JPWO2007105738A1 - 非晶質金属複合材とその製造方法およびそれによる物品 - Google Patents

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Abstract

基材表面に非晶質金属が積層一体化されてなる非晶質金属複合材であって、予め非晶質金属と同様な弾性域に調整された基材の表面に非晶質金属による層が一体的に設けられてなることを特徴とすることによって、剥離を抑制することができるので、基材本来の機械強度に非晶質金属による機械強度を加重することができ、非晶質金属の厚さを調整することで、非晶質金属複合材の機械強度やヤング率等の力学的特性を制御することができる、さらに、溶射による積層型の非晶質金属複合材であり、複雑な形状の物品であっても容易に形成することもできる。

Description

本発明は、非晶質金属複合材とその製造方法およびそれによる物品に関するものである。より詳しくは、インプラント用ボーンプレート等の医療用物品、ゴルフクラブヘッド等のスポーツ用品、あるいは航空機材、自動車、建設等の各種の産業用物品のための材料として有用な、新しい非晶質金属複合材とその製造方法およびそれによる物品に関するものである。
従来各種の化学組成からなる非晶質(アモルファス)金属が知られている。これら非晶質金属は、高機械強度、低ヤング率(しなやか)、高耐食性、高耐摩耗性、高透磁率等の優れた特性を有するものが知られており、これらの特性を生かした応用についての検討が進められている。
非晶質金属の有する高機械強度や低ヤング率といった力学的特性を応用することを目的として、非晶質金属の組織を結晶質金属に分散させて複合化させることにより実現することが試みられている(分散型)。例えば、高圧鋳造法、双ロール法、単ロール法等による合金材の製造によって、鋳造品においては表面層に、薄帯においては片面層に非晶質金属相を生成させることが提案されている(特許文献1、2)。また、非晶質金属の粒子と結晶質金属やセラミックスの粒子との混合粉末を用いて圧縮成形して複合材とすることも提案されている(特許文献3、4)。
しかしながら、上記従来の分散型の複合材の場合、非晶質金属の形成、そして複合材の製造に係わる製造方法の制御が大変に難しいという欠点を有し、このため複雑な形状の物品を作製することは困難であるという問題点を有していた。
一方、非晶質金属の有する高耐食性を活用することを目的として、基材表面に非晶質金属を積層させ複合化することにより実現することが試みられている(積層型)。例えば、基材表面に非晶質金属を溶射することによって耐食性皮膜を形成することも提案されている(特許文献5)。
しかしながら、上記従来の積層型の複合材は、界面の強度が弱いため、基材に歪みが生じると非晶質金属の皮膜は容易に剥離してしまうため、耐食性には寄与するものではあるが、機械強度やヤング率等の力学的特性を制御するという目的の場合は、実用的ではないというのが技術常識であった。
特開平5−70880号公報 特開平5−70877号公報 特開2003−221657号公報 特開2002−775号公報 特開2005−126795号公報
本発明は、以上のとおりの背景から、従来の問題点を解消し、基材と一体化された複合材として、材料設計、製造方法、複雑な形状の物品形成が容易であり、機械強度やヤング率等の力学的特性まで制御可能とする非晶質金属複合材とその製造方法およびそれによる物品を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するものとして、以下のことを特徴としている。
第1:基材表面に非晶質金属が積層一体化されてなる非晶質金属複合材であって、予め非晶質金属と同様な弾性域に調整された基材の表面に非晶質金属による層が一体的に設けられてなることを特徴とする非晶質金属複合材。
第2:基材と非晶質金属層との界面が相互に入り込みあっていることを特徴とする非晶質金属複合材。
第3:基材が金属、セラミック、プラスチック、またはこれら2種以上の固結体のうちのいずれかであることを特徴とする非晶質金属複合材。
第4:基材の非晶質金属により被覆される箇所の体積に対し、積層一体化される非晶質金属の体積率が10%以上であることを特徴とする非晶質金属複合材。
第5:基材のヤング率を非晶質金属と同様になるように調整した後、その基材に対し非晶質金属の粒子を加熱して超音速で吹き付け衝突させて非晶質金属層を形成することを特徴とする非晶質金属複合材の製造方法。
第6:使用する非晶質金属の種類とその層厚さを所望する力学的特性に合わせて調整することを特徴とする非晶質金属複合材の製造方法。
第7:非晶質金属複合材の強度およびヤング率の少くともいずれかが最適化されていることを特徴とする非晶質金属複合材物品。
以上のとおりの本発明の非晶質金属複合材よれば、基材と非晶質金属とが引っ張り圧縮等の応力を与えられたとしても、同様な歪みを生じ、剥離を抑制することができるので、基材本来の機械強度に非晶質金属による機械強度を加重することができる。さらに、非晶質金属の厚さを調整することで、非晶質金属複合材の機械強度やヤング率等の力学的特性を制御することができる。
さらに、溶射による積層型の非晶質金属複合材であり、複雑な形状の物品であっても容易に形成することもできる。
図1は、HVOF溶射法の概要図である。 図2は、改良型HVOF溶射法の概要図である。 図3は、改良型HVOF溶射法によって積層一体化した複合材の断面写真である。 図4は、積層材である非晶質金属とその粉末原料の場合のXRDパターン図である。 図5は、実施例1および実施例2における引張り試験前の工程図(a)−(c)と引張り試験の概略図(d)である。 図6は、実施例1における非晶質金属複合材の引張り試験による体積率とヤング率の関係図である。 図7は、予備加工を行った後の基材そのものの引張り試験結果および実施例2における非晶質金属複合材(体積率(基材/複合材)が0.765の複合材)の引張り試験結果であり、(a)は予備加工を行った後の基材そのもののロードセルによる荷重−変位曲線、(b)は予備加工を行った後の基材そのもののロードセル、ひずみゲージによる歪み−応力曲線であり、(c)は、実施例2の非晶質金属複合材のロードセルによる荷重−変位曲線、(d)は、実施例2の非晶質金属複合材のロードセル、ひずみゲージによる歪み−応力曲線である。なお、予備加工を行わない基材(ステンレス鋼316L)については次のような材質であることも確認してある。 図8は、実施例2における非晶質金属複合材の引張り試験による体積率とヤング率の関係図である。
従来は上記のように、特許文献5等の被覆型の非晶質金属複合材は、基材からの非晶質金属の剥離が生じてしまうという技術常識であり、実際に特許文献5においては、形成された皮膜は、薄膜50μm、さらには100μm強程度のものしか考慮されていないし、この程度のものしか試みられていない。このため、当業者においては、積層された非晶質金属によって非晶質金属複合材の機械強度やヤング率等の力学的特性にまで影響することなど予想だにし得なかった。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、被覆型の非晶質金属複合材の欠点である剥離の問題を検討し、引張りによる破壊過程は、まず基材の断面減少によって皮膜が剥離し、皮膜が破壊され、その後基材が破壊されることに注目した。そして、基材表面に非晶質金属が積層一体化されてなる非晶質金属複合材であって、予め非晶質金属と同様な弾性域に調整された基材の表面に非晶質金属による層が一体的に設けられてなることによって、基材の断面減少を抑制し、剥離の問題が解決され、非晶質金属の有する力学的特性を応用可能できることを見出した。さらに、非晶質金属の種類あるいは厚さを調節するという簡便な方法によって、非晶質金属複合材の機械強度やヤング率等の力学的特性を精密に制御可能であることをも見出し、本発明に至った。
本発明の非晶質金属複合材の基材については、たとえばステンレス鋼やチタンあるいはチタン合金をはじめとする各種の金属であってよく、これら金属は、結晶質、非晶質、あるいは微結晶析出等の金属であってよい。あるいは、酸化物系もしくは非酸化物系のセラミックスでも、さらにはプラスチックスでもよい。もちろん、FRPやFRMのようなこれらの複合物であってもよい。これらの基材に応じて、非晶質金属の積層一体化による複合特性はたとえば次の表1のようなものとして実現される。
そして、本発明においては、これらの複合特性のうち、機械強度やヤング率が複合化で制御される。
一方、本発明の積層材としての非晶質金属としては、これまでに知られている各種の化学組成のものであってよく、たとえばFe−Cr−Mo系、Zr−Cu−Ni系、Zr−Ni−Al系等の各種のものが、本発明の複合材の用途や、必要とされる力学的特性、さらには耐食性、耐摩耗性等の表面改質特性を考慮して選択される。また、これらは、積層一体化のための方法に対応して、粉末、板状、塊状体、あるいは溶融物としての利用のしやすさ等をも考慮して選択されてよい。
そして、本発明の非晶質金属複合材においては、基材に対して積層一体化されている非晶質金属には、積層一体化のプロセス、すなわち製造時において不可避的に析出する結晶相が含まれていてよい。
この不可避的な結晶相を含むものとして本発明の積層一体化されている「非晶質金属」が定義される。
本発明の積層一体化の特徴は、従来の複合化方法のように鋳造にともなう表面層のアモルファス化のような局在化変質や、あるいは混合粉末の均一分散圧縮成形とも本質的に相違している。本発明では、固体状の、すなわち特有の形状を有している成形固体としての基材に対して、非晶質金属が積層されることを必須としている。
そしてまた、本発明の積層一体化は、アモルファス金属の溶射皮膜形成の従来の手段とも本質的に相違している。本発明においては、50μm、あるいは300μm程度までの薄膜としての皮膜形成ではなく、基材の力学的特性そのものを変更制御するだけの厚み、体積をもっての積層一体化である点で、従来の皮膜形成とは技術思想が異っているのである。
積層一体化のための手段としては、基材に対しての溶射、接合、粉末焼結、鋳造等の各種の手段のいずれかであってよい。たとえば簡便な溶射の方法としては、HVOF溶射、改良型HVOF溶射、雰囲気制御プラズマ溶射等を例示することができる。
これらの溶射法による場合には、基材との界面の密着性に優れているとともに、たとえば次の表2のような特徴と利点も実現されることになる。
このような特徴や利点のある溶射法についてさらに説明すると、高速フレーム溶射(HVOF)法(たとえば文献:Journal of ThermalSpray Technology, Vol. 8(3), Sep. 1999, 351 - 356 参照)は、図1に例示したように、多量・高圧の助燃性ガス(酸素ガス)と可燃性気体・液体(水素、プロパン、灯油など)の燃焼により生成した燃焼ジェットに目的とする粉末粒子を投入し、〜3000℃〜800m/s程度に加熱・加速した後に、基材に連続的に衝突させ、主として粒子の塑性変形を利用して堆積させるプロセスである。このプロセスにより、温度が低く、ピーニングの効果があわせて得られることから、化学組成や相転移といった熱的劣化を抑制した高品質であり、なおかつ緻密性・密着性が高い皮膜を作製できる。
また、改良型HVOF溶射法(たとえば文献:Proceedings of International Thermal Spray Conference 2005, CD-ROM, in Basel, Switzerland, May 2005. 「Dense Titanium Coatings by Modified HVOF Spraying」, J. Kawakita 他, 参照)は、HVOF溶射法における課題の一つである高速と最適加熱を両立したジェットを実現したものである。HVOF溶射法では、粒子の温度と速度の関係は反比例であり、結果として皮膚の緻密性と熱的劣化は相反するものであったことから、図2に例示したように燃焼炎に冷却用の気体(窒素ガス)を加えて、その温度を最適に制御した後で粉末を投入することで、800m/s以上の粒子速度を維持したまま、粒子加熱温度を500℃程度まで下げることに成功したものである。このプロセスにより、熱的劣化の起こりやすい材料(例えば酸化しやすいチタン)についても緻密に積層することが可能となっている。
HVOF溶射法においては、たとえば後述の実施例1に示したFe−10Cr−10Mo−8P−2Cの非晶質金属を積層する場合、この非晶質金属の粒径25〜63μmの範囲の粉末を用い、ステンレス鋼316L、炭素鋼SS400、ニッケル基合金 Hastelloy C296、純チタン、耐火セラミックス等の基材に対し、次の表3の条件を採用することができる。
また、改良型HVOF溶射法も有効である。
たとえば、図3は、本発明において炭素鋼の表面に改良型HVOF溶射法によってZr−12.3Cu−7.6Ni−3.5Alの組成の非晶質金属を積層一体化した場合の断面写真を示している。炭素鋼表面(基材)上に非晶質金属が積層されていることが明瞭に把握される。
この改良型HVOF法の場合においては、たとえば、原料粉末であるZr−12.3Cu−7.6Ni−3.5Alの組成の非晶質金属の粒径を25〜53μmの範囲とし、炭素鋼SS400、ステンレス鋼316L、純チタン等の金属基材に対して、以下表4のような条件を採用することができる。
なお、同じ組成のZr非晶質金属の25〜53μmの粒径の原料粉末を用いて減圧プラズマ溶射により炭素鋼SS400等に対して積層する場合には、たとえば次の表5のような操作条件が考慮される。
本発明における積層一体化による力学的特性の制御は、たとえば、積層された非晶質金属の複合材全体に占める非晶質金属の体積率を調節することにより可能とされる。この体積率については、力学的特性の制御として数%のレベルから可能とされるが、顕著な範囲としては5%以上、さらには10%以上で、95%以下、さらには90%以下程度の範囲を実際的な目安とすることが好適に考慮される。
この体積率によって、基材そのものの力学的特性値から非晶質金属そのものの力学的特性値まで、ほぼ直線的に変化させることも可能となる。
そして、この体積率による力学的特性のコントロールについては、当然にも、非晶質金属の種類、組成にともなう耐食性、耐摩耗性、比重等も考慮されることになる。
本発明の複合材によれば、基材と非晶質金属との複合化特性を生かして、たとえば、インプラント用ボーンプレート等の医療用物品、ゴルフクラブヘッド等のスポーツ用品、あるいは航空機材、自動車、建設等の各種の産業用物品が構成される。その際には、たとえば、複合材の強度およびヤング率の少くともいずれかが最適化されている非晶質金属複合材物品が実現されることになる。
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
<実施例1>
ステンレス鋼316Lを基材として、あらかじめ基材と非晶質金属とが同程度の弾性域となるような加工を行った後、HVOF溶射法により、その表面に、Fe−10Cr−10Mo−8P−2Cの組成の鉄系非晶質金属を、種々の体積率(基材/複合材)となるように溶射して積層一体化し、引っ張り試験を行って、体積率とヤング率の関係を検討した。なお、製造した皮膜が非晶質金属であることをXRDによってあらかじめ確認した。図4は、実施例1における被覆された非晶質金属が原料粉末と同じ非晶質であることを示しているXRDパターンである。
<実施例2>
実施例1とは別の非晶質金属を用いた場合のヤング率と体積率との関係を検討した。実施例1と同様の手順でステンレス鋼316Lを基材として、あらかじめ基材と非晶質金属とが同程度の弾性域となるような加工を行った後、HVOF溶射法により、その表面に、Zr−12.3Cu−7.6Ni−3.5Alの組成の非晶質金属を、種々の体積率となるように溶射して積層一体化し、引っ張り試験を行って、体積率とヤング率の関係を検討した。なお、XRDによって実施例2においても被覆された非晶質金属が原料粉末と同じ非晶質であることを確認した。以下、実施例1と実施例2の手順について詳しく説明する。
図5は、実施例1および実施例2における引張り試験前の工程図(a)−(c)と引張り試験の概略図(d)である。まず、図5(a)のような形状の引っ張り試験用の基材(matrix)を作製した。そして、(b)のようにUTS(Ultimate Tensile Strength、極限引張り強さ)の85%予荷重で変形させる予備加工を行った。その後、サンドブラストで基材を研磨した後、(c)のようにHVOF溶射法により非晶質金属を溶射して、さらにエメリー研磨紙600番で軸方向に研磨した。これを引っ張り試験用の試験片として、(d)のように、ひずみゲージを2枚取付けた後、オートグラフ(島津製作所製)を用いて、10kN、クロスヘッド速度1mm/minで測定を行った。
図6は、実施例1における非晶質金属複合材の引張り試験による体積率とヤング率の関係図である。この図6においては、体積率1の場合は、基材であるステンレス鋼316Lそのもののヤング率を示し、体積率0の場合は、非晶質金属そのもののヤング率を示している。なお、体積率は、研磨によって皮膜の厚さが均等に形成されていることから、引張り試験の軸方向に対する非晶質金属複合体の垂直断面の面積を測定することによって算出されたものである。
図6より、体積率によってヤング率を制御可能であることがわかる。さらに、体積率とヤング率の関係は直線関係を有し、力学的特性を正確に制御可能であることがわかる。
図7は、予備加工を行った後の基材そのものの引張り試験結果および実施例2における非晶質金属複合材(体積率(基材/複合材)が0.765の複合材)の引張り試験結果であり、(a)は予備加工を行った後の基材そのもののロードセルによる荷重−変位曲線、(b)は予備加工を行った後の基材そのもののひずみゲージによる歪み−応力曲線であり、(c)は、実施例2の非晶質金属複合材のロードセルによる荷重−変位曲線、(d)は、実施例2の非晶質金属複合材のひずみゲージによる歪み−応力曲線である。なお、予備加工を行わない基材(ステンレス鋼316L)については次のような材質であることも確認してある。材質;0.2%PS(Proof Stress 、耐力) 293MPa、UTS 586MPa、均一伸び 58%、全伸び 85%、絞り 77%。
図7(a)より、UTSの85%の負荷をかけると0.2%PSが293MPaから520MPaまで上昇(弾性域が上昇)していることがわかる。このことによって非晶質金属と基材の弾性域が同程度となり、荷重負荷の初期段階で、基材の塑性変形を遅らせ、つまりは基材の断面減少を防ぐことができ、非晶質金属の皮膜の剥離を防ぐことが可能となるのである。そして(b)、(d)の歪み−応力曲線から、非晶質金属複合材とすることによって低ヤング率とすることができることが確認され、被覆型の非晶質金属複合体においても非晶質金属の力学的特性を応用することが可能であることが確認された。
また、図8は、実施例2における非晶質金属複合材の引張り試験による体積率とヤング率の関係図である。この図8においては、体積率1の場合は、基材であるステンレス鋼316Lそのもののヤング率を示し、体積率0の場合は、非晶質金属そのもののヤング率を示している。表6にも体積率とヤング率との関係をまとめた。なお、体積率は、実施例1と同様、非晶質金属複合体の垂直断面の面積を測定することによって算出されたものである。
図8、表6より、体積率によってヤング率を制御可能であることがわかる。さらに、体積率とヤング率の関係は直線関係を有し、力学的特性を正確に制御可能であることがわかる。また、図6と比較してわかるように、非晶質金属の種類によっても力学的特性は制御可能であることも確認された。

Claims (7)

  1. 基材表面に非晶質金属が積層一体化されてなる非晶質金属複合材であって、予め非晶質金属と同様な弾性域に調整された基材の表面に非晶質金属による層が一体的に設けられてなることを特徴とする非晶質金属複合材。
  2. 請求項1に記載の非晶質金属複合材であって、基材と非晶質金属層との界面が相互に入り込みあっていることを特徴とする非晶質金属複合材。
  3. 請求項1又は2に記載の非晶質金属複合材において、基材が金属、セラミック、プラスチック、またはこれら2種以上の固結体のうちのいずれかであることを特徴とする非晶質金属複合材。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の非晶質金属複合材において、基材の非晶質金属により被覆される箇所の体積に対し、積層一体化される非晶質金属の体積率が10%以上であることを特徴とする非晶質金属複合材。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の非晶質金属複合材の製造方法であって、基材のヤング率を非晶質金属と同様になるように調整した後、その基材に対し非晶質金属の粒子を加熱して超音速で吹き付け衝突させて非晶質金属層を形成することを特徴とする非晶質金属複合材の製造方法。
  6. 請求項5に記載の非晶質金属複合材の製造方法であって、使用する非晶質金属の種類とその層厚さを所望する力学的特性に合わせて調整することを特徴とする非晶質金属複合材の製造方法。
  7. 請求項1から4に記載の非晶質金属複合材を構成材として用いた物品であって、非晶質金属複合材の強度およびヤング率の少くともいずれかが最適化されていることを特徴とする非晶質金属複合材物品。
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