本発明は、特に無線リソース制御(Radio Resource Control:以下「RRC」と記載する)接続手順を実行する無線ネットワーク制御装置、通信システム及び通信方法に関する。
移動通信システムの通信接続遅延は、サービスの品質を判断する上で重要なファクターである。ここで、通信接続遅延とは、ユーザが音声もしくデータのサービスを開始する操作をしてからユーザが音声またはデータサービスを受けられるまでの遅延時間である。第3世代移動通信システムにおけるHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)及びHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)等の高速化技術の導入に伴い、通信接続の手順に発生する遅延はユーザが体験する通信遅延の中でより高いウェートを占めている。第3世代携帯電話の通信接続遅延を改善するために、標準化団体3GPP RANのWG2は、2005年3月から、既存システムの通信接続遅延の主要発生要因の解析を行い、改善方法の検討を進めている(例えば、非特許文献1)。
UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)では、端末(UE)とネットワークとの通信接続手順は、端末と基地局、無線ネットワーク制御装置(RNC)、コアネットワーク(CN)の各ノード間の接続手順(プロシージャ)によって構成されている。ノード間のシグナリングメッセージの伝送時間は遅延の最も大きな要因である。UMTSの音声通信接続(Circuit-Switched Call Setup)の手順において、遅延時間の実測定値の一例が示されている(例えば、非特許文献2)。この解析結果において、音声通信接続遅延は、主に、無線通信のための接続手順であるRRC接続手順、端末の認証を含む端末とコアネットワークとの初期シグナリング手順及びユーザの音声を伝送するベアラの接続手順等の遅延から構成されている。パケットデータの通信接続手順(PS Call Setup)は音声通信接続手順と多少異なるが、遅延の構成は基本的に同様である。
次に、端末がトランスポートチャンネルの共通チャンネルを使用する場合のRRC接続手順について、図1を用いて説明する。図1は、端末がトランスポートチャンネルの共通チャンネルを使用する場合のRRC接続手順を示すシーケンス図である。
UMTSでは、端末は電源を入れた後に、ネットワーク(PLMN)の探索及びセルの探索(セルサーチ)を経て、アイドルモードに入る。アイドルモードの端末はネットワークのページング情報を受信した場合、もしくは端末から発呼する場合、端末はRRCの接続手順を起動する。RRCの接続手順は、端末と無線ネットワーク制御装置との間の三つのシグナリングメッセージの送受信によって構成されている。
まず、端末は、共通制御チャネル(以下「CCCH」と記載する)(ランダムアクセスチャネル(以下「RACH」と記載する))によりRRC Connection RequestメッセージをTM(Transparent Mode)で送信し、RRC Connection Setupの手順を開始する(ステップST21)。次に、無線ネットワーク制御装置は、RRC Connection SetupメッセージをCCCH(フォワードアクセスチャネル(以下「FACH」と記載する))によりUM(Unacknowledged Mode)で端末に送り返す(ステップST22)。端末はRRC Connection Setupメッセージを受信した後に、RRC Connection Setupメッセージに含まれるパラメータによりレイヤ1及びレイヤ2の設定を行い、専用制御チャネル(以下「DCCH」と記載する)を設立する。ネットワークの指示により、端末は、トランスポートチャンネルの共通チャンネルを使用する場合、RRC Connected ModeでCELL_FACHの状態(State)に入る。次に、端末は、RRC Connected Modeに入った後に、DCCHによりAM(Acknowledged Mode)でRRC Connection Setup Completeメッセージを無線ネットワーク制御装置に送信し(ステップST23)、RRC Connection Setupの手順は終了する。
次に、端末がトランスポートチャンネルの個別チャンネルを使用する場合のRRC接続手順について、図2を用いて説明する。図2は、端末がトランスポートチャンネルの個別チャンネルを使用する場合のRRC接続手順を示すシーケンス図である。なお、図2において、図1と同一手順である部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
無線ネットワーク制御装置は、RRC Connection Requestメッセージを受信した後に、基地局装置との間で個別チャンネルを設立するためにRadio Link Setup Requestを基地局装置へ送信し(ステップST31)、基地局装置はRadio Link Setup Responseを返信する(ステップST32)。端末はRRC Connection Setupメッセージを受信した後に、RRC Connection Setupメッセージに含まれるパラメータによりレイヤ1及びレイヤ2の設定を行い、DCCHを設立する。そして、端末と基地局装置との間でレイヤ1の同期を確立する。次に、基地局装置は、Radio Link Restore Indicationを無線ネットワーク制御装置へ送信する(ステップST33)。
上記のようなRRC接続手順において、端末がセルエッジ(Cell Edge)等の電波の到達(Coverage)情況が良くないところにある時、無線ネットワーク制御装置はRRC Connection Requestメッセージを受信できない場合がある。この場合、端末は、RRC Connection Requestメッセージを再送する。RRC Connection RequestメッセージはRLC(Radio Link Control)の透過モードで送信されるものであり、レイヤ2で受信結果を確認し自動再送する機能はない。そのため、RRC Connection Requestメッセージの再送はレイヤ3で行われる。再送されるメッセージは、下位のレイヤを経由して送信されるので、レイヤ3での再送はレイヤ2での再送と比べて、再送遅延が長くなる。
3GPP規格では、RRC Connection Requestメッセージの再送の時間間隔及び再送回数を、T300とN300のタイマー値と定数で定義している。デフォルトの設定値として、T300は1秒、N300は3回である。従って、端末からのRRC Connection Requestメッセージの再送により、電波の弱いところで、数秒の再送遅延が発生する。そして、再送される場合は、再送なしの場合と比べ、通信接続遅延は2倍以上になる場合がある。
3GPP規格では、T300の値は、100ms〜8000msの間でテーブルを用いて複数の値が定義されている。ネットワークでは、テーブルの値を用いてT300を設定する。この場合、RRC Connection Setup Requestメッセージの再送遅延を減らすためには、T300の値を小さい値に設定することが考えられる。T300を小さい値に設定することによって、RRC Connection Setup Requestメッセージは短い時間間隔で複数回数送信される。
しかし、端末がネットワークの電波の到達状況が良いところに存在する場合には、RRC Connection Setup Requestメッセージの再送が行われる可能性は低い。このような場合に、例えば、RRC Connection Setup Requestの送信からRRC Connection Setupの受信までの時間間隔より短い値にT300を設定すると、再送が必要でない場合でも、端末はRRC Connection Requestメッセージの再送を行うので、端末の電力は無駄に消費されるという問題がある。
現在のUMTSでは、端末の無駄な送信電力の消費を防ぐために、T300の設定値は、RRC Connection Setup Requestメッセージの送信開始から、RRC Connection Setupメッセージの受信が終わるまでの時間間隔を考慮して設定される。
しかしながら、従来の装置においては、RRC Connection Setup Requestメッセージの送信開始から、RRC Connection Setupメッセージの受信が終わるまでの時間間隔を考慮してT300の値を設定するので、T300の値を小さくするのに制約があり、再送による遅延を短縮することができないという問題がある。
本発明の目的は、受信確認を早いタイミングで返信することにより、再送による遅延を抑制することができる無線ネットワーク制御装置及び再送方法を提供することである。
本発明の無線ネットワーク制御装置は、無線通信のための接続である無線リソース制御接続の設定を要求する接続要求メッセージを受信する受信手段と、受信した前記接続要求メッセージを読み取る読み取り手段と、前記接続要求メッセージが正しく読み取れた場合に受信成功を示すメッセージを作成するとともに前記無線リソース制御接続を設定するためのメッセージである接続設定メッセージを作成するメッセージ作成手段と、前記受信成功を示すメッセージを送信した後に前記接続設定メッッセージを送信する送信制御手段と、を具備する構成を採る。
本発明の通信システムは、通信端末装置と無線ネットワーク制御装置とが無線通信のための接続である無線リソース制御接続の設定の手順を実行する通信システムであって、前記通信端末装置は、送信した前記無線リソース制御接続の設定を要求する接続要求メッセージの受信成功を示すメッセージを所定時間内に受信しなかった場合に前記接続要求メッセージを再送するとともに、受信した接続設定メッセージに含まれる無線リソース制御接続を設定するための情報である接続情報に基づいて無線リソース制御接続を設定し、前記無線ネットワーク制御装置は、受信した前記接続要求メッセージが正しく読み取れた場合に前記受信成功を示すメッセージを送信するとともに前記受信成功を示すメッセージを送信した後に前記接続情報を含む接続設定メッセージを送信する構成を採る。
本発明の通信方法は、通信端末装置と無線ネットワーク制御装置とが無線通信のための接続である無線リソース制御接続の設定の手順を実行する通信方法であって、前記通信端末装置が前記無線リソース制御接続の設定を要求する接続要求メッセージを送信するステップと、前記無線ネットワーク制御装置が前記接続要求メッセージを受信するステップと、受信した前記接続要求メッセージが正しく読み取れた場合に受信成功を示すメッセージを作成するとともに前記無線リソース制御接続を設定するための情報である接続情報を含む接続設定メッセージを作成するステップと、前記無線ネットワーク制御装置が前記受信成功を示すメッセージを送信した後に前記接続設定メッセージを送信するステップと、前記通信端末装置が前記接続設定メッセージを受信した場合に前記接続情報に基づいて無線リソース制御接続を設定し、前記通信端末装置が所定時間内に前記受信成功を示すメッセージを受信しなかった場合に前記接続要求メッセージを再送するステップと、を具備するようにした。
本発明によれば、受信確認を早いタイミングで返信することにより、再送による遅延を抑制することができる。
従来のRRC接続手順を示すシーケンス図
従来のRRC接続手順を示すシーケンス図
本発明の実施の形態1に係る無線ネットワーク制御装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1に係るRRC接続手順を示すシーケンス図
本発明の実施の形態1に係るRRC接続手順を示すシーケンス図
本発明の実施の形態1に係る再送遅延の削減量を示す図
本発明の実施の形態2に係る無線ネットワーク制御装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態2に係るRRC接続手順を示すシーケンス図
本発明の実施の形態2に係るRRC接続手順を示すシーケンス図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図3は、本発明の実施の形態1に係る無線ネットワーク制御装置100の構成を示すブロック図である。
レイヤ1/レイヤ2部101は、基地局装置から送信された、RRC接続の設定を要求するRRC接続要求メッセージを含む受信信号を受信して、レイヤ1及びレイヤ2の処理を行って読み取り部102へ出力する。
読み取り部102は、レイヤ1/レイヤ2部101から入力した受信信号に含まれる各種のデータを読み取って受信データとして出力する。また、読み取り部102は、レイヤ1/レイヤ2部101から入力した受信信号に含まれるRRC接続要求メッセージを読み取る。そして、読み取り部102は、RRC接続要求メッセージが誤りなく正しく読み取れた場合には、正しく読み取れた旨の情報を送信制御部103及びメッセージ作成部104へ出力する。
送信制御部103は、読み取り部102から正しく読み取れた旨の情報が入力した場合には、メッセージ作成部104から出力される、RRC接続を設定するためのメッセージであるRRC接続設定メッセージ、及びACK生成部105から出力されるACKメッセージのタイミングを制御する。具体的には、送信制御部103は、ACK生成部105にて生成されたACKメッセージが最初に送信されるようにACK生成部105を制御するとともに、ACKメッセージに続いてメッセージ作成部104にて生成されたRRC接続設定メッセージが送信されるようにメッセージ作成部104を制御する。
メッセージ作成部104は、読み取り部102からメッセージが正しく読み取れた旨の情報が入力した場合には、RRC接続を設定するための情報である情報要素(接続情報)を含むRRC接続設定メッセージを作成する。そして、メッセージ作成部104は、送信制御部103の制御に基づいて、作成したRRC接続設定メッセージをレイヤ1/レイヤ2部106へ出力する。また、メッセージ作成部104は、RRC接続を設定するための情報である情報要素の一部をACK生成部105へ出力する。メッセージ作成部104がACK生成部105に出力する情報要素は、最小送信単位である1ブロックに収まるサイズである。
ACK生成部105は、メッセージ作成部104から情報要素が入力した場合には、入力した情報要素を含む1ブロックのACKメッセージを作成する。そして、ACK生成部105は、送信制御部103の制御に基づいて、生成したACKメッセージをレイヤ1/レイヤ2部106へ出力する。
レイヤ1/レイヤ2部106は、メッセージ作成部104から入力したRRC接続設定メッセージに対してレイヤ1及びレイヤ2の処理を行って基地局装置へ送信する。また、レイヤ1/レイヤ2部106は、ACK生成部105から入力したACKメッセージに対してレイヤ1及びレイヤ2の処理を行って基地局装置へ送信する。
次に、RRC接続手順について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、通信端末装置がトランスポートチャネルの共通チャネルを使用する場合のRRC接続手順を示すシーケンス図であり、図5は、通信端末装置がトランスポートチャネルの個別チャネルを使用する場合のRRC接続手順を示すシーケンス図である。
最初に、通信端末装置がトランスポートチャネルの共通チャネルを使用する場合のRRC接続手順について説明する。まず、通信端末装置は、RRC接続要求メッセージであるRRC Connection Requestメッセージを送信し、RRC Connection Setupの手順を開始する(ステップST201)。RRC Connection Requestメッセージには、「InitialUE-Identity」、「Establishment cause」、「protocol ErrorIndicator」、「MeasurementResultsOnRACH」の情報要素(Informatin Element)が含まれている。また、RRC Connection Requestメッセージのデータサイズは、1ブロック(168ビット)である。
RRC Connection Requestメッセージを受信した無線ネットワーク制御装置100は、読み取り部102にて、RRC Connection Requestメッセージを読み取る。読み取り部102がRRC Connection Requestメッセージを誤りなく正しく読み取れた場合には、ACK生成部105はACKメッセージを生成する。ACK生成部105にて生成されるACKメッセージには、従来はRRC Connection Setupメッセージで送り返していた「InitialUE-Identity」が含まれている。さらに、ACKメッセージには、「InitialUE-Identity」以外にも、従来はRRC Connection Setupメッセージで送り返していた「RNTI」、「RRCStateIndicator」、「Radio Bearer IE」、「Transport Channel IE」、「Physical Channel IE」の中の任意に選択した情報要素が含まれている。ただし、ACK生成部105は、ACKメッセージのデータサイズが1ブロックに収まるように情報要素を選択する。
そして、無線ネットワーク制御装置100は、ACK生成部105が生成したACKメッセージを基地局装置経由にて通信端末装置へ送信する(ステップST202)。次に、無線ネットワーク制御装置100は、RRC接続設定メッセージであるRRC Connection Setupメッセージを通信端末装置に送り返す(ステップST203)。RRC Connection Setupメッセージには、「InitialUE-Identity」が含まれている。さらに、RRC Connection Setupメッセージには、「InitialUE-Identity」以外にも、「RNTI」、「RRCStateIndicator」、「Radio Bearer IE」、「Transport Channel IE」、「Physical Channel IE」の内、ACKメッセージに含まれなかった情報要素が含まれている。従って、RRC Connection
Setupメッセージのデータサイズは、従来方法より小さい6ブロックにすることができる。
次に、通信端末装置は、所定時間内にACKメッセージを受信することにより、無線ネットワーク制御装置100にてRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れたものと判断する。ACKメッセージは受信成功を通知するための専用のメッセージなので、通信端末装置は、ACKメッセージを受信することにより受信成功と判断することができる。一方、通信端末装置は、所定時間内にACKメッセージを受信しなかった場合には、無線ネットワーク制御装置100にてRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れなかったものと判断して、RRC Connection Requestメッセージの再送を行う。
次に、通信端末装置は、RRC Connection Setupメッセージを受信した後に、RRC Connection Setupメッセージに含まれるパラメータによりレイヤ1及びレイヤ2の設定を行い、DCCHを設立する。ネットワークの指示により、通信端末装置は、トランスポートチャンネルの共通チャンネルを使用する場合、RRC Connected ModeでCELL_FACHの状態(State)に入る。次に、通信端末装置は、RRC Connected Modeに入った後に、DCCHによりAM(Acknowledged Mode)でRRC Connection Setup Completeメッセージを無線ネットワーク制御装置に送信し(ステップST204)、RRC Connection Setupの手順は終了する。このように、通信端末装置は、1ブロックのACKメッセージと6ブロックのRRC Connection Setupメッセージとの合計7ブロックのデータサイズに含まれる情報要素を用いて、RRC接続の設定を行う。
次に、通信端末装置がトランスポートチャネルの個別チャネルを使用する場合のRRC接続手順について、図5を用いて説明する。なお、図5において、図4と同一手順である部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
無線ネットワーク制御装置は、RRC Connection Requestメッセージを受信した後に、基地局装置との間で個別チャンネルを設立するためにRadio Link Setup Requestを基地局装置へ送信し、基地局装置はRadio Link Setup Responseを返信する(ステップST301)。端末はRRC Connection Setupメッセージを受信した後に、RRC Connection Setupメッセージに含まれるパラメータによりレイヤ1及びレイヤ2の設定を行い、DCCHを設立する。そして、端末と基地局装置との間でレイヤ1の同期を確立する。次に、基地局装置は、Radio Link Restore Indicationを無線ネットワーク制御装置へ送信する(ステップST302)。
図6は、通信端末装置がトランスポートチャネルの共通チャネルを使用する場合のRRC接続手順と通信端末装置がトランスポートチャネルの個別チャネルを使用する場合のRRC接続手順とにおける、従来と本実施の形態1との再送遅延の削減効果を比較した図である。
共通チャネルを使用する場合、従来の再送遅延は、RRC Connection Requestメッセージの伝送時間t0とRRC Connection Setupメッセージの伝送時間t2との合計(t0+t2)になる。一方、本実施の形態1の再送遅延は、RRC Connection Requestメッセージの伝送時間t0とACKメッセージの伝送時間tackとの合計(t0+tack)になる。従って、本実施の形態1における再送遅延の削減量は(t2−tack)になり、RRC Connection Setupメッセージの伝送時間t2を従来の約7分の1に短縮することができる。
また、個別チャネルを使用する場合、従来の再送遅延は、RRC Connection Requestメッセージの伝送時間t0とRadio link setup手順の所要時間t1とRRC Connection Setupメッセージの伝送時間t2との合計(t0+t1+t2)になる。一方、本実施の形態1の再送遅延は、RRC Connection Requestメッセージの伝送時間t0とACKメッセージの伝送時間tackとの合計(t0+tack)になる。従って、本実施の形態1における再送遅延の削減量は(t1+t2−tack)になり、Radio link setup手順の所要時間t1を削除することができるとともに、RRC Connection Setupメッセージの伝送時間t2を従来の約7分の1に短縮することができる。
図6は、再送遅延の削減量を定量的に示すものである。UMTSでは、T300はテーブルに定義されている値しか設定されないので、UMTSにおいては、削減値は図6に示される値ではなく、ACKメッセージの送信の時に設定されるT300の値の差が再送遅延の削減量になる。即ち、UMTSにおける再送遅延の削減量Δt1は、(2)式により求めることができる。
Δt1=T300old−T300new(ms) (2)
ただし、T300oldは従来設定されていたT300の値
T300newは本実施の形態1で設定するT300の値
また、RRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れない確率、即ち再送が発生する確率は、3GPPの規格書TS25.104に基地局装置のPRACH messageの受信性能として規定されている(BLERは10^−1〜10^−2の範囲である)。即ち、RRC Connection Requestメッセージのサイズは1ブロックのため、メッセージ受信失敗の確率はBLERと同じである。
また、従来のRRC Connection Requestメッセージの送信からRRC Connection Setupメッセージの受信までの平均時間tは、(3)式より求めることができる。
t=(1−P)×(T2−T0)+((T2−T0)+T300old)×P (3)
ただし、T0はRRC Connection Requestメッセージの送信開始時刻
T2はRRC Connection Setupメッセージの受信完了時刻
PはRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れない確率
T300oldは従来設定されていたT300の値
一方、本実施の形態1のRRC Connection Requestメッセージの送信からRRC Connection Setupメッセージの受信までの平均時間t′は、(4)式より求めることができる。
t′=(1−P)×(T2−T0)+((T2−T0)+T300new)×P (4)
ただし、T0はRRC Connection Requestメッセージの送信開始時刻
T2はRRC Connection Setupメッセージの受信完了時刻
PはRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れない確率
T300newは本実施の形態1で設定するT300の値
従って、(3)式と(4)式より、本実施の形態1におけるRRC Connection Requestメッセージの送信からRRC Connection Setupメッセージの受信までの平均時間の削減量Δt2は、(5)式より求めることができる。
Δt2=t−t′=(T300old−T300new)×P (5)
ただし、tは従来のRRC Connection Requestメッセージの送信からRRC Connection Setup
メッセージの受信までの平均時間
t′は本実施の形態1のRRC Connection Requestメッセージの送信からRRC Con-
nection Setupメッセージの受信までの平均時間
T300oldは従来設定されていたT300の値
T300newは本実施の形態1で設定するT300の値
PはRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れない確率
これより、本実施の形態1においては、従来に比べて平均的にRRCの接続時間はΔt2だけ短縮することができる。
また、3GPP リリース5以降の規格では、Default configurationとPredefined configurationと呼ばれるPre-configuration方法をRRC接続手順に導入している。即ち、RRC Connection Setupメッセージ内の無線ベアラ情報(RB IE)、Transport Channel情報(TrCH IE)を、規格規定(Default configuration)やシステムの報知情報(Predefined configurationSIB16)によって予め通信端末装置に報知しておく。この場合、RRC Connection SetupメッセージにはRB/TrCH IEの実体ではなく、これらの情報要素に対応するインデックスだけを含める。従って、送信するメッセージのサイズを減らし、メッセージの伝送時間を減らすことができる。
因みに、UMTSでは、異なるリリースの規格に対応する無線ネットワーク制御装置と通信端末装置とが同時に存在する可能性がある。例えば、本実施の形態1の構成を備えていない無線ネットワーク制御装置、即ちACKメッセージを生成して送信する機能を有さない無線ネットワーク制御装置は、RRC Connection Requestメッセージの受信成功のメッセージを送らない。この場合、ACKメッセージを受信した場合に再送を行わない機能を有する通信端末装置は、無線ネットワーク制御装置にてRRC Connection Requestが正しく読み取れなかったものと判断し、RRC Connection Requestメッセージの再送を行う。このような無線ネットワーク制御装置と通信端末装置との規格バージョンの不一致によって発生する不具合は、無線ネットワーク制御装置の規格バージョン及び各バージョンに対応するT300の設定値を、システムの報知情報で通信端末装置に知らせることによって防ぐことができる。
このように、本実施の形態1によれば、RRC Connection Setupメッセージよりも先にACKメッセージを送信することにより、通信端末装置は、RRC Connection Setupメッセージを受信する前の早いタイミングでACKメッセージを受信することができるので、T300の値を小さくすることができて再送の時間間隔を短く設定することができ、再送による遅延を抑制することができる。また、本実施の形態1によれば、ACKメッセージには、通信端末装置にてRRC接続手順を実行する際に用いる情報要素の一部を含めることにより、送信する情報要素の伝送量は従来と同じであるので、ACKメッセージの送信によるRRC接続手順全体の伝送時間の増加を抑制することができる。また、本実施の形態1によれば、ACKメッセージは最小送信単位である1ブロックから構成されるので、ACKメッセージの送信時間を短くすることができるとともに、ACKメッセージの作成が容易であるので、早期にACKメッセージを送信することができる。
なお、本実施の形態1において、ACKメッセージのサイズを1ブロックにするとともにRRC Connection Setupメッセージのサイズを6ブロックにしたが、これに限らず、ACKメッセージのサイズを1ブロック以外の任意のサイズにすることができるとともに、RRC Connection Setupメッセージのサイズを6ブロック以外の任意のサイズにすることができる。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る無線ネットワーク制御装置500の構成を示すブロック図である。
本実施の形態2に係る無線ネットワーク制御装置500は、図3に示す実施の形態1に係る無線ネットワーク制御装置100において、図7に示すように、ACK生成部105を除き、メッセージ作成部104の代わりにメッセージ作成部501を有する。なお、図7においては、図3と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
読み取り部102は、レイヤ1/レイヤ2部101から入力した受信信号に含まれる各種のデータを読み取って受信データとして出力する。また、読み取り部102は、レイヤ1/レイヤ2部101から入力した受信信号に含まれるRRC接続要求メッセージを読み取る。そして、読み取り部102は、RRC接続要求メッセージが誤りなく正しく読み取れた場合には、正しく読み取れた旨の情報を送信制御部103及びメッセージ作成部501へ出力する。
送信制御部103は、読み取り部102から正しく読み取れた旨の情報が入力した場合には、メッセージ作成部501から出力されるRRC接続設定メッセージのタイミングを制御する。
メッセージ作成部501は、読み取り部102からメッセージが正しく読み取れた旨の情報が入力した場合には、RRC接続を設定するための複数のRRC接続設定メッセージを作成する。そして、メッセージ作成部104は、送信制御部103の制御に基づいて、作成した複数のRRC接続設定メッセージをレイヤ1/レイヤ2部106へ出力する。メセージ作成部501は、各RRC接続設定メッセージに異なる情報要素が含まれるようにRRC接続設定メッセージを作成する。なお、各RRC接続設定メッセージは、任意のブロック数にすることができる。
レイヤ1/レイヤ2部106は、メッセージ作成部501から入力したRRC接続設定メッセージに対してレイヤ1及びレイヤ2の処理を行って基地局装置へ送信する。
次に、RRC接続手順について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、通信端末装置がトランスポートチャネルの共通チャネルを使用する場合のRRC接続手順を示すシーケンス図であり、図9は、通信端末装置がトランスポートチャネルの個別チャネルを使用する場合のRRC接続手順を示すシーケンス図である。なお、図8及び図9においては、図4及び図5と同一動作である部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
最初に共通チャネルを使用する場合のRRC接続手順について説明する。無線ネットワーク制御装置500は、メッセージ作成部501が生成したRRC Connection Setupメッセージを基地局装置経由にて通信端末装置へ送信する(ステップST601)。ステップST601で送信するRRC Connection Setupメッセージには、「InitialUE-Identity」が含まれている。さらに、ステップST601で送信するRRC Connection Setupメッセージには、「InitialUE-Identity」以外にも、「RNTI」、「RRCStateIndicator」、「Radio Bearer IE」、「Transport Channel IE」、「Physical Channel IE」の中の任意に選択した一部の情報要素が含まれている。さらに、ステップST601で送信するRRC Connection Setupメッセージには、受信成功を通知するメッセージとして利用されていることを示すためのフラグであるRRC Connection Request RxOK Flagが含まれている。
次に、通信端末装置は、所定時間内にRRC Connection Request RxOK Flagを含むRRC Connection Setupメッセージを受信した場合には、無線ネットワーク制御装置500にてRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れたものと判断する。一方、通信端末装置は、所定時間内にRRC Connection Request RxOK Flagを含むRRC Connection Setupメッセージを受信しなかった場合には、無線ネットワーク制御装置500にてRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れなかったものと判断して、RRC Connection Requestメッセージの再送を行う。
次に、無線ネットワーク制御装置500は、メッセージ作成部501が生成したRRC Connection Setupメッセージを基地局装置経由にて通信端末装置へ送信する(ステップST602)。ステップST602で送信するRRC Connection Setupメッセージには、「InitialUE-Identity」が含まれている。さらに、ステップST602で送信するRRC Connection Setupメッセージには、「InitialUE-Identity」以外にも、ステップST601で送信したRRC Connection Setupメッセージには含まれていない残りの情報要素が含まれている。なお、図9の個別チャネルを使用する場合のRRC接続手順において、ステップST601及びステップST602は共通チャネルを使用する場合のRRC接続手順と同一であるので、その説明は省略する。また、無線ネットワーク制御装置と通信端末装置との規格バージョンの不一致によって発生する不具合については、無線ネットワーク制御装置の規格バージョンを、システムの報知情報で通信端末装置に知らせることによって防ぐことができる点は、上記実施の形態1と同様である。また、再送遅延の削減量Δt1及びRRC Connection Requestメッセージの送信からRRC Connection Setupメッセージの受信までの平均時間の削減量Δt2は、上記実施の形態1と同様である。
このように、本実施の形態2によれば、複数のRRC Connection Setupメッセージを送信するとともに最初に送信したRRC Connection Setupメッセージにて受信成功を通知することにより、通信端末装置は、最初のRRC Connection Setupメッセージの受信タイミングで受信成功を知ることができるので、T300の値を小さくすることができて再送の時間間隔を短く設定することができ、再送による遅延を抑制することができる。また、本実施の形態2によれば、RRC Connection Setupメッセージの一部にて受信成功を通知することにより、送信する情報要素の伝送量は従来と同じであるので、RRC接続手順全体の伝送時間の増加を抑制することができる。また、本実施の形態2によれば、受信成功を通知するメッセージとRRC接続メッセージとを同じメッセージにするので、3GPPのプロトコル規格に対する変更を最小限に抑えることができる。
なお、本実施の形態2において、RRC Connection Setupメッセージを2回に分けて送信したが、これに限らず、3回以上の任意の回数に分けて送信しても良い。この場合、各RRC Connection Setupメッセージには異なる情報要素が含まれるようにすることにより、送信する情報要素の伝送量は従来と同じにすることができる。
本発明にかかる無線ネットワーク制御装置、通信システム及び通信方法は、RRC接続手順を実行するのに好適である。
本発明は、特に無線リソース制御(Radio Resource Control:以下「RRC」と記載する)接続手順を実行する無線ネットワーク制御装置、通信システム及び通信方法に関する。
移動通信システムの通信接続遅延は、サービスの品質を判断する上で重要なファクターである。ここで、通信接続遅延とは、ユーザが音声もしくデータのサービスを開始する操作をしてからユーザが音声またはデータサービスを受けられるまでの遅延時間である。第3世代移動通信システムにおけるHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)及びHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)等の高速化技術の導入に伴い、通信接続の手順に発生する遅延はユーザが体験する通信遅延の中でより高いウェートを占めている。第3世代携帯電話の通信接続遅延を改善するために、標準化団体3GPP RANのWG2は、2005年3月から、既存システムの通信接続遅延の主要発生要因の解析を行い、改善方法の検討を進めている(例えば、非特許文献1)。
UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)では、端末(UE)とネットワークとの通信接続手順は、端末と基地局、無線ネットワーク制御装置(RNC)、コアネットワーク(CN)の各ノード間の接続手順(プロシージャ)によって構成されている。ノード間のシグナリングメッセージの伝送時間は遅延の最も大きな要因である。UMTSの音声通信接続(Circuit-Switched Call Setup)の手順において、遅延時間の実測定値の一例が示されている(例えば、非特許文献2)。この解析結果において、音声通信接続遅延は、主に、無線通信のための接続手順であるRRC接続手順、端末の認証を含む端末とコアネットワークとの初期シグナリング手順及びユーザの音声を伝送するベアラの接続手順等の遅延から構成されている。パケットデータの通信接続手順(PS Call Setup)は音声通信接続手順と多少異なるが、遅延の構成は基本的に同様である。
次に、端末がトランスポートチャンネルの共通チャンネルを使用する場合のRRC接続手順について、図1を用いて説明する。図1は、端末がトランスポートチャンネルの共通チャンネルを使用する場合のRRC接続手順を示すシーケンス図である。
UMTSでは、端末は電源を入れた後に、ネットワーク(PLMN)の探索及びセルの探索(セルサーチ)を経て、アイドルモードに入る。アイドルモードの端末はネットワークのページング情報を受信した場合、もしくは端末から発呼する場合、端末はRRCの接続手順を起動する。RRCの接続手順は、端末と無線ネットワーク制御装置との間の三つのシグナリングメッセージの送受信によって構成されている。
まず、端末は、共通制御チャネル(以下「CCCH」と記載する)(ランダムアクセスチャネル(以下「RACH」と記載する))によりRRC Connection RequestメッセージをTM(Transparent Mode)で送信し、RRC Connection Setupの手順を開始する(ステップST21)。次に、無線ネットワーク制御装置は、RRC Connection SetupメッセージをCCCH(フォワードアクセスチャネル(以下「FACH」と記載する))によりUM(Unacknowledged Mode)で端末に送り返す(ステップST22)。端末はRRC Connection Setupメッセージを受信した後に、RRC Connection Setupメッセージに含まれるパラメータによりレイヤ1及びレイヤ2の設定を行い、専用制御チャネル(以下「DCCH」と記載する)を設立する。ネットワークの指示により、端末は、トランスポートチャンネルの共通チャンネルを使用する場合、RRC Connected ModeでCELL_FACHの状態(State)に入る。
次に、端末は、RRC Connected Modeに入った後に、DCCHによりAM(Acknowledged Mode)でRRC Connection Setup Completeメッセージを無線ネットワーク制御装置に送信し(ステップST23)、RRC Connection Setupの手順は終了する。
次に、端末がトランスポートチャンネルの個別チャンネルを使用する場合のRRC接続手順について、図2を用いて説明する。図2は、端末がトランスポートチャンネルの個別チャンネルを使用する場合のRRC接続手順を示すシーケンス図である。なお、図2において、図1と同一手順である部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
無線ネットワーク制御装置は、RRC Connection Requestメッセージを受信した後に、基地局装置との間で個別チャンネルを設立するためにRadio Link Setup Requestを基地局装置へ送信し(ステップST31)、基地局装置はRadio Link Setup Responseを返信する(ステップST32)。端末はRRC Connection Setupメッセージを受信した後に、RRC Connection Setupメッセージに含まれるパラメータによりレイヤ1及びレイヤ2の設定を行い、DCCHを設立する。そして、端末と基地局装置との間でレイヤ1の同期を確立する。次に、基地局装置は、Radio Link Restore Indicationを無線ネットワーク制御装置へ送信する(ステップST33)。
上記のようなRRC接続手順において、端末がセルエッジ(Cell Edge)等の電波の到達(Coverage)情況が良くないところにある時、無線ネットワーク制御装置はRRC Connection Requestメッセージを受信できない場合がある。この場合、端末は、RRC Connection
Requestメッセージを再送する。RRC Connection RequestメッセージはRLC(Radio Link Control)の透過モードで送信されるものであり、レイヤ2で受信結果を確認し自動再送する機能はない。そのため、RRC Connection Requestメッセージの再送はレイヤ3で行われる。再送されるメッセージは、下位のレイヤを経由して送信されるので、レイヤ3での再送はレイヤ2での再送と比べて、再送遅延が長くなる。
3GPP規格では、RRC Connection Requestメッセージの再送の時間間隔及び再送回数を、T300とN300のタイマー値と定数で定義している。デフォルトの設定値として、T300は1秒、N300は3回である。従って、端末からのRRC Connection Requestメッセージの再送により、電波の弱いところで、数秒の再送遅延が発生する。そして、再送される場合は、再送なしの場合と比べ、通信接続遅延は2倍以上になる場合がある。
3GPP規格では、T300の値は、100ms〜8000msの間でテーブルを用いて複数の値が定義されている。ネットワークでは、テーブルの値を用いてT300を設定する。この場合、RRC Connection Setup Requestメッセージの再送遅延を減らすためには、T300の値を小さい値に設定することが考えられる。T300を小さい値に設定することによって、RRC Connection Setup Requestメッセージは短い時間間隔で複数回数送信される。
しかし、端末がネットワークの電波の到達状況が良いところに存在する場合には、RRC Connection Setup Requestメッセージの再送が行われる可能性は低い。このような場合に、例えば、RRC Connection Setup Requestの送信からRRC Connection Setupの受信までの時間間隔より短い値にT300を設定すると、再送が必要でない場合でも、端末はRRC Connection Requestメッセージの再送を行うので、端末の電力は無駄に消費されるという問題がある。
現在のUMTSでは、端末の無駄な送信電力の消費を防ぐために、T300の設定値は、RRC Connection Setup Requestメッセージの送信開始から、RRC Connection Setupメッセージの受信が終わるまでの時間間隔を考慮して設定される。
しかしながら、従来の装置においては、RRC Connection Setup Requestメッセージの送信開始から、RRC Connection Setupメッセージの受信が終わるまでの時間間隔を考慮してT300の値を設定するので、T300の値を小さくするのに制約があり、再送による遅延を短縮することができないという問題がある。
本発明の目的は、受信確認を早いタイミングで返信することにより、再送による遅延を抑制することができる無線ネットワーク制御装置及び再送方法を提供することである。
本発明の無線ネットワーク制御装置は、無線通信のための接続である無線リソース制御接続の設定を要求する接続要求メッセージを受信する受信手段と、受信した前記接続要求メッセージを読み取る読み取り手段と、前記接続要求メッセージが正しく読み取れた場合に受信成功を示すメッセージを作成するとともに前記無線リソース制御接続を設定するためのメッセージである接続設定メッセージを作成するメッセージ作成手段と、前記受信成功を示すメッセージを送信した後に前記接続設定メッッセージを送信する送信制御手段と、を具備する構成を採る。
本発明の通信システムは、通信端末装置と無線ネットワーク制御装置とが無線通信のための接続である無線リソース制御接続の設定の手順を実行する通信システムであって、前記通信端末装置は、送信した前記無線リソース制御接続の設定を要求する接続要求メッセージの受信成功を示すメッセージを所定時間内に受信しなかった場合に前記接続要求メッセージを再送するとともに、受信した接続設定メッセージに含まれる無線リソース制御接続を設定するための情報である接続情報に基づいて無線リソース制御接続を設定し、前記無線ネットワーク制御装置は、受信した前記接続要求メッセージが正しく読み取れた場合に前記受信成功を示すメッセージを送信するとともに前記受信成功を示すメッセージを送信した後に前記接続情報を含む接続設定メッセージを送信する構成を採る。
本発明の通信方法は、通信端末装置と無線ネットワーク制御装置とが無線通信のための接続である無線リソース制御接続の設定の手順を実行する通信方法であって、前記通信端末装置が前記無線リソース制御接続の設定を要求する接続要求メッセージを送信するステップと、前記無線ネットワーク制御装置が前記接続要求メッセージを受信するステップと、受信した前記接続要求メッセージが正しく読み取れた場合に受信成功を示すメッセージ
を作成するとともに前記無線リソース制御接続を設定するための情報である接続情報を含む接続設定メッセージを作成するステップと、前記無線ネットワーク制御装置が前記受信成功を示すメッセージを送信した後に前記接続設定メッセージを送信するステップと、前記通信端末装置が前記接続設定メッセージを受信した場合に前記接続情報に基づいて無線リソース制御接続を設定し、前記通信端末装置が所定時間内に前記受信成功を示すメッセージを受信しなかった場合に前記接続要求メッセージを再送するステップと、を具備するようにした。
本発明によれば、受信確認を早いタイミングで返信することにより、再送による遅延を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図3は、本発明の実施の形態1に係る無線ネットワーク制御装置100の構成を示すブロック図である。
レイヤ1/レイヤ2部101は、基地局装置から送信された、RRC接続の設定を要求するRRC接続要求メッセージを含む受信信号を受信して、レイヤ1及びレイヤ2の処理を行って読み取り部102へ出力する。
読み取り部102は、レイヤ1/レイヤ2部101から入力した受信信号に含まれる各種のデータを読み取って受信データとして出力する。また、読み取り部102は、レイヤ1/レイヤ2部101から入力した受信信号に含まれるRRC接続要求メッセージを読み取る。そして、読み取り部102は、RRC接続要求メッセージが誤りなく正しく読み取れた場合には、正しく読み取れた旨の情報を送信制御部103及びメッセージ作成部104へ出力する。
送信制御部103は、読み取り部102から正しく読み取れた旨の情報が入力した場合には、メッセージ作成部104から出力される、RRC接続を設定するためのメッセージであるRRC接続設定メッセージ、及びACK生成部105から出力されるACKメッセージのタイミングを制御する。具体的には、送信制御部103は、ACK生成部105にて生成されたACKメッセージが最初に送信されるようにACK生成部105を制御するとともに、ACKメッセージに続いてメッセージ作成部104にて生成されたRRC接続設定メッセージが送信されるようにメッセージ作成部104を制御する。
メッセージ作成部104は、読み取り部102からメッセージが正しく読み取れた旨の
情報が入力した場合には、RRC接続を設定するための情報である情報要素(接続情報)を含むRRC接続設定メッセージを作成する。そして、メッセージ作成部104は、送信制御部103の制御に基づいて、作成したRRC接続設定メッセージをレイヤ1/レイヤ2部106へ出力する。また、メッセージ作成部104は、RRC接続を設定するための情報である情報要素の一部をACK生成部105へ出力する。メッセージ作成部104がACK生成部105に出力する情報要素は、最小送信単位である1ブロックに収まるサイズである。
ACK生成部105は、メッセージ作成部104から情報要素が入力した場合には、入力した情報要素を含む1ブロックのACKメッセージを作成する。そして、ACK生成部105は、送信制御部103の制御に基づいて、生成したACKメッセージをレイヤ1/レイヤ2部106へ出力する。
レイヤ1/レイヤ2部106は、メッセージ作成部104から入力したRRC接続設定メッセージに対してレイヤ1及びレイヤ2の処理を行って基地局装置へ送信する。また、レイヤ1/レイヤ2部106は、ACK生成部105から入力したACKメッセージに対してレイヤ1及びレイヤ2の処理を行って基地局装置へ送信する。
次に、RRC接続手順について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、通信端末装置がトランスポートチャネルの共通チャネルを使用する場合のRRC接続手順を示すシーケンス図であり、図5は、通信端末装置がトランスポートチャネルの個別チャネルを使用する場合のRRC接続手順を示すシーケンス図である。
最初に、通信端末装置がトランスポートチャネルの共通チャネルを使用する場合のRRC接続手順について説明する。まず、通信端末装置は、RRC接続要求メッセージであるRRC Connection Requestメッセージを送信し、RRC Connection Setupの手順を開始する(ステップST201)。RRC Connection Requestメッセージには、「InitialUE-Identity」、「Establishment cause」、「protocol ErrorIndicator」、「MeasurementResultsOnRACH」の情報要素(Informatin Element)が含まれている。また、RRC Connection Requestメッセージのデータサイズは、1ブロック(168ビット)である。
RRC Connection Requestメッセージを受信した無線ネットワーク制御装置100は、読み取り部102にて、RRC Connection Requestメッセージを読み取る。読み取り部102がRRC Connection Requestメッセージを誤りなく正しく読み取れた場合には、ACK生成部105はACKメッセージを生成する。ACK生成部105にて生成されるACKメッセージには、従来はRRC Connection Setupメッセージで送り返していた「InitialUE-Identity」が含まれている。さらに、ACKメッセージには、「InitialUE-Identity」以外にも、従来はRRC Connection Setupメッセージで送り返していた「RNTI」、「RRCStateIndicator」、「Radio Bearer IE」、「Transport Channel IE」、「Physical Channel IE」の中の任意に選択した情報要素が含まれている。ただし、ACK生成部105は、ACKメッセージのデータサイズが1ブロックに収まるように情報要素を選択する。
そして、無線ネットワーク制御装置100は、ACK生成部105が生成したACKメッセージを基地局装置経由にて通信端末装置へ送信する(ステップST202)。次に、無線ネットワーク制御装置100は、RRC接続設定メッセージであるRRC Connection Setupメッセージを通信端末装置に送り返す(ステップST203)。RRC Connection Setupメッセージには、「InitialUE-Identity」が含まれている。さらに、RRC Connection Setupメッセージには、「InitialUE-Identity」以外にも、「RNTI」、「RRCStateIndicator」、「Radio Bearer IE」、「Transport Channel IE」、「Physical Channel IE」の内、ACKメッセージに含まれなかった情報要素が含まれている。従って、RRC Connection
Setupメッセージのデータサイズは、従来方法より小さい6ブロックにすることができる。
次に、通信端末装置は、所定時間内にACKメッセージを受信することにより、無線ネットワーク制御装置100にてRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れたものと判断する。ACKメッセージは受信成功を通知するための専用のメッセージなので、通信端末装置は、ACKメッセージを受信することにより受信成功と判断することができる。一方、通信端末装置は、所定時間内にACKメッセージを受信しなかった場合には、無線ネットワーク制御装置100にてRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れなかったものと判断して、RRC Connection Requestメッセージの再送を行う。
次に、通信端末装置は、RRC Connection Setupメッセージを受信した後に、RRC Connection Setupメッセージに含まれるパラメータによりレイヤ1及びレイヤ2の設定を行い、DCCHを設立する。ネットワークの指示により、通信端末装置は、トランスポートチャンネルの共通チャンネルを使用する場合、RRC Connected ModeでCELL_FACHの状態(State)に入る。次に、通信端末装置は、RRC Connected Modeに入った後に、DCCHによりAM(Acknowledged Mode)でRRC Connection Setup Completeメッセージを無線ネットワーク制御装置に送信し(ステップST204)、RRC Connection Setupの手順は終了する。このように、通信端末装置は、1ブロックのACKメッセージと6ブロックのRRC Connection Setupメッセージとの合計7ブロックのデータサイズに含まれる情報要素を用いて、RRC接続の設定を行う。
次に、通信端末装置がトランスポートチャネルの個別チャネルを使用する場合のRRC接続手順について、図5を用いて説明する。なお、図5において、図4と同一手順である部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
無線ネットワーク制御装置は、RRC Connection Requestメッセージを受信した後に、基地局装置との間で個別チャンネルを設立するためにRadio Link Setup Requestを基地局装置へ送信し、基地局装置はRadio Link Setup Responseを返信する(ステップST301)。端末はRRC Connection Setupメッセージを受信した後に、RRC Connection Setupメッセージに含まれるパラメータによりレイヤ1及びレイヤ2の設定を行い、DCCHを設立する。そして、端末と基地局装置との間でレイヤ1の同期を確立する。次に、基地局装置は、Radio Link Restore Indicationを無線ネットワーク制御装置へ送信する(ステップST302)。
図6は、通信端末装置がトランスポートチャネルの共通チャネルを使用する場合のRRC接続手順と通信端末装置がトランスポートチャネルの個別チャネルを使用する場合のRRC接続手順とにおける、従来と本実施の形態1との再送遅延の削減効果を比較した図である。
共通チャネルを使用する場合、従来の再送遅延は、RRC Connection Requestメッセージの伝送時間t0とRRC Connection Setupメッセージの伝送時間t2との合計(t0+t2)になる。一方、本実施の形態1の再送遅延は、RRC Connection Requestメッセージの伝送時間t0とACKメッセージの伝送時間tackとの合計(t0+tack)になる。従って、本実施の形態1における再送遅延の削減量は(t2−tack)になり、RRC Connection Setupメッセージの伝送時間t2を従来の約7分の1に短縮することができる。
また、個別チャネルを使用する場合、従来の再送遅延は、RRC Connection Requestメッセージの伝送時間t0とRadio link setup手順の所要時間t1とRRC Connection Setupメッセージの伝送時間t2との合計(t0+t1+t2)になる。一方、本実施の形態1の
再送遅延は、RRC Connection Requestメッセージの伝送時間t0とACKメッセージの伝送時間tackとの合計(t0+tack)になる。従って、本実施の形態1における再送遅延の削減量は(t1+t2−tack)になり、Radio link setup手順の所要時間t1を削除することができるとともに、RRC Connection Setupメッセージの伝送時間t2を従来の約7分の1に短縮することができる。
図6は、再送遅延の削減量を定量的に示すものである。UMTSでは、T300はテーブルに定義されている値しか設定されないので、UMTSにおいては、削減値は図6に示される値ではなく、ACKメッセージの送信の時に設定されるT300の値の差が再送遅延の削減量になる。即ち、UMTSにおける再送遅延の削減量Δt1は、(2)式により求めることができる。
Δt1=T300old−T300new(ms) (2)
ただし、T300oldは従来設定されていたT300の値
T300newは本実施の形態1で設定するT300の値
また、RRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れない確率、即ち再送が発生する確率は、3GPPの規格書TS25.104に基地局装置のPRACH messageの受信性能として規定されている(BLERは10^−1〜10^−2の範囲である)。即ち、RRC Connection Requestメッセージのサイズは1ブロックのため、メッセージ受信失敗の確率はBLERと同じである。
また、従来のRRC Connection Requestメッセージの送信からRRC Connection Setupメッセージの受信までの平均時間tは、(3)式より求めることができる。
t=(1−P)×(T2−T0)+((T2−T0)+T300old)×P (3)ただし、T0はRRC Connection Requestメッセージの送信開始時刻
T2はRRC Connection Setupメッセージの受信完了時刻
PはRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れない確率
T300oldは従来設定されていたT300の値
一方、本実施の形態1のRRC Connection Requestメッセージの送信からRRC Connection
Setupメッセージの受信までの平均時間t′は、(4)式より求めることができる。
t′=(1−P)×(T2−T0)+((T2−T0)+T300new)×P (4)ただし、T0はRRC Connection Requestメッセージの送信開始時刻
T2はRRC Connection Setupメッセージの受信完了時刻
PはRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れない確率
T300newは本実施の形態1で設定するT300の値
従って、(3)式と(4)式より、本実施の形態1におけるRRC Connection Requestメッセージの送信からRRC Connection Setupメッセージの受信までの平均時間の削減量Δt2は、(5)式より求めることができる。
Δt2=t−t′=(T300old−T300new)×P (5)
ただし、tは従来のRRC Connection Requestメッセージの送信からRRC Connection Setup
メッセージの受信までの平均時間
t′は本実施の形態1のRRC Connection Requestメッセージの送信からRRC Con-
nection Setupメッセージの受信までの平均時間
T300oldは従来設定されていたT300の値
T300newは本実施の形態1で設定するT300の値
PはRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れない確率
これより、本実施の形態1においては、従来に比べて平均的にRRCの接続時間はΔt2だけ短縮することができる。
また、3GPP リリース5以降の規格では、Default configurationとPredefined configurationと呼ばれるPre-configuration方法をRRC接続手順に導入している。即ち、RRC Connection Setupメッセージ内の無線ベアラ情報(RB IE)、Transport Channel情報(TrCH IE)を、規格規定(Default configuration)やシステムの報知情報(Predefined configurationSIB16)によって予め通信端末装置に報知しておく。この場合、RRC Connection SetupメッセージにはRB/TrCH IEの実体ではなく、これらの情報要素に対応するインデックスだけを含める。従って、送信するメッセージのサイズを減らし、メッセージの伝送時間を減らすことができる。
因みに、UMTSでは、異なるリリースの規格に対応する無線ネットワーク制御装置と通信端末装置とが同時に存在する可能性がある。例えば、本実施の形態1の構成を備えていない無線ネットワーク制御装置、即ちACKメッセージを生成して送信する機能を有さない無線ネットワーク制御装置は、RRC Connection Requestメッセージの受信成功のメッセージを送らない。この場合、ACKメッセージを受信した場合に再送を行わない機能を有する通信端末装置は、無線ネットワーク制御装置にてRRC Connection Requestが正しく読み取れなかったものと判断し、RRC Connection Requestメッセージの再送を行う。このような無線ネットワーク制御装置と通信端末装置との規格バージョンの不一致によって発生する不具合は、無線ネットワーク制御装置の規格バージョン及び各バージョンに対応するT300の設定値を、システムの報知情報で通信端末装置に知らせることによって防ぐことができる。
このように、本実施の形態1によれば、RRC Connection Setupメッセージよりも先にACKメッセージを送信することにより、通信端末装置は、RRC Connection Setupメッセージを受信する前の早いタイミングでACKメッセージを受信することができるので、T300の値を小さくすることができて再送の時間間隔を短く設定することができ、再送による遅延を抑制することができる。また、本実施の形態1によれば、ACKメッセージには、通信端末装置にてRRC接続手順を実行する際に用いる情報要素の一部を含めることにより、送信する情報要素の伝送量は従来と同じであるので、ACKメッセージの送信によるRRC接続手順全体の伝送時間の増加を抑制することができる。また、本実施の形態1によれば、ACKメッセージは最小送信単位である1ブロックから構成されるので、ACKメッセージの送信時間を短くすることができるとともに、ACKメッセージの作成が容易であるので、早期にACKメッセージを送信することができる。
なお、本実施の形態1において、ACKメッセージのサイズを1ブロックにするとともにRRC Connection Setupメッセージのサイズを6ブロックにしたが、これに限らず、ACKメッセージのサイズを1ブロック以外の任意のサイズにすることができるとともに、RRC Connection Setupメッセージのサイズを6ブロック以外の任意のサイズにすることができる。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る無線ネットワーク制御装置500の構成を示すブロック図である。
本実施の形態2に係る無線ネットワーク制御装置500は、図3に示す実施の形態1に
係る無線ネットワーク制御装置100において、図7に示すように、ACK生成部105を除き、メッセージ作成部104の代わりにメッセージ作成部501を有する。なお、図7においては、図3と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
読み取り部102は、レイヤ1/レイヤ2部101から入力した受信信号に含まれる各種のデータを読み取って受信データとして出力する。また、読み取り部102は、レイヤ1/レイヤ2部101から入力した受信信号に含まれるRRC接続要求メッセージを読み取る。そして、読み取り部102は、RRC接続要求メッセージが誤りなく正しく読み取れた場合には、正しく読み取れた旨の情報を送信制御部103及びメッセージ作成部501へ出力する。
送信制御部103は、読み取り部102から正しく読み取れた旨の情報が入力した場合には、メッセージ作成部501から出力されるRRC接続設定メッセージのタイミングを制御する。
メッセージ作成部501は、読み取り部102からメッセージが正しく読み取れた旨の情報が入力した場合には、RRC接続を設定するための複数のRRC接続設定メッセージを作成する。そして、メッセージ作成部104は、送信制御部103の制御に基づいて、作成した複数のRRC接続設定メッセージをレイヤ1/レイヤ2部106へ出力する。メセージ作成部501は、各RRC接続設定メッセージに異なる情報要素が含まれるようにRRC接続設定メッセージを作成する。なお、各RRC接続設定メッセージは、任意のブロック数にすることができる。
レイヤ1/レイヤ2部106は、メッセージ作成部501から入力したRRC接続設定メッセージに対してレイヤ1及びレイヤ2の処理を行って基地局装置へ送信する。
次に、RRC接続手順について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、通信端末装置がトランスポートチャネルの共通チャネルを使用する場合のRRC接続手順を示すシーケンス図であり、図9は、通信端末装置がトランスポートチャネルの個別チャネルを使用する場合のRRC接続手順を示すシーケンス図である。なお、図8及び図9においては、図4及び図5と同一動作である部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
最初に共通チャネルを使用する場合のRRC接続手順について説明する。無線ネットワーク制御装置500は、メッセージ作成部501が生成したRRC Connection Setupメッセージを基地局装置経由にて通信端末装置へ送信する(ステップST601)。ステップST601で送信するRRC Connection Setupメッセージには、「InitialUE-Identity」が含まれている。さらに、ステップST601で送信するRRC Connection Setupメッセージには、「InitialUE-Identity」以外にも、「RNTI」、「RRCStateIndicator」、「Radio Bearer IE」、「Transport Channel IE」、「Physical Channel IE」の中の任意に選択した一部の情報要素が含まれている。さらに、ステップST601で送信するRRC Connection
Setupメッセージには、受信成功を通知するメッセージとして利用されていることを示すためのフラグであるRRC Connection Request RxOK Flagが含まれている。
次に、通信端末装置は、所定時間内にRRC Connection Request RxOK Flagを含むRRC Connection Setupメッセージを受信した場合には、無線ネットワーク制御装置500にてRRC Connection Requestメッセージが正しく読み取れたものと判断する。一方、通信端末装置は、所定時間内にRRC Connection Request RxOK Flagを含むRRC Connection Setupメッセージを受信しなかった場合には、無線ネットワーク制御装置500にてRRC Connection
Requestメッセージが正しく読み取れなかったものと判断して、RRC Connection Requestメッセージの再送を行う。
次に、無線ネットワーク制御装置500は、メッセージ作成部501が生成したRRC Connection Setupメッセージを基地局装置経由にて通信端末装置へ送信する(ステップST602)。ステップST602で送信するRRC Connection Setupメッセージには、「InitialUE-Identity」が含まれている。さらに、ステップST602で送信するRRC Connection Setupメッセージには、「InitialUE-Identity」以外にも、ステップST601で送信したRRC Connection Setupメッセージには含まれていない残りの情報要素が含まれている。なお、図9の個別チャネルを使用する場合のRRC接続手順において、ステップST601及びステップST602は共通チャネルを使用する場合のRRC接続手順と同一であるので、その説明は省略する。また、無線ネットワーク制御装置と通信端末装置との規格バージョンの不一致によって発生する不具合については、無線ネットワーク制御装置の規格バージョンを、システムの報知情報で通信端末装置に知らせることによって防ぐことができる点は、上記実施の形態1と同様である。また、再送遅延の削減量Δt1及びRRC Connection Requestメッセージの送信からRRC Connection Setupメッセージの受信までの平均時間の削減量Δt2は、上記実施の形態1と同様である。
このように、本実施の形態2によれば、複数のRRC Connection Setupメッセージを送信するとともに最初に送信したRRC Connection Setupメッセージにて受信成功を通知することにより、通信端末装置は、最初のRRC Connection Setupメッセージの受信タイミングで受信成功を知ることができるので、T300の値を小さくすることができて再送の時間間隔を短く設定することができ、再送による遅延を抑制することができる。また、本実施の形態2によれば、RRC Connection Setupメッセージの一部にて受信成功を通知することにより、送信する情報要素の伝送量は従来と同じであるので、RRC接続手順全体の伝送時間の増加を抑制することができる。また、本実施の形態2によれば、受信成功を通知するメッセージとRRC接続メッセージとを同じメッセージにするので、3GPPのプロトコル規格に対する変更を最小限に抑えることができる。
なお、本実施の形態2において、RRC Connection Setupメッセージを2回に分けて送信したが、これに限らず、3回以上の任意の回数に分けて送信しても良い。この場合、各RRC Connection Setupメッセージには異なる情報要素が含まれるようにすることにより、送信する情報要素の伝送量は従来と同じにすることができる。
本発明にかかる無線ネットワーク制御装置、通信システム及び通信方法は、RRC接続手順を実行するのに好適である。
従来のRRC接続手順を示すシーケンス図
従来のRRC接続手順を示すシーケンス図
本発明の実施の形態1に係る無線ネットワーク制御装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1に係るRRC接続手順を示すシーケンス図
本発明の実施の形態1に係るRRC接続手順を示すシーケンス図
本発明の実施の形態1に係る再送遅延の削減量を示す図
本発明の実施の形態2に係る無線ネットワーク制御装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態2に係るRRC接続手順を示すシーケンス図
本発明の実施の形態2に係るRRC接続手順を示すシーケンス図