JPWO2006109533A1 - 細胞膜表面抗原エピトープに対する抗体の作製法及びアッセイ法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞膜表面抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製法およびそのハイブリドーマを用いる細胞膜表面抗原に対するモノクローナル抗体の作製法、ならびに、細胞膜表面抗原に対して結合する抗体の親和性を測定する方法、および、その測定方法を利用して、細胞膜表面抗原に対して結合する抗体をアッセイまたはスクリーニングする方法を提供する。抗体の作製のための免疫において、感作抗原として、該抗原を発現する、被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫と、感作抗原として、遺伝子組換により細胞膜表面上に該抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫とを組み合わせる。抗原と抗体との親和性の測定において、抗原を細胞膜表面に提示する浮遊細胞を用いるとともに、B/F分離を遠心分離又は細胞を通さないフィルターにより行う。

Description

本発明は、細胞膜表面抗原(細胞膜抗原の細胞外ドメイン)に対するモノクローナル抗体の作製法に関する。また、細胞膜表面抗原に対して結合する抗体をアッセイまたはスクリーニングする方法に関する。
サイトカイン、モノカインあるいは細胞膜からの遊離抗原といった可溶性の抗原は大腸菌などを宿主として遺伝子組換により調製されるのが一般的であり、糖鎖を含む一部の抗原タンパクについてはCHO細胞などのげっ歯類由来動物細胞を宿主として遺伝子組換により生産される。一方、受容体や接着分子などの細胞膜上に発現する分子は、不溶性の膜貫通部分を有するため分子全体を培養細胞から分離精製するかまたは細胞外ドメインを遺伝子組換により調製するのが一般的である。(非特許文献1)
しかしながら、受容体や接着分子はその性状や発現様式により、その抗原としての調製が必ずしも容易ではないものがある。例えば、細胞膜抗原分子は、単量体ではなく複合体を形成することが多く、また他の膜分子と連携してその機能をはたす事例が多数報告されている。例えば、CD3/TCR、CD11a/CD18、CD49b/CD29などである。従って、ナチュラルな状態で提示される抗原のエピトープや立体構造を認識するモノクローナル抗体を作製するためには、大腸菌や酵母を宿主とした遺伝子組換で調製された分子を抗原として用いる方法では適当ではないかも知れない。また、こうした細胞膜抗原には膜貫通部分ばかりでなく細胞外ドメインも不溶性または可溶化し難いものがあり、その立体構造は動物細胞の細胞膜表面にあってはじめてナチュラルな状態と同様に提示されるかも知れない。例えば、CD20, FcεRIやMDR1がこれらに該当すると思われる。
細胞膜表面抗原の特定のエピトープに対する抗体作製が困難であることは知られている。例えばCD20抗原の細胞外ドメインは不溶性でありアポトーシスのシグナル誘導に関与するエピトープを有していることが判っているが、多くの文献によりこのエピトープを認識する高親和性の特異抗体を得ることは非常に難しいとされている(非特許文献2, 非特許文献3, 非特許文献4)。このため、Rituxan(商標)のオリジンであるマウス抗体2B8はヒトB細胞であるSB細胞株を免疫して得られたものであり、2H7はやはりヒトB細胞株である6.16c1.3を用いたものであるが、抗体産生クローンを得ることが困難を極めたことはよく知られているところである(非特許文献5)。これらのヒト細胞株を免疫原として用いるには、細胞膜表面における目的抗原の発現量が充分ではないことが多く、かつ通常に用いられる被免疫動物(マウスまたはラット)に対して異種細胞であるために細胞膜抗原を含み細胞全体が抗原性を有することから、目的抗原に対する充分な免疫応答が得られないことも多い。
Francois Baneyx (Editor), Protein Expression Technologies: Current Status and Future Trends, BIOS Scientific Publishers, April 1, 2004. ; Barry Steven Selinsky (Editor), Membrane Protein Protocols: Expression, Purification, and Characterization., Methods in Molecular Biology, V.228, Clifton, N.J., June 1, 2003 Julie P.D. et al., Imminol 2002; 107:176-82 Maria J. Polyak and Julie P. Deans, Studies of Existing CD Molecules:93-95 M. S. Cragg et al., Studies of Existing CD Molecules:95-97 Anderson KC et al., Blood 1984; 63:1424-33, Data Sheet: FITC labeled CD20, Medical & Biological Laboratories Co., Ltd.
本発明の課題は、細胞膜表面抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製法およびそのハイブリドーマを用いる細胞膜表面抗原に対するモノクローナル抗体の作製法を提供することである。また、本発明の別の課題は、細胞膜表面抗原に対して結合する抗体の親和性を測定する方法、および、その測定方法を利用して、細胞膜表面抗原に対して結合する抗体をアッセイまたはスクリーニングする方法を提供することである。
本発明者らは、CD20抗原を認識する抗体を作製するための免疫方法について試行錯誤を重ねたところ、特定の組み合わせ免疫の方法で、医薬として有用なことが知られている抗体c2B8と競合反応するモノクローナル抗体が得られることを見出した。その免疫方法によれば、得られるクローンのうち、目的とする細胞膜表面抗原に対する抗体を産生するクローンの割合が顕著に増加することが判明した。また、蛍光色素で標識した2次抗体を用いた簡便なアッセイ方法によれば、細胞膜表面抗原とそれに対する抗体との結合親和性を高感度で測定できることが判明した。本発明は、これらの知見に基づき、完成されたものである。
本発明は、以下のものに関する。
(1)被免疫動物に複数回免疫することを含む、細胞膜抗原の細胞外ドメインのエピトープを認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製する方法であって、免疫の少なくとも1回は、感作抗原として、該抗原を発現する、被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫であり、かつ、免疫の少なくとも一回は、感作抗原として、遺伝子組換により細胞膜表面上に該抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫であることを特徴とする、前記方法。
(2)複数回の免疫のそれぞれが、感作抗原として、該抗原を発現する、被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫、または、感作抗原として、遺伝子組換により細胞膜表面上に該抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫である(1)記載の方法。
(3)初回免疫、追加免疫、及び、最終免疫を行うことを含み、初回免疫及び追加免疫が、免疫の少なくとも1回は、感作抗原として、該抗原を発現する、被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫、及び、免疫の少なくとも一回は、感作抗原として、遺伝子組換により細胞膜表面上に該抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫のいずれか一方であり、最終免疫が他方である(2)記載の方法。
(4)細胞膜抗原が正常動物細胞またはライン化した動物細胞株に発現する分子である(1)〜(3)のいずれか1項記載の方法。
(5)細胞膜抗原を発現する正常動物細胞またはライン化した動物細胞株が白血球である(4)記載の方法。
(6)細胞膜抗原が膜貫通型分子である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(7)細胞膜抗原のエピトープを提示する細胞外ドメインが不溶性または可溶化し難い抗原である(1)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(8)被免疫動物がげっ歯目の動物であり、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株がCHO細胞、NSO細胞、または、SP2/o細胞である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の方法。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項の方法により作製されたハイブリドーマを用いることを特徴とするモノクローナル抗体の作製方法。
(10)(a)該抗原を細胞膜表面に提示する浮遊細胞に被測定抗体を結合させ、(b)該細胞の細胞膜表面抗原に結合した被測定抗体と遊離の被測定抗体を分離し、(c)該細胞の細胞膜表面抗原に結合した被測定抗体に、被測定抗体の抗原認識部位とは異なる部位で被測定抗体に結合する物質であって標識された物質を結合させ、(d)該細胞の細胞膜表面抗原に結合した被測定抗体に結合した該物質と、遊離の該物質を分離し、(e)該物質の標識を検出することを含む、被測定抗体と細胞膜表面抗原との結合親和性を測定する方法であって、(b)及び(d)の分離を、それぞれ、遠心分離又は細胞を通さないフィルターにより行うことを特徴とする前記方法。
(11)(b)及び(d)の分離を、遠心分離により行う(10)に記載の方法。
(12)(b)及び(d)の分離を、細胞を通さないフィルターにより行う(10)に記載の方法。
(13)細胞が正常動物細胞、ライン化した動物細胞株または遺伝子操作された動物細胞株である(10)〜(12)のいずれか1項に記載の方法。
(14)(10)〜(13)のいずれか1項に記載の方法を利用して細胞膜表面抗原に対して結合するモノクローナル抗体をアッセイする方法。
(15)(10)〜(13)のいずれか1項に記載の方法を利用して細胞膜表面抗原に対して結合するモノクローナル抗体をスクリーニングする方法。
本発明のハイブリドーマ作製法によれば、細胞膜表面抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを効率よく作製することができる。特に、従来は抗体を作製することが困難であるとされていた、分離精製や単なる遺伝子組換のみではナチュラルな立体構造提示が困難な不溶性または可溶化し難い細胞膜表面抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマも作製できる。また、このようなハイブリドーマを作製することにより、細胞膜表面抗原に対するモノクローナル抗体を大量作製することができる。
本発明の測定法によれば、細胞膜表面抗原に対する抗体の親和性を高感度で測定でき、また、これを利用して抗体をアッセイまたはスクリーニングする方法も提供される。本発明の測定法は、特に、一般的な方法では結合親和性測定が困難である細胞膜表面抗原またはその細胞外ドメインのナチュラルなエピトープに対して結合するモノクローナル抗体の親和性の測定に適している。
タンパク発現用ベクター pNOWの構造を示す。 イメージアナライザーによる測定結果(中間調画像の写真)を示す。 飽和曲線を示す。(X軸:添加抗体量(ng)、Y軸:蛍光強度) スキャッチャード解析結果を示す。(X軸:結合量nM、Y軸:結合量 / 遊離量)
符号の説明
Pcmv: CMVプロモーター
Pabgh: 成長ホルモン遺伝子polyA付加シグナル
Psvd: 改変SV40プロモーター
DHFR: マウスジヒドロ葉酸還元酵素cDNA
Pasv: SV40遺伝子 polyA付加シグナル
PBR322ori: 大腸菌中での複製起点
Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)
Neor: 哺乳動物細胞中での選択マーカー(G418耐性)
<1>本発明のハイブリドーマ作製法及びモノクローナル抗体作製法
本発明のハイブリドーマ作製法は、被免疫動物に複数回免疫することを含む、細胞膜抗原の細胞外ドメインのエピトープを認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製する方法であって、免疫の少なくとも1回は、感作抗原として、該抗原を発現する、被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫であり、かつ、免疫の少なくとも一回は、感作抗原として、遺伝子組換により細胞膜表面上に該抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫であることを特徴とする。
本発明のハイブリドーマ作製法は、被免疫動物の免疫が上記の特定の様式で行われる他は、通常のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製法と同様でよい。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常には、(1)被免疫動物の免疫、(2)免疫された動物からのリンパ球の調製、(3)親細胞の調製、(4)リンパ球と親細胞の細胞融合、(5)スクリーニング及びクローニングによって作製される。これらのそれぞれのステップの詳細は、たとえばAilsa M. Campbell (著), 大沢 利昭 (訳) 生化学実験法 モノクローナル抗体、東京化学同人、1989年に記載されている。
被免疫動物は、特に限定されないが、通常に、抗体の作製に用いられる動物であることが好ましい。このような動物としては、げっ歯類の動物、より具体的には、マウス、ラット、ハムスターなどが挙げられる。
被免疫動物の免疫は、通常には、感作抗原の注射(免疫)を複数回行うことにより行われる。これらの複数回の免疫の回数、免疫の間隔、感作抗原の注射量などの各免疫の条件は、被免疫動物の免疫が上記の特定の様式で行われる他は、通常の方法と同様でよい。一般に、3回以上の免疫が行われる場合、最初の免疫を初回免疫、最後の免疫を最終免疫(ブースト)、初回免疫後で最終免疫前の免疫を追加免疫と呼ばれ、それらに適した条件が選択される。
本発明のハイブリドーマ作製法においては、免疫の少なくとも1回が、感作抗原として、該抗原を発現する、被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫であり、かつ、免疫の少なくとも一回が、感作抗原として、遺伝子組換により細胞膜表面上に該抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫であればよく、その順序は限定されない。
本発明のハイブリドーマ作製法においては、複数回の免疫のそれぞれが、感作抗原として、該抗原を発現する、被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫、または、感作抗原として、遺伝子組換により細胞膜表面上に該抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫であることが好ましい。さらに、初回免疫、追加免疫、及び、最終免疫を行うことを含み、初回免疫及び追加免疫が、免疫の少なくとも1回は、感作抗原として、該抗原を発現する、被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫、及び、免疫の少なくとも一回は、感作抗原として、遺伝子組換により細胞膜表面上に該抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫のいずれか一方であり、最終免疫が他方であることが好ましい。
細胞膜抗原は、特に限定されず、CD20、TNFR (tumor necrosis factor receptor)やTGF-β(腫瘍増殖因子)レセプターなどがあげられる。細胞膜抗原は、正常動物細胞またはライン化した動物細胞株に発現する分子であることが好ましい。細胞膜抗原を発現する正常動物細胞またはライン化した動物細胞株の例としては白血球が挙げられる。
本発明のハイブリドーマ作製法では、従来の方法では、モノクローナル抗体の作製が困難であった、細胞膜抗原が膜貫通型分子である場合や、細胞膜抗原のエピトープを提示する細胞外ドメインが不溶性または可溶化し難い抗原である場合でも、そのような抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製することができる。
被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株は、標的とする細胞膜抗原を発現する限り、特に限定されず、用いる被免疫動物に応じて選択される。たとえば、被免疫動物がげっ歯類の場合は、ヒト由来の細胞株を用いることができる。たとえば、細胞膜抗原がCD20である場合、ヒト由来細胞株としては、SB細胞、Raji細胞などが挙げられる。
被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株における細胞膜抗原の発現量は、多い方が好ましく、たとえば、SDS電気泳動法後CBB染色による染色による検出やウェスタンブロッティング法でその抗原に対する抗体を用いて発現量を検出した場合、107個の細胞に少なくとも数μgの抗原の存在することが望ましい。
遺伝子組換により細胞膜表面上に標的とする細胞膜抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株は、標的とする細胞膜抗原を発現する限り、特に限定されず、用いる被免疫動物に応じて選択される。たとえば、被免疫動物がげっ歯目の動物である場合、CHO細胞、NSO細胞、SP2/o細胞などが挙げられる。
被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株の細胞膜表面における細胞膜抗原の発現密度は、高いことが好ましく、たとえば、FITC標識モノクローナル抗体で発現細胞を染色した場合、本来その抗原を有する細胞と比べて5倍以上の蛍光強度の検出されることが好ましい。
たとえば、CD20を発現する組換CHO細胞(CD20/CHO)はナチュラルなB細胞株に較べてCD20分子を細胞表面に圧倒的に多く提示することが可能であり免疫原として有効である。組換タンパク発現ベクターの性能に依存するが、CD20全配列をもつpNOWでトランスフェクトしたCD20/CHOの抗原提示は極めて高密度であることが明らかとなっている。このことは、市販のFITC標識抗CD20モノクローナル抗体(DAKO,カタログ番号F0799)を用いた結合反応試験で証明されている。
また、本発明により、本発明のハイブリドーマ作製方法により作製されたハイブリドーマを用いることを特徴とするモノクローナル抗体の作製方法も提供される。
ハイブリドーマを用いてモノクローナル抗体を作製する方法は、本発明のハイブリドーマ作製法で作製されたハイブリドーマを用いることの他は、通常の、モノクローナル抗体の作製の方法と同様でよい。大量作製の場合には、細胞培養による方法、マウスの腹水として作製する方法などが挙げられる。
<2>本発明の親和性測定法
本発明の親和性測定法は、(a)該抗原を細胞膜表面に提示する浮遊細胞に被測定抗体を結合させ、(b)該細胞の細胞膜表面抗原に結合した被測定抗体と遊離の被測定抗体を分離し、(c)該細胞の細胞膜表面抗原に結合した被測定抗体に、被測定抗体の抗原認識部位とは異なる部位で被測定抗体に結合する物質であって標識された物質を結合させ、(d)該細胞の細胞膜表面抗原に結合した被測定抗体に結合した該物質と、遊離の該物質を分離し、(e)該物質の標識を検出することを含む、被測定抗体と細胞膜表面抗原との結合親和性を測定する方法であって、(b)及び(d)の分離を、それぞれ、遠心分離又は細胞を通さないフィルターにより行うことを特徴とする。
本発明の親和性測定法は、抗原を細胞膜表面に提示する浮遊細胞を用いること、被測定抗体の抗原認識部位とは異なる部位で被測定抗体に結合する物質であって標識された物質を用いること、結合したものと遊離のものの分離(B/F分離)を遠心分離又は細胞を通さないフィルターにより行うことの他は、通常の、抗原と抗体との親和性を測定する方法と同様でよいが、浮遊細胞の量は、この測定系において1チューブ当たり5×105個前後にすることが好ましい。また、抗体を直接RI標識せずに、二次抗体を用いて測定することが可能である。
たとえば、被測定抗体の抗原認識部位とは異なる部位で被測定抗体に結合する物質としては、被測定抗体に対する抗体(たとえば、Fc部位に対する抗体)、プロテインAやプロテインGなどが挙げられる。標識としては、蛍光物質、磁気ビーズなどが挙げられる。
本発明の親和性測定法においては、分離方法が同じであることが好ましい。
用いる細胞は、標的とする抗原を細胞膜表面に提示する浮遊細胞である限り、特に限定されないが、正常動物細胞、ライン化した動物細胞株または遺伝子操作された動物細胞株であることが好ましい。このような細胞としては、抗原がCD20である場合、Raji細胞などが挙げられる。
具体的な手順の例としては、次のものが挙げられる。(1)浮遊細胞とマウスモノクローナル抗体(一次抗体)を反応後、(2)遊離(フリー)の一次抗体を洗浄および遠心により除去し、(3)蛍光標識された抗マウス二次抗体を反応させ、(4)洗浄および遠心により遊離の二次抗体を除去し、その後(5)細胞に一次抗体を介して結合した二次抗体の蛍光量を蛍光イメージアナライザーで測定する。さらに(6)用いた蛍光標識二次抗体について濃度と蛍光量を測定することで検量線を作成し、測定値を濃度に換算することで結合した二次抗体量を求め、添加抗体量から結合量を引くことで遊離の抗体量を算出する。
より具体的な手順の例としては、以下に記載するステップよりなる方法が挙げられる。
1)細胞膜上の抗原発現量が多い細胞または細胞株を選択し、充分な細胞数が得られるまで培養する。
2)遠心により該細胞を回収し洗浄する。
3)被検モノクローナル抗体又は陽性コントロール抗体を含む溶液中に細胞を懸濁する。
4)一定時間振とう反応させた後、遠心して細胞を回収し、すばやく洗浄する。
5)回収した細胞を蛍光標識二次抗体を含む溶液中に懸濁する。
6)一定時間振とう反応させた後、遠心して細胞を回収し、洗浄する。
7)細胞を再度懸濁して96ウエルプレートのウエルに移し、蛍光強度をイメージアナライザーで検出する。
8)検出後、結合した抗体量とフリーの抗体量を画像から数値化し、スキャッチャ−ド・プロットから解離定数(Kd値)を求める。
本方法においては、細胞をホルムアルデヒドなどの架橋剤で固定せずに用いるため、細胞表面上の立体構造を維持したままの標的とする細胞膜表面抗原とモノクローナル抗体との親和性を測定することが可能である。
本発明の親和性測定法を利用して、細胞膜表面抗原に対して結合するモノクローナル抗体をアッセイしたり、細胞膜表面抗原に対して結合するモノクローナル抗体をスクリーニングしたりすることができる。アッセイ及びスクリーニングの方法は、親和性測定法として本発明の親和性測定法を利用する他は、通常の、親和性測定方法を利用して、細胞膜表面抗原に対して結合するモノクローナル抗体をアッセイする方法、及び、細胞膜表面抗原に対して結合するモノクローナル抗体をスクリーニングする方法と同様でよい。
本発明の効果が得られる理由は、以下の説明によって拘束されるものではないが、以下のように考えられる。
感作抗原として、被免疫動物物と異種の細胞(該抗原を発現する、被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株)と、同種または近縁種の細胞(遺伝子組換により細胞膜表面上に該抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株)を組み合わせることによって、標的分子のみの免疫原性が高められるため、標的分子に特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの割合が増加すると思われる。
抗体c2B8は、医薬品として有用なことが知られていることから分かるようにナチュラルな状態にあるエピトープを認識すると考えられ、CD20との結合反応においてこの抗体と競合するモノクローナル抗体を産生するクローンが多数得られていることは、本発明の方法における標的分子はナチュラルな状態にあることを示唆している。この利点は、特に、標的とする分子上のエピトープの立体構造を一般的な抗原調製方法では再現し得ない場合に有効である。一般的な抗原調製方法とは、抗原分子を発現している細胞を溶解し、その抗原を分離精製する方法である。ナチュラルな状態の抗原の立体構造は、抗原を細胞表面上に発現させることによって再現できると思われるが、このような抗原を細胞表面上に発現させた細胞を抗原として単に用いるだけでは、目的のモノクローナル抗体を得ることは困難である。上記のような特定の組合せ免疫を用いることにより、このような場合でも、実用的な割合で、目的のモノクローナル抗体が得られるようになると考えられる。
親和性測定において、浮遊細胞を用いることにより感度が上昇する理由としては、固定化すると固相表面の面積により細胞量が限定される一方、浮遊細胞では細胞数を多くすることができるためと考えられる。また浮遊状態での細胞には表面全体の抗原に抗体が結合可能であるのに対し、固定化すると抗体が結合可能な細胞表面積が減少することも理由の一つである。加えて、細胞を架橋して固相化する場合には、固相化に伴いエピトープが消滅したり、その立体構造が変化したりする可能性があり、ナチュラルな状態の抗原に対する親和性が測定できなかったり、親和性が低く評価される恐れがあるが、本発明の親和性測定法においてはこのような恐れがない。
不溶性膜表面抗原を有するCD20分子に対するモノクローナル抗体の作製と、得られた抗体の結合親和性の定量的測定を、実施例を参照して説明する。
<1>モノクローナル抗体の作製
(1)マウス感作用免疫抗原の準備
まずCD20を発現している代表的なB細胞株であるSB細胞とRaji細胞をin vitroで培養した。
次にMultiple Choice cDNA human spleen, Origene Technologies, Inc. 6 Taft Court Suite 100 Rockville, MD 20850から、CD20の全分子をコードするDNAを特異的なプライマーhCD20-S-GK-Not aatgcggccgccaccatgacaacacccagaaattc(配列番号1)、及びhCD20-E-Xba gctctagattaaggagagctgtcattttc(配列番号2)を用いてクローニングし、それを哺乳動物細胞用高発現ベクターであるpNOW (特許第3582965 号公報、図1)に組み込み、構築されたベクターをCHO細胞にトランスフェクトした。FACS分析により、細胞表面にCD20分子を高発現している組換CHO細胞(CD20/CHO細胞)を樹立した。なお、FITC標識抗CD20モノクローナル抗体で染色した場合にSB細胞に比べて蛍光強度が5倍以上のものを高発現しているものとした。
(2)免疫原の調製
SB細胞またはRaji細胞は10%FCS添加RPMI1640培地を用いて培養を行った。
CD20/CHO細胞は、G418を800μg/ml添加したCHO-S-SFM II培地(GIBCO、Cat. No. 12052-098)を用いて培養を行った。これらの培養液を遠心分離(1100rpm、5分)した後、細胞にDulbecco's PBS(-)を加えて懸濁させ再度遠心分離した。この洗浄操作をもう一度繰り返し、細胞に生理食塩水を加えて調製した懸濁液(1ml当たりの細胞数は1〜3×107である)を免疫に用いた。
(3)免疫
7〜11週令のBalb/c系雌性マウスへ、免疫原の調製液をいずれも腹腔内投与した。使用した免疫原の組み合わせを表1に示した。SB細胞、Raji細胞またはCD20/CHO細胞のうち、いずれか同じ細胞をさまざまな日数間隔で2〜3回繰り返して投与した後、最終免疫には異なった細胞を投与した。投与した細胞数はいずれもマウス1匹当たり1〜3×107個であった。
(4)細胞融合
最終免疫の3日後、2匹のマウスから脾臓細胞を調製し、マウスミエロ−マ(NS-1)との融合反応をPEG-1500の存在下で行なった。方法は、Oi,V.T. and L.A. Herzenberg, 1980, in:Selected Methods in Cellular Immunology, eds. B. Mishell and S.M. Shiigi(Freeman and Co.San Francisco, CA) p.351. に従った。
(5)1次、2次スクリーニング
CD20/CHO細胞またはCHO細胞(親株)を付着させた96ウエルプレートを用いてCell ELISAを行い、CD20に特異的に反応する抗体を産生しているウエルを選択した。さらに、同じCD20/CHO細胞を付着させた96ウエルプレートを用い、医薬品として有用であることが知られている抗体c2B8(抗CD20マウスモノクローナル抗体2B8から作製されたヒト・マウスキメラ抗体である)との競合反応を行って、c2B8のエピトープと類似したところに反応する抗体(ウエル)を選択した。
(6)Cell ELISA
Poly-L-Lysineコート96ウエルプレート(旭テクノグラス、Cat.No.11-023-018)に付着させたCD20/CHO細胞またはCHO細胞(親株)をCell ELISAに用いた。その各ウエルにブロッキング液(0.2%-Gelatine, 0.5%BSAのPBS溶液)を150μl入れて37℃で1時間静置した。150mM-NaCl, 0.05%-Tween20水溶液を用いてプレートを5回洗浄した後、サンプル(培養上清の希釈液)を各ウエルに100μl入れて1次反応を37℃で1時間行なった。洗浄後、標識抗体の希釈液〔HRP標識抗マウスIgG(H+L) ウサギ抗体(Jackson Lab. Code No. 315-035-003)、またはHRP標識抗マウスIgG(Fcγ) ウサギ抗体(Jackson Lab. Code No. 315-035-008))〕〕を各ウエルに100μl入れて2次反応を37℃で1時間行なった。1次、2次の反応液の調製には、ブロッキング液と同じものを用いた。洗浄後、発色液(OPD)を各ウエルに100μl入れ30分後に4N-H2SO4を50μl加えて反応を停止し、A492を測定した。
(7)Cell ELISAでの競合反応
サンプル(培養上清の希釈液)とキメラ抗体(10〜40ng/ml)の混合溶液を調製した。
上記のCell ELISAと同様にブロッキング反応をしたあと、この混合溶液を各ウエルに100μl入れて1次反応を37℃で1時間行なった。洗浄後、標識抗体の希釈液〔HRP標識抗ヒトIgG(H+L)ウサギ抗体(Jackson Lab. Code No. 309-035-082)〕を各ウエルに100μl入れて2次反応を37℃で1時間行なった。洗浄後、発色液(OPD)を各ウエルに100μl入れ30分後に4N-H2SO4を50ul加えて反応を停止し、A492を測定した。
標識抗体はキメラ抗体のみに反応するので、1次反応で添加したサンプル中の抗体がキメラ抗体と競合すれば、測定値の低下が認められた。
(8)クローニング
限界希釈法で行った。細胞を96ウエルプレートに撒いて培養後、1コロニーのウエルの培養上清についてCell ELISAを行い、特異抗体の産生クローンを選択した。
(9)精製抗体の調製
特異抗体の産生クローンを10%FCS添加RPMI1640培地で培養し、細胞密度が5×105/ml前後になった時点で無血清培地ASF-104N(味の素)に培地を交換して培養を行った。その2〜4日後に培養液を遠心分離して培養上清を回収したあと、プロテインGカラムを用いて精製を行い、溶出されたモノクローナル抗体溶液を150mM-NaClに対して透析した。0.2 μmのフィルターでろ過滅菌を行ない、試験抗体(抗ヒトCD20マウスモノクローナル抗体)とした。
<結果>
免疫方法と、その免疫方法により得られたハイブリドーマのスクリーニングおよびc2B8との競合反応の結果を表1に示す。
Figure 2006109533
表1に示されるように、ヒト由来細胞(SB細胞又はRaji細胞)による免疫と、遺伝子組換えによりCD20を発現させた、マウスと同目に属する動物に由来するCHO細胞(CD20/CHO細胞)による免疫の両方を組み合わせて行った場合、ヒト由来細胞による免疫のみを行った場合と比較してCD20に対する特異抗体の産生細胞が細胞融合によって多く得られることが分かった。また、選択されたクローンの中には、対照抗体c2B8との競合反応の認められる抗体を産生するクローンが多く含まれていた。
<2>結合親和性測定
目的とする抗原を細胞表面で発現しているヒトB細胞株由来の浮遊細胞Raji及び、CD20抗原を発現していない細胞としてヒトT細胞株由来の浮遊細胞Jurkatを用いた。共にRPMI1640(ナカライ、Cat.No.30264-85、Lot L4K2844)に10%ウシ胎仔血清FCS(BIOLOGICAL IND. Cat.No.04-001-1A、Lot 815242、補体成分を非働化するためあらかじめ56度30分加温したもの) を添加した培地で37度CO2濃度5%のCO2インキュベーター (SANYO MCO-175M)で培養、週2回の継代により維持した。
細胞数の測定は、Burker-Turk血球計算盤(ヱルマ販売(株)Cat.No.03-303-1)を用いて行った。
継代後3〜4日目のコンフルエントな細胞の培養液を多本架冷却遠心機LX-120 (TOMY)で室温、3000r.p.m.で3分間遠心し、上清を除き、細胞を回収した。ここで用いた回転数と時間は遠心分離と上清除去を繰り返し行っても細胞数が変化しない条件である。細胞の表面に残った培地及びFCSを除くため(洗浄)、回収した細胞をDulbecco's Phosphate Buffered Saline(-) without Ca and Mg [PBS(-) 、(NaCl:Wako、Cat.No.191-01665、Na2HPO4:Wako、Cat.No.197-02865、Lot ASF2635、KCl:Wako、Cat.No.163-0334T、Lot CEQ7122 、KH2PO4:Wako、Cat.No.169-0425、Lot ELG7616]で懸濁後、3000 r.p.m.で3分間遠心して上清を除く操作を2回行った。洗浄を終えた細胞を1%BSA (Wako Cat No.013-07492 Lot PKH3483 )-PBS溶液で懸濁し、細胞密度を5x106個/mlに調整した。
一次抗体として、試験抗体又は陽性コントロール抗体(2B8) 15, 30, 50, 75, 100, 125, 150, 200 ng (1.5〜5μl)を各々、1.5mlチューブ(ビーエム機器、BMリングロックチューブ Cat.No.BM-15)に分注し、同時に抗体を入れないチューブも4本用意した。また、各々の試験抗体あたり3点のサンプルを準備した。そこに、1%BSA (Wako Cat No.013-07492 Lot PKH3483 )-PBS溶液で懸濁液を100μl(細胞数5x105個)ずつ加えて混和し、室温で1時間振とう反応させた。
反応後、微量高速冷却遠心機MX-100(TOMY)で室温、3000 r.p.m.3分間遠心分離し、細胞を回収後、細胞の表面に残った未反応の一次抗体を除くため200μlのPBSで懸濁し、3000 r.p.m.で3分間遠心し上清を除く操作を2回行った。
次に細胞に結合した一次抗体を検出するため、細胞と結合した一次抗体に対して過剰量(500ng)のFITC標識抗マウスIgG (H&L)二次抗体 〔GOAT Anti-mouse IgG(H&L) Fluorescein conjugated, affinity purified Secondary antibody、Chemicon、Cat.No.AP124F、 Lot 24021014〕 1% BSA-PBS溶液100μl(500ng/100μl) を上記細胞に添加・懸濁し、遮光、室温のもと1時間振とう反応した。反応後、3000 r.p.m.で3分間遠心し、細胞を回収後、細胞の表面に残った未反応のFITC標識抗マウスIgG (H&L)抗体を除くため、200μlのPBSで懸濁し3000 r.p.m.で3分間遠心し上清を除く操作を2回行った。
こうして得た細胞を100μl PBSで懸濁し、96ウエル平底プレート(住友ベークライトELISA PLATE Cat.No.8496F)へ移した。二次抗体の蛍光量をTyphoon9210イメージアナライザー(Amersham Bioscience)を用いて、Fluorescense mode, 600v, 526SP/green(532nm)、Focus底面+3mmの検出条件で測定した。この際、FITC標識二次抗体を0, 12.5, 25, 50, 75, 100, 125, 150 ng添加したPBS溶液100μlを検量線作成用のコントロールとして用いた。
検出後、画像を画像解析ソフトImage Quant (Amersham Bioscience)を使用し、数値化を行った後、Excel (Microsoft)で解析を行った。この際、プレート、PBS溶液、および細胞に非特異的に結合したFITC標識二次抗体に由来するバックグラウンド値として、細胞とFITC標識二次抗体のみを反応させたものの測定値を求め、その4点の平均値を各サンプルの蛍光強度の値から差し引いた。こうして、細胞に結合したFITC標識二次抗体の蛍光量を得た。更に、コントロールとして用いた各濃度のFITC標識二次抗体での蛍光量を測定することで検量線を作成し、細胞に結合している二次抗体の量(モル数または重量)を求めた。各一次抗体とFITC標識二次抗体が1:2の割合で反応していると仮定し、結合している一次抗体量を算出した。また遊離の一次抗体量は添加量から結合量を差し引いて求めた。抗体濃度をモル濃度に換算する際、モノクローナル抗体の分子量を150000とした。
添加する一次抗体の増加に伴い結合反応が飽和して蛍光強度が一定量に達することを確認するとともに、細胞表面の抗原数及び解離定数(Kd値)を算出するため、スキャッチャード解析(Scatchard,G.; Ann.N.Y.Acad.Sci.,51: 660-672,1949、分子生物学研究のための新培養細胞実験法;羊土社、実験医学別冊バイオマニュアルUPシリーズ改訂第2版、212-217参照)を行った。このとき、数値は各サンプルについて3点の値の平均値を用いた。
試験抗体:リガンド(L)と細胞表面抗原:レセプター(R)の結合はリガンド・レセプター複合体(LR)と次の反応式で示される。
L+R←→LR
遊離リガンド濃度〔L〕、非結合型レセプター濃度〔R〕、レセプターと結合したリガンド濃度〔LR〕として、平衡下での解離定数Kdは
Kd = 〔L〕〔R〕/ 〔LR〕 ・・・・I
用いるリガンドの全量〔L total〕は遊離型とレセプターに結合したものとの和になる。
〔L total〕= 〔L〕+〔LR〕・・・・II
一方、レセプターも総量〔R total〕はリガンドに結合していないものと結合したものとの和になる。
〔R total〕= 〔R〕+〔LR〕・・・・III
このレセプターの数〔R total〕(試験抗体の最大結合量)とレセプターとリガンドとの親和性をScatchard解析で推定する。上記I,II,IIIの式を変形、代入すると、
〔LR〕/〔L〕 = - 1/Kd〔LR〕 + 〔R total〕/ Kd
〔LR〕をB (bound) 、〔L〕をF (free) で表し、〔R total〕をB max(定数)で示すと
B / F = - 1 / Kd B + Bmax / Kd
が得られる。この式はB/Fをy軸にBをx軸にとる一次関数となる。直線の傾きからKd値を得、y切片からBmaxを得ることができる。Kd値は濃度の次元をもち、低い値ほど高い親和性を示す。(結合定数Ka = 1/ Kd)
<結果>
陽性コントロール(2B8)、試験抗体A(表1の1K17シリーズのクローン1k1773が産生する抗体)及び試験抗体B(同じく1K17シリーズの1k1782が産生する抗体)を用いて親和性測定を行った場合の、イメージアナライザー画像を図2に、飽和曲線を図3に、スキャッチャード(Scatchard)解析の結果を図4に示す。また、上記スキャッチャード解析より得られた一次関数の傾きより、解離定数 (Kd値) を求めた。同様の実験を繰り返し行い、得られたKd値(平均)は以下のとおりであった。
Figure 2006109533
陽性コントロールとして用いた抗体2B8について得られたKd値は6.8nMであった。Mitchell ER et al., Blood 1994; 82:435-445に報告されている2B8のKd値は3.5nMであるので、近似したKd値が本発明の親和性測定法でも得られた。

Claims (15)

  1. 被免疫動物に複数回免疫することを含む、細胞膜抗原の細胞外ドメインのエピトープを認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製する方法であって、免疫の少なくとも1回は、感作抗原として、該抗原を発現する、被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫であり、かつ、免疫の少なくとも一回は、感作抗原として、遺伝子組換により細胞膜表面上に該抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫であることを特徴とする、前記方法。
  2. 複数回の免疫のそれぞれが、感作抗原として、該抗原を発現する、被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫、または、感作抗原として、遺伝子組換により細胞膜表面上に該抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫である請求項1記載の方法。
  3. 初回免疫、追加免疫、及び、最終免疫を行うことを含み、初回免疫及び追加免疫が、免疫の少なくとも1回は、感作抗原として、該抗原を発現する、被免疫動物とは他の目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫、及び、免疫の少なくとも一回は、感作抗原として、遺伝子組換により細胞膜表面上に該抗原を発現させた、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株を用いる免疫のいずれか一方であり、最終免疫が他方である請求項2記載の方法。
  4. 細胞膜抗原が正常動物細胞またはライン化した動物細胞株に発現する分子である請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 細胞膜抗原を発現する正常動物細胞またはライン化した動物細胞株が白血球である請求項4記載の方法。
  6. 細胞膜抗原が膜貫通型分子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 細胞膜抗原のエピトープを提示する細胞外ドメインが不溶性または可溶化し難い抗原である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 被免疫動物がげっ歯目の動物であり、被免疫動物と同目に属する動物に由来する細胞株がCHO細胞、NSO細胞、または、SP2/o細胞である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項の方法により作製されたハイブリドーマを用いることを特徴とするモノクローナル抗体の作製方法。
  10. (a)該抗原を細胞膜表面に提示する浮遊細胞に被測定抗体を結合させ、(b)該細胞の細胞膜表面抗原に結合した被測定抗体と遊離の被測定抗体を分離し、(c)該細胞の細胞膜表面抗原に結合した被測定抗体に、被測定抗体の抗原認識部位とは異なる部位で被測定抗体に結合する物質であって標識された物質を結合させ、(d)該細胞の細胞膜表面抗原に結合した被測定抗体に結合した該物質と、遊離の該物質を分離し、(e)該物質の標識を検出することを含む、被測定抗体と細胞膜表面抗原との結合親和性を測定する方法であって、(b)及び(d)の分離を、それぞれ、遠心分離又は細胞を通さないフィルターにより行うことを特徴とする前記方法。
  11. (b)及び(d)の分離を、遠心分離により行う請求項10に記載の方法。
  12. (b)及び(d)の分離を、細胞を通さないフィルターにより行う請求項10に記載の方法。
  13. 細胞が正常動物細胞、ライン化した動物細胞株または遺伝子操作された動物細胞株である請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法を利用して細胞膜表面抗原に対して結合するモノクローナル抗体をアッセイする方法。
  15. 請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法を利用して細胞膜表面抗原に対して結合するモノクローナル抗体をスクリーニングする方法。
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