JPWO2006028285A1 - 顔料結晶製造段階における中間化学物質、それを用いた顔料結晶製造方法、顔料結晶体 - Google Patents

顔料結晶製造段階における中間化学物質、それを用いた顔料結晶製造方法、顔料結晶体 Download PDF

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Abstract

固体相中と液体相中の両方において好適に使用できる顔料結晶体を得るのに必要な極めて高純度で且つ、結晶型、粒子径、凝集性、分散性が制御された、顔料結晶を作り出すことのできる製造方法を提供すること。顔料前駆体(S0)から逆ディールス−アルダー反応を利用して顔料結晶(S3)を得るために、前記顔料前駆体(S0)から前記顔料結晶(S3)までの間に、前記顔料前駆体(S0)及び前記顔料結晶(S3)とは異なると共に少なくとも互いに異なる第1変位構造(S1)と第2変位構造(S2)とを経由する顔料結晶製造方法

Description

本発明は、新規な顔料結晶製造方法、該方法によって得られた顔料結晶体に関する。
これまで、高精細度を要求されるインクジェット用記録液(インク)の色材には染料が用いられてきた。染料を用いたインクは、高透明度、高精細度、優れた演色性等の特徴を有する画像を与えることができるが、耐光性や耐水性等の画像の堅牢性に劣るという問題を有する場合が多い。近年、この画像の耐光性や耐水性等の問題を解決するために、染料に代えて、有機顔料やカーボンブラックを色材として用いた顔料インクが製造されている。このように、画像の堅牢性を高める観点から、インクに使用される色材は、染料から顔料へとシフトしてきている。
ところで、所定の溶媒に対する親溶媒性の基を有する構造の染料とすることによって、該溶媒に可溶であり、逆ディールス−アルダー反応によって該親溶媒性の基が脱離し、該溶媒に対する溶解度が不可逆的に低下可能な染料、及びかかる染料を用いたインクが提案されている(特許文献1)。この色材は、逆ディールス−アルダー反応させると、溶媒に不溶解状態(即ち、顔料状態である)にすることができ、画像の堅牢性が良好になる。なおここにおいて、溶媒に溶解した化合物(即ち、染料状態)を被記録材に付与し、該被記録材上で上記の反応を生じせしめるためには、加熱や、光、電磁波及び放射線の照射等の外的エネルギーが与えられている。
又、金属化合物を含有した被記録媒体に逆ディールス−アルダー反応する化合物(染料)を付与して、前記逆ディールス−アルダー反応する化合物(染料)を逆ディールス−アルダー反応させて、顔料化させる提案が成されている。(特許文献9参照)しかしながら、得られた顔料は、被記録媒体上で、溶媒に対して不溶化した顔料に変換されているが、色ムラが多い記録画像になってしまう。この記録画像をX線回折装置等の各種観察装置を用いて調べたところ、不均一な顔料化状態や、混晶状態、及び凝集状態に成っていることがわかり、良好な記録画像を得るためには、顔料を単結晶化する必要がある
又、熱的可逆性のディールス−アルダー反応する重合化反応化合物を、インクジェットインク・キャリアの粘度温度制御材として用いた相変化インクについての提案がされている(特許文献2)。この発明では、反応が可逆反応であるため、溶解性が減少した状態で冷却すると、環化反応が誘発され、溶解性が増加してしまう。
又、トリアリルメタン系の化合物の紫外線、熱による分解反応や、フォトクロミック化合物のような光、熱可逆性化合物を使用した極性(溶解性、凝集性)の制御についての提案がされている(特許文献3)。しかしながら、該極性部は、ラジカルイオン開裂的に分解する系であるため、非可逆的な状態を形成することは可能であるが、副生成物が極めて不安定であるため、酸化劣化反応を誘発してしまう。又、フォトクロミック反応は、可視、紫外線及び熱に対し可逆反応であるため、ある一定状態を維持することが難しい。
更に、インクが、被記録材上に付与された時に、ディールス−アルダー反応を生じさせることで、得られた記録画像の堅牢性を良好にすることについての提案がある(特許文献4)。又、被記録媒体中の構成成分による逆ディールス−アルダー反応に起因して生じる黄変現象を、ディールス−アルダー反応を生じさせる成分として被記録媒体に強力なジエノフィルを含有させることで防止することが提案されている(特許文献5)。
顔料には、化学式や組成、構造が同じでも2以上の顔料結晶型をとるものがあり、多形と呼ばれる。例として挙げると、フタロシアニンブルーの、α型、β型、ε型等があり、これらは、吸収係数や屈折率が異なるので、色相や隠蔽力が異なっている。有機顔料は、色材として塗料分野で使用されるばかりでなく、エレクトロニクス分野においても、例えば、電子写真感光体の電荷発生剤、CD−R、DVD−R等の被記録媒体用色素、トナーやインクジェットプリンタ用インクの着色剤、液晶表示素子用カラーフィルター色素、有機ELデバイス用発光材等の様々な用途に用いられる。ここで、有機顔料を上記用途に使用するためには、先ず、高純度であること、特定の吸収特性を持つこと、が必要である。吸収特性は、顔料の化学構造、粒径、顔料結晶型、純度等により支配されているが、特に有機顔料は同一化学構造であっても、幾つもの顔料結晶型を持つものが多く存在するため、それらを制御しながら、且つ、いかに高純度に製造していくかが新たな有機顔料を開発する上での重要なポイントとなる。
例えば、電子写真感光体の電荷発生材料としては様々な有機顔料が使用されているが、近年、半導体レーザー光やLED光の発振波長である近赤外光に対し、高感度な吸収を示す顔料が強く求められている。この要求を満たす有機顔料として、フタロシアニン類が広く研究されている。フタロシアニン類は、中心金属の種類により吸収スペクトルや光導電性が異なるだけでなく、顔料結晶型によってもこれらの物性には差があり、同じ中心金属のフタロシアニンでも特定の顔料結晶型が電子写真感光体用に選択されている例が幾つか報告されている。
無金属フタロシアニンではX型の顔料結晶型が高い光導電性で、且つ、800nm以上の近赤外光に対しても感度が有るとの報告があり、又、銅フタロシアニンでは、多くの顔料結晶型のうちで、ε型が最も長波長に感度を有していると報告されている。しかし、X型無金属フタロシアニンは準安定型顔料結晶型であって、その製造が困難であり、又、安定した品質のものが得にくいという欠点がある。一方で、ε型銅フタロシアニンは、α型やβ型の銅フタロシアニンに比べれば分光感度は長波長に伸びているが、800nmでは780nmに比較し、急激に低下しており、発振波長に変動のある半導体レーザー用には使いにくい性能となっている。銅フタロシアニンでは、α、β、γ、ε型等の顔料結晶型の違いにより、帯電性、暗減衰、感度等に大きな差があることが知られており(例えば、非特許文献1)、又、顔料結晶型により吸収スペクトルが異なることより、分光感度も変化することも報告されている(例えば、非特許文献2)。
この様に、顔料結晶型による電気特性の違いは、無金属フタロシアニンや他の多くの金属フタロシアニンに関してよく知られており、電気特性の良好な顔料結晶型をいかに作るか、という点に多くの努力がなされている。更に、多くの顔料は、水の中で合成或いは後処理されていて、ここで大きさや形を調整した一次粒子がつくられるが、その後の工程、特に乾燥工程で粒子同士が凝集して二次粒子を形成してしまうため、これらの凝集した粒子を微細化することが分散工程においては必要である。
これまで、有機顔料の結晶型を制御(又は微細化)する方法としては、合成段階で制御する方法の他、例えば、アシッドペーステイング法、アシッドスラリー法等のいわゆる硫酸法(特許文献6);ソルベントミリング法、ドライミリング法、ソルトミリング法等の粉砕法により一旦溶解或いは非晶質化した後、所望の結晶型に転換させる方法(非特許文献3)、加熱条件下、有機顔料を溶媒に加熱溶解した後、徐冷却し結晶化させる方法(特許文献7)が一般的である。又、有機薄膜において、結晶型を制御する方法では、昇華温度を制御して所望の結晶型を得る方法(特許文献8)が一般的である。
特開2003−327588号公報 特開平11−349877号公報 特開平10−31275号公報 特開平7−61117号公報 特開昭64−26444号公報 特開平5−72773号公報 特開2003−160738号公報 特開2003−003084号公報 特開2004−262807号公報 染料と薬品、第24巻6号、p122(1984) 電子写真学会誌第22巻、第2号、p111(1984) 色材協会他、「第41回顔料入門講座テキスト(1999)」
しかしながら、一般的に知られている上記の方法は顔料前駆体から顔料結晶体を得るためのエネルギーを与える工程のみで従来は顔料化を行っている。ここで得られる顔料は結晶型、粒子径、凝集性、分散性等のばらつきを持っており、所望のレベルを満足するものが安定してできないものであった。
従って、本発明の目的は、顔料結晶体(好ましくは固体相中と液体相中の両方において好適に使用できる結晶体)を得るのに必要な、極めて高純度で、且つ、結晶型、粒子径、凝集性、分散性が安定しており、所望の安定した組成の顔料結晶を作り出すことのできる製造方法、及びそれを達成するための中間体としての中間化学物質を提供することにある。
本発明者らは、前記した従来技術の課題に対して、多環構造部を有する顔料前駆体から(好ましくは逆ディールス−アルダー反応を用いる)、直接的に前記多環構造部が安定した環状体を形成している顔料結晶までを製造する際に、外的エネルギー付与の条件とその時点で顔料の生成と顔料結晶状態についての詳細な検討をすることにした。その結果、初期段階構造である顔料前駆体(S)が最終段階構造である顔料結晶(S)へと変換していく際、その過程に顔料結晶構造上において顔料前駆体(S)及び顔料結晶(S)とは構造が異なり、また、お互いにも構造の異なる第1変位構造(S)と第2変位構造(S)という2種類の異なる構造の中間化学物質の存在を見出した。具体的には、顔料前駆体(S)が多環構造体を有する場合にその多環構造体が変化し第1の構造を持つ部分が全体的に存在している状態を第1変位構造(S)と認識し、その次に展開し第1の構造とは異なる第2の構造を全体的に存在している状態を第2変位構造(S)と認識した。無論、それぞれの間にある中間領域すなわち、顔料前駆体(S)を一部有し大半が第1変位構造(S)である領域も認識し第1変位構造(S)を一部有し大半が第2変位構造(S)、第2変位構造(S)を一部有し大半が多環構造体が安定した環状態を形成している顔料結晶(S)である領域も認識した。
そして、この2種類の変位構造(S)、(S)[上記中間領域も本発明では考慮される]、およびを得るための顔料結晶化反応条件(外的エネルギー付与条件)を厳密に規定し、結晶を形成する前の直前の構造である顔料前駆体(S)が最終段階構造である顔料結晶(S)へと変換していく際の顔料結晶化反応に中間体として用いることにより従来の方法ではできなかった、固体相中と液体相中の両方において極めて高純度で且つ、所望する結晶型、粒子径、凝集性、分散性が制御された所望の均一組成の顔料結晶体を作り出すことが可能な顔料結晶製造方法を確立し、本発明の完成に至った。即ち、上記の目的は、下記の各本発明によって達成される。
本発明は、[1]顔料前駆体(S)の分子構造変換して顔料結晶(S)を得る顔料結晶製造方法に用いられる中間化学物質であって、
該中間化学物質が前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる、第1変位構造(S)又は第2変位構造(S)を有することを特徴とする中間化学物質である。
本発明のより好ましい形態として[2]該分子構造変換が逆ディールス−アルダー反応によって生じることを特徴とする[1]に記載の中間化学物質。
本発明の別の実施形態は[3]顔料前駆体(S)を分子構造変換して顔料結晶(S)を得る変換時に生じ、且つ前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる第1変位構造(S)を有する中間化学物質を製造する方法であって、前記顔料前駆体(S)に第1変位構造(S)を中間化学物質として得るための製造条件を付与することを特徴とする中間化学物質製造方法。
[4]顔料前駆体(S)を分子構造変換して顔料結晶(S)を得る変換時に生じ、且つ前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる第2変位構造(S)を有する中間化学物質を製造する方法であって、前記顔料前駆体(S)に第2変位構造(S)を中間化学物質として得るための製造条件を付与することを特徴とする中間化学物質製造方法。
本発明のより好ましい形態として[5]該分子構造変換が逆ディールス−アルダー反応によって生じるでことを特徴とする[3]または[4]に記載の中間体製造方法。
本発明の別の実施形態は、顔料前駆体(S)を分子構造変換して顔料結晶(S)を得るための、下記に挙げる顔料結晶製造方法である。
[6]前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる第1変位構造(S)を有する中間化学物質を用いることを特徴とする顔料結晶製造方法。
[7]前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる第2変位構造(S)を有する中間化学物質を用いることを特徴とする顔料結晶製造方法。
[8]該顔料結晶製造方法が1)前記顔料前駆体(S)を前記第1変位構造(S)に変換する工程と、2)前記第1変位構造(S)を前記第2変位構造(S)に変換する工程と、3)前記第2変位構造(S)を前記顔料結晶(S)に変換する工程とを単独に行う
ことを特徴とする顔料結晶製造方法。
[9]該顔料結晶製造方法が連続して、1)記顔料前駆体(S)を前記第1変位構造(S)に変換する工程を所定時間保持する工程と、2)前記第1変位構造(S)を前記第2変位構造(S)に変換する工程を所定時間保持する工程と、3)前記第2変位構造(S)を前記顔料結晶(S)に変換する工程を所定時間保持する工程とを、有することを特徴とする顔料結晶製造方法。
本発明のより好ましい形態として[10]該分子構造変換が逆ディールス−アルダー反応によって生じることを特徴とする[6]乃至[9]の何れか1項に記載の顔料結晶製造方法。
[11]顔料前駆体(S)が下記一般式A、B、C、Dで表される構造から選択される少なくとも1つの構造を有することを特徴とする上記[10]に記載の顔料結晶製造方法。
Figure 2006028285
(R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は直接的或いは間接的に結合された溶媒可溶性を与える可溶性付与基を表し、R〜Rは、水素原子、又は直接的或いは間接的に結合された置換基を表す。)
[12]前記顔料結晶(S)が単結晶である上記[6]乃至[11]の何れか1項に記載の顔料結晶製造方法。
本発明の別の実施形態は、[13]上記[6]乃至[12]の何れか1項に記載の顔料結晶製造方法で得られたことを特徴とする顔料結晶体である。
本発明の別の実施形態は、[14]前記顔料結晶体が、インクジェット記録用インク用色材として用いられることを特徴とする[13]に記載のインクジェット記録方法。
[15]上記[13]に記載の顔料結晶体によって形成された記録画像。
本発明により、顔料前駆体(S)から顔料結晶(S)を得る顔料結晶製造方法に用いられる中間化学物質であって、前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる第1変位構造(S)と第2変位構造(S)であることを特徴とする中間化学物質が提供される。
さらに、顔料結晶化工程において前記中間化学物質を用いた製造プロセスにより、固体相中と液体相中の両方において好適に使用できる、極めて高純度で且つ、所望する結晶型、粒子径、凝集性、分散性が安定しており、所望の組成の顔料結晶を作り出すことのできる顔料結晶製造方法が提供される。
図1は、本発明の逆ディールス−アルダー反応を説明するイメージ図である。
図2は、本発明の逆ディールス−アルダー反応を説明するイメージ図である。
図3は、ディールス−アルダー反応を説明するイメージ図である。
図4は、本発明で使用するチオインジゴ顔料顔料前駆体の合成方法を示すスキームである。
図5は、実施例で使用したチオインジゴ顔料顔料前駆体の、CuKα特性X線によるXRDスペクトル、及びシミュレーション結果(triclinic P−1)である。
図6は、実施例で使用したチオインジゴ顔料顔料前駆体を200℃5分間熱処理した顔料結晶の、CuKα特性X線によるXRDスペクトル及びシミュレーション結果(P2/c)である。
図7は、市販のチオインジゴ顔料結晶の、CuKα特性X線によるXRDスペクトル及びシミュレーション結果(P2/n)である。
図8は、DSC−XRDによる、逆ディールス−アルダー反応を用いた有機顔料顔料結晶生成プロセス解析結果である。
図9は、本発明で使用するキナクリドン顔料顔料前駆体の合成方法を示すスキームである。
図10は、本発明の顔料結晶製造方法で各変位構造を得るための製造条件を所定時間保持しながら連続で製造するときのエネルギープロファイルの模式図である。
以下に、発明を実施するための最良の形態を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
[分子構造変換]
ここで、本発明の分子構造変換とは、化合物が外部からエネルギー(攪拌混合、熱エネルギー、光エネルギー、これらの組み合わせ等)を付与させると、該化合物の分子構造が変わるものを指し、例えば、溶媒可溶性基を有する有機化合物が、エネルギーの付与により、溶媒可溶性基を脱離させて、溶媒可溶性基を有さない有機化合物に替わることや、部分原子脱離によって、多環構造部が安定した一つの環構造に変換することでも良い。具体的には、逆ディールス−アルダー反応、アミノ基の保護反応であるBOC基保護(ブトキシオキシカルボニル基)と脱保護を利用したいわゆるラテント反応が挙げられるが、この中でも後述する逆ディールス−アルダー反応が好適に用いられる。
[逆ディールス−アルダー反応]
ここで、本発明の逆ディールス−アルダー反応とは、ディールス−アルダー反応の逆反応の事であるが、一般的なジエン化合物とジエノフィル化合物間でのディールス−アルダー反応系、すなわち発熱反応(ディールス−アルダー反応)と、吸熱反応(逆ディールス−アルダー反応)との平衡反応(可逆性反応)とは異なり、多環縮合環構造が、該構造中の一部分を脱離し、芳香環を形成する反応を言う。これは、本発明の分子構造変換として好ましいものである。例えば、図1、及び図2に示した様に、ビシクロ[2,2,2]オクタジエン骨格の縮合環構造部を有する化合物(顔料前駆体化合物)において、該縮合環構造部の架橋部分をエチレン化合物として脱離させ、芳香環(不可逆性)を構築するものである。
また、本発明の逆ディールス−アルダー反応は、上記エチレン化合物が協奏反応的に脱離し、芳香環を構築することを意味している。協奏反応とはイオン種やラジカル種のような反応性中間体を形成することのない反応のことであり、エチレン化合物の脱離反応は顔料前駆体化合物の分子内の構成元素のみを用いて完結する。故に、顔料前駆体化合物からエチレン化合物脱離の過程において反応系の溶媒等と副反応に伴った不純物を発生させることがなく、固体相と液体相のどちらにおいても定量的に芳香環を構築できることが特徴である。以上の特性を元に、顔料前駆体化合物からエチレン化合物を脱離、更に顔料結晶化させる事で、極めて高純度な有機顔料結晶(単結晶)を合成する事が出来る。
更に、該脱離部位(図1中及び図2中のR、R、R、R)に直接的或いは間接的に溶媒溶解性を良好にする置換基を導入する事で、化合物の溶媒溶解性を変化させることが出来る。 ここで該脱離部位は具体的に、R〜Rは、脱離部分に直接的に結合しているか、間接的に結合している可溶性付与基を表しており、R〜Rは、可溶性付与基に限定されない水素原子、又は置換基を表している。ここでR〜Rは、脱離部分に結合しているもので、脱離部分と一緒に脱離してしまう置換基であり、R〜Rは、脱離部分の脱離によって構築された芳香環上に置換された形になる置換基である。本発明の目的を損なわない範囲、即ちR〜R、R〜Rの各置換基はその一部が脱離して前駆体の多環構造体から「安定した環状体」を形成するものであれば任意の組合せが用いられる。その脱離に必要とされるエネルギーや付加物、触媒もその構造に対して任意に用いれば良い。具体的にはR〜Rに関しては、水素原子又は、水と水溶性有機溶媒からなる親水性媒体に可溶性を付与するための極性置換基が挙げられ、含酸素原子系の水酸基、アルコール基類、アルキレンオキサイド基類、カルボキシル基類、含窒素原子系のアミノ基類、含硫黄原子系のスルホン基類が例示される。又、極性基のほか、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、メルカプト基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。更に、RとR、RとRのように各々互いに環状となることも必要に応じて可能である。
この場合、逆ディールス−アルダー反応によって溶媒可溶性付与基を有する脱離部分を脱離し、その結果、パイ共役系が構築される化合物(溶媒不溶性化合物)へと変換されるが、この場合に、更に、パイ共役系の構築の結果として、分子の立体構造が嵩高い構造から、平坦な構造に変化するように分子構造を構築(設計)しておくことは、好ましい態様である。即ち、このようにすることで、本発明にかかる顔料前駆体化合物(溶媒可溶性化合物)を逆ディールス−アルダー反応させた結果として得られる化合物(溶媒不溶性化合物)の会合性や顔料結晶性を、所望の特性のものに変化させることができる。
また、本発明の逆ディールス−アルダー反応によって該化合物から脱離される部分(脱離部分)を、極めて安定で安全性の高いものにすることが可能であり、系に悪影響を与えるような可逆的な反応や、副次的な反応は起こさないような反応を構築することも可能である。
また、本発明の逆ディールス−アルダー反応を生じる構造部位は、図3の様なディールス・アルダー反応を用いて構築することができる。この理由は、一般の逆ディールス−アルダー反応とは異なり、図1や図2に記載の様に不可逆反応であるため、本発明の効果を何ら阻害するものでないためである。
[顔料結晶製造方法に用いられる中間体としての化学物質]
本発明の顔料前駆体(S)から顔料結晶(S)を得る顔料結晶製造方法に用いられる中間体としての化学物質についてはじめに説明する。
本発明は、前記顔料前駆体(S)から前記顔料結晶(S)までの間に、前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なると共に少なくとも互いに異なる第1変位構造(S)と第2変位構造(S)とを示す構造変位工程における、前記第1変位構造(S)又は前記第2変位構造(S)であることを特徴とする化学物質である。
先ず、顔料前駆体(S)に外的エネルギーE〜Eが印加されることにより得られた第1変位構造(S)は、顔料前駆体(S)が有していた多環構造体構造が外部エネルギーによりその構造を失い第1変位構造(S)に移行する(第1段階と呼ぶ)。この第1段階の構造変位では分子構造が構造的にピークを持たないアモルファス状態となるか構造再配列への準備段階を構成している。例えば、チオインジゴ顔料前駆体の場合にはこの第1変位構造(S)は顔料前駆体のアモルファス構造であることが明らかとなっている。このことはXRDのピークが観察されなくなることからも確認できる。
この第1変位構造はEよりもさらに大きな外部エネルギーE〜Eが与えられることによって、第2変位構造(S)へと変化する。(第2段階と呼ぶ)。この第2段階の構造変位では構造の一部が顔料結晶化していることあるいは結晶化への準備段階としてのピークが部分的に生じてくる。このことはXRDの測定結果よりピークの数が前駆体(S)や顔料結晶(S)よりも少なく、結晶の面間隔が広く結晶性が弱く不安定な結晶であることを示していることからも明らかである。
この時点で更にEより高い外部エネルギーが与えられなければ、化合物を第2変位構造(S)のままで保持することができる。例えば、チオインジゴ顔料前駆体の場合にはこの第2変位構造(S)はチオインジゴ顔料前駆体やチオインジゴ顔料結晶よりも長周期の顔料結晶構造に変化していることが明らかとなっている。この第2変位構造はアモルファス状態を有しながら一部が顔料結晶化している場合には、固体相中、液体相中の両方において分子レベルでの顔料結晶化、分散、分離等を容易にする効果も存在すると考えられる。
そして、更にEより大きな外部エネルギーが与えられた場合には、すべての顔料前駆体が分子構造変換により構造変化する最終段階の単結晶化が促進し、単顔料結晶型の顔料結晶(S)を生成する。チオインジゴ顔料前駆体の場合にはこの顔料結晶(S)はP2/cという結晶型の単結晶であった。
以上のように、顔料前駆体(S)から顔料結晶(S)を得る顔料結晶製造方法においては、その顔料結晶化の中間体として前記顔料前駆体(S)から前記顔料結晶(S)までの間に、前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なると共に少なくとも互いに異なる第1変位構造(S)と第2変位構造(S)とを示す構造変位工程における、前記第1変位構造(S)又は前記第2変位構造(S)であることを特徴とする化学物質が存在する。また、構造変位の回数は例えばチオインジゴ顔料前駆体の場合は2回であったが、顔料前駆体の種類により2回以外であることも考えられる。また、それに伴った変位構造の種類もチオインジゴ顔料前駆体の場合には2種類であったが、顔料前駆体の種類により2種類以外であることも考えられる。
以上述べてきたように本発明では顔料結晶化の中間体として前記顔料前駆体(S)から前記顔料結晶(S)至るまでの変位構造の生成を把握、その生成のために与える外的エネルギーを制御して、所望の均一組成の顔料結晶を作り出すことのできる製造方法、及びそれを達成するための中間体としての化学物質を提供することができる。
[本発明の顔料結晶製造方法において使用する顔料前駆体(S)]
本発明の顔料結晶製造方法において使用する顔料前駆体(S)とは顔料の構成分子へと変換する前駆体のことである。顔料結晶(S)としては、目的とする顔料前駆体(S)を合成可能なものであれば、いずれの顔料結晶(S)であってもよい。本発明においては製造する対象の顔料結晶として、例えば、無金属フタロシアニン系、各種金属フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、インジゴ系、ペリレン系、多環キノン系、ベンズイミダゾール系、ピロロピロール系の各有機顔料が好適に挙げられる。
本発明かかる顔料結晶製造方法は、上記で説明したように顔料前駆体(S)から分子構造変換を利用して顔料結晶(S)を得るために、前記顔料前駆体(S)から前記顔料結晶(S)までの間に、前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なると共に少なくとも互いに異なる、第1変位構造(S)又は第2変位構造(S)である化学物質を中間体として用いることを必須とする。顔料結晶製造工程において使用する相は、固体相中での顔料結晶化であってもよいし、液体相中での顔料結晶化であってもよい。更には、溶媒に溶解させた顔料前駆体(S)や第1変位構造(S)や第2変位構造(S)を通常の塗工技術、精密印刷技術やインクジェット記録方式等で基板上に回路パターンとなるように塗布し、乾燥することで各構造体の薄膜にした状態から最終段階の顔料結晶(S)や所望の均一組成の顔料結晶を製造してもよい。
顔料前駆体(S)を顔料結晶(S)へと変換する簡便な方法としては、加熱による方法が挙げられる。この場合に加熱する温度としては、50〜400℃の温度範囲が適当である。本発明の顔料結晶製造方法で好適に利用する分子構造変換においては、反応にかかる顔料前駆体化合物の分子構造を工夫することによって、各変位構造(SやS)や顔料結晶(S)へと変換する温度、変換手段の選択が可能である。従って、所望する顔料結晶の耐熱性等を考慮にいれて、製造条件を決定すればよい。
又、分子構造変換を進行させる手段は加熱のみに限られるものではなく、該反応によって顔料前駆体化合物から脱離する部分の構造を工夫することで、紫外線、可視光線、電磁波等を照射するといった手段でも分子構造変換が可能である。特に、対象とする顔料結晶が、製造過程における熱履歴等を避けなければならないものである場合においては、上記した紫外線等の照射による変換手段を用いることが有効である。
また、最終段階の顔料結晶(S)においてどの結晶型となるかは、顔料前駆体(S)の顔料結晶構造、分子間相互作用等に影響されて決定されている。よって顔料前駆体(S)の分子設計により所望の単顔料結晶型の顔料結晶(S)へと変換することが可能であると考えられる。
[本発明の中間体製造方法について]
本発明の顔料前駆体(S)を分子構造変換して顔料結晶(S)を得る変換時に生じ、かつ前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる構造を有する第1変位構造(S)あるいは第2変位構造(S)を有する中間化学物質の製造方法は、製造する中間化学物質の種類により
1)前記顔料前駆体(S)を第1変位構造(S)に変換する工程を有するもの、と
2)前記顔料前駆体(S)を第2変位構造(S)に変換する工程を有するもの、とに区別される。これら中間体は顔料前駆体(S)を第1変位構造(S)に至るための外的エネルギーあるいは、顔料前駆体(S)から第2変位構造(S)に至るための外的エネルギーを与えることによってそれぞれの変位構造を定量的に製造することが可能である。また、この場合隣り合った変位構造(ここでは顔料前駆体(S)と第1変位構造(S)、及び第1変位構造(S)と第2変位構造(S))については本発明の中間化学物質製造方法の中で任意の比率で製造することが可能である。
[本発明の顔料結晶製造方法について]
本発明の顔料前駆体(S)から分子構造変換を利用して顔料結晶(S)を得るために、前記顔料前駆体(S)から前記顔料結晶(S)までの間に、前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なると共に少なくとも互いに異なる、第1変位構造(S)又は第2変位構造(S)である化学物質を中間体として用いる顔料結晶製造方法は、
第1変位構造(S)から前記顔料結晶(S)の製造方法、と
第2変位構造(S)から前記顔料結晶(S)の製造方法、とに区別される。これら顔料結晶(S)は第1変位構造(S)が顔料結晶(S)に至るための外的エネルギーあるいは、第2変位構造(S)から顔料結晶(S)に至るための外的エネルギーを与えることによってそれぞれの顔料結晶(S)を定量的に製造することが可能である。また、この場合隣り合った構造(ここでは第2変位構造(S)と顔料結晶(S))については本発明の顔料結晶製造方法の中で所望の均一組成で製造することが可能である。
また、本発明の顔料結晶製造方法は顔料前駆体(S)から分子構造変換して顔料結晶(S)を得るために、上記の第1変位構造(S)を前記顔料結晶(S)に変換する、第2変位構造(S)を前記顔料結晶(S)に変換する方法がある。さらに、それぞれ独立に製造条件を組み合わせて、1)前記顔料前駆体(S)を前記第1変位構造(S)に変換する工程、2)前記第1変位構造(S)を前記第2変位構造(S)に変換する工程、3)前記第2変位構造(S)を前記顔料結晶(S)に変換する工程、とそれぞれの変換工程で生成する顔料結晶を確認しながら次の工程へと逐次進めていく方法がある。
さらに、それぞれの工程をつなげて連続で製造する場合には、図10のように顔料前駆体(S)からスタートし第1変位構造(S)となるエネルギーE1を一定時間与えて第1変位構造(S)を完全に生成させる、次に第2変位構造(S)となるエネルギーE2を一定時間与えて第2変位構造(S)を完全に生成させる、次に顔料結晶(S)となるエネルギーE3を一定時間与えて顔料結晶(S)を完全に生成させる、このエネルギーE3は顔料結晶(S)を生成させるエネルギーであるとともに、純度を上げるために与えるエネルギーでもある。
これらの製造方法を用いることによって、顔料前駆体(S)から確実に最終段階の顔料結晶(S)を組成の顔料結晶で製造することが可能となる。
本発明の顔料結晶製造方法においては、顔料結晶製造に利用する分子構造変換反応は、従来の顔料結晶転移による方法と比較して、非常に高い選択性をもって行われるため、DSC(示差走査熱量計)−XRD(X線回折装置)等を用いての反応解析や、これに伴う反応の制御を極めて正確に行うことができる。その特徴を利用すれば、上記で説明したように、外的エネルギーの付与を制御することによって顔料結晶の段階を明確に区別でき、従来実現出来なかった所望の安定した組成の顔料結晶を製造することが可能となる。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の要旨はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、部及び%は質量基準である。
[実施例1]
<チオインジゴ顔料顔料前駆体化合物の合成>
図4に記載したスキームに従って、本発明にかかる製造方法を実施する際に使用するチオインジゴ顔料顔料前駆体化合物を合成した。尚、下記において次の略語を使用する。
・THF:テトラヒドロフラン
・DMF:ジメチルホルムアミド
先ず、合成に使用した化合物1は、Tetrahedrn Letters,Vol.22,No.35,1981,pp3347−3350、に従って合成した。次に、下記の式において[1]で示した化合物1を用いて、下記に述べるようにして[2]を合成した。
Figure 2006028285
先ず、50mlナス型フラスコに、水素化ナトリウム(NaH、0.062g,2.60mmol)を入れ、窒素置換した条件下で、dry−DMF(2ml)を加えた後、水浴で冷やしたものを用意した。これとは別に、25mlナシ型フラスコに、前記した[1](0.200g,0.62mmol)を入れ、窒素置換した条件下で、dry−DMFを加え、チグリコール酸(0.090ml,1.30mmol)を入れ、これをトランスファーチューブによって、先程用意した50mlのナス型フラスコ内にゆっくりと滴下し、1時間攪拌した。反応の終了をTLC(薄層クロマトグラフィー)によって確認してから、反応容器に0.1Mクエン酸水溶液をpH3になるまで加え、酢酸エチルで抽出操作を行った。抽出操作後の有機層を5%HClで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後、減圧下で濃縮した。得られた濃縮物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:EtOAc/Hexane)により精製することで、目的物である[2]を得た(0.29g,収率:87.8%)。
次に、上記で得た下記[2]で示した化合物2を用いて、下記に述べるようにして[3]を合成した。
Figure 2006028285
先ず、25mlナス型フラスコに、窒素置換した条件下で、dry−THF(5.5ml)とジイソプロピルアミド(0.68ml,4.84mmol)を加えたあとで、0℃まで冷やし、この中にn−ブチルリチウムをゆっくり滴下した。そして、反応容器を−78℃まで冷やしたものを用意した。これとは別に、25mlナシ型フラスコに[2](0.325g,1.21mmol)を入れ、窒素置換した条件下で、dry−THF(2ml)を加えたものを用意し、これを先程の容器にトランスファーチューブにより滴下し、1時間攪拌した。反応終了をTLCにより確認してから、反応容器に5%HClをpH2になるまで加え、酢酸エチルVで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、濃縮した。次に、濃縮したものをジクロロエタンに溶かし、濃塩酸を2,3滴加え、5時間攪拌し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/Hexane)により精製することで、目的物である[3]を得た(0.16g,収率:74%)。
次に、上記で得た下記[3]で示した化合物3を用いて、下記に述べるようにして[4]を合成した。
Figure 2006028285
先ず、50mlナス型フラスコに、上記で得た[3](0.120g,0.67mmol)を入れて、窒素置換した条件下で、dry−THFを加え、反応容器を−78℃まで冷やしたものを用意した。そして、これとは別に、25mlナス型フラスコに、窒素置換した条件下で、dry−THF(5.5ml)とジイソプロピルアミド(0.68ml,4.84mmol)を加えたあと、0℃まで冷やし、n−ブチルリチウムをゆっくり滴下したものを用意した。これを先程の50mlナス型フラスコに、トランスファーチューブにより加え、更にヨウ素(0.102g,0.80mmol)を加えて、3時間攪拌した。反応を水により停止し、酢酸エチルで抽出操作を行った。抽出操作後の有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。最後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/Hexane)により精製することで、目的物であるチオインジゴ顔料前駆体[4]を得た(0.027g,収率:23%)。
次に、上記で得られたチオインジゴ顔料前駆体のCuKα特性X線(波長=1.541Å)によるX線回折を解析したところ、格子定数は、表1のようになった。この際に使用した装置は、リガク社製の粉末X線回折装置(XRD)RINT2000(商品名)である。更に、図5に、該装置で測定したXRDスペクトル及び(株)リガク社製の顔料結晶構造解析ソフトCrystalStructure Ver.3.6.0を用いてシミュレーションした結果を示した。
Figure 2006028285
格子定数を解析した結果、得られたものは、顔料結晶型triclinic P−1の単一顔料結晶であることが確認された。次に、このチオインジゴ顔料前駆体を下記表2の顔料結晶(S)の温度条件165.7℃以上で第2変位構造(S)を加熱処理した顔料結晶について、上記したと同様の装置で測定したCuKα特性X線(波長=1.541Å)によるXRDスペクトル、及び上記したと同様の顔料結晶構造解析ソフトで、文献H.von Eller,Bull Chem.Soc.Fr.,1955,106,1426に記載のP2/c(顔料結晶型I)の格子定数を用いてシュミレーションした結果を図6に示す。
更に、市販のチオインジゴ顔料結晶について、上記したと同様の装置で測定したCuKα特性X線(波長=1.541Å)によるXRDスペクトル、及び上記したと同様の顔料結晶構造解析ソフトで、文献W.Haase−Wessel,M、Ohmasa and P.Susse,Naturwissenschaften,1977,64,435に記載のP2/n(顔料結晶型II)の格子定数を用いてシュミレーションした結果を、図7に示す。
図5〜図7を比較すると明らかなように、本発明の顔料結晶の製造方法を用いることによって、市販品では得ることのできない結晶型のチオインジゴ顔料結晶を極めて高純度(定量的)に、且つ結晶型が混在していない単結晶型(均一な結晶型)で作り出すことが可能であることがわかる。
上記で得たチオインジゴ顔料顔料前駆体について、リガク社製の粉末X線回折装置RINT−Ultima II(X線回折−示差走査熱量同時測定装置、商品名:XRD−DSC II)での、CuKα特性X線(波長=1.541Å)により、顔料前駆体(S)、第1変位構造(S)、第2変位構造(S)、顔料結晶(S)について、顔料結晶状態を解析した結果を図8及び表2に示す。
Figure 2006028285
この表で明らかなように、顔料前駆体(S)に第1変位構造(S)に移行する第1段階の構造変位では、チオインジゴ顔料前駆体は分子構造が構造的にピークを持たないアモルファス状態となっている。第2変位構造(S)では結晶化への準備段階としてのピークが部分的に5箇所生じてくる。これはXRDの測定結果よりピークの数が前駆体(S)の7箇所や顔料結晶(S)の8箇所よりも少ないことから、結晶の面間隔が広く結晶性が弱く不安定な結晶であることが理解できる。
図8と表2から明らかなように、顔料前駆体化合物を作成し、該化合物を加熱することで顔料結晶化する本発明の顔料結晶の製造方法を実施した上記の例においては、温度領域によって顔料結晶状態が下記のように変化することが確認できた。このことは、各反応温度領域で結晶型をはじめする顔料結晶状態を制御することが可能であることを意味しており、これらの各領域を使い分けることによって目的とする所望の組成の顔料結晶を得ることが可能であることが確認できた。
即ち、上記した例では、図8と表2から、先ず、逆ディールス−アルダー反応が開始する前段階である顔料前駆体(S)としては142.7℃以下であることがわかる。第1変位構造(S)としては、142.8℃〜148.4℃の範囲であることがわかる。第2変位構造(S)としては、148.5℃〜165.6℃の範囲であることがわかる。更に、顔料結晶(S)としては、165.7℃以上で生成していることがわかる。
よって、本発明の中間体製造方法として、顔料前駆体(S)から第1変位構造(S)を得るために142.8℃〜148.4℃の範囲で製造条件を制御することによって、均一組成の第1変位構造(S)を得ることができた。また、顔料前駆体(S)から第2変位構造(S)を得るために148.5℃〜165.6℃の範囲で製造条件を制御することによって、均一組成の第2変位構造(S)を得ることが出来た。さらに、中間体製造で得られた第1変位構造(S)及び第2変位構造(S)はそれぞれ165.7℃以上で製造条件を制御することにより均一組成の顔料結晶(S)を得ることができた。
[実施例2]
<キナクリドン顔料前駆体化合物の合成>
図9に記載したスキームに従って、本発明にかかる製造方法を実施する際に使用するキナクリドン顔料前駆体化合物を合成した。
先ず、合成に使用した化合物1は、J.Org.Chem.,Vol.61,No.11.1996,pp3794−3798に従って合成した。次に、下記の式において[1]で示した化合物1を用いて、下記に述べるようにして[2]を合成した。
Figure 2006028285
先ず、50mlナス型フラスコに、[1](0.318g,2.60mmol)を入れ、窒素置換した条件下で、dry−CHCl(2ml)を加えた後、水浴で冷やしたものを用意した。これとは別に、25mlナシ型フラスコに、クロロギ酸エチル(0.284g,2.62mmol)を入れ、窒素置換した条件下で、dry−CHClを加え、これをトランスファーチューブによって、先程用意した50mlのナス型フラスコ内にゆっくりと滴下し、1時間攪拌した。反応の終了をTLC(薄層クロマトグラフィー)によって確認してから、反応を終了させ、酢酸エチルで抽出操作を行った。抽出操作後の有機層を5%HClで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後、減圧下で濃縮した。得られた濃縮物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:EtOAc/Hexane)により精製することで、目的物である[2]を得た(0.408g,収率:80.8%)。
次に、上記で得た下記[2]で示した化合物2を用いて、下記に述べるようにして[3]を合成した。
Figure 2006028285
先ず、50mlナス型フラスコに、窒素置換した条件下で、dry−EtO(20.5ml)と[2](0.777g,4.00mmol)とを冷やしたものを用意した。これとは別に、25mlナシ型フラスコに1,4−フェニレンジアミン(0.216g,2.00mmol)を入れ、窒素置換した条件下で、dry−EtO(15ml)を加えたものを用意し、これを先程の容器にトランスファーチューブにより滴下し、1時間攪拌した。反応終了をTLCにより確認してから、反応を終了し、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、濃縮した。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/Hexane)により精製することで、目的物である[3]を得た(0.690g,収率:75%)。
次に、上記で得た下記[3]で示した化合物3を用いて、下記に述べるようにして[4]を合成した。
Figure 2006028285
先ず、100mlナス型フラスコに、上記で得た[3](0.921g,2.00mmol)をDMSO(ジメチルスルホキサイド)30mlを溶媒として溶解した。そこにt−ブトキシカリウムを加え、50℃で1昼夜加熱攪拌した。反応終了をTLCにより確認してから、反応を水により停止し、酢酸エチルで抽出操作を行った。抽出操作後の有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。最後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOH/Hexane)により精製することで、目的物である[4]を得た(0.728g,収率:90%)。
次に、上記で得た下記[4]で示した化合物4を用いて、下記に述べるようにして[5]を合成した。
Figure 2006028285
先ず、100mlナス型フラスコに、上記で得た[4](0.808g,2.00mmol)をdry−DMSO(ジメチルスルホキサイド)30mlを溶媒として溶解した。そこにポリリン酸を加え、50℃で1昼夜加熱攪拌した。脱水閉環反応終了をTLCにより確認してから、反応を水により停止し、酢酸エチルで抽出操作を行った。抽出操作後の有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。最後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/Hexane)により精製することで、目的物であるキナクリドン顔料前駆体[5]を得た(0.331g,収率:45%)。
[実施例3]
<実施例1の第2変位構造(S)からの顔料結晶(S)の顔料結晶製造方法で得たチオインジゴ顔料結晶を用いたインク>
実施例1の第2変位構造(S)を顔料結晶(S)の顔料結晶化条件で製造したチオインジゴ顔料結晶をスチレン−アクリル酸共重合体系分散剤により分散し、得られた分散体と、水、グリセリン、エチレングリコールを含む溶剤を用いて、顔料濃度3.5%のインクを作成した、得られたインクについて発色性の試験を行った。
(発色性)
上記で作成したインクをキヤノン(株)製 PIXUS950i用のインクカートリッジに詰め、インクジェット式画像形成装置であるPIXUS950iを用いて画像形成した。使用メディアはキヤノン(株)製PR−101である。形成された画像について、目視により観察し、色の鮮やかさを判断したところ、均一組成の顔料結晶(S)以外は混在していない所望の顔料結晶状態で画像が形成されるため、発色性にむらのない従来にない高発色性の画像を得ることができた。
[実施例4]
<実施例1の第1変位構造(S)からの顔料結晶(S)の顔料結晶製造方法で得たチオインジゴ顔料結晶を用いたインク>
先ず、実施例1の第1変位構造(S)を顔料結晶(S)の顔料結晶化条件で製造したチオインジゴ顔料結晶をスチレン−アクリル酸共重合体系分散剤により分散した。そして、得られた分散体をそれぞれ等量ずつ混合し、該分散体と、水、グリセリン、エチレングリコールを含む溶剤を用いて、顔料濃度3.5%のインクを作成した。得られたインクについて発色性の試験を行った。
(発色性)
上記で作成したインクをキヤノン(株)製 PIXUS950i用のインクカートリッジに詰め、インクジェット式画像形成装置であるPIXUS950iを用いて画像形成した。使用メディアはキヤノン(株)製PR−101である。形成された画像について、目視により観察し、色の鮮やかさを判断したところ、均一組成の顔料結晶(S)以外は混在していない所望の顔料結晶状態で画像が形成されるため、発色性にむらのない従来にない高発色性の画像を得ることができた。
[実施例5]
<実施例2のキナクリドン顔料前駆体(S)で得たキナクリドン顔料結晶(S)を用いたインク>
実施例2で合成したキナクリドン顔料前駆体化合物を実施例1と同様の解析をし、得られたキナクリドン顔料前駆体(S)の顔料結晶(S)までの顔料結晶化過程を中間体の製造を含めて逐次で行うことでキナクリドン顔料結晶(S)を製造した。得られたキナクリドン顔料結晶をスチレン−アクリル酸共重合体系分散剤により分散し、得られた分散体と、水、グリセリン、エチレングリコールを含む溶剤を用いて、顔料濃度3.5%のインクを作成した、得られたインクについて発色性の試験を行った。
(発色性)
上記で作成したインクをキヤノン(株)製 PIXUS950i用のインクカートリッジに詰め、インクジェット式画像形成装置であるPIXUS950iを用いて画像形成した。使用メディアはキヤノン(株)製PR−101である。形成された画像について、目視により観察し、色の鮮やかさを判断したところ、均一組成の顔料結晶(S)以外は混在していない所望の顔料結晶状態で画像が形成されるため、染着性と発色性が両立されている従来にない高発色性の画像を得ることができた。
[実施例6]
<実施例2のキナクリドン顔料前駆体(S)で得たキナクリドン顔料結晶(S)を用いたインク>
実施例2で合成したキナクリドン顔料前駆体化合物を実施例1と同様の解析をし、得られたキナクリドン顔料前駆体(S)の顔料結晶(S)までの顔料結晶化過程をそれぞれの製造条件で一定時間保持しながらキナクリドン顔料結晶(S)を製造した。得られたキナクリドン顔料結晶をスチレン−アクリル酸共重合体系分散剤により分散した。そして、得られた分散体をそれぞれ等量ずつ混合し、該分散体と、水、グリセリン、エチレングリコールを含む溶剤を用いて、顔料濃度3.5%のインクを作成した。得られたインクについて発色性の試験を行った。
(発色性)
上記で作成したインクをキヤノン(株)製 PIXUS950i用のインクカートリッジに詰め、インクジェット式画像形成装置であるPIXUS950iを用いて画像形成した。使用メディアはキヤノン(株)製PR−101である。形成された画像について、目視により観察し、色の鮮やかさを判断したところ、顔料結晶体とアモルファス体が適度に混在している状態で画像が形成されるため、染着性と発色性が両立されている従来にない高発色性の画像を得ることができた。
本発明の活用例としては、本発明の製造方法によれば、従来の方法ではできなかった、所望する結晶型、粒子径、凝集性、分散性が制御された顔料結晶を極めて高純度に作り出すことが可能になるため、各種の用途において所望される種々の機能特性を実現した顔料結晶の提供が可能となり、この結果、顔料結晶の利用の幅を拡大できる。
この出願は2004年9月8日に出願された日本国特許出願番号第2004−261386からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。

Claims (15)

  1. 顔料前駆体(S)を分子構造変換して顔料結晶(S)を得る顔料結晶製造方法に用いられる中間化学物質であって、
    該中間化学物質が前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる、第1変位構造(S)又は第2変位構造(S)を有することを特徴とする中間化学物質。
  2. 該分子構造変換が逆ディールス−アルダー反応によって生じることを特徴とする請求項1記載の中間化学物質。
  3. 顔料前駆体(S)を分子構造変換して顔料結晶(S)を得る変換時に生じ、且つ前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる第1変位構造(S)を有する中間化学物質を製造する方法であって、前記顔料前駆体(S)に第1変位構造(S)を中間化学物質として得るための製造条件を付与することを特徴とする中間化学物質製造方法。
  4. 顔料前駆体(S)を分子構造変換して顔料結晶(S)を得る変換時に生じ、且つ前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる第2変位構造(S)を有する中間化学物質を製造する方法であって、前記顔料前駆体(S)に第2変位構造(S)を中間化学物質として得るための製造条件を付与することを特徴とする中間化学物質製造方法。
  5. 該分子構造変換が逆ディールス−アルダー反応によって生じることを特徴とする請求項3または請求項4記載の中間体製造方法。
  6. 顔料前駆体(S)を分子構造変換して顔料結晶(S)を得る顔料結晶製造方法において、前記分子構造変換時に、前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる第1変位構造(S)を有する中間化学物質を用いることを特徴とする顔料結晶製造方法。
  7. 顔料前駆体(S)を分子構造変換して顔料結晶(S)を得る顔料結晶製造方法において、前記分子構造変換時に、前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる第2変位構造(S)を有する中間化学物質を用いることを特徴とする顔料結晶製造方法。
  8. 顔料前駆体(S)を分子構造変換して顔料結晶(S)を得る顔料結晶製造方法において、前記分子構造変換時に生じる前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる、第1変位構造(S)及び第2変位構造(S)を有する中間化学物質を用いる顔料結晶製造方法であって、
    該顔料結晶製造方法が
    1)前記顔料前駆体(S)を前記第1変位構造(S)に変換する工程と、
    2)前記第1変位構造(S)を前記第2変位構造(S)に変換する工程と、
    3)前記第2変位構造(S)を前記顔料結晶(S)に変換する工程とを単独に行う
    ことを特徴とする顔料結晶製造方法。
  9. 顔料前駆体(S)を分子構造変換して顔料結晶(S)を得る顔料結晶製造方法において、前記分子構造変換時に生じる前記顔料前駆体(S)及び前記顔料結晶(S)とは異なる、第1変位構造(S)及び第2変位構造(S)を有する中間化学物質を用いる顔料結晶製造方法であって、
    該顔料結晶製造方法が連続して
    1) 前記顔料前駆体(S)を前記第1変位構造(S)に変換する工程を所定時間保持する工程と、
    2) 前記第1変位構造(S)を前記第2変位構造(S)に変換する工程を所定時間保持する工程と、
    3) 前記第2変位構造(S)を前記顔料結晶(S)に変換する工程を所定時間保持する工程とを、
    有することを特徴とする顔料結晶製造方法。
  10. 上記分子構造変換が逆ディールス−アルダー反応によって生じることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の顔料結晶製造方法。
  11. 前記顔料前駆体(S)が下記一般式A、B、C、Dで表される構造から選択される少なくとも1つの構造を有することを特徴とする請求項10記載の顔料結晶製造方法。
    Figure 2006028285
    (R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は直接的或いは間接的に結合された溶媒可溶性を与える可溶性付与基を表し、R〜Rは、水素原子、又は直接的或いは間接的に結合された置換基を表す。)
  12. 前記顔料結晶(S)が単結晶である請求項6乃至請求項11の何れか1項に記載の顔料結晶製造方法。
  13. 請求項6乃至請求項12の何れか1項に記載の顔料結晶製造方法によって得られたことを特徴とする顔料結晶体。
  14. 前記顔料結晶体が、インクジェット記録用インク用色材として用いられることを特徴とする請求項13に記載のインクジェット記録方法。
  15. 請求項13に記載の顔料結晶体によって形成された記録画像。
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