューブ(MWCNT)とのいずれも製造可能である上、触媒を担持した基材を用いることで、基材面に垂直に配向した多数のCNTを製造することができる、という利点を備えている。比表面積が高く、配向性を持つCNT集合体は、物質・エネルギー貯蔵材料として、スーパーキャパシターの電極や指向性を持つ伝熱・放熱材料などの様々な用途において、非常に好適である。
CNTのなかでも単層CNTは、電気的特性(極めて高い電流密度)、熱的特性(ダイアモンドに匹敵する熱伝導度)、光学特性(光通信帯波長域での発光)、水素貯蔵能、および金属触媒担持能などの各種特性に優れている上、半導体と金属との両特性を備えているため、電子デバイス、蓄電デバイスの電極、MEMS部材、及び機能性複合材料のフィラーなどの材料として注目されている。
また、金属不純物が少なく、比表面積が800m/g〜2600m/gの範囲にある単層CNTの集合体は、触媒の担持体やエネルギー・物質貯蔵材として有効であり、スーパーキャパシターやアクチュエータなどの用途に好適である。
このような高比表面積の配向したCNT集合体が創製されれば、CNTの応用分野が飛躍的に拡大するものと予測されるが、実用化を推進するためには、高比表面積の配向したCNT集合体の量産性を向上させることが重要である。
しかしながら、従来の化学気相成長法では、CNTの合成過程で発生する炭素系不純物が触媒微粒子を被覆し、触媒が容易に失活し、CNTが効率良く成長できなかった。触媒の活性は通常数パーセント程度で、寿命は1分程度であった。そのため、従来の単層CNT成長工程においては、低炭素濃度雰囲気で合成を行うのが普通であった。ここで、低炭素濃度雰囲気とは、原料ガス及び雰囲気ガスを含むガスに対する原料ガスの割合が0.1〜1%程度の成長雰囲気のことを言う。従来の合成法で、炭素濃度を高くすると、触媒がさらに容易に失活し、CNTの成長効率がさらに低下してしまった。
結果として、従来の合成法では、触媒への原料ガスの供給が少ないため、CNTの成長速度が遅いだけでなく、高さが数十μm程度の単層CNT集合体しか製造できなかった。また、実際に成長工程で、基材上の触媒と接触した原料ガスに含まれる炭素の内、CNTに転化された割合である炭素効率も極端に悪く、ほとんどの原料ガスが廃棄されてしまうため、コスト面からも問題があった。
本発明者らは、反応雰囲気中に水分などの触媒賦活物質を極微量存在させることにより触媒効率が劇的に向上するのを見出し、より高効率で、高純度、高比表面積、高配向単層CNTを製造することが可能であることを、非特許文献1において報告した。
この方法では、CNTの合成雰囲気中に添加した触媒賦活物質が、触媒微粒子を覆った炭素系不純物を取り除いて、触媒膜の地肌を清浄化する結果、著しく触媒の活性が向上するとともに寿命が延びる。この触媒賦活物質の添加により、触媒の活性が高められ、且つ寿命が延長した結果、従来は高々2分間程度で終了した単層CNTの成長が数十分間継続する上、触媒活性は従来の高々数パーセントから、84%にも改善することになった。この結果、従来の高々4μmの高さから、その高さが数百倍著しく増大した(非特許文献1においては、高さ2.5ミリで、4μmから625倍の改善)単層CNT集合体が得られることとなった。これは、触媒賦活物質存在下においては、触媒活性が著しく向上するため、高炭素濃度環境下においても、触媒は活性を失わず、長時間のCNTの成長が可能となるとともに、成長速度が著しく向上するためである。ここで、高炭素濃度環境とは、原料ガス及び雰囲気ガス、触媒賦活物質を含むガスに対する原料ガスの割合が2〜20%程度の成長雰囲気のことを言う。
特開2003−171108号公報
Kenji Hata et al, Water-Assisted Highly Efficient Synthesis of Impurity-Free Single-Walled Carbon Nanotubes, SCIENCE, 2004.11.19, vol.306, p.1362-1364
触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境での、CNTの合成は、従来と比較して格段の、成長効率、炭素効率、成長速度の向上をもたらした。しかしながら、本手法を用いて、CNT集合体を製造する場合には、従来の合成法にはなかった触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境、特有の技術課題が発生する。
上記環境下で合成を行うと、成長中において既に形成されたCNTが炭素化合物である高濃度の原料ガス中に曝露されることにより、原料ガスの分解が過大となり、炭素不純物が発生する。発生した炭素不純物が、製造したCNTに付着すると、比表面積が著しく低下してしまう。また、発生した、炭素不純物が合成炉内の基材周辺、下流域に付着し、安定で高比表面積のCNT集合体の製造を阻害する。
特に、連続的に、高比表面積のCNT集合体を大量に製造する場合には、発生した炭素不純物が蓄積され、安定で連続的な高比表面積のCNT集合体の製造を阻害する。すなわち、合成回数を増やすにつれ、製造される、CNT集合体の比表面積、および収量が低下する。
さらには、触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下で、大きな基材上で均一な高比表面積なCNT集合体の連続的製造は、局所的に炭素不純物が大量に発生しやすくなるため困難である。
さらには、原料ガスを合成炉内に導入した際に、効率よく原料ガスをCNTに転化することは、製造コストを低減する上で非常に大事であるが、高炭素環境下では、大量の原料ガスが少量の触媒に供給されるため、原料ガスをより効率良くCNTに転化する必要がある。
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の主な目的は、触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境で、比表面積が高い、単層CNT集合体を高効率で連続的に安定に製造する方法を提供することにある。
また、本発明の別の主目的は、炭素重量フラックスが調整された原料ガスを、基材上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を略均一にして接触させることで、高比表面積のCNT集合体を、大面積に略均一に且つ効率よく製造する方法を提供することにある。
また、本発明の別の主目的は、触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境で、高比表面積のCNT集合体を高炭素効率で製造する方法を提供することにある。炭素効率とは、合成炉に導入された原料ガスに含有される炭素の内、CNTに転化された炭素の重量割合のことを示す。そのため、炭素効率は安価にCNT集合体を大量に製造するための重量な要因である。
なお、本明細書で言う「CNT集合体」とは、成長用基材から一定の方向に成長した複数のCNTの集合体を言い、このCNT集合体を基材から剥離して得られた物体も含む。剥離により、CNT集合体は粉体状になる場合もある。
発明者らは鋭意研究の結果、高温下の炉内において、原料ガスおよび触媒賦活物質、雰囲気ガスを含んだガスを、金属触媒を表面に有する基材に接触させ、比表面積が高い単層CNT集合体を成長させる化学気相成長法において、合成炉内での排気体積を加熱体積より小さくなるように基材を設置することで合成炉内、特に基材周辺と、合成炉下流での炭素不純物の発生を抑制した。これにより、連続的合成時において、合成炉内に付着・蓄積される炭素不純物の量を抑制した。さらに、炭素不純物付着抑制工程により、CNTの生産終了後、合成炉内に残余する、原料ガス、触媒賦活物質、それらの分解物、または合成炉内に存在する炭素不純物等がCNT集合体へ付着することを抑制した。さらに、原料ガスを略均一な量で、基材に配設された触媒に接触させることにより触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下で、高効率で、均一に、高比表面積のカーボンナノチューブ集合体を連続的に製造する方法を提供するに至った。
本発明のカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、合成炉内において炭素を含有し且つ酸素を含有しない原料ガスが基材上の触媒層に接触してからガス排気管より排出されるまでの流路において加熱領域内に含まれる流路の体積として規定される排気体積を、前記原料ガスがガス供給管より供給されて前記基材上の触媒層に接触するまでの流路において前記加熱領域内に含まれる体積として規定される加熱体積より小さく調整して前記基材を前記合成炉内に設置する工程と、設置した前記基材上の触媒層に還元ガスを接触させると共に、前記触媒層および前記還元ガスの少なくともいずれか一つを加熱して、前記触媒を還元、及びまたは微粒子化するフォーメーション工程と、前記原料ガスと、酸素を含有する触媒賦活物質とを、前記フォーメーション工程で還元した前記触媒層および触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させると共に、前記触媒層、前記触媒微粒子、前記原料ガスおよび前記触媒賦活物質の少なくともいずれか一つを加熱してカーボンナノチューブを成長させる成長工程と、を備え、前記成長工程では、前記ガス供給管から供給される原料ガスを前記基材平面に対して略平行方向の複数の方向に分配または分散した後、この分配または分散した原料ガスを、前記基材平面に対して略垂直方向に前記触媒層および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させていることを特徴とする。
また、本発明のカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、基材上の触媒層に原料ガスと触媒賦活物質とを接触させてカーボンナノチューブを成長させる製造方法において、還元ガスを供給して前記基材上の触媒層に前記還元ガスを接触させると共に、前記触媒層および前記還元ガスの少なくともいずれか一つを加熱して、前記触媒層を還元、及びまたは微粒子化するフォーメーション工程と、炭素を含有し且つ酸素を含有しない原料ガスと、酸素を含有する触媒賦活物質とを、前記フォーメーション工程で還元した前記触媒層および触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させると共に、前記触媒層、前記触媒微粒子、前記原料ガスおよび前記触媒賦活物質の少なくともいずれか一つを加熱してカーボンナノチューブを成長させる成長工程と、炭素不純物付着抑制工程とを備え、前記成長工程では、前記ガス供給管から供給される原料ガスを前記基材平面に対して略平行方向の複数の方向に分配または分散した後、この分配または分散した原料ガスを、前記基材平面に対して略垂直方向に前記触媒層および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させていることを特徴とする。
このカーボンナノチューブ集合体の製造方法においては、前記原料ガスは、原料ガスと雰囲気ガスの供給量から炭素重量フラックスを調整して供給されることが好ましい。
また、このカーボンナノチューブ集合体の製造方法においては、前記原料ガスと前記雰囲気ガスとの供給量から炭素重量フラックスを調整して得られた前記原料ガスと前記雰囲気ガスとを合成炉に供給し、前記原料ガスを略均一の量をもって前記触媒層および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させてカーボンナノチューブを成長させることが好ましい。
さらに、このカーボンナノチューブ集合体の製造方法においては、前記原料ガスの流れる流路の断面積が、前記原料ガスの流れる流路が前記触媒層と交わる面の面積と概ね一致することが好ましい。
本発明の方法によれば、従来手法に比べ、炭素不純物の発生を抑制しつつ、高効率でCNT集合体を製造できるため、原料ガスの無駄を大きく減らすことが可能であると共に、比表面積が高く、一本一本のCNTが規則的な方向に配向していて、かつ重量密度が低いために成型加工性を持つCNT集合体を安定して連続的に製造することが容易である。このため産業界への利用が十分に期待できるものである。
本発明が適用されるCNT製造装置の一例を概念的に示した図である。 ガス流形成手段の形状・形態の例を示した図である。 加熱体積の定義の例を示した図である。 炭素重量フラックスの定義の例を示した図である。 炭素重量フラックスの定義の例を示した図である。 実施例1におけるCNT製造装置を概念的に示した図である。 実施例1で製造されたCNT配向集合体の一例を示す写真である。 実施例1において50回連続でCNT配向集合体を合成したときの各合成時におけるCNT配向集合体の収量を示す。 実施例1において50回連続でCNT配向集合体を合成したときの各合成時におけるCNT配向集合体の比表面積を示す。 比較例1におけるCNT製造装置を概念的に示した図である。
以下に本発明を添付の図面を参照して詳細に説明する。
本発明が適用されるCNT製造装置の一例を図1に示す。このCNT製造装置は触媒層2を備える基材1を受容する例えば石英ガラス等からなる合成炉3と、合成炉3の上壁に設けられ、合成炉3と連通するガス供給管4と、下流側の下壁もしくは側壁に設けられ、合成炉3と連通するガス排気管5と、合成炉3を外囲して設けられた例えば抵抗発熱コイルなどからなる加熱手段6と、炉内温度を所定の温度に調整するための加熱温度調整手段と、加熱手段6と加熱温度調整手段により、所定温度に加熱された合成炉3内の加熱領域7とを備える。また、加熱体積が排気体積より大きくなるように、合成炉3内の加熱領域7に、触媒層2を備える基材1を保持するための基材ホルダ8が設けられている。このような位置に基材ホルダ8を設けることで、触媒層2に接触した、原料ガス等を速やかに、排気し、合成炉3内、特に基材1周辺と、合成炉3下流での炭素不純物の発生を抑制した。
触媒層2とは、基材1上での触媒を包含する面もしくは空間のことであり、一般的には基材1が平板状の場合には、基材面となり、基材1が微粒子やビーズの集合体の場合にはそれらの基材1を包含する空間となる。
基材ホルダ8及びまたは、触媒層2の上方の加熱領域7内には、ガス供給管4から供給される原料ガスを分配・分散させ、複数の方向へ流れる原料ガス流を形成させる、ガス流形成手段9が配置されている。ガス流形成手段9は、基材1表面に対して略平行の複数の方向に原料ガスの流れを形成する。またガス流形成手段9には、基材1平面に対して略垂直方向の原料ガス流を形成する複数の、ガス噴出手段10が設けられている。ガス噴出手段10は、基材1の表面に対して、略平行な同一面内に配設されている。
このようなガス流形成手段9を用いることにより、ガス供給管4から供給された原料ガスを、基材1平面と略平行な平面に展開・分散してから、基材1平面と略垂直方向から触媒と接触させることができる。そのため原料ガスを、基材1上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を略均一にして触媒に接触させることができる。
CNT製造装置は、CNTの原料となる炭素化合物を収容する原料ガスボンベ11、触媒賦活物質を収容する触媒賦活物質ボンベ12、原料ガスや触媒賦活物質のキャリアガスを収容する雰囲気ガスボンベ13、および触媒を還元するための還元ガスボンベ14を備えており、これらのボンベからのそれぞれのガスの供給量をガスフロー装置で制御可能な炭素重量フラックス調整手段15を備えている。炭素重量フラックス調整手段15は最適化された量の原料ガスを触媒に接触させるために好適である。
ガス供給管4、ガス排気管5、並びに各供給部の適所には、逆止弁、流量制御弁、および流量センサが設けられており、図示されていない制御装置からの制御信号によって各流量制御弁を適宜に開閉制御することにより、所定流量の原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、並びに還元ガスが、ガス供給管4から反応プロセスに応じて連続的にあるいは間欠的に合成炉3内に供給されるようになっている。
〔合成炉〕
合成炉3とは、触媒を担持した基材1を受容し、CNTの合成を行う炉のことを指す。合成炉3の材質は、CNTの成長を阻害せず、成長温度で触媒を担持した基材1を受容することができ、炉内の均熱性を保ち得るものとすると良い。さらには、大量のCNTを合成するために、合成炉3は、基材を複数、もしくは連続的に供給・取り出しを行うシステムを装備していてもよい。
本発明の効果を得るためには合成炉3は横型よりも縦型であることが好ましい。ここで縦型合成炉3とは、原料ガスが縦(鉛直)方向から供給される合成炉3を示す。原料ガスを縦(鉛直)方向から供給すると、基材1を水平方向に配設し、かつ、原料ガスを鉛直方向から、触媒に接触させることが容易なため好ましい。
〔CNT製造装置の材質〕
CNT製造装置の一部、特に合成炉3、ガス流形成手段9、ガス噴出手段10の材質は、その機能を発現できるものであればよく、公知の物を適宜用いることができる。このような、CNT製造装置の一部、特に合成炉3、ガス流形成手段9、ガス噴出手段10の材質は耐熱合金とすると良い。耐熱合金は、加工性、機械的強度に優れるために、構造が複雑な形状をCNT製造装置の一部の作るために好ましい。
耐熱合金としては、耐熱鋼、ステンレス鋼、ニッケル基合金等が挙げられる。
なお、Feを主成分として他の合金濃度が50%以下のものが耐熱鋼と一般に呼ばれる。また、Feを主成分として他の合金濃度が50%以下であり、Crを約12%以上含有する鋼は一般にステンレス鋼と呼ばれる。また、ニッケル基合金としては、NiにMo、CrおよびFe等を添加した合金が挙げられる。
具体的には、SUS310、インコネル600、インコネル601、インコネル625、インコロイ800、MCアロイ、Haynes230アロイなどが耐熱性、機械的強度、化学的安定性、コストなどの点から好ましい。
〔浸炭防止層〕
CNT製造装置の一部、特に合成炉3、ガス流形成手段9、ガス噴出手段10の表面又は裏面の少なくともいずれか一方には、浸炭防止層が形成してもよい。もちろん、表面及び裏面の両面に浸炭防止層が形成されていることが望ましい。この浸炭防止層は、CNT製造装置の一部と原料ガスの化学反応を抑制するために好ましい。また、原料ガスの分解により、CNT製造装置の一部が浸炭されて変形してしまうのを防止するために好ましい。
浸炭防止層は、単独で触媒活性を示さない金属元素又はその化合物によって構成されることが望ましい。その材料としては、例えばアルミナ(Ai)、酸化ケイ素(SiO)、ジルコニア(ZrO)、酸化マグネシウム(MgO)等の金属酸化物、銅やアルミニウム等の金属を適用することができる。
〔ガス供給管〕
ガス供給管4は、炭素重量フラックス調整手段15から供給された原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、還元ガスなどを、合成炉3内、及びまたはガス流形成手段9に供給する配管を指す。なお、ガス供給管4は、ガスのみならず、液体を供給してもよい。ガス供給管4は、合成炉3の上壁、およびまたは、側壁に設けられた、開口から合成炉3内へ挿設するのが、原料ガスを縦(鉛直)方向から供給するために好ましい。配管の一部は合成炉3の中に挿入されていてもよく、加熱領域7内にその末端が設けられていてもよい。合成炉3の中に挿入されている配管は各種ガスと反応せず、高熱下においてもその品質、形状を保ち得るものであればよく、石英、各種金属材料などが挙げられる。
〔ガス排気管〕
ガス排気管5は、合成炉3から、雰囲気ガス、触媒賦活物質、還元ガス、原料ガス等を排気する配管、ダクト等の手段を指す。なお、ガス排気管5は、ガスのみならず、液体を排気してもよい。ガス排気管5の材料は各種ガスと反応せず、その品質、形状を保ち得るものであればよく、石英、各種金属材料などが挙げられる。ガス排気管5は、合成炉3の下壁、およびまたは、ガス供給管4より下側の側壁に設けられた、開口から合成炉3内へ挿設するのが好ましい。このように、ガス供給管4とガス排気管5を配設すれば、合成炉3内で原料ガスが縦(鉛直)方向から触媒に供給され、後述するように、乱流を抑制し、基材1上に設けられた触媒層2表面に、原料ガスを略均一の量で接触させるのに好ましい。
〔加熱手段 & 加熱領域〕
加熱手段6は、合成炉3を外囲するように設けられた合成炉3を加熱するための装置を指す。電熱線を用いるもの、赤外線を用いるものなど既存の加熱手段を用いることができる。なお、本明細書で言う加熱領域7とは、加熱手段6により、加熱された合成炉3の内部の空間を言う。
〔ガス流形成手段〕
ガス流形成手段9とは、ガス供給管4から供給される原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、還元ガス等を、複数の方向に分配する手段のことである。ガス流形成手段9は、原料ガスを複数の方向に分配・分散することができれば、材質、形状等は特に制限されず、公知のものを適宜用いることができる。ガス流形成手段9の形状・形態としては、図2に示すように、円盤状、円筒状、平面上で中空構造を有するものや、パイプ状の配管を用いるもの、複数の枝分かれするパイプ状の配管や、これらの組み合わせを例示できる。ガス流形成手段9を用いれば、ガス供給管4から点状に供給される原料ガス等を、平面状に分配・分散させ、平面基材1上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を略均一で接触させるために格段の効果を奏する。ガス流形成手段9を用いて、複数の方向に分配される原料ガスは、異なる複数の方向に流れる原料ガス流を形成する。原料ガス流の流れる複数の方向の軸線の間の最大角度が、90度以上(より好ましくは180度以上)になることが、ガス供給管4から点状に供給される原料ガスを、平面状に分配・分散させるためには好ましい。また、ガス流形成手段9が対称軸を有し、対称軸上にガス供給管4が連通されていることは、ガス供給管4から点状に供給される原料ガスを、平面状に分配・分散させるためには好ましい。また、基材1平面に対して略平行方向な複数の方向に原料ガス流を形成するガス流形成手段9は、上記効果を得るために好ましい。略平行方向とは、ガス流形成手段9により、複数の方向に分配・分散された原料ガスが流れる方向の軸線が基材1の法線と成す角が45以上135°未満となるような方向を示す。ここで、略均一の供給量とは、本発明の効果が得られる程度に、原料ガスの供給が均一であることを意味する。すなわち、基材1上の触媒を配置した領域のおおよそ全面からCNTが合成できる程度であればよい。ガス流形成手段9は、原料ガスと同様に触媒賦活物質などを複数の方向に分配・分散することも含む。すなわち、このガス流形成手段9によって、触媒賦活物質は、基材1平面に対して略平行方向な複数の方向に触媒賦活物質流を形成する。
〔ガス噴出手段〕
ガス噴出手段10とは、ガス供給管4から合成炉3内に供給された、原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、還元ガス等を合成炉3内で噴出する手段である。ガス噴出手段10を複数、適宜ガス流形成手段10に分散・配設することで、基材1の触媒に接触する原料ガスの量を均一化することに効果がある。ガス噴出手段10としては、配管、中空部材などから構成されるガス流形成手段9に配設された噴出孔や、ノズル、実質的な噴出孔が無数にあるようなポーラス材料を例示できるが、上記の効果があれば、適宜の形態の物を用いることができる。
ガス噴出手段10は複数、ガス流形成手段9に設けるのが、上記効果を得るために好ましい。ガス噴出手段10の間隔は、複数のガス噴出手段10から噴出されるガスが、略均一なガス流を形成するようにすることが好ましい。略均一とは、原料ガス流等のガス流の断面平面を、ガスが略均一の量で流れることを示す。基材1平面に対して略垂直方向のガス流を形成するように配設された、複数のガス噴出手段は、上記効果を得るために好ましい。また、複数のガス噴出手段10が、基材1の表面に対して、略平行な同一面内に配設されていることは、上記効果を得るために好ましい。
略垂直方向とは、ガス噴出手段10の、噴射軸線が基材1の法線と成す角が0以上45°未満となるような方向を示す。つまりガス供給管4に設けられたガス噴出手段10から噴出するガス流の方向が、基材1の触媒層2に鉛直方向から接触するようにされていることを指す。
ガス噴出手段10とガス供給管4との間の角度の最大値が、90度以上(より好ましくは180度以上)になることが、ガス供給管4から点状に供給される原料ガス等を、平面状に分配・分散させるためには好ましい。
〔加熱体積〕
加熱体積とは、図3に示すように、加熱手段6により加熱された合成炉3内の加熱領域7において、ガス供給管4より合成炉3内の加熱領域7に供給された原料ガスが基材1の触媒に接触するまでに経た流路の体積で規定される。
ここで原料ガスが流れる加熱領域7内の流路の温度は、原料ガスを十分に加熱し、触媒上でCNTを効率よく合成するためにも、少なくとも400℃以上に加熱されていることが好適である。400℃未満においては、原料ガスの分解が促進されず、本発明の効果を得ることが困難となる。
基材1が粉末状やビーズ状の構造体の集合体から構成され、原料ガスが複数回触媒と接触する場合には、原料ガスが触媒に最後に接触した場所からの流路を加熱体積16と規定する。
原料ガスが加熱領域7内で、ガス供給管4、ガス流形成手段9を流れて触媒層2に接触する場合には、加熱体積16は、加熱領域7内にある、ガス供給管4の体積と、ガス流形成手段9の体積と、これらから噴出された原料ガスが触媒に接触するまでの流路の体積の合計で規定される。
〔排気体積〕
排気体積とは、図3に示すように、原料ガスが基材1の触媒に接触してからガス排気管5より排出されるまでに経た流路において、加熱手段により加熱された加熱領域7内にある加熱された原料ガスの体積(濃灰色部位)で規定される。
基材1が粉末状やビーズ状の構造体の集合体から構成され、原料ガスが、複数回触媒と接触する場合には、原料ガスが触媒に最後に接触した場所からの流路を排気体積17と規定する。
〔炭素重量フラックス〕
炭素重量フラックスとは、広義には、単位時間当たりに単位面積当たりの触媒層2に接触する炭素の重量を表したものである。炭素重量フラックスは、触媒に接触する炭素の量を表すため、CNTの重要な製造条件である。
〔炭素重量フラックス調整手段〕
炭素重量フラックス調整手段15は、ガスフロー装置等により、CNTの原料となる炭素化合物となる原料ガスの供給量及び原料ガスや触媒賦活物質のキャリアガスである雰囲気ガスの供給量をそれぞれ調整し、任意の炭素重量フラックスを炉内に供給する手段である。このような手段を用いることにより、炭素重量フラックスを調整でき、最適な量の炭素を触媒に供給することが可能になり、本発明の効果を得ることができる。
炭素重量フラックス調整手段15を用いて、炭素重量フラックスを40g/cm/min〜4300g/cm/minとすることにより触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下で、高速にかつ高収量で効率良くCNTを製造することができ、本発明の目的を達成することができる。炭素重量フラックスが40g/cm/min未満であると、触媒に供給される原料ガスが十分ではなく、高速でCNTを製造することができない。一方で、炭素重量フラックスが4300g/cm/minを超えると、炭素不純物が大量に発生し、製造されたCNTと合成炉3内に付着する。
〔炭素不純物抑制手段〕
炭素不純物抑制手段は、合成炉3の加熱領域7内、特に基材1近傍での炭素不純物の発生を抑制する手段のことを示す。触媒賦活物質含有、高炭素環境下のCNTの成長工程においては、原料ガスの分解が進んでいるため、分解が進んだ原料ガスを、触媒と接触後に速やかに排気することで、合成炉3内で発生する炭素不純物の量を低減することができる。そのためには、ガス排気管5の断面積をガス供給管4の断面積より大きくすると好適である。また、ガス排気管5を合成炉3の側壁、及びまたは、合成炉3の下壁に設けてもよい。また、ガス供給管1つに対して、複数のガス排気管5を設けることは、すみやかに、原料ガスを排気するために好ましい。
そのために、加熱体積16と比して排気体積17を小さくなるようにすると、原料ガスが触媒と接触した後に、速やかに加熱領域7外へと排気することができ、炭素不純物の発生を抑制することができる。このようにすれば、高収量で効率良くCNTを製造しつつ、炭素不純物の量を低減し、高比表面積のCNT集合体を製造するのに好適である。
〔炭素重量フラックスの規定法〕
炭素重量フラックスとは、広義には、単位時間当たりに単位面積当たりの触媒層2に接触する炭素の重量を表したものである。図4に示すように、炭素重量フラックス18は、単位時間当たりに原料ガスの流路19を通過する原料ガスに含まれる炭素原子の重量を、触媒層2(基材1上での触媒を包含する面もしくは空間)と原料ガスの流路19とが交わる面の面積20で割って、触媒層2の単位断面積、単位時間当たりに接触する炭素の重量を表したものである。炭素重量フラックス18は、マスフロー等で構成される炭素重量フラックス調整手段15の調節により設定可能である。
炭素重量フラックス(g/cm/min)=12×原料ガスの1分子内に含まれる炭素の数×原料ガスの流量×炉内圧力/(気体定数×加熱された炉内の絶対温度)/交わる面の面積
によって求められる。
もしも、基材1が平面状の基板から構成され、その基板が流路に対して平行に置かれた場合、流路と交わる面の面積は実質的にゼロと計算される。このことは、原料ガスから供給される炭素のほとんどが、触媒層2と接触することがないことを示している。そのため、このような配置でCNTの製造を行った場合、合成炉3内に供給される原料ガスのほとんどが触媒と接触しない。
そのため、高収量で効率良くCNTの製造を行うためには、触媒層2(基材1上での触媒を包含する面もしくは空間)と原料ガスの流路19とが概して垂直に交わることが、高収量で効率良くCNTを製造するために好適である。
さらには、原料ガスの流路19の断面積が、原料ガスの流路19と触媒層2とが交わる面の面積20と概ね一致することが望ましい。このように原料ガスの流路19、基材1、および触媒層2を配置すれば、原料ガス中に含まれる炭素の大部分が、触媒層2に接触し、効率よく高速でCNTを製造することが可能である。
図5では、基材1として粒状体を用い、複数の粒状体を円筒の中に配置し、それを包含する円柱状の触媒層2に概して垂直に原料ガスの流路19が交わるようにし、かつ、原料ガスの流路19の断面積が、原料ガスの流路19と触媒層2とが交わる面の面積20とを概ね一致させた場合を例示する。
ここで、触媒層2が空間の場合における触媒層2の表面とは、原料ガスの流路19が触媒層2と接触する触媒層2の面と定義し、表面の面積を触媒層2の面積とする。
このように原料ガスの流路19、基材1、および触媒層2を配置すれば、原料ガス中に含まれる炭素の大部分が、触媒層2に接触し、効率よく高速でCNTを製造することが可能である。
触媒層2と原料ガスの流路19とが交わる面の面積20、原料ガスの流路19の断面積、および触媒層2の面積が、お互い20%異なると、20%以上の原料ガス、もしくは触媒が無駄になり、効率よくCNTを製造することが困難となる。
本発明に係る単層CNT集合体の製造には、公知のCVD法を適用することができる。これは、基材1上に触媒層を製造し、その触媒層に複数のCNTを化学気相成長(CVD)させるものである。
図1を参照しながら説明すると、先ず、ガス供給管4から供給された雰囲気ガス(例えばヘリウム)が満たされた合成炉3内に、触媒層2(例えばアルミナ−鉄薄膜)を別工程で予め成膜した基材1(例えばシリコンウエハ)を搬入し、基材ホルダ8に載置する。
このとき、触媒層2表面と原料ガスの流路とが概して垂直に交わるように基材1を配設し、原料ガスが効率良く触媒に供給されるようにする。
また、排気体積が加熱体積よりも小さくなるように基材1を加熱領域7内に配置し、触媒層2と接触した原料ガスが速やかに排気されるようにする。
次いでガス供給管4から合成炉3内に還元ガス(例えば水素)を供給しながら、合成炉3内を所定の温度(例えば750℃)に加熱し、その状態を所望の時間保持するフォーメーション工程を行う。
この還元ガスにより、触媒層2が還元、及びまたは微粒子化され、CNTの触媒として好適な状態に調整される。フォーメーション工程においては、必要に応じて触媒賦活物質を添加してもよい。
ここで適切な触媒層2の厚さ並びに還元反応条件を選択することにより、直径が数ナノメートル、例えば、1〜10ナノメールの触媒微粒子を、1×1010(個/cm)から5×1013(個/cm)の個数密度に調整可能である。この個数密度は、触媒層2に直交する向きに配向した複数のCNTを成長させるのに好適である。フォーメーション工程においては、必要に応じて触媒賦活物質を添加しても良い。
次いで炭素重量フラックス調整手段15を用いてガス供給管4からの還元ガスおよび雰囲気ガスの供給を所望(反応条件)に応じて停止あるいは低減すると共に、原料ガス(例えばエチレン)と、雰囲気ガスと、触媒賦活物質(例えば水)とを、ガス供給管4から供給する。ガス供給管4から供給されたこれらのガスは、基材1平面に対して略平行方向の複数の方向に向いたガス流を形成した後に、噴出孔から基材1平面に対して略垂直方向から略均一の量で、基材1上の触媒層2表面に吹きかけられる。この時、触媒微粒子は、主として触媒層2上に固着したままであり、更なるCNTの成長を維持するためには、原料ガス及び触媒賦活物質が成長した配向CNT集合体の中を効率よく拡散し、還元された触媒層、及びまたは触媒層2上の触媒微粒子に継続的にかつ安定的に供給される必要があり、噴出孔から基材1平面に対して略垂直方向から略均一の量で、基材1上の触媒層2表面に吹きかけることは好適である。
また、これらのガスは炭素重量フラックス調整手段15を用いて最適化された量で触媒層2の表面に接触し、還元された触媒層及びまたは基材1に被着した触媒微粒子から高収量で効率良くCNTが成長する(成長工程)。また、触媒層2に接触した後には、これらのガスは速やかにガス排気管5より排気され、炭素不純物の発生は最小限に抑えられる。
CNTの生産終了後、合成炉3内に残余する、原料ガス、触媒賦活物質、それらの分解物、または合成炉3内に存在する炭素不純物等がCNT集合体へ付着することを抑制するために、雰囲気ガスのみを流し、CNT集合体への不純物の接触を抑制する(炭素不純物付着抑制工程)。
このようにして、基材1上の触媒層2から同時に成長した複数のCNTは、触媒層2に直交する向きに成長して、配向し、高さが概ねそろった高比表面積のCNT集合体を構成する。
以下、これらの各種条件について詳述する。
〔フォーメーション工程〕
フォーメーション工程とは、基材1に担持された触媒の周囲環境を還元ガス環境とすると共に、触媒および還元ガスの少なくとも一つを加熱する工程である。この工程により、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態の微粒子化促進、および触媒の活性向上の少なくとも一つの効果が現れる。例えば、触媒がアルミナ−鉄薄膜である場合、鉄触媒層は還元、及びまたは微粒子化されて、アルミナ層上にナノメートルサイズの触媒微粒子が多数形成される。
〔成長工程〕
成長工程とは、触媒の周囲環境を原料ガス環境とすると共に、触媒、原料ガスおよび触媒賦活物質の少なくともいずれか一つを加熱することにより、触媒表面にCNTを成長させる工程のことである。フォーメーション工程の後に成長工程を行うことはCNT集合体の生産に好適である。
〔炭素不純物付着抑制工程〕
炭素不純物付着抑制工程とは、CNTの生産終了後、合成炉3内に残余する、原料ガス、触媒賦活物質、それらの分解物、または合成炉3内に存在する炭素不純物等がCNT集合体へ付着することを抑制する工程のことであり、かかる効果があれば、どのような形態、工程でもよい。炭素不純物付着抑制工程として、CNTの生産終了後に、雰囲気ガスを一定時間流したり、合成炉3内に残余する、原料ガス、触媒賦活物質、それらの分解物、または炭素不純物等がない領域に基材1を移送することが例示できる。基材1を移送する際には、炭素不純物が多い合成炉3の下流ではなく、上流に向けて基材1を移送すると好ましい。
高炭素環境下でCNTを生産すると、従来よりも多量の原料ガス、および炭素不純物が、合成炉3内、特に基材1周辺、および合成炉3下流に発生する。CNT集合体は極めて比表面積が大きいため、CNTの生産終了後、基材1周辺に、原料ガス、炭素不純物等が存在すると、CNT集合体に炭素不純物として付着し、比表面積が著しく低下してしまう。そのため、炭素不純物付着抑制工程を用いて、CNTの生産終了後に、CNT集合体への不純物の接触を抑制することは、高比表面積のCNT集合体を得るために著しい効果がある。
〔冷却工程〕
冷却工程とは、CNT集合体、触媒、および基材を、成長工程後に冷却する工程のことである。成長工程後のCNT集合体、触媒、および基材1は高温状態にあるため、酸素存在環境下に置かれると酸化してしまうおそれがある。それを防ぐために冷却ガス環境下でCNT集合体、触媒、および基材1を、好ましくは400℃以下、より好ましくは200℃以下に冷却する。冷却ガスとしては、不活性ガスが好ましく、特に安全性、経済性、およびパージ性などの点から窒素が好ましい。
〔基材(基板)〕
基材1(基板)とは、その表面にCNTを成長させる触媒を担持することのできる部材であり、最低限400℃以上の高温でも形状を維持できるものであれば適宜のものを用いることができる。基材1の形態としては、平板等の平面状の形態が、本発明の効果を用いて、大量のCNTを製造するために好ましい。しかしながら、粉末、または線状体の集合体で、平面状をなす基材でもよい。
これまでにCNTの製造に実績のある材質としては、鉄・ニッケル・クロム・モリブデン・タングステン・チタン・アルミニウム・マンガン・コバルト・銅・銀・金・白金・ニオブ・タンタル・鉛・亜鉛・ガリウム・インジウム・ゲルマニウム・砒素・燐・アンチモンなどの金属、並びにこれらの金属を含む合金および酸化物、またはシリコン・石英・マグネシア・スピネル・カルシア・ドロマイト・クロミア・ジルコニア・チタニア・ムライ・ガラス・マイカ・グラファイト・アルミナ・酸化マグネシウム・チタン酸カリウム・酸化ジリコニウム・ゼオライト・シリカ・酸化チタン・ダイヤモンドなどの非金属、並びにセラミックおよびこれらの混合物が挙げられる。
金属は、シリコンやセラミックと比較して廉価である点が好ましく、特に、鉄−クロム(Fe−Cr)合金、鉄−ニッケル(Fe−Ni)合金、および鉄−クロム−ニッケル(Fe−Cr−Ni)合金などが本発明の実施に好適である。
粉末、または線状体としては、具体的には、板状アルミナ・石英フレーク・石英繊維・セラミック繊維・繊維状酸化チタンなどを例示できる。
〔触媒〕
本発明の実施において基材に担持され、例えば触媒膜などの触媒層2を形成する触媒としては、これまでのCNTの製造に実績のあるものであれば適宜のものを用いることができるが、具体的には、鉄・ニッケル・コバルト・モリブデン、およびこれらの塩化物並びに合金や、これらがさらにアムミニウム・アルミナ・チタニア・窒化チタン・酸化シリコンと複合化、または重層化したものでもよい。特に好ましいものとしては、鉄−モリブデン薄膜、アルミナ−鉄薄膜、アルミナ−コバルト薄膜、アルミナ−鉄−モリブデン薄膜、アルミニウム−鉄薄膜、およびアルミニウム−鉄−モリブデン薄膜などを例示することができる。
本発明の実施における触媒の存在量は、これまでのCNT製造に実績のある範囲内であればよいが、例えば鉄やニッケルの金属薄膜を用いる場合、その厚さは、0.1nm〜100nmが好ましく、0.5nm〜5nm以下がより好ましく、0.8nm〜2nmが高比表面積のCNT集合体を得るために特に好ましい。
〔触媒形成法〕
基材1表面への触媒層2の形成は、ウェットプロセスまたはドライプロセスのいずれをも適用することができる。具体的には、スパッタリング蒸着法や、金属微粒子を適宜な溶媒に分散させた液体の塗布・焼成法などを適用することができる。
〔還元ガス〕
フォーメーション工程で用いる還元ガスは、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態の微粒子化促進、および触媒の活性向上の少なくとも一つの効果を持つガスである。本発明の実施に用いる還元ガスとしては、これまでのCNTの製造に実績のある還元性を有するガスであれば適宜のものを用いることができるが、例えば水素・アンモニア・水、およびそれらの混合ガスを適用することができる。
〔不活性ガス(雰囲気ガス)〕
化学気相成長の雰囲気ガス(キャリアガス)としては、CNTの成長温度で不活性であり、成長するCNTと反応しないガスであればよく、本発明の実施に用いる雰囲気ガスとしては、これまでのCNTの製造に実績のあるものであれば適宜のものを用いることができる。一般的には、不活性ガスが好ましく、ヘリウム・アルゴン・水素・窒素・ネオン・クリプトン・二酸化炭素・塩素などや、これらの混合ガスが挙げられ、特に窒素・ヘリウム・アルゴン・水素、およびこれらの混合ガスが好適である。
〔原料(原料ガス)〕
本発明の実施においてCNTの製造に用いる原料としては、これまでのCNTの製造に実績のあるものであれば、成長温度において原料炭素元素を含み、酸素元素を含まない適宜な物質を用いることができる。酸素を含有する、エタノールや、一酸化炭素等を原料ガスとして用いてCNTが製造できることが知られている。一般的に、エタノールや、一酸化炭素等を原料ガスとして用いてCNTを製造する場合には、成長速度、合成効率等が、本発明の製造法と比較して大きく劣る。本発明においては、このような酸素を含有する原料ガスを用いた場合、触媒賦活物質の効果が著しく低減するため、本発明の効果を得ることができない。本発明においては、エタノールや、一酸化炭素は、原料ガスではなく、触媒賦活物質として用いる。
この原料ガスとしては、芳香族化合物・飽和炭化水素・不飽和炭化水素・不飽和鎖式炭化水素・飽和鎖式炭化水素・環状不飽和炭化水素・環状飽和炭化水素などのガス状炭素化合物を例示できる。中でも、メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン・ヘプタン・プロピレン・エチレン・ブタジエン・ポリアセチレン・アセチレンなどの炭化水素が好適である。これらの原料ガスが成長工程において触媒と接触することにより、触媒表面にCNTが生成される。
〔雰囲気圧力〕
CNTを成長させる雰囲気の圧力は、10Pa以上、10Pa(100気圧)以下が好ましく、5×10Pa以上、2×10Pa(2大気圧)以下がさらに好ましく、9×10Pa以上、1.1×10Pa以下が特に好ましい。9×10Pa以上、1.1×10Paの間で、真空や高圧を用いない、大気圧や大気圧に近い圧力下では、CNTの製造効率は非常に良好である。また、シャッターやバルブを用いない開放系の製造装置が使用可能となるので量産の観点からも好ましい。
〔触媒賦活物質の添加〕
CNTの成長工程において、触媒賦活物質を添加するとよい。触媒賦活物質の添加により、触媒の寿命を延長し、且つ活性を高め、結果としてCNTの生産効率向上や高純度化を推進することができる。
ここで用いる触媒賦活物質としては、酸素もしくは、硫黄などの酸化力を有する物質であり、且つ成長温度でCNTに多大なダメージを与えない物質であればよく、水・酸素・オゾン・酸性ガス、および酸化窒素・一酸化炭素・二酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物、またはエタノール・メタノール・イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトンなどのケトン類、アルデヒドロ類・酸類・塩類・アミド類・エステル類、並びにこれらの混合物が有効である。この中でも、水・酸素・二酸化炭素・一酸化炭素・エーテル類・アルコール類が好ましいが、特に、極めて容易に入手できる水が好適である。触媒賦活物質として、炭素を含むものを用いた場合、触媒賦活物質中の炭素が、CNTの原料となりうる。
〔触媒賦活物質および原料の条件〕
成長工程において触媒賦活物質と原料とを用いてCNTを製造する際には、(1)原料は炭素を含み酸素を含まず、(2)触媒賦活物質は酸素を含むことが、CNTを高効率で製造する上に重要である。例えば、非特許文献[Adv. Mater誌 2009, 21巻, 4811-4815項]には、酸素を含まない2種類の物質(アセチレン・エチレン)と酸素を含む5種類の物質(水・二酸化炭素・アセトン・テトラヒドロフラン・エタノール)のすべての組み合わせにおいて、高効率でCNT集合体を製造できることが開示されている。
〔触媒賦活物質の供給量〕
触媒賦活物質の添加量には最適値が存在する。つまり、触媒賦活物質の添加量が多すぎると、過剰な触媒賦活物質が成長効率を低下させ、逆に少なすぎると、触媒賦活物質の効果が十分に発揮されない。CNTの製造効率を高めるためには、原料に含まれる炭素原子の個数濃度と触媒賦活物質に含まれる酸素の個数濃度との比がもっとも大事な要因の一つである。炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度との最適な比は、成長工程の温度、用いる触媒賦活物質と原料、および用いる触媒によって異なるが、合成炉に導入される原料ガスに含有される炭素原子の個数濃度と触媒賦活物質に含有される酸素原子の個数濃度の比で言うと、一般的に0.5以上2000以下であることが好ましい。
また、原料ガスに含有される炭素原子の個数濃度と触媒賦活物質に含有される酸素原子の個数濃度の比は{(導入された原料ガスの濃度)×(原料ガスに含まれる炭素の個数)}を{(導入された触媒賦活物質の濃度)×(触媒賦活物質に含まれる酸素の個数)}で割ったものから計算できる。ここで導入された原料ガス、及び触媒賦活物質の濃度とは、供給管を介して、合成炉内に供給され、触媒と接触するガスの総流量に対する原料ガス、及び触媒賦活物質の流量の割合を意味する。
炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度との比が0.5よりも小さいと、過剰な酸素のために触媒の活性が低下して、CNTの製造が阻害される。逆に炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度との比が2000以上であると、酸素不足のために触媒賦活物質の効果が十分に発揮されない。炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度との比が0.5から2000の範囲にあると、高効率なCNTの製造が可能となり、高さ寸法と比表面積とが共に大きいCNT集合体を効率よく製造することができる。
〔反応温度〕
CNTを成長させる反応温度は、金属触媒、原料炭素源、および反応圧力などを考慮して適宜に定められるが、触媒失活の原因となる副次生成物を排除するために触媒賦活剤を添加する工程を含む場合は、その効果が十分に発現する温度範囲に設定することが望ましい。
つまり、最も望ましい温度範囲としては、アモルファスカーボンやグラファイトなどの副次生成物を触媒賦活物質が除去し得る温度を下限値とし、主生成物であるCNTが触媒賦活物質によって酸化されない温度を上限値とすることである。
具体的には、触媒賦活物質として水を用いる場合は、好ましくは400℃〜1000℃とすることである。400℃未満では触媒賦活物質の効果が発現せず、1000℃を超えると触媒賦活物質がCNTと反応してしまう。
また触媒賦活物質として二酸化炭素を用いる場合は、400℃〜1100℃以下とすることがより好ましい。400℃未満では触媒賦活物質の効果が発現せず、1100℃を超えると触媒賦活物質がCNTと反応してしまう。
〔高炭素濃度環境〕
CNTの成長速度は、触媒に接触する原料ガスに含まれる炭素原子の数に比例する。つまり、全流量に対する原料ガスの割合(原料濃度)が高ければ高いほど成長速度が高くなるので、CNTの生産効率が向上すると言える。
しかしその反面、触媒賦活物質を用いない原料ガスのみでの従来の合成法によるCNTの製造過程においては、炭素濃度(原料濃度)を高くするに従ってCNTの成長工程で発生する炭素系不純物が多くなり、これが触媒微粒子を被覆して触媒を失活させるので、全流量に対する原料の割合が0.1〜1%程度の成長雰囲気(低炭素濃度環境)でCNTを製造していた。そのため、CNTの製造効率を思うほどに向上できなかった。
触媒賦活物質を添加する本発明の製造方法によれば、触媒賦活物質の存在下においては、触媒活性が著しく向上するため、全流量に対する原料ガスの割合が1%を超える2%〜20%程度の原料濃度(高炭素濃度環境)においても、触媒は活性を失わず、長時間のCNTの成長が可能である。この高炭素濃度環境下においては、CNTの成長速度が著しく向上し、高純度、高比表面積のカーボンナノチューブ集合体を製造するのに好適である。
つまり、触媒賦活物質を添加することにより、はじめて、高炭素濃度環境下で、CNTの高効率、高純度、特に高比表面積の単層CNTからなるCNT集合体の製造が可能となった。
〔CNT集合体〕
上記したCNT製造装置、および製造法により、高炭素環境化・触媒賦活物質含有雰囲気で、基材上の触媒から原料ガスを用いて、高効率でCNTを成長させることができ、触媒から成長した多数のCNTは特定の方向に配向し、CNT集合体を形成する。
本発明による、CNT集合体は、重量密度が0.002g/cm〜0.2g/cmと低密度にするのが好ましい。この重量密度は、フォーメーション工程の条件を調整し、触媒層の触媒微粒子の個数密度を調整することによって制御する。この密度範囲にある、CNT集合体は、基材上の触媒微粒子から成長した単層CNTが、数本〜数十本ずつがくっつき合った複数のバンドルを形成しつつ基材面の法線方向に成長したものとなっている。そのため、CNTの間を原料ガス、触媒賦活物質等が容易に拡散でき、基材上の触媒層に容易に接触でき、触媒層から大量のCNT集合体を製造することができる。
また、本発明に係わるCNT集合体は、炭素不純物の発生と付着が抑制されているために、比表面積が高いという優れた特性を有する。
炭素不純物が単層CNT集合体に付着すると、単層CNT集合体の比表面積が低下する。本発明に係わる単層CNT集合体は、炭素不純物の発生と付着が抑制されているために、比表面積は800m/g〜2600m/gと非常に大きい。CNT集合体の比表面積は、液体窒素の77Kでの吸脱着等温線の計測によって求めることができる。このように大きな比表面積は、触媒の担持体やエネルギー・物質貯蔵材として有効であり、スーパーキャパシタやアクチュエータなどの用途に好適である。
比表面積が800m/gに満たない未開口のもの、もしくは1300m/gに満たない開口したものは、炭素不純物を重量の数十%(40%程度)含んでいる可能性があり、CNT本来の機能を発現することが困難になる。
大きい比表面積を得るためには、CNTが可能な限り高純度であることが望ましい。ここでいう純度とは、炭素純度である。炭素純度とは、CNT集合体の重量の何パーセントが炭素で構成されているかを示し、蛍光X線を用いた元素分析等から求めるとよい。大きな比表面積を得る上での炭素純度に上限はないが、製造上の都合から、99.9999%以上の炭素純度を有するCNT集合体を得ることは困難である。炭素純度が95%に満たないと、未開口CNTの場合、800m/gを超える比表面積を得ることが困難となる。
[配向性]
単層CNT集合体の配向性の評価は、例えばヘルマンの配向係数に基づいて行う。
例えば、θ−2θ法またはラウエ法で得られたX線回折強度または、SEM画像または原子間力顕微鏡(以下、AFMとも称す)画像を高速フーリエ変換(FFT変換)して得られたFFT画像から得た強度プロフィールを用いて計算したヘルマンの配向係数が、CNT集合体において0.1より大きく1より小さいCNT集合体は、良好な電気特性、良好な機械的特性、良好な熱特性を示し、且つ熱力学的、電気的、機械的な異方性もあり、様々な用途に好適である。
配向の方向は、単層CNT集合体を構成する個々の単層CNTの方向ベクトルの平均となる。そのため、単層CNT集合体の場所、配向性を評価する領域のサイズにより、配向の方向は異なる可能性がある。定量的に配向の向きを決めるためには単層CNT集合体のSEM画像等を高速フーリエ変換した、FFT画像を用いると良い。配向性を有する単層CNT集合体のFFT画像は、扁平な楕円状をなし、楕円が扁平であるほど配向性が高い。楕円の長軸方向は、配向性に起因する単層CNTの周期性が最大となる方向であり、楕円の短軸方向は、FFT画像の元画像の視野における、配向の向きとなる。ヘルマン配向係数を計算する参照方位は、楕円の長軸方向とする。
CNT集合体の配向は以下の1から3の少なくともいずれか1つの方法によって評価することができる。すなわち、
1. CNTの長手方向に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とからX線を入射してX線回折強度を測定(θ−2θ法)した場合に、第2方向からの反射強度が、第1方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在し、且つ第1方向からの反射強度が、第2方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在すること。
2. CNTの長手方向に直交する方向からX線を入射して得られた2次元回折パターン像でX線回折強度を測定(ラウエ法)した場合に、異方性の存在を示す回折ピークパターンが出現すること。
3. ヘルマンの配向係数が、θ−2θ法またはラウエ法で得られたX線回折強度を用いると0.1より大きく1より小さいこと。より好ましくは0.25以上1未満であること。
以下に具体的な実施例を挙げて本発明による単層CNT集合体の製造方法についてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
図1、および図6に示した、CNT製造装置を用いて、最良の形態に記載のCNT製造方法と同様の方法を採用して、CNT集合体を製造した。図1および図6を参照しながら説明する。
〔炭素不純物付着抑制工程を含む製造方法〕
縦型合成炉3としては、円筒等の石英管(内径80mm)を用いた。加熱手段6、および加熱領域7の長さは260mmであった。
加熱領域7の中心部の水平位置から50mm下流に石英からなる基材ホルダ8を設けた。基材ホルダ8は、70Φの石英製の先端が閉じた、管上に設けられている。70Φの石英製の先端が閉じた管は排気体積を減少させ、下流で原料ガス等の乱流を抑制する効果を有する。基材ホルダ8は水平方向に設置され、平面状の基材1を載置することが可能である。
合成炉3の上壁には、合成炉3上壁中心に設けられた開口に鉛直方向に挿入された直径22mm(内径20mm)の耐熱合金からなるガス供給管4を設け、また下壁には、合成炉3下壁に設けられた開口に鉛直方向に挿入されたガス排気管5を設けた。合成炉3を外囲して設けられた抵抗発熱コイルからなる加熱手段6と加熱手段6と加熱温度調整手段を設け、所定温度に加熱された合成炉3内の加熱領域7を規定(加熱領域7の長さは260mm)した。
直径60mmの円筒状で扁平な中空構造をなす耐熱合金インコネル600からなるガス流形成手段9を、ガス供給管4の合成炉3内の端部に連通して接続するように設けた。ガス供給管4はガス流形成手段9の中心に連通・接続された。
ガス流形成手段9は基材1の表面に対して、略平行な同一面内に配設し、基材1の中心が、ガス流形成手段9の中心と一致するように配設された。また、ガス流形成手段9には噴出孔径:0.5mmの複数の噴出孔からなるガス噴出手段10を設けた。ガス流形成手段9は中空構造を有する円柱状の形状で、寸法は、一例としては、表面サイズ:60.0mm×16.7mmであり、ガス噴出手段径:0.5mm、ガス噴出手段数:82個であった。
ガス噴出手段10の噴出孔は基材1の触媒層2を臨む位置に設けられ、基材1平面に対して略垂直方向から原料ガスを触媒に吐出させた。臨む位置とは、噴出孔の、噴射軸線が基材1の法線と成す角が0以上90°未満となるような配置を示す。ガス噴出手段10と対向する触媒表面との距離は20mmとした。
このようにして、ガス供給管4から点状に合成炉に供給される原料ガスは、拡散・分配され、基材1平面に対して略平行面の360度に渡る全方向に原料ガス流を形成した後に、該原料ガスは基材1平面に対して略垂直方向から基材1上の触媒層2表面に接触する。原料ガスは触媒と接触した後に、速やかに加熱領域7外へと排気され、炭素不純物の発生が抑制される。
炭素重量フラックス調整手段15はCNTの原料となる炭素化合物となる原料ガスボンベ11、必要に応じて触媒賦活物質ボンベ12、原料ガスや触媒賦活物質のキャリアガスである雰囲気ガスボンベ13、ならびに触媒を還元するための還元ガスボンベ14をそれぞれガスフロー装置に接続して構成し、それぞれ供給量を独立に制御しながら、ガス供給管4に供給することで、原料ガスの供給量を制御した。
本装置の構成で調整可能な炭素重量フラックスは0g/cm/min〜1000g/cm/minであるが、適宜、適切な供給量を持つガスフロー装置を用いることで、より広範囲に調整することは可能である。
基材1としては、触媒であるAlを30nm、Feを1.8nmスパッタリングした厚さ500nmの熱酸化膜付きSi基材(縦40mm×横40mm)を用いた。
加熱体積は155cm(ガス粒径製手段と基材表面の間の体積56.6cm(断面積28.3cm×距離2cm)+ガス流形成手段の体積56.6cm(断面積28.3cm×高さ2cm)+ガス供給管の体積42.3cm(断面積3.1cm×14)である。
また、排気体積は、94.2cm(原料ガスの流路の断面積11.8cm×排気側の長さ8cm)であり、加熱体積よりも小さい。
基材1を合成炉3の加熱領域7の中心の水平位置から50mm下流に設置された基材ホルダ8上に搬入した(搬入工程)。基材1は水平方向になるように設置した。これにより、基材1上の触媒と原料ガスの流路が概して垂直に交わり、原料ガスが効率良く触媒に供給される。
次いで、還元ガスとしてHe:200sccm、H:1800sccmの混合ガス(全流量:2000sccm)を導入しながら、炉内圧力を1.02×10Paとした合成炉3内を、加熱手段6を用いて合成炉3内温度を室温から15分かけて810℃まで上昇させて、さらに810℃に保持した状態で3分間触媒付き基材を熱した(フォーメーション工程)。これにより、鉄触媒層は還元されて単層CNTの成長に適合した状態の微粒子化が促進され、ナノメートルサイズの触媒微粒子がアルミナ層上に多数形成された。
触媒微粒子の個数密度は10万倍以上の倍率の走査型電子顕微鏡の画像で観察される微粒子の個数を計測することで見積もることができる。計測した触媒の個数密度は5x1011 個/cmであった。
次いで、炉内圧力を1.02×10Pa(大気圧)とした合成炉3の温度を810℃とし、炭素重量フラックスが192g/cm/minとなるように、総流量2000sccm、雰囲気ガスHe:総流量比84%(1680sccm)、原料ガスであるC:総流量比10%(200sccm)、触媒賦活物質としてHO含有He(相対湿度23%):総流量比6%(120sccm)を10分間供給した(成長工程)。
これにより、単層CNTが、還元された触媒層や各触媒微粒子から成長し(成長工程)、配向した単層CNTの集合体が得られた。このようにして、触媒賦活物質含有かつ高炭素環境下で、CNTを基材上より成長させた。
成長工程の後、3分間、雰囲気ガス(総流量4000sccm)のみを供給し、残余の原料ガス、発生した炭素不純物、触媒賦活剤を排除した(炭素不純物付着抑制工程)。
その後、基材1を400℃以下に冷却した後、合成炉3内から基材1を取り出す(冷却・基材取り出し工程)ことにより、一連の単層CNT集合体の製造工程を完了させた。
図7に製造された単層CNT集合体の一例のデジタル写真を示す。
本製造法での炭素効率は7%であり、通常の合成装置、製造法での炭素効率が1%程度であるのに比較して、本発明の装置構成と製造法は、高効率でCNT集合体を製造するのに著しく効果があることが分かる。
基材1上の触媒層3表面上に一面に、約均一な高さでCNT集合体が製造でき、本発明の製造法は、大面積に略均一に且つ効率よくCNT集合体を製造するのに効果があることが分かる。
本製造方法で、50回連続で、CNT集合体の製造を行った。50回の製造中、合成炉3等のクリーニングは全くしなかった。45回の合成は安定で、図8に示すように、得られた収量は、概して均一であり、また、図9に示すように、比表面積も低下しなかった。このことから、本発明の製造法により、連続的に、安定かつ均一な、CNT集合体の合成が可能であることがわかる。
〔本製造方法で製造されるCNTの特性〕
本製造方法で製造される、CNT集合体の特性は、製造条件の詳細に依存するが、典型値として、単層CNT含有率99%(2層CNT、多層CNTに対する単層CNTの本数割合であり、合成した、単層CNT集合体を透過型電子顕微鏡で観察し画像から求める)、重量密度:0.03g/cm、G/D比:2.5〜40、BET−比表面積:1200m/g、炭素純度99.9%、絶対純度98%、ヘルマンの配向係数0.3−0.7である。
〔CNT集合体のラマンスペクトル評価〕
本製造方法により得られたCNT集合体のラマンスペクトルを計測した。鋭いGバンドピークが1590カイザー近傍で観察され、これより本発明のCNT集合体を構成するCNTにグラファイト結晶構造が存在することが分かる。
また欠陥構造などに由来するDバンドピークが1340カイザー近傍で観察されているため、CNTに有意な欠陥が含まれていることを示している。複数の単層CNTに起因するRBMモードが低波長側(100〜300カイザー)に観察されたことから、このグラファイト層が単層CNTであることが分かる。
〔CNT集合体の比表面積〕
基材1から剥離したCNT集合体から50mgの塊を取り出し、これをBELSORP−MINI(株式会社日本ベル製)を用いて77Kで液体窒素の吸脱着等温線を計測した(吸着平衡時間は600秒とした)。この吸脱着等温線からBrunauer, Emmett, Tellerの方法で比表面積を計測したところ、1200m/gであった。
未開口のCNT集合体の吸脱着等温曲線は、相対圧が0.5以下の領域において高い直線性を示した。αプロットも1.5以下の領域において、直線性を示した。これらの計測結果は、CNT集合体を構成するCNTが未開口であることを示している。
同じCNT集合体をNano Letters誌、第2巻(2002年)、第385〜388頁に記載の方法によって計測した比表面積は、外表面積が1140m/g、内表面積が59m/gとなり、全体での比表面積は1199m/gとなった。
〔CNT集合体の純度〕
CNT集合体の炭素純度は、蛍光X線を用いた元素分析結果より求めた。基材1から剥離したCNT集合体を蛍光X線によって元素分析したところ、炭素の重量パーセントは99.98%、鉄の重量パーセントは0.013%であり、その他の元素は計測されなかった。この結果から、炭素純度は99.98%と計測された。
〔θ−2θ法による配向性評価〕
得られたCNT集合体の配向性評価をCu−Ka X線源として15kWのパワーでX線回折装置(Rigaku Gorp Diffractometer :RINT-2500/HRPBO)を用いて、θ−2θ法によるX線回折測定法で行った。X線のスポット径は0.6mmであった。試料として用いた単層CNT集合体の主要諸元は、形状寸法:1m×1m×10mmの四角柱である。
低角(0〜15度)(CP)回折ピークが観察され、当該ピークは単層CNT同士の間隔を反映している。25度近傍で緩やかな回折ピークが観察され、異なる単層CNTの炭素六員環シートの間隔を反映している。42度近傍に回折ピークが観察され、単層CNTの炭素六員環の(100)面を反映している。77〜78度付近で回折ピークが観察され、(110)面を反映している。
単層CNTの炭素六員環構造は、CNTの炭素六員環構造が丸められ湾曲しているため、グラファイトの回折ピークと密接に一致しない。また、単層CNTのサイズ、配向度共にピーク位置は若干変化するが、回折ピークの同定は可能である。
この結果からヘルマンの配向係数Fを算出したところ、(CP)回折ピークでは0.4〜0.62であり、(002)回折ピークでは0.75であった。
〔ラウエ法による配向性評価〕
得られたCNT集合体の配向度をラウエ法によるX線回折測定法で評価した。使用した装置はBruker社製(Bruker SMART APEX CCD area-detector diffractometer)。4.5kWのパワーでX線源(BRUKERAXS MO CE-SRA)としてMo−Kaを用いた。試料とX線検出器の距離は5.968cmでCCD検出器のサイズは6.1x6.1cmであり、X線のスポット径は0.5mmであった。
試料として用いた単層CNT集合配向体の主要諸元は、形状寸法:直径1mm×高さ0.5mmの円柱形である。
この結果、単層CNT集合体の観察された(CP)、(002)、(100)等の回折ピークは楕円状となり、異方性を示した。この異方性は、単層CNTが配向していることを示す。
この結果からヘルマンの配向係数Fを算出したところ、(CP)回折ピークでは0.38であり、(002)回折ピークでは0.61であった。
〔炭素不純物付着抑制工程を含まない製造方法〕
CNT集合体を合成後、すぐにCNT集合体を加熱領域7から取り出した以外は、上記した炭素不純物付着抑制工程を含む製造方法と同じ方法、同じ製造装置、基材1および触媒を用いた。
本製造方法で得られたCNT集合体の比表面積は900m/g程度であり、炭素不純物付着抑制工程を含む製造方法で製造したCNT集合体と比べて比表面積の低下が見られた。本製造方法で、50回連続で、CNT集合体の製造を行ったところ、合成は安定で、得られた収量は、概して均一であった。比表面積は、合成回数が20回を過ぎたあたりから徐々に低下したが、その程度は小さかった。
<比較例1>
(排気体積)
実施例1の製造装置において、図10に示すように、70Φの石英製の先端が閉じた、管を用いなかった。
加熱体積は155cm(ガス粒径製手段と基材表面の間の体積56.6cm(断面積28.3cm×距離2cm)+ガス流形成手段の体積56.6cm(断面積28.3cm×高さ2cm)+ガス供給管の体積42.3cm(断面積3.1cm×14)である。
また、排気体積は、401cm(原料ガスの流路の断面積50.2cm×排気側の長さ8cm)であり、加熱体積よりも大きい。
実施例1の方法で、50回連続で、CNT集合体の製造を行った。50回の製造中、合成炉等のクリーニングは全くしなかった。本条件で、50回連続で、CNT集合体の製造を行ったところ、25回を過ぎたところで、合成が安定性をなくし、徐々に収量も低下しはじめた。合成回数が40回を過ぎたところで、CNT集合体の製造ができなくなった。
この合成の不安定性、合成回数を重ねるにつれ、合成炉特に、基材の周辺、排気体積の領域に付着した炭素不純物が増加し、それが水分と反応し、水分が消費され、最適な量の水分を安定して触媒に供給できなくなったためと考えられる。
<比較例2>
(ガス流形成手段なし)
実施例1の製造装置において、ガス流形成手段9を用いずに、基材の20mm上方に配置したガス供給管4から、原料ガスを基材1上の触媒層2に吹きかけた。4センチ角の基材を用いた場合、中心部もしくは、周辺部が凹む傾向があり、基材上全面にわたり均一な高さのCNT集合体を製造することは困難であった。そのため、収量は、0.6mg/cmと明らかに減少した。比表面積が1100m/g程度であった。連続製造時には、収量、比表面積共に、変動はなかった。
<比較例3>
(フォーメーション工程なし)
実施例1と、同じ製造装置、及び基材1、触媒を用いて、実施例1と同じ製造方法を用いて、フォーメーション工程を行わずに、CNT集合体を製造した。CNT集合体は成長できたものの、収量は0.2mg/cmと非常に少なく、また、単層CNTの含有率が低いため、比表面積は500m/g程度であった。フォーメーション工程が、高効率で、高比表面積のCNT集合体を製造するために大事であることが分かる。
これらの結果を表1にまとめた。○は高収量で均一、安定したCNT集合体の製造を、−は実験結果なしを、×は低収量、不均一、不安定もしくは、成長なしのCNT集合体の製造を、△は○より劣るが×よりも良好な収量で均一、安定したCNT集合体の製造を示す。
1 基材
2 触媒層
3 合成炉
4 ガス供給管
5 ガス排気管
6 加熱手段
7 加熱領域
8 基材ホルダ
9 ガス流形成手段
10 ガス噴出手段
11 原料ガスボンベ
12 触媒賦活物質ボンベ
13 雰囲気ガスボンベ
14 還元ガスボンベ
15 炭素重量フラックス調整手段
16 加熱体積
17 排気体積
18 炭素重量フラックス
19 原料ガスの流路
20 触媒層と原料ガスの流路とが交わる面の面積

Claims (5)

  1. 合成炉内において炭素を含有し且つ酸素を含有しない原料ガスが基材上の触媒層に接触してからガス排気管より排出されるまでの流路において加熱領域内に含まれる流路の体積として規定される排気体積を、前記原料ガスがガス供給管より供給されて前記基材上の触媒層に接触するまでの流路において前記加熱領域内に含まれる体積として規定される加熱体積より小さく調整して前記基材を前記合成炉内に設置する工程と、設置した前記基材上の触媒層に還元ガスを接触させると共に、前記触媒層および前記還元ガスの少なくともいずれか一つを加熱して、前記触媒層を還元、及びまたは微粒子化するフォーメーション工程と、前記原料ガスと、酸素を含有する触媒賦活物質とを、前記フォーメーション工程で還元した前記触媒層および触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させると共に、前記触媒層、前記触媒微粒子、前記原料ガスおよび前記触媒賦活物質の少なくともいずれか一つを加熱してカーボンナノチューブを成長させる成長工程と、を備え、前記成長工程では、前記ガス供給管から供給される原料ガスを前記基材平面に対して略平行方向の複数の方向に分配または分散した後、この分配または分散した原料ガスを、前記基材平面に対して略垂直方向に前記触媒層および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させていることを特徴とするカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  2. 基材上の触媒層に原料ガスと触媒賦活物質とを接触させてカーボンナノチューブを成長させる製造方法において、
    還元ガスを供給して前記基材上の触媒層に前記還元ガスを接触させると共に、前記触媒層および前記還元ガスの少なくともいずれか一つを加熱して、前記触媒層を還元、及びまたは微粒子化するフォーメーション工程と、炭素を含有し且つ酸素を含有しない原料ガスと、酸素を含有する触媒賦活物質とを、前記フォーメーション工程で還元した前記触媒層、触媒微粒子に接触させると共に、前記触媒層、前記触媒微粒子、前記原料ガスおよび前記触媒賦活物質の少なくともいずれか一つを加熱してカーボンナノチューブを成長させる成長工程と、炭素不純物付着抑制工程とを備え、前記成長工程では、前記ガス供給管から供給される原料ガスを前記基材平面に対して略平行方向の複数の方向に分配または分散した後、この分配または分散した原料ガスを、前記基材平面に対して略垂直方向に前記触媒層および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させていることを特徴とするカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  3. 前記原料ガスは、原料ガスと雰囲気ガスの供給量から炭素重量フラックスを調整して供給されることを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ製造方法。
  4. 原料ガスと雰囲気ガスとの供給量から炭素重量フラックスを調整して得られた前記原料ガスと前記雰囲気ガスとを合成炉に供給し、前記原料ガスを略均一の量をもって前記触媒層および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させてカーボンナノチューブを成長させることを特徴とする請求項3に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  5. 前記原料ガスの流れる流路の断面積が、前記原料ガスの流れる流路が前記触媒層と交わる面の面積と概ね一致することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
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