JPWO2006013713A1 - 塗装材剥離剤及び塗装材剥離シート - Google Patents
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Abstract
Description
塗装材を剥離する場合には、剥離作業時間の短縮などの観点から、通常、剥離剤を塗装材の上から塗布することが一般的に行われている。使用される剥離剤としては、塩化メチレンなどを主成分とする剥離剤が一般的に使用されている。
しかし、塩化メチレンなどの塩素系溶剤は、燃焼時にダイオキシンが発生するなどの環境汚染をもたらす可能性があり、優れた剥離性を有するものの、今後、その使用が制限される可能性がある。
以上のような観点から、近年、塩素系溶剤からなる剥離剤を使用せず、高圧水洗機などを使用して、物理的な力で塗装材を剥離する方法や、非塩素系溶剤からなる剥離剤を使用する方法などが開発されている。
しかし、高圧水洗機などを使用する方法では、水圧に起因する反力等の安全性に注意が必要である。また、非塩素系溶剤からなる剥離剤を使用する方法では、剥離性能の点から、塗装材によっては長時間の養生が必要となり、いずれの場合にも作業効率が低下し、その改善が望まれていた。
以上のような観点から、特開平10−279850号公報、特開平10−331435号公報、特開2000−1637号公報には、壁面等の塗膜剥離剤及びその剥離方法などが開示されている。
しかし、特開平10−279850号公報、特開平10−331435号公報、特開2000−1637号公報に記載の方法は、塗膜を剥離する能力を一層高めることは勿論のこと、剥離剤を均一に塗布することが難しく、結果的に、剥離状態にばらつきが発生するという問題があった。また、剥離剤を塗布後、養生する間に剥離剤が蒸発するなどの問題が発生し、その改善なども望まれていた。
本発明の目的は、建築物や木材、船舶、車両、工業用製品、設備等の塗装材を溶解することなく、可塑化して軟化させ、塗装材の剥離作業を容易にでき、かつ、環境への悪影響の少ない塗装材剥離剤及び塗装材剥離シートを提供することにある。
すなわち、本発明の塗装材剥離剤は、実質的にハロゲン系化合物を含まない組成物からなる塗装材剥離剤であって、上記組成物が沸点113℃〜230℃である非ハロゲン系高沸点有機溶剤と重量平均分子量が1万〜100万である可溶性有機高分子化合物とチクソトロピー剤とを含む。
この場合、上記非ハロゲン系高沸点有機溶剤と上記可溶性有機高分子化合物からなる溶液100重量部に対して、上記可溶性有機高分子化合物を1〜50重量部、上記チクソトロピー剤を1〜15重量部配合する。
また、本発明の塗装材剥離シートは、上記塗装材剥離剤をシート基材に含浸させる。
この場合、上記シート基材を、不織布等の繊維集合体と有機フィルム基材とからなる複合基材とする。
また、これらの場合、上記塗装材剥離シートを、上記複合基材の上記塗装材剥離剤を含浸させた面同士を2枚重ね合わせた構成とする。
また、これらの場合、上記シート基材に上記塗装材剥離剤を100〜2000g/m2含浸させる。
更に、上記した塗装材剥離剤をシート基材に含浸させた塗装材剥離シートとして、使用すれば良いことを見出した。この場合、シート基材に、不織布等の繊維集合体と有機フィルムとの複合基材を使用し、このシート基材の不織布等の繊維集合体の面に塗装材剥離剤を含浸させた塗装材剥離シートとして使用すれば良いことを見出した。
また、上記塗装材剥離シートは、使用前は、不織布面にセパレーターを重ねておくこともできるが、作製時に、2枚の塗装材剥離シートの塗装材剥離剤を含浸させた面同士を重ねておくと、使用時のごみの発生もなく、また、塗装材剥離シートの不織布面にセパレーターを重ねていないので、セパレーターに塗装材剥離剤を取られることもなく、極めて好都合であった。
すなわち、建築物や木材、船舶、車両、工業用製品、設備等の塗装材の剥離に使用する場合には、本発明の塗装材剥離剤を剥離しようとする塗装材に塗布するか、あるいは、塗装材剥離シートの塗装材剥離剤を含浸した面を剥離しようとする塗装材に貼り付け、塗装材を軟化させ、可塑化させることにより、ヘラ等により下地より塗装材を容易に剥離させることができる。
特に、塗装材剥離シートを使用した剥離方法では、当然のことながら、塗装材剥離剤の塗布むらもなく、また、塗装材剥離剤の揮発などもほとんどないことから、均一に、かつ、安定して塗装材を剥離させることができ、剥離に要する作業時間を短縮することができ、難しい熟練度も必要ではなくなる。
次に、本発明で使用される各種材料について、説明する。
非ハロゲン系高沸点有機溶剤としては、沸点が113℃〜230℃の範囲である有機溶剤が望ましい。さらに好ましくは、沸点が156℃〜230℃の範囲である有機溶剤が望ましい。沸点が113℃未満の場合、溶剤が揮発し易く、塗装材を剥離し難くなり、沸点が230℃を超えると、塗装材への浸透力が低下し、剥離性能が劣る。非ハロゲン系高沸点有機溶剤としては、例えば、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロパギルアルコールなどのアルコール系有機溶剤、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどの酢酸エステル系有機溶剤、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(カルビトール)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(カルビトールアセテート)、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテル類、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリジノン、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。これらの非ハロゲン系高沸点有機溶剤は、単独もしくは2種類以上混合して使用される。
使用される非ハロゲン系高沸点有機溶剤としては、剥離性能が高いことは勿論のこと、臭気が少ないこと、安全性が高いこと、などが必要である。
更に、塗装材剥離剤の粘度を上げると同時に、塗装材剥離シートを塗装材へ貼り合わせた際の塗装材への密着性、塗装材剥離シートの保持性を高めるために、可溶性有機高分子化合物を使用する。本発明で使用される可溶性有機高分子化合物としては、重量平均分子量が1万〜100万の範囲の可溶性有機高分子化合物が好ましく、例えば、商品名バイロンRV−103、バイロンRV−200などのポリエステル系高分子材料、商品名パラクロンSN−50DR、パラクロンAS−3000DR、パラクロンME−3500DRなどのポリアクリル酸エステル系高分子材料、商品名ハイパールM−4003、ハイパールM−4006、ハイパールM−4202、ハイパールM−5000、ハイパールM−5001、ハイパールM−4501などのポリメタクリル酸エステル系高分子材料などが挙げられる。
その配合量は、上記非ハロゲン系高沸点有機溶剤と上記可溶性有機高分子化合物からなる溶液100重量部に対して、1〜50重量部であることが好ましい。さらに好ましくは、1〜30重量部であることが好ましい。上記可溶性有機高分子化合物が1重量部より少ない場合には、塗装材剥離剤の保持性が低下し、また、50重量部より多い場合には、特に、塗装材剥離剤が高粘度過ぎる為に、いずれの場合も実用上好ましくない。
なお、上記可溶性有機高分子化合物は、単独もしくは2種以上で使用される。
また、更に、塗装材剥離剤を塗装材へ塗布した際の塗装材剥離剤の保持性、及び、塗装材剥離シートを塗装材へ貼り合わせた際のシートの保持性を高めるために、チクソトロピー剤を使用する。本発明で使用されるチクソトロピー剤としては、微粉末あるいは超微粉末の有機系あるいは無機系化合物が挙げられ、例えば、商品名アエロジル200、アエロジル300、アエロジル380などの二酸化ケイ素系の超微粉末などが挙げられる。
その配合量は、上記非ハロゲン系高沸点有機溶剤と可溶性有機高分子化合物からなる溶液100重量部に対して、1〜15重量部であることが好ましい。チクソトロピー剤が1重量部より少ない場合には、塗装材剥離剤の保持性が低下し、また、15重量部より多い場合には、塗装材剥離剤が複合基材に含浸しにくくなる為に、いずれの場合も実用上好ましくない。
さらに、必要に応じて、ノニオン系、アニオン系またはカチオン系界面活性剤、着色剤、その他充填剤を添加してもよい。
また、塗装材剥離シートに使用される基材としては、塗装材剥離剤を含浸でき、かつ、塗装材剥離剤の揮発を抑制し、安定して保持できるような基材が好ましく、例えば、不織布、フェルト、立毛編織物、起毛編織物等の繊維集合体と有機フィルムとの複合基材が挙げられる。繊維集合体の坪量としては、必要量の塗装材剥離剤を含漬・保持できる厚みであれば良いが、特に、坪量が20〜200g/m2であるものが好ましい。また、上記繊維集合体の替わりにスポンジ等からなるシートを用いても良い。
また、上記基材に含浸させる塗装材剥離剤の量は、剥離しようとする塗装材の種類にも依存するが、通常、100〜2000g/m2の範囲で含浸させることが望ましい。塗装材剥離剤の量が100g/m2より少ない場合には、剥離性能が不十分となる場合があり、2000g/m2より多い場合には、塗装材剥離剤の保持性の観点から、実用上好ましくない。
[具体例]
本発明の塗装材剥離剤をシート基材に含浸させた塗装材剥離シートを使用して、各種塗装材を剥離させた実験結果を具体例によって具体的に説明する。但し、本発明の塗装材剥離剤及び塗装材剥離シートは、これに限定されるものではない。
なお、具体例及び比較例の記述中における「部」は重量部を表わす。
〔具体例1〕
エチルセロソルブアセテート(沸点156℃)90部、メチルセロソルブ(沸点125℃)9部、重量平均分子量約100万のポリメタクリル酸エステル樹脂(根上工業製パラクロンAX−2DR)1部、超微粉二酸化ケイ素(アエロジル200)15部を十分に混合し、粘度が約100mPa・s(測定条件:5回転、25℃)のペースト状の塗装材剥離剤を得た。次に、上記塗装材剥離剤を坪量20g/m2の不織布と12μm厚のポリエステルフィルムとの複合基材からなる不織布面に、100g/m2含浸させ、塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部に塗装材剥離剤が適度に含浸されていた。なお、製品形態は、塗装材剥離剤を含浸させた不織布面同士を2枚重ね合わせた構成である。これにより、含浸させた塗装材剥離剤の全量使用が可能であり、極めて好都合となる。このようにして作製した塗装材剥離シートを使用して、各種塗装材を剥離させた。この場合、塗装材剥離剤が含浸しているシート基材の不織布面を塗装材面に押し付けて貼り付けた。塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて放置したが、塗装材剥離シートがずれることもなく、十分な保持性があることを確認した。その後、一定時間放置後、塗装材剥離シートを除去し、ヘラによって塗装材を剥離したが、剥離できるまでの時間に差はあるものの、いずれの塗装材もきれいに剥離することができた。
なお、実験に使用した塗装材(JIS A6909)のうち、商品名レナラック(呼び名、複層塗材E)、商品名セラミタウンマイルド、セラミタイトペイント、グラナダ、コートリシン(以上、呼び名、外装薄塗材E)、商品名スイセイセラミシリコン、日塗工Y05−80L(以上、呼び名、防水系外装薄塗材E)、商品名弾性ロール(呼び名、防水系複層塗材E)については、24時間放置後、ヘラによって塗装材を剥離することができた。また、上記以外の塗装材、商品名ファインコート(呼び名、外装厚塗材E)、商品名セラミスマイル、ベルアート(以上、呼び名、不明)については、48時間放置後、ヘラによって塗装材を剥離することができた。
〔具体例2〕
ブチルカルビトール(沸点230℃)85部、プロパギルアルコール(沸点113℃)10部、重量平均分子量約1万のポリエステル樹脂(東洋紡績製バイロンRV−600)5部、超微粉二酸化ケイ素(アエロジル300)8部を十分に混合し、粘度が約500mPa・s(測定条件:5回転、25℃)のペースト状の塗装材剥離剤を得た。また、上記した塗装材剥離剤を坪量200g/m2の不織布と12μm厚のポリエステルフィルムとの複合基材からなる不織布面に、2000g/m2含浸させ、塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部に塗装材剥離剤が適度に含浸されていた。なお、製品形態は、塗装材剥離剤を含浸させた不織布面同士を2枚重ね合わせた構成である。これにより、含浸させた塗装材剥離剤の全量使用が可能であり、極めて好都合となる。このようにして作製した塗装材剥離シートを使用して、具体例1と同様に、各種塗装材を剥離させた。塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて放置したが、塗装材剥離シートがずれることもなく、十分な保持性があることを確認した。その後、一定時間放置後、塗装材剥離シートを除去し、ヘラによって塗装材を剥離したが、剥離できるまでの時間に差はあるものの、具体例1と同様に、いずれの塗装材もきれいに剥離することができた。
〔具体例3〕
カルビトールアセテート(沸点218℃)72部、ピルビン酸エチル(沸点148℃)8部、重量平均分子量約2万のポリエステル樹脂(東洋紡績製バイロンRV−103)20部、超微粉二酸化ケイ素(アエロジル300)6部を十分に混合し、粘度が約2500mPa・s(測定条件:5回転、25℃)のペースト状の塗装材剥離剤を得た。また、上記した塗装材剥離剤を坪量100g/m2の不織布と12μm厚のポリエステルフィルムとの複合基材からなる不織布面に、800g/m2含浸させ、塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部に塗装材剥離剤が適度に含浸されていた。なお、製品形態は、塗装材剥離剤を含浸させた不織布面同士を2枚重ね合わせた構成である。これにより、含浸させた塗装材剥離剤の全量使用が可能であり、極めて好都合となる。このようにして作製した塗装材剥離シートを使用して、具体例1と同様に、各種塗装材を剥離させた。塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて放置したが、塗装材剥離シートがずれることもなく、十分な保持性があることを確認した。その後、一定時間放置後、塗装材剥離シートを除去し、ヘラによって塗装材を剥離したが、剥離できるまでの時間に差はあるものの、具体例1と同様に、いずれの塗装材もきれいに剥離することができた。
〔具体例4〕
カルビトールアセテート(沸点218℃)65部、ピルビン酸メチル(沸点123℃)5部、重量平均分子量約2万のポリエステル樹脂(東洋紡績製バイロンRV−103)30部、超微粉二酸化ケイ素(アエロジル300)6部を十分に混合し、粘度が約3000mPa・s(測定条件:5回転、25℃)のペースト状の塗装材剥離剤を得た。また、上記した塗装材剥離剤を坪量100g/m2の不織布と12μm厚のポリエステルフィルムとの複合基材からなる不織布面に、1200g/m2含浸させ、塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部に塗装材剥離剤が適度に含浸されていた。なお、製品形態は、塗装材剥離剤を含浸させた不織布面同士を2枚重ね合わせた構成である。これにより、含浸させた塗装材剥離剤の全量使用が可能であり、極めて好都合となる。このようにして作製した塗装材剥離シートを使用して、具体例1と同様に、各種塗装材を剥離させた。塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて放置したが、塗装材剥離シートがずれることもなく、十分な保持性があることを確認した。その後、一定時間放置後、塗装材剥離シートを除去し、ヘラによって塗装材を剥離したが、剥離できるまでの時間に差はあるものの、具体例1と同様に、いずれの塗装材もきれいに剥離することができた。
〔具体例5〕
カルビトール(沸点202℃)40部、N−メチル−2−ピロリジノン(沸点202℃)10部、重量平均分子量約60万のポリアクリル酸エステル樹脂(根上工業製ハイパールM−4003)50部、超微粉二酸化ケイ素(アエロジル380)1部を十分に混合し、粘度が約4500mPa・s(測定条件:5回転、25℃)のペースト状の塗装材剥離剤を得た。また、上記した塗装材剥離剤を坪量80g/m2の不織布と12μm厚のポリエステルフィルムとの複合基材からなる不織布面に、500g/m2含浸させ、塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部に塗装材剥離剤が適度に含浸されていた。なお、製品形態は、塗装材剥離剤を含浸させた不織布面同士を2枚重ね合わせた構成である。これにより、含浸させた塗装材剥離剤の全量使用が可能であり、極めて好都合となる。このようにして作製した塗装材剥離シートを使用して、具体例1と同様に、各種塗装材を剥離させた。塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて放置したが、塗装材剥離シートがずれることもなく、十分な保持性があることを確認した。その後、一定時間放置後、塗装材剥離シートを除去し、ヘラによって塗装材を剥離したが、剥離できるまでの時間に差はあるものの、具体例1と同様に、いずれの塗装材もきれいに剥離することができた。
〔具体例6〕
N−メチル−2−ピロリジノン(沸点202℃)60部、カルビトールアセテート(沸点218℃)20部、重量平均分子量約2万のポリエステル樹脂(東洋紡績製バイロンRV−103)20部、超微粉二酸化ケイ素(アエロジル300)6部を十分に混合し、粘度が約2500mPa・s(測定条件:5回転、25℃)のペースト状の塗装材剥離剤を得た。また、上記した塗装材剥離剤を坪量50g/m2の不織布と12μm厚のポリエステルフィルムとの複合基材からなる不織布面に、200g/m2含浸させ、塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部に塗装材剥離剤が適度に含浸されていた。なお、製品形態は、塗装材剥離剤を含浸させた不織布面同士を2枚重ね合わせた構成である。これにより、含浸させた塗装材剥離剤の全量使用が可能であり、極めて好都合となる。このようにして作製した塗装材剥離シートを使用して、具体例1と同様に、各種塗装材を剥離させた。塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて放置したが、塗装材剥離シートがずれることもなく、十分な保持性があることを確認した。その後、一定時間放置後、塗装材剥離シートを除去し、ヘラによって塗装材を剥離したが、剥離できるまでの時間に差はあるものの、具体例1と同様に、いずれの塗装材もきれいに剥離することができた。
以上のように、本発明の塗装材剥離剤及び塗装材剥離シートは、優れた剥離性を示すとともに、作業性にも優れていることを確認した。
〔比較例1〕
塗装材剥離剤の塗布量を50g/m2とした以外は、具体例3と同様の配合並びに構成にて塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部に塗装材剥離剤が適度に含浸されていたが、具体例3と同様に、塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて24時間放置したところ、塗装材剥離シートがずれ、シート保持性が不十分であることが分かった。
〔比較例2〕
塗装材剥離剤の塗布量を2500g/m2とした以外は、具体例3と同様の配合並びに構成にて塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部に塗装材剥離剤が適度に含浸されていたが、具体例3と同様に、塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて24時間放置したところ、塗装材剥離シートがずれ、シート保持性が不十分であることが分かった。
〔比較例3〕
可溶性有機高分子化合物を使用しなかったこと以外は、具体例1と同様の配合並びに構成にて塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部に塗装材剥離剤が適度に含浸されていなかった。また、具体例1と同様に、塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて24時間放置したところ、塗装材剥離シートがずれ、シート保持性が不十分であることが分かった。
〔比較例4〕
チクソトロピー剤を使用しなかったこと以外は、具体例2と同様の配合並びに構成にて塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部に塗装材剥離剤が適度に含浸されていたが、具体例2と同様に、塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて24時間放置したところ、塗装材剥離シートがずれ、シート保持性が不十分であることが分かった。
〔比較例5〕
可溶性有機高分子材料の配合量を60部としたこと以外は、具体例3と同様の配合並びに構成にて塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部へ塗装材剥離剤が含浸しにくく、具体例3と同様に、塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて24時間放置したところ、塗装材剥離剤の浸透性が不十分であることが分かった。
〔比較例6〕
チクソトロピー剤の配合量を20部としたこと以外は、具体例4と同様の配合並びに構成にて塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部に塗装材剥離剤が適度に含浸されていなかった。また、具体例1と同様に、塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて24時間放置したところ、塗装材剥離シートがずれ、シート保持性が不十分であることが分かった。また、塗装材剥離剤の浸透性が不十分であることも分かった。
〔比較例7〕
基材に複合基材でなく、不織布単体を使用したこと以外は、具体例5と同様の配合並びに構成にて塗装材剥離シートを得た。この塗装材剥離シートは、シート基材の不織布部に塗装材剥離剤が適度に含浸されていたが、具体例5と同様に、塗装材剥離シートを貼り付けた塗装材剥離試験用の試料を垂直に立てて24時間放置したところ、塗装材剥離剤の揮発が認められた。また、塗装材剥離シートがずれ、シート保持性が不十分であることが分かった。
Claims (6)
- 実質的にハロゲン系化合物を含まない組成物からなる塗装材剥離剤であって、上記組成物が沸点113℃〜230℃である非ハロゲン系高沸点有機溶剤と重量平均分子量が1万〜100万である可溶性有機高分子化合物とチクソトロピー剤とを含むことを特徴とする塗装材剥離剤。
- 上記非ハロゲン系高沸点有機溶剤と上記可溶性有機高分子化合物からなる溶液100重量部に対して、上記可溶性有機高分子化合物が1〜50重量部、上記チクソトロピー剤が1〜15重量部配合されてなることを特徴とする請求の範囲第1項記載の塗装材剥離剤。
- 請求の範囲第1項乃至第2項のいずれかに記載の塗装材剥離剤をシート基材に含浸させたことを特徴とする塗装材剥離シート。
- 上記シート基材が、不織布等の繊維集合体と有機フィルム基材とからなる複合基材であることを特徴とする請求の範囲第3項記載の塗装材剥離シート。
- 上記塗装材剥離シートが、上記複合基材の塗装材剥離剤を含浸させた面同士を2枚重ね合わせた構成としたことを特徴とする請求の範囲第3項乃至第4項のいずれかに記載の塗装材剥離シート。
- 上記塗装材剥離シートが、上記シート基材に上記塗装材剥離剤を100〜2000g/m2含浸させたことを特徴とする請求の範囲第3項乃至第5項のいずれかに記載の塗装材剥離シート。
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