JPWO2010061557A1 - 情報記録媒体、記録装置、再生装置および再生方法 - Google Patents

情報記録媒体、記録装置、再生装置および再生方法 Download PDF

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Abstract

情報を記録可能なN個(NはN≧3の整数)の情報層を有し、レーザ光が照射されることによって、各情報層への情報の記録および前記各情報層に記録された情報の再生が行われる情報記録媒体であって、前記N個の情報層は、レーザ光入射側から順に配置された第N情報層、第N−1情報層、第N−2情報層・・・第2情報層、第1情報層を含み、前記第N情報層の反射率はRNであり、第M情報層(MはN>M≧1を満たす全ての整数)の反射率はRMであり、前記第N情報層に記録された情報の再生時に前記第N情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrNmaxであり、前記第M情報層に記録された情報の再生時に前記第M情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrMmaxであり、下記の式(1)、(2):RN>RM・・・(1)PrNmax<PrMmax・・・(2)を同時に満たしている情報記録媒体。

Description

本発明は、情報記録媒体に関し、特に、レーザ光の照射によって情報の記録および記録された情報の再生を行う情報層を3つ以上備えた情報記録媒体、この情報記録媒体に記録を行う記録装置、この情報記録媒体の再生を行う再生装置、および、この情報記録媒体を再生する再生方法に関する。
近年、レーザ光の照射によって情報の記録、消去、書換、再生を行うことのできる情報記録媒体が広く研究開発・商品化されている。このような情報記録媒体は、相変化型記録材料等の薄膜からなる記録層を含む情報層を備える。情報を記録する場合、記録層にレーザ光を照射し、局所的な加熱を行うことによって、照射条件の違いによる光学定数の異なる領域を形成する。例えば、レーザ光の照射によって発生する熱により、記録層の相変化材料を結晶相と非晶質相との間で状態変化させ、情報を記録する。具体的には、例えば、記録すべき情報によって変調された信号に基づく長さで表わされるスペースおよびマークの組み合わせを記録層のトラック上に形成する。
相変化記録材料を記録層に用いる情報記録媒体のうち、相変化が可逆的であることにより、情報の消去や書換が可能である書換型情報記録媒体の場合、一般に記録層の初期状態は結晶相である。情報を記録する場合、高パワーのレーザ光を照射することによって記録層の一部を溶融し、その後、急速に冷却することによってレーザ光が照射された部分を非晶質相にする。情報を消去する場合には、記録時に比べ低パワーのレーザ光を照射することによって記録層の一部の温度を上昇させ、その後、ゆっくり冷却することによって、レーザ光が照射された部分を結晶相にする。また、高パワーと低パワーとでパワー変調させたレーザ光を記録層に照射することにより、記録されている情報を消去しながら新しい情報を記録すること、すなわち書換が可能である。
情報の消去または書換を高速で行うためには、短時間で非晶質相を結晶相へと変化させる必要がある。つまり、書換型情報記録媒体において、高い消去性能を実現するためには、記録層に結晶化速度の速い相変化材料を用いることが必要となる。なお、可逆的相変化を生じない材料を記録層に用いた追記型情報記録媒体では、情報の書換は不可能であり、1回のみ情報を記録することができる。
情報記録媒体に記録された情報の再生は、結晶相と非晶質相との間の反射率の違いに基づく反射光の光量変化を検出することにより行う。具体的には、ある一定の再生パワーに設定したレーザ光を情報記録媒体に照射し、情報記録媒体からの反射光の強度を信号として検出することで行われる。反射光の強度は、情報記録媒体の反射率とレーザ光の再生パワーの積に比例する。一般的に、反射光の強度が大きい程、情報の再生信号品質が高くなるため、再生パワーは高いことが好ましい。
しかし、書換型情報記録媒体や追記型情報記録媒体などの記録可能な情報記録媒体を再生する場合、再生パワーが高すぎると、情報記録媒体に形成された記録層のマークやスペースの部分の状態に変化が生じ、得られる再生信号の品質が劣化する。つまり情報記録媒体に形成されたマークやスペースなどに表わされた情報が劣化する。このため、再生時において情報記録媒体に照射するレーザ光のエネルギー、言い換えれば、再生パワーが高くなりすぎないように設定される(特許文献1参照)。再生による情報の劣化の生じにくさを、再生耐久性能と呼ぶ。以下、再生によって情報が劣化しない上限の再生パワーを上限再生パワーと呼ぶ。再生耐久性能が高い情報記録媒体ほど上限再生パワーは高い。上限再生パワーは情報層ごとに定められ、各情報層が備える特性の1つである。
近年、情報記録媒体を大容量化するための技術として、様々な技術が検討されている。例えば、2つの情報層を備える書換型情報記録媒体を用いて、その片側から入射するレーザ光によって2つの情報層の記録・再生を行う技術が報告されている(特許文献2、特許文献3参照)。この技術によれば、2つの情報層を用いることによって、情報記録媒体の記録容量を2倍にすることができる。
片側から入射するレーザ光によって2つの情報層の記録および再生をする情報記録媒体において、入射側から遠い情報層(以下、第1情報層)の記録および再生は入射側に近い情報層(以下、第2情報層)を透過したレーザ光によって行われる。このため、第2情報層の透過率が低いと、第1情報層へ到達するレーザ光のエネルギーが減衰する。また、第1情報層からの反射光は再び第2情報層を透過するため、第1情報層からの反射光はさらに減衰し、反射光の強度が低下してしまう。このため、反射光に基づく再生信号の品質が低下する。
第2情報層における光の減衰を考慮して、より強いレーザ光で第1情報層に情報を記録することも考えられる。しかし、この場合、より強いパワーのレーザ光を第1情報に照射する必要があり、レーザ光のパワーが記録装置の限界を超えた場合は、好適な記録ができなくなり、記録の品質が悪化する。また、この場合、第2情報層には、より強いレーザ光が減衰することなく照射される。したがって、レーザ光入射側に最も近い情報層は、再生による信号の劣化が生じやすく、再生耐久性能を良くすることが難しい傾向がある。
これらのことから、第2情報層はできるだけ高い透過率を持つことが好ましい。また、大容量化のために情報層の数を増やし、例えば3つまたは4つの情報層を備えた情報記録媒体を実現するためには、入射側の情報層(第3情報層、または第4情報層)の透過率をさらに高める必要がある。特に、レーザ光入射側に最も近い情報層は、その情報層よりもレーザ光入射側から遠い情報層へ記録再生をする場合にレーザ光が透過する。このため、レーザ光入射側に最も近い情報層の透過率はできるだけ高い方が望ましい。記録材料は一般に消衰係数が大きいため、高い透過率を持たせるためにはレーザ光入射側の情報層の記録層の厚さは薄いほうが好ましい。
再生耐久性能に関するこの傾向は、書換型情報記録媒体および追記型記録媒体のどちらにも当てはまる。書換型情報記録媒体の場合、前述したように記録層の消去性能も考慮する必要がある。このため、消去性能と再生耐久性能とが両立するように記録層などを調整する必要がある。
特開2001−14679号公報 特開2000−36130号公報 国際公開第03/025922号パンフレット
しかし、書換型の情報記録媒体の場合、一般的に相変化材料からなる記録層が薄くなるほど、結晶化速度は遅くなる。そのため、非晶質相から結晶相への相変化が生じにくくなり、情報の消去性能が悪化する。この点から、レーザ光入射側に近い情報層の記録層をレーザ光入射側から遠い情報層の記録層に比べて、厚くするとともに、結晶化速度を速くするように相変化材料を選ぶ場合もある。ただし、結晶化速度が速くなると、再生耐久性能が悪化するため、結晶化速度は速くし過ぎてはいけない。
一方、記録可能な情報記録媒体において、情報層に含まれる記録層の厚さが薄くなりすぎると、情報層の特性が低下する。例えば、書換型情報記録媒体の場合、記録層の厚さが薄くなりすぎると、消去性能と再生耐久性能との両立が困難になる。そのため、3つ以上の情報層を備えた情報記録媒体では、高い透過率が要求されるレーザ光入射側に最も近い側の情報層において、情報の再生を高品質に行うことができないという課題を有していた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、3つ以上の情報層を備えた情報記録媒体において、そのすべての情報層において情報の再生を高品質に行うことができる情報記録媒体を提供することを目的とする。また、その情報記録媒体に適合した記録装置、再生装置および再生方法を提供することを目的とする。
本発明の情報記録媒体は、情報を記録可能なN個(NはN≧3の整数)の情報層を有し、レーザ光が照射されることによって、各情報層への情報の記録および前記各情報層に記録された情報の再生が行われる情報記録媒体であって、前記N個の情報層は、レーザ光入射側から順に配置された第N情報層、第N−1情報層、第N−2情報層・・・第2情報層、第1情報層を含み、前記第N情報層の反射率はRNであり、第M情報層(MはN>M≧1を満たす全ての整数)の反射率はRMであり、前記第N情報層に記録された情報の再生時に前記第N情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrNmaxであり、前記第M情報層に記録された情報の再生時に前記第M情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrMmaxであり、下記の式(1)、(2):
N>RM ・・・(1)
PrNmax<PrMmax ・・・(2)
を同時に満たしている。
ある好ましい実施形態において、前記第N情報層の前記反射率RNと、前記第N−1情報層の前記反射率RN-1とが、下記の式(3):
N/RN-1 ≧ 1.2 ・・・(3)
を満たしている。
ある好ましい実施形態において、前記第N情報層の前記反射率RNと前記上限再生パワーPrNmaxとの積RN×PrNmaxは、第N−1情報層の反射率RN-1と上限再生パワーPrN-1maxとの積RN-1×PrN-1maxと等しい。
ある好ましい実施形態において、前記第N情報層および第N−1情報層のそれぞれは、少なくとも、反射層と第1の誘電体層と、レーザ光の照射によって相変化を起こしうる記録層と、第2の誘電体層とを含み、前記第2の誘電体層、前記記録層、前記第1の誘電体層および前記反射層は、前記レーザ光入射側からこの順序で配置されており、前記第2の誘電体層、前記記録層、前記第1の誘電体層および前記反射層は、前記第N情報層と前記第N−1情報層とでそれぞれ同じ材料からなる。
ある好ましい実施形態において、前記第N情報層および第N−1情報層のそれぞれは、前記反射層の前記レーザ光入射側と反対側に位置する透過率調整層をさらに含み、前記透過率調整層は第N情報層と第N−1情報層とで同じ材料からなる。
ある好ましい実施形態において、前記Nは3である。
本発明の再生装置は、上記いずれかに記載の情報記録媒体記録された情報を再生する再生装置であって、前記第N情報層に記録された情報を再生パワーPrN(PrN≦PrNmax)で再生し、前記第N−1情報層に記録された情報を再生パワーPrN-1(PrN-1≦PrN-1max)で再生する。
本発明の記録装置は、上記いずれかに記載の情報記録媒体に情報を記録する記録装置であって、前記情報記録媒体に前記レーザ光を照射することにより情報を記録する。
本発明の再生方法は、上記いずれかに記載の情報記録媒体に記録された情報を再生する情報記録媒体の再生方法であって、前記第N情報層に記録された情報を再生パワーPrN(PrN≦PrNmax)で再生する工程と、前記第N−1情報層に記録された情報を再生パワーPrN-1(PrN-1≦PrN-1max)で再生する工程とを包含し、前記第N情報層の前記反射率RNと前記再生パワーPrNとの積RN×PrNは、前記第N-1情報層の前記反射率RN-1と前記再生パワーPrN-1との積RN-1×PrN-1と等しい。
ある好ましい実施形態において、前記レーザ光の波長λが400nmから410nmの範囲であり、前記レーザ光を前記各情報層に集束させるために使用する対物レンズの開口数NAが0.84から0.86の範囲である。
本発明の情報記録媒体によれば、第N情報層の反射率RNを他の情報層の反射率反射率RMより高めることによって、第N情報層の再生パワーを低くしても、第N情報層において高品質な情報の再生が実現できる。それに伴い、第N情報層の上限再生パワーを、他の情報層の上限再生パワーよりも下げた構成を採用することができ、設計の自由度が高まる。このため、透過率を重視した設計をすることが許され、第N情報層の透過率を従来よりも高くすることが可能になり、第1情報層から第N−1情報層へ到達するレーザ光の強度を高めることができる。その結果、第1情報層から第N−1情報層までの各情報層においても高品質な情報の再生が実現できる。
また、本発明の情報記録媒体の再生方法によれば、第N情報層の反射率と再生パワーとの積を第N−1情報層の反射率と再生パワーとの積と等しいため、第N情報層の再生パワーが第N−1情報層の再生パワーよりも小さくても、第N情報層において高品質な情報の再生が実現できる。
(a)は、本発明による情報記録媒体の一実施形態を示す部分断面図であり、(b)は、各情報層における反射率を説明するための模式図である。 図1に示す情報記録媒体の構成を詳細に示す部分断面図である。 本発明による記録再生装置の一実施形態を示す概略的なブロック図である。 図3に示す記録再生装置を用いて図1に示す情報記録媒体に情報を記録する場合に用いる記録パルス波形の一例を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による情報記録媒体、記録装置、再生装置および再生方法の実施形態を説明する。以下の実施形態は一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されない。また、以下の実施形態では、重複した説明を繰り返すことによる冗長性を排除するため、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その構成要素の説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
本発明による情報記録媒体の一実施形態を説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態である情報記録媒体11の部分断面図である。情報記録媒体11は、N個の情報層を有しており、記録装置や再生装置において、対物レンズ32によって集束されたレーザ光31が照射されることにより、各情報層へ情報を記録し、また、各情報層に記録された情報が再生される。NはN≧3を満たす整数である。本実施形態ではNは3である。しかし、Nは4以上であってもよい。
図1(a)に示すように、情報記録媒体11において、N個の情報層は、レーザ光31の入射側Fから順に配置された第3情報層43、第2情報層42および第1情報層41を含んでいる。つまり、レーザ光31の入射側Fから順に第N情報層、第N−1情報層、第N−2情報層・・・・、第2情報層および第1情報層が配置される。第N情報層以外の第1情報層から第N−1情報層または1番目からN番目を総称して第M情報層またはM番目と呼ぶ。Mは、N>M≧1を満たすすべての整数である。
また、本願明細書において、「情報層」とは、情報を記録することのできる構造を備えた層状の構造体を意味する。情報層の具体的な構造は、以下において詳細に説明する。N個の情報層は、レーザ光31の入射側Fから最も遠い情報層からレーザ光31の入射側Fにかけて、L0層、L1層・・・L(N−1)層とも呼ばれる。
好ましくは、情報記録媒体11は、第2情報層42と第3情報層43との間に配置された分離層28、第1情報層41と第2情報層42との間に配置された分離層22および基板21をさらに含んでいる。分離層22、28を介して積層された3個の情報層は、第1情報層41が基板21側になるように基板21に支持されている。情報記録媒体11は、第3情報層43よりもレーザ光31の入射側Fに配置された透明層23を含むことがさらに好ましい。
記録装置や再生装置において、対物レンズ32と情報記録媒体11の各情報層との距離を調節することによって、透明層23を透過したレーザ光31が情報の記録または再生を行う情報層に所定の大きさのビームスポットを形成するように集束させ、その情報層に情報を記録し、また、その情報層に記録された情報を再生する。
レーザ光31の波長λが短いほど、対物レンズ32によって小さなビームスポットを形成するようにレーザ光31を集束させることができる。しかし、波長λが短すぎると、透明層23などにおけるレーザ光31の光吸収が大きくなる。そのため、レーザ光31の波長λは350nm〜450nmの範囲内であることが好ましい。
情報記録媒体11において、第3情報層43よりも基板21に近い側にある情報層に到達するレーザ光は、その情報層よりレーザ光31入射側Fの情報層を透過することにより減衰してしまう。そのため、第1情報層41および第2情報層42は高い記録感度を備えていることが好ましい。また、第2情報層42層および第3情報層43は高い透過率を備えていることが好ましい。
基板21は円盤状を有し、第1情報層41から透明層23までの各層を支持する。基板21の第1情報層41側の表面には、レーザ光31を導くための案内溝が形成されていてもよい。基板21の第1情報層41側に対して反対側Rの面は、平滑であることが好ましい。基板21は、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、ガラス、あるいはこれらを適宜組み合わせたもの等の材料によって形成されている。特にポリカーボネート樹脂は、転写性・量産性に優れ、低コストであることから、基板21の材料として好ましい。
分離層22、28は、情報記録媒体11において、基板21に支持される第1情報層41、第2情報層42および第3情報層43の情報記録媒体11の厚さ方向における高さ(位置)を調整するために設けられている。各情報層の位置を調整することによって、レーザ光31を対物レンズ32で所望の情報層にのみ集光させ、その他の情報層においてはレーザ光31が発散した状態にすることができ、これにより、複数の情報層を備えていても、所望の情報層のみにおける情報の記録および再生が可能となる。つまり、分離層22、28は、情報記録媒体11におけるフォーカス位置を調整する。
分離層22、28の厚さは、対物レンズ32の開口数NAとレーザ光31の波長λにより決定される焦点深度以上であることが望ましい。一方、分離層22、28が厚すぎると、情報記録媒体11のレーザ光31入射側Fから第1情報層41までの距離が長くなる。このため、情報記録媒体11がレーザ光31に対して傾いたときのコマ収差が大きくなり、第1情報層41に正しくレーザ光31を集光させることが困難になる。つまり、コマ収差低減の観点では、分離層22、28は薄いほうが好ましい。仮に、λ=405nm、NA=0.85とした場合には、分離層22、28の厚さは5μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
分離層22、28は、レーザ光31の波長における光吸収が小さいことが好ましい。分離層22、28のレーザ光31入射側Fには、レーザ光31を導くための案内溝が形成されていてもよい。分離層22、28は、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルポルレン系樹脂、紫外線硬化性樹脂、遅効性熱硬化樹脂、ガラス、あるいはこれらを適宜組み合わせた材料などによって形成することができる。
透明層23は、第3情報層43よりもレーザ光31入射側Fに位置しており、第3情報層43を保護する。レーザ光31の波長における光吸収が小さいことが好ましい。透明層23は、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、紫外線硬化性樹脂、遅効性熱硬化樹脂、ガラス、あるいはこれらを適宜組み合わせた材料によって形成することができる。また、これらの材料よりなるシートを透明層23に用いてもよい。
透明層23が薄すぎると第3情報層43を保護する機能が十分に発揮できなくなる。また、厚すぎると、分離層22、28と同様、情報記録媒体11のレーザ光31入射側から第1情報層41までの距離が長くなる。このため、情報記録媒体11がレーザ光31に対して傾いたときのコマ収差が大きくなり、第1情報層41に正しくレーザ光31を集光させることが困難になる。仮に、NA=0.85とした場合には、透明層の厚さは5μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、40μm〜110μmの範囲であることがより好ましい。
本実施形態の情報記録媒体は、N個の情報層のすべてにおいて高品質な情報再生が実現するために、N個の情報層のうち、最もレーザ光31の入射側Fに位置する情報層、つまり、第N情報層の反射率を他の情報層よりも高く設定し、かつ、第N情報層の上限再生パワーを他の情報層よりも小さくする。
具体的には図1(b)に示すように、第N情報層の反射率をRNであり、第M情報層(MはN>M≧1を満たす整数)の反射率をRMであるとした場合、N>M≧1を満たす全ての整数Mについて、下記式(1)の関係を満たしている。
N>RM ・・・(1)
ここで反射率RNおよび反射率RMは、情報記録媒体11を構成した状態において、レーザ光31の入射側Fから情報記録媒体11に入射した光が、それぞれ、第N情報層および第M情報層において反射し、情報記録媒体11のレーザ光31の入射側Fへ出射した場合の入射光の光量に対する出射光の光量の割合によって定義される。第N情報層および第M情報層単独の状態における反射率ではない。
また、図1(b)に示すように、第N情報層に記録された情報の再生時に第N情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrNmaxであり、第M情報層に記録された情報の再生時に第M情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrMmaxであり、N>M≧1を満たす全ての整数Mについて、下記の式(2)の関係を満たしている。
PrNmax<PrMmax ・・・(2)
従来の情報記録媒体では、各情報層における再生性能などの特性を同じにするため、各情報層の反射率や上限再生パワーは同じ値に設定されていた。これに対し、本実施形態の情報記録媒体11では、上述したように第N情報層の反射率RNを他の情報層(第M情報層)の反射率RMより高めることによって、第N情報層の再生パワーを低くしても、反射光の光量を増大させることができる。したがって、第N情報層において、高品質な情報の再生が実現できる。また、第N情報層の再生パワーを低くすることによって、レーザ光が入射するまでに他の情報層を透過することがないために強度の減衰がないレーザ光が入射する第N情報層に記録された情報の劣化を抑制することができる。さらに、第N情報層の上限再生パワーを他の情報層よりも低くすることにより、第N情報層の記録層は高い再生耐久性能を備えていなくてもよくなるため、記録層の材料を選択する際の自由度が高まり、設計の自由度も高まる。このため、透過率を重視した設計をすることが許され、第N情報層の透過率を従来よりも高くすることが可能となり、第1情報層から第N−1情報層へ到達するレーザ光の強度を高めることもできる。したがって、第1情報層から第N−1情報層においても品質な情報の再生を実現することができる。
好ましくは、第N情報層の反射率RNと、第N−1情報層の反射率RN-1とが、下記の式(3)を満たしている。
N/RN-1 ≧ 1.2 ・・・(3)
これにより、第N情報層の反射率RNを第N−1情報層の反射率RN-1と比べて十分に大きくすることができ、第N情報層の再生パワーを低くしても、第N情報層からの反射光の光量を十分大きくすることができる。したがって、より確実に、第N情報層において高品質な情報の再生が実現できる。
第N情報層の反射率RNと上限再生パワーPrNmaxとの積RN×PrNmaxは、第N−1情報層の反射率RN-1と上限再生パワーPrN-1maxとの積RN-1×PrN-1maxと等しいことが好ましい。ここで等しいとは、2つの積が完全に一致する場合のみならず、±5%程度の範囲内で一致する場合を含む。具体的には、以下の式(4)の関係が成立する場合をいう。
Figure 2010061557
このような関係を満たす場合、第N情報層からの反射光との第N−1情報層からの反射光の光量がほぼ等しくなる。このため、第N情報層に記録された情報を再生した場合に得られる再生信号と、第N−1情報層情報に記録された情報を再生した場合に得られる再生信号の品質を同程度にすることができる。
図2は図1の各情報層をさらに詳細に示した情報記録媒体11の部分断面図である。図2に示すように、第1情報層41は、好ましくは、第2の誘電体層418、記録層416、第1の誘電体層414および反射層412を含む。第2の誘電体層418、記録層416、第1の誘電体層414および反射層412は、レーザ光31の入射側Fからこの順で配置されている。
図2には示していないが、必要に応じて、反射層412と第1の誘電体層414との間に反射層側界面層413を設けてもよい。同様に、第1の誘電体層414と記録層416の間に第1の界面層415を設けてもよく、第2の誘電体層418と記録層416の間に第2の界面層417を設けてもよい。
第2情報層42は、好ましくは、第2の誘電体層428、記録層426、第1の誘電体層424、反射層422および透過率調整層421を含む。第2の誘電体層428、記録層426、第1の誘電体層424、反射層422および透過率調整層421は、レーザ光31の入射側Fからこの順で配置されている。
図2には示していないが、必要に応じて、反射層422と第1の誘電体層424との間に反射層側界面層423を設けてもよい。同様に、第1の誘電体層424と記録層426の間に第1の界面層425を設けてもよく、第2の誘電体層428と記録層426の間に第2の界面層427を設けてもよい。
第3情報層43は、好ましくは、第2の誘電体層438、記録層436、第1の誘電体層434、反射層432および透過率調整層431を含む。第2の誘電体層438、記録層436、第1の誘電体層434、反射層432および透過率調整層431は、レーザ光31の入射側Fからこの順で配置されている。
図2には示していないが、必要に応じて、反射層432と第1の誘電体層434との間に反射層側界面層433を設けてもよい。同様に、第1の誘電体層434と記録層436の間に第1の界面層435を設けてもよく、第2の誘電体層438と記録層436の間に第2の界面層437を設けてもよい。
次に、第1情報層41を構成する各層について説明する。記録層416は、レーザ光31の照射によって結晶相と非晶質相との間で可逆的な相変化を起こす材料からなる。記録層416の材料として、(Ge−Sn)Te、GeTe−SbTe、(Ge−Sn)Te−SbTe、GeTe−BiTe、(Ge−Sn)Te−BiTe、GeTe−(Sb−Bi)Te、(Ge−Sn)Te−(Sb―Bi)Te、GeTe−(Bi―In)Te、(Ge―Sn)Te−(Bi―In)Te、Sb−Te、Sb−Ge、(Gb−Te)−Ge、Sb−In、(Sb−Te)−In、Sb−Gaおよび(Sb−Te)―Gaのいずれかを含む材料を用いることができる。記録層416において非晶質相の部分は記録時のレーザ光照射によって容易に結晶相に変化できることおよびレーザ光非照射時には結晶相に変化しないことが好ましい。
記録層416は、薄すぎると十分な反射率、反射率変化および消去率が得られなくなる。また、記録層416が厚すぎると熱容量が大きくなるため記録感度が低下する。そのため、記録層416の厚さは5nm〜15nmの範囲内であることが好ましく、8nm〜12nmの範囲内であることがより好ましい。
反射層412は、記録層416に吸収される光量を増やすという光学的な機能と、記録層416で生じた熱を拡散させるという熱的な機能とを持つ。反射層412の材料にはAg、Au、Cu、およびAlから選ばれる少なくとも1つの元素を含んだ材料を用いることができる。例えば、Ag−Cu、Ag−Ga−Cu、Ag−Pd−Cu、Ag−Nd−Au、AlNi、AlCr、Au−Cr、Ag−Inといった合金を用いることができる。特にAg合金は熱伝導率が大きいため反射層412の材料として好ましい。反射層412は厚いほど熱拡散機能が高いが、厚すぎると熱拡散機能が高すぎて記録層416の記録感度が低下する。そのため、反射層412の厚さは、30nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、70nm〜140nmであることがより好ましい。
第1の誘電体層414は、記録層416と反射層412との間に位置し、記録層416から反射層412への熱拡散を調節する熱的な機能および反射率や吸収率などを調節する光学的な機能とを持つ。第1の誘電体層414の材料としては、例えば、ZrO、HfO、ZnO、SiO、SnO、Cr、TiO、In、Ga、Y、CeO、DyO等の酸化物、ZnS、CdS等の硫化物、SiCなどの炭化物の単体、あるいはこれらの混合物、例えばZrO−SiO、ZrO−SiO−Cr、ZrO−SiO−Ga、HfO−SiO−Cr、ZrO−SiO−In、ZnS−SiO、SnO−SiCを用いることができる。特にZnS−SiOは第2の誘電体層の材料として優れている。ZnS−SiOは、成膜速度が速く、透明であり、機械特性および耐湿性が良好であるという特徴を備える。
第1の誘電体層414は厚すぎると反射層412の冷却効果が弱くなり、記録層416からの熱拡散が小さくなってしまうため、記録層416が非晶質化しにくくなってしまう。また、第1の誘電体層414が薄すぎると、反射層412の冷却効果が強くなり、記録層416からの熱拡散が大きくなって感度が低下してしまう。そのため、第1の誘電体層414の厚さは2nm〜40nmの範囲内であることが好ましく、8nm〜30nmの範囲内であることがより好ましい。
反射層側界面層413は、第1の誘電体層414の材料によって、反射層412が腐食または破壊されるのを防ぐ働きを持つ。具体的には反射層412にAgを含んだ材料を用い、かつ、第1の誘電体層414にSを含んだ材料(例えばZnS−SiO)を用いたとき、AgがSと反応することによって腐食してしまうことを防ぐ。
反射層側界面層413の材料としては、Ag以外の金属、例えばAl、またはAl合金を用いることができる。また、Sを含まない誘電体材料、例えば、ZrO、HfO、ZnO、SiO、SnO、Cr、TiO、In、Ga、Y、CeO、DyO等の酸化物、SiCなどの炭化物の単体、あるいはこれらの混合物、例えばZrO−SiO、ZrO−SiO−Cr、ZrO−SiO−Ga、HfO−SiO−Cr、ZrO−SiO−In、SnO−SiCを反射層側界面層413の材料として用いることができる。またはCなどを用いることができる。
反射層側界面層413は厚すぎると第1の誘電体414の熱的および光学的な働きを妨げ、また、薄すぎると反射層412の腐食、破壊を防ぐ機能が低下する。そのため、反射層側界面層413の厚さは1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、5nm〜40nmの範囲内であることがより好ましい。
第1の界面層415は、繰り返し記録によって第1の誘電体層414と記録層416との間で生じる物質移動を防止する働きを持つ。第1の界面層415は、記録の際に融けない程度の高融点を持ち、記録層416との密着性がよい材料によって構成されることが好ましい。第1の界面層415の材料としては、例えば、ZrO、HfO、ZnO、SiO、SnO、Cr、TiO、In、Ga、Y、CeO、DyO等の酸化物、ZnS、CdS等の硫化物、SiCなどの炭化物の単体、あるいはこれらの混合物、例えばZrO−SiO、ZrO−SiO−Cr、ZrO−SiO−Ga、HfO−SiO−Cr、ZrO−SiO−In、ZnS−SiO、SnO−SiCを用いることができる。またはCなどを用いることができる。特に、記録層416との密着性に優れるため、Ga、ZnO、Inなどが第1の界面層415の材料として特に好ましい。
第1の界面層415が薄すぎると、界面層としての効果を発揮できなくなり、厚すぎると第1の誘電体層414の熱的および光学的な働きを妨げてしまう。そのため、第1の界面層415の厚さは0.3nm〜15nmの範囲内であることが好ましく、1nm〜8nmの範囲内であることがより好ましい。
第2の誘電体層418は記録層416に対してレーザ光入射側Fにあり、記録層416の腐食、変形などを防止する機能と、反射率や吸収率などを調整する光学的な機能とを持つ。第2の誘電体層418には、第1の誘電体層414と同じ材料を用いることができる。特にZnS−SiOは第2の誘電体層の材料として優れている。ZnS−SiOは、成膜速度が速く、透明であり、機械特性および耐湿性が良好であることによる。
第2の誘電体層418が薄すぎると、記録層416の腐食、変形などを防止する機能が低下する。また、第2の誘電体層418の厚さは、マトリクス法に基づく計算により、記録層416が結晶相である場合と非晶質相である場合の反射光量の変化が大きくなる条件を満足するように厳密に決定することができ、第2の誘電体層418の厚さは、20nm〜80nmの範囲内であることが好ましい。
第2の界面層417は、第1の界面層415と同様に、繰り返し記録によって第2の誘電体層418と記録層416との間で生じる物質移動を防止する働きを持つ。従って、第1の界面層415と同様の性能を持つ材料であることが好ましい。
第2の界面層417の厚さは第1の界面層415と同様に0.3nm〜15nmの範囲内であることが好ましく、1nm〜8nmの範囲内であることがより好ましい。
上述の反射層412、第1の誘電体層414、記録層416および第2の誘電体層418、さらに必要に応じて反射層側界面層413、第1の界面層415および第2の界面層417を加えることによって情報層41は構成される。
次に、第2情報層42を構成する各層について説明する。記録層426には、第1情報層41の記録層416と同じ材料を用いることができる。記録層426の厚さは、第2情報層42の透過率を高くするために、10nm以下であることが好ましく、4nm〜8nmの範囲であることがより好ましい。
反射層422は、第1情報層41の反射層412と同様な機能を持つ。具体的には、記録層426に吸収される光量を増やすという光学的な機能と、記録層426で生じた熱を拡散させるという熱的な機能とを持つ。そのため、反射層422には、第1情報層41の反射層412と同に材料を用いることができる。特にAg合金は熱伝導率が大きいため反射層422の材料として好ましい。
反射層422の厚さは、第2情報層42の透過率を高くするために、20nm以下であることが好ましく、3nm〜14nmであることがより好ましい。反射層422の厚さがこの範囲にあることにより、反射層422の光学的および熱的な機能が十分になる。
第1の誘電体層424は、第1情報層41の第1の誘電体層414と同様な機能を持つ。具体的には、記録層426から反射層422への熱拡散を調節する熱的な機能と、反射率や吸収率などを調節する光学的な機能とを持つ。そのため、第1の誘電体層424には、第1情報層41の第1の誘電体層414の材料と同じ材料を用いることができる。
第1の誘電体層424の厚さは、光学的および熱的な機能が十分となるように、1nm〜40nmの範囲内であることが好ましく、4nm〜30nmの範囲内であることがより好ましい。
第2の誘電体層428は、第1情報層41の第2の誘電体層418と同様な機能を持つ。具体的には、記録層426の腐食、変形などを防止する機能と、反射率や吸収率などを調整する光学的な機能とを持つ。そのため、第2の誘電体層428には、第1情報層41の第2の誘電体層418の材料と同じ材料を用いることができる。第2の誘電体層428の厚さは、マトリクス法に基づく計算により、記録層426が結晶相である場合と非晶質相である場合の反射光量の変化が大きくなる条件を満足するように厳密に決定することができる。
透過率調整層421は誘電体からなり、第2情報層42の透過率を調節する機能を持つ。この透過率調整層421によって、記録層426が結晶相である場合の第2情報層42の透過率Tc(%)と、記録層426が非晶質相である場合の第2情報層42の透過率Ta(%)とを共に高くすることができる。
透過率調整層421の材料としては、TiO、ZrO、HfO、ZnO、Nb、Ta、Al、SiO、Cr、CeO、Ga、Bi等の酸化物、また、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ge−N、Cr−N、Al−N等の窒化物、また、ZnSなど硫化物の単体、あるいはこれらの混合物を用いることができる。透過率調整層421の屈折率nと消衰係数kは、透過率TcおよびTaを高めるために、n≧2.4、かつ、k≦0.1であることが好ましい。そのため、上述の材料中、TiOまたはTiOを含む材料を用いることがより好ましい。これらの材料は屈折率が大きく(n=2.6〜2.8)、消衰係数が小さい(k=0.0〜0.1)。したがって、これらの材料を用いて形成した透過率調整層421は第2情報層42の透過率を効果的に高められる。
透過率調整層421の厚さが、略λ/8n(ただし、λはレーザ光31の波長λ、nは透過率調整層491の材料の屈折率)であるとき、透過率TcおよびTaを効果的に高めることができる。仮に、λ=405nm、n=2.6とした場合には、透過率調整層491の厚さは反射率など他の条件も考慮して、5nm〜36nmの範囲内であることが好ましい。
反射層側界面層423、第1の界面層425および第2の界面層427は、それぞれ第1情報層41の反射層側界面層413、第1の界面層415および第2の界面層417と同様の機能を持ち、第1情報層41の対応する層を構成する材料と同じ材料を用いて形成することができる。
第3情報層43を構成する各層は、第2情報層を構成する対応する層と同等の機能を持ち、同じ材料を用いることができる。具体的には、第3情報層43の第2の誘電体層438、記録層436、第1の誘電体層434、反射層432および透過率調整層431は、第2情報層42の第2の誘電体層428、記録層426、第1の誘電体層424、反射層422および透過率調整層421を構成する材料と同じ材料によって形成されていることが好ましい。
情報記録媒11が、上記式(1)から(4)を満たすように、第1情報層41、第2情報層および第3情報層43に含まれる各層、分離層22、分離層28、ならびに透明層23を構成する材料を上述したもののなかから選択し、また、上述した好ましい厚さの範囲から適切な値を決定する。このような、情報記録媒体11は、例えば、公知の書換型2層状法記録媒体と同様の設計方法を用いることによって設計することができる。
情報記録媒体11は、以下に説明する方法によって製造できる。まず、基板21(厚さは例えば1.1mm)上に第1情報層41を積層する。第1情報層41は多層膜からなるが、それらの各層は、順次スパッタリングすることによって形成できる。なお、基板21の材料によっては、基板21は高い吸湿性を持つので、必要に応じて、スパッタリングをする前に水分を除去する基板アニール工程を実施してもよい。
各層は、各層を構成する材料のスパッタリングターゲットをArガス、KrガスまたはXeガスなどの希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガス(酸素ガスおよび窒素ガスから選ばれる少なくとも一つのガス)との混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成できる。スパッタリング方法としてはDCスパッタリング法とRFスパッタリング法とを必要に応じて使い分ける。通常はDCスパッタリング法の方が成膜レートを高められるため好ましい。しかし、誘電体材料など導電性の低い材料はDCスパッタリング法ではスパッタリングできないことがあり、この場合には、RFスパッタリング法によって各層が形成される。なお、誘電体材料であっても導電性の高い材料や、スパッタリングターゲット作製時に工夫して導電性を高めた材料のスパッタリングターゲットを使用する場合にはDCスパッタリング法やパルスDCスパッタリング法を採用することができる。
スパッタリングによって成膜される各層の組成は、もとのスパッタリングターゲットを構成する材料の組成と完全には一致しないことがある。例えば、酸化物の場合、スパッタリングによって酸素欠損が起こりやすい。その場合、反応ガスとして酸素ガスを用いることで酸素欠損を補うことができる。スパッタリングターゲットを構成する材料の組成は、スパッタリングによって成膜された膜が所望の組成となるように決定される。なお、スパッタリングターゲットおよびスパッタリングによって成膜された膜は、例えばX線マイクロアナライザーで分析して組成を確認することができる。
情報記録媒体11の製造は、具体的には、まず、基板21上に反射層412を成膜する。反射層412は反射層412を構成する金属または合金からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でDCスパッタリングすることによって形成できる。
続いて、必要に応じて反射層412上に、反射層側界面層413を成膜する。反射層側界面層413は反射層側界面層413を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成できる。反射層側界面層413の材料が、金属など導電性の高い材料の場合はDCスパッタリング法を用い、酸化物など導電性の低い材料の場合はRFスパッタリング法を用いればよい。
続いて、反射層側界面層413上、または、反射層412上に、第1の誘電体層414を成膜する。第1の誘電体層414は第1の誘電体層414を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中で主にRFスパッタリング法によりスパッタリングすることによって形成できる。RFスパッタリング法を使うのは第1の誘電体層414を構成する材料は導電性が低いものが多く、DCスパッタリングが適していないことによる。
続いて、必要に応じて、第1の誘電体層414上に、第1の界面層415を成膜する。第1の界面層415は第1の界面層415を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中で主にRFスパッタリングすることによって形成できる。
続いて、第1の界面層415上、または、第1の誘電体層414の上に記録層416を成膜する。記録層416は記録層416を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中で主にDCスパッタリングすることによって形成できる。
続いて、必要に応じて、記録層416上に、第2の界面層417を成膜する。第2の界面層417は第2の界面層417を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中で主にRFスパッタリングすることによって形成できる。
続いて、第2の界面層417上、または、記録層416上に第2の誘電体418を成膜する。第2の誘電体層418は第2の誘電体層418を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中で主にRFスパッタリングすることによって形成できる。
このようにして、基板21上に第1情報層41を積層し、その後、第1情報層41上に分離層22を形成する。分離層22は紫外線硬化樹脂(例えばアクリル系樹脂およびエポキシ系樹脂)または遅効性熱硬化樹脂を第1情報層41上に塗布し、次に全体を回転させて樹脂を均一に延ばし(スピンコート)、その後、この樹脂を硬化させることによって形成できる。なお、分離層22がレーザ光31の案内溝を備える場合、案内溝は、溝が形成された基板(型)を硬化前の樹脂に密着させ、その状態で全体を回転させてスピンコートし、樹脂を硬化させた後、基板(型)をはがすことによって形成できる。
第1情報層41の記録層416は、通常、成膜したままの状態(アズデポ(as−depo)の状態)では非晶質状態である。よって、必要に応じてレーザ光を照射するなどして、記録層416を結晶化する初期化工程を行ってもよい。
続いて、分離層22上に第2情報層42を形成する。具体的には、まず分離層22上に透過率調整層421を成膜する。透過率調整層421は透過率調整層421を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でRFスパッタリング法またはDCスパッタリング法によりスパッタリングすることによって形成できる。
続いて、透過率調整層421上に、反射層422を成膜する。反射層422は、第1情報層41の反射層412と同様の方法で形成できる。
続いて、必要に応じて反射層422上に、反射層側界面層423を成膜する。反射層側界面層423は、第1情報層41の反射層側界面層413と同様の方法で形成できる。
続いて、反射層側界面層423上、または、反射層422上に、第1の誘電体層424を成膜する。第1の誘電体層424は、第1情報層41の第1の誘電体層414と同様の方法で形成できる。
続いて、必要に応じて、第1の誘電体層424上に、第1の界面層425を成膜する。第1の界面層425は、第1情報層41の第1の界面層415と同様の方法で形成できる。
続いて、第1の界面層425上、または、第1の誘電体層424の上に記録層426を成膜する。記録層426は、第1情報層41の記録層416と同様の方法で形成できる。
続いて、必要に応じて、記録層426上に、第2の界面層427を成膜する。第2の界面層427は、第1情報層の第2の界面層417と同様の方法で形成できる。
続いて、第2の界面層427上、または、記録層426上に第2の誘電体428を成膜する。第2の誘電体層428は、第1情報層の第2の誘電体層418と同様の方法で形成できる。
このようにして、分離層22上に第2情報層42を積層し、その後、第2情報層42上に分離層28を形成する。分離層28は分離層22と同様の方法により形成できる。
なお、第2の誘電体層428を成膜したのち、または分離層28を形成した後、必要に応じてレーザ光を照射するなどして記録層426を結晶化する初期化工程をおこなってもよい。
続いて、分離層28上に第3情報層43を積層する。具体的には、分離層28上に、透過率調整層431、反射層432、第1の誘電体層434、記録層436および第2の誘電体層438をこの順序で成膜する。このとき、必要に応じて反射層432と第1の誘電体層434との間に反射層側界面層433を成膜してもよい。第1の誘電体層434と記録層436との間に第1の界面層435を成膜してもよい。第2の誘電体層438と記録層436との間に第2の界面層437を成膜してもよい。これらの各層は、第2情報層42の各層と同様の方法で形成できる。
このようにして、分離層28上に第3情報層43を積層し、その後、第3情報層43上に透明層23を形成する。
透明層23は、第3情報層43上に紫外線硬化性樹脂(例えば、アクリル系樹脂およびエポキシ系樹脂)または遅効性熱硬化樹脂を塗布してスピンコートした後、この樹脂を硬化させることによって形成できる。また、透明層23は円盤状のポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、またはガラスなどからなる、円盤状の板またはシートを用いて形成してもよい。この場合、透明層23は、第3情報層43上に紫外線硬化性樹脂または遅効性熱硬化性樹脂を塗布して、塗布した樹脂に板またはシートを密着させてからスピンコートした後、硬化性樹脂を硬化させることによって形成できる。別法として、板またはシートに粘着性の樹脂を予め均一に塗布し、それから板またはシートを第2の誘電体層438に密着させることもできる。
なお、第2の誘電体層438を成膜したのち、または透明層23を形成した後、必要に応じてレーザ光を照射するなどして記録層426を結晶化する初期化工程を行ってもよい。
以上のようにして、情報記録媒体11を製造できる。なお、本実施の形態においては、情報層を構成する各層の成膜方法としてスパッタリング法を用いた。しかし、これに限定されず、真空蒸着法、イオンプレーティング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることも可能である。
また、本実施の形態では3つの情報層を備える、情報記録媒体11について述べたが、情報層の数が4つ以上である場合も、同様の方法で製造できる。
また、本実施の形態では記録層416、426、436は結晶相と非晶質相との間で可逆的な相変化を起こす層であり、情報記録媒体11は書換型光記録媒体であった。しかし、情報記録媒体11は追記型光記録媒体であってもよく、その場合、記録層416、426、436は不可逆な変化を起こす層であってもよい。不可逆な変化を起こす層の材料としては、例えばTe−O−Pdなどを用いることができる。その場合、第1情報層41の記録層416の厚さは、10nm〜50nmの範囲内であることが好ましく、第2情報層42の記録層426および第3情報層の記録層436の厚さは、6nm〜30nmの範囲内であることが好ましい。
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明による記録装置、再生装置および情報記録媒体の再生方法の実施形態を説明する。本実施形態では、第1の実施形態で説明した情報記録媒体11に情報を記録する記録装置および情報記録媒体11に記録された情報を再生する再生装置および再生方法を説明する。
図3は本実施形態の記録装置および再生装置でもある記録再生装置の構成の一例を示す概略図である。図3に示す記録再生装置は、レーザダイオード501と、ハーフミラー503と、対物レンズ504と、モータ505とフォトディテクター507とを備えている。
モータ505は情報記録媒11を回転駆動するための駆動部であり、情報記録媒体11を載置し、回転させる。レーザダイオード501はレーザ光502を出射する光源である。レーザダイオード501から出射したレーザ光502は、ハーフミラー503を透過し、対物レンズ504によって情報記録媒体11に向けて集光される。
情報記録媒体11に記録された情報を再生する場合には、レーザ光502の反射光をフォトディテクター507で検出する。具体的には、対物レンズ504と情報記録媒体11との距離を調整することによって、再生すべき情報が記録された情報層にレーザ光502を集束させ、その情報層に形成された案内溝を集束したレーザ光502で走査する。情報層において反射したレーザ光502の反射光をハーフミラー503によってフォトディテクター507へ導きフォトディテクター507で反射光を検出する。再生の際に、レーザダイオード501の駆動電流に高周波電流を重畳し、レーザ光502を出射させてもよい。このように本実施形態の記録再生装置は、情報記録媒体11の各記録層にレーザ光502を照射して、各記録層からの反射光を検出して情報を再生する。
この際、情報層に記録された情報、つまり、記録マークやスペースの劣化を抑制するため、情報層に照射するレーザ光502の強度を上限再生パワー以下に設定する。第1の実施形態で説明したように、情報記録媒体11がN個の情報層を有する場合、第N情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrNmaxであり、N>M≧1の関係を満たす全ての整数Mについて、第M情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrMmaxである。PrNmaxとPrMmaxとは、PrNmax<PrMmaxの関係を満たしている。
実際に各情報層に記録された情報を再生する場合のレーザ光502の再生パワーは上述の上限再生パワー以下である。具体的には、第N情報層に記録された情報を再生する場合の再生パワーPrNは、PrN≦PrNmaxの関係を満たしている。また、第M情報層に記録された情報を再生する場合の再生パワーPrMは、PrM≦PrMmaxの関係を満たしている。したがって、M=N−1である場合、第N−1情報層に記録された情報を再生する場合の再生パワーPrN-1は、PrN-1≦PrN-1maxの関係を満たしている。
第1の実施形態で説明したように、第N情報層の反射率RNおよびN>M≧1の関係を満たす任意の整数Mについて、第M情報層の反射率RMは、RN>RMの関係を満たしている。したがって、M=N−1である場合、第N−1情報層の反射率RN-1はRN>RN-1の関係を満たしている。また、このとき、第N情報層の反射率RNと再生パワーPrNとの積RN×PrNは、第N−1情報層の反射率RN-1と再生パワーPrN-1との積RN-1×PrN-1と等しくなるように再生パワーが設定される。ここで等しいとは、2つの積が完全に一致する場合のみならず、±5%程度の範囲で一致する場合を含む。具体的には、以下の式(5)の関係が成立する場合をいう。
Figure 2010061557
このような条件を満たすことにより、第N情報層を再生する場合に得られる反射光と第N−1情報層を再生する場合に得られる反射光の強度がほぼ一致し、再生信号の品質のバラつきを抑制することができる。また、第N情報層の反射率RNを他の情報(第M情報層)の反射率RMより高めることによって、第N情報層の再生パワーを低くしても、反射光の光量を増大させることができる。したがって、第N情報層において高品質な情報の再生が実現できる。また、第N情報層の再生パワーを低くすることによって、レーザ光が入射するまでに他の情報層を透過することがなく、したがって、強度の減衰がないレーザ光が入射する第N情報層における記録された情報の劣化を抑制することができる。さらに、第N情報層の再生パワーを低くすることにより、第N情報層の記録層は高い再生耐久性能を備えていなくてもよくなるため、記録層の材料を選択する際の自由度が高まる。このため、より透過率の高い材料を選択することも可能となり、第1情報層から第N−1情報層へ到達するレーザ光の強度を高めることもできる。したがって、第1情報層から第N−1情報層においても高品質な情報の再生を実現することができる。
情報記録媒体11に情報を記録する場合、記録すべき情報によって変調された変調信号を生成し、変調信号によってレーザ光502の強度を複数のパワーレベル間で変調させる。レーザ強度を変調する手段としては、半導体レーザの駆動電流を変調して行う電流変調手段を用いることができる。記録マークを形成する部分に対しては、ピークパワーPpの単一矩形パルスを用いてもよい。あるいは、特に長いマークを形成する場合は、過剰な熱を省き、マーク幅を均一にする目的で、図4に示すようにピークパワーPpおよびボトムパワーPb(但し、Pp>Pb)との間で変調された複数のパルス列からなる記録パルス列を用いてもよい。また、最後尾のパルスの後に冷却パワーPcの冷却区間を設けてもよい。マークを形成しない部分に対しては、バイアスパワーPe(但し、Pp>Pe)で一定に保つ。このようにして本実施形態の記録再生装置は、記録信号に応じて、情報記録媒体の各情報層にレーザ光502を照射し、情報を記録する。
なお、対物レンズ504の開口数NAは、レーザ光502のスポット径を0.4μm〜0.7μmの範囲内に調整するため、0.5〜1.1の範囲内であることが好ましく、0.6〜0.9の範囲内であることがより好ましい。レーザ光502の波長λは、350nm〜450nmの範囲内であることが好ましい。情報を記録する際の情報記録媒体506の線速度は、再結晶化が起こりにくく、且つ十分な消去性能が得られる3m/s〜40m/sの範囲内であることが好ましく、6m/s〜30m/sの範囲内であることがより好ましい。情報記録媒体506の種類等に応じて、ここで例示していない波長、対物レンズの開口数、および線速度を使用してよいことは言うまでもない。例えば、レーザ光502の波長λは、650〜670nmであってもよい。
このような記録再生装置を用いて、情報記録媒体11の性能を評価することができる。以下では、1層あたりの容量を25GBとしたBD規格による記録方法に準じた評価方法と、最短マーク長を短くすることで、1層あたりの容量を33.4GBに高めた記録方法による評価方法との両方を説明する。記録再生時に使用するレーザ光502の波長λは400nmから410nmの範囲であり、対物レンズ504のNAは0.84から0.86の範囲である。情報記録媒体11の種類等に応じて、1層あたりの容量を、ここで例示していない容量とする記録方法を用いた評価方法であってもよい。
情報記録媒体11の記録性能は、レーザ光502を0〜Pp(mW)の間でパワー変調し、(1−7)変調方式でマーク長が2Tから8Tまでのランダム信号を記録し、記録マークの前端間、および後端間のジッター(マーク位置の誤差)をタイムインターバルアナライザーで測定することによって評価できる。なお、ジッター値が小さいほど、記録性能がよい。なお、記録パワーPp、Pb、PcおよびPeは、前端間、および後端間のジッターの平均値が最小となるよう決定される。このときの最適Ppを記録感度とする。ここで、1層あたりの容量が25GBの場合、2Tマーク長および8Tマーク長はそれぞれ、0.149μmおよび0.596μmとなる。また、1層あたりの容量が33.4GBの場合、2Tマーク長および8Tマーク長はそれぞれ、0.112μmおよび0.447μmとなる。
また、情報記録媒体11の信号強度についての性能は、レーザ光502を0〜Pp(mW)の間でパワー変調し、マーク長が2Tと9Tの信号を同じトラックに連続10回交互記録し、最後に2T信号を上書きした場合の2T信号の周波数での信号振幅(carrier level)と雑音振幅(noise level)の比(CNR(Carrier to Noise Ratio))をスペクトラムアナライザーで測定することによって評価できる。CNRが大きいほど信号強度が強い。ここで、1層あたりの容量が25GBの場合、9Tマーク長は0.671μmとなる。また、1層あたりの容量が33.4GBの場合、9Tマーク長は0.503μmとなる。
また、情報記録媒体11の消去性能は、レーザ光502を0〜Pp(mW)の間でパワー変調し、2T信号と9T信号を同じトラックに連続10回交互記録し、11回目に2T信号を上書きした場合の2T信号の信号振幅と、さらにその後9T信号を上書きした場合の2T信号の信号振幅の差を、2T信号の消去率としてスペクトラムアナライザーで測定することにより評価できる。なお、消去率が大きいほど、消去性能がよい。
また、情報記録媒体11の上限再生パワーは再生光劣化により評価する。ここで、再生光劣化は、信号を記録したトラックに再生光(再生パワーPr)を所定の回数(例えば100万回)照射したときのジッターまたはエラーレートの悪化量で定義する。再生パワーが高くなるほど再生光劣化は増大する。再生劣化が許容値を超えない最大のパワーが上限再生パワーになる。
(実施例)
以下、本発明による情報記録媒体の実施例を具体的に説明する。
本実施例では、図1および図2に示す情報記録媒体11を作製し、第3情報層43における記録層436の厚さおよび第2の誘電体438の厚さを変えたときの、第1情報層41、第2情報層42および第3情報層43の各情報層の記録特性および再生特性を調べた。測定項目は、第3情報層の消去率、各情報層の反射率および上限再生パワーである。第1情報層41および第2情報層42は、例えば、公知の書換型の2層情報記録媒体と同様の構造を採用することができる。
各情報層の反射率とは、第1の実施形態で説明したように、積層状態における反射率である。具体的には、対象とする情報層に到達するレーザ光、および、対象とする情報層で反射した反射光が、対象とする情報層よりもレーザ光31入射側にある他の情報層を透過することで生じる減衰を含んだ値である。
サンプルは以下のようにして製造した。まず、基板21として、レーザ光31を導くための案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)が形成されたポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ1.1mm)を用意した。
基板21上に、反射層412としてAg−Pd−Cu層(厚さ:80nm)、第1の誘電体層414として(ZrO50(In50層(厚さ:25nm)、記録層として(GeTe)97(BiTe層(厚さ:10nm)、第2の界面層417(図示せず)として(ZrO50(Cr50層(厚さ:5nm)、第2の誘電体層418として(ZnS)80(SiO20層(厚さ:60nm)を順次スパッタリング法によって積層した。
各層をスパッタリングによって形成する成膜装置は、それぞれ反射層412を成膜するためのAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1の誘電体層414を成膜するための(ZrO50(In50スパッタリングターゲット、記録層416を成膜するための(GeTe)97(BiTeスパッタリングターゲット、第2の界面層417を成膜するための(ZrO50(Cr50スパッタリングターゲット、第2の誘電体層418を成膜するための(ZnS)80(SiO20スパッタリングターゲットを備える。スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径100mm、厚さ6mmである。
反射層412の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.3Paとし、DC電源を用いて、投入パワー100Wで行った。第1の誘電体層404の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて、投入パワー200Wで行った。記録層406の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとし、DC電源を用いて、投入パワー50Wで行った。第2の界面層407の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2の誘電体層408の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて投入パワー400Wで行った。
次に、第2の誘電体層418上に紫外線硬化性樹脂を塗布し、その上に案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)を形成した基板をかぶせて密着し回転させることによって、均一な樹脂層を形成し、樹脂を硬化させた後に基板をはがした。これにより、レーザ光31を導く案内溝が第2情報層42側に形成された、厚さ25μmの分離層22を形成できた。
その後、分離層22の上に、透過率調整層421としてTiO層(厚さ:20nm)、反射層422としてAg−Pd−Cu層(厚さ:10nm)、第1の誘電体層424として(ZrO50(In50層(厚さ:15nm)、記録層426として(GeTe)96(BiTe層(厚さ:7nm)、第2の界面層427(図示せず)として(ZrO50(Cr50層(厚さ:5nm)、第2の誘電体層428として(ZnS)80(SiO20層(厚さ:40nm)を順次スパッタリング法によって積層した。
これらの層をスパッタリングにより形成する成膜装置は、それぞれ透過率調整層421を成膜するためのTiOスパッタリングターゲット、反射層422を成膜するAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1の誘電体層424を成膜するための(ZrO50(In50スパッタリングターゲット、記録層426を成膜するための(GeTe)97(BiTeスパッタリングターゲット、第2の界面層427を成膜するための(ZrO50(Cr50スパッタリングターゲット、第2の誘電体層428を成膜するための(ZnS)80(SiO20スパッタリングターゲットを備える。スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径100mm、厚さ6mmである。
透過率調整層421の成膜は、Arと酸素の混合ガス雰囲気(全体に対して3%の割合の酸素ガス)で、圧力を0.3PaとしてRF電源を用いて、投入パワー400Wで行った。反射層422の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.3Paとし、DC電源を用いて、投入パワー100Wで行った。第1の誘電体層424の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて、投入パワー200Wで行った。記録層426の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとし、DC電源を用いて、投入パワー50Wで行った。第2の界面層427の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2の誘電体層428の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて投入パワー400Wで行った。
次に、第2の誘電体層428上に紫外線硬化樹脂を塗布し、その上に案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)を形成した基板をかぶせて密着し回転させることによって、均一な樹脂層を形成し、樹脂を硬化させた後に基板をはがした。これにより、レーザ光31を導く案内溝が第3情報層43側に形成された、厚さ16μmの分離層28を形成できた。
その後、分離層28の上に、透過率調整層431としてTiO層(厚さ:30nm)、反射層432としてAg−Pd−Cu層(厚さ:8nm)、第1の誘電体層434として(ZrO50(In50層(厚さ:10nm)、記録層436として(GeTe)96(BiTe層、第2の界面層437(図示せず)として(ZrO50(Cr50層(厚さ:5nm)、第2の誘電体層438として(ZnS)80(SiO20層を順次スパッタリング法によって積層した。
これら各層をスパッタリングにより形成する成膜装置は、それぞれ透過率調整層431を成膜するためのTiO2スパッタリングターゲット、反射層432を成膜するAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1の誘電体層434を成膜するための(ZrO50(In50スパッタリングターゲット、記録層436を成膜するための(GeTe)96(BiTeスパッタリングターゲット、第2の界面層437を成膜するための(ZrO50(Cr50スパッタリングターゲット、第2の誘電体層438を成膜するための(ZnS)80(SiO20スパッタリングターゲットを備える。スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径100mm、厚さ6mmである。
透過率調整層431の成膜は、Arと酸素の混合ガス雰囲気(全体に対して3%の割合の酸素ガス)で、圧力を0.3PaとしてRF電源を用いて、投入パワー400Wで行った。反射層432の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.3Paとし、DC電源を用いて、投入パワー100Wで行った。第1の誘電体層434の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて、投入パワー200Wで行った。記録層436の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとし、DC電源を用いて、投入パワー50Wで行った。第2の界面層437の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2の誘電体層438の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて投入パワー400Wで行った。
最後に、紫外線硬化性樹脂を第2の誘電体層438上に塗布し回転させて、均一な樹脂層を形成したのち、紫外線を照射して樹脂を硬化させることにより、厚さ59μmの透明層23を形成した。その後、記録層416、記録層426および記録層436をレーザ光で結晶化させる初期化工程を行った。以上のようにして、第3情報層の43記録層436の厚さおよび第2の誘電体層438の厚さが異なる複数のサンプルを製造した。
このようにして得られたサンプルについて、図3に示す記録再生装置を用いて、情報記録媒体11の各情報層の反射率、上限再生パワー、および第3情報層の消去率を測定した。レーザ光31の波長は405nm、対物レンズ32の開口数NAは0.85とした。また、1層あたりの容量を33.4GBとする記録方法にて記録を実施し、最短マーク長(2T)は0.112μmとした。また、記録時および測定時のサンプルの線速度は7.36m/sとした。
各サンプルにおける第3情報層43の記録層436の厚さ、第2の誘電体層438の厚さ、第3情報層43の消去性能を表1に示す。消去性能については、消去率が25dB以上を「○」、25dB未満を「×」で示した。
消去率が25dB以上あれば、ビット誤り率を1.0×10-5以下とすることが可能になり、情報を処理する単位であるシンボルの誤り率(シンボルエラーレート)が、2.0×10-4を下回る値となる。シンボルの誤り率が2.0×10-4であれば、実用上、問題にならないレベルである。
Figure 2010061557
また、各サンプルにおける第3情報層43の記録層436の厚さ、第2の誘電体層438の厚さ、第1情報層41の再生性能を表2に示す。再生性能は、反射率と上限再生パワーをまず調べ、反射率と上限再生パワーの積を反射光量と定義し、反射光量が2.2以上を「○」、2.2未満を「×」とした。反射光量が2.2以上であれば、反射光量が2.2以上であれば、情報の再生信号品質を実用上、問題がないレベルに維持することができる。
Figure 2010061557
また、各サンプルにおける第3情報層43の記録層436の厚さ、第2の誘電体層438の厚さ、第2情報層42の再生性能を表3に示す。再生性能は、反射率と上限再生パワーをまず調べ、反射率と上限再生パワーの積を反射光量と定義し、反射光量が2.2以上を「○」、2.2未満を「×」とした。
Figure 2010061557
また、各サンプルについて、第3情報層43の記録層436の厚さ、第2の誘電体層438の厚さ、第3情報層43の再生性能を(表4)に示す。再生性能は、反射率と上限再生パワーをまず調べ、反射率と上限再生パワーの積を反射光量と定義し、反射光量が2.2以上を「○」、2.2未満を「×」とした。
Figure 2010061557
以上の結果のまとめとして、各サンプルにおける、第3情報層43の記録層436の厚さ、第2の誘電体層438の厚さ、各情報層の再生性能および第3情報層の消去性能をもとにした総合評価を表5に示す。総合評価は、上記の評価項目において、1つでも「×」と評価されたサンプルは「×」と評価し、上記の評価項目において、すべて「○」と評価されたサンプルは「◎」と評価した。
総合評価において、「◎」と評価されたサンプルは実用に耐えうることを意味し、「×」と評価された媒体は実用に耐えないことを意味する。
Figure 2010061557
また、以上の結果を用いて、各サンプルにおける各層の反射率、上限再生パワー、反射光量、総合評価をまとめて表6に示す。
Figure 2010061557
表1から表6に示されるように、レーザ光31の入射側に最も近い第3情報層43の反射率が他の情報層よりも高く、かつ、第3情報層43の上限再生パワーが他の情報層よりも低いときに、情報記録媒体11の第1情報層から第3情報層のすべてにおいて良好な特性が得られている。
このように、第3情報層の反射率を高くすることで、第3情報層の再生パワーを低くしても、第3情報層における高品質な情報の再生が実現できる。それに伴い、第3情報層の上限再生パワーを、他の情報層の上限再生パワーよりも下げた構成を採用することできる。このため、第3情報層については、透過率を重視した設計をすることが許される。つまり、第3情報層の再生パワーが比較的低くなるため、第3情報層は高い再生耐久性を実現する必要がなく、実用的な再生耐久性を有しながら、第3情報層の透過率を従来よりも高くすることが可能となる。その結果、第3情報層の透過率を高めることによって、第1情報層および第2情報層へ到達するレーザ光の光量を高め、第1情報層および第2情報層の各情報層において高品質な情報の再生を実現することができる。
また、第2情報層42の反射率に対する、第3情報層43の反射率の比が1.2以上のとき、第3情報層における反射光量を十分に高めることができ、情報記録媒体11の第1情報層から第3情報層のすべてにおいて良好な特性が得られている。
また、第3情報層43の反射光量と第2情報層42の反射光量とが等しいとき、第3情報層および第2情報層を再生した場合の再生信号の品質のバラつきを抑制することができる。
なお、本実施例では第2情報層42の記録層426と、第3情報層43の記録層436とで同じ材料を使用したが、結晶化速度を調整するために異なる材料を使ってもよい。
また、上記実施形態および実施例で挙げた材料および膜厚は本発明を実現するための種々の材料および膜厚の一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施形態および実施例で挙げた材料以外の材料を用いてもよいし、また、上記実施形態および実施例で挙げ各層の厚さ以外の厚さに設定してもよい。
本発明の情報記録媒体およびその再生方法は、3つ以上の情報層を備える情報記録媒体における、情報の再生を高品質化するために有用である。
11 情報記録媒体
21 基板
22 分離層
23 透明層
28 分離層
31 レーザ光
32 対物レンズ
40 情報層
41 第1情報層
42 第2情報層
43 第3情報層
402 反射層
403 反射層側界面層
404 第1の誘電体層
405 第1の界面層
406 記録層
407 第2の界面層
408 第2の誘電体層
412 反射層
413 反射層側界面層
414 第1の誘電体層
415 第1の界面層
416 記録層
417 第2の界面層
418 第2の誘電体層
421 透過率調整層
422 反射層
423 反射層側界面層
424 第1の誘電体層
425 第1の界面層
426 記録層
427 第2の界面層
428 第2の誘電体層
431 透過率調整層
432 反射層
433 反射層側界面層
434 第1の誘電体層
435 第1の界面層
436 記録層
437 第2の界面層
438 第2の誘電体層
501 レーザダイオード
502 レーザ光
503 ハーフミラー
504 対物レンズ
505 モーター
506 情報記録媒体
507 フォトディテクター
本発明は、情報記録媒体に関し、特に、レーザ光の照射によって情報の記録および記録された情報の再生を行う情報層を3つ以上備えた情報記録媒体、この情報記録媒体に記録を行う記録装置、この情報記録媒体の再生を行う再生装置、および、この情報記録媒体を再生する再生方法に関する。
近年、レーザ光の照射によって情報の記録、消去、書換、再生を行うことのできる情報記録媒体が広く研究開発・商品化されている。このような情報記録媒体は、相変化型記録材料等の薄膜からなる記録層を含む情報層を備える。情報を記録する場合、記録層にレーザ光を照射し、局所的な加熱を行うことによって、照射条件の違いによる光学定数の異なる領域を形成する。例えば、レーザ光の照射によって発生する熱により、記録層の相変化材料を結晶相と非晶質相との間で状態変化させ、情報を記録する。具体的には、例えば、記録すべき情報によって変調された信号に基づく長さで表わされるスペースおよびマークの組み合わせを記録層のトラック上に形成する。
相変化記録材料を記録層に用いる情報記録媒体のうち、相変化が可逆的であることにより、情報の消去や書換が可能である書換型情報記録媒体の場合、一般に記録層の初期状態は結晶相である。情報を記録する場合、高パワーのレーザ光を照射することによって記録層の一部を溶融し、その後、急速に冷却することによってレーザ光が照射された部分を非晶質相にする。情報を消去する場合には、記録時に比べ低パワーのレーザ光を照射することによって記録層の一部の温度を上昇させ、その後、ゆっくり冷却することによって、レーザ光が照射された部分を結晶相にする。また、高パワーと低パワーとでパワー変調させたレーザ光を記録層に照射することにより、記録されている情報を消去しながら新しい情報を記録すること、すなわち書換が可能である。
情報の消去または書換を高速で行うためには、短時間で非晶質相を結晶相へと変化させる必要がある。つまり、書換型情報記録媒体において、高い消去性能を実現するためには、記録層に結晶化速度の速い相変化材料を用いることが必要となる。なお、可逆的相変化を生じない材料を記録層に用いた追記型情報記録媒体では、情報の書換は不可能であり、1回のみ情報を記録することができる。
情報記録媒体に記録された情報の再生は、結晶相と非晶質相との間の反射率の違いに基づく反射光の光量変化を検出することにより行う。具体的には、ある一定の再生パワーに設定したレーザ光を情報記録媒体に照射し、情報記録媒体からの反射光の強度を信号として検出することで行われる。反射光の強度は、情報記録媒体の反射率とレーザ光の再生パワーの積に比例する。一般的に、反射光の強度が大きい程、情報の再生信号品質が高くなるため、再生パワーは高いことが好ましい。
しかし、書換型情報記録媒体や追記型情報記録媒体などの記録可能な情報記録媒体を再生する場合、再生パワーが高すぎると、情報記録媒体に形成された記録層のマークやスペースの部分の状態に変化が生じ、得られる再生信号の品質が劣化する。つまり情報記録媒体に形成されたマークやスペースなどに表わされた情報が劣化する。このため、再生時において情報記録媒体に照射するレーザ光のエネルギー、言い換えれば、再生パワーが高くなりすぎないように設定される(特許文献1参照)。再生による情報の劣化の生じにくさを、再生耐久性能と呼ぶ。以下、再生によって情報が劣化しない上限の再生パワーを上限再生パワーと呼ぶ。再生耐久性能が高い情報記録媒体ほど上限再生パワーは高い。上限再生パワーは情報層ごとに定められ、各情報層が備える特性の1つである。
近年、情報記録媒体を大容量化するための技術として、様々な技術が検討されている。例えば、2つの情報層を備える書換型情報記録媒体を用いて、その片側から入射するレーザ光によって2つの情報層の記録・再生を行う技術が報告されている(特許文献2、特許文献3参照)。この技術によれば、2つの情報層を用いることによって、情報記録媒体の記録容量を2倍にすることができる。
片側から入射するレーザ光によって2つの情報層の記録および再生をする情報記録媒体において、入射側から遠い情報層(以下、第1情報層)の記録および再生は入射側に近い情報層(以下、第2情報層)を透過したレーザ光によって行われる。このため、第2情報層の透過率が低いと、第1情報層へ到達するレーザ光のエネルギーが減衰する。また、第1情報層からの反射光は再び第2情報層を透過するため、第1情報層からの反射光はさらに減衰し、反射光の強度が低下してしまう。このため、反射光に基づく再生信号の品質が低下する。
第2情報層における光の減衰を考慮して、より強いレーザ光で第1情報層に情報を記録することも考えられる。しかし、この場合、より強いパワーのレーザ光を第1情報に照射する必要があり、レーザ光のパワーが記録装置の限界を超えた場合は、好適な記録ができなくなり、記録の品質が悪化する。また、この場合、第2情報層には、より強いレーザ光が減衰することなく照射される。したがって、レーザ光入射側に最も近い情報層は、再生による信号の劣化が生じやすく、再生耐久性能を良くすることが難しい傾向がある。
これらのことから、第2情報層はできるだけ高い透過率を持つことが好ましい。また、大容量化のために情報層の数を増やし、例えば3つまたは4つの情報層を備えた情報記録媒体を実現するためには、入射側の情報層(第3情報層、または第4情報層)の透過率をさらに高める必要がある。特に、レーザ光入射側に最も近い情報層は、その情報層よりもレーザ光入射側から遠い情報層へ記録再生をする場合にレーザ光が透過する。このため、レーザ光入射側に最も近い情報層の透過率はできるだけ高い方が望ましい。記録材料は一般に消衰係数が大きいため、高い透過率を持たせるためにはレーザ光入射側の情報層の記録層の厚さは薄いほうが好ましい。
再生耐久性能に関するこの傾向は、書換型情報記録媒体および追記型記録媒体のどちらにも当てはまる。書換型情報記録媒体の場合、前述したように記録層の消去性能も考慮する必要がある。このため、消去性能と再生耐久性能とが両立するように記録層などを調整する必要がある。
特開2001−14679号公報 特開2000−36130号公報 国際公開第03/025922号パンフレット
しかし、書換型の情報記録媒体の場合、一般的に相変化材料からなる記録層が薄くなるほど、結晶化速度は遅くなる。そのため、非晶質相から結晶相への相変化が生じにくくなり、情報の消去性能が悪化する。この点から、レーザ光入射側に近い情報層の記録層をレーザ光入射側から遠い情報層の記録層に比べて、厚くするとともに、結晶化速度を速くするように相変化材料を選ぶ場合もある。ただし、結晶化速度が速くなると、再生耐久性能が悪化するため、結晶化速度は速くし過ぎてはいけない。
一方、記録可能な情報記録媒体において、情報層に含まれる記録層の厚さが薄くなりすぎると、情報層の特性が低下する。例えば、書換型情報記録媒体の場合、記録層の厚さが薄くなりすぎると、消去性能と再生耐久性能との両立が困難になる。そのため、3つ以上の情報層を備えた情報記録媒体では、高い透過率が要求されるレーザ光入射側に最も近い側の情報層において、情報の再生を高品質に行うことができないという課題を有していた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、3つ以上の情報層を備えた情報記録媒体において、そのすべての情報層において情報の再生を高品質に行うことができる情報記録媒体を提供することを目的とする。また、その情報記録媒体に適合した記録装置、再生装置および再生方法を提供することを目的とする。
本発明の情報記録媒体は、情報を記録可能なN個(NはN≧3の整数)の情報層を有し、レーザ光が照射されることによって、各情報層への情報の記録および前記各情報層に記録された情報の再生が行われる情報記録媒体であって、前記N個の情報層は、レーザ光入射側から順に配置された第N情報層、第N−1情報層、第N−2情報層・・・第2情報層、第1情報層を含み、前記第N情報層の反射率はRNであり、第M情報層(MはN>M≧1を満たす全ての整数)の反射率はRMであり、前記第N情報層に記録された情報の再生時に前記第N情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrNmaxであり、前記第M情報層に記録された情報の再生時に前記第M情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrMmaxであり、下記の式(1)、(2):
N>RM ・・・(1)
PrNmax<PrMmax ・・・(2)
を同時に満たしている。
ある好ましい実施形態において、前記第N情報層の前記反射率RNと、前記第N−1情報層の前記反射率RN-1とが、下記の式(3):
N/RN-1 ≧ 1.2 ・・・(3)
を満たしている。
ある好ましい実施形態において、前記第N情報層の前記反射率RNと前記上限再生パワーPrNmaxとの積RN×PrNmaxは、第N−1情報層の反射率RN-1と上限再生パワーPrN-1maxとの積RN-1×PrN-1maxと等しい。
ある好ましい実施形態において、前記第N情報層および第N−1情報層のそれぞれは、少なくとも、反射層と第1の誘電体層と、レーザ光の照射によって相変化を起こしうる記録層と、第2の誘電体層とを含み、前記第2の誘電体層、前記記録層、前記第1の誘電体層および前記反射層は、前記レーザ光入射側からこの順序で配置されており、前記第2の誘電体層、前記記録層、前記第1の誘電体層および前記反射層は、前記第N情報層と前記第N−1情報層とでそれぞれ同じ材料からなる。
ある好ましい実施形態において、前記第N情報層および第N−1情報層のそれぞれは、前記反射層の前記レーザ光入射側と反対側に位置する透過率調整層をさらに含み、前記透過率調整層は第N情報層と第N−1情報層とで同じ材料からなる。
ある好ましい実施形態において、前記Nは3である。
本発明の再生装置は、上記いずれかに記載の情報記録媒体記録された情報を再生する再生装置であって、前記第N情報層に記録された情報を再生パワーPrN(PrN≦PrNmax)で再生し、前記第N−1情報層に記録された情報を再生パワーPrN-1(PrN-1≦PrN-1max)で再生する。
本発明の記録装置は、上記いずれかに記載の情報記録媒体に情報を記録する記録装置であって、前記情報記録媒体に前記レーザ光を照射することにより情報を記録する。
本発明の再生方法は、上記いずれかに記載の情報記録媒体に記録された情報を再生する情報記録媒体の再生方法であって、前記第N情報層に記録された情報を再生パワーPrN(PrN≦PrNmax)で再生する工程と、前記第N−1情報層に記録された情報を再生パワーPrN-1(PrN-1≦PrN-1max)で再生する工程とを包含し、前記第N情報層の前記反射率RNと前記再生パワーPrNとの積RN×PrNは、前記第N-1情報層の前記反射率RN-1と前記再生パワーPrN-1との積RN-1×PrN-1と等しい。
ある好ましい実施形態において、前記レーザ光の波長λが400nmから410nmの範囲であり、前記レーザ光を前記各情報層に集束させるために使用する対物レンズの開口数NAが0.84から0.86の範囲である。
本発明の情報記録媒体によれば、第N情報層の反射率RNを他の情報層の反射率反射率RMより高めることによって、第N情報層の再生パワーを低くしても、第N情報層において高品質な情報の再生が実現できる。それに伴い、第N情報層の上限再生パワーを、他の情報層の上限再生パワーよりも下げた構成を採用することができ、設計の自由度が高まる。このため、透過率を重視した設計をすることが許され、第N情報層の透過率を従来よりも高くすることが可能になり、第1情報層から第N−1情報層へ到達するレーザ光の強度を高めることができる。その結果、第1情報層から第N−1情報層までの各情報層においても高品質な情報の再生が実現できる。
また、本発明の情報記録媒体の再生方法によれば、第N情報層の反射率と再生パワーとの積を第N−1情報層の反射率と再生パワーとの積と等しいため、第N情報層の再生パワーが第N−1情報層の再生パワーよりも小さくても、第N情報層において高品質な情報の再生が実現できる。
(a)は、本発明による情報記録媒体の一実施形態を示す部分断面図であり、(b)は、各情報層における反射率を説明するための模式図である。 図1に示す情報記録媒体の構成を詳細に示す部分断面図である。 本発明による記録再生装置の一実施形態を示す概略的なブロック図である。 図3に示す記録再生装置を用いて図1に示す情報記録媒体に情報を記録する場合に用いる記録パルス波形の一例を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による情報記録媒体、記録装置、再生装置および再生方法の実施形態を説明する。以下の実施形態は一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されない。また、以下の実施形態では、重複した説明を繰り返すことによる冗長性を排除するため、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その構成要素の説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
本発明による情報記録媒体の一実施形態を説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態である情報記録媒体11の部分断面図である。情報記録媒体11は、N個の情報層を有しており、記録装置や再生装置において、対物レンズ32によって集束されたレーザ光31が照射されることにより、各情報層へ情報を記録し、また、各情報層に記録された情報が再生される。NはN≧3を満たす整数である。本実施形態ではNは3である。しかし、Nは4以上であってもよい。
図1(a)に示すように、情報記録媒体11において、N個の情報層は、レーザ光31の入射側Fから順に配置された第3情報層43、第2情報層42および第1情報層41を含んでいる。つまり、レーザ光31の入射側Fから順に第N情報層、第N−1情報層、第N−2情報層・・・・、第2情報層および第1情報層が配置される。第N情報層以外の第1情報層から第N−1情報層または1番目からN−1番目を総称して第M情報層またはM番目と呼ぶ。Mは、N>M≧1を満たすすべての整数である。
また、本願明細書において、「情報層」とは、情報を記録することのできる構造を備えた層状の構造体を意味する。情報層の具体的な構造は、以下において詳細に説明する。N個の情報層は、レーザ光31の入射側Fから最も遠い情報層からレーザ光31の入射側Fにかけて、L0層、L1層・・・L(N−1)層とも呼ばれる。
好ましくは、情報記録媒体11は、第2情報層42と第3情報層43との間に配置された分離層28、第1情報層41と第2情報層42との間に配置された分離層22および基板21をさらに含んでいる。分離層22、28を介して積層された3個の情報層は、第1情報層41が基板21側になるように基板21に支持されている。情報記録媒体11は、第3情報層43よりもレーザ光31の入射側Fに配置された透明層23を含むことがさらに好ましい。
記録装置や再生装置において、対物レンズ32と情報記録媒体11の各情報層との距離を調節することによって、透明層23を透過したレーザ光31が情報の記録または再生を行う情報層に所定の大きさのビームスポットを形成するように集束させ、その情報層に情報を記録し、また、その情報層に記録された情報を再生する。
レーザ光31の波長λが短いほど、対物レンズ32によって小さなビームスポットを形成するようにレーザ光31を集束させることができる。しかし、波長λが短すぎると、透明層23などにおけるレーザ光31の光吸収が大きくなる。そのため、レーザ光31の波長λは350nm〜450nmの範囲内であることが好ましい。
情報記録媒体11において、第3情報層43よりも基板21に近い側にある情報層に到達するレーザ光は、その情報層よりレーザ光31入射側Fの情報層を透過することにより減衰してしまう。そのため、第1情報層41および第2情報層42は高い記録感度を備えていることが好ましい。また、第2情報層42層および第3情報層43は高い透過率を備えていることが好ましい。
基板21は円盤状を有し、第1情報層41から透明層23までの各層を支持する。基板21の第1情報層41側の表面には、レーザ光31を導くための案内溝が形成されていてもよい。基板21の第1情報層41側に対して反対側Rの面は、平滑であることが好ましい。基板21は、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、ガラス、あるいはこれらを適宜組み合わせたもの等の材料によって形成されている。特にポリカーボネート樹脂は、転写性・量産性に優れ、低コストであることから、基板21の材料として好ましい。
分離層22、28は、情報記録媒体11において、基板21に支持される第1情報層41、第2情報層42および第3情報層43の情報記録媒体11の厚さ方向における高さ(位置)を調整するために設けられている。各情報層の位置を調整することによって、レーザ光31を対物レンズ32で所望の情報層にのみ集光させ、その他の情報層においてはレーザ光31が発散した状態にすることができ、これにより、複数の情報層を備えていても、所望の情報層のみにおける情報の記録および再生が可能となる。つまり、分離層22、28は、情報記録媒体11におけるフォーカス位置を調整する。
分離層22、28の厚さは、対物レンズ32の開口数NAとレーザ光31の波長λにより決定される焦点深度以上であることが望ましい。一方、分離層22、28が厚すぎると、情報記録媒体11のレーザ光31入射側Fから第1情報層41までの距離が長くなる。このため、情報記録媒体11がレーザ光31に対して傾いたときのコマ収差が大きくなり、第1情報層41に正しくレーザ光31を集光させることが困難になる。つまり、コマ収差低減の観点では、分離層22、28は薄いほうが好ましい。仮に、λ=405nm、NA=0.85とした場合には、分離層22、28の厚さは5μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
分離層22、28は、レーザ光31の波長における光吸収が小さいことが好ましい。分離層22、28のレーザ光31入射側Fには、レーザ光31を導くための案内溝が形成されていてもよい。分離層22、28は、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルポルレン系樹脂、紫外線硬化性樹脂、遅効性熱硬化樹脂、ガラス、あるいはこれらを適宜組み合わせた材料などによって形成することができる。
透明層23は、第3情報層43よりもレーザ光31入射側Fに位置しており、第3情報層43を保護する。レーザ光31の波長における光吸収が小さいことが好ましい。透明層23は、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、紫外線硬化性樹脂、遅効性熱硬化樹脂、ガラス、あるいはこれらを適宜組み合わせた材料によって形成することができる。また、これらの材料よりなるシートを透明層23に用いてもよい。
透明層23が薄すぎると第3情報層43を保護する機能が十分に発揮できなくなる。また、厚すぎると、分離層22、28と同様、情報記録媒体11のレーザ光31入射側から第1情報層41までの距離が長くなる。このため、情報記録媒体11がレーザ光31に対して傾いたときのコマ収差が大きくなり、第1情報層41に正しくレーザ光31を集光させることが困難になる。仮に、NA=0.85とした場合には、透明層23の厚さは5μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、40μm〜110μmの範囲であることがより好ましい。
本実施形態の情報記録媒体は、N個の情報層のすべてにおいて高品質な情報再生が実現するために、N個の情報層のうち、最もレーザ光31の入射側Fに位置する情報層、つまり、第N情報層の反射率を他の情報層よりも高く設定し、かつ、第N情報層の上限再生パワーを他の情報層よりも小さくする。
具体的には図1(b)に示すように、第N情報層の反射率をRNであり、第M情報層(MはN>M≧1を満たす整数)の反射率をRMであるとした場合、N>M≧1を満たす全ての整数Mについて、下記式(1)の関係を満たしている。
N>RM ・・・(1)
ここで反射率RNおよび反射率RMは、情報記録媒体11を構成した状態において、レーザ光31の入射側Fから情報記録媒体11に入射した光が、それぞれ、第N情報層および第M情報層において反射し、情報記録媒体11のレーザ光31の入射側Fへ出射した場合の入射光の光量に対する出射光の光量の割合によって定義される。第N情報層および第M情報層単独の状態における反射率ではない。
また、図1(b)に示すように、第N情報層に記録された情報の再生時に第N情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrNmaxであり、第M情報層に記録された情報の再生時に第M情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrMmaxであり、N>M≧1を満たす全ての整数Mについて、下記の式(2)の関係を満たしている。
PrNmax<PrMmax ・・・(2)
従来の情報記録媒体では、各情報層における再生性能などの特性を同じにするため、各情報層の反射率や上限再生パワーは同じ値に設定されていた。これに対し、本実施形態の情報記録媒体11では、上述したように第N情報層の反射率RNを他の情報層(第M情報層)の反射率RMより高めることによって、第N情報層の再生パワーを低くしても、反射光の光量を増大させることができる。したがって、第N情報層において、高品質な情報の再生が実現できる。また、第N情報層の再生パワーを低くすることによって、レーザ光が入射するまでに他の情報層を透過することがないために強度の減衰がないレーザ光が入射する第N情報層に記録された情報の劣化を抑制することができる。さらに、第N情報層の上限再生パワーを他の情報層よりも低くすることにより、第N情報層の記録層は高い再生耐久性能を備えていなくてもよくなるため、記録層の材料を選択する際の自由度が高まり、設計の自由度も高まる。このため、透過率を重視した設計をすることが許され、第N情報層の透過率を従来よりも高くすることが可能となり、第1情報層から第N−1情報層へ到達するレーザ光の強度を高めることもできる。したがって、第1情報層から第N−1情報層においても品質な情報の再生を実現することができる。
好ましくは、第N情報層の反射率RNと、第N−1情報層の反射率RN-1とが、下記の式(3)を満たしている。
N/RN-1 ≧ 1.2 ・・・(3)
これにより、第N情報層の反射率RNを第N−1情報層の反射率RN-1と比べて十分に大きくすることができ、第N情報層の再生パワーを低くしても、第N情報層からの反射光の光量を十分大きくすることができる。したがって、より確実に、第N情報層において高品質な情報の再生が実現できる。
第N情報層の反射率RNと上限再生パワーPrNmaxとの積RN×PrNmaxは、第N−1情報層の反射率RN-1と上限再生パワーPrN-1maxとの積RN-1×PrN-1maxと等しいことが好ましい。ここで等しいとは、2つの積が完全に一致する場合のみならず、±5%程度の範囲内で一致する場合を含む。具体的には、以下の式(4)の関係が成立する場合をいう。
Figure 2010061557
このような関係を満たす場合、第N情報層からの反射光との第N−1情報層からの反射光の光量がほぼ等しくなる。このため、第N情報層に記録された情報を再生した場合に得られる再生信号と、第N−1情報層情報に記録された情報を再生した場合に得られる再生信号の品質を同程度にすることができる。
図2は図1の各情報層をさらに詳細に示した情報記録媒体11の部分断面図である。図2に示すように、第1情報層41は、好ましくは、第2の誘電体層418、記録層416、第1の誘電体層414および反射層412を含む。第2の誘電体層418、記録層416、第1の誘電体層414および反射層412は、レーザ光31の入射側Fからこの順で配置されている。
要に応じて、反射層412と第1の誘電体層414との間に反射層側界面層413を設けてもよい。同様に、第1の誘電体層414と記録層416の間に第1の界面層415を設けてもよく、第2の誘電体層418と記録層416の間に第2の界面層417を設けてもよい。
第2情報層42は、好ましくは、第2の誘電体層428、記録層426、第1の誘電体層424、反射層422および透過率調整層421を含む。第2の誘電体層428、記録層426、第1の誘電体層424、反射層422および透過率調整層421は、レーザ光31の入射側Fからこの順で配置されている。
要に応じて、反射層422と第1の誘電体層424との間に反射層側界面層423を設けてもよい。同様に、第1の誘電体層424と記録層426の間に第1の界面層425を設けてもよく、第2の誘電体層428と記録層426の間に第2の界面層427を設けてもよい。
第3情報層43は、好ましくは、第2の誘電体層438、記録層436、第1の誘電体層434、反射層432および透過率調整層431を含む。第2の誘電体層438、記録層436、第1の誘電体層434、反射層432および透過率調整層431は、レーザ光31の入射側Fからこの順で配置されている。
要に応じて、反射層432と第1の誘電体層434との間に反射層側界面層433を設けてもよい。同様に、第1の誘電体層434と記録層436の間に第1の界面層435を設けてもよく、第2の誘電体層438と記録層436の間に第2の界面層437を設けてもよい。
次に、第1情報層41を構成する各層について説明する。記録層416は、レーザ光31の照射によって結晶相と非晶質相との間で可逆的な相変化を起こす材料からなる。記録層416の材料として、(Ge−Sn)Te、GeTe−SbTe、(Ge−Sn)Te−SbTe、GeTe−BiTe、(Ge−Sn)Te−BiTe、GeTe−(Sb−Bi)Te、(Ge−Sn)Te−(Sb―Bi)Te、GeTe−(Bi―In)Te、(Ge―Sn)Te−(Bi―In)Te、Sb−Te、Sb−Ge、(Gb−Te)−Ge、Sb−In、(Sb−Te)−In、Sb−Gaおよび(Sb−Te)―Gaのいずれかを含む材料を用いることができる。記録層416において非晶質相の部分は記録時のレーザ光照射によって容易に結晶相に変化できることおよびレーザ光非照射時には結晶相に変化しないことが好ましい。
記録層416は、薄すぎると十分な反射率、反射率変化および消去率が得られなくなる。また、記録層416が厚すぎると熱容量が大きくなるため記録感度が低下する。そのため、記録層416の厚さは5nm〜15nmの範囲内であることが好ましく、8nm〜12nmの範囲内であることがより好ましい。
反射層412は、記録層416に吸収される光量を増やすという光学的な機能と、記録層416で生じた熱を拡散させるという熱的な機能とを持つ。反射層412の材料にはAg、Au、Cu、およびAlから選ばれる少なくとも1つの元素を含んだ材料を用いることができる。例えば、Ag−Cu、Ag−Ga−Cu、Ag−Pd−Cu、Ag−Nd−Au、AlNi、AlCr、Au−Cr、Ag−Inといった合金を用いることができる。特にAg合金は熱伝導率が大きいため反射層412の材料として好ましい。反射層412は厚いほど熱拡散機能が高いが、厚すぎると熱拡散機能が高すぎて記録層416の記録感度が低下する。そのため、反射層412の厚さは、30nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、70nm〜140nmであることがより好ましい。
第1の誘電体層414は、記録層416と反射層412との間に位置し、記録層416から反射層412への熱拡散を調節する熱的な機能および反射率や吸収率などを調節する光学的な機能とを持つ。第1の誘電体層414の材料としては、例えば、ZrO、HfO、ZnO、SiO、SnO、Cr、TiO、In、Ga、Y、CeO、DyO等の酸化物、ZnS、CdS等の硫化物、SiCなどの炭化物の単体、あるいはこれらの混合物、例えばZrO−SiO、ZrO−SiO−Cr、ZrO−SiO−Ga、HfO−SiO−Cr、ZrO−SiO−In、ZnS−SiO、SnO−SiCを用いることができる。特にZnS−SiOは第2の誘電体層の材料として優れている。ZnS−SiOは、成膜速度が速く、透明であり、機械特性および耐湿性が良好であるという特徴を備える。
第1の誘電体層414は厚すぎると反射層412の冷却効果が弱くなり、記録層416からの熱拡散が小さくなってしまうため、記録層416が非晶質化しにくくなってしまう。また、第1の誘電体層414が薄すぎると、反射層412の冷却効果が強くなり、記録層416からの熱拡散が大きくなって感度が低下してしまう。そのため、第1の誘電体層414の厚さは2nm〜40nmの範囲内であることが好ましく、8nm〜30nmの範囲内であることがより好ましい。
反射層側界面層413は、第1の誘電体層414の材料によって、反射層412が腐食または破壊されるのを防ぐ働きを持つ。具体的には反射層412にAgを含んだ材料を用い、かつ、第1の誘電体層414にSを含んだ材料(例えばZnS−SiO)を用いたとき、AgがSと反応することによって腐食してしまうことを防ぐ。
反射層側界面層413の材料としては、Ag以外の金属、例えばAl、またはAl合金を用いることができる。また、Sを含まない誘電体材料、例えば、ZrO、HfO、ZnO、SiO、SnO、Cr、TiO、In、Ga、Y、CeO、DyO等の酸化物、SiCなどの炭化物の単体、あるいはこれらの混合物、例えばZrO−SiO、ZrO−SiO−Cr、ZrO−SiO−Ga、HfO−SiO−Cr、ZrO−SiO−In、SnO−SiCを反射層側界面層413の材料として用いることができる。またはCなどを用いることができる。
反射層側界面層413は厚すぎると第1の誘電体414の熱的および光学的な働きを妨げ、また、薄すぎると反射層412の腐食、破壊を防ぐ機能が低下する。そのため、反射層側界面層413の厚さは1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、5nm〜40nmの範囲内であることがより好ましい。
第1の界面層415は、繰り返し記録によって第1の誘電体層414と記録層416との間で生じる物質移動を防止する働きを持つ。第1の界面層415は、記録の際に融けない程度の高融点を持ち、記録層416との密着性がよい材料によって構成されることが好ましい。第1の界面層415の材料としては、例えば、ZrO、HfO、ZnO、SiO、SnO、Cr、TiO、In、Ga、Y、CeO、DyO等の酸化物、ZnS、CdS等の硫化物、SiCなどの炭化物の単体、あるいはこれらの混合物、例えばZrO−SiO、ZrO−SiO−Cr、ZrO−SiO−Ga、HfO−SiO−Cr、ZrO−SiO−In、ZnS−SiO、SnO−SiCを用いることができる。またはCなどを用いることができる。特に、記録層416との密着性に優れるため、Ga、ZnO、Inなどが第1の界面層415の材料として特に好ましい。
第1の界面層415が薄すぎると、界面層としての効果を発揮できなくなり、厚すぎると第1の誘電体層414の熱的および光学的な働きを妨げてしまう。そのため、第1の界面層415の厚さは0.3nm〜15nmの範囲内であることが好ましく、1nm〜8nmの範囲内であることがより好ましい。
第2の誘電体層418は記録層416に対してレーザ光入射側Fにあり、記録層416の腐食、変形などを防止する機能と、反射率や吸収率などを調整する光学的な機能とを持つ。第2の誘電体層418には、第1の誘電体層414と同じ材料を用いることができる。特にZnS−SiOは第2の誘電体層の材料として優れている。ZnS−SiOは、成膜速度が速く、透明であり、機械特性および耐湿性が良好であることによる。
第2の誘電体層418が薄すぎると、記録層416の腐食、変形などを防止する機能が低下する。また、第2の誘電体層418の厚さは、マトリクス法に基づく計算により、記録層416が結晶相である場合と非晶質相である場合の反射光量の変化が大きくなる条件を満足するように厳密に決定することができ、第2の誘電体層418の厚さは、20nm〜80nmの範囲内であることが好ましい。
第2の界面層417は、第1の界面層415と同様に、繰り返し記録によって第2の誘電体層418と記録層416との間で生じる物質移動を防止する働きを持つ。従って、第1の界面層415と同様の性能を持つ材料であることが好ましい。
第2の界面層417の厚さは第1の界面層415と同様に0.3nm〜15nmの範囲内であることが好ましく、1nm〜8nmの範囲内であることがより好ましい。
上述の反射層412、第1の誘電体層414、記録層416および第2の誘電体層418、さらに必要に応じて反射層側界面層413、第1の界面層415および第2の界面層417を加えることによって情報層41は構成される。
次に、第2情報層42を構成する各層について説明する。記録層426には、第1情報層41の記録層416と同じ材料を用いることができる。記録層426の厚さは、第2情報層42の透過率を高くするために、10nm以下であることが好ましく、4nm〜8nmの範囲であることがより好ましい。
反射層422は、第1情報層41の反射層412と同様な機能を持つ。具体的には、記録層426に吸収される光量を増やすという光学的な機能と、記録層426で生じた熱を拡散させるという熱的な機能とを持つ。そのため、反射層422には、第1情報層41の反射層412と同に材料を用いることができる。特にAg合金は熱伝導率が大きいため反射層422の材料として好ましい。
反射層422の厚さは、第2情報層42の透過率を高くするために、20nm以下であることが好ましく、3nm〜14nmであることがより好ましい。反射層422の厚さがこの範囲にあることにより、反射層422の光学的および熱的な機能が十分になる。
第1の誘電体層424は、第1情報層41の第1の誘電体層414と同様な機能を持つ。具体的には、記録層426から反射層422への熱拡散を調節する熱的な機能と、反射率や吸収率などを調節する光学的な機能とを持つ。そのため、第1の誘電体層424には、第1情報層41の第1の誘電体層414の材料と同じ材料を用いることができる。
第1の誘電体層424の厚さは、光学的および熱的な機能が十分となるように、1nm〜40nmの範囲内であることが好ましく、4nm〜30nmの範囲内であることがより好ましい。
第2の誘電体層428は、第1情報層41の第2の誘電体層418と同様な機能を持つ。具体的には、記録層426の腐食、変形などを防止する機能と、反射率や吸収率などを調整する光学的な機能とを持つ。そのため、第2の誘電体層428には、第1情報層41の第2の誘電体層418の材料と同じ材料を用いることができる。第2の誘電体層428の厚さは、マトリクス法に基づく計算により、記録層426が結晶相である場合と非晶質相である場合の反射光量の変化が大きくなる条件を満足するように厳密に決定することができる。
透過率調整層421は誘電体からなり、第2情報層42の透過率を調節する機能を持つ。この透過率調整層421によって、記録層426が結晶相である場合の第2情報層42の透過率Tc(%)と、記録層426が非晶質相である場合の第2情報層42の透過率Ta(%)とを共に高くすることができる。
透過率調整層421の材料としては、TiO、ZrO、HfO、ZnO、Nb、Ta、Al、SiO、Cr、CeO、Ga、Bi等の酸化物、また、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ge−N、Cr−N、Al−N等の窒化物、また、ZnSなど硫化物の単体、あるいはこれらの混合物を用いることができる。透過率調整層421の屈折率nと消衰係数kは、透過率TcおよびTaを高めるために、n≧2.4、かつ、k≦0.1であることが好ましい。そのため、上述の材料中、TiOまたはTiOを含む材料を用いることがより好ましい。これらの材料は屈折率が大きく(n=2.6〜2.8)、消衰係数が小さい(k=0.0〜0.1)。したがって、これらの材料を用いて形成した透過率調整層421は第2情報層42の透過率を効果的に高められる。
透過率調整層421の厚さが、略λ/8n(ただし、λはレーザ光31の波長λ、nは透過率調整層491の材料の屈折率)であるとき、透過率TcおよびTaを効果的に高めることができる。仮に、λ=405nm、n=2.6とした場合には、透過率調整層491の厚さは反射率など他の条件も考慮して、5nm〜36nmの範囲内であることが好ましい。
反射層側界面層423、第1の界面層425および第2の界面層427は、それぞれ第1情報層41の反射層側界面層413、第1の界面層415および第2の界面層417と同様の機能を持ち、第1情報層41の対応する層を構成する材料と同じ材料を用いて形成することができる。
第3情報層43を構成する各層は、第2情報層を構成する対応する層と同等の機能を持ち、同じ材料を用いることができる。具体的には、第3情報層43の第2の誘電体層438、記録層436、第1の誘電体層434、反射層432および透過率調整層431は、第2情報層42の第2の誘電体層428、記録層426、第1の誘電体層424、反射層422および透過率調整層421を構成する材料と同じ材料によって形成されていることが好ましい。
情報記録媒11が、上記式(1)から(4)を満たすように、第1情報層41、第2情報層および第3情報層43に含まれる各層、分離層22、分離層28、ならびに透明層23を構成する材料を上述したもののなかから選択し、また、上述した好ましい厚さの範囲から適切な値を決定する。このような、情報記録媒体11は、例えば、公知の書換型2層状法記録媒体と同様の設計方法を用いることによって設計することができる。
情報記録媒体11は、以下に説明する方法によって製造できる。まず、基板21(厚さは例えば1.1mm)上に第1情報層41を積層する。第1情報層41は多層膜からなるが、それらの各層は、順次スパッタリングすることによって形成できる。なお、基板21の材料によっては、基板21は高い吸湿性を持つので、必要に応じて、スパッタリングをする前に水分を除去する基板アニール工程を実施してもよい。
各層は、各層を構成する材料のスパッタリングターゲットをArガス、KrガスまたはXeガスなどの希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガス(酸素ガスおよび窒素ガスから選ばれる少なくとも一つのガス)との混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成できる。スパッタリング方法としてはDCスパッタリング法とRFスパッタリング法とを必要に応じて使い分ける。通常はDCスパッタリング法の方が成膜レートを高められるため好ましい。しかし、誘電体材料など導電性の低い材料はDCスパッタリング法ではスパッタリングできないことがあり、この場合には、RFスパッタリング法によって各層が形成される。なお、誘電体材料であっても導電性の高い材料や、スパッタリングターゲット作製時に工夫して導電性を高めた材料のスパッタリングターゲットを使用する場合にはDCスパッタリング法やパルスDCスパッタリング法を採用することができる。
スパッタリングによって成膜される各層の組成は、もとのスパッタリングターゲットを構成する材料の組成と完全には一致しないことがある。例えば、酸化物の場合、スパッタリングによって酸素欠損が起こりやすい。その場合、反応ガスとして酸素ガスを用いることで酸素欠損を補うことができる。スパッタリングターゲットを構成する材料の組成は、スパッタリングによって成膜された膜が所望の組成となるように決定される。なお、スパッタリングターゲットおよびスパッタリングによって成膜された膜は、例えばX線マイクロアナライザーで分析して組成を確認することができる。
情報記録媒体11の製造は、具体的には、まず、基板21上に反射層412を成膜する。反射層412は反射層412を構成する金属または合金からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でDCスパッタリングすることによって形成できる。
続いて、必要に応じて反射層412上に、反射層側界面層413を成膜する。反射層側界面層413は反射層側界面層413を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成できる。反射層側界面層413の材料が、金属など導電性の高い材料の場合はDCスパッタリング法を用い、酸化物など導電性の低い材料の場合はRFスパッタリング法を用いればよい。
続いて、反射層側界面層413上、または、反射層412上に、第1の誘電体層414を成膜する。第1の誘電体層414は第1の誘電体層414を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中で主にRFスパッタリング法によりスパッタリングすることによって形成できる。RFスパッタリング法を使うのは第1の誘電体層414を構成する材料は導電性が低いものが多く、DCスパッタリングが適していないことによる。
続いて、必要に応じて、第1の誘電体層414上に、第1の界面層415を成膜する。第1の界面層415は第1の界面層415を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中で主にRFスパッタリングすることによって形成できる。
続いて、第1の界面層415上、または、第1の誘電体層414の上に記録層416を成膜する。記録層416は記録層416を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中で主にDCスパッタリングすることによって形成できる。
続いて、必要に応じて、記録層416上に、第2の界面層417を成膜する。第2の界面層417は第2の界面層417を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中で主にRFスパッタリングすることによって形成できる。
続いて、第2の界面層417上、または、記録層416上に第2の誘電体418を成膜する。第2の誘電体層418は第2の誘電体層418を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中で主にRFスパッタリングすることによって形成できる。
このようにして、基板21上に第1情報層41を積層し、その後、第1情報層41上に分離層22を形成する。分離層22は紫外線硬化樹脂(例えばアクリル系樹脂およびエポキシ系樹脂)または遅効性熱硬化樹脂を第1情報層41上に塗布し、次に全体を回転させて樹脂を均一に延ばし(スピンコート)、その後、この樹脂を硬化させることによって形成できる。なお、分離層22がレーザ光31の案内溝を備える場合、案内溝は、溝が形成された基板(型)を硬化前の樹脂に密着させ、その状態で全体を回転させてスピンコートし、樹脂を硬化させた後、基板(型)をはがすことによって形成できる。
第1情報層41の記録層416は、通常、成膜したままの状態(アズデポ(as−depo)の状態)では非晶質状態である。よって、必要に応じてレーザ光を照射するなどして、記録層416を結晶化する初期化工程を行ってもよい。
続いて、分離層22上に第2情報層42を形成する。具体的には、まず分離層22上に透過率調整層421を成膜する。透過率調整層421は透過率調整層421を構成する材料からなるスパッタリングターゲットを希ガス雰囲気中または希ガスと反応ガスとの混合ガス雰囲気中でRFスパッタリング法またはDCスパッタリング法によりスパッタリングすることによって形成できる。
続いて、透過率調整層421上に、反射層422を成膜する。反射層422は、第1情報層41の反射層412と同様の方法で形成できる。
続いて、必要に応じて反射層422上に、反射層側界面層423を成膜する。反射層側界面層423は、第1情報層41の反射層側界面層413と同様の方法で形成できる。
続いて、反射層側界面層423上、または、反射層422上に、第1の誘電体層424を成膜する。第1の誘電体層424は、第1情報層41の第1の誘電体層414と同様の方法で形成できる。
続いて、必要に応じて、第1の誘電体層424上に、第1の界面層425を成膜する。第1の界面層425は、第1情報層41の第1の界面層415と同様の方法で形成できる。
続いて、第1の界面層425上、または、第1の誘電体層424の上に記録層426を成膜する。記録層426は、第1情報層41の記録層416と同様の方法で形成できる。
続いて、必要に応じて、記録層426上に、第2の界面層427を成膜する。第2の界面層427は、第1情報層の第2の界面層417と同様の方法で形成できる。
続いて、第2の界面層427上、または、記録層426上に第2の誘電体428を成膜する。第2の誘電体層428は、第1情報層の第2の誘電体層418と同様の方法で形成できる。
このようにして、分離層22上に第2情報層42を積層し、その後、第2情報層42上に分離層28を形成する。分離層28は分離層22と同様の方法により形成できる。
なお、第2の誘電体層428を成膜したのち、または分離層28を形成した後、必要に応じてレーザ光を照射するなどして記録層426を結晶化する初期化工程をおこなってもよい。
続いて、分離層28上に第3情報層43を積層する。具体的には、分離層28上に、透過率調整層431、反射層432、第1の誘電体層434、記録層436および第2の誘電体層438をこの順序で成膜する。このとき、必要に応じて反射層432と第1の誘電体層434との間に反射層側界面層433を成膜してもよい。第1の誘電体層434と記録層436との間に第1の界面層435を成膜してもよい。第2の誘電体層438と記録層436との間に第2の界面層437を成膜してもよい。これらの各層は、第2情報層42の各層と同様の方法で形成できる。
このようにして、分離層28上に第3情報層43を積層し、その後、第3情報層43上に透明層23を形成する。
透明層23は、第3情報層43上に紫外線硬化性樹脂(例えば、アクリル系樹脂およびエポキシ系樹脂)または遅効性熱硬化樹脂を塗布してスピンコートした後、この樹脂を硬化させることによって形成できる。また、透明層23は円盤状のポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、またはガラスなどからなる、円盤状の板またはシートを用いて形成してもよい。この場合、透明層23は、第3情報層43上に紫外線硬化性樹脂または遅効性熱硬化性樹脂を塗布して、塗布した樹脂に板またはシートを密着させてからスピンコートした後、硬化性樹脂を硬化させることによって形成できる。別法として、板またはシートに粘着性の樹脂を予め均一に塗布し、それから板またはシートを第2の誘電体層438に密着させることもできる。
なお、第2の誘電体層438を成膜したのち、または透明層23を形成した後、必要に応じてレーザ光を照射するなどして記録層426を結晶化する初期化工程を行ってもよい。
以上のようにして、情報記録媒体11を製造できる。なお、本実施の形態においては、情報層を構成する各層の成膜方法としてスパッタリング法を用いた。しかし、これに限定されず、真空蒸着法、イオンプレーティング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることも可能である。
また、本実施の形態では3つの情報層を備える、情報記録媒体11について述べたが、情報層の数が4つ以上である場合も、同様の方法で製造できる。
また、本実施の形態では記録層416、426、436は結晶相と非晶質相との間で可逆的な相変化を起こす層であり、情報記録媒体11は書換型光記録媒体であった。しかし、情報記録媒体11は追記型光記録媒体であってもよく、その場合、記録層416、426、436は不可逆な変化を起こす層であってもよい。不可逆な変化を起こす層の材料としては、例えばTe−O−Pdなどを用いることができる。その場合、第1情報層41の記録層416の厚さは、10nm〜50nmの範囲内であることが好ましく、第2情報層42の記録層426および第3情報層の記録層436の厚さは、6nm〜30nmの範囲内であることが好ましい。
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明による記録装置、再生装置および情報記録媒体の再生方法の実施形態を説明する。本実施形態では、第1の実施形態で説明した情報記録媒体11に情報を記録する記録装置および情報記録媒体11に記録された情報を再生する再生装置および再生方法を説明する。
図3は本実施形態の記録装置および再生装置でもある記録再生装置の構成の一例を示す概略図である。図3に示す記録再生装置は、レーザダイオード501と、ハーフミラー503と、対物レンズ504と、モータ505とフォトディテクター507とを備えている。
モータ505は情報記録媒11を回転駆動するための駆動部であり、情報記録媒体11を載置し、回転させる。レーザダイオード501はレーザ光502を出射する光源である。レーザダイオード501から出射したレーザ光502は、ハーフミラー503を透過し、対物レンズ504によって情報記録媒体11に向けて集光される。
情報記録媒体11に記録された情報を再生する場合には、レーザ光502の反射光をフォトディテクター507で検出する。具体的には、対物レンズ504と情報記録媒体11との距離を調整することによって、再生すべき情報が記録された情報層にレーザ光502を集束させ、その情報層に形成された案内溝を集束したレーザ光502で走査する。情報層において反射したレーザ光502の反射光をハーフミラー503によってフォトディテクター507へ導きフォトディテクター507で反射光を検出する。再生の際に、レーザダイオード501の駆動電流に高周波電流を重畳し、レーザ光502を出射させてもよい。このように本実施形態の記録再生装置は、情報記録媒体11の各記録層にレーザ光502を照射して、各記録層からの反射光を検出して情報を再生する。
この際、情報層に記録された情報、つまり、記録マークやスペースの劣化を抑制するため、情報層に照射するレーザ光502の強度を上限再生パワー以下に設定する。第1の実施形態で説明したように、情報記録媒体11がN個の情報層を有する場合、第N情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrNmaxであり、N>M≧1の関係を満たす全ての整数Mについて、第M情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrMmaxである。PrNmaxとPrMmaxとは、PrNmax<PrMmaxの関係を満たしている。
実際に各情報層に記録された情報を再生する場合のレーザ光502の再生パワーは上述の上限再生パワー以下である。具体的には、第N情報層に記録された情報を再生する場合の再生パワーPrNは、PrN≦PrNmaxの関係を満たしている。また、第M情報層に記録された情報を再生する場合の再生パワーPrMは、PrM≦PrMmaxの関係を満たしている。したがって、M=N−1である場合、第N−1情報層に記録された情報を再生する場合の再生パワーPrN-1は、PrN-1≦PrN-1maxの関係を満たしている。
第1の実施形態で説明したように、第N情報層の反射率RNおよびN>M≧1の関係を満たす任意の整数Mについて、第M情報層の反射率RMは、RN>RMの関係を満たしている。したがって、M=N−1である場合、第N−1情報層の反射率RN-1はRN>RN-1の関係を満たしている。また、このとき、第N情報層の反射率RNと再生パワーPrNとの積RN×PrNは、第N−1情報層の反射率RN-1と再生パワーPrN-1との積RN-1×PrN-1と等しくなるように再生パワーが設定される。ここで等しいとは、2つの積が完全に一致する場合のみならず、±5%程度の範囲で一致する場合を含む。具体的には、以下の式(5)の関係が成立する場合をいう。
Figure 2010061557
このような条件を満たすことにより、第N情報層を再生する場合に得られる反射光と第N−1情報層を再生する場合に得られる反射光の強度がほぼ一致し、再生信号の品質のバラつきを抑制することができる。また、第N情報層の反射率RNを他の情報(第M情報層)の反射率RMより高めることによって、第N情報層の再生パワーを低くしても、反射光の光量を増大させることができる。したがって、第N情報層において高品質な情報の再生が実現できる。また、第N情報層の再生パワーを低くすることによって、レーザ光が入射するまでに他の情報層を透過することがなく、したがって、強度の減衰がないレーザ光が入射する第N情報層における記録された情報の劣化を抑制することができる。さらに、第N情報層の再生パワーを低くすることにより、第N情報層の記録層は高い再生耐久性能を備えていなくてもよくなるため、記録層の材料を選択する際の自由度が高まる。このため、より透過率の高い材料を選択することも可能となり、第1情報層から第N−1情報層へ到達するレーザ光の強度を高めることもできる。したがって、第1情報層から第N−1情報層においても高品質な情報の再生を実現することができる。
情報記録媒体11に情報を記録する場合、記録すべき情報によって変調された変調信号を生成し、変調信号によってレーザ光502の強度を複数のパワーレベル間で変調させる。レーザ強度を変調する手段としては、半導体レーザの駆動電流を変調して行う電流変調手段を用いることができる。記録マークを形成する部分に対しては、ピークパワーPpの単一矩形パルスを用いてもよい。あるいは、特に長いマークを形成する場合は、過剰な熱を省き、マーク幅を均一にする目的で、図4に示すようにピークパワーPpおよびボトムパワーPb(但し、Pp>Pb)との間で変調された複数のパルス列からなる記録パルス列を用いてもよい。また、最後尾のパルスの後に冷却パワーPcの冷却区間を設けてもよい。マークを形成しない部分に対しては、バイアスパワーPe(但し、Pp>Pe)で一定に保つ。このようにして本実施形態の記録再生装置は、記録信号に応じて、情報記録媒体の各情報層にレーザ光502を照射し、情報を記録する。
なお、対物レンズ504の開口数NAは、レーザ光502のスポット径を0.4μm〜0.7μmの範囲内に調整するため、0.5〜1.1の範囲内であることが好ましく、0.6〜0.9の範囲内であることがより好ましい。レーザ光502の波長λは、350nm〜450nmの範囲内であることが好ましい。情報を記録する際の情報記録媒体11の線速度は、再結晶化が起こりにくく、且つ十分な消去性能が得られる3m/s〜40m/sの範囲内であることが好ましく、6m/s〜30m/sの範囲内であることがより好ましい。情報記録媒体11の種類等に応じて、ここで例示していない波長、対物レンズの開口数、および線速度を使用してよいことは言うまでもない。例えば、レーザ光502の波長λは、650〜670nmであってもよい。
このような記録再生装置を用いて、情報記録媒体11の性能を評価することができる。以下では、1層あたりの容量を25GBとしたBD規格による記録方法に準じた評価方法と、最短マーク長を短くすることで、1層あたりの容量を33.4GBに高めた記録方法による評価方法との両方を説明する。記録再生時に使用するレーザ光502の波長λは400nmから410nmの範囲であり、対物レンズ504のNAは0.84から0.86の範囲である。情報記録媒体11の種類等に応じて、1層あたりの容量を、ここで例示していない容量とする記録方法を用いた評価方法であってもよい。
情報記録媒体11の記録性能は、レーザ光502を0〜Pp(mW)の間でパワー変調し、(1−7)変調方式でマーク長が2Tから8Tまでのランダム信号を記録し、記録マークの前端間、および後端間のジッター(マーク位置の誤差)をタイムインターバルアナライザーで測定することによって評価できる。なお、ジッター値が小さいほど、記録性能がよい。なお、記録パワーPp、Pb、PcおよびPeは、前端間、および後端間のジッターの平均値が最小となるよう決定される。このときの最適Ppを記録感度とする。ここで、1層あたりの容量が25GBの場合、2Tマーク長および8Tマーク長はそれぞれ、0.149μmおよび0.596μmとなる。また、1層あたりの容量が33.4GBの場合、2Tマーク長および8Tマーク長はそれぞれ、0.112μmおよび0.447μmとなる。
また、情報記録媒体11の信号強度についての性能は、レーザ光502を0〜Pp(mW)の間でパワー変調し、マーク長が2Tと9Tの信号を同じトラックに連続10回交互記録し、最後に2T信号を上書きした場合の2T信号の周波数での信号振幅(carrier level)と雑音振幅(noise level)の比(CNR(Carrier to Noise Ratio))をスペクトラムアナライザーで測定することによって評価できる。CNRが大きいほど信号強度が強い。ここで、1層あたりの容量が25GBの場合、9Tマーク長は0.671μmとなる。また、1層あたりの容量が33.4GBの場合、9Tマーク長は0.503μmとなる。
また、情報記録媒体11の消去性能は、レーザ光502を0〜Pp(mW)の間でパワー変調し、2T信号と9T信号を同じトラックに連続10回交互記録し、11回目に2T信号を上書きした場合の2T信号の信号振幅と、さらにその後9T信号を上書きした場合の2T信号の信号振幅の差を、2T信号の消去率としてスペクトラムアナライザーで測定することにより評価できる。なお、消去率が大きいほど、消去性能がよい。
また、情報記録媒体11の上限再生パワーは再生光劣化により評価する。ここで、再生光劣化は、信号を記録したトラックに再生光(再生パワーPr)を所定の回数(例えば100万回)照射したときのジッターまたはエラーレートの悪化量で定義する。再生パワーが高くなるほど再生光劣化は増大する。再生劣化が許容値を超えない最大のパワーが上限再生パワーになる。
(実施例)
以下、本発明による情報記録媒体の実施例を具体的に説明する。
本実施例では、図1および図2に示す情報記録媒体11を作製し、第3情報層43における記録層436の厚さおよび第2の誘電体438の厚さを変えたときの、第1情報層41、第2情報層42および第3情報層43の各情報層の記録特性および再生特性を調べた。測定項目は、第3情報層43の消去率、各情報層の反射率および上限再生パワーである。第1情報層41および第2情報層42は、例えば、公知の書換型の2層情報記録媒体と同様の構造を採用することができる。
各情報層の反射率とは、第1の実施形態で説明したように、積層状態における反射率である。具体的には、対象とする情報層に到達するレーザ光、および、対象とする情報層で反射した反射光が、対象とする情報層よりもレーザ光31入射側にある他の情報層を透過することで生じる減衰を含んだ値である。
サンプルは以下のようにして製造した。まず、基板21として、レーザ光31を導くための案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)が形成されたポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ1.1mm)を用意した。
基板21上に、反射層412としてAg−Pd−Cu層(厚さ:80nm)、第1の誘電体層414として(ZrO50(In50層(厚さ:25nm)、記録層416として(GeTe)97(BiTe層(厚さ:10nm)、第2の界面層417として(ZrO50(Cr50層(厚さ:5nm)、第2の誘電体層418として(ZnS)80(SiO20層(厚さ:60nm)を順次スパッタリング法によって積層した。
各層をスパッタリングによって形成する成膜装置は、それぞれ反射層412を成膜するためのAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1の誘電体層414を成膜するための(ZrO50(In50スパッタリングターゲット、記録層416を成膜するための(GeTe)97(BiTeスパッタリングターゲット、第2の界面層417を成膜するための(ZrO50(Cr50スパッタリングターゲット、第2の誘電体層418を成膜するための(ZnS)80(SiO20スパッタリングターゲットを備える。スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径100mm、厚さ6mmである。
反射層412の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.3Paとし、DC電源を用いて、投入パワー100Wで行った。第1の誘電体層404の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて、投入パワー200Wで行った。記録層406の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとし、DC電源を用いて、投入パワー50Wで行った。第2の界面層407の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2の誘電体層408の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて投入パワー400Wで行った。
次に、第2の誘電体層418上に紫外線硬化性樹脂を塗布し、その上に案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)を形成した基板をかぶせて密着し回転させることによって、均一な樹脂層を形成し、樹脂を硬化させた後に基板をはがした。これにより、レーザ光31を導く案内溝が第2情報層42側に形成された、厚さ25μmの分離層22を形成できた。
その後、分離層22の上に、透過率調整層421としてTiO層(厚さ:20nm)、反射層422としてAg−Pd−Cu層(厚さ:10nm)、第1の誘電体層424として(ZrO50(In50層(厚さ:15nm)、記録層426として(GeTe)96(BiTe層(厚さ:7nm)、第2の界面層427として(ZrO50(Cr50層(厚さ:5nm)、第2の誘電体層428として(ZnS)80(SiO20層(厚さ:40nm)を順次スパッタリング法によって積層した。
これらの層をスパッタリングにより形成する成膜装置は、それぞれ透過率調整層421を成膜するためのTiOスパッタリングターゲット、反射層422を成膜するAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1の誘電体層424を成膜するための(ZrO50(In50スパッタリングターゲット、記録層426を成膜するための(GeTe)97(BiTeスパッタリングターゲット、第2の界面層427を成膜するための(ZrO50(Cr50スパッタリングターゲット、第2の誘電体層428を成膜するための(ZnS)80(SiO20スパッタリングターゲットを備える。スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径100mm、厚さ6mmである。
透過率調整層421の成膜は、Arと酸素の混合ガス雰囲気(全体に対して3%の割合の酸素ガス)で、圧力を0.3PaとしてRF電源を用いて、投入パワー400Wで行った。反射層422の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.3Paとし、DC電源を用いて、投入パワー100Wで行った。第1の誘電体層424の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて、投入パワー200Wで行った。記録層426の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとし、DC電源を用いて、投入パワー50Wで行った。第2の界面層427の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2の誘電体層428の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて投入パワー400Wで行った。
次に、第2の誘電体層428上に紫外線硬化樹脂を塗布し、その上に案内溝(深さ20nm、トラックピッチ0.32μm)を形成した基板をかぶせて密着し回転させることによって、均一な樹脂層を形成し、樹脂を硬化させた後に基板をはがした。これにより、レーザ光31を導く案内溝が第3情報層43側に形成された、厚さ16μmの分離層28を形成できた。
その後、分離層28の上に、透過率調整層431としてTiO層(厚さ:30nm)、反射層432としてAg−Pd−Cu層(厚さ:8nm)、第1の誘電体層434として(ZrO50(In50層(厚さ:10nm)、記録層436として(GeTe)96(BiTe層、第2の界面層437として(ZrO50(Cr50層(厚さ:5nm)、第2の誘電体層438として(ZnS)80(SiO20層を順次スパッタリング法によって積層した。
これら各層をスパッタリングにより形成する成膜装置は、それぞれ透過率調整層431を成膜するためのTiO2スパッタリングターゲット、反射層432を成膜するAg−Pd−Cu合金スパッタリングターゲット、第1の誘電体層434を成膜するための(ZrO50(In50スパッタリングターゲット、記録層436を成膜するための(GeTe)96(BiTeスパッタリングターゲット、第2の界面層437を成膜するための(ZrO50(Cr50スパッタリングターゲット、第2の誘電体層438を成膜するための(ZnS)80(SiO20スパッタリングターゲットを備える。スパッタリングターゲットの形状は、いずれも直径100mm、厚さ6mmである。
透過率調整層431の成膜は、Arと酸素の混合ガス雰囲気(全体に対して3%の割合の酸素ガス)で、圧力を0.3PaとしてRF電源を用いて、投入パワー400Wで行った。反射層432の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.3Paとし、DC電源を用いて、投入パワー100Wで行った。第1の誘電体層434の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて、投入パワー200Wで行った。記録層436の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.2Paとし、DC電源を用いて、投入パワー50Wで行った。第2の界面層437の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて、投入パワー200Wで行った。第2の誘電体層438の成膜は、Arガス雰囲気で、圧力を0.1Paとし、RF電源を用いて投入パワー400Wで行った。
最後に、紫外線硬化性樹脂を第2の誘電体層438上に塗布し回転させて、均一な樹脂層を形成したのち、紫外線を照射して樹脂を硬化させることにより、厚さ59μmの透明層23を形成した。その後、記録層416、記録層426および記録層436をレーザ光で結晶化させる初期化工程を行った。以上のようにして、第3情報層の43記録層436の厚さおよび第2の誘電体層438の厚さが異なる複数のサンプルを製造した。
このようにして得られたサンプルについて、図3に示す記録再生装置を用いて、情報記録媒体11の各情報層の反射率、上限再生パワー、および第3情報層の消去率を測定した。レーザ光31の波長は405nm、対物レンズ32の開口数NAは0.85とした。また、1層あたりの容量を33.4GBとする記録方法にて記録を実施し、最短マーク長(2T)は0.112μmとした。また、記録時および測定時のサンプルの線速度は7.36m/sとした。
各サンプルにおける第3情報層43の記録層436の厚さ、第2の誘電体層438の厚さ、第3情報層43の消去性能を表1に示す。消去性能については、消去率が25dB以上を「○」、25dB未満を「×」で示した。
消去率が25dB以上あれば、ビット誤り率を1.0×10-5以下とすることが可能になり、情報を処理する単位であるシンボルの誤り率(シンボルエラーレート)が、2.0×10-4を下回る値となる。シンボルの誤り率が2.0×10-4であれば、実用上、問題にならないレベルである。
Figure 2010061557
また、各サンプルにおける第3情報層43の記録層436の厚さ、第2の誘電体層438の厚さ、第1情報層41の再生性能を表2に示す。再生性能は、反射率と上限再生パワーをまず調べ、反射率と上限再生パワーの積を反射光量と定義し、反射光量が2.2以上を「○」、2.2未満を「×」とした。反射光量が2.2以上であれば、反射光量が2.2以上であれば、情報の再生信号品質を実用上、問題がないレベルに維持することができる。
Figure 2010061557
また、各サンプルにおける第3情報層43の記録層436の厚さ、第2の誘電体層438の厚さ、第2情報層42の再生性能を表3に示す。再生性能は、反射率と上限再生パワーをまず調べ、反射率と上限再生パワーの積を反射光量と定義し、反射光量が2.2以上を「○」、2.2未満を「×」とした。
Figure 2010061557
また、各サンプルについて、第3情報層43の記録層436の厚さ、第2の誘電体層438の厚さ、第3情報層43の再生性能を表4に示す。再生性能は、反射率と上限再生パワーをまず調べ、反射率と上限再生パワーの積を反射光量と定義し、反射光量が2.2以上を「○」、2.2未満を「×」とした。
Figure 2010061557
以上の結果のまとめとして、各サンプルにおける、第3情報層43の記録層436の厚さ、第2の誘電体層438の厚さ、各情報層の再生性能および第3情報層の消去性能をもとにした総合評価を表5に示す。総合評価は、上記の評価項目において、1つでも「×」と評価されたサンプルは「×」と評価し、上記の評価項目において、すべて「○」と評価されたサンプルは「◎」と評価した。
総合評価において、「◎」と評価されたサンプルは実用に耐えうることを意味し、「×」と評価された媒体は実用に耐えないことを意味する。
Figure 2010061557
また、以上の結果を用いて、各サンプルにおける各層の反射率、上限再生パワー、反射光量、総合評価をまとめて表6に示す。
Figure 2010061557
表1から表6に示されるように、レーザ光31の入射側に最も近い第3情報層43の反射率が他の情報層よりも高く、かつ、第3情報層43の上限再生パワーが他の情報層よりも低いときに、情報記録媒体11の第1情報層から第3情報層のすべてにおいて良好な特性が得られている。
このように、第3情報層の反射率を高くすることで、第3情報層の再生パワーを低くしても、第3情報層における高品質な情報の再生が実現できる。それに伴い、第3情報層の上限再生パワーを、他の情報層の上限再生パワーよりも下げた構成を採用することできる。このため、第3情報層については、透過率を重視した設計をすることが許される。つまり、第3情報層の再生パワーが比較的低くなるため、第3情報層は高い再生耐久性を実現する必要がなく、実用的な再生耐久性を有しながら、第3情報層の透過率を従来よりも高くすることが可能となる。その結果、第3情報層の透過率を高めることによって、第1情報層および第2情報層へ到達するレーザ光の光量を高め、第1情報層および第2情報層の各情報層において高品質な情報の再生を実現することができる。
また、第2情報層42の反射率に対する、第3情報層43の反射率の比が1.2以上のとき、第3情報層における反射光量を十分に高めることができ、情報記録媒体11の第1情報層から第3情報層のすべてにおいて良好な特性が得られている。
また、第3情報層43の反射光量と第2情報層42の反射光量とが等しいとき、第3情報層および第2情報層を再生した場合の再生信号の品質のバラつきを抑制することができる。
なお、本実施例では第2情報層42の記録層426と、第3情報層43の記録層436とで同じ材料を使用したが、結晶化速度を調整するために異なる材料を使ってもよい。
また、上記実施形態および実施例で挙げた材料および膜厚は本発明を実現するための種々の材料および膜厚の一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施形態および実施例で挙げた材料以外の材料を用いてもよいし、また、上記実施形態および実施例で挙げ各層の厚さ以外の厚さに設定してもよい。
本発明の情報記録媒体およびその再生方法は、3つ以上の情報層を備える情報記録媒体における、情報の再生を高品質化するために有用である。
11 情報記録媒体
21 基板
22 分離層
23 透明層
28 分離層
31 レーザ光
32 対物レンズ
40 情報層
41 第1情報層
42 第2情報層
43 第3情報層
402 反射層
403 反射層側界面層
404 第1の誘電体層
405 第1の界面層
406 記録層
407 第2の界面層
408 第2の誘電体層
412 反射層
413 反射層側界面層
414 第1の誘電体層
415 第1の界面層
416 記録層
417 第2の界面層
418 第2の誘電体層
421 透過率調整層
422 反射層
423 反射層側界面層
424 第1の誘電体層
425 第1の界面層
426 記録層
427 第2の界面層
428 第2の誘電体層
431 透過率調整層
432 反射層
433 反射層側界面層
434 第1の誘電体層
435 第1の界面層
436 記録層
437 第2の界面層
438 第2の誘電体層
501 レーザダイオード
502 レーザ光
503 ハーフミラー
504 対物レンズ
505 モーター
506 情報記録媒体
507 フォトディテクター

Claims (8)

  1. 情報を記録可能なN個(NはN≧3の整数)の情報層を有し、レーザ光が照射されることによって、各情報層への情報の記録および前記各情報層に記録された情報の再生が行われる情報記録媒体であって、
    前記N個の情報層は、レーザ光入射側から順に配置された第N情報層、第N−1情報層、第N−2情報層・・・第2情報層、第1情報層を含み、
    前記第N情報層の反射率はRNであり、第M情報層(MはN>M≧1を満たす全ての整数)の反射率はRMであり、
    前記第N情報層に記録された情報の再生時に前記第N情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrNmaxであり、前記第M情報層に記録された情報の再生時に前記第M情報層に照射するレーザ光の上限再生パワーはPrMmaxであり、下記の式(1)、(2):
    N>RM ・・・(1)
    PrNmax<PrMmax ・・・(2)
    を同時に満たしている情報記録媒体。
  2. 前記第N情報層の前記反射率RNと、前記第N−1情報層の前記反射率RN-1とが、下記の式(3):
    N/RN-1 ≧ 1.2 ・・・(3)
    を満たしている請求項1に記載の情報記録媒体。
  3. 前記第N情報層の前記反射率RNと前記上限再生パワーPrNmaxとの積RN×PrNmaxは、第N−1情報層の反射率RN-1と上限再生パワーPrN-1maxとの積RN-1×PrN-1maxと等しい請求項1に記載の情報記録媒体。
  4. 前記Nは3である請求項1から3のいずれかに記載の情報記録媒体。
  5. 請求項1に記載の情報記録媒体記録された情報を再生する再生装置であって、
    前記第N情報層に記録された情報を再生パワーPrN(PrN≦PrNmax)で再生し、
    前記第N−1情報層に記録された情報を再生パワーPrN-1(PrN-1≦PrN-1max)で再生する再生装置。
  6. 請求項1に記載の情報記録媒体に情報を記録する記録装置であって、
    前記情報記録媒体に前記レーザ光を照射することにより情報を記録する記録装置。
  7. 請求項1に記載の情報記録媒体に記録された情報を再生する情報記録媒体の再生方法であって、
    前記第N情報層に記録された情報を再生パワーPrN(PrN≦PrNmax)で再生する工程と、
    前記第N−1情報層に記録された情報を再生パワーPrN-1(PrN-1≦PrN-1max)で再生する工程と
    を包含し、
    前記第N情報層の前記反射率RNと前記再生パワーPrNとの積RN×PrNは、前記第N-1情報層の前記反射率RN-1と前記再生パワーPrN-1との積RN-1×PrN-1と等しい、情報記録媒体の再生方法。
  8. 前記レーザ光の波長λが400nmから410nmの範囲であり、
    前記レーザ光を前記各情報層に集束させるために使用する対物レンズの開口数NAが0.84から0.86の範囲である、請求項7に記載の情報記録媒体の再生方法。
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