JPWO2008087978A1 - 重合性単量体含有組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、歯科用組成物に好適な組成物を提供する。本発明は、4個以上の炭素が連続して結合した非共役の炭素鎖、2個以上の重合性基及び2個以上の水酸基を有する重合性単量体(A)、並びに水(B)を含有してなる組成物であって、重合性単量体成分の全量100重量部に対して水(B)を6〜2000重量部含有してなる組成物である。当該組成物は、適切な成分を含有させることによって、プライマー、ボンディング材、コンポジットレジン、及びセメント等の歯科用材料に好適に用いることができる。

Description

本発明は、重合性基及び水酸基を有する二官能性重合性単量体、及び水を含有してなる組成物に関する。
歯の欠損部に修復物を充填又は被覆する際には、通常、歯科用接着材が用いられる。歯科用接着材としては、重合性基及び水酸基を有する重合性単量体を配合したものが知られている。
例えば、国際公開第WO2004/047773号パンフレットには、炭素数3〜6の多価アルコールと複数の(メタ)アクリル酸とのエステル化合物であり、水酸基を1〜2個有する多官能重合性単量体、分子内に水酸基を有しない単官能(メタ)アクリレート、分子内に酸性基を含有する重合性単量体、硬化剤として有機ホウ素化合物、及び充填材を含有してなることを特徴とする歯科用接着性組成物について記載されている。これによれば、上記多官能重合性単量体を組成物に少量添加することにより、組成物の接着性能、硬化体の物性、可操作時間にはほとんど影響を及ぼすことなく、硬化速度を大幅に向上できるとされている。しかしながら、象牙質のコラーゲン層への浸透性が必ずしも良好ではなく接着強度が低下するおそれがあり改善が望まれていた。
ここで、象牙質に対してこのような歯科用接着材を作用させた場合には、象牙質表面を酸性成分で溶かす脱灰作用、モノマー成分が象牙質のコラーゲン層に浸透する浸透作用、及び浸透したモノマー成分が固まってコラーゲンとのハイブリッド層(以下、「樹脂含浸層」と呼ぶことがある)を形成する硬化作用を有することが重要である。
現在までに上記脱灰作用、上記浸透作用、及び上記硬化作用を順に適用する3液3ステップ型から、上記脱灰作用と上記浸透作用を統一した2液2ステップ型、さらに上記脱灰作用、上記浸透作用、及び上記硬化作用を全て集約した1液1ステップ型へと歯科用接着材の使用態様を簡略化する検討が行われている。いずれの使用態様においても接着性に優れた歯科用接着材として使用可能な組成物が求められている。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、歯科用組成物に好適な、重合性基及び水酸基を有する二官能性重合性単量体、及び水を含有してなる組成物を提供することを目的とするものである。
本発明は、4個以上の炭素が連続して結合した非共役の炭素鎖、2個以上の重合性基及び2個以上の水酸基を有する重合性単量体(A)、並びに水(B)を含有してなる組成物であって、重合性単量体成分の全量100重量部に対して水(B)を6〜2000重量部含有してなる組成物である。
本発明において、重合性単量体(A)は、式(1)
Figure 2008087978
(式中、Gは、水酸基又は重合性基であり、*は、結合手を示す。)
で表される基を有することが好ましい。
また、重合性基は、下記式(2)、下記式(3)又は下記式(4)で表される基であることが好ましい。
Figure 2008087978
Figure 2008087978
Figure 2008087978
(式中、R1、R2、及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、*は、結合手を示す。)
前記重合性単量体(A)は、式(5)
Figure 2008087978
(式中、Gは、水酸基又は重合性基であり、nは、2以上の整数であり、Gのうち少なくとも2個が水酸基であり、かつGのうち少なくとも2個が重合性基である。)
で表される化合物であることが好ましい。より好ましい重合性単量体(A)の一例としては、式(6)
Figure 2008087978
(式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、mは、2以上の整数を示し、kは、1以上の整数を示し、m個のエステル基を有する単位とk個の水酸基を有する単位の配列順序は、任意である。)
で表される化合物が挙げられる。ここで、mが、2〜5であり、かつkが、1〜5であることが好ましい。
より好ましい重合性単量体(A)の別の例としては、式(7)
Figure 2008087978
(式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、pは、2以上の整数を示す。)
で表される化合物が挙げられる。ここで、pが、2〜4であることが好ましい。
上記において、R1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
本発明の組成物は、重合性単量体成分の全量100重量部中において、重合性単量体(A)を1〜99重量部含有してなることが好ましい。また、酸性基を有する重合性単量体(C)を、重合性単量体成分の全量100重量部中において1〜90重量部さらに含有してなることが好ましい。また、架橋性の重合性単量体(D)を、重合性単量体成分の全量100重量部中において1〜90重量部さらに含有してなることが好ましい。
本発明の組成物は、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、有機溶媒(E)を1〜2000重量部含有してなることが好ましい。有機溶媒(E)は、好ましくは水溶性有機溶媒である。また、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、重合開始剤(F)を0.001〜30重量部含有してなることが好ましい。また、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、重合促進剤(G)を0.001〜30重量部含有してなることが好ましい。また、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、フィラー(H)を1〜2000重量部含有してなることが好ましい。
本発明の組成物は、複数の重合性基及び複数の水酸基を有する重合性単量体(A)、及び水(B)を含むため、歯科用途を始め、様々な用途において、優れた硬化性及び接着性を発揮する組成物となる。特に、本発明の組成物は、象牙質のコラーゲン層への浸透性、並びに歯質(特に象牙質)との接着強度及び接着耐久性が高いため、歯科用組成物として好適に用いることができる。
また本発明は、別の側面から、上記の歯科用組成物を用いた、プライマー、ボンディング材、コンポジットレジン、及びセメントである。これらの歯科用材料は、歯質(特に象牙質)との優れた接着強度及び接着耐久性を示す。
本発明の組成物は、重合性基及び水酸基を有する二官能性重合性単量体(A)、及び水(B)を含有してなるものであり、歯科用組成物として有用である。本発明において、「一官能性」、「二官能性」及び「三官能性」という用語を使用するが、「一官能性」、「二官能性」及び「三官能性」とは、1分子中に重合性基を1個、2個及び3個有することをそれぞれ表わす。
重合性単量体(A)
重合成単量体(A)は、4個以上の炭素が連続して結合した非共役の炭素鎖、2個以上の重合性基及び2個以上の水酸基を有する。重合成単量体(A)として、係る定義を満たす重合性単量体を、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
重合性単量体(A)は、2個以上の重合性基を有する。本発明の組成物を歯科用途に用いた際には、この重合性基が重合することによって組成物が硬化し、プライマー、ボンディング材、コンポジットレジン、及びセメント等の歯科用材料として機能することが可能となる。また、重合性基の数が2個以上であるため、重合性単量体(A)は架橋性を有する。従って、組成物の硬化性及び硬化物の機械的強度が高い。
重合性単量体(A)に関し、重合性基とは、ラジカル重合可能な官能基を含む基のことをいい、例えば、ビニル基を含む基が挙げられる。特に、重合性基としては、重合反応性の観点から下記式(2)、式(3)又は式(4)で表される基が好ましく、これらのうち、重合性単量体(A)への導入の容易さの観点から、式(2)で表される基が最も好ましい。
Figure 2008087978
Figure 2008087978
Figure 2008087978
ここで、R1、R2、及びR3はそれぞれ、水素原子、又は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基であり、*は結合手を示す。炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基の例としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基等が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよく、例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘプタニル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロオクタニル基、n−ノニル基、シクロノナニル基、n−デシル基等が挙げられる。
炭素数2〜10のアルケニル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよく、例としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
炭素数2〜10のアルキニル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよく、例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、1−エチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、4−ペンチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、1−エチル−2−ブチニル、3−ヘキシニル、1−メチル−2−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、4−メチル−1−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、5−ヘキシニル、1−エチル−3−ブチニル等が挙げられる。
重合性単量体(A)を歯科用途などにおいて使用する際には、ラジカル重合が行われる。従って、R1、R2、及びR3はそれぞれ、最終生成物のラジカル重合反応性の観点から、水素原子又はメチル基であることが好ましい。また、歯科用組成物として使用する場合、加水分解などにより重合性基が重合性単量体(A)より脱離するおそれがある。脱離した重合性基の生体への刺激性を考慮した場合、重合性基は、メタクリロイルオキシ基を含むことが好ましい。よって、R1、R2、及びR3は、メチル基であることがより好ましい。
重合性単量体(A)は、2個以上の重合性基を有するが、2個以上の重合性基は同一であっても異なっていてもよい。
重合性単量体(A)は、2個以上の水酸基を有する。この水酸基によって、重合性単量体(A)は、高い親水性が付与されて象牙質のコラーゲン層への浸透性が良好となり、それにより組成物の歯質への接着性が良好となる。
重合性単量体(A)は4個以上の炭素が連続して結合した非共役の炭素鎖を有する。この炭素鎖が、重合性単量体(A)の骨格の全部又は一部を構成し、当該炭素鎖に、前記重合性基と水酸基が結合していることが好ましい。
重合性単量体(A)の例としては、4個以上の炭素が連続して結合した非共役の炭素鎖を有する4価以上のアルコール化合物の水酸基の一部を、水酸基及び重合性基がそれぞれ2個以上となるように重合性基に置換した化合物が挙げられる。4個以上の炭素が連続して結合した非共役の炭素鎖を有する4価以上のアルコール化合物の例としては、特に限定されないが、炭素数4〜20の糖アルコール、単糖類、二糖類及び三糖類などが好適なものとして例示される。糖アルコールとしては、炭素数4の糖アルコールであるエリスリトール、炭素数5の糖アルコールであるキシリトール、リビトール、アラビニトールや、炭素数6の糖アルコールであるマンニトール、ソルビトール及びイジトールや、炭素数12の糖アルコールであるマルチトールなどが好ましく用いられる。また、アミノ基を含有する糖アルコールであるグルカミンも好ましく用いられる。単糖類としては、炭素数5の単糖であるキシロース、リボース、アラビノース、リキソースや、炭素数6の単糖であるグルコース、マンノース、ガラクトース、ソルボース及びフルクトースなどが好ましく用いられる。また、アミノ基及びその誘導体を含有する単糖類であるグルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルマンノサミン、N−アセチルガラクトサミンなども好ましく用いられる。二糖類としては、トレハロース、スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオースなどが好ましく用いられる。三糖類としては、カップリングシュガー(登録商標)、ラクトスクロース、マルトトリオース、イソマルトトリオースなどが好ましく用いられる。本発明の組成物は、好ましくは歯科用組成物として用いられ、より好ましくは歯科用接着性組成物として用いられる。歯質(特に象牙質)との接着性の観点からは、歯質(特に象牙質)への浸透性が高いことが好ましい。かかる観点からは、前記アルコール化合物の炭素数としては、4〜15がより好ましく、4〜9がさらに好ましく、4〜7が特に好ましい。また、同様の観点から、前記アルコール化合物の水酸基の数は4〜15が好ましく、4〜9がより好ましく、4〜7が特に好ましい。好ましい具体的なアルコール化合物は、糖アルコールとしては、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトール;単糖類としては、グルコース、グルコサミン;二糖類としては、トレハロース、マルトース;三糖類としては、マルトトリオースが挙げられる。これらの中でも、エリスリトール、マンニトール、グルコース、トレハロースがさらに好ましく、エリスリトール、マンニトールが特に好ましい。
重合性単量体(A)は、下記式(1)で表される基を有することが好ましい。当該基は、上記例示した化合物に特徴的な構造である。
Figure 2008087978
ここで、Gは、水酸基又は重合性基であり、*は、結合手を示す。
重合性単量体(A)の構造について具体的には、重合性単量体(A)は、式(5)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2008087978
ここで、Gは、水酸基又は重合性基であり、nは、2以上の整数であり、Gのうち少なくとも2個が水酸基であり、かつGのうち少なくとも2個が重合性基である。
当該構造は、炭素鎖の各炭素原子に重合性基又は水酸基が結合しており、重合性基及び水酸基が高い密度で密集している。そのため、当該重合性単量体(A)を含む組成物を歯科用材料に適用した場合には、優れた硬化性及び接着性を示す。また、糖アルコールを用いて容易に製造が可能であるという利点も有する。
組成物の硬化性及び歯質との接着性、並びに原料の入手の容易性の観点からnは、2〜18の整数であることが好ましく、より好ましくは2〜9の整数であり、最も好ましくは2〜4の整数である。
組成物の歯質との接着性を重視する場合には、重合性単量体(A)は、下記式(6)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2008087978
ここで、R1は前記と同義であり、mは、2以上の整数を示し、kは1以上の整数を示し、m個のエステル基を有する単位とk個の水酸基を有する単位の配列順序は、任意である。
組成物の硬化性、象牙質のコラーゲン層への浸透性及び歯質との接着性、並びに原料の入手の容易性の観点から、mは、好ましくは2〜5であり、より好ましくは2〜4であり、最も好ましくは2である。kは、好ましくは1〜5であり、より好ましくは2〜4であり、最も好ましくは2である。mとkの合計は、3〜18が好ましく、3〜9がより好ましく、4〜8がさらに好ましく、4が最も好ましい。
式(6)で表される化合物は、3個以上の水酸基を有し、うち2個が第1級水酸基である。当該第1級水酸基は、歯質(特に象牙質)と相互作用するのに非常に有利であるため、式(6)で表される化合物を含む組成物を歯科用途に適用すると、歯質(特に象牙質)との接着性が特に高い組成物となる。また重合性基として式(2)で表される基を2個以上有するため、硬化性も良好である。
さらに、式(6)で表される化合物の中でも、式(8)及び式(9)で表される化合物が組成物の硬化性及び歯質との接着性の観点から好ましい。
Figure 2008087978
Figure 2008087978
他方で、組成物の硬化性を重視する場合には、重合性単量体(A)は、下記式(7)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2008087978
ここでR1は前記と同義であり、pは2以上の整数を示す。
式(7)で表される化合物は、4個以上の炭素が連続して結合した非共役の炭素鎖の両末端に式(2)で表される重合性基を有しており、立体的な要因から重合性能が特に高くなっている。従って、式(7)で表される化合物を含む組成物を歯科用途に適用すると、特に硬化性が高い組成物となる。また、複数の水酸基を有するため、象牙質のコラーゲン層への浸透性が良好であり、歯質との接着性も良好である。
口腔内において加水分解などの作用で分解物が生成された場合に、分解物がエリスリトール、キシリトール、ソルビトール又はマンニトールなどの安全性の高い化合物であることから、pは2〜4であることが好ましい。pが2〜4の化合物としては、例えば、エリスリトールジ(メタ)アクリレート、キシリトールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。さらに、pが2であるエリスリトールジ(メタ)アクリレートがより好ましく、前述した重合性及び生体への刺激性の観点も併せて、下記一般式(10)で表されるエリスリトールジメタクリレートが最も好ましい。
Figure 2008087978
重合性単量体(A)は、公知方法により製造して入手することができる。具体的には例えば、重合性基を有するカルボン酸(例えば、式(2)で表される基の結合手に水素原子が結合したカルボン酸)又はその誘導体と、4個以上の炭素が連続して結合した非共役の炭素鎖を有する4価以上のアルコール化合物とを常法に従いエステル化反応させ、クロマトグラフィー等の分離手段により精製すればよい。収率を向上させるために、前記重合性基を有するカルボン酸を、酸ハライド等の誘導体に変換してからエステル化反応を行ってもよい。
重合性単量体(A)が、特に式(6)で表される化合物、中でも式(8)又は式(9)で表される化合物であった場合には、前記アルコール化合物の第1級水酸基が予め保護された化合物を原料に用い、当該化合物と重合性基を有するカルボン酸(ここでは、式(2)で表される基の結合手に水素原子が結合したカルボン酸)又はその誘導体とをエステル化する工程(a)、及び得られたエステル化合物の第1級水酸基の保護基を脱保護する工程(b)を実施して製造することが好ましい。前記重合性基を有するカルボン酸の誘導体としては特に限定されないが、酸ハライド又は酸無水物が好ましく用いられる。前記アルコール化合物との反応性を考慮した場合、酸ハライドがより好ましく用いられる。また、化合物の入手のしやすさや貯蔵安定性を考慮した場合、前記酸ハライドの中でも、酸クロリドが特に好ましく用いられる。当該工程を含む製造方法は、高収率で重合性単量体を得ることができ、工業生産に好適である。
前記アルコール化合物の第1級水酸基が予め保護された化合物は、例えば、1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−D−マンニトール(1,2:5,6-Di-O-isopropylidene-D-mannitol)、1,3:4,6−ジ−O−ベンジリデン−D−マンニトール(1,3:4,6-Di-O-benzylidene-D-mannitol)など、市販品として入手することができる。また、前記アルコール化合物の第1級水酸基を保護する工程を実施して製造することもできる。前記アルコール化合物の第1級水酸基が予め保護された化合物において、第1級水酸基以外の水酸基は、複数の水酸基を残しつつ、一部が保護されていることが好ましい。このようにしておけば、水酸基を3個以上有する構造を得ることが容易となる。
前記アルコール化合物の第1級水酸基を保護する工程は、公知の保護基を導入する反応を行うことにより実施できる。
前記アルコール化合物の第1級水酸基の保護基としては、第1級水酸基に優先的に導入される基を選択するとよい。また、保護基は、エステル化反応時に脱保護反応を起こしにくく、またその脱保護反応時に、エステル結合を開裂させにくいものを選択するとよい。このような観点から、保護基としては、エーテル系保護基、シリルエーテル系保護基及びアセタール系保護基が好ましく用いられる。エーテル系保護基としては、1−エトキシエチルエーテル基及びトリフェニルメチルエーテル基がより好ましく用いられる。シリルエーテル系保護基としては、トリイソプロピルシリルエーテル基、t−ブチルジメチルシリルエーテル基及びt−ブチルジフェニルシリルエーテル基がより好ましく用いられる。これらの保護基はいずれも第1級水酸基に優先的に導入することができ、かつ、マイルドな酸性条件下で脱保護できるため、エステル結合を開裂させることなく脱保護できるという利点を有する。一方、アセタール系保護基としては、イソプロピリデン基、シクロヘプチリデン基、ベンジリデン基及びp−メトキシベンジリデン基がより好ましく用いられる。アセタール系保護基を用いた場合、1級水酸基に対して優先的に導入できるだけでなく、1級水酸基を含む2個以上の水酸基を一度に保護できるため、重合性単量体(A)の合成には極めて適している。このため、エーテル系保護基、シリルエーテル系保護基及びアセタール系保護基の中でもアセタール系保護基がさらに好ましく用いられる。さらに、特にマイルドな酸性条件で脱保護が可能であり、脱保護の際に精製する副生物が容易に除去できる観点から、イソプロピリデン基が特に好ましく用いられる。
前記アルコール化合物の第1級水酸基が予め保護された化合物と、重合性基を有するカルボン酸又はその誘導体とをエステル化する工程は、公知方法に従い行うことができ、エステル化反応においては、保護基の種類を考慮して、脱保護反応が起こりにくい適切な反応条件(特に、温度条件、及び触媒の種類)を選択することが重要である。また、エステル化反応後に、1分子中に、複数のエステル結合が形成され、また保護された水酸基及び未反応の水酸基が合計で3個以上あるように、反応条件(特に、前記アルコール化合物の第1級水酸基が予め保護された化合物と、重合性基を有するカルボン酸又はその誘導体の使用量)を選択することが重要である。
得られたエステル化合物の第1級水酸基の保護基を脱保護する工程は、保護基の種類に応じて公知方法に従って行えばよい。この際、エステル結合を開裂させにくい反応条件(特に、温度条件、及び触媒の種類)を選択することが重要である。上述したように、第1級水酸基の保護基として好ましいエーテル系保護基、シリルエーテル系保護基及びアセタール系保護基を用いた場合は、いずれもマイルドな酸性条件下で脱保護が可能であり、エステル結合を開裂させずに脱保護を行うことができる。また、シリルエーテル系保護基はTBAF(テトラブチルアンモニウムフルオライド)などのフッ素含有化合物を用いることにより極めて高い選択性を伴った脱保護が可能であり、有用性が高い。酸性条件で脱保護する場合は、塩酸、硫酸などの鉱酸及びその水溶液;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸及びその水溶液;陽イオン交換樹脂、などが好ましく用いられる。これらの中でも、酸性度が適切であり、エステル結合の開裂を効率的に抑制した脱保護が行えることから、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸及びその水溶液がより好ましく、ギ酸、酢酸及びその水溶液がさらに好ましい。
重合性単量体(A)は、複数の重合性基及び複数の水酸基を有するために、架橋反応性に優れ、親水性基を有する化合物と強く相互作用することができる。従って、当該重合性単量体を、適切な成分と混合して組成物とすれば、歯科用途を始め、様々な用途において、優れた硬化性及び接着性を発揮する組成物となる。なお、組成物の歯質との接着性と硬化性をバランスよく両立させる観点から、前記式(6)と前記式(7)で表される化合物を併用することができる。
重合性単量体(A)の配合量としては、組成物の用途に応じて適宜決定すればよく、重合性単量体成分(他の重合性単量体成分については後述する)の全量100重量部中において、重合性単量体(A)は1〜99重量部含有されることが好ましい。重合性単量体(A)の配合量がこのような範囲にある組成物を歯科用組成物として用いた場合には、象牙質のコラーゲン層への浸透性が良好であり、接着強度が高い利点を有する。重合性単量体(A)の配合量が1重量部未満の場合、接着強度が低下するとともに接着耐久性が低下するおそれがあり、より好適には2重量部以上であり、さらに好適には5重量部以上である。一方、重合性単量体(A)の配合量が99重量部を超える場合、脱灰が不十分となり、十分な接着強度が得られなくなるおそれがあり、より好適には98重量部以下であり、さらに好適には95重量部以下である。
水(B)
本発明の組成物は、重合性単量体成分の全量100重量部に対して水(B)を6〜2000重量部含有してなることを特徴とする。このような配合量の水(B)を含むことにより、本発明の組成物を歯科用組成物として用いた場合に、優れた接着強度を示すとともに優れた接着耐久性を示す。水(B)の配合量が6重量部未満の場合、コラーゲン層へのモノマーの浸透性が不十分となり、接着強度が低下する。水(B)の配合量は、7重量部以上であることが好ましく、8重量部以上であることがより好ましく、10重量部以上であることがさらに好ましい。一方、水(B)の配合量が2000重量部を超える場合、モノマーの重合性が低下し、接着強度が低下するとともに接着耐久性が低下する。そのため、水(B)の配合量は、2000重量部以下であり、1500重量部以下であることが好ましい。実際に、後述する実施例における実施例1及び2と、比較例1との対比から明らかなように、水(B)の配合量が6重量部未満の場合には充分な接着強度が得られず、水(B)の配合量が特定の範囲にあることにより本発明の効果を奏することが確認された。また、水(B)としては、悪影響を及ぼすような不純物を含有していないことが好ましく、蒸留水又はイオン交換水が好ましい。上記水(B)は単独で用いてもよいし、水(B)と後述の有機溶媒(E)の混合溶媒として用いてもよい。
次に、本発明の組成物の任意の成分について説明する。本発明の組成物は、組成物の用途に応じて重合性単量体(A)及び水(B)以外の成分を含んでいてもよい。例えば、本発明の組成物は、重合性単量体(A)以外の重合性単量体成分として、酸性基を有する重合性単量体(C)、架橋性の重合性単量体(D)等の重合性単量体成分を含んでいてもよい。これらの重合性単量体が有する重合性基は、重合性単量体(A)の重合性基と、ラジカル共重合可能な基であることが好ましい。
また、本発明の組成物は、有機溶媒(E)、重合開始剤(F)、重合促進剤(G)、及びフィラー(H)を含んでいてもよい。
本発明において、「重合性単量体成分の全量」とは、重合性単量体(A)、重合性単量体(C)、及び重合性単量体(D)の総量を意味する。
酸性基を有する重合性単量体(C)
本発明の組成物は、重合性単量体成分の全量100重量部中において、酸性基を有する重合性単量体(C)を1〜90重量部含有してなることが好ましい。酸性基を有する重合性単量体(C)の配合量がこのような範囲にある組成物を歯科用組成物として用いた場合には、酸性基を有する重合性単量体(C)自身が酸エッチング効果やプライマー処理効果を有するので、酸エッチング処理やプライマー処理などの前処理を必要としない等の利点を有する。したがって、酸性基を有する重合性単量体(C)を組み合わせることにより、簡便であり接着強度が高く、かつ接着耐久性が良好なボンディング材、特に好ましくは1液型ボンディング材を提供することができる。酸性基を有する重合性単量体(C)の配合量が1重量部未満の場合、酸エッチング効果やプライマー処理効果が得られないおそれがあり、より好適には2重量部以上であり、さらに好適には5重量部以上である。一方、酸性基を有する重合性単量体(C)の配合量が90重量部を超える場合、十分な硬化性が得られず、接着性能の低下を招くおそれがあり、より好適には80重量部以下であり、さらに好適には70重量部以下である。
酸性基を有する重合性単量体(C)は、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用することができる。酸性基を有する重合性単量体(C)としては、特に限定されないが、分子内に1個のカルボキシル基又はその酸無水物基を有する一官能性重合性単量体、分子内に複数のカルボキシル基又はその酸無水物基を有する一官能性重合性単量体、分子内にホスフィニルオキシ基又はホスホノオキシ基を有する一官能性重合性単量体(一官能性ラジカル重合性リン酸エステルと呼ぶことがある)などが挙げられる。
分子内に1個のカルボキシル基又はその酸無水物基を有する一官能性重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、N−(メタ)アクリロイルグリシン、N−(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、O−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルフェニルアラニン、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−o−アミノ安息香酸、p−ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸等及びこれらの化合物のカルボキシル基を酸無水物基化した化合物が挙げられる。
分子内に複数のカルボキシル基又はその酸無水物基を有する一官能性重合性単量体の例としては、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデカン−1,1−ジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシデカン−1,1−ジカルボン酸、12−(メタ)アクリロイルオキシドデカン−1,1−ジカルボン酸、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサン−1,1−ジカルボン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−メタクリロイルオキシ−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピルサクシネート、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテートアンハイドライド、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸無水物、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−2,3,6−トリカルボン酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルカルボニルプロピオノイル−1,8−ナフタル酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,8−トリカルボン酸無水物、9−(メタ)アクリロイルオキシノナン−1,1−ジカルボン酸、13−(メタ)アクリロイルオキシトリデカン−1,1−ジカルボン酸、11−(メタ)アクリルアミドウンデカン−1,1−ジカルボン酸などが挙げられる。
分子内にホスフィニルオキシ基又はホスホノオキシ基を有する一官能性重合性単量体(一官能性ラジカル重合性リン酸エステルと呼ぶことがある)の例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンフォスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ブロモエチルハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリルアミドエチルジハイドロジェンフォスフェート等が挙げられる。
その他の酸性基を有する一官能性重合性単量体として、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、10−スルホデシル(メタ)アクリレート等の分子内にスルホ基を有する一官能性重合性単量体などが挙げられる。
架橋性の重合性単量体(D)
本発明の組成物は、重合性単量体成分の全量100重量部中において、架橋性の重合性単量体(D)を1〜90重量部含有してなることが好ましい。架橋性の重合性単量体(D)の配合量がこのような範囲にある組成物を歯科用組成物として用いた場合には、接着強度がさらに向上する等の利点を有する。架橋性の重合性単量体(D)の配合量が1重量部未満の場合、充分な接着強度が得られないおそれがあり、より好適には2重量部以上であり、さらに好適には5重量部以上である。一方、架橋性の重合性単量体(D)の配合量が90重量部を超える場合、象牙質のコラーゲン層への浸透が不十分となり、高い接着強度が得られなくなるおそれがあり、より好適には85重量部以下であり、さらに好適には80重量部以下である。
架橋性の重合性単量体(D)は、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用することができる。架橋性の重合性単量体(D)としては、特に限定されないが、芳香族化合物系の二官能性重合性単量体、脂肪族化合物系の二官能性重合性単量体、三官能性以上の重合性単量体などが挙げられる。
芳香族化合物系の二官能性重合性単量体の例としては、2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(通称「Bis−GMA」)、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ピロメリテートなどが挙げられる。
脂肪族化合物系の二官能性重合性単量体の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン及び2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(通称「UDMA」)等が挙げられる。
三官能性以上の重合性単量体の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、及び1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等が挙げられる。
本発明の組成物は、必要に応じ、上記(A)、(C)及び(D)以外の重合性単量体を含んでいてもよい。
有機溶媒(E)
本発明の組成物は、その具体的な実施態様によっては、有機溶媒(E)を含むことが好ましい。有機溶媒(E)は、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用することができる。有機溶媒(E)としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ヘキサン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、生体に対する安全性と、揮発性に基づく除去の容易さの双方を勘案した場合、有機溶媒(E)が水溶性有機溶媒であることが好ましく、具体的には、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、アセトン、及びテトラヒドロフランが好ましく用いられる。前記有機溶媒(E)の配合量は特に限定されず、実施態様によっては前記有機溶媒(E)の配合を必要としないものもある。前記有機溶媒(E)を用いる実施態様においては、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、有機溶媒(E)を1〜2000重量部含有してなることが好ましい。前記有機溶媒(E)の好適な配合量は、用いられる実施態様によって大幅に異なるので、後述する本発明の組成物の具体的な実施態様の説明と併せて、各実施態様に応じた前記有機溶媒(E)の好適な配合量を示すこととする。
重合開始剤(F)
本発明に用いられる重合開始剤(F)は、一般工業界で使用されている重合開始剤から選択して使用でき、中でも歯科用途に用いられている重合開始剤が好ましく用いられる。特に、光重合及び化学重合の重合開始剤が、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用される。
光重合開始剤としては、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、水溶性アシルホスフィンオキサイド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α−ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α−アミノケトン系化合物などが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられる(ビス)アシルホスフィンオキサイド類のうち、アシルフォスフィンオキサイド類としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネートなどが挙げられる。ビスアシルフォスフィンオキサイド類としては、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられる水溶性アシルフォスフィンオキサイド類は、アシルフォスフィンオキサイド分子内にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ピリジニウムイオン又はアンモニウムイオンを有することが好ましい。例えば、水溶性アシルフォスフィンオキサイド類は、欧州特許第0009348号明細書又は特開昭57−197289号公報に開示されている方法により合成することができる。
上記水溶性アシルフォスフィンオキサイド類の具体例としては、モノメチルアセチルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソプロピル)フォスフォネート・ナトリウム、モノメチルベンゾイルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソブチル)フォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(2−メチル−1−オキソプロピル)フォスフォネート・ナトリウム、アセチルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチルアセチルフォスフォネート・ナトリウム、アセチルメチルフォスフォネート・ナトリウム、メチル4−(ヒドロキシメトキシフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、メチル−4−オキソフォスフォノブタノエート・モノナトリウ厶塩、アセチルフェニールフォスフィネート・ナトリウム塩、(1−オキソプロピル)ペンチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル−4−(ヒドロキシペンチルフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、アセチルペンチルフォスフィネート・ナトリウム、アセチルエチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル(1,1−ジメチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル−4−(ヒドロキシメチルフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・リチウム塩、4−(ヒドロキシメチルフォスフィニル)−4−オキソブタノイックアシッド・ジリチウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリディン−2−イル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、(2−メチルパーヒドロ−1,3−ディアジン−2−イル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、アセチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフォナイト・ナトリウム塩、メチル(2−メチルオキサチオラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1,1−プロポキシエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(1−メトキシビニル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1−エチルチオビニル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−ジアジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−チアジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジアゾリジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(2,2−ジシアノ−1−メチルエチニル)フォスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルフォスフィネートオキシム・ナトリウ厶塩、アセチルメチルフォスフィネート−O−ベンジルオキシム・ナトリウム塩、1−[(N−エトキシイミノ)エチル]メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルイミノエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルヒドラゾンエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、[1−(2,4−ジニトロフェニルヒドラゾノ)エチル]メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルフォスフィネートセミカルバゾン・ナトリウム塩、(1−シアノ−1−ヒドロキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(ジメトキシメチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、フォーミルメチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−オキソプロピル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・ドデシルグアニジン塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・イソプロピルアミン塩、アセチルメチルフォスフィネートチオセミカルバゾン・ナトリウム塩、1,3,5−トリブチル−4−メチルアミノ−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルフォスフィネート、1−ブチル−4−ブチルアミノメチルアミノ−3,5−ジプロピル−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルフォスフィネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドナトリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドカリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドのアンモニウム塩などが挙げられる。さらに、特開2000−159621号公報に記載されている化合物も挙げられる。
これら(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類及び水溶性アシルフォスフィンオキサイド類の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドナトリウム塩が特に好ましい。
上記光重合開始剤として用いられるチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩としては、例えば、チオキサントン、2−クロルチオキサンセン−9−オン、2−ヒドロキシ−3−(9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1−メチル−9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1,3,4−トリメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドなどが使用できる。
これらチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩の中でも、特に好適なチオキサントン類は、2−クロルチオキサンセン−9−オンであり、特に好適なチオキサントン類の第4級アンモニウ厶塩は、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドである。
上記光重合開始剤として用いられるケタール類の例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられるα−ジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ジベンジル、カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、4,4’−オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。この中でも、可視光域に極大吸収波長を有している観点から、カンファーキノンが特に好ましい。
上記光重合開始剤として用いられるクマリン化合物の例としては、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3−ベンゾイルクマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3,5−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3−ベンゾイル−6−ブロモクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、3−カルボキシクマリン、3−カルボキシ−7−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−6−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−8−メトキシクマリン、3−アセチルベンゾ[f]クマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−ニトロクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、7−ジメチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノ)クマリン、7−メトキシ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−(4−ニトロベンゾイル)ベンゾ[f]クマリン、3−(4−エトキシシンナモイル)−7−メトキシクマリン、3−(4−ジメチルアミノシンナモイル)クマリン、3−(4−ジフェニルアミノシンナモイル)クマリン、3−[(3−ジメチルベンゾチアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3−[(1−メチルナフト[1,2−d]チアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3,3’−カルボニルビス(6−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジメチルアミノクマリン)、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジブチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジオクチルアミノ)クマリン、3−アセチル−7−(ジメチルアミノ)クマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニル−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、10−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン、10−(2−ベンゾチアゾイル)−2,3,6、7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン等の特開平9−3109号公報、特開平10−245525号公報に記載されている化合物が挙げられる。
上述のクマリン化合物の中でも、特に、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)及び3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)が好適である。
上記光重合開始剤として用いられるアントラキノン類の例としては、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノンなどが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられるベンゾインアルキルエーテル類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられるα−アミノケトン類の例としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤の中でも、(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類及びその塩、α−ジケトン類、及びクマリン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、可視及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す組成物が得られる。
本発明に用いられる重合開始剤(F)のうち化学重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。上記の化学重合開始剤に使用される有機過酸化物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるハイドロパーオキサイドとしては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド及び1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるジアシルパーオキサイドとしては、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるジアルキルパーオキサイドとしては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン及び4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレリックアシッド−n−ブチルエステル等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシエステルとしては、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,2,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタラート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート及びt−ブチルパーオキシマレリックアシッド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシジカーボネートとしては、ジ−3−メトキシパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート及びジアリルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
これらの有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。
本発明に用いられる重合開始剤(F)の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点からは、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、重合開始剤(F)を0.001〜30重量部含有してなることが好ましい。重合開始剤(F)の配合量が0.001重量部未満の場合、重合が十分に進行せず、接着力の低下を招くおそれがあり、より好適には0.05重量部以上である。一方、重合開始剤(F)の配合量が30重量部を超える場合、重合開始剤自体の重合性能が低い場合には、十分な接着強度が得られなくなるおそれがあり、さらには組成物からの析出を招くおそれがあるため、より好適には20重量部以下である。
重合促進剤(G)
好ましい実施態様では、重合促進剤(G)が用いられる。本発明に用いられる重合促進剤(G)としては、アミン類、スルフィン酸及びその塩、ボレート化合物、バルビツール酸誘導体、トリアジン化合物、銅化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ハロゲン化合物、アルデヒド類、チオール化合物、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ尿素化合物などが挙げられる。
重合促進剤(G)として用いられるアミン類は、脂肪族アミン及び芳香族アミンに分けられる。脂肪族アミンとしては、例えば、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等の第1級脂肪族アミン;ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルエタノールアミン等の第2級脂肪族アミン;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級脂肪族アミンなどが挙げられる。これらの中でも、組成物の硬化性及び保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、その中でもN−メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンがより好ましく用いられる。
また、芳香族アミンとしては、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、組成物に優れた硬化性を付与できる観点から、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル及び4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。
重合促進剤(G)として用いられるスルフィン酸及びその塩としては、例えば、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
重合促進剤(G)として用いられるボレート化合物は、好ましくはアリールボレート化合物である。好適に使用されるアリールボレート化合物を具体的に例示すると、1分子中に1個のアリール基を有するボレート化合物として、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、トリアルキル[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキル(p−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びトリアルキル(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基及びn−ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
また、1分子中に2個のアリール基を有するボレート化合物としては、ジアルキルジフェニルホウ素、ジアルキルジ(p−クロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−フロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、ジアルキルジ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、ジアルキルジ(p−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びジアルキルジ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基及びn−ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
さらに、1分子中に3個のアリール基を有するボレート化合物としては、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリ(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−フロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びモノアルキルトリ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基又はn−ドデシル基等から選択される1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
さらに1分子中に4個のアリール基を有するボレート化合物としては、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フロロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素、(p−フロロフェニル)トリフェニルホウ素、(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルトリフェニルホウ素、(p−ニトロフェニル)トリフェニルホウ素、(m−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(m−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素及び(p−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
これらアリールボレート化合物の中でも、保存安定性の観点から、1分子中に3個又は4個のアリール基を有するボレート化合物を用いることがより好ましい。また、これらアリールボレート化合物は1種又は2種以上を混合して用いることも可能である。
重合促進剤(G)として用いられるバルビツール酸誘導体としては、バルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジフェニルバルビツール酸、1,5−ジメチルバルビツール酸、5−ブチルバルビツール酸、5−エチルバルビツール酸、5−イソプロピルバルビツール酸、5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−エチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−n−ブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロペンチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−1−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、5−メチルバルビツール酸、5−プロピルバルビツール酸、1,5−ジエチルバルビツール酸、1−エチル−5−メチルバルビツール酸、1−エチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジエチル−5−ブチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−メチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−オクチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−ヘキシルバルビツール酸、5−ブチル−1−シクロヘキシルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸及びチオバルビツール酸類、ならびにこれらの塩(特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属類が好ましい)が挙げられ、これらバルビツール酸類の塩としては、例えば、5−ブチルバルビツール酸ナトリウム、1,3,5−トリメチルバルビツール酸ナトリウム及び1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸ナトリウム等が例示される。
特に好適なバルビツール酸誘導体としては、5−ブチルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、及びこれらバルビツール酸類のナトリウム塩が挙げられる。
重合促進剤(G)として用いられるトリアジン化合物としては、例えば、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(o−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−ブトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が例示される。
上記で例示したトリアジン化合物の中で特に好ましいものは、重合活性の点で2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンであり、また保存安定性の点で、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンである。上記トリアジン化合物は1種又は2種以上を混合して用いても構わない。
重合促進剤(G)として用いられる銅化合物としては、例えば、アセチルアセトン銅、酢酸第2銅、オレイン酸銅、塩化第2銅、臭化第2銅等が好適に用いられる。
重合促進剤(G)として用いられるスズ化合物としては、例えば、ジ−n−ブチル錫ジマレート、ジ−n−オクチル錫ジマレート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。特に好適なスズ化合物は、ジ−n−オクチル錫ジラウレート及びジ−n−ブチル錫ジラウレートである。
重合促進剤(G)として用いられるバナジウム化合物は、好ましくはIV価及び/又はV価のバナジウム化合物類である。IV価及び/又はV価のバナジウム化合物類としては、例えば、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)等の特開2003−96122号公報に記載されている化合物が挙げられる。
重合促進剤(G)として用いられるハロゲン化合物としては、例えば、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド等が好適に用いられる。
重合促進剤(G)として用いられるアルデヒド類としては、例えば、テレフタルアルデヒドやベンズアルデヒド誘導体などが挙げられる。ベンズアルデヒド誘導体としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−メチルオキシベンズアルデヒド、p−エチルオキシベンズアルデヒド、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドが好ましく用いられる。
重合促進剤(G)として用いられるチオール化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸等が挙げられる。
重合促進剤(G)として用いられる亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。
重合促進剤(G)として用いられる亜硫酸水素塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等が挙げられる。
重合促進剤(G)として用いられるチオ尿素化合物としては、1−(2−ピリジル)−2−チオ尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジ−n−プロピルチオ尿素、N,N’−ジシクロヘキシルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、トリ−n−プロピルチオ尿素、トリシクロヘキシルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラ−n−プロピルチオ尿素、テトラシクロヘキシルチオ尿素等が挙げられる。
本発明に用いられる重合促進剤(G)の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点からは、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、重合促進剤(G)を0.001〜30重量部含有してなることが好ましい。重合促進剤(G)の配合量が0.001重量部未満の場合、重合が十分に進行せず、接着力の低下を招くおそれがあり、より好適には0.05重量部以上である。一方、重合促進剤(G)の配合量が30重量部を超える場合、重合開始剤自体の重合性能が低い場合には、十分な接着強度が得られなくなるおそれがあり、さらには組成物からの析出を招くおそれがあるため、より好適には20重量部以下である。
フィラー(H)
本発明の組成物に、実施態様によっては、さらにフィラー(H)を配合することが好ましい。このようなフィラーは、通常、有機フィラー、無機フィラー及び有機−無機複合フィラーに大別される。有機フィラーの素材としては、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。有機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械強度などの観点から、前記有機フィラーの平均粒子径は、0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜10μmであることがより好ましい。
無機フィラーの素材としては、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラス等が挙げられる。これらもまた、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。無機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械強度などの観点から、前記無機フィラーの平均粒子径は0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜10μmであることがより好ましい。
無機フィラーの形状としては、不定形フィラー及び球状フィラーが挙げられる。組成物の機械強度を向上させる観点からは、前記無機フィラーとして球状フィラーを用いることが好ましい。さらに、前記球状フィラーを用いた場合、本発明の組成物を歯科用コンポジットレジンとして用いた場合に、表面滑沢性に優れたコンポジットレジンが得られるという利点もある。ここで球状フィラーとは、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと略す)でフィラーの写真を撮り、その単位視野内に観察される粒子が丸みをおびており、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で割った平均均斉度が0.6以上であるフィラーである。前記球状フィラーの平均粒子径は好ましくは0.1〜5μmである。平均粒子径が0.1μm未満の場合、組成物中の球状フィラーの充填率が低下し、機械的強度が低くなるおそれがある。一方、平均粒子径が5μmを超える場合、前記球状フィラーの表面積が低下し、高い機械的強度を有する硬化体が得られないおそれがある。
前記無機フィラーは、組成物の流動性を調整するため、必要に応じてシランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。かかる表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明で用いられる有機−無機複合フィラーとは、上述の無機フィラーにモノマー化合物を予め添加し、ペースト状にした後に重合させ、粉砕することにより得られるものである。前記有機−無機複合フィラーとしては、例えば、TMPTフィラー(トリメチロールプロパンメタクリレートとシリカフィラーを混和、重合させた後に粉砕したもの)などを用いることができる。前記有機−無機複合フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械強度などの観点から、前記有機−無機複合フィラーの平均粒子径は、0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜10μmであることがより好ましい。
本発明に用いられるフィラー(H)の配合量は特に限定されず、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、フィラー(H)を1〜2000重量部が好ましい。フィラー(H)の好適な配合量は、用いられる実施態様によって大幅に異なるので、後述する本発明の組成物の具体的な実施態様の説明と併せて、各実施態様に応じたフィラー(H)の好適な配合量を示すこととする。
この他、本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲でpH調整剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、着色剤、抗菌剤、香料等を配合してもよい。
本発明の組成物は、複数の重合性基及び複数の水酸基を有する重合性単量体(A)、及び水(B)を含むため、必要により適切な成分と混合すれば、歯科用途を始め、様々な用途において、優れた硬化性及び接着性を発揮する組成物となる。特に、本発明の組成物は、象牙質のコラーゲン層への浸透性、並びに歯質(特に象牙質)との接着強度及び接着耐久性が高いため、歯科用組成物として好適に用いることができる。当該歯科用組成物は、プライマー、ボンディング材、コンポジットレジン、セメント(レジンセメント、グラスアイオノマーセメント、レジン強化型グラスアイオノマーセメント)、小窩裂溝填塞材、義歯床用レジン等の歯科用材料に用いることができ、中でも、プライマー、ボンディング材、コンポジットレジン、又はセメントとして好適に用いられる。このとき、組成物の成分を2つに分けた2剤型として用いてもよい。以下、それぞれの実施態様について詳細に説明する。
上述の通り、歯の欠損部に修復物を充填又は被覆する際には、通常、歯科用接着材が用いられる。典型的には、前記歯科用接着材は象牙質に対して作用させられる。ここで、象牙質に対してこのような歯科用接着材を作用させた場合には、象牙質表面を酸性成分で溶かす脱灰作用、モノマー成分が象牙質のコラーゲン層に浸透する浸透作用、及び浸透したモノマー成分が固まってコラーゲンとのハイブリッド層(以下、「樹脂含浸層」と呼ぶことがある)を形成する硬化作用を有することが重要である。これらの「脱灰」、「浸透」及び「硬化」の三工程を別々に行う接着システムは、通常、「3ステップ接着システム」と呼ばれている。基本的には、浸透工程に用いられる製品がプライマーであり、硬化工程に用いられる製品がボンディング材である。
近年では作業工程の簡素化のため、前記脱灰工程と前記浸透工程とを併せて一段階で行う製品が開発され、実用化されており、前記製品は「セルフエッチングプライマー」と呼ばれている。セルフエッチングプライマーとボンディング材とを用いた接着システムは、通常、「2ステップ接着システム」と呼ばれている。本発明で用いられる重合性単量体(A)は、水酸基を2個以上有し、親水性が高いため、象牙質のコラーゲン層へ浸透しやすい。このため、重合性単量体(A)を含む本発明の組成物は、歯科用プライマーとして用いることが可能で、歯科用セルフエッチングプライマーとして用いることも可能である。
本発明の組成物を用いたプライマーは、重合性単量体(A)、水(B)、酸性基を有する重合性単量体(C)、有機溶媒(E)、重合開始剤(F)及び重合促進剤(G)を含む組成物であることが好ましく、このような組成物が、さらに架橋性を有する重合性単量体(D)を含むことがより好ましい。各成分の配合量としては、重合性単量体成分の全量100重量部中において、(A)を1〜95重量部、(C)を1〜90重量部及び(D)を0〜80重量部含むことが好ましく、(A)を10〜85重量部、(C)を10〜85重量部及び(D)を5〜60重量部含むことがより好ましい。また、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、(B)を6〜2000重量部、(E)を1〜2000重量部、(F)を0.001〜30重量部及び(G)を0.001〜30重量部含むことが好ましく、(B)を8〜1500重量部、(E)を5〜1000重量部、(F)を0.05〜20重量部及び(G)を0.05〜20重量部含むことがより好ましい。
本発明の組成物を用いたプライマーにおいて、重合性単量体(A)は分子内に水酸基を2個以上有するため、本発明の組成物は、親水性が高く、象牙質のコラーゲン層への浸透性が向上している。そこで、重合促進剤(G)としてはアミン類が好ましく、有機溶媒(E)は水(B)との混合溶媒の形態で用いられることが好ましい。前記混合溶媒中の水(B)の含有量は特に限定されないが、10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることがさらに好ましい。また、実施態様によっては前記有機溶媒(E)の配合を必要としない場合もある。
本発明の組成物はボンディング材として好ましく用いられる。上述の「2ステップ接着システム」におけるボンディング材としては、前述の(A)、(B)、(F)、(G)及び(H)を含む組成物であることが好ましく、このような組成物が、さらに(C)及び/又は(D)を含むことがより好ましい。各成分の配合量としては、重合性単量体成分の全量100重量部中において、(A)を1〜80重量部、(C)を0〜80重量部及び(D)を0〜80重量部含むことが好ましく、(A)を3〜80重量部、(C)を3〜80重量部及び(D)を3〜80重量部含むことがより好ましい。本発明で用いられる前記(A)のように、重合性基を2個有する化合物を用いることで、硬化物の機械強度を高めることができる。かかる観点から、前記(D)は、重合性基を2個以上含む重合性単量体であることがより好ましい。また、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、(B)を6〜100重量部、(E)を1〜100重量部、(F)を0.001〜30重量部、(G)を0.001〜30重量部及び(H)を1〜30重量部含むことが好ましく、(B)を6〜50重量部、(E)を2〜50重量部、(F)を0.05〜20重量部、(G)を0.05〜20重量部及び(H)を2〜20重量部含むことがより好ましい。
また、近年ではさらなる作業の簡素化が求められていることから、「脱灰」、「浸透」及び「硬化」の三工程を併せて一段階で実施する製品も開発されており、「1ステップ接着システム」と呼ばれている。かかる1ステップ接着システムに用いられるボンディング材としては、A液及びB液に分けられた2液を使用直前に混和して用いるボンディング材と、最初から1液の形で提供されている、いわゆる1液型1ステップ接着システムのボンディング材の二種類が代表的な製品である。この中でも、1液型の方がより工程が簡素化されるため、使用上のメリットは大きい。本発明の組成物を前記1液型1ステップ接着システムのボンディング材として用いる場合、前記組成物は(A)、(B)、(C)、(E)、(F)、(G)及び(H)を含む組成物であることが好ましく、このような組成物が、さらに(D)を含むことがより好ましい。各成分の配合量としては、重合性単量体成分の全量100重量部中において、(A)を1〜80重量部、(C)を1〜90重量部及び(D)を0〜80重量部含むことが好ましく、(A)を5〜70重量部、(C)を3〜75重量部及び(D)を2〜80重量部含むことがより好ましい。なお、1液型1ステップ接着システムでは、「浸透」及び「硬化」を一度に行うことから、前記(A)のように、水酸基を2個以上有し、かつ重合性基を2個含む重合性単量体を用いる意義が大きい。また、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、(B)を6〜2000重量部、(E)を1〜2000重量部、(F)を0.001〜30重量部、(G)を0.001〜30重量部及び(H)を1〜30重量部含むことが好ましく、(B)を8〜1500重量部、(E)を5〜1500重量部、(F)を0.05〜20重量部、(G)を0.05〜20重量部及び(H)を2〜20重量部含むことがより好ましい。
本発明の組成物はコンポジットレジンとして好ましく用いられる。本発明の組成物をコンポジットレジンとして用いる場合、前記組成物は(A)、(B)、(D)、(F)、(G)及び(H)を含む組成物であることが好ましく、このような組成物が、さらに(C)を含むこともできる。コンポジットレジンは通常、う蝕発生部位を切削し窩洞を形成した後に、前記窩洞に充填される形態で用いられる。その後、充填されたコンポジットレジンは、通常、光重合によって硬化させる。このため、前記(F)としては、光重合開始剤を用いることが好ましい。また、上述のように充填・硬化したコンポジットレジンは口腔内において咬合圧を受けるため、優れた機械強度を求められる。このため、前記組成物は、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、フィラー(H)を30〜2000重量部含むことが好ましく、50〜1500重量部含むことがより好ましい。フィラー(H)の含有量が30重量部未満の場合、硬化物の機械強度が不充分となるおそれがある。一方、フィラー(H)の含有量が2000重量部を超える場合は、重合性単量体成分の全量中にフィラー(H)を均一に分散させることが難しくなり、機械強度及びハンドリング性の面で不充分な組成物となるおそれがある。各成分の配合量としては、重合性単量体成分の全量100重量部中において、(A)を1〜99重量部、(C)を0〜50重量部及び(D)を1〜90重量部含むことが好ましく、(A)を2〜95重量部、(C)を0〜30重量部及び(D)を2〜85重量部含むことがより好ましい。また、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、(B)を6〜10重量部、(F)を0.001〜30重量部、(G)を0.001〜30重量部及び(H)を30〜2000重量部含むことが好ましく、(B)を7〜9重量部、(F)を0.05〜20重量部、(G)を0.05〜20重量部及び(H)を50〜1500重量部含むことがより好ましい。
また、本発明の組成物を歯科用セメントとして用いることも好適な実施態様の一つである。前記セメントとしては、レジンセメント、グラスアイオノマーセメント、レジン強化型グラスアイオノマーセメントなどが好適なものとして例示される。本発明の組成物をレジンセメントとして用いる場合、前記組成物は(A)、(B)、(D)、(F)、(G)及び(H)を含む組成物であることが好ましく、このような組成物が、さらに(C)を含むこともできる。歯科用セメントは、例えば、インレーやクラウンと呼ばれる金属やセラミックス製の歯冠用修復材料を歯牙に固定する際の合着材として好ましく用いられる。本発明で用いられる前記(A)のように、重合性基を2個有することで、得られる硬化物の機械強度を高め、咬合圧などに耐えることができる。かかる観点から、前記(D)は、重合性基を2個以上含む重合性単量体であることがより好ましい。また、上述のような使用形態の場合、前記歯冠用修復材料の多くは光不透過性であるため、前記セメントを光重合のみにより硬化させることは容易ではない。このため、前記(F)として化学重合開始剤を用いることが好ましい。そして、化学重合開始剤を用いて重合させる場合、その反応性を高めるためには、前記(G)としてアミン類及び/又はスルフィン酸及びその塩を用いることが好ましく、アミン類とスルフィン酸及びその塩とを同時に用いることがより好ましい。また、用いられるフィラー(H)としては特に限定されない。
前記セメントにフッ素徐放性を付与したい場合は、前記フィラー(H)として、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス及びストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラスからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、フルオロアルミノシリケートガラス及び/又はバリウムフルオロアルミノシリケートガラスを用いることがより好ましい。一方、前記セメントにX線造影性を付与したい場合は、前記フィラー(H)として、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス及びバリウムフルオロアルミノシリケートガラスからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、バリウムガラス及び/又はバリウムフルオロアルミノシリケートガラスを用いることがより好ましい。
また、化学重合開始剤を用いる場合は、保存安定性の観点から、前記(F)と前記(G)とを、それぞれ別々の容器に保存することが好ましい。すなわち、好ましい実施態様では、前記レジンセメントは2剤型の形態で用いられる。より好ましい実施態様では、前記レジンセメントは2ペースト型の形態で用いられる。それぞれのペーストをペースト同士が隔離された状態で保存し、使用直前にその2つのペーストを混練し、化学重合を進行させて硬化させることが好ましい。上記ペーストは、重合性単量体等の液状成分とフィラー(H)(粉末)とを混練することにより調製される。また、前記(G)としてスルフィン酸及びその塩を用いた場合は、保存安定性の観点から、前記(C)と前記(G)とは別々の容器に保存することが好ましい。上述の2つのペーストをそれぞれAペースト及びBペーストと称した場合、前記Aペーストが(A)、(B)、(C)、(F)及び(H)を含み、前記Bペーストが(G)及び(H)を含む実施態様が特に好ましく用いられる。
本発明の組成物を歯科用セメントとして用いる場合の各成分の配合量としては特に限定されないが、重合性単量体成分の全量100重量部中において、(A)を1〜98重量部、(C)を1〜80重量部及び(D)を1〜90重量部含むことが好ましく、(A)を2〜96重量部、(C)を2〜80重量部及び(D)を2〜80重量部含むことがより好ましい。また、前記(B)、前記(F)及び前記(G)の配合量としては、適切な硬化時間が得られることを考慮した場合、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、(B)を6〜1000重量部、(F)を0.001〜30重量部及び(G)を0.001〜30重量部含むことが好ましく、(B)を10〜500重量部、(F)を0.05〜20重量部及び(G)を0.05〜20重量部含むことがより好ましい。
さらに、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、(H)を30〜2000重量部含むことが好ましく、(H)を50〜1500重量部含むことがより好ましい。フィラー(H)の含有量が30重量部未満の場合は、硬化物の機械強度が不充分となるおそれがある。一方、フィラー(H)の含有量が2000重量部を超える場合は、前記レジンセメントをその好適な実施態様である2ペースト型のセメントとして用いたときに、前記ペーストの流動性が不足し、充分な混和を行うことが困難となるため、硬化物の強度が低下するおそれがある。
また、本発明の組成物は、グラスアイオノマーセメントとして用いることが好ましく、より好ましくはレジン強化型グラスアイオノマーセメントとして用いられる。グラスアイオノマーセメントは、典型的にはフルオロアルミノシリケートガラスのような無機フィラーと、ポリアクリル酸のようなポリアルケン酸とが酸−塩基反応によって反応、硬化するものである。そして、前記ポリアクリル酸と歯質を構成するハイドロキシアパタイト中のカルシウムとが相互作用することにより、接着機能が発現すると考えられている。本発明の組成物をグラスアイオノマーセメント、特に好ましくはレジン強化型グラスアイオノマーセメントとして用いる場合は、前記組成物が(A)、(B)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、及びポリアルケン酸を含む組成物であることが好ましく、このような組成物が、さらに(C)を含むこともできる。
前記ポリアルケン酸とは、不飽和モノカルボン酸あるいは不飽和ジカルボン酸の重合体である。前記ポリアルケン酸の具体的な例示としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−クロロアクリル酸、2−シアノアクリル酸、アコニチン酸、メサコン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、グルタコン酸、シトラコン酸、ウトラコン酸等の単独重合体又はこれら不飽和カルボン酸の共重合体、あるいはこれらの不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体との共重合体を挙げることができる。共重合体の場合には、不飽和カルボン酸単位の割合は、全構造単位に対して50モル%以上であることが好ましい。共重合可能な単量体としてはエチレン性不飽和重合性単量体が好ましく、例えばスチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、アクリル酸塩類、塩化ビニル、塩化アリル、酢酸ビニル、1,1,6−トリメチルヘキサメチレンジメタクリレートエステルなどを挙げることができる。これらポリアルケン酸の中でも、アクリル酸又はマレイン酸の単独重合体又は共重合体が好ましい。これらのポリアルケン酸は、重量平均分子量が5,000未満の場合には、歯科用セメント組成物の硬化物の強度が低くなり、耐久性が劣る場合がある。一方、重量平均分子量が40,000を超える場合には、歯科用セメント組成物の練和時の稠度が硬くなり、操作性が低下する場合がある。したがって、好ましいポリアルケン酸の重量平均分子量は、5,000〜40,000である。
用いられるフィラー(H)としては、酸−塩基反応における硬化性及び組成物のフッ素徐放性の観点から、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス及びストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラスからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、フルオロアルミノシリケートガラス及び/又はバリウムフルオロアルミノシリケートガラスを用いることがより好ましい。
また、用いられる有機溶媒(E)の配合量は特に限定されないが、有機溶媒(E)は水(B)との混合溶媒の形態で好ましく用いられる。このように水(B)が含まれることにより酸−塩基反応を円滑に進行させることができる。前記混合溶媒中の水(B)の含有量は、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましい。
本発明の組成物をグラスアイオノマーセメント、特に好ましくはレジン強化型グラスアイオノマーセメントとして用いる場合の各成分の配合量としては特に限定されないが、重合性単量体成分の全量100重量部中において、(A)を1〜99重量部、(C)を0〜50重量部及び(D)を1〜90重量部含むことが好ましく、(A)を2〜95重量部、(C)を0〜30重量部及び(D)を2〜85重量部含むことがより好ましい。また、前記(F)及び前記(G)の配合量としては、適切な硬化時間が得られることを考慮した場合、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、(B)を6〜1000重量部、(F)を0.001〜30重量部及び(G)を0.001〜30重量部含むことが好ましく、(B)を10〜500重量部、(F)を0.05〜20重量部及び(G)を0.05〜20重量部含むことがより好ましい。さらに、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、(H)を30〜2000重量部含むことが好ましく、(H)を50〜1500重量部含むことがより好ましい。フィラー(H)の含有量が30重量部未満の場合は、硬化物の機械強度が不充分となるおそれがある。一方、フィラー(H)の含有量が2000重量部を超える場合は、組成物ペーストの流動性が低下して充分な混和を行うことが困難となるため、酸−塩基反応が円滑に進行しなくなる場合がある。その結果、硬化物の強度が低下するおそれがある。
また、重合性単量体成分の全量100重量部に対して、有機溶媒(E)を7〜500重量部含むことが好ましく、10〜300重量部含むことがより好ましく、20〜100重量部含むことがさらに好ましい。有機溶媒(E)をかかる範囲で含有することで、酸−塩基反応を円滑に進行させることができ、かつ、得られる硬化物の機械強度及び歯質への接着性が良好なものとなる。
重合性単量体成分の全量100重量部に対して、前記ポリアルケン酸を1〜200重量部含むことが好ましく、5〜100重量部含むことがより好ましく、10〜50重量部含むことがさらに好ましい。ポリアルケン酸をかかる範囲で含有することで、酸−塩基反応による硬化が円滑に進行し、かつ、得られる硬化物の口腔内での加水分解などによる崩壊を小さくすることができる。
上述の通り、グラスアイオノマーセメントでは酸−塩基反応の進行により硬化が起こるため、保存安定性の観点からは、フィラー(H)とポリアルケン酸とが別々の容器に包装され、使用直前に混和されて用いられることが好ましい。製品の形態としては、いわゆる粉−液型の製品形態も好ましく用いられるが、ハンドリング性を向上させる観点から、2種類のペーストを含むいわゆる2ペースト型グラスアイオノマーセメントの形態をとることがより好ましい。2ペースト型の製品形態の場合は、上述の2つのペーストをそれぞれAペースト及びBペーストと称した場合、前記Aペーストが(A)、(C)、(G)、(H)、(E)及びポリアルケン酸を含み、前記Bペーストが(A)、(B)、(F)及び(H)を含む実施態様が好ましい。また、前記Aペーストが(A)、(C)、(F)、(H)、(E)及びポリアルケン酸を含み、前記Bペーストが(A)、(B)、(G)及び(H)を含む実施態様も同様に好ましく用いられる。いずれの実施態様においても、前記Aペースト側にポリアルケン酸を含有するため、前記Bペーストに含まれるフィラー(H)として、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス及びストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラスからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、フルオロアルミノシリケートガラス及び/又はバリウムフルオロアルミノシリケートガラスを用いることがより好ましい。一方、前記Aペーストに含まれるフィラー(H)としては、ポリアルケン酸に対して反応性を示さないものを用いることが好ましく、石英が特に好ましく用いられる。
これらの歯科用材料は、常法に従い調製し、使用することができる。これらの歯科用材料は、歯質(特に象牙質)との優れた接着強度及び接着耐久性を示す。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に制限されるものではない。
実施例1 1ステップ接着システムへの適用(一液型ボンディング材)
(1)一液型ボンディング材の作製
各成分を常温下で混合して一液型ボンディング材組成物を作製した。その組成を表1に示す。次ぎの手順で牛歯象牙質との接着強度を測定した。
Figure 2008087978
(各成分の配合量の単位は重量部である。)
EDMA:エリスリトールジメタクリレート〔1,4−ビス(メタクリロイルオキシ)−2,3−ブタンジオール〕
XDMA:キシリトールジメタクリレート〔1,5−ビス(メタクリロイルオキシ)−2,3,4−ペンタントリオール〕
SDMA:ソルビトールジメタクリレート〔1,6−ビス(メタクリロイルオキシ)−2,3,4,5−ヘキサンテトラオール〕
MDMA:マンニトールジメタクリレート(3,4−ジ−O−メタクリロイル−D−マンニトール)
#801:1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン
GDMA:グリセロールジメタクリレート〔重合性単量体(A)に該当しない比較例用の重合性単量体〕
ErMA:ペンタエリスリトールジメタクリレート
MDP :10−メタアクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート
Bis−GMA:2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート)
TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
CQ:カンファーキノン
DBB:N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル
無機フィラー1:日本アエロジル社製「R972」
なお、MDMAは新規化合物であり、以下の方法により合成した。
参考例 MDMAの合成
(i)1,2:5,6-Di-O-isopropylidene-3,4-di-O-methacryloyl-D-mannitolの合成
冷却管を装着した2Lセパラブルフラスコに無水ピリジン700mLを加えた後、1,2:5,6-Di-O-isopropylidene-D-mannitol(和光純薬製)65gを少しずつフラスコ内に加えて完全に溶解させた。反応系に氷浴をセットして反応系を0℃まで冷却した。続いて、反応系の温度を0℃付近に保ちつつ、かつ反応系を攪拌しながら、滴下ロートを用いてメタクリロイルクロライド(和光純薬製)60gを窒素雰囲気下で約1時間掛けて反応系に滴下した。滴下ロートをガラス栓に差し替え、オイルバスを用いて反応系を70℃に加熱した。該加熱を8時間続けた。加熱終了後、オイルバスを外して反応系を室温まで冷却した。続いて、1Lの氷水を入れたビーカーに反応系を注いで反応を停止させた。反応を停止した後、1500mLのジエチルエーテルを用いて5回抽出を行った。その後、得られた有機層を、エバポレーターを用いて減圧濃縮し、油状物質を得た。前記油状物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(展開系:ヘキサン:ジエチルエーテル=7:3)、濃縮後、ヘキサンを加えて再結晶を行って目的の化合物を得た。収量は36.3g、収率は37%であった。
1H-NMR (400MHz, CDCl3, δ) 1.31 (s, 6H), 1.36 (s, 6H), 1.96 (s, 6H), 3.85-3.96 (m,4H), 4.21-4.27 (m, 2H), 5.43 (dd, 2H), 5.64 (s, 2H), 6.15 (s, 2H) (ppm)
13C-NMR (100MHz, CDCl3, δ) 18.2, 25.1, 26.3, 65.5, 71.6, 74.7, 109.3, 126.6, 135.6, 166.0 (ppm)
(ii)MDMA(3,4-di-O-methacryloyl-D-mannitol)の合成
2L丸底フラスコに酢酸540mL及び水180mLを加えた。得られた酢酸水溶液を攪拌しながら、上記で合成した1,2:5,6-Di-O-isopropylidene-3,4-di-O-methacryloyl-D-mannitol 18gを少しずつ加えて完全に溶解させた。このようにして調製した溶液の温度を25℃に保った状態で、18時間攪拌を行った。攪拌終了後、前記溶液をエバポレーターを用いて減圧濃縮することで油状物質を得た。前記油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(展開系:酢酸エチル100%)、濃縮を行ったところ、白色の結晶が析出した。NMRにより、この結晶が目的とする化合物であることを確認した。収量は8.7g、収率は60%であった。
1H-NMR (400MHz, CD3OD, δ) 1.84 (s, 6H), 3.39 (dd, 2H), 3.51 (dd, 2H), 3.59-3.66 (m,2H), 5.28 (d, 2H), 5.56 (s, 2H), 6.03 (s, 2H) (ppm)
13C-NMR (100MHz, CD3OD, δ) 18.4, 64.2, 71.6, 73.1, 126.8, 137.4, 167.9 (ppm)
(2)牛歯象牙質との接着評価方法
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙株式会社製)で研磨して、象牙質の平坦面を露出させたサンプルを得た。得られたサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙株式会社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。乾燥後の平滑面に、直径3mmの丸穴を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼着し、接着面積を規制した。
上記作製した1液型ボンディング材組成物を上記の丸穴内に筆を用いて塗布し、20秒間放置した後、歯科用エアーシリンジを用いて表面をエアブローすることで、塗布した1液型ボンディング材組成物の流動性が無くなるまで乾燥した。次いで、歯科用可視光線照射器「JETライト3000」(J.Morita USA製)にて10秒間光照射することにより、塗布した1液型ボンディング材組成物を硬化させた。
得られた1液型ボンディング材組成物の硬化物の表面に歯科充填用コンポジットレジン(クラレメディカル株式会社製、商品名「クリアフィルAP−X」(登録商標))を塗布し、離型フィルム(ポリエステル)で被覆した。次いで、その離型フィルムの上にスライドガラスを載置して押しつけることで、前記コンポジットレジンの塗布面を平滑にした。続いて、前記離型フィルムを介して、前記コンポジットレジンに対して前記照射器「JETライト3000」を用いて20秒間光照射を行い、前記コンポジットレジンを硬化させた。
得られた歯科充填用コンポジットレジンの硬化物の表面に対して、市販の歯科用レジンセメント(クラレメディカル株式会社製、商品名「パナビア21」)を用いてステンレス製円柱棒(直径5mm、長さ1.5cm)の一方の端面(円形断面)を接着した。接着後、当該サンプルを30分間室温で静置した後、蒸留水に浸漬した。得られた蒸留水に浸漬したサンプルを、37℃に保持した恒温器内に24時間静置することで、接着試験供試サンプルを作製した。接着試験供試サンプルは計10個作製し、蒸留水に浸漬したすべてのサンプルを、37℃に保持した恒温器内に24時間静置した。10個のサンプルのうち5個については、接着初期の接着力を評価するため、24時間静置後ただちに接着強さを測定した。残りの5個については、接着耐久性を評価するため、さらに4℃の冷水と60℃の温水に交互に1分間浸漬する工程を1サイクルとする熱サイクルを4000サイクル行った後に接着強さを測定した。
(3)接着強度の測定
上記の5個の接着試験供試サンプルの引張接着強度を、万能試験機(インストロン社製)にてクロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定し、平均値を引張接着強度とした。得られた結果を表1にまとめて示す。
実施例2 2ステップ接着システムへの適用(二液型ボンディング材)
(1)重合性単量体(A)を含む重合性組成物を用いたプライマーの作製
各成分を常温下で混合してプライマー組成物を作製した。その組成を表2に示す。
Figure 2008087978
(2)牛歯象牙質との接着評価方法
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で研磨して、象牙質の平坦面を露出させたサンプルを得た。得られたサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。乾燥後の平滑面に、直径3mmの丸穴を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼着し、接着面積を規定した。
上記作製したプライマーを上記の丸穴内に筆を用いて塗布し、20秒間放置した後、表面をエアブローすることで、塗布したプライマーの流動性が無くなるまで乾燥した。次いで、表3の組成のボンディング材を、前記プライマーを塗布・乾燥した歯面に重ね塗りした。続いて、歯科用可視光線照射器「JETライト3000」(J.Morita USA製)にて10秒間光照射することにより、塗布したプライマー及びボンディング材を硬化させた。
得られたボンディング材の硬化物の表面に歯科充填用コンポジットレジン(クラレメディカル社製、商品名「クリアフィルAP−X」(登録商標))を塗布し、離型フィルム(ポリエステル)で被覆した。次いで、その離型フィルムの上にスライドガラスを載置して押しつけることで、前記コンポジットレジンの塗布面を平滑にした。続いて、前記離型フィルムを介して、前記コンポジットレジンに対して前記照射器「JETライト3000」を用いて20秒間光照射を行い、前記コンポジットレジンを硬化させた。
得られた歯科充填用コンポジットレジンの硬化物の表面に対して、市販の歯科用レジンセメント(クラレメディカル社製、商品名「パナビア21」)を用いてステンレス製円柱棒(直径7mm、長さ2.5cm)の一方の端面(円形断面)を接着した。接着後、当該サンプルを30分間室温で静置した後、蒸留水に浸漬した。接着試験供試サンプルは計10個作製し、蒸留水に浸漬したすべてのサンプルを、37℃に保持した恒温器内に24時間静置した。10個のサンプルのうち5個については、接着初期の接着力を評価するため、24時間静置後ただちに接着強さを測定した。残りの5個については、接着耐久性を評価するため、さらに4℃の冷水と60℃の温水に交互に1分間浸漬する工程を1サイクルとする熱サイクルを4000サイクル行った後に接着強さを測定した。
Figure 2008087978
NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
無機フィラー2:日本アエロジル社製「Ar380」
(その他の略号は上記と同義である。)
(3)接着評価試験(接着強さ及び接着耐久性の評価)
上記の接着試験供試サンプルの引張接着強度を、万能試験機(島津製作所社製)にてクロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定し、平均値を引張接着強度とした。得られた結果を表2にまとめて示す。
実施例1及び実施例2の結果からわかるように、本発明の組成物を歯科用材料に適用すると、歯質との優れた接着性(接着強度および接着耐久性)を示す。
本発明の重合性単量体(A)は、複数の重合性基及び水酸基を有するため、硬化性を要求される用途、及び親水性を要求される用途に有用である。当該重合性単量体を含む重合性組成物は、歯科用途を始め、様々な用途に使用できる。特に、当該組成物は、プライマー、ボンディング材、コンポジットレジン、及びセメント等の歯科用材料に好適である。

Claims (22)

  1. 4個以上の炭素が連続して結合した非共役の炭素鎖、2個以上の重合性基及び2個以上の水酸基を有する重合性単量体(A)、並びに水(B)を含有してなる組成物であって、重合性単量体成分の全量100重量部に対して水(B)を6〜2000重量部含有してなる組成物。
  2. 前記重合性単量体(A)が、式(1)
    Figure 2008087978
    (式中、Gは、水酸基又は重合性基であり、*は、結合手を示す。)
    で表される基を有する請求項1に記載の組成物。
  3. 前記重合性基が、下記式(2)、下記式(3)又は下記式(4)で表される基である請求項1又は2に記載の組成物。
    Figure 2008087978
    Figure 2008087978
    Figure 2008087978
    (式中、R1、R2、及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、*は、結合手を示す。)
  4. 前記重合性単量体(A)が、式(5)
    Figure 2008087978
    (式中、Gは、水酸基又は重合性基であり、nは、2以上の整数であり、Gのうち少なくとも2個が水酸基であり、かつGのうち少なくとも2個が重合性基である。)
    で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 前記重合性単量体(A)が、式(6)
    Figure 2008087978
    (式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、mは、2以上の整数を示し、kは、1以上の整数を示し、m個のエステル基を有する単位とk個の水酸基を有する単位の配列順序は、任意である。)
    で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  6. mが、2〜5であり、かつkが、1〜5である請求項5に記載の組成物。
  7. 前記重合性単量体(A)が、式(7)
    Figure 2008087978
    (式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示し、pは、2以上の整数を示す。)
    で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  8. pが、2〜4である請求項7に記載の組成物。
  9. 1が、水素原子又はメチル基である請求項3〜8のいずれかに記載の組成物。
  10. 重合性単量体成分の全量100重量部中において、重合性単量体(A)を1〜99重量部含有してなる請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
  11. 酸性基を有する重合性単量体(C)を、重合性単量体成分の全量100重量部中において1〜90重量部さらに含有してなる請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
  12. 架橋性の重合性単量体(D)を、重合性単量体成分の全量100重量部中において1〜90重量部さらに含有してなる請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
  13. 重合性単量体成分の全量100重量部に対して、有機溶媒(E)を1〜2000重量部含有してなる請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
  14. 有機溶媒(E)が、水溶性有機溶媒である請求項13に記載の組成物。
  15. 重合性単量体成分の全量100重量部に対して、重合開始剤(F)を0.001〜30重量部含有してなる請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
  16. 重合性単量体成分の全量100重量部に対して、重合促進剤(G)を0.001〜30重量部含有してなる請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
  17. 重合性単量体成分の全量100重量部に対して、フィラー(H)を1〜2000重量部含有してなる請求項1〜16のいずれかに記載の組成物。
  18. 歯科用である請求項1〜17のいずれかに記載の組成物。
  19. 請求項18に記載の組成物を用いたプライマー。
  20. 請求項18に記載の組成物を用いたボンディング材。
  21. 請求項18に記載の組成物を用いたコンポジットレジン。
  22. 請求項18に記載の組成物を用いたセメント。
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