JPWO2009011332A1 - 防汚塗料組成物、防汚塗膜、ならびに船舶および水中構造物 - Google Patents

防汚塗料組成物、防汚塗膜、ならびに船舶および水中構造物 Download PDF

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Abstract

バインダ樹脂(A)と、防汚剤(B)とを含み、該防汚剤(B)は、金属ピリチオン(B1)と、トリフェニルボランアミン塩(B2)と、下記一般式(1)[式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基である。]で表されるスルファミド系化合物(B3)と、を含有する防汚塗料組成物、当該防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜、ならびに当該防汚塗膜を有する船舶および水中構造物が提供される。当該防汚塗料組成物によれば、高い防汚性を長期間にわたり持続でき、しかも耐クラック性に優れた防汚塗膜を形成できる。【化1】

Description

本発明は、防汚塗料組成物に関し、より詳しくは、高い長期防汚性を有し、しかも耐クラック性に優れた防汚塗膜を形成できる防汚塗料組成物に関する。また、本発明は、当該防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜、ならびに当該防汚塗膜を有する船舶および水中構造物に関する。
船舶、養殖を始めとする各種魚網、港湾施設、オイルフェンス、配管材料、橋梁、浮標、工業用水系施設、海底基地等の水中構造物は、生物が生息する海水中に常時さらされているため、時間の経過により、バクテリア等の微生物が付着し、また、これを食料とする、たとえば、フジツボ、イガイ、アオサ、珪藻等の動植物が付着する。これらの微生物および動植物により、船舶や水中構造物の表面が覆われると、当該部分の腐食、船舶の海水摩擦抵抗の増大による船舶燃費の低下、漁網の目詰まりによる魚介類の大量ヘイ死、浮標の浮力低下による沈降、作業能率の低下等の被害が発生する。
また、河川水や湖水等の自然水を利用した冷却水等の工業用水系、および中、上水道水を使用する循環式冷却装置等においては、バクテリア、珪藻、ラン藻等の繁殖により、水質の悪化、器壁への付着による冷却効率の低下、水管の閉塞、流量減少等の障害が発生する。
これら有害生物の付着を防止する方法として、従来、防汚塗料を塗装する方法が採られ、当該防汚塗料には防汚剤として有機錫化合物が主に用いられてきた。しかし近年では、生態系への安全性の観点から、このような防汚剤の使用が禁止されつつある。
たとえば特開平11−29725号公報(特許文献1)、特開平11−172159号公報(特許文献2)、特開2002−265849号公報(特許文献3)および特開平11−29747号公報(特許文献4)には、有機錫化合物に代わる使用可能な防汚剤として、たとえば、亜酸化銅、チオシアン酸銅(ロダン銅)、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)−イソチアゾリン、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩(ジンクピリチオン)、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、ピリジン−トリフェニルボラン等が列挙されている。
また、上記したような防汚剤を組み合わせて用いることも従来行なわれている。たとえば特開2001−329228号公報(特許文献5)および特開平11−323209号公報(特許文献6)には、防汚剤としてピリジントリフェニルボランと、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩(ジンクピリチオン)、2−ピリジンチオール−1−オキシド銅塩(銅ピリチオン)、亜酸化銅、チオシアン酸銅(ロダン銅)、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)−イソチアゾリンのうちいずれか1種以上とを併用した防汚塗料組成物が開示されている。
特開平9−3366号公報(特許文献7)には、ピリジン−トリフェニルボランを第1の防汚性有効成分として含み、かつ、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート、ジンクエチレンビスジチオカーバメート、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、亜酸化銅、チオシアン酸銅、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)銅または亜鉛、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、N−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N’,N’−ジメチル−N−フェニルスルファミド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルスルホニルピリジンおよび3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートから選ばれるいずれか1つの化合物を第2の防汚性有効成分として含む防汚塗料が開示されている。
特開平10−298455号公報(特許文献8)には、亜酸化銅と、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩と、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチル−ジクロロフェニル尿素、ジンクジメチルジチオカルバメートから選択されるいずれか1種の化合物とを含有する防汚塗料組成物が開示されている。
特開2001−342432号公報(特許文献9)には、亜酸化銅と4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)−イソチアゾリンとの組み合わせ、亜酸化銅と2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩との組み合わせ、および、亜酸化銅と2−ピリジンチオール−1−オキシド銅塩とジンクエチレンビスジチオカーバメートとの組み合わせ等が開示されている。
しかしながら、上記防汚塗料組成物は、いずれも防汚性、特には長期防汚性の面で改善の余地があった。また、充分な防汚効果を得るためには、多量の防汚剤を配合しなければならず、環境汚染対策の観点からも改善の余地があった。さらに、一般に、防汚塗膜が形成された船舶等は、一定期間海水に浸漬後、陸揚げされるというサイクルを繰り返すため、防汚塗膜には、かかる条件下にも耐え得る可とう性が要求されるが、上記防汚塗料組成物からなる防汚塗膜は、十分な可とう性を有しているとはいえず、複数回の上記サイクルを繰り返すと、塗膜にクラックが発生する場合があった。
特開平11−29725号公報 特開平11−172159号公報 特開2002−265849号公報 特開平11−29747号公報 特開2001−329228号公報 特開平11−323209号公報 特開平9−3366号公報 特開平10−298455号公報 特開2001−342432号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、従来よりも防汚剤の配合量が少ない場合でも、高い防汚性を長期間にわたり持続でき、しかも耐クラック性に優れた、すなわち海水浸漬〜陸揚げのサイクルを繰り返し行なってもクラックが生じにくい防汚塗膜を形成できる防汚塗料組成物を提供することである。また、本発明の別の目的は、当該防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜、ならびに当該防汚塗膜を有する船舶および水中構造物を提供することである。
本発明者らは、上記課題の解決のため、防汚剤の種類およびその組み合わせについて鋭意研究した結果、ある特定の防汚剤を併用した防汚塗料組成物によれば、少量の防汚剤の配合量でも極めて高い長期防汚性を有するとともに、優れた耐クラック性が付与された防汚塗膜が得られるという極めて特異的な効果を見出した。すなわち、本発明は次のとおりである。
本発明は、バインダ樹脂(A)と、防汚剤(B)とを含む防汚塗料組成物であって、該防汚剤(B)は、金属ピリチオン(B1)と、トリフェニルボランアミン塩(B2)と、下記一般式(1):
Figure 2009011332
(上記一般式(1)中、Rは、水素原子または炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基である。)
で表されるスルファミド系化合物(B3)と、を含有する防汚塗料組成物である。
上記トリフェニルボランアミン塩(B2)は、ピリジントリフェニルボランを含むことが好ましい。また、上記スルファミド系化合物(B3)は、下記式(2)および下記式(3)で示される化合物から選択される1種以上の化合物を含むことが好ましい。
Figure 2009011332
Figure 2009011332
また、上記バインダ樹脂(A)は、側鎖に、下記一般式(4):
Figure 2009011332
(上記一般式(4)中、Xは、
Figure 2009011332
で表される基であり、kは0または1であり、Yは炭化水素であり、Mは2価金属であり、Aは一塩基酸の有機酸残基を表す。)
で表される基を少なくとも1つ有する樹脂を含むことが好ましい。
また、上記バインダ樹脂(A)は、側鎖に、下記一般式(5):
Figure 2009011332
(上記一般式(5)中、R1、R2、R3は、同一または異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表す。)
で表される基を少なくとも1つ有する樹脂を含むことが好ましい。
また、上記バインダ樹脂(A)は、側鎖に、下記一般式(4):
Figure 2009011332
(上記一般式(4)中、Xは、
Figure 2009011332
で表される基であり、kは0または1であり、Yは炭化水素であり、Mは2価金属であり、Aは一塩基酸の有機酸残基を表す。)
で表される基、および、下記一般式(5):
Figure 2009011332
(上記一般式(5)中、R1、R2、R3は、同一または異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表す。)
で表される基を、それぞれ少なくとも1つ有する樹脂を含むことが好ましい。
上記一塩基酸は、一塩基環状有機酸であることが好ましい。また、上記一塩基酸は、ロジン類、水添ロジン類、不均化ロジン類、ナフテン酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、水添アビエチン酸からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、本発明の防汚塗料組成物において、バインダ樹脂(A)は、上記したような加水分解性樹脂とともに、または該加水分解性樹脂の代わりに、該加水分解性樹脂以外の他のバインダ樹脂を含んでいてもよい。他のバインダ樹脂としては、塩素化パラフィン、ロジン類および水添ロジン類などを好ましく用いることができる。
また、本発明は、上記いずれかに記載の防汚塗料組成物を用いて形成された防汚塗膜、ならびに、当該防汚塗膜を有する船舶および水中構造物を提供する。
本発明の防汚塗料組成物によれば、少量の防汚剤の配合量でも極めて高い防汚性を長期間にわたり持続でき、しかも耐クラック性に優れた防汚塗膜を形成することができる。本発明の防汚塗料組成物は、船舶、養殖を始めとする各種魚網、港湾施設、オイルフェンス、配管材料、橋梁、浮標、工業用水系施設、海底基地等の水中構造物表面を防汚するための防汚塗料として好適に用いることができる。
本発明の防汚塗料組成物は、バインダ樹脂(A)と、防汚剤(B)とを含む防汚塗料組成物であって、該防汚剤(B)は、金属ピリチオン(B1)と、トリフェニルボランアミン塩(B2)と、スルファミド系化合物(B3)と、を含有する。このような構成により、極めて防汚性が高く、耐クラック性に優れた防汚塗膜を形成することができる。以下、本発明の防汚塗料組成物中に含まれる各成分について詳細に説明する。
<バインダ樹脂(A)>
本発明の防汚塗料組成物に用いるバインダ樹脂としては、従来公知のものを用いることができるが、そのなかでも加水分解性樹脂であることが好ましい。バインダ樹脂として加水分解性樹脂を用いることにより、防汚剤による高い防汚性を、より長期間にわたって維持させることができる。
加水分解性樹脂としては、従来から防汚塗料に使用されている樹脂を用いることができるが、なかでもアクリル樹脂を好適に用いることができ、当該アクリル樹脂としては、(i)下記一般式(4)で表される基を有するアクリル樹脂、(ii)下記一般式(5)で表される基を有するアクリル樹脂、ならびに、(iii)下記一般式(4)で表される基および下記一般式(5)で表される基を同時に有するアクリル樹脂等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書中において、「アクリル樹脂」とは、樹脂の少なくとも一部が、(メタ)アクリル酸あるいはその誘導体または(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位からなる樹脂を意味する。(メタ)アクリル酸の誘導体には、(メタ)アクリル酸金属塩も含まれる。
Figure 2009011332
(上記一般式(4)中、Xは、
Figure 2009011332
で表される基であり、kは0または1であり、Yは炭化水素であり、Mは2価金属であり、Aは一塩基酸の有機酸残基を表す。)
Figure 2009011332
(上記一般式(5)中、R1、R2、R3は、同一または異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表す。)
上記(i)のアクリル樹脂の好ましい具体例としては、側鎖に、上記一般式(4)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(以下、アクリル樹脂(A1)ともいう。)を挙げることができる。これにより、得られる塗膜が安定したポリッシングレート(研磨速度)を長期間にわたって維持することができるため、より優れた長期防汚性を発揮させることができる。
上記一般式(4)において、Mは2価金属であり、たとえば、周期律表中の3A〜7A、8、1B〜7B族元素を挙げることができる。Mは、銅、亜鉛であることが好ましい。
上記一般式(4)において、Aは、一塩基酸の有機酸残基である。好ましい一塩基酸としては、たとえば、一塩基環状有機酸等を挙げることができる。一塩基環状有機酸としては特に限定されず、たとえば、ナフテン酸等のシクロアルキル基を有するもののほか、三環式樹脂酸等の樹脂酸およびこれらの塩等を挙げることができる。三環式樹脂酸としては特に限定されず、たとえば、ジテルペン系炭化水素骨格を有する一塩基酸等を挙げることができ、このようなものとしては、たとえば、アビエタン、ピマラン、イソピマラン、ラブダン各骨格を有する化合物を挙げることができる。より具体的には、たとえば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、水添アビエチン酸、パラストリン酸、ピマル酸、イソピマル酸、レボピマル酸、デキストロピマル酸、サンダラコピマル酸、およびこれらの塩等を挙げることができる。これらのうち、加水分解が適度に行われるので長期防汚性に優れるほか、塗膜の耐クラック性、入手容易性にも優れることから、アビエチン酸、水添アビエチン酸、およびこれらの塩が好ましい。さらに、好ましい一塩基環状有機酸としては、酸価が220mgKOH/g以下のものが挙げられる。酸価が220mgKOH/g以下の一塩基環状有機酸を用いることにより、得られるバインダ樹脂(A)の粘度を低下させることができるようになり、得られる塗料の溶剤含有量を減らすことができる。これはバインダ樹脂(A)の粘度が、一般式(4)で示される官能基同士の相互作用によるところが大きいためである。酸価が220mgKOH/g以下の一塩基環状有機酸を用いて得たバインダ樹脂(A)は、一塩基環状有機酸の立体反発が大きくなる傾向があり、該立体反発が一般式(4)で示される官能基同士の相互作用を阻害する働きがあると思われ、その結果、バインダ樹脂(A)の粘度を低下させることができるためである。
上記一塩基環状有機酸としては、高度に精製されたものである必要はなく、たとえば、松脂、松の樹脂酸等を使用することもできる。このようなものとしては、たとえば、ロジン類、水添ロジン類、不均化ロジン類等を挙げることができる。ここでいうロジン類とは、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等である。ロジン類、水添ロジン類および不均化ロジン類は、廉価で入手しやすく、取り扱い性に優れ、長期防汚性を発揮する点で好ましい。これらの一塩基環状有機酸は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明で使用できる一塩基酸のうち、上記一塩基環状有機酸以外のものとしては、たとえば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、クロル酢酸、フルオロ酢酸、吉草酸等の炭素数1〜20のもの等を挙げることができる。これらの一塩基酸は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(4)におけるYとしては、炭化水素であれば特に限定されず、たとえば、重合性不飽和有機酸単量体にフタル酸、コハク酸、マレイン酸等の二塩基酸を付加した場合における残基を挙げることができる。
アクリル樹脂(A1)の製造方法としては、特に限定されず、たとえば、(イ)重合性不飽和有機酸とその他の共重合可能な不飽和単量体とを重合させることにより得られた樹脂と、一塩基酸と金属化合物とを反応させる方法、(ロ)重合性不飽和有機酸と金属化合物と一塩基酸とを反応させるか、または、重合性不飽和有機酸と一塩基酸の金属塩とを反応させ、得られる金属含有不飽和単量体と、その他の共重合可能な不飽和単量体とを重合させる方法等を挙げることができる。
上記方法(イ)および(ロ)における重合性不飽和有機酸としては特に限定されず、たとえば、カルボキシル基を1つ以上有する重合性不飽和有機酸などを挙げることができる。より具体的には、たとえば、(メタ)アクリル酸等の不飽和一塩基酸;マレイン酸およびこのモノアルキルエステル、イタコン酸およびこのモノアルキルエステル等の不飽和二塩基酸およびこのモノアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのマレイン酸付加物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのフタル酸付加物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのコハク酸付加物等の不飽和一塩基酸ヒドロキシアルキルエステルの二塩基酸付加物等を挙げることができる。これらの重合性不飽和有機酸は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、方法(ロ)において、金属含有不飽和単量体として、その一部あるいは全部を2価金属ジ(メタ)アクリレートに置き換えて使用してもよい。2価金属ジ(メタ)アクリレートを用いた場合には、一般式(4)で示された基を介して樹脂が架橋構造となるが、そのような樹脂を用いることも可能である。
上記その他の共重合可能な不飽和単量体としては特に限定されず、たとえば、(メタ)アクリル酸エステル類として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のエステル部の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のエステル部の炭素数が1〜20の水酸基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸環状炭化水素エステル;(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、重合度2〜10のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル;炭素数1〜3のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート等の他、(メタ)アクリルアミド;スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルトルエン、アクリロニトリル等のビニル化合物;クロトン酸エステル類;マレイン酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類等の不飽和二塩基酸のジエステルを挙げることができる。上記(メタ)アクリル酸エステル類のエステル部分は炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルである。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記金属化合物としては特に限定されず、たとえば、金属酸化物、水酸化物、塩化物、硫化物、塩基性炭酸塩、酢酸金属塩等を挙げることができる。また、上記一塩基酸としては特に限定されず、たとえば、上述したものを挙げることができる。
アクリル樹脂(A1)の数平均分子量(GPC、ポリスチレン換算)としては特に限定されず、2000以上、100000以下であることが好ましく、3000以上、40000以下であることがより好ましい。2000未満であると、塗膜の造膜性が低下するおそれがあり、100000を超えると、得られる塗料の貯蔵安定性が悪くなり実用に適さないだけでなく、塗装時に大量の希釈溶剤の使用により公衆衛生、経済性等の点で好ましくない。
また、アクリル樹脂(A1)は、少なくとも1個の一般式(4)で示された基を含有している必要があるが、一般式(4)で示された基の含有率を調整することで、水中への塗膜溶出速度を所望の溶出速度に制御することができる。アクリル樹脂(A1)は、酸価100〜250mgKOH/gであることが好ましい。100mgKOH/g未満であると、側鎖に結合させる金属塩の量が少なくなり、防汚性に劣ることがあり、250mgKOH/gを超えると、溶出速度が速すぎて、長期の防汚性が得られにくい傾向にある。
上記(ii)のアクリル樹脂の好ましい具体例としては、側鎖に、上記一般式(5)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(以下、アクリル樹脂(A2)ともいう。)を挙げることができる。これにより、得られる塗膜が安定したポリッシングレート(研磨速度)を長期間にわたって維持することができるため、より優れた長期防汚性を発揮させることができる。
上記一般式(5)において、R1、R2およびR3は、同一または異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基等の炭素数が20以下の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロヘキシル基、置換シクロヘキシル基等の環状アルキル基;アリール基、置換アリール基等が挙げることができる。置換アリール基としては、ハロゲン、炭素数18程度までのアルキル基、アシル基、ニトロ基またはアミノ基等で置換されたアリール基等を挙げることができる。なかでも、得られる塗膜において安定したポリッシングレート(研磨速度)を示し、防汚性能を長期間安定して維持することができる観点から、イソプロピル基等が好ましい。
アクリル樹脂(A2)としては、たとえば、重合性不飽和単量体とトリオルガノシリル基を一部に有するモノマー成分等とを共重合させる方法によって得られるもの等を挙げることができるが、なかでも、下記一般式(6):
Figure 2009011332
で表されるトリオルガノシリル(メタ)アクリレートとその他の共重合可能な不飽和単量体とを共重合させることによって得られるものであることが好ましい。上記その他の共重合可能な不飽和単量体としては特に限定されず、上記アクリル樹脂(A1)について述べたものや、上記アクリル樹脂(A1)について述べた重合性不飽和有機酸を挙げることができる。これらの重合性不飽和有機酸およびその他の共重合可能な不飽和単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(6)で示されるトリオルガノシリル(メタ)アクリレートにおいて、Zは、水素原子またはメチル基を表す。上記R4、R5およびR6は、同一または異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表し、たとえば、上記R1、R2およびR3と同様の炭化水素残基を挙げることができる。
上記一般式(6)で示されるトリオルガノシリル(メタ)アクリレートの具体例としては特に限定されず、たとえば、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、トリエチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−プロピルシリル(メタ)アクリレート、トリ−i−プロピルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−i−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−s−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−アミルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−ヘキシルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−オクチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−ドデシルシリル(メタ)アクリレート、トリフェニルシリル(メタ)アクリレート、トリ−p−メチルフェニルシリル(メタ)アクリレート、トリベンジルシリル(メタ)アクリレート、エチルジメチルシリル(メタ)アクリレート、n−ブチルジメチルシリル(メタ)アクリレート、ジ−i−プロピル−n−ブチルシリル(メタ)アクリレート、n−オクチルジ−n−ブチルシリル(メタ)アクリレート、ジ−i−プロピルステアリルシリル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルフェニルシリル(メタ)アクリレート、t−ブチルジフェニルシリル(メタ)アクリレート、ラウリルジフェニルシリル(メタ)アクリレート、t−ブチル−m−ニトロフェニルメチルシリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なかでも、安定したポリッシングレート(研磨速度)を長期間維持する点から、トリ−i−プロピルシリル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのトリオルガノシリル(メタ)アクリレートは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂(A2)の数平均分子量としては特に限定されず、2000以上、100000以下であることが好ましく、3000以上、40000以下であることがより好ましい。2000未満であると、塗膜の造膜性が低下するおそれがあり、100000を超えると、得られる塗料の貯蔵安定性が悪くなり実用に適さないだけでなく、塗装時に大量の希釈溶剤を使用する必要があることから公衆衛生、経済性等の点で好ましくない。
上記(iii)のアクリル樹脂の好ましい具体例としては、側鎖に、上記一般式(4)で表される基を少なくとも1つ有し、かつ、上記一般式(5)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(以下、アクリル樹脂(A3)ともいう。)を挙げることができる。一般式(5)で示される基の含有率を調整することで、ポリッシングレート(研磨速度)を所望の速度に変化させることができるため、より優れた長期防汚性を発揮させることができる。
アクリル樹脂(A3)の製造方法としては、特に限定されず、たとえば、(I)重合性不飽和有機酸と上記一般式(6)で示されるトリオルガノシリル(メタ)アクリレートとその他の共重合可能な不飽和単量体とを重合させることにより得られた樹脂と、一塩基酸と金属化合物とを反応させる方法、(II)重合性不飽和有機酸と金属化合物と一塩基酸とを反応させるか、または、重合性不飽和有機酸と一塩基酸の金属塩とを反応させ、得られる金属含有不飽和単量体と、上記一般式(6)で示されるトリオルガノシリル(メタ)アクリレートと、その他の共重合可能な不飽和単量体とを重合させる方法等を挙げることができる。
アクリル樹脂(A3)は、上記一般式(5)で示される側鎖(たとえば、上記一般式(6)で示されるトリオルガノシリル(メタ)アクリレートに由来する側鎖)と、上記一般式(4)で示される側鎖とを、それぞれ少なくとも1つ有するものである。一般式(4)および一般式(5)で示される基の合計の含有率を変化させることで、得られる塗膜のポリッシングレート(研磨速度)を所望の速度に変化させることが可能となる。
また、本発明においては、バインダ樹脂(A)として、上記加水分解性樹脂以外の他のバインダ樹脂が用いられてもよい。他のバインダ樹脂を用いることによっても優れた防汚性および耐クラック性を得ることができる。他のバインダ樹脂としては、たとえば、塩素化パラフィン、ポリビニルエーテル、ポリプロピレンセバケート、部分水添ターフェニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリエーテルポリオール、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、シリコンオイル、ワックス、ワセリン、流動パラフィン、ロジン、水添ロジン、ナフテン酸、脂肪酸およびこれらの2価金属塩等を挙げることができる。なかでも塩素化パラフィン、ロジン、水添ロジンが好ましく用いられる。他のバインダ樹脂は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、バインダ樹脂(A)は、上記加水分解性樹脂のみを含有していてもよいし、上記他のバインダ樹脂のみを含有していてもよいし、あるいは加水分解性樹脂および他のバインダ樹脂を併用してもよいが、バインダ樹脂(A)が、加水分解性樹脂と他のバインダ樹脂とを、樹脂固形分に基づく質量比で100:0〜50:50(〔加水分解性樹脂〕:〔他のバインダ樹脂〕)の割合で含有すると、特に優れた長期防汚性を得ることができる。また、加水分解性樹脂とともに、上記他のバインダ樹脂を併用すると、塗膜の物性や塗膜の消耗速度の調整をより容易に行なえるようになる。
本発明の防汚塗料組成物において、バインダ樹脂(A)の含有量は、防汚塗料組成物に含有される固形分中、30〜70質量%であることが好ましく、40〜65質量%であることがより好ましい。30質量%未満である場合、塗膜にクラック・剥離等の欠陥が生じる傾向がある。また、70質量%を超える場合には、望ましい防汚効果が得られにくい傾向にある。なお、防汚塗料組成物に含有される固形分とは、防汚塗料組成物に含まれる溶剤以外の成分の合計をいう。
<防汚剤(B)>
本発明の防汚塗料組成物は、防汚剤(B)として、金属ピリチオン(B1)と、トリフェニルボランアミン塩(B2)と、スルファミド系化合物(B3)と、を含有するものである。かかる防汚剤の組み合わせによれば、従来知られていた防汚剤の単独使用および組み合わせ使用と比較して、格段に高い長期防汚性を付与することができる。特に、かかる防汚剤の組み合わせにより、防汚剤の配合量をこれまで知られていたレベルよりも少量とした場合であっても、従来と同等レベル以上の防汚性を発揮できるという、予期せぬ効果が得られることが見出された。その結果、従来、得られる塗膜の防汚性を高めるために配合されていた防汚剤の配合量の多さが、長期使用における塗膜の耐クラック性を悪化させる一因になっていたが、本発明により、かかる問題が解決され、防汚性に優れるとともに、優れた耐クラック性を有する防汚塗膜を得ることが可能となった。
本発明の防汚塗料組成物に含有される金属ピリチオン(B1)としては、たとえば、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、鉛等のピリチオン類を挙げることができる。なかでも、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩(ジンクピリチオン)、2−ピリジンチオール−1−オキシド銅塩(銅ピリチオン)等が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
金属ピリチオン(B1)の含有量(複数用いられる場合にはその合計量)は、防汚塗料組成物に含有される固形分中、3〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。3質量%未満である場合、望ましい防汚効果が得られにくい傾向がある。また、20質量%を超える場合には、塗膜にクラック・剥離等の欠陥が生じる傾向がある。
本発明の防汚塗料組成物に含有されるトリフェニルボランアミン塩(B2)は、トリフェニルボランとアミン類とにより形成される錯体である。アミン類としては、特に限定されないが、たとえば、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン、アニリン、トルイジン等の第一アミン;ジn−ブチルアミン、ジn−ヘキシルアミン、ジn−オクチルアミン、ジn−デシルアミン、ジn−ドデシルアミン、ジn−トリデシルアミン、ジn−テトラデシルアミン、ジn−ヘキサデシルアミン、ジn−オクタデシルアミン、ジフェニルアミン等の第二アミン;トリn−プロピルアミン、トリn−ヘキシルアミン、トリn−オクチルアミン、トリn−デシルアミン、トリn−ドデシルアミン、トリn−トリデシルアミン、トリn−テトラデシルアミン、トリn−ヘキサデシルアミン、トリn−オクタデシルアミン、トリフェニルアミン等の第三アミン;ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、4−クロロピリジンなどのピリジンまたはその核置換体等のピリジン類などを挙げることができる。これらのトリフェニルボランアミン塩は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のなかでも、アミン類としてピリジンを用いたピリジントリフェニルボランは、防汚性能に優れており、好ましく用いられる。
トリフェニルボランアミン塩(B2)の含有量(複数用いられる場合にはその合計量)は、防汚塗料組成物に含有される固形分中、3〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。3質量%未満である場合、望ましい防汚効果が得られにくい傾向がある。また、30質量%を超える場合には、塗膜にクラック・剥離等の欠陥が生じる傾向がある。
本発明の防汚塗料組成物に含有される、スルファミド系化合物(B3)は、下記一般式(1):
Figure 2009011332
(上記一般式(1)中、Rは、水素原子または炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基である。)
で表される化合物である。
これらのなかでは、防汚効果の観点から、上記一般式(1)におけるRが水素原子であるか、またはメチル基である、下記式(2)または(3)のスルファミド系化合物であることが好ましい。
Figure 2009011332
Figure 2009011332
なお、上記式(2)の化合物は、N−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N’,N’−ジメチル−N−フェニルスルファミドまたは1,1−ジクロロ−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−1−フルオロ−N−フェニルメタンスルフェンアミドと称される化合物であり、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミドやN−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N’,N’−ジメチル−N−フェニルスルファミドと称される場合もある。上記式(3)の化合物は、N−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N’,N’−ジメチル−N−(4−メチルフェニル)スルファミドまたは1,1−ジクロロ−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−1−フルオロ−N−(4−メチルフェニル)メタンスルフェンアミドと称される化合物である。
上記式(2)および式(3)の化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。
スルファミド系化合物(B3)の含有量(複数用いられる場合にはその合計量)は、防汚塗料組成物に含有される固形分中、3〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。3質量%未満である場合、望ましい防汚効果が得られにくい傾向がある。また、20質量%を超える場合には、塗膜にクラック・剥離等の欠陥が生じる傾向がある。
また、上記金属ピリチオン(B1)、トリフェニルボランアミン塩(B2)およびスルファミド系化合物(B3)の合計含有量は、防汚塗料組成物に含有される固形分中、10〜50質量%であることが好ましく、15〜45質量%であることがより好ましい。10質量%未満である場合、防汚効果が得られにくい傾向がある。また、50質量%を超える場合には、塗膜にクラック・剥離等の欠陥が生じる傾向がある。
金属ピリチオン(B1)の含有量(複数用いられる場合にはその合計量)に対する、トリフェニルボランアミン塩(B2)の含有量(複数用いられる場合にはその合計量)の比(質量比)は、0.5/1〜10/1であることが好ましく、1/1〜5/1であることがより好ましい。当該質量比が、0.5/1未満である場合、耐動物防汚性が低下する傾向がある。また、10/1を超える場合には、耐藻類防汚性が低下する傾向がある。
また、金属ピリチオン(B1)の含有量(複数用いられる場合にはその合計量)に対する、スルファミド系化合物(B3)の含有量(複数用いられる場合にはその合計量)の比(質量比)は、0.5/1〜10/1であることが好ましく、1/1〜5/1であることがより好ましい。当該質量比が、0.5/1未満である場合、耐動物防汚性が低下する傾向がある。また、10/1を超える場合には、耐藻類防汚性が低下する傾向がある。
本発明の防汚塗料組成物は、上記(B1)〜(B3)以外のその他の防汚剤をさらに含んでいてもよい。その他の防汚剤としては、特に限定されず、公知のものを使用することができ、たとえば、無機化合物、金属を含む有機化合物および金属を含まない有機化合物等を挙げることができる。
その他の防汚剤の具体例を挙げれば、特に限定されないが、たとえば、亜酸化銅、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート、ジンクジメチルカーバーメート、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,4,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、ジンクエチレンビスジチオカーバーメート、ロダン銅(チオシアン酸銅)、4,5,−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)イソチアゾロン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、テトラメチルチウラムジサルファイド、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピルブチルカーバーメート、ジヨードメチルパラトリスルホン、フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール等である。これらの防汚剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の防汚剤を併用する場合、すべての防汚剤の合計量に占めるその他の防汚剤の割合は、55質量%以下とすることが好ましく、50質量%以下とすることがより好ましい。その他の防汚剤の含有量が55質量%を超える場合、上記(B1)〜(B3)の防汚剤を添加することによる効果が十分に得られず、その結果、長期防汚性と耐クラック性の両立が十分でない傾向にある。
<その他の添加剤>
本発明の防汚塗料組成物は、可塑剤、顔料、溶剤等の慣用の添加剤を含んでいてもよい。可塑剤としては、たとえば、ジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;アジピン酸イソブチル、セバシン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールアルキルエステル等のグリコールエステル系可塑剤;トリクレンジリン酸、トリクロロエチルリン酸等のリン酸エステル系可塑剤;エポキシ大豆油、エポキシステアリン酸オクチル等のエポキシ系可塑剤;ジオクチル錫ラウリレート、ジブチル錫ラウリレート等の有機錫系可塑剤;トリメリット酸トリオクチル、トリアセチレン等を挙げることができる。これらの可塑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
顔料としては、たとえば、沈降性バリウム、タルク、クレー、白亜、シリカホワイト、アルミナホワイト、ベントナイト等の体質顔料;酸化チタン、酸化ジルコン、塩基性硫酸鉛、酸化スズ、カーボンブラック、黒鉛、ベンガラ(弁柄)、クロムイエロー、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、キナクリドン等の着色顔料等を挙げることができる。これらの顔料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶剤としては、たとえば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロペンタン、オクタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ホワイトスピリット等の炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ベンジル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;n−ブタノール、プロピルアルコール等のアルコール等を挙げることができる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のほか、たとえば、フタル酸モノブチル、コハク酸モノオクチル等のジカルボン酸のモノエステル、樟脳、ひまし油;水結合剤、タレ止め剤;色分かれ防止剤;沈降防止剤;消泡剤等を添加してもよい。
本発明の防汚塗料組成物は、たとえば、上記加水分解性樹脂等のバインダ樹脂(A)に、上記防汚剤(B1)〜(B3)、ならびに、必要に応じてその他の防汚剤、可塑剤、塗膜消耗調整剤、顔料、溶剤等の慣用の添加剤を添加し、ボールミル、ペブルミル、ロールミル、サンドグラインドミル等の混合機を用いて混合することにより、調製することができる。
防汚塗膜は、得られた防汚塗料組成物を、常法に従って被塗物の表面に塗布した後、常温下または加熱下で溶剤を揮散除去することによって形成することができる。被塗物としては、特に限定されず、たとえば、船舶や、各種魚網、港湾施設、オイルフェンス、配管材料、橋梁、海底基地等の水中構造物などを挙げることができる。本発明の防汚塗料組成物を用いて形成された防汚塗膜は、高い防汚性を長期にわたって持続することができ、しかも優れた耐クラック性を有するものであり、このような極めて優れた長期防汚性と耐クラック性とが両立された防汚塗膜は、本発明の防汚塗料組成物の特有の構成によって実現されるものである。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(製造例1)アクリル樹脂ワニス1の調製
攪拌機、冷却機、温度制御装置、窒素導入管、滴下ロートを備えた4つ口フラスコにキシレン64質量部、n−ブタノール16質量部を加え100℃に保った。この溶液中に表1の配合(質量部)に従ったモノマーおよびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2質量部からなる混合液を3時間にわたり等速滴下し、滴下終了後30分間保温した。その後、キシレン16質量部、n−ブタノール4質量部およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2質量部からなる混合液を30分間にわたり等速滴下し、滴下終了後1時間30分間保温することにより樹脂ワニスIを得た。得られた樹脂ワニスI中の固形分は49.8質量%であり、粘度は4.4ポイズであった。また、当該樹脂ワニスI中の樹脂の酸価は130であった。得られた樹脂の酸価および樹脂ワニスI中の固形分を表1にまとめた。なお、表1中に記載のモノマーの略称は、下記の化合物を示す。
(1)EA:アクリル酸エチル
(2)CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
(3)CHA:アクリル酸シクロヘキシル
(4)M−90G:メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル(NKエステルM−90G、新中村化学社製)
(5)MMA:メタクリル酸メチル
(6)AA:アクリル酸
(7)MAA:メタクリル酸
(8)TIPSI:アクリル酸トリイソプロピルシリル
次に、同様の反応容器に、樹脂ワニスI 100質量部、酢酸亜鉛25.4質量部、ナフテン酸(NA−165、酸価165、大和油脂工業社製)32.4質量部、キシレン110質量部を加えて130℃に加熱し、溶剤とともに酢酸を除去することにより、固形分が41.5質量%のアクリル樹脂ワニス1を得た。粘度は12.3ポイズであった。
(製造例2)アクリル樹脂ワニス2の調製
上記製造例1と同様の反応容器に、キシレン64質量部、n−ブタノール16質量部を加え115℃に保った。この溶液中に表1の配合(質量部)に従ったモノマーおよびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3質量部からなる混合液を3時間にわたり等速滴下し、滴下終了後30分間保温した。その後、キシレン16質量部、n−ブタノール4質量部およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2質量部からなる混合液を30分間にわたり等速滴下し、滴下終了後、1.5時間保温することにより樹脂ワニスIIを得た。得られた樹脂ワニスII中の固形分は49.7質量%であり、粘度は9.5ポイズであった。また、当該樹脂ワニスII中の樹脂の数平均分子量(GPC、ポリスチレン換算)は6500であり、酸価は160であった。得られた樹脂の酸価および樹脂ワニスII中の固形分を表1にまとめた。
次に、同様の反応容器に、樹脂ワニスII 100質量部、酢酸銅29.6質量部、ピバリン酸12.6質量部を用いること以外は、上記製造例1と同様にして反応を行ない、固形分が45.2質量%のアクリル樹脂ワニス2を得た。
(製造例3)アクリル樹脂ワニス3の調製
上記製造例1と同様の反応容器に、キシロール50質量部を加え90℃に保った。この溶液中に表1の配合(質量部)に従ったモノマーおよびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1質量部からなる混合液を3時間にわたり等速滴下し、滴下終了後30分間保温した。その後、キシロール7質量部およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2質量部からなる混合液を30分間にわたり等速滴下し、滴下終了後、1.5時間保温した。その後、60℃まで冷却しキシロール10質量部を加えることによりアクリル樹脂ワニス3を得た。得られたアクリル樹脂ワニス3中の固形分は60.0質量%であり、粘度は7.5ポイズであった。また、アクリル樹脂ワニス3中の樹脂の数平均分子量(GPC、ポリスチレン換算)は8000であった。アクリル樹脂ワニス3中の固形分およびアクリル樹脂ワニス3のガードナー粘度(25℃)を表1にまとめた。
(製造例4)アクリル樹脂ワニス4の調製
上記製造例1と同様の反応容器に、キシレン64質量部、n−ブタノール16質量部を加え115℃に保った。この溶液中に表1の配合(質量部)に従ったモノマーおよびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2質量部からなる混合液を3時間にわたり等速滴下し、滴下終了後30分間保温した。その後、キシレン16質量部、n−ブタノール4質量部およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2質量部からなる混合液を30分間にわたり等速滴下し、滴下終了後、1.5時間保温することにより樹脂ワニスIVを得た。得られた樹脂ワニスIV中の固形分は49.6質量%であり、粘度は6ポイズであった。また、当該樹脂ワニスIV中の樹脂の数平均分子量(GPC、ポリスチレン換算)は6000であり、酸価は70mgKOH/gであった。得られた樹脂の酸価および樹脂ワニスIV中の固形分を表1にまとめた。
次に、同様の反応容器に、樹脂ワニスIV 100質量部、酢酸銅37.06質量部、ナフテン酸(NA−165、酸価165、大和油脂工業社製)60.6質量部を用いること以外は、上記製造例1と同様にして反応を行ない、固形分が50.6質量%のアクリル樹脂ワニス4を得た。
Figure 2009011332
<実施例1〜35および比較例1〜11>
上記製造例1〜4で得られたアクリル樹脂ワニス1〜4および表2〜5に示すその他の成分を使用して、高速ディスパーにて混合することにより、防汚塗料組成物を調製し、下記評価方法に従って長期防汚性、耐クラック性および塗膜状態を評価した。なお、表2〜5に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
(1)亜酸化銅:NCテック(株)製「NC−301」
(2)亜鉛華:堺化学工業(株)製「酸化亜鉛2種」
(3)弁柄:戸田工業(株)製「トダカラーKN−R」
(4)防汚剤1:ZPT(ジンクピリチオン)(アーチケミカル社製「ジンクオマジン」)
(5)防汚剤2:CuPT(銅ピリチオン)(アーチケミカル社製「カッパーオマジン」)
(6)防汚剤3:ピリジントリフェニルボラン(北興化学工業(株)製「PK」)
(7)防汚剤4:トリフェニルボラン・n−オクタデシルアミン錯体(ベニートヤマ(株)製「YN−18−20」)
(8)防汚剤5:1,1−ジクロロ−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−1−フルオロ−N−フェニルメタンスルフェンアミド(ランクセス社製「プリベントール A4S」)
(9)防汚剤6:1,1−ジクロロ−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−1−フルオロ−N−(4−メチルフェニル)メタンスルフェンアミド(ランクセス社製「プリベントール A5S」)
(10)防汚剤7:4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(4,5−ジクロロ−2−nオクチル−3(2H)イソチアゾロン)(ロームアンドハース社製「シーナイン211」)
(11)塩素化パラフィン:東ソー(株)製「トヨパラックス A50」
(12)ウッドロジン:荒川化学工業(株)製「WWロジン」
(13)タレ防止剤:楠本化成社製「ディスパロン A600−20X」
Figure 2009011332
Figure 2009011332
Figure 2009011332
Figure 2009011332
(評価)
(1)長期防汚性
実施例1〜35および比較例1〜11の防汚塗料組成物を、あらかじめ防錆塗料が塗布されたブラスト板に乾燥膜厚が300μmとなるように塗布し、2昼夜室内に放置することにより乾燥させて、防汚塗膜を有する試験板を得た。得られた試験板を、岡山県玉野市にある日本ペイントマリン社臨海研究所設置の実験用筏で生物付着試験を行ない、防汚性を評価した。結果を表2〜5に示す。表2〜5中の月数は筏浸漬期間を示す。また、数値は生物付着面積の塗膜面積に占める割合(%)(目視判定)を示し、15%以下を合格とした。
(2)塗膜状態
上記長期防汚性試験における筏浸漬期間6ヶ月の試験板の塗膜状態を目視およびラビングで観察し、評価した。結果を表2〜5に示す。クラックが確認されなかったものをAとし、クラックが確認されたものをBとした。
(3)耐クラック性試験(乾湿交番試験)
実施例1〜35および比較例1〜11の防汚塗料組成物を、あらかじめ防錆塗料が塗布されたブラスト板に乾燥膜厚が300μmとなるように塗布し、2昼夜室内に放置することにより乾燥させて、防汚塗膜を有する試験板を得た。得られた試験板を、40℃の海水に1週間浸漬した後、1週間室内乾燥を行ない、これを1サイクルとした乾湿交番試験を最大20サイクルまで実施した。途中で塗膜にクラックが発生した場合は、クラックが発生した時点で試験を終了し、その時点でのサイクル数を表2〜5に記載した。20サイクル行なってもクラック発生がないものをAとした。
表2〜5に示されるように、実施例の防汚塗料組成物から得られる防汚塗膜は、極めて優れた防汚性を長期間維持することができ、耐クラック性にも優れていることがわかる。また、塗膜状態も長期にわたり良好であることがわかった。特に、加水分解性樹脂を含むアクリル樹脂ワニス1〜4のいずれかと、塩素化パラフィンおよび/またはロジンとを100:0〜50:50の割合で併用すると、優れた防汚性をより長期にわたって発揮できることがわかる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (11)

  1. バインダ樹脂(A)と、防汚剤(B)とを含み、
    前記防汚剤(B)は、金属ピリチオン(B1)と、トリフェニルボランアミン塩(B2)と、下記一般式(1):
    Figure 2009011332
    (上記一般式(1)中、Rは、水素原子または炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基である。)
    で表されるスルファミド系化合物(B3)と、を含有する防汚塗料組成物。
  2. 前記トリフェニルボランアミン塩(B2)は、ピリジントリフェニルボランを含む請求の範囲第1項に記載の防汚塗料組成物。
  3. 前記スルファミド系化合物(B3)は、下記式(2)および下記式(3)で示される化合物から選択される1種以上の化合物を含む請求の範囲第1項に記載の防汚塗料組成物。
    Figure 2009011332
    Figure 2009011332
  4. 前記バインダ樹脂(A)は、側鎖に、下記一般式(4):
    Figure 2009011332
    (上記一般式(4)中、Xは、
    Figure 2009011332
    で表される基であり、kは0または1であり、Yは炭化水素であり、Mは2価金属であり、Aは一塩基酸の有機酸残基を表す。)
    で表される基を少なくとも1つ有する樹脂を含む、請求の範囲第1項に記載の防汚塗料組成物。
  5. 前記バインダ樹脂(A)は、側鎖に、下記一般式(5):
    Figure 2009011332
    (上記一般式(5)中、R1、R2、R3は、同一または異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表す。)
    で表される基を少なくとも1つ有する樹脂を含む、請求の範囲第1項に記載の防汚塗料組成物。
  6. 前記バインダ樹脂(A)は、側鎖に、下記一般式(4):
    Figure 2009011332
    (上記一般式(4)中、Xは、
    Figure 2009011332
    で表される基であり、kは0または1であり、Yは炭化水素であり、Mは2価金属であり、Aは一塩基酸の有機酸残基を表す。)
    で表される基、および、下記一般式(5):
    Figure 2009011332
    (上記一般式(5)中、R1、R2、R3は、同一または異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表す。)
    で表される基を、それぞれ少なくとも1つ有する樹脂を含む、請求の範囲第1項に記載の防汚塗料組成物。
  7. 前記一塩基酸は、一塩基環状有機酸である請求の範囲第4項または第6項に記載の防汚塗料組成物。
  8. 前記一塩基酸は、ロジン類、水添ロジン類、不均化ロジン類、ナフテン酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、水添アビエチン酸からなる群から選択される少なくとも1種である請求の範囲第4項または第6項に記載の防汚塗料組成物。
  9. 前記バインダ樹脂(A)は、塩素化パラフィン、ロジン類および水添ロジン類からなる群から選択される少なくとも一種を含む請求の範囲第1項に記載の防汚塗料組成物。
  10. 請求の範囲第1項に記載の防汚塗料組成物を用いて形成された防汚塗膜。
  11. 請求の範囲第10項に記載の防汚塗膜を有する船舶または水中構造物。
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