JPWO2008120600A1 - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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祟 荒井
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Abstract

ポリエステルフィルムからなる基材の少なくとも一面に、無機化合物の蒸着層、及び、共重合体中に占める割合が25〜40重量%の(a)不飽和ニトリルと、共重合体中に占める割合が20〜30重量%の(b)水酸基を有する不飽和化合物と、(c)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群から選択される1つ以上の不飽和化合物との3成分を単量体とする共重合体で構成される主剤と、イソシアネート基を有する化合物(硬化剤)とで構成されるガスバリア層が順次積層されてなる、優れた酸素・水蒸気遮断性能と加熱殺菌処理に対する耐性とを併せ持つガスバリア性フィルムの提供。

Description

本発明は、優れた酸素及び水蒸気遮断性能およびボイル・レトルト処理などの加熱殺菌処理に対する耐性をも併せて有するガスバリア性フィルムに関する。
ガスバリア性フィルム及びそれを用いた包装材料は、既によく知られている。最も優れたガスバリア性を有する材料は、アルミニウム箔である。しかし、アルミニウム箔は、単独ではピンホール強力が弱く、特殊な用途を除いては使用できない。このため、ほとんどラミネートフィルムの中間層として使用される。アルミニウムのラミネートフィルムのガスバリア性は非常に優れている。しかし、このフィルムは、不透明であるため内容物が見えない、確実にヒートシールされたか判断するのが難しい、電子レンジを用いた調理を要する食品の包装材としては使用できない等の欠点がある。
また、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム等の熱可塑性フィルムは、強度、透明性、成形性に優れているので、包装材料として幅広い用途に使用されている。しかしながら、これらの熱可塑性樹脂フィルムは、酸素、水蒸気等のガス透過性が大きい。このため、一般食品、ボイル処理食品、レトルト処理食品等の包装に使用した場合、長期間の保存により食品の変質・劣化が生じることがある。
この問題を解決するため、従来、食品包装材料等のガスバリア性が要求される材料には、ポリオレフィンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PET」と略記する)等に塩化ビニリデン(以下「PVDC」と略記する)のエマルジョン等をコーティングしたフィルムが多く用いられてきた。コーティングによりPVDC層を形成したフィルムは、低湿度下だけでなく高湿度下においても高い酸素バリア性を示すとともに、水蒸気に対するバリア性も高い。しかしながら、PVDCコートフィルムを焼却処理により廃棄する際に、PVDC中の塩素に起因する塩素ガスの発生並びに、ダイオキシン発生の恐れを有する。このように、PVDCコートフィルムは、環境並びに人体に多大な悪影響を与える恐れを有することから、他の材料への移行が強く望まれている。
塩素を有しないガスバリア性の材料として、ポリビニルアルコール(以下「PVA」と略記する)フィルム及びPVAやエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」と略記する)をコーティングしたコートフィルムが最も良く知られている。PVAやEVOHは酸素ガスバリア性が乾燥環境下では大変優れている。一方、これらの材料は、(1)そのバリア性能の湿度依存性が非常に大きく、高湿度条件下ではバリア性が大きく損なわれる、(2)水蒸気バリア性がない、(3)熱水中で容易に溶解してしまう、(4)ボイル・レトルト処理に伴う吸水に起因するガスバリア性劣化が顕著である等の問題点がある。
また、ポリエステルフィルム等の熱可塑性フィルムの一方の面に、真空蒸着法等の物理気相成長法を用いて、例えば酸化アルミニウム、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を設けた蒸着フィルムなども提案されている。これら無機酸化物蒸着薄膜層を有するガスバリア性フィルムは、透明であるため内容物視認性を有しており、また電子レンジを利用した調理にも対応することができるという利点を有する。しかし、無機酸化物蒸着層からなるガスバリアコート層を有するフィルムは、そのガスバリア層が硬い。このため、屈曲によりガスバリア層にクラックやピンホールが発生し、ガスバリア性が著しく低下するという問題がある。
このような欠点を補った公知技術としては、熱可塑性樹脂フィルム上に無機酸化物蒸着層を設け、さらに該蒸着層上にポリマーコーティングによりガスバリア層を積層し、ガスバリア性や可撓性を向上させる方法が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2004−35833号公報 特開2002−307600号公報 特開平9−327882号公報
特許文献1記載の技術では、ガスバリア層をエステル結合により架橋して設けることにより、高湿度下でのバリア性の向上を図っている。エステル化を十分に進行させて、フィルムのガスバリア性を高めるためには、高温に加熱して反応させることが必要である。このため、生産性に問題がある。
また、特許文献2に記載の技術では、無機酸化物の薄膜の上に熱硬化性エポキシ樹脂と有機系硬化剤とを含む透明コーティング層を設ける。ボイル・レトルト処理など熱水殺菌処理を施すと、この積層構成を有するフィルムでは、無機酸化物層および透明コーティング層間の密着力が大幅に低下する。すなわち、このようなフィルムを、食品を包装しているパッケージに使用した場合には、パッケージがボイル・レトルト処理などの熱水殺菌処理に伴い積層フィルムがデラミネーション(層間剥離)を引き起こすといった実用上の問題を生じる。
さらに、特許文献3に記載の技術では、基材フィルムと無機酸化物蒸着層との間にプライマー剤により構成されるプライマー層を設けている。このような積層構成を有するフィルムは、ボイル・レトルト処理など熱水殺菌処理を施した際に、無機酸化物蒸着層およびガスバリア層間に強い密着力を発現させることはできる。しかし、生産工程が増えるため生産コストが割高となるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、ハロゲンによる環境汚染のおそれもなく、かつ、酸素及び水蒸気などのガスバリア性に優れ、さらにはボイル・レトルト処理などの熱水殺菌処理に対しても耐性を有するガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討をした結果、ポリエステルフィルムからなる基材の少なくとも一面に、無機化合物で構成される蒸着層と、ガスバリア層とが順次積層されているガスバリア性フィルムであって、前記ガスバリア層は、共重合体中に占める割合が25〜40重量%の(a)不飽和ニトリルと、共重合体中に占める割合が20〜30重量%の(b)水酸基を有する不飽和化合物と、(c)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群から選択される1つ以上の不飽和化合物との3成分を単量体とする共重合体で構成される主剤と、イソシアネート基を有する化合物で構成される硬化剤とで構成される、ガスバリア性フィルムとすることで、本発明を完成した。
本発明によれば、優れた酸素バリア性および水蒸気バリア性にとどまらず、ボイル・レトルト処理など熱水殺菌処理に対する耐性をも有するガスバリア性フィルムが得られる。また、本発明のガスバリア性フィルムは、塩素等のハロゲンを含まない。さらに、本発明のガスバリア性フィルムは、ガスバリア層形成時に高温での熱処理を必要としない。この結果、安価なコストで生産が可能であり、複雑な生産工程を経ないために生産適性にも優れるという特徴を有するガスバリア性フィルムを提供することができる。すなわち、本発明によれば、ガスバリア性が要求され、ボイル・レトルト処理工程を経る食品包装用フィルムとしても有用な使用用途の幅広いガスバリア性フィルムを提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のガスバリア性フィルムは、ポリエステルフィルムからなる基材の少なくとも一面に、無機化合物で構成される蒸着層と、ガスバリア層とが順次積層されているガスバリア性フィルムであって、前記ガスバリア層は、共重合体中に占める割合が25〜40重量%の(a)不飽和ニトリルと、共重合体中に占める割合が20〜30重量%の(b)水酸基を有する不飽和化合物と、(c)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群から選択される1つ以上の不飽和化合物との3成分を単量体とする共重合体で構成される主剤と、イソシアネート基を有する化合物で構成される硬化剤とで構成される。
背景技術で述べたように、無機化合物で構成される蒸着層は、ガスバリア性を有するが、ピンホールやクラック等の欠陥を有する。このため、そのガスバリア性能は不完全であることが多い。本発明においては、無機化合物で構成される蒸着層上にガスバリア層を設ける。このガスバリア層が、蒸着層の不完全なガスバリア性を補うだけではなく、ガスバリア層を構成する樹脂が本来有するガスバリア性が機能する。この結果、格段にガスバリア性が向上する。
ガスバリア性を有する樹脂の多くはポリマーの凝集力を高めるために極性基を含有する。このため、吸水性が見られることが多く、熱水殺菌処理耐性の発現を困難にする。本発明においては、熱水殺菌処理耐性を付与する目的で、特定の組成からなる樹脂組成物を用いてガスバリア層を形成する。これにより、吸水性の問題を解決する。
すなわち、ガスバリア層の形成に用いる樹脂を特定の機能を発現する複数のモノマーから合成することで、ガスバリア性及び熱水殺菌処理耐性を発現させることができる。具体的には、本発明では、ガスバリア性を発現させるためのモノマーと、無機酸化物蒸着層と強固に密着すると共に熱水に対する耐性を有するモノマーとを共重合することで前記目的を達することができる。
[基材]
本発明のガスバリア性フィルムにおいて、基材はポリエステルフィルムである。使用できるポリエステルとしては、例えば、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアルキレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレートなど)などのホモ又はコポリアルキレンアリレート、液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
基材フィルムは、未延伸フィルムであってもよいが、通常、延伸(一軸又は二軸)されている。延伸フィルムとしては、通常、二軸延伸フィルムを用いる場合が多い。延伸法としては、例えば、ロール延伸、圧延延伸、ベルト延伸、テンター延伸、チューブ延伸や、これらを組み合わせた延伸などの慣用の延伸法が適用できる。
基材の厚みは、特に制限はないが、1〜100μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜30μm程度であるのが実用的である。
[蒸着層]
本発明において、蒸着層を構成するのは、無機化合物である。使用できる無機化合物としては、金属酸化物層、金属窒化物層等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウム合金、酸化珪素、酸化窒化珪素等及びそれらの混合酸化物、金属窒化物としては窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化珪素等が例示できる。この中でも蒸着フィルムの加工コストやガスバリア性能等の面から無機化合物としては酸化アルミニウム、酸化珪素および酸化窒化珪素が好ましい。
無機化合物の蒸着は、特に制限はなく、たとえば蒸着やスパッタリング等の公知の方法により行えばよい。
[ガスバリア層]
本発明において、ガスバリア層は、(a)不飽和ニトリルと、(b)水酸基を有する不飽和化合物と、(c)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群から選択される1つ以上の不飽和化合物との3成分を単量体とする共重合体で構成される主剤と、イソシアネート基を有する化合物で構成される硬化剤とで構成される。
樹脂によって形成される薄膜層のガスバリア性を決定する因子としては、凝集エネルギー密度、自由体積、結晶化度、配向性等が挙げられる。これらの因子は、ポリマー構造中の側鎖官能基に起因するところが多い。すなわち、構造中に水素結合あるいは静電的相互作用等の分子間相互作用可能な官能基を含むポリマー鎖同士は、相互作用力を駆動力として強く凝集しようとする。その結果、凝集エネルギー密度、配向性は高まり、自由体積は減少し、ガスバリア性は向上する。逆に、同じくポリマー構造中に立体的に嵩高い官能基を含む場合には、ポリマーの凝集を妨げ、自由体積が大きくなるためにガスバリア性は低下すると考えられる。さらに、形成される分子間相互作用の数量が多くなれば、強く凝集し、自由体積空間を小さくしようという駆動力は大きくなり、結果的にポリマーの凝集密度は高まると考えることができる。
(主剤:(a)成分)
主剤の(a)成分である不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリルが好ましい。アクリロニトリルはその分子構造中にニトリル基を有し、ニトリル基が大きく分極した官能基であることに由来して強い水素結合形成能を持つ。すなわち、アクリロニトリルを構成成分とする共重合体により形成された塗膜には、アクリロニトリルのニトリル基の大きな寄与により、ガスバリア性が付与される。アクリロニトリルの含有量によって発現するガスバリア性は変化する。
不飽和ニトリルの配合量は、共重合体中の25〜40重量%が好ましく、25〜30重量%がさらに好ましい。(a)成分の配合量が、25重量%よりも少ない場合には塗膜内において十分な数の水素結合が形成されずガスバリア性が十分に発現しない。一方、(a)成分の配合量が、40重量%よりも多い場合には共重合樹脂の有機溶剤に対する溶解性が低下するため、重合時の分子量増加を妨げるだけでなく塗料化が困難になる。さらには塗膜の造膜性も低下するなど実用的ではなくなる。
(主剤:(b成分))
前述の通り、ガスバリア性を高める観点からは共重合体中の(a)成分の含有量は高めた方が好ましい。しかし、ポリアクリロニトリルはガラス転移温度が約300℃と高く、造膜させるには高温が必要である。この課題を解決すべく、(a)成分と不飽和化合物を共重合する手段が有効である。さらに本発明のように無機酸化物蒸着層と強く密着させるためには、また塗膜強度や熱水処理耐性を発現させる目的で硬化剤との間で架橋構造を形成するためには、主剤樹脂構造中に水酸基を含有させることが好ましい。すなわち、主剤の(b)成分は、水酸基を有する不飽和化合物である。
前記(a)成分と共重合させる(b)成分としては、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等の不飽和化合物の単量体が挙げられる。これらの水酸基を有する不飽和化合物は単独で、または2種類以上組み合わせて選択することができる。これらの水酸基を有する不飽和化合物のうち、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレートが、良好な重合安定性が得られること、イソシアネート基との反応性が良好なことから好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが特に好ましい。
共重合体中で、(b)成分の含有量によってガスバリア層の造膜性やガスバリア性は変化する。(b)成分の配合量は、共重合体中の20〜30重量%が好ましく、20〜25%がさらに好ましい。(b)成分の配合量が、20重量%よりも少ない場合には共重合樹脂の可塑化が十分に促進されず造膜性が十分に発現しない。また、共重合樹脂中に水素結合形成や硬化剤との反応に寄与する水酸基が少ないためにガスバリア性が発現しない。さらに、十分な架橋構造とならず塗膜強度が不足するといった問題も生じる。一方、(b)成分の配合量が、30重量%よりも多い場合には共重合樹脂のガラス転移点(温度)が低下するため、造膜性は向上する。ただし、共重合樹脂中に水酸基数が増加するため硬化剤配合量も増やす必要を生じ、ガスバリア層に占める(a)成分の含有量も相対的に低下するためにガスバリア性の発現が不十分となる。
(主剤(c)成分)
本発明において主剤を構成する(c)成分は、不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群のうち1つ以上の不飽和化合物である。
使用できる不飽和カルボン酸エステルとしてはメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
使用できる不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸等が挙げられる。
使用できるその他の単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、エチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
これらの(c)成分のうち、好ましいのは、不飽和カルボン酸エステルである。不飽和カルボン酸エステルのうちメチルメタクリレート、メチルアクリレートが特に好ましく、メチルメタクリレートがさらに好ましい。
(c)成分の配合量は、共重合体中の25〜60重量%が好ましく、30〜55重量%がさらに好ましく、40〜50重量%が特に好ましい。(c)成分の配合量が25重量%よりも少ない場合には塗膜の造膜性が十分に良化せず、塗膜表面を平滑に、また塗膜を透明に仕上げることが困難となる。一方、(c)成分の配合量が60重量%よりも多い場合には共重合樹脂中に占める(a)成分及び(b)成分の相対量が減少し、ガスバリア性が十分に発現しない、架橋構造の不足に伴う塗膜強度や熱水処理耐性が不足するといった問題を生じる。
(共重合体の製造)
上記各成分(a)、(b)、(c)を配合し、公知の技術を用いて共重合させて、共重合体を製造する。共重合体は、例えば酢酸プロピル−プロピレングリコールモノメチルエーテル−n−プロピルアルコール混合溶液などに溶解させて、後述する硬化剤と混合する。
(その他の添加物)
上記共重合樹脂(主剤)コーティング液には、シランカップリング剤が添加されていても良い。シランカップリング剤は、分子中に有機官能基と加水分解性官能基を有し、無機物と有機物との密着力を向上させる効果がある。したがって、シランカップリング剤を添加すると、無機酸化物蒸着層とガスバリア層との密着力を熱水殺菌処理にも耐えうる程度に強固なものとすることができる。使用できるシランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が例示できる。これらのシランカップリング剤は、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
シランカップリング剤の添加量はガスバリア層の形成に用いる主剤と硬化剤の和100重量部に対して0.1〜2重量部程度が好ましい。0.1重量部以下の添加量の場合にはシランカップリング剤の効果が薄く、十分な密着力が得られない。一方、2重量部より多く添加した場合にはシランカップリング剤がガスバリア層中で可塑剤のような働きをするため塗膜のガスバリア性が低下する。
さらに、本発明にかかる共重合樹脂(主剤)コーティング液には、その特性を損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化剤、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤などを添加してもよい。
使用できる熱安定剤、酸化防止剤及び劣化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、硫黄化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
使用できる強化剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
本発明にかかる共重合樹脂(主剤)コーティング液には、無機層状化合物を混合してもよい。無機層状化合物の好ましい例としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライト、フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライト、マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等が例示でき、膨潤性フッ素雲母又はモンモリロナイトが特に好ましい。これらの無機層状化合物は、天然に産するものであっても、人工的に合成あるいは変性されたものであってもよく、またそれらをオニウム塩などの有機物で処理したものであってもよい。
[硬化剤]
本発明では、硬化剤は、主剤である共重合樹脂と架橋させるために用いる。主剤として用いる共重合樹脂はそれを単独で塗布した場合、ガスバリア性は発現するものの塗膜強度や熱水処理耐性といった物性は得られない。そこで、主剤である共重合樹脂が側鎖として有する水酸基と反応するイソシアネート基を有する化合物を硬化剤として用いる。架橋剤の添加により、架橋構造が生成されるので、ガスバリア性、塗膜強度および熱水処理耐性といった物性を兼ね備えたガスバリア層が形成される。イソシアネート基を有する化合物としては、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
使用できる芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、m−又はp−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−、2,4′−又は2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が例示できる。
使用できる芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,3−又は1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が例示できる。
使用できる脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4’−、2,4’−又は2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−又は1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)等が例示できる。
使用できる脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−又は1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示できる。
さらに、上記例示したイソシアネート化合物と水酸基を有する化合物等との部分縮合物や各種誘導体の1種またはこれらの2種以上を用いてもよい。例えば、各種低分子量のジオールからオリゴマーまで幅広いジオール類や必要に応じて3官能以上のポリオール類との部分縮合物等が挙げられる。
共重合体で構成される主剤と硬化剤の架橋反応生成物により形成されるガスバリア層のガスバリア性を考慮すると、これらのイソシアネート基を有する化合物のうち、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)およびその部分縮合物が好ましい。架橋生成物の立体的構造は、ガスバリア性に大きく影響する。ガスバリア性を発現させるためには、キシリレンジイソシアネート骨格を有すると好ましい。これらの化合物は、キシリレンジイソシアネート骨格を有する。
硬化剤の配合量は、主剤共重合樹脂に含まれる水酸基数(一般的にはOH価で表される)と硬化剤樹脂に含まれるイソシアネート基数(一般的にはNCO率で表される)が当量となるように算出するのが定法である。本発明もその例外ではないが、硬化剤配合量を主剤共重合樹脂重量比15%程度増量あるいは減量しても、発明の効果は失われない。硬化剤配合量を増量すると特に塗膜強度および基材フィルムに対する耐水密着性に優れた塗膜が形成される。
[コーティング層の製造]
上記共重合樹脂(主剤)溶液と、硬化剤とを、所定量配合して溶剤中に溶解して、ガスバリア層用のコーティング液を得る。使用できる溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、水等が挙げられる。
本発明においてガスバリア層を構成する主剤と硬化剤との配合比は特に制限されるものではないが、硬化剤が少なすぎると主剤との間で生じる架橋反応が不十分なものとなり、塗膜が硬化不良を起こすだけでなく塗膜強度が十分発現せずに熱水処理耐性、基材との密着性等も不足する。また硬化剤の配合量が多すぎる場合にはブロッキングを生じる原因となるだけでなく、余剰のイソシアネート化合物が他の層に移行するなどして後加工等において不都合を生じることがある。
本発明にかかるガスバリア層を製造する方法としては、特に制限はなく、基材フィルムに応じた方法で製造することができる。例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法などの印刷方式やロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法、ナイフエッジコーティング法、グラビアコーティング法、キスコーティング法、スピンコーティング法等やこれらを組み合わせた方法を用いて、コーティング液をコーティングすればよい。
蒸着層上に設けるガスバリア層の厚みは、好ましくは0.1〜3μm、より好ましくは0.2〜2μmである。ガスバリア層の厚みが、0.1μm以上であると、ガスバリア性の十分な向上が得られ、コーティング時の加工性も高まり、膜切れやはじきなどの欠陥のないガスバリア層を形成することができる。一方、ガスバリア層の厚みが3μm以下であると、コーティング時の乾燥条件が低温、短時間であっても溶剤が十分に乾燥するので、フィルムにカール等の変形が生じることがなく、製造コストが高騰するといった問題点も起こらず好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムでは、ガスバリア層の上に、樹脂層を設けてもよい。樹脂層は、例えばポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸、エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル重合体及びそれらの金属架橋物等のプラスチック材料により形成される。厚さは目的に応じて適宜決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。
樹脂層の形成方法としては、上記プラスチック材料からなるフィルム状のものを2液反応硬化型接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼り合わせるノンソルベントラミネート法、上述したプラスチック材料を加熱溶融させカーテン状に押し出し、貼合わせるエクストルージョンラミネート法等のいずれも公知の積層方法により形成することができる。
本発明においてコーティングにより蒸着層上にガスバリア層を形成して積層する場合において、コーティング液に使用する溶剤にもよるが好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上の温度で乾燥させることが好ましい。乾燥温度が70℃より低い場合には塗膜の乾燥が不十分となり、充分なガスバリア性を有するフィルムを得ることが困難となる。また、巻き取った中間製品に対して主剤と硬化剤との間の架橋反応を十分に進行させる目的でエージング処理をすることもできる。エージング処理により架橋反応はより進行し、十分な塗膜強度、ガスバリア性、熱水処理耐性等が発現する。
本発明のガスバリア性フィルムは、ガスバリア性を必要とする様々な分野に利用することができる。特にレトルト用包装材料として用いることに適する。
以下本発明を詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお実施例中で「部」とは、特に注釈の無い限り「重量部」であることを意味する。
[特性の評価方法]
本発明のガスバリア性フィルムの特性は、以下の評価方法を用いて、評価した。
(1)へイズ
実施例および比較例で作成したシーラブルフィルムのヘイズは、直読式へイズメーター(スガ試験機製 HGM−20P)を用いてJIS K 7105(1981年版)の方法に準拠して測定した。
(2)酸素透過率(O2TR)
酸素透過率は、温度23℃、湿度0%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(機種名、オキシトラン(登録商標)(OXTRAN 2/20))を使用して、JIS K7126(2000年版)に記載のB法(等圧法)に基づいて測定した。また、測定は2回行い、2つの測定値の平均値を各実施例、比較例のおける酸素透過率の値とした。各実施例・比較例について2枚の試験片で行った結果を酸素透過率の値とした。
(3)水蒸気透過率(MVTR)
水蒸気透過率は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率透過率測定装置(機種名、パ−マトラン(登録商標)W3/31)を使用してJIS K7129(2000年版)に記載のB法(赤外センサー法)に基づいて測定した。また、測定は2回行い、2つの測定値の平均値を各実施例、比較例における水蒸気透過率の値とした。各実施例・比較例について2枚の試験片で行った結果を水蒸気透過率の値とした。
(4)耐レトルト性評価
実施例および比較例で作製した積層フィルム(15cm角)をそれぞれ2枚準備した。2枚の積層フィルムをシーラントフィルム面が面するようにして重ね、ヒートシーラーを用いて3辺の端部を熱シールした。次いで、内容物として水道水100gを入れ、残りの1辺の端部を熱シールして15cm角のパッケージを作製した。各実施例、比較例について1つのパッケージを準備した。次にそのパッケージを、株式会社トミー精工製オートクレープSR−240を用いてレトルト処理(120℃、30分間)した。処理後、パッケージを破いて水道水を抜き、一晩室温下で乾燥したのち前述の方法に従い酸素透過率及び水蒸気透過率を測定して、レトルト処理後のバリア性の値とした。
[共重合体の製造]
以下の実施例、比較例に用いる共重合体は、アクリロニトリル(AN)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)及びメチルメタクリレート(MMA)の各モノマーを表1に示す割合(重量%)で配合し、公知の技術により共重合して得た。得られた共重合樹脂を酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びn−プロピルアルコールの混合溶剤に溶解させて固形分濃度が30重量%の共重合樹脂a〜hを得た。なお、各共重合体樹脂のモノマーの混合比と得られた塗料の外観を、表1に示す。
Figure 2008120600
(実施例1)
(基材)
蒸着層が設けられた基材として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に酸化アルミ層を蒸着により設けた東レフィルム加工株式会社製 バリアロックス(登録商標)1011HGを用いた。
(コーティング液)
共重合樹脂a 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.5部、メチルエチルケトン 28.1部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア層用のコーティング液1を調整した。
(ガスバリア層の製造)
上記基材の酸化アルミ層上に、ワイヤーバーを用いてコーティング液1を塗布し、120℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が0.5g/mとなるようにガスバリア層を設けた。このようにしてガスバリア性フィルム1を製造した。
(樹脂層の製造)
東洋モートン株式会社製ドライラミネート用接着剤 AD−503 20部、東洋モートン株式会社製硬化剤 CAT−10 1部、および酢酸エチル 20部を量りとり、30分間攪拌して固形分濃度19重量%のドライラミネート用接着剤溶液を調整した。
この接着剤溶液を得られたガスバリア性フィルム1のガスバリア層面にワイヤーバーで塗布し、80℃で45秒間乾燥して3.5μmの接着剤層を形成した。
次に接着剤層に、シーラントフィルムとして東レフィルム加工株式会社製無延伸ポリプロピレンフィルム ZK93Kをコロナ処理面が接着剤層と向かい合うように重ね、ハンドローラを用いて貼り合わせた。このラミネートフィルムを40℃に加熱したオーブン内で2日間エージングして積層フィルム1を得た。
(実施例2)
共重合樹脂b 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.5部、メチルエチルケトン 22.3部を30分間攪拌して固形分濃度14重量%のガスバリア層用のコーティング液2を調整した。このコーティング液2を用いてガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム2および積層フィルム2を得た。
(実施例3)
共重合樹脂c 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.5部、メチルエチルケトン 22.3部を30分間攪拌して固形分濃度14重量%のガスバリア層用のコーティング液3を調整した。このコーティング液3を用いてガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム3および積層フィルム3を得た。
(実施例4)
共重合樹脂d 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.5部、メチルエチルケトン 28.1部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア層用のコーティング液4を調整した。このコーティング液4を用いてガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム4および積層フィルム4を得た。
(実施例5)
共重合樹脂e 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.5部、メチルエチルケトン 28.1部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア層用のコーティング液5を調整した。このコーティング液5を用いてガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム5および積層フィルム5を得た。
(実施例6)
共重合樹脂f 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.5部、メチルエチルケトン 28.1部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア層用のコーティング液6を調整した。このコーティング液6を用いてガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム6および積層フィルム6を得た。
(実施例7)
共重合樹脂a 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.1部(実施例1と比較して硬化剤配合量を15%減量)、メチルエチルケトン 26.0部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア層用のコーティング液7を調整した。このコーティング液7を用いてガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム7および積層フィルム7を得た。
(実施例8)
共重合樹脂a 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.88部(実施例1と比較して硬化剤配合量を15%増量)、メチルエチルケトン 30.12部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア層用のコーティング液8を調整した。このコーティング液8を用いてガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム8および積層フィルム8を得た。
(比較例1)
東レフィルム加工株式会社製 バリアロックス(登録商標)1011HGの蒸着層上にガスバリアコート層を設けずに(これをガスバリア性フィルム9とする)、実施例1と同様の方法でオーバーコート層を設け、積層フィルム9を得た。
(比較例2)
共重合樹脂g 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.5部、メチルエチルケトン 25.5部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア層用のコーティング液9を調整した。このコーティング液9を用いてガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム10および積層フィルム10を得た。
(比較例3)
共重合樹脂h 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.5部、メチルエチルケトン 25.5部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア層用のコーティング液10を調整した。このコーティング液10を用いてガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム11および積層フィルム11を得た。
(比較例4)
共重合樹脂i 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.5部、メチルエチルケトン 25.5部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア層用のコーティング液11を調整した。このコーティング液11を用いてガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム12および積層フィルム12を得た。
(比較例5)
共重合樹脂j 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.5部、メチルエチルケトン 25.5部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア層用のコーティング液12を調整した。このコーティング液12を用いてガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム13および積層フィルム13を得た。
(比較例6)
共重合樹脂k 10.0部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤 ディックドライX−75 2.5部、メチルエチルケトン 25.5部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア層用のコーティング液13を調整した。このコーティング液13を用いてガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム14および積層フィルム14を得た。
以上で得られた、実施例1〜8、比較例1〜6のガスバリア性フィルムおよび積層フィルムを用いて、上記の評価方法により、特性を評価した。結果を表2に示す。なお、表2には、実施例1〜8、比較例1〜6のガスバリア性フィルムおよび積層フィルムの構成も示している。


Figure 2008120600
(実施例1〜8と、比較例1との比較)
蒸着層上にガスバリア層を形成していない比較例1のフィルムと比較して、実施例1〜8のガスバリア性フィルム1〜8及び積層フィルム1〜8は未処理およびレトルト処理後いずれにおいても、ガスバリア性(O2TR)も、水蒸気透過率(MVTR)も向上していることが分かる。特に特定の樹脂組成を有するガスバリア層を設けた積層フィルム1〜8は、レトルト処理後も非常に優れた酸素バリア性を維持していることがわかる。
(実施例1〜8と比較例2、3との比較)
ガスバリア層を形成する樹脂組成において、比較例2で用いた共重合樹脂gには塗膜のガスバリア性に大きく寄与するアクリロニトリル成分が含まれていない。また比較例3で用いた共重合樹脂hには塗膜のガスバリア性に大きく寄与する不飽和ニトリルとしてアクリロニトリル成分が配合比で20重量%しか含まれていない。そのため、比較例2、3のガスバリア性フィルム10、11は、実施例1〜8のガスバリア性フィルム1〜8と比較して、ガスバリア性の向上がほとんど見られない、あるいはわずかしか向上しない。つまり、高いガスバリア性を発現するためには、共重合成分として不飽和ニトリル(アクリロニトリル)を特定の配合で含有させる必要があることがわかる。
(実施例1〜8と比較例4との比較)
ガスバリア層を形成する樹脂組成において、比較例4で用いた共重合樹脂iには、不飽和ニトリルとしてアクリロニトリル成分が50重量%含有されている。そのため、共重合ポリマーの溶解性が大きく低下し、塗料は懸濁した。そのような性状の共重合樹脂iにより形成されたガスバリア層はヘイズが高く、包装材料としての実用性に欠けるものであった。つまり、高いガスバリア性を発現するために共重合成分として不飽和ニトリル(アクリロニトリル)の配合量を大きく増加させると、透明性の観点で問題を生じる。このため、不飽和ニトリル(アクリロニトリルモノマー)は特定の配合で含有させる必要があることがわかる。
(実施例5と比較例5との比較)
ガスバリア層を形成する樹脂組成において、実施例5で用いた共重合樹脂eと比較例5で用いた共重合樹脂jは、共重合樹脂の組成に占める不飽和ニトリルであるアクリロニトリル成分の配合比は等しいが、共重合樹脂jは水酸基を有する不飽和化合物である2−ヒドロキシエチルメタクリレートの配合比が大きく、それに応じて架橋反応の相手であるイソシアネートの配合比も増やす必要がある。それは、イソシアネートの配合量が少ない場合には、共重合樹脂中のヒドロキシル基が未反応(架橋)のまま多く残るために親水性が強まり、無機化合物層との間の耐水密着性が低下する、つまり耐レトルト性が低下することを防ぐためである。しかし、そのようにすることはガスバリア層を形成する樹脂中に占める不飽和ニトリル(アクリロニトリル)の割合が低下するために、ガスバリア性の低下を招く。さらに架橋点が増加したためにその塗膜は硬くなり、レトルト処理に伴うガスバリア性の劣化度合いも大きくなる。つまり、高いガスバリア性を発現し、レトルト処理に伴うガスバリア性の劣化を小さくするためには、共重合成分の一つである水酸基を有する不飽和化合物(2−ヒドロキシエチルメタクリレートモノマー)は特定の配合で含有させる必要があることがわかる。
(実施例5と比較例6との比較)
ガスバリア層を形成する樹脂組成において、実施例5で用いた共重合樹脂eと比較例6で用いた共重合樹脂kは、共重合樹脂の組成に占める不飽和ニトリルであるアクリロニトリル成分の配合比は等しいが、共重合樹脂kは水酸基を有する不飽和化合物である2−ヒドロキシエチルメタクリレートの配合比が小さく、それに応じて架橋反応の相手であるイソシアネートとの反応によって生じる架橋点が少ない。そのため、共重合樹脂中に水素結合形成や硬化剤との反応に寄与する水酸基が少ないためにガスバリア性が十分に発現しないばかりでなく、十分な架橋構造とならず塗膜強度が不足するためにレトルト処理に伴うバリア性の悪化度合いも大きくなることがわかる。つまり、高いガスバリア性を発現し、レトルト処理に伴うガスバリア性の劣化を小さくするためには、共重合成分の一つである水酸基を有する不飽和化合物(2−ヒドロキシエチルメタクリレートモノマー)は特定の配合で含有させる必要があることがわかる。
(実施例1、7、8の比較)
実施例1、7、8に記載の方法で作製したガスバリア性フィルム1、7、8はいずれもガスバリア層を形成する共重合樹脂として共重合樹脂aを用いている。その特性を比較すると、フィルムの透明性、初期ガスバリア性及びレトルト処理後のガスバリア性はいずれも優れた性能を示している。ガスバリア性フィルム1の作製に用いたガスバリア層用のコーティング剤1と比較して、コーティング剤7は硬化剤の配合量を15%減量し、コーティング剤8は硬化剤の配合量を15%増量している。硬化剤の配合量は、透明性、ガスバリア性及び耐レトルト性に関してなんら悪影響を及ぼしていないことがわかる。硬化剤配合量の変更に伴い、共重合樹脂aと硬化剤との間の架橋度は変動していると考えられるが、上記増減範囲においては、特性の大きな低下は生じないことがわかる。
以上の各実施例、比較例の結果より明らかなように、本発明のガスバリア性フィルムは、特定の配合比で重合された共重合ポリマーを用いてガスバリア層を形成した。この結果、透明性が高く、酸素及び水蒸気に対するバリア性がいずれも高く、耐レトルト性においても優れたガスバリア性フィルムを得ることができた。
本発明のガスバリア性フィルムは、優れた酸素バリア性および水蒸気バリア性にとどまらず、ボイル・レトルト処理など熱水殺菌処理に対する耐性をも有する。本発明によれば、ガスバリア性が要求され、ボイル・レトルト処理工程を経る食品包装用フィルムとしても有用な使用用途の幅広いガスバリア性フィルムを提供することができる。


Claims (8)

  1. ポリエステルフィルムからなる基材の少なくとも一面に、無機化合物で構成される蒸着層と、ガスバリア層とが順次積層されているガスバリア性フィルムであって、
    前記ガスバリア層は、共重合体中に占める割合が25〜40重量%の(a)不飽和ニトリルと、共重合体中に占める割合が20〜30重量%の(b)水酸基を有する不飽和化合物と、(c)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群から選択される1つ以上の不飽和化合物との3成分を単量体とする共重合体で構成される主剤と、イソシアネート基を有する化合物で構成される硬化剤とで構成される、ガスバリア性フィルム。
  2. 前記ガスバリア性樹脂層を形成する主剤の(a)成分がアクリロニトリルである、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記ガスバリア性樹脂層を形成する主剤の(b)成分が、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記ガスバリア性樹脂層を形成する主剤の(c)成分がメチルメタクリレートである、請求項1ないし3のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記ガスバリア性樹脂層を形成する主剤の(c)成分が、共重合体中に25〜60重量%含まれる、請求項1ないし4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  6. 前記蒸着層を形成する無機化合物が金属酸化物である、請求項1ないし5のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  7. 前記金属酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素および酸化窒化珪素からなる群より選択された少なくとも1種である、請求項6に記載のガスバリア性フィルム。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載のガスバリア性フィルムを用いたレトルト用包装材料。


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