JPWO2010001841A1 - Mdp1による微生物を凝集および/または沈殿させる方法 - Google Patents

Mdp1による微生物を凝集および/または沈殿させる方法 Download PDF

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Abstract

[課題]本発明は、抗酸菌検査の前処理段階で、凝集および/または沈殿を誘導することにより、ストレスを与えずに簡便に集菌するための方法、さらには、抗酸菌を特異的に凝集および/または沈殿させ、これを検出するという単純な操作により、抗酸菌を同定するという非常に簡便な検査方法を提供することを目的としている。[解決手段]本発明は、ミコール酸含有糖脂質と相互作用するタンパク質またはポリペプチドを用いて、ミコール酸含有糖脂質を有する物質または微生物を、凝集および/または沈殿させることを特徴とする分離方法である。

Description

本発明は、MDP1による微生物を凝集および/または沈殿させる方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ミコール酸含有糖脂質を有する物質または微生物へのストレスを最小限に抑えた状態で、該物質または該微生物をMDP1により凝集および/または沈殿させる方法に関する。
人類の約1/3は、結核菌に感染し、全世界で毎年800万人が結核を発病し、200万人が死亡している。成人型肺結核の多くは、潜伏感染菌の再増殖が原因である。
結核菌が属する抗酸菌感染の検査において、菌の検出および同定は、従来、塗抹検査、培養検査、遺伝子検査などの手法で行われている。
塗沫検査は、菌を染色し、これを顕微鏡観察によって検出する方法であり、比較的短時間で行うことができるが、顕微鏡などの装置および経験を積んだスタッフを必要とする。培養検査は、精度の高い方法であるが、抗酸菌の生育速度は非常に遅いことから、長時間を要する。また、遺伝子検査は、菌から溶出された核酸を増幅・検出する方法であり、最近では比較的簡便に行うことが可能になったものの、試薬のコストもさることながら、核酸増幅用の装置を要する点がネックとなっている。
上記いずれの検査方法においても、いわゆる前処理として、臨床検体からの対象とする菌の濃縮または精製が必須である。この過程は、遠心分離操作により行われるのが一般的であるが、高い集菌率を達成するためには、強力な遠心力を掛ける必要がある。このため、大掛かりな装置(遠心分離機)が必要となる一方、遠心力が与える菌へのストレスも無視できず、例えば、死菌が増加することによる偽陰性の問題が生じ、検査精度に大きく影響を及ぼす。
このように現在の検査手法にはそれぞれメリットはあるものの、「いつでも、どこでも、すぐに、手軽にできる」というPOCT(Point Of Care Testing)のニーズを満たすものがない。特に、いずれの検査においても避けられない遠心分離操作は大きな障害である。
このような背景の下、従来、細胞や細菌の凝集を誘導する種々の方法が開発されてきた。例えば、特許文献1には、抗体を担持させたラテックス粒子によって、特許文献2には、抗体、電気、超音波、誘引物質などによって、さらに特許文献4にはカチオン性ポリマーによって、細胞の凝集を誘導する方法が開示されている。特許文献3は、特許文献2と同様に、電気的に凝集を誘導する方法を記載している。
しかしながら、電気や超音波による方法は、比較的大掛かりな装置が必要となる上、対象とする細胞または細菌を特異的に凝集させることができない。一方で抗体を用いれば、特異性は発揮されるが、抗酸菌に関しては、抗体を用いて特異的に凝集させる技術は開示されていない。
他方、病原性抗酸菌に対する免疫原性を有するポリペプチド(MDP1)およびそのワクチンまたは治療剤への利用が提案されている(特許文献5)。
特開2004−191332号公報 国際公開第2001/67084号パンフレット 特開2003−223号公報 特表2003−507032号公報 特開2000−219699号公報
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、抗酸菌検査の前処理段階で、凝集および/または沈殿を誘導することにより、ストレスを与えずに簡便に集菌するための方法、さらには、抗酸菌を特異的に凝集および/または沈殿させ、これを検出するという単純な操作により、抗酸菌を同定するという極めて簡便な検査方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、ミコール酸含有糖脂質を有する物質または微生物が、MDP1により簡単に凝集および/または沈殿することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の分離方法は、ミコール酸含有糖脂質と相互作用するタンパク質またはポリペプチドを用いて、ミコール酸含有糖脂質を有する物質または微生物を、凝集および/または沈殿させることを特徴とするものである。
上記タンパク質および上記ポリペプチドは、MDP1、または該MDP1の1もしくは数個のアミノ酸が、欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる組換えタンパク質であり、かつ該組換えタンパク質が、抗酸菌に対する免疫原性を有することが好ましい。
上記の凝集および/または沈殿は、フラッシュ遠心もしくはスピンダウンすることによって促進することができ、そのシグナルとして、抗酸菌表面と相互作用する固体支持体によって、視認可能な程度に増強することができる。
上記のミコール酸含有糖脂質を有する微生物は、抗酸菌であることが好ましい。
上記固体支持体は、抗酸菌に対する抗体が固定化された粒子であることが好ましい。
上記抗酸菌は、病原性抗酸菌であることが好ましく、該病原性抗酸菌は、結核菌であることが好ましい。
本発明の細胞単離方法は、上記方法を用いて、生物由来の検体、培養液または細胞含有溶液から対象とする細胞を単離することを特徴とするものである。
本発明の核酸抽出方法は、上記細胞単離方法を用いることによって対象とする細胞を単離する工程、および単離された細胞から核酸を抽出する工程を含むことを特徴とするものである。
上記核酸を抽出する工程は、加熱処理、超音波照射処理または化学試薬処理を施すことによって行われることが好ましい。
本発明の細胞検出方法は、上記分離方法を用いて、生物由来の検体、培養液または細胞含有溶液から対象とする細胞の有無を、凝集および/または沈殿によって検出することを特徴とするものである。
上記細胞は、結核菌であることが好ましい。
また、本発明のキットは、上記分離方法、上記細胞単離方法、上記核酸抽出方法および上記細胞検出方法のいずれかに用いられることを特徴とするものである。
本発明は、MDP1の添加で引き起こされる微生物の凝集を検出する、好ましくは固体支持体を用いることによってこの凝集をシグナルとして視認可能な程度に増強させたものを検出することにより、微生物を簡便に同定する方法を提供することができる。
さらに、本発明は、フラッシュ遠心またはスピンダウンのような穏やかな遠心力場を好適に利用することができるが、大掛かりな装置を要することなく、菌へのストレスを最小限に抑えた状態で集菌する方法を提供することができる。
また、本発明は、エアロゾルの発生が懸念される高速遠心分離を用いない、安全かつクロスコンタミの少ない集菌方法を提供することができる。
図1は、実施例2および比較例2の結果を示すエッペンドルフチューブであって、左端のチューブは、実施例2において、rMDP1の代わりに抗MDP1抗体を10μg添加し、800×gで1秒間遠心分離(フラッシュ)後を表し、左から2番目のチューブは、実施例2において、rMDP1を添加せずにフラッシュした後を表し、左から3番目〜右端のチューブは、実施例1において、rMDP1をそれぞれ0.8μg、2.4μg、8.0μg添加しフラッシュした後を表すものである。
本発明は、下記方法(1)〜(4)および下記キット(5)からなる。
(1)ミコール酸含有糖脂質と相互作用するタンパク質またはポリペプチドを用いて、ミコール酸含有糖脂質を有する物質または微生物を、凝集および/または沈殿させることを特徴とする分離方法。
(2)上記方法(1)を用いて、生物由来の検体、培養液または細胞含有溶液から細胞を単離することを特徴とする細胞単離方法。
(3)上記方法(2)を用いることによって細胞を単離する工程、および単離された細胞から核酸を抽出する工程を含むことを特徴とする核酸抽出方法。
(4)上記方法(1)を用いて、生物由来の検体、培養液または細胞含有溶液から細胞の有無を、凝集および/または沈殿によって検出することを特徴とする細胞検出方法。
(5)上記方法(1)〜(4)のいずれかに用いられることを特徴とするキット。
以下、本発明について具体的に説明する。
<方法(1)>
本発明の方法(1)は、ミコール酸含有糖脂質と相互作用するタンパク質またはポリペプチドを用いて、ミコール酸含有糖脂質を有する物質または微生物を、凝集および/または沈殿させることを特徴とする分離方法である。
(ミコール酸含有糖脂質)
本発明において、「ミコール酸含有糖脂質」とは、ミコール酸、単糖類とミコール酸との糖エステル、二糖類とミコール酸との糖エステルおよび二糖類とミコール酸とミコール酸以外の脂肪酸との糖エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの脂肪酸をいう。
「単糖類」としては、例えば、グルコース、フルクトース、リボース、キシロース、マンノース、ガラクトース、タロースなどが挙げられる。
「二糖類」としては、例えば、スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、トレハロースなどが挙げられる。
「ミコール酸以外の脂肪酸」としては、例えば、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸、テトラドコサン酸、ヘキサドコサン酸、オクタドコサン酸などが挙げられる。
「ミコール酸含有糖脂質」としては、例えば、アビミコール酸I、ホミノミコール酸I、ミコール酸IIa、ミコール酸IIb、ミコール酸IIIa、ミコール酸IIIb、コリノミコール酸、トレハロース−6−モノミコレート、トレハロース−6,6'−ジミコレート、メロミコール酸などが挙げられる。ミコール酸含有糖脂質は、抗酸菌の細胞壁に多量に含有されている。
(物質/微生物)
「ミコール酸含有糖脂質を有する物質」としては、上記「ミコール酸含有糖脂質」を有すれば、生物、無生物または非生物に限定されない。
「ミコール酸含有糖脂質を有する微生物」としては、原核生物(真正細菌、古細菌)のみならず、真核生物(藻類、原性生物、菌類、粘菌)、ウイルスや、ワムシのようなごく小型の動物も含まれる。なお、菌類などでは肉眼的なコロニーを作るものであっても、カビのように、その体の構成単位が顕微鏡的大きさであるものは、「ミコール酸含有糖脂質を有する微生物」として扱われる。また、単細胞生物は元より、多細胞生物を構成する1つ1つの細胞も、「ミコール酸含有糖脂質を有する微生物」に包含される。
これらミコール酸含有糖脂質を有する微生物のうち、マイコバクテリウム属細菌である抗酸菌であることが好ましい。「抗酸菌」としては、病原性抗酸菌であることが好ましい。「病原性抗酸菌」としては、結核菌、非結核性抗酸菌、らい菌などが挙げられ、これらのうち、結核菌であることが好ましい。
「結核菌」としては、ヒトの結核の原因菌であるヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の他に、ヒトに対して病原性を有するウシ型結核菌(M.bovis)およびマイコバクテリウム・アフリカンス(M.africanum)が挙げられる。なお、ウシ型結核菌を長期間継代培養して弱毒化したものがBCGであり、結核予防のためのワクチン(弱毒性菌ワクチン)として現在も利用されている。
抗酸菌は、増殖の遅い、すなわち、コロニーが肉眼で判別可能なまで増殖するのに1週間以上を要する遅発育菌群と、増殖の早い迅速発育菌群と、培養不能菌(らい菌のみ)との3群に大別されるが、結核菌は、このうち遅発育菌群に属し、分離培養には3〜6週間を要する。
(タンパク質/ポリペプチド)
「タンパク質」および「ポリペプチド」は、MDP1(Mycobacterial DNA−binding protein 1)、または該MDP1の1もしくは複数個、好ましくは1もしくは数個のアミノ酸が、欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる組換えタンパク質もしくは修飾タンパク質であり、かつ該組換えタンパク質および該修飾タンパク質は、抗酸菌に対する免疫原性を有することが望ましい。
「MDP1」は、205個のアミノ酸からなるタンパク質であって、BCG東京株から分離精製することができるが、本発明に係るMDP1は、該株に限定されず、BCG東京株以外のBCG株、結核菌などのマイコバクテリウム属細菌から分離精製して得られるタンパク質であってもよい。
「数個」の範囲は特に限定されないが、例えば、2〜10個、好ましくは2〜5個、より好ましくは2個または3個程度を意味する。
「抗酸菌に対する免疫原性を有する」とは、上記タンパク質および上記ポリペプチドを、必要に応じてアジュバント、リポ多糖(LPS)、抗酸菌以外の細菌細胞壁や菌体、β−グルカン等の多糖類などと組み合わせて哺乳動物に投与した際に、抗酸菌に対する抗体産生を誘導する能力を有することを意味する。
MDP1のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸を欠失、置換または付加などの変異を誘発する技術としては、例えば、部位特異的突然変異/PCR法などの周知の技術(S. N. Hoら, Gene, 77巻, 51頁(1989年);西郷薫と佐野弓子共訳, Current protocolsコンパクト版, 分子生物学実験プロトコールI, 1997年6月, 丸善)を用いることができる。
「組換えタンパク質」または「修飾タンパク質」(以下「rMDP1」ともいう。)として、6×ヒスチジン融合タンパク質、GST融合タンパク質といった組換えタンパク質の態様が好適である。このような組換えタンパク質を作製する場合は、まず、MDP1をコードするDNAを入手する必要がある。MDP1をコードするDNAの入手、該DNAの塩基配列などについては特許文献5に記載されている。このDNAをプラスミドなどの適当な発現ベクターに組み込み、大腸菌や酵母に導入することにより、組換えタンパク質として発現させることができる。また、発現させた組換えタンパク質は、アフィニティクロマトグラフィーによって分離精製することができる。具体的には、MDP1をコードするDNAを、例えば、pQE30、pGEXなどのプラスミドに組み込み、これを大腸菌、BCGなどの細菌または酵母などの細胞に導入して形質転換体として培養することによって、rMDP1が産生される(特許文献5)。
(相互作用)
本発明の方法(1)に係る「相互作用」とは、ミコール酸含有糖脂質とMDP1またはrMDP1との間に分子間力が働き、それらが特異的に会合または結合することをいう。ただし、共有結合は、「相互作用」には含まれない。
(凝集/沈殿)
本発明の方法(1)に係る「凝集」とは、当該分野で通常用いられる意味で用いられ、上記物質または上記微生物が表面同士で、一時的、一定の時間または長時間にわたって集結し塊を形成する現象をいう。凝集は、「濃縮」と異なり、凝集した上記物質または上記微生物は一群の物体を形成するが、濃縮においては、濃縮された上記物質または上記微生物は、依然として個々の上記物質または上記微生物が分離独立しており、ばらばらである。
上記「凝集および/または沈殿」は、フラッシュ遠心またはスピンダウンすることによって、あるいは抗酸菌表面と相互作用する固体支持体によって、促進することができる。すなわち、凝集および/または沈殿は、このような操作を行うことにより、より短時間に「塊」を形成することができる。
「フラッシュ遠心またはスピンダウン」としては、卓上遠心機などの小型遠心機を用いて、好ましくは800×g程度の遠心力を、1〜数秒間作用させることが望ましい。このような短時間の遠心操作であることから、温度を制御する必要は特になく、そのため遠心機も大掛かりでないもので足りる。
「抗酸菌表面」とは、抗酸菌の細胞壁を構成する化合物(例えば、ミコール酸含有糖脂質、ムレイン、タイコ酸など)のうち少なくとも1つの化合物をいう。
上記抗酸菌表面と相互作用する固体支持体は、菌の存在を示す代替物として用いられるものであって、菌の凝集を固体支持体の凝集シグナルとして、視認可能な程度に増強し、容易に視認することができるものである。
(固体支持体)
「固体支持体」とは、抗酸菌表面と相互作用し、その凝集物および/または沈殿物を、シグナルとして視認可能な程度に増強させ、より視認し易くさせる、水または水溶液に不溶のものをいい、抗酸菌表面と相互作用する基質と該基質を固定化することができる支持体とからなることが好ましい。
「基質」としては、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸等の多糖類;抗酸菌の細胞壁を構成するミコール酸を抗原とする(モノクローナル/ポリクローナル)抗体;グルコース、フルクトース、リボース等の単糖類などが挙げられる。これらのうち、抗酸菌表面とのアフィニティーが高いことから、上記抗体が好ましい。
「支持体」としては、従来公知の支持体またはマトリックスに使用されている材料であってもよく、有機化合物、無機化合物、金属、金属酸化物またはこれらを組み合わせた複合材料を含む。
「有機化合物」としては、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリアミド、ラテックス等の合成有機高分子;コラーゲン、コラーゲン−グリコサミノグリカン共沈物、セルロース、キチン、キトサン、ペクチン、ペクチン酸、寒天、アガロース、キサンタンゴム、ゲラン、アルギン酸、アルギネート、ポリマンナン、ポリグリカン、デンプン、天然ゴム等の天然有機高分子などが挙げられる。
「無機化合物」としては、例えば、ガラス、シリカ、二酸化珪素、窒化珪素などが挙げられる。
「金属」としては、例えば、ステンレス、ジルコニアなどが挙げられる。
「金属酸化物」としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などが挙げられる。
これらのうち、ポリスチレン、ラテックス、アガロース、ガラスおよびシリカが好ましく、特にポリスチレンが好ましい。
上記支持体の形状としては、例えば、粒子状、棒(繊維、毛細管)状、板状、シート(膜)状などが挙げられ、なかでも、反応効率に優れることから粒子状が好ましい。
固体支持体としては、抗酸菌表面に対する抗体が固定化された粒子であることが好ましく、支持体が磁気を帯びている磁性粒子であってもよい。
「粒子状」の形態としては、例えば、ビーズ(球体)形、楕円体形、錐体形、立方体形、直方体形などが考えられるが、ビーズ形粒子の支持体は、他の形態と比較して製造が容易であり、また使用時に、固体支持体の回転撹拌が容易なことからも好ましい。
ビーズ形粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは2〜6μmである。平均粒子径が10μmを超える場合、固体支持体が水性媒体中において容易に沈降するため、上記物質または微生物を捕捉する際に媒体を撹拌する操作が必要となることがある。また、支持体体積に対する表面積が相対的に小さくなるため、上記物質または微生物を充分に捕捉することが困難となる場合がある。
上記支持体に上記基質を固定化する方法としては、従来公知の方法を適用することができる。これらのうち、ビーズ形粒子に抗ミコール酸抗体を共有結合させる方法が好ましい。具体的には、ビーズ形粒子の表面に露出するトシル基に、ヒスチジンからなるタグを介して抗ミコール酸抗体を共有結合させることにより固定化する方法;ビーズ形粒子の表面に露出するコバルトまたはニッケルと、ヒスチジンからなるタグを有する抗ミコール酸抗体とを配位結合させて固定化することにより固定化する方法;ビーズ形粒子の表面に露出するトシル基、エポキシ基またはカルボキシル基(アンカーされた無水マレイン酸など)に、抗ミコール酸抗体が有するアミノ基を共有結合させて固定化する方法;ビーズ形粒子の少なくともその表面を構成するポリスチレンにアンカーされた活性マレイミド基と、抗ミコール酸抗体が有するスルフヒドリル基とをチオエーテル結合させて固定化する方法;ラテックスからなるビーズ形粒子の少なくともその表面を構成するポリスチレンに、抗ミコール酸抗体を物理的に吸着させる方法などが挙げられる。
<方法(2):細胞単離方法>
本発明の方法(2)は、上記方法(1)、すなわちミコール酸含有糖脂質と相互作用するタンパク質またはポリペプチドを用いて、ミコール酸含有糖脂質を有する物質または微生物を、凝集および/または沈殿させることを特徴とする分離方法を用いて、生物由来の検体、培養液または細胞含有溶液から対象とする細胞を単離することを特徴とする細胞単離方法である。
「対象とする細胞」は、ミコール酸含有糖脂質を有さなくてもよいが、好ましくは抗酸菌であり、より好ましくは病原性抗酸菌であり、特に好ましくは結核菌である。
(生物由来の検体/培養液/細胞含有溶液)
「生物由来の検体」としては、生物の一部または全部を直接採取したものであれば、特に制限されない。具体例として、血液、喀痰、唾液、尿、肺胞などが挙げられる。
「培養液」としては、上記生物由来の検体を構成する細胞や組織の一部、または微生物を人工的な環境下で育てたものであれば、特に制限されない。具体例として、BCG溶液などが挙げられる。
「細胞含有溶液」としては、上記生物由来の検体に人工的な処理を施して得られたものであれば、特に制限されない。具体例として、血漿、血清、肺胞組織破砕溶解液などが挙げられる。
これらは、流体の形態が好ましく、通常は、溶液または懸濁液である。
(操作手順)
本発明の細胞単離方法の構成として、その具体的な操作手順を以下に例示するが、この態様に限定されるものではない。
培養液としてBCG溶液が入っているエッペンドルフチューブに、結合バッファーのPBSに混合されたMDP1を添加し、該チューブを転倒混和する。この後、数分間静置してもよいし、フラッシュ遠心またはスピンダウン(800×gで1秒程度の遠心操作)してもよい。抗酸菌はMDP1を介して凝集し、エッペンドルフチューブの底部に沈殿する。上清を除くと細胞を単離することができる。
また、上述の態様において、BCG溶液の代わりに、例えば、ミコール酸含有糖脂質を有する微生物群とミコール酸含有糖脂質を有さない細胞とを含む細胞含有溶液を用いた場合、MDP1を添加しても対象とする細胞は沈殿しないので、沈殿を除くことによって対象とする細胞を単離することができる。
<方法(3):核酸抽出方法>
本発明の方法(3)は、上記方法(2)、すなわち細胞単離方法を用いることによって対象とする細胞を単離する工程、および単離された細胞から核酸を抽出する工程を含むことを特徴とする核酸抽出方法である。なお、「核酸」とは、本発明において、DNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドを包含する用語である。
「対象とする細胞」は、ミコール酸含有糖脂質を有さなくてもよいが、好ましくは抗酸菌であり、より好ましくは病原性抗酸菌であり、特に好ましくは結核菌である。
(細胞を単離する工程)
「細胞を単離する工程」とは、ミコール酸含有糖脂質と相互作用するタンパク質またはポリペプチドを用いて、ミコール酸含有糖脂質を有する物質または微生物を、凝集および/または沈殿させることを特徴とする分離方法(方法(1))を用いて、生物由来の検体、培養液または細胞含有溶液から対象とする細胞を単離する細胞単離方法(方法(2))を用いることによって、対象とする細胞を単離する工程である。
上記の「生物由来の検体」、「培養液」および「細胞含有溶液」は、発明(2)で記載した「生物由来の検体」、「培養液」および「細胞含有溶液」と同義である。
(核酸を抽出する工程)
本発明の方法(3)における「核酸を抽出する工程」とは、上記「細胞を単離する工程」を経て単離された細胞から核酸を抽出する工程である。すなわち、「核酸を抽出する工程」とは、細胞を単離する工程を経て単離された細胞に対して、好ましくは加熱処理、超音波照射処理もしくは化学試薬処理またはこれらを併用することによって、その細胞膜を破壊し、核酸を細胞外に放出させ、これを核酸溶液として分離回収するものである。
このような「核酸を抽出する工程」は、遠心分離、ろ過、減圧処置などのような操作を含まないため、簡便かつ迅速に核酸を抽出することができる。
細胞膜を破壊し、核酸を細胞外に放出するための処理として、公知の様々な物理的処理または化学的処理を施すことができる。
物理的処理としては、加熱処理、超音波照射処理、凍結・溶融処理などが挙げられる。
化学的処理としては、化学試薬処理、例えば、消化酵素、カオトロープ試薬、界面活性剤、溶菌剤等を用いる変性処理などが挙げられる。核酸を抽出した後の工程において悪影響を及ぼす化学試薬を用いなければ、該化学試薬を除く必要はなく、細胞から核酸を高収率で抽出することができる。なお、特許第2625340号明細書中の表1および2には、マイコバクテリウムなどを溶菌するための様々のプロトコールがまとめられている。
加熱処理とは、その温度範囲、すなわち70〜120℃、好ましくは80〜120℃、より好ましくは80〜100℃で、20秒〜10分間、好ましくは20秒〜300秒間施すことをいう。加熱する温度および時間は、細胞または菌の種類(大きさ、細胞膜の組成と厚さなど)によって異なるため、上記範囲の中から適宜選択する。加熱する手段は、あらゆる適切な加熱手段により行なわれ、例えば、ドライ・ヒートブロック、湯浴、マイクロウェーブ・オーブン、各種ヒーターなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
超音波照射処理を施す場合、溶菌に有効である超音波の照射条件を適宜設定する必要がある。照射量は、使用する超音波照射装置の定格出力、照射する細胞の量、照射する時間から計算することができる。例えば、超音波の周波数は、細胞含有溶液量、撹拌条件などによって選択されるが、好ましくは10〜100kHz、より好ましくは15〜45kHzであり、この周波数にて、少なくとも5分間、好ましくは5〜30分間程度照射することが望ましい。
細胞膜を破壊し、核酸を細胞外に放出するために施すより好ましい処理は、加熱処理と超音波照射処理との併用による態様である。このような態様は、上記のそれぞれの処理条件よりもさらに温和な条件で溶菌が達成できる。ただし、加熱処理または超音波照射処理により、核酸が少なくとも変性しない範囲である。
<方法(4):細胞検出方法>
本発明の方法(4)は、上記方法(1)、すなわちミコール酸含有糖脂質と相互作用するタンパク質またはポリペプチドを用いて、ミコール酸含有糖脂質を有する物質または微生物を、凝集および/または沈殿させることを特徴とする分離方法を用いて、生物由来の検体、培養液または細胞含有溶液から対象とする細胞の有無を、凝集および/または沈殿によって、好ましくは抗酸菌表面と相互作用する固体支持体により凝集および/または沈殿を、そのシグナルとして視認可能な程度に増強することによって、検出することを特徴とする細胞検出方法である。
上記「対象とする細胞」は、好ましくは抗酸菌であり、より好ましくは病原性抗酸菌であり、特に好ましくは結核菌である。
上記の「生物由来の検体」、「培養液」および「細胞含有溶液」は、発明(2)で記載した「生物由来の検体」、「培養液」および「細胞含有溶液」と同義である。
(凝集・沈殿による細胞の有無の検出)
凝集および/または沈殿による、対象とする細胞の有無は、例えば、濁度を測定することによって検出することができる。すなわち、凝集した細胞の有効性は、濁度の減少率(%RT)に換算して計測することができる。「%RT」とは、凝集前の吸光度と比較した凝集後の懸濁媒体の吸光度(600nm)の減少をいい、下記式から求められる。
%RT=((A1−A2)×100)/A1
(式中、A1は、凝集前の懸濁媒体の600nmでの吸光度を表し、A2は、ミコール酸含有糖脂質と相互作用するタンパク質またはポリペプチドを添加し、15分間沈降させた後の懸濁媒体の600nmでの吸光度を表す。)
このような濁度の減少率(%RT)は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは実質的に100%である。
または、好ましい態様として、抗酸菌表面と相互作用する固体支持体を添加し、細胞の凝集および/または沈殿を、そのシグナルとして、視認可能な程度に増強することができる。
<キット(5)>
本発明のキット(5)は、上記方法(1)〜(4)のいずれかに用いられることを特徴とするものである。
すなわち、本発明のキット(5)は、本発明の方法(1)〜(4)のいずれかを実施するために必要とされる器材一式、具体的には、各種試薬、固体支持体、細胞単離および核酸抽出・精製に必要な器具を含むものである。これらの試薬の中には、サンプルを溶解(または希釈)するための溶解(または希釈)液、洗浄液、各種の緩衝液なども含まれる。本発明の方法(1)〜(4)のいずれかを実施するために必要とされる固体支持体、結合バッファー、細胞洗浄バッファー(細胞洗浄液)、溶解バッファー(再懸濁液)、核酸洗浄バッファー(核酸洗浄液)、核酸溶出バッファー(溶出液)がそれぞれ容器にあらかじめ封入されている態様のキットが望ましい。必要な器材一式の中には、さらに細胞を固体支持体に付着または結合させ、その細胞膜を破壊して内部に含まれる核酸を抽出する専用の器具を、キットの構成要素として含めてもよい。これらの器具を用いて上記の本発明の方法(1)〜(4)のいずれかを実施することができる。
本発明の方法(1)〜(4)のいずれかを実施するためには上記以外の用具または機器を必要とすることもあるが、これらは適宜、本発明のキットの構成要素として含められる。固液分離には遠心力を利用してもよく、その場合、卓上遠心機などの小型遠心機を使用することができる。
本発明の細胞単離方法(2)、核酸抽出方法(3)では、少なくとも2種の緩衝液が使用される。結合バッファーは、例えば、塩として塩化ナトリウム、酢酸カリウム、またEDTA、界面活性剤などを含んでもよいリン酸系、酢酸系またはトリス系の緩衝液が挙げられ、具体的には、PBS、TBSなどである。細胞洗浄バッファーは、上記結合バッファーを4〜5倍に希釈したものを用いてもよいが、異なる種類のバッファーを別途に用意してもよい。溶解バッファーとしては、水または緩衝液、または塩を含有する緩衝液が例示され、特にTEバッファーが好適である。キット(5)には、従来技術において核酸抽出に用いられてきたクロロホルム、フェノールなどの有機溶媒、カオトロープ試薬、溶菌剤などは含まれない。
本発明の方法(1)〜(4)のいずれかを実施する際には、消耗品とともに撹拌のためのミキサー、撹拌子、加熱するためのヒーターまたは超音波発生器、磁気処理による固液分離に使用する磁石、磁気選別機なども、必要に応じて使用される。具体的には、撹拌は試験管ミキサーによる振動、または容器を回転する転倒混和が望ましく、磁石は棒磁石であってもよい。磁石の種類は電磁石、永久磁石のいずれでもよいが、簡便性、操作性から永久磁石、特に磁力の強さからネオジム磁石が好ましい。
これらは、通常、検査室に備えられている機器であり、それらの機器をキット(5)とともに使用して本発明の方法(1)〜(4)のいずれかを実施することができる。さらに必要であれば、そうした機器の一部をキットの構成物として含めてもよい。なお、本発明の方法(1)〜(4)のそれぞれに用いられるキット(5)の構成は、同一でもよく、また異なっていてもよい。
上記固体支持体、キットの全体または一部についても、構造、構成、配置、形状形態、寸法、材質、方式、方法などを本発明の趣旨に合致する限り、種々のものにすることができる。
次に、本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[調製例1:rMDP1の調製]
ヒスチジンタグを付加したrMDP1を、以前報告された方法(Aokiら、J.Biol.Chem.,279巻:39798〜39806頁(2004年))に従って調製した。その概要は次の通りである。
まず、rMDP1発現ベクター(pET22B−MDP1)を、大腸菌のコンピテント細胞(BL21(DE3)pLysSコンピテントセル/インビトロジェン(株)製)に導入し形質転換させた。この形質転換体を、50μg/mLのcarbenicillinと34μg/mLのクロラムフェニコールとを含むLB液体培地中、22℃で培養し、600nmでの吸光度が0.3〜0.6になったとき、最終濃度が0.1mMになるようにIPTG(isopropyl−1−thio−β−D−galactopyranoside)を添加した。16時間培養することで、rMDP1を発現させた。
遠心分離で回収した該大腸菌を、超音波型細胞破砕装置(商品名「Bioruptor UCD−200T」/東ソー(株)製)により超音波処理を行うことによって粉砕し、再び8,000×g、30分間の遠心分離を行った後、上清を溶出タンパク質として回収した。この上清を、メンブレンフィルター(0.22μm)に通すことで、ゴミなどを除去した後、50mMのリン酸2水素ナトリウム(pH8.0)と、10mMのイミダゾールと、0.5MのNaClと、0.01%のTweenとにより平衡化された金属キレートアフィニティークロマトグラフィー担体(商品名「Ni−NTA Agarose」/キアゲン(株)製)に添加した。カラムを洗浄することで、非特異的に吸着しているタンパク質を取り除いた後に、50mMのリン酸2水素ナトリウム(pH8.0)と、300mMのイミダゾールと、0.5MのNaClと、0.01%のTweenとからなる溶出バッファーにより、rMDP1を溶出した。その後、透析により、該溶出バッファーをPBSに置換した。SDS−PAGEした後に、クマシーブリリアントブルー(CBB)染色することで測定した結果、得られたrMDP1の濃度は、1mg/mLであった。
[実施例1]
BCG溶液(5×106cfu/mL)500μLに、結合バッファー(PBS)に混合されたrMDP1を、それぞれ0.8μg、2.4μg、8.0μg添加し、転倒混和(25℃×5分間)した。この混合液を、10分間静置することによって、菌の凝集および/または沈殿を目視により確認した。
[実施例2]
実施例1の転倒混和直後の混合液を、800×gで1秒間遠心分離(フラッシュ)することによって、菌の凝集および/または沈殿を目視により確認した。その結果を図1に示す。
[比較例1]
実施例1において、rMDP1の代わりに抗MDP1モノクローナル抗体(参考文献:Katsubeら, Control of cell wall assembly by a histone-like protein in Mycobacteria.; J Bacteriol.,189巻(22): 8241-8249頁, 2007年)を10μg添加した、またはrMDP1を添加しなかった。10分間静置後も菌の凝集は確認されなかった。
[比較例2]
実施例2において、rMDP1の代わりに抗MDP1抗体を10μg添加した、またはrMDP1を添加しなかった。800×gで1秒間遠心分離(フラッシュ)後も、菌の凝集および/または沈殿が確認されなかった。その結果を図1に示す。
本発明の方法は、POCTのニーズを満たす、簡便かつ迅速な結核菌感染の検査方法として好適である。
α−MDP1 Ab・・・抗MDP1抗体
(−)・・・実施例2において、rMDP1を添加しない系

Claims (14)

  1. ミコール酸含有糖脂質と相互作用するタンパク質またはポリペプチドを用いて、ミコール酸含有糖脂質を有する物質または微生物を、凝集および/または沈殿させることを特徴とする分離方法。
  2. 上記タンパク質および上記ポリペプチドが、MDP1、または該MDP1の1もしくは数個のアミノ酸が、欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる組換えタンパク質であり、かつ該組換えタンパク質が、抗酸菌に対する免疫原性を有する請求項1に記載の方法。
  3. 上記の凝集および/または沈殿が、フラッシュ遠心またはスピンダウンすることによって促進される請求項1または2に記載の方法。
  4. 上記のミコール酸含有糖脂質を有する微生物が、抗酸菌である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 上記の凝集および/または沈殿が、そのシグナルとして、抗酸菌表面と相互作用する固体支持体によって視認可能な程度に増強される請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 上記固体支持体が、抗酸菌に対する抗体が固定化された粒子である請求項5に記載の方法。
  7. 上記抗酸菌が、病原性抗酸菌である請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 上記病原性抗酸菌が、結核菌である請求項7に記載の方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法を用いて、生物由来の検体、培養液または細胞含有溶液から対象とする細胞を単離することを特徴とする細胞単離方法。
  10. 請求項9に記載の細胞単離方法を用いることによって対象とする細胞を単離する工程、および単離された細胞から核酸を抽出する工程を含むことを特徴とする核酸抽出方法。
  11. 上記核酸を抽出する工程が、加熱処理、超音波照射処理または化学試薬処理を施すことによって行われる請求項10に記載の核酸抽出方法。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法を用いて、生物由来の検体、培養液または細胞含有溶液から対象とする細胞の有無を、凝集および/または沈殿によって検出することを特徴とする細胞検出方法。
  13. 上記細胞が、結核菌である請求項13に記載の細胞検出方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の方法に用いられることを特徴とするキット。
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