JPWO2007142352A1 - めっき膜の形成方法および材料 - Google Patents
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Abstract
純Snめっき膜にウィスカーが発生するのを防止することの可能なめっき膜の形成方法を提供する。カソード電極13の表面を鏡面に仕上げたのち、その表面に前処理を行ったのち、カソード電極13の強磁場Bに対する角度θを5°以上53°以下、または75°以上90°以下に設定する。次に、カソード電極13に対して強磁場Bを印加しつつ、アノード電極12とカソード電極13との間に電流を流す。これにより、上記した角度θの範囲のうち5°以上53°以下、または85°以上90°以下の場合には、カソード電極13に対して強磁場Bを印加していないときにカソード電極13に形成される純Snめっき膜の結晶配向パターンと非類似の結晶配向パターンの純Snめっき膜が形成される。このめっき膜は、Snの結晶方位として少なくとも(101)面を有する。
Description
本発明は、強磁場を用いて純錫(Sn)めっきを行うめっき膜の形成方法および材料に関する。
電気・電子製品は、不燃性の製品であることから、耐用年数の経過などによって廃棄物となった場合に、そのままの形で、または粉砕されて地中に埋められることがある。このような電気・電子製品にはめっき材として錫鉛(Sn−Pb)が主に利用されているが、このSn−Pbに含まれる鉛は人に対する毒性を有している。そのため、Sn−Pbに含まれる鉛が地中に埋められた廃棄物から酸性雨などにより溶出し、地下水に混入したり河川に流れて、何らかの形で人々に取り込まれた場合には、鉛が人体に対して悪影響を及ぼす虞がある。そこで、近年では、Sn−Pbに替わる材料の検討が電子業界において活発に進められている。
Sn−Pbに替わる材料としては純Snや、Sn−Ag、Sn−CuおよびSn−Biなどの2元系のSn合金があるが、この中で最も有力視されている材料として純Snが挙げられる。この純Snは人体に無害であり、その上、はんだ付け性がよく、コストが安価であるという特徴を有している一方で、ウィスカーが発生し易いという問題がある。純Snめっきに発生するウィスカーは最長で数十μm〜数百μmの長さになるものもあり、電子回路のショート(短絡)を引き起こす虞がある。ところが、ウィスカーの発生メカニズムについては未解明な部分が多く、純Snめっき膜にウィスカーが発生するのを抑制することが極めて困難であった。また、Sn合金めっき膜においてもウィスカーが発生することがある。
なお、特許文献1には、析出電極の中心軸を取り囲むように電磁石コイルを配置して、めっき槽内に磁場を形成することにより、対極から析出電極に向かって流れる電流を析出電極の中心方向に曲げる技術が開示されている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、純Snめっき膜またはSn合金めっき膜にウィスカーが発生するのを防止することの可能なめっき膜の形成方法および材料を提供することにある。
本発明のめっき膜の形成方法は、以下の(A)および(B)の各工程を含むものである。
(A)純錫(Sn)またはSn合金からなるアノード電極と銅または銅合金からなるカソード電極とをめっき槽内において互いに対向配置する工程
(B)カソード電極のうちアノード電極との対向面と所定の角度で交差する方向からカソード電極に対して強磁場を印加すると共に、アノード電極とカソード電極との間に電流を流す工程
(A)純錫(Sn)またはSn合金からなるアノード電極と銅または銅合金からなるカソード電極とをめっき槽内において互いに対向配置する工程
(B)カソード電極のうちアノード電極との対向面と所定の角度で交差する方向からカソード電極に対して強磁場を印加すると共に、アノード電極とカソード電極との間に電流を流す工程
本発明の材料は、銅または銅合金からなる基板に、純錫(Sn)またはSn合金よりなると共にSnの結晶方位が少なくとも(101)面を有するめっき膜を備えたものである。
ここで、純Snとは純度が99.9%以上のSnを指している。Sn合金は、例えば、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Biであり、銅合金は、例えば、Cu−Znなどである。また、強磁場とは0.1T以上の磁場のことを指している。また、対向とは正対だけを指すものではなく、カソード電極の対向面とアノード電極の対向面とが所定の角度で向き合っている場合も含まれる概念である。また、カソード電極とアノード電極とが互いに等しい形状や大きさとなっている必要はない。なお、拡散防止のために、銅または銅合金の表面にニッケル(Ni)を例えば数μmめっきしておいてもよい。
本発明のめっき膜の形成方法では、銅または銅合金からなるカソード電極の対向面に純SnまたはSn合金を析出させる際に、カソード電極のうちアノード電極との対向面と所定の角度で交差する方向からカソード電極に対して強磁場を印加している。
本発明の材料では、CuまたはCu合金基板のSnめっき膜においてSn結晶配向パターンにおける優先配向として少なくとも(101)面を有しているために、めっき膜にウィスカーの発生が無くなっている。
本発明のめっき膜の形成方法によれば、銅または銅合金からなるカソード電極の対向面に純SnまたはSn合金を析出させるときに、カソード電極のうちアノード電極との対向面と所定の角度で交差する方向からカソード電極に対して強磁場を印加するようにしたので、純Snめっき膜またはSn合金めっき膜にウィスカーが発生するのを防止することができる。
本発明の材料によれば、めっき膜のSnの結晶方位が少なくとも(101)面を有するようにしたので、ウィスカーの成長が抑えられている。この理由は必ずしも明確ではないが、CuまたはCu合金基板上のSnめっき膜にウィスカーが発生する原因は、Cu元素がSn中に拡散することによりSn中にCu−Snの金属間化合物が成長し、Snの内部応力を高め、それを解消するためにSn元素が表面に拡散することによっている。Snの優先方位として(101)を有することにより、Cu元素の拡散を抑制するか、内部応力の発生を抑えSn元素の拡散が防止されることなどが考えられる。よって、この材料を電子部品に適用すれば、電子回路の短絡などの発生を抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る、純Snめっき膜の形成方法の流れを表すものである。図2は本実施の形態の形成方法を実施する際に用いる製造装置1の概略構成を表すものであり、図3は図2のめっき膜形成部10の内部構成を表すものである。
この製造装置1は、めっき膜形成部10と、磁場発生部20とを備えたものである。このめっき膜形成部10は、めっき液11中に3つの電極(アノード電極12、カソード電極13および塩橋14)を浸したものであり、電析の方式として三極電極方式を採用したものである。
めっき膜形成部10は、めっき液11で満たされためっき槽15と、めっき液11中に互いに対向配置されたアノード電極12およびカソード電極13と、めっき液11中に配置された塩橋14とを備えている。アノード電極12は電圧源30のプラス端子31に、カソード電極13は電圧源30のマイナス端子32にそれぞれ接続されている。塩橋14については、一端がめっき液11に浸され、他端が内部液槽16内の内部液17に浸されている。内部液17には電圧源30のグラウンド端子33に接続された参照電極18がさらに浸されている。
ここで、めっき液11は、例えば、硫酸錫が電気分解されたものであり、Sn2+イオンと、SO4 2-イオンとを含有している。アノード電極12は、純Sn板からなり、プラス端子31から延在する配線12Aの先端に接続されている。純Sn板のSnの純度は、99.9%以上であることが好ましい。カソード電極(基板)13は、黄銅(Cu−Zn)板からなり、マイナス端子32から延在する配線13Aの先端に接続されている。黄銅板は、例えば10mm×10mm角で、厚さが0.3mmの直方体形状となっており、アノード電極12との対向面が磁場発生部20から発生する強磁場Bの方向(ベクトル)と角度θで交わるように配置されている(図4参照)。なお、黄銅板はその表面が研磨により鏡面に仕上げられると共に前処理が施されたものであることが好ましい。また、ニッケルを数μmめっきした表面に形成しためっき膜と、銅や銅合金に直接形成しためっき膜とは互いに同質であることから、拡散防止のために、黄銅板の表面にニッケル(Ni)を例えば数μmめっきしておいてもよい。塩橋14は、例えば寒天に塩化カリウム(KCl)を混ぜたものからなる。内部液17は、例えば飽和塩化カリウムからなり、参照電極18は、Ag/AgClからなる。
磁場発生部20は、黄銅板13Bに対して0.1T以上の強磁場Bを印加するためのものであり、例えば、超伝導転移温度の高い超伝導コイルや、強力な磁石からなる。
次に、純Snめっき膜の形成方法について説明する。まず、カソード電極13の表面を鏡面に仕上げたのち、その表面に前処理を行う(ステップS1)。例えば、粒径400μm〜1550μmの砥粒を含む研磨剤を用いてカソード電極13の表面を研削し、続いてその表面をバフ研磨することにより鏡面に仕上げる。次いで、例えば、アセトンによる超音波洗浄を15分間行って表面を脱脂したのち、その表面を0.05mol/lの塩酸に1分間曝すことにより脱酸する。このようにして、カソード電極13の表面をめっきに適した状態にしておく。
次に、カソード電極13の強磁場Bに対する角度θを、5°以上53°以下、または75°以上90°以下に設定する(ステップS2)。
次に、磁場発生部20を駆動して、カソード電極13に対して例えば5Tの強磁場Bを印加したのち(ステップS3)、アノード電極12とカソード電極13との間に例えば20分間、電流を流す(ステップS4)。このとき、カソード電極13における電流密度が例えば15mA/mm2 となるような電位差(例えば−0.45V)がカソード電極13とアノード電極12との間に生じるように電圧源30を設定しておく。すると、カソード電極13のうちアノード電極12との対向面に純Snが電析し始め、次第に純Snめっき膜が形成される。このようにして、本実施の形態の純Snめっき膜が形成される。
ところで、カソード電極13の対向面に形成された純Snめっき膜の結晶配向パターンをX線回折法(X-Ray Diffraction ;XRD)を用いて分析すると、図5(A)〜(B)に示したような回折線の強度プロファイルとなる。ここで、図5(A)はカソード電極13の角度θが15°または45°のときのものを、図5(B)はカソード電極13の角度θが30°のときのものをそれぞれ表すものである。
なお、参考例として、カソード電極13の角度θが75°または90°のときのものを図5(C)に示し、比較例として、カソード電極13の角度θが0°または60°のときのものを図5(D)に示し、カソード電極13に対して強磁場Bを印加していないときのものを図5(E)に示している。ただし、図5(A)〜(E)の横軸は回折角の角度を、縦軸は回折光の強度をそれぞれ表すものである。また、カソード電極13の角度θと、結晶配向パターンとの関係をまとめたものを表1に示す。
図5(A)〜(E)から、カソード電極13に対して15°以上45°以下の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させると、カソード電極13に対して強磁場Bを印加していない場合(図5(E))にカソード電極13に形成される純Snめっき膜の結晶配向パターン(パターンX)と非類似の結晶配向パターン(パターンY)の純Snめっき膜が形成されることがわかる(図5(A)〜(B))。
ここで、非類似とは、例えば、パターンXに含まれる優先配向とパターンYに含まれる優先配向とが互いに一致しない場合や、パターンXに含まれる各優先配向の回折ピークの大小関係とパターンYに含まれる各優先配向の回折ピークの大小関係が互いに一致しない場合などを指す。
すなわち、カソード電極13の角度θが15°または45°のときの結晶配向パターンは、図5(A)から分かるように、(101)、(211)、(112)の3つの結晶配向(優先配向)を有している。カソード電極13の角度θが30°のときの結晶配向パターンは、図5(B)から分かるように、(101)、(211)、(321)の3つの結晶配向(優先配向)を有している。これに対して、カソード電極13に対して強磁場Bを印加していない場合の結晶配向パターンは、図5(E)から分かるように、(211)、(321)の2つの結晶配向(優先配向)しか有していない。つまり、パターンYの純Snめっき膜は、Snの結晶方位として少なくとも(101)面を有している。
一方、カソード電極13に対して75°以上90°以下の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させると、パターンX(図5(E))と比較的類似した結晶配向パターンの純Snめっき膜が形成されることがわかる(図5(C))。また、カソード電極13に対して0°または60°の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させると、パターンXと比較的類似した結晶配向パターンの純Snめっき膜が形成されることがわかる(図5(D))。
次に、カソード電極13の対向面に形成された純Snめっき膜の(101)、(211)、(321)の3つの結晶配向(優先配向)の回折ピークの各比率(I(hkl)/(I(101)+I(211)+I(321))に着目して、カソード電極13の角度θを変化させたときにカソード電極13の対向面に形成された純Snめっき膜のそれぞれの結晶配向パターンの類似性を分析すると、図6に示したようなグラフとなる。ここで、図6の横軸はカソード電極13の角度θを、縦軸は輝度比をそれぞれ表すものである。なお、(hkl)は(101)、(211)または(321)である。
図6から、カソード電極13に対して5°以上53°以下、および85°以上90°以下の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させると、カソード電極13に対して0°の角度で強磁場Bを印加した状態でカソード電極13の対向面に形成される純Snめっき膜の3つの結晶配向の回折ピークの各比率と非類似の比率の回折ピークを有する純Snめっき膜が形成されることがわかる。
一方、上記以外の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させると、カソード電極13に対して0°の角度で強磁場Bを印加した状態でカソード電極13の対向面に形成される純Snめっき膜の3つの結晶配向の回折ピークの各比率と比較的類似した比率の回折ピークを有する純Snめっき膜が形成されることがわかる。
なお、図示していないが、カソード電極13に対して0°の角度で強磁場Bを印加した状態でカソード電極13の対向面に形成される純Snめっき膜の3つの結晶配向の回折ピークの各比率と、カソード電極13に対して強磁場Bを印加しない状態でカソード電極13の対向面に形成される純Snめっき膜の3つの結晶配向の回折ピークの各比率とは、互いに類似している。
従って、カソード電極13に対して5°以上53°以下、および85°以上90°以下の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させると、カソード電極13に対して強磁場Bを印加しない状態でカソード電極13の対向面に形成される純Snめっき膜の3つの結晶配向の回折ピークの各比率と非類似の比率の回折ピークを有する純Snめっき膜が形成されるといえる。
一方、上記以外の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させると、カソード電極13に対して強磁場Bを印加しない状態でカソード電極13の対向面に形成される純Snめっき膜の3つの結晶配向の回折ピークの各比率と比較的類似した比率の回折ピークを有する純Snめっき膜が形成されるといえる。
次に、カソード電極13に対して15°、30°、45°、75°および90°の角度θで強磁場Bを印加したときにそれぞれ得られた純Snめっき膜に、50℃、3000時間の熱処理を行ったのち、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM) を用いて各純Snめっき膜の表面を観察すると、図7(A)〜(C)に示したような表面となる。ここで、図7(A)はカソード電極13の角度θが15°または45°のときのものであり、図7(B)はカソード電極13の角度θが30°のときのものであり、図7(C)はカソード電極13の角度θが75°または90°のときのものである。
なお、比較例として、カソード電極13の角度θが0°または60°のときのものを図8(A)と、図8(B)(図8(A)を拡大したもの)とに示し、カソード電極13に対して強磁場Bを印加していないときのものを図8(C)と、図8(D)(図8(C)を拡大したもの)とに示している。また、カソード電極13の角度θと、ウィスカーの有無との関係をまとめたものを表2に示す。
図7(A)〜(C)および図8(A)〜(D)から、カソード電極13に対して15°以上45°以下、または75°以上90°以下の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させると、ウィスカーの無い純Snめっき膜が形成されることがわかる(図7(A)〜(C))。一方、カソード電極13に対して0°または60°の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させると、カソード電極13に対して強磁場Bを印加していないとき(図8(C),(D))と同様、ウィスカーの形成された純Snめっき膜が形成されることがわかる(図8(A),(B))。
以下、図5(A)〜(E)〜図8のそれぞれの結果を総合的に検討する。まず、カソード電極13に対して15°以上45°以下、および85°以上90°以下の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させると、ウィスカーの無い純Snめっき膜を形成することができる。このとき、カソード電極13に対して強磁場Bを印加しない状態でカソード電極13の対向面に形成される純Snめっき膜の3つの結晶配向((101)、(211)、(321))の回折ピークの各比率と非類似の比率の回折ピークを有する純Snめっき膜が形成されるので、カソード電極13の角度θを上記した範囲内とした場合には、この非類似性がウィスカーの成長を阻害した可能性がある。このように考えた場合には、カソード電極13に対して5°以上15°未満、および45°より大きく53°以下の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させた場合についても、この非類似性によってウィスカーの成長が阻害されている可能性がある。
特に、カソード電極13に対して15°以上45°以下の角度θで強磁場Bを印加した状態で形成されたウィスカーの無い純Snめっき膜は、カソード電極13に対して強磁場Bを印加しない状態で形成された純Snめっき膜と異なり、Snの結晶方位が少なくとも(101)面を有している。よって、めっき膜のSnの結晶方位が少なくとも(101)面を有することにより、めっき膜のウィスカーが無くなっている可能性がある。
また、カソード電極13に対して75°以上85°未満の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させても、ウィスカーの無い純Snめっき膜を形成することができる。このとき、カソード電極13に対して強磁場Bを印加しない状態でカソード電極13の対向面に形成される純Snめっき膜の3つの結晶配向((101)、(211)、(321))の回折ピークの各比率と比較的類似した比率の回折ピークを有する純Snめっき膜が形成されるので、カソード電極13の角度θを上記した範囲内とした場合には、上記したケースとは異なる要因がウィスカーの成長を阻害したと思われる。
次に、カソード電極13に印加する強磁場Bの大きさと、ウィスカーの発生との関係について説明する。図9は、カソード電極13の角度θを30°に設定してアノード電極12の対向面に純Snを電析させたときの、ウィスカーの発生頻度を表すものである。図9から、強磁場Bの大きさを0.1T以上にするとウィスカーの発生頻度を低減することができ、強磁場Bの大きさを0.3T以上にするとウィスカーの発生をなくすることができることがわかる。なお、この傾向はカソード電極13の角度θを30°に設定した場合に限られるものではなく、5°以上53°以下、または75°以上90°以下に設定すれば同様の傾向を得ることができる。
以上のことから、本実施の形態の純Snめっき膜の形成方法では、カソード電極13に対して5°以上53°以下、または75°以上90°以下の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させるようにしたので、ウィスカーの無い純Snめっき膜を形成することができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。
例えば、上記実施の形態では、アノード電極12を純Sn板により構成していたが、Sn−Ag、Sn−CuまたはSn−BiなどのSn合金により構成してもよい。なお、この場合には、カソード電極13の対向面にSn合金めっき膜が形成される。
また、上記実施の形態では、カソード電極13を黄銅板により構成していたが、他の銅合金板や、銅板により構成してもよい。以下に、カソード電極13を銅板により構成した場合について説明する。
図10は、銅板からなるカソード電極13に純Snめっき膜を形成したときの、その純Snめっき膜の(101)、(220)、(211)、(301)、(112)、(321)の6つの結晶配向の回折ピークの各比率(I(hkl)/(I(101)、I(220)、I(211)、I(301)、I(112)、I(321))を、カソード電極13の角度θとの関係で表したものである。なお、(hkl)は((101)、(220)、(211)、(301)、(112)または(321)である。
図10から、カソード電極13を黄銅板により構成した場合と同様、カソード電極13に対して5°以上53°以下、および85°以上90°以下の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させると、カソード電極13に対して強磁場Bを印加しない状態でカソード電極13の対向面に形成される純Snめっき膜の6つの結晶配向の回折ピークの各比率と非類似の比率の回折ピークを有する純Snめっき膜が形成されることがわかる。一方、上記以外の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させると、カソード電極13に対して強磁場Bを印加しない状態でカソード電極13の対向面に形成される純Snめっき膜の6つの結晶配向の回折ピークの各比率と比較的類似した比率の回折ピークを有する純Snめっき膜が形成されることがわかる。そして、このような条件で形成された純Snめっき膜にはウィスカーが発生していないことがわかった。また、銅板からなるカソード電極13に対して75°以上85°未満の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させた場合にもウィスカーが発生していないことがわかった。
このことから、カソード電極13を銅板により構成した場合においても、カソード電極13に対して5°以上53°以下、または75°以上90°以下の角度θで強磁場Bを印加した状態で、カソード電極13の対向面に純Snを析出させることにより、ウィスカーの無い純Snめっき膜を形成することができる。
また、上記実施の形態では、アノード電極12とカソード電極13とが互いに正対して配置されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、アノード電極12の対向面とカソード電極13の対向面とが所定の角度で向き合っていてもよい。また、アノード電極12とカソード電極13とが互いに等しい形状や大きさとなっている必要はない。
本発明のめっき膜の形成方法は、めっき可能な種々の電子部品、例えば、半導体ICや、各種受動部品、コネクタ、基板、ソケット、スイッチに適用可能である。
【0002】
流を析出電極の中心方向に曲げる技術が開示されている。
[0006]
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、純Snめっき膜またはSn合金めっき膜にウィスカーが発生するのを防止することの可能なめっき膜の形成方法および材料を提供することにある。
[0007]
本発明のめっき膜の形成方法は、以下の(A)および(B)の各工程を含むものである。
(A)純錫(Sn)またはSn合金からなるアノード電極と銅または銅合金からなるカソード電極とをめっき槽内において互いに対向配置する工程
(B)カソード電極のうちアノード電極との対向面と所定の角度で交差する方向からカソード電極に対して強磁場を印加すると共に、アノード電極とカソード電極との間に電流を流す工程
[0008]
本発明の材料は、銅または銅合金からなる基板に、純錫(Sn)またはSn合金よりなると共にSnの結晶方位が少なくとも(101)面を有するめっき膜を備え、めっき膜は、純錫(Sn)またはSn合金からなるアノード電極と銅または銅合金からなるカソード電極とをめっき槽内において互いに対向配置し、カソード電極のうちアノード電極との対向面と15°以上45°以下の角度で交差する方向からカソード電極に対して強磁場を印加すると共に、アノード電極とカソード電極との間に電流を流すことにより形成されたものである。
[0009]
ここで、純Snとは純度が99.9%以上のSnを指している。Sn合金は、例えば、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Biであり、銅合金は、例えば、Cu−Znなどである。また、強磁場とは0.1T以上の磁場のことを指している。また、対向とは正対だけを指すものではなく、カソード電極の対向面とアノード電極の対向面とが所定の角度で向き合っている場合も含まれる概念である。また、カソード電極とアノード電極とが互いに等しい形状や大きさとなっている必要はない。なお、拡散防止のために、銅または銅合金の表面にニッケル(Ni)を例えば数μmめっきしておいてもよい。
[0010]
本発明のめっき膜の形成方法では、銅または銅合金からなるカソード電極の対向面に純SnまたはSn合金を析出させる際に、カソード電極のうちアノード電極との対向面と所定の角度で交差する方向からカソード電極に対して強磁場を印加している。
[0011]
本発明の材料では、CuまたはCu合金基板のSnめっき膜においてSn結晶配向パターンにおける優先配向として少なくとも(101)面を有しているために、めっき膜にウィスカーの発生が無くなっている。
[0012]
本発明のめっき膜の形成方法によれば、銅または銅合金からなるカソード電極の対
流を析出電極の中心方向に曲げる技術が開示されている。
[0006]
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、純Snめっき膜またはSn合金めっき膜にウィスカーが発生するのを防止することの可能なめっき膜の形成方法および材料を提供することにある。
[0007]
本発明のめっき膜の形成方法は、以下の(A)および(B)の各工程を含むものである。
(A)純錫(Sn)またはSn合金からなるアノード電極と銅または銅合金からなるカソード電極とをめっき槽内において互いに対向配置する工程
(B)カソード電極のうちアノード電極との対向面と所定の角度で交差する方向からカソード電極に対して強磁場を印加すると共に、アノード電極とカソード電極との間に電流を流す工程
[0008]
本発明の材料は、銅または銅合金からなる基板に、純錫(Sn)またはSn合金よりなると共にSnの結晶方位が少なくとも(101)面を有するめっき膜を備え、めっき膜は、純錫(Sn)またはSn合金からなるアノード電極と銅または銅合金からなるカソード電極とをめっき槽内において互いに対向配置し、カソード電極のうちアノード電極との対向面と15°以上45°以下の角度で交差する方向からカソード電極に対して強磁場を印加すると共に、アノード電極とカソード電極との間に電流を流すことにより形成されたものである。
[0009]
ここで、純Snとは純度が99.9%以上のSnを指している。Sn合金は、例えば、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Biであり、銅合金は、例えば、Cu−Znなどである。また、強磁場とは0.1T以上の磁場のことを指している。また、対向とは正対だけを指すものではなく、カソード電極の対向面とアノード電極の対向面とが所定の角度で向き合っている場合も含まれる概念である。また、カソード電極とアノード電極とが互いに等しい形状や大きさとなっている必要はない。なお、拡散防止のために、銅または銅合金の表面にニッケル(Ni)を例えば数μmめっきしておいてもよい。
[0010]
本発明のめっき膜の形成方法では、銅または銅合金からなるカソード電極の対向面に純SnまたはSn合金を析出させる際に、カソード電極のうちアノード電極との対向面と所定の角度で交差する方向からカソード電極に対して強磁場を印加している。
[0011]
本発明の材料では、CuまたはCu合金基板のSnめっき膜においてSn結晶配向パターンにおける優先配向として少なくとも(101)面を有しているために、めっき膜にウィスカーの発生が無くなっている。
[0012]
本発明のめっき膜の形成方法によれば、銅または銅合金からなるカソード電極の対
Claims (4)
- 純錫(Sn)またはSn合金からなるアノード電極と銅または銅合金からなるカソード電極とをめっき槽内において互いに対向配置する工程と、
前記カソード電極のうち前記アノード電極との対向面と所定の角度で交差する方向から前記カソード電極に対して強磁場を印加すると共に、前記アノード電極と前記カソード電極との間に電流を流す工程と
を含むことを特徴とするめっき膜の形成方法。 - 前記所定の角度は、15°以上45°以下、または75°以上90°以下である
を含むことを特徴とする請求項1記載のめっき膜の形成方法。 - 銅または銅合金からなる基板に、純錫(Sn)またはSn合金よりなると共にSnの結晶方位が少なくとも(101)面を有するめっき膜を備えた
ことを特徴とする材料。 - 前記めっき膜は、純錫(Sn)またはSn合金からなるアノード電極と銅または銅合金からなるカソード電極とをめっき槽内において互いに対向配置し、前記カソード電極のうち前記アノード電極との対向面と15°以上45°以下の角度で交差する方向から前記カソード電極に対して強磁場を印加すると共に、前記アノード電極と前記カソード電極との間に電流を流すことにより形成されたものである
ことを特徴とする請求項3記載の材料。
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