JPWO2007029660A1 - 腸溶性基剤が表面に吸着した難溶性薬物の微小粒子 - Google Patents

腸溶性基剤が表面に吸着した難溶性薬物の微小粒子

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Abstract

本発明は、吸収不良性の難溶性薬物の溶出性を向上させることにより吸収を改善した製剤を供給するために必要な難溶性薬物の微小粒子、及びその製造法に関する。さらに詳しくは、本発明は、特定の腸溶性基剤が難溶性薬物の表面に吸着した平均粒子径が1〜1000nmの難溶性薬物の微小粒子、及び更に糖類を含有してなる微小粒子、並びにそれらの製造法に関するものである。溶出性を高めた本発明の微小粒子を用いることにより、人体等において吸収不良性の難溶性薬物の吸収を改善できる微小粒子を効率よく短時間で安全に生産することができるとともに、分散安定性の優れた製剤を提供するできる。

Description

本発明は、吸収不良性の難溶性薬物の溶出性を向上させることにより吸収を改善した製剤を供給するために必要な難溶性薬物の微小粒子、及びその製造法に関する。さらに詳しくは、本発明は、特定の腸溶性基剤が難溶性薬物の表面に吸着した平均粒子径が1〜1000nmの難溶性薬物の微小粒子、及び更に糖類を含有してなる微小粒子、並びにそれらの製造法に関するものである。
医薬品開発においては、薬効成分の経口吸収性の優劣が開発成否の鍵となるケースが少なくない。経口投与される医薬品のほとんどは、薬効成分が消化管で溶解し、これが吸収されることにより薬効が発現するため、開発候補品の溶解性が優れていることが好ましい。しかしながら、最近の医薬品開発においては、実に30〜40%の開発候補品は経口剤として必要な溶解度に達していないという報告もある(Am. Pharm. Rev. 5, p82-85(2002))。このため、難溶性薬物の溶解性を改善する技術は、医薬品開発において極めて重要な基盤技術となっている。溶解性改善法として、従来はピンミルやジェットミルによって原薬を乾式粉砕する方法、あるいは有機溶媒に溶解して軟カプセルとする方法が多用されてきた。しかしながら、ジェットミルなどの乾式粉砕法では粉砕後の平均粒子径は高々数ミクロン程度にしかならず、十分な溶出性改善効果の期待できないケースが多くあった。
また、軟カプセルについては、投与できるカプセルの大きさが最大でも2mL程度であるため、この有機溶媒量に溶解する薬物量しか投与できないという問題点があった。
以上の課題を解決するために、溶解性を十分に改善し、かつ高用量の投与量を確保するための技術として、薬物を固体分散体にする方法が開発された。これは、薬効成分をポリビニルピロリドン(以下、PVPと略す)やヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、HPMCと略す)などの水溶性高分子担体中にアモルファス状態で分散固定させるもので、一時的に過飽和状態にまで溶解度を改善できる方法である。製造方法としては、難溶性薬物と水溶性高分子を高温溶融する方法と、これら原料を有機溶媒に溶解後、乾燥する方法が知られている。後者の有機溶媒を使用する方法は、広く実用化されている。
しかしながら、このように商業生産されている固体分散体技術についても三つの課題がある。ひとつは製造上の課題であり、難溶性薬物を溶解し、高分子担体中に保持させるためにエタノールやジクロロメタンなどの有機溶媒を使用しなければならないことであり、製造作業における安全性確保や環境保護の観点からは好ましくなく、製造後においても固体分散体に有機溶媒が残存する懸念もある。また、高温溶融法は、高温で不安定な薬物には適用できないという問題点がある。二つ目の課題は、往々にして高分子担体量を多く必要とすることであり、十分な過飽和溶解度を確保するためには、原薬量の5倍量以上の担体を添加する必要のあるケースがある。このように多量の添加が必要な場合には、錠剤やカプセルの大きさが非常に大きくなり、患者の服用性に支障をきたすことから、実質的に開発を断念しなければならないこともある。更に、三つ目の課題は、製品の安定性に関することであり、このように製造された固体分散体が高湿度下で保管される場合には、アモルファス状態で存在している薬物分子の再結晶化が進行して、過飽和溶解度が低下し、その結果、薬物の溶出性が低下するということである。
以上のような状況を打開する方法として、平均粒子径400nm以下の薬物粒子のサスペンションを調製する方法は有望と考えられる(例えば、特許文献1参照)。これは、難溶性薬物をPVPなどの分散剤とともに、ビーズミルを用いて湿式粉砕することにより、粒子表面積を著しく増大させて難溶性薬物の溶出性を改善する方法である。この方法では微小粒子を製造するための必須成分として分散剤を添加する必要があるが、その量は固体分散体法で必要とする高分子担体量より少ない配合量となることが期待され、合わせて有機溶媒を使用しないで製造できるという利点もある。更に、本技術は、薬物の過飽和溶解を目指す技術ではないため、上記固体分散体のように、高湿度下で保管中に過飽和溶解度が低下して溶出特性が劣化するということはなく、安定性を確保するという面からは優れた技術であるとして、近年注目を浴びている。
米国特許第5,145,684号明細書
以上のような背景から本発明者らは、ビーズミル、高圧乳化機あるいは回転ディスクミルなどによる湿式粉砕法で微小粒子を製造する方法に着目し、その有用性を評価してきた結果、いくつかの問題点のあることが判明してきた。
問題点の一つは、粉砕時間が一般的に非常に長くかかり、ビーズミルを用いた場合には、しばしば生産スケールでは5〜8日間も粉砕機を稼動し続けなければならないことである。このため、生産効率は著しく低下し、コストは上昇する。粉砕工程の時間が著しく長いために、この間に機械の稼動トラブルを被るリスクが高くなり、GMPでの製造管理上も好ましくない。湿式粉砕工程においてトラブルが発生した場合には、製造途中の中間製品サスペンションが微生物などによる汚染を受けることなく、効率的に回収することも非常に困難となる。また、特にビーズミルによる方法は機械的な力による粉砕であることから、コンテナ内壁やビーズなどの磨耗は避けられず、機械稼動が長時間に及ぶ場合にはサスペンションに混入する不純物の量も増大し、無視できない問題となる。
このため、湿式粉砕法での粉砕効率を高める検討が、主に機械メーカーによって実施されており、ビーズミルのローター形状を工夫したWAB社(スイス)のDYNO-MILL ECM型や、アイメックス社(AIMEX:日本)のUVM-2 Ultra Visco Millのような新機種が発売されている。また、機械の構成やメカニズムそのものを工夫した例も多くみられ、世界の各社がそれぞれに優れた粉砕効率を特徴とする湿式粉砕機を販売している。更に、高圧乳化機を活用する方法も提案されている。しかしながら、機械が安定的に稼動し、平均粒子径50〜1000nmの微小粒子を製造できるという機械については、満足できる粉砕時間の短縮には成功していない。
もうひとつの問題点は、微小粒子サスペンションの分散安定性である。高圧乳化機やビーズミルを用いて得られた微小粒子サスペンションの保管時や希釈時の安定性を評価したところ、粒子が経時的に凝集していく傾向があり、特に酸性領域で溶解しやすい塩基性難溶性薬物についてはその凝集傾向が強く、沈降するケースのあることも判った。従来の微小粒子サスペンションは、電解質溶液中で非常に凝集し易いことも判明し、注射剤として投与する場合には安全性に懸念があると考えられた。
以上のとおり、難溶性薬物の吸収性の改善を目的として、微小粒子サスペンション技術を商業生産で広く活用していくためには、上記のような製造性や凝集性に対する問題点を解決することが重要な課題であると考えられた。
課題を解決する手段
微小粒子サスペンションの製造性および分散性を改善するための解決方法として、本発明者らはナノサスペンション製造時に添加する分散剤に着目し、各種医薬品添加物の分散剤としての効果を鋭意検討した。その結果、水に対して溶解性が乏しいために敬遠されていたヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(以下、HPMCPと略す)又はヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(以下、HPMCASと略す)を例えばクエン酸ナトリウムなどのアルカリの水溶液中に溶解して、これらを分散剤とすることにより、課題が解決されることを見出した。
サスペンション中の微小粒子は、その表面のゼータ電位の反発力により優れた分散安定性を示すと考えられている。そのため、微小粒子はゼータ電位が中和されると、容易に凝集する傾向のあることが知られており、HPMCAS又はHPMCPを電解質溶液に溶解して分散剤として使用することは、分散安定性の優れたサスペンションを製造する上では不利になると考えられていた(例えば、G.W.Castellan,Physical Chemistry,Third Edition,Section 18.16.3;翻訳書:目黒、田中、今村訳、G.W.CASTELLAN物理化学(上)第3版、p.474,東京化学同人(1986)及び C.Keck et al; Production and optimization of oral cyclosporine nanocrystals, Abstract of AAPS Annual Meeting(2004)を参照)。しかしながら、本発明者らは、粒子凝集に関する常識にとらわれることなく、多量のクエン酸ナトリウムを溶解したアルカリ溶液中にHPMCASやHPMCPを溶解し、この溶液中で難溶性薬物を粉砕したところ、従来汎用されていたHPMCやPVPを用いた場合に比べて、非常に早く微砕化が進行する上に、予想に反して薬物微小粒子の分散性が極めて優れていることを見出したのである。
また、湿式粉砕法による微小粒子サスペンションの製造においては、精製水に容易に溶解する分散剤を添加して、この溶液の中で難溶性薬物を微粉砕する必要がある。特許文献1にも記載されているように従来は、各種知られている分散剤のなかでも、水に溶けやすく、アルカリなどの電解質を溶解剤として使用する必要のないPVPやプルロニックF68及びF108が特に好ましいものとされていた。
本発明者らは、湿式粉砕法による薬物の微小粒子サスペンションの製造において、短時間に微粉砕して生産性を改善するとともに、サスペンションの分散安定性を改善すべく、これまでに実施例として知られていない分散剤について生産性や分散安定性に対する影響を検討した。その結果、HPMCAS及び/又はHPMCPを、粒子凝集に関する常識にとらわれることなく、アルカリの添加により水に溶解して、これを分散剤として薬物を微粉砕した場合には、意外にも粉砕が非常に効率よく進行し、且つ分散安定性の優れたサスペンションの得られることを見出した。また、このように製造したサスペンションを乾燥したものは、日局溶出試験液の第2液(pH6.8)中でHPMCAS又はHPMCPの溶解とともに、微小粒子を放出していくが、本発明者らは該サスペンションに糖及び/又は糖アルコールを添加して乾燥したものは、微小粒子を凝集することなく再分散させる特性に特に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1.難溶性薬物の表面に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが吸着した平均粒子径が1nm〜1000nmの難溶性薬物の微小粒子、
2.難溶性薬物1重量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを0.005〜20重量部の割合で含む前記1に記載の微小粒子、
3.更に、糖及び/又は糖アルコールを難溶性薬物1重量部に対して0.01〜4000重量部含有してなる前記1乃至2のいずれか1項に記載の微小粒子、
4.糖及び/又は糖アルコールが、乳糖、果糖、ショ糖、ブドウ糖、オリゴ糖、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、マルトース、キシリトール、エリスリトール、還元麦芽糖水アメ、トレハロース、無水乳糖、及びキシロースからなる群より選択された1種又は2種以上の物質である前記3に記載の微小粒子、
5.下記(1)乃至(3)より選択された製造法で得られうる前記1乃至4のいずれか1項に記載の微小粒子、
(1)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒中に、難溶性薬物を分散後、得られた混合物を更に湿式粉砕法により難溶性薬物の平均粒子径を小さくすることを特徴とする製造法、
(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒中に、難溶性薬物が溶解した有機溶媒溶液を添加して、難溶性薬物の微小粒子を析出させることを特徴とする製造法、
(3)難溶性薬物を分散剤の存在下で湿式粉砕して得られた粉砕物に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒を添加することを特徴とする製造法、
6.ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの溶解剤が、アルカリ性物質又は水中でアルカリ金属イオンあるいはアルカリ土類金属イオンを電離する物質である前記5項に記載の微小粒子、
7.アルカリ性物質又は水中でアルカリ金属イオンあるいはアルカリ土類金属イオンを電離する物質が、クエン酸ナトリウム,クエン酸カルシウム、クエン酸塩、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、リン酸塩、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、L-アルギニン、アンモニア水、及びアルギン酸Naからなる群より選択された1種又は2種以上の物質である前記5及び6項に記載の微小粒子、
8.ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートをそれらの溶解剤の水又は水溶性有機溶媒と水の混液に溶解又は懸濁させた後、その中に難溶性薬物を分散させ、得られた混合物を更に湿式粉砕法により難溶性薬物の平均粒子径を小さくすることを特徴とする、難溶性薬物の表面にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが吸着した平均粒子径の1nm〜1000nmである難溶性薬物の微小粒子の製造法、
9.ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒中に、難溶性薬物が溶解した有機溶媒溶液を添加して、難溶性薬物の微小粒子を析出させることを特徴とする、難溶性薬物の表面にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが吸着した平均粒子径の1nm〜1000nmである難溶性薬物の微小粒子の製造法、
10.難溶性薬物を分散剤の存在下で湿式粉砕して得られた粉砕物に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒を添加することを特徴とする、難溶性薬物の表面にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが吸着した平均粒子径の1nm〜1000nmである難溶性薬物の微小粒子の製造法、に関するものである。
以下に本発明の詳細を記載する。
本発明に用いられる難溶性薬物としては、水に対して難溶性であれば特に限定されないが、具体的にはそのフリー体あるいはフリー体の水和物を調製して溶解度を評価する時に、精製水での溶解度が0.1mg/mL以下であり、好ましくは0.05mg/mL以下である薬物をいい、例えば、鎮痛薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗生物質(ペニシリン類を含む)、抗凝固薬、抗低血圧薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗ムスカリン薬、抗ミコバクテリア薬、抗新生物薬、免疫抑制薬、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、不安解消薬(催眠薬および神経弛緩薬)、アストリンゼント、アドレナリン性β受容体遮断薬、血液製剤および代用血漿、心筋変性力薬、コントラスト媒質、コルチコステロイド、咳抑制薬(去痰薬および粘液破壊薬)、診断薬、診断像形成薬、利尿薬、ドパーミン作用薬(抗パーキンソ氏病薬)、止血薬、免疫薬、リピッド調節薬、筋肉弛緩薬、副交感神経刺激興奮薬、副甲状腺カルシトニンおよびビホスホネート類、プロスタグランジン、放射性医薬、性ホルモン(ステロイド類を含む)、抗アレルギー薬、興奮薬および食欲減退物質、交感神経興奮薬、甲状腺薬、血管拡張剤およびキサンチン類を含む各種既知薬物類から選ぶことができる。具体的には、ニフェジピン、タクロリムス、インドメサシン、ジクロフェナックナトリウム、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、フロセミド、オキソリン酸、ワルファリンカリウム、FK555(ASP0355)、ジクマロール、フェニトイン、フェノバルビタール、ケトプロフェン、クロルプロパミド、グリセオフルビン、カルバマゼピン、シクロスポリンA、ダマゾール、ケトコナゾール、プレドニゾン、トリアムシナロンアセトニド、ブロムワレリル尿素、アセチルタイロシン、ビンポセチン、ドンペリドン、アロプリノール、トリパミドインダパミド、オキサトミド、ヘプロニカート、ピンドロールなどが挙げられる。
本発明において、微小粒子サスペンションの製造性や凝集性の改善効果は、従来技術では特に困難とされていた塩基性の難溶性薬物に対してより顕著に現れる。
本発明における塩基性の難溶性薬物としては、水に対して難溶性でかつ塩基性であれば特に限定されないが、そのフリー体あるいはフリー体の水和物を調製して溶解度を評価する時に、精製水での溶解度が0.1mg/mL以下であり、且つpH1.2での溶解度が精製水での溶解度の2倍以上で、好ましくは精製水での溶解度が0.05mg/mL以下であり、且つpH1.2での溶解度が精製水での溶解度の3倍以上である薬物をいう。例えば、FK4664、塩酸グアンファシン、塩酸マニジピン、クエン酸タモキシフェン、塩酸ニカルジピンなどが挙げられる。
また、本発明の微小粒子に含まれる難溶性薬物の割合は微小粒子全体に対して、0.1〜99.9重量%の割合であればよく、好ましくは0.5〜99重量%であり、より好ましくは10〜95重量%であり、特に好ましくは20〜90重量%の割合である。
本発明において分散剤として使用されるHPMCASは、その置換度は特に限定されないが、メトキシル基含量10〜29%,ヒドロキシプロポキシル基含量2〜25%,アセチル基含量1〜18%,サクシノイル基含量2〜30%が好ましく、より好ましくはメトキシル基含量19〜27%,ヒドロキシプロポキシル基含量4〜11%,アセチル基含量4〜15%,サクシノイル基含量3〜19%であり、信越化学工業(株)よりAQOATとして供給されるAS−LG、AS−LF、AS−MG、AS−MF、AS−HG、AS−HFのグレードのものが特に好ましい。また、本発明において分散剤として使用されるHPMCPの置換度も特に限定されないが、メトキシル基含量16〜27%、ヒドロキシプロポキシル基含量3〜12%、カルボキシベンゾイル基含量19〜37%が好ましく、メトキシル基含量18〜24%、ヒドロキシプロポキシル基含量5〜10%,カルボキシベンゾイル基含量21〜35%がより好ましく、信越化学工業(株)より供給されるHP−50、HP−55、HP−55Sが特に好ましい。また、本発明におけるHPMCP又はHPMCASの配合量としては、難溶性薬物1重量部に対してHPMCP又はHPMCASを0.005〜20重量部であり、好ましくは0.02〜10重量部であり、より好ましくは0.05〜5重量部である。また、本発明に用いられる分散剤としては、HPMCPに比べHPMCASがより好ましい。
更に、本発明においてHPMCP及び/又はHPMCASとともに使用される分散剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロースなどの水溶性セルロース、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル酸共重合体、メタアクリル酸コポリマー、アミノアルキルメタアクリレートコーポリマー、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルファー化デンプン、還元麦芽糖水あめ、カゼインナトリウム、デキストリン、トラガント末、プルラン、プロピルグリコール、ペクチン、ポリアクリル酸ナトリウム、レシチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、水アメ、ポリビニルピロリドン、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、プルロニックF68、プルロニックF108、ポリソルベート80、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、スルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどの界面活性剤から選ばれた1種又は2種以上の物質が挙げられる。
本発明の微小粒子において、難溶性薬物の表面に分散剤が吸着した状態とは、HPMCP又はHPMCASなどの分散剤が、薬物表面に化学的に結合している化学吸着した状態のみならず、物理吸着した状態をも指す。
本発明の微小粒子は、平均粒子径が1nm〜1000nmの粒子状の組成物であればよく、より好ましくは平均粒子径が1〜750nmであり、更に好ましくは1〜500nmであり、特に好ましくは1〜300nmである。当該平均粒子径は、体積基準メディアン径を意味するが、当該技術分野で周知の通常の粒子サイズ測定法、例えば、レーザー散乱法粒子径測定法、沈降フィールド・フロー・フラクショネーション、光子相関分光法(photon correlation spectroscopy) またはディスク遠心分離のような常用されている粒子サイズ測定法によって測定できるが、好ましくはレーザー散乱法粒子径測定器HORIBA LA-920(堀場製作所製)によって平均粒子径を測定できる。
また、本発明の微小粒子の特徴として、分散性の改善されたことが挙げられるが、具体的には、本発明微小粒子を含むサスペンションがその調製後6ヶ月以上裸眼観察で凝集沈殿を示さず、好ましくは本発明微小粒子を含むサスペンションの平均粒子径がその調製後に増大することなく、3ヵ月以上に渡って2倍以上にはならない特徴を有する。
本発明の糖及び糖アルコールとしては、乳糖、果糖、ショ糖、ブドウ糖、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、トレハロース、無水乳糖、ソルビトール、マルチトール、アラビノース、キシロース,フルクトース、ガラクトース、マンノース、ラクチトール、キシロース、マルトース、ショ糖、マルトトリオース、パノース、ラクトスクロース、テアンダロース、及び還元乳糖などが挙げられ、本発明では、これらの1種又は2種以上の物質を配合することができる。また、糖及び糖アルコールの配合量は薬物量1重量部に対して0.01〜4000重量部が好ましく、0.01〜400重量部がより好ましく、0.02〜200重量部が特に好ましく、0.05〜200重量部が最も好ましい。
本発明におけるHPMCAS及び/又はHPMCPとそれらの溶解剤とは、HPMCAS及び/又はHPMCPの溶解を促進する物質を意味するが、本発明の微小粒子の分散性を低下させる程度に難溶性薬物の溶解を促進するような物質は含まれない。本発明の微小粒子の製造中において難溶性薬物自体の溶解を促進すると、HPMCAS及び/又はHPMCPのような分散剤が存在しても、本発明の微小粒子が凝集を起こし、分散性を有し所望の平均粒子径をもつ微小粒子が得られないためである。また、本発明の微小粒子を製造するためには、溶解性が低いとされるHPMCAS又はHPMCPを溶解して分散することが必須であるが、必ずしも澄明に溶解しなくても、固体状のものが認められないのであれば、白濁状態であってもよい。HPMCAS又はHPMCPの溶解剤としては、アルカリ性物質又は水中でアルカリ金属イオンあるいはアルカリ土類金属イオンを電離する物質であれば良いが、具体的にはクエン酸ナトリウム,クエン酸カルシウム、クエン酸塩、酒石酸ナトリウム、乳酸ナトリウムなどの有機酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、リン酸塩、酸化マグネシウム、アンモニア水、L-アルギニン、アルギン酸ナトリウムが挙げれ、本発明においてこれらの物質群から1種又は2種以上のものを配合することが出来る。また、HPMCAS又はHPMCPの溶解剤はアルカリ性電解質のみならず、HPMCP又はHPMCASを溶解あるいは白濁状態に分散できる電解質であれば必ずしもアルカリ性でなくてもよく、中性付近のpHを示すものでもよく、HPMCAS又はHPMCPを溶解後のpHが4以上であれば特に好ましい。更にエタノールなどの水溶性有機溶媒、あるいは電解質と水溶性有機溶媒の混合物を用いてもよい。但し、一般にエタノールなどの有機溶媒は難溶性薬物を溶解させる傾向があることから、サスペンション中での溶解薬物濃度が高くなり、薬物粒子表面での溶解と析出の平衡過程において、溶解速度と析出速度が大きくなる傾向がある。そのため、溶解薬物が再析出する過程で粒子同士の凝集が促進され、所望の粒子径をもつ本発明の微小粒子が得られなくなる可能性がある。従って、本発明において用いられうる水溶性有機溶媒、あるいは電解質と水溶性有機溶媒の混合物の配合量としては、本発明微小粒子の効果を妨げない程度に水溶性有機溶媒を用いることが好ましい。
なお、本発明の微小粒子には、各種医薬添加剤が適宜使用され、製剤化することが出来る。かかる医薬添加剤としては、製薬的に許容される添加剤であれば特に制限されない。例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、酸味料、発泡剤、人工甘味料、香料、滑沢剤、着色剤などが使用される。賦形剤としては、例えば乳糖、結晶セルロース、微結晶セルロース、D-ソルビトール、D-マンニトールなどが挙げられる。結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、アラビアゴムなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えばトウモロコシデンプン、バレイショデンプン、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンなどが挙げられる。酸味料としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。発泡剤としては、例えば重曹などが挙げられる。人工甘味料としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。香料としては、例えばレモン、レモンライム、オレンジ、メントールなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸などが挙げられる。着色剤としては、例えば黄色三二酸化鉄、赤色三二酸化鉄、酸化チタン、食用黄色4号、5号、食用赤色3号、102号、食用青色3号などを使用することができる。医薬添加剤としては、1種または2種以上組合せて適宜適量添加することができる。
本発明において湿式粉砕法とは、懸濁液中の薬物を機械的手段あるいは物理現象の活用により薬物の粒子サイズを低減する方法のことを意味する。具体的には、ビーズミルやサンドミルに代表されるメディアミル、高圧乳化機及び回転ディスクミルを用いた湿式粉砕法をいい、好ましくはビーズミルを用いた湿式粉砕法である。また、本発明微小粒子の製造法としては、(1)HPMCAS及び/又はHPMCPとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒中に、難溶性薬物を分散後、得られた混合物を更に湿式粉砕法により難溶性薬物の平均粒子径を小さくすることを特徴とする製造法、(2)HPMCAS及び/又はHPMCPとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒中に、難溶性薬物が溶解した有機溶媒溶液を添加して、難溶性薬物の微小粒子を析出させることを特徴とする製造法、(3)難溶性薬物を分散剤の存在下で湿式粉砕して得られた粉砕物に、HPMCAS及び/又はHPMCPとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒を添加することを特徴とする製造法などが挙げられるが、好ましくは上記(1)の製造法である。
更に本発明においては、腸溶性基材はビーズミル、高圧乳化機あるいは回転ディスクミルでの難溶性薬物の粉砕において、生産性や凝集防止の観点から優れた効果を有するが、湿式粉砕法における分散剤としてのみならず、晶析法における分散剤としても有効である。
本発明の微小粒子の製造法を以下に詳述する。
まず、湿式粉砕法による製造法について説明すると、HPMCAS及び/又はHPMCPとこれを溶解するためのクエン酸ナトリウムなどの溶解剤を精製水に添加して攪拌し、HPMCAS及び/又はHPMCPを溶解する。溶液はそのpHによって澄明になることもあれば、白濁状態になる場合があるが、腸溶性基材が明確に固体状態として残留していなければ問題はない。次に、この溶液に難溶性薬物を投入するが、この平均粒子径は500μm以下が好ましいが、より好ましくは100μm以下であり、20μm以下であれば特に好ましい。また、粉砕前薬物の平均粒子径が500μmを超える場合はピンミルなどの乾式粉砕法で事前に粉砕して粒子径を小さくして使用するのが好ましい。サスペンション中での難溶性薬物の濃度は高いほうが粉砕され易い傾向があるが、粘性が著しく大きくなるため、添加量は30%( w/Vol)程度がほぼ限界であり、1〜25%(w/vol)に
するのが好ましく、3〜15%にするのが特に好ましい。このようにして得られた混合物スラリーを一晩放置して脱気後に、ビーズミル、高圧乳化機あるいは回転ディスクミルなどの湿式粉砕機に投入して目標とする粒子径の微小粒子が得られるまで機械を稼動する。また必ずしも、脱気は必要ではないが、脱気により粉砕効率は改善する。また、この混合物スラリーのハンドリングを改善したり品質を向上させるために、消泡剤や界面活性剤、あるいは防腐剤を添加して粉砕してもよい。
特に、ビーズミルで粉砕する場合は、各種材質のビーズが入手可能であるが、ポリスチレンやウレタンなどのプラスチック、あるいはジルコニアなどの無機材質のものが、一般的に使用されている。ビーズは密度が高いほど粉砕効率が高いが、選択にあたっては、ビーズの磨耗によるコンタミネーションの可能性や粉砕に要する時間を考慮して選択する。コンテナ内に投入するビーズの粒子径は通常0.05mmφ〜3mmφのものが好ましく0.1〜0.5mmφのものがより好ましい。投入量はコンテナへの充填率として、50〜90%程度が好ましく70〜85%程度がより好ましい。ビーズをコンテナ中で高速に回転させるために、ローター(アジテーターディスク)を回転させるが、その回転速度はローターの周速で5〜12 m/secが好ましく7〜11m/secがより好ましい。また、コンテナを冷却水で冷却すると粉砕効率が改善する。
また、高圧乳化機による粉砕メカニズムは、ビーズミルのようなビーズによる磨り潰しのメカニズではなく、高圧で狭いスリットや孔などに流体を流す場合に発生するキャビテーションによる力や、スリット近辺でのせん断力によって粉砕するのであるが、これらの孔やスリットに難溶性薬物、腸溶性基材とその溶解剤の混合物流体を何度も通過させることによって粉砕していくものであり、通常はこれら流体を数回から数十回通過させることにより、目標とする微小粒子が得られる。
さらに、湿式粉砕法では、回転ディスクミルを用いることも可能である。回転ディスクミルとは、上下ディスクの狭い間隙に被粉砕物を含む流体を通過させることにより、せん断力を与えて粉砕する装置であるが、流体が通過する間隙は必ずしも円形ディスク状である必要はなく、円錐状の場合もあり、コロイドミルやCLEAR SS5(MTECHNIQUE, 日本)などがその代表的な機種として挙げられ、それらの改良型を使用しても良い。回転ディスクミルでは、難溶性薬物とヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとこれを溶解するためのクエン酸ナトリウムなどの溶解剤を含有する流体を回転ディスクあるいはローターの中心部から送液するが、難溶性薬物はディスクあるいはローターの回転により発生するせん断力により微粉砕されながら円周部に移動して排出される。流体に与えるせん断力はディスクやローター部の間隙が狭いほど、また回転数が大きいほど大きくなり、難溶性薬物を微細に粉砕することができる。
なお、別法として、難溶性薬物をPVPやHPMCなどの分散剤を用いて湿式粉砕し、得られたサスペンションに、溶解剤で溶解したヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを添加して吸着させてもよい。
また、本発明の微小粒子の製造法としては上記のような湿式粉砕法によるだけではなく、晶析法によっても製造することもできる。
この晶析法では、上記湿式粉砕法での製造と同様にして、HPMCAS及び/又はHPMCPとこれを溶解するためのクエン酸ナトリウムなどの溶解剤を精製水に添加して攪拌し、HPMCAS及び/又はHPMCPを溶解した溶液(1)を用意する。溶液(1)はそのpHによって澄明になることもあれば、白濁状態になる場合があるが、HPMCAS及び/又はHPMCPが明確に固体状態として残留していなければ問題はない。この液は、場合により燐酸塩やアルカリでpH調整される。また、塩化ベンザルコニウムのような防腐剤が添加される場合もある。一方、溶液(2)として、難溶性薬物をエタノールなどの有機溶媒に溶解した溶液を用意する。この溶液(2)には、本発明においてHPMCP及び/又はHPMCASとともに使用される分散剤である、上述の界面活性剤を添加することが好ましい。次に、溶液(1)を攪拌しながら、難溶性薬物をエタノールなどの有機溶媒に溶解した溶液(2)を徐々に滴下することにより、滴下と同時に白濁して、難溶性薬物の微小粒子が析出する。難溶性薬物を溶解する有機溶媒はアセトンやエタノール、メタノール、イソプロパノールなど水に溶解するものであれば良く、一般的には使用する有機溶媒量が少なくてすむように、難溶性薬物を高濃度に溶解するのが好ましい。得られる微小粒子の粒子径は貧溶媒相の攪拌条件や温度などに依存するため、適切な条件を設定する。また、得られた微小粒子サスペンションは有機溶媒を含有しているため、サスペンションの溶媒相をフィルターで除去することによって水分散型サスペンションを製造することができる。また、凍結乾燥により有機溶媒を含有した溶媒相を除去することも可能である。また、上記製造法のように、良溶媒に溶解した難溶性薬物を貧溶媒中に滴下するのとは逆に、良溶媒相に貧溶媒相を滴下して難溶性薬物の微小粒子を析出させることも可能である。
上記のように製造された難溶性薬物サスペンション中に所定量の糖あるいは糖アルコールを添加して、それらを溶解あるいは一部溶解させた後、これを乾燥して固形化することにより、再分散性の優れた微小粒子サスペンションの固形化が可能である。乾燥方法としては、通風乾燥や真空乾燥、あるいは商品名ノンパレルとして知られるショ糖の球状顆粒の表面などにスプレーしながら、流動層乾燥することもできる。
本発明は難溶性薬物の微小粒子の吸収性を改善するために経口剤として適用されるのみならず、サスペンションの分散安定性の優れるところを活用して注射剤、懸濁剤、シロップ剤などの液剤や半固形剤にも適用できる。また、本発明微小粒子サスペンションの乾燥物は他の賦形剤と混合して、各種の製剤化処理を行った上、錠剤、散剤、顆粒剤、丸剤、カプセル、サッシェなどの固形剤とする他、これらに腸溶性フィルムをコーティングしてもよい。なお、微小粒子サスペンションの乾燥物を用いる上記固形剤の場合は、再分散性を持たせるためにも糖類及び/又は糖アルコールを配合することが望ましい。
本発明における難溶性薬物の微小粒子は、優れた分散性を有するとともに、粒子径を低減して表面積を大きくすることで溶出性を高めた微小粒子である。すなわち薬物溶解度は低いままであるが、薬物を微小粒子とすることにより表面積を著しく増大させて、これにより消化管中での薬物の実質的な溶解量を増大させる技術である。
化合物Aのビーズミル粉砕における各種分散剤が平均粒子径と粉砕時間に及ぼす影響を示す。 化合物Bのビーズミル粉砕における各種分散剤が平均粒子径と粉砕時間に及ぼす影響を示す。 化合物Cのビーズミル粉砕における各種分散剤が平均粒子径と粉砕時間に及ぼす影響を示す。
本発明を詳細に説明する。以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定解釈されるものではない。
表1の組成に示すように、HPMCP(信越化学製HP-55S)1gをクエン酸ナトリウム2水和物の水溶液に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液でpH6.3に調整した後、この液に塩基性難溶薬物である2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−[[6−(トリフルオロメチル)−4−ピリミジニル]オキシ]−1−ピペリジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド(以下、化合物Aと略す) 5gを分散し、スラリー状混合物100gを得た。その後、DYNO MILL MULTI LABバッチ式(WAB社製、スイス)に、0.3mmφジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製)を充填密度が80%になるように充填して、このスラリー状混合物100gをローター回転速度9m/secで所定時間湿式粉砕し、実施例1の微小粒子を得た。
表1の組成に示すように、HPMCP 1gの代わりにHPMCAS(信越化学製AQOAT AS-LG)1gを用いた以外は、実施例1と同様の方法で実施例2の微小粒子を得た。
[比較例1]
表1の組成に示すように、HPMCP 1gの代わりにPVP(BASF製PVP K15)1gを用い、クエン酸ナトリウム2水和物を添加せず水酸化ナトリウムでpH調整しなかった以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の微小粒子を得た。
[比較例2]
表1の組成に示すように、HPMCP 1gの代わりにPVP(BASF製PVP K15)5gを用い、クエン酸ナトリウム2水和物を添加せず水酸化ナトリウムでpH調整しなかった以外は、実施例1と同様の方法で比較例2の微小粒子を得た。
[比較例3]
表1の組成に示すように、HPMCP 1gの代わりにHPMC(信越化学製のTC-5R)1gを用い、クエン酸ナトリウム2水和物を添加せず水酸化ナトリウムでpH調整しなかった以外は、実施例1と同様の方法で比較例3の微小粒子を得た。
[比較例4]
表1の組成に示すように、HPMCP 1gの代わりにHPMC(信越化学製のTC-5R)2.5gを用い、クエン酸ナトリウム2水和物を添加せず水酸化ナトリウムでpH調整しなかった以外は、実施例1と同様の方法で比較例4の微小粒子を得た。
<試験例1:塩基性難溶薬物化合物Aにおける粉砕時間と平均粒子径の関係>
所定時間湿式粉砕して得られた実施例1〜2及び比較例3〜4のサスペンション微小粒子の平均粒子径を、レーザー散乱法粒子径測定器HORIBA LA−920(堀場製作所製)によって測定し、粉砕時間と平均粒子径の関係を図1に示した。PVP配合処方の比較例1及び2では粉砕しても10μm以下の一次粒子のサスペンションは得られなかった。また、HPMC配合処方の比較例4は2時間の粉砕での平均粒子径は377.3nmであったが、HPMCAS又はHPMCP配合処方の実施例1及び2では150nm程度にまで到達し、本発明のHPMCASやHPMCPを使用すると粉砕時間が格段に短縮され、且つ粉砕後の到達粒子径も小さくなることが判った。特に、このような粉砕時間の短縮は、実生産スケールの生産効率や製造管理において非常に有用であると言える。なお、本発明で使用されるHPMCASやHPMCPは、難溶性薬物を短時間で小さく粉砕するのに有効なだけではなく、後述する経時的な分散性の改善にも影響を与えているものと考えられる。
Figure 2007029660
表2に示すように、塩基性難溶薬物化合物A 5g に代えて塩基性難溶薬物である(2E)-3-[4-(1H-benzimidazol-2-ylmethyl)phenyl]-N-hydroxyacrylamide(以下、化合物Bと略す) 5gを使用した以外は、実施例2と同様にして実施例3の微小粒子を得た。
[比較例5]
表2に示すように、塩基性難溶薬物化合物A 5g に代えて塩基性難溶薬物化合物B 5gを使用した以外は、比較例1と同様にして比較例5の微小粒子を得た。
<試験例2:塩基性難溶薬物化合物Bにおける粉砕時間と平均粒子径の関係>
所定時間湿式粉砕して得られた実施例3及び比較例5のサスペンション微小粒子の平均粒子径を、レーザー散乱法粒子径測定器HORIBA LA-920によって測定し、粉砕時間と平均粒子径の関係を図2に示した。PVP配合処方の比較例5は、2時間粉砕しても平均粒子径200nm以下の微小粒子のサスペンションは得られなかったが、HPMCAS配合処方である実施例3(AQOAT AS-LG)の場合は1時間で200nm以下の微小粒子のサスペンションは得られ、2時間で106.5nmに到達した。
表2に示すように、塩基性難溶薬物化合物A 5g に代えて難溶薬物である3-methoxy-1.5-bis(4-methoxyphenyl)-1H-1,2,4-triazole(以下、化合物Cと略す) 5gを使用した以外は、実施例2と同様にして実施例4の微小粒子を得た。
[比較例6]
表2に示すように、塩基性難溶薬物化合物A 5g に代えて難溶薬物化合物C 5gを使用した以外は、比較例1と同様にして比較例6の微小粒子を得た。
[比較例7]
表2に示すように、塩基性難溶薬物化合物A 5g に代えて難溶薬物化合物C 5gを使用した以外は、比較例3と同様にして比較例7の微小粒子を得た。
Figure 2007029660
<試験例3:難溶薬物化合物Cにおける粉砕時間と平均粒子径の関係>
所定時間湿式粉砕して得られた実施例4及び比較例6〜7のサスペンション微小粒子の平均粒子径を、レーザー散乱法粒子径測定器HORIBA LA-920よって測定し、粉砕時間と平均粒子径の関係を図3に示した。PVP配合処方である比較例6では、粉砕しても400nm以下の微小粒子のサスペンションは得られなかった。また、HPMC配合処方の比較例7は、2時間の粉砕での平均粒子径が343nmであったのに対して、HPMCAS配合処方の実施例4は平均粒子径120.4nmに到達した。
<試験例4:サスペンジョンの日局溶出試験液の第2液への希釈安定性>
レーザー散乱法粒子径測定器HORIBA LA-920(堀場製作所製)の測定セルに日局溶出試験液の第2液(pH6.8)11mlを入れ、ブランク散乱光を記憶させた後、730倍希釈となるように実施例1、実施例2及び比較例4で製造したサスペンションをエッペンドルフピペットにより添加し、経時的に粒子径を測定した。表3に各サスペンションの平均粒子径を示したが、HPMC配合処方である比較例4は平均粒子径377.3nmであったが、日局溶出試験液の第2液で希釈すると、60分後には12549.
7nmに凝集した。一方、HPMCASやHPMCPを配合した実施例1及び2では粒子径は殆ど変化しなかった。
HPMCASやHPMCPを配合した実施例1及び2では、粒子径の小さい薬物粒子を短時間で得られるだけでなく、経時的な分散安定性にも優れていることが分かった。
Figure 2007029660
<試験例5:微小粒子サスペンション乾燥物の再分散性>
実施例1で製造した微小粒子サスペンション2gに乳糖50mgを添加して溶解後、テフロン(登録商標)シート製のトレイに入れて40℃で通風乾燥した。この乾燥物を粉砕後、500μmの篩で篩過したものを微小粒子サスペンションの乾燥物試料とした。また、乳糖を添加しない乾燥物試料も調製した。これらの試料10mgを試験管に取り、精製水あるいは第2液0.5mLを添加して、ラボミキサーを用いて再分散し、平均粒子径を測定した。結果を表4に示すが、乳糖を添加した微小粒子サスペンションの乾燥物は、非常に優れた再分散性を示した。
Figure 2007029660
HPMCAS(信越化学製AQOAT AS-LG)1gをクエン酸ナトリウム2水和物の水溶液に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液でpH6.3に調整した後、この液に塩基性難溶薬物である化合物A 5g及びラウリル硫酸ナトリウム0.02gを分散し、スラリー状混合物100gを得た。その後、DYNO MILL MULTI LABバッチ式(WAB社製、スイス)に、0.3mmφジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製)を充填密度が80%になるように充填して、このスラリー状混合物100gをローター回転速度9m/secで2時間湿式粉砕し、平均粒子径131nmの微小粒子を得た。
表5に示すように、HPMCAS(信越化学製 AQOAT AS-LG)をクエン酸ナトリウム2水和物水溶液で溶解後、水酸化ナトリウムでpHを6.3に調整した溶液1をホモジナイザを用いて6000回転で攪拌させた所に、塩基性難溶薬物である化合物Aおよびラウリル硫酸ナトリウムをエタノールで溶解した溶液2を添加し、平均粒子計356.4nmの微小粒子を析出させることができた。
Figure 2007029660
[サスペンジョン1の調製]
表6に示すようにHPMC3gを水で溶解した液に塩基性難溶薬物である化合物A 15g及びラウリル硫酸ナトリウム0.15gを分散し、スラリー状混合物100gを得た。その後、DYNO MILL MULTI LABバッチ式(WAB社製、スイス)に、0.3mmφジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製)を充填密度が80%になるように充填して、このスラリー状混合物100gをローター回転速度9m/secで2時間湿式粉砕し、平均粒子径154nmの微小粒子(サスペンジョン1)を得た。
Figure 2007029660
20gのサスペンジョン1に対して、表7の処方となるように、クエン酸ナトリウム2水和物水溶液で溶解し水酸化ナトリウムでpHを6.3に調整したHPMCP(信越化学製HP-55S)を加えて、実施例7を得た。
表7の処方に示すように、HPMCP 0.6gの代わりにHPMCAS(信越化学製AQOAT AS-LG)0.6gを用いた以外は、実施例7と同様の方法で実施例8を得た。
[比較例8]
表7の処方に示すように、HPMCP 0.6gの代わりにHPMC0.6gを用い、クエン酸ナトリウム2水和物を添加せず水酸化ナトリウムでpH調整しなかった以外は、実施例7と同様の方法で比較例8を得た。
Figure 2007029660
<試験例6:HPMCP又はHPMCASを添加したサスペンジョン1の日局溶出試験液の第2液への希釈安定性>
実施例7、実施例8及び比較例8のサスペンション0.1mLに、日局溶出試験液の第2液(pH6.8)100mLを入れて1000倍に希釈し,経時的に粒子径を測定した。
表8に各サスペンションの平均粒子径を示したが,HPMC単独配合処方である比較例8では,日局溶出試験液の第2液で希釈すると、60分後には3034.2nmに凝集した。一方,HPMCPやHPMCASを後で配合した実施例7および実施例8では,日局溶出試験液の第2液で希釈直後から粒子径の変化は殆どなかった。
日局溶出試験液の第2液で希釈することにより凝集しやすいHPMC処方のサスペンションも、後からアルカリで溶解したHPMCPまたはHPMCASを加えることにより経時的な分散安定性が向上することが分かった。
Figure 2007029660
本発明は、特定の腸溶性基剤が難溶性薬物の表面に吸着した難溶性薬物の微小粒子及び更に糖類を含有する微小粒子、並びにそれらの製造法に関する。本発明を用いることにより、人体等において吸収不良性の難溶性薬物の吸収を改善できる微小粒子を効率よく短時間で安全に生産することができるとともに、分散安定性の優れた製剤を提供できる。

Claims (10)

  1. 難溶性薬物の表面に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが吸着した平均粒子径が1nm〜1000nmの難溶性薬物の微小粒子。
  2. 難溶性薬物1重量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを0.005〜20重量部の割合で含む請求項1に記載の微小粒子。
  3. 更に、糖及び/又は糖アルコールを難溶性薬物1重量部に対して0.01〜4000重量部含有してなる請求項1乃至2のいずれか1項に記載の微小粒子。
  4. 糖及び/又は糖アルコールが、乳糖、果糖、ショ糖、ブドウ糖、オリゴ糖、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、マルトース、キシリトール、エリスリトール、還元麦芽糖水アメ、トレハロース、無水乳糖、及びキシロースからなる群より選択された1種又は2種以上の物質である請求項3に記載の微小粒子。
  5. 下記(1)乃至(3)より選択された製造法で得られうる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の微小粒子;
    (1)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒中に、難溶性薬物を分散後、得られた混合物を更に湿式粉砕法により難溶性薬物の平均粒子径を小さくすることを特徴とする製造法、
    (2)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒中に、難溶性薬物が溶解した有機溶媒溶液を添加して、難溶性薬物の微小粒子を析出させることを特徴とする製造法、
    (3)難溶性薬物を分散剤の存在下で湿式粉砕して得られた粉砕物に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒を添加することを特徴とする製造法。
  6. ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの溶解剤が、アルカリ性物質又は水中でアルカリ金属イオンあるいはアルカリ土類金属イオンを電離する物質である請求項5項に記載の微小粒子。
  7. アルカリ性物質又は水中でアルカリ金属イオンあるいはアルカリ土類金属イオンを電離する物質が、クエン酸ナトリウム,クエン酸カルシウム、クエン酸塩、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、リン酸塩、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、L-アルギニン、アンモニア水、及びアルギン酸Naからなる群より選択された1種又は2種以上の物質である請求項5及び6項に記載の微小粒子。
  8. ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートをそれらの溶解剤の水又は水溶性有機溶媒と水の混液に溶解又は懸濁させた後、その中に難溶性薬物を分散させ、得られた混合物を更に湿式粉砕法により難溶性薬物の平均粒子径を小さくすることを特徴とする、難溶性薬物の表面にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが吸着した平均粒子径の1nm〜1000nmである難溶性薬物の微小粒子の製造法。
  9. ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒中に、難溶性薬物が溶解した有機溶媒溶液を添加して、難溶性薬物の微小粒子を析出させることを特徴とする、難溶性薬物の表面にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが吸着した平均粒子径の1nm〜1000nmである難溶性薬物の微小粒子の製造法。
  10. 難溶性薬物を分散剤の存在下で湿式粉砕して得られた粉砕物に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとそれらの溶解剤が溶解又は懸濁した溶媒を添加することを特徴とする、難溶性薬物の表面にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが吸着した平均粒子径の1nm〜1000nmである難溶性薬物の微小粒子の製造法。
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