JPWO2007145057A1 - 弾性表面波装置 - Google Patents

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Abstract

耐電力性に優れており、かつ所望でないスプリアスを効果的に抑圧することが可能とされている、弾性表面波装置を提供する。オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のLiNbO3基板2と、前記LiNbO3基板上に形成されており、Cuを主体とするIDT電極3を含む電極と、前記電極が形成されている領域を除いた残りの領域において、前記電極と等しい厚みとなるように形成されている第1の酸化ケイ素膜6と、前記電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように形成された第2の酸化ケイ素膜7とを備え、SH波を利用した弾性表面波装置であって、前記IDT電極3のデューティDが0.49以下であり、かつ前記オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のθが下記の式(1)を満たす範囲とされている、弾性表面波装置1。【数1】

Description

本発明は、例えば共振子や帯域フィルタとして用いられる弾性表面波装置に関し、より詳細には、LiNbO基板上にIDT電極及び酸化ケイ素膜が形成されている構造を有し、かつSH波を利用した弾性表面波装置に関する。
携帯電話機のRF段などに用いられている帯域フィルタでは、広帯域でありかつ良好な温度特性を有することが求められている。そのため、従来、回転Y板X伝搬のLiTaO基板や回転Y板X伝搬のLiNbO基板からなる圧電性基板上に、IDT電極が形成されており、かつIDT電極を被覆するように、酸化ケイ素膜を形成した弾性表面波装置が用いられている。この種の圧電性基板は、周波数温度係数が負の値を有する。従って、温度特性を改善するために、正の周波数温度特性を有する酸化ケイ素膜がIDT電極を被覆するように形成されている。
しかしながら、IDT電極を汎用されているAlまたはAlを主成分とする合金などにより形成した場合、IDT電極において、十分な反射係数を得ることができなかった。そのため、共振特性にリップルが生じがちであるという問題があった。
このような問題を解決するものとして、下記の特許文献1には、以下の弾性表面波装置が開示されている。ここでは、電気機械結合係数Kが0.025以上のLiNbOからなる圧電性基板上に、Alよりも密度の大きい金属を主体とするIDT電極が形成されており、該IDT電極が形成されている残りの領域に第1の酸化ケイ素膜が電極と等しい膜厚に形成されており、該電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように第2の酸化ケイ素膜が積層されている。
特許文献1に記載の弾性表面波装置では、上記IDT電極の密度が、第1の酸化ケイ素膜の密度の1.5倍以上とされている。それによって、IDT電極の反射係数が十分に高められ、共振特性に現れるリップルを抑圧することができるとされている。
また、特許文献1では、レイリー波が利用されており、上記電極材料として、AuやCuなどが例示されている。Cuからなる電極の場合にその膜厚は0.0058λ〜0.11λとした構成が開示されている。この場合、LiNbO基板としては、オイラー角が(0°±5°,62°〜167°,0°±10°)、好ましくは(0°±5°,88°〜117°,0°±10°)のLiNbO基板が示されており、上記第2の酸化ケイ素膜の膜厚は、表面波の波長λとしたとき、0.15λ〜0.4λの範囲とされている。
WO2005−034347
特許文献1に記載の弾性表面波装置では、上記のように、LiNbO基板のオイラー角のθと、Cuからなる電極の厚みと、第2の酸化ケイ素膜の厚みとを上記特定の範囲とすることにより、レイリー波を利用した場合の電気機械結合係数K を大きくすることができ、かつスプリアスとなるモードの電気機械結合係数を小さくすることができるとされている。
他方、弾性表面波装置においては、耐電力性を高めるために、IDT電極のデューティ、すなわち電極指の幅方向の電極指幅方向寸法と電極指間スペースとの合計に対する割合を小さくすることがある。特許文献1に記載の弾性表面波装置では、このIDT電極のデューティは考慮されていない。
特許文献1に記載の弾性表面波装置において、耐電力性を高めるためにデューティを0.5より小さくした場合、耐電力性は高められるものの、大きなスプリアスが現れることがあった。すなわち、特許文献1に記載の電極膜厚及びオイラー角のθの範囲を選択したとしても、耐電力性を高めるためにデューティを小さくすると、スプリアスが大きく現れることがあった。
また、弾性表面波装置を製造した際の条件によっては、加工時の電極指の幅方向寸法のばらつき等により、スプリアスが生じることもあった。
本発明の目的は、上述した従来記述の欠点を解消し、LiNbO基板上にCuを主体とするIDT電極が形成されている弾性表面波装置であって、耐電力性を高めるためにデューティが小さくされているにも関わらず、利用するモードの電気機械結合係数が大きく、スプリアスとなるモードの電気機械結合係数が十分に小さくされている弾性表面波装置を提供することにある。
本発明に係る弾性表面波装置は、オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のLiNbO基板と、前記LiNbO基板上に形成されており、Cuを主体とするIDT電極を含む電極と、前記電極が形成されている領域を除いた残りの領域において、前記電極と等しい厚みとなるように形成されている第1の酸化ケイ素膜と、前記電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように形成された第2の酸化ケイ素膜とを備え、SH波を利用した弾性表面波装置であって、前記IDT電極のデューティDが0.49以下であり、かつ前記オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のθが下記の式(1)を満たす範囲とされていることを特徴とする。
Figure 2007145057
本発明に係る弾性表面波装置では、より好ましくは、前記第2の酸化ケイ素膜の膜厚Hが、0.16λ〜0.30λの範囲とされている。それによって、スプリアスとなるSH波の高次モードの応答をより一層小さくすることが可能となる。
(発明の効果)
本発明に係る弾性表面波装置では、LiNbO基板上に、Cuを主体とするIDT電極が形成されており、上記第1,第2の酸化ケイ素膜が形成されているので、SH波を利用した弾性表面波装置において、周波数温度係数の絶対値を小さくして温度特性を改善することができる。しかも、IDT電極のデューティDが0.49以下とされているため、耐電力性が効果的に高められている。
加えて、LiNbO基板のオイラー角のθが、デューティDを考慮して上記式(1)の範囲内とされているので、スプリアスとなるレイリー波の電気機械結合係数K を小さくでき、かつSH波の高次モードの電気機械結合係数も小さくすることができる。従って、SH波を利用しており、スプリアスが抑圧された良好な共振特性またはフィルタ特性を得ることができる。
図1(a),(b)は本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置の模式的平面図及びその要部を拡大して示す部分切欠拡大正面断面図である。 図2はIDT電極のデューティと、破壊電力との関係を示す図である。 図3は(0°,θ,0°)のオイラー角のLiNbO基板上に、膜厚0.06λのCuからなるIDT電極を形成し、第1,第2の酸化ケイ素膜を形成し、第2の酸化ケイ素膜の膜厚を0.25λとした場合のオイラー角のθとIDT電極のデューティと、スプリアスとなるレイリー波の電気機械結合係数K との関係を示す図である。 図4(a)は、オイラー角(0°,θ,0°)のLiNbO基板上に、膜厚0.06λのCuからなるIDT電極が形成されており、第1,第2の酸化ケイ素膜が形成されており、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.25λである弾性表面波装置において、スプリアスとなるレイリー波の電気機械結合係数K が0.04%以下となるオイラー角のθ及びデューティの関係を示す図であり、(b)は、オイラー角(0°,θ,0°)のLiNbO基板上に、CuからなるIDT電極が形成されており、第1,第2の酸化ケイ素膜が形成されており、第2の酸化ケイ素膜が0.25λ、IDT電極のデューティが0.40である弾性表面波装置において、スプリアスとなるレイリー波の電気機械結合係数K が0.04%以下となるオイラー角のθ及びIDT電極であるCu電極の膜厚の関係を示す図である。 図5はオイラー角(0°,θ,0°)のLiNbO基板上に、厚み0.06λかつデューティ=0.50のCuからなるIDT電極を形成した構造における第2の酸化ケイ素膜の膜厚と、オイラー角のθと、レイリー波の電気機械結合係数K との関係を示す図である。 図6は図3〜図5に示した結果を得るために想定した弾性表面波装置の計算モデルを模式的に示す模式図である。 図7はオイラー角のθ=82°のLiNbO基板上に、デューティ=0.3、0.4または0.5のIDT電極を形成してなる複数種の弾性表面波装置のインピーダンス−周波数特性及び位相−周波数特性を示す図である。 図8はオイラー角のθ=86°のLiNbO基板上に、デューティ=0.3、0.4または0.5のIDT電極を形成してなる複数種の弾性表面波装置のインピーダンス−周波数特性及び位相−周波数特性を示す図である。 図9はオイラー角(0°,84°,0°)の本発明の実施例としての弾性表面波フィルタのフィルタ特性と、比較例としてのオイラー角(0°,82°,0°)のLiNbO基板を用いた弾性表面波フィルタのフィルタ特性を示す図である。 図10は図9に示した第2の実施例の弾性表面波フィルタの通過帯域及び通過帯域より高域側の周波数特性を示す図である。 図11は第2の酸化ケイ素膜としてのSiO膜の膜厚が0.35λと異ならされていることを除いては、第2の実施例と同様して構成された比較例の弾性表面波フィルタ装置の通過帯域及び通過帯域よりも高域側の周波数特性を示す図である。
符号の説明
1…弾性表面波装置
2…LiNbO基板
3…IDT電極
4,5…反射器
6…第1の酸化ケイ素膜
7…第2の酸化ケイ素膜
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置の模式的平面図であり、(b)はその要部を示す部分切欠拡大正面断面図である。
弾性表面波装置1は、回転Y板X伝搬のLiNbO基板2を用いて構成されている。LiNbO基板2の結晶方位は、オイラー角で(0°±5°,θ,0°±10°)とされている。
また、LiNbO基板2上には、図1(b)に示すように、IDT電極3が形成されている。図1(a)に示すように、IDT電極3の表面波伝搬方向両側には、反射器4,5が形成されている。
これらの電極が形成されている領域の残りの領域には、第1の酸化ケイ素膜6が形成されている。第1の酸化ケイ素膜6の膜厚は、IDT電極3及び反射器4,5の膜厚と等しくされている。そして、これらの電極3,4及び第1の酸化ケイ素膜6を覆うように第2の酸化ケイ素膜7が形成されている。
弾性表面波装置1では、LiNbO基板は、負の周波数温度係数を有する。これに対して、酸化ケイ素膜6,7は、正の周波数温度係数を有する。従って、周波数特性を改善することができる。
本実施形態では、IDT電極3は、Cuからなり、その密度は8.93g/cmである。他方、第1の酸化ケイ素膜の密度は2.21g/cmである。
従って、前述した特許文献1に開示されているように、IDT電極3の反射係数を高めることができる。それによって、共振特性上に現れるリップルを抑圧することが可能とされている。
上記弾性表面波装置1において、IDT電極のデューティを変化させた場合の破壊電力の変化を図2に示す。図2において、デューティが0.5よりも小さくなると、破壊電力が大きくなっていくことが分かる。これは、電極指の幅寸法に比べて電極指間のギャップの寸法が大きくなることによる。そして、IDT電極のデューティを0.5未満、特に0.49以下とすることにより、破壊電力が絶対値として2W以上と大きくなることがわかる。携帯電話機の帯域フィルタとして用いられるような弾性表面波装置では、破壊電力は2W以上あることが求められる。従って、本発明では、IDT電極のデューティは、0.49以下とされている。
もっとも、デューティを0.49以下、すなわち0.5よりも小さくすると、所望でないスプリアスが生じることがわかった。
しかしながら、このスプリアスはLiNbO基板のオイラー角のθを下記の式(1)を満たす範囲とするように設定することにより抑圧することができる。
Figure 2007145057
以下、LiNbO基板のオイラー角のθを上記式(1)で満たす範囲内とすることにより、SH波を利用した場合のスプリアスを効果的に抑圧し得ることをより具体的に説明する。
図3は、オイラー角(0°,θ,0°)のθが、82°、83°、84°または86°のLiNbO基板上に、0.06λの膜厚のCuからなるIDT電極を形成し、第1の酸化ケイ素膜として、CuからなるIDT電極と同じ膜厚のSiO膜を形成し、IDT電極及び第1の酸化ケイ素膜を覆うように、0.25λの厚みのSiO膜を第2の酸化ケイ素膜として積層した構造におけるIDT電極のデューティとスプリアスとなるレイリー波の電気機械結合係数K との関係を示す図である。
なお、図3及び後述の図4等における結果は、図6に示した計算モデルに基づいて有限要素法により計算した結果である。図6から明らかなように、無限の厚みのLiNbO基板21上に、IDT電極22及び第1の酸化ケイ素膜23が形成されており、その上に第2の酸化ケイ素膜24が形成されている構造をモデルとした。
図3から明らかなように、θ=82°では、デューティが0.5の場合に、レイリー波の電気機械結合係数K は0.04%以下となっている。ところが、デューティが0.5より小さくなるに従って、レイリー波の電気機械結合係数K が大きくなり、レイリー波によるスプリアスが無視できないことがわかる。従って、図3よりデューティが0.5より小さい場合には、オイラー角のθを調整する必要のあることがわかる。
図4(a)は、オイラー角(0°,θ,0°)のLiNbO基板に、上記と同様に、0.06λのCu膜からなるIDT電極を形成し、同じ膜厚のSiO膜を形成した後に、0.25λの厚みのSiO膜を形成した構造におけるレイリー波の電気機械結合係数K が0.04%以下の領域を示す図である。図4(a)の斜線のハッチングを付している領域がレイリー波の電気機械結合係数K が0.04%以下の領域である。また、図4(a)の縦方向に延びるデューティ=0.25の線は、デューティがこれ以上小さくなると、弾性表面波装置のIDT電極を実質的に製造することが困難な下限を示す。
従って、図4(a)より、デューティが0.25以上、0.49以下である場合に、図4(a)のハッチングを付した領域にオイラー角のθを選択することにより、スプリアスとなるレイリー波の電気機械結合係数K を0.04%以下と小さくすることができる。この図4(a)の斜線のハッチングを付した領域を、数式で示すと、式(2)で示す値となる。
Figure 2007145057
式(2)は、CuからなるIDT電極の膜厚が0.06λの場合に成立する関係である。そして、上記CuからなるIDT電極の膜厚により、レイリー波の電気機械結合係数K が小さくなるθ及びデューティは変化する。そこで、SiO膜の膜厚を0.25λ、デューティを0.40とした構造において、CuからなるIDT電極の膜厚を種々変化させた場合のレイリー波の電気機械結合係数K が0.04%以下となるθを求めた。結果を図4(b)に示す。
図4(b)に示すように、レイリー波の電気機械結合係数K が0.04%以下となる領域は、CuからなるIDT電極の膜厚に依存する。従って、電極膜厚による依存性を考慮すると、式(2)は、前述した式(1)のように表すことができる。
なお、式(1)の関係は、第2の酸化ケイ素膜の膜厚が0.15λ〜0.4λの範囲では大きくは変化しない。これを、図5を参照して説明する。
図5は、オイラー角(0°,θ,0°)のLiNbO基板上に、0.06λの膜厚のCuからなるIDT電極をデューティ=0.50となるように形成した構造において、第2の酸化ケイ素膜の膜厚を0.20λ、0.25λまたは0.30λと変化させた場合のオイラー角のθと、レイリー波の電気機械結合係数K との関係を示す図である。図5から明らかなように、SiOの膜厚を0.20λ〜0.30λの範囲で変化させたとしても、オイラー角のθと、レイリー波の電気機械結合係数K との関係は余り変化していないことがわかる。本願発明者の実験によれば、SiO膜の膜厚を0.15λ〜0.40λの範囲で変化させた場合においても、図5に示した結果と同様に、レイリー波の電気機械結合係数K と、θとの関係はほとんど変化しないことが確かめられている。
なお、本発明においては、好ましくは、IDT電極の膜厚は、0.03λ〜0.072λの範囲とされる。すなわち、上述した式(1)によれば、Cuの膜厚が0.072λ付近で、θの上限値及び下限値が逆転することとなる。すなわち、0.072λを超えると、レイリー波の電気機械結合係数K が0.04%以下になる範囲は存在しなくなる。従って、IDT電極の膜厚は、0.072λ以下が好ましい。
また、レイリー波のスプリアスについて考慮すると、IDT電極の膜厚が薄いほど、レイリー波の電気機械結合係数K が小さくなる範囲は広がることになり、IDT電極の膜厚が薄ければ薄いほど望ましい。しかしながら、IDT電極の膜厚が薄過ぎると、弾性表面波の音速が遅い横波の音速よりも高くなり、減衰量が大きくなるおそれがある。この点を考慮すると、IDT電極の膜厚は、0.03λ以上であることが望ましい。従って、Cuを主体とするIDT電極の膜厚は、0.03λ〜0.072λの範囲が望ましい。
次に、上記実施形態に基づき、実際に弾性表面波装置を作製した実施例を説明する。
オイラー角(0°,82°〜86°,0°)の回転Y板X伝搬のLiNbO基板を用意した。このLiNbO基板上に、第1の酸化ケイ素膜として、SiO膜を107nm(0.057λ)の厚みとなるように成膜した。しかる後、このSiO膜上にレジストパターンを形成した後、該レジストパターンを用い反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO膜を選択的にエッチングし溝を形成した。この溝に、Cuを充填するように、Cu膜を成膜し、IDT電極を形成した。しかる後、IDT電極以外のCu膜を上記レジストパターンとともにリフトオフ法により除去した後、第2の酸化ケイ素膜として厚み460nm(0.24λ)のSiO膜を成膜した。
このようにして、λ=1.89μm、すなわち1.9GHz帯の共振周波数を有する1ポート型弾性表面波共振子を作製した。
図7及び図8に、上記のようにして得られた1ポート型弾性表面波共振子のインピーダンス−周波数特性及び位相−周波数特性を示す。図7では、オイラー角のθが82°であり、IDT電極のデューティが0.3、0.4または0.5の場合の結果が示されており、図8では、オイラー角のθが86°であり、デューティが0.3、0.4または0.5の場合の特性が示されている。
図7から明らかなように、オイラー角のθ=82°の場合には、デューティ=0.5で消えていたスプリアスが、デューティが0.4あるいは0.3と小さくなるに従って、矢印X1,X2で示すように、スプリアスが大きく現れていることがわかる。
これに対して、図8から明らかなように、オイラー角のθが86°の場合には、デューティ=0.5で現れていた矢印Yで示すスプリアスが、デューティが小さくなるに従って、小さくなっていることがわかる。この場合、θ=86°かつデューティ=0.3の場合が、上述した式(1)を満たす範囲であり、他の場合は、上述した式(1)を満たさない範囲、すなわち本発明の範囲外の例である。
従って、図7及び図8の結果からも明らかなように、上述した式(1)を満たすようにオイラー角のθをデューティDを考慮して設定することにより、SH波を利用した場合の所望でないスプリアスを効果的に抑圧し得ることがわかる。
なお、IDT電極は、Cuを主体とする限り、Cuからなる電極層の下方に下地膜としての密着層が積層されていてもよく、あるいは主たる電極層の上面に、保護層が積層されていてよい。さらに、主たる電極層についても、Cu単体からなる必要は必ずしもなく、Cuを主体とする合金から構成されていてもよい。また、CuやCuを主体とする合金からなる電極膜に、他の金属からなる従たる金属膜が積層されていてもよい。
次に、上記実施例と同様にして、WCDMA用のデュプレクサDPXを作製した。ここでは、デュプレクサDPXの送信側帯域フィルタを、本発明に従って構成された弾性表面波共振子を複数用いた弾性表面波フィルタにより作製した。より具体的には、オイラー角(0°,84°0°)のLiNbO基板上に、膜厚108nm(0.057λ)及びデューティ=0.40となるようにCuからなるIDT電極を形成した。なお、IDT電極と等しい膜厚のSiO膜を第1の酸化ケイ素膜として成膜し、IDT電極及び第1の酸化ケイ素膜を覆うように、厚みを159nm(0.24λ)のSiO膜を第2の酸化ケイ素膜として形成した。ここでは、さらに、最上部に、周波数調整するために、SiN膜を成膜し、SiN膜をエッチングすることにより、周波数を調整した。周波数調整後のSiN膜の膜厚は約15nm程度である。
なお、周波数調整膜としては、SiN膜の他、SiC膜やSi膜などを用いてもよい。
図9は、このようにして得られたDPXの弾性表面波フィルタのフィルタ特性を示す図である。比較のために、図9に、破線により、オイラー角が(0°,82°,0°)とされていることを除いては、上記と同様に構成されたデュプレクサの弾性表面波フィルタのフィルタ特性を示す。なお、実線で示す特性、すなわちオイラー角(0°,84°,0°)と、上記膜厚及び膜厚のCuからなるIDT電極は、式(1)を満たしており、他方、破線で示すフィルタ特性の場合には、式(1)に示す関係は満たされていない。図9から明らかなように、破線で示す比較例では、矢印Z1,Z2で示す大きなスプリアスが現れている。これは、レイリー波によるスプリアスである。これに対して、第2の実施例では、このようなスプリアスが十分に抑圧されており、従って、良好なフィルタ特性の得られることがわかる。
次に、上記実施例2で作製したデュプレクサTPXの弾性表面波フィルタの通過帯域及び通過帯域よりも高域側の周波数領域の特性を図10に示す。
また、比較のために、第2の酸化ケイ素膜の膜厚を、0.35λに変更したことを除いては、上記第2の実施例と同様にして構成された弾性表面波フィルタの周波数特性を図11に示す。
図11では、矢印Wで示すように、SH波の高次モードによるスプリアスが大きく現れている。すなわち、SH波の高次モードによるとみられるスプリアスは、第2の酸化ケイ素膜としてのSiO膜の膜厚に大きく依存することがわかる。そして、フィルタ特性上、第2の酸化ケイ素膜の膜厚を0.03λ以下とした場合には、図11に矢印Wで示すSH波の高次モードによるスプリアスを効果的に抑圧することができ、望ましい。
LiNbO基板のオイラー角は、上記実施形態では、(0°,θ±5°,0°)とされていたが、本願発明者の実験によれば、オイラー角(φ,θ,ψ)におけるφは0°±5°の範囲であればよく、ψは0°±10°の範囲であればよく、いずれの場合においても、上記実施形態と同様の効果が得られることが確認されている。
さらに、前述した1ポート型弾性表面波共振子やデュプレクサの帯域フィルタ部に限らず、様々な共振子や様々な回路構成の表面波フィルタに本発明を適用することができる。

Claims (2)

  1. オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のLiNbO基板と、
    前記LiNbO基板上に形成されており、Cuを主体とするIDT電極を含む電極と、
    前記電極が形成されている領域を除いた残りの領域において、前記電極と等しい厚みとなるように形成されている第1の酸化ケイ素膜と、
    前記電極及び第1の酸化ケイ素膜を被覆するように形成された第2の酸化ケイ素膜とを備え、SH波を利用した弾性表面波装置であって、
    前記IDT電極のデューティDが0.49以下であり、かつ前記オイラー角(0°±5°,θ±5°,0°±10°)のθが下記の式(1)を満たす範囲とされていることを特徴とする、弾性表面波装置。
    Figure 2007145057
  2. 前記第2の酸化ケイ素膜の膜厚Hが、0.16λ〜0.30λの範囲とされている、請求項1に記載の弾性表面波装置。
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