JPWO2007026598A1 - 医用画像処理装置 - Google Patents

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Abstract

頭部画像から精度良く病変部を検出する。また、特定の血管部位に注目して観察することを可能とする。医用画像処理装置10では、頭部を撮影したMRA画像から脳血管領域が抽出される。そして、脳血管領域が抽出された画像を用いてGCフィルタバンクにより1次検出が行われる。GCフィルタバンクでは分析バンクにおいて多重解像度解析が行われ、解像度レベル毎に部分画像からベクトル集中度が算出される。次に、ベクトル集中度が閾値を超えるボクセルを1、閾値以下のボクセルを0とする重み画像が作成される。次いで、再構成バンクにおいて各部分画像に重み画像が乗算されて重み付け処理が行われると、当該重み付け処理された部分画像を用いて元の画像の再構成が行われる。この再構成画像に再現されたについて大きさ(体積)、球形度、ベクトル集中度の平均が算出されてルールベース法により2次検出が行われる。この2次検出候補について判別分析により3次検出が行われ、その検出結果が表示部13に表示出力される。

Description

本発明は、患者の頭部を撮影して得られた頭部画像の画像解析、画像処理を行う医用画像処理装置及び画像処理方法に関する。
近年、磁気共鳴撮影装置(以下、MRI;Magnetic Resonance Imagingという)の普及と高性能化に伴い、脳ドック検査の件数が急速に増加してきている。脳ドック検査の目的の一つは、血管において生じる未破裂脳動脈瘤を早期に発見し、適切な処置や治療を行うことによって、脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血等、重篤な疾患の発病を防止することにある。
医師による未破裂脳動脈瘤の検出は、MRIで血管内の血液の流れを画像化したMRA画像(Magnetic Resonance Angiography)を用いて行われる。通常、医師による読影時には3次元画像データを様々な角度からMIP処理(Maximum Intensity Projection;最大値輝度投影法)によって2次元化した画像が用いられるが、血管に生じる未破裂脳動脈瘤は小さいため、重なって表示される周囲の血管像との識別が必要となり、医師の疲労が激しい。また、この疲労による見落としの可能性も考えられる。
従来から、このような医師の診断支援を行うため、画像処理によって病変部分の画像領域を検出する装置が開発されている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2参照)。この装置は、一般にCAD(Computer-Aided Diagnosis)と呼ばれている。
一方、読影時にMIPによる画像を医用画像処理装置において生成し、表示するとき、視線方向によっては複数の血管が重複して表示される場合がある。この場合、小さな未破裂動脈瘤を検出するには、医師が注目したい血管像と周囲の血管像との識別が必要なために、多くの読影時間を必要とし、医師の疲労も激しい。疲労によって本来検出すべき未破裂動脈瘤を見落とす可能性がある。
動脈瘤が多発する血管部位は、中大脳動脈分岐部、前交通動脈、内頸動脈後交通動脈分岐部等であることが知られている。従って、これらの多発部位を詳しく観察するには、医師が関心のある血管部位の血管像のみに注目したターゲットMIP画像を生成すればよい。
また、複数の血管部位が交差する領域においては、視線方向に沿った深さ情報を用いて当該深さ情報が大きい方の血管像、つまり視線方向において後方側にある血管部位の交差部分の輝度を低下させて表示する技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば、血管像に遠近感をもたせることができ、手前側の血管部位を観察しやすくなる。
特開2002−112986号公報 特開平5−277091号公報 林則夫他、モルフォルジー処理を利用した頭部MRI画像における小脳および脳患部の自動抽出法、医用画像情報学会雑誌、vol21.no1.pp109-115,2004 横山龍二郎他、脳MR画像におけるラクナ梗塞領域の自動検出、日本放射線技術学会雑誌、58(3),399-405,2002
しかしながら、未破裂脳動脈瘤を血管組織と識別して精度良く検出するような手法はいまだ提案されていない。
また、従来の医用画像処理装置では、血管像中の各血管部位を自動判別することができないため、上記のターゲットMIP画像を自動で作成するためには、3次元の画像データから関心のある血管部位の血管像のみを手動で指定する操作が必要となる。このような操作は容易ではなく、作成に時間を要する。
また、上記特許文献2に記載の方法は観察者に近い側の血管部位を観察しやすくするものである。従って、医師が観察したい視線方向に応じて作成されたMIP画像において、医師の関心がある血管部位の手前側に別の血管部位が交差している場合はそれを除去することができず、所望の観察方向から所望の血管部位を詳細に観察できるとは限らない。
本発明の課題は、頭部画像から精度良く病変部を検出することである。また、特定の血管部位に注目して観察することを可能とすることである。
請求の範囲第1項に記載の発明は、医用画像処理装置において、
頭部画像を多重解像度解析し、解像度レベル毎に分解した部分画像を用いて、解像度レベル毎にベクトル集中度を算出する分析手段と、
前記部分画像から元の頭部画像を再構成するにあたり、前記算出されたベクトル集中度が所定値となる病変部の候補領域でのみ元の画像を再現する再構成手段と、
前記再構成された頭部画像を用いて、当該頭部画像に再現された病変部の候補領域のうち、正常な血管である偽陽性候補領域を削除する削除手段と、
を備えることを特徴とする。
請求の範囲第8項に記載の発明は、請求の範囲第1項に記載の医用画像処理装置において、
前記頭部画像から血管像を抽出する抽出手段と、
前記抽出された血管像に含まれる一又は複数の血管部位を判別し、当該判別された血管部位に関する血管部位情報を前記頭部画像に付帯させる画像制御手段と、
を備えることを特徴とする。
請求の範囲第1項〜第4項、第14項〜第17項に記載の発明によれば、頭部画像に対して多重解像度解析を行って得られた部分画像によって解像度レベル毎にベクトル集中度を算出する。解像度レベル毎にベクトル集中度を算出することにより、様々な大きさの動脈瘤の検出に対応することができ、より精度の高い検出処理が可能となる。また、瘤等の病変部はある一定の高い値のベクトル集中度を呈するが、本発明によればこのような病変部である可能性が高い領域のみ再現されるよう再構成を行うので、病変部の候補領域のみ画像化した再構成画像を得ることができる。再構成画像を用いて特徴量の算出を行うことにより、算出する特徴量から候補領域以外の画像要素を排除することができ、候補領域についての特徴量を正確に算出することが可能となる。従って、検出処理自体の精度をさらに向上させることが可能となる。
請求の範囲第5項〜第7項、第18項〜第20項に記載の発明によれば、実質的にベクトル集中度を算出する領域を、瘤の病変部が存在する血管領域に絞ることができ、演算時間の短縮化を図ることが可能となる。
請求の範囲第8項、第21項に記載の発明によれば、対象画像に付帯された血管部位情報を参照することにより、対象画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位を容易に判別することが可能となる。血管部位を判別できれば、例えば対象画像を表示する際にそれぞれの血管部位を識別表示する等、対象画像を利用する際に対象画像に含まれる各血管部位を特定し、その情報を医師に提供することが可能となる。従って、医師は特定の血管部位に注目して対象画像を観察することが可能となり、読影効率の向上を図ることができる。
請求の範囲第9項、第22項に記載の発明によれば、対象画像に付帯された血管部位情報を参照することにより、対象画像の血管像に含まれる各血管部位の位置及び名称の判別が容易となる。血管部位の位置及び名称を判別することにより、対象画像を利用する際に対象画像に含まれる各血管部位の位置及び名称を特定し、その情報を医師に提供することが可能となる。従って、医師は対象画像における特定の血管部位の位置及び名称を容易に把握することが可能となる。
請求の範囲第10項、第23項に記載の発明によれば、対象画像は被写体(患者)によってその血管像の形態に個体差が生ずるが、アフィン変換によってそれら血管像が略一致するように位置合わせすることにより、参照画像と対象画像の血管像を精度よく対応させることが可能となる。よって、被写体の個体差に拘わらず血管部位を判別することができ、汎用性が高い。
請求の範囲第11項、第24項に記載の発明によれば、医師は対象画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位のそれぞれを容易に識別することができる。
請求の範囲第12項、第25項に記載の発明によれば、医師は対象画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位のそれぞれの名称を容易に把握することができる。
請求の範囲第13項、第26項に記載の発明によれば、医師が観察したい特定の血管部位の血管像のみを対象画像から抽出して観察することが可能となる。血管像は複数の血管部位が重なって表示されることがあるため、その重複部分の観察がしづらくなる。よって、医師により選択された特定の血管部位のみを表示することにより、血管部位の重複を解消することができ、医師が読影しやすい環境を提供することができる。
実施の形態に係る医用画像処理装置の内部構成を示す図である。 医用画像処理装置により実行される検出処理の流れを説明するフローチャートである。 MRA画像例を示す図である。 血管領域を抽出した抽出画像例を示す図である。 ベクトル集中度フィルタを示す図である。 脳動脈瘤モデル、血管領域モデルを示す図である。 ベクトル集中度フィルタの出力画像例を示す図である。 閾値処理前のフィルタ処理画像を示す図である。 閾値処理後のフィルタ処理画像を示す図である。 球形度の算出方法を説明する図である。 ルールベース法による識別方法について説明する図である。 ルールベース法による識別方法について説明する図である。 脳動脈瘤候補の検出結果の出力例を示す図である。 医用画像処理装置により実行される血管部位判別処理を説明するフローチャートである。 参照画像例を示す図である。 参照画像の作成に用いた元画像を示す図である。 対象画像及び正規化処理を施す前後における対象画像のヒストグラムを示す図である。 図13Aとは異なる被写体の対象画像及び正規化処理を施す前後における対象画像のヒストグラムを示す図である。 対象画像を示す図である。 図14Aの対象画像から血管を抽出した血管抽出画像を示す図である。 血管抽出画像と参照画像を示す図である。 図15Aに示す血管抽出画像と参照画像とを重ね合わせた図である。 参照画像におけるランドマークを示す図である。 血管抽出画像における対応点を示す図である。 血管抽出画像とその血管部位の判別結果を示す図である。 血管抽出画像とその血管部位の判別結果を示す図である。 対象画像において判別された各血管部位の識別表示例を示す図である。 第2実施形態に係る検出処理を示すフローチャートである。 GCフィルタバンクの分析バンクを示す図である。 フィルタバンクA(z)を示す図である。 GCフィルタバンクの再構成バンクを示す図である。 フィルタバンクS(z)を示す図である。
符号の説明
10 医用画像処理装置
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 通信部
15 記憶部
16 病変候補検出部
〈第1実施形態〉
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における医用画像処理装置10の構成を示す。
この医用画像処理装置10は、検査撮影により得られた医用画像を画像解析することにより、当該医用画像から病変部の候補領域を検出するものである。
なお、この医用画像処理装置10を、医用画像を生成する画像生成装置や医用画像を保存・管理するサーバ、医師の読影に付すため、サーバに保存された医用画像を取り寄せて表示手段上に表示する読影端末等、各種装置がネットワークを介して接続された医用画像システムに設けることとしてもよい。また、本実施形態では医用画像処理装置10単体で本発明を実現する例を説明するが、医用画像処理装置10における機能を上記医用画像システムの各構成装置に分散させて医用画像システム全体で本発明を実現することとしてもよい。
以下、医用画像処理装置10の各部について説明する。
医用画像処理装置10は、図1に示すように、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、記憶部15、病変候補検出部16を備えて構成されている。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory
)等を備えて構成されており、記憶部15に格納されている各種制御プログラムを読み出して各種演算を行うとともに、各部12〜16における処理動作を統括的に制御する。
操作部12は、キーボードやマウス等を備え、オペレータによりこれらが操作されると、その操作に応じた操作信号を生成して制御部11に出力する。なお、表示部13におけるディスプレイと一体に構成したタッチパネルを備えることとしてもよい。
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示手段を備え、制御部11からの指示に応じてこの表示手段上に、各種操作画面や、医用画像、医用画像から検出された病変候補の検出結果、その検出情報等の各種表示情報を表示させる。
通信部14は、通信用のインターフェイスを備え、ネットワーク上の外部装置と情報の送受信を行う。例えば、通信部14は画像生成装置から生成された医用画像を受信する、医用画像処理装置10における病変候補の検出情報を読影端末に送信する等の通信動作を行う。
記憶部15は、制御部11において用いられる制御プログラム、病変候補検出部16において用いられる検出処理等の各種処理プログラムの他、各プログラムの実行に必要なパラメータやその処理結果等のデータが記憶されている。
また、記憶部15は、病変候補の検出対象である医用画像やその検出結果の情報等を記憶している。
病変候補検出部16は、記憶部15に記憶されている処理プログラムとの協働により、処理対象画像に必要に応じて各種画像処理(階調変換処理、鮮鋭性調整処理、ダイナミックレンジ圧縮処理等)を施す。また、病変候補検出部16は検出処理を実行し、その検出結果を出力する。検出処理の内容については、後述する。
次に、上記医用画像処理装置10による病変候補の検出処理について説明する。
本実施形態では、MRIにより患者の頭部を撮影し、脳内血管の血流を画像化したMRA画像(3次元画像)から、未破裂の脳動脈瘤の病変候補を検出する例を説明する。脳動脈瘤は、動脈の壁内にできる膨隆(拡張)のことであり、動脈壁に血流による圧力がかかることにより生じるものである。脳動脈瘤の内部では血栓が生じやすく、この脳動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血等の重篤な疾患を発症することとなる。
図2は、検出処理の流れを説明するフローチャートである。この検出処理は、前述したように、病変候補検出部16が記憶部15に記憶される検出処理プログラムを読み込むことにより実行される処理である。
図2に示すように、検出処理ではまずMRAの3次元画像データの入力が行われる(ステップS1)。具体的には、病変候補検出部16により記憶部15に記憶されていた処理対象のMRA画像の読み込みが行われる。
ここで、MRIにより得られる画像について説明する。
MRIは、磁場内における核磁気共鳴(以下、NMR;Nuclear Magnetic Resonance)を利用して画像を得る方法である。
NMRでは、被検体を静磁場中に置き、その後、被検体において検出対象とする原子核の共鳴周波数のRFパルス(電波)を照射する。医用上は、通常、人体に多く存在する水を構成する水素原子の共鳴周波数が用いられる。被検体にRFパルスが照射されると、励起現象が生じ、共鳴周波数に共鳴する原子の原子核スピンの位相がそろうとともに、原子核スピンがRFパルスのエネルギーを吸収する。この励起状態でRFパルスの照射を止めると、緩和現象を生じ、原子核スピンの位相が不均一化するとともに、原子核スピンがエネルギーを放出する。この位相の緩和の時定数がT2、エネルギーの緩和の時定数がT1である。
MRIでは、撮像方法を変えることにより、検査目的に応じた様々な種類の画像を得ることが可能である。例えば、繰り返し時間TR、エコー時間TEについて、TR=T1、TE<<T2と撮影条件を調整したものをT1強調画像、TR>>T1、TE=T2と撮影条件を調整したものをT2強調画像というが、両者は画像のコントラストに差異があり、主にT1強調画像は解剖構造の検出に、T2強調画像は病変部の検出に用いられる。また、FLAIR法により撮影された画像は水からの信号を減衰させたT2強調画像であるが、特にFLAIR画像と呼ばれる。
MRAは、MRIにおける血管撮像方法をいう。MRIでは、被検体の足から頭の方向(この方向を体軸という)に傾斜磁場をかけることにより特定のスライス(断層)にのみエネルギーを吸収させることが可能である。撮像時には、スライス内の血管ではRFパルスで血液が飽和された状態となっているが、血管は常に血液の流れがあるため経時により非飽和の血流が流入するとそのスライスにおける信号強度が増加する。MRAは、この高信号を画像化することにより血流のある血管を画像化する方法である。
図3Aに、MRA画像例を示す。
図3Aに示すように、血流のある血管領域は高信号となるので、MRA画像では血管領域は白く表れている。
このようなMRA画像の3次元データが入力されると、当該3次元画像データに対し、候補を検出する準備段階として前処理が施される(ステップS2)。前処理としては、画像データの正規化処理、階調変換処理が行われる。正規化は、ボクセルを構成する全ての辺が等サイズの3次元画像データとなるように、線形補間法により変換することにより行われる。そして、この等サイズのボクセルに変換された3次元画像データに対し、濃度階調変換処理が施され、各ボクセルの持つ信号値が0〜1024の濃度階調に線形変換される。このとき、高信号値であるほど濃度値1024に近く、低信号値であるほど濃度値0に近くなるように変換される。なお、濃度階調のレンジは、0〜1024に限らず適宜設定可能である。
前処理が終了すると、3次元MRA画像から血管の画像領域が抽出される(ステップS3)。まず、閾値処理が施され、MRA画像の2値化が行われる。一般的に、MRA画像では図3Aに示すように血管領域は白く、その他の領域は黒っぽく表れるため、2値化画像では血管領域はその他の領域と異なる値となる。よって、領域拡張法により血管領域の抽出を行う。まず、2値化画像を用いて始点となるボクセル(最も白く高濃度値のボクセル)を決定し、2値化処理前の3次元MRA画像においてその始点と決定されたボクセルの近傍26ボクセルを調べ、ある判定条件(例えば、濃度値が500以上であること)を満たす近傍ボクセルを血管領域と判断する。そして、この血管領域と判断された近傍ボクセルについても上記と同様の処理を繰り返す。このように、領域を拡張しながら判定条件を満たすボクセルを順次抽出することにより、血管領域を抽出することができる。図3Bに、図3AのMRA画像から抽出した血管領域を白(濃度値1024)、その他の領域を黒(濃度値0)で2値化した図を示す。
次いで、抽出された血管領域の3次元MRA画像に対し、図4に示すようなベクトル集中度フィルタを用いたフィルタ処理が行われ、フィルタ処理により出力された処理画像から脳動脈瘤の1次候補領域の検出が行われる(ステップS4)。ベクトル集中度フィルタは、各ボクセルにおけるベクトル集中度を算出し、当該算出されたベクトル集中度の値をそのボクセルのボクセル値として画像化し出力するものである。ベクトル集中度は、濃度変化の勾配ベクトルの向きに着目し、ある注目点に対して近傍領域の勾配ベクトルがどの程度集中しているかを評価するものである。
図5に、脳動脈瘤モデルと血管モデルを示す。
図5に示すように、脳動脈瘤の場合には線形状の血管上に球状の瘤が存在するため、勾配ベクトル(図中の矢印は、勾配ベクトルの向きを示す)は瘤の中心へ向かう傾向がある。一方、血管は線形状であるためそのような傾向は生じない。そのため、脳動脈瘤モデルの形状に近い領域は他の血管領域に比べてベクトル集中度の値が高い。従って、ベクトル集中度フィルタによりベクトル集中度が高い領域のみを出力することにより、脳動脈瘤の1次候補領域を検出することができる。
具体的には、血管領域の抽出画像上に図4に示すような注目ボクセルPを走査させ、注目ボクセルPを中心とする半径Rの球の範囲内に、抽出された血管領域が存在した場合にベクトル集中度を算出する。
ベクトル集中度は、下記式1により算出される。
ここで、角度θは注目ボクセルPから周辺ボクセルQjまでの方向ベクトルと、周辺ボクセルQjにおけるベクトルの方向との間の角度を示し、Mは演算の対象となった周辺ボクセルQjの個数を示している(図4参照)。
血管領域を構成する各ボクセルについてベクトル集中度が求められると、当該ベクトル集中度をボクセル値とする、図6に示すようなフィルタ処理画像が出力される。ベクトル集中度は0−1の範囲で出力されるので、図6では、ベクトル集中度が大きいほど(1に近いほど)、白く高濃度に表れるように画像化している。
次に、フィルタ処理画像について例えば閾値0.5を用いて2値化する閾値処理が施され、1次候補領域の検出が行われる。すなわち、2値化により閾値0.5より大きいベクトル集中度を有するボクセルからなる領域が1次候補領域として抽出される。図7Aは図6に示すフィルタ処理画像の一部分を示す図である。このフィルタ処理画像を2値化することにより、図7Bに示すような2値化画像が得られる。図7Bに示すように、2値化画像において白く表れている、つまりベクトル集中度が大きい画像領域が1次候補領域として出力される。
なお、2値化するための閾値は、予め脳動脈瘤の存在が判明している教師画像を用いて決定しておく。すなわち、教師画像を2値化することにより、その存在が既に判明している脳動脈瘤の画像領域のみを抽出することができるような閾値が求められる。
また、閾値はp−タイル法等により統計的に解析して得ることとしてもよい。p−タイル法は、濃度ヒストグラムを求め、この濃度ヒストグラムにおいてある一定の面積比率p%を占めるところの濃度値を閾値として求める方法である。本実施形態では、フィルタ処理画像の濃度ヒストグラムを求め、最高濃度値側から面積比率p%を占めるところの濃度値を閾値として決定する。
次いで、2次検出を行うため、1次候補領域の特徴を示す特徴量が算出される(ステップS5)。脳動脈瘤はある一定の大きさを持ち、形状が球状であることから、本実施形態では特徴量として候補領域の大きさ、球形度、領域内の各ボクセルにおけるベクトル集中度の平均値を算出することとする。しかし、脳動脈瘤を特徴付けることができるのであればどのような特徴量を用いるかは特に限定せず、例えば各ボクセルのベクトル集中度の最大値を算出することとしてもよいし、各ボクセルの濃度値の標準偏差等を算出することとしてもよい。
大きさの特徴量としては、候補領域を構成する各ボクセルの体積が算出される。ここでは、処理時間の短縮のため実際の体積ではなく、ボクセルの個数を算出してこれを体積を示す指標値として以後の演算に用いることとする。また、球形度の特徴量は、図8に示すように1次候補領域の体積と同一体積の球を、1次候補領域の重心と球の重心が一致するように配置したときに、この球と一致する1次候補領域部分の体積と1次候補領域の全体積との比率から求める。
特徴量が算出されると、当該特徴量に基づいて2次検出が行われる(ステップS6)。2次検出では、脳動脈瘤と正常組織である血管との識別が行われる。識別はルールベース法を用いた識別器の例を示すが、これに限らず、例えば人工ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシン、判別分析等、識別ができるのであればその手法は問わない。
ルールベース法の識別器では、図9A、図9Bに示すように、まず大きさに対する球形度、大きさに対するベクトル集中度の平均の関係を示すプロファイルが作成される。識別器では予め2次候補として検出する範囲(図9A、図9Bで実線により囲まれた範囲)が決定されており、識別対象の1次候補の各特徴量を変量データとして上記プロファイルを作成した際に、その1次候補の各特徴量の変量データが検出範囲内に存在すれば真陽性候補、存在しなければ偽陽性候補として識別される。すなわち、検出範囲内に特徴量の変量データが分布する1次候補のみが2次検出される。
なお、上記検出範囲は、予め脳動脈瘤、或いは正常な血管であると判明している教師画像を用いて決定される。まず、脳動脈瘤、正常な血管の教師画像からそれぞれ大きさ、球形度、ベクトル集中度の平均が求められ、これら特徴量から大きさに対する球形度、大きさに対するベクトル集中度の平均値の関係のプロファイルが作成される。図9A、図9Bでは、○のマーカで示す変量データが真陽性、つまり脳動脈瘤と判明している教師データであり、●のマーカで示す変量データが偽陽性、つまり血管と判明している教師データである。このとき、脳動脈瘤と正常な血管では画像の特徴が異なるため、大きさ、球形度、ベクトル集中度の平均値の特徴量の分布に偏りが生じる。よって、プロファイルにおいて、全ての脳動脈瘤の教師データが含まれる範囲が最小限となるように、大きさ、球形度、ベクトル集中度の平均値について2つの閾値が決定される。この閾値によって囲まれる領域範囲が検出範囲である。
図9A、図9Bの例では、閾値を示す4本の点線で囲まれた範囲(その範囲を囲む部分のみ実線で示す)が検出範囲であり、「大きさ−球形度」、「大きさ−ベクトル集中度の平均」のそれぞれについて検出範囲が決定されている。そして、何れのプロファイルにおいても検出範囲内に位置する1次候補(その変量データを△のマーカで示す)が脳動脈瘤候補として2次検出される。
このようにして2次検出が行われると、この2次検出候補についてさらに3次検出が行われる(ステップS7)。3次検出では、3つの特徴量を用いて判別分析が行われる。判別分析の手法としては、マハラノビスの距離、主成分分析、線形判別関数等、何れのものも適用可能であるが、2次検出時の手法とは異なるものを適用するものとする。
そして、3次検出された候補領域が最終的な脳動脈瘤候補であるとしてその検出結果が出力される(ステップS8)。
図10に、検出結果として表示部13に表示出力される検出結果例を示す。
図10に示すように、表示部13では、3次元MRA画像から作成されたMIP画像において、3次検出された脳動脈瘤の候補領域を指し示すマーカ情報(図10中の矢印のマーカ)が表示される。このような表示を行うことにより、脳動脈瘤候補領域と他の領域とを識別可能としている。MIP画像は、3次元MRA画像データにMIP処理を施して作成される2次元画像であり、画像中の構造物を3次元的に表示することが可能である。MIP処理は最大輝度投影法と呼ばれ、ある方向から平行光線によって投影を行い、ボクセル中の最大の輝度(信号値)を投影面に反映させて3次元的な観察を可能とする2次元画像を作成する処理である。
なお、脳動脈瘤候補領域について算出されたベクトル集中度の平均値等、脳動脈瘤候補の検出に関する情報を出力し、医師の診断時における参考情報としてもよい。また、ベクトル集中度の程度に応じてマーカ情報の色を変えることとしてもよい。例えば、ベクトル集中度が0.8以上であれば赤、0.7〜0.8であれば黄、0.7〜0.5であれば青等のように矢印のマーカの色を変えることにより、ベクトル集中度、つまり瘤の球状の度合いが強いことを医師は視覚的に容易に把握することができる。
なお、図10ではマーカ情報により脳動脈瘤候補の位置を識別可能とする例を示したが、脳動脈瘤候補領域が他の領域と識別可能に表示されるのであればこのような表示方法に限らない。例えば、MIP処理ではなく、ボリュームレンダリング法を用いて3次元的に表示することとしてもよい。ボリュームレンダリング法は、部分領域毎にそれらのボクセルに色情報と不透明度を与えることにより3次元表示を行う手法であり、注目領域については不透明度を高く設定し、それ以外の領域については低く設定することによって注目領域を浮き立たせることができるものである。よって、表示時には領域毎に不透明度、その不透明度に応じた色情報の設定処理を行う。
また、MIP画像等ではなく、ベクトル集中度フィルタにより得られたフィルタ処理画像(図6参照)を用いて検出結果を示すこととしてもよい。このとき、例えばベクトル集中度が低い値の領域は青色を、高い値の領域は赤色を付す等して色分けすることにより、医師が算出されたベクトル集中度を視覚的に把握できるようにしてもよい。さらに、ベクトル集中度によって血管領域の色を変えたフィルタ処理画像を前記MIP画像の対応する位置に重ね合わせて表示することとしてもよい。このように、医師の脳動脈瘤の検出にあたっての参考情報としてベクトル集中度の情報を提供することが可能である。
次に、図11を参照して血管部位判別処理について説明する。
この血管部位判別処理は、制御部11と記憶部15に記憶された血管部位判別処理の処理プログラムとの協働により実現されるソフトウェア処理である。血管部位判別処理では、頭部を撮影した3次元MRA画像上に表れる血管像についてその血管像に含まれる一又は複数の血管部位を判別する。
MRAはMRIの血管撮像方法の1種である。MRIでは、被写体の足から頭の方向(この方向を体軸という)に傾斜磁場をかけることによって特定のスライス(断層)にのみエネルギーを吸収させることが可能である。撮像時にはスライス内の血管ではRFパルスで血液が飽和された状態となっているが、血管は常に流れがあるため、経時により非飽和の血流が流入するとそのスライスにおける信号強度が増加する。MRAはこの高信号を画像化することにより血流のある血管を画像化する方法である。
最初に、血管部位の判別に必要な参照画像について説明する。
参照画像は、図12Aに示すように、3次元MRA画像上の血管像について、一又は複数の血管部位の位置及びその名称が予め設定されたものである。ここで、血管部位とは解剖学上の血管の分類をいい、血管部位の位置とは当該血管部位に属するボクセルの位置をいう。
図12Aでは、血管像に含まれる8つの血管部位(前大脳動脈、右中大脳動脈、左中脳動脈、右内頸動脈、左内頸動脈、右後大脳動脈、左後大脳動脈、脳底動脈)についてその位置及び血管部位の名称を設定した例を示している。なお、図12Aでは8つの血管部位のうち、3つの血管部位(右中大脳動脈、前大脳動脈、脳底動脈)についてのみ名称を示しているが、8つ全ての血管部位について名称は設定される。
参照画像g2は、参照画像用に選択された、図12Bに示すような頭部MRA画像g1の3次元データから作成される。まず、この3次元データからある間隔毎にアキシャル画像(体軸に垂直な面でボクセルを切り出した2次元断層画像)を作成する。そして、一のアキシャル画像において医師の指摘に基づき、手動操作により各血管部位に属するボクセルを指定し、さらにその血管部位の名称を指定する。これを体軸方向に位置を変えてスライスした各アキシャル画像について繰り返すことにより、3次元データを構成する全ボクセルのうち、各血管部位に属するボクセルの位置及び血管部位の名称を設定することができる。
また、参照画像g2には血管の屈曲点、終局点、血管部位同士の交差点等の特徴的な箇所においてランドマークのボクセルが設定される。ランドマークは対象画像と参照画像との位置合わせに使用されるものであるが、詳細な説明は後述する。ランドマークについても医師の指摘に基づく手動操作に応じて設定される。
以上のようにして作成された参照画像g2は、記憶部15に保存される。
なお、参照画像g2の作成は医用画像処理装置10の制御部11で行ってもよいし、外部で作成されたものを記憶部15に保存することとしてもよい。また、血管像に含まれる8つの血管部位を示すため、図12Aでは各血管部位を識別表示したが、実際の参照画像g2は背景が黒(低信号値)、血管像が白(高信号値)と2値化された画像である。そして、各血管部位に属するボクセルの位置情報、名称の情報及びランドマークであるボクセルの位置情報は、参照画像に付帯されている、或いは参照画像と対応付けて別ファイルとして記憶部15に保存されている。
次に、上記参照画像を用いた血管部位判別処理について具体的に説明する。
医用画像処理装置10では、まず判別対象の3次元MRA画像(以下、対象画像という)に対して制御部11により正規化処理が施される(ステップS11)。
対象画像として用いられるMRA画像は、血液の流れを画像化したものであるため、被写体や撮影条件によってボクセルが等サイズではない直方体となったり、ボクセル値の最大値、最小値にばらつきが生じたりする。そこで、対象画像に関する前提条件を統一するため、正規化処理を施す。
正規化処理では、まずボクセルを構成する全ての辺が等サイズとなるように線形補間法により対象画像が変換される。次に、対象画像の全てのボクセルのボクセル値についてヒストグラムが作成され、ヒストグラムの上位5%以上のボクセル値を1024、最小のボクセル値を0として、対象画像の全てのボクセル値が0〜1024の階調に線形変換される。このとき、ボクセル値が高信号値であるほど濃度値1024に近く、低信号値であるほど濃度値0に近くなるように変換される。なお、濃度階調のレンジは、0〜1024に限らず適宜設定可能である。
図13A、図13Bに、正規化処理の一例を示す。
図13Aに示す対象画像g3、図13Bに示す対象画像g4はそれぞれ異なる患者を被写体としたものである。そのため、対象画像g3から得られたヒストグラムh1(図13A参照)と、対象画像g4から得られたヒストグラムh3(図13B参照)とでは、2つの極大点があるという特徴が共通するが、そのボクセル値の範囲にかなり相違があり、全体としてヒストグラム特性が異なるものとなっていることが分かる。このようなヒストグラム特性を有する対象画像g3、g4について上記の正規化処理を施した後に再度ヒストグラムを作成すると、図13Aに示すヒストグラムh2、図13Bに示すヒストグラムh4がそれぞれ得られる。ヒストグラムh2、h4から分かるように、正規化処理によって各対象画像g3、g4のヒストグラム特性がほぼ同じものとなっている。
正規化処理を終えると、制御部11では当該正規化された対象画像から血管像が抽出される(ステップS12)。
まず、対象画像について閾値処理が施され、2値化が行われる。一般的に、MRA画像では、図14Aに示すように血管像は白く、その他の組織部分は黒っぽく表れるため、2値化画像では血管像はその他の領域とは異なる値となる。よって、領域拡張法により血管像と同程度の信号値を有する領域の抽出を行う。
領域拡張法では、2値化画像を用いて始点となるボクセル(最も白く高濃度値のボクセル)を決定し、2値化処理前の対象画像においてその始点と決定されたボクセルの近傍26ボクセルを調べ、ある判定条件(例えば、濃度値が500以上であること)を満たす近傍ボクセルを血管像と判断する。そして、この血管像と判断された近傍ボクセルについても上記と同様の処理を繰り返す。このように、領域を拡張しながら判定条件を満たすボクセルを順次抽出することにより、血管像の画像領域を抽出することができる。
図14Bに、血管像を抽出した血管抽出画像g6を示す。
血管抽出画像g6は、図14Aに示す正規化後の対象画像g5から血管像を抽出し、当該血管像の領域を白(濃度値1024)、その他の領域を黒(濃度値0)で2値化したものである。
次に、制御部11では、血管抽出画像の血管像の位置と参照画像の血管像の位置とを略一致させるため、各画像の重心位置を元に位置合わせが行われる(ステップS13)。重心位置は、血管像に属する全てのボクセルの重心となるボクセルの位置である。
図15A、図15Bを参照して、具体的に説明する。
図15Aは、位置合わせ前の血管抽出画像と参照画像とを重ね合わせた図である。図15Aから単に血管抽出画像と参照画像を合わせただけではそれぞれの血管像の位置が一致していないことが分かる。
そこで、制御部11では、図15Aに示すように血管抽出画像の重心P(x1、y1、z1)、参照画像の重心Q(x2、y2、y3)の位置が求められる。次いで、この重心位置P、Qが一致するように、血管抽出画像又は参照画像が平行移動される。平行移動により各重心位置P、Qを一致させた結果が、図15Bに示す図である。図15Bから血管抽出画像の血管像と参照画像の血管像の位置が大まかに一致していることが分かる。
さらに、精度よく位置合わせを行うため、制御部11では血管抽出画像について剛体変形が行われる(ステップS14)。
まず、剛体変形の前処理として相互相関係数を用いた対応点の検索が行われる。これは、位置合わせを行う2つの画像についてそれぞれ複数の対応点を設定し、この2つの画像において設定された対応点がそれぞれ一致するように一方の画像を剛体変形するためである。ここでは、参照画像において予め定められているランドマークのボクセルと、局所的に画像特性が類似する血管抽出画像のボクセルが対応点として設定される。画像特性の類似性は、血管抽出画像と参照画像について相互相関係数が求められ、この相互相関係数に基づいて判断される。
具体的には、図16Aに示すように、予め参照画像g7の血管像において設定されている12点のランドマークに対応する対応点が血管抽出画像から検索される。対応点の検索時には、図16Bに示すように、血管抽出画像g8において、参照画像g7の各ランドマークと対応する位置のボクセルを開始点とし、血管抽出画像g8及び参照画像g7において当該開始点及びランドマークのボクセルからX軸、Y軸、Z軸方向に−10〜+10ボクセルの範囲(21×21×21ボクセルの立方領域)内のボクセルが探索され、各ボクセルについて、下記式2により相互相関係数C(以下、相関値Cという)が算出される。
上記式2においてA(i,j,k)は参照画像g7のボクセル位置、B(i,j,k)は血管抽出画像g8のボクセル位置を示す。IJKは探索領域のサイズを示し、IJK=21×21×21である。
また、α、βは、それぞれ参照画像g7、血管抽出画像g8における探索領域内のボクセル値の平均値であり、下記式3、4により示される。σ、σは、それぞれ参照画像g7、血管抽出画像g8における探索領域内のボクセル値の標準偏差であり、下記式5、6により示される。
相関値Cは−1.0〜1.0の値域を持ち、最大値1.0に近いほど、参照画像g7と血管抽出画像g8の画像特性が類似していることを示す。
そこで、最も大きな相関値Cをとるボクセルの位置が、参照画像g7のランドマークに対応する血管抽出画像g8の対応点として設定される。
対応点が設定されると、制御部11ではこの対応点に基づき、血管抽出画像g8に対して剛体変形を施すことにより、血管抽出画像g8の血管像と参照画像g7の血管像との位置合わせが行われる。剛体変形は、アフィン変換の一つであり、回転、平行移動により座標変換を行うものである。位置合わせは、最小二乗法を用いた剛体変形を複数回繰り返すICP(Iterative Closest Point)アルゴリズムにより血管抽出画像g8の対応点が参照画像g7のランドマークに一致するように行われる。このアルゴリズムによれば、剛体変形を行う毎に、参照画像のランドマークと血管抽出画像の対応点における距離の最小二乗誤差を算出し、当該最小二乗誤差がある閾値を超える等の終了条件を満たすまで剛体変形が繰り返される。なお、剛体変形をアフィン変換(拡大縮小、回転、並行移動による座標変換)に代えることとしてもよい。
次いで、参照画像に基づき、剛体変形により位置合わせされた血管抽出画像の血管像に含まれる各血管部位が制御部11において判別される(ステップS15)。
まず、参照画像の各血管部位に属するボクセル全てを対象に(これを対象ボクセルという)、血管抽出画像におけるある注目ボクセルとのユークリッド距離の2乗が求められる。そして、その求めたユークリッド距離が最短となる対象ボクセルが属する血管部位が、注目ボクセルが属する血管部位であると判断される。またこのとき、対象ボクセルに設定されている血管部位の名称から、注目ボクセルの血管部位の名称が判断される。
血管抽出画像の血管像を構成する全てのボクセルに対し、注目ボクセルを設定して上記の処理を行い、全ボクセルについて対応する血管部位が判別されると、その判別された血管部位に属するボクセルの位置、血管部位の名称を示す血管部位情報が制御部11により生成され、対象画像に付帯される(ステップS16)。例えば、位置(x3、y3、z3)のボクセルは前大脳動脈の血管部位であると判別された場合、そのボクセル位置「(x3,y3、z3)」のボクセルは血管名称「前大脳動脈」の血管部位であることを示す血管部位情報が対象画像のヘッダ領域に書き込まれる等して付帯されることとなる。
図17A、図17Bに、血管部位の判別結果を示す。
図17Aに示す血管抽出画像g9と図17Bに示す血管抽出画像g11は、それぞれ異なる被写体から得られた画像であり、図17Aに示す画像g10、図17Bに示す画像g12はそれぞれ血管抽出画像g9、g11から各血管部位が判別され、その血管部位毎に色を変えて識別表示した画像である。画像g10、g12から、剛体変形による位置合わせを行うことにより、画像g10、g12の血管像が異なる形態(血管の位置、大きさ、延在方向等)であるにも拘わらず、同じように血管部位を識別できていることが分かる。
以上が、対象画像における血管部位を判別し、その血管部位情報を付帯するまでの流れである。
そして、このような対象画像について操作部12を介して表示指示操作がなされると、制御部11により対象画像にMIP処理が施されてMIP画像が生成され、表示部13上に表示される。以下、MIP画像の表示をMIP表示という。
MIP法はある方向から平行光線によって投影を行うとともに、この投影線上にあるボクセル中の最大の輝度(ボクセル値)を投影面に反映させて2次元画像を作成する方法である。この投影方向は医師が観察を所望する視線方向となる。ここでは、医師が自由にその観察方向を操作することができる構成とし、操作部12を介して指示操作された観察方向に応じて制御部11により対象画像からMIP画像が作成され、表示部13に表示されるものとする。
対象画像がMIP表示された状態においてさらに血管部位の識別表示の指示操作がなされると、制御部11では対象画像に付帯されている血管部位情報が参照され、この血管部位情報に基づき、MIP画像中の血管像において各血管部位が識別可能となるように表示制御が行われる(ステップS17)。
例えば、血管部位情報に基づいて各血管部位のボクセル位置及び名称が判別されると、制御部11では、MIP画像において前大脳動脈の血管部位に属するボクセルには青色、脳底動脈の血管部位に属するボクセルには緑色等、血管部位毎に判別された位置にあるボクセルに血管部位毎の色が設定される。そして、対象画像のMIP画像に当該設定色を反映させる。さらにその血管部位の名称を指し示すアノテーション画像が作成されてMIP画像の対応する血管部位に合成される。
図18に、識別表示例を示す。
図18においてMIP画像g13は対象画像が頭部上方向からMIP表示されたものである。このMIP画像g13が表示された状態で各血管部位の識別表示が指示操作されると、識別表示画像g14が表示される。識別表示画像g14は、血管抽出画像において8種類の血管部位にそれぞれ異なる色を付す等して、各血管部位を識別表示したものである。
識別表示画像g14において、医師によりある血管部位が選択操作されると、制御部11の表示制御により当該選択された血管部位に関連づけて「脳底動脈」等の血管部位の名称を示すアノテーションmが表示される。
上記頭部上方向のMIP画像g13に対して、側面方向からのMIP表示が指示されると、制御部11により側面方向に応じたMIP画像g15が作成されて、表示される。MIP画像g15では、手前側の血管像と後方側の血管像とが重なり合っており、観察しづらい表示となっている。このようなMIP画像g15においても、血管部位の識別表示が可能である。血管部位情報を参照することにより、何れのボクセルが何れの血管部位に該当するのかを判別することができるため、MIP表示の観察方向の変動によらず、識別表示すべきボクセルを特定できるからである。
MIP画像g15に対応する識別表示画像は画像g16である。この識別表示画像g16においては、何れかの血管部位のみを抽出して表示することが可能である。
制御部11では、操作部12を介して何れか一の血管部位が選択操作されると、当該選択された血管部位のボクセルの輝度のみを投影させたMIP画像、つまり対象画像のMIP画像g15から選択された血管部位のみが抽出された血管選択画像g17が表示される。血管選択画像g17では、選択された血管部位のみMIP表示され、その他の血管部位が非表示とされているため、医師は関心のある血管部位のみに注目して観察することができる。
また、これらの表示画像g13〜g17は、同一画面上に並べて表示することとしてもよいし、一画面一画像として切替表示することとしてもよい。前者の場合、MIP表示画像g13と識別表示画像g14、血管選択画像g17等とを比較観察することが可能となるし、後者の場合は全画面表示で各画像g13〜g17を観察することができ、詳細を観察しやすくなる。
以下、検出処理の実施例を示す。
20人の患者についての3次元MRA画像データを得た。これらの画像データは、そのマトリクスサイズが256×256であり、空間分解能は0.625〜0.78mm、スライス厚は0.5〜1.2mmである。これらの画像データには7つの未破裂脳動脈瘤が含まれていることが分かっている。未破裂脳動脈瘤は、経験のある脳神経外科医により決定されたものである。
まず、これら3次元MRA画像データを、線形補完法を用いて等ボクセルサイズの画像データに変換し、正規化を行った。この正規化により、全ての画像データは、マトリクスサイズが400×400×200、空間分解能が0.5mmの等ボクセルの画像データとなった。次に、階調変換処理を施し、濃度階調を0〜1024に線形変換した後、医師により決定された脳動脈瘤の領域(真陽性)について大きさ(体積)、球形度、ベクトル集中度の各特徴量が算出されるとともに、正常な血管領域(偽陽性)についても同様の特徴量が算出される。そして、これら特徴量を2次検出の識別器であるルールベース法の検出範囲の決定、判別分析の教師データとして使用した。同様に、3次検出時の識別器における教師画像として用いて識別器の学習を行った。
上記のように構築された識別器により、20症例の3次元MRA画像データについて図7の検出処理を行ったところ、1症例あたり1.85個の偽陽性候補が含まれていたが、脳動脈瘤の検出正答率は100%であり、精度良く検出できることが確認された。
以上のように、第1実施形態によれば、ベクトル集中度フィルタを用いて中心部分に勾配ベクトルが集中する特徴を有する脳動脈瘤候補を精度良く検出し、その検出情報を医師に提供することができる。よって、医師の読影作業時の疲労や見落としを防止することができ、診断精度の向上が期待される。
また、脳動脈瘤候補領域は他の領域と識別可能に表示するので、画像上において医師が検出結果を容易に把握することができ、読影作業の円滑化を図ることができる。
また、ベクトル集中度フィルタは、MRA画像そのものではなく血管領域を抽出した抽出画像に適用するため、フィルタ処理に要する処理時間の短縮化を図ることができる。
なお、上記実施形態は、本発明を適用した好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、上記説明では、3次元MRA画像を用いて脳動脈瘤候補を検出していたが、2次元MRA画像を用いて検出を行うこととしてもよい。この場合、脳動脈瘤候補の大きさはピクセル数、球形度は円形度として2次元の特徴量を算出することとなる。
また、MRA画像を用いて動脈瘤候補の検出を行う例を説明したが、造影剤を用いて血管領域を撮影した造影MRA画像等、他の撮影方法によるMRI画像を用いてもよいし、CTA(Computed Tomography Angiography)、DSA(Digital Subtraction Angiography)等、他の撮影装置により血管領域が撮影された画像を用いることとしてもよい。また、検出対象も動脈瘤のみならず、球状の瘤の特徴を有する病変部であれば本発明を適用して検出することが可能である。
また、上記実施形態によれば、画像上の血管像に含まれる8つの血管部位の位置及び名称を予め定めた参照画像と対象画像とを、その血管像について位置合わせすることにより、対象画像上の血管像に含まれる各血管部位の位置及び名称を判別する。そして、この位置及び名称の情報を血管部位情報として対象画像に付帯させるので、対象画像のMIP表示を行う際には当該血管部位情報に基づき、各血管部位を容易に判別することができ、各血管部位の識別表示が可能となる。従って、医師は対象画像における特定の血管部位に注目して対象画像を観察することが可能となり、読影効率の向上を図ることができる。
MIP表示を行う際、そのMIP表示を行う方向によっては複数の血管部位が重複し、注目したい血管部位に対する観察が困難となる場合がある。
しかしながら、本実施形態によれば各血管部位の識別表示が可能となるため、医師は各血管部位についての位置や名称を容易に特定することができ、読影作業の効率化を図ることができる。
また、識別表示された各血管部位のうち、任意の血管部位の選択操作に応じて、当該選択された血管部位のみを抽出して表示したターゲットMIP画像を作成し、表示するので、医師は注目したい血管部位のみを観察することが可能となる。よって、複数の血管部位の重複を解消することができ、動脈瘤の多発部位等、ある血管部位に特定して観察を行うことができる。
また、対象画像と参照画像の血管像の位置合わせを行う際には、まず重心位置に基づいて大まかな位置合わせを行った後、相互相関係数により対象画像に剛体変形を施して対象画像の血管像の特徴点を参照画像の血管像の対応する特徴点に一致するように細かな位置合わせを行う。
異なる被写体(患者)であっても主要な血管部位の形態(血管の長さや延在方向、太さ等)は概ね共通するが、主要でない細い血管部位についてはその形態に個体差が生じるため、血管部位の形態は被写体によって様々なものとなる。
しかしながら、本実施形態のように最終的に剛体変形により血管像の主な屈曲点等の特徴点の位置を合わせこむことにより、対象画像中の各血管部位がどのような形態を呈していても、精度よく参照画像の血管部位と対応させることができる。従って、被写体によらず一律に血管部位を判別することができ、汎用性が高い。
さらに、位置合わせは2段階(重心位置に基づくものと、剛体変形によるもの)で行うので、血管部位を判別する判別精度を向上させることができる。また、剛体変形の前に重心位置により位置合わせを行っておくことにより、剛体変形に係る処理時間の短縮化を図ることができ、処理効率が良い。
なお、上述した実施形態は、本発明を適用した好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、MRA画像を用いた例を説明したが、造影剤を用いて血管を撮影した造影MRA画像等、他の撮影方法によるMRI画像を用いてもよい。また、CTA(Computed Tomography Angiography)、DSA(Digital Subtraction Angiography)等、他の撮影装置により血管が撮影された画像を用いることとしてもよい。
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、GCフィルタバンクによる検出処理の例を説明する。
第2実施形態に係る医用画像処理装置は、第1実施形態に係る医用画像処理装置10と同一構成であり、動作が異なるのみである。よって、第1実施形態に係る医用画像処理装置10(図1参照)と同一構成部分には同一の符号を付し、以下、第2実施形態の医用画像処理装置10の動作について説明する。
図19は、第2実施形態に係る検出処理を示すフローチャートである。
図19に示す検出処理では、まずMRAの3次元画像データの入力が行われ(ステップS101)、この3次元画像データに対して前処理が行われる(ステップS102)。前処理が終了すると、3次元画像データから血管の画像領域が抽出される(ステップS103)。なお、このステップS101〜S103は、第1実施形態において図2を参照して説明したステップS1〜3と同様の処理であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、抽出された血管領域の3次元MRA画像を用いてGCフィルタバンクにより、脳動脈瘤の1次候補領域の検出が行われる(ステップS104)。
以下、GCフィルタバンクによる検出方法について説明する。
GCフィルタバンクは、各種フィルタ処理を組み合わせたものであり、分析バンクと再構成バンクに分かれている。分析バンクは原画像(血管領域の3次元MRA画像)の多重解像度解析を行って解像度レベルの異なる画像(以下、部分画像という)を作成し、この部分画像から重み画像を作成するものである。一方、再構成バンクは重み画像によって各部分画像を重み付けした後、この重み付けられた部分画像から原画像の再構成を行うものである。
図20は、分析バンクを示す図である。
図20に示すように、分析バンクでは血管領域の3次元MRA画像を原画像SとしてフィルタバンクA(z)においてフィルタ処理が行われ、各解像度レベルjの部分画像が順次作成される。ここでは、解像度レベル1〜3の部分画像を作成する例を説明する。
フィルタバンクA(z)は、図21に示すようにフィルタH(z)、G(z)によるフィルタ処理を経て、画像Sj−1を部分画像S、Wz、Wy、Wxに分解するものである。ここで、Sはx、y、zの各方向においてSj−1に平滑化フィルタH(z)を施したものである。平滑化フィルタH(z)は下記式7により表される。
なお、上記式7において用いられているzは、z変換を示すものである(以下、フィルタを示す式8〜10において同じ)。
部分画像Wz、Wy、Wxは、画像Sj−1のx、y、z方向のそれぞれについてフィルタG(z)が適用されて得られた1階差分画像である。フィルタG(z)は下記式8により表される。
部分画像Wz、Wy、Wxは、解像度レベルが小さい(j=1)ほど、細かな変動に対する検出性が高い。一方、解像度レベルが大きい(j=3)ほど粗い変動に対する検出性が高くなる。従って、解像度レベルが小さい部分画像Wz、Wy、Wxは大きさが小さい動脈瘤の検出に適し、解像度レベルが大きい部分画像Wz、Wy、Wxは大きい動脈瘤の検出に適している。
についてはさらに解像度レベルj+1のフィルタバンクA(zj+1)によるフィルタ処理が行われることとなる。このように、繰り返しフィルタ処理が行われることにより、解像度レベルj(j=1〜3)毎に部分画像S、Wz、Wy、Wxが作成される。
次に、図20に示すように、各解像度レベルの部分画像Wz、Wy、Wxに対してベクトル集中度フィルタGCによるフィルタ処理が施され、解像度レベル毎のベクトル集中度が算出される。ベクトル集中度の算出方法については前述したのでここでは説明を省略する。
算出されたベクトル集中度はニューラルネットワークNNに入力される。
ニューラルネットワークNNでは、予め教師データを用いて脳動脈瘤の可能性が高いほど1の値を、逆に低ければ0の値で出力するように、0〜1の範囲で出力値を出力するように設計されている。
ニューラルネットワークNNから出力値が得られると、判定部NMにおいて当該出力値に基づいて重み画像Vが生成され、出力される。重み画像Vはある閾値(ここでは0.8とする)より大きい出力値を有するボクセルについてはボクセル値を1とし、閾値0.8以下の出力値を有するボクセルについてはボクセル値を0とすることにより、作成される。すなわち、閾値である0.8を超えるベクトル集中度が算出されたボクセルは、脳動脈瘤の領域を構成するボクセルである可能性が高い。一方、閾値0.8以下のベクトル集中度を持つボクセルは正常な血管領域を構成するボクセルである可能性が高い。よって、閾値を境界としてボクセル値を2値化することにより、重み画像を作成するものである。重み画像Vは再構成バンクに入力される。
図22は、再構成バンクを示す図である。
再構成バンクは、各部分画像S、Wz、Wy、Wxに重み付け処理を施した後、フィルタバンクS(z)を経て元の原画像Sを再構成するものである。
重み付け処理では、各部分画像S、Wz、Wy、Wxに重み画像Vが乗算される。すなわち、重み画像Vにおいてボクセル毎に設定された1又は0の値は、重み付け処理において重み付け係数として用いられることとなる。重み画像Vが乗算された各部分画像はフィルタバンクS(z)に入力される。
フィルタバンクS(z)は、図23に示すようにフィルタL(z)、K(z)、H(z)L(z)によるフィルタ処理を経て、S、Wz、Wy、WxからSj−1を再構成するものである。
ここで、フィルタL(z)、K(z)は、下記式9、10により表される。
すなわち、Sに対してはx、y、z方向についてそれぞれフィルタL(z)によるフィルタ処理が施される。また、Wzについてはx方向についてはフィルタK(z)、y、z方向についてはフィルタH(z)L(z)が適用される。Wyに対してはy方向についてフィルタK(z)、z方向についてフィルタH(z)L(z)が適用され、Wxに対してはz方向についてフィルタK(z)が適用される。そして、それぞれのフィルタ処理後のS、Wz、Wy、Wxを加算することにより、Sj−1が得られる。
j−1についてはさらにフィルタバンクS(zj−1)によるフィルタ処理にかけられ、Sj−2が再構成されることとなる。このようなフィルタ処理を繰り返すことにより元の画像Sを再構成することができる。
原画像Sの再構成は、フィルタバンクA(z)、S(z)における各フィルタH(z)、G(z)、L(z)、K(z)が、図21、図23に示すフィルタの組み合わせである場合のみ、完全に元の画像を再現できるものである。よって、再構成の結果、重み画像Vにおいてボクセル値が1に設定されたボクセルについては完全に元の原画像Sが再現されるのに対し、重み画像Vにおいてボクセル値が0に設定されたボクセルについては原画像Sが再現されず、そのボクセル値は0となってしまう。従って、GCフィルタバンクにより出力された出力画像Sは、脳動脈瘤である可能性が高い画像領域のみが再現された画像となる。この出力画像Sにおいて現れた画像が脳動脈瘤の1次候補である。
出力画像Sが得られると、この出力画像Sを用いて特徴量の算出が行われる(ステップS105)。特徴量は、第1実施形態と同様に候補領域の大きさ、球形度、領域内の各ボクセルにおけるベクトル集中度の平均値を算出する。算出された特徴量を用いて2次検出が行われた後(ステップS106)、さらに3次検出が行われ(ステップS107)、最終的な検出結果として出力される(ステップS108)。ステップS105〜S108の処理は、図2を参照して説明したステップS5〜S8と同一であるので、詳細な説明は省略する。
また、第2実施形態においても血管部位判別処理が行われるが、第1実施形態と同様の処理内容であるので、その処理内容及び効果についての説明は省略する。
以上のように、第2実施形態によれば、GCフィルタバンクにより頭部画像に対して多重解像度解析を行って得られた部分画像によって解像度レベル毎にベクトル集中度を算出する。解像度レベル毎にベクトル集中度を算出することにより、様々な大きさの動脈瘤の検出に対応することができ、より精度の高い検出処理が可能となる。
また、ベクトル集中度が閾値以上の所定値となるボクセルのみ元の画像が再現されるようボクセル値を1に設定し、その他のボクセルについてはボクセル値を0に設定した重み画像を生成して各部分画像に乗算して重み付けを行い、この重み付けされた各部分画像から元の画像を再構成する。よって、ベクトル集中度が高い、すなわち動脈瘤である可能性が高い領域のみが再構成されることとなり、動脈瘤の候補領域のみ画像化した再構成画像を得ることができる。このような再構成画像を用いて特徴量の算出を行うことにより、算出する特徴量から候補領域以外の画像要素を排除することができ、候補領域についての特徴量を正確に算出することが可能となる。従って、検出処理自体の精度をさらに向上させることが可能となる。
画像処理の分野において利用することが可能であり、医療用の撮影装置により得られた頭部画像の画像解析、画像処理を行う医用画像処理装置に適用することができる。
請求項1に記載の発明によれば、
3次元画像である頭部MRA画像から血管像を抽出する抽出手段と、
前記抽出された血管像をアフィン変換することにより、当該アフィン変換された血管像の位置と、血管像に含まれる一又は複数の血管部位の位置及び名称が予め定められた参照画像における血管像の位置とを略一致させ、この略一致させた参照画像に予め定められた血管部位と対応する、前記頭部MRA画像の血管像部分を当該定められた血管部位であると判断することにより、前記頭部MRA画像における血管部位の位置及び名称を判別し、当該判別された血管部位に関する血管部位情報を前記頭部MRA画像に付帯させる画像制御手段と、
を備えることを特徴とする医用画像処理装置が提供される。
請求項2に記載の発明によれば、
前記画像制御手段は、前記頭部MRA画像の血管像の重心と、前記参照画像における血管像の重心の位置を合わせた後、前記頭部MRA画像のアフィン変換を行い、アフィン変換後の血管像と参照画像の血管像との最小二乗誤差を算出して当該最小二乗誤差が終了条件を満たすまで前記頭部MRA画像のアフィン変換を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置が提供される。
請求項3に記載の発明によれば、
前記画像制御手段は、前記重心の位置合わせを行う前に、前記抽出した血管像に対し、画像の条件を統一するための正規化処理を施すことを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理装置が提供される。
請求項4に記載の発明によれば、
前記画像制御手段は、前記頭部MRA画像から抽出した血管像の各ボクセルについて、前記参照画像の血管像のボクセルとのユークリッド距離を求め、前記頭部MRA画像の各ボクセルが属する血管部位は、参照画像に定められている血管部位のうち、当該ユークリッド距離が最短となる血管部位であるとして判断する請求項1〜3の何れか一項に記載の医用画像処理装置が提供される。
請求項5に記載の発明によれば、
前記頭部MRA画像をMIP表示する表示手段と、
前記頭部MRA画像に付帯された血管部位情報に基づき、前記表示された頭部MRA画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位を判別し、それら血管部位のそれぞれを前記表示された頭部MRA画像において識別表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の医用画像処理装置が提供される。
請求項6に記載の発明によれば、
前記表示制御手段は、前記血管部位情報に基づき、前記識別表示された各血管部位の名称を判別し、当該判別された名称を対応する各血管部位に関連付けて表示させることを特徴とする請求項5に記載の医用画像処理装置が提供される。
請求項7に記載の発明によれば、
表示操作を行うための操作手段を備え、
前記表示制御手段は、前記頭部MRA画像において表示対象の血管部位が前記操作手段を介して選択操作されると、前記選択された血管部位に対応する血管像のみを前記頭部MRA画像から抽出し、当該抽出された血管像のみを前記表示手段上に表示させることを特徴とする請求項5又は6に記載の医用画像処理装置が提供される。
請求項8に記載の発明によれば、
3次元画像である頭部MRA画像から血管像を抽出する抽出工程と、
前記抽出された血管像をアフィン変換することにより、当該アフィン変換された血管像の位置と、血管像に含まれる一又は複数の血管部位の位置及び名称が予め定められた参照画像における血管像の位置とを略一致させ、この略一致させた参照画像に予め定められた血管部位と対応する、前記頭部MRA画像の血管像部分を当該定められた血管部位であると判断することにより、前記頭部MRA画像における血管部位の位置及び名称を判別し、当該判別された血管部位に関する血管部位情報を前記頭部MRA画像に付帯させる画像制御工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法が提供される。
請求項9に記載の発明によれば、
前記画像制御工程は、前記頭部MRA画像の血管像の重心と、前記参照画像における血管像の重心の位置を合わせた後、前記頭部MRA画像のアフィン変換を行い、アフィン変換後の血管像と参照画像の血管像との最小二乗誤差を算出して当該最小二乗誤差が終了条件を満たすまで前記頭部MRA画像のアフィン変換を繰り返すことを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法が提供される。
請求項10に記載の発明によれば、
前記画像制御工程は、前記重心の位置合わせを行う前に、前記抽出した血管像に対し、画像の条件を統一するための正規化処理を施すことを特徴とする請求項9に記載の画像処理方法が提供される。
請求項11に記載の発明によれば、
前記画像制御工程は、前記頭部MRA画像から抽出した血管像の各ボクセルについて、前記参照画像の血管像のボクセルとのユークリッド距離を求め、前記頭部MRA画像の各ボクセルが属する血管部位は、参照画像に定められている血管部位のうち、当該ユークリッド距離が最短となる血管部位であるとして判断する請求項8〜10の何れか一項に記載の画像処理方法が提供される。
請求項12に記載の発明によれば、
前記頭部MRA画像を表示手段にMIP表示する表示工程と、
前記頭部MRA画像に付帯された血管部位情報に基づき、前記表示された頭部MRA画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位を判別し、それら血管部位のそれぞれを前記表示された頭部MRA画像において識別表示させる表示制御工程と、
を備えることを特徴とする請求項8〜11の何れか一項に記載の画像処理方法が提供される。
請求項13に記載の発明によれば、
前記表示制御工程は、前記血管部位情報に基づき、前記識別表示された各血管部位の名称を判別し、当該判別された名称を対応する各血管部位に関連付けて表示させることを特徴とする請求項12に記載の画像処理方法が提供される。
請求項14に記載の発明によれば、
前記表示制御工程は、前記頭部MRA画像において表示対象の血管部位が選択操作されると、前記選択された血管部位に対応する血管像のみを前記頭部MRA画像から抽出し、当該抽出された血管像のみを前記表示手段上に表示させることを特徴とする請求項12又は13に記載の画像処理方法が提供される。
請求項1〜4、8〜11に記載の発明によれば、対象画像に付帯された血管部位情報を参照することにより、対象画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位の位置及び名称を容易に判別することが可能となる。血管部位の位置及び名称を判別できれば、例えば対象画像を表示する際にそれぞれの血管部位を識別表示する等、対象画像を利用する際に対象画像に含まれる各血管部位を特定し、その情報を医師に提供することが可能となる。従って、医師は特定の血管部位に注目して対象画像を観察することが可能となり、読影効率の向上を図ることができる。
また、対象画像は被写体(患者)によってその血管像の形態に個体差が生ずるが、アフィン変換によってそれら血管像が略一致するように位置合わせすることにより、参照画像と対象画像の血管像を精度よく対応させることが可能となる。よって、被写体の個体差に拘わらず血管部位を判別することができ、汎用性が高い。
請求項5、12に記載の発明によれば、医師は対象画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位のそれぞれを容易に識別することができる。
請求項6、13に記載の発明によれば、医師は対象画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位のそれぞれの名称を容易に把握することができる。
請求項7、14に記載の発明によれば、医師が観察したい特定の血管部位の血管像のみを対象画像から抽出して観察することが可能となる。血管像は複数の血管部位が重なって表示されることがあるため、その重複部分の観察がしづらくなる。よって、医師により選択された特定の血管部位のみを表示することにより、血管部位の重複を解消することができ、医師が読影しやすい環境を提供することができる。
本発明は、患者の頭部を撮影して得られた頭部画像の画像解析、画像処理を行う医用画像処理装置に関する。
請求項1に記載の発明によれば、
脳内血管の血流を画像化した、判別対象である3次元MRA画像から血管像を抽出する抽出手段と、
該抽出手段により抽出された血管像をアフィン変換することにより、当該アフィン変換された血管像の位置と、血管像に含まれる一又は複数の血管部位の位置及び名称が予め定められた参照画像における血管像の位置とを略一致させ、この略一致させた参照画像に予め定められた血管部位と対応する、前記3次元MRA画像の血管像部分を当該定められた血管部位であると判断することにより、前記3次元MRA画像における血管部位の位置及び名称を判別し、当該判別された血管部位に関する血管部位情報を前記3次元MRA画像に付帯させる画像制御手段と、
を備えており、
該画像制御手段は、
参照画像の血管像において予め設定され且つ血管の特徴点の箇所に設定されている複数のランドマークのボクセルと局所的に画像特性が類似するボクセルを3次元MRA画像より対応点として検索するにあたり、参照画像の各ランドマークのボクセルと対応する位置の3次元MRA画像のボクセルを開始点とし、3次元MRA画像および参照画像において当該開始点及びランドマークのボクセルからX軸、Y軸、Z軸方向に−10〜+10ボクセルの範囲内のボクセルを探索し、各ボクセルについて下記式より相互相関係数を算出し、最も大きな相関値をとるボクセルを参照画像のランドマークに対応する3次元MRA画像の対応点として設定する対応点検索処理と、
参照画像の血管像の重心位置と、3次元MRA画像の血管像の重心位置とに基づいて位置合わせを行うとともに、参照画像の全てのランドマークと、前記対応点検索処理により検索された3次元MRA画像の全ての対応点とに基づいて位置合わせを行う第1位置合わせ処理と、
該第1位置合わせ処理の後、参照画像のランドマークと3次元MRA画像の対応点における距離の最小二乗誤差を算出して当該最小二乗誤差が終了条件を満たすまでアフィン変換を繰り返して位置合わせを行う第2位置合わせ処理と、
参照画像の血管像の各血管部位のボクセルを対象に3次元MRA画像から抽出した血管像の対応点のボクセルとのユークリッド距離を求め、その求めたユークリッド距離が最短となる3次元MRA画像におけるボクセルの属する血管部位を、参照画像におけるボクセルの属する予め血管部位と判断する血管部位判別処理と、
を実行することを特徴とする医用画像処理装置が提供される。
上記式2において、Cは相関値を示し、A(i,j,k)は参照画像のボクセル位置、B(i,j,k)は3次元MRA画像のボクセル位置を示す。IJKは探索領域のサイズを示す。
また、α、βは、それぞれ参照画像、3次元MRA画像における探索領域内のボクセル値の平均値であり、下記式3、4により示される。σ 、σ は、それぞれ参照画像、3次元MRA画像における探索領域内のボクセル値の標準偏差であり、下記式5、6により示される。
請求項2に記載の発明によれば、
前記画像制御手段は、アフィン変換に代えて剛体変形を行うことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置が提供される。
請求項3に記載の発明によれば、
前記画像制御手段は、前記重心の位置合わせを行う前に、前記抽出した血管像に対し、画像の条件を統一するための正規化処理を施すことを特徴とする請求項1又は2に記載の医用画像処理装置が提供される。
請求項4に記載の発明によれば、
3次元MRA画像をMIP表示する表示手段と、
3次元MRA画像に付帯された血管部位情報に基づき、前記表示された3次元MRA画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位を判別し、それら血管部位のそれぞれを識別可能に表示させる表示制御手段と、
表示操作を行うための操作手段とを備えており、
前記表示手段および表示制御手段は、前記表示手段にMIP表示される3次元MRA画像の血管部位が前記操作手段を介して選択操作されると、3次元MRA画像の上方向からのMIP表示および側方からのMIP表示ならびに前記表示制御手段により表示される識別画像に加え、選択された血管像を同一画面上に並べて表示することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の医用画像処理装置が提供される。
請求項1〜に記載の発明によれば、対象画像に付帯された血管部位情報を参照することにより、対象画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位の位置及び名称を容易に判別することが可能となる。血管部位の位置及び名称を判別できれば、例えば対象画像を表示する際にそれぞれの血管部位を識別表示する等、対象画像を利用する際に対象画像に含まれる各血管部位を特定し、その情報を医師に提供することが可能となる。従って、医師は特定の血管部位に注目して対象画像を観察することが可能となり、読影効率の向上を図ることができる。
また、対象画像は被写体(患者)によってその血管像の形態に個体差が生ずるが、アフィン変換によってそれら血管像が略一致するように位置合わせすることにより、参照画像と対象画像の血管像を精度よく対応させることが可能となる。よって、被写体の個体差に拘わらず血管部位を判別することができ、汎用性が高い。
請求項に記載の発明によれば、医師は対象画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位のそれぞれを容易に識別することができる。
た、医師が観察したい特定の血管部位の血管像のみを対象画像から抽出して観察することが可能となる。血管像は複数の血管部位が重なって表示されることがあるため、その重複部分の観察がしづらくなる。よって、医師により選択された特定の血管部位のみを表示することにより、血管部位の重複を解消することができ、医師が読影しやすい環境を提供することができる。

Claims (26)

  1. 頭部画像を多重解像度解析し、解像度レベル毎に分解した部分画像を用いて、解像度レベル毎にベクトル集中度を算出する分析手段と、
    前記部分画像から元の頭部画像を再構成するにあたり、前記算出されたベクトル集中度が所定値となる病変部の候補領域でのみ元の画像を再現する再構成手段と、
    前記再構成された頭部画像を用いて、当該頭部画像に再現された病変部の候補領域のうち、正常な血管である偽陽性候補領域を削除する削除手段と、
    を備えることを特徴とする医用画像処理装置。
  2. 前記再構成手段は、ベクトル集中度が所定値となる領域の画像のみ再現されるように前記部分画像の重み付けを行い、当該重み付けされた部分画像を用いて元の頭部画像を再構成することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の医用画像処理装置。
  3. 前記削除手段は、前記再構成された頭部画像に再現された病変部の候補領域について特徴量を算出し、当該特徴量に基づいて前記候補領域から偽陽性候補領域を削除することを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の医用画像処理装置。
  4. 前記特徴量は、前記再構成された頭部画像に再現された病変部の候補領域の大きさ、球形度、当該候補領域におけるベクトル集中度の平均若しくはベクトル集中度の最大値のうち、少なくとも1以上であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の医用画像処理装置。
  5. 前記病変部は、血管において生じる瘤であり、
    前記頭部画像から血管像を抽出する抽出手段を備え、
    前記画像構成手段は、前記血管像が抽出された画像を用いて多重解像度解析及び元の画像の再構成を行うことを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項の何れか一項に記載の医用画像処理装置。
  6. 前記頭部画像は、MRIにより撮影されたMRI画像であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第5項の何れか一項に記載の医用画像処理装置。
  7. 前記MRI画像は、MRIにおいてMRAの撮影方法により撮影されたMRA画像であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第6項の何れか一項に記載の医用画像処理装置。
  8. 前記頭部画像から血管像を抽出する抽出手段と、
    前記抽出された血管像に含まれる一又は複数の血管部位を判別し、当該判別された血管部位に関する血管部位情報を前記頭部画像に付帯させる画像制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の医用画像処理装置。
  9. 前記画像制御手段は、血管像に含まれる一又は複数の血管部位の位置及び名称が予め定められた参照画像を用いて、前記頭部画像における血管部位の位置及び名称を判別し、当該判別された各血管部位の位置及び名称の情報を前記血管部位情報として前記頭部画像に付帯させることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の医用画像処理装置。
  10. 前記画像制御手段は、前記頭部画像をアフィン変換することにより、当該アフィン変換された頭部画像の血管像の位置と前記参照画像における血管像の位置とを略一致させ、この略一致させた参照画像に予め定められた血管部位と対応する、前記頭部画像の血管像部分を当該定められた血管部位であると判断することを特徴とする請求の範囲第9項に記載の医用画像処理装置。
  11. 前記頭部画像を表示する表示手段と、
    前記頭部画像に付帯された血管部位情報に基づき、前記表示された頭部画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位を判別し、それら血管部位のそれぞれを前記表示された頭部画像において識別表示させる表示制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求の範囲第9項又は第10項に記載の医用画像処理装置。
  12. 前記表示制御手段は、前記血管部位情報に基づき、前記識別表示された各血管部位の名称を判別し、当該判別された名称を対応する各血管部位に関連付けて表示させることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の医用画像処理装置。
  13. 表示操作を行うための操作手段を備え、
    前記表示制御手段は、前記頭部画像において表示対象の血管部位が前記操作手段を介して選択操作されると、前記選択された血管部位に対応する血管像のみを前記頭部画像から抽出し、当該抽出された血管像のみを前記表示手段上に表示させることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の医用画像処理装置。
  14. 頭部画像を多重解像度解析し、解像度レベル毎に分解した部分画像を用いて、解像度レベル毎にベクトル集中度を算出する分析工程と、
    前記部分画像から元の頭部画像を再構成するにあたり、前記算出されたベクトル集中度が所定値となる病変部の候補領域でのみ元の画像を再現する再構成工程と、
    前記再構成された頭部画像を用いて、当該頭部画像に再現された病変部の候補領域のうち、正常な血管である偽陽性候補領域を削除する削除工程と、
    を含むことを特徴とする画像処理方法。
  15. 前記再構成工程では、ベクトル集中度が所定値となる病変部の候補領域の画像のみ再現されるように前記部分画像の重み付けを行い、当該重み付けされた部分画像を用いて元の頭部画像を再構成することを特徴とする請求の範囲第14項に記載の画像処理方法。
  16. 前記削除工程では、前記再構成された頭部画像に再現された病変部の候補領域について特徴量を算出し、当該特徴量に基づいて前記候補領域から偽陽性候補領域を削除することを特徴とする請求の範囲第14項又は第15項に記載の画像処理方法。
  17. 前記特徴量は、前記再構成された頭部画像に再現された病変部の候補領域の大きさ、球形度、当該候補領域におけるベクトル集中度の平均若しくはベクトル集中度の最大値のうち、少なくとも1以上であることを特徴とする請求の範囲第16項に記載の画像処理方法。
  18. 前記病変部は、血管において生じる瘤であり、
    前記頭部画像から血管像を抽出する抽出工程をさらに含み、
    前記再構成工程では、前記血管像が抽出された画像を用いて多重解像度解析及び元の画像の再構成を行うことを特徴とする請求の範囲第14項〜第17項の何れか一項に記載の画像処理方法。
  19. 前記頭部画像は、MRIにより撮影されたMRI画像であることを特徴とする請求の範囲第14項〜第18項の何れか一項に記載の画像処理方法。
  20. 前記MRI画像は、MRIにおいてMRAの撮影方法により撮影されたMRA画像であることを特徴とする請求の範囲第14項〜第19項の何れか一項に記載の画像処理方法。
  21. 前記頭部画像から血管像を抽出する抽出工程と、
    前記抽出された血管像に含まれる一又は複数の血管部位を判別し、当該判別された血管部位に関する血管部位情報を前記頭部画像に付帯させる画像制御工程と、
    を含むことを特徴とする請求の範囲第14項に記載の画像処理方法。
  22. 前記画像制御工程では、血管像に含まれる一又は複数の血管部位の位置及び名称が予め定められた参照画像を用いて、前記頭部画像における血管部位の位置及び名称を判別し、当該判別された各血管部位の位置及び名称の情報を前記血管部位情報として前記頭部画像に付帯させることを特徴とする請求の範囲第21項に記載の画像処理方法。
  23. 前記画像制御工程では、前記頭部画像をアフィン変換することにより、当該アフィン変換された頭部画像の血管像の位置と前記参照画像における血管像の位置とを略一致させ、この略一致させた参照画像に予め定められた血管部位と対応する、前記頭部画像の血管像部分を当該定められた血管部位であると判断することを特徴とする請求の範囲第22項に記載の画像処理方法。
  24. 前記頭部画像を表示手段に表示する表示工程と、
    前記頭部画像に付帯された血管部位情報に基づき、前記表示された頭部画像の血管像に含まれる一又は複数の血管部位を判別し、それら血管部位のそれぞれを前記表示された頭部画像において識別表示させる表示制御工程と、
    を含むことを特徴とする請求の範囲第22項又は第23項に記載の画像処理方法。
  25. 前記表示制御工程では、前記血管部位情報に基づき、前記識別表示された各血管部位の名称を判別し、当該判別された名称を対応する各血管部位に関連付けて表示させることを特徴とする請求の範囲第24項に記載の画像処理方法。
  26. 前記表示制御工程では、前記頭部画像において表示対象の血管部位が操作手段を介して選択操作されると、前記選択された血管部位に対応する血管像のみを前記頭部画像から抽出し、当該抽出された血管像のみを前記表示手段上に表示させることを特徴とする請求の範囲第25項に記載の画像処理方法。
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