JPWO2010116492A1 - 燃費予測装置、燃費予測方法、燃費予測プログラムおよび記録媒体 - Google Patents
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Abstract
燃費予測装置(100)は、所定区間における車両の燃料消費量を予測する。予測部(101)は、第1の数式を用いて所定区間の走行開始前に所定区間における燃料消費量を予測する。推定部(102)は、所定区間の走行中における車両の加速度を変数とする第2の数式を用いて、所定区間の走行中における燃料消費量を推定する。補正部(103)は、予測部(101)によって予測された燃料消費量と、推定部(102)によって推定された燃料消費量とに基づいて、第1の数式を補正する。
Description
この発明は、車両の燃料消費量を予測する燃費予測装置、燃費予測方法、燃費予測プログラムおよび記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は、上述した燃費予測装置、燃費予測方法、燃費予測プログラムおよび記録媒体に限られない。
従来、走行時における車両の燃料消費量を予測するため、様々な方法が考案されている(たとえば、下記特許文献1参照)。下記特許文献1は、燃料消費量の少ない経路を探索する技術であり、車種ごとに走行速度に応じた燃費情報を記憶しておき、リンクデータと燃費情報とを用いて、燃料消費量が最小のルートを計算する。また、下記特許文献1では、燃費検出センサから収集した燃費情報を走行速度と関連づけて記憶しておき、次回以降の燃費予測に用いる方法が開示されている。
図12は、車速と燃料消費量との関係を示すグラフである。図12において、縦軸は燃料消費量であり、横軸は走行速度である。走行速度と燃料消費量との関係は、たとえば以下のような式で示されることが知られている。
fc = m1+m2・x2+m3・x3+m4・x
ここで、fcは単位時間あたりの燃料消費量、xは単位区間の平均速度、m1〜m4は定数である。
fc = m1+m2・x2+m3・x3+m4・x
ここで、fcは単位時間あたりの燃料消費量、xは単位区間の平均速度、m1〜m4は定数である。
しかしながら、上述した従来技術では、燃料消費量を予測するにあたって、車両の加速度を考慮しておらず、予測精度が低いという問題点がある。車両の加速度は、燃料消費量に少なからず影響しており、たとえば、走行中の加速度が通常時と異なると、上述した従来技術では予測精度が悪くなってしまう。また、走行する道路の形状、勾配、運転方法(急発進など)によっても、実際の燃料消費量との間の誤差が大きくなる場合がある。また、カーブが多い道路を走行する際も、加減速の頻度が高いため予測精度が悪くなってしまう。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる燃費予測装置は、所定区間における車両の燃料消費量を予測する燃費予測装置であって、第1の数式を用いて前記所定区間の走行開始前に前記所定区間における前記燃料消費量を予測する予測手段と、前記所定区間の走行中における前記車両の加速度を変数とする第2の数式を用いて、前記所定区間の走行中における前記燃料消費量を推定する推定手段と、前記予測手段によって予測された前記燃料消費量と、前記推定手段によって推定された前記燃料消費量とに基づいて、前記第1の数式を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
また、請求項11の発明にかかる燃費予測方法は、所定区間における車両の燃料消費量を予測する燃費予測方法であって、第1の数式を用いて前記所定区間の走行開始前に前記所定区間における前記燃料消費量を予測する予測工程と、前記所定区間の走行中における前記車両の加速度を変数とする第2の数式を用いて、前記所定区間の走行中における前記燃料消費量を推定する推定工程と、前記予測工程で予測された前記燃料消費量と、前記推定工程で推定された前記燃料消費量とに基づいて、前記第1の数式を補正する補正工程と、を含んだことを特徴とする。
また、請求項12の発明にかかる燃費予測プログラムは、請求項11に記載の燃費予測方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、請求項13の発明にかかる記録媒体は、請求項12に記載の燃費予測プログラムをコンピュータに読み取り可能な状態で記録したことを特徴とする。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る燃費予測装置、燃費予測方法、燃費予測プログラムおよび記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる燃費予測装置の機能的構成を示すブロック図である。燃費予測装置100は、予測部101、推定部102、補正部103、平均速度情報取得部104、走行速度情報取得部105によって構成され、所定区間における車両の燃料消費量を予測する。ここで、所定区間とは、たとえば、ユーザによって設定された出発地点と目的地点とを結ぶ経路である。以下、燃費予測装置100が燃料消費量を予測する区間を「予測対象区間」という。
図1は、実施の形態にかかる燃費予測装置の機能的構成を示すブロック図である。燃費予測装置100は、予測部101、推定部102、補正部103、平均速度情報取得部104、走行速度情報取得部105によって構成され、所定区間における車両の燃料消費量を予測する。ここで、所定区間とは、たとえば、ユーザによって設定された出発地点と目的地点とを結ぶ経路である。以下、燃費予測装置100が燃料消費量を予測する区間を「予測対象区間」という。
予測部101は、車両が予測対象区間の走行を開始する前に、第1の数式を用いて燃料消費量を予測する。第1の数式とは、車両の速度を変数とする関数であり、具体的には、たとえば下記式(1)である。なお、下記式(1)を用いて算出される燃料消費量は、瞬間燃費量である。このため、予測対象区間を走行する際に消費する総燃料消費量は、下記式(1)の値を積算して求める。
予測部101は、後述する平均速度情報取得部104によって取得された平均速度情報(予測対象区間内の単位区間ごとの平均速度情報)を、第1の数式に代入して燃料消費量を予測する。また、予測部101は、予測対象区間の走行中において、後述する走行速度情報取得部105によって取得された速度情報を第1の数式に代入して燃料消費量を再度算出してもよい。
推定部102は、予測対象区間の走行中における車両の加速度を変数とする第2の数式を用いて、予測対象区間の走行中における燃料消費量を推定する。第2の数式は、車両の加速度および速度を変数とする関数であり、具体的には、たとえば下記式(2)である。なお、下記式(2)を用いて算出される燃料消費量は、瞬間燃費量である。このため、予測対象区間を走行する際に消費する総燃料消費量は、下記式(2)の値を積算して求める。
なお、上記式(2)においては、時を表す単位として時間(h)および秒(s)が混在して用いられているが、これは、速度の単位として時速(km/h)を採用し、燃料消費量を推定する際の単位時間として秒(s)を採用したためである。これらの単位を揃えたい場合は、それぞれの数値に適宜演算をおこなえばよい。
補正部103は、予測部101によって予測された燃料消費量と、推定部102によって推定された燃料消費量とに基づいて、第1の数式を補正する。補正部103は、たとえば、予測部101によって予測された燃料消費量と、推定部102によって推定された燃料消費量と、から補正係数を算出し、算出した補正係数を第1の数式に付加することによって第1の数式を補正する。補正係数は、たとえば、予測部101によって予測された燃料消費量と推定部102によって推定された燃料消費量との比である。この場合、補正係数hは、下記式(3)のように示される。なお、下記式(3)のΣは、車両が走行する区間の瞬間燃費量を積算していることを表す。
補正部103は、たとえば、予測対象区間の走行開始前に予測部101によって予測された燃料消費量と、予測対象区間の走行中に推定部102によって推定された燃料消費量との比を補正係数とする。また、たとえば、予測対象区間の走行中において、予測部101が走行中における速度情報(走行速度情報取得部105によって取得された速度情報)を第1の数式に代入して燃料消費量を再度算出した場合、補正部103は、再度算出された燃料消費量と、推定部102によって推定された燃料消費量との比を補正係数とするようにしてもよい。
また、補正部103は、たとえば、予測対象区間の走行時において車両が走行する道路の種別が、所定の間、たとえば所定距離以上または所定時間以上変化しない場合に、上記式(1)を補正するようにしてもよい。これは、これは、道路の種別が変化してしまうと、車両の速度や加速度が大きく変化する可能性があり、それまでの走行における加速度情報や速度情報を用いると、推定燃費量の精度が低下してしまう可能性があるためである。また、補正部103は、たとえば、予測対象区間の走行時において所定時間ごとに上記式(1)を補正してもよい。
平均速度情報取得部104は、予測対象区間内の単位区間ごとの平均速度情報を取得する。単位区間とは、たとえば、地図データ中におけるリンクである。また、平均速度情報とは、単位区間の距離を、その単位区間を通過するのにかかる平均所要時間で除した数値である。平均速度情報取得部104は、たとえば地図データに含まれる平均速度情報を読み出すことによって、平均速度情報を取得する。
走行速度情報取得部105は、車両の走行中における車両の加速度情報および速度情報を取得する。走行速度情報取得部105は、たとえば、車両本体に設置された加速度センサや速度センサから出力される加速度情報および速度情報を取得する。なお、速度センサや加速度センサが燃費予測装置100に備えられている場合には、これらのセンサから加速度情報や速度情報を取得してもよい。また、たとえば、走行速度情報取得部105そのもので加速度や速度を計測(または算出)できるようにしてもよい。
図2は、燃費予測装置による燃費予測処理の手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、燃費予測装置100は、予測対象区間の走行を開始する前に、平均速度情報取得部104によって、予測対象区間の平均速度情報を取得して(ステップS201)、予測部101によって、予測対象区間における燃料消費量を第1の数式を用いて予測する(ステップS202)。
燃費予測装置100は、車両が走行を開始するまで待機して(ステップS203:Noのループ)、車両が走行を開始すると(ステップS203:Yes)、走行速度情報取得部105によって、車両の加速度情報および速度情報を取得する(ステップS204)。つづいて、燃費予測装置100は、推定部102によって車両の走行中における燃料消費量を第2の数式を用いて推定する(ステップS205)。
そして、燃費予測装置100は、補正部103によって補正係数を算出し(ステップS206)、予測部101が燃料消費量の予測に用いる第1の数式を補正する(ステップS207)。ステップS206で算出される補正係数は、たとえば、予測対象区間の走行開始前に予測部101によって予測された燃料消費量と、予測対象区間の走行中に推定部102によって推定された燃料消費量との比である。また、補正係数は、たとえば、実際の走行における速度情報(ステップS204で取得された速度情報)を上記式(1)に代入して再度算出した燃料消費量と、推定部102によって推定された燃料消費量との比であってもよい。
予測部101は、ステップS207で補正された第1の数式を用いて燃料消費量を再度予測する(ステップS208)。より詳細には、補正された上記式(1)に、残りの予測対象区間の平均速度情報を代入することにより、残りの予測対象区間の燃料消費量を算出する。
車両が推定対象区間の走行を終了するまでは(ステップS209:No)、燃費予測装置100は、ステップS204に戻り、以降の処理を継続する。一方、車両が推定対象区間の走行を終了すると(ステップS209:Yes)、燃費予測装置100は、本フローチャートによる処理を終了する。
以上説明したように、燃費予測装置100は、燃料消費量の予測に用いる数式を、実際の走行時における加速度情報や速度情報を用いた燃料消費量の推定値で補正する。これにより、車両の加速度を考慮して燃料消費量を予測することが可能となり、たとえば、カーブが多い道路や傾斜が大きい道路など、加速度の変化が大きい道路を走行する場合でも精度良く燃料消費量を予測することができる。
また、燃費予測装置100は、車両が走行を開始した後は、車両の速度情報および加速度情報、車両が走行する道路の勾配情報を用いた上記式(2)によって燃料消費量を推定する。このため、燃費予測装置100は、車両の走行速度や加速度の変化、車両にかかる位置エネルギーの変化を燃料消費量の予測値に反映させることができ、より精度良く燃料消費量を予測することができる。
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、車両に搭載されたナビゲーション装置300を燃費予測装置100として本発明を適用した場合の一例について説明する。
(ナビゲーション装置300のハードウェア構成)
まず、ナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図3は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301、ROM302、RAM303、磁気ディスクドライブ304、磁気ディスク305、光ディスクドライブ306、光ディスク307、音声I/F(インターフェース)308、マイク309、スピーカ310、入力デバイス311、映像I/F312、ディスプレイ313、カメラ314、通信I/F315、GPSユニット316、各種センサ317を備えている。また、各構成部301〜317は、バス320によってそれぞれ接続されている。
まず、ナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図3は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301、ROM302、RAM303、磁気ディスクドライブ304、磁気ディスク305、光ディスクドライブ306、光ディスク307、音声I/F(インターフェース)308、マイク309、スピーカ310、入力デバイス311、映像I/F312、ディスプレイ313、カメラ314、通信I/F315、GPSユニット316、各種センサ317を備えている。また、各構成部301〜317は、バス320によってそれぞれ接続されている。
まず、CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、経路探索プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
また、光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどを用いることができる。
磁気ディスク305および光ディスク307に記録される情報の一例としては、コンテンツデータや地図データが挙げられる。コンテンツデータは、たとえば楽曲データや静止画データ、動画データなどである。また、地図データは、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)を表す背景データと、道路の形状を表す道路形状データとを含んでおり、地区ごとに分けられた複数のデータファイルによって構成されている。
音声I/F308は、音声入力用のマイク309および音声出力用のスピーカ310に接続される。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。スピーカ310からは、所定の音声信号を音声I/F308内でD/A変換した音声が出力される。
入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス311は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか1つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
映像I/F312は、ディスプレイ313に接続される。映像I/F312は、具体的には、たとえば、ディスプレイ313全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ313を制御する制御ICなどによって構成される。
カメラ314は、車両内部あるいは外部の画像を撮影する。画像は静止画像あるいは動画像のどちらでもよく、たとえば、カメラ314によって車両外部の風景や地物、車両内部の搭乗者などを撮影し、撮影した映像を映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に記録する。
ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ313には、上述した地図データが、2次元または3次元に描画される。ディスプレイ313に表示された地図データには、ナビゲーション装置300を搭載した車両の現在位置を表すマークなどを重ねて表示することができる。車両の現在位置は、CPU301によって算出される。ディスプレイ313としては、たとえば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
通信I/F315は、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU301とのインターフェースとしても機能する。また、通信I/F315は赤外線通信やBluetooth(登録商標)などの近距離通信によって、近傍にある電子機器との間でデータの送受信をおこなう。また、通信I/F315は、テレビやラジオなどの放送波を受信する。通信I/F315で受信された放送波は、音声I/F308や映像I/F312を介して、スピーカ310やディスプレイ313に、音声情報や画像情報として出力される。
GPSユニット316は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット316の出力情報は、後述する各種センサ317の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報とは、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
各種センサ317は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ317の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
なお、図1に示した燃費予測装置100の予測部101、推定部102、補正部103、平均速度情報取得部104、走行速度情報取得部105は、図3に示したナビゲーション装置300におけるROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置300における各部を制御することによってその機能を実現する。
(ナビゲーション装置300による燃費推定の概要)
つぎに、ナビゲーション装置300による燃費予測処理について説明する。なお、以下の説明において、「燃料消費量」と「燃費量」とは同じ意味を表す。一般に、ナビゲーション装置300は、指定されたユーザによって設定された出発地点と目的地点とを結ぶ経路を探索する機能を有するが、本実施の形態にかかるナビゲーション装置300は、これに加えて、探索した経路の走行中に消費する燃料消費量を予測する機能を有する。より詳細には、ナビゲーション装置300は、車両が経路の走行を開始する前に、この経路を走行する際に消費する燃料消費量を第1の数式を用いて予測するとともに、経路の走行を開始した後は、車両の実際の速度情報や加速度情報を変数とする第2の数式を用いて経路における実際の燃料消費を推定する。そして、燃料消費量の推定値を用いて、燃費予測式(第1の数式)を補正する。
つぎに、ナビゲーション装置300による燃費予測処理について説明する。なお、以下の説明において、「燃料消費量」と「燃費量」とは同じ意味を表す。一般に、ナビゲーション装置300は、指定されたユーザによって設定された出発地点と目的地点とを結ぶ経路を探索する機能を有するが、本実施の形態にかかるナビゲーション装置300は、これに加えて、探索した経路の走行中に消費する燃料消費量を予測する機能を有する。より詳細には、ナビゲーション装置300は、車両が経路の走行を開始する前に、この経路を走行する際に消費する燃料消費量を第1の数式を用いて予測するとともに、経路の走行を開始した後は、車両の実際の速度情報や加速度情報を変数とする第2の数式を用いて経路における実際の燃料消費を推定する。そして、燃料消費量の推定値を用いて、燃費予測式(第1の数式)を補正する。
[走行開始前の燃料消費量予測]
ナビゲーション装置300は、車両が経路の走行を開始する前に、この経路を走行する際に消費する燃料消費量を予測する。具体的には、ナビゲーション装置300は、下記式(1)を用いて燃料消費量を算出する。下記式(1)を「燃費予測式」といい、下記式(1)を用いて算出された燃料消費量を「予測燃費量」という。下記式(1)のhは補正係数であり、走行開始前においてはたとえばh=1とする。
ナビゲーション装置300は、車両が経路の走行を開始する前に、この経路を走行する際に消費する燃料消費量を予測する。具体的には、ナビゲーション装置300は、下記式(1)を用いて燃料消費量を算出する。下記式(1)を「燃費予測式」といい、下記式(1)を用いて算出された燃料消費量を「予測燃費量」という。下記式(1)のhは補正係数であり、走行開始前においてはたとえばh=1とする。
上記式(1)は速度xを独立変数としているが、走行を開始する前には実際の走行速度はわからないため、経路における平均走行速度を速度xとする。平均走行速度は、たとえば経路の距離を、経路を通過するのにかかる平均所要時間で除して算出する。ある区間を通過するのにかかる平均所要時間は、たとえば、ナビゲーション装置300内にデータベースとして記録されている平均所要時間データを用いる。なお、経路を所定数の区間(たとえば単位区間であるノードごとなど)に区切り、区間ごとに平均走行速度を算出してもよい。
[走行開始後の燃料消費量推定]
車両が走行を開始すると、ナビゲーション装置300は、車両の加速度情報および速度情報をリアルタイムに取得して、実際の走行状態を反映した燃料消費量を算出する。具体的には、ナビゲーション装置300は、下記式(2)を用いて、車両の加速度を考慮した燃料消費量を算出する。下記式(2)を「燃費推定式」といい、下記式(2)を用いて算出された燃料消費量を「推定燃費量」という。なお、燃費推定式は、下記式(2)に限定されるものではなく、車両の加速度情報および速度情報をリアルタイムに取得して燃料消費量を推定できるものであればよい。
車両が走行を開始すると、ナビゲーション装置300は、車両の加速度情報および速度情報をリアルタイムに取得して、実際の走行状態を反映した燃料消費量を算出する。具体的には、ナビゲーション装置300は、下記式(2)を用いて、車両の加速度を考慮した燃料消費量を算出する。下記式(2)を「燃費推定式」といい、下記式(2)を用いて算出された燃料消費量を「推定燃費量」という。なお、燃費推定式は、下記式(2)に限定されるものではなく、車両の加速度情報および速度情報をリアルタイムに取得して燃料消費量を推定できるものであればよい。
なお、上記式(2)においては、時を表す単位として時間(h)および秒(s)が混在して用いられているが、これは、速度の単位として時速(km/h)を採用し、燃料消費量を推定する際の単位時間として秒(s)を採用したためである。これらの単位を揃えたい場合は、それぞれの数値に適宜演算をおこなえばよい。
ナビゲーション装置300は、算出した補正係数hを上記式(1)に代入して燃費予測式を補正し、補正後の燃費予測式を用いて残りの経路走行時の燃料消費量を再度予測する(燃料消費量の補正)。これにより、実際の走行における加速度や速度を反映した燃料消費量を予測することができる。車両の燃料消費量は、車両の加速度に少なからず影響される。ナビゲーション装置300のように、実際の加速度情報を用いて燃料消費量を補正することにより、より精度良く燃料消費量を予測することができる。
なお、燃費予測式の補正は、所定のタイミング、たとえば10分ごとなど、所定時間ごとにおこなう。また、たとえば、車両が走行する道路の種別が所定時間以上、または所定距離以上変化しない場合に燃費予測式の補正をおこなうようにしてもよい。これは、道路の種別が変化してしまうと、車両の速度や加速度が大きく変化する可能性があり、それまでの走行における加速度情報や速度情報を用いると推定の精度が低下してしまう可能性があるためである。
[燃料消費量の予測処理の具体例]
<第1の方法>
図4および図5は、ナビゲーション装置による燃料消費量の予測処理の一例を模式的に示した説明図である。たとえば、出発地点Aを出発し地点Bを経由して目的地点Cに至る経路Rを走行する場合、ナビゲーション装置300は、図4に示すように、経路Rの走行開始前に上記式(1)を用いて予測燃費量L1ACを算出する。
<第1の方法>
図4および図5は、ナビゲーション装置による燃料消費量の予測処理の一例を模式的に示した説明図である。たとえば、出発地点Aを出発し地点Bを経由して目的地点Cに至る経路Rを走行する場合、ナビゲーション装置300は、図4に示すように、経路Rの走行開始前に上記式(1)を用いて予測燃費量L1ACを算出する。
より詳細には、ナビゲーション装置300は、A−B間の予想所要時間TABおよび平均走行速度VABを用いて、A−B間における予測燃費量L1ABを算出する。L1ABは、上記式(1)を用いて下記式(4)で示される。また、ナビゲーション装置300は、B−C間の予想所要時間TBCおよび平均走行速度VBCを用いて、B−C間における予測燃費量L1BCを算出する。L1BCは、上記式(1)を用いて下記式(5)で示される。経路Rを走行する際の燃料消費量LACは、L1ABおよびL1BCを用いて下記式(6)で示される。なお、下記式(4)および(5)において、h1は出発地点Aにおける補正係数であり、h1=1である。
L1AB=h1・TAB・fc1(VAB) ・・・(4)
L1BC=h1・TBC・fc1(VBC) ・・・(5)
LAC=L1AB+L1BC ・・・(6)
L1AB=h1・TAB・fc1(VAB) ・・・(4)
L1BC=h1・TBC・fc1(VBC) ・・・(5)
LAC=L1AB+L1BC ・・・(6)
図5の説明に移り、車両が走行を開始すると、ナビゲーション装置300は、実際の車両の加速度情報および速度情報を取得して、上記式(2)を用いて推定燃費量を算出する。推定燃費量は瞬間燃費量であるため、A−B間の瞬間燃費量を積算することによりA−B間の燃料消費量を算出することができる。具体的には、A−B間の推定燃費量L2ABは、下記式(7)で示される。下記式(7)において、vABは実際の速度情報であり、ΣはA−B間のfc2の値を積算していることを示す。
L2AB=Σfc2(vAB) ・・・(7)
L2AB=Σfc2(vAB) ・・・(7)
また、ナビゲーション装置300は、上記式(1)を用いて、実際の速度情報に基づく予測燃費量を算出する。たとえば、地点Bに到達した場合、A−B間の実際の所要時間tABおよびA−B間の実際の速度vABの平均値vAB_av(A−B間の平均速度)を用いて、下記式(8)に示す予測燃費量L1rABを算出する。
L1rAB=h1・tAB・fc1(vAB_av) ・・・(8)
L1rAB=h1・tAB・fc1(vAB_av) ・・・(8)
そして、下記式(9)に示すように、実際の速度情報から算出した予測燃費量と推定燃費量との比を補正係数h2とする。これにより、平均速度から算出した燃料消費量と実際の速度や加速度を考慮した燃料消費量との関係を適切に補正することができる。
h2 = L1rAB/L2AB ・・・(9)
h2 = L1rAB/L2AB ・・・(9)
ナビゲーション装置300は、このように算出した補正係数h2を上記式(1)に適用して、B−C間の燃料消費量(予測燃費量)を再度予測する。再度予測推定されたB−C間の予測燃費量L1hBCは、下記式(10)で示される。また、A−B間の燃料消費量は、上記式(7)の値(L2AB)を用いる。これにより、あらたに推定された経路Rの燃料消費量LACは、下記式(11)で示される。
L1hBC=h2・TBC・fc1(VBC) ・・・(10)
LAC=L2AB+L1hBC=Σfc2(vAB)+h2・TBC・fc1(VBC)・・・(11)
L1hBC=h2・TBC・fc1(VBC) ・・・(10)
LAC=L2AB+L1hBC=Σfc2(vAB)+h2・TBC・fc1(VBC)・・・(11)
<第2の方法>
上述した第1の方法では、ナビゲーション装置300は、走行開始後に実際の速度情報を用いて再度予測燃費量を予測して補正係数を算出したが、走行開始前に予測した予測燃費量をそのまま用いて補正係数を算出してもよい。すなわち、B地点においてA−B間の推定燃費量L2AB(上記式(7))を算出し、A地点で算出したA−B間における予測燃費量L1AB(上記式(4))との比を補正係数としてもよい。この場合、補正係数h3は下記式(12)で示される。
h3 = L1AB/L2AB ・・・(12)
上述した第1の方法では、ナビゲーション装置300は、走行開始後に実際の速度情報を用いて再度予測燃費量を予測して補正係数を算出したが、走行開始前に予測した予測燃費量をそのまま用いて補正係数を算出してもよい。すなわち、B地点においてA−B間の推定燃費量L2AB(上記式(7))を算出し、A地点で算出したA−B間における予測燃費量L1AB(上記式(4))との比を補正係数としてもよい。この場合、補正係数h3は下記式(12)で示される。
h3 = L1AB/L2AB ・・・(12)
上記の第1の方法は、A−C間の道路にカーブが多い場合に有効である。カーブが多い道路では、走行速度に変化がない場合であっても加減速が多くなり、加速度が大きくなるため、上記式(2)で算出する推定燃費量の値が大きくなる。この場合、実際の速度情報を上記式(1)に代入し、再度予測燃費量を予測して補正係数を算出することによって、道路のカーブの影響を考慮した補正をおこなうことができる。
一方、第2の方法は、A−C間の道路で渋滞が多く発生している場合に有効である。渋滞が発生している道路では車両の走行速度が遅くなるため、上記式(2)で算出する推定燃費量の値は小さくなる。しかしながら、渋滞の影響によって低速で走行した場合と、単に低速で走行した場合とでは、燃料消費量への影響が異なってくる。このため、第2の方法のように、平均速度情報を用いて予測した燃料消費量をそのまま用いることによって、渋滞の影響を考慮した補正をおこなうことができる。
なお、第1の方法および第2の方法のいずれを採用するかは任意であるが、たとえば経路を探索した際に、経路上のリンク形状データを参照して、曲率が所定率以上の場合には第1の方法を採用するようにしてもよい。また、たとえば、経路上の渋滞情報を参照して、渋滞が発生している区間では第2の方法を採用するようにしてもよい。また、同一の経路上で、区間によって第1の方法および第2の方法を切り替えるようにしてもよい。また、上記の第1の方法および第2の方法を採用するにしても、たとえば予測対象区間の走行時において、車両が走行する道路の種別が変化しない場合に上記式(1)を補正するようにしてもよい。
(第2の推定燃費量の推定式について)
つぎに、第2の推定燃費量の推定式である上記式(2)の詳細について説明する。上記式(2)は、車両のアイドリング時に関する情報、車両の加速時に関する情報および車両の走行時に生じる抵抗に関する情報のみを変数として用いることにより、精度の高い燃料消費量を安定して算出することができる式である。以下にその詳細を説明する。
つぎに、第2の推定燃費量の推定式である上記式(2)の詳細について説明する。上記式(2)は、車両のアイドリング時に関する情報、車両の加速時に関する情報および車両の走行時に生じる抵抗に関する情報のみを変数として用いることにより、精度の高い燃料消費量を安定して算出することができる式である。以下にその詳細を説明する。
[係数k1〜k3について]
まず、上記式(2)の係数k1〜k3について説明する。図6は、ナビゲーション装置が保持する係数テーブルを示す説明図である。図6に示す係数テーブル600には、車両の車種を識別する車種名称601および車種ごとの形式を示す形式情報602が記録されており、それぞれの車種および形式に対応する係数の値(k1〜k3)606が記録されている。また、それぞれの車種名称601および形式情報602には、排気量情報603、車重情報604、モード燃費情報605が関連づけられている。
まず、上記式(2)の係数k1〜k3について説明する。図6は、ナビゲーション装置が保持する係数テーブルを示す説明図である。図6に示す係数テーブル600には、車両の車種を識別する車種名称601および車種ごとの形式を示す形式情報602が記録されており、それぞれの車種および形式に対応する係数の値(k1〜k3)606が記録されている。また、それぞれの車種名称601および形式情報602には、排気量情報603、車重情報604、モード燃費情報605が関連づけられている。
係数k1〜k3は、車種および形式によって異なり、ナビゲーション装置300は、自装置が搭載された車両に対応する係数k1〜k3の値を係数テーブル600から読み出す。具体的には、ナビゲーション装置300は、たとえば、自装置が搭載された車両の車種および形式が判別できる場合には、車種名称601および形式情報602から該当するものを選択し、その車種名称601および形式情報602に関連づけられた係数の値を読み出す。
また、車両の車種および形式が判別できない場合、ナビゲーション装置300は、車両の排気量や車重が判別できる場合には、排気量情報603および車重情報604から該当するものを選択して、その排気量情報603および車重情報604に関連づけられた係数の値を読み出す。また、車両の概算燃費が判別できる場合には、モード燃費情報605から該当するものを選択し、そのモード燃費情報605に関連づけられた係数の値を読み出す。
なお、上記は車両の車種および形式が判別できない場合に、排気量情報や概算燃費を用いて係数の読み出しをおこなう例であるが、これに限定されるものではない。車両の車種や形式が判別できる場合においても、たとえば、自然吸気ガソリン、ディーゼルエンジン、ターボエンジンなどのデータや、概算燃費、車重、排気量などの情報を用いて、類似する車種や形式に対応する係数の値を読み出してもよい。
つぎに、係数k1〜k3のそれぞれの意味について説明する。k1は、アイドリング時(停止時)の燃料消費量を示す係数である。また、k2は、加速時の燃料消費量を示す係数である。また、k3は、車両の走行時に生じる抵抗に基づく係数である。車両の走行時に生じる抵抗には、車体にかかる空気抵抗と転がり抵抗があり、このうち転がり抵抗は、タイヤの回転に伴って生じる抵抗やエンジン内部での回転に伴って生じる抵抗などが含まれる。
図7は、係数k1と排気量との関係を示すグラフであり、縦軸は係数k1、横軸は排気量を示す。図7に示すように、係数k1と排気量とは正の相関がある。すなわち、一般に、排気量が多い車両ほどアイドリング時の燃料消費量は多いことが知られており、係数k1はアイドリング時の燃料消費量を反映させた係数であることがわかる。
図8は、係数k2と車重との関係を示すグラフであり、縦軸は係数k2、横軸は車重を示す。図8に示すように、係数k2と車重とは正の相関がある。すなわち、一般に、車重が重いほど加速時の燃料消費量は多いことが知られており、係数k2は加速時の燃料消費量を反映させた係数であることがわかる。
図9は、係数k3と排気量との関係を示すグラフであり、縦軸は係数k3、横軸は排気量を示す。図9に示すように、係数k3と排気量との間には相関がみられない。これは、k3は車両の走行時に生じる抵抗に基づく係数であり、排気量よりも車両の形状などに相関を有するためである。
[係数k1〜k3のデータベース化方法]
つづいて、係数k1〜k3の値をデータベース化するまでの流れについて説明する。図6に示すような係数テーブル(係数のデータベース)は、たとえば以下のような手順で構築する。
つづいて、係数k1〜k3の値をデータベース化するまでの流れについて説明する。図6に示すような係数テーブル(係数のデータベース)は、たとえば以下のような手順で構築する。
<手順1>
標準的な車種の実走行データを計測し、下記式(α)に実走行データを代入する。実走行データを代入した下記式(α)を重回帰分析して、係数k1,k2,k3,k4,k5を求める。ここで、k1はアイドリング時の燃料消費量に基づく係数、k2は加速時における燃料消費量に基づく係数、k3は空気抵抗と転がり抵抗に基づく係数、k4,k5はエンジンのトルク特性と伝達効率による係数である。また、下記式(α)において、fc:燃料消費量(cc/sec)、x:車速(km/h)、dx/dt+g・sinθ:合成加速度(車速加速度と重力の加速度)である。
fc(x)=k1+k2・(dx/dt+g・sinθ)・x+k3・x3+k4・x2+k5・x ・・・(α)
標準的な車種の実走行データを計測し、下記式(α)に実走行データを代入する。実走行データを代入した下記式(α)を重回帰分析して、係数k1,k2,k3,k4,k5を求める。ここで、k1はアイドリング時の燃料消費量に基づく係数、k2は加速時における燃料消費量に基づく係数、k3は空気抵抗と転がり抵抗に基づく係数、k4,k5はエンジンのトルク特性と伝達効率による係数である。また、下記式(α)において、fc:燃料消費量(cc/sec)、x:車速(km/h)、dx/dt+g・sinθ:合成加速度(車速加速度と重力の加速度)である。
fc(x)=k1+k2・(dx/dt+g・sinθ)・x+k3・x3+k4・x2+k5・x ・・・(α)
<手順2>
手順1で求めたk1〜k5のうち、k3〜k5を用いて上記式(2)のa1,a2を求める。a1,a2はほとんどの車種に共通した値となるため、これを定数化することによりパラメータの数を減らすことができる。具体的には、a1=k4/k3,a2=k5/k3とする。
手順1で求めたk1〜k5のうち、k3〜k5を用いて上記式(2)のa1,a2を求める。a1,a2はほとんどの車種に共通した値となるため、これを定数化することによりパラメータの数を減らすことができる。具体的には、a1=k4/k3,a2=k5/k3とする。
<手順3>
標準的な車種以外の車種の係数k1〜k3については、下記式(β)を用いて実走行データを重回帰分析する。下記式(β)ではパラメータが3つに絞られている。そして、車種ごとや排気量ごと、エンジン形式ごとなどに求められた係数k1〜k3をデータベース化する。
fc(x)=k1+k2・(dx/dt+g・sinθ)・x+k3・(x3+a1・x2+a2・x)・・・(β)
標準的な車種以外の車種の係数k1〜k3については、下記式(β)を用いて実走行データを重回帰分析する。下記式(β)ではパラメータが3つに絞られている。そして、車種ごとや排気量ごと、エンジン形式ごとなどに求められた係数k1〜k3をデータベース化する。
fc(x)=k1+k2・(dx/dt+g・sinθ)・x+k3・(x3+a1・x2+a2・x)・・・(β)
[道路勾配θについて]
つぎに、上記式(2)の右辺第2項の道路勾配θについて説明する。図10は、勾配がある道路を走行する車両にかかる加速度を模式的に示した説明図である。図10に示すように、勾配がθの坂道を走行する車両には、車両の走行に伴う加速度(dx/dt)Aと、重力加速度gの進行方向成分(g・sinθ)Bがかかる。上記式(2)の右辺第2項は、この車両の走行に伴う加速度Aと、重力加速度gの進行方向成分Bの合成加速度Cを示している。
つぎに、上記式(2)の右辺第2項の道路勾配θについて説明する。図10は、勾配がある道路を走行する車両にかかる加速度を模式的に示した説明図である。図10に示すように、勾配がθの坂道を走行する車両には、車両の走行に伴う加速度(dx/dt)Aと、重力加速度gの進行方向成分(g・sinθ)Bがかかる。上記式(2)の右辺第2項は、この車両の走行に伴う加速度Aと、重力加速度gの進行方向成分Bの合成加速度Cを示している。
道路勾配θを考慮せずに燃費の推定をおこなった場合、道路勾配θが小さい領域では推定した燃費と実燃費との誤差が小さいが、道路勾配θが大きい領域では推定した燃費と実燃費との誤差が大きくなってしまう。このため、ナビゲーション装置300では、道路勾配を考慮して燃費の推定をおこなっている。
車両が走行する道路の勾配は、たとえば、ナビゲーション装置300に搭載された傾斜計を用いて知ることができる。また、ナビゲーション装置300に傾斜計が搭載されていない場合は、たとえば、地図データに含まれる道路の勾配情報を用いることができる。
また、地図データに勾配情報が含まれていない場合には、地図データ中の標高データを用いて、あるいはナビゲーション装置が三次元測位可能なものであれば測位結果の標高情報を用いて、勾配がある区間における燃料消費量を推定することができる。具体的には、下記式(13)のような近似式を用いて、勾配がある区間における燃料消費量(勾配区間燃料消費量)を推定する。
勾配区間燃料消費量 = 勾配が常に0の場合の区間燃料消費量+k2・g・(区間終点標高−区間始点標高)・・・(13)
勾配区間燃料消費量 = 勾配が常に0の場合の区間燃料消費量+k2・g・(区間終点標高−区間始点標高)・・・(13)
上記式(2)の右辺第1項の「(勾配が常に0の場合の)区間燃料消費量」は、当該区間における瞬間燃料消費量(上記式(2)の値)を積算した値である。また、右辺第2項の(区間終点標高−区間始点標高)は、位置エネルギーの変化量を示す。上記式(14)が勾配がある区間における燃料消費量を近似できることは、以下のように示される。
区間燃料消費量 =Σfc・ΔT
=Σ{k1+k2・x・(dx/dt+g・sinθ)+k3・G(x)}ΔT
=k1・ΣΔT+k2・Σx(dx/dt+g・sinθ)ΔT+k3・ΣG(x)ΔT・・・(14)
ここで、上記式(14)の第2項に注目すると、
ΣV(dx/dt+g・sinθ)ΔT=Σx・dx/dt・ΔT+g・Σ(x・sinθ)ΔT・・・(15)
と分解でき、上記式(15)の右辺第2項の「Σ(x・sinθ)ΔT」は区間での標高方向の移動量であることがわかる。上記式(15)の右辺第1項は、勾配が常に0と見なしたときの加速エネルギーに対する燃料消費量なので、傾斜に関係しない他の項とまとめることにより、「傾斜を常に0として計算した区間推定値」とすることができる。よって、傾斜計がなくても、対象区間の始点と終点の緯度と経度が得られれば、標高データを参照することで道路勾配を考慮した燃費推定が可能となる。あるいはナビゲーション装置が三次元測位可能なものであれば対象区間の始点と終点の標高情報を直接参照することで道路勾配を考慮した燃費推定が可能となる。
=Σ{k1+k2・x・(dx/dt+g・sinθ)+k3・G(x)}ΔT
=k1・ΣΔT+k2・Σx(dx/dt+g・sinθ)ΔT+k3・ΣG(x)ΔT・・・(14)
ここで、上記式(14)の第2項に注目すると、
ΣV(dx/dt+g・sinθ)ΔT=Σx・dx/dt・ΔT+g・Σ(x・sinθ)ΔT・・・(15)
と分解でき、上記式(15)の右辺第2項の「Σ(x・sinθ)ΔT」は区間での標高方向の移動量であることがわかる。上記式(15)の右辺第1項は、勾配が常に0と見なしたときの加速エネルギーに対する燃料消費量なので、傾斜に関係しない他の項とまとめることにより、「傾斜を常に0として計算した区間推定値」とすることができる。よって、傾斜計がなくても、対象区間の始点と終点の緯度と経度が得られれば、標高データを参照することで道路勾配を考慮した燃費推定が可能となる。あるいはナビゲーション装置が三次元測位可能なものであれば対象区間の始点と終点の標高情報を直接参照することで道路勾配を考慮した燃費推定が可能となる。
ここで、上記[1]は、予測される燃料消費量がアイドリング時の消費量より小さい正の値もしくは負の値になることはないという考えに基づいて規定される条件である。したがって、たとえば推定される燃料消費量がk1より小さい正の値もしくは負の値となった場合には、上記[1]によって推定される燃料消費量はk1となる。また、上記[2]および[3]は、車両の減速時における燃料消費量に関して規定される条件である。車種によっては、減速時のアクセル操作のない時は、燃料をエンジンに送り込まないものもあり、実燃費量と予測燃料消費量が異なる場合は、この条件を用いて補正すると有効な場合もある。なお、上記[1]〜[3]におけるfcの値は一例であり、車種などにより適宜調整される。
この場合において、上記[2]および[3]は、条件式にfcが入っておらず、具体的なfcの値を求めることなく所定の判定をおこないたい場合に特に有効である。たとえば、推定した燃料消費量をサーバなどに送信して統計処理などをおこなう場合、k1〜k3の値とそれ以外の値とで分離して処理しておけば、後にk1〜k3の値を更新するときに演算量が大幅に削減され、かつ条件式の再演算も負荷が軽減されることになる。
(ナビゲーション装置300による燃費予測処理)
つぎに、ナビゲーション装置300による燃費予測処理の手順について説明する。図11は、ナビゲーション装置300による燃費予測処理の手順を示すフローチャートである。なお、図11は、上述した燃料消費量の予測処理のうち、第1の方法(図4および図5参照)を示している。
つぎに、ナビゲーション装置300による燃費予測処理の手順について説明する。図11は、ナビゲーション装置300による燃費予測処理の手順を示すフローチャートである。なお、図11は、上述した燃料消費量の予測処理のうち、第1の方法(図4および図5参照)を示している。
図11のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置300は、まず、ユーザから指定された目的地点までの経路を探索する(ステップS1101)。経路を探索すると、ナビゲーション装置300は、経路の平均走行速度および上記式(1)を用いて、経路全体での燃料消費量(予測燃費量)を算出して(ステップS1102)、予測した燃料消費量をディスプレイ313に表示する(ステップS1103)。
ナビゲーション装置300は、車両が走行を開始するまで待機して(ステップS1104:Noのループ)、車両が走行を開始すると(ステップS1104:Yes)、車両の速度情報および加速度情報を取得する(ステップS1105)。燃費予測式の補正のタイミングになるまで(ステップS1106:No)、ナビゲーション装置300は、ステップS1105に戻り、速度情報および加速度情報の取得を継続する。
補正のタイミングになると(ステップS1106:Yes)、ナビゲーション装置300は、ステップS1105で取得した速度情報および加速度情報および上記式(2)を用いて、推定燃費量(これまで走行した経路における燃料消費量)を算出する(ステップS1107)。また、ナビゲーション装置300は、ステップS1105で取得した速度情報を用いて、上記式(1)から実際の速度に基づく予測燃費量を算出する(ステップS1108)。そして、ナビゲーション装置300は、ステップS1107で算出した推定燃費量と、ステップS1108で算出した実際の速度に基づく予測燃費量から補正係数を算出する(ステップS1109)。
ナビゲーション装置300は、補正係数を適用した上記式(1)から残りの経路における予測燃費量を再度算出する(ステップS1110)。そして、ステップS1107で算出した推定燃費量(これまで走行した経路における燃料消費量)と、ステップS1110で算出した残りの経路における燃料消費量を合計し、経路全体の燃料消費量としてディスプレイ313に表示する(ステップS1111)。なお、経路全体の燃料消費量を表示するのではなく、これまで走行した経路における燃料消費量と残りの経路における燃料消費量とを分けて表示してもよいし、これらのいずれかのみを表示してもよい。
車両が目的地点に到達するまで(ステップS1112:No)、ナビゲーション装置300は、ステップS1105に戻り、以降の処理をくり返す。そして、車両が目的地点に到達すると(ステップS1112:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。なお、本フローチャートでは、補正のタイミングで推定燃費量を算出することとしたが、走行中に随時推定燃費量を算出してもよい。
また、上述した燃料消費量の予測処理のうち、第2の方法の場合は、ステップS1108の処理(実際の速度に基づく予測燃費量の算出)をおこなわずに、ステップS1102で予測した予測燃費量の値を用いて補正係数を算出すればよい。
以上説明したように、ナビゲーション装置300は、走行開始前における燃料消費量の予測に用いる数式(上記式(1))を、実際の走行時における加速度情報を用いて補正する。これにより、車両の加速度を考慮して燃料消費量を算出することが可能となり、たとえば、カーブが多い道路や傾斜が大きい道路など、加速度の変化が大きい道路を走行する場合でも精度良く燃料消費量を推定することができる。
また、燃費予測装置100は、車両が走行を開始した後は、車両の速度情報および加速度情報、車両が走行する道路の勾配情報を用いた上記式(2)によって燃料消費量を推定する。このため、ナビゲーション装置300は、車両の走行速度や加速度の変化、車両にかかる位置エネルギーの変化を燃料消費量の推定値に反映させることができ、より精度良く燃料消費量を推定することができる。
なお、本実施の形態で説明した燃費推定方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
100 燃費予測装置
101 予測部
102 推定部
103 補正部
104 平均速度情報取得部
105 走行速度情報取得部
101 予測部
102 推定部
103 補正部
104 平均速度情報取得部
105 走行速度情報取得部
Claims (13)
- 所定区間における車両の燃料消費量を予測する燃費予測装置であって、
第1の数式を用いて前記所定区間の走行開始前に前記所定区間における前記燃料消費量を予測する予測手段と、
前記所定区間の走行中における前記車両の加速度を変数とする第2の数式を用いて、前記所定区間の走行中における前記燃料消費量を推定する推定手段と、
前記予測手段によって予測された前記燃料消費量と、前記推定手段によって推定された前記燃料消費量とに基づいて、前記第1の数式を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする燃費予測装置。 - 前記第1の数式は、前記車両の速度を変数とする関数であり、
前記第2の数式は、前記車両の加速度および速度を変数とする関数であることを特徴とする請求項1に記載の燃費予測装置。 - あらかじめ保持した前記所定区間内の単位区間ごとの平均速度情報を取得する平均速度情報取得手段と、
前記車両の走行中における加速度情報および速度情報を取得する走行速度情報取得手段と、を備え、
前記予測手段は、前記平均速度情報取得手段によって取得された前記平均速度情報を用いて前記所定区間の走行開始前に前記燃料消費量を予測し、
前記推定手段は、前記走行速度情報取得手段によって取得された前記加速度情報および前記速度情報を用いて前記燃料消費量を推定することを特徴とする請求項2に記載の燃費予測装置。 - 前記補正手段は、前記予測手段によって予測された前記燃料消費量と、前記推定手段によって推定された前記燃料消費量と、から補正係数を算出し、前記補正係数を前記第1の数式に付加することによって、前記第1の数式を補正することを特徴とする請求項1に記載の燃費予測装置。
- 前記補正係数は、前記予測手段によって予測された前記燃料消費量と前記推定手段によって推定された前記燃料消費量との比であることを特徴とする請求項4に記載の燃費予測装置。
- 前記補正手段は、前記所定区間の走行開始前に前記予測手段によって予測された燃料消費量と、前記所定区間の走行中に前記推定手段によって推定された前記燃料消費量との比を前記補正係数とすることを特徴とする請求項5に記載の燃費予測装置。
- 前記予測手段は、前記所定区間の走行中において、前記走行速度情報取得手段によって取得された前記速度情報を前記第1の数式に代入して前記燃料消費量を再度算出し、
前記補正手段は、前記予測手段によって再度算出された前記燃料消費量と、前記所定区間の走行中に前記推定手段によって推定された前記燃料消費量との比を前記補正係数とすることを特徴とする請求項5に記載の燃費予測装置。 - 前記補正手段は、前記所定区間の走行中において、前記車両が走行する道路の種別が変化しない場合に前記第1の数式を補正することを特徴とする請求項1に記載の燃費予測装置。
- 所定区間における車両の燃料消費量を予測する燃費予測方法であって、
第1の数式を用いて前記所定区間の走行開始前に前記所定区間における前記燃料消費量を予測する予測工程と、
前記所定区間の走行中における前記車両の加速度を変数とする第2の数式を用いて、前記所定区間の走行中における前記燃料消費量を推定する推定工程と、
前記予測工程で予測された前記燃料消費量と、前記推定工程で推定された前記燃料消費量とに基づいて、前記第1の数式を補正する補正工程と、
を含んだことを特徴とする燃費予測方法。 - 請求項11に記載の燃費予測方法をコンピュータに実行させることを特徴とする燃費予測プログラム。
- 請求項12に記載の燃費予測プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
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