JPWO2004066371A1 - 露光装置 - Google Patents
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Abstract
基板4上でショット領域の周辺部を部分的に重ねた状態で露光するスティチング露光を行う露光装置において、上記周辺部に対応する部分で露光光の照度分布を徐々に減少するように設定する減光部を有する濃度フィルタFとマスクRiとの間にコンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114からなる縮小光学系を備えて構成される。
Description
本発明は、半導体集積回路、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド、その他のマイクロデバイスをリソグラフィ技術を用いて製造する際に使用される露光装置に関する。
マイクロデバイスの製造工程の1つとして通常設けられるフォトリソグラフィー工程では、露光対象としての基板(フォトレジストが塗布された半導体ウエハやガラスプレート)にフォトマスク又はレチクル(以下、これらを総称するときは、マスクという)のパターンの像を投影露光する露光装置が用いられる。近年、半導体集積回路を始めとしたマイクロデバイスの製造一般においては、極めて微細なパターンを設計通りに忠実に形成することが要求されている。
また、近年においては、マイクロデバイスに高機能化が要求されているため大規模化する傾向がある。例えば、半導体集積回路を例に挙げると、1つの半導体集積回路内にCPU(中央処理装置)、RAM(Random Access Memory)等の機能を盛り込んでシステム化することも行われている。このような微細なパターンを有する大規模な半導体集積回路を製造する場合には、基板の被露光領域を複数の区画領域(以下、ショット又はショット領域という場合がある)に分割して、各ショットに対して対応するパターンの像を順次投影露光するようにしたスティチング露光を行うことがある。
かかる露光方法を用いるときには、各ショットの継ぎ目部分に不整合が生じることがあるため、一のショットについてのパターンの像の一部とこれに隣接する他のショットについてのパターンの像の一部を重ね合わせ、且つ各ショットの重合部となる部分の露光量分布をその外側に行くに従って小さくなるように傾斜的に設定して、該重合部の露光量が2回の露光によって全体として、該重合部以外の部分の露光量と等しくなるようにし、重合部における線幅変化を防止するようにしている。このようなスティチング露光を行えば、つなぎ目における位置誤差による線幅誤差が生じず、且つ高スループットで半導体集積回路等のマイクロデバイスを製造することができる。
ところで、近年、特に半導体集積回路は微細化が要求されているが、この要求に答えるためには、フォトリソグラフィー工程において形成することができる線幅自体を微細化するとともに、その線幅を均一化する必要がある。均一な線幅のパターンを形成するためには、マスクを照明する露光光の照度分布の均一化を図ることが必須となる。また、線幅自体の微細化は、露光装置の解像度を向上させることで実現できる。解像度向上のため、露光装置に設けられる光源の短波長化及び投影光学系の高NA(開口数:Numerical Apature)化が図られている。
しかしながら、上述したスティチング露光を行う露光装置では、重合部における傾斜的な露光量分布を得るために、マスク上における重合部に対応する部分で傾斜的な照度分布を形成するための濃度フィルタが設けられる。この濃度フィルタは、マスクとほぼ光学的に共役な位置に配置されるため、濃度フィルタに塵、埃等の異物が付着していると、これらの影響によって必要となる露光量分布が局所的に得られなくなる。よって、最終的に基板上における露光量が局所的に変化する箇所が生じ、この箇所において線幅変化が生ずるといった問題がある。
また、解像度を向上させるために投影光学系の高NA化を図ると、球面収差、歪曲収差、その他の各種収差の影響が大きくなるため、残存収差の影響が低減された投影光学系の設計が困難になるとともに、製造時における調整も困難となり、投影光学系の製造コスト、ひいては露光装置のコストが上昇してしまうという問題が生ずる。
また、近年においては、マイクロデバイスに高機能化が要求されているため大規模化する傾向がある。例えば、半導体集積回路を例に挙げると、1つの半導体集積回路内にCPU(中央処理装置)、RAM(Random Access Memory)等の機能を盛り込んでシステム化することも行われている。このような微細なパターンを有する大規模な半導体集積回路を製造する場合には、基板の被露光領域を複数の区画領域(以下、ショット又はショット領域という場合がある)に分割して、各ショットに対して対応するパターンの像を順次投影露光するようにしたスティチング露光を行うことがある。
かかる露光方法を用いるときには、各ショットの継ぎ目部分に不整合が生じることがあるため、一のショットについてのパターンの像の一部とこれに隣接する他のショットについてのパターンの像の一部を重ね合わせ、且つ各ショットの重合部となる部分の露光量分布をその外側に行くに従って小さくなるように傾斜的に設定して、該重合部の露光量が2回の露光によって全体として、該重合部以外の部分の露光量と等しくなるようにし、重合部における線幅変化を防止するようにしている。このようなスティチング露光を行えば、つなぎ目における位置誤差による線幅誤差が生じず、且つ高スループットで半導体集積回路等のマイクロデバイスを製造することができる。
ところで、近年、特に半導体集積回路は微細化が要求されているが、この要求に答えるためには、フォトリソグラフィー工程において形成することができる線幅自体を微細化するとともに、その線幅を均一化する必要がある。均一な線幅のパターンを形成するためには、マスクを照明する露光光の照度分布の均一化を図ることが必須となる。また、線幅自体の微細化は、露光装置の解像度を向上させることで実現できる。解像度向上のため、露光装置に設けられる光源の短波長化及び投影光学系の高NA(開口数:Numerical Apature)化が図られている。
しかしながら、上述したスティチング露光を行う露光装置では、重合部における傾斜的な露光量分布を得るために、マスク上における重合部に対応する部分で傾斜的な照度分布を形成するための濃度フィルタが設けられる。この濃度フィルタは、マスクとほぼ光学的に共役な位置に配置されるため、濃度フィルタに塵、埃等の異物が付着していると、これらの影響によって必要となる露光量分布が局所的に得られなくなる。よって、最終的に基板上における露光量が局所的に変化する箇所が生じ、この箇所において線幅変化が生ずるといった問題がある。
また、解像度を向上させるために投影光学系の高NA化を図ると、球面収差、歪曲収差、その他の各種収差の影響が大きくなるため、残存収差の影響が低減された投影光学系の設計が困難になるとともに、製造時における調整も困難となり、投影光学系の製造コスト、ひいては露光装置のコストが上昇してしまうという問題が生ずる。
本発明の目的は、濃度フィルタに付着する異物の影響を低減して均一な線幅の微細なパターンを忠実に形成することができ、さらには設計及び組み立てに要する投影光学系の製造コストの上昇を極力抑えることができる露光装置を提供することである。
本発明の第1の観点によると、感応物体上で周辺部が部分的に重なる複数の領域にそれぞれマスクに形成されたパターンを転写するために、露光光の照度分布を前記周辺部に対応する部分で徐々に減少するように設定する減光部を有する濃度フィルタを介して前記各領域を露光する露光装置において、前記濃度フィルタと前記マスクとの間に縮小光学系を配置した露光装置が提供される。
濃度フィルタとマスクとの間に縮小光学系を配置して濃度フィルタを通過した光を縮小してマスクに照射しているため、濃度フィルタに埃、塵等の異物が付着していても、その異物の影響(例えば、マスクを照明する光の照度分布の局所的な変化)を低減することができる。その結果として、感応物体上における照度分布を均一化することができるため、均一な線幅の微細なパターンを忠実に形成することができる(即ち、高い忠実度で微細なパターンを形成することができる)ようになる。
本発明の第1の観点に係る露光装置おいて、前記縮小光学系の縮小倍率を1/1.5〜1/1.6に設定するとよい。縮小光学系の縮小倍率をこの程度に設定すれば、装置の極端な大型化を招くことなく濃度フィルタに付着した異物の影響を低減することができるからである。
本発明の第1の観点に係る露光装置において、前記領域の露光による前記パターンの転写は、前記濃度フィルタ、前記マスク及び前記感応物体を静止させた状態で、一括的に行われるか、あるいは、前記露光光に対して前記濃度フィルタ、前記マスク及び前記感応物体を同期移動させつつ、逐次的に行われる。
濃度フィルタ、マスク、及び感応物体を静止させた状態で、一括的にパターンを転写する場合には、高い重ね合わせ精度を確保することができ、露光光に対して濃度フィルタ、マスク、及び感応物体を同期移動させつつ、逐次的にパターンを転写する場合には、スループットの向上を図ることができる。
本発明の第1の観点に係る露光装置において、前記マスクに形成されているパターンは、複数の領域に分割された複数の部分パターンからなり、当該部分パターンの各々が前記パターンとして前記複数の領域の少なくとも1つに転写されるようにできる。
この場合において、前記濃度フィルタ及び前記縮小光学系を含んで構成された照明光学系を備え、前記マスク上における前記照明光学系の照明領域は、少なくとも前記部分パターンの何れか1つを照明し得る大きさに設定されることが好ましい。この構成とすることで、照明光学系の照明領域が部分パターンの何れか1つを照明し得る程度の大きさで良いため、上記の縮小光学系で縮小された光でマスクを照明する上で都合がよい。なお、マスクと感応物体とを静止させた状態でパターンの転写を行う場合は、前記照明領域が1回の露光動作で感応物体上に転写すべき少なくとも1つの部分パターンの全体を包含する大きさに設定され、マスクと感応物体とを同期移動してパターンの転写を行う場合は、前記照明領域がマスクが移動される走査方向と直交する方向(非走査方向)に関して、1回の露光動作で感応物体上に転写すべき少なくとも1つの部分パターンと同程度以上の大きさに設定されていればよい。
本発明の第1の観点に係る露光装置において、前記マスクに形成されたパターンを前記感応物体上に投影する投影光学系をさらに備え、当該投影光学系の露光領域は、少なくとも前記部分パターンを前記感応物体上に投影し得る大きさ、又は部分パターンの一部を前記感応物体上に投影し得る大きさに設定することができる。
投影光学系の露光領域を、部分パターンを感応物体上に投影し得る程度の大きさ、又は部分パターンの一部を感応物体上に投影し得る程度の大きさに設定することにより、残存収差が極力低減された高NAの投影光学系の設計が容易になるとともに、製造時における調整が容易となり、投影光学系を製造するコストの上昇を抑えることができ、ひいては露光装置のコスト上昇を抑えることができる。
本発明の第1の観点に係る露光装置において、前記パターンを転写すべき領域の前記感応物体上における位置に応じて、前記濃度フィルタの減光部の一部を遮光する遮光部材を備えることができる。
なお、「感応物体上で周辺部が部分的に重なる領域」とは、1つのマスクに形成されたパターンの全てが転写される領域(ショット領域)と、マスクに形成された複数の部分パターンの一部(例えば1つ)が転写される領域(部分ショット領域)とを含む意味である。また、感応物体上で周辺部が部分的に重なる複数の領域に転写すべきパターンが全て同一のマスクに形成されていなくてもよく、異なる複数のマスクに分けて形成されていてもよい。
本発明の第2の観点によると、エネルギービームの強度分布を所定の分布に規定する濃度フィルタ、及び感応物体上に転写すべきパターンが形成されたマスクを介して、該感応物体を該エネルギービームで照射する露光装置において、前記濃度フィルタと前記マスクの間に縮小光学系を配置した露光装置が提供される。
本発明の第2の観点に係る発明によれば、第1の観点のように周辺部が部分的に重なる複数の領域を露光する場合のみならず、エネルギービームを所望の強度分布に設定するために濃度フィルタを用いる場合において、該濃度フィルタに付着した異物の影響を低減して、所望の強度分布でマスクを照明し、ひいては所望のエネルギー分布で感応物体を露光することができるため、均一な線幅の微細なパターンを忠実に形成することができる。
本発明の第1の観点によると、感応物体上で周辺部が部分的に重なる複数の領域にそれぞれマスクに形成されたパターンを転写するために、露光光の照度分布を前記周辺部に対応する部分で徐々に減少するように設定する減光部を有する濃度フィルタを介して前記各領域を露光する露光装置において、前記濃度フィルタと前記マスクとの間に縮小光学系を配置した露光装置が提供される。
濃度フィルタとマスクとの間に縮小光学系を配置して濃度フィルタを通過した光を縮小してマスクに照射しているため、濃度フィルタに埃、塵等の異物が付着していても、その異物の影響(例えば、マスクを照明する光の照度分布の局所的な変化)を低減することができる。その結果として、感応物体上における照度分布を均一化することができるため、均一な線幅の微細なパターンを忠実に形成することができる(即ち、高い忠実度で微細なパターンを形成することができる)ようになる。
本発明の第1の観点に係る露光装置おいて、前記縮小光学系の縮小倍率を1/1.5〜1/1.6に設定するとよい。縮小光学系の縮小倍率をこの程度に設定すれば、装置の極端な大型化を招くことなく濃度フィルタに付着した異物の影響を低減することができるからである。
本発明の第1の観点に係る露光装置において、前記領域の露光による前記パターンの転写は、前記濃度フィルタ、前記マスク及び前記感応物体を静止させた状態で、一括的に行われるか、あるいは、前記露光光に対して前記濃度フィルタ、前記マスク及び前記感応物体を同期移動させつつ、逐次的に行われる。
濃度フィルタ、マスク、及び感応物体を静止させた状態で、一括的にパターンを転写する場合には、高い重ね合わせ精度を確保することができ、露光光に対して濃度フィルタ、マスク、及び感応物体を同期移動させつつ、逐次的にパターンを転写する場合には、スループットの向上を図ることができる。
本発明の第1の観点に係る露光装置において、前記マスクに形成されているパターンは、複数の領域に分割された複数の部分パターンからなり、当該部分パターンの各々が前記パターンとして前記複数の領域の少なくとも1つに転写されるようにできる。
この場合において、前記濃度フィルタ及び前記縮小光学系を含んで構成された照明光学系を備え、前記マスク上における前記照明光学系の照明領域は、少なくとも前記部分パターンの何れか1つを照明し得る大きさに設定されることが好ましい。この構成とすることで、照明光学系の照明領域が部分パターンの何れか1つを照明し得る程度の大きさで良いため、上記の縮小光学系で縮小された光でマスクを照明する上で都合がよい。なお、マスクと感応物体とを静止させた状態でパターンの転写を行う場合は、前記照明領域が1回の露光動作で感応物体上に転写すべき少なくとも1つの部分パターンの全体を包含する大きさに設定され、マスクと感応物体とを同期移動してパターンの転写を行う場合は、前記照明領域がマスクが移動される走査方向と直交する方向(非走査方向)に関して、1回の露光動作で感応物体上に転写すべき少なくとも1つの部分パターンと同程度以上の大きさに設定されていればよい。
本発明の第1の観点に係る露光装置において、前記マスクに形成されたパターンを前記感応物体上に投影する投影光学系をさらに備え、当該投影光学系の露光領域は、少なくとも前記部分パターンを前記感応物体上に投影し得る大きさ、又は部分パターンの一部を前記感応物体上に投影し得る大きさに設定することができる。
投影光学系の露光領域を、部分パターンを感応物体上に投影し得る程度の大きさ、又は部分パターンの一部を感応物体上に投影し得る程度の大きさに設定することにより、残存収差が極力低減された高NAの投影光学系の設計が容易になるとともに、製造時における調整が容易となり、投影光学系を製造するコストの上昇を抑えることができ、ひいては露光装置のコスト上昇を抑えることができる。
本発明の第1の観点に係る露光装置において、前記パターンを転写すべき領域の前記感応物体上における位置に応じて、前記濃度フィルタの減光部の一部を遮光する遮光部材を備えることができる。
なお、「感応物体上で周辺部が部分的に重なる領域」とは、1つのマスクに形成されたパターンの全てが転写される領域(ショット領域)と、マスクに形成された複数の部分パターンの一部(例えば1つ)が転写される領域(部分ショット領域)とを含む意味である。また、感応物体上で周辺部が部分的に重なる複数の領域に転写すべきパターンが全て同一のマスクに形成されていなくてもよく、異なる複数のマスクに分けて形成されていてもよい。
本発明の第2の観点によると、エネルギービームの強度分布を所定の分布に規定する濃度フィルタ、及び感応物体上に転写すべきパターンが形成されたマスクを介して、該感応物体を該エネルギービームで照射する露光装置において、前記濃度フィルタと前記マスクの間に縮小光学系を配置した露光装置が提供される。
本発明の第2の観点に係る発明によれば、第1の観点のように周辺部が部分的に重なる複数の領域を露光する場合のみならず、エネルギービームを所望の強度分布に設定するために濃度フィルタを用いる場合において、該濃度フィルタに付着した異物の影響を低減して、所望の強度分布でマスクを照明し、ひいては所望のエネルギー分布で感応物体を露光することができるため、均一な線幅の微細なパターンを忠実に形成することができる。
図1は本発明の実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図、
図2Aは濃度フィルタの構成の一例を示す上面図、
図2Bは濃度フィルタに形成されるマークの一例を示す図、
図3は本実施形態の露光装置で用いられるレチクルの構成を示す図、
図4Aおよび図4Bは照度分布検出センサの構成を示す図、
図5はレチクルを用いて半導体集積回路等のマイクロデバイスを製造する際の製造工程を説明するための図、
図6はショット領域に最初の部分パターンを転写する様子を示す図、
図7はショット領域に2番目の部分パターンを転写する様子を示す図、
図8はショット領域に3番目の部分パターンを転写する様子を示す図、
図9はレチクルのアライメント機構を示す図である。
発明を実施するための最良の態様
図1は、本発明の実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図であり、この露光装置は、ステップ・アンド・リピート方式のスティチング型投影露光装置である。
なお、以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びZ軸が紙面に対して平行となるよう設定され、Y軸が紙面に対して垂直となる方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
図1において、光源100からの光(ここでは、ArFエキシマレーザとする)としての紫外パルス光IL(以下、露光光ILと称する)は、照明光学系1との間で光路を位置的にマッチングさせるための可動ミラー等を含むビームマッチングユニット(BMU)101を通り、パイプ102を介して光アッテネータとしての可変減光器103に入射する。
主制御系9は感応物体としての基板4上のレジストに対する露光量を制御するため、光源100との間で通信することにより、発光の開始及び停止の制御、発振周波数及びパルスエネルギーで定まる出力の制御を行うとともに、可変減光器103における露光光ILに対する減光率を段階的又は連続的に調整する。
可変減光器103を通った露光光ILは、所定の光軸に沿って配置されるレンズ系104、105よりなるビーム整形光学系を経て、オプチカル・インテグレータ(ホモジナイザー)106に入射する。ここで、本実施形態ではオプティカル・インテグレータ106としてフライアイレンズを用いるので、以下ではフライアイレンズ106とも呼ぶ。また、フライアイレンズ106を用いる代わりに、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)あるいは回折光学素子などを採用してもよい。なお、オプティカル・インテグレータ106は、照度分布均一性をさらに高めるために、光学系を挟んで直列に2段配置してもよい。
フライアイレンズ106の射出面には開口絞り系107が配置されている。開口絞り系107には、通常照明用の円形の開口絞り、複数の偏心した小開口よりなる変形照明用の開口絞り、輪帯照明用の開口絞り等が切り換え自在に配置されている。なお、開口絞り系107の代わりに、光源100(特に可変減光器103)とフライアイレンズ106との間に配置され、照明光学系の瞳面上で露光光ILが分布する領域を異ならせる複数の回折光学素子、及びズームレンズ系などを含む光学ユニット(成形光学系)を用いてもよい。フライアイレンズ106から射出されて開口絞り系107の所定の開口絞りを通過した露光光ILは、透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ108に入射する。ビームスプリッタ108で反射された光は光電検出器よりなるインテグレータセンサ109に入射し、インテグレータセンサ109の検出信号は不図示の通信回線を介して主制御系9に供給される。
ビームスプリッタ108の透過率及び反射率は予め高精度に計測されて、主制御系9内のメモリに記憶されており、主制御系9は、インテグレータセンサ109の検出信号より間接的に投影光学系3に対する露光光ILの入射光量(及び/又は基板4上での露光光ILの光量又は照度)をモニタできるように構成されている。
ビームスプリッタ108を透過した露光光ILは、レチクルブラインド機構110に入射する。レチクルブラインド機構110は、4枚の可動式のブラインド(遮光板)111(A〜D)及びその駆動機構を備えて構成されている。これら4枚のブラインド111をそれぞれ適宜な位置に設定することにより、投影光学系3の視野内に矩形状の照明領域が形成される。また、ブラインド111は後述する濃度フィルタFに形成された減光部の一部を遮光するためにも用いられる。
レチクルブラインド機構110のブラインド111により矩形状に整形された露光光ILは、フィルタステージFS上に載置された濃度フィルタFに入射する。濃度フィルタFは、基本的に図2Aに示されているような構成である。図2Aは、濃度フィルタFの構成の一例を示す上面図である。この濃度フィルタFは、例えば石英ガラス、またはフッ素がドープされた石英ガラスなどのような光透過性の基板上に、クロム等の遮光性材料を蒸着した遮光部121と、該遮光性材料を蒸着しない透光部122と、該遮光性材料をその存在確率を変化させながら蒸着した減光部(減衰部)123とを有している。
透光部122の形状及び減光部123の外形形状は長方形形状に形成されている。これは、以下の理由による。従来の露光装置では、レチクルに形成されたパターンを一括して基板4に設定されたショットに転写するため、透光部はパターンが形成されている領域の外形形状とほぼ相似な形状(略正方形)に設定されていた。これに対し、詳細は後述するが、この露光装置ではショットに転写するパターンを複数に分割した部分パターンが形成されたレチクルRiを用い、これらの部分パターンをショットの一部の領域に順次転写することにより、1つのショットに対してパターンを転写する。以下、1つのショット内において、部分パターンが転写される各領域を部分ショット領域という。このために、透光部122の形状及び減光部123の外形形状はレチクルRiに形成された部分パターンにほぼ相似な短冊形状(長方形形状)に設定されている。
減光部123は、ドット状に遮光性材料を蒸着したもので、ドットサイズは、濃度フィルタFを図1に示した位置に設置している状態で、本例では濃度フィルタFとレチクルRiとの間に配置される複数の光学素子(112〜116)を有する光学系の解像限界以下となるものである。そのドットは、内側(透光部122側)から外側(遮光部121側)に行くに従って傾斜直線的に減光率が高くなるようにその存在確率を増大させて形成されている。但し、そのドットは、内側から外側に行くに従って曲線的に減光率が高くなるようにその存在確率を増大させて形成されていてもよい。
なお、ドット配置方法は、同一透過率部でドットを同一ピッチPで配置するよりも、Pに対して、ガウス分布をもつ乱数Rを各ドット毎に発生させたものを加えたP+Rで配置するのがよい。その理由は、ドット配置によって回折光が発生し、場合によっては照明系の開口数(NA)を超えて感光基板まで光が届かない現象が起き、設計透過率からの誤差が大きくなるためである。
また、ドットサイズは全て同一サイズが望ましい。その理由は、複数種のドットサイズを使用していると、前述の回折による設計透過率からの誤差が発生した場合に、その誤差が複雑、即ち透過率補正が複雑になるからである。ところで、濃度フィルタの描画は、ドット形状誤差を小さくするため高加速EB描画機で描画するのが望ましく、またドット形状は、プロセスによる形状誤差が測定しやすい長方形(正方形)が望ましい。形状誤差がある場合は、その誤差量が計測可能であれば透過率補正がしやすい利点がある。
遮光部121には、複数のアライメント用のマーク124A,124B,124C,124Dが形成されている。これらのマーク124A,124B,124C,124Dは、図2Aに示されているように、濃度フィルタFの遮光部121の一部を除去して、矩形状あるいはその他の形状の開口(光透過部)124A,124B,124C,124Dを形成して、該マークとすることができる。
また、図2Bに示したマークを用いることもできる。図2Bは濃度フィルタFに形成されるマークの一例を示す上面図である。図2Bでは、複数のスリット状の開口からなるスリットマーク125を採用している。このスリットマーク125は、X方向及びY方向の位置を計測するために、Y方向に形成されたスリットをX方向に配列したマーク要素と、X方向に形成されたスリットをY方向に配列したマーク要素とを組み合わせたものである。
濃度フィルタFのZ方向の位置、Z方向のチルト量、及び投影倍率は、マーク124A,124B,124C,124Dの位置情報を計測した結果に基づいて調整される。この計測には、例えば、試料台5に少なくとも一部が設けられ、濃度フィルタFのマークを撮像素子で検出する装置などを用いることができる。この場合、濃度フィルタFを光軸方向に移動して複数Z位置でマーク124A,124B,124C,124D又はマーク125を計測し、信号強度又は信号コントラストが最大となるZ位置を求め、これをベストフォーカス位置とし、このベストフォーカス位置(投影光学系3の物体面または像面と共役な位置)又はこのベストフォーカス位置から一定量デフォーカスした位置に濃度フィルタFを配置する。本例では濃度フィルタFは、そのベストフォーカス位置からある一定量デフォーカスした位置に設置されている。
なお、濃度フィルタに設けるマークの数は4つに限られるものではなく、濃度フィルタの設定精度などに応じて少なくとも1つを設けておけばよい。さらに、本例では照明光学系の光軸と中心がほぼ一致するように濃度フィルタが配置され、その中心(光軸)に関して対称に4つのマークを設けるものとしたが、濃度フィルタに複数のマークを設けるときはその中心に関して点対称とならないようにその複数のマークを配置する、あるいはその複数のマークは点対称に配置し、別に認識パターンを形成することが望ましい。これは、照明光学系内に濃度フィルタを配置してエネルギー分布を計測した後にその濃度フィルタを取り出してその修正を加えて再設定するとき、結果として照明光学系の光学特性(ディストーションなど)を考慮して濃度フィルタの修正が行われているため、その濃度フィルタが回転して再設定されると、その修正が意味をなさなくなるためであり、元の状態で濃度フィルタを再設定可能とするためである。
図2Aに示した濃度フィルタFは、透光部122の周囲(4辺)に減光部123が形成されているが、レチクルRiに形成された部分パターンを転写する際に、減光部123の全体を常時用いている訳ではない。つまり、基板4上における部分パターンを転写すべき部分ショット領域の位置に応じて、遮光部材としてのブラインド111を制御して減光部123の一部を遮光し、又は、減光部123全体を用いている。これは、スティチング露光においては、隣り合うショット(部分ショット領域)の重合部における露光量を一定とするために重合部の露光量を傾斜的に設定しており、隣り合うショット(部分ショット領域)が無い場合には、その部位において傾斜的な露光量分布とする必要がないからである。図2Aに示した短冊形状に設定された透光部122の周囲に減光部123が形成されている濃度フィルタFを用いる場合であって、ブラインド111によって減光部123を遮光するときには、4辺の内の1辺、2辺又は3辺が遮光された状態で部分パターンの転写が行われる。
また、濃度フィルタFとしては、上述のようなガラス基板上にクロム等の遮光性材料で減光部や遮光部を形成したもののみならず、液晶素子等を用いて遮光部や減光部の位置、減光部の減光特性を必要に応じて変更できるようにしたものを用いることもできる。この場合には、ブラインド111の制御が不要になるとともに、製造するマイクロデバイスの仕様上の各種の要請に柔軟に対応することができ、高効率的である。
フィルタステージFSは、保持している濃度フィルタFをXY平面内で回転方向及び並進方向に微動又は移動する。不図示のレーザ干渉計によって、フィルタステージFSのX座標、Y座標、及び回転角が計測され、この計測値、及び主制御系9からの制御情報によってフィルタステージFSの動作が制御される。
濃度フィルタFを通過した露光光ILは、反射ミラー112を介してコンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114に入射する。コンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114は、本発明にいう縮小光学系に相当する光学系であり、縮小倍率が1/1.5〜1/1.6に設定されている。
ここで、コンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114からなる光学系を縮小光学系に設定するのは、前述した濃度フィルタFに付着した塵、埃等の異物の影響を低減するためである。つまり、濃度フィルタFは投影光学系3の物体面または像面(レチクルRiのパターン形成面が配置されている面)と光学的に共役な位置又はこの位置からある一定量デフォーカスした位置に配置されているため、濃度フィルタFに異物が付着していると、レチクルRi上において均一な照明分布が局所的に崩れ、ひいては基板4上における露光量が局所的に変化し、均一な線幅の微細なパターンを形成する上で支障をきたすからである。
また、コンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114の縮小倍率を1/1.5〜1/1.6に設定するのは、濃度フィルタFに付着した異物の影響を低減し得る倍率を確保することは勿論のこと、照明光学系1の大型化(特に、濃度フィルタFとレチクルRiとの間に配置される光学系(112〜116)の大型化)をさほど招かずに必要となる大きさの照明領域をレチクルRi上に形成するためである。
結像用レンズ系114を介した露光光ILは、反射ミラー115及び主コンデンサレンズ系116を介して、レチクルRiの回路パターン領域上でブラインド111の矩形状の開口部と相似な照明領域(レチクルRiに露光光ILが照射される領域)を所定の強度分布で照射する。即ち、ブラインド111の開口部の配置面は、コンデンサレンズ系113、結像用レンズ系114、及び主コンデンサレンズ系116との合成系によってレチクルRiのパターン形成面とほぼ共役となっている。なお、ブラインド111をレチクルRiのパターン形成面との共役面から離して配置する、例えば濃度フィルタFとほぼ共役に配置してもよい。また、本実施形態では、コンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114を縮小系としたが、濃度フィルタFとレチクルRiとの間に配置される全ての光学素子からなる光学系(113,114,116)で本発明の縮小光学系を構成してもよい。さらに、本実施形態では、レチクルRi上に設定される照明領域は、部分パターンの外形形状に応じて短冊形状(長方形形状)に設定され、部分パターンの1つ全体を照明し得る大きさに設定されている。また、本実施形態ではレチクルRi上での照明領域が濃度フィルタFとブラインド111とによって制限されるので、レチクルパターンに応じて濃度フィルタFを、透光部122の大きさや形状などが異なる他の濃度フィルタと交換可能に構成してもよい。
照明光学系1から射出された露光光ILにより、レチクルステージ2に保持されたレチクルRiが照明される。レチクルステージ2には、i番目(i=1〜N)のレチクルRiが保持されている。本実施形態の露光装置で用いられるレチクルRiには、基板4に設定されたショットに転写するパターンを複数の短冊形状(長方形形状)の領域に分割した複数の部分パターンが形成されている。
図3は、この露光装置で用いられるレチクルRiの構成を示す図である。同図において、符号200,201,202を付して示した箇所は、レチクルRiをレチクルステージ2上に支持したときに、レチクルRiが支持される支持面(支持位置)を示している。本実施形態では、レチクルRiのそれぞれ互いに対向する2対の辺のうち、X方向に延びる1対の辺150,151に沿うように、X方向に延びる形状の支持面200,201,202が設定されており、一方の辺150に沿って2つの支持面200,201が配置され、他方の辺151に沿って1つの支持面202が配置されている。このレチクルRiにはX方向に長手方向が設定された短冊形状の複数の部分パターン(図3では、3つの部分パターン161,162,163)がY方向に配列されて形成されている。なお、レチクルRiがレチクルステージ2上に保持されると、レチクルRiはその自重によって撓むが、本例では図3に示した3つの支持面200〜202の配置によって、X方向よりもY方向に沿って大きく撓むことになる。そこで、各部分パターンの転写時にその撓みに起因して生じる基板4上での結像誤差(特にフォーカス誤差)を抑えるために、レチクルRiでは複数の部分パターン161〜163がその配列方向をY方向として形成されている。即ち、複数の部分パターンの配列方向がX、Y方向のうち前述の自重による撓みが大きくなる方向(本例ではY方向)と一致するように、レチクルRiがレチクルステージ2上で保持される。このとき、レチクルRiに形成する部分パターンの数や各部分パターンのY方向の幅は、Y方向に関する、レチクルRiの撓み量やレチクルRi上での形成位置などに応じて設定すればよい。例えば、投影光学系3の結像面と基板4との相対位置関係を調整する装置(後述の結像調整装置)によって、部分パターン毎にその投影領域(露光領域)の全域で投影光学系3の結像面と基板4の表面とを実質的に合致させる(即ち、投影光学系3の焦点深度内に基板4の表面を設定する)ことが可能となる許容値以下に、各部分パターンでの撓み量が抑えられるように、部分パターンの数やその幅を決定すればよい。また、複数の部分パターンはその大きさ(特にY方向の幅)、形状、X方向の位置などが異なっていてもよく、要はレチクルRi上でY方向に関して異なる位置に形成されていればよい。
後述するように、本実施形態では部分パターン161,162,163を基板4の部分ショット領域に転写する際に、スティチング露光により端部が重なるように転写する。このため、部分パターン161,162,163は、基板4のショットに転写するパターンを単純に3等分したものではなく、部分パターン161の端部(周辺部)161bと部分パターン162のこれに対応する端部(周辺部)162aには同一のパターンが形成され、部分パターン162の端部162bと部分パターン163のこれに対応する端部163aには同一のパターンが形成されている。よって、部分パターン161,162,163のY方向の長さをそれぞれY1,Y2,Y3とすると、これらの和は従来のスティチング型投影露光装置で用いられていたレチクルに形成されていた分割していないパターンのY方向の長さよりも長くなる。図中164,165は、レチクルRiの位置合わせのためのレチクルアライメントマーク21B,21Aがそれぞれ形成されるアライメントマーク形成領域である。
再度、図1を参照する。レチクルステージ2の側方に棚状のレチクルライブラリ16bが配置され、このレチクルライブラリ16bはZ方向に順次配列されたN(Nは自然数)個の支持板17bを有し、支持板17bにレチクルR1,…,RNが載置されている。これらレチクルR1,…,RNのパターンはそれぞれ図3に示したように複数の部分パターンを含むものとされている。
レチクルライブラリ16bは、スライド装置18bによってZ方向に移動自在に支持されており、レチクルステージ2とレチクルライブラリ16bとの間に、回転自在でZ方向に所定範囲で移動できるアームを備えたローダ19bが配置されている。主制御系9がスライド装置18bを介してレチクルライブラリ16bのZ方向の位置を調整した後、ローダ19bの動作を制御して、レチクルライブラリ16b中の所望の支持板17bとレチクルステージ2との間で、所望のレチクルR1〜RLを受け渡しできるように構成されている。なお、図1の露光装置では、例えば密閉型カセット(スミフポッドなど)とレチクルライブラリ16bとの間でレチクルR1〜RNを移送する不図示の搬送系も設けられ、ロット内の全てのウエハ、又は所定枚数のウエハの露光に必要な種類(枚数)のレチクルが予め密閉型カセットによって露光装置に搬入されてレチクルライブラリ16bに載置されるようになっている。このため、複数枚のレチクルを用いる必要があるウエハであっても、レチクルの交換時間を短縮してスループットの向上(処理時間の短縮)を図ることが可能である。
レチクルRiの照明領域内のパターンの像は、投影光学系3を介して縮小倍率1/α(αは例えば5、又は4等)で、基板4の表面(即ち、基板4上で露光光ILが照射される、投影光学系3に関して照明領域と共役な露光領域)に投影される。ここで、投影光学系3の露光領域は基板4上に設定された部分ショット領域とほぼ同じ大きさ、つまり部分パターンを基板4上に投影し得る大きさに設定されている。このように本実施形態では、レチクルRiのパターンを複数の部分パターンとし、部分パターンを基板4上に投影し得る大きさに投影光学系3の露光領域を設定している。このように、投影光学系3の露光領域を極力小さく設定することで、残存収差が極力低減された高NAの投影光学系3の設計が容易になるとともに、製造時における調整が容易となり、投影光学系3を製造するコストの上昇を抑えることができ、ひいては露光装置のコスト上昇を抑えることができる。
レチクルステージ2は、保持しているレチクルRiをXY平面内で回転方向及び並進方向に移動する。また、本実施形態では、レチクルRiに形成された複数の部分パターンを順次基板4上に転写する必要があるため、レチクルステージ2は、少なくともY方向にレチクルRiの幅程度の距離だけ移動可能に構成されている。
レチクルステージ2には不図示のレーザ干渉計が設けられており、このレーザ干渉計によって、レチクルステージ2のX座標、Y座標、及び回転角が計測され、この計測値、及び主制御系9からの制御情報によってレチクルステージ2の動作が制御される。レチクルステージ2は、投影光学系3の光軸AX方向に移動可能に構成されるとともに、光軸AXに対する角度を変更可能に構成されている。これにより、レチクルRiのZ方向の位置及び姿勢をそれぞれ調整することができる。これらは、主制御系9からの制御情報によって制御される。
一方、基板(本実施形態ではウエハ)4は真空吸着などによって、例えばピンチャックホルダなどの基板ホルダ(不図示)上に保持され、この基板ホルダは試料台(基板テーブル)5上に固定され、試料台5は不図示の駆動機構を介して基板ステージ6上に設置されている。この駆動機構は、試料台5を、投影光学系3の光軸と平行なZ方向に微動可能かつXY平面に対して傾斜可能とするものであり、本例ではそれぞれ独立に可動な3つのアクチュエータ(ボイスコイルモータまたはEIコアなど)からなる。なお、基板4は3本のピンで構成されるホルダ上に無吸着またはソフト吸着するだけでもよい。
また、投影光学系3の光軸方向(Z方向)に関する基板4の位置を検出する送光系AF1及び受光系AF2を有する斜入射方式の多点焦点位置検出系(以下、フォーカスセンサAFと呼ぶ)が設けられている。このフォーカスセンサAFは、投影光学系3の視野内で部分パターンの縮小像が投影される露光領域(部分ショット領域に対応)内の複数の計測点にそれぞれ光ビームを照射するとともに、基板4で反射された光をそれぞれ独立に受光して、各計測点における基板4のZ方向の位置(本例では、所定の基準面、例えば投影光学系3の像面に対する基板4の表面の位置ずれ量)を検出するものである。このフォーカスセンサAFの計測値は主制御系9に出力され、主制御系9はその計測値に基づいて、前述の駆動機構を介して試料台5を駆動し、基板4のフォーカス位置(光軸AX方向の位置)、及び傾斜角の制御(フォーカス及びレベリング調整)を行う。これにより、投影光学系3の露光領域内で投影光学系3の像面と基板4上の各部分ショット領域の表面とがほぼ合致する、即ち露光領域内で部分ショット領域の全面が投影光学系3の焦点深度内に設定されることになる。なお、本例における基板4上でのパターン像の結像状態を調整する装置(結像調整装置)は、フォーカス及びレベリング調整に用いられるフォーカスセンサAF及び前述の駆動機構だけでなく、投影光学系3の複数の光学素子をそれぞれ独立に駆動するアクチュエータ(ピエゾ素子など)、及び光源100から発振される露光光ILの波長を可変とする波長制御装置(いずれも不図示)なども含み、投影光学系3の設置環境や熱蓄積などに起因して生じる結像誤差をほぼ零または許容値以下にするようになっている。
この試料台5上には位置決め用の基準マーク部材12及び基板4上に照度分布を検出する照度分布検出センサ(いわゆる照度ムラセンサ)126が固定されている。また、基板ステージ6は、ベース7上で例えばリニアモータによりX方向、Y方向に試料台5(基板4)を移動し位置決めする。
また、試料台5の上部には移動鏡8mが固定されており、この移動鏡8mにはレーザ干渉計8が対向して配置されている。なお、図1においては、図示を簡略化しているが、移動鏡8mは、試料台5上においてX方向に延びた移動鏡とY方向に延びた移動鏡とが設けられており、各々の移動鏡に対向してレーザ干渉計が設けられている。なお、前記移動鏡の代わりに、例えば試料台5の端面(側面)を鏡面加工して形成される反射面を用いてもよい。
レーザ干渉計8によって試料台5のX座標、Y座標、及び回転角が計測され、この計測値がステージ制御系10、及び主制御系9に供給されている。ステージ制御系10は、その計測値、及び主制御系9からの制御情報に基づいて、基板ステージ6のリニアモータ等の動作を制御する。さらに、図1においては図示を省略しているが、レチクルステージ2に設けられたレーザ干渉計からの計測結果が主制御系9に供給されており、この計測結果に応じて主制御系9はレチクルステージ2のX座標、Y座標、及び回転角、Z座標、及び光軸AXに対する角度を制御する。
次に、照度分布検出センサ126の詳細について説明する。図4A及び図4Bは照度分布検出センサ126の構成を示す図である。この照度分布検出センサ126は、露光光ILが投影光学系3を介して照明されている状態で基板ステージ6を基板4に水平な面内で移動させることにより露光光ILの空間分布、即ち露光光の強度分布(照度分布)を計測するためのものである。
図4Aに示すように、照度分布検出センサ126は、矩形(本実施形態においては正方形)状の開口(又はピンホール)54を有する遮光板55の下側に光電センサ56を設けて構成され、光電センサ56による検出信号は、主制御系9に出力される。なお、開口54の下側に光電センサ56を設けずに、ライトガイドなどにより光を導いて他の部分で光電センサなどにより受光量を検出するようにしてもよい。
遮光板55は、通常石英等の基板にクロム(Cr)等の金属を蒸着することにより形成されるが、クロム等の金属を蒸着すると、遮光板55上に露光された露光光の反射率が高く露光光の反射量が多い。その結果、遮光板55による反射光が投影光学系やレチクルで反射されることによりフレアが発生する。この照度分布検出センサ126は、基板4が露光されるときの露光光の照度分布を計測するために設けられるものであり、実際の露光時における露光光の照度分布を計測することが最も好ましい。しかし、露光光の照度分布の計測を行う際に、実際の露光時の状況と異なる状況、つまり露光光の反射量が多くなる状況があると、実際の露光時における露光光の照度分布を正確に計測することができない。
そこで、本実施形態においては、露光時における実際の露光光の照度分布になるべく近い計測を行うために、遮光板55上面の反射率を、基板4の反射率とほぼ同程度として反射光による影響を低減している。遮光板55の上面には露光光の波長域において基板4の反射率と同程度の反射率を有する膜が形成されている。この膜を実現するためには、例えば、図4Bに示すように、石英の透明基板57上にクロム58を蒸着し、さらにクロム58上に酸化クロムの薄膜59を形成し、その上に基板4に塗布されるフォトレジストと同じフォトレジスト60を同じ膜厚で塗布してもよい。このような遮光板55上面の反射率は、その表面に形成される膜の材質のみならず、膜厚や構成(積層数、各層厚、各層の材質等)適宜に選択することにより調整することができる。基板4に反射防止膜等が形成されている場合には、そのような条件の全てをも考慮して、該遮光板55上面の反射率を設定する。
かかる照度分布検出センサ126を用いて、遮光板55に形成された開口54を通過してきた露光光を、基板ステージ6を基板4表面に水平な面内で移動させつつ計測することにより、実際の露光時における露光光の照度分布とほぼ同じ照度分布を計測することができる。
また、主制御系9には、磁気ディスク装置等の記憶装置11が接続され、記憶装置11に、露光データファイルが格納されている。露光データファイルには、レチクルR1〜RNの設計情報、レチクルR1〜RNの相互の位置関係、レチクルR1〜RNに形成された部分パターン毎に制御すべきブラインド111に関する情報、アライメント情報、投影光学系3の光学特性を示す情報、及びレチクルRiの撓みに関する情報等が記録されている。
投影光学系3の光学特性を示す情報は、例えば、像面の傾斜及び像面湾曲などの収差等である。この情報は、投影光学系3の設計値から得られる情報又は投影光学系3の光学特性の実測値である。なお、設置環境(温度、気圧など)の変化や露光光ILの照射による投影光学系3での熱蓄積などにより投影光学系3の光学特性は変化する。このため、前述の結像調整装置により投影光学系3に設け、この機構により投影光学系3の光学特性を調整したときには記憶装置11内の露光データファイルに記憶されている投影光学系3の光学特性を示す情報を更新するようにすることが好ましい。また、レチクルRiの撓みに関する情報は、レチクルステージ2でレチクルRiを保持したときの、少なくともY方向に関するレチクル毎の各部分パターンでの撓み量であり、本例ではこの撓み量がシミュレーションなどから得られる計算値である。なお、この撓み量は、例えば前述のフォーカスセンサAFと同じ構成のセンサをレチクル側にも設けることで、部分パターン毎に少なくともY方向に離れた複数点でのZ方向の位置情報を検出して得られる実測値でも構わない。また、複数のレチクルでその構成(部分パターンの大きさや位置など)が実質的に同一であるときは、その複数のレチクルに共通の1組の撓み量を記憶しておくだけでもよい。
本実施形態の露光装置は、1つのレチクルに形成された複数の部分パターンを重ね継ぎ露光しつつ1つのショットを露光し、さらに複数のレチクルを用いてショット間の重ね継ぎ露光を行うものである。ここで、レチクルRiとこの露光装置を用いて半導体集積回路等のマイクロデバイスを製造する方法の概略について説明する。
図5は、レチクルRiを用いて半導体集積回路等のマイクロデバイスを製造する際の製造工程を説明するための図である。図5中に示したウエハW(基板4)が最終的に製造されるマイクロデバイスである。図5において、まず最終的に製造される半導体集積回路のあるレイヤの回路パターン27が設計される。回路パターン27は直交する辺の幅がdX,dYの矩形の領域内に種々のライン・アンド・スペースパターン(又は孤立パターン)等を形成したものである。
次に、回路パターン27をα倍(αは1より大きい整数、又は半整数等であり、一例として4,5,又は6等)して、直交する辺の幅がα・dX,α・dYの矩形の領域よりなる親パターン36を画像データ上で作成し、その親パターン36を縦横にそれぞれα個に分割して、α×α個の親パターンP1,P2,P3,…,PN(N=α2)を画像データ上で作成する。図5では、α=5の場合が示されている。なお、倍率αは半導体集積回路等のマイクロデバイスの製造に用いられる投影露光装置の投影倍率(本例では図1中の投影光学系3の倍率)の逆数である。また、この親パターン36の分割数は縦横で同数としなくてもよいし、必ずしも回路パターン27から親パターン36への倍率αに合致させる必要もない。
その後、それらの親パターンPi(i=1〜N)について、それぞれ電子ビーム描画装置(又はレーザビーム描画装置等も使用できる)用の描画データを生成し、その親パターンPiをそれぞれ等倍でレチクルRi上に転写する。
例えば、1枚目のレチクルR1を製造する際には、石英ガラス等の光透過性の基板上にクロム、又はケイ化モリブデン等のマスク材料の薄膜を形成し、この上に電子線レジストを塗布した後、電子ビーム描画装置を用いてその電子線レジスト上に1番目の親パターンP1の等倍の潜像を描画する。このとき、親パターンP1は複数(ここでは3つ)に分割されて描画される。
分割された部分パターン161,162,163の周辺部(端部)は、隣り合う部分パターン161,162,163及び他の親マスクのパターンとの重ね合わせのため、単純に分割するのではなく、それぞれその重合部の分だけ広めの領域となっていることは上述した通りである。その後、電子線レジストの現像を行ってから、エッチング、及びレジスト剥離等を施すことによって、レチクルR1上のパターン領域20に親パターンP1が形成される。
また、レチクルR1上には、親パターンP1に対して所定の位置関係で2次元マークよりなるアライメントマーク21A,21Bを形成しておく。このアライメントマーク21A,21Bは図3に示したアライメントマーク形成領域164,165内に形成されており、この実施形態では、部分パターン161,162,163各々に対応して形成されている。同様に他のレチクルRiにも、電子ビーム描画装置等を用いてそれぞれ親パターンPi、及びアライメントマーク21A,21Bが形成される。このアライメントマーク21A,21Bは、基板又は濃度フィルタFに対する位置合わせに使用される。
このようにして製造されたN枚のレチクルRiを用い、レチクルRiの親パターンPiの1/α倍の縮小像をフォトレジストが塗布されたウエハW上のショット領域48内において画面継ぎを行いながら転写することにより、各ショット領域48に所定の回路パターン35が形成される。ここで、ウエハWに設定されたショット領域48各々を露光する場合には、レチクルRiに形成された部分パターン161,162,163の一部を重ね合わせつつ露光を行う。また、そのショットに隣接して既に露光が終了しているショットがある場合には、そのショットと部分パターンの1/α倍の縮小像とを一部重ね合わせつつ転写する。
レチクルRiを用いた露光動作の詳細は、以下の通りである。なお、以下の説明では、簡単のために、親パターン36を縦横にそれぞれ2個に分割し、この分割された親パターンがそれぞれ形成される4枚のレチクルを用いて基板4(ウエハW)上の4つのショット領域SH1〜SH4で重ね継ぎ露光を行うものとする。
まず、レチクルライブラリ16bからレチクルR1がローダ19bを介してレチクルステージ2に搬入・保持される。次に、主制御系9はレチクルステージ2を移動させて、露光光ILが照射される位置(照明領域)に部分パターン161を配置し、部分パターン161に対応して形成されているアライメントマーク21A,21Bを用いてアライメントを行う。
なお、このアライメントを行う際には、予め部分パターン161,162,163各々に対応して形成されているアライメントマーク21A,21Bの正確な位置関係を計測しておき、レチクルR1がレチクルステージ2上に載置された時点で基準となるアライメントマーク(例えば、部分パターン162に対応して形成されているアライメントマーク21A,21B)を用いたアライメントが既になされた状態にしておくことが好ましい。かかる状態にすることで、部分パターン161に対応して形成されているアライメントマークを用いてアライメントを行う時間を短縮することができるとともに、高精度にアライメントを行うことができる。
また、レチクルR1のアライメントと並行して濃度フィルタFのアライメントも行われ、さらに露光すべき部分ショット領域の基板4上における位置に応じて、濃度フィルタFの減光部123の一部をブラインド111で遮光する処理も行われる。
以上のアライメント等が終了すると、基板ステージ6のステップ移動によって基板4上の第1番目のショット領域の内、最初に部分パターンが転写される部位が投影光学系3の露光領域(投影領域)に移動される。図6は、1つのショット領域に対して最初に部分パターンを転写する様子を示す図である。なお、図6においては、レチクルR1、投影光学系3、及び基板4の相対的な位置関係及び基板4の上面を模式的に示している。
図6において、符号EAで示した箇所は投影光学系3の露光領域を示しており、符号SH1〜SH4を付した矩形形状の領域は基板4上に設定されたショット領域を表している。なお、ショット領域SH1は1番目のショット領域を表し、ショット領域SH2は2番目のショット領域を表している。また、ショット領域SH1内の符号PH1を付した領域は、最初に部分パターンが転写される部分ショット領域を表している。図6に示したように、レチクルR1のアライメント及び基板ステージ6のステップ移動が完了すると、部分ショット領域PH1が投影光学系3の露光領域EAに位置合わせされ、部分パターン161と部分ショット領域PH1の相対的な位置が合わされる。つまり、レチクルR1に形成された部分パターン161及び基板4に設定された部分ショット領域PH1が投影光学系3の光軸AX上に配置された状態となる。さらに、フォーカスセンサAFを用いてZ方向に関する部分ショット領域PH1の複数点での位置情報を検出し、主制御系9はその検出された位置情報と、露光データファイルから読み出した部分パターン161の撓み情報とに基づき、投影光学系3の結像面と部分ショット領域PH1の表面(近似面)とのZ方向の位置ずれ量と傾斜量とを算出する。そして、この算出結果に基づいて、前述の結像調整装置を介して試料台5を駆動し、露光領域EAの全面で投影光学系3の結像面と部分ショット領域PH1の表面とを実質的に合致させる。これにより、レチクルRiの自重による撓みに起因して生じる結像誤差(フォーカス誤差)の発生を防止できる。
この状態において、コンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114からなる縮小光学系を介して露光光ILを部分パターン161に照射すると、部分パターン161の縮小像が部分ショット領域PH1に転写される。なお、図6においては図示を省略しているが、部分ショット領域PH1の2辺(辺L10、L11)の端部は、その外側に行くにつれて露光量が徐々に減少する光量分布をもって露光されている。
レチクルR1に形成された部分パターン161の縮小像の転写が終了すると、部分パターン161への露光光ILの照射が停止され、主制御系9はレチクルステージ2を移動させて、露光光ILが照射される位置に部分パターン162を配置し、部分パターン162に対応して形成されているアライメントマークを用いてアライメントを行う。このアライメントと並行してブラインド111で濃度フィルタF2のアライメントも行われ、ブラインド111で濃度フィルタFの減光部123を遮光する部位の変更も行われる。さらに、これと並行して、主制御系9は基板ステージ6をステップ移動させて、ショット領域SH1内の次に部分パターンが転写される部分ショット領域を投影光学系3の露光領域(投影領域)に移動させる。
図7は、1つのショット領域に2番目の部分パターンを転写する様子を示す図である。なお、図7においても、レチクルR1、投影光学系3、及び基板4の相対的な位置関係及び基板4の上面を模式的に示している。図7に示したように、基板ステージ6のステップ移動により2番目の部分パターン162が転写される部分ショット領域PH2は、既に露光を終えた部分ショット領域PH1の一部を含んで設定される。これは、部分ショット領域PH1と部分ショット領域PH2との継ぎ目部分の不整合を防止するためである。次に、フォーカスセンサAFから得られる部分ショット領域PH2の位置情報と、露光データファイルから読み出した部分パターン162の撓み情報とを用いて試料台5を駆動し、投影光学系3の結像面と部分ショット領域PH2の表面とを実質的に合致させる。
以上のように基板4の位置を設定し、レチクルR1に形成された部分パターン162と基板4に設定された部分ショット領域PH2とが投影光学系3の光軸AX上に配置された状態でコンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114からなる縮小光学系を介して露光光ILを部分パターン162に照射すると、部分パターン162の縮小像が部分ショット領域PH2に転写される。このとき、図7においては図示を省略しているが、部分ショット領域PH2の3辺(辺L20、L21、L22)の端部は、その外側に行くにつれて露光量が徐々に減少する光量分布をもって露光されている。
レチクルR1に形成された部分パターン162の縮小像の転写が終了すると、次に3番目の部分パターンを転写する工程が行われる。本実施形態では3番目の部分パターンを転写するとショット領域SH1の露光が終了する訳であるが、図6及び図7に示すように、ショット領域SH1に対してショット領域SH2が隣接して配置されており、部分パターンを転写する場合のみならずショット領域間においても重ね合わせ露光する場合を想定しているため、ブラインド111で濃度フィルタFの減光部123を遮光する箇所の変更は行われない。
このため、部分パターン162の転写が終了し、部分パターン162への露光光ILの照射が停止されると、主制御系9はレチクルステージ2を移動させて、露光光ILが照射される位置に部分パターン163を配置し、部分パターン163に対応して形成されているアライメントマークを用いてアライメントを行う。さらに、これと並行して、主制御系9は基板ステージ6をステップ移動させて、ショット領域SH1内の次に部分パターンが転写される部分ショット領域を投影光学系3の露光領域(投影領域)に移動させる。
図8は、1つのショット領域に3番目の部分パターンを転写する様子を示す図である。なお、図8においても、レチクルR1、投影光学系3、及び基板4の相対的な位置関係及び基板4の上面を模式的に示している。3番目の部分パターンを転写する場合も、図8に示したように、基板ステージ6のステップ移動により3番目の部分パターン162が転写される部分ショット領域PH3が、既に露光を終えた部分ショット領域PH2の一部を含んで設定される。次に、フォーカスセンサAFから得られる部分ショット領域PH3の位置情報と、露光データファイルから読み出した部分パターン163の撓み情報とを用いて試料台5を駆動し、投影光学系3の結像面と部分ショット領域PH3の表面とを実質的に合致させる。
以上のように基板4の位置を設定し、レチクルR1に形成された部分パターン163と基板4に設定された部分ショット領域PH3とが投影光学系3の光軸AX上に配置された状態で、露光光ILを部分パターン163に照射すると、部分パターン163の縮小像が部分ショット領域PH3に転写される。図8においては図示を省略しているが、部分パターン163を転写するときには、部分ショット領域PH3の3辺(辺L30、L31、L32)の端部は、その外側に行くにつれて露光量が徐々に減少する光量分布をもって露光されている。なお、図6〜図8では説明を分かり易くするために基板4上でショット領域SH1〜SH4を誇張して示している。
以上により、1つのショット領域SH1の露光が終了する。他のショットSH2〜SH4を露光するときには、レチクルステージ2上のレチクルを交換し、隣接するショット領域の有無及び部分パターン161,162,163の何れを転写するかに応じてブラインド111により遮光する濃度フィルタFの減光部123の箇所を変更しつつ、ステップ・アンド・リピート方式で部分パターン161,162,163の縮小像を対応する部分ショット領域に転写する。
さて、このようにレチクルR1〜RNの縮小像を基板4上に投影露光する際には、隣接する縮小像間の画面継ぎ(つなぎ合わせ)を高精度に行う必要がある。特に、本実施形態では、パターンを複数に分割した部分パターンをレチクルR1〜RN各々に形成し、各々の部分パターンを基板4上の部分ショット領域に順次転写するようにしているため、各レチクルRi(i=1〜N)と、基板4上の対応するショット領域とのアライメントを高精度に行う必要がある。このアライメントのために、本実施形態の投影露光装置にはレチクル及び基板用のアライメント機構が備えられている。
図9は、レチクルのアライメント機構を示し、この図9において、試料台5上で基板4の近傍に基準マーク部材12が固定され、基準マーク部材12上にX方向に所定間隔で例えば十字型の1対の基準マーク13A,13Bが形成されている。レチクルRiのアライメント時には、図1の基板ステージ6を駆動することによって、図9に示すように、基準マーク部材12上の基準マーク13A,13Bの中心がほぼ投影光学系3の光軸AXに合致するように、基準マーク13A,13Bが位置決めされる。
また、レチクルRiのパターン面(下面)のパターン領域20をX方向に挟むように、一例として十字型の2つのアライメントマーク21A,21Bが形成されている。なお、本実施形態では、図9に示すようにパターン領域20が複数に分割されており、各々のパターン領域に対応してアライメントマーク21A,21Bが設けられており、図9では、部分パターン162が形成されているパターン領域20に対応して設けられているアライメントマーク21A,21Bを用いてアライメントを行う様子を図示している。
基準マーク13A,13Bの間隔は、アライメントマーク21A,21Bの投影光学系3による縮小像の間隔とほぼ等しく設定されており、上記のように基準マーク13A,13Bの中心をほぼ光軸AXに合致させた状態で、アライメントセンサ14A,14Bはそれぞれミラー22A,22Bを介して露光光ILとほぼ同一波長の照明光(本例では、照明光学系1の途中で分岐(又は光路変更)された露光光IL)でレチクルRiのアライメントマーク21A,21Bと基準マーク13A,13Bとを照明する。
このアライメントセンサ14A,14BはTTR(スルー・ザ・レチクル)方式で、それぞれ照明系と、結像系と、CCDカメラ等の2次元の撮像素子とを備え、その撮像素子がアライメントマーク21A,21B、及び対応する基準マーク13A,13Bの像を撮像する画像処理方式であり、その撮像信号が図1のアライメント信号処理系15に供給されている。
アライメント信号処理系15は、その撮像信号を画像処理して、基準マーク13A,13Bとアライメントマーク21A,21BとのX方向、Y方向、及び回転方向の位置ずれ量を求め、これら位置ずれ量を主制御系9に供給する。主制御系9は、これら位置ずれ量が零または所定範囲内に収まるようにレチクルステージ2の位置決めを行う。これによって、基準マーク13A,13Bに対して、アライメントマーク21A,21B、ひいてはレチクルRiのパターン領域20の1つに形成された部分パターン162が位置決めされる。
言い換えると、レチクルRiの部分パターン162の投影光学系3による縮小像の中心(露光中心)は、実質的に基準マーク13A,13Bの中心(ほぼ光軸AX)に位置決めされ、部分パターン162の輪郭(部分パターン162が形成されているパターン領域20の輪郭)の直交する辺はそれぞれX軸、及びY軸に平行に設定される。この状態で図1の主制御系9は、レーザ干渉計8によって計測される試料台5のX方向、Y方向の座標(XF0,YF0)を記憶することで、レチクルRiのアライメントが終了する。このとき、不図示のレーザ干渉計から得られるレチクルRiの座標を部分パターン162に対応付けて記憶しておく。この後は、親パターンPiの露光中心に、試料台5上の任意の点を移動することができる。なお、部分パターン161,163についても、各々に対応して形成されているアライメントマーク21A,21Bを用いて同様にアライメントが行われる。なお、本実施形態では部分パターン毎にレチクルアライメントを行うものとしたが、例えば1つの部分パターンのみでそれに対応するアライメントマークを用いてレチクルアライメントを行い、残りの部分パターンではその1つの部分パターンとの距離(設計値、あるいはアライメントマーク21A,21Bを検出して得られる実測値など)に応じてレチクルステージ2を移動させるだけでもよい。また、レチクルRiを最初にレチクルステージ2に載置するときのみ、部分パターン毎にレチクルアライメントを行うとともに、レチクルRi上の全てのアライメントマークの相対位置関係を求めて記憶しておくようにし、レチクルRiを2回目以降にレチクルステージ2に載置するときは、レチクルRi上のアライメントマークの一部のみ(例えば、1つ又は2つ)でレチクルアライメントを行い、この結果(マーク座標)と先に記憶した相対位置関係とを用いてレチクルステージ2を移動させてもよい。この場合、レチクルアライメントの時間短縮を図ることができる。さらに、本実施形態ではレチクルRiのアライメント時にレチクルステージ2を駆動するものとしたが、レチクルステージ2を駆動することなく前述の位置ずれ量とレチクルステージ2及び基板ステージ6(試料台5)の座標とを記憶しておくだけでもよい。
また、図1に示されているように、投影光学系3の側部には、基板4上のマークの位置検出を行うために、オフ・アクシス方式で、画像処理方式のアライメントセンサ23が備えられている。アライメントセンサ23は、フォトレジストに対して非感光性で広帯域の照明光で被検マークを照明し、被検マークの像をCCDカメラ等の2次元の撮像素子で撮像し、撮像信号をアライメント信号処理系15に供給する。なお、アライメントセンサ23の検出中心とレチクルRiのパターンの投影像の中心(露光中心)との間隔(ベースライン量)は、基準マーク部材12上の所定の基準マークを用いて予め求められて、主制御系9内に記憶されている。
さて、基板4上の第1層(ファーストレイア)にレチクルRiの各部分パターンを転写するときは、前述のレチクルアライメント時に記憶した部分パターン毎のレチクルRiの座標に基づき、レチクルステージ2を駆動してレチクルR1の部分パターン161の位置決めを行う。これにより、部分パターン161はその中心が投影光学系3の光軸AXとほぼ一致し、かつその直交する2辺がそれぞれX軸、Y軸と平行に設定される、即ち部分パターン161が濃度フィルタFとブラインド111とによって規定されるレチクルR1上の照明領域と正確に位置合わせされる。また、基板4上で画面継ぎが行われる複数(本例では4個)のショット領域SH1〜SH4を1つと見做した拡大ショット領域内での、レチクルR1の部分パターン161が転写される部分パターン領域PH1の位置に応じてブラインド111を駆動し、濃度フィルタFの減光部123の一部を遮光する。
さらに、主制御系9は露光データファイルから読み出した、基板4上に設定される複数のショット領域の配列情報(ショットマップデータ)に基づき、基板ステージ6を駆動して基板4の位置決めを行った後、部分パターン161を基板4上に転写する。以下、レチクルステージ2と基板ステージ6とをそれぞれステッピングさせながら、レチクルR1の部分パターン162,163をそれぞれ基板4上に転写する。これにより、3つの部分パターン161〜163が画面継ぎにて基板4上の1番目のショット領域SH1に形成され、このショット領域SH1のスティッチング露光が終了する。このとき、部分パターン162の転写に先立ち、ブラインド111を駆動して濃度フィルタFの減光部123のうち遮光すべき領域を変更する。また、部分パターン162と163とでは減光部123のうち遮光すべき領域が同一であるので、ブラインド111の駆動は行われない。
なお、ショット領域SH1の露光終了後、レチクル交換を行ってレチクルステージ2上に別のレチクルを載置し、ショット領域SH1と全く同様の動作で、前述の拡大ショット領域内で別のショット領域をスティッチング露光してもよいし、レチクル交換を行わずにレチクルR1をそのまま用いて、基板4上で別の拡大ショット領域内のショット領域をスティッチング露光してもよい。特に後者では、レチクルR1の部分パターン161からその転写を開始してもよいが、ショット領域SH1の露光終了時点で部分パターン163が照明領域に位置決めされているので、ショット領域SH1とは逆の順番で、部分パターン163からその転写を開始してもよい。但し、レチクルステージ2を駆動して部分パターン161の照明領域への位置決めが完了するまでの時間が、基板ステージ6を駆動して次のショット領域(部分ショット領域)の露光領域への位置決めが完了するまでの時間と同等以下であれば、部分パターン161からその転写を開始しても構わない。
また、レチクルRiの各部分パターンを基板4上の第1層に転写する前に、例えば図9に示す十字型の2つのアライメントマーク24A,24Bが既に基板4上に形成されているときは、アライメントセンサ23を用いてアライメントマーク24A,24Bを検出して得られる各マークの座標と、前述のベースライン量及びショットマップデータに基づいて、基板ステージ6を駆動して基板4の位置決めを行うようにしてもよい。
さらに、基板4上に既に形成されたパターンにレチクルRiのパターンを重ね合わせて転写するときは、前述の部分ショット領域、ショット領域、及び拡大ショット領域のいずれか1つを基本ショットとし、アライメントセンサ23を用いて基板4上で少なくとも3つの基本ショットにそれぞれ付設されるアライメントマークを検出して得られる座標を統計演算することで、基板4上で重ね合わせ露光すべき全ての基本ショットの座標を算出する。そして、この算出した座標に基づいて基板ステージ6の移動を制御しながら、レチクルRi毎にその各部分パターンを基板4上に転写する。このとき、レチクルステージ2は前述した第1層へのパターン転写時と同様にその移動が制御される。これにより、レチクルRi毎にその各部分パターンを基板4上の対応するパターンに正確に重ね合わせつつショット領域毎にスティッチング露光を行うことができる。
以上レチクルRiと基板4との位置合わせについて説明したが、レチクルRiと濃度フィルタFの相対的な位置合わせもマーク124A,124B,124C,124Dやスリットマーク125の位置情報を計測した結果に基づいて行われる。また、基板ステージ6の特性上、ヨーイング誤差等の誤差によって基板4に微小な回転を生じることがあり、このためレチクルRiと基板4の相対姿勢に微小なズレを生じる。このような誤差は、予め計測され、あるいは実処理中に計測され、これが相殺されるように、レチクルステージ2又は基板ステージ6が制御されて、レチクルRiと基板4の姿勢が整合するように補正されるようになっている。なお、レチクルRiの各部分パターンと基板4上の部分ショット領域とのアライメントによって、レチクルステージ2の所定位置からの変位量(回転量も含む)が許容値を超えるときは、レチクルステージ2の変位量を許容値以下に抑えつつ、レチクルステージ2に加えて基板ステージ6及び/又は試料台5を微動させる、あるいはレチクルステージ2の変位量に応じて濃度フィルタFを微動させるようにしてもよい。これにより、レチクルRiの各部分パターンと前述の照明領域とのアライメント誤差を常に小さく抑えることができ、基板4上の各ショット領域内での露光量分布をほぼ均一にすることが可能となる。また、本実施形態ではレチクルステージ2を回転させる代わりに、あるいはそれと組み合わせて、試料台5を微小回転させてもよい。
このようにして、図1のN個のレチクルR1〜RNの親パターンP1〜PN(部分パターン)の縮小像を重ね継ぎを行いながら順次基板4上の対応するショット領域(部分ショット領域)に露光転写することで、各親パターンP1〜PNの縮小像は、それぞれ隣接する親パターンの縮小像と画面継ぎを行いながら露光転写されたことになる。これによって、基板4上に図1の親パターン36を1/α倍で縮小した投影像が露光転写される。
その後、基板4上のフォトレジストを現像して、エッチング、及び残っているレジストパターンの剥離等を施すことによって、基板4上の投影像は、図5に示すような回路パターン35となり、半導体集積回路のあるレイヤの形成が終了する。以下、他のレイヤについても以上説明した露光動作を繰り返し行うことにより、最終的にマイクロデバイスとしての半導体集積回路が製造される。
上述した実施形態においては、複数の部分パターン161,162,163が形成されたレチクルRiを用いて、各部分パターン161,162,163を対応する部分ショット領域に転写する場合について説明した。しかしながら、本発明は、複数の部分パターンが形成されたレチクルRiを用いる場合に制限される訳ではなく、分割されていないパターンが形成されているレチクル、即ち従来から一般的に用いられているレチクルを用いる場合にも適用することができる。
このレチクルを用いる場合には、パターンの全体を照明し得る照明領域を確保するために、濃度フィルタF及びレチクルブラインド機構110の大型化を図るとともに、レチクルブラインド機構110に入射する露光光ILの断面形状も拡大させる必要がある。例えば、コンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114からなる光学系の縮小倍率をβとすると、照明光学系1の照明領域をX方向にMx倍、Y方向にMy倍だけ拡大させるためには、濃度フィルタFを透過した直後の露光光ILのX方向の断面形状をMx/β倍し、Y方向の断面形状をMy/β倍する必要がある。
また、上記実施形態では、レチクルRiに形成された部分パターンを基板4上に投影し得る大きさに投影光学系3の露光領域が設定されていたが、分割されていないパターンが形成されているレチクルを用いる場合には、投影光学系3の露光領域をレチクルに形成されたパターンの全体を基板4上に投影し得る大きさに設定する必要もある。
以上の変更を加えた露光装置を用いて露光する場合には、レチクルに形成されているパターンの全体が基板4上の1つのショット領域に一括して転写される。この場合において、ショット領域の周辺部が他のショット領域の周辺部と重なるように配置されており、ショット間の周辺部が重なった状態でスティチング露光が行われる。
上述した実施形態における投影露光装置は、各部分ショット領域(又は各ショット領域)について一括露光を順次繰り返すようにした一括露光型であるが、各部分ショット領域(又は各ショット領域)について走査露光を順次繰り返すようにした走査露光型にも適用することができる。この場合においては、濃度フィルタFがXY面内で移動可能に構成され、細長い矩形状のスリット(開口)を有する図示しない固定スリット板(固定ブラインド)を濃度フィルタFと反射ミラー112との間の光路上に配置して照明光学系1の照明領域がスリット状に設定される。かかる構成とすることで照明光学系1の照明領域はレチクルRiに形成された部分パターンの一部又はレチクルに形成されたパターンの一部を照明し得る状態に設定される。このとき、照明領域はその大きさが走査露光時にレチクルが移動される走査方向に関して部分パターン又はパターンよりも小さく設定され、かつ走査方向と直交する方向(非走査方向)に関して部分パターン又はパターンと同程度以上に設定される。
また、投影光学系3の露光領域は、照明領域内の部分パターンの一部又はレチクルに形成されたパターンの一部を基板4に投影し得る大きさに設定される。つまり、投影光学系3はその投影視野(イメージフィールド)の大きさが物体面側で照明領域を包含し、かつ像面側で露光領域を包含するように設定される。
以上の変更を加えた露光装置を用いて露光する場合には、スリット状に整形された露光光ILがレチクルRiに形成された部分パターンの一部又はレチクルに形成されたパターンの一部を照明している状態で、露光光ILに対してレチクルと基板4とを同期移動させる、即ち照明領域に対してレチクルを相対移動するのに同期して露光領域に対してウエハを相対移動しつつ逐次的に部分パターンを部分ショット領域に転写し、又は、パターンをショット領域に転写する。このときに、レチクル及び基板4の移動に同期して濃度フィルタFを露光光ILに対して相対的に移動させ、例えば露光光ILがショット領域の周辺部を照射するときに濃度フィルタFの減光部123が露光光ILを減光するように制御する。
また、各部分ショット領域を走査露光する場合、レチクルRiと基板4とをそれぞれ部分パターン又は部分ショット領域の配列方向(短手方向となるY方向)に移動してもよいし、あるいはレチクルRiと基板4とをそれぞれその配列方向と直交する方向(部分パターン又は部分ショット領域の長手方向となるX方向)に移動してもよい。特に後者では、各部分ショット領域の走査露光間でレチクルRiと基板4とをそれぞれX方向にステッピングさせることになるが、前者の走査露光方式に比べて、投影光学系3の視野(イメージフィールド)が小さくて済み、投影光学系3の製造コストを大幅に低減することができる。
以上のように、本発明は一括露光型の投影露光装置及び走査露光型の投影露光装置の何れにも適用することができるが、高い重ね合わせ精度が要求される場合には一括露光型の投影露光装置を採用し、重ね合わせ精度よりもスループット、即ち単位時間当たりの基板の処理量の向上が優先される場合には走査露光型の投影露光装置を採用することが好ましい。
さらに、上記実施形態においては、基板4上に設定されたショット領域又は部分ショット領域の周辺部の露光量を傾斜的な露光量分布とするために濃度フィルタFを用いていた。しかしながら、これ以外に、例えばレチクルRに照射される露光光ILの照度分布を所望の分布(例えば、均一な照度分布)にするために濃度フィルタを用いる場合にも本発明を適用することが可能である。つまるところ、本発明は、レチクルの露光光ILの入射側の光路上に濃度フィルタが配置される全ての構成について適用することができる。
なお、上記実施形態で既に説明しているように、レチクルRiをレチクルステージ2上に配置したときに、レチクルに撓みが生ずる場合がある。レチクルRiの撓みがあると、レチクルRiのパターン形成面が投影光学系3の像面と一致しないため、この像面に対するパターンのずれ量が投影光学系3の像面側においてフォーカス誤差として現れることになる。上記の露光装置において、レチクルRiの撓みに起因して生ずる投影光学系3の像面側のフォーカス誤差を補正するためには、レチクルRiの撓み量に応じて基板4のZ方向の位置及び姿勢(光軸AXに対する基板4表面の傾き)を補正すればよい。
例えば、レチクルRiが図3に示した支持面200,201,202で保持される場合には、Y方向に沿ってレチクルRiの撓みが生ずる。この撓みが生ずると、レチクルRiの中央部に形成された部分パターン162の撓み量は小さいが、レチクルRiの周辺部に近い位置に形成された部分パターン161,163は投影光学系3の像面に対して傾斜した状態に配置されることになる。よって、部分パターン162を転写する場合には基板4のZ方向の位置を調整し、部分パターン161,163を転写する場合には基板4のZ方向の位置を調整するとともに、基板4の姿勢を制御してレチクルRiの撓みに起因して生ずるデフォーカス誤差を補正することが好ましい。
なお、このデフォーカス誤差を補正する場合には、レチクルRiのZ方向の位置及び姿勢を制御することにより補正してもよい。このときには、投影光学系3の縮小倍率を1/4とすると、その補正量は、基板4のZ方向の位置及び姿勢を制御して補正する場合の16倍となる。さらに、例えば投影光学系3の少なくとも1つの光学素子を移動する、あるいは光源100から射出される露光光ILの波長を変化させることなどにより、投影光学系3の光学特性(結像特性)を調整することで、投影光学系3の露光領域内でその像面の少なくとも一部を移動して前述のフォーカス誤差を補正してもよい。従って、上記実施形態ではフォーカス誤差を補正するために、基板4の移動、レチクルRiの移動、及び投影光学系3の光学特性の調整の少なくとも1つを行えばよい。
また、レチクルRiの撓みに応じたデフォーカス量を補正するときには、予め測定したレチクルステージ2上のレチクルR1〜RNの撓み量を記憶装置11内の露光データファイルに記憶させて、レチクルステージ2上に配置されたレチクルRiに応じた撓み量を読み出して、その撓み量を補正するようにしてもよく、あるいは、レチクルステージ2上に保持されたレチクルRiの撓み量を実測する測定装置(例えば、前述のフォーカスセンサAFと同じ構成の光学センサなど)を設け、この測定結果に応じてレチクルRiの撓みに起因して生ずるフォーカス誤差を補正するようにしてもよい。
なお、さらに線幅の均一性を向上させるためには、フォーカス制御の誤差をさらに低減させればよい。このためには、基板4のオートフォーカス(レベリングを含む)を実現するためのオートフォーカス機構(フォーカスセンサAF、試料台5を駆動するアクチュエータなどを含む)の精度自体を向上させるとともに、露光光ILを低照度化して露光時間を長くすることにより、高精度なオートフォーカスを実現しつつ部分パターンを転写すればよい。
上述した実施形態において、投影光学系3の像面の傾斜及び像面湾曲が生じていたり、基板4の表面が平坦でないときには、主制御系9は記憶装置11に記憶されている投影光学系3の光学特性又は基板4の平坦性に関する情報を読み出して、これらを補正するための補正値を前述したフォーカス誤差の補正値に加えて補正すればよい。
なお、レチクルRiの親パターンは複数のパターンから構成されることが多いので、親パターンをそのパターン単位で分割してそれぞれ部分パターンを形成することで、基板4上の各ショット領域内で部分ショット領域の継ぎ目をなくすようにしてもよい。従って、レチクルRi上の各部分パターン又はその形成領域は長方形でなくてもよい、例えばその一部が凸凹を持っていてもよい。
また、特に半導体集積回路の製造に用いられるレチクルでは、同一構成の回路パターンが複数形成されることがあるので、例えば複数の回路パターンを回路パターン単位で分けて前述の部分パターンとしてもよい。このとき、各部分パターンに含まれる回路パターンは1つずつ、又は同数でなくてもよく、複数個ずつ、又は異なる個数でもよい。さらに、上記実施形態では複数の部分パターンの配列方向(図3では部分パターンの短手方向に対応するY方向)に関する各部分パターン又はその形成領域の幅が等しいものとしたが、例えば親パターンの構成などによってはその幅を異ならせて複数の部分パターンを形成してもよい。即ち、上記実施形態ではレチクルRiをレチクルステージ2に載置したとき、X及びY方向のうち、レチクルRiの撓み量が大きい方向(本例ではY方向)に関して、レチクルRiに形成すべきパターンを複数の部分パターンに分ければよく、各部分パターン又はその形成領域の形状や大きさ(幅)などは任意で構わない。
またさらに、上記実施形態では、図3に示したように、レチクルRiの対向する2対の辺の内、Y方向に延びる1対の辺150,151に沿うように、Y方向に延びる形状の支持面(支持位置)200,201,202が設定されており、レチクルRiのY方向における撓み量が大きい場合を例にした。従って、図3に示したように、パターン(親パターン)を分割してX方向に延びる部分パターン160,161,162とし、これらをY方向に配列したものをレチクルR1〜RNに形成していた。しかし、部分パターンの形状及び配列方法は、これに限定されず、レチクルRiの撓み方に応じて、任意に設定することができる。例えば、レチクルRiのY方向の撓みのみならず、X方向の撓みも考慮するのであれば、さらにパターン(親パターン)をX方向に分割して、この部分パターンを格子状に配列するようにしてもよい。但し、余り分割数を多くすると制御が複雑となる上に、スループットが低下するため、分割数はスループットと基板4に形成されるパターンの精度とを考慮して設定することが好ましい。なお、上記実施形態ではレチクルRiの各部分パターンは、1つのパターンを複数に分割して得られる分割パターンであるものとしたが、互いに異なる複数のパターンを同一のレチクルRiに形成してもよい。
また、上記実施形態においては、レチクルRiに形成された部分パターン161,162,163の縮小像を対応する部分ショット領域PH1,PH2,PH3のそれぞれに転写する際に、レチクルRiをY方向に移動させてレチクルRiの照明領域に配置される部分パターンを切り替えるようにしていたが、レチクルRiは移動させずに照明領域を移動させることにより、照明領域に配置される部分パターンを切り替えるようにしてもよい。この時には、レチクルブラインド機構110の4枚のブラインド111各々を制御するとともに、部分パターン161,162,163の位置に応じて濃度フィルタFを移動させるようにすればよい。
さらに、前述の実施形態では微小開口54を有する照度分布検出センサ126を用いて露光光ILの強度分布を検出するものとしたが、例えばラインセンサ、あるいは一次元または二次元のCCDなどを用いて露光光ILを検出して強度分布の計測時間の短縮を図るようにしてもよい。なお、オプチカル・インテグレータ106としてロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)を用いる場合、例えばレチクルのパターン形成面とほぼ共役に配置されるロッドインテグレータの射出面に近接して濃度フィルタを配置してもよい。さらに、レチクルブラインド機構110は照明光学系以外に設けてもよい。また、レチクルブラインド機構110は4枚のブラインド111を有するものとしたが、例えば2枚のL字状の遮光板を用いてもよく、その構成は任意で構わない。
なお、上述した実施の形態では、ショット領域及び部分ショット領域の形状は矩形状としているが、必ずしも矩形状である必要はなく、例えば、5角形、6角形、その他の多角形とすることができる。また、各ショット領域及び部分ショット領域が同一形状である必要もなく、異なる形状や大きさとすることができる。さらに、画面継ぎが行われる部分の形状も、長方形である必要はなく、ジグザグ帯状、蛇行帯状、その他の形状とすることができる。また、本願明細書中における「画面継ぎ」とは、パターン同士をつなぎ合わせることのみならず、パターンとパターンとを所望の位置関係で配置することをも含む意味である。また、複数のショット領域又は部分ショット領域間の重畳部(多重露光される周辺部)にパターン又は部分パターンの転写が行われなくてもよい。
さらに、例えば密集パターンと孤立パターンとに分けてレチクルに形成し、基板4上でのパターン同士のつなぎ部をなくす、あるいは減らすようにしてもよい。この場合、基板4(ウエハなど)に形成すべきデバイスパターンによっては、1枚のレチクルのパターンを基板4上の複数の領域にそれぞれ転写することもあるので、デバイス製造に使用するレチクルの枚数を減らすことができる。又は、その拡大したパターン(前述の親パターン36)を機能ブロック単位で分ける、例えばCPU、DRAM、SRAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータをそれぞれ1単位として、少なくとも1つの機能ブロックを、複数のレチクルにそれぞれ形成するようにしてもよい。また、上述した実施形態では複数枚のレチクルを用いてスティッチング方式の露光(重ね継ぎ露光)を行うものとしたが、複数の部分パターンが形成される1枚のレチクルを用いるだけでもよい。さらに、基板上で周辺部が部分的に重なる複数のショット領域又は部分ショット領域にそれぞれ転写するパターン又は部分パターンはその全てが異なっている必要はなく、例えば少なくとも2つのショット領域又は部分ショット領域に転写するパターン又は部分パターンが同一でもよい。なお、上述した実施形態によれば、基板上で周辺部が部分的に重なる複数のショット領域又は部分ショット領域の全面で、均一な線幅の微細なパターンを形成できるとともに、線幅が異なるパターンが混在していても、パターン毎に正確な線幅で形成可能、即ち高い忠実度でその混在パターンを基板上に形成可能となっている。また、上記実施形態ではレチクルステージ2が1枚のレチクルを載置するものとしたが、例えば複数枚のレチクルを載置可能なレチクルステージを用いてもよく、この場合はレチクルの交換時間の短縮を図ることができる。このとき、各レチクルを微動機構を介してレチクルステージに載置することで、レチクル毎に高精度なアライメントを行うことが可能となる。さらに、上記実施形態では濃度フィルタFを駆動するフィルタステージFSやその位置を計測する干渉計を設けるものとしたが、必ずしもこれらを設けなくてもよい。また、上記実施形態ではレチクルRiの自重による撓みを考慮してフォーカス・レベリング調整を行うものとしたが、特に撓み量が大きい方向(Y方向)に沿って複数のパターンが配列されるレチクルでは、パターン毎の撓み量が小さくなるので、その撓み量を加味したフォーカス・レベリング調整を行わなくてもよいし、複数のパターンの一部(例えば両端のパターン)のみでその撓み量を加味したフォーカス・レベリング調整を行うだけでもよい。
上述した実施形態では露光用照明光としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いているが、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)、FrFエキシマレーザ光(波長248nm)、F2レーザ光(波長157nm)、又はAr2レーザ光(波長126nm)などを用いることができる。F2レーザを光源とする露光装置では、例えば投影光学系として反射屈折光学系が採用されるとともに、照明光学系や投影光学系に使われる屈折光学部材(レンズエレメント)は全て蛍石とされ、かつレーザ光源、照明光学系、及び投影光学系内の空気は、例えばヘリウムガスで置換されるとともに、照明光学系と投影光学系との間、及び投影光学系と基板との間などもヘリウムガスで満たされる。
F2レーザを用いる露光装置では、レチクルや濃度フィルタは、蛍石、フッ素がドープされた合成石英、フッ化マグネシウム、LiF、LaF3、リチウム・カルシウム・アルミニウム・フロライド(ライカフ結晶)又は水晶等から製造されたものが使用される。
エキシマレーザの代わりに、例えば波長248nm、193nm、157nmのいずれかに発振スペクトルを持つYAGレーザなどの固体レーザの高調波を用いるようにしてもよい。
また、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いてもよい。
例えば、単一波長レーザの発振波長を1.51〜1.59μmの範囲内とすると、発生波長が189〜199nmの範囲内である8倍高調波、又は発生波長が151〜159nmの範囲内である10倍高調波が出力される。特に発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
発振波長を1.03〜1.12μmの範囲内とすると、発生波長が147〜160nmの範囲内である7倍高調波が出力され、特に発振波長を1.099〜1.106μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158nmの範囲内の7倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。なお、単一波長発振レーザとしてはイットリビウム・ドープ・ファイバーレーザを用いる。また、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を用いるようにしてもよい。さらに、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いてもよい。
また、投影光学系は縮小系だけでなく等倍系、又は拡大系(例えば、液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイ製造用露光装置など)を用いてもよい。さらに、投影光学系は、反射光学系、屈折光学系、及び反射屈折光学系のいずれを用いてもよい。なお、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナー、及び例えば国際公開WO99/49504などに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用してもよい。なお、液浸型露光装置は、反射屈折型の投影光学系を用いる走査露光方式でもよいし、あるいは投影倍率が1/8の投影光学系を用いる静止露光方式でもよい。後者の液浸型露光装置では、基板上に大きなパターンを形成するために、上記実施形態で説明したステップ・アンド・スティッチ方式を採用することが好ましい。
また、それぞれ独立に可動な2つのウエハステージを有する露光装置にも本発明を適用してよい。このツインウエハステージ方式の露光装置は、例えば特開平10−214783号公報及び対応する米国特許第6,341,007号、あるいは国際公開WO98/40791号及び対応する米国特許第6,262,796号などに開示されており、本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、その米国特許の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
さらに、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられる、デバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置等にも本発明を適用することができる。
このような露光装置では、デバイスパターンが転写される被露光基板(デバイス基板)が真空吸着又は静電吸着などによって基板ステージ6上に保持される。ところで、EUV光を用いる露光装置では反射型マスクが用いられ、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられるので、マスクの原版としてはシリコンウエハなどが用いられる。
複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージや基板ステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、さらに総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより本実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルーム内で行うことが望ましい。
半導体集積回路は、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいて、レチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを製造するステップ、上述した実施形態の露光装置等によりレチクルのパターンをウエハに露光転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができることは言うまでもない。
本発明によると、濃度フィルタに埃、塵等の異物が付着していても、その異物の影響を低減することができ、その結果として、感応物体上におけるエネルギー分布を均一化することができるため、均一な線幅の微細なパターンを忠実に形成することができるという効果がある。
また、本発明によると、残存収差が極力低減された高NAの投影光学系の設計が容易になるとともに、製造時における調整も容易となり、投影光学系を製造する上でのコストの上昇を抑えることができ、ひいては露光装置のコスト上昇を抑えることができるという効果もある。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができることは言うまでもない。また、本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、前述した全ての公報の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
本開示は、2003年1月23日に提出された日本国特許出願第2003−14457号に含まれた主題に関連し、その開示の全てはここに参照事項として明白に組み込まれる。
図2Aは濃度フィルタの構成の一例を示す上面図、
図2Bは濃度フィルタに形成されるマークの一例を示す図、
図3は本実施形態の露光装置で用いられるレチクルの構成を示す図、
図4Aおよび図4Bは照度分布検出センサの構成を示す図、
図5はレチクルを用いて半導体集積回路等のマイクロデバイスを製造する際の製造工程を説明するための図、
図6はショット領域に最初の部分パターンを転写する様子を示す図、
図7はショット領域に2番目の部分パターンを転写する様子を示す図、
図8はショット領域に3番目の部分パターンを転写する様子を示す図、
図9はレチクルのアライメント機構を示す図である。
発明を実施するための最良の態様
図1は、本発明の実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図であり、この露光装置は、ステップ・アンド・リピート方式のスティチング型投影露光装置である。
なお、以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びZ軸が紙面に対して平行となるよう設定され、Y軸が紙面に対して垂直となる方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
図1において、光源100からの光(ここでは、ArFエキシマレーザとする)としての紫外パルス光IL(以下、露光光ILと称する)は、照明光学系1との間で光路を位置的にマッチングさせるための可動ミラー等を含むビームマッチングユニット(BMU)101を通り、パイプ102を介して光アッテネータとしての可変減光器103に入射する。
主制御系9は感応物体としての基板4上のレジストに対する露光量を制御するため、光源100との間で通信することにより、発光の開始及び停止の制御、発振周波数及びパルスエネルギーで定まる出力の制御を行うとともに、可変減光器103における露光光ILに対する減光率を段階的又は連続的に調整する。
可変減光器103を通った露光光ILは、所定の光軸に沿って配置されるレンズ系104、105よりなるビーム整形光学系を経て、オプチカル・インテグレータ(ホモジナイザー)106に入射する。ここで、本実施形態ではオプティカル・インテグレータ106としてフライアイレンズを用いるので、以下ではフライアイレンズ106とも呼ぶ。また、フライアイレンズ106を用いる代わりに、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)あるいは回折光学素子などを採用してもよい。なお、オプティカル・インテグレータ106は、照度分布均一性をさらに高めるために、光学系を挟んで直列に2段配置してもよい。
フライアイレンズ106の射出面には開口絞り系107が配置されている。開口絞り系107には、通常照明用の円形の開口絞り、複数の偏心した小開口よりなる変形照明用の開口絞り、輪帯照明用の開口絞り等が切り換え自在に配置されている。なお、開口絞り系107の代わりに、光源100(特に可変減光器103)とフライアイレンズ106との間に配置され、照明光学系の瞳面上で露光光ILが分布する領域を異ならせる複数の回折光学素子、及びズームレンズ系などを含む光学ユニット(成形光学系)を用いてもよい。フライアイレンズ106から射出されて開口絞り系107の所定の開口絞りを通過した露光光ILは、透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ108に入射する。ビームスプリッタ108で反射された光は光電検出器よりなるインテグレータセンサ109に入射し、インテグレータセンサ109の検出信号は不図示の通信回線を介して主制御系9に供給される。
ビームスプリッタ108の透過率及び反射率は予め高精度に計測されて、主制御系9内のメモリに記憶されており、主制御系9は、インテグレータセンサ109の検出信号より間接的に投影光学系3に対する露光光ILの入射光量(及び/又は基板4上での露光光ILの光量又は照度)をモニタできるように構成されている。
ビームスプリッタ108を透過した露光光ILは、レチクルブラインド機構110に入射する。レチクルブラインド機構110は、4枚の可動式のブラインド(遮光板)111(A〜D)及びその駆動機構を備えて構成されている。これら4枚のブラインド111をそれぞれ適宜な位置に設定することにより、投影光学系3の視野内に矩形状の照明領域が形成される。また、ブラインド111は後述する濃度フィルタFに形成された減光部の一部を遮光するためにも用いられる。
レチクルブラインド機構110のブラインド111により矩形状に整形された露光光ILは、フィルタステージFS上に載置された濃度フィルタFに入射する。濃度フィルタFは、基本的に図2Aに示されているような構成である。図2Aは、濃度フィルタFの構成の一例を示す上面図である。この濃度フィルタFは、例えば石英ガラス、またはフッ素がドープされた石英ガラスなどのような光透過性の基板上に、クロム等の遮光性材料を蒸着した遮光部121と、該遮光性材料を蒸着しない透光部122と、該遮光性材料をその存在確率を変化させながら蒸着した減光部(減衰部)123とを有している。
透光部122の形状及び減光部123の外形形状は長方形形状に形成されている。これは、以下の理由による。従来の露光装置では、レチクルに形成されたパターンを一括して基板4に設定されたショットに転写するため、透光部はパターンが形成されている領域の外形形状とほぼ相似な形状(略正方形)に設定されていた。これに対し、詳細は後述するが、この露光装置ではショットに転写するパターンを複数に分割した部分パターンが形成されたレチクルRiを用い、これらの部分パターンをショットの一部の領域に順次転写することにより、1つのショットに対してパターンを転写する。以下、1つのショット内において、部分パターンが転写される各領域を部分ショット領域という。このために、透光部122の形状及び減光部123の外形形状はレチクルRiに形成された部分パターンにほぼ相似な短冊形状(長方形形状)に設定されている。
減光部123は、ドット状に遮光性材料を蒸着したもので、ドットサイズは、濃度フィルタFを図1に示した位置に設置している状態で、本例では濃度フィルタFとレチクルRiとの間に配置される複数の光学素子(112〜116)を有する光学系の解像限界以下となるものである。そのドットは、内側(透光部122側)から外側(遮光部121側)に行くに従って傾斜直線的に減光率が高くなるようにその存在確率を増大させて形成されている。但し、そのドットは、内側から外側に行くに従って曲線的に減光率が高くなるようにその存在確率を増大させて形成されていてもよい。
なお、ドット配置方法は、同一透過率部でドットを同一ピッチPで配置するよりも、Pに対して、ガウス分布をもつ乱数Rを各ドット毎に発生させたものを加えたP+Rで配置するのがよい。その理由は、ドット配置によって回折光が発生し、場合によっては照明系の開口数(NA)を超えて感光基板まで光が届かない現象が起き、設計透過率からの誤差が大きくなるためである。
また、ドットサイズは全て同一サイズが望ましい。その理由は、複数種のドットサイズを使用していると、前述の回折による設計透過率からの誤差が発生した場合に、その誤差が複雑、即ち透過率補正が複雑になるからである。ところで、濃度フィルタの描画は、ドット形状誤差を小さくするため高加速EB描画機で描画するのが望ましく、またドット形状は、プロセスによる形状誤差が測定しやすい長方形(正方形)が望ましい。形状誤差がある場合は、その誤差量が計測可能であれば透過率補正がしやすい利点がある。
遮光部121には、複数のアライメント用のマーク124A,124B,124C,124Dが形成されている。これらのマーク124A,124B,124C,124Dは、図2Aに示されているように、濃度フィルタFの遮光部121の一部を除去して、矩形状あるいはその他の形状の開口(光透過部)124A,124B,124C,124Dを形成して、該マークとすることができる。
また、図2Bに示したマークを用いることもできる。図2Bは濃度フィルタFに形成されるマークの一例を示す上面図である。図2Bでは、複数のスリット状の開口からなるスリットマーク125を採用している。このスリットマーク125は、X方向及びY方向の位置を計測するために、Y方向に形成されたスリットをX方向に配列したマーク要素と、X方向に形成されたスリットをY方向に配列したマーク要素とを組み合わせたものである。
濃度フィルタFのZ方向の位置、Z方向のチルト量、及び投影倍率は、マーク124A,124B,124C,124Dの位置情報を計測した結果に基づいて調整される。この計測には、例えば、試料台5に少なくとも一部が設けられ、濃度フィルタFのマークを撮像素子で検出する装置などを用いることができる。この場合、濃度フィルタFを光軸方向に移動して複数Z位置でマーク124A,124B,124C,124D又はマーク125を計測し、信号強度又は信号コントラストが最大となるZ位置を求め、これをベストフォーカス位置とし、このベストフォーカス位置(投影光学系3の物体面または像面と共役な位置)又はこのベストフォーカス位置から一定量デフォーカスした位置に濃度フィルタFを配置する。本例では濃度フィルタFは、そのベストフォーカス位置からある一定量デフォーカスした位置に設置されている。
なお、濃度フィルタに設けるマークの数は4つに限られるものではなく、濃度フィルタの設定精度などに応じて少なくとも1つを設けておけばよい。さらに、本例では照明光学系の光軸と中心がほぼ一致するように濃度フィルタが配置され、その中心(光軸)に関して対称に4つのマークを設けるものとしたが、濃度フィルタに複数のマークを設けるときはその中心に関して点対称とならないようにその複数のマークを配置する、あるいはその複数のマークは点対称に配置し、別に認識パターンを形成することが望ましい。これは、照明光学系内に濃度フィルタを配置してエネルギー分布を計測した後にその濃度フィルタを取り出してその修正を加えて再設定するとき、結果として照明光学系の光学特性(ディストーションなど)を考慮して濃度フィルタの修正が行われているため、その濃度フィルタが回転して再設定されると、その修正が意味をなさなくなるためであり、元の状態で濃度フィルタを再設定可能とするためである。
図2Aに示した濃度フィルタFは、透光部122の周囲(4辺)に減光部123が形成されているが、レチクルRiに形成された部分パターンを転写する際に、減光部123の全体を常時用いている訳ではない。つまり、基板4上における部分パターンを転写すべき部分ショット領域の位置に応じて、遮光部材としてのブラインド111を制御して減光部123の一部を遮光し、又は、減光部123全体を用いている。これは、スティチング露光においては、隣り合うショット(部分ショット領域)の重合部における露光量を一定とするために重合部の露光量を傾斜的に設定しており、隣り合うショット(部分ショット領域)が無い場合には、その部位において傾斜的な露光量分布とする必要がないからである。図2Aに示した短冊形状に設定された透光部122の周囲に減光部123が形成されている濃度フィルタFを用いる場合であって、ブラインド111によって減光部123を遮光するときには、4辺の内の1辺、2辺又は3辺が遮光された状態で部分パターンの転写が行われる。
また、濃度フィルタFとしては、上述のようなガラス基板上にクロム等の遮光性材料で減光部や遮光部を形成したもののみならず、液晶素子等を用いて遮光部や減光部の位置、減光部の減光特性を必要に応じて変更できるようにしたものを用いることもできる。この場合には、ブラインド111の制御が不要になるとともに、製造するマイクロデバイスの仕様上の各種の要請に柔軟に対応することができ、高効率的である。
フィルタステージFSは、保持している濃度フィルタFをXY平面内で回転方向及び並進方向に微動又は移動する。不図示のレーザ干渉計によって、フィルタステージFSのX座標、Y座標、及び回転角が計測され、この計測値、及び主制御系9からの制御情報によってフィルタステージFSの動作が制御される。
濃度フィルタFを通過した露光光ILは、反射ミラー112を介してコンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114に入射する。コンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114は、本発明にいう縮小光学系に相当する光学系であり、縮小倍率が1/1.5〜1/1.6に設定されている。
ここで、コンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114からなる光学系を縮小光学系に設定するのは、前述した濃度フィルタFに付着した塵、埃等の異物の影響を低減するためである。つまり、濃度フィルタFは投影光学系3の物体面または像面(レチクルRiのパターン形成面が配置されている面)と光学的に共役な位置又はこの位置からある一定量デフォーカスした位置に配置されているため、濃度フィルタFに異物が付着していると、レチクルRi上において均一な照明分布が局所的に崩れ、ひいては基板4上における露光量が局所的に変化し、均一な線幅の微細なパターンを形成する上で支障をきたすからである。
また、コンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114の縮小倍率を1/1.5〜1/1.6に設定するのは、濃度フィルタFに付着した異物の影響を低減し得る倍率を確保することは勿論のこと、照明光学系1の大型化(特に、濃度フィルタFとレチクルRiとの間に配置される光学系(112〜116)の大型化)をさほど招かずに必要となる大きさの照明領域をレチクルRi上に形成するためである。
結像用レンズ系114を介した露光光ILは、反射ミラー115及び主コンデンサレンズ系116を介して、レチクルRiの回路パターン領域上でブラインド111の矩形状の開口部と相似な照明領域(レチクルRiに露光光ILが照射される領域)を所定の強度分布で照射する。即ち、ブラインド111の開口部の配置面は、コンデンサレンズ系113、結像用レンズ系114、及び主コンデンサレンズ系116との合成系によってレチクルRiのパターン形成面とほぼ共役となっている。なお、ブラインド111をレチクルRiのパターン形成面との共役面から離して配置する、例えば濃度フィルタFとほぼ共役に配置してもよい。また、本実施形態では、コンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114を縮小系としたが、濃度フィルタFとレチクルRiとの間に配置される全ての光学素子からなる光学系(113,114,116)で本発明の縮小光学系を構成してもよい。さらに、本実施形態では、レチクルRi上に設定される照明領域は、部分パターンの外形形状に応じて短冊形状(長方形形状)に設定され、部分パターンの1つ全体を照明し得る大きさに設定されている。また、本実施形態ではレチクルRi上での照明領域が濃度フィルタFとブラインド111とによって制限されるので、レチクルパターンに応じて濃度フィルタFを、透光部122の大きさや形状などが異なる他の濃度フィルタと交換可能に構成してもよい。
照明光学系1から射出された露光光ILにより、レチクルステージ2に保持されたレチクルRiが照明される。レチクルステージ2には、i番目(i=1〜N)のレチクルRiが保持されている。本実施形態の露光装置で用いられるレチクルRiには、基板4に設定されたショットに転写するパターンを複数の短冊形状(長方形形状)の領域に分割した複数の部分パターンが形成されている。
図3は、この露光装置で用いられるレチクルRiの構成を示す図である。同図において、符号200,201,202を付して示した箇所は、レチクルRiをレチクルステージ2上に支持したときに、レチクルRiが支持される支持面(支持位置)を示している。本実施形態では、レチクルRiのそれぞれ互いに対向する2対の辺のうち、X方向に延びる1対の辺150,151に沿うように、X方向に延びる形状の支持面200,201,202が設定されており、一方の辺150に沿って2つの支持面200,201が配置され、他方の辺151に沿って1つの支持面202が配置されている。このレチクルRiにはX方向に長手方向が設定された短冊形状の複数の部分パターン(図3では、3つの部分パターン161,162,163)がY方向に配列されて形成されている。なお、レチクルRiがレチクルステージ2上に保持されると、レチクルRiはその自重によって撓むが、本例では図3に示した3つの支持面200〜202の配置によって、X方向よりもY方向に沿って大きく撓むことになる。そこで、各部分パターンの転写時にその撓みに起因して生じる基板4上での結像誤差(特にフォーカス誤差)を抑えるために、レチクルRiでは複数の部分パターン161〜163がその配列方向をY方向として形成されている。即ち、複数の部分パターンの配列方向がX、Y方向のうち前述の自重による撓みが大きくなる方向(本例ではY方向)と一致するように、レチクルRiがレチクルステージ2上で保持される。このとき、レチクルRiに形成する部分パターンの数や各部分パターンのY方向の幅は、Y方向に関する、レチクルRiの撓み量やレチクルRi上での形成位置などに応じて設定すればよい。例えば、投影光学系3の結像面と基板4との相対位置関係を調整する装置(後述の結像調整装置)によって、部分パターン毎にその投影領域(露光領域)の全域で投影光学系3の結像面と基板4の表面とを実質的に合致させる(即ち、投影光学系3の焦点深度内に基板4の表面を設定する)ことが可能となる許容値以下に、各部分パターンでの撓み量が抑えられるように、部分パターンの数やその幅を決定すればよい。また、複数の部分パターンはその大きさ(特にY方向の幅)、形状、X方向の位置などが異なっていてもよく、要はレチクルRi上でY方向に関して異なる位置に形成されていればよい。
後述するように、本実施形態では部分パターン161,162,163を基板4の部分ショット領域に転写する際に、スティチング露光により端部が重なるように転写する。このため、部分パターン161,162,163は、基板4のショットに転写するパターンを単純に3等分したものではなく、部分パターン161の端部(周辺部)161bと部分パターン162のこれに対応する端部(周辺部)162aには同一のパターンが形成され、部分パターン162の端部162bと部分パターン163のこれに対応する端部163aには同一のパターンが形成されている。よって、部分パターン161,162,163のY方向の長さをそれぞれY1,Y2,Y3とすると、これらの和は従来のスティチング型投影露光装置で用いられていたレチクルに形成されていた分割していないパターンのY方向の長さよりも長くなる。図中164,165は、レチクルRiの位置合わせのためのレチクルアライメントマーク21B,21Aがそれぞれ形成されるアライメントマーク形成領域である。
再度、図1を参照する。レチクルステージ2の側方に棚状のレチクルライブラリ16bが配置され、このレチクルライブラリ16bはZ方向に順次配列されたN(Nは自然数)個の支持板17bを有し、支持板17bにレチクルR1,…,RNが載置されている。これらレチクルR1,…,RNのパターンはそれぞれ図3に示したように複数の部分パターンを含むものとされている。
レチクルライブラリ16bは、スライド装置18bによってZ方向に移動自在に支持されており、レチクルステージ2とレチクルライブラリ16bとの間に、回転自在でZ方向に所定範囲で移動できるアームを備えたローダ19bが配置されている。主制御系9がスライド装置18bを介してレチクルライブラリ16bのZ方向の位置を調整した後、ローダ19bの動作を制御して、レチクルライブラリ16b中の所望の支持板17bとレチクルステージ2との間で、所望のレチクルR1〜RLを受け渡しできるように構成されている。なお、図1の露光装置では、例えば密閉型カセット(スミフポッドなど)とレチクルライブラリ16bとの間でレチクルR1〜RNを移送する不図示の搬送系も設けられ、ロット内の全てのウエハ、又は所定枚数のウエハの露光に必要な種類(枚数)のレチクルが予め密閉型カセットによって露光装置に搬入されてレチクルライブラリ16bに載置されるようになっている。このため、複数枚のレチクルを用いる必要があるウエハであっても、レチクルの交換時間を短縮してスループットの向上(処理時間の短縮)を図ることが可能である。
レチクルRiの照明領域内のパターンの像は、投影光学系3を介して縮小倍率1/α(αは例えば5、又は4等)で、基板4の表面(即ち、基板4上で露光光ILが照射される、投影光学系3に関して照明領域と共役な露光領域)に投影される。ここで、投影光学系3の露光領域は基板4上に設定された部分ショット領域とほぼ同じ大きさ、つまり部分パターンを基板4上に投影し得る大きさに設定されている。このように本実施形態では、レチクルRiのパターンを複数の部分パターンとし、部分パターンを基板4上に投影し得る大きさに投影光学系3の露光領域を設定している。このように、投影光学系3の露光領域を極力小さく設定することで、残存収差が極力低減された高NAの投影光学系3の設計が容易になるとともに、製造時における調整が容易となり、投影光学系3を製造するコストの上昇を抑えることができ、ひいては露光装置のコスト上昇を抑えることができる。
レチクルステージ2は、保持しているレチクルRiをXY平面内で回転方向及び並進方向に移動する。また、本実施形態では、レチクルRiに形成された複数の部分パターンを順次基板4上に転写する必要があるため、レチクルステージ2は、少なくともY方向にレチクルRiの幅程度の距離だけ移動可能に構成されている。
レチクルステージ2には不図示のレーザ干渉計が設けられており、このレーザ干渉計によって、レチクルステージ2のX座標、Y座標、及び回転角が計測され、この計測値、及び主制御系9からの制御情報によってレチクルステージ2の動作が制御される。レチクルステージ2は、投影光学系3の光軸AX方向に移動可能に構成されるとともに、光軸AXに対する角度を変更可能に構成されている。これにより、レチクルRiのZ方向の位置及び姿勢をそれぞれ調整することができる。これらは、主制御系9からの制御情報によって制御される。
一方、基板(本実施形態ではウエハ)4は真空吸着などによって、例えばピンチャックホルダなどの基板ホルダ(不図示)上に保持され、この基板ホルダは試料台(基板テーブル)5上に固定され、試料台5は不図示の駆動機構を介して基板ステージ6上に設置されている。この駆動機構は、試料台5を、投影光学系3の光軸と平行なZ方向に微動可能かつXY平面に対して傾斜可能とするものであり、本例ではそれぞれ独立に可動な3つのアクチュエータ(ボイスコイルモータまたはEIコアなど)からなる。なお、基板4は3本のピンで構成されるホルダ上に無吸着またはソフト吸着するだけでもよい。
また、投影光学系3の光軸方向(Z方向)に関する基板4の位置を検出する送光系AF1及び受光系AF2を有する斜入射方式の多点焦点位置検出系(以下、フォーカスセンサAFと呼ぶ)が設けられている。このフォーカスセンサAFは、投影光学系3の視野内で部分パターンの縮小像が投影される露光領域(部分ショット領域に対応)内の複数の計測点にそれぞれ光ビームを照射するとともに、基板4で反射された光をそれぞれ独立に受光して、各計測点における基板4のZ方向の位置(本例では、所定の基準面、例えば投影光学系3の像面に対する基板4の表面の位置ずれ量)を検出するものである。このフォーカスセンサAFの計測値は主制御系9に出力され、主制御系9はその計測値に基づいて、前述の駆動機構を介して試料台5を駆動し、基板4のフォーカス位置(光軸AX方向の位置)、及び傾斜角の制御(フォーカス及びレベリング調整)を行う。これにより、投影光学系3の露光領域内で投影光学系3の像面と基板4上の各部分ショット領域の表面とがほぼ合致する、即ち露光領域内で部分ショット領域の全面が投影光学系3の焦点深度内に設定されることになる。なお、本例における基板4上でのパターン像の結像状態を調整する装置(結像調整装置)は、フォーカス及びレベリング調整に用いられるフォーカスセンサAF及び前述の駆動機構だけでなく、投影光学系3の複数の光学素子をそれぞれ独立に駆動するアクチュエータ(ピエゾ素子など)、及び光源100から発振される露光光ILの波長を可変とする波長制御装置(いずれも不図示)なども含み、投影光学系3の設置環境や熱蓄積などに起因して生じる結像誤差をほぼ零または許容値以下にするようになっている。
この試料台5上には位置決め用の基準マーク部材12及び基板4上に照度分布を検出する照度分布検出センサ(いわゆる照度ムラセンサ)126が固定されている。また、基板ステージ6は、ベース7上で例えばリニアモータによりX方向、Y方向に試料台5(基板4)を移動し位置決めする。
また、試料台5の上部には移動鏡8mが固定されており、この移動鏡8mにはレーザ干渉計8が対向して配置されている。なお、図1においては、図示を簡略化しているが、移動鏡8mは、試料台5上においてX方向に延びた移動鏡とY方向に延びた移動鏡とが設けられており、各々の移動鏡に対向してレーザ干渉計が設けられている。なお、前記移動鏡の代わりに、例えば試料台5の端面(側面)を鏡面加工して形成される反射面を用いてもよい。
レーザ干渉計8によって試料台5のX座標、Y座標、及び回転角が計測され、この計測値がステージ制御系10、及び主制御系9に供給されている。ステージ制御系10は、その計測値、及び主制御系9からの制御情報に基づいて、基板ステージ6のリニアモータ等の動作を制御する。さらに、図1においては図示を省略しているが、レチクルステージ2に設けられたレーザ干渉計からの計測結果が主制御系9に供給されており、この計測結果に応じて主制御系9はレチクルステージ2のX座標、Y座標、及び回転角、Z座標、及び光軸AXに対する角度を制御する。
次に、照度分布検出センサ126の詳細について説明する。図4A及び図4Bは照度分布検出センサ126の構成を示す図である。この照度分布検出センサ126は、露光光ILが投影光学系3を介して照明されている状態で基板ステージ6を基板4に水平な面内で移動させることにより露光光ILの空間分布、即ち露光光の強度分布(照度分布)を計測するためのものである。
図4Aに示すように、照度分布検出センサ126は、矩形(本実施形態においては正方形)状の開口(又はピンホール)54を有する遮光板55の下側に光電センサ56を設けて構成され、光電センサ56による検出信号は、主制御系9に出力される。なお、開口54の下側に光電センサ56を設けずに、ライトガイドなどにより光を導いて他の部分で光電センサなどにより受光量を検出するようにしてもよい。
遮光板55は、通常石英等の基板にクロム(Cr)等の金属を蒸着することにより形成されるが、クロム等の金属を蒸着すると、遮光板55上に露光された露光光の反射率が高く露光光の反射量が多い。その結果、遮光板55による反射光が投影光学系やレチクルで反射されることによりフレアが発生する。この照度分布検出センサ126は、基板4が露光されるときの露光光の照度分布を計測するために設けられるものであり、実際の露光時における露光光の照度分布を計測することが最も好ましい。しかし、露光光の照度分布の計測を行う際に、実際の露光時の状況と異なる状況、つまり露光光の反射量が多くなる状況があると、実際の露光時における露光光の照度分布を正確に計測することができない。
そこで、本実施形態においては、露光時における実際の露光光の照度分布になるべく近い計測を行うために、遮光板55上面の反射率を、基板4の反射率とほぼ同程度として反射光による影響を低減している。遮光板55の上面には露光光の波長域において基板4の反射率と同程度の反射率を有する膜が形成されている。この膜を実現するためには、例えば、図4Bに示すように、石英の透明基板57上にクロム58を蒸着し、さらにクロム58上に酸化クロムの薄膜59を形成し、その上に基板4に塗布されるフォトレジストと同じフォトレジスト60を同じ膜厚で塗布してもよい。このような遮光板55上面の反射率は、その表面に形成される膜の材質のみならず、膜厚や構成(積層数、各層厚、各層の材質等)適宜に選択することにより調整することができる。基板4に反射防止膜等が形成されている場合には、そのような条件の全てをも考慮して、該遮光板55上面の反射率を設定する。
かかる照度分布検出センサ126を用いて、遮光板55に形成された開口54を通過してきた露光光を、基板ステージ6を基板4表面に水平な面内で移動させつつ計測することにより、実際の露光時における露光光の照度分布とほぼ同じ照度分布を計測することができる。
また、主制御系9には、磁気ディスク装置等の記憶装置11が接続され、記憶装置11に、露光データファイルが格納されている。露光データファイルには、レチクルR1〜RNの設計情報、レチクルR1〜RNの相互の位置関係、レチクルR1〜RNに形成された部分パターン毎に制御すべきブラインド111に関する情報、アライメント情報、投影光学系3の光学特性を示す情報、及びレチクルRiの撓みに関する情報等が記録されている。
投影光学系3の光学特性を示す情報は、例えば、像面の傾斜及び像面湾曲などの収差等である。この情報は、投影光学系3の設計値から得られる情報又は投影光学系3の光学特性の実測値である。なお、設置環境(温度、気圧など)の変化や露光光ILの照射による投影光学系3での熱蓄積などにより投影光学系3の光学特性は変化する。このため、前述の結像調整装置により投影光学系3に設け、この機構により投影光学系3の光学特性を調整したときには記憶装置11内の露光データファイルに記憶されている投影光学系3の光学特性を示す情報を更新するようにすることが好ましい。また、レチクルRiの撓みに関する情報は、レチクルステージ2でレチクルRiを保持したときの、少なくともY方向に関するレチクル毎の各部分パターンでの撓み量であり、本例ではこの撓み量がシミュレーションなどから得られる計算値である。なお、この撓み量は、例えば前述のフォーカスセンサAFと同じ構成のセンサをレチクル側にも設けることで、部分パターン毎に少なくともY方向に離れた複数点でのZ方向の位置情報を検出して得られる実測値でも構わない。また、複数のレチクルでその構成(部分パターンの大きさや位置など)が実質的に同一であるときは、その複数のレチクルに共通の1組の撓み量を記憶しておくだけでもよい。
本実施形態の露光装置は、1つのレチクルに形成された複数の部分パターンを重ね継ぎ露光しつつ1つのショットを露光し、さらに複数のレチクルを用いてショット間の重ね継ぎ露光を行うものである。ここで、レチクルRiとこの露光装置を用いて半導体集積回路等のマイクロデバイスを製造する方法の概略について説明する。
図5は、レチクルRiを用いて半導体集積回路等のマイクロデバイスを製造する際の製造工程を説明するための図である。図5中に示したウエハW(基板4)が最終的に製造されるマイクロデバイスである。図5において、まず最終的に製造される半導体集積回路のあるレイヤの回路パターン27が設計される。回路パターン27は直交する辺の幅がdX,dYの矩形の領域内に種々のライン・アンド・スペースパターン(又は孤立パターン)等を形成したものである。
次に、回路パターン27をα倍(αは1より大きい整数、又は半整数等であり、一例として4,5,又は6等)して、直交する辺の幅がα・dX,α・dYの矩形の領域よりなる親パターン36を画像データ上で作成し、その親パターン36を縦横にそれぞれα個に分割して、α×α個の親パターンP1,P2,P3,…,PN(N=α2)を画像データ上で作成する。図5では、α=5の場合が示されている。なお、倍率αは半導体集積回路等のマイクロデバイスの製造に用いられる投影露光装置の投影倍率(本例では図1中の投影光学系3の倍率)の逆数である。また、この親パターン36の分割数は縦横で同数としなくてもよいし、必ずしも回路パターン27から親パターン36への倍率αに合致させる必要もない。
その後、それらの親パターンPi(i=1〜N)について、それぞれ電子ビーム描画装置(又はレーザビーム描画装置等も使用できる)用の描画データを生成し、その親パターンPiをそれぞれ等倍でレチクルRi上に転写する。
例えば、1枚目のレチクルR1を製造する際には、石英ガラス等の光透過性の基板上にクロム、又はケイ化モリブデン等のマスク材料の薄膜を形成し、この上に電子線レジストを塗布した後、電子ビーム描画装置を用いてその電子線レジスト上に1番目の親パターンP1の等倍の潜像を描画する。このとき、親パターンP1は複数(ここでは3つ)に分割されて描画される。
分割された部分パターン161,162,163の周辺部(端部)は、隣り合う部分パターン161,162,163及び他の親マスクのパターンとの重ね合わせのため、単純に分割するのではなく、それぞれその重合部の分だけ広めの領域となっていることは上述した通りである。その後、電子線レジストの現像を行ってから、エッチング、及びレジスト剥離等を施すことによって、レチクルR1上のパターン領域20に親パターンP1が形成される。
また、レチクルR1上には、親パターンP1に対して所定の位置関係で2次元マークよりなるアライメントマーク21A,21Bを形成しておく。このアライメントマーク21A,21Bは図3に示したアライメントマーク形成領域164,165内に形成されており、この実施形態では、部分パターン161,162,163各々に対応して形成されている。同様に他のレチクルRiにも、電子ビーム描画装置等を用いてそれぞれ親パターンPi、及びアライメントマーク21A,21Bが形成される。このアライメントマーク21A,21Bは、基板又は濃度フィルタFに対する位置合わせに使用される。
このようにして製造されたN枚のレチクルRiを用い、レチクルRiの親パターンPiの1/α倍の縮小像をフォトレジストが塗布されたウエハW上のショット領域48内において画面継ぎを行いながら転写することにより、各ショット領域48に所定の回路パターン35が形成される。ここで、ウエハWに設定されたショット領域48各々を露光する場合には、レチクルRiに形成された部分パターン161,162,163の一部を重ね合わせつつ露光を行う。また、そのショットに隣接して既に露光が終了しているショットがある場合には、そのショットと部分パターンの1/α倍の縮小像とを一部重ね合わせつつ転写する。
レチクルRiを用いた露光動作の詳細は、以下の通りである。なお、以下の説明では、簡単のために、親パターン36を縦横にそれぞれ2個に分割し、この分割された親パターンがそれぞれ形成される4枚のレチクルを用いて基板4(ウエハW)上の4つのショット領域SH1〜SH4で重ね継ぎ露光を行うものとする。
まず、レチクルライブラリ16bからレチクルR1がローダ19bを介してレチクルステージ2に搬入・保持される。次に、主制御系9はレチクルステージ2を移動させて、露光光ILが照射される位置(照明領域)に部分パターン161を配置し、部分パターン161に対応して形成されているアライメントマーク21A,21Bを用いてアライメントを行う。
なお、このアライメントを行う際には、予め部分パターン161,162,163各々に対応して形成されているアライメントマーク21A,21Bの正確な位置関係を計測しておき、レチクルR1がレチクルステージ2上に載置された時点で基準となるアライメントマーク(例えば、部分パターン162に対応して形成されているアライメントマーク21A,21B)を用いたアライメントが既になされた状態にしておくことが好ましい。かかる状態にすることで、部分パターン161に対応して形成されているアライメントマークを用いてアライメントを行う時間を短縮することができるとともに、高精度にアライメントを行うことができる。
また、レチクルR1のアライメントと並行して濃度フィルタFのアライメントも行われ、さらに露光すべき部分ショット領域の基板4上における位置に応じて、濃度フィルタFの減光部123の一部をブラインド111で遮光する処理も行われる。
以上のアライメント等が終了すると、基板ステージ6のステップ移動によって基板4上の第1番目のショット領域の内、最初に部分パターンが転写される部位が投影光学系3の露光領域(投影領域)に移動される。図6は、1つのショット領域に対して最初に部分パターンを転写する様子を示す図である。なお、図6においては、レチクルR1、投影光学系3、及び基板4の相対的な位置関係及び基板4の上面を模式的に示している。
図6において、符号EAで示した箇所は投影光学系3の露光領域を示しており、符号SH1〜SH4を付した矩形形状の領域は基板4上に設定されたショット領域を表している。なお、ショット領域SH1は1番目のショット領域を表し、ショット領域SH2は2番目のショット領域を表している。また、ショット領域SH1内の符号PH1を付した領域は、最初に部分パターンが転写される部分ショット領域を表している。図6に示したように、レチクルR1のアライメント及び基板ステージ6のステップ移動が完了すると、部分ショット領域PH1が投影光学系3の露光領域EAに位置合わせされ、部分パターン161と部分ショット領域PH1の相対的な位置が合わされる。つまり、レチクルR1に形成された部分パターン161及び基板4に設定された部分ショット領域PH1が投影光学系3の光軸AX上に配置された状態となる。さらに、フォーカスセンサAFを用いてZ方向に関する部分ショット領域PH1の複数点での位置情報を検出し、主制御系9はその検出された位置情報と、露光データファイルから読み出した部分パターン161の撓み情報とに基づき、投影光学系3の結像面と部分ショット領域PH1の表面(近似面)とのZ方向の位置ずれ量と傾斜量とを算出する。そして、この算出結果に基づいて、前述の結像調整装置を介して試料台5を駆動し、露光領域EAの全面で投影光学系3の結像面と部分ショット領域PH1の表面とを実質的に合致させる。これにより、レチクルRiの自重による撓みに起因して生じる結像誤差(フォーカス誤差)の発生を防止できる。
この状態において、コンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114からなる縮小光学系を介して露光光ILを部分パターン161に照射すると、部分パターン161の縮小像が部分ショット領域PH1に転写される。なお、図6においては図示を省略しているが、部分ショット領域PH1の2辺(辺L10、L11)の端部は、その外側に行くにつれて露光量が徐々に減少する光量分布をもって露光されている。
レチクルR1に形成された部分パターン161の縮小像の転写が終了すると、部分パターン161への露光光ILの照射が停止され、主制御系9はレチクルステージ2を移動させて、露光光ILが照射される位置に部分パターン162を配置し、部分パターン162に対応して形成されているアライメントマークを用いてアライメントを行う。このアライメントと並行してブラインド111で濃度フィルタF2のアライメントも行われ、ブラインド111で濃度フィルタFの減光部123を遮光する部位の変更も行われる。さらに、これと並行して、主制御系9は基板ステージ6をステップ移動させて、ショット領域SH1内の次に部分パターンが転写される部分ショット領域を投影光学系3の露光領域(投影領域)に移動させる。
図7は、1つのショット領域に2番目の部分パターンを転写する様子を示す図である。なお、図7においても、レチクルR1、投影光学系3、及び基板4の相対的な位置関係及び基板4の上面を模式的に示している。図7に示したように、基板ステージ6のステップ移動により2番目の部分パターン162が転写される部分ショット領域PH2は、既に露光を終えた部分ショット領域PH1の一部を含んで設定される。これは、部分ショット領域PH1と部分ショット領域PH2との継ぎ目部分の不整合を防止するためである。次に、フォーカスセンサAFから得られる部分ショット領域PH2の位置情報と、露光データファイルから読み出した部分パターン162の撓み情報とを用いて試料台5を駆動し、投影光学系3の結像面と部分ショット領域PH2の表面とを実質的に合致させる。
以上のように基板4の位置を設定し、レチクルR1に形成された部分パターン162と基板4に設定された部分ショット領域PH2とが投影光学系3の光軸AX上に配置された状態でコンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114からなる縮小光学系を介して露光光ILを部分パターン162に照射すると、部分パターン162の縮小像が部分ショット領域PH2に転写される。このとき、図7においては図示を省略しているが、部分ショット領域PH2の3辺(辺L20、L21、L22)の端部は、その外側に行くにつれて露光量が徐々に減少する光量分布をもって露光されている。
レチクルR1に形成された部分パターン162の縮小像の転写が終了すると、次に3番目の部分パターンを転写する工程が行われる。本実施形態では3番目の部分パターンを転写するとショット領域SH1の露光が終了する訳であるが、図6及び図7に示すように、ショット領域SH1に対してショット領域SH2が隣接して配置されており、部分パターンを転写する場合のみならずショット領域間においても重ね合わせ露光する場合を想定しているため、ブラインド111で濃度フィルタFの減光部123を遮光する箇所の変更は行われない。
このため、部分パターン162の転写が終了し、部分パターン162への露光光ILの照射が停止されると、主制御系9はレチクルステージ2を移動させて、露光光ILが照射される位置に部分パターン163を配置し、部分パターン163に対応して形成されているアライメントマークを用いてアライメントを行う。さらに、これと並行して、主制御系9は基板ステージ6をステップ移動させて、ショット領域SH1内の次に部分パターンが転写される部分ショット領域を投影光学系3の露光領域(投影領域)に移動させる。
図8は、1つのショット領域に3番目の部分パターンを転写する様子を示す図である。なお、図8においても、レチクルR1、投影光学系3、及び基板4の相対的な位置関係及び基板4の上面を模式的に示している。3番目の部分パターンを転写する場合も、図8に示したように、基板ステージ6のステップ移動により3番目の部分パターン162が転写される部分ショット領域PH3が、既に露光を終えた部分ショット領域PH2の一部を含んで設定される。次に、フォーカスセンサAFから得られる部分ショット領域PH3の位置情報と、露光データファイルから読み出した部分パターン163の撓み情報とを用いて試料台5を駆動し、投影光学系3の結像面と部分ショット領域PH3の表面とを実質的に合致させる。
以上のように基板4の位置を設定し、レチクルR1に形成された部分パターン163と基板4に設定された部分ショット領域PH3とが投影光学系3の光軸AX上に配置された状態で、露光光ILを部分パターン163に照射すると、部分パターン163の縮小像が部分ショット領域PH3に転写される。図8においては図示を省略しているが、部分パターン163を転写するときには、部分ショット領域PH3の3辺(辺L30、L31、L32)の端部は、その外側に行くにつれて露光量が徐々に減少する光量分布をもって露光されている。なお、図6〜図8では説明を分かり易くするために基板4上でショット領域SH1〜SH4を誇張して示している。
以上により、1つのショット領域SH1の露光が終了する。他のショットSH2〜SH4を露光するときには、レチクルステージ2上のレチクルを交換し、隣接するショット領域の有無及び部分パターン161,162,163の何れを転写するかに応じてブラインド111により遮光する濃度フィルタFの減光部123の箇所を変更しつつ、ステップ・アンド・リピート方式で部分パターン161,162,163の縮小像を対応する部分ショット領域に転写する。
さて、このようにレチクルR1〜RNの縮小像を基板4上に投影露光する際には、隣接する縮小像間の画面継ぎ(つなぎ合わせ)を高精度に行う必要がある。特に、本実施形態では、パターンを複数に分割した部分パターンをレチクルR1〜RN各々に形成し、各々の部分パターンを基板4上の部分ショット領域に順次転写するようにしているため、各レチクルRi(i=1〜N)と、基板4上の対応するショット領域とのアライメントを高精度に行う必要がある。このアライメントのために、本実施形態の投影露光装置にはレチクル及び基板用のアライメント機構が備えられている。
図9は、レチクルのアライメント機構を示し、この図9において、試料台5上で基板4の近傍に基準マーク部材12が固定され、基準マーク部材12上にX方向に所定間隔で例えば十字型の1対の基準マーク13A,13Bが形成されている。レチクルRiのアライメント時には、図1の基板ステージ6を駆動することによって、図9に示すように、基準マーク部材12上の基準マーク13A,13Bの中心がほぼ投影光学系3の光軸AXに合致するように、基準マーク13A,13Bが位置決めされる。
また、レチクルRiのパターン面(下面)のパターン領域20をX方向に挟むように、一例として十字型の2つのアライメントマーク21A,21Bが形成されている。なお、本実施形態では、図9に示すようにパターン領域20が複数に分割されており、各々のパターン領域に対応してアライメントマーク21A,21Bが設けられており、図9では、部分パターン162が形成されているパターン領域20に対応して設けられているアライメントマーク21A,21Bを用いてアライメントを行う様子を図示している。
基準マーク13A,13Bの間隔は、アライメントマーク21A,21Bの投影光学系3による縮小像の間隔とほぼ等しく設定されており、上記のように基準マーク13A,13Bの中心をほぼ光軸AXに合致させた状態で、アライメントセンサ14A,14Bはそれぞれミラー22A,22Bを介して露光光ILとほぼ同一波長の照明光(本例では、照明光学系1の途中で分岐(又は光路変更)された露光光IL)でレチクルRiのアライメントマーク21A,21Bと基準マーク13A,13Bとを照明する。
このアライメントセンサ14A,14BはTTR(スルー・ザ・レチクル)方式で、それぞれ照明系と、結像系と、CCDカメラ等の2次元の撮像素子とを備え、その撮像素子がアライメントマーク21A,21B、及び対応する基準マーク13A,13Bの像を撮像する画像処理方式であり、その撮像信号が図1のアライメント信号処理系15に供給されている。
アライメント信号処理系15は、その撮像信号を画像処理して、基準マーク13A,13Bとアライメントマーク21A,21BとのX方向、Y方向、及び回転方向の位置ずれ量を求め、これら位置ずれ量を主制御系9に供給する。主制御系9は、これら位置ずれ量が零または所定範囲内に収まるようにレチクルステージ2の位置決めを行う。これによって、基準マーク13A,13Bに対して、アライメントマーク21A,21B、ひいてはレチクルRiのパターン領域20の1つに形成された部分パターン162が位置決めされる。
言い換えると、レチクルRiの部分パターン162の投影光学系3による縮小像の中心(露光中心)は、実質的に基準マーク13A,13Bの中心(ほぼ光軸AX)に位置決めされ、部分パターン162の輪郭(部分パターン162が形成されているパターン領域20の輪郭)の直交する辺はそれぞれX軸、及びY軸に平行に設定される。この状態で図1の主制御系9は、レーザ干渉計8によって計測される試料台5のX方向、Y方向の座標(XF0,YF0)を記憶することで、レチクルRiのアライメントが終了する。このとき、不図示のレーザ干渉計から得られるレチクルRiの座標を部分パターン162に対応付けて記憶しておく。この後は、親パターンPiの露光中心に、試料台5上の任意の点を移動することができる。なお、部分パターン161,163についても、各々に対応して形成されているアライメントマーク21A,21Bを用いて同様にアライメントが行われる。なお、本実施形態では部分パターン毎にレチクルアライメントを行うものとしたが、例えば1つの部分パターンのみでそれに対応するアライメントマークを用いてレチクルアライメントを行い、残りの部分パターンではその1つの部分パターンとの距離(設計値、あるいはアライメントマーク21A,21Bを検出して得られる実測値など)に応じてレチクルステージ2を移動させるだけでもよい。また、レチクルRiを最初にレチクルステージ2に載置するときのみ、部分パターン毎にレチクルアライメントを行うとともに、レチクルRi上の全てのアライメントマークの相対位置関係を求めて記憶しておくようにし、レチクルRiを2回目以降にレチクルステージ2に載置するときは、レチクルRi上のアライメントマークの一部のみ(例えば、1つ又は2つ)でレチクルアライメントを行い、この結果(マーク座標)と先に記憶した相対位置関係とを用いてレチクルステージ2を移動させてもよい。この場合、レチクルアライメントの時間短縮を図ることができる。さらに、本実施形態ではレチクルRiのアライメント時にレチクルステージ2を駆動するものとしたが、レチクルステージ2を駆動することなく前述の位置ずれ量とレチクルステージ2及び基板ステージ6(試料台5)の座標とを記憶しておくだけでもよい。
また、図1に示されているように、投影光学系3の側部には、基板4上のマークの位置検出を行うために、オフ・アクシス方式で、画像処理方式のアライメントセンサ23が備えられている。アライメントセンサ23は、フォトレジストに対して非感光性で広帯域の照明光で被検マークを照明し、被検マークの像をCCDカメラ等の2次元の撮像素子で撮像し、撮像信号をアライメント信号処理系15に供給する。なお、アライメントセンサ23の検出中心とレチクルRiのパターンの投影像の中心(露光中心)との間隔(ベースライン量)は、基準マーク部材12上の所定の基準マークを用いて予め求められて、主制御系9内に記憶されている。
さて、基板4上の第1層(ファーストレイア)にレチクルRiの各部分パターンを転写するときは、前述のレチクルアライメント時に記憶した部分パターン毎のレチクルRiの座標に基づき、レチクルステージ2を駆動してレチクルR1の部分パターン161の位置決めを行う。これにより、部分パターン161はその中心が投影光学系3の光軸AXとほぼ一致し、かつその直交する2辺がそれぞれX軸、Y軸と平行に設定される、即ち部分パターン161が濃度フィルタFとブラインド111とによって規定されるレチクルR1上の照明領域と正確に位置合わせされる。また、基板4上で画面継ぎが行われる複数(本例では4個)のショット領域SH1〜SH4を1つと見做した拡大ショット領域内での、レチクルR1の部分パターン161が転写される部分パターン領域PH1の位置に応じてブラインド111を駆動し、濃度フィルタFの減光部123の一部を遮光する。
さらに、主制御系9は露光データファイルから読み出した、基板4上に設定される複数のショット領域の配列情報(ショットマップデータ)に基づき、基板ステージ6を駆動して基板4の位置決めを行った後、部分パターン161を基板4上に転写する。以下、レチクルステージ2と基板ステージ6とをそれぞれステッピングさせながら、レチクルR1の部分パターン162,163をそれぞれ基板4上に転写する。これにより、3つの部分パターン161〜163が画面継ぎにて基板4上の1番目のショット領域SH1に形成され、このショット領域SH1のスティッチング露光が終了する。このとき、部分パターン162の転写に先立ち、ブラインド111を駆動して濃度フィルタFの減光部123のうち遮光すべき領域を変更する。また、部分パターン162と163とでは減光部123のうち遮光すべき領域が同一であるので、ブラインド111の駆動は行われない。
なお、ショット領域SH1の露光終了後、レチクル交換を行ってレチクルステージ2上に別のレチクルを載置し、ショット領域SH1と全く同様の動作で、前述の拡大ショット領域内で別のショット領域をスティッチング露光してもよいし、レチクル交換を行わずにレチクルR1をそのまま用いて、基板4上で別の拡大ショット領域内のショット領域をスティッチング露光してもよい。特に後者では、レチクルR1の部分パターン161からその転写を開始してもよいが、ショット領域SH1の露光終了時点で部分パターン163が照明領域に位置決めされているので、ショット領域SH1とは逆の順番で、部分パターン163からその転写を開始してもよい。但し、レチクルステージ2を駆動して部分パターン161の照明領域への位置決めが完了するまでの時間が、基板ステージ6を駆動して次のショット領域(部分ショット領域)の露光領域への位置決めが完了するまでの時間と同等以下であれば、部分パターン161からその転写を開始しても構わない。
また、レチクルRiの各部分パターンを基板4上の第1層に転写する前に、例えば図9に示す十字型の2つのアライメントマーク24A,24Bが既に基板4上に形成されているときは、アライメントセンサ23を用いてアライメントマーク24A,24Bを検出して得られる各マークの座標と、前述のベースライン量及びショットマップデータに基づいて、基板ステージ6を駆動して基板4の位置決めを行うようにしてもよい。
さらに、基板4上に既に形成されたパターンにレチクルRiのパターンを重ね合わせて転写するときは、前述の部分ショット領域、ショット領域、及び拡大ショット領域のいずれか1つを基本ショットとし、アライメントセンサ23を用いて基板4上で少なくとも3つの基本ショットにそれぞれ付設されるアライメントマークを検出して得られる座標を統計演算することで、基板4上で重ね合わせ露光すべき全ての基本ショットの座標を算出する。そして、この算出した座標に基づいて基板ステージ6の移動を制御しながら、レチクルRi毎にその各部分パターンを基板4上に転写する。このとき、レチクルステージ2は前述した第1層へのパターン転写時と同様にその移動が制御される。これにより、レチクルRi毎にその各部分パターンを基板4上の対応するパターンに正確に重ね合わせつつショット領域毎にスティッチング露光を行うことができる。
以上レチクルRiと基板4との位置合わせについて説明したが、レチクルRiと濃度フィルタFの相対的な位置合わせもマーク124A,124B,124C,124Dやスリットマーク125の位置情報を計測した結果に基づいて行われる。また、基板ステージ6の特性上、ヨーイング誤差等の誤差によって基板4に微小な回転を生じることがあり、このためレチクルRiと基板4の相対姿勢に微小なズレを生じる。このような誤差は、予め計測され、あるいは実処理中に計測され、これが相殺されるように、レチクルステージ2又は基板ステージ6が制御されて、レチクルRiと基板4の姿勢が整合するように補正されるようになっている。なお、レチクルRiの各部分パターンと基板4上の部分ショット領域とのアライメントによって、レチクルステージ2の所定位置からの変位量(回転量も含む)が許容値を超えるときは、レチクルステージ2の変位量を許容値以下に抑えつつ、レチクルステージ2に加えて基板ステージ6及び/又は試料台5を微動させる、あるいはレチクルステージ2の変位量に応じて濃度フィルタFを微動させるようにしてもよい。これにより、レチクルRiの各部分パターンと前述の照明領域とのアライメント誤差を常に小さく抑えることができ、基板4上の各ショット領域内での露光量分布をほぼ均一にすることが可能となる。また、本実施形態ではレチクルステージ2を回転させる代わりに、あるいはそれと組み合わせて、試料台5を微小回転させてもよい。
このようにして、図1のN個のレチクルR1〜RNの親パターンP1〜PN(部分パターン)の縮小像を重ね継ぎを行いながら順次基板4上の対応するショット領域(部分ショット領域)に露光転写することで、各親パターンP1〜PNの縮小像は、それぞれ隣接する親パターンの縮小像と画面継ぎを行いながら露光転写されたことになる。これによって、基板4上に図1の親パターン36を1/α倍で縮小した投影像が露光転写される。
その後、基板4上のフォトレジストを現像して、エッチング、及び残っているレジストパターンの剥離等を施すことによって、基板4上の投影像は、図5に示すような回路パターン35となり、半導体集積回路のあるレイヤの形成が終了する。以下、他のレイヤについても以上説明した露光動作を繰り返し行うことにより、最終的にマイクロデバイスとしての半導体集積回路が製造される。
上述した実施形態においては、複数の部分パターン161,162,163が形成されたレチクルRiを用いて、各部分パターン161,162,163を対応する部分ショット領域に転写する場合について説明した。しかしながら、本発明は、複数の部分パターンが形成されたレチクルRiを用いる場合に制限される訳ではなく、分割されていないパターンが形成されているレチクル、即ち従来から一般的に用いられているレチクルを用いる場合にも適用することができる。
このレチクルを用いる場合には、パターンの全体を照明し得る照明領域を確保するために、濃度フィルタF及びレチクルブラインド機構110の大型化を図るとともに、レチクルブラインド機構110に入射する露光光ILの断面形状も拡大させる必要がある。例えば、コンデンサレンズ系113及び結像レンズ系114からなる光学系の縮小倍率をβとすると、照明光学系1の照明領域をX方向にMx倍、Y方向にMy倍だけ拡大させるためには、濃度フィルタFを透過した直後の露光光ILのX方向の断面形状をMx/β倍し、Y方向の断面形状をMy/β倍する必要がある。
また、上記実施形態では、レチクルRiに形成された部分パターンを基板4上に投影し得る大きさに投影光学系3の露光領域が設定されていたが、分割されていないパターンが形成されているレチクルを用いる場合には、投影光学系3の露光領域をレチクルに形成されたパターンの全体を基板4上に投影し得る大きさに設定する必要もある。
以上の変更を加えた露光装置を用いて露光する場合には、レチクルに形成されているパターンの全体が基板4上の1つのショット領域に一括して転写される。この場合において、ショット領域の周辺部が他のショット領域の周辺部と重なるように配置されており、ショット間の周辺部が重なった状態でスティチング露光が行われる。
上述した実施形態における投影露光装置は、各部分ショット領域(又は各ショット領域)について一括露光を順次繰り返すようにした一括露光型であるが、各部分ショット領域(又は各ショット領域)について走査露光を順次繰り返すようにした走査露光型にも適用することができる。この場合においては、濃度フィルタFがXY面内で移動可能に構成され、細長い矩形状のスリット(開口)を有する図示しない固定スリット板(固定ブラインド)を濃度フィルタFと反射ミラー112との間の光路上に配置して照明光学系1の照明領域がスリット状に設定される。かかる構成とすることで照明光学系1の照明領域はレチクルRiに形成された部分パターンの一部又はレチクルに形成されたパターンの一部を照明し得る状態に設定される。このとき、照明領域はその大きさが走査露光時にレチクルが移動される走査方向に関して部分パターン又はパターンよりも小さく設定され、かつ走査方向と直交する方向(非走査方向)に関して部分パターン又はパターンと同程度以上に設定される。
また、投影光学系3の露光領域は、照明領域内の部分パターンの一部又はレチクルに形成されたパターンの一部を基板4に投影し得る大きさに設定される。つまり、投影光学系3はその投影視野(イメージフィールド)の大きさが物体面側で照明領域を包含し、かつ像面側で露光領域を包含するように設定される。
以上の変更を加えた露光装置を用いて露光する場合には、スリット状に整形された露光光ILがレチクルRiに形成された部分パターンの一部又はレチクルに形成されたパターンの一部を照明している状態で、露光光ILに対してレチクルと基板4とを同期移動させる、即ち照明領域に対してレチクルを相対移動するのに同期して露光領域に対してウエハを相対移動しつつ逐次的に部分パターンを部分ショット領域に転写し、又は、パターンをショット領域に転写する。このときに、レチクル及び基板4の移動に同期して濃度フィルタFを露光光ILに対して相対的に移動させ、例えば露光光ILがショット領域の周辺部を照射するときに濃度フィルタFの減光部123が露光光ILを減光するように制御する。
また、各部分ショット領域を走査露光する場合、レチクルRiと基板4とをそれぞれ部分パターン又は部分ショット領域の配列方向(短手方向となるY方向)に移動してもよいし、あるいはレチクルRiと基板4とをそれぞれその配列方向と直交する方向(部分パターン又は部分ショット領域の長手方向となるX方向)に移動してもよい。特に後者では、各部分ショット領域の走査露光間でレチクルRiと基板4とをそれぞれX方向にステッピングさせることになるが、前者の走査露光方式に比べて、投影光学系3の視野(イメージフィールド)が小さくて済み、投影光学系3の製造コストを大幅に低減することができる。
以上のように、本発明は一括露光型の投影露光装置及び走査露光型の投影露光装置の何れにも適用することができるが、高い重ね合わせ精度が要求される場合には一括露光型の投影露光装置を採用し、重ね合わせ精度よりもスループット、即ち単位時間当たりの基板の処理量の向上が優先される場合には走査露光型の投影露光装置を採用することが好ましい。
さらに、上記実施形態においては、基板4上に設定されたショット領域又は部分ショット領域の周辺部の露光量を傾斜的な露光量分布とするために濃度フィルタFを用いていた。しかしながら、これ以外に、例えばレチクルRに照射される露光光ILの照度分布を所望の分布(例えば、均一な照度分布)にするために濃度フィルタを用いる場合にも本発明を適用することが可能である。つまるところ、本発明は、レチクルの露光光ILの入射側の光路上に濃度フィルタが配置される全ての構成について適用することができる。
なお、上記実施形態で既に説明しているように、レチクルRiをレチクルステージ2上に配置したときに、レチクルに撓みが生ずる場合がある。レチクルRiの撓みがあると、レチクルRiのパターン形成面が投影光学系3の像面と一致しないため、この像面に対するパターンのずれ量が投影光学系3の像面側においてフォーカス誤差として現れることになる。上記の露光装置において、レチクルRiの撓みに起因して生ずる投影光学系3の像面側のフォーカス誤差を補正するためには、レチクルRiの撓み量に応じて基板4のZ方向の位置及び姿勢(光軸AXに対する基板4表面の傾き)を補正すればよい。
例えば、レチクルRiが図3に示した支持面200,201,202で保持される場合には、Y方向に沿ってレチクルRiの撓みが生ずる。この撓みが生ずると、レチクルRiの中央部に形成された部分パターン162の撓み量は小さいが、レチクルRiの周辺部に近い位置に形成された部分パターン161,163は投影光学系3の像面に対して傾斜した状態に配置されることになる。よって、部分パターン162を転写する場合には基板4のZ方向の位置を調整し、部分パターン161,163を転写する場合には基板4のZ方向の位置を調整するとともに、基板4の姿勢を制御してレチクルRiの撓みに起因して生ずるデフォーカス誤差を補正することが好ましい。
なお、このデフォーカス誤差を補正する場合には、レチクルRiのZ方向の位置及び姿勢を制御することにより補正してもよい。このときには、投影光学系3の縮小倍率を1/4とすると、その補正量は、基板4のZ方向の位置及び姿勢を制御して補正する場合の16倍となる。さらに、例えば投影光学系3の少なくとも1つの光学素子を移動する、あるいは光源100から射出される露光光ILの波長を変化させることなどにより、投影光学系3の光学特性(結像特性)を調整することで、投影光学系3の露光領域内でその像面の少なくとも一部を移動して前述のフォーカス誤差を補正してもよい。従って、上記実施形態ではフォーカス誤差を補正するために、基板4の移動、レチクルRiの移動、及び投影光学系3の光学特性の調整の少なくとも1つを行えばよい。
また、レチクルRiの撓みに応じたデフォーカス量を補正するときには、予め測定したレチクルステージ2上のレチクルR1〜RNの撓み量を記憶装置11内の露光データファイルに記憶させて、レチクルステージ2上に配置されたレチクルRiに応じた撓み量を読み出して、その撓み量を補正するようにしてもよく、あるいは、レチクルステージ2上に保持されたレチクルRiの撓み量を実測する測定装置(例えば、前述のフォーカスセンサAFと同じ構成の光学センサなど)を設け、この測定結果に応じてレチクルRiの撓みに起因して生ずるフォーカス誤差を補正するようにしてもよい。
なお、さらに線幅の均一性を向上させるためには、フォーカス制御の誤差をさらに低減させればよい。このためには、基板4のオートフォーカス(レベリングを含む)を実現するためのオートフォーカス機構(フォーカスセンサAF、試料台5を駆動するアクチュエータなどを含む)の精度自体を向上させるとともに、露光光ILを低照度化して露光時間を長くすることにより、高精度なオートフォーカスを実現しつつ部分パターンを転写すればよい。
上述した実施形態において、投影光学系3の像面の傾斜及び像面湾曲が生じていたり、基板4の表面が平坦でないときには、主制御系9は記憶装置11に記憶されている投影光学系3の光学特性又は基板4の平坦性に関する情報を読み出して、これらを補正するための補正値を前述したフォーカス誤差の補正値に加えて補正すればよい。
なお、レチクルRiの親パターンは複数のパターンから構成されることが多いので、親パターンをそのパターン単位で分割してそれぞれ部分パターンを形成することで、基板4上の各ショット領域内で部分ショット領域の継ぎ目をなくすようにしてもよい。従って、レチクルRi上の各部分パターン又はその形成領域は長方形でなくてもよい、例えばその一部が凸凹を持っていてもよい。
また、特に半導体集積回路の製造に用いられるレチクルでは、同一構成の回路パターンが複数形成されることがあるので、例えば複数の回路パターンを回路パターン単位で分けて前述の部分パターンとしてもよい。このとき、各部分パターンに含まれる回路パターンは1つずつ、又は同数でなくてもよく、複数個ずつ、又は異なる個数でもよい。さらに、上記実施形態では複数の部分パターンの配列方向(図3では部分パターンの短手方向に対応するY方向)に関する各部分パターン又はその形成領域の幅が等しいものとしたが、例えば親パターンの構成などによってはその幅を異ならせて複数の部分パターンを形成してもよい。即ち、上記実施形態ではレチクルRiをレチクルステージ2に載置したとき、X及びY方向のうち、レチクルRiの撓み量が大きい方向(本例ではY方向)に関して、レチクルRiに形成すべきパターンを複数の部分パターンに分ければよく、各部分パターン又はその形成領域の形状や大きさ(幅)などは任意で構わない。
またさらに、上記実施形態では、図3に示したように、レチクルRiの対向する2対の辺の内、Y方向に延びる1対の辺150,151に沿うように、Y方向に延びる形状の支持面(支持位置)200,201,202が設定されており、レチクルRiのY方向における撓み量が大きい場合を例にした。従って、図3に示したように、パターン(親パターン)を分割してX方向に延びる部分パターン160,161,162とし、これらをY方向に配列したものをレチクルR1〜RNに形成していた。しかし、部分パターンの形状及び配列方法は、これに限定されず、レチクルRiの撓み方に応じて、任意に設定することができる。例えば、レチクルRiのY方向の撓みのみならず、X方向の撓みも考慮するのであれば、さらにパターン(親パターン)をX方向に分割して、この部分パターンを格子状に配列するようにしてもよい。但し、余り分割数を多くすると制御が複雑となる上に、スループットが低下するため、分割数はスループットと基板4に形成されるパターンの精度とを考慮して設定することが好ましい。なお、上記実施形態ではレチクルRiの各部分パターンは、1つのパターンを複数に分割して得られる分割パターンであるものとしたが、互いに異なる複数のパターンを同一のレチクルRiに形成してもよい。
また、上記実施形態においては、レチクルRiに形成された部分パターン161,162,163の縮小像を対応する部分ショット領域PH1,PH2,PH3のそれぞれに転写する際に、レチクルRiをY方向に移動させてレチクルRiの照明領域に配置される部分パターンを切り替えるようにしていたが、レチクルRiは移動させずに照明領域を移動させることにより、照明領域に配置される部分パターンを切り替えるようにしてもよい。この時には、レチクルブラインド機構110の4枚のブラインド111各々を制御するとともに、部分パターン161,162,163の位置に応じて濃度フィルタFを移動させるようにすればよい。
さらに、前述の実施形態では微小開口54を有する照度分布検出センサ126を用いて露光光ILの強度分布を検出するものとしたが、例えばラインセンサ、あるいは一次元または二次元のCCDなどを用いて露光光ILを検出して強度分布の計測時間の短縮を図るようにしてもよい。なお、オプチカル・インテグレータ106としてロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)を用いる場合、例えばレチクルのパターン形成面とほぼ共役に配置されるロッドインテグレータの射出面に近接して濃度フィルタを配置してもよい。さらに、レチクルブラインド機構110は照明光学系以外に設けてもよい。また、レチクルブラインド機構110は4枚のブラインド111を有するものとしたが、例えば2枚のL字状の遮光板を用いてもよく、その構成は任意で構わない。
なお、上述した実施の形態では、ショット領域及び部分ショット領域の形状は矩形状としているが、必ずしも矩形状である必要はなく、例えば、5角形、6角形、その他の多角形とすることができる。また、各ショット領域及び部分ショット領域が同一形状である必要もなく、異なる形状や大きさとすることができる。さらに、画面継ぎが行われる部分の形状も、長方形である必要はなく、ジグザグ帯状、蛇行帯状、その他の形状とすることができる。また、本願明細書中における「画面継ぎ」とは、パターン同士をつなぎ合わせることのみならず、パターンとパターンとを所望の位置関係で配置することをも含む意味である。また、複数のショット領域又は部分ショット領域間の重畳部(多重露光される周辺部)にパターン又は部分パターンの転写が行われなくてもよい。
さらに、例えば密集パターンと孤立パターンとに分けてレチクルに形成し、基板4上でのパターン同士のつなぎ部をなくす、あるいは減らすようにしてもよい。この場合、基板4(ウエハなど)に形成すべきデバイスパターンによっては、1枚のレチクルのパターンを基板4上の複数の領域にそれぞれ転写することもあるので、デバイス製造に使用するレチクルの枚数を減らすことができる。又は、その拡大したパターン(前述の親パターン36)を機能ブロック単位で分ける、例えばCPU、DRAM、SRAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータをそれぞれ1単位として、少なくとも1つの機能ブロックを、複数のレチクルにそれぞれ形成するようにしてもよい。また、上述した実施形態では複数枚のレチクルを用いてスティッチング方式の露光(重ね継ぎ露光)を行うものとしたが、複数の部分パターンが形成される1枚のレチクルを用いるだけでもよい。さらに、基板上で周辺部が部分的に重なる複数のショット領域又は部分ショット領域にそれぞれ転写するパターン又は部分パターンはその全てが異なっている必要はなく、例えば少なくとも2つのショット領域又は部分ショット領域に転写するパターン又は部分パターンが同一でもよい。なお、上述した実施形態によれば、基板上で周辺部が部分的に重なる複数のショット領域又は部分ショット領域の全面で、均一な線幅の微細なパターンを形成できるとともに、線幅が異なるパターンが混在していても、パターン毎に正確な線幅で形成可能、即ち高い忠実度でその混在パターンを基板上に形成可能となっている。また、上記実施形態ではレチクルステージ2が1枚のレチクルを載置するものとしたが、例えば複数枚のレチクルを載置可能なレチクルステージを用いてもよく、この場合はレチクルの交換時間の短縮を図ることができる。このとき、各レチクルを微動機構を介してレチクルステージに載置することで、レチクル毎に高精度なアライメントを行うことが可能となる。さらに、上記実施形態では濃度フィルタFを駆動するフィルタステージFSやその位置を計測する干渉計を設けるものとしたが、必ずしもこれらを設けなくてもよい。また、上記実施形態ではレチクルRiの自重による撓みを考慮してフォーカス・レベリング調整を行うものとしたが、特に撓み量が大きい方向(Y方向)に沿って複数のパターンが配列されるレチクルでは、パターン毎の撓み量が小さくなるので、その撓み量を加味したフォーカス・レベリング調整を行わなくてもよいし、複数のパターンの一部(例えば両端のパターン)のみでその撓み量を加味したフォーカス・レベリング調整を行うだけでもよい。
上述した実施形態では露光用照明光としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いているが、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)、FrFエキシマレーザ光(波長248nm)、F2レーザ光(波長157nm)、又はAr2レーザ光(波長126nm)などを用いることができる。F2レーザを光源とする露光装置では、例えば投影光学系として反射屈折光学系が採用されるとともに、照明光学系や投影光学系に使われる屈折光学部材(レンズエレメント)は全て蛍石とされ、かつレーザ光源、照明光学系、及び投影光学系内の空気は、例えばヘリウムガスで置換されるとともに、照明光学系と投影光学系との間、及び投影光学系と基板との間などもヘリウムガスで満たされる。
F2レーザを用いる露光装置では、レチクルや濃度フィルタは、蛍石、フッ素がドープされた合成石英、フッ化マグネシウム、LiF、LaF3、リチウム・カルシウム・アルミニウム・フロライド(ライカフ結晶)又は水晶等から製造されたものが使用される。
エキシマレーザの代わりに、例えば波長248nm、193nm、157nmのいずれかに発振スペクトルを持つYAGレーザなどの固体レーザの高調波を用いるようにしてもよい。
また、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いてもよい。
例えば、単一波長レーザの発振波長を1.51〜1.59μmの範囲内とすると、発生波長が189〜199nmの範囲内である8倍高調波、又は発生波長が151〜159nmの範囲内である10倍高調波が出力される。特に発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
発振波長を1.03〜1.12μmの範囲内とすると、発生波長が147〜160nmの範囲内である7倍高調波が出力され、特に発振波長を1.099〜1.106μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158nmの範囲内の7倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。なお、単一波長発振レーザとしてはイットリビウム・ドープ・ファイバーレーザを用いる。また、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を用いるようにしてもよい。さらに、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いてもよい。
また、投影光学系は縮小系だけでなく等倍系、又は拡大系(例えば、液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイ製造用露光装置など)を用いてもよい。さらに、投影光学系は、反射光学系、屈折光学系、及び反射屈折光学系のいずれを用いてもよい。なお、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナー、及び例えば国際公開WO99/49504などに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用してもよい。なお、液浸型露光装置は、反射屈折型の投影光学系を用いる走査露光方式でもよいし、あるいは投影倍率が1/8の投影光学系を用いる静止露光方式でもよい。後者の液浸型露光装置では、基板上に大きなパターンを形成するために、上記実施形態で説明したステップ・アンド・スティッチ方式を採用することが好ましい。
また、それぞれ独立に可動な2つのウエハステージを有する露光装置にも本発明を適用してよい。このツインウエハステージ方式の露光装置は、例えば特開平10−214783号公報及び対応する米国特許第6,341,007号、あるいは国際公開WO98/40791号及び対応する米国特許第6,262,796号などに開示されており、本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、その米国特許の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
さらに、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられる、デバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置等にも本発明を適用することができる。
このような露光装置では、デバイスパターンが転写される被露光基板(デバイス基板)が真空吸着又は静電吸着などによって基板ステージ6上に保持される。ところで、EUV光を用いる露光装置では反射型マスクが用いられ、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられるので、マスクの原版としてはシリコンウエハなどが用いられる。
複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージや基板ステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、さらに総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより本実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルーム内で行うことが望ましい。
半導体集積回路は、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいて、レチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを製造するステップ、上述した実施形態の露光装置等によりレチクルのパターンをウエハに露光転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができることは言うまでもない。
本発明によると、濃度フィルタに埃、塵等の異物が付着していても、その異物の影響を低減することができ、その結果として、感応物体上におけるエネルギー分布を均一化することができるため、均一な線幅の微細なパターンを忠実に形成することができるという効果がある。
また、本発明によると、残存収差が極力低減された高NAの投影光学系の設計が容易になるとともに、製造時における調整も容易となり、投影光学系を製造する上でのコストの上昇を抑えることができ、ひいては露光装置のコスト上昇を抑えることができるという効果もある。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができることは言うまでもない。また、本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、前述した全ての公報の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
本開示は、2003年1月23日に提出された日本国特許出願第2003−14457号に含まれた主題に関連し、その開示の全てはここに参照事項として明白に組み込まれる。
Claims (25)
- 感応物体上で周辺部が部分的に重なる複数の領域にそれぞれマスクに形成されたパターンを転写するために、露光光の照度分布を前記周辺部に対応する部分で徐々に減少するように設定する減光部を有する濃度フィルタを介して前記各領域を露光する露光装置において、
前記濃度フィルタと前記マスクとの間に縮小光学系を配置したことを特徴とする露光装置。 - 前記縮小光学系の縮小倍率を1/1.5〜1/1.6に設定したことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記領域の露光による前記パターンの転写は、前記濃度フィルタ、前記マスク及び前記感応物体を静止させた状態で、一括的に行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
- 前記領域の露光による前記パターンの転写は、前記露光光に対して前記濃度フィルタ、前記マスク及び前記感応物体を同期移動させつつ、逐次的に行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
- 前記マスクに形成されているパターンは、複数に分割された部分パターンからなり、当該部分パターンの各々が前記パターンとして前記複数の領域の少なくとも1つに転写されることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記濃度フィルタ及び前記縮小光学系を含んで構成された照明光学系を備え、
前記マスク上における前記照明光学系の照明領域は、少なくとも前記部分パターンの何れか1つを照明し得る大きさに設定されることを特徴とする請求項5に記載の露光装置。 - 前記マスクに形成されたパターンを前記感応物体上に投影する投影光学系をさらに備え、当該投影光学系の露光領域は、少なくとも前記部分パターンを前記感応物体上に投影し得る大きさに設定されることを特徴とする請求項5又は6に記載の露光装置。
- 前記パターンを転写すべき領域の前記感応物体上における位置に応じて、前記濃度フィルタの減光部の一部を遮光する遮光部材を有することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の露光装置。
- エネルギービームの強度分布を所定の分布に規定する濃度フィルタ、及び感応物体上に転写すべきパターンが形成されたマスクを介して、該感応物体を該エネルギービームで照射する露光装置において、
前記濃度フィルタと前記マスクの間に縮小光学系を配置したことを特徴とする露光装置。 - 感応物体上に設定された区画領域に転写すべきパターンが形成されたマスクを介して露光する方法であって、
前記パターンを複数の領域に分割した部分パターンの像が前記感応物体上でつなぎ合わされるように、前記部分パターン毎に該部分パターンと前記感応物体との相対的な位置を調整しつつ該部分パターンを該感応物体上に順次露光転写することを特徴とする露光方法。 - 前記区画領域に転写すべきパターンを複数の短冊状の領域に分割して、該短冊状の領域をその長手方向に沿う第1方向に略直交する第2方向に配列的に形成したマスクを用い、該短冊状の領域を前記部分パターンとして露光することを特徴とする請求項10に記載の露光方法。
- 前記マスクを少なくとも3つの支持位置で略水平に支持するとともに、該支持位置の2つを通る第3方向と前記第1方向が略平行となるように該マスクを支持した状態で露光することを特徴とする請求項11に記載の露光方法。
- 前記マスクを少なくとも3つの支持位置で略水平に支持するとともに、該支持位置の2つを通る第3方向についての該マスクの撓み量及び該第3方向に水平面内で略直交する第4方向についての該マスクの撓み量のうち該撓み量の大きいものに係る方向と前記第2方向とが略平行となるように該マスクを支持した状態で露光することを特徴とする請求項11に記載の露光方法。
- 前記部分パターンは投影系を介して前記感応物体上に転写され、前記部分パターンと前記感応物体との位置合わせは、前記投影系の像面と前記感応物体とを相対移動するフォーカス調整及びレベリング調整の少なくとも一方を行うことによりなされることを特徴とする請求項10〜13の何れか一項に記載の露光方法。
- 前記マスクの支持に伴う撓み量を前記部分パターンの位置との関係で予め求めておき、該求めておいた撓み量に基づいて、前記フォーカス調整及びレベリング調整の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項14に記載の露光方法。
- 前記部分パターンの一部とこれに隣接する部分パターンの一部とが重ね合わされるように露光することを特徴とする請求項10〜15の何れか一項に記載の露光方法。
- 前記部分パターンが重ね合わされる重合部を露光する露光光のエネルギー分布を徐々に小さくなるように傾斜的に設定したことを特徴とする請求項16に記載の露光方法。
- 感応物体上に設定された区画領域に転写すべきパターンが形成されたマスクを介して露光する露光装置であって、
前記区画領域に転写すべきパターンが複数の部分パターンに分割されて形成されたマスクを少なくとも3つの支持位置で略水平に支持する支持装置と、前記支持装置に支持された前記マスクに形成された前記部分パターンの何れかと、前記感応物体に設定された前記区画領域を分割した部分区画領域の何れかとの相対的な位置を調整する調整装置とを備えたことを特徴とする露光装置。 - 前記支持装置は、前記区画領域に転写すべきパターンを複数の短冊状の領域に分割して、該短冊状の領域をその長手方向に沿う第1方向に略直交する第2方向に配列的に形成したマスクを支持し、前記調整装置は前記短冊状の領域を前記部分パターンとして位置調整を行うことを特徴とする請求項18に記載の露光装置。
- 前記支持装置は、前記支持位置の2つを通る第3方向と前記第1方向が略平行となるように前記マスクを支持したことを特徴とする請求項19に記載の露光装置。
- 前記支持装置は、前記支持位置の2つを通る第3方向についての前記マスクの撓み量及び該第3方向に水平面内で略直交する第4方向についての該マスクの撓み量のうち該撓み量の大きいものに係る方向と前記第2方向とが略平行となるように該マスクを支持したことを特徴とする請求項19に記載の露光装置。
- 前記部分パターンの像を前記感応物体上に投影する投影系を更に備え、前記調整装置は、前記投影系の像面と前記感応物体とを相対移動するフォーカス調整機構及びレベリング調整機構の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項18〜21の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記マスクの支持に伴う撓み量を前記部分パターンの位置との関係で予め求めて記憶された記憶装置と、前記記憶装置に記憶された撓み量に基づいて、前記フォーカス調整機構及び前記レベリング調整機構の少なくとも一方を制御する制御装置とをさらに備えたことを特徴とする請求項22に記載の露光装置。
- 前記調整装置は、前記部分パターンの一部とこれに隣接する部分パターンの一部とが重ね合わされるように位置調整を行うことを特徴とする請求項18〜23の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記部分パターンが重ね合わされる重合部を露光する露光光のエネルギー分布を徐々に小さくなるように傾斜的に設定する減光装置をさらに備えたことを特徴とする請求項24に記載の露光装置。
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