JPWO2006120750A1 - 実数値面番号を用いた光学系設計方法 - Google Patents

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Abstract

非球面、回折光学素子、偏芯面などの特殊な光学面を用いることにより、光学系の機能および性能の向上、軽量化、コンパクト化、低価格化などの効果が得られる。しかし特殊な光学面の光学系での適切な位置をあらかじめ知ることは一般的に難しい。もしすべての可能な面番号での設計を試みるとすれば、その組合せは膨大なものになり、現実には不可能な場合が多い。本発明はこのような課題に対し、特殊な光学面の最善の面番号を自動的、効率的に発見する手段を提供するものである。本発明は球面とは異なる特殊な光学面の面番号を実数値に拡張し、実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を定義し、この実数値面番号を光学系最適化の独立変数とすることにより、特殊な光学面の最善の面番号を求める。実数値面番号が整数nと整数n+1の間にある場合、その特殊な光学面を含む光学系の構成を定義する一つの方法は、光学面nと光学面n+1の間に1または複数面の仮想光学面を挿入し、これらの仮想光学面をその特殊な光学面の特性値と実数値面番号から定まる、球面とは異なる特殊な光学面として設定することである。挿入する仮想光学面の面数を2面とすることによって、実数値面番号が整数値の場合に、実数値面番号を持つ特殊な光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面を球面とは異なる特殊な光学面に設定した光学系に一致するように定義することができる。

Description

本発明は、光学系の設計方法に関する。
光学系を構成する光学面は多くの場合、光軸上に中心を持つ球面であるが、非球面、回折光学素子、偏芯面などの特殊な光学面を用いることにより、光学系の機能および性能の向上、軽量化、コンパクト化、低価格化などの効果が得られる。しかし光学面を特殊な光学面にする場合、光軸上に中心を持つ球面と比較して、加工コストや要求精度が上昇する傾向にある。そのため必要最小限の特殊な光学面を適切な位置で使用することが光学系の設計においては重要である。
しかし特殊な光学面の光学系での適切な位置をあらかじめ知ることは一般的に難しい。実際の設計では、特殊な光学面を光学系のいくつかの面番号に設定して設計を試み、その中から最善の結果を選ぶという手順をとることが多い。もしすべての可能な面番号での設計を試みるとすれば、その組合せは膨大なものになり、現実には不可能な場合が多い。本発明はこのような課題に対し、特殊な光学面の最善の面番号を自動的、効率的に発見する手段を提供するものである。
本発明は球面とは異なる特殊な光学面の面番号を実数値に拡張し、実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を定義し、この実数値面番号を光学系最適化の独立変数とすることにより、特殊な光学面の最善の面番号を求める。
実数値面番号を持つ特殊な光学面の面番号が整数値の場合に、実数値面番号を持つ特殊な光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面に球面とは異なる特殊な光学面を設定する手続きを定義する。
実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を、その面番号が整数値の場合に、実数値面番号を持つ特殊な光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面を球面とは異なる特殊な光学面に設定した光学系に一致するように定義することによって、最適化によって求められた最善の面番号の信頼性が向上する。
実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を、実数値面番号に関して連続になるように定義することによって、最適化の効率が向上する。
実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を、実数値面番号に関して滑らかになるように定義することによって、最適化の効率が向上する。
実数値面番号が整数nと整数n+1の間にある場合、その特殊な光学面を含む光学系の構成を定義する一つの方法は、光学面nと光学面n+1をその特殊な光学面の特性値と実数値面番号から定まる、球面とは異なる特殊な光学面に設定することである。
実数値面番号が整数nと整数n+1の間にある場合、その特殊な光学面を含む光学系の構成を定義する一つの方法は、光学面nと光学面n+1の間に1または複数面の仮想光学面を挿入し、これらの仮想光学面をその特殊な光学面の特性値と実数値面番号から定まる、球面とは異なる特殊な光学面として設定することである。
挿入する仮想光学面の面数を2面とすることによって、実数値面番号が整数値の場合に、実数値面番号を持つ特殊な光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面を球面とは異なる特殊な光学面に設定した光学系に一致するように定義することができる。
挿入される2つの仮想光学面が同一の基準球面を持ち、これらの仮想光学面の間の面間隔が0であるとする。
その時、仮想光学面の構成は以下の性質を持つ必要がある。光学面nと光学面n+1の間に挿入された仮想光学面が光学面nから光学面n+1に移動する間に、仮想光学面の基準球面の曲率Cが光学面nの曲率Cnから光学面n+1の曲率Cn+1に変化し、仮想光学面の間の屈折率Nが光学面nの前側の媒質の屈折率Nnから光学面n+1の後側の媒質の屈折率N'n+1に変化し、実数値面番号を持つ特殊な光学面の特性の配分が後側の仮想光学面から前側の仮想光学面に移行する。
上の条件を満たす一つの定義方法は以下の通りである。光学面nと光学面n+1の間隔をdとし、a+b=1として、仮想光学面と光学面nの間隔がa・d、仮想光学面と光学面n+1の間隔がb・dである時、仮想光学面の基準球面の曲率Cと仮想光学面の間の屈折率Nを、
C=b・Cn+a・Cn+1
N=b・Nn+a・N'n+1
と定め、前側の仮想光学面の非球面形状z1(x,y)と後側の仮想光学面の非球面形状z2(x,y)を、実数値面番号を持つ特殊な光学面の非球面形状をz(x,y)、光学面nと光学面n+1の間の屈折率をN'nとして、
N > N'nの時、
z1(x,y)=a・z(x,y)
z2(x,y)=-b・z(x,y)
N < N'nの時、
z1(x,y)=-a・z(x,y)
z2(x,y)=b・z(x,y)
と定め、前側の仮想光学面の位相差函数p1(x,y)と後側の仮想光学面の位相差函数p2(x,y)を、実数値面番号を持つ特殊な光学面の位相差函数をp(x,y)として、
p1(x,y)=a・p(x,y)
p2(x,y)=b・p(x,y)
と定める。ここでx、yは光軸に垂直な平面上での座標系である。
仮想光学面の位置を示す係数aは実数値面番号の函数である。仮想光学面の位置が実数値面番号の滑らかな函数になるようにする一つの方法は、
a(0)=0、a(1)=1、a'(0)=0、a'(1)=0
を満たす滑らかな函数a(r)によって係数aを定めることである。ここでa'(r)はa(r)の微係数である。
以上の手段により特殊な光学面の面番号を実数値の設計パラメタとして設計の中に取り込み、最適化によって特殊な光学面の最善の面番号を求めることができる。特殊な光学面を光学系のいくつかの面番号に設定して設計を試み、その中から最善の結果を選ぶという従来の手順と比較して、本発明による方法によって特殊な光学面の最善の面番号を、はるかに短い時間で発見することができる。
最初に用語の説明を行う。光学系は光を屈折または反射させる光学面から構成され、隣り合う光学面の間は均質または不均質の媒質によって占められている。光学系が軸対称の場合、その対称軸を光軸という。光学系が軸対称でない場合も、代表光線の経路を広義の光軸と考えることができる。光学面は光軸上に中心を持つ球面と特殊な光学面に分類することができる。特殊な光学面の例は非球面、回折光学素子、偏芯面である。非球面、回折光学素子は軸対称な場合も非軸対称な場合もある。偏芯面は非軸対称な非球面とみなすこともできる。一つの光学面が非球面であると同時に回折光学素子である場合もある。光学面は光が通過する順序に面番号が与えられる。
特殊な光学面の面番号は本来、整数値である。本発明は特殊な光学面の面番号を実数値に拡張し、連続的な設計パラメタとして設計の中に取り込み、最適化によって特殊な光学面の最善の面番号を求める。そのためには実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を定義する必要がある。この定義は最適化によって特殊な光学面の最善の面番号を求める役に立つ範囲で任意性がある。
以後の記述では実数値面番号を持つ特殊な光学面を浮動光学面と呼ぶ。浮動光学面はその機能を示す特性値を持つ。その特性値の一例は非球面形状z(x,y)である。ここでx、yは光軸に垂直な平面上での座標系である。また回折光学素子が加わっている場合、その機能は位相差函数p(x,y)で表現される。
浮動光学面の面番号が整数値の場合に、浮動光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面に球面とは異なる特殊な光学面を設定する手続きを定義する。この定義は浮動光学面の特性値と同じ特性値を、その整数値で示される面に与えることを必ずしも意味するものではなく、この定義によって浮動光学面の特性値の意味が与えられると考えればよい。その意味でこの定義には任意性がある。
浮動光学面を含む光学系の構成は任意の実数値面番号に対して定義されるものであるが、浮動光学面を含む光学系の構成を、その面番号が整数値の場合に、浮動光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面を球面とは異なる特殊な光学面に設定した光学系に一致するように定義することによって、最適化によって求められた最善の面番号の信頼性が向上する。また浮動光学面を含む光学系の構成を、実数値面番号に関して連続かつ滑らかになるように定義することによって、最適化の効率が向上する。
実数値面番号が整数nと整数n+1の間にある場合、浮動光学面を含む光学系の構成を定義する一つの方法は、光学面nと光学面n+1をその特殊な光学面の特性値と実数値面番号から定まる、球面とは異なる特殊な光学面に設定することである。
実数値面番号が整数nと整数n+1の間にある場合、浮動光学面を含む光学系の構成を定義する一つの方法は、光学面nと光学面n+1の間に1または複数面の仮想光学面を挿入し、これらの仮想光学面をその特殊な光学面の特性値と実数値面番号から定まる、球面とは異なる特殊な光学面として設定することである。
以下では挿入する仮想光学面の面数を2面とすることによって、実数値面番号が整数値の場合に、浮動光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面を球面とは異なる特殊な光学面に設定した光学系に一致するように定義する方法を示す。
挿入される2つの仮想光学面は同一の基準球面を持ち、これらの仮想光学面の間の面間隔は0である。浮動光学面の非球面形状z(x,y)が恒等的にz(x,y)=0の場合、2つの仮想光学面は基準球面に一致する。その場合、挿入される2つの仮想光学面は全く重なるので、光学系は浮動光学面が存在しない場合と同等になる。
仮想光学面の位置が光学系の光学面と一致する時に、通常の非球面、回折光学素子、偏芯面と同等の表現になる条件を以下で考察する。仮想光学面が光学面の直後に位置する場合と直前に位置する場合に分け、さらに仮想光学面が空気層にある場合とガラス層にある場合に分けて仮想光学面の構成を考察する。どの場合にも仮想光学面の基準球面は光学面に一致させる。
図1ではガラス層の直後の空気層内に仮想光学面が位置する。面Aはガラス層の後側の光学面と前側の仮想光学面が重なったものである。面Bは後側の仮想光学面であり、面Cは空気層の後側の光学面である。この場合、仮想光学面の間の媒質は前側のガラス層の媒質に一致させ、前側の仮想光学面は球面とし後側の仮想光学面に浮動光学面の持つ特性を与える。
図2ではガラス層の直前の空気層内に仮想光学面が位置する。面Aは前側の仮想光学面であり、面Bは後側の仮想光学面とガラス層の前側の光学面が重なったものである。面Cはガラス層の後側の光学面である。この場合、仮想光学面の間の媒質は後側のガラス層の媒質に一致させ、後側の仮想光学面は球面とし前側の仮想光学面に浮動光学面の持つ特性を与える。
図3では空気層の直前のガラス層内に仮想光学面が位置する。面Aは前側の仮想光学面であり、面Bは後側の仮想光学面と空気層の前側の光学面が重なったものである。面Cは空気層の後側の光学面である。この場合、仮想光学面の間の媒質は空気とし、後側の仮想光学面は球面とし前側の仮想光学面に浮動光学面の持つ特性を与える。
図4では空気層の直後のガラス層内に仮想光学面が位置する。面Aはガラス層の前側の光学面と前側の仮想光学面が重なったものである。面Bは後側の仮想光学面であり、面Cはガラス層の後側の光学面である。この場合、仮想光学面の間の媒質は空気とし、前側の仮想光学面は球面とし後側の仮想光学面に浮動光学面の持つ特性を与える。
以上より仮想光学面の位置が光学面と一致する時の仮想光学面の構成は以下のようにまとめられる。仮想光学面の基準球面はその光学面と一致する。仮想光学面の間の媒質はその光学面をはさんで仮想光学面とは逆側の空間の媒質と一致する。仮想光学面が光学面の直後に位置する時、後側の仮想光学面に浮動光学面の持つ特性を与え、仮想光学面が光学面の直前に位置する時、前側の仮想光学面に浮動光学面の持つ特性を与える。
次に光学面nと光学面n+1の間に挿入された仮想光学面が光学面nから光学面n+1に移動する間の仮想光学面の構成の変化を考察する。図5に以下で使用する表記の説明をしておく。仮想光学面の基準球面の曲率Cは光学面nの曲率Cnから光学面n+1の曲率Cn+1に変化する。仮想光学面の間の屈折率Nは光学面nの前側の媒質の屈折率Nnから光学面n+1の後側の媒質の屈折率N'n+1に変化する。浮動光学面の持つ特性は後側の仮想光学面から前側の仮想光学面に移行する。
仮想光学面の基準球面の曲率半径、仮想光学面の間の屈折率、浮動光学面の持つ特性の配分が仮想光学面の位置の滑らかな函数であれば、仮想光学面を用いた最適化は効率的なものになる。このような函数の一例は線型の補間式である。ただし、線型の補間式以外の方法も同様に可能であることを注意しておく。光学面nと光学面n+1の間隔をdとし、仮想光学面と光学面nの間隔がa・d、仮想光学面と光学面n+1の間隔がb・dであるとする。ここでa+b=1である。仮想光学面の基準球面の曲率Cと仮想光学面の間の屈折率Nは以下のように定める。
C=b・Cn+a・Cn+1
N=b・Nn+a・N'n+1
前側の仮想光学面の非球面形状z1(x,y)と後側の仮想光学面の非球面形状z2(x,y)は以下のように定める。光学面nと光学面n+1の間の屈折率をN'nとすると、
N > N'nの時、
z1(x,y)=a・z(x,y)
z2(x,y)=-b・z(x,y)
N < N'nの時、
z1(x,y)=-a・z(x,y)
z2(x,y)=b・z(x,y)
この定義より、
N > N'nの時、z1(x,y)-z2(x,y)=z(x,y)
N < N'nの時、z1(x,y)-z2(x,y)=-z(x,y)
前側の仮想光学面の位相差函数p1(x,y)と後側の仮想光学面の位相差函数p2(x,y)は以下のように定める。
p1(x,y)=a・p(x,y)
p2(x,y)=b・p(x,y)
この定義より、
p1(x,y)+p2(x,y)=p(x,y)
図6は空気層の中央に位置する仮想光学面の例であり、図7はガラス層の中央に位置する仮想光学面の例である。
上記の定義式でa=0、b=1の場合は、浮動光学面位置が光学面nに一致し、非球面形状は以下のようになる。
Nn > N'nの時、z2(x,y)=-z(x,y)
Nn < N'nの時、z2(x,y)=z(x,y)
上記の定義式でa=1、b=0の場合は、浮動光学面位置が光学面n+1に一致し、非球面形状は以下のようになる。
N'n+1 > N'n の時、z1(x,y)=f(x,y)
N'n+1 < N'n の時、z1(x,y)=-f(x,y)
このように光学面の後側の屈折率が前側の屈折率より小さい時には、仮想光学面の非球面形状は浮動光学面の非球面形状を逆符号にしたものになる。浮動光学面を含む光学系を上記の方法によって構成する場合の、浮動光学面の非球面形状の意味がこれによって与えられる。
仮想光学面の位置を示す係数aは実数値面番号の函数である。実数値面番号が整数nの時には、仮想光学面の位置は光学面nの位置になり、通常の非球面、回折光学素子、偏芯面と同等になる。浮動光学面を含む光学系の構成が実数値面番号の連続函数になるためには、係数aが実数値面番号の小数部分rの連続函数a(r)で、
a(0)=0、a(1)=1
とする必要がある。
このような函数のうちで最も単純なものは、
a(r)=r
である。しかしこの定義では光学面の前後で仮想光学面の位置は実数値面番号の滑らかな函数にはならない。なぜなら光学面の前後の面間隔は一般的に等しい値ではないからである。最適化の効率を良くするには、レンズ系の収差が設計パラメタの滑らかな函数である方が良い。光学面の前後でのこの折れ曲りを解消する一つの方法はa'(r)をa(r)の微係数として、
a'(0)=0、a'(1)=0
となる滑らかな函数a(r)を用いることである。この函数はr=0とr=1で微係数が0になるので、光学面の前後の面間隔の値に関わりなく、仮想光学面の位置は実数値面番号の滑らかな函数になる。このような函数の例はπを円周率として、
a(r)=(1-cos(π・r))/2
または
a(r)=2・x2-x4
等である。
仮想光学面の構成は、実数値面番号の値から仮想光学面の位置を定め、仮想光学面の位置から仮想光学面の形状を定めるという手順で行われる。以上の手順で構成された仮想光学面を含んだ光学系が性能評価の対象となる。光学系の最適化において浮動光学面の実数値面番号と非球面係数などの浮動光学面の特性を表わす量を独立変数に含めることによって、最善の実数値面番号を最適化の解として求めることができる。このようにして求められた浮動光学面の面番号は一般には整数値ではなく実数値である。球面ではない特殊な光学面の最善の面番号を求めるには、最後に実数値面番号を近傍の整数値に固定し最適化する必要がある。
一つの光学系には複数の浮動光学面を設定することができる。この場合、光学面nと光学面n+1の間に複数の浮動光学面が入ることは避ける必要がある。この制御は実数値面番号に対する拘束条件として最適化に含めることができる。
図8に以下の実施例の出発点になるレンズを示す。このレンズのFNOは2.5、焦点距離50mm、画角11.3度である。以下の実施例ではグローバル最適化を使用する。最適化ではレンズの性能の良さを表わすメリット函数の最小点を求める。ローカル最適化は最適化の出発点の近傍にあるローカルな極小点を求める。グローバル最適化は最適化の出発点の近傍にあるローカルな極小点ばかりでなく、それを越えた広い範囲にある多数の極小点を求める。そしてこれらの多数の極小点の中からメリット函数の最小点を求める。
実施例1では非球面を1面使ってFNOが2.0、焦点距離50mm、画角14.0度のレンズを設計する。非球面の効果を見る資料として、10面のそれぞれを非球面にした設計を行っておく。グローバル最適化により20個の解を求め、その中でメリット函数が最小の解を設計解とした。図9には非球面番号と設計解のメリット函数の関係を示し、図10には第1面を非球面とした場合の解を示す。図10の解のメリット函数値は0.000616である。
実数値面番号を用いた設計では、ことさら不適切な出発点として実数値面番号10を選び、グローバル最適化により20個の解を求めた。図11にグローバル最適化の解番号ごとの実数値面番号を示す。さらにそれぞれの解で実数値面番号を最も近い整数値に固定して最適化した中での最善の解は、第4面を非球面とし、メリット函数値は0.000621であった。このように実数値面番号の初期値が10であるにもかかわらず、第4面を非球面とする良好な解が自動的に得られた。
実施例2では非球面を3面使ってFNOが1.6、焦点距離50mm、画角16.7度のレンズを設計する。非球面を3面使う場合の面番号の組合せは120通りあり、そのすべてを試みるのは現実的ではない。実数値面番号を用いた設計では、出発点の実数値面番号を1および5および9として、最適化の結果は3および5および10面を非球面とし、メリット函数値は0.000910となった。図12にこの解を示す。非球面番号を1および5および9面に固定した設計のメリット函数値は0.001261なので、実数値面番号を用いた設計によって、より効果的な非球面番号の組が自動的に得られた。
実施例3では回折光学素子を加えた非球面を1面使ってFNOが2.0、焦点距離50mm、画角14.0度のレンズを設計する。出発点として実数値面番号10を選び、グローバル最適化により20個の解を求めた結果、最善の解は第1面を非球面とし、メリット函数値は0.000476であった。図13にこの解を示す。このように回折光学素子を加えた非球面に対しても実数値面番号を用いた設計の効果が示された。
ガラス層の直後の空気層内に位置する仮想光学面を示す図である。 ガラス層の直前の空気層内に位置する仮想光学面を示す図である。 空気層の直前のガラス層内に位置する仮想光学面を示す図である。 空気層の直後のガラス層内に位置する仮想光学面を示す図である。 仮想光学面の構成で使用する表記の説明を示す図である。 空気層の中央に位置する仮想光学面を示す図である。 ガラス層の中央に位置する仮想光学面を示す図である。 浮動光学面を含む光学系を構成する手順を示す図である。 実施例の出発点になるレンズを示す図である。 非球面番号と設計解のメリット函数の関係を示す図である。 第1面を非球面とした場合の解を示す図である。 グローバル最適化の解番号ごとの実数値面番号を示す図である。 3および5および10面を非球面とした場合の解を示す図である。 第1面を回折光学素子を加えた非球面とした場合の解を示す図である。
本発明は、光学系の設計方法に関する。
光学系を構成する光学面は多くの場合、光軸上に中心を持つ球面であるが、非球面、回折光学素子、偏芯面などの特殊な光学面を用いることにより、光学系の機能および性能の向上、軽量化、コンパクト化、低価格化などの効果が得られる。しかし光学面を特殊な光学面にする場合、光軸上に中心を持つ球面と比較して、加工コストや要求精度が上昇する傾向にある。そのため必要最小限の特殊な光学面を適切な位置で使用することが光学系の設計においては重要である。
しかし特殊な光学面の光学系での適切な位置をあらかじめ知ることは一般的に難しい。実際の設計では、特殊な光学面を光学系のいくつかの面番号に設定して設計を試み、その中から最善の結果を選ぶという手順をとることが多い。もしすべての可能な面番号での設計を試みるとすれば、その組合せは膨大なものになり、現実には不可能な場合が多い。本発明はこのような課題に対し、特殊な光学面の最善の面番号を自動的、効率的に発見する手段を提供するものである。
本発明は球面とは異なる特殊な光学面の面番号を実数値に拡張し、実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を定義し、この実数値面番号を光学系最適化の独立変数とすることにより、特殊な光学面の最善の面番号を求める。
実数値面番号を持つ特殊な光学面の面番号が整数値の場合に、実数値面番号を持つ特殊な光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面に球面とは異なる特殊な光学面を設定する手続きを定義する。
実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を、その面番号が整数値の場合に、実数値面番号を持つ特殊な光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面を球面とは異なる特殊な光学面に設定した光学系に一致するように定義することによって、最適化によって求められた最善の面番号の信頼性が向上する。
実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を、実数値面番号に関して連続になるように定義することによって、最適化の効率が向上する。
実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を、実数値面番号に関して滑らかになるように定義することによって、最適化の効率が向上する。
実数値面番号が整数nと整数n+1の間にある場合、その特殊な光学面を含む光学系の構成を定義する一つの方法は、光学面nと光学面n+1をその特殊な光学面の特性値と実数値面番号から定まる、球面とは異なる特殊な光学面に設定することである。
実数値面番号が整数nと整数n+1の間にある場合、その特殊な光学面を含む光学系の構成を定義する一つの方法は、光学面nと光学面n+1の間に1または複数面の仮想光学面を挿入し、これらの仮想光学面をその特殊な光学面の特性値と実数値面番号から定まる、球面とは異なる特殊な光学面として設定することである。
挿入する仮想光学面の面数を2面とすることによって、実数値面番号が整数値の場合に、実数値面番号を持つ特殊な光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面を球面とは異なる特殊な光学面に設定した光学系に一致するように定義することができる。
挿入される2つの仮想光学面が同一の基準球面を持ち、これらの仮想光学面の間の面間隔が0であるとする。
その時、仮想光学面の構成は以下の性質を持つ必要がある。光学面nと光学面n+1の間に挿入された仮想光学面が光学面nから光学面n+1に移動する間に、仮想光学面の基準球面の曲率Cが光学面nの曲率Cnから光学面n+1の曲率Cn+1に変化し、仮想光学面の間の屈折率Nが光学面nの前側の媒質の屈折率Nnから光学面n+1の後側の媒質の屈折率N'n+1に変化し、実数値面番号を持つ特殊な光学面の特性の配分が後側の仮想光学面から前側の仮想光学面に移行する。
上の条件を満たす一つの定義方法は以下の通りである。光学面nと光学面n+1の間隔をdとし、a+b=1として、仮想光学面と光学面nの間隔がa・d、仮想光学面と光学面n+1の間隔がb・dである時、仮想光学面の基準球面の曲率Cと仮想光学面の間の屈折率Nを、
C=b・Cn+a・Cn+1
N=b・Nn+a・N'n+1
と定め、前側の仮想光学面の非球面形状の基準球面との差z1(x,y)と後側の仮想光学面の非球面形状の基準球面との差z2(x,y)を、実数値面番号を持つ特殊な光学面の非球面形状の基準球面との差をz(x,y)、光学面nと光学面n+1の間の屈折率をN'nとして、
N > N'nの時、
z1(x,y)=a・z(x,y)
z2(x,y)=-b・z(x,y)
N < N'nの時、
z1(x,y)=-a・z(x,y)
z2(x,y)=b・z(x,y)
と定め、前側の仮想光学面の位相差函数p1(x,y)と後側の仮想光学面の位相差函数p2(x,y)を、実数値面番号を持つ特殊な光学面の位相差函数をp(x,y)として、
p1(x,y)=a・p(x,y)
p2(x,y)=b・p(x,y)
と定める。ここでx、yは光軸に垂直な平面上での座標系である。
仮想光学面の位置を示す係数aは実数値面番号の函数である。仮想光学面の位置が実数値面番号の滑らかな函数になるようにする一つの方法は、
a(0)=0、a(1)=1、a'(0)=0、a'(1)=0
を満たす滑らかな函数a(r)によって係数aを定めることである。ここでa'(r)はa(r)の微係数である。
以上の手段により特殊な光学面の面番号を実数値の設計パラメタとして設計の中に取り込み、最適化によって特殊な光学面の最善の面番号を求めることができる。特殊な光学面を光学系のいくつかの面番号に設定して設計を試み、その中から最善の結果を選ぶという従来の手順と比較して、本発明による方法によって特殊な光学面の最善の面番号を、はるかに短い時間で発見することができる。
最初に用語の説明を行う。光学系は光を屈折または反射させる光学面から構成され、隣り合う光学面の間は均質または不均質の媒質によって占められている。光学系が軸対称の場合、その対称軸を光軸という。光学系が軸対称でない場合も、代表光線の経路を広義の光軸と考えることができる。光学面は光軸上に中心を持つ球面と特殊な光学面に分類することができる。特殊な光学面の例は非球面、回折光学素子、偏芯面である。非球面、回折光学素子は軸対称な場合も非軸対称な場合もある。偏芯面は非軸対称な非球面とみなすこともできる。一つの光学面が非球面であると同時に回折光学素子である場合もある。光学面は光が通過する順序に面番号が与えられる。
特殊な光学面の面番号は本来、整数値である。本発明は特殊な光学面の面番号を実数値に拡張し、連続的な設計パラメタとして設計の中に取り込み、最適化によって特殊な光学面の最善の面番号を求める。そのためには実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を定義する必要がある。この定義は最適化によって特殊な光学面の最善の面番号を求める役に立つ範囲で任意性がある。
以後の記述では実数値面番号を持つ特殊な光学面を浮動光学面と呼ぶ。浮動光学面はその機能を示す特性値を持つ。その特性値の一例は非球面形状の基準球面との差z(x,y)である。ここでx、yは光軸に垂直な平面上での座標系である。また回折光学素子が加わっている場合、その機能は位相差函数p(x,y)で表現される。
浮動光学面の面番号が整数値の場合に、浮動光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面に球面とは異なる特殊な光学面を設定する手続きを定義する。この定義は浮動光学面の特性値と同じ特性値を、その整数値で示される面に与えることを必ずしも意味するものではなく、この定義によって浮動光学面の特性値の意味が与えられると考えればよい。その意味でこの定義には任意性がある。
浮動光学面を含む光学系の構成は任意の実数値面番号に対して定義されるものであるが、浮動光学面を含む光学系の構成を、その面番号が整数値の場合に、浮動光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面を球面とは異なる特殊な光学面に設定した光学系に一致するように定義することによって、最適化によって求められた最善の面番号の信頼性が向上する。また浮動光学面を含む光学系の構成を、実数値面番号に関して連続かつ滑らかになるように定義することによって、最適化の効率が向上する。
実数値面番号が整数nと整数n+1の間にある場合、浮動光学面を含む光学系の構成を定義する一つの方法は、光学面nと光学面n+1をその特殊な光学面の特性値と実数値面番号から定まる、球面とは異なる特殊な光学面に設定することである。
実数値面番号が整数nと整数n+1の間にある場合、浮動光学面を含む光学系の構成を定義する一つの方法は、光学面nと光学面n+1の間に1または複数面の仮想光学面を挿入し、これらの仮想光学面をその特殊な光学面の特性値と実数値面番号から定まる、球面とは異なる特殊な光学面として設定することである。
以下では挿入する仮想光学面の面数を2面とすることによって、実数値面番号が整数値の場合に、浮動光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面を球面とは異なる特殊な光学面に設定した光学系に一致するように定義する方法を示す。
挿入される2つの仮想光学面は同一の基準球面を持ち、これらの仮想光学面の間の面間隔は0である。浮動光学面の非球面形状の基準球面との差z(x,y)が恒等的にz(x,y)=0の場合、2つの仮想光学面は基準球面に一致する。その場合、挿入される2つの仮想光学面は全く重なるので、光学系は浮動光学面が存在しない場合と同等になる。
仮想光学面の位置が光学系の光学面と一致する時に、通常の非球面、回折光学素子、偏芯面と同等の表現になる条件を以下で考察する。仮想光学面が光学面の直後に位置する場合と直前に位置する場合に分け、さらに仮想光学面が空気層にある場合とガラス層にある場合に分けて仮想光学面の構成を考察する。どの場合にも仮想光学面の基準球面は光学面に一致させる。
図1ではガラス層の直後の空気層内に仮想光学面が位置する。面Aはガラス層の後側の光学面と前側の仮想光学面が重なったものである。面Bは後側の仮想光学面であり、面Cは空気層の後側の光学面である。この場合、仮想光学面の間の媒質は前側のガラス層の媒質に一致させ、前側の仮想光学面は球面とし後側の仮想光学面に浮動光学面の持つ特性を与える。
図2ではガラス層の直前の空気層内に仮想光学面が位置する。面Aは前側の仮想光学面であり、面Bは後側の仮想光学面とガラス層の前側の光学面が重なったものである。面Cはガラス層の後側の光学面である。この場合、仮想光学面の間の媒質は後側のガラス層の媒質に一致させ、後側の仮想光学面は球面とし前側の仮想光学面に浮動光学面の持つ特性を与える。
図3では空気層の直前のガラス層内に仮想光学面が位置する。面Aは前側の仮想光学面であり、面Bは後側の仮想光学面と空気層の前側の光学面が重なったものである。面Cは空気層の後側の光学面である。この場合、仮想光学面の間の媒質は空気とし、後側の仮想光学面は球面とし前側の仮想光学面に浮動光学面の持つ特性を与える。
図4では空気層の直後のガラス層内に仮想光学面が位置する。面Aはガラス層の前側の光学面と前側の仮想光学面が重なったものである。面Bは後側の仮想光学面であり、面Cはガラス層の後側の光学面である。この場合、仮想光学面の間の媒質は空気とし、前側の仮想光学面は球面とし後側の仮想光学面に浮動光学面の持つ特性を与える。
以上より仮想光学面の位置が光学面と一致する時の仮想光学面の構成は以下のようにまとめられる。仮想光学面の基準球面はその光学面と一致する。仮想光学面の間の媒質はその光学面をはさんで仮想光学面とは逆側の空間の媒質と一致する。仮想光学面が光学面の直後に位置する時、後側の仮想光学面に浮動光学面の持つ特性を与え、仮想光学面が光学面の直前に位置する時、前側の仮想光学面に浮動光学面の持つ特性を与える。
次に光学面nと光学面n+1の間に挿入された仮想光学面が光学面nから光学面n+1に移動する間の仮想光学面の構成の変化を考察する。図5に以下で使用する表記の説明をしておく。仮想光学面の基準球面の曲率Cは光学面nの曲率Cnから光学面n+1の曲率Cn+1に変化する。仮想光学面の間の屈折率Nは光学面nの前側の媒質の屈折率Nnから光学面n+1の後側の媒質の屈折率N'n+1に変化する。浮動光学面の持つ特性は後側の仮想光学面から前側の仮想光学面に移行する。
仮想光学面の基準球面の曲率半径、仮想光学面の間の屈折率、浮動光学面の持つ特性の配分が仮想光学面の位置の滑らかな函数であれば、仮想光学面を用いた最適化は効率的なものになる。このような函数の一例は線型の補間式である。ただし、線型の補間式以外の方法も同様に可能であることを注意しておく。光学面nと光学面n+1の間隔をdとし、仮想光学面と光学面nの間隔がa・d、仮想光学面と光学面n+1の間隔がb・dであるとする。ここでa+b=1である。仮想光学面の基準球面の曲率Cと仮想光学面の間の屈折率Nは以下のように定める。
C=b・Cn+a・Cn+1
N=b・Nn+a・N'n+1
前側の仮想光学面の非球面形状の基準球面との差z1(x,y)と後側の仮想光学面の非球面形状の基準球面との差z2(x,y)は以下のように定める。光学面nと光学面n+1の間の屈折率をN'nとすると、
N > N'nの時、
z1(x,y)=a・z(x,y)
z2(x,y)=-b・z(x,y)
N < N'nの時、
z1(x,y)=-a・z(x,y)
z2(x,y)=b・z(x,y)
この定義より、
N > N'nの時、z1(x,y)-z2(x,y)=z(x,y)
N < N'nの時、z1(x,y)-z2(x,y)=-z(x,y)
前側の仮想光学面の位相差函数p1(x,y)と後側の仮想光学面の位相差函数p2(x,y)は以下のように定める。
p1(x,y)=a・p(x,y)
p2(x,y)=b・p(x,y)
この定義より、
p1(x,y)+p2(x,y)=p(x,y)
図6は空気層の中央に位置する仮想光学面の例であり、図7はガラス層の中央に位置する仮想光学面の例である。
上記の定義式でa=0、b=1の場合は、浮動光学面位置が光学面nに一致し、非球面形状の基準球面との差は以下のようになる。
Nn > N'nの時、z2(x,y)=-z(x,y)
Nn < N'nの時、z2(x,y)=z(x,y)
上記の定義式でa=1、b=0の場合は、浮動光学面位置が光学面n+1に一致し、非球面形状の基準球面との差は以下のようになる。
N'n+1 > N'n の時、z1(x,y)=f(x,y)
N'n+1 < N'n の時、z1(x,y)=-f(x,y)
このように光学面の後側の屈折率が前側の屈折率より小さい時には、仮想光学面の非球面形状の基準球面との差は浮動光学面の非球面形状を逆符号にしたものになる。浮動光学面を含む光学系を上記の方法によって構成する場合の、浮動光学面の非球面形状の基準球面との差の意味がこれによって与えられる。
仮想光学面の位置を示す係数aは実数値面番号の函数である。実数値面番号が整数nの時には、仮想光学面の位置は光学面nの位置になり、通常の非球面、回折光学素子、偏芯面と同等になる。浮動光学面を含む光学系の構成が実数値面番号の連続函数になるためには、係数aが実数値面番号の小数部分rの連続函数a(r)で、
a(0)=0、a(1)=1
とする必要がある。
このような函数のうちで最も単純なものは、
a(r)=r
である。しかしこの定義では光学面の前後で仮想光学面の位置は実数値面番号の滑らかな函数にはならない。なぜなら光学面の前後の面間隔は一般的に等しい値ではないからである。最適化の効率を良くするには、レンズ系の収差が設計パラメタの滑らかな函数である方が良い。光学面の前後でのこの折れ曲りを解消する一つの方法はa'(r)をa(r)の微係数として、
a'(0)=0、a'(1)=0
となる滑らかな函数a(r)を用いることである。この函数はr=0とr=1で微係数が0になるので、光学面の前後の面間隔の値に関わりなく、仮想光学面の位置は実数値面番号の滑らかな函数になる。このような函数の例はπを円周率として、
a(r)=(1-cos(π・r))/2
または
a(r)=2・r 2 -r 4
等である。
図8は浮動光学面を含む光学系を構成する手順を示す図である。仮想光学面の構成は、実数値面番号の値から仮想光学面の位置を定め、仮想光学面の位置から仮想光学面の形状を定めるという手順で行われる。浮動光学面の実数値面番号の整数部分がnであり少数部分がrである場合、仮想光学面の位置は光学面nと光学面n+1の間であり、光学面nと光学面n+1の間隔をdとすれば、仮想光学面と光学面nの間隔はa(r)・dとなる。ここでa(r)は実数値面番号の少数部分rと仮想光学面の位置を対応づける函数であり請求項12の条件を満たす。仮想光学面は2面からなり、これらの仮想光学面は同一の基準球面を持ち、これらの仮想光学面の間の面間隔は0である。仮想光学面の基準球面の曲率、仮想光学面の間の屈折率、それぞれの仮想光学面の非球面形状の基準球面との差、および位相差函数は、仮想光学面の位置から請求項11の手順に従って定める。以上の手順で構成された仮想光学面を含んだ光学系が性能評価の対象となる。光学系の最適化において浮動光学面の実数値面番号と非球面係数などの浮動光学面の特性を表わす量を独立変数に含めることによって、最善の実数値面番号を最適化の解として求めることができる。光学系の最適化の役割は性能評価の結果が設計目標に一致するように独立変数の値を決定することである。通常の光学系最適化手法は連続変数を独立変数としており、非球面、回折光学素子、偏芯面等の球面とは異なる特殊な光学面の面番号を最適化の独立変数に含めることはできないが、浮動光学面の実数値面番号は連続変数なので、通常の光学系最適化手法をそのまま適用して最善の実数値面番号を求めることができる。このようにして求められた浮動光学面の面番号は一般には整数値ではなく実数値である。球面ではない特殊な光学面の最善の面番号を求めるには、最後に実数値面番号を近傍の整数値に固定し実数値面番号以外の独立変数によって最適化する必要がある。
一つの光学系には複数の浮動光学面を設定することができる。この場合、光学面nと光学面n+1の間に複数の浮動光学面が入ることは避ける必要がある。この制御は実数値面番号に対する拘束条件として最適化に含めることができる。
図9に以下の実施例の出発点になるレンズを示す。このレンズのFNOは2.5、焦点距離50mm、画角11.3度である。以下の実施例ではグローバル最適化を使用する。最適化ではレンズの性能の良さを表わすメリット函数の最小点を求める。ローカル最適化は最適化の出発点の近傍にあるローカルな極小点を求める。グローバル最適化は最適化の出発点の近傍にあるローカルな極小点ばかりでなく、それを越えた広い範囲にある多数の極小点を求める。そしてこれらの多数の極小点の中からメリット函数の最小点を求める。
実施例1では非球面を1面使ってFNOが2.0、焦点距離50mm、画角14.0度のレンズを設計する。非球面の効果を見る資料として、10面のそれぞれを非球面にした設計を行っておく。グローバル最適化により20個の解を求め、その中でメリット函数が最小の解を設計解とした。図10には非球面番号と設計解のメリット函数の関係を示し、図11には第1面を非球面とした場合の解を示す。図11の解のメリット函数値は0.000616である。
実数値面番号を用いた設計では、ことさら不適切な出発点として実数値面番号10を選び、グローバル最適化により20個の解を求めた。図12にグローバル最適化の解番号ごとの実数値面番号を示す。さらにそれぞれの解で実数値面番号を最も近い整数値に固定して最適化した中での最善の解は、第4面を非球面とし、メリット函数値は0.000621であった。このように実数値面番号の初期値が10であるにもかかわらず、第4面を非球面とする良好な解が自動的に得られた。
実施例2では非球面を3面使ってFNOが1.6、焦点距離50mm、画角16.7度のレンズを設計する。非球面を3面使う場合の面番号の組合せは120通りあり、そのすべてを試みるのは現実的ではない。実数値面番号を用いた設計では、出発点の実数値面番号を1および5および9として、最適化の結果は3および5および10面を非球面とし、メリット函数値は0.000910となった。図13にこの解を示す。非球面番号を1および5および9面に固定した設計のメリット函数値は0.001261なので、実数値面番号を用いた設計によって、より効果的な非球面番号の組が自動的に得られた。
実施例3では回折光学素子を加えた非球面を1面使ってFNOが2.0、焦点距離50mm、画角14.0度のレンズを設計する。出発点として実数値面番号10を選び、グローバル最適化により20個の解を求めた結果、最善の解は第1面を非球面とし、メリット函数値は0.000476であった。図14にこの解を示す。このように回折光学素子を加えた非球面に対しても実数値面番号を用いた設計の効果が示された。
ガラス層の直後の空気層内に位置する仮想光学面を示す図である。 ガラス層の直前の空気層内に位置する仮想光学面を示す図である。 空気層の直前のガラス層内に位置する仮想光学面を示す図である。 空気層の直後のガラス層内に位置する仮想光学面を示す図である。 仮想光学面の構成で使用する表記の説明を示す図である。 空気層の中央に位置する仮想光学面を示す図である。 ガラス層の中央に位置する仮想光学面を示す図である。 浮動光学面を含む光学系を構成する手順を示す図である。 実施例の出発点になるレンズを示す図である。 非球面番号と設計解のメリット函数の関係を示す図である。 第1面を非球面とした場合の解を示す図である。 グローバル最適化の解番号ごとの実数値面番号を示す図である。 3および5および10面を非球面とした場合の解を示す図である。 第1面を回折光学素子を加えた非球面とした場合の解を示す図である。

Claims (12)

  1. 球面とは異なる特殊な光学面の面番号を実数値に拡張し、実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を定義し、この実数値面番号を光学系最適化の独立変数に含めることにより、特殊な光学面の最善の面番号を求める光学系の設計方法。
  2. 実数値面番号を持つ特殊な光学面の面番号が整数値の場合に、実数値面番号を持つ特殊な光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面に球面とは異なる特殊な光学面を設定する手続きを定義することを特徴とする、請求項1に記載の光学系の設計方法。
  3. 実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を、その面番号が整数値の場合に、実数値面番号を持つ特殊な光学面の機能を示す特性値に対応して、その整数値で示される面を球面とは異なる特殊な光学面に設定した光学系に一致するように定義することを特徴とする、請求項2に記載の光学系の設計方法。
  4. 実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を、実数値面番号に関して連続になるように定義することを特徴とする、請求項2または3に記載の光学系の設計方法。
  5. 実数値面番号を持つ特殊な光学面を含む光学系の構成を、実数値面番号に関して滑らかになるように定義することを特徴とする、請求項2から4のいずれかに記載の光学系の設計方法。
  6. 特殊な光学面の実数値面番号が整数nと整数n+1の間にある場合、光学面nと光学面n+1 をその特殊な光学面の特性値と実数値面番号から定まる、球面とは異なる特殊な光学面に設定することによって、その特殊な光学面を含む光学系の構成を定義することを特徴とする、請求項2から5のいずれかに記載の光学系の設計方法。
  7. 特殊な光学面の実数値面番号が整数nと整数n+1の間にある場合、光学面nと光学面n+1の間に1または複数面の仮想光学面を挿入し、これらの仮想光学面をその特殊な光学面の特性値と実数値面番号から定まる、球面とは異なる特殊な光学面として設定することによって、その特殊な光学面を含む光学系の構成を定義することを特徴とする、請求項2から5のいずれかに記載の光学系の設計方法。
  8. 挿入する仮想光学面の面数を2面とすることを特徴とする、請求項7に記載の光学系の設計方法。
  9. 挿入される2つの仮想光学面が同一の基準球面を持ち、これらの仮想光学面の間の面間隔が0であることを特徴とする、請求項8に記載の光学系の設計方法。
  10. 光学面nと光学面n+1の間に挿入された仮想光学面が光学面nから光学面n+1に移動する間に、仮想光学面の基準球面の曲率Cが光学面nの曲率Cnから光学面n+1の曲率Cn+1に変化し、仮想光学面の間の屈折率Nが光学面nの前側の媒質の屈折率Nnから光学面n+1の後側の媒質の屈折率N'n+1に変化し、実数値面番号を持つ特殊な光学面の特性の配分が後側の仮想光学面から前側の仮想光学面に移行することを特徴とする、請求項9に記載の光学系の設計方法。
  11. 光学面nと光学面n+1の間隔をdとし、a+b=1として、仮想光学面と光学面nの間隔がa・d、仮想光学面と光学面n+1の間隔がb・dである時、仮想光学面の基準球面の曲率Cと仮想光学面の間の屈折率Nを、
    C=b・Cn+a・Cn+1
    N=b・Nn+a・N'n+1
    と定め、前側の仮想光学面の非球面形状z1(x,y)と後側の仮想光学面の非球面形状z2(x,y)を、実数値面番号を持つ特殊な光学面の非球面形状をz(x,y)、光学面nと光学面n+1の間の屈折率をN'nとして、
    N > N'nの時、
    z1(x,y)=a・z(x,y)
    z2(x,y)=-b・z(x,y)
    N < N'nの時、
    z1(x,y)=-a・f(x,y)
    z2(x,y)=b・f(x,y)
    と定め、前側の仮想光学面の位相差函数p1(x,y)と後側の仮想光学面の位相差函数p2(x,y)を、実数値面番号を持つ特殊な光学面の位相差函数をp(x,y)として、
    p1(x,y)=a・p(x,y)
    p2(x,y)=b・p(x,y)
    と定めることを特徴とする、請求項10に記載の光学系の設計方法。ここでx 、yは光軸に垂直な平面上での座標系である。
  12. 光学面nと光学面n+1の間隔をdとし、実数値面番号の小数部分をrとする時、
    a(0)=0、a(1)=1、a'(0)=0、a'(1)=0
    を満たす滑らかな函数a(r)によって、仮想光学面と光学面nの間隔をa(r)・dと定めることを特徴とする、請求項9から11のいずれかに記載の光学系の設計方法。ここでa'(r)はa(r)の微係数である。
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