1…基板ステージ、2…計測ステージ、5…駆動システム、6…計測システム、8…第1光学素子、30…ノズル部材、31…供給口、32…回収口、36…第1供給装置、40…第2供給装置、50…基準板、50f…膜、60…スリット板、60f…膜、70…上板、70f…膜、80…第2ノズル部材、EL…露光光、EX…露光装置、IL…照明系、LC…第2液体、LQ…第1液体、P…基板、S…部材、Sf…膜、T…プレート部材、Tf…膜
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。本実施形態においては、露光装置EXが、例えば特開平11−135400号公報(対応国際公開第1999/23692号パンフレット)、特開2000−164504号公報(対応米国特許第6,897,963号)等に開示されているような、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ1と、露光に関する計測を実行可能な計測器、計測部材などを搭載して移動可能な計測ステージ2とを備えた露光装置である場合を例にして説明する。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ3と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ1と、基板Pを保持せずに、露光に関する計測を実行可能な計測器及び計測部材を搭載し、基板ステージ1とは独立して移動可能な計測ステージ2と、マスクステージ3を移動する駆動システム4と、基板ステージ1及び計測ステージ2を移動する駆動システム5と、各ステージ1、2、3の位置情報を計測するレーザ干渉計を含む計測システム6と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置7とを備えている。
なお、ここでいう基板Pは、デバイスを製造するための基板であって、例えばシリコンウエハのような半導体ウエハ等の基材Wに感光材(フォトレジスト)等の膜Rgが形成されたもの、あるいは感光材に加え保護膜(トップコート膜)などの各種の膜を塗布したものを含む。マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。また、本実施形態においては、マスクMとして透過型のマスクを用いるが、反射型のマスクを用いることもできる。透過型マスクは、遮光膜でパターンが形成されるバイナリーマスクに限られず、例えばハーフトーン型、あるいは空間周波数変調型などの位相シフトマスクも含む。
露光装置EXは、基板ステージ1及び計測ステージ2のそれぞれを移動可能に支持するガイド面GFを有するベース部材(定盤)BPを備えている。基板ステージ1及び計測ステージ2のそれぞれは、ガイド面GF上を移動可能である。本実施形態においては、ガイド面GFは、XY平面とほぼ平行であり、基板ステージ1及び計測ステージ2のそれぞれは、ガイド面GFに沿って、XY方向(二次元方向)に移動可能である。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、露光光ELの光路空間を露光用液体LQで満たすように、露光用液体LQの液浸空間を形成可能なノズル部材30を備えている。露光光ELの光路空間は、露光光ELが通過する光路を含む空間である。液浸空間は、露光用液体LQ(又は後述するメンテナンス用液体LC)で満たされた空間である。露光装置EXは、投影光学系PLと露光用液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射して、その基板Pを露光する。本実施形態においては、露光用液体LQとして、水(純水)を用いる。
本実施形態においては、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子8の近傍にノズル部材30が配置されている。本実施形態においては、ノズル部材30は、第1光学素子8及び露光光ELの光路空間を囲むように形成された環状の部材である。ノズル部材30は下面を有し、ノズル部材30の下面と対向する位置に配置された部材との間に液体を保持することできる。また第1光学素子8は、露光光ELを射出する光射出面(下面)を有し、第1光学素子8の射出面と対向する位置に配置された部材との間に液体を保持することができる。したがって、ノズル部材30及び第1光学素子8に対向する位置に所定の部材が配置されたときに、その所定部材とノズル部材30と間、及びその所定部材と第1光学素子8との間に液体を保持することによって、第1光学素子8の光射出側の露光光ELの光路空間、具体的には第1光学素子8とその所定部材との間の露光光ELの光路空間を液体で満たすように、液浸空間を形成することができる。
第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置に配置可能な所定部材は、第1光学素子8の光射出側で移動可能である。本実施形態においては、その所定部材は、基板ステージ1及び計測ステージ2の少なくとも一方を含む。本実施形態において、基板ステージ1は、後述するプレート部材Tを含み、計測ステージ2は計測部材(基準板50、スリット板60、及び上板70等)を含む。基板ステージ1は、第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置を含むガイド面GF上の所定領域内で移動可能であり、計測ステージ2は、第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置を含むガイド面GF上の所定領域内で、基板ステージ1と独立して移動可能である。なお、基板ステージ1に保持された基板Pも第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置に配置可能である。また、第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置に配置される部材は一つの部材でなくてもよい。例えば、基板ステージ1の上面及び計測ステージ2の上面が、第1光学素子8及びノズル部材30に対向して液浸空間を形成してもよいし、基板ステージ1の上面及び基板ステージ1に保持された基板Pの表面が、第1光学素子8及びノズル部材30に対向して液浸空間を形成してもよい。
また、本実施形態の露光装置EXは、メンテナンス対象の所定部材にメンテナンス用液体LCを供給して、その部材をメンテナンス可能である。露光装置EXは、適当なタイミングで、メンテナンス対象の部材にメンテナンス用液体LCを供給する。
本実施形態においては、メンテナンス対象の部材は、第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置に移動可能(配置可能)な部材を含む。本実施形態の露光装置EXは、第1光学素子8及びノズル部材30とメンテナンス対象部材との間にメンテナンス用液体LCの液浸空間を形成して、その部材のメンテナンスを行う。
照明系ILは、マスクM上の所定の照明領域を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光が用いられる。
マスクステージ3は、リニアモータ等のアクチュエータを含む駆動システム4により、マスクMを保持した状態で、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能である。マスクステージ3(マスクM)の位置情報は、計測システム6のレーザ干渉計6Mによって計測される。レーザ干渉計6Mは、マスクステージ3上に設けられた計測ミラー3Rを用いて、マスクステージ3のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。制御装置7は、レーザ干渉計6Mを含む計測システム6の計測結果に基づいて駆動システム4を駆動し、マスクステージ3に保持されているマスクMの位置を制御する。
投影光学系PLは、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で基板Pに投影する。投影光学系PLは、複数の光学素子を有しており、それら光学素子は鏡筒PKで保持されている。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは縮小系、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXはZ軸方向と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ1は、ステージ本体11と、ステージ本体11上に搭載され、基板Pを保持可能な基板テーブル12とを有する。ステージ本体11は、気体軸受によって、ガイド面GFに非接触で支持されており、ガイド面GF上をXY方向に移動可能である。基板ステージ1は、基板Pを保持した状態で、第1光学素子8の光射出側(投影光学系PLの像面側)で移動可能である。
計測ステージ2は、ステージ本体21と、ステージ本体21上に搭載され、計測器及び計測部材を搭載可能な計測テーブル22とを有する。ステージ本体21は、気体軸受によって、ガイド面GFに非接触で支持されており、ガイド面GF上をXY方向に移動可能である。計測ステージ2は、計測器を搭載した状態で、第1光学素子8の光射出側(投影光学系PLの像面側)で移動可能である。
駆動システム5は、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含み、ステージ本体11及びステージ本体21のそれぞれをガイド面GF上でX軸、Y軸、及びθZ方向に移動することによって、ステージ本体11上の基板テーブル12、及びステージ本体21上の計測テーブル22を、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能な粗動システム5Aと、例えばボイスコイルモータ等のアクチュエータを含み、ステージ本体11に対して基板テーブル12をZ軸、θX、及びθY方向に移動可能な微動システム5Bと、ステージ本体21に対して計測テーブル22をZ軸、θX、及びθY方向に移動可能な微動システム5Cとを備えている。粗動システム5A及び微動システム5B、5Cを含む駆動システム5は、基板テーブル12及び計測テーブル22のそれぞれを、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。制御装置7は、駆動システム5を制御することにより、基板テーブル12(基板P)及び計測テーブル22(計測器)のX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に関する位置を制御可能である。
基板テーブル12及び計測テーブル22の位置情報(X軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報)は、計測システム6のレーザ干渉計6Pによって計測される。レーザ干渉計6Pは、基板テーブル12及び計測テーブル22のそれぞれに設けられた計測ミラー12R、22Rを用いて、基板テーブル12及び計測テーブル22それぞれのX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。
また、露光装置EXは、斜入射方式のフォーカス・レベリング検出システムFLを備えている。基板テーブル12に保持された基板Pの表面の面位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)、及び計測テーブル22の上面の面位置情報等は、フォーカス・レベリング検出システムFLによって検出される。計測システム6のレーザ干渉計6Pの計測結果及びフォーカス・レベリング検出システムFLの検出結果は、制御装置7に出力される。制御装置7は、レーザ干渉計6Pの計測結果及びフォーカス・レベリング検出システムFLの検出結果に基づいて、駆動システム5を駆動し、基板テーブル12に保持されている基板P等の位置制御を行う。
また、本実施形態の露光装置EXは、露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)方式のアライメントシステムRAを備えている。アライメントシステムRAは、マスクM上のアライメントマーク、及び計測ステージ2に設けられた基準板50上の第1基準マークFM1等を検出する。アライメントシステムRAの少なくとも一部は、マスクステージ3の上方に配置されている。アライメントシステムRAは、マスクM上のアライメントマークと、そのアライメントマークに対応するように計測ステージ2に設けられた基準板50上の第1基準マークFM1の投影光学系PLを介した共役像とを観察する。本実施形態のアライメントシステムRAは、例えば特開平7−176468号公報(対応する米国特許5,646,413号)に開示されているような、対象マーク(マスクM上のアライメントマーク、及び基準板50上の第1基準マークFM1等)に対して光を照射し、CCDカメラ等で撮像したマークの画像データを画像処理してマーク位置を検出するVRA(Visual Reticle Alignment)方式を採用する。
また、本実施形態の露光装置EXは、オフアクシス方式のアライメントシステムALGを備えている。基板P上のアライメントマーク、及び計測ステージ2に設けられた基準板50上の第2基準マークFM2等を検出する。アライメントシステムALGの少なくとも一部は、投影光学系PLの先端の近傍に配置されている。本実施形態のアライメントシステムALGは、例えば特開平4−65603号公報(対応する米国特許5,493,403号)に開示されているような、基板P上の感光材を感光させないブロードバンドな検出光を対象マーク(基板P上のアライメントマーク、及び基準板50上の第2基準マークFM2等)に照射し、その対象マークからの反射光によって受光面に結像された対象マークの像と指標(アライメントシステムALG内に設けられた指標板上の指標マーク)の像とをCCD等の撮像素子を用いて撮像し、それらの撮像信号を画像処理することでマークの位置を計測するFIA(Field Image Alignment)方式のアライメントシステムを採用する。
図2は、本実施形態に係る露光装置EXの一部を拡大した側断面図である。図2において、露光装置EXは、露光用液体LQを発生する露光用液体供給装置36と、露光装置EXの所定の部材をメンテナンスするために、メンテナンス用液体LCを発生するメンテナンス用液体供給装置40とを備えている。なお、以下の説明において、露光用液体供給装置36を第1供給装置36,メンテナンス用液体供給装置40を第2供給装置40と称し、露光用液体LQを第1液体LQ、メンテナンス用液体LCを第2液体LCと称する。
上述のように、本実施形態においては、第1液体LQは、純水である。第1供給装置36は、温度調整され、十分に脱気された清浄な純水を、第1液体LQとして送出可能である。
第2液体LCは、メンテナンス対象の部材の表層を溶解可能な液体を含む。第2供給装置40は、メンテナンス対象の部材の表層を溶解可能な液体を、第2液体LCとして送出可能である。
図2において、ノズル部材30は、液体(第1液体LQ及び第2液体LCの少なくとも一方)を供給可能な供給口31を有し、供給口31からの液体で上述の液浸空間が形成される。また、ノズル部材30は、供給口31より供給された液体を回収可能な回収口32を有する。
また、露光装置EXは、第1供給装置36からの第1液体LQ、及び第2供給装置40からの第2液体LCの少なくとも一方を供給口31へ供給するための流路を形成する供給管35を備えている。供給管35の一端(下端)は、ノズル部材30の内部に形成された供給流路を介して供給口31に接続されている。第1供給装置36は、第1液体LQを、第1管41を介して、供給管35の他端(上端)に供給可能である。第2供給装置40は、第2液体LCを、第2管42を介して、供給管35の他端(上端)に供給可能である。
供給管35の他端(上端)には、流路切替機構(バルブ機構)43が設けられており、第1管41の一端は、バルブ機構43に接続され、第1管41の他端は、第1供給装置36に接続されている。また、第2管42の一端は、バルブ機構43に接続され、第2管42の他端は、第2供給装置40に接続されている。
バルブ機構43の動作は、制御装置7に制御される。制御装置7は、バルブ機構43を制御して、第2管42と供給管35とを接続する流路を閉じ、第1管41と供給管35とを接続する流路を開けることによって、第2供給装置40から供給管35(供給口31)への第2液体LCの供給を停止した状態で、第1供給装置36より送出した第1液体LQを、第1管41、供給管35、及びノズル部材30の供給流路を介して、供給口31に供給可能である。また、制御装置7は、バルブ機構43を制御して、第1管41と供給管35とを接続する流路を閉じ、第2管42と供給管35とを接続する流路を開けることによって、第1供給装置36から供給管35(供給口31)への第1液体LQの供給を停止した状態で、第2供給装置40より送出した第2液体LCを、第2管42、供給管35、及びノズル部材30の供給流路を介して、供給口31に供給可能である。
以下の説明においては、第1供給装置36から供給口31に第1液体LQが供給される状態を適宜、第1供給モード、と称し、第2供給装置40から供給口31に第2液体LCが供給される状態を適宜、第2供給モード、と称する。
回収口32は、ノズル部材30の下面に配置されており、回収口32と対向する基板ステージ1、計測ステージ2、及び基板Pの少なくとも1つの表面から液体を回収することができる。回収口32には、多孔部材(メッシュ)33が配置されている。本実施形態において、供給口31は、回収口32よりも光路空間に近い位置に配置されている。
回収口32は、ノズル部材30の内部に形成された回収流路、及び回収管37を介して、液体(第1液体LQ及び第2液体LCの少なくとも一方)を回収可能な液体回収装置38に接続されている。液体回収装置38は、真空システム等を備えており、液体を回収可能である。液体回収装置38を作動させることにより回収口32から回収された液体は、ノズル部材30の回収流路を流れた後、回収管37を介して液体回収装置38に回収される。
ノズル部材30は露光光ELを通過させるための開口30Kを有する。またノズル部材30の下面は、開口30Kを囲むように配置された平坦面34と平坦面34の周囲に配置された回収口32の多孔部材33の下面を含む。
少なくとも基板Pの露光時には、露光光ELの光路空間を第1液体LQで満たすように、第1光学素子8及びノズル部材30に対向する位置に配置された基板Pと第1光学素子8とノズル部材30とで画定される第1液体LQの液浸空間が形成される。また、メンテナンス対象の部材のメンテナンス時には、第1光学素子8及びノズル部材30に対向する位置に配置されたメンテナンス対象の部材と第1光学素子8とノズル部材30とで画定される第2液体LCの液浸空間が形成される。また、本実施形態においては、ノズル部材30は、液浸空間を形成するために、供給口31からの液体供給動作と回収口32による液体回収動作とを並行して行う。
また、本実施形態においては、ノズル部材30及び第1光学素子8と対向する位置に配置された部材の表面の一部の領域(局所的な領域)が液体で覆われるように液浸空間が形成され、その部材の表面とノズル部材30の下面との間に液体の界面(メニスカス)が形成される。すなわち、本実施形態においては、露光装置EXは、基板Pの露光時に、投影光学系PLの投影領域を含む基板P上の一部の領域が第1液体LQで覆われるように液浸空間を形成する局所液浸方式を採用する。ノズル部材30は、投影光学系PLの像面側において第1液体LQを保持する液体保持部材(liquid confinement member)として機能する。なお、ノズル部材30の構成は上述のものに限られず、例えば対応米国特許公報第7,199,858号公報に開示されている部材を用いることもできる。
次に、基板テーブル12について説明する。基板テーブル12は、基材13と、基材13に設けられ、基板Pをリリース可能に保持する第1ホルダPH1と、基材13に設けられ、プレート部材Tをリリース可能に保持する第2ホルダPH2とを備えている。プレート部材Tは、基板テーブル12とは別の部材であって、基板テーブル12の第2ホルダPH2にリリース可能に保持される。
プレート部材Tの中央には、基板Pを配置可能な略円形状の開口THが形成されている。第2ホルダPH2に保持されたプレート部材Tは、第1ホルダPH1に保持された基板Pの周囲を囲むように配置される。第1ホルダPH1に保持された基板Pの外側のエッジ(側面)と、その基板Pの外側に配置され、第2ホルダPH2に保持されたプレート部材Tの内側(開口TH側)のエッジ(内側面)との間には所定のギャップが形成される。本実施形態においては、第2ホルダPH2に保持されたプレート部材Tの表面は、第1ホルダPH1に保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)となるような平坦面となっている。このように、プレート部材Tは、基板ステージ1の第1ホルダPH1に保持された基板Pの周囲に平坦部を形成する。
プレート部材Tは、第1液体LQに対して撥液性の表面を有している。本実施形態においては、プレート部材Tの表面は、フッ素を含む材料の膜Tfで形成されている。すなわち、プレート部材Tの表面は、膜Tfの表面を含む。具体的には、プレート部材Tは、ステンレス鋼等の金属で形成された基材Tbと、その基材Tbの表面に形成されたフッ素を含む材料の膜Tfとを有する。本実施形態においては、膜Tfを形成する材料は、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)を含む。
第1ホルダPH1は、所謂ピンチャック機構を含み、基材13上に形成され、基板Pの裏面を支持する複数のピン状部材14と、複数のピン状部材14を囲むように基材13上に形成された第1周壁15とを備えている。第1周壁15は、基板Pの外形とほぼ同形状の環状に形成されており、その第1周壁15の上面は、基板Pの裏面の周縁領域(エッジ領域)と対向する。また、第1周壁15の内側の基材13上には、気体を吸引可能な第1吸引口16が複数設けられている。第1吸引口16のそれぞれは、真空システム等を含む吸引装置に接続されている。制御装置7は、吸引装置を使って、基板Pの裏面と第1周壁15と基材13とで囲まれた第1空間の気体を第1吸引口16を介して吸引して、第1空間を負圧にすることによって、基板Pの裏面をピン状部材14で吸着保持する。また、第1吸引口16に接続された吸引装置による吸引動作を停止することにより、第1ホルダPH1より基板Pを外すことができる。
第2ホルダPH2は、所謂ピンチャック機構を含み、第1周壁15を囲むように基材13上に形成された第2周壁17と、第2周壁17を囲むように基材13上に形成された第3周壁18と、第2周壁17と第3周壁18との間の基材13上に形成され、プレート部材Tの裏面を支持する複数のピン状部材19とを備えている。第2周壁17の上面は、開口TH近傍のプレート部材Tの裏面の内縁領域(内側のエッジ領域)と対向する。第3周壁18の上面は、プレート部材Tの裏面の外縁領域(外側のエッジ領域)と対向する。
また、第2周壁17と第3周壁18との間の基材13上には、気体を吸引可能な第2吸引口20が複数設けられている。第2吸引口20のそれぞれは、真空システム等を含む吸引装置に接続されている。制御装置7は、吸引装置を使って、プレート部材Tの裏面と第2周壁17と第3周壁18と基材13とで囲まれた第2空間の気体を第2吸引口20を介して吸引して、第2空間を負圧にすることによって、プレート部材Tの裏面をピン状部材19で吸着保持する。また、第2吸引口20に接続された吸引装置による吸引動作を停止することにより、第2ホルダPH2よりプレート部材Tを外すことができる。
なお、図2に示すように、例えば基板Pの表面の周縁領域(エッジショット)に露光光ELが照射されるとき、プレート部材Tの一部が、液浸空間の第1液体LQと接触していてもよい。この場合には、第1液体LQの液浸空間は、第1光学素子8、ノズル部材30、プレート部材T、及び基板Pで画定される。
次に、計測ステージ2について説明する。図3は、基板ステージ1及び計測ステージ2を示す概略斜視図、図4は、基板ステージ1及び計測ステージ2を示す平面図である。計測ステージ2は、露光に関する各種計測を行うための複数の計測器及び計測部材を備えている。計測ステージ2の計測テーブル22上面の所定位置には、計測部材として、複数の基準マークFM1、FM2が形成された基準板50が設けられている。本実施形態においては、基準板50は、計測テーブル22に設けられた第3ホルダPH3にリリース可能に保持される。また、計測テーブル22の上面の所定位置には、計測部材として、スリット部61が形成されたスリット板60が設けられている。本実施形態においては、スリット板60は、計測テーブル22に設けられた第4ホルダPH4にリリース可能に保持される。また、計測テーブル22の上面の所定位置には、計測部材として、開口パターン71が形成された上板70が設けられている。本実施形態においては、上板70は、計測テーブル22に設けられた第5ホルダPH5にリリース可能に保持される。
基準板50は、低熱膨張材料からなる基材51と、基材51上に形成され、アライメントシステムRAで計測される第1基準マークFM1と、基材51上に形成され、アライメントシステムALGで計測される第2基準マークFM2とを備えている。第1、第2基準マークFM1、FM2は、Cr(クロム)等の金属で形成されている。
基準板50は、第1液体LQに対して撥液性の表面を有している。本実施形態においては、基準板50の表面は、フッ素を含む材料の膜50fで形成されている。すなわち、記襦袢50の表面は、膜50fの表面を含む。本実施形態においては、基準板50の表面を形成する膜50fは、光(露光光EL)を透過可能なフッ素を含む透明な材料で形成されている。膜50fを形成するためのフッ素を含む透明な材料としては、例えば、旭硝子社製「サイトップ」を用いることができる。
スリット板60は、ガラス板部材64の上面中央に設けられたCr(クロム)等からなる遮光膜62と、その遮光膜62の周囲、すなわちガラス板部材64の上面のうち遮光膜62以外の部分に設けられたアルミニウム等からなる反射膜63と、遮光膜62の一部に形成された開口パターンであるスリット部61とを備えている。スリット部61においては透明部材であるガラス板部材64が露出しており、光はスリット部61を透過可能である。ガラス板部材64の形成材料としては、露光光ELに対する透過性の良い合成石英あるいは螢石などが用いられる。スリット部61は、遮光膜62を例えばエッチング処理することで形成可能である。スリット板60は、例えば特開2002−14005号公報(対応する米国特許出願公開第2002/0041377号明細書)、特開2002−198303号公報等に開示されているような空間像計測システム60Sの一部を構成する。スリット板60の下方には、空間像計測システム60Sの一部を構成する受光素子が配置されている。
スリット板60は、第1液体LQに対して撥液性の表面を有している。本実施形態においては、スリット板60の表面は、フッ素を含む材料の膜60fで形成されている。すなわち、スリット板60の表面は、膜60fの表面を含む。スリット板60の表面を形成する膜60fとしては、例えば、サイトップを用いることができる。
上板70は、ガラス板部材74の上面に設けられたCr(クロム)等からなる遮光膜72と、その遮光膜72の一部に形成された開口パターン71とを備えている。開口パターン71においては透明部材であるガラス板部材74が露出しており、光は開口パターン71を透過可能である。ガラス板部材74の形成材料としては、露光光ELに対する透過性の良い合成石英あるいは螢石などが用いられる。開口パターン71は、遮光膜72を例えばエッチング処理することで形成可能である。上板70は、露光光ELの露光エネルギーに関する情報(光量、照度、照度むら等)を計測する、例えば特開昭57−117238号公報(対応する米国特許第4,465,368号)等に開示されているように照度むらを計測可能な計測器、例えば特開2001−267239号公報に開示されているような投影光学系PLの露光光ELの透過率の変動量を計測するためのむら計測器、例えば特開平11−16816号公報(対応する米国特許出願公開第2002/0061469号明細書)等に開示されているような照射量計測器(照度計測器)の一部を構成する。あるいは、上板70が、例えば国際公開第99/60361号パンフレット(対応する欧州特許第1,079,223号明細書)等に開示されているような、波面収差計測器の一部を構成していてもよい。上板70の下方には、これら計測器の一部を構成する受光素子が配置されている。
上板70は、第1液体LQに対して撥液性の表面を有している。本実施形態においては、上板70の表面は、フッ素を含む材料の膜70fで形成されている。すなわち、上板70の表面は、膜70fの表面を含む。本実施形態においては、上板70の表面は、基準板50、スリット板60と同様、例えばサイトップの膜70fで形成されている。
また、本実施形態においては、各計測部材50、60、70の上面以外の計測テーブル22の上面は、PFA等、フッ素を含む材料の膜で形成されており、第1液体LQに対して撥液性を有する。
図5は、第3ホルダPH3に保持された基準板50を示す断面図である。第3ホルダPH3は、計測テーブル22の上面の一部に設けられた凹部に配置されている。第3ホルダPH3は、所謂ピンチャック機構を含み、基準板50の裏面を支持する複数のピン状部材52と、複数のピン状部材52を囲むように形成された周壁53と、周壁53の内側に配置され、気体を吸引可能な吸引口54とを有する。第3ホルダPH3に保持された基準板50の上面と、計測テーブル22の上面とはほぼ同じ高さ(面一)になるように設定されている。
図5に示すように、制御装置7は、基準板50を用いた計測処理を実行する際、第1光学素子8の光射出面と対向する位置に基準板50を配置し、第1光学素子8と基準板50との間に第1液体LQの液浸空間を形成した状態で、露光光EL又は露光光ELとほぼ同じ波長の光(紫外光)を、基準板50に照射する。
図6は、第4ホルダPH4に保持されたスリット板60を示す断面図である。図6に示すように、計測テーブル22の上面の一部には開口が形成されており、計測テーブル22の内部には、開口に接続する内部空間が形成されている。スリット板60は、計測テーブル22の開口近傍に配置された第4ホルダPH4にリリース可能に保持される。第4ホルダPH4は、所謂ピンチャック機構を含み、スリット部61を透過した露光光ELを遮らないように環状に形成された基材67と、基材67の内縁に沿うように基材67上に形成された内側周壁67Aと、内側周壁67Aを囲むように基材67上に形成された外側周壁67Bと、内側周壁67Aと外側周壁67Bとの間に形成され、スリット板60の裏面を支持する複数のピン状部材68と、内側周壁67Aと外側周壁67Bとの間に配置され、気体を吸引可能な吸引口69とを有する。第4ホルダPH4に保持されたスリット板60の上面と、計測テーブル22の上面とはほぼ同じ高さ(面一)になるように設定されている。
空間像計測システム60Sの少なくとも一部は、計測テーブル22の内部空間に配置されている。空間像計測システム60Sは、スリット板60と、計測テーブル22の内部空間においてスリット部61の下方に配置された光学系65と、光学系65を介した光(露光光EL)を受光可能な受光素子66とを備えている。
図6に示すように、制御装置7は、スリット板60を用いた計測処理を実行する際、第1光学素子8の光射出面と対向する位置にスリット板60を配置し、第1光学素子8とスリット板60との間に第1液体LQの液浸空間を形成した状態で、露光光ELをスリット板60に照射する。受光素子66は、スリット板60(スリット部61)を透過した露光光ELを、光学系65を介して受光し、空間像の計測を実行する。
なお、図示は省略するが、計測テーブル22には、上板70を着脱可能に保持する第5ホルダPH5が設けられており、上板70は、計測テーブル22の第5ホルダPH5に着脱可能に保持される。第5ホルダPH5に保持された上板70の上面と、計測テーブル22の上面とはほぼ同じ高さ(面一)になるように設定されている。
制御装置7は、上板70を用いた計測処理を実行する際、第1光学素子8の光射出面と対向する位置に上板70を配置し、第1光学素子8と上板70との間に第1液体LQの液浸空間を形成した状態で、露光光ELを上板70に照射する。上板70の下方に配置されている受光素子は、上板70を透過した露光光ELを受光し、所定の計測を実行する。
このように、計測テーブル22を用いて計測処理を実行する場合等においては、第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置に配置された計測テーブル22と第1光学素子8とノズル部材30とで第1液体LQの液浸空間が画定される。
また、本実施形態においては、例えば国際公開第2005/074014号パンフレット(対応欧州特許出願公開第1,713,113号公報)、米国特許公開第2006/0023186号公報などに開示されているように、制御装置7は、基板テーブル12及び計測テーブル22が第1光学素子8との間で第1液体LQを保持可能な空間を形成し続けるように、第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置を含むガイド面GFの所定領域内で、基板テーブル12(プレート部材T)の上面と計測テーブル22の上面とを接近又は接触させた状態で、駆動システム5を用いて、第1光学素子8及びノズル部材30に対して、基板テーブル12と計測テーブル22とをXY方向に同期移動させる。これにより、制御装置7は、第1液体LQの漏出を抑制しつつ、基板テーブル12の上面と計測テーブル22の上面との間で第1液体LQの液浸空間を移動可能である。なお、基板テーブル12の上面と計測テーブル22の上面との間で第1液体LQの液浸空間を移動するときに、基板テーブル12の上面と計測テーブル22の上面とはほぼ同じ高さ(面一)となるように調整されている。
このように、基板テーブル12及び計測テーブル22のいずれか一方のテーブルを投影光学系PLから離したときには、他方のテーブルを第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置に配置するので、第1光学素子8の光射出側の露光光ELの光路空間を第1液体LQで満たし続けることができる。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法の一例について説明する。
まず、制御装置7は、第1光学素子8及びノズル部材30と計測ステージ2とを対向させた状態で、露光光ELの光路空間を第1液体LQで満たす。もちろん、第1光学素子8及びノズル部材30と基板ステージ1とを対向させた状態で第1液体LQの液浸空間を形成してもよい。
次に、制御装置7は、基板Pを露光する前に、計測ステージ2に搭載されている計測器、計測部材の少なくとも一つを用いて、各種の計測を実行する。例えば、空間像計測システム60Sを用いて、図6で示したように、投影光学系PLの結像特性を計測する。
そして、制御装置7は、その計測結果基づいて、各種調整(キャリブレーション)を行う。例えば、空間像計測システム60Sの計測結果に基づいて投影光学系PLの結像特性の調整が行われる。
計測ステージ2を用いた計測が終了した後、制御装置7は、上述したように基板ステージ1と計測ステージ2とを同期移動して、第1液体LQの液浸空間を計測ステージ2から基板ステージ1へ移動する。次に、制御装置7は、基板ステージ1上の基板Pに対するアライメント処理を開始する。制御装置7は、基板ステージ1をXY方向に移動し、アライメントシステムALGの検出領域に、基板P上の各ショット領域に対応するように設けられている複数のアライメントマークを順次配置する。そして、制御装置7は、レーザ干渉計6Pを含む計測システム6を用いて、基板ステージ1の位置情報を計測しつつ、アライメントシステムALGを用いて、基板P上の複数のアライメントマークを、第1液体LQを介さずに順次検出する。これにより、制御装置7は、レーザ干渉計6Pを含む計測システム6によって規定される座標系内での基板P上のアライメントマークの位置情報を求めることができる。
そして、制御装置7は、基板Pのアライメントマークの位置情報に基づいて、基板ステージ1上の基板Pの位置を制御し、基板P上の複数のショット領域を順次露光する。
少なくともマスクMのパターンの像を基板Pに投影している間、露光光ELの光路空間を第1液体LQで満たすように液浸空間が形成され、投影光学系PLと第1液体LQとを介して、マスクMを通過した露光光ELを基板ステージに保持された基板Pに照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影され、基板Pが露光される。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。露光装置EXは、基板Pを投影光学系PLの投影領域に対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域に対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと第1液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射して、その基板Pを露光する。
ところで、上述のように、例えばスリット板60を用いた計測処理が終了した後、制御装置7は、第1光学素子8及びノズル部材30(第1液体LQの液浸空間)に対して計測ステージ2を所定の移動条件(速度、加速度、移動方向を含む)で移動して、スリット板60を、第1光学素子8及びノズル部材30と対向しない位置に移動する。
スリット板60を第1光学素子8及びノズル部材30と対向しない位置に移動しても、スリット板60の表面の撥液性が劣化(低下)していると、そのスリット板60の表面に第1液体LQ(例えば第1液体LQの滴、膜など)が残留する可能性がある。また、第1光学素子8及びノズル部材30(第1液体LQの液浸空間)に対して、スリット板60(計測ステージ2)を所定の移動条件でXY方向に移動した場合、スリット板60の表面の撥液性が劣化していると、第1液体LQの液浸空間(第1液体LQの液浸空間の形状など)を所望状態に維持することが困難となり、第1液体LQが漏出する可能性がある。特に、スループットの向上等を目的として、スリット板60(計測ステージ2)の移動速度を高めた場合、第1液体LQが残留したり、第1液体LQが漏出したりする可能性が高くなる。
同様に、基準板50を用いた計測処理を実行した後に、基準板50を第1光学素子8及びノズル部材30と対向しない位置に移動しても、基準板50の表面の撥液性が劣化していると、その基準板50の表面に第1液体LQが残留する可能性がある。また、第1光学素子8及びノズル部材30(第1液体LQの液浸空間)に対して、基準板50(計測ステージ2)を所定の移動条件でXY方向に移動した場合、基準板50の表面の撥液性が劣化していると、第1液体LQの液浸空間を所望状態に維持することが困難となり、第1液体LQが漏洩する可能性がある。
同様に、上板70の表面の撥液性が劣化していると、上板70の表面に第1液体LQが残留したり、第1液体LQの液浸空間を所望状態に維持できず、第1液体LQが漏洩したりする可能性がある。
また、上述のように、基板Pの表面の周縁領域(エッジショット)に露光光ELが照射されるとき、プレート部材Tの少なくとも一部が、液浸空間の第1液体LQと接触する。
プレート部材Tの表面の撥液性が劣化していると、第1光学素子8及びノズル部材30と対向しない位置にプレート部材Tを移動したときに、そのプレート部材Tの表面に第1液体LQ(例えば第1液体LQの滴、膜など)が残留する可能性がある。また、第1光学素子8及びノズル部材30(第1液体LQの液浸空間)に対して、プレート部材T(基板ステージ1)を所定の移動条件でXY方向に移動した場合、プレート部材Tの表面の撥液性が劣化していると、第1液体LQの液浸空間(第1液体LQの液浸空間の形状)を所望状態に維持することが困難となり、第1液体LQが漏洩する可能性がある。
スリット板60の表面、基準板50の表面,上板70の表面、計測テーブル22の上面、基板テーブル12の上面(プレート部材Tの上面)などの各部材の表面の撥液性能の劣化は、露光光EL(紫外線)の照射などによって、各部材の表面を形成する撥液性の膜が劣化し、その撥液性の膜の表面エネルギーが増大したことに起因する。したがって、各部材の表面を形成する撥液性の膜の表面エネルギーを減少させ、各部材の表面の撥液性を高めることによって、上述の不具合(第1液体LQの残留、第1液体LQの漏出等)の発生を抑制できる。
ここで、以下の説明においては、基準板50、スリット板60、上板70、プレート部材T、基板テーブル12、及び計測テーブル22等、第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置に移動可能(配置可能)な部材を適宜、部材S、と総称する。また、部材Sの表面を形成するフッ素を含む材料の膜を適宜、膜Sf、と称する。膜Sfは、上述の膜50f、60f、70f、Tfの少なくとも1つを含む。
なお、本実施形態においては、露光光ELが照射される前、あるいは第1液体LQと接触する前、あるいは第1液体LQと接触した状態で露光光ELが照射される前の初期状態においては、膜Sfによって形成される部材Sの表面エネルギーは小さく、その部材Sの表面は高い撥液性を有する。すなわち、初期状態においては、膜Sfの表面における第1液体LQ1の接触角が大きい(例えば、90°以上)。すなわち、初期状態においては、膜Sfによって形成される部材Sの表面は、第1液体LQの残留を抑制でき、第1液体LQの液浸空間を所望状態に維持できる程度の、所望の表面エネルギー(撥液性)を有している。
本発明者は、部材Sの表層、すなわち膜Sfの表層を除去することで、その部材Sの表面エネルギーを減少できることを見出した。すなわち、本発明者は、部材S(膜Sf)の表層(表面エネルギーが増加した層)を除去し、その下の表面エネルギーが増加していない層を露出させることによって、部材S(膜Sf)の表面エネルギーを減少できることを見出した。すなわち、部材(膜Sf)の表面の一部をある厚みで除去し、その下の部分を露出させることによって、部材S(膜Sf)の表面の撥液性が回復できることを見いだした。本実施形態においては、部材Sの表面に第2液体LCを供給することによって、部材S(膜Sf)の表層を溶解し、部材Sの表面の撥液性を回復させる(表面エネルギーを小さくする)。
図7は、第1液体LQと接触した状態で露光光EL(紫外光)が照射された後の部材Sの状態を示す模式図である。図7には、部材Sの一例として、スリット板60の一部が示されている。
上述したように、部材Sの表面は、フッ素を含む材料の膜Sf(膜60f)で形成されている。すなわち、部材Sの表面は膜Sfの表面を含む。膜Sfの表面に露光光ELが照射されることによって、図7の模式図に示すように、膜Sfの表層の物性(性質、材料特性)が変化する可能性がある。すなわち、膜Sfの表面に露光光ELが照射されると、膜Sfの表面を含む表面近傍の厚み方向における一部の領域の物性が変化する可能性がある。以下の説明においては、露光光ELの照射により物性が変化した膜Sfの表層(膜Sfの厚み方向における一部の領域)を適宜、変質領域Sc、と称する。
膜Sfは、フッ素を含む材料(有機材料)の膜であり、例えば、露光光ELの照射によって、膜Sfの分子の結合が切れるなどの現象が生じる可能性がある。これにより、露光光ELが照射された膜Sfの表層の物性が変化する可能性がある。そして、膜Sfの表層の物性の変化(劣化)に伴って、膜Sfの表面の撥液性が低下する(表面エネルギーが増大する)可能性がある。
したがって、部材S(膜Sf)の表層を溶解可能な第2液体LCを部材Sに供給して、その部材S(膜Sf)の表層、すなわち変質領域Scを溶解し、部材Sから除去することによって、変質領域Scの下に存在していた、物性が変化していない、すなわち所望の物性を有するフレッシュな膜Sfの表面を露出させることができる。これにより、部材Sの表面エネルギーを減少させ、撥液性を回復させることができる。
このように、露光光ELの照射などによって部材Sの表面エネルギーが増大した場合でも、部材Sの表層を溶解するために、部材Sに第2液体LCを供給する動作を含むメンテナンス作業を実行することにより、部材Sの表面エネルギーを減少させることができる。そこで、本実施形態においては、部材Sの表面エネルギーの増大に伴う上述の不具合の発生を抑制するために、所定のタイミングで、部材Sに第2液体LCを供給する動作を含むメンテナンス作業を実行する。
以下、本実施形態に係るメンテナンス方法の一例について説明する。
図8は、部材Sの一例として、スリット板60をメンテナンスしている状態を示す模式図である。図8に示すように、本実施形態においては、制御装置7は、メンテナンス時に、第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置にスリット板60を配置して、供給口31から供給された第2液体LCで液浸空間を形成する。このとき、制御装置7は、バルブ機構43を第2供給モードに設定する。これにより、図8に示すように、第2供給装置40より送出した第2液体LCを、第2管42、供給管35、及びノズル部材30の供給流路を介して、供給口31に供給可能である。
制御装置7は、スリット板60の表層を溶解するために、供給口31よりスリット板60に第2液体LCを供給する。第2液体LCは、スリット板60の表層を溶解可能な物質を所定液体に溶解させたものである。
上述のように、本実施形態のスリット板60の表面は、フッ素を含む材料の膜60fで形成されている。第2液体LCは、フッ素を含有する溶剤を含み、膜60fの表層を溶解可能である。すなわち、本実施形態においては、スリット板60の表層を溶解可能な物質として、フッ素を含有する溶剤を用いる。以下の説明においては、フッ素を含有する溶剤を適宜、フッ素系溶剤、と称する。
フッ素系溶剤としては、例えば、ハイドロフルオロカーボンエーテル(HFE)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)等が挙げられる。ハイドロフルオロカーボンとしては、例えば、三井デュポンフロロケミカル社製「バートレルXF」が挙げられる。また、フッ素系溶剤としては、例えば、住友スリーエム社製「フロリナートFC−77」も挙げられる。
また、本実施形態の第2液体LCは、上述のフッ素系溶剤をアルコールに溶解させたものである。すなわち、本実施形態の第2液体LCは、溶質をフッ素系溶剤とし、溶媒をアルコールとした溶液である。フッ素系溶剤を溶解させるためのアルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ペンタノール等が挙げられる。
第2液体LCの溶媒としては、第1液体LQに対しても可溶性を有するものを用いることが望ましい。上述のように、本実施形態においては、第2液体LCの溶媒は、アルコールであり、第1液体LQは、純水であり、第2液体LCの溶質は、フッ素系溶剤である。すなわち、純水及びフッ素系溶剤は、それぞれアルコールに可溶である。
また、本実施形態の第2供給装置40は、アルコールにフッ素系溶剤を溶解させて、所定濃度のフッ素系溶剤を含む第2液体LCを送出することができるとともに、アルコール(溶媒)のみを送出することもできる。
また、スリット板60のメンテナンスを実行するとき、制御装置7は、供給口31からの液体供給動作と回収口32による液体回収動作とを並行して行い、供給口31よりスリット板60に供給された第2液体LCを回収口32より回収する。
また、制御装置7は、第2液体LCで液浸空間を形成した状態で、第1光学素子8及びノズル部材30に対してスリット板60(計測ステージ2)をXY方向に移動する。
図9A、9B、及び9Cは、本実施形態に係るメンテナンス方法によって、スリット板60の表面状態が変化する様子を示す模式図である。図9Aは、スリット板60に第1液体LQを接触させつつ、スリット板60に露光光ELを照射した状態を示す。図9Aに示すように、露光光ELが照射されることによって、スリット板60(膜Sf)の表層の物性が変化し、変質領域Scが形成される。これにより、部材Sの表面の撥液性が低下(劣化)する。
図9Bは、スリット板60に第2液体LCを接触させた状態を示す。図9Bに示すように、スリット板60(膜Sf)と第2液体LCとが接触することによって、膜Sfの変質領域Scがスリット板60より徐々に除去される。
本実施形態においては、スリット板60のメンテナンスを実行するとき、制御装置7は、供給口31からの液体供給動作と回収口32による液体回収動作とを並行して行い、供給口31よりスリット板60上に供給された第2液体LCを回収口32より回収する。したがって、第2液体LCによってスリット板60より除去された、変質領域Scを含む膜Sfの一部は、第2液体LCとともに回収口32より回収される。したがって、スリット板60より除去された膜Sfの一部、あるいは溶解した膜Sfを含む第2液体LCが、部材Sに付着(再付着)することを抑制できる。
また、制御装置7は、ノズル部材30とスリット板60との間に第2液体LCで液浸空間を形成した状態で、ノズル部材30と部材Sとを相対的に移動するので、スリット板60の表面の広い領域に対して均一に第2液体LCを接触させることができ、膜Sfの表層を均一に溶解し、除去できる。なお、膜Sfの表層の除去は、膜Sfの表面の全域で行ってもよいし、膜Sfの表面の一部領域で行うだけでもよい。
そして、スリット板60と第2液体LCとを所定時間接触することによって、図9Cに示すように、物性が変化している膜Sfの表層、すなわち変質領域Scが全て除去され、所望の物性(撥液性、表面エネルギー)を有するフレッシュな膜Sfの表面が露出する。これにより、スリット板60の表面エネルギーが減少し、撥液性が回復する。例えば、スリット板60の表面状態を、露光光ELが照射される前の初期状態とほぼ等しくすることができる。
また、制御装置7は、スリット板60(膜Sf)と第2液体LCとが接触する時間、第2液体LC中のフッ素系溶剤の濃度、及びスリット板60に対する第2液体LCの流速(供給口31から供給される第2液体LCの単位時間当たりの量、及び回収口32から回収される第2液体LCの単位時間当たりの量)等を制御することによって、スリット板60(膜Sf)の表層のみ(変質領域Scのみ)を溶解し、除去することができる。スリット板60(膜Sf)と第2液体LCとの接触時間、第2液体LC中のフッ素系溶剤の濃度、及びスリット板60に対する第2液体LCの流速(供給口31から供給される第2液体LCの単位時間当たりの量、及び回収口32から回収される第2液体LCの単位時間当たりの量)等のパラメータは、予め実験、シミュレーションなどを行って決定することができる。また、変質領域Scの厚さは、露光光ELの照射時間及び/又はドーズ量によって変化する可能性もあるので、露光光ELの照射時間及び/又はドーズ量に上述の各パラメータを決めてもよい。
そして、スリット板60のメンテナンスが終了した後、制御装置7は、第2供給モードから第1供給モードに変化させ、通常のシーケンスを実行する。
メンテナンス作業によって、スリット板60の表面エネルギーを減少させ、第1液体LQに対するスリット板60の表面の撥液性を高めることによって、スリット板60の表面に第1液体LQが残留することを抑制できるとともに、第1光学素子8及びノズル部材30(第1液体LQの液浸空間)に対して、スリット板60を所定の移動条件(速度、加速度、移動方向を含む)でXY方向に移動した場合において、第1液体LQの液浸空間(第1液体LQの液浸空間の形状)を所望状態に維持され、第1液体LQの漏洩を防止できる。
次に、図10A、10B、10C、及び10Dを参照しながら、露光装置EXが第1供給モードから第2供給モードに変化するときの動作の一例について説明する。
図10Aは、露光装置EXが第1供給モードに設定されている状態を示す。図10Aに示すように、例えばスリット板60等を用いた計測、あるいは基板Pの露光を実行する場合には、制御装置7は、バルブ機構43を第1供給モードに設定する。これにより、供給口31からは、第1液体LQ(純水)が供給され、ノズル部材30は、供給口31から供給された第1液体LQでスリット板60との間に液浸空間を形成する。
スリット板60をメンテナンスするために、第1供給モードから第2供給モードに変化する際、制御装置7は、図10Bに示すように、バルブ機構43(又は第1供給装置36)を制御して、供給口31からの第1液体LQの供給を停止する。また、制御装置7は、回収口32を用いて、液浸空間の第1液体LQの全てを回収する。
次いで、図10Cに示すように、制御装置7は、第2供給装置40を制御して、第2供給装置40よりアルコールのみを送出する。これにより、供給管35の流路、及びノズル部材30の供給流路等にはアルコールが流れ、それら供給管35の流路、及びノズル部材30の供給流路等は、アルコールで満たされる。供給口31からは、アルコールが供給され、そのアルコールで液浸空間が形成される。また、制御装置7は、供給口31からのアルコールの供給動作と並行して、回収口32からのアルコールの回収動作を行う。これにより、ノズル部材30の回収流路、及び回収管37の流路等は、アルコールで満たされる。このように、制御装置7は、第1供給モードから第2供給モードに変化させる際、第1供給モードにおいて第1液体LQ(純水)が満たされていた流路(供給管35の流路、ノズル部材30の供給流路、回収流路、回収管37の流路等)を、第2供給モードに変化させる前に、第2液体LCの溶媒であるアルコールで置換する。
流路から第1液体LQを排除し、流路をアルコールで置換した後、図10Dに示すように、制御装置7は、第2供給装置40を制御して、第2供給装置40より第2液体LC(所定濃度のフッ素系溶剤を含むメンテナンス用液体LC)を送出する。これにより、供給管35の流路、及びノズル部材30の供給流路等は、第2液体LCで満たされる。また、供給口31からは第2液体LCが供給され、供給口31から供給された第2液体LCで液浸空間が形成される。また、制御装置7は、供給口31からの第2液体LCの供給動作と並行して、回収口32からの第2液体LCの回収動作を行う。これにより、ノズル部材30の回収流路、及び回収管37の流路等は、第2液体LCで満たされる。
アルコールは、第1液体LQ及びフッ素系溶剤のそれぞれに可溶であり、第1供給モードから第2供給モードに変化させる際、流路から第1液体LQを排除し、流路をアルコールで置換した後、第2供給モードに変化させることによって、例えば析出物(異物)の発生を抑制し、第1供給モードから第2供給モードに円滑に変化させることができる。また、スリット板60を良好にメンテナンスできる。
また、第2供給モードから第1供給モードに変化させる際には、制御装置7は、まず、第2供給装置40を制御して、第2供給装置40よりアルコールのみを送出し、流路(供給管35の流路、ノズル部材30の供給流路、回収流路、回収管37の流路等)を、アルコールで置換する。
流路から第2液体LC(フッ素系溶剤)を排除し、流路をアルコールで置換した後、制御装置7は、バルブ機構43(又は第2供給装置40)を制御して、供給口31からのアルコールの供給を停止し、回収口32を用いて、液浸空間のアルコールの全てを回収する。
そして、制御装置7は、バルブ機構43を第1供給モードに設定し、第1供給装置36より第1液体LQを送出する。これにより、供給管35の流路、及びノズル部材30の供給流路等は、第1液体LQで満たされる。また、制御装置7は、供給口31からの第1液体LQの供給動作と並行して、回収口32からの第1液体LQの回収動作を行う。これにより、ノズル部材30の回収流路、及び回収管37の流路等は、第1液体LQで満たされる。
第2供給モードから第1供給モードに変化させる際においても、流路から第2液体LCを排除し、流路をアルコールで置換した後、第1供給モードに変化させることによって、例えば析出物(異物)の発生を抑制し、第2供給モードから第1供給モードに円滑に変化させることができる。また、基板Pを良好に露光できる。
本実施形態においては、第2液体LCを用いたスリット板60に対するメンテナンス作業は、定期的に実行される。第2液体LCを用いたスリット板60に対するメンテナンス作業は、例えば基板Pを所定枚数露光処理した毎、ロット毎、所定時間間隔毎等に実行することができる。
なお、上述の説明では、主に、スリット板60をメンテナンスする場合を例にして説明したが、制御装置7は、スリット板60のみならず、基準板50、上板70、プレート部材T、基板テーブル12、及び計測テーブル22等、第1光学素子8の光射出面と対向する位置、すなわち第1光学素子8からの露光光ELが照射可能な位置に移動可能(配置可能)であり、第1光学素子8及びノズル部材30とともに第1液体LQの液浸空間を形成可能な部材を、第2液体LCを用いてメンテナンス可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、スリット板60等、撥液性の表面を有する部材Sが、露光光ELの照射などによってその撥液性が低下した場合でも、部材Sに第2液体LCを供給することによって、部材Sの表層を溶解し、その部材S(膜Sf)の表面エネルギーを減少させ、その部材S(膜Sf)の表面の撥液性を回復させることができる。したがって、液浸露光処理、あるいは液浸露光処理のための計測処理を実行する際、第2液体LCでメンテナンス処理した後の部材Sを用いることによって、部材S上に第1液体LQが残留することを抑制し、第1液体LQの液浸空間を所望状態に維持することができる。したがって、露光装置EXの性能を維持でき、露光不良の発生を抑制しつつ、基板Pを良好に露光して、所望の性能を有するデバイスを製造できる。
本実施形態においては、露光装置EX内で部材Sのメンテナンスを実行できる。そのため、従来のように、撥液性が低下した部材Sを交換したり、その交換のために露光装置EXの稼動を長時間停止したりすることなく、撥液性が低下した部材Sの表面の撥液性を回復させることができる。また、メンテナンス作業を何度か行うことよって、撥液性が低下した部材Sを交換する必要が生じても、その交換の頻度を抑えることができる。したがって、露光装置EXの稼動率の低下を抑制し、露光不良の発生を抑制しつつ、基板Pを良好に露光できる。
また、本実施形態においては、第1液体LQの供給を回収に使われるノズル部材30を用いて第2液体LCの供給と回収を行うので、部品点数を抑制し、装置の構造の複雑化を抑制できる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図11は、第2実施形態に係る露光装置EXを示す図である。図11において、露光装置EXは、ノズル部材30と離れた位置に配置され、第2液体LCで液浸空間を形成可能な第2ノズル部材80を備えている。
本実施形態においては、第2ノズル部材80は、第1ノズル部材30の+Y側に配置されており、基板ステージ1に保持された基板Pを露光している間、計測ステージ2は、基板ステージ1の+Y側で移動する。
基板ステージ1及び計測ステージ2のそれぞれは、第1光学素子8の光射出面及びノズル部材30の下面と対向する位置、及び第2ノズル部材80の下面と対向する位置を含むガイド面GF上の所定領域内で移動可能である。計測ステージ2は、ガイド面GF上の所定領域内で基板ステージ1と独立して移動可能である。
本実施形態において、ノズル部材30は、専ら第1液体LQの供給及び回収に用いられ、第1光学素子8の光射出面及びノズル部材30の下面と対向する位置に配置された部材(基板ステージ1、計測ステージ2、及び基板Pの少なくとも1つ)と第1光学素子8とノズル部材30とで第1液体LQの液浸空間を画定する。
第2ノズル部材80は、専ら第2液体LCの供給及び回収に用いられ、第2ノズル部材80の下面と対向する位置に配置された部材S(基板ステージ1、計測ステージ2、及び基板Pの少なくとも1つ)と第2ノズル部材80とで、第2液体LCの液浸空間を画定する。メンテナンス対象の部材Sのメンテナンス時に、第2ノズル部材80の下面と対向する位置に配置された部材Sと第2ノズル部材80との間に、第2液体LCが保持される。
図12は、第2ノズル部材80の一例を示す図である。図12において、第2ノズル部材80は、第2液体LCを供給可能な供給口81と、供給口81より部材Sに供給された第2液体LCを回収可能な回収口82とを有する。供給口81は、第2ノズル部材80の下面のほぼ中央に形成されている。回収口82は、第2ノズル部材80の下面において、供給口81を囲むように形成されている。
供給口81には、第2ノズル部材80の内部に形成された供給流路、及び供給管85を介して、第2供給装置40Aから第2液体LCが供給される。回収口82は、第2ノズル部材80の内部に形成された回収流路、及び回収管88を介して、少なくとも第2液体LCを回収可能な液体回収装置38Eに接続されている。
図11に示すように、本実施形態においては、制御装置7は、基板ステージ1を第1光学素子8の光射出面及びノズル部材30の下面と対向する位置に配置して、一方側の第1光学素子8とノズル部材30と、他方側の基板ステージ1(基板P)との間に第1液体LQで液浸空間を形成する動作と、計測ステージ2を第2ノズル部材80の下面と対向する位置に配置して、第2ノズル部材80の下面と計測ステージ2との間に第2液体LCで液浸空間を形成する動作の少なくとも一部とを並行して実行できる。すなわち、本実施形態においては、制御装置7は、基板ステージ1に保持された基板Pの液浸露光動作と、計測ステージ2の表面エネルギーを減少させるためのメンテナンス動作とを並行して行うことができる。
したがって、本実施形態における第2ノズル部材80の配置は、計測ステージ2のメンテナンスを頻繁に行いたい場合に有効である。
また、本実施形態においては、第1液体LQ(純水)が流れる流路を形成する部材(ノズル部材30、供給管35、回収管37等)と、第2液体LCが流れる流路を形成する部材(第2ノズル部材80、供給管85、回収管88等)とを分けることができる。第1液体LQと第2液体LCとは物性(材料特性、種類)が異なるので、第1液体LQが流れる流路を形成する部材と、第2液体LCが流れる流路を形成する部材とを分けることによって、第1液体LQの物性に適した材料で、第1液体LQが流れる流路を形成する部材を形成でき、第2液体LCの物性に適した材料で、第2液体LCが流れる流路を形成する部材を形成できる。
例えば、第1液体LQ(純水)が流れる供給管35(又は回収管37)が、PFAによって形成されている場合、そのPFAによって形成された供給管35(又は回収管37)に、フッ素系溶剤を含む第2液体LCを流すと、例えば供給管35(又は回収管37)がダメージを受けたり、供給管35(又は回収管37)からの溶出物が第2液体LCに混ざったりする可能性がある。本実施形態においては、第1液体LQが流れる供給管35(又は回収管37)と、第2液体LCが流れる供給管85(又は回収管88)とは別の部材なので、第2液体LCが流れる供給管85(又は回収管88)を、その第2液体LCの物性に適した材料(第2液体LCからダメージを受けない材料、第2液体LCに影響を与えない材料)で形成することができる。例えば、第2液体LCが流れる供給管85(又は回収管88)を、ステンレス、チタン等の金属、あるいはポリエチレン等の合成樹脂で形成することにより、供給管85(又は回収管88)が第2液体LCからダメージを受けたり、供給管85(又は回収管88)が第2液体LCに影響を与えたりすることを抑制できる。同様に、ノズル部材30及び第2ノズル部材80のそれぞれを、第1液体LQ及び第2液体LCの物性に応じた材料で形成できる。
なお、本実施形態において、基板ステージ1を第2ノズル部材80と対向する位置に配置して、基板ステージ1(プレート部材T)の上面を第2液体LCを用いてメンテナンスしてもよい。このときに、計測ステージ2は第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置に移動してもよい。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図13は、第3実施形態に係る露光装置EXを示す図である。上述の第2実施形態と同様、露光装置EXは、第2ノズル部材80と、ノズル部材30とを備えている。
本実施形態においては、第2ノズル部材80は、第1ノズル部材30の−Y側に配置されており、計測ステージ2が、第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置に配置されているときに、基板ステージ1は、計測ステージ2の−Y側で移動する。
図13に示すように、本実施形態においては、制御装置7は、計測ステージ2を第1光学素子8の光射出面及びノズル部材30の下面と対向する位置に配置して、第1光学素子8とノズル部材30と計測ステージ2との間に第1液体LQで液浸空間を形成する動作と、基板ステージ1を第2ノズル部材80の下面と対向する位置に配置して、第2ノズル部材80の下面と基板ステージ1(プレート部材T等)との間に第2液体LCで液浸空間を形成する動作の少なくとも一部とを並行して実行できる。すなわち、本実施形態においては、計測ステージ2及び第1液体LQを用いた計測動作と、基板ステージ1(プレート部材T等)の表面エネルギーを減少させるためのメンテナンス動作とを並行して行うことができる。
したがって、本実施形態における第2ノズル部材80の配置は、基板ステージ1のメンテナンスを頻繁に行いたい場合に有効である。
なお、第2ノズル部材80を用いて基板ステージ1のメンテナンスを行っているときに、計測ステージ2の計測器、及び計測部材の少なくとも一つを用いる計測動作を行わずに、第1光学素子8と計測ステージ2との間に第1液体LQを保持し続けるだけでもよい。
また、第2ノズル部材80を用いて計測ステージ2の上面のメンテナンスを実行してもよい。このとき、基板ステージ1を第1光学素子8及びノズル部材30と対向する位置に配置してもよい。
なお、上述の第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせることはもちろん可能である。すなわち、投影光学系PLの+Y側及び−Y側のそれぞれに、第2ノズル部材80を配置することができる。これにより、基板ステージ1及び計測ステージ2それぞれに対するメンテナンス動作を所定のタイミングで円滑に実行できる。
なお、上述の各実施形態においては、スリット板60等の部材Sの表面エネルギーを減少させるためのメンテナンス動作を、定期的に実行するように説明したが、部材Sの表面エネルギーが減少しているか否か(部材Sの表面の撥液性が劣化しているか否か)を検知して、その結果に基づいてメンテナンス動作を行うタイミングを決定しても良い。例えばアライメントシステムALGで部材Sの表面の画像(光学像)を取得し、その取得した画像情報に基づいて、部材Sの表面エネルギーを減少させるためのメンテナンス動作を実行するか否か(部材Sの表面の撥液性が劣化しているか否か)を決定するようにしてもよい。上述のように、本実施形態のアライメントシステムALGは、CCD等の撮像素子を有しており、部材Sの画像を取得可能である。部材Sの表面エネルギーが増大しているとき(部材Sの表面の撥液性が劣化しているとき)、部材Sの表面から第1液体LQを取り去る動作を実行したにもかかわらず、その部材Sの表面に第1液体LQ(滴)が残留している可能性が高い。そこで、制御装置7は、アライメントシステムALGを用いて取得した部材Sの表面の画像情報に基づいて、その部材Sの表面に第1液体LQ(滴)が残留していると判断した場合、部材Sの表面の撥液性が劣化していると判断(推定)し、部材Sの表面エネルギーを減少させるためのメンテナンス動作を実行する。また露光装置EXに、部材Sの表面における第1液体LQの滴の接触角を測定する測定装置を搭載し、その測定結果に基づいてメンテナンス動作を行うか否かを決定してもよい。
また、部材Sに、その部材Sの表面の温度を検出可能な温度センサを設け、その温度センサの検出結果に基づいて、部材Sの表面エネルギーを減少させるためのメンテナンス動作を実行するか否かを決定するようにしてもよい。部材Sの表面エネルギーが増大しているとき(部材Sの表面の撥液性が劣化しているとき)には、その部材Sの表面に第1液体LQ(滴)が残留する可能性が高く、その残留した第1液体LQの気化によって、部材Sの表面の温度が大きく変化(低下)する可能性がある。そこで、制御装置7は、温度センサの検出結果に基づいて、部材Sの表面の温度が大きく変化していることを検知した場合、部材Sの表面の撥液性が劣化して、その部材Sの表面に第1液体LQ(滴)が残留し易くなっていると判断(推定)し、部材Sの表面エネルギーを減少させるための表面処理動作を実行する。
なお、上述の各実施形態においては、主に露光光ELが照射されることによって増大した部材Sの表面エネルギーを減少させるために、第2液体LCを用いたメンテナンス動作が実行されるが、メンテナンス対象の部材Sとしては、露光光ELが照射されない部材であってもよい。露光光ELが照射されない部材であっても、その部材の表面の撥液性が、例えば経時的に劣化する可能性がある。そのような場合でも、部材の表層を第2液体LCを用いて溶解することによって、所望の撥液性を有する面が露出され、部材Sの表面の撥液性を回復させることができる。
また、上述の各実施形態においては、第1液体LQの液浸空間に対して部材Sを移動したときに、部材Sの表面に残留する第1液体LQを問題としているが、部材Sの表面の撥液性が劣化している場合には、ノズル部材30の回収口を使って第1液体LQをすべて回収しようとしても、部材Sの表面に第1液体LQが残留してしまうため、上述の各実施形態と同様にして部材Sのメンテナンスが必要となる。
なお、上述の各実施形態においては、部材Sの表面はフッ素を含む材料によって形成されているものとしたが、部材Sの表面が、例えばシリコン、アクリル等、フッ素以外の材料によって形成されていてもよい。シリコン、アクリル等を含む材料によって部材Sの表面を形成することにより、その部材Sの表面は撥液性を有する。この場合、使用する第2液体LCとしては、部材Sの表面を形成する材料に応じて適宜選択される。すなわち、部材Sの表面を形成する材料に応じて、部材Sの表層を溶解可能な物質が適宜選択される。また、第2液体LCが、部材Sの表層を溶解可能な物質(溶質)を所定液体(溶媒)に溶解させたものである場合、第2液体LC中の物質(溶質)の濃度を調整することによって、部材Sの表層を良好に溶解させることができる。
なお、上述の各実施形態において、第2液体LCを用いた部材Sの表面の一部の除去は、第2液体LCで部材Sの表面の一部を溶解することに限られない。
また、上述の各実施形態においては、部材Sの表面の一部を第2液体LCを使わずに除去しても良い。例えば、砥石などを使って部材Sの表面を一部を除去してもよい。
なお、上述の各実施形態においては、露光光ELの光路空間を満たすための第1液体LQが水(純水)である場合を例にして説明したが、水以外の液体であってもよい。例えば、第1液体LQとして、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。また、第1液体LQとしては、投影光学系PL、あるいは基板Pの表面を形成する感光材の膜Rgに対して安定なもの(例えば、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル)を用いることも可能である。部材Sの表面(膜Sf)は、第1液体LQ(第1液体LQの物性等)に応じて定められる。
なお、上述の各実施形態においては、部材S(50、60、70、T)の表面は撥液性の膜Sf(50f、60f、70f、Tf)で形成されているが、部材S全体が撥液性を有する材料で形成されていてもよい。例えば、基板テーブル12のプレート部材T全体を、撥液性を有する材料、例えば、PFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)等を含む材料で形成してもよい。そして、そのプレート部材Tの表面を、上述の各実施形態に係るメンテナンス方法でメンテナンスすることによって、撥液性を回復させることができる。
なお、上述の各実施形態においては、露光装置EX内においてメンテナンス対象の部材Sに第2液体LCを供給しているが、スリット板60等の部材Sを露光装置EXの外へ搬送し、露光装置EXの外で第2液体LCを使って撥液性を復活させるメンテナンス動作を行ってもよい。
なお、上述の各実施形態の投影光学系は、先端の第1光学素子8の像面(射出面)側の光路空間を液体で満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、先端の第1光学素子8の物体面(入射面)側の光路空間も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。
液体と接触する投影光学系PLの光学素子(光学素子8など)は、例えば石英(シリカ)、あるいは、フッ化カルシウム(蛍石)、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、及びフッ化ナトリウム等のフッ化化合物の単結晶材料で形成してもよい。更に、光学素子は、石英及び蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で形成してもよい。屈折率が1.6以上の材料としては、例えば、国際公開第2005/059617号パンフレットに開示されるサファイア、二酸化ゲルマニウム等、あるいは、国際公開第2005/059618号パンフレットに開示される塩化カリウム(屈折率は約1.75)等を用いることができる。さらに、光学素子の表面の一部(少なくとも液体との接触面を含む)又は全部に、親液性及び/又は溶解防止機能を有する薄膜を形成してもよい。なお、石英は液体との親和性が高く、かつ溶解防止膜も不要であるが、蛍石は少なくとも溶解防止膜を形成することができる。
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計を含む計測システム(干渉計システム)を用いて、マスクステージ、基板ステージ、及び計測ステージの各位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。この場合、干渉計システムとエンコーダシステムとの両方を備えるハイブリッドシステムとし、干渉計システムの計測結果を用いてエンコーダシステムの計測結果の較正(キャリブレーション)を行うことが好ましい。また、干渉計システムとエンコーダシステムとを切り換えて用いる、あるいはその両方を用いて、ステージの位置制御を行うようにしてもよい。
また、上述の実施形態において、ノズル部材など液浸システムの構成は上述のものに限られず、例えば国際公開第2004/086468号パンフレット(対応米国特許出願公開第2005/0280791号)、国際公開第2005/024517号パンフレットに開示されている液浸システムを用いることもできる。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)、またはフィルム部材等が適用される。また、基板はその形状が円形に限られず、矩形など他の形状でもよい。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、米国特許6,590,634号、米国特許6,262,796号、米国特許6,208,407号などに開示されているような複数(2つ)の基板ステージを備えたマルチステージ型(ツインステージ型)の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、国際公開第99/49504号パンフレットに開示されているように、計測ステージを備えていない露光装置にも適用できる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに開示されているような露光対象の基板の表面全体が液体中に浸かっている状態で露光を行う液浸露光装置にも適用可能である。
また、上述の各実施形態においては、露光装置EXが、第1液体LQを介して露光処理及び計測処理を行う液浸露光装置である場合を例にして説明したが、第1液体LQを用いない、通常のドライ露光装置であってもよい。ドライ露光装置であっても、撥液性の表面を有する部材の表面エネルギーを減少させたい場合に、上述の各実施形態で説明した第2液体LCを用いたメンテナンスを実行できる。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸空間が形成される。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスクとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器:Spatial Light Modulator (SLM)とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いてもよい。なお、DMDを用いた露光装置は、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されている。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
また、例えば特表2004−519850号公報(対応米国特許第6,611,316号)に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。
なお、法令で許容される限りにおいて、上記各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
また、上述の各実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
以上のように、上記実施形態の露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図14に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態に従って、マスクのパターンを基板に露光し、露光した基板を現像する基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。