JPWO2008062560A1 - 非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物及び非鉛系塩化ビニル系押出成形体 - Google Patents

非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物及び非鉛系塩化ビニル系押出成形体 Download PDF

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Abstract

優れた熱安定性と耐金型汚染性を兼ね備えたうえ、短期間屋外暴露後の二次加工性にも優れた非鉛系の塩化ビニル系樹脂組成物及び成形体を提供する。塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、エポキシ基を有するイソシアヌレート0.01〜1重量部を含むことを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物を提案する。イソシアヌレートにエポキシ基を導入することにより、金型汚染性(金型付着性)および耐候耐熱性を良好なものとすることができ、しかも熱安定性および耐候性にも優れた押出成形体を得ることができる。

Description

本発明は、熱安定性に優れた押出成形体を作製することができ、しかも成形加工時に金型を汚染することのない、非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物、および、該塩化ビニル系樹脂組成物を押出成形して得られる非鉛系塩化ビニル系押出成形体に関する。
塩化ビニル系樹脂(以下、PVCと記すこともある)は、機械的強度、耐候性、耐薬品性に優れているばかりか、他のプラスチック材料と比較して安価であることから、パイプ、プレート、継手等の幅広い範囲で利用されている。
一般的な塩化ビニル系樹脂は、熱的に容易に分解するため、脱塩化水素を起こして機械強度の低下や着色を起こすという欠点を有している。そのため、従来は鉛化合物などの熱安定化剤を塩化ビニル系樹脂に添加することが行われていた。しかし、近年、環境問題への関心が高まり、鉛の毒性が問題になっており、無毒性の非鉛系塩化ビニル系樹脂の必要性が高まっている。
ところが、鉛系安定剤を添加しない非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物は、鉛系安定剤を添加した塩化ビニル系樹脂組成物に比べ、押出成形時に熱劣化しやすい(いわゆる「熱安定性」)ほか、押出成形品を長期間屋外で使用した際に劣化しやすい(いわゆる「耐候性」)という課題を抱えていた。
そこで、このような非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物の「熱安定性」と「耐候性」を改善するため、次のような提案がなされている。
例えば、特許文献1では、水酸化カルシウムおよび/または酸化カルシウムと、ヒドロキシ基含有イソシアヌレートを含む塩化ビニル系樹脂組成物が提案されている。
また、特許文献2では、有機酸カルシウム塩、有機酸マグネシウム塩、有機亜リン酸エステルとヒドロキシ基含有イソシアヌレートを含む塩化ビニル系樹脂組成物が提案されている。
特表2002−513063公報 特開2000−273259公報
特許文献1及び2に記載された発明はいずれも、ヒドロキシ基含有イソシアヌレートを塩化ビニル系樹脂に添加することを提案するものであり、これらの提案によれば、非鉛系でありながら成形加工時に必要な「熱安定性」と成形後の「耐候性」に関して良好な効果が得られることが確かめられている。しかし、実際に、ヒドロキシ基含有イソシアヌレートを塩化ビニル系樹脂に添加した塩化ビニル系樹脂組成物を押出成形してみると、当該樹脂組成物が金型に付着して金型を汚したり、或いは、得られた押出成形品の耐候耐熱性が劣るなどの課題があることが明らかになってきた。
そこで本発明の目的は、以上の諸点を考慮し、成形加工時における優れた「熱安定性」と「耐金型汚染性」を兼ね備え、しかも「耐候性」と共に「耐候耐熱性」にも優れた特性を発揮することができる非鉛系の塩化ビニル系樹脂組成物及び押出成形体を提供することにある。
本発明は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、下記一般式で示される、エポキシ基を有するイソシアヌレートを0.01〜1重量部含むことを特徴とする非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物を提案する。
Figure 2008062560
(但し、式中R、R及びRは、それぞれ官能基(Hを含む)を示し、且つ、少なくともそのうちの一つはエポキシ基を有する官能基である。)
本発明はまた、本発明の非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物を押出成形して得られる非鉛系塩化ビニル系押出成形体を提案する。
エポキシ基を有するイソシアヌレートは、前述の特許文献1及び2において提案されている「ヒドロキシ基含有イソシアヌレート」と比較すると、ヒドロキシ基の代わりにエポキシ基を導入したイソシアヌレートである。本発明者は、イソシアヌレートにエポキシ基を導入することにより、熱安定性及び耐候性を維持しつつ、金型汚染性(金型付着性)および耐候耐熱性をいずれも良好なものとすることができることを見出し、かかる知見に基づき、本発明を想到したものである。
本発明の非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物及びその押出成形体は、鉛化合物を含まないにもかかわらず、優れた熱安定性を有し、金型汚染防止性が良好であると共に、耐候性に優れるばかりでなく、屋外保管(暴露)後の熱加工時における耐劣化(耐候耐熱性)についても優れている。
このような優れた諸特性を有する本発明の樹脂組成物による成形体は、パイプ、プレート、継手等の素材、特に屋外使用される素材や屋外保管後に2次加工される素材として好適である。
以下に本発明の実施形態について詳細に述べるが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本実施形態の一例として説明する塩化ビニル系樹脂組成物(以下、「本塩化ビニル系樹脂組成物」という)は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、エポキシ基を有するイソシアヌレート(「エポキシ基含有イソシアヌレート」とも称する)0.01〜1重量部を含み、必要に応じて、塩基性無機金属塩0.01〜1重量部を、さらに必要に応じて酸化チタン0.01〜2重量部を含む塩化ビニル系樹脂組成物である。
(塩化ビニル系樹脂)
本塩化ビニル系樹脂組成物に用いる塩化ビニル系樹脂としては、特に限定されず、JIS K6721に準拠した平均重合度が600〜2000の範囲のもの、中でも平均重合度が700〜1450の範囲のもの、その中でも特に平均重合度が800〜1300の範囲のものを好適に用いることができる。
この塩化ビニル系樹脂は、単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂でもよいし、また、塩化ビニルと共重合し得る他のモノマーとを共重合させたポリ塩化ビニル系共重合体でもよい。その際、塩化ビニルの共重合単量体成分(モノマー)についても、特に限定されず、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、無水マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン等が挙げられ、これらの1種であっても、これらのうちの2種以上を組み合わせて併用してもよい。
なお、塩化ビニルモノマーを重合させただけの単独重合体は、硬くて脆く、紫外線などにあたると劣化黄変しやすいため、可塑剤や光劣化を防ぐ安定剤を加えることがある。本塩化ビニル系樹脂組成物の場合には、可塑剤や安定剤を加えることは任意であるが、可塑剤を全く或いはほとんど含有しない(濃度5質量%程度未満)場合であっても、本発明の効果を得ることができる点も特徴の一つである。
(エポキシ基含有イソシアヌレート)
本塩化ビニル系樹脂組成物に用いるエポキシ基含有イソシアヌレートは、下記の一般式で表すことができる。
Figure 2008062560
式中、R、RおよびRは、それぞれ官能基(Hを含む)を示すものであり、少なくともそのうちの一つはエポキシ基を有する官能基である。
エポキシ基を有する官能基の好ましい具体例としては、例えば2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基などのエポキシアルキル基、β−メチルエポキシプロピル基、β−エチルエポキシプロピル基などのアルキルエポキシアルキル基、カルボキシメチル・グリシジルエステル基、カルボキシメチル・β−メチルグリシジルエステル基、カルボキシエチル・グリシジルエステル基などのカルボキシアルキル・アルキルグリシジルエステル基を挙げることができる。
また、他の官能基の具体例としては、例えば水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、エステル基、カルボキシル基、不飽和炭化水素基、シアノ基、メルカプト基、アルコキシ基、アミノ基、ジシクロアルキルアミノ基およびN−アルキル−N−アリールアミノ基、その他芳香族炭化水素基やハロゲン原子を構造中に含む基などを挙げることができる。
エポキシ基含有イソシアヌレートの適当な例としては、例えばモノ(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(3,4−エポキシブチル)イソシアヌレート、トリ(β−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、トリ(カルボキシメチル・イソシアヌレートトリグリシジルエステル(TCMICTG)、トリ(カルボキシエチル・イソシアヌレートトリグリシジルエステル(TCEICTG)、トリ(カルボキシメチル・イソシアヌレートトリβメチルグリシジルエステル(TCMICβ−MeTG)等が挙げられる。中でも、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートが耐候耐熱性や金型汚染性を考慮するうえで好ましい。
用いるエポキシ基含有イソシアヌレートは、エポキシ当量が90〜250g/eq、中でも95〜200g/eq、その中でも特に100〜130g/eqであるエポキシ基含有イソシアヌレートが好ましい。エポキシ基含有イソシアヌレートのエポキシ当量が90g/eqより少ないと商業的に生産することが困難となる。その一方、250g/eqを超えると耐候耐熱効果が乏しくなるため、好ましくない。
「エポキシ当量」は、エポキシ基1個あたりの当量であり、JIS K 7236に準拠して求められる値である。
また、用いるエポキシ基含有イソシアヌレートの平均粒径は、1μm〜500μm、中でも10μm〜300μm、その中でも特に50μm〜200μmであるのが好ましい。用いるエポキシ基含有イソシアヌレートの平均粒径が小さいほど少量で効果を発揮することができる。但し、エポキシ基含有イソシアヌレートの粒径が1μmより小さくなると、微粉による作業環境の悪化と共に粉体流動性の低下に伴って加工が安定しなくなる可能性があるので好ましくない。また、500μmより大きくなると、分散性が悪化して成形品の外観を低下させる可能性があるので好ましくない。
「平均粒径」は、標準ふるいなどを用いたふるいわけ法により求められる平均粒径であり、目開きの異なるいくつかの標準ふるい(40,60,80,115,170,250メッシュ)を用いて 、その目開きを通過したふるい下通過量(アンダーサイズ量)の全体に対する比率を測定し、積算・重量百分率が50%となる粒度(D50)で表した値である。
本塩化ビニル系樹脂組成物では、エポキシ基含有イソシアヌレートの配合量が少なすぎると耐候耐熱性が低下する傾向があり、多すぎると押出安定性や金型汚染性が悪化するため、エポキシ基含有イソシアヌレートの配合量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.01〜1重量部とするのが重要であり、好ましくは0.1〜0.5重量部、さらに好ましくは0.2〜0.4重量部である。
(塩基性無機金属塩)
本塩化ビニル系樹脂組成物において、塩基性無機金属塩は、樹脂組成物に主に熱安定化作用をもたらすことができる。
この塩基性無機金属塩の金属成分としては、Mg、Ca、Sr、Ba等が挙げられ、無機成分としては、水酸化、酸化、無機酸(リン酸、亜リン酸、ケイ酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、ホウ酸、炭酸など)の塩が挙げられる。
具体的には、
1)金属水酸化物として、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Ba(OH)2、Mg(OH)2・Ca(OH)2など
2)金属酸化物として、MgO、CaO、BaO、MgO・CaOなど
3)無機酸の塩として、MgO・Mg3(PO4)2、3CaO・Ca3(PO4)2、Ca(OH)2・Ca3(PO4)2、Ba(OH)2・Ca3(PO4)2・3H2O、Sr(OH)2・Sr3(PO4)2、BaO・Ba3(PO4)2、3Ba(OH)・Ba3(PO4)2などのリン酸塩、
MgO・MgPHO3、5Mg(OH)2・(2) MgPHO3、CaO・CaPHO3、3CaO(OH)2CaPHO3、Ba(OH)2・CaPHO3、5CaO・CaPHO3、BaO・BaPHO3、2Ba(OH)2・BaPHO3、3Ba(OH)2・BaPHO3・3H2Oなどの亜リン酸塩、
Mg(OH)2・Mg2SiO4、3MgO・MgSiO3、CaO・Ca2SiO4、3CaO・Li2SiO3、3CaO・CaSi25、2Ca(OH)2・Ca2Si38、SrO・SrSiO3、5BaO・Ba2SiO4、Ba(OH)2・Ba2SiO4・6H2O、Ba(OH)2・BaSiO3、3Ba(OH)・BaSi25、3BaO・Ba2SiO4、Ba(OH)2・CaSiOなどのケイ酸塩、
Mg(OH)・Mg(NO3)2 (3) 、3CaO・Ca(NO3)2、2Ca(OH)2・Ca(NO2)2・5H2O、3BaO・Ba(NO3)2、Ba(OH)2・NaNO3などの硝酸塩及び亜硝酸塩、
3CaO・K2SO3、Mg(OH)2・MgSO4、5MgO・MgSO3、2MgO・MgSO3、MgO・CaSO3、5CaO・CaSO4、Ca(OH)2・CaSO4、3CaO・CaSO3、3BaO・BaSO4、3BaO・CaSO3、Ba(OH)2・BaSO4などの硫酸塩及び亜硫酸塩、
MgO・Mg3(BO4)2、CaO・(BO4)2、5Ca(OH)2・Ca3(BO4)2 、3CaO・Ca(BO2)2、3Ba(OH)2・Ba3(BO4)2、3BaO・BaB47、5Ba(OH)2・Ba(BO2)2などのホウ酸塩、Mg(HCO3)2、BaCO3、MgCO3、CaCO3、Mg(CO3)・Ca(CO3)などの炭酸塩が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
これら塩基性無機金属塩の中でも、塩基性無機酸マグネシウム塩、塩基性無機酸カルシウム塩、塩基性無機酸カルシウム−マグネシウム複塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、より好ましくは、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Mg(OH)2・Ca(OH)2、MgO、CaO、MgO・CaO、MgCO3、CaCO3、Mg(CO3)・Ca(CO3)から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせである。
塩基性無機金属塩は、表面処理されたものを用いることもできる。表面処理された塩基性無機金属塩は、表面処理をしていない塩基性無機金属塩と比較して、その持続熱安定化効果を更に増大することができる。
かかる表面処理の方法としては特別な制限はなく、例えば、(1)塩基性の無機金属塩の粉体に表面処理剤をそのまま添加してヘンシェルミキサー、コロイドミル、ボールミル、アトマイザー等の粉砕機を用いて共粉砕する方法、(2)トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、クロロホルム、ジエチルエーテル、水、エタノール、メタノール等の適当な溶媒中に表面処理剤と塩基性無機金属塩とを加え、撹拌混合後、溶媒を除去する方法、等を挙げることができる。
塩基性無機金属塩の表面処理に用いる表面処理剤としては、有機酸、有機酸金属塩、多価アルコール化合物が挙げられる。これらの化合物は各々単独で用いてもよく、任意の混合物として用いてもよい。
また、上記化合物(これらの化合物からなる表面処理剤を、以下、「特定の表面処理剤」と記す)以外に、工業的に通常使用されている他の表面処理剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じ適宜に併用してもよい。その具体例としては、シラン系、アルミニウム系、リン系等のカップリング剤や、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の界面活性剤、高分子系の分散剤等を挙げることができる。但し、これら他の表面処理剤の使用量は、非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物(例えば、鉛系ではなく複合金属石鹸系の安定剤が添加された樹脂組成物)が十分な持続熱安定化効果を得るためには、有機酸、有機酸金属塩または多価アルコール化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(特定の表面処理剤としての化合物)の使用量に対して、多くとも同量以下にすることが好ましい。
特定の表面処理剤の使用量は、適宜併用される他の表面処理剤も含めて、塩基性無機金属塩の種類、その粉体粒子の比表面積及びその表面に結合した水分量等によっても異なるが、表面処理されるべき塩基性無機金属塩に対して、0.05〜40重量%、好ましくは、0.1〜20重量%である。
特定の表面処理剤の使用量が0.05重量%未満では表面処理の効果がほとんどなく、一方、40重量%より多く使用しても、塩基性無機金属塩の粉体粒子の表面が処理剤で飽和してしまい、表面処理の効果はそれ以上向上しない。
塩基性無機金属塩の平均粒径は、100μm以下が好ましく、更に好ましくは10μm以下である。100μmより大きいと、成形加工後の加工品の表面がざらつき、物理的特性の低下が起こり好ましくない。
塩基性無機金属塩の配合量(表面処理剤の配合量を含めない)は、多くすれば熱安定性がより一層高まり、耐候性や耐候耐熱性がより一層高まる反面、多過ぎると金型汚染性が悪化するため、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し0.01〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.7〜0.9重量部である。
また、表面処理された塩基性無機金属塩と表面処理されていない塩基性無機金属塩とを併用添加することもでき、この併用添加によって当該塩化ビニル系樹脂組成物の持続熱安定化効果を著しく向上させることができる。
(酸化チタン)
本塩化ビニル系樹脂組成物に用いる酸化チタンとしては、ルチル型二酸化チタンを使用するのが好ましく、通常市販されている二酸化チタン化合物をそのまま使用することができる。また、表面処理された二酸化チタンも使用できる。
酸化チタンの平均粒径は0.2μm〜1.0μmであるのが好ましい。
酸化チタンの配合量は、酸化チタンの配合量を多くすれば、耐候劣化をより有効に抑えることができ、耐候性及び耐候耐熱性をより一層高めることができる反面、多過ぎると金型汚染性が悪化しプレートアウトし易くなるので、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し0.01〜2重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜1重量部である。
(組成)
本塩化ビニル系樹脂組成物の組成としては、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、エポキシ基含有イソシアヌレート0.01〜1重量部、塩基性無機金属塩0.01〜1重量部、酸化チタン0.01〜2重量部を含んでなることが特に好ましい。
これら各化合物を、このような特定の配合比率(特に酸化チタン添加量が少ない系)で組み合わせる場合において、本発明の目的(熱安定性が優れると共に耐金型汚染性が良好で、耐候性はもとより耐候耐熱性が優れた非鉛系硬質塩化ビニル系樹脂組成物を得ること)をより良好に達成することができる。
(その他の含有可能な成分)
本塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じて、安定剤、滑剤、衝撃改良剤、加工助剤、充填剤、帯電防止剤、着色剤等を、効果的かつ支障とならない範囲で添加してもよい。さらに、紫外線吸収剤、光安定剤、過塩素酸塩等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合してもよい。
安定剤としては、複合金属石鹸系安定剤を用いることが好ましい。
この複合金属石鹸系安定剤は、複合して用いられる金属石鹸の中の金属が、鉛及びカドミウム以外の、いわゆる無毒性の金属石鹸であれば、特に限定されず、例えば、バリウム(Ba)/亜鉛(Zn)系、カルシウム(Ca)/Zn系、Ca/マグネシウム(Mg)系、Ba/Ca/Zn系、Ca/Mg/Zn系等の複合金属石鹸が挙げられる。
また、上記金属石鹸の中の酸についても、特に限定されない。例えば、脂肪酸系では、2−エチルヘキソイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘン酸等が挙げられる。また、アミノ酸系では、グリシン酸、アラニン酸、ロイシン酸、イソロイシン酸、セリン酸、トレオニン酸、システイン酸、シスチン酸、メチオニン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン酸、アルギン酸、フェニルアラニン酸、チロシン酸、ヒスチジン酸、トリプトファン酸、プロニン酸、オキシプロニン酸等が挙げられる。
このような複合金属石鹸系安定剤は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.5〜3.0重量部の範囲で配合するのが好ましい。
また、上記複合金属石鹸系安定剤には、該複合金属石鹸系安定剤と相乗作用を示す安定化助剤が添加されていてもよい。
この安定化助剤としては、一般的に複合金属石鹸系安定剤と相乗作用が知られている安定化助剤であれば、特に限定されず、例えば、亜リン酸エステル化合物、β−ジケトン化合物、多価アルコール類、ハイドロタルサイトやゼオライト類、酸化防止剤等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
滑剤としては、内部滑剤、及び外部滑剤が挙げられる。
上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用されるものであれば、特に限定されず、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。
これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用されるものであれば、特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックス、アクリル系高分子滑剤等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
衝撃改良剤としては、例えば30〜40%の塩素を含有する塩素化ポリエチレン、アクリル酸エステル及び/またはシロキサンを含有するアクリル酸エステル共重合ゴムにメチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合した多成分系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂、酢酸ビニル・エチレン共重合体樹脂などが挙げられる。
上記加工助剤としては、特に限定されず、例えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体等のアクリル系加工助剤等が挙げられ、その具体例としては、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記充填剤としては、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、シリカ等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記帯電防止剤としては、
(イ)第一級アミン塩、第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、ピリジン誘導体等のカチオン系のもの、
(ロ)硫酸化油、石ケン、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩、アルキル硫酸エルテル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、コハク酸エステルスルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン系のもの、
(ハ)多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール等の非イオン系のもの、
(ニ)カルボン酸誘導体、イミダゾリン誘導体等の両性系のもの、
等が一般的に使用可能であるが、特に非イオン系、中でもポリオキシエチレンアルキルアミンやポリオキシエチレンアルキルアミドないしそれらの脂肪酸エステル、グリセリンの脂肪酸エステル等が好ましい。
上記着色剤としては、特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;カーボンブラック、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアニン化物系等の無機顔料等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類が挙げられる。
上記光安定剤としては、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデ
シル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート等のヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
上記過塩素酸塩としては、過塩素酸イオン導入ハイドロタルサイト及びアルカリアルミニウム複合水酸化物塩の他には、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸亜鉛が挙げられる。また、それら過塩素酸塩と多価アルコールとの錯体も使用でき、好ましい多価アルコールとしては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールもしくはプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
以上のような各種添加剤を、本塩化ビニル系樹脂組成物に混合する方法としては、特に限定されず、例えば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによる方法等が挙げられる。
複合金属石鹸系安定剤は、粉粒体の形(即ち粉末の形)、或いは粒状物の形で、ワンパックの安定剤として使用することができる。粒状物の製造には、押出成形造粒法、噴霧造粒法、回転円盤造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法等のそれ自体公知の造粒法を用いることができる。粉粒体の粒度は、目的に応じて任意に調節することができ、一般に粒径が50μm〜5mm、特に70μm〜2mmの範囲にあるのが好適である。
なお、本塩化ビニル系樹脂組成物は、可塑在を含まない硬質塩化ビニル樹脂組成物であっても、熱安定性、耐金型汚染性、耐候性及び耐候耐熱性を良好に維持することができる特徴を有しているため、可塑剤を含む塩化ビニル樹脂組成物であってもよいが、可塑剤を含まない硬質塩化ビニル樹脂組成物の方が本発明の特徴が効果的に発揮されるため、より好ましい。
(用途)
本塩化ビニル系樹脂組成物の用途は特に限定されるものではなく、例えば成形体、特に押出成形体を製造するのに適している。すなわち、本塩化ビニル系樹脂組成物を単軸押出機、二軸押出機等の押出混練装置によって押出成形することにより、優れた押出成形体(以下「本押出成形体」という)を得ることができる。
このような押出成形は、通常の押出成形機及び金型を用いて実施することができる。この場合の成形温度は、190〜210℃が好ましい。190℃未満であると、得られる押出成形体の諸物性、特に耐衝撃性が低下する。210℃を超えると、得られる押出成形体に分解線が生じたり、長期成形性に劣るようになったりする等の問題が発生する。上記金型については、特に限定されず、例えば、棒状体、管状体、異型断面体、板状体、シート、フィルム等を成形できるもの等が挙げられる。
(用語の説明)
本明細書において「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「耐候耐熱性」とは、一時的に屋外に保管される場合など、屋外に短期間暴露された成型体を熱加工する際に、成形体が変色することのない性質の意味である。
以下、本発明の実施例について説明するが、以下に説明する実施例はあくまで例であって、本発明の範囲がこれらに制限されるものではない。
<サンプル1〜26>
下記の原料を、表1に示す割合で、30Lスーパーミキサー(カワタ社製)中に投入し、低速回転で5分間になった時点で、混合を完了して抜き出し、非鉛系硬質塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
(使用原料)
[塩化ビニル系樹脂]
・平均重合度1030の塩化ビニル単独重合体(ヴイテック社製“MT−1100”、かさ比重0.52g/ml、平均粒径(D50)100μm)
[塩基性無機金属塩]
・水酸化カルシウム(協和化学工業社製“アルカマイザーCA”、BET比表面積13m2/g、平均粒径(D50)2μm、アルミ−シリカ表面処理)、
・水酸化マグネシウム(協和化学工業社製“キスマ5B”、BET比表面積4m2/g、平均粒径(D50)1μm、脂肪酸表面処理)、
・酸化マグネシウム(協和化学工業社製“マグサラット30”、BET比表面積38m2/g、平均粒径(D50)2μm、脂肪酸表面処理)、
・軽焼ドロマイト(味の素ファインテクノ社製“HC103S”、平均粒径(D50)2μm、有機酸塩多価アルコール表面処理)
[イソシアヌレート化合物]
・エポキシ基含有イソシアヌレートA(日産化学工業社製“TEPIC−S”、トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート、エポキシ当量100g/eq、粒径160μm、融点90〜125℃)
・エポキシ基含有イソシアヌレートB(日産化学工業社製“TEPIC−G”、トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート、エポキシ当量100g/eq、粒径360μm、融点90〜125℃)
・エポキシ基含有イソシアヌレートC(日産化学工業社製“TEPIC−SP”、トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート、エポキシ当量100g/eq、粒径10μm、融点90〜125℃)
・エポキシ基含有イソシアヌレートD(日産化学工業社製“MT239”、トリ(β−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、エポキシ当量122g/eq、液体)
・エポキシ基含有イソシアヌレートE(四国化成工業社製“DA−MGIC”、1,3−ジアリル−5−(2,3−エポキシプロパン−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、エポキシ当量270g/eq)
・ヒドロキシ基含有イソシアヌレート(日産化学工業社製“タナックP”)
[酸化チタン]
・ルチル型酸化チタン(堺化学工業社製“R−3L”、平均粒径(D50)0.26μm、アルミ−シリカ表面処理)
[Ca/Zn系安定剤]
・ステアリン酸カルシウム(日本油脂社製“カルシウムステアレートGF200”)
・ステアリン酸亜鉛(日本油脂社製“ジンクステアレートGF200”)
[安定化助剤]
・ハイドロタルサイト(協和化学工業社製“アルカマイザーP93”)
・ステアロイルベンゾメタン(ローデア社製“RHODIASTAB55”)
・トリスノニルフェニルホスファイト(城北化学工業社製JP351)
[滑剤]
・パラフィン系滑剤(サゾール社製“H1−N4”)
・エステル系滑剤(理研ビタミン社製“SL−02”)
[充填剤]
・炭酸カルシウム(日東粉化社製“NS−400”)
(押出成形体の製造)
得られた塩化ビニル系樹脂組成物を、押出量約20Kg/h、金型流動樹脂温度約205℃となる成形条件下で、30mm異方向回転二軸押出機(ブラベンダー社製“プラスチコーダー”)を用い、金型については出口幅50mm、厚み2mmでギャップ4mmから2mmの圧縮部を有するスリットダイを用いてそれぞれ押出成形を行い、成形体(シート)を得た。
<評価方法>
各塩化ビニル系樹脂組成物及びその成形体につき、物性を下記の評価方法で評価し、この結果を表1及び表2に合わせて示す。
(1)熱安定性
混練押出成形したシートを、オーブン中にて185℃×60分間加熱し、目視にて着色度合いを観察し、次の基準で評価した。
○:着色度合いが無色〜淡黄色であるもの。
△:着色度合いが黄色〜黄褐色であるもの。
×:着色度合いが赤褐色〜黒色であるもの。
(2)金型汚染性
前記のように塩化ビニル系樹脂組成物を押出した後、すぐに金型を解体して、金型表面の付着物量を目視観察し、次の基準で評価した。
○:金型付着物が全くないもの。
△:コーナー部等の付着しやすい部分に若干付着しているもの。
×:付着物量が多いもの。
(3)耐候性
混練押出成形したシートについて、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製、形式S80D、光源:サンシャインカーボンアーク、試料面放射照度:255 W/m2)を使用し、JIS A 1415に準拠して、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%RHにて、102分照射・18分噴射のサイクルで50時間照射した。照射前後のサンプルについて、ミノルタ社製CHROMA METER「CR−200」を使用して色差(ΔE)を測定し、次の基準で評価した。
○:色差(ΔE)が0≦ΔE≦3
△:色差(ΔE)が3<ΔE≦5
×:色差(ΔE)が5<ΔE
(4)耐候性試験後の耐熱性(耐候耐熱性)
混練押出成形したシートについて、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製、形式S80D、光源:サンシャインカーボンアーク、試料面放射照度:255 W/m2)を使用し、JIS A 1415に準拠して、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%RHにて、102分照射・18分噴射のサイクルで50時間照射し、照射後のサンプルについて、ミノルタ社製CHROMA METER「CR−200」を使用して色差(ΔE)を測定した。
また、サンシャインウェザーメーター照射後、さらにオーブン中にて160℃×40分間加熱し、加熱後のサンプルについて、ミノルタ社製CHROMA METER「CR−200」を使用して色差(ΔE)を測定した。
そして、加熱前後の着色変化度合いを次の基準で評価した。
○:色差(ΔE)が0≦ΔE≦3
△:色差(ΔE)が3<ΔE≦5
×:色差(ΔE)が5<ΔE
Figure 2008062560
Figure 2008062560
(考察)
ヒドロキシ基含有イソシアヌレートを添加したサンプル例21及び24−26に比べて、エポキシ基含有イソシアヌレートを添加したサンプル例1−16はいずれも、金型汚染性(金型付着性)が顕著に優れることが分かった。
また、エポキシ基当量270g/eqのエポキシ基含有イソシアヌレートを添加したサンプル例9と比較して、エポキシ基当量がより小さなエポキシ基含有イソシアヌレートを添加したサンプルは、金型汚染性(金型付着性)がより良好であった点を考慮すると、エポキシ基含有イソシアヌレートのエポキシ基当量は少なくとも270g/eq未満であるのが好ましく、より好ましくは250g/eq以下、中でもより好ましくは200g/eq以下、その中でも特に130g/eq以下であるのが好ましいと考えられる。
また、エポキシ基当量が同じで粒径が異なるエポキシ基含有イソシアヌレートを添加したサンプル例3、6及び7を比較すると、いずれも全ての評価項目が「○」評価であったが、粒径が小さい程少量で効果を発揮することが分かった。
本発明による鉛を含まない塩化ビニル系樹脂組成物及びその成形体は、可塑剤の使用が極少量かゼロである硬質用途において、熱劣化(変色、伸びなどの機械的性質の低下、等)が少ないうえ、成形加工時の金型表面上の付着物量も少なく、屋外使用における耐候性に優れると共に、屋外保管(暴露)後の熱加工時における耐劣化(耐候耐熱性)についても優れている。
このような優れた諸特性を有する本発明による成形体は、屋外使用はもとより、屋外保管後の2次加工にも適しており、パイプ、プレート、継手等として好適に使用することができるものである。

Claims (7)

  1. 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、下記一般式で示される、エポキシ基を有するイソシアヌレートを0.01〜1重量部含むことを特徴とする非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物。
    Figure 2008062560
    (但し、式中R、R及びRは、それぞれ官能基(Hを含む)を示し、且つ、少なくともそのうちの一つはエポキシ基を有する官能基である。)
  2. エポキシ基を有するイソシアヌレートのエポキシ当量が90〜250g/eqであることを特徴とする請求項1記載の非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. さらに塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.01〜1重量部の塩基性無機金属塩を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 塩基性無機金属塩が、塩基性無機酸マグネシウム塩、塩基性無機酸カルシウム塩、及び、塩基性無機酸カルシウム−マグネシウム複塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせである請求項3に記載の非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物。
  5. さらに塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.01〜2重量部の酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の非鉛系塩化ビニル系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の塩化ビニル系樹脂組成物を押出成形してなる非鉛系塩化ビニル系押出成形体。
  7. サンシャインウェザーメーターを使用して、JIS A 1415に準拠し、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%RHにて50時間照射した際の色差(ΔE)と、さらにオーブンにて160℃×40分間加熱した後の色差(ΔE)との差が、0≦ΔE≦5であることを特徴とする請求項6に記載の非鉛系塩化ビニル系押出成形体。

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