JPWO2004066994A1 - 抗癌剤 - Google Patents
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Abstract
一般式(1):(式中、R1からR9は、明細書中に定義されるとおりである。)で表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩を有効成分とする抗癌剤。
Description
本発明は、抗癌剤並びに癌の治療方法に関する。
従来から、植物より抽出した物質に、抗癌作用や発癌予防作用を有するものがあることが知られており、植物の抽出物から得られる成分に関して、多くの研究が行われてきた。例えば、St.John’s wortという植物から得られる物質が抗腫瘍効果を示すことが報告されている(Christoph et al.,Oncogene,2002,21,1242−1250)。また、キャロフィラム属から得られる物質の中に、癌予防に有効な物質があること(Ito et al.,Journal of Natural Products,2002,65(3),267−272)、細胞障害性を有する物質があること(David et al.,Phytochemistry,2001,58,571−575)、エイズに対する抑制効果を有する物質があること(Claude et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,1998,8,3475−3478)が報告されている。これらの文献で報告されている物質の構造は様々で、機能又は作用との関連は明確になっていない。
一方、化学合成の分野においても、抗癌剤として有用な様々な薬剤の開発が行われてきた。これまでにも、高い細胞増殖抑制作用を示す抗癌剤などが種々開発されている。しかし、これらの中には、正常細胞にも毒性を示すものがあり、患者への実際の投与に十分な適性を有していないものも少なくなかった。また、癌においては、発症メカニズムとp53との関連が指摘され、p53を誘導することにより効果を発揮する抗癌剤が多く開発されてきたが、望まれている程度の効果を有さないか、又は望まれている程度には異なるタイプの癌に幅広い効果を示さないものが少なくなかった。更に、相乗的な作用や副作用の軽減を目的として、複数の抗癌剤を併用する多剤療法も行われているが、P糖蛋白(Pglycoprotein)が誘導されて、細胞が多剤耐性(MDR)を獲得することが多く、そのような患者に、抗癌剤を投与しても、癌細胞内の薬物濃度が低下し、有効な効果が得られないといった問題が生じていた。
これらのことから、従来とは異なるメカニズムを有し、多剤耐性癌細胞にも有効であって、しかも安全域の大きい、新たな抗癌剤の開発が期待されていた。
本発明は、従来と異なるメカニズムを有し、多剤耐性癌細胞にも有効で、しかも安全域の大きい抗癌剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、癌の治療方法を提供することを目的とする。
一方、化学合成の分野においても、抗癌剤として有用な様々な薬剤の開発が行われてきた。これまでにも、高い細胞増殖抑制作用を示す抗癌剤などが種々開発されている。しかし、これらの中には、正常細胞にも毒性を示すものがあり、患者への実際の投与に十分な適性を有していないものも少なくなかった。また、癌においては、発症メカニズムとp53との関連が指摘され、p53を誘導することにより効果を発揮する抗癌剤が多く開発されてきたが、望まれている程度の効果を有さないか、又は望まれている程度には異なるタイプの癌に幅広い効果を示さないものが少なくなかった。更に、相乗的な作用や副作用の軽減を目的として、複数の抗癌剤を併用する多剤療法も行われているが、P糖蛋白(Pglycoprotein)が誘導されて、細胞が多剤耐性(MDR)を獲得することが多く、そのような患者に、抗癌剤を投与しても、癌細胞内の薬物濃度が低下し、有効な効果が得られないといった問題が生じていた。
これらのことから、従来とは異なるメカニズムを有し、多剤耐性癌細胞にも有効であって、しかも安全域の大きい、新たな抗癌剤の開発が期待されていた。
本発明は、従来と異なるメカニズムを有し、多剤耐性癌細胞にも有効で、しかも安全域の大きい抗癌剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、癌の治療方法を提供することを目的とする。
図1は、Calophyllum Brasiliensisより得られた15の化合物の構造を示す。
図2は、図1に示した15の化合物について、BV173細胞の増殖抑制作用を、濃度0μM、1μM、5μM、10μM及び30μMにおいて調べた結果を示す。
図3は、化合物7(GUT−70)の細胞増殖抑制作用を、5種類の白血病細胞株(BV173、SEM、NALM6、HL60及びK562)について測定した結果を示す。また(◆)は0μM、(■)は0.5μM、(□)は1.0μM、(◇)は5.0μM、(×)は10μMの濃度での測定結果をそれぞれ示す。
図4は、化合物7によるアポトーシスを形態学的に観察した結果を示す。図4Aは化合物7で処理する前、図4Bは化合物7で処理後の観察結果をそれぞれ示す。
図5は、TUNELアッセイにより、細胞周期とアポトーシスの関係を測定した結果を示す。図5AはGUT−70無処理時、図5BはGUT−70 5μM、24時間処理時のアポトーシス誘導に関する結果をそれぞれ示す。
図6は、化合物7で処理した白血病細胞株NALM6細胞とBV173細胞における、p21WAF1/CIPl、p27Kip1、p53及びp57の時間的変化を調べた結果を示す。
図7Aは、P糖蛋白高発現細胞K562/D1−9とP糖蛋白が発現していない親株K562細胞に対するダウノルビシン(DNR)の耐性を比較した結果を示す。図7Bは、P糖蛋白高発現細胞K562/D1−9とP糖蛋白が高発現していない親株K562細胞に対する化合物7の耐性を比較した結果を示す。
図8は、正常造血前駆細胞CFU−GMとBFU−Eを用いて、正常細胞に対する化合物7の毒性を調べた結果を示す。
図9は、ヒト小細胞肺ガンに対する化合物7(GUT−70)の効果を調べた結果を示す。
図2は、図1に示した15の化合物について、BV173細胞の増殖抑制作用を、濃度0μM、1μM、5μM、10μM及び30μMにおいて調べた結果を示す。
図3は、化合物7(GUT−70)の細胞増殖抑制作用を、5種類の白血病細胞株(BV173、SEM、NALM6、HL60及びK562)について測定した結果を示す。また(◆)は0μM、(■)は0.5μM、(□)は1.0μM、(◇)は5.0μM、(×)は10μMの濃度での測定結果をそれぞれ示す。
図4は、化合物7によるアポトーシスを形態学的に観察した結果を示す。図4Aは化合物7で処理する前、図4Bは化合物7で処理後の観察結果をそれぞれ示す。
図5は、TUNELアッセイにより、細胞周期とアポトーシスの関係を測定した結果を示す。図5AはGUT−70無処理時、図5BはGUT−70 5μM、24時間処理時のアポトーシス誘導に関する結果をそれぞれ示す。
図6は、化合物7で処理した白血病細胞株NALM6細胞とBV173細胞における、p21WAF1/CIPl、p27Kip1、p53及びp57の時間的変化を調べた結果を示す。
図7Aは、P糖蛋白高発現細胞K562/D1−9とP糖蛋白が発現していない親株K562細胞に対するダウノルビシン(DNR)の耐性を比較した結果を示す。図7Bは、P糖蛋白高発現細胞K562/D1−9とP糖蛋白が高発現していない親株K562細胞に対する化合物7の耐性を比較した結果を示す。
図8は、正常造血前駆細胞CFU−GMとBFU−Eを用いて、正常細胞に対する化合物7の毒性を調べた結果を示す。
図9は、ヒト小細胞肺ガンに対する化合物7(GUT−70)の効果を調べた結果を示す。
本発明者は、前記課題を解決することを主な目的として、鋭意検討を重ねた。その結果、特定の構造を有する化合物が、顕著なガン細胞の増殖抑制作用を奏すること、多剤耐性癌細胞に対しても有効であること、また安全域が大きいことも見出し、更に鋭意検討を重ねて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の抗癌剤及び癌の治療方法に関するものである。
1.下記一般式(1)
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し、或いは、CR1R2は、C=Oを表し;
R3、R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基又はアシルアミノ基を表し;
R5、R8、R9は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、置換されていてもよいアリールチオ基、アルキルスルホニル基、置換されていてもよいアリールスルホニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換されていてもよいアリールアミノカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、置換されていてもよいアリールアミノスルホニル基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又は置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基を表し;
R6は、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基又は下記一般式(2)
で表される構造を表し;
R7は、O、NH又はNR13を表し;
R10は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し;
R11、R12は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基を表し;
R13は、アルキル基、シクロアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表す)
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする抗癌剤。
2.R7が酸素原子である項1に記載の抗癌剤。
3.R5がメトキシ基である項1に記載の抗癌剤。
4.R9がアルキル基又は置換されていてもよいアリール基である項1に記載の抗癌剤。
5.R9がn−プロピル基である項1に記載の抗癌剤。
6.R6が、下記一般式(2)
(式中、R10、R11およびR12は、前記に定義されるとおりである)
で表される基である項1に記載の抗癌剤。
7.下記一般式(3)
で表される項1に記載の抗癌剤。
8.項1〜7のいずれかに記載の化合物の有効量を投与することを特徴とする癌の治療方法。
9.癌が、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、絨毛癌、多発性骨髄腫、軟部腫瘍、小細胞肺ガン、慢性骨髄性白血病、甲状腺髄様癌、骨肉腫、頭頸部癌、食道癌、非小細胞肺ガン、大腸癌、胃癌、胆道癌、脳腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌からなる群より選択される項8に記載の方法。
10.癌が、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、慢性骨髄性白血病、小細胞肺ガンからなる群より選択される項9に記載の方法。
11.癌が多剤耐性(MDR)の癌である項8に記載の方法。
本発明は、好ましくは一般式(3)で表される化合物を有効成分として含有する抗癌剤、並びに該化合物を癌患者に投与する癌の治療方法に係るものである。
更に好ましくは、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、絨毛癌、多発性骨髄腫、軟部腫瘍、小細胞肺ガン、慢性骨髄性白血病、甲状腺髄様癌、骨肉腫、頭頸部癌、食道癌、非小細胞肺ガン、大腸癌、胃癌、胆道癌、脳腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌からなる群より選択される疾患を治療するための、一般式(3)で表される化合物を有効成分として含有する抗癌剤に係るものである。
また、本発明は、好ましくは、一般式(3)で表される化合物の抗癌有効量を投与することを特徴とする癌の治療方法に係るものである。
更に好ましくは、一般式(3)で表される化合物の抗癌有効量を投与することを特徴とする、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、絨毛癌、多発性骨髄腫、軟部腫瘍、小細胞肺ガン、慢性骨髄性白血病、甲状腺髄様癌、骨肉腫、頭頸部癌、食道癌、非小細胞肺ガン、大腸癌、胃癌、胆道癌、脳腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌からなる群より選択される疾患の治療方法に係るものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
抗癌化合物の構造
本発明の抗癌剤の有効成分は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
一般式(1)
(式中、R1〜R9は、前記に定義されるとおりである。)
R1〜R13において、アルキル基は、置換又は非置換の直鎖状或いは分岐状のものを含み、炭素数は通常は1〜18、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜3であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシルが挙げられる。
シクロアルキル基は、置換又は非置換のものを含み、炭素数も特に限定されないが、通常は3〜10、好ましくは3〜7である。シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが挙げられる。
アリール基としては、「アリール基」とは、5又は6員の芳香族炭化水素環からなる単環又は多環系の基を意味し、具体例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アントリル、ビフェニリル、テトラヒドロナフチル、クロマニル、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニル、インダニル及びフェナントリルが挙げられる。
置換基を有するアリール基の置換基の数は1〜3個、好ましくは1または2個であり、該置換基としては、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シアノ、ニトロ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、CONH2,アセチルが例示される。置換アリール基の例示としては、フェニル、2−、3−若しくは4−フルオロフェニル、2−、3−若しくは4−クロロフェニル、2−、3−若しくは4−ブロモフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、3,4−、3,5−若しくは2,6−ジクロロフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、4−イソプロピルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−、3−若しくは4−トリフルオロメチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、2−、3−若しくは4−ジメチルアミノフェニル、2−、3−若しくは4−ニトロフェニル、4−スルファモイルフェニルが例示される。
アルコキシ基としては、−OR’(R’は前記アルキル基である)で表される基が挙げられ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシが例示される。
アシル基としては、−COR’’(R’’は前記アルキル基または前記置換されていてもよいアリール基である)で表される基が挙げられ、例えば、アセチル、プロピオニル、ベンゾイルが例示される。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
アシルアミノ基としては、−NHCOR’’(R’’は前記アルキル基または前記置換されていてもよいアリール基である)で表される基が挙げられ、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、ベンゾイルアミノが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、−COOR’(R’は前記アルキル基である)で表される基が挙げられ、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニルが例示される。
置換されていてもよいアリールオキシ基としては、−O−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルオキシ、ナフチルオキシが挙げられる。
アルキルチオ基としては、−S−(アルキル基)で表される基が挙げられ、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオが挙げられる。
置換されていてもよいアリールチオ基としては、−S−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルチオ、ナフチルチオが挙げられる。
モノアルキルアミノ基としては、前記アルキルでモノ置換されたアミノ基、例えばメチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、イソブチルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、n−ペンチルアミノカルボニル、イソペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニルが挙げられる。
ジアルキルアミノ基としては、前記アルキルでジ置換されたアミノ基、例えばジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジn−プロピルアミノカルボニル、ジイソプロピルアミノカルボニル、ジn−ブチルアミノカルボニル、ジイソブチルアミノカルボニル、ジtert−ブチルアミノカルボニル、ジn−ペンチルアミノカルボニル、ジイソペンチルアミノカルボニル、ジヘキシルアミノカルボニルが挙げられる。
アルキルスルホニル基としては、−SO2−(アルキル基)で表される基が挙げられ、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニルが挙げられる。
置換されていてもよいアリールスルホニル基としては、−SO2−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルスルホニル、ナフチルスルホニルが挙げられる。
アルキルアミノカルボニル基としては、前記アルキルでモノ置換またはジ置換されたアミノカルボニル基が挙げられ、前記アルキルでモノ置換されたアミノ基としては、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、イソブチルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、n−ペンチルアミノカルボニル、イソペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニルが挙げられ、前記アルキルでジ置換されたアミノカルボニル基としては、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジn−プロピルアミノカルボニル、ジイソプロピルアミノカルボニル、ジn−ブチルアミノカルボニル、ジイソブチルアミノカルボニル、ジtert−ブチルアミノカルボニル、ジn−ペンチルアミノカルボニル、ジイソペンチルアミノカルボニル、ジヘキシルアミノカルボニルが挙げられる。
置換されていてもよいアリールアミノカルボニル基としては、−CONH−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルアミノカルボニル、ナフチルアミノカルボニルが挙げられる。
アルキルアミノスルホニル基としては、前記アルキルでモノ置換またはジ置換されたアミノスルホニル基が挙げられ、前記アルキルでモノ置換されたアミノ基としては、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、n−プロピルアミノスルホニル、イソプロピルアミノスルホニル、n−ブチルアミノスルホニル、イソブチルアミノスルホニル、tert−ブチルアミノスルホニル、n−ペンチルアミノスルホニル、イソペンチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニルが挙げられ、前記アルキルでジ置換されたアミノスルホニル基としては、ジメチルアミノスルホニル、ジエチルアミノスルホニル、ジn−プロピルアミノスルホニル、ジイソプロピルアミノスルホニル、ジn−ブチルアミノスルホニル、ジイソブチルアミノスルホニル、ジtert−ブチルアミノスルホニル、ジn−ペンチルアミノスルホニル、ジイソペンチルアミノスルホニル、ジヘキシルアミノスルホニルが挙げられる。
置換されていてもよいアリールアミノスルホニル基としては、−SO2NH−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルアミノスルホニル、ナフチルアミノスルホニルが挙げられる。
置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基としては、−COO−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニルが挙げられる。
アルキルスルホニルアミノ基としては、−NHSO2−(アルキル基)で表される基が挙げられ、例えばメチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、n−ブチルスルホニルアミノ、イソブチルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノ、n−ペンチルスルホニルアミノ、イソペンチルスルホニルアミノ、ヘキシルスルホニルアミノが挙げられ、
置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基としては、−NHSO2−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルスルホニルアミノ、ナフチルスルホニルアミノが挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される化合物に関し、R7は酸素原子(O)が好ましい。
R5はメトキシ基(−OCH3)が好ましい。
R9はアルキル基又はアリール基が好ましく、特にn−プロピル基が好ましい。
また、R6は、一般式(2)
(式中、R10、R11およびR12は、前記に定義されるとおりである)
で表される基が好ましい。
本発明においては、一般式(3)
で表される化合物(5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−(2−メチル−1−オキソ−2−ブテニル)−10−プロピル−2H,8H−ベンゾ[1,2−b;3,4−b’]ジピラン−8−オン(5−methoxy−2,2−dimethyl−6−(2−methtl−1−oxo−2−butenyl)−10−propyl−2H,8H−benzo[1,2−b;3,4−b’]dipyran−8−one))が抗癌剤として好ましい。
この一般式(3)の化合物は、特に優れた癌細胞増殖抑制作用を有する。
本発明の一般式(1)で表される化合物の薬学的に許容される塩は、R3〜R6、R8,R9のいずれかがカルボキシル基(COOH)あるいはアミノ基、モノ−またはジ−アルキルアミノ基を有する場合、薬学的に許容される塩を調製できる。薬学的に許容されるカルボキシル基の塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩)が例示され、薬学的に許容されるアミノ基、モノ−またはジ−アルキルアミノ基の塩としては、硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸鉛、リン酸塩などの無機酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩などの有機酸塩が挙げられる。このような薬学的に許容される塩は、本発明の化合物とアルカリ金属の炭酸塩または炭酸水素塩、アルカリ金属水酸化物、あるいは、無機酸または有機酸を作用させることにより得ることができる。
一般式(1)の化合物の製造方法
上記化合物は、種々の方法で適宜調製することができ、化学的に合成してもよく、また、適当な植物から抽出などにより分離してもよい。
(i)化学的合成方法
化学的に合成する方法としては、適宜公知の方法を用いることができる。
例えば、以下のような方法が挙げられる。
下記一般式(4)
(式中、R1〜R5は、前記に定義されるとおりである)
で表される化合物、又は、下記一般式(5)
(式中、R1〜R5は、前記に定義されるとおりである。Zは水素原子またはR13(R13は前記定義されるとおりである)を示す。)
で表される化合物と、下記一般式(6)
(式中、R8及びR9は、前記に定義されるとおりである)
で表される化合物とを、濃硫酸を用いて加熱反応させて、
それぞれ、下記一般式(7)
(式中、R1〜R5、R8及びR9は、前記に定義されるとおりである)
で表される化合物、又は、下記一般式(8)
(式中、R1〜R5、R8、R9及びZは、前記に定義されるとおりである)
で表される化合物を得る。
次いで、一般式(7)又は(8)で表される化合物に、例えば、下記一般式(9)
で表される化合物を、フリーデル・クラフツ(Friedel−Crafts)触媒を用いて反応させることによって、下記一般式(1)
(式中、R1〜R9は、前記に定義されるとおりである)
で表される化合物を得る。
R6が一般式(2)で表される構造の化合物は、一般式(9)で表される化合物として、下記一般式(10)
(式中、R10〜R12は、前記に定義されるとおりである)
で表される化合物を、フリーデル・クラフツ(Friedel−Crafts)触媒を用いてアシル化反応させて得ることができる。
フリーデル・クラフツ(Friedel−Crafts)触媒としては、例えば、AlCl3、BF3、ZnCl2、SnCl4などが挙げられる。
一般式(4)〜(10)で表される化合物は、いずれも、汎用の方法により得ることができ、市販品がある場合には、それをそのまま用いればよい。
斯くして得られる本発明の化合物は、通常、溶解、抽出、分液、傾斜、濾過、濃縮、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、蒸留、昇華、結晶化などの方法を単独又は組み合わせて、適宜精製を行う。
上記と同様の方法において、所望の置換基を有する中間物を用い、又は適当な官能基を適宜導入することによって、各種化合物を得ることができる。
例えば、一般式(4)において、R1、R2がメチル基、R3、R4が水素、R5が−OCH3基である化合物を用い、一般式(6)において、R8が水素、R9が−CH2CH2CH3基である化合物を用い、一般式(10)において、R10が水素、R11、R12がメチル基である化合物を用いる場合には、
下記一般式(3)
で表される化合物を得ることができる。
(ii)植物からの抽出方法
本願発明の医薬組成物の有効成分となる化合物は、適当な植物から抽出して得ることもできる。植物としては、オトギリ草科(Guttiferae)の植物が例示できる。オトギリ草科の植物では、キャロフィラム(Calophyllum)属のもの、例えば、Calophyllum Brasiliensis又はCalophyllum inophyllumなどが好適であり、特に、Calophyllum Brasiliensisが好適に用いられる。
植物から該化合物を抽出して得る方法は、適宜公知の方法を用いることができ、特に限定されないが、例えば、植物の樹皮などを粉砕し、有機溶媒で抽出する方法などを用いることができる。
具体的には、次のように行うことができる。Calophyllum Brasiliensis又はCalophyllum inophyllumの乾燥した樹皮の粉砕物に、適当な有機溶媒、例えば、アセトン、ヘキサン、メタノール、エタノール等の低級アルコールなどを適宜組み合わせて用いて、室温で抽出した後、低圧下溶媒を蒸発する。更にクロマトグラフィーやろ過、抽出など、適宜分離精製を行って、所望の化合物を得る。
例えば、一般式(3)の化合物は、Calophyllum Brasiliensis(Guttiferae)の植物抽出物を分離精製して得ることができる。
医薬組成物(医薬製剤)の製法
一般式(1)の化合物またはその塩は、薬学的に許容される担体と配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの固形製剤;シロップ剤、注射剤などの液状製剤、貼付剤、軟膏剤、硬膏剤などの経皮吸収剤、吸入剤、坐剤として、適宜製剤化することができる。
本発明の医薬組成物は、経口または非経口投与され、上記化合物を1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用して用いてもよい。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用されている各種有機あるいは無機担体物質を用いることができる。具体的には、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などを配合することができる。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールなどが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。防腐剤の好適な例としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
対象疾患
本発明の抗癌剤は、各種の癌の治療に適用することができる。
癌の種類は、特に限定されないが、例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、絨毛癌、多発性骨髄腫、軟部腫瘍、小細胞肺ガン、慢性骨髄性白血病、甲状腺髄様癌、骨肉腫、頭頸部癌、食道癌、非小細胞肺ガン、大腸癌、胃癌、胆道癌、脳腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌が挙げられる。
本発明の抗癌剤は、特に、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、小細胞肺ガン、に有効である。中でも急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、小細胞肺ガンに好適に用いられる。
本発明の抗癌剤の投与条件及び投与方法は、疾患の種類や患者の状態又は適用部位などに応じて、適宜設定することができる。
具体的には、投与量は、動物の種類や大きさ(または体重)、症状等に応じて適宜調節する。ヒト又はヒト以外の動物に投与する場合には、約0.1−100mg/kg(体重)程度、好ましくは約1.0−10mg/kg(体重)程度、更に好ましくは約1.0−3.0mg/kg(体重)程度の量で投与する。また投与方法も、最適の治療効果が得られるように適宜調節でき、例えば、毎日数回に分けて投与でき、治療中に危険な状態が生じた場合には、その状態に応じて投与量や投与回数を適宜減らすこともできる。
本願発明の抗癌剤は、所望の効果を得るために、単独で投与することもでき、また他の抗癌剤、化学療法剤、抗炎症剤または免疫療法剤などと適宜組み合わせて用いることもできる。
本発明の抗癌剤と組み合わせて用いる他の抗癌剤としては、例えば、代謝拮抗剤、アルキル化薬、白金系抗癌剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗癌性抗生物質、チロシンキナーゼ阻害剤、ヒト化抗体が挙げられる。
すなわち、本発明は、以下の抗癌剤及び癌の治療方法に関するものである。
1.下記一般式(1)
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し、或いは、CR1R2は、C=Oを表し;
R3、R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基又はアシルアミノ基を表し;
R5、R8、R9は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、置換されていてもよいアリールチオ基、アルキルスルホニル基、置換されていてもよいアリールスルホニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換されていてもよいアリールアミノカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、置換されていてもよいアリールアミノスルホニル基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又は置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基を表し;
R6は、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基又は下記一般式(2)
で表される構造を表し;
R7は、O、NH又はNR13を表し;
R10は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し;
R11、R12は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基を表し;
R13は、アルキル基、シクロアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表す)
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする抗癌剤。
2.R7が酸素原子である項1に記載の抗癌剤。
3.R5がメトキシ基である項1に記載の抗癌剤。
4.R9がアルキル基又は置換されていてもよいアリール基である項1に記載の抗癌剤。
5.R9がn−プロピル基である項1に記載の抗癌剤。
6.R6が、下記一般式(2)
(式中、R10、R11およびR12は、前記に定義されるとおりである)
で表される基である項1に記載の抗癌剤。
7.下記一般式(3)
で表される項1に記載の抗癌剤。
8.項1〜7のいずれかに記載の化合物の有効量を投与することを特徴とする癌の治療方法。
9.癌が、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、絨毛癌、多発性骨髄腫、軟部腫瘍、小細胞肺ガン、慢性骨髄性白血病、甲状腺髄様癌、骨肉腫、頭頸部癌、食道癌、非小細胞肺ガン、大腸癌、胃癌、胆道癌、脳腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌からなる群より選択される項8に記載の方法。
10.癌が、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、慢性骨髄性白血病、小細胞肺ガンからなる群より選択される項9に記載の方法。
11.癌が多剤耐性(MDR)の癌である項8に記載の方法。
本発明は、好ましくは一般式(3)で表される化合物を有効成分として含有する抗癌剤、並びに該化合物を癌患者に投与する癌の治療方法に係るものである。
更に好ましくは、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、絨毛癌、多発性骨髄腫、軟部腫瘍、小細胞肺ガン、慢性骨髄性白血病、甲状腺髄様癌、骨肉腫、頭頸部癌、食道癌、非小細胞肺ガン、大腸癌、胃癌、胆道癌、脳腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌からなる群より選択される疾患を治療するための、一般式(3)で表される化合物を有効成分として含有する抗癌剤に係るものである。
また、本発明は、好ましくは、一般式(3)で表される化合物の抗癌有効量を投与することを特徴とする癌の治療方法に係るものである。
更に好ましくは、一般式(3)で表される化合物の抗癌有効量を投与することを特徴とする、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、絨毛癌、多発性骨髄腫、軟部腫瘍、小細胞肺ガン、慢性骨髄性白血病、甲状腺髄様癌、骨肉腫、頭頸部癌、食道癌、非小細胞肺ガン、大腸癌、胃癌、胆道癌、脳腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌からなる群より選択される疾患の治療方法に係るものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
抗癌化合物の構造
本発明の抗癌剤の有効成分は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
一般式(1)
(式中、R1〜R9は、前記に定義されるとおりである。)
R1〜R13において、アルキル基は、置換又は非置換の直鎖状或いは分岐状のものを含み、炭素数は通常は1〜18、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜3であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシルが挙げられる。
シクロアルキル基は、置換又は非置換のものを含み、炭素数も特に限定されないが、通常は3〜10、好ましくは3〜7である。シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが挙げられる。
アリール基としては、「アリール基」とは、5又は6員の芳香族炭化水素環からなる単環又は多環系の基を意味し、具体例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アントリル、ビフェニリル、テトラヒドロナフチル、クロマニル、2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキサナフタレニル、インダニル及びフェナントリルが挙げられる。
置換基を有するアリール基の置換基の数は1〜3個、好ましくは1または2個であり、該置換基としては、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シアノ、ニトロ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、CONH2,アセチルが例示される。置換アリール基の例示としては、フェニル、2−、3−若しくは4−フルオロフェニル、2−、3−若しくは4−クロロフェニル、2−、3−若しくは4−ブロモフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、3,4−、3,5−若しくは2,6−ジクロロフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、4−イソプロピルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−、3−若しくは4−トリフルオロメチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、2−、3−若しくは4−ジメチルアミノフェニル、2−、3−若しくは4−ニトロフェニル、4−スルファモイルフェニルが例示される。
アルコキシ基としては、−OR’(R’は前記アルキル基である)で表される基が挙げられ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシが例示される。
アシル基としては、−COR’’(R’’は前記アルキル基または前記置換されていてもよいアリール基である)で表される基が挙げられ、例えば、アセチル、プロピオニル、ベンゾイルが例示される。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
アシルアミノ基としては、−NHCOR’’(R’’は前記アルキル基または前記置換されていてもよいアリール基である)で表される基が挙げられ、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、ベンゾイルアミノが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、−COOR’(R’は前記アルキル基である)で表される基が挙げられ、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニルが例示される。
置換されていてもよいアリールオキシ基としては、−O−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルオキシ、ナフチルオキシが挙げられる。
アルキルチオ基としては、−S−(アルキル基)で表される基が挙げられ、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオが挙げられる。
置換されていてもよいアリールチオ基としては、−S−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルチオ、ナフチルチオが挙げられる。
モノアルキルアミノ基としては、前記アルキルでモノ置換されたアミノ基、例えばメチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、イソブチルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、n−ペンチルアミノカルボニル、イソペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニルが挙げられる。
ジアルキルアミノ基としては、前記アルキルでジ置換されたアミノ基、例えばジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジn−プロピルアミノカルボニル、ジイソプロピルアミノカルボニル、ジn−ブチルアミノカルボニル、ジイソブチルアミノカルボニル、ジtert−ブチルアミノカルボニル、ジn−ペンチルアミノカルボニル、ジイソペンチルアミノカルボニル、ジヘキシルアミノカルボニルが挙げられる。
アルキルスルホニル基としては、−SO2−(アルキル基)で表される基が挙げられ、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニルが挙げられる。
置換されていてもよいアリールスルホニル基としては、−SO2−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルスルホニル、ナフチルスルホニルが挙げられる。
アルキルアミノカルボニル基としては、前記アルキルでモノ置換またはジ置換されたアミノカルボニル基が挙げられ、前記アルキルでモノ置換されたアミノ基としては、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、イソブチルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、n−ペンチルアミノカルボニル、イソペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニルが挙げられ、前記アルキルでジ置換されたアミノカルボニル基としては、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジn−プロピルアミノカルボニル、ジイソプロピルアミノカルボニル、ジn−ブチルアミノカルボニル、ジイソブチルアミノカルボニル、ジtert−ブチルアミノカルボニル、ジn−ペンチルアミノカルボニル、ジイソペンチルアミノカルボニル、ジヘキシルアミノカルボニルが挙げられる。
置換されていてもよいアリールアミノカルボニル基としては、−CONH−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルアミノカルボニル、ナフチルアミノカルボニルが挙げられる。
アルキルアミノスルホニル基としては、前記アルキルでモノ置換またはジ置換されたアミノスルホニル基が挙げられ、前記アルキルでモノ置換されたアミノ基としては、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、n−プロピルアミノスルホニル、イソプロピルアミノスルホニル、n−ブチルアミノスルホニル、イソブチルアミノスルホニル、tert−ブチルアミノスルホニル、n−ペンチルアミノスルホニル、イソペンチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニルが挙げられ、前記アルキルでジ置換されたアミノスルホニル基としては、ジメチルアミノスルホニル、ジエチルアミノスルホニル、ジn−プロピルアミノスルホニル、ジイソプロピルアミノスルホニル、ジn−ブチルアミノスルホニル、ジイソブチルアミノスルホニル、ジtert−ブチルアミノスルホニル、ジn−ペンチルアミノスルホニル、ジイソペンチルアミノスルホニル、ジヘキシルアミノスルホニルが挙げられる。
置換されていてもよいアリールアミノスルホニル基としては、−SO2NH−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルアミノスルホニル、ナフチルアミノスルホニルが挙げられる。
置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基としては、−COO−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニルが挙げられる。
アルキルスルホニルアミノ基としては、−NHSO2−(アルキル基)で表される基が挙げられ、例えばメチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、n−ブチルスルホニルアミノ、イソブチルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノ、n−ペンチルスルホニルアミノ、イソペンチルスルホニルアミノ、ヘキシルスルホニルアミノが挙げられ、
置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基としては、−NHSO2−(置換されていてもよいアリール基)で表される基が挙げられ、例えばフェニルスルホニルアミノ、ナフチルスルホニルアミノが挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される化合物に関し、R7は酸素原子(O)が好ましい。
R5はメトキシ基(−OCH3)が好ましい。
R9はアルキル基又はアリール基が好ましく、特にn−プロピル基が好ましい。
また、R6は、一般式(2)
(式中、R10、R11およびR12は、前記に定義されるとおりである)
で表される基が好ましい。
本発明においては、一般式(3)
で表される化合物(5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−(2−メチル−1−オキソ−2−ブテニル)−10−プロピル−2H,8H−ベンゾ[1,2−b;3,4−b’]ジピラン−8−オン(5−methoxy−2,2−dimethyl−6−(2−methtl−1−oxo−2−butenyl)−10−propyl−2H,8H−benzo[1,2−b;3,4−b’]dipyran−8−one))が抗癌剤として好ましい。
この一般式(3)の化合物は、特に優れた癌細胞増殖抑制作用を有する。
本発明の一般式(1)で表される化合物の薬学的に許容される塩は、R3〜R6、R8,R9のいずれかがカルボキシル基(COOH)あるいはアミノ基、モノ−またはジ−アルキルアミノ基を有する場合、薬学的に許容される塩を調製できる。薬学的に許容されるカルボキシル基の塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩)が例示され、薬学的に許容されるアミノ基、モノ−またはジ−アルキルアミノ基の塩としては、硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸鉛、リン酸塩などの無機酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩などの有機酸塩が挙げられる。このような薬学的に許容される塩は、本発明の化合物とアルカリ金属の炭酸塩または炭酸水素塩、アルカリ金属水酸化物、あるいは、無機酸または有機酸を作用させることにより得ることができる。
一般式(1)の化合物の製造方法
上記化合物は、種々の方法で適宜調製することができ、化学的に合成してもよく、また、適当な植物から抽出などにより分離してもよい。
(i)化学的合成方法
化学的に合成する方法としては、適宜公知の方法を用いることができる。
例えば、以下のような方法が挙げられる。
下記一般式(4)
(式中、R1〜R5は、前記に定義されるとおりである)
で表される化合物、又は、下記一般式(5)
(式中、R1〜R5は、前記に定義されるとおりである。Zは水素原子またはR13(R13は前記定義されるとおりである)を示す。)
で表される化合物と、下記一般式(6)
(式中、R8及びR9は、前記に定義されるとおりである)
で表される化合物とを、濃硫酸を用いて加熱反応させて、
それぞれ、下記一般式(7)
(式中、R1〜R5、R8及びR9は、前記に定義されるとおりである)
で表される化合物、又は、下記一般式(8)
(式中、R1〜R5、R8、R9及びZは、前記に定義されるとおりである)
で表される化合物を得る。
次いで、一般式(7)又は(8)で表される化合物に、例えば、下記一般式(9)
で表される化合物を、フリーデル・クラフツ(Friedel−Crafts)触媒を用いて反応させることによって、下記一般式(1)
(式中、R1〜R9は、前記に定義されるとおりである)
で表される化合物を得る。
R6が一般式(2)で表される構造の化合物は、一般式(9)で表される化合物として、下記一般式(10)
(式中、R10〜R12は、前記に定義されるとおりである)
で表される化合物を、フリーデル・クラフツ(Friedel−Crafts)触媒を用いてアシル化反応させて得ることができる。
フリーデル・クラフツ(Friedel−Crafts)触媒としては、例えば、AlCl3、BF3、ZnCl2、SnCl4などが挙げられる。
一般式(4)〜(10)で表される化合物は、いずれも、汎用の方法により得ることができ、市販品がある場合には、それをそのまま用いればよい。
斯くして得られる本発明の化合物は、通常、溶解、抽出、分液、傾斜、濾過、濃縮、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、蒸留、昇華、結晶化などの方法を単独又は組み合わせて、適宜精製を行う。
上記と同様の方法において、所望の置換基を有する中間物を用い、又は適当な官能基を適宜導入することによって、各種化合物を得ることができる。
例えば、一般式(4)において、R1、R2がメチル基、R3、R4が水素、R5が−OCH3基である化合物を用い、一般式(6)において、R8が水素、R9が−CH2CH2CH3基である化合物を用い、一般式(10)において、R10が水素、R11、R12がメチル基である化合物を用いる場合には、
下記一般式(3)
で表される化合物を得ることができる。
(ii)植物からの抽出方法
本願発明の医薬組成物の有効成分となる化合物は、適当な植物から抽出して得ることもできる。植物としては、オトギリ草科(Guttiferae)の植物が例示できる。オトギリ草科の植物では、キャロフィラム(Calophyllum)属のもの、例えば、Calophyllum Brasiliensis又はCalophyllum inophyllumなどが好適であり、特に、Calophyllum Brasiliensisが好適に用いられる。
植物から該化合物を抽出して得る方法は、適宜公知の方法を用いることができ、特に限定されないが、例えば、植物の樹皮などを粉砕し、有機溶媒で抽出する方法などを用いることができる。
具体的には、次のように行うことができる。Calophyllum Brasiliensis又はCalophyllum inophyllumの乾燥した樹皮の粉砕物に、適当な有機溶媒、例えば、アセトン、ヘキサン、メタノール、エタノール等の低級アルコールなどを適宜組み合わせて用いて、室温で抽出した後、低圧下溶媒を蒸発する。更にクロマトグラフィーやろ過、抽出など、適宜分離精製を行って、所望の化合物を得る。
例えば、一般式(3)の化合物は、Calophyllum Brasiliensis(Guttiferae)の植物抽出物を分離精製して得ることができる。
医薬組成物(医薬製剤)の製法
一般式(1)の化合物またはその塩は、薬学的に許容される担体と配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの固形製剤;シロップ剤、注射剤などの液状製剤、貼付剤、軟膏剤、硬膏剤などの経皮吸収剤、吸入剤、坐剤として、適宜製剤化することができる。
本発明の医薬組成物は、経口または非経口投与され、上記化合物を1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用して用いてもよい。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用されている各種有機あるいは無機担体物質を用いることができる。具体的には、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などを配合することができる。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールなどが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。防腐剤の好適な例としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
対象疾患
本発明の抗癌剤は、各種の癌の治療に適用することができる。
癌の種類は、特に限定されないが、例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、絨毛癌、多発性骨髄腫、軟部腫瘍、小細胞肺ガン、慢性骨髄性白血病、甲状腺髄様癌、骨肉腫、頭頸部癌、食道癌、非小細胞肺ガン、大腸癌、胃癌、胆道癌、脳腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌が挙げられる。
本発明の抗癌剤は、特に、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、小細胞肺ガン、に有効である。中でも急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、小細胞肺ガンに好適に用いられる。
本発明の抗癌剤の投与条件及び投与方法は、疾患の種類や患者の状態又は適用部位などに応じて、適宜設定することができる。
具体的には、投与量は、動物の種類や大きさ(または体重)、症状等に応じて適宜調節する。ヒト又はヒト以外の動物に投与する場合には、約0.1−100mg/kg(体重)程度、好ましくは約1.0−10mg/kg(体重)程度、更に好ましくは約1.0−3.0mg/kg(体重)程度の量で投与する。また投与方法も、最適の治療効果が得られるように適宜調節でき、例えば、毎日数回に分けて投与でき、治療中に危険な状態が生じた場合には、その状態に応じて投与量や投与回数を適宜減らすこともできる。
本願発明の抗癌剤は、所望の効果を得るために、単独で投与することもでき、また他の抗癌剤、化学療法剤、抗炎症剤または免疫療法剤などと適宜組み合わせて用いることもできる。
本発明の抗癌剤と組み合わせて用いる他の抗癌剤としては、例えば、代謝拮抗剤、アルキル化薬、白金系抗癌剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗癌性抗生物質、チロシンキナーゼ阻害剤、ヒト化抗体が挙げられる。
以下、実施例、試験例等を挙げて、本発明をより一層具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
化合物の調製
ブラジルで採取されたキャロフィラム ブラジリエンシス(Calophyllum Brasiliensis)を用いて、次のような手順で複数の化合物を得た。まず、Calophyllum Brasiliensis乾燥樹皮(630g)を粉砕した後、アセトン(3L)を用いて3回冷浸抽出を行った。得られたアセトン抽出液を減圧下濃縮し、残渣をアセトン抽出物(19.26g)とした。このアセトン抽出物について、溶出液としてヘキサン−アセトンを用いて、Siゲルカラムクロマトグラフィーを行ったところ、85:15溶出部より、化合物7(GUT−70)(137.8mg)が得られた。溶出液として、ヘキサン−アセトン、アセトン、CH2Cl2−MeOH、及びメタノールを用いて、同様の処理を行った結果、化合物7を含む15種類の化合物が得られた。得られた15の化合物の構造を図1に示す。
なお、化合物7(GUT−70)は、Palmer,C.J.;Josephs,J.L.Tetrahedron Lett.1994,35,5363−5366,and references thereinに基づいて同定した。また、他の化合物の構造についても、公知文献に基づいて同定した。
細胞の調製
ヒト白血病細胞BV173、SUPB15、NALM6、HL60及びSEMをAmerican Type Culture Collectionから得た。また、ヒト小細胞肺癌細胞株SBC−1、SBC−3、SBC−5、N427、N69、LUT−13O、H82、NCI345、LUT134Bを実験に使用した。ヒト白血病細胞株BV173、SUPB15、NALM6、HL60及びSEM、並びにヒト小細胞肺癌細胞株SBC−1、SBC−3、SBC−5、N427、N69、LUT−13O、H82、NCI345、LUT134Bは、非働化した10%FCS(Hyclone)を添加したRPMI−1640培養液(GibcoBRL)中、37℃、5%CO2の湿気中培養下で維持した。SEMは、非働化した10%FCSを添加したIscove培養液(GibcoBRL)中で培養した。P糖蛋白高発現多剤耐性(MDR)K562/D1−9細胞を非働化した10%FCSと0.1μMダウノルビシン(DNR)を添加したRPMI−1640培養液で維持した。
In vitro細胞増殖活性の測定
細胞増殖は、トリパンブルー染色排除方法(trypan blue dye exclusion method)を使用した細胞数のカウントとSF試薬(Nacalai Tesque)を用いた改変MTTアッセイ(modified MTT assay)を使用して決定した。白血病細胞は、平底96ウェルプレート(Greiner labortechnik)で100μl媒体中1ウェルあたり2×104細胞として培養し、種々の濃度の化合物とともに72時間培養した。P糖蛋白高発現細胞におけるGUT−70(化合物7)の効果を調べるために、K562/D1−9細胞を、GUT−70又はDNRについて種々の濃度で72時間、同様の条件で培養した。それぞれ6つのデータの平均値を使用した。MTTアッセイと細胞数の間には直線関係が見られた。
ウェスタンブロット分析
蛋白質試料をSDS/PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜(Amersham Bioscience)上でエレクトロブロットした。膜を、5%ノンファット乾燥ミルクを含有するTBST(25mM Tris・HCl pH7.8,140mM NaCl,0.1%(vol/vol)Tween20)溶液で飽和させ、ウサギポリクローナルp21WAF1/CIPl、p27Kip1、p53抗体(1000分の1に希釈)で一晩インキュベートした。次いでTBSTで完全に洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(Santa Cruz Biotech.)と複合体化したロバ抗ウサギIgGで1時間インキュベートした。検出は、増幅化学蛍光キット(Amersham Biosciences)で実施した。
アポトーシス誘導分析
未処理のNALM6及びGUT−70で12時間及び24時間処理したNALM6細胞について、アポトーシス誘導を調べた。全体の形態を研究するためにMay−Giemsa染色を用い、またアポトーシスを検出するためにターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼアッセイ(terminal deoxynucleotidyl transferase(TUNEL)assay)を用いた。薬物処理した後、5×104細胞をPBS(pH7.3)で洗浄し、同じバッファーで再懸濁した。細胞懸濁液のサイトスピン調製液を固定し、May−Giemsa染色液で染色した。細胞形態は光学顕微鏡で決定した。TUNELアッセイはアポトーシス検出キット(R&D systems,Wiesbaden,Germany)を用いて指示書に従って行った。簡単に説明すると、NALM6細胞を、3.7%ホルムアルデヒド含有PBS中で氷上10分間再懸濁し、PBSで濯いだ。次いで固定した細胞をcytonin中30分間、室温でインキュベートし、標識バッファーで洗浄した。細胞は、ラベリングミックス(dNTPMix、Mn2+、TdT、TdTラベリングバッファー)を25μl用いて37℃で1時間再懸濁し、停止バッファーで反応を停止した。次いで、ストレプトアビジン(streptavidine)を含む溶液25μlを用いて暗室中室温で10分間再懸濁した。細胞をPBSで濯ぎ、2μg/mlプロピジウムヨウ化物(propidium iodide)で30分間対比染色し、フローサイトメトリー(FACScan;Becton Dickinson.NJ)で解析を行った。
正常造血前駆細胞に対するGUT−70の毒性評価
正常造血前駆細胞のGUT−70に対する感受性を、GM−CSF、IL−3、G−SCFを含む標準メチルセルロース培養アッセイ(standard methylcellulose culture assay)によって調べた。正常造血前駆細胞は、インフォームドコンセントで同意を得た健常なボランティアからの骨髄細胞を使用した。GUT−70の濃度を0,20又は50μMとして、該細胞(1×105)を、5%CO2の培養器内で、37℃で12日間、メチルセルロース中で培養した。CFU−GM及びBFU−Eのコロニーの数は顕微鏡で数えた。各グループの試験に対し3つのティッシュを用い、その平均を求めた。
統計分析
統計は、Student’s t testを使用した。0.05より小さいP値は統計的に有意と見なし、two−sided testsから引き出した。
細胞増殖抑制評価
C.Brasiliensisからの15の天然抽出物、すなわち6つのキサントン(Xanthones)(1−6)及び9つの4−フェニルクマリン類(4−phenylcoumarins)(これは、2つの三環型クマリン化合物(7,8)、6つの四環型クマリン(9−14)及び1つのジメチルシクロプロピル(15)を含む)が得られた。化合物8は、以前にCalophyllolide(Spino)又はOblongulide(Dharmaratan)として同定されている化合物である。これらについてMTTアッセイを用いて5つの白血病細胞の抗白血病活性を調べた。BV173細胞の増殖は三環形クマリン構造を含む4−フェニルクマリン化合物(化合物7(GUT−70)及び8)によって抑制された。この増殖抑制作用は、0μMから30μMの範囲の濃度で濃度依存的であった。一方、他の13の化合物は増殖抑制作用を示さなかった。
化合物7と化合物8のどちらもBV173細胞の増殖抑制作用を示したが、プロピル基を有する化合物7(GUT−70)の方が、より顕著な作用を示した(図2)。また、化合物7と化合物8のIC50値(half−maximal inhibitory concentrations)はそれぞれ3μMと9μMであった。更に、化合物7は、その他5種類の白血病細胞株(K562、HL60、SEM、NALM6、SUPB15)についても、濃度依存的及び時間依存的な細胞増殖抑制作用を示した(図3)。又GUT−70は、ヒト小細胞肺癌細胞株SBC−1、SBC−3、LUT134B、H82の増殖を着実に抑制した(IC50値5μM〜8μM、図9)。
上記の結果から明らかなように、ブラジルで採取されたCalophyllum Brasiliensisの茎より抽出された三環形クマリン構造を有する化合物が、白血病細胞及び小細胞肺癌細胞において、顕著な細胞増殖抑制作用を有することが明らかとなった。
化合物7及び8を含む三環形クマリン化合物(I)は濃度依存的に細胞の増殖を抑制した。一方、他の構造の13の化合物は増殖を抑制しなかった。このうち、四環形クマリン化合物は、発癌予防作用を示すものも一部に報告されているが、増殖抑制作用は示さなかった。また化合物7の作用は、化合物8よりも顕著であることが分かった。
これらの知見は、三環形クマリン構造が増殖抑制作用に必須の構造であることを示すものであり、また側鎖のプロピル基が抗白血病作用を増加することを示すものである。プロピル基を側鎖に有する化合物7がより効果的な作用を示すのは、膜に対するより強い親和性を有するためと推測される。この側鎖の重要性について得られた知見は、三環系クマリンを含む4−フェニルクマリン化合物の作用の改善につながることが予測される。
アポトーシス誘導による細胞増殖抑制
次に化合物7(GUT−70)の白血病細胞増殖抑制作用とアポトーシスとの関連を調べた。NALM−6細胞を化合物7の濃度を変えて24時間さらし、アポトーシスの誘導を形態学的手法とフローサイトメトリーで測定した。5μMの濃度の化合物7に24時間さらした後、顕著な細胞のアポトーシスが形態学的に観察された(図4)。化合物7は顕著な数のTUNEL陽性(即ちアポトーシス)細胞を誘導し、G2/M期の細胞の割合を減少させた。プロピウムヨード2重染色を用いたTUNELアッセイにより、化合物7がG1期の細胞に蓄積され、アポトーシス細胞は主にG1/S期付近で現れた(図5)。
上記のように、in vitroで5つの異なるヒト白血病細胞に対し増殖抑制作用を示した化合物7の作用について、幾つかの異なる方法を用いて、細胞のアポトーシスを評価した。その結果、化合物7で処理した白血病細胞は、DNAの開裂を引き起こし、アポトーシスを誘導すること、また、主にG1/S境界でアポトーシスを誘導していることが明らかとなった。
細胞周期関連蛋白に対する化合物7(GUT−70)の影響
NALM6細胞とBV173細胞において、p21WAF1/CIPl、p27Kip1、p53及びp57のタイムコースを調べた。化合物7は、NALM6細胞において、癌抑制遺伝子産物p53及びサイクリン依存性キナーゼインヒビターであるp27及びp57を誘導したが、p21は誘導しなかった。またBV173細胞において、p27及びp57を誘導したが、p21及びp53は誘導しなかった(図6)。また、前述したように、化合物7は、野生型p53を欠損するヒト白血病細胞株HL60にも増殖抑制作用を示した。これらのことから、化合物7は、p53非依存的であること、即ち、化合物7の細胞増殖抑制作用は、p53誘導を介したp21の発現による作用でないことがわかった。
また、全ての細胞において、p27Kip1の発現が増加したが、一方、p53の発現が増加したのは、NALM6のみであった。それゆえ、化合物7の処理後の主なシグナル伝達経路はp53−p21経路ではなく、G1/S移行をブロックするp27の経路であることがわかった。
P糖蛋白高発現細胞K562/D1−9に対する化合物7(GUT−70)の作用
抗癌剤として一般に用いられているダウノルビシン(DNR)は、P糖蛋白が高発現している細胞であるK562/D1−9に対し、P糖蛋白が発現していない親株K562の約75倍の耐性を示した。これに対し、化合物7の感受性は、P糖蛋白が高発現しているK562/D1−9に対しても、P糖蛋白が発現していない親株K562に比べて低下しなかった(図7)。
これらの知見は、化合物7(GUT−70)が、P糖蛋白関連MDRシステムに関与しないことを示すものである。化合物7(GUT−70)は、MDRの誘導を克服する好適な候補成分となるものと思われる。再発患者は、抗癌剤の排出ポンプとなるP糖蛋白を誘導するMDRを有し、多剤耐性を示すことが多く、抗癌剤としての化合物7の臨床試験は、当初再発又は難治性の患者に適用されるものと考えられる。
正常造血前駆細胞に対する化合物7の安全性評価
正常造血前駆細胞を20μMと50μMの化合物7(GUT−70)で処理した結果、CFU−GMコロニーの数は、それぞれコントロールの75%±10%、5%±2%であることが明らかになった。またBFU−Eコロニーの数は、それぞれコントロールの80%±10%、3%±1%であることが明らかになった(図8)。これらの結果から、濃度20μMまで、化合物7(GUT−70)の正常造血前駆細胞に対する増殖抑制作用が極めて低いことが明らかとなった。このことから、化合物7(GUT−70)は、安全域が大きい化合物であることがわかった。
上記の結果に示されるように、本願発明の医薬組成物は、顕著な癌増殖抑制作用を有し、癌治療、特に白血病及び小細胞肺癌の治療に対し、優れた効果を奏し得るものである。
本願発明の抗癌剤は、従来とは異なる作用メカニズムを有し、p53非依存的に癌細胞増殖を抑制する。従って、本願発明は、従来の抗癌剤などでは効果が期待できなかった癌などに対しても有効な効果が期待できる。また、異なるメカニズムを有する薬剤と併用することによって、より広範な種類の癌に対する治療や副作用の軽減などを行うことが可能となる。
更に、本願発明の医薬組成物は、P糖蛋白が誘導された多剤耐性癌細胞に対しても優れた効果を維持する。従って、他の抗癌剤が効かなくなった患者や多剤併用療法を必要とする患者に対しても有効に用いることができる。
しかも、本願発明は、安全域が大きく、臨床での使用に適している。
このように、本願発明は、癌治療において切望されている種々の要件を備えており、それらの疾患の治療に優れた手段を提供するものである。
化合物の調製
ブラジルで採取されたキャロフィラム ブラジリエンシス(Calophyllum Brasiliensis)を用いて、次のような手順で複数の化合物を得た。まず、Calophyllum Brasiliensis乾燥樹皮(630g)を粉砕した後、アセトン(3L)を用いて3回冷浸抽出を行った。得られたアセトン抽出液を減圧下濃縮し、残渣をアセトン抽出物(19.26g)とした。このアセトン抽出物について、溶出液としてヘキサン−アセトンを用いて、Siゲルカラムクロマトグラフィーを行ったところ、85:15溶出部より、化合物7(GUT−70)(137.8mg)が得られた。溶出液として、ヘキサン−アセトン、アセトン、CH2Cl2−MeOH、及びメタノールを用いて、同様の処理を行った結果、化合物7を含む15種類の化合物が得られた。得られた15の化合物の構造を図1に示す。
なお、化合物7(GUT−70)は、Palmer,C.J.;Josephs,J.L.Tetrahedron Lett.1994,35,5363−5366,and references thereinに基づいて同定した。また、他の化合物の構造についても、公知文献に基づいて同定した。
細胞の調製
ヒト白血病細胞BV173、SUPB15、NALM6、HL60及びSEMをAmerican Type Culture Collectionから得た。また、ヒト小細胞肺癌細胞株SBC−1、SBC−3、SBC−5、N427、N69、LUT−13O、H82、NCI345、LUT134Bを実験に使用した。ヒト白血病細胞株BV173、SUPB15、NALM6、HL60及びSEM、並びにヒト小細胞肺癌細胞株SBC−1、SBC−3、SBC−5、N427、N69、LUT−13O、H82、NCI345、LUT134Bは、非働化した10%FCS(Hyclone)を添加したRPMI−1640培養液(GibcoBRL)中、37℃、5%CO2の湿気中培養下で維持した。SEMは、非働化した10%FCSを添加したIscove培養液(GibcoBRL)中で培養した。P糖蛋白高発現多剤耐性(MDR)K562/D1−9細胞を非働化した10%FCSと0.1μMダウノルビシン(DNR)を添加したRPMI−1640培養液で維持した。
In vitro細胞増殖活性の測定
細胞増殖は、トリパンブルー染色排除方法(trypan blue dye exclusion method)を使用した細胞数のカウントとSF試薬(Nacalai Tesque)を用いた改変MTTアッセイ(modified MTT assay)を使用して決定した。白血病細胞は、平底96ウェルプレート(Greiner labortechnik)で100μl媒体中1ウェルあたり2×104細胞として培養し、種々の濃度の化合物とともに72時間培養した。P糖蛋白高発現細胞におけるGUT−70(化合物7)の効果を調べるために、K562/D1−9細胞を、GUT−70又はDNRについて種々の濃度で72時間、同様の条件で培養した。それぞれ6つのデータの平均値を使用した。MTTアッセイと細胞数の間には直線関係が見られた。
ウェスタンブロット分析
蛋白質試料をSDS/PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜(Amersham Bioscience)上でエレクトロブロットした。膜を、5%ノンファット乾燥ミルクを含有するTBST(25mM Tris・HCl pH7.8,140mM NaCl,0.1%(vol/vol)Tween20)溶液で飽和させ、ウサギポリクローナルp21WAF1/CIPl、p27Kip1、p53抗体(1000分の1に希釈)で一晩インキュベートした。次いでTBSTで完全に洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(Santa Cruz Biotech.)と複合体化したロバ抗ウサギIgGで1時間インキュベートした。検出は、増幅化学蛍光キット(Amersham Biosciences)で実施した。
アポトーシス誘導分析
未処理のNALM6及びGUT−70で12時間及び24時間処理したNALM6細胞について、アポトーシス誘導を調べた。全体の形態を研究するためにMay−Giemsa染色を用い、またアポトーシスを検出するためにターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼアッセイ(terminal deoxynucleotidyl transferase(TUNEL)assay)を用いた。薬物処理した後、5×104細胞をPBS(pH7.3)で洗浄し、同じバッファーで再懸濁した。細胞懸濁液のサイトスピン調製液を固定し、May−Giemsa染色液で染色した。細胞形態は光学顕微鏡で決定した。TUNELアッセイはアポトーシス検出キット(R&D systems,Wiesbaden,Germany)を用いて指示書に従って行った。簡単に説明すると、NALM6細胞を、3.7%ホルムアルデヒド含有PBS中で氷上10分間再懸濁し、PBSで濯いだ。次いで固定した細胞をcytonin中30分間、室温でインキュベートし、標識バッファーで洗浄した。細胞は、ラベリングミックス(dNTPMix、Mn2+、TdT、TdTラベリングバッファー)を25μl用いて37℃で1時間再懸濁し、停止バッファーで反応を停止した。次いで、ストレプトアビジン(streptavidine)を含む溶液25μlを用いて暗室中室温で10分間再懸濁した。細胞をPBSで濯ぎ、2μg/mlプロピジウムヨウ化物(propidium iodide)で30分間対比染色し、フローサイトメトリー(FACScan;Becton Dickinson.NJ)で解析を行った。
正常造血前駆細胞に対するGUT−70の毒性評価
正常造血前駆細胞のGUT−70に対する感受性を、GM−CSF、IL−3、G−SCFを含む標準メチルセルロース培養アッセイ(standard methylcellulose culture assay)によって調べた。正常造血前駆細胞は、インフォームドコンセントで同意を得た健常なボランティアからの骨髄細胞を使用した。GUT−70の濃度を0,20又は50μMとして、該細胞(1×105)を、5%CO2の培養器内で、37℃で12日間、メチルセルロース中で培養した。CFU−GM及びBFU−Eのコロニーの数は顕微鏡で数えた。各グループの試験に対し3つのティッシュを用い、その平均を求めた。
統計分析
統計は、Student’s t testを使用した。0.05より小さいP値は統計的に有意と見なし、two−sided testsから引き出した。
細胞増殖抑制評価
C.Brasiliensisからの15の天然抽出物、すなわち6つのキサントン(Xanthones)(1−6)及び9つの4−フェニルクマリン類(4−phenylcoumarins)(これは、2つの三環型クマリン化合物(7,8)、6つの四環型クマリン(9−14)及び1つのジメチルシクロプロピル(15)を含む)が得られた。化合物8は、以前にCalophyllolide(Spino)又はOblongulide(Dharmaratan)として同定されている化合物である。これらについてMTTアッセイを用いて5つの白血病細胞の抗白血病活性を調べた。BV173細胞の増殖は三環形クマリン構造を含む4−フェニルクマリン化合物(化合物7(GUT−70)及び8)によって抑制された。この増殖抑制作用は、0μMから30μMの範囲の濃度で濃度依存的であった。一方、他の13の化合物は増殖抑制作用を示さなかった。
化合物7と化合物8のどちらもBV173細胞の増殖抑制作用を示したが、プロピル基を有する化合物7(GUT−70)の方が、より顕著な作用を示した(図2)。また、化合物7と化合物8のIC50値(half−maximal inhibitory concentrations)はそれぞれ3μMと9μMであった。更に、化合物7は、その他5種類の白血病細胞株(K562、HL60、SEM、NALM6、SUPB15)についても、濃度依存的及び時間依存的な細胞増殖抑制作用を示した(図3)。又GUT−70は、ヒト小細胞肺癌細胞株SBC−1、SBC−3、LUT134B、H82の増殖を着実に抑制した(IC50値5μM〜8μM、図9)。
上記の結果から明らかなように、ブラジルで採取されたCalophyllum Brasiliensisの茎より抽出された三環形クマリン構造を有する化合物が、白血病細胞及び小細胞肺癌細胞において、顕著な細胞増殖抑制作用を有することが明らかとなった。
化合物7及び8を含む三環形クマリン化合物(I)は濃度依存的に細胞の増殖を抑制した。一方、他の構造の13の化合物は増殖を抑制しなかった。このうち、四環形クマリン化合物は、発癌予防作用を示すものも一部に報告されているが、増殖抑制作用は示さなかった。また化合物7の作用は、化合物8よりも顕著であることが分かった。
これらの知見は、三環形クマリン構造が増殖抑制作用に必須の構造であることを示すものであり、また側鎖のプロピル基が抗白血病作用を増加することを示すものである。プロピル基を側鎖に有する化合物7がより効果的な作用を示すのは、膜に対するより強い親和性を有するためと推測される。この側鎖の重要性について得られた知見は、三環系クマリンを含む4−フェニルクマリン化合物の作用の改善につながることが予測される。
アポトーシス誘導による細胞増殖抑制
次に化合物7(GUT−70)の白血病細胞増殖抑制作用とアポトーシスとの関連を調べた。NALM−6細胞を化合物7の濃度を変えて24時間さらし、アポトーシスの誘導を形態学的手法とフローサイトメトリーで測定した。5μMの濃度の化合物7に24時間さらした後、顕著な細胞のアポトーシスが形態学的に観察された(図4)。化合物7は顕著な数のTUNEL陽性(即ちアポトーシス)細胞を誘導し、G2/M期の細胞の割合を減少させた。プロピウムヨード2重染色を用いたTUNELアッセイにより、化合物7がG1期の細胞に蓄積され、アポトーシス細胞は主にG1/S期付近で現れた(図5)。
上記のように、in vitroで5つの異なるヒト白血病細胞に対し増殖抑制作用を示した化合物7の作用について、幾つかの異なる方法を用いて、細胞のアポトーシスを評価した。その結果、化合物7で処理した白血病細胞は、DNAの開裂を引き起こし、アポトーシスを誘導すること、また、主にG1/S境界でアポトーシスを誘導していることが明らかとなった。
細胞周期関連蛋白に対する化合物7(GUT−70)の影響
NALM6細胞とBV173細胞において、p21WAF1/CIPl、p27Kip1、p53及びp57のタイムコースを調べた。化合物7は、NALM6細胞において、癌抑制遺伝子産物p53及びサイクリン依存性キナーゼインヒビターであるp27及びp57を誘導したが、p21は誘導しなかった。またBV173細胞において、p27及びp57を誘導したが、p21及びp53は誘導しなかった(図6)。また、前述したように、化合物7は、野生型p53を欠損するヒト白血病細胞株HL60にも増殖抑制作用を示した。これらのことから、化合物7は、p53非依存的であること、即ち、化合物7の細胞増殖抑制作用は、p53誘導を介したp21の発現による作用でないことがわかった。
また、全ての細胞において、p27Kip1の発現が増加したが、一方、p53の発現が増加したのは、NALM6のみであった。それゆえ、化合物7の処理後の主なシグナル伝達経路はp53−p21経路ではなく、G1/S移行をブロックするp27の経路であることがわかった。
P糖蛋白高発現細胞K562/D1−9に対する化合物7(GUT−70)の作用
抗癌剤として一般に用いられているダウノルビシン(DNR)は、P糖蛋白が高発現している細胞であるK562/D1−9に対し、P糖蛋白が発現していない親株K562の約75倍の耐性を示した。これに対し、化合物7の感受性は、P糖蛋白が高発現しているK562/D1−9に対しても、P糖蛋白が発現していない親株K562に比べて低下しなかった(図7)。
これらの知見は、化合物7(GUT−70)が、P糖蛋白関連MDRシステムに関与しないことを示すものである。化合物7(GUT−70)は、MDRの誘導を克服する好適な候補成分となるものと思われる。再発患者は、抗癌剤の排出ポンプとなるP糖蛋白を誘導するMDRを有し、多剤耐性を示すことが多く、抗癌剤としての化合物7の臨床試験は、当初再発又は難治性の患者に適用されるものと考えられる。
正常造血前駆細胞に対する化合物7の安全性評価
正常造血前駆細胞を20μMと50μMの化合物7(GUT−70)で処理した結果、CFU−GMコロニーの数は、それぞれコントロールの75%±10%、5%±2%であることが明らかになった。またBFU−Eコロニーの数は、それぞれコントロールの80%±10%、3%±1%であることが明らかになった(図8)。これらの結果から、濃度20μMまで、化合物7(GUT−70)の正常造血前駆細胞に対する増殖抑制作用が極めて低いことが明らかとなった。このことから、化合物7(GUT−70)は、安全域が大きい化合物であることがわかった。
上記の結果に示されるように、本願発明の医薬組成物は、顕著な癌増殖抑制作用を有し、癌治療、特に白血病及び小細胞肺癌の治療に対し、優れた効果を奏し得るものである。
本願発明の抗癌剤は、従来とは異なる作用メカニズムを有し、p53非依存的に癌細胞増殖を抑制する。従って、本願発明は、従来の抗癌剤などでは効果が期待できなかった癌などに対しても有効な効果が期待できる。また、異なるメカニズムを有する薬剤と併用することによって、より広範な種類の癌に対する治療や副作用の軽減などを行うことが可能となる。
更に、本願発明の医薬組成物は、P糖蛋白が誘導された多剤耐性癌細胞に対しても優れた効果を維持する。従って、他の抗癌剤が効かなくなった患者や多剤併用療法を必要とする患者に対しても有効に用いることができる。
しかも、本願発明は、安全域が大きく、臨床での使用に適している。
このように、本願発明は、癌治療において切望されている種々の要件を備えており、それらの疾患の治療に優れた手段を提供するものである。
Claims (11)
- 下記一般式(1)
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し、或いは、CR1R2は、C=Oを表し;
R3、R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基又はアシルアミノ基を表し;
R5、R8、R9は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、置換されていてもよいアリールチオ基、アルキルスルホニル基、置換されていてもよいアリールスルホニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換されていてもよいアリールアミノカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、置換されていてもよいアリールアミノスルホニル基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又は置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基を表し;
R6は、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基又は下記一般式(2)
で表される構造を表し;
R7は、O、NH又はNR13を表し;
R10は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し;
R11、R12は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基を表し;
R13は、アルキル基、シクロアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表す)
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする抗癌剤。 - R7が酸素原子である請求項1に記載の抗癌剤。
- R5がメトキシ基である請求項1に記載の抗癌剤。
- R9がアルキル基又は置換されていてもよいアリール基である請求項1に記載の抗癌剤。
- R9がn−プロピル基である請求項1に記載の抗癌剤。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の有効量を投与することを特徴とする癌の治療方法。
- 癌が、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、絨毛癌、多発性骨髄腫、軟部腫瘍、小細胞肺ガン、慢性骨髄性白血病、甲状腺髄様癌、骨肉腫、頭頸部癌、食道癌、非小細胞肺ガン、大腸癌、胃癌、胆道癌、脳腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌からなる群より選択される請求項8に記載の方法。
- 癌が、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、慢性骨髄性白血病、小細胞肺ガンからなる群より選択される請求項9に記載の方法。
- 癌が多剤耐性(MDR)の癌である請求項8に記載の方法。
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