JPWO2008136420A1 - ホエイタンパク質を高濃度で含む液状栄養組成物およびその製造方法 - Google Patents

ホエイタンパク質を高濃度で含む液状栄養組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、タンパク質30〜100mg/mlと、脂質20〜100mg/mlと、糖質50〜350mg/mlとを含んでなり、かつ組成物の熱量が1kcal/ml以上で、pHが4〜8である、液状栄養組成物であって、前記タンパク質に含まれるホエイタンパク質が、組成物全体に対し8mg/ml以上の濃度で含まれることを特徴とする液状栄養組成物に関する。本発明においては、液状栄養組成物を調製する際に、ホエイタンパク質を55℃以下で添加し混合し、得られた調合液を高温殺菌した後に均質化する。本発明によれば、タンパク質を一般的な栄養食品の濃度もしくはそれ以上の濃度で含み、かつ、タンパク質中におけるホエイタンパク質の割合が高められている一方で、ゲル化や凝集などを起こさない、良好な熱安定性や物性を有する液状栄養組成物を提供することができる。

Description

関連出願の参照
本願は、先行する日本国特許出願である特願2007−119847号(出願日:2007年4月27日)に基づくものであって、その優先権の利益を主張するものであり、その開示内容全体は参照することにより、ここに組み込まれる。
発明の背景
発明の分野
本発明は、流動食や医療食などに好適に用いることができる、ホエイタンパク質を高濃度で含む液状栄養組成物に関する。より詳しくは本発明は、液状栄養組成物に含まれるタンパク質において、それを構成するホエイタンパク質の割合を意図的に高める一方で、ゲル化や凝集などを起こさない、熱安定性や物性が良好な液状栄養組成物に関する。
背景技術
市販されている液状栄養食品(通常の流動食・医療食、経腸栄養剤など)においては、一般に、タンパク質源として主に、乳タンパク質濃縮物(MPC(Milk Protein Concentrate))やカゼインが使用されている。このような液状栄養食品の例としては、例えば、MPCをタンパク質源として使用した「メイバランス1.0ZCS」(商品名)(明治乳業株式会社製)などが挙げられる。このようなタンパク質源としてMPCを使用する液状栄養食品では、通常、タンパク質濃度は4重量%程度であり、その熱量は1kcal/ml以上、例えば1〜2kcal/ml程度である。MPCにおけるタンパク質の構成は、典型的には、カゼインの含有率が80重量%で、ホエイタンパク質の含有率が20重量%である。したがって、既存の一般的な液状栄養食品では、ホエイタンパク質の濃度は8mg/ml程度であると言える。
病院や施設などの臨床現場では、ホエイタンパク質を、血中のアルブミン濃度を制御するために使用することがある。この場合、液状栄養食品のタンパク質濃度を、一般的な栄養食品のレベルである40mg/ml程度に維持しつつ、ホエイタンパク質の濃度をさらに高めることが望ましい。臨床現場では、現状、患者が摂取する直前に既存の液状栄養食品へ、ホエイ粉末(例えば、「メイプロテイン」(商品名)、明治乳業株式会社製)などのホエイタンパク質分を添加して混合し(溶解または分散し)、ホエイタンパク質の濃度を高めて使用することが行われている。
このように、臨床現場では、ホエイタンパク質を高濃度で含む液状栄養食品(ホエイタンパク質の含量の高い流動食および医療食など)の必要性および要望は依然として高いと言える。
実際に、ホエイタンパク質自体の効能や効果に対する期待は大きく、例えば、ホエイタンパク質を15mg/ml(タンパク質に換算して30mg/ml)で含む液状栄養食品が市販されている。ただし、このような市販の液状栄養食品では、タンパク質の濃度は一般的な栄養食品のレベルである40mg/mlよりも低い、30mg/ml程度に設定されている。これはホエイタンパク質の濃度を高めた場合に起こりうる、ゲル化や凝集の問題を回避するためと考えられる。他にも、ホエイタンパク質を35mg/ml程度で含む果汁系の飲料などもあるが、ここではpHを3.7以下の酸性とすることが必須とされている。
特開2004−97116号公報には、カゼインナトリウム0.1〜6重量%と、乳清タンパク質0.1〜6重量%と、乳タンパク質0.1〜7重量%とを含む、高タンパク質の液状飲食品組成物が開示されている。ここでは、高タンパク質の組成物における乳化安定性や風味の改善が目的とされており、このため、カゼインナトリウムや粉乳(全脂粉乳、脱脂粉乳など)の使用が必須とされている。また、ここでは、具体的な製造方法が記載されておらず、実施例ではリン酸塩やクエン酸塩も必須とされている。
本発明者らの知る限り、タンパク質を一般的な栄養食品のレベルで含みつつ、そのタンパク質中におけるホエイタンパク質の割合を意図的に高めた液状栄養食品であって、pHが中性付近にある液状栄養食品は、これまで存在していなかった。これは、流動食などのようなタンパク質を高濃度で含む水溶液に、ホエイタンパク質を高濃度で添加して混合すると、ホエイタンパク質の熱安定性(耐熱性)が悪いことに伴って、調合(添加および混合)や殺菌などの製造条件の確立が困難となるためである。すなわち、タンパク質を高濃度で含む水溶液に、ホエイタンパク質を高濃度で添加して混合すると、ホエイタンパク質がゲル化して粘度が増加したり、ホエイタンパク質が凝集して沈殿したりするなどの現象が起こる。これは、製品の特性上、問題となる。このゲル化や凝集を防ぐ手段として、例えば、液状栄養食品の熱量、全固形分の濃度、または全タンパク質の濃度などを低くすることが考えられるが、液状栄養食品の熱量や濃度を低くすると、栄養食品の本来の目的である、十分な栄養補給を確保するのが困難となる。
このため、依然として、ホエイタンパク質を従来よりも高濃度で含む液状栄養食品の開発が望まれていると言える。
発明の概要
本発明者らは今般、液状栄養食品を調製する際に、ホエイタンパク質を特定の温度以下で添加し混合し、得られた調合液を高温殺菌した後に均質化することによって、高タンパクの液状栄養食品において、ホエイタンパク質が高濃度で存在する場合であっても、ゲル化や凝集などを起こすことなく、良好な熱安定性や物性を維持できることを、予想外にも発見した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
ペプチドやアミノ酸は水溶液に高濃度で存在する状態でも、ゲル化や凝集などが起こりにくく、良好な熱安定性や物性を維持しやすい。一方、ホエイタンパク質は水溶液に高濃度で存在する状態では、ゲル化や凝集などが起こりやすく、良好な熱安定性や物性を維持しにくい。このため、本発明においては、ホエイタンパク質には、ホエイタンパク質の分解物である低分子のペプチドやアミノ酸が高濃度で含まれると良いこととなるが、高分子のタンパク質が主要成分で含まれていても良い。本発明においては、調合や殺菌などの製造条件を工夫することにより、ホエイタンパク質の変性を最小限にし、液状栄養食品におけるホエイタンパク質のゲル化や凝集を抑制できたと考えられる。
よって本発明は、タンパク質を一般的な栄養食品の濃度もしくはそれ以上の濃度で含み、かつ、タンパク質中におけるホエイタンパク質の割合が高められている一方で、ゲル化や凝集などを起こさない、良好な熱安定性や物性を有する液状栄養組成物(流動食などを含む)の提供をその目的とする。
本発明による液状栄養組成物は、タンパク質30〜100mg/mlと、脂質20〜100mg/mlと、糖質50〜350mg/mlとを含んでなり、かつ組成物の熱量が1kcal/ml以上で、pHが4〜8である、液状栄養組成物であって、
前記タンパク質に含まれるホエイタンパク質が、組成物全体に対し8mg/ml以上の濃度で含まれることを特徴とするものである。
本発明の一つの好ましい態様によれば、前記組成物におけるタンパク質濃度が30〜40mg/mlである場合に、前記タンパク質がホエイタンパク質を50重量%よりも高い割合で含む。
本発明の一つの好ましい態様によれば、組成物におけるタンパク質濃度が40〜100mg/mlである場合に、前記タンパク質がホエイタンパク質を20重量%よりも高い割合で含む。
本発明の別の一つの好ましい態様によれば、本発明による液状栄養組成物は、タンパク質にホエイタンパク質を30重量%以上の割合で含む。
本発明の一つのより好ましい態様によれば、本発明による液状栄養組成物において、ホエイタンパク質は加水分解および/または酵素分解されていないものである。
本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明による液状栄養組成物は、食品として提供される。本発明の別の一つの好ましい態様によれば、本発明による液状栄養組成物は、流動食、医療食、経腸栄養剤、または栄養補給飲食品として提供される。
本発明の別の態様によれば、タンパク質と、脂質と、糖質とを含んでなり、かつ組成物の熱量が1kcal/ml以上で、pHが4〜8である、液状栄養組成物であって、前記タンパク質がホエイタンパク質を20重量%よりも高い割合で含む液状栄養組成物の製造方法であって、
タンパク質と、脂質と、糖質とを含む水溶液に、ホエイタンパク質を55℃以下の温度条件下にて添加して混合し、得られた調合液を高温殺菌した後に均質化することを含んでなる、製造方法が提供される。
本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明による液状栄養組成物の製造方法において、液状栄養組成物におけるタンパク質は、ホエイタンパク質を30重量%以上の割合で含む。また本発明のより好ましい態様よれば、本発明による液状栄養組成物の製造方法において、液状栄養組成物は、タンパク質30〜100mg/mlと、脂質20〜100mg/mlと、糖質50〜350mg/mlとを含んでなる。
本発明の別の態様によれば、本発明による液状栄養食品は、熱量が1kcal/ml以上、pHが4〜8で、タンパク質を30〜40mg/ml、脂質を20〜100mg/ml、糖質を50〜350mg/mlで含み、前記タンパク質にホエイタンパク質を50重量%よりも高い割合で含むことを特徴とするものであることができる。
本発明のさらに別の態様によれば、本発明による液状栄養食品は、熱量が1kcal/ml以上、pHが4〜8で、タンパク質を40〜100mg/ml、脂質を20〜100mg/ml、糖質を50〜350mg/mlで含み、前記タンパク質にホエイタンパク質を20重量%よりも高い割合で含むことを特徴とするものであることができる。
好ましくは、本発明による液状栄養食品において、ホエイタンパク質が加水分解および/または酵素分解されていないことを特徴とする。
本発明の他の態様によれば、本発明による液状栄養食品の製造方法は、熱量が1kcal/ml以上、pHが4〜8で、タンパク質、脂質、糖質を含み、前記タンパク質にホエイタンパク質を20重量%よりも高い割合で含む液状栄養食品の製造方法であって、ホエイタンパク質を55℃以下で調合し、その得られた調合液を高温殺菌した後に均質化することを特徴とするものであることができる。このとき、好ましくは、タンパク質にホエイタンパク質を30重量%以上の割合で含む。
本発明によれば、ホエイタンパク質を高濃度で含みながら、ゲル化や凝集などを起こさず、良好な熱安定性や物性を有する液状栄養組成物を提供することができる。従来、要介護者など患者が流動食を飲用する直前に、液状栄養食品へホエイタンパク質を添加して調製していたが、この際、ゲル化や凝集などを完全には避けることはできなかった。本発明においては、液状栄養食品へ予めホエイタンパク質が高濃度で含まれているため、ゲル化や凝集の発生など、流動食摂取における危険因子を予め排除することができる。このため、安全かつ安心して使用することができる。また、本発明による液状栄養組成物を、臨床現場などで用いることで、流動食などへホエイタンパク質を添加する現場での作業が不要となり、介護者の作業性を飛躍的に向上することができる。さらにホエイタンパク質の補給は、夏期に頻繁に実施されることが多いため、これら臨床現場における、介護者の作業負担を大幅に軽減できる。
発明の具体的説明
液状栄養組成物
本発明による液状栄養組成物は、前記したように、タンパク質30〜100mg/mlと、脂質20〜100mg/mlと、糖質50〜350mg/mlとを含んでなり、かつ組成物の熱量が1kcal/ml以上で、pHが4〜8である、液状栄養組成物であって、前記タンパク質に含まれるホエイタンパク質が、組成物全体に対し8mg/ml以上の濃度で含まれることを特徴とするものである。ここで、「液状」とは、本発明による組成物が、水を主成分とし、かつ、ホエイタンパク質を含むタンパク質、脂質、および、糖質が、水に溶解している水溶液であることを意味する。
本発明による液状栄養組成物は、主として栄養補給を目的としたものであり、単独で、そのまま食品として摂取する他、市販の流動食などの栄養食品もしくは栄養補給剤と任意の割合で混合して、熱量(カロリー)や濃度を調節しながら、患者もしくは健常者向けに推奨される、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン類、およびミネラル類の摂取量の範囲を維持しつつ、個々の使用者(もしくは患者)向けの食品または栄養補給剤(流動食、医療食、経腸栄養剤など)とし摂取することができる。
このとき、タンパク質、脂質、および糖質などの前記摂取量を決定する目的で、例えば、「日本人の食事摂取基準」(日本国厚生労働省による)などのような、健康や保健の観点から各国の政府機関や公的機関、学術機関などが公表または推奨している基準を適宜参照することができる。
本発明による液状栄養組成物はまた、従来品においては含有量が十分でないホエイタンパク質について、ホエイタンパク質の補給を目的としたものでもある。このため、本発明による液状栄養組成物を単独で、そのまま摂取する他、市販の流動食など栄養食品もしくは栄養補給剤と任意の割合で混合することにより、ホエイタンパク質濃度を調節しながら、個々の使用者(もしくは患者)向けの食品または栄養補給剤とし摂取することができる。
熱量
本発明の液状栄養組成物の熱量(もしくは、エネルギー値)は、好ましくは1〜3kcal/ml、より好ましくは1〜2.5kcal/ml、さらに好ましくは1〜2kcal/ml、さらにより好ましくは1.5〜2kcal/mlである。一般的に、液状栄養組成物の熱量が高いと、タンパク質等の成分の濃度が高くなるため、ゲル化や凝集が起こり易くなる。すなわち、液状栄養組成物の熱量が高すぎると、本発明の効果や作用が発揮されても、ゲル化や凝集を完全に抑制することは困難となる。一方、液状栄養組成物の熱量が低いと、ゲル化や凝集は起こり難くなるものの、本発明において望まれる効果や作用が発揮され難くなる。このため、液状栄養組成物の熱量を適切なレベルに調整することが望ましいと言える。
本発明の組成物が上記熱量を達成するためには、組成物中において、例えば、タンパク質を30〜100mg/ml、脂質を20〜100mg/ml、および糖質を50〜350mg/mlの各範囲となるように調整することが好ましい。
pH
本発明の液状栄養組成物のpHは、好ましくは4〜8、より好ましくは5〜8、さらに好ましくは6〜8、特に好ましくは6.5〜7.5である。一般的に、液状栄養組成物のpHが酸性や中性付近であると、ゲル化や凝集が起こりやすくなる。一方、液状栄養組成物のpHがアルカリ性であるとゲル化や凝集は起こり難くなるものの、本発明の効果や作用も発揮されなくなることがある。
ここで、pHは、例えばpH調整剤を使用して調整することができる。ここで、使用可能なpH調整剤は、上記の領域にpHを調整でき、かつ、食品として使用可能な安全性を有するものであれば特に限定されないが、典型的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムからなる群より選択される。そして、これらは組み合わせて使用しても良い。
タンパク質
本発明において用いられるタンパク質は、食品用途に使用可能なものであれば特に限定されず、いずれのものであっても良い。このようなタンパク質の具体例としては、乳タンパク質、肉タンパク質などの動物性タンパク質;大豆タンパク質などの植物性タンパク質;ペプチドやアミノ酸を含む動物性もしくは植物性のタンパク質の酵素分解物などが挙げられる。これらは、単独で使用しても、任意に組み合わせて使用しても良い。
ここで、タンパク質にホエイタンパク質を50重量%よりも高い割合で含む場合、タンパク質の液状栄養食品に占める熱量(エネルギー量)は、全エネルギー量の3.2〜4重量%が好ましく、3.3〜4重量%がより好ましく、3.5〜4重量%がさらに好ましい。一方、タンパク質にホエイタンパク質を20重量%よりも高い割合で含む場合、タンパク質の液状栄養食品に占めるエネルギー量は、全エネルギー量の4〜10重量%が好ましく、4.5〜10重量%がより好ましく、5〜10重量%がさらに好ましく、5.5〜10重量%が特に好ましい。
本発明による液状栄養組成物において、タンパク質におけるホエイタンパク質の含有割合は、そのタンパク質濃度により影響され得る。
具体的には、組成物中におけるタンパク質濃度が30〜40mg/mlである場合、タンパク質におけるホエイタンパク質の含有割合は、50重量%より高く、好ましくは55〜100重量%、より好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは65〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%である。
一方、組成物中におけるタンパク質の濃度が40〜100mg/mlである場合(好ましくは、組成物中におけるタンパク質の濃度が45〜100mg/ml、より好ましくは50〜100mg/ml、さらに好ましくは60〜100mg/mlである場合)、タンパク質におけるホエイタンパク質の含有割合は、20重量%より高く、好ましくは25〜100重量%、より好ましくは30〜100重量%、さらに好ましくは40〜100重量%、特に好ましくは55〜100重量%である。
市販の液状栄養食品(流動食など)のホエイタンパク質濃度、15mg/ml程度が上限である。このため、本発明の液状栄養組成物におけるホエイタンパク質の濃度は、好ましくは、組成物全体に対して15mg/mlよりも高濃度、より好ましくは17mg/mlよりも高い濃度である。一般的に、液状栄養食品中のホエイタンパク質濃度が高いと、ゲル化や凝集が起こりやすくなる。このため、液状栄養組成物のホエイタンパク質濃度が高すぎると、本発明の効果や作用が発揮されても、ゲル化や凝集を完全に抑制することは困難となる。一方、液状栄養組成物のホエイタンパク質濃度が低いと、ゲル化や凝集は起こり難くなるものの、本発明において望まれる効果や作用が発揮され難くなる。
本発明における液状栄養組成物は、従来の液状栄養食品(流動食など)に比べて、ホエイタンパク質が強化されてなるものである。ここでホエイタンパク質とは、ホエイの原液や濃縮物、乾燥物、凍結物、ホエイ粉等の還元溶液を含む意味である。使用可能なホエイタンパク質としては、甘性ホエイ、酸ホエイ、脱塩ホエイ、ホエイタンパク濃縮物(WPC(Whey Protein Concentrate))、ホエイタンパク単離物(WPI(Whey Protein Isolate))、α−La(ラクトアルブミン)、およびβ−Lg(ラクトグロブリン)などが包含され、これらは組み合わせて使用しても良い。また、これらは市販品を使用しても良い。
使用するホエイタンパク質は、好ましくは、WPC、WPI、甘性ホエイ粉、酸ホエイ、脱塩ホエイ粉、または、これらの混合物であり、より好ましくは、WPCとWPIとの混合物である。
なお、タンパク質の量(濃度)は、必要であれば、例えば、ケルダール法、ローリー法などのような慣用の方法・装置により容易に測定することができる。
脂質
本発明において用いられる脂質は、食品用途に使用可能なものであれば特に限定されず、いずれのものであっても良い。このような脂質の具体例としては、大豆油、コーン油、綿実油、シソ油、ヤシ油、菜種油などの植物油;牛脂、豚脂、魚油などの動物油;合成トリグリセリドなどが挙げられる。これらは、単独で使用しても、任意に組み合わせて使用しても良い。
なお、脂質の液状栄養組成物に占めるエネルギー量は、全エネルギー量の2〜10重量%であることが好ましい。
本発明において、組成物中における脂質の濃度は、好ましくは20〜90mg/ml、より好ましくは20〜80mg/ml、さらに好ましくは25〜75mg/mlである。
糖質
本発明において用いられる糖質は、食品用途に使用可能なものであれば特に限定されず、いずれのものであっても良い。このような糖質の具体例としては、ブドウ糖、果糖などの単糖類;デンプン、デキストリンなどの多糖類;マルトース、乳糖などの二糖類を含むオリゴ糖類などが挙げられる。これらは、単独で使用しても、任意に組み合わせて使用しても良い。
なお、糖質の液状栄養組成物に占めるエネルギー量は、全エネルギー量の5〜35重量%であることが好ましい。
本発明において、組成物中における糖質の濃度は、好ましくは80〜320mg/ml、より好ましくは100〜300mg/ml、さらに好ましくは120〜280mg/mlである。
他の成分
本発明による液状栄養組成物には、前記した以外の他の成分として、例えば、食物繊維、ビタミン類(例えば、ビタミンC、ビタミンE)、ミネラル類(例えば、亜鉛、鉄、銅、マンガンなど)、有機酸、有機塩基、果汁、フレーバー類などを単独で添加するか、または組み合わせて添加して使用することができる。また必要に応じて、さらに添加剤として、例えば、安定剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、酸化防止剤、pH調整剤などを使用しても良い。
さらに本発明の栄養組成物が医薬品用途で使用される場合には、例えば、生薬、核酸、ペプチド類、抗生物質などの併用可能な補助的有効成分を加えても良い。
本発明による液状栄養組成物は、従来の液状栄養食品には少なかった、加水分解や酵素分解されていない、高濃度のホエイタンパク質の補給を目的としたものであり、単独で摂取する他、市販の流動食などと任意の割合で混合することにより、ホエイタンパク質濃度を調節しながら、個々の使用者が流動食や医療食、経腸栄養剤などとして摂取しても良い。
本発明による液状栄養組成物は、必要により、その平均粒径を調整しても良く、例えば、好ましい平均粒子径としては2μm以下であり、より好ましくは1.5μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。なお平均粒子径が小さい程、通常、物性は安定している。
本発明による栄養組成物は、食品として提供されても、医薬品として提供されても良い。医薬品として提供される場合には、例えば、各国の法制により、医療機関において栄養補給用で使用される栄養食品様組成物や栄養補給剤が、医薬品として分類されるような場合などが包含され得る。
本発明の別の好ましい態様によれば、前記したように、本発明による液状栄養組成物は、食品として提供される。すなわち本発明の液状栄養組成物は、液状栄養食品組成物または液状栄養食品と言うことができる。より好ましくは、本発明による液状栄養組成物は、流動食、医療食、経腸栄養剤、または栄養補給飲食品として提供される。
ここで、流動食とは、患者等が噛まずに飲み込めるような流動性を有する液状の食品のことをいい、例えば、水分含量が60〜85重量%程度であって、栄養チューブでの良好な流動性を有するものをいう。そのような流動性としては、例えば、温度25℃で、落差60cmでの流下速度100ml/時間以上のような条件を満たすものが挙げられる。
医療食とは、医療現場で使用される治療や予防上の観点から、患者に摂取が推奨される食品であり、必ずしも医薬品として分類されるものを意味するものではない。経腸栄養剤は、経管の栄養補給剤をいい、医薬品として分類されるものも、食品として扱われるものも包含する。
栄養補給飲食品には、健康食品、機能性食品、疾病リスク低減表示が付された食品等が含まれる他、病者用食品のような分類の食品も含まれる。これらの食品は、保健上の観点から、各国(例えば我が国)において法上の何らかの制限を受けることがある食品も包含される。また、疾病リスク低減表示とは、疾病リスクを低減する可能性のある食品の表示であって、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)の定める規格に基づいて、またはその規格を参考にして、定められた表示または認められた表示であることができる。
製造方法
本発明による前記液状栄養組成物の製造方法は、前記したように、タンパク質と、脂質と、糖質とを含んでなり、かつ組成物の熱量が1kcal/ml以上で、pHが4〜8である、液状栄養組成物であって、前記タンパク質がホエイタンパク質を20重量%よりも高い割合で含む液状栄養組成物の製造方法であって、タンパク質と、脂質と、糖質とを含む水溶液に、ホエイタンパク質を55℃以下の温度条件下にて調合し(添加して混合し)、得られた調合液を高温殺菌した後に均質化することを含んでなる。本発明者の知る限り、特に加水分解や酵素分解されていない、高濃度のホエイタンパク質を含む液状栄養食品の効率的な製造方法は、工業規模では存在しなかったが、本発明は、そのような液状栄養食品の製造方法へも適用できる。
本発明においては、組成物全体中のタンパク質に対するホエイタンパク質の含有量の割合を、20重量%よりも高くする。すなわち、本発明による製造方法では、一般的な市販の液状栄養食品(流動食など)で採用されている割合である20重量%よりもホエイタンパク質の含有量を高くする。組成物全体中のタンパク質に対するホエイタンパク質の含有量の割合は、好ましくは25〜100重量%、より好ましくは30〜100重量%、さらに好ましくは40〜100重量%、特に好ましくは55〜100重量%である。
また本発明の製造方法においては、ホエイタンパク質を調合(添加し混合)する際の温度(調合温度)を、55℃以下とする。調合温度は、典型的には2〜55℃、好ましくは5〜55℃、より好ましくは40〜55℃、さらに好ましくは40〜53℃、特に好ましくは40〜50℃である。調合温度を70℃などの高温とすると、タンパク質が凝固(カード化)してしまうことがある。調合温度を2℃などの低温とすると、タンパク質が水などへ溶解または分散しにくくなることがある。この場合、調合液における細菌(汚染菌など)の増殖を考慮しながら、適切な調合時間を採用することが好ましい。
本発明においては、調合液を高温殺菌した後に均質化する。高温殺菌(加熱)ではタンパク質が変性して、粘度が増加(増粘)することもある。しかしながら、高温殺菌した後に均質化することで、この増粘を抑制することができる。
ここで、高温殺菌した後に均質化するとは、高温殺菌した後に製品として容器などへ充填する前に均質化することを通常では意味し、その回数は1回に限らず、2回以上の複数であっても良い。例えば、調合液を殺菌した後に、そのまま2回目の殺菌を行った場合、2回目の殺菌した後に均質化する。また、調合液を殺菌した後に均質化し、さらに2回目の殺菌を行った場合、2回目の殺菌した後に、さらに2回目の均質化をしてもよい。また、調合液を殺菌した後に均質化し、殺菌せずに再び2回目の均質化を行っても良い。
すなわち、本発明においては、調合液を高温殺菌した後には、容器などへ充填して製品にする前までに、均質化することが重要である。一方、高温殺菌した調合液(殺菌液)を均質化した後であっても、殺菌液が増粘しない程度であれば、再び殺菌しても良い。例えば、調合液を殺菌した後に均質化し、高温殺菌せずに再び2回目で殺菌しても良いこととなる。
本発明において、高温殺菌の加熱条件は、飲料や食品の分野において慣用の加熱殺菌処理条件であれば特に制限なく使用することができる。高温殺菌の加熱条件としては、例えば、温度を100〜150℃で保持時間を約1〜30秒間、好ましくは110〜140℃で約1〜20秒間、より好ましくは115〜135℃で約1〜10秒間、さらに好ましくは120〜130℃で約1〜5秒間であり、特に好ましくは約120℃で約3秒間である。高温殺菌ではタンパク質が変性して殺菌液が増粘しやすいが、高温殺菌でなければ増粘しにくいため、均質化で増粘を抑制する効果は、高温殺菌で特に発揮されることとなる。
また、高温殺菌する際に、任意に、調合液へ圧力を負荷しても良い。加熱殺菌する場合、通常では調合液の沸騰を防止することなどを目的として、例えば殺菌圧力を1〜10kg/cm程度とする。本発明の高温殺菌では温度(加熱)に加えて、このような圧力を加えても良い。そして、高温殺菌する装置は、例えばプレート式熱交換器、チューブ式熱交換器、スチームインジェクション式殺菌機、スチームインフュージョン式殺菌機、通電加熱式殺菌機などがある。
均質化は、例えばホモジナイザーを使用する場合、その操作条件は、例えば温度を10〜60℃程度、流量を100〜1000L/h程度とした場合、圧力は10〜100MPa、好ましくは20〜80MPa、より好ましくは30〜70MPa、さらに好ましくは40〜60MPa、特に好ましくは約50MPaである。また、必要であれば、操作条件を変えて複数回で処理しても良い。
なお、本明細書において、「約」や「程度」を用いた値の表現は、その値を設定することによる目的を達成する上で、当業者であれば許容することができる値の変動を含む意味である。
本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
実施例1
温水(50℃、200L)を撹拌しておき、そこへ乳タンパク質濃縮物(MPC)(15.5kg)、およびホエイタンパク分離物(WPI)(3.4kg)を添加し混合してから、デキストリン(30.2kg)、食物繊維(難消化性デキストリン)(3.1kg)、およびショ糖(1kg)を添加し混合して保持した。前記の原料が溶解または分散した後に、ヘキサメタリン酸ナトリウム(0.26kg)を添加し混合してから、水酸化カリウム(0.35kg)、クエン酸(0.33kg)、および塩化ナトリウム(0.29kg)を添加し混合した。そして、炭酸マグネシウム(0.08kg)、続いて、亜鉛酵母(オリエンタル酵母株式会社より入手可)(7.5g)、銅酵母(三輪製薬株式会社より入手可)(140g)、およびセレン酵母(三輪製薬株式会社より入手可)(2.8g)を添加し混合してから、さらに、硫酸第一鉄(12.5g)を添加し混合して、保持した。前記の原料が溶解または分散した後に、植物油脂(6.4kg)、およびレシチン(0.5kg)を添加し混合して、調合液とした。
この調合液を均質化(ホモゲナイザー、1段目;12MPa、2段目;3MPa)してから、スチームインジェクション式の直接蒸気加熱殺菌(予備加熱;80℃、殺菌;145℃、5秒間)をした後に、再び均質化(ホモゲナイザー、1段目;45MPa、2段目;5MPaf)して、殺菌液とした。この殺菌液へビタミンミックス(0.125g)、アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)(0.1kg)、およびフレーバー(0.8kg)を添加し混合して、最終的な殺菌液を得た。
得られた最終的な殺菌液の成分組成は以下の通りであった。
[成分組成]
固形分 : 23.6 重量%
蛋白質 : 6.25重量% (ホエイタンパク質 : 2.17重量%)
脂質 : 2.8 重量%
炭水化物 : 13.7 重量%
灰分 : 0.85重量%
水分 : 76.4 重量%
[配合組成]
MPC : 6.22 重量%
WPI : 1.35 重量%
デキストリン : 12.08 重量%
食物繊維 : 1.23 重量%
亜鉛酵母 : 0.003重量%
銅酵母 : 0.056重量%
セレン酵母 : 0.001重量%
ショ糖 : 4.00 重量%
クエン酸 : 0.13 重量%
水酸化カリウム : 0.143重量%
塩化ナトリウム : 0.117重量%
メタリン酸ナトリウム : 0.103重量%
硫酸第一鉄 : 0.005重量%
炭酸マグネシウム : 0.032重量%
植物油脂 : 2.888重量%
レシチン : 0.20 重量%
フレーバー : 0.20 重量%
アスコルビン酸ナトリウム : 0.071重量%
ビタミンミックス : 0.05 重量%
最終的な殺菌液を、さらに直接蒸気加熱殺菌(予備加熱;80℃、殺菌;140℃、5秒間)した後に、均質化(ホモゲナイザー、1段目;20MPa、2段目;5MPaf)して、製品サンプル1(流動食)(本発明による液状栄養組成物)を得た。
製品サンプル1の物性を評価したところ、粘度は16cP、沈殿率は0.27%、平均粒子径は0.33μmであった。したがって、製品サンプル1の物性は良好なものであった。
なお、得られた製品サンプルについての粘度、沈殿率、および、平均粒子径は下記のようにして求めた。
粘度は、B型粘度計(「TVB−10」、東機産業株式会社製)を用いて、室温(25℃程度)の測定条件にて測定した。
沈殿率は、沈殿物の重量を試料の全重量で除して、百分率として表した。具体的には、遠心沈降管へ試料を50gで充填し、遠心分離器(「KUBOTA−5200」、株式会社久保田製作所社製)を用いて、3000rpm、30分間で処理した後に、その沈殿物の重量を試料の全重量で除して求めた。
平均粒子径は、粒度分布計(「SALD−2000」、株式会社島津製作所製)の測定値(メジアン径)であった。
比較例1
実施例1で得られた最終的な殺菌液を、さらにレトルト殺菌(予備加熱;80℃、殺菌;121℃、9分30秒間)し、製品サンプル2(流動食)を得た。
製品サンプル2の物性を評価したところ、粘度は176cP、沈殿率は1.12%、平均粒子径は7.24μmであった。このため、製品サンプル2の物性は良好とは言えなかった。
実施例2
実施例1で得られた最終的な殺菌液を、さらにレトルト殺菌(予備加熱;80℃、殺菌;121℃、9分30秒間)した後に、均質化(ホモゲナイザー、1段目;95MPa、2段目;5MPaf)して、製品サンプル3(流動食)を得た。
製品サンプル3の物性を評価したところ、粘度は12cP、沈殿率は0.32%、平均粒子径は0.29μmであった。したがって、製品サンプル3の物性は良好なものであった。
比較例1と実施例2の製品サンプルを比較した結果、高温殺菌した後に均質化することで、液状栄養組成物の物性が良好になることがわかった。すなわち、高温殺菌により一旦、乳化系が破壊されて、粘度と沈殿率が増加したものの、均質化により、液状栄養組成物の物性が良好なものに回復したと言えた。

Claims (10)

  1. タンパク質30〜100mg/mlと、脂質20〜100mg/mlと、糖質50〜350mg/mlとを含んでなり、かつ組成物の熱量が1kcal/ml以上で、pHが4〜8である、液状栄養組成物であって、
    前記タンパク質に含まれるホエイタンパク質が、組成物全体に対し8mg/ml以上の濃度で含まれることを特徴とする、液状栄養組成物。
  2. 組成物におけるタンパク質濃度が30〜40mg/mlである場合に、前記タンパク質がホエイタンパク質を50重量%よりも高い割合で含む、請求項1に記載の液状栄養組成物。
  3. 組成物におけるタンパク質濃度が40〜100mg/mlである場合に、前記タンパク質がホエイタンパク質を20重量%よりも高い割合で含む、請求項1に記載の液状栄養組成物。
  4. タンパク質にホエイタンパク質を30重量%以上の割合で含む、請求項1に記載の液状栄養組成物。
  5. ホエイタンパク質が加水分解および/または酵素分解されていないものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液状栄養組成物。
  6. 食品として提供される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液状栄養組成物。
  7. 流動食、医療食、経腸栄養剤、または栄養補給飲食品として提供される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液状栄養組成物。
  8. タンパク質と、脂質と、糖質とを含んでなり、かつ組成物の熱量が1kcal/ml以上で、pHが4〜8である、液状栄養組成物であって、前記タンパク質がホエイタンパク質を20重量%よりも高い割合で含む液状栄養組成物の製造方法であって、
    タンパク質と、脂質と、糖質とを含む水溶液に、ホエイタンパク質を55℃以下の温度条件下にて添加して混合し、得られた調合液を高温殺菌した後に均質化することを含んでなる、製造方法。
  9. 液状栄養組成物におけるタンパク質が、ホエイタンパク質を30重量%以上の割合で含む、請求項8に記載の方法。
  10. 液状栄養組成物が、タンパク質30〜100mg/mlと、脂質20〜100mg/mlと、糖質50〜350mg/mlとを含んでなる、請求項8または9に記載の方法。
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