JPWO2004059710A1 - 収差計測方法、露光方法及び露光装置 - Google Patents

収差計測方法、露光方法及び露光装置 Download PDF

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Abstract

投影光学系(PL)の結像特性の1つである偶関数収差の収差量と計測マーク(PM)の空間像に対応する光強度分布に含まれる所定次数の空間周波数成分の大きさとの関係を利用して、計測マーク(PM)に対応する光強度信号を得て、その光強度信号に含まれる所定次数、例えば1次の空間周波数成分の大きさを計測し、計測されたその大きさに基づいて投影光学系(PL)の偶関数収差の収差量を算出する。

Description

本発明は、収差計測方法、露光方法及び露光装置に係り、さらに詳しくは、投影光学系の収差を計測する収差計測方法、該収差計測方法を含む露光方法、及び投影光学系の収差を計測するのに好適な露光装置に関する。
従来より、半導体素子又は液晶表示素子等をフォトリソグラフィ工程で製造する際に、フォトマスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)のパターンを、投影光学系を介して、表面にフォトレジスト等の感光剤が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板上に転写する投影露光装置、例えばステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)等が用いられている。
半導体素子等を製造する場合には、異なる回路パターンを基板上に幾層にも積み重ねて形成する必要があるため、上述のパターンを転写する投影露光装置には、回路パターンが描画されたレチクルを、基板上の各ショット領域に既に形成されたパターンに正確に重ね合わせて転写可能であることが求められている。かかる重ね合わせ転写を精度良く実行するため、その投影露光装置の投影光学系の結像特性が適切に調整されていることが必要不可欠となる。
投影光学系の結像特性を適切に調整するには、まず、その結像特性を正確に計測する必要がある。この結像特性の計測方法として、所定のパターンが形成された計測用マスクを用いて露光を行い、そのパターンの投影像が転写形成された基板を現像することによって得られるレジスト像を計測した計測結果に基づいて結像特性を算出する方法(以下、「焼き付け法」と呼ぶ)が、主として用いられている。これに対し、実際に基板を露光することなく、計測用マスクの計測マークが照明光により照明され投影光学系によって投影され形成された計測用パターンの空間像(投影像)を計測し、この計測結果に基づいてその投影光学系の結像特性を算出する方法(以下、「空間像計測法」と呼ぶ)も行われている。かかる空間像の計測及びこれに基づく投影光学系の結像特性の算出については、例えば、特開平10−170399号公報に開示されている。
また、複数の回折格子を照明し、投影光学系を介して得られる各回折格子の像強度を、投影光学系の複数のフォーカス位置にて計測し、その結果に基づいてその投影光学系の波面収差を求める方法が開示されている(例えば、特開2001−57337号公報及びこれに対応する米国特許第6,360,012号等参照)。
しかしながら、投影光学系の波面収差を計測する上述の方法には、以下に示す不都合があった。
(1) 複数のフォーカス位置で像強度を計測する必要があり、計測に時間を要する。
(2) 複数の回折格子の像強度をそれぞれ計測する必要があり、計測に時間を要する。
(3) 照明系がコヒーレント照明系であることを前提としているため、照明系のコヒーレンスファクタが大きい場合に、計測精度が低下する。
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、投影光学系の収差を短時間で精度良く計測することができる収差計測方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、マスクのパターンを基板上に精度良く転写することができる露光方法を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、マスクのパターンを基板上に精度良く転写することができる露光装置を提供することにある。
本発明は、第1の観点からすると、投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、前記投影光学系の有効視野内に周期パターンを含む少なくとも1つの計測マークを位置させた状態で、照明光により前記計測マークを照明して前記投影光学系により前記計測マークの空間像を形成し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で前記空間像に対して所定の計測用パターンを相対的に走査して該走査中に前記計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を行う工程と;前記光強度信号に含まれる所定次数の空間周波数成分の大きさに基づいて、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が偶関数で表される偶関数収差の収差量を算出する工程と;を含む第1の収差計測方法である。
一般に、投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数(これをW(ρ、θ)とする。Wは極座標形式で表されており、ρは投影光学系の射出瞳の半径方向の規格化された瞳位置であり、θは角度である。)は、その動径ρと角度θの変数が分離した形で表される完全直交系の動径多項式、例えば以下の式(1)に示されるフリンジツェルニケの多項式を用いて級数展開することが可能である。
Figure 2004059710
ここで、Zは、投影光学系の諸収差の大きさを表す係数である。なお、一例として第1項〜第37項までのfを例示すると、次の表1のようになる。
Figure 2004059710
Figure 2004059710
上記表1に示されるように、動径多項式の各項のf(ρ,θ)は、動径(ρ)と角度(θ)の変数が分離した形で表現される。このうち、動径(ρ)で表される部分は動径関数と呼ばれる。
また、動径多項式の各項は、その動径関数が奇関数であるものと偶関数であるものとに分類することができる。例えば、表1に示されるf及びfについては、その動径関数がともに3ρ−2ρで、奇関数であり、f及びfは、その動径関数がともにρで、偶関数となっている。このように、その角度成分mθ(mを0又は自然数とする)のmが奇数である場合には、その動径関数が奇関数となり、mが0又は偶数である場合には、その動径関数が偶関数となる。このように、動径関数が奇関数で表される収差を奇関数収差と呼び、偶関数で表される収差を偶関数収差と呼ぶ。
ところで、一般的に、物面上のパターンの空間像を像面上に投影する投影光学系は、物面上のパターンから発せられた複数の回折光を像面上に集光させ、そのパターンの像を像面上に結像させる。しかしながら、それらの回折光が通過する投影光学系の射出瞳における位置はそれぞれ異なるため、投影光学系の収差が存在する場合には、各回折光の結像状態がその収差の影響を受ける。特に、その投影光学系に偶関数収差が存在する場合、各次の回折光の結像位置は、投影光学系の光軸方向にそれぞれずれるようになる。この場合、その光軸方向に関する如何なる位置も、各次の回折光のうちのいずれかについては、最適な結像位置からずれた位置となる。ある回折光の最適な結像位置からずれた位置では、その回折光による光強度分布に含まれる空間周波数成分の大きさは、最適な結像位置でのその空間周波数成分の大きさよりも小さくなる。
本発明者は、投影光学系の結像特性の1つである偶関数収差の収差量とそのパターンの空間像に対応する光強度分布に含まれる所定次数の空間周波数成分の大きさとが、所定の関係にあることをつきとめた。本発明では、この関係を利用して、周期パターンを含む計測マークに対応する光強度信号を得て、その光強度信号に含まれる所定次数の空間周波数成分の大きさを計測し、計測された大きさに基づいて投影光学系の偶関数収差の収差量を算出する。このようにすれば、1つの周期パターンの空間像に対応する光強度信号(光強度分布)を、1回計測するだけで偶関数収差の収差量を計測することができるため、短時間で偶関数収差を求めることができる。
また、前述の偶関数収差の収差量とそのパターンの空間像に対応する光強度分布に含まれる所定次数の空間周波数成分の大きさとの関係は、部分コヒーレント照明系を前提として定められたものであるため、本発明を用いれば、照明系のコヒーレンスファクタが大きくても、精度良く偶関数収差を計測することが可能となる。
この場合において、前記算出する工程で算出された偶関数収差の収差量に基づいて前記投影光学系の結像特性を調整したうえで、前記空間像計測及び前記偶関数収差の収差量算出を再び実行し、今回算出された偶関数収差の収差量と前回算出された偶関数収差の収差量との比較結果に基づいて、前記偶関数収差の極性を決定する工程をさらに含むこととすることができる。
空間像計測により計測された光強度信号に含まれる所定次数の空間周波数成分の大きさは、偶関数収差の収差量に対してほぼ余弦関数状に変化する。余弦関数は偶関数であるため、前記空間像計測及び前記偶関数収差算出を1回実行しただけでは、偶関数収差の収差量の大きさを求めることはできるが、その収差量の極性まで求めることはできない。従って、本発明では、その収差量の極性を仮に決めておいて投影光学系の結像特性を調整し、その調整後に再び前記空間像計測及び前記偶関数収差算出を実行して偶関数収差の収差量を求め、その収差量と前回の収差量とを比較して、偶関数収差の収差量の極性を決定する。具体的には、今回計測された偶関数収差の収差量が前回計測された偶関数収差の収差量よりも小さくなっている場合には、その極性が所期のもの(仮に決めておいた極性)であったと判断し、大きくなっている場合にはその極性が所期のものとは反対であったと判断する。ここで、偶関数収差の収差量の「極性」とは、投影光学系の光軸方向に関するその収差の向きをいう。
また、本発明の第1の収差計測方法において、前記所定次数の空間周波数成分の大きさが最大となる前記投影光学系の光軸方向に関する位置から所定のオフセットを有する位置で、前記空間像計測を実行し、前記所定のオフセットを有する位置における前記偶関数収差の収差量の変化に対する前記所定次数の空間周波数成分の大きさの変化の特性を求め、その特性に基づいて前記偶関数収差の収差量の極性を決定することとすることができる。
これによれば、光強度信号に含まれる所定次数の空間周波数成分に着目し、その空間周波数成分の大きさが最大となる投影光学系の光軸方向に関する位置を、例えばシミュレーション等によって求めておく。そして、所定の計測用パターンを走査するその光軸方向の位置を、空間周波数成分の大きさが最大となる位置から所定のオフセットを有する位置に設定したうえで、空間像計測を実行し、さらに、投影光学系の結像特性を調整して偶関数収差の収差量を変化させながら空間像計測を実行し、偶関数収差の収差量の変化に対するその空間周波数成分の大きさの変化の特性を求める。この特性からその偶関数収差の収差量の極性を容易に求めることができる。
この場合において、前記所定のオフセットとして、前記投影光学系の数学モデルを用いたシミュレーションによって算出された前記投影光学系の特性に基づいて決定されたオフセットを用いることとすることができる。
また、この場合において、前記所定次数の空間周波数成分の大きさがほぼ0となるように前記所定のオフセットを決定することとすることができる。
本発明は、第2の観点からすると、投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、前記投影光学系の有効視野内に周期パターンを含む少なくとも1つの計測マークを位置させた状態で、照明光により前記計測マークを照明して前記投影光学系により前記計測マークの空間像を形成し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で前記空間像に対して所定の計測用パターンを相対的に走査して該走査中に前記計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を、前記投影光学系の光軸方向における複数の位置について実行する工程と;前記光強度信号に含まれる基本周波数成分の大きさが最大となる位置とその所定次数の高調波成分の大きさが最大となる位置との前記投影光学系の光軸方向に関する位置ずれに基づいて、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が偶関数で表される偶関数収差の収差量を算出する工程と;を含む第2の収差計測方法である。
これによれば、前述のように、各次数の回折光の結像位置は、投影光学系の偶関数収差によって投影光学系の光軸方向にずれるようになる。そのため、投影光学系の光軸方向の位置について、上記の空間像計測により得られる光強度信号に含まれる基本周波数成分の大きさが最大となる位置と、所定次数の高調波成分の大きさが最大となる位置とに位置ずれが発生する。
本発明者は、投影光学系の結像特性に含まれる偶関数収差の収差量と前述の位置ずれとが、所定の関係にあることをつきとめた。本発明では、この関係を利用して、その周期パターンを含む計測マークに対応する光強度信号を投影光学系の光軸方向に関する複数の位置で得て、その光強度信号に含まれる基本周波数成分の大きさが最大となる位置と、所定次数の空間周波数成分の大きさが最大となる位置のその光軸方向に関する位置ずれを計測し、計測された位置ずれに基づいて投影光学系の偶関数収差の収差量を算出する。このようにすれば、1つの周期パターンの空間像に対応する光強度信号を計測するだけで偶関数収差を計測することができるため、周期パターンの製造誤差に関わらず、短時間で精度良く偶関数収差を求めることができる。また、パターンの製造誤差のみならず、偶関数収差の1つであるフォーカス位置を検出するフォーカスセンサのゆらぎなどによる誤差も複数の周波数成分を同時に計測するために相殺されるので、短時間で精度良く偶関数収差を求めることができる。
また、この場合において、前記空間像を、周期パターンの周期が異なる複数の前記計測マークについて実行し、前記収差量の算出に際し、計測マーク毎に得られる前記光強度信号に含まれる基本周波数成分の大きさが最大となる位置とその高調波成分の大きさが最大となる位置との位置ずれと、前記各計測マークにおける位置ずれの変化に対応する複数の偶関数収差の感度とに基づいて、前記複数の偶関数収差の各々の収差量を算出することとすることができる。
前述のように、偶関数収差には、低次及び高次の球面収差等が含まれており、低次の球面収差と高次の球面収差とを分離する必要がある場合もある。周期が異なる周期パターンでは、0次回折光の進行方向と各次の回折光の進行方向とのなす角度の大きさはそれぞれ異なり、同じ次数の回折光の投影光学系の射出瞳上の通過位置も、それぞれの周期によって異なったものとなる。そのため、周期パターンの周期が異なれば、その周期パターン毎に得られる空間周波数成分の大きさが最大となる位置間の位置ずれと、各位置ずれの変化に対応する複数の偶関数収差(低次の球面収差及び高次の球面収差等)の感度とは当然異なったものとなる。従って、周期パターン毎に求められる位置ずれと、その周期パターン毎に異なる偶関数収差の感度とを用いて、例えばそれらに基づいて作成される連立方程式を解くことによって、それぞれの偶関数収差、例えば低次の球面収差の成分と高次の球面収差の成分とを抽出することが可能となる。
この場合、前記各計測マークにおける前記位置ずれと前記複数の偶関数収差の感度とに基づいて、最小二乗法を用いて、前記複数の偶関数収差の各々の収差量を算出することとすることができる。
本発明の第1、第2の収差計測方法の各々では、前記所定次数は、奇数であることとすることができる。
なお、投影光学系の光軸方向に関して、基本周波数成分の大きさが最大となる位置と、偶数次、例えば2次の高調波成分の大きさが最大となる位置との位置ずれに基づいて偶関数収差の収差量を求めることも可能であるが、特に、計測マークの周期パターンが、デューティが50%で、その像強度が矩形状に変化するようなパターンである場合には、その偶数次の回折光の強度はほぼ0となる。従って、奇数次の高調波成分を用いた方が、周期パターンの製造誤差や空間像を計測する計測器の入出力特性などの影響を受けにくくなる。また、このような場合、空間像に含まれる偶数次の高調波成分は、複数次数の空間周波数成分のビート成分となるため、例えば5次の高調波成分や7次の高調波成分の存在の有無によって、その大きさが変化し、不安定となる。そのため、奇数次の高調波成分を用いた方が、偶関数収差の収差量を精度良く算出することができる場合が多い。
また、本発明の第1、第2の収差計測方法の各々では、前記偶関数収差は球面収差であることとすることができる。
また、本発明の第1、第2の収差計測方法の各々では、前記計測用パターンは、ピンホールパターンであってもよい。
本発明は、第3の観点からすると、投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、周期が異なる複数の周期パターンがそれらの周期方向と垂直な方向に並列に配置された計測マークを、前記投影光学系の有効視野内に位置させた状態で、照明光により前記計測マークを照明して前記投影光学系を介して形成された前記計測マークの空間像に対し、前記垂直な方向における前記空間像の長さ以上の長さを前記垂直な方向に有する計測用パターンを相対的に走査させながら、前記計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を、前記投影光学系の光軸方向に関する少なくとも1つの位置について実行する工程と;前記光強度信号に含まれる前記各周期パターンに対応する空間周波数成分の位相及び大きさの少なくとも一方に基づいて、前記投影光学系の収差量を算出する工程と;を含む第3の収差計測方法である。
これによれば、並列に配置された周期が互いに異なる複数の周期パターンを含む計測マークの空間像に対して走査させる計測用パターンの長さを、周期パターンの周期方向に垂直な方向における計測マークの空間像の長さ以上としている。従って、この計測用パターンを用いれば、1回の走査で全ての周期パターンを介した照明光の光強度信号を得ることができるようになる。そのため、投影光学系の収差の計測に要する時間を短縮することができるようになる。
この場合において、前記複数の周期パターンでは、最小周期に対する最大周期の比が3倍以下であることとすることができる。かかる場合には、最大周期の周期パターンに対応する3次の高調波成分と、最小周期の周期パターンに対応する基本周波数成分とが混在して、投影光学系の収差の計測精度が低下するのを防止することができる。
本発明の第3の収差計測方法では、前記収差量の算出に際し、前記光強度信号に含まれる前記各周期パターンに対応する空間周波数成分同士の位相差に基づいて、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が奇関数で表される奇関数収差の収差量を算出することとすることができる。
周期パターンの周期に応じ、そのパターンにより発生する回折光の回折角度はそれぞれ異なり、その回折光の射出瞳上の通過位置が、周期パターン毎に異なったものとなる。そのため、それぞれの周期パターンに対応する空間周波数成分の位相はずれるようになる(横ずれ)。従って、計測された光強度信号に含まれる各周期パターンにそれぞれ対応する空間周波数成分の間の位相差を計測すれば、投影光学系の奇関数収差の収差量を求めることができる。
この場合において、前記計測マークに配置された少なくとも3つの周期パターンから選択される一対の周期パターンの組合せにおいてそれぞれ算出される空間周波数成分同士の位相差と、前記各位相差の変化に対応する複数の奇関数収差の感度とに基づいて、前記複数の奇関数収差の各々の収差量を算出することとすることができる。かかる場合には、複数の位相差の変化に対する複数の奇関数収差の感度に基づいて、各奇関数収差の分離が可能となる。
この場合において、前記各位相差と前記複数の奇関数収差の感度とに基づいて、最小二乗法を用いて、前記複数の奇関数収差の各々の収差量を求めることとすることができる。
また、本発明の第3の収差計測方法では、前記複数の周期パターンには、基本周期を有する第1周期パターンと、前記基本周期とは異なる所定周期を有する少なくとも一対の第2周期パターンとが含まれており、前記一対の第2周期パターンは、前記第1周期パターンを挟んで、互いの前記周期方向の位相差がほぼ0となるように配設されていることとすることができる。
これによれば、基本周期を有する第1周期パターンを挟むように、同じ周期を有する一対の第2周期パターンが、周期方向の互いの位相差がほぼ0となるように配設されている。このようにすれば、それらの空間周波数成分の位相差に基づいて奇関数収差の収差量を計測する際に、それらの周期パターンの周期方向と計測用パターンの走査方向との誤差である回転誤差をキャンセルして、奇関数収差を精度良く計測することができる。
また、本発明の第3の収差計測方法では、前記空間像計測を、前記投影光学系の光軸方向における複数の位置についてそれぞれ実行し、前記光強度信号に含まれる前記複数の周期パターンのうちの第1周期パターンの周期に対応する空間周波数成分の大きさが最大となる位置と前記複数の周期パターンのうちの第2周期パターンの周期に対応する空間周波数成分の大きさが最大となる位置との前記投影光学系の光軸方向に関する位置ずれに基づいて、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が偶関数で表される偶関数収差の収差量を算出することとすることができる。
これによれば、周期が異なる周期パターンでは、回折光の回折角度がそれぞれ異なるため、その回折光の射出瞳上の通過位置は、周期パターン毎に異なったものとなる。従って、それぞれの周期パターンによって、各次回折光の結像位置が、投影光学系の光軸方向にずれるようになる。すなわち、周期パターンによって、その空間周波数成分の大きさが最大となる投影光学系の光軸方向の位置がずれる。そのため、周期パターン間におけるその位置ずれの大きさを計測すれば、偶関数収差の収差量を求めることができるようになる。
この場合において、前記周期パターン毎に得られる前記光強度信号に含まれる基本周波数成分の大きさが最大となる位置とその奇数次の高調波成分の大きさが最大となる位置との位置ずれと、前記各周期パターンにおける前記位置ずれの変化に対応する複数の偶関数収差の感度とに基づいて、前記複数の偶関数収差の各々の収差量を算出することとすることができる。かかる場合には、周期パターンの周期の変化に対する偶関数収差との感度に基づいて、例えばそれらに基づいて連立一次方程式を作成し、それを解けば、全体の偶関数収差の収差量を、複数の偶関数収差成分に分離することが可能となる。
この場合において、前記各周期パターンにおける前記位置ずれと前記複数の偶関数収差の感度とに基づいて、最小二乗法を用いて、前記複数の偶関数収差の各々の収差量を算出することとすることができる。
また、本発明の第1、第2、第3の収差計測方法の各々では、前記動径多項式は、フリンジツェルニケ多項式であり、前記計測用パターンは、スリットパターンであることとすることができる。
本発明は、第4の観点からすると、投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、前記投影光学系の有効視野内に、線幅が異なる複数の周期パターンがそれらの周期方向に混在するように配置された少なくとも1つの計測マークを位置させた状態で、照明光により前記計測マークを照明して前記投影光学系により前記計測マークの空間像を形成し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で前記空間像に対して、所定の計測用パターンを相対的に走査し、該走査中に前記計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を行う工程と;前記光強度信号に含まれる、前記各周期パターンに対応する空間周波数成分の位相及び大きさの少なくとも一方に基づいて、前記投影光学系の収差量を算出する工程と;を含む第4の収差計測方法である。
これによれば、計測マークが、線幅の異なる複数の周期パターンを含むので、その空間像の中に、それぞれの周期パターンに対応する大きな空間周波数成分が含まれるようになる。そのため、投影光学系の収差量の指標となるそれらの成分の大きさが大きくなるので、求める収差量の計測値のS/N比を向上させることができるようになり、高精度に収差量を計測することができるようになる。また、計測対象となる複数の空間周波数成分の大きさを均一化させることができるようになるので、光強度信号を計測するための検出装置の非線形性の影響を低減することができるようになり、高精度に収差量を計測することができるようになる。
この場合において、前記各周期パターンは、互いに周期が同一でデューティ比が異なるパターンであることとすることができる。
この場合において、前記各周期パターンの線幅は、前記周期の自然数分の一であることとすることができる。
この場合において、前記計測マークでは、前記複数の周期パターンとして、光透過部と遮光部との比が1:1である第1周期パターンと、光透過部と遮光部との比が1:m(mは奇数)の第2周期パターンとが配置されており、前記第1周期パターンの遮光部であって、前記第1周期パターンのみから成る計測マークを用いて前記空間像計測を実行したときに得られる光強度信号に含まれる(m+1)/2次の空間周波数成分の極性が負である部分に対応する部分に、前記第2周期パターンの光透過部が形成されていることとすることができる。
このようにすれば、第1周期パターンに対応するその高調波成分と、第2周期パターンに対応する基本周波数成分とがその周期方向にほぼ完全に一致ようになり、結果的に、第1周期パターンに対応する高調波成分が強調されるようになる。したがって、その高調波成分のS/N比を向上させることができ、結果的に、投影光学系の収差を精度良く検出することができるようになる。また、基本波と高調波の同時測定は、計測用パターンの位置を計測するための干渉計のゆらぎを相殺することができ、有利である。また、計測用パターンがピンホールパターンのような、複数のパターンを併置不可である場合には特に有用である。
また、本発明の第4の収差計測方法において、前記計測マークでは、前記複数の周期パターンとして、光透過部と遮光部との比が1:1である第1周期パターンと、光透過部と遮光部との比が1:m(mは奇数)の第2周期パターンとが配置されており、前記第1周期パターンの光透過部であって、前記第1周期パターンのみから成る計測マークを用いて前記空間像計測を実行したときに得られる光強度信号に含まれる(m+1)/2次の空間周波数成分の極性が正である部分に対応する部分に、前記第2周期パターンの遮光部が形成されていることとすることができる。
また、本発明の第1〜第4の収差計測方法の各々では、前記計測用パターンとして、互いに長手方向が交差する複数のスリットパターンを含むこととすることができる。
この場合において、前記計測用パターンとして、ピンホールパターンをさらに含むこととすることができる。
この場合において、前記周期方向が互いに交差する複数の前記計測マークを有することとすることができる。
これによれば、計測時間を短縮する場合には、スリットパターンを計測用パターンとして選択すればよく、投影光学系の収差の計測精度をより高めようとする場合には、ピンホールパターンを計測用パターンとして選択し、周期方向が互いに交差する複数の計測マークを用いて、計測マーク毎に投影光学系の収差の計測を行うようにすればよい。すなわち、本発明では、要求される計測時間や計測精度に応じた適切な計測を実行することができる。
また、この場合において、前記スリットパターンと前記ピンホールパターンとは、前記空間像に対して前記スリットパターンを相対的に走査する際に、前記ピンホールパターンが前記空間像に干渉することなく、かつ前記空間像に対して前記ピンホールパターンを相対走査する際に、前記スリットパターンが前記空間像に干渉することのない位置関係となるように配置されていることとすることができる。
これによれば、オペレータがいずれの計測用パターンを選択しても、計測していない方の計測用パターンを通過した光の影響を受けることなく、高精度な収差計測を行うことが可能となる。特に、計測用パターンを通過した光を検出する光センサが1つである場合には、この効果は顕著に現れる。
本発明は、第5の観点からすると、投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、前記投影光学系の有効視野内に周期パターンを含む少なくとも1つの計測マークを位置させた状態で、照明光により前記計測マークを照明して前記投影光学系により前記計測マークの空間像を形成し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で前記空間像に対して所定の計測用パターンを相対的に走査して該走査中に前記計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を、前記投影光学系の第1の収差を複数の収差量に設定したときの各々について実行する工程と;前記第1の収差を所定量だけ変化させた場合の、前記光強度信号に含まれる所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化量を評価量として少なくとも1つの第2の収差の収差量を算出する工程と;を含む第5の収差計測方法である。
これによれば、計測用パターンを投影光学系の光軸方向に関する複数の位置に位置決めする必要がないため、例えば、その位置決めを行うための検出器(例えばフォーカスセンサ)のゆらぎや非線形性等の計測精度による影響を受けることなく、収差計測を高精度、短時間に実行することができる。
この場合において、前記第2の収差が複数ある場合には、前記空間像計測を、周期パターンの周期が異なる複数の前記計測マークについて実行し、前記収差量の算出に際し、前記計測マーク毎に得られる、前記第1の収差を所定量だけ変化させた場合の前記光強度信号に含まれる所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化量と、前記各計測マークにおける複数の第2の収差各々の変化に対する第1の収差換算の前記所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化の割合とに基づいて、前記複数の第2の収差の各々の収差量を算出することとしてもよいし、前記第2の収差が複数ある場合には、前記空間像計測を、複数の光学条件の下で実行し、前記収差量の算出に際し、前記光学条件毎に得られる、前記第1の収差を所定量だけ変化させた場合の前記光強度信号に含まれる所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化量と、前記各光学条件における複数の第2の収差各々の変化に対する第1の収差換算の前記所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化の割合とに基づいて、前記複数の第2の収差の各々の収差量を算出することとしてもよい。
本発明の第5の収差計測方法では、前記第1の収差及び前記第2の収差はともに、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が偶関数で表される偶関数収差であって、前記第1の収差は前記第2の収差よりも低次の項であることとすることができる。かかる場合には、高次の偶関数収差を高精度、かつ短時間に計測することができる。
本発明の第1〜第5の収差計測方法の各々では、前記光強度信号に含まれる空間周波数成分の振幅を、その大きさの評価量とすることとしてもよいし、前記光強度信号に含まれる空間周波数成分のコントラストを、その大きさの評価量とすることとしてもよい。
ここで、コントラストとは、その空間周波数成分の振幅を、光強度信号に含まれる直流成分で除したものである。このコントラストを評価量とすることによって、例えば照明光の光源の光量変化に対する収差計測への影響を緩和することができるようになる。
本発明の第1〜第5の収差計測方法の各々では、前記計測用パターンは、前記相対走査方向に関してその幅が前記空間像の幅と同程度以下であることとすることができる。
本発明は、第6の観点からすると、マスクのパターンを、投影光学系を介して感光物体上に転写する露光方法であって、本発明の第1ないし第5の収差計測方法のいずれかによって、前記投影光学系の収差を計測する工程と;前記計測された収差に基づいて、前記投影光学系の結像特性を調整する工程と;前記調整後の前記投影光学系を介して前記パターンを前記感光物体上に転写する工程と;を含む露光方法である。
これによれば、本発明の収差計測方法によって、投影光学系の収差を精度良く計測することができ、その計測された収差に基づいて、投影光学系の結像特性を調整することができるため、結像特性が適切な状態に調整された投影光学系を介してマスクのパターンを感光物体に精度良く転写することが可能となる。
本発明は、第7の観点からすると、マスクのパターンを、投影光学系を介して感光物体上に転写する露光装置であって、周期パターンを含む少なくとも1つの計測マークが形成されたマーク形成部材と;前記マーク形成部材を照明光により照明する照明ユニットと;前記照明ユニットによる照明により前記投影光学系を介して形成された前記計測マークの空間像に対し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で、所定の計測用パターンを相対的に走査し、該走査中に前記所定の計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測装置と;前記光強度信号に含まれる所定次数の空間周波数成分の大きさに基づいて、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が偶関数で表される偶関数収差の収差量を算出する処理装置と;前記計測された収差量に基づいて、前記投影光学系の結像特性を調整する調整装置と;を備える第1の露光装置である。
これによれば、空間像計測装置によって計測された光強度信号に含まれる所定次数の基本周波数成分との大きさに基づいて、投影光学系の偶関数収差が処理装置によって精度良く算出される。さらに、算出された偶関数収差に基づいて、投影光学系の結像特性が調整装置によって調整され、結像特性が適切な状態に調整される。従って、この結像特性が調整された投影光学系を介してマスクのパターンを感光物体上に精度良く転写することが可能となる。
本発明は、第8の観点からすると、マスクのパターンを、投影光学系を介して感光物体上に転写する露光装置であって、周期パターンを含む少なくとも1つの計測マークが形成されたマーク形成部材と;前記マーク形成部材を照明光により照明する照明ユニットと;前記照明ユニットによる照明により前記投影光学系を介して形成された前記計測マークの空間像に対し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で、所定の計測用パターンを相対的に走査し、該走査中に前記所定の計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を、前記投影光学系の光軸方向に関する複数の位置について実行する空間像計測装置と;前記光強度信号に含まれる基本周波数成分の大きさが最大となる位置とその所定次数の高調波成分の大きさが最大となる位置との前記投影光学系の光軸方向に関する位置ずれに基づいて、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が偶関数で表される偶関数収差の収差量を算出する処理装置と;前記算出された収差量に基づいて、前記投影光学系の結像特性を調整する調整装置と;を備える第2の露光装置である。
これによれば、空間像計測装置によって計測された光強度信号から、基本周波数成分の大きさが最大となる位置と所定次数の空間周波数成分の大きさが最大となる位置との投影光学系の光軸方向に関する位置ずれに基づいて、投影光学系の偶関数収差が処理装置によって精度良く算出される。さらに、計測された偶関数収差に基づいて、投影光学系の結像特性が調整装置によって調整され、結像特性が適切な状態に調整される。従って、この結像特性が調整された投影光学系を介してマスクのパターンを感光物体上に精度良く転写することが可能となる。
本発明は、第9の観点からすると、マスクのパターンを、投影光学系を介して感光物体上に転写する露光装置であって、周期が異なる複数の周期パターンがそれらの周期方向と垂直な方向に並列に配置されている少なくとも1つの計測マークが形成されたマーク形成部材と;前記マーク形成部材を照明光により照明する照明ユニットと;前記照明ユニットによる照明により前記投影光学系を介して形成された前記計測マークの空間像に対し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で、前記垂直な方向における前記空間像の長さ以上の長さを前記垂直な方向に有する計測用パターンを相対的に走査し、該走査中に前記計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測装置と;前記光強度信号に含まれる前記各周期パターンの周期に対応する奇数次の空間周波数成分の位相差及び大きさの少なくとも一方に基づいて、前記投影光学系の収差量を算出する処理装置と;前記計測された収差量に基づいて、前記投影光学系の結像特性を調整する調整装置と;を備える第3の露光装置である。
これによれば、計測用パターンの長さを、周期が異なる複数の周期パターンがそれらの周期方向と垂直な方向に並列に配置されている計測マークの空間像のその垂直な方向の長さ以上としているため、この計測用パターンを用いれば、1回の走査で、すべての周期パターンを介した照明光の光強度信号を得ることができる。このようにすれば、空間像計測装置による1回の空間像計測により、処理装置によって投影光学系の収差を計測することができるようになるので、投影光学系の収差の計測に要する時間を短縮することができるようになる。
本発明は、第10の観点からすると、マスクのパターンを、投影光学系を介して感光物体上に転写する露光装置であって、線幅が異なる複数の周期パターンがそれらの周期方向に混在するように配置された少なくとも1つの計測マークが形成されたマーク形成部材と;前記マーク形成部材を照明光により照明する照明ユニットと;前記照明ユニットによる照明により前記投影光学系を介して形成された前記計測マークの空間像に対し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で、所定の計測用パターンを相対的に走査し、該走査中に前記所定の計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測装置と;前記光強度信号に含まれる、前記各周期パターンに対応する空間周波数成分の位相及び大きさの少なくとも一方に基づいて、前記投影光学系の収差量を算出する処理装置と;前記算出された収差量に基づいて、前記投影光学系の結像特性を調整する調整装置と;を備える第4の露光装置である。
これによれば、計測マークが、線幅の異なる複数の周期パターンを含むので、その空間像の中に、それぞれの周期パターンに対応する大きな空間周波数成分が含まれるようになる。そのため、投影光学系の収差量の指標となるそれらの成分の大きさが大きくなるので、求める収差量の計測値のS/N比を向上させることができるようになり、高精度に収差量を計測することができるようになる。また、計測対象となる複数の空間周波数成分の大きさを均一化させることができるようになるので、光強度信号を計測するための検出装置の非線形性の影響を低減することができるようになり、高精度に投影光学系の収差量を計測することができるようになる。そして、精度良く計測された収差に基づいて、投影光学系の結像特性が調整装置によって調整されるので、結像特性が適切な状態に調整される。従って、この結像特性が調整された投影光学系を介してマスクのパターンを感光物体に精度良く転写することが可能となる。
本発明は、第11の観点からすると、マスクのパターンを、投影光学系を介して感光物体上に転写する露光装置であって、周期パターンを含む少なくとも1つの計測マークが形成されたマーク形成部材と;前記マーク形成部材を照明光により照明する照明ユニットと;前記照明ユニットによる照明により前記投影光学系を介して形成された前記計測マークの空間像に対し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で、所定の計測用パターンを相対的に走査し、該走査中に前記所定の計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を、前記投影光学系の第1の収差を複数の収差量に設定したときの各々について実行する空間像計測装置と;前記第1の収差を所定量だけ変化させた場合の、前記光強度信号に含まれる所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化量を評価量として少なくとも1つの第2の収差の収差量を算出する処理装置と;前記算出された収差量に基づいて、前記投影光学系の結像特性を調整する調整装置と;を備える第5の露光装置である。
これによれば、計測用パターンを投影光学系の光軸方向に関する複数の位置に位置決めする必要がないため、例えば、その位置決めを行うための検出器(例えばフォーカスセンサ)のゆらぎや非線形性等の計測精度による影響を受けることなく、収差計測を、空間像計測装置及び処理装置によって、高精度、短時間に実行することができる。そして、精度良く計測された収差に基づいて、投影光学系の結像特性が調整装置によって調整されるので、結像特性が適切な状態に調整される。従って、この結像特性が調整された投影光学系を介してマスクのパターンを感光物体に精度良く転写することが可能となる。
本発明の第1ないし第5の露光装置の各々では、前記パターンが形成されたマスクを保持するマスクステージを更に備え、前記マーク形成部材は、前記マスクステージ上に配置された基準マーク板であることとすることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る露光装置の概略的な構成を示す図である。
図2は、図1のウエハステージ近傍を拡大し、Zチルトステージの駆動装置とともに示す図である。
図3は、図1の空間像計測装置の内部構成を示す図である。
図4Aは、スリット板上のスリットを示す図であり、図4Bは、空間像計測の際に得られる光電変換信号の一例を示す図である。
図5は、実際のスリット板上のスリットの配置を示す図である。
図6は、計測される光強度分布の一例を示す図である。
図7は、投影光学系のフォーカス位置に対する所定次数の空間周波数成分のコントラストカーブの一例を示す図である。
図8Aは、低次球面収差の収差量の変化と、1次の基本周波数成分のコントラストの変化との関係の一例を示す図であり、図8Bは、高次球面収差の収差量と1次の基本周波数成分のコントラストの変化との関係を示す図である。
図9Aは、各次数の空間周波数成分のコントラストカーブの一例を示す図であり、図9Bは、フォーカス差と偶関数収差の収差量との関係の一例を示す図である。
図10は、規格化された瞳位置に対する偶関数成分の各収差による位相遅れレベルの変化を示す図である。
図11は、Zによる振幅の調整を説明するための図である。
図12は、Zを変化させたときの、空間像強度の基本周波数成分の振幅をシミュレーションで計算したときの計算結果を示す図である。
図13は、Z16の収差量とZ換算でのピーク位置との相関関係を示す図である。
図14Aは、本発明の第3の実施形態に係るレチクルマーク板RFM’上の計測マーク群の一例を示す図であり、図14Bは、空間像計測を行う際のスリット板の一例を示す図である。
図15Aは、周期が異なる2つのL/Sパターンにおけるコントラストカーブの一例を示す図であり、図15Bは、フォーカス差と偶関数収差の収差量との関係の一例を示す図である。
図16Aは、レチクルマーク板RFM”の一例を示す図であり、図16Bは、レチクルマーク板RFM”の他の例を示す図であり、図16Cは、レチクルマーク板RFM”の他の例を示す図である。
図17Aは、レチクルマーク板RFM”の他の例を示す図であり、図17Bは、レチクルマーク板RFM”の他の例を示す図である。
図18は、本発明の第4の実施形態における空間像のシミュレーションの解析結果を示すグラフである。
図19は、2次高調波強調マークの設計方法を示すグラフである。
図20は、3次高調波強調マークの設計方法を示すグラフである。
図21は、4次高調波強調マークの設計方法を示すグラフである。
図22は、5次高調波強調マークの設計方法を示すグラフである。
図23は、6次高調波強調マークの設計方法を示すグラフである。
図24は、2次高調波強調マークの空間像シミュレーションの結果を示すグラフである。
図25は、3次高調波強調マークの空間像シミュレーションの結果を示すグラフである。
図26Aは、本発明の第4の実施形態に用いられる計測用パターンを示す図であり、図26Bは、スリットパターンを用いて空間像計測を行う際の様子を示す図である。
図27は、ピンホールパターンを用いて空間像計測を行う際の様子を示す図である。
図28は、フォト・マルチプライヤ・チューブの入出力特性を示すグラフである。
≪第1の実施形態≫
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図8Bに基づいて説明する。
図1には、本発明の第1の実施形態に係る露光装置10の概略的な構成が示されている。この露光装置10は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置、すなわちいわゆるスキャニング・ステッパである。
この露光装置10は、光源14及び照明光学系12を含む照明系(照明ユニット)、マスクとしてのレチクルRを保持するマスクステージとしてのレチクルステージRST、投影光学系PL、感光物体としてのウエハWを保持し図1に示されるX軸及びY軸を含むXY平面内を自在に移動可能なウエハステージWST、及びこれらを制御する制御系等を備えている。また、上記各構成部分のうち、光源14及び制御系以外の部分は、実際には、内部の温度、圧力等の環境条件が高精度に制御され一定に維持されている不図示の環境制御チャンバ(エンバイロンメンタル・チャンバ)内に収容されている。
前記光源14としては、ここでは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)を出力するエキシマレーザ光源が用いられている。この光源14は、実際には、上記環境制御チャンバが設置されるクリーンルームとは別のクリーン度の低いサービスルーム等に設置されており、不図示の送光光学系を介して環境制御チャンバ内部の照明光学系12に接続されている。光源14は、主制御装置50によってそのレーザ発光のオン・オフや、中心波長、スペクトル半値幅、繰り返し周波数などが制御される。なお、光源として、KrFエキシマレーザ(発振波長248nm)の光源等を用いることもできる。
前記照明光学系12は、ビーム整形光学系18、オプティカルインテグレータ(ホモジナイザ)としてのフライアイレンズ22、照明系開口絞り板24、第1リレーレンズ28A及び第2リレーレンズ28Bから成るリレー光学系、固定レチクルブラインド30A、可動レチクルブラインド30B、ミラーM、及びコンデンサレンズ32等を備えている。なお、オプティカルインテグレータとして、ロッド型(内面反射型)インテグレータ、あるいは回折光学素子等を用いてもよい。
前記ビーム整形光学系18内には、光源14でパルス発光されたレーザビームLBの断面形状を、該レーザビームLBの光路後方に設けられたフライアイレンズ22に効率良く入射するように整形するための、例えばシリンダレンズやビームエキスパンダ(いずれも図示省略)等が含まれている。
前記フライアイレンズ22は、ビーム整形光学系18から出たレーザビームLBの光路上に配置され、レチクルRを均一な照度分布で照明するために多数の点光源(光源像)からなる面光源、即ち2次光源を形成する。この2次光源から射出されるレーザビームを、以下においては、「照明光IL」と呼ぶものとする。
フライアイレンズ22の射出側焦点面の近傍には、円板状部材から成る照明系開口絞り板24が配置されている。この照明系開口絞り板24には、ほぼ等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り(通常絞り)、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り(輪帯絞り)、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り(例えばSHRINCとも呼ばれる四重極照明絞り)等が配置されている。この照明系開口絞り板24は、主制御装置50により制御されるモータ等の駆動装置40により回転されるようになっており、この回転動作により、いずれかの開口絞りが照明光ILの光路上に選択的に設定される。
なお、この開口絞り板24の代わりに、あるいはそれと組み合わせて、例えば照明光学系12内で光源14とオプティカルインテグレータ22との間に配置される光学ユニット(成形光学系)を用いて、照明光学系12の瞳面上での照明光ILの光量分布(2次光源の大きさや形状)、即ちレチクルRの照明条件を変更し、その変更時における光量損失を抑える(照明光の利用効率を向上させる)ようにしても良い。この成形光学系は、例えば照明光学系12内に交換可能に配置され、かつ照明光学系12の瞳面上で形状、大きさ及び位置の少なくとも1つが異なる領域にそれぞれ回折光を分布させる複数の回折光学素子と、照明光学系12の光軸AXと平行な方向に関する間隔が可変な複数のプリズム(例えば円錐型、V型あるいは角錐型など)と、ズーム光学系(アフォーカル系)とを含むものである。また、本第1の実施形態ではオプティカルインテグレータ22としてフライアイレンズを用いるものとしているので、不図示のレンズ系によってフライアイレンズにほぼ平行な光束を入射させているが、内面反射型インテグレータ(ロッド・インテグレータ)を用いる場合には、不図示のレンズ系によって照明光IL(回折光)を集光して内面反射型インテグレータに入射させることになる。このとき、不図示のレンズ系による照明光ILの集光点は内面反射型インテグレータの入射面からずらしておくと良い。
照明系開口絞り板24から出た照明光ILの光路上に、反射率が小さく透過率の大きなビームスプリッタ26が配置され、更にこの後方の光路上に、レチクルブラインド30A、30Bを介在させてリレー光学系(28A,28B)が配置されている。
固定レチクルブラインド30Aは、レチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置されており、その固定レチクルブラインド30Aには、レチクルR上での照明領域IARを規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レチクルブラインド30Aの近傍には、走査露光時の走査方向(ここではY軸方向とする)及び、これに直交する非走査方向(X軸方向)に光学的にそれぞれ対応する位置及び幅が可変の開口部を有する可動レチクルブラインド30Bが配置されている。走査露光の開始時及び終了時において、主制御装置50からの指示により、固定レチクルブラインド30Aによって規定されている照明領域IARが、可動レチクルブラインド30Bによって更に制限されることによって、不要な部分(後述するレチクルR上の回路パターン等の転写すべき部分以外の部分)の露光が防止されるようになっている。また、本第1の実施形態では、可動レチクルブラインド30Bは、後述する空間像計測の際の照明領域の設定にも用いられる。
一方、照明光学系12内のビームスプリッタ26で反射された照明光ILの光路上には、集光レンズ44、受光素子から成るインテグレータセンサ46が配置されている。この場合、インテグレータセンサ46の受光素子としては、例えば遠紫外域で感度が良く、かつ光源14のパルス発光を検出するために高い応答周波数を有するPIN型フォトダイオード等が用いられる。
このようにして構成された照明系の作用を簡単に説明すると、光源14からパルス発光されたレーザビームLBは、ビーム整形光学系18に入射し、ここで後方のフライアイレンズ22に効率よく入射するようにその断面形状が整形された後、フライアイレンズ22に入射する。これにより、フライアイレンズ22の射出側焦点面(照明光学系12の瞳面)に2次光源が形成される。この2次光源から射出された照明光ILは、照明系開口絞り板24上のいずれかの開口絞りを通過した後、透過率が大きく反射率が小さなビームスプリッタ26に至る。このビームスプリッタ26を透過した照明光ILの大部分は、第1リレーレンズ28Aを経て固定レチクルブラインド30Aの矩形の開口部及び可動レチクルブラインド30Bの開口を通過し、さらに第2リレーレンズ28Bを通過してミラーMによって光路が垂直下方に折り曲げられた後、コンデンサレンズ32を経て、レチクルR上でのX軸方向に細長く延びるスリット状照明領域IARを均一な照度分布で照明する。
一方、ビームスプリッタ26で反射された照明光ILの一部は、集光レンズ44を介してインテグレータセンサ46で受光され、インテグレータセンサ46の光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を有する信号処理装置80を介して主制御装置50に供給される。本第1の実施形態では、インテグレータセンサ46の計測値は、露光量制御に用いられる他、投影光学系PLに対する照射量の計算に用いられ、この照射量は、ウエハ反射率(これは、インテグレータセンサの出力と不図示の反射率モニタの出力とに基づいて求めることもできる)とともに、投影光学系PLの照明光吸収による結像特性の変化量の算出にも用いられる。
本第1の実施形態では、主制御装置50によって、その照射量がインテグレータセンサ46の出力に基づいて所定の時間間隔で計算され、その計算結果が照射履歴として、後述するメモリ51内に記憶されるようになっている。
前記レチクルステージRST上には、レチクルRが、例えば真空吸着(又は静電吸着)により固定されている。レチクルステージRSTは、ここでは、リニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系56Rにより、後述する投影光学系PLの光軸AXに垂直なXY平面内で2次元的に(X軸方向及びこれに直交するY軸方向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向(θz方向)に)微少駆動可能であるとともに、レチクルステージRSTの基盤であるレチクルベースRBS上をY軸方向に指定された走査速度で移動可能となっている。
また、レチクルステージRST上には、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)54Rからのレーザビームを反射する移動鏡52Rが固定されており、レチクルステージRSTのXY面内の位置はレチクル干渉計54Rによって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。ここで、実際には、レチクルステージRST上には走査露光時の走査方向(Y軸方向)に直交する反射面を有する移動鏡(又はレトロリフレクタ)と非走査方向(X軸方向)に直交する反射面を有する移動鏡とが設けられ、レチクル干渉計54RはY軸方向に少なくとも2軸、X軸方向に少なくとも1軸設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡52R、レチクル干渉計54Rとして示されている。
レチクル干渉計54RからのレチクルステージRSTの位置情報は、ステージ制御装置70、及びこれを介して主制御装置50に送られる。ステージ制御装置70は、主制御装置50の指示により、レチクルステージ駆動系56Rを介してレチクルステージRSTの移動を制御する。なお、移動鏡52RをレチクルステージRSTに固定する代わりに、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して前述の反射面を形成しても良い。
また、レチクルステージRSTの−Y側端部近傍には、空間像計測用基準マークが形成されたマーク形成部材としてのレチクルフィデューシャルマーク板(以下、「レチクルマーク板」と略述する)RFMが、レチクルRと並ぶように配置されている。このレチクルマーク板RFMは、レチクルRと同材質のガラス素材、例えば合成石英やホタル石、フッ化リチウムその他のフッ化物結晶などから構成されており、レチクルステージRSTに固定されている。なお、このレチクルマーク板RFMの具体的構成等については後述する。レチクルステージRSTは、レチクルRの全面とレチクルマーク板RFMの全面とが少なくとも投影光学系PLの光軸AXを横切ることができる程度のY軸方向の移動ストロークを有している。
また、レチクルステージRSTには、レチクルR及びレチクルマーク板RFMの下方に、開口がそれぞれ形成されている。後述するように、これらの開口は照明光ILの通路となる。また、レチクルベースRBSの投影光学系PLのほぼ真上の部分(光軸AXを中心とする部分)にも、照明光ILの通路となる、少なくとも照明領域IARより大きな長方形状の開口が形成されている。
また、露光装置10では、レチクルRの上方には、投影光学系PLを介してレチクルR上又はレチクルマーク板RFM上のマークと、ウエハステージWST上の後述する基準マーク板(不図示)上の基準マークとを同時に観察するための露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント検出系(以下、便宜上「RA検出系」と呼ぶ)が設けられていてもよい。これらのRA検出系の検出信号は、不図示のアライメント制御装置を介して、主制御装置50に供給されるようになっている。この場合、レチクルRからの検出光をそれぞれのRA検出系に導くための不図示の偏向ミラーが移動自在に配置され、露光工程が開始されると、主制御装置50からの指令のもとで、不図示のミラー駆動装置により偏向ミラーが待避される。なお、RA検出系と同等の構成は、例えば特開平7−176468号公報及びこれに対応する米国特許第5,646,413号等に開示されており、公知であるからここでは詳細な説明を省略する。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
前記投影光学系PLは、レチクルベースRBSの図1における下方に配置されている。その光軸AXの方向をZ軸方向とする。投影光学系PLは、ここでは両側テレセントリックな縮小系であり、光軸AX方向に沿って所定間隔で配置された複数枚、例えば8枚のレンズエレメント13、13、……、13(図2参照)から成る屈折光学系が使用されている。この投影光学系PLの投影倍率は、例えば1/4(又は1/5)等となっている(以下の説明では、1/4であるとする)。このため、照明光学系12からの照明光ILによってレチクルR上でのスリット状照明領域IARが照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してそのスリット状照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(部分倒立像)が、表面にフォトレジストが塗布されたウエハW上の前記照明領域IARと共役な露光領域IAに形成される(図1参照)。
図2に示されるように、投影光学系PLを構成するレンズエレメント13、13、……、13のうち、その一部、例えばレンズエレメント13、13は、それぞれ複数の駆動素子(例えばピエゾ素子など)20によって光軸AX方向及びXY面に対する傾斜方向に微小駆動可能に構成されている。また、レンズエレメント13、13の間、レンズエレメント13、13の間には、それぞれ密閉状態とされた第1、第2密閉室34、36が形成されている。これら第1、第2密閉室34、36内には、不図示のガス供給機構から圧力調整機構41を介してクリーンな気体、例えば窒素が供給されるようになっている。
本第1の実施形態では、各駆動素子20に与えられる駆動電圧(駆動素子の駆動量)と、第1、第2密閉室34、36内部の気体の圧力(以下、適宜「内部の圧力」又は「内部圧力」という)を調整する圧力調整機構41とが、主制御装置50からの指令に応じて結像特性補正コントローラ78により制御される。これによって、投影光学系PLの結像特性、例えば、像面湾曲、ディストーション、倍率、コマ収差、非点収差、球面収差等が補正される。なお、係る結像特性を調整する結像特性調整機構は、レンズエレメント13のような可動レンズエレメントのみによって構成しても良く、その可動レンズエレメントの数は任意で良い。但し、この場合、可動レンズエレメントの数が、フォーカスを除く、投影光学系PLの結像特性の補正可能な種類に対応するので、補正が必要な結像特性の種類に応じて可動レンズエレメントの数を定めれば良い。このとき、補正が必要な結像特性の種類(数)よりも可動レンズエレメントの数を少なくとも1つ多くし、複数の可動レンズエレメントの駆動による結像特性の調整時に、その少なくとも1つの可動レンズエレメントによって投影光学系PLの波面収差を小さくするようにしても良い。また、本第1の実施形態の結像特性調整機構の構成はこれらに限定されるものではなく任意で構わない。
図1に戻り、前記ウエハステージWSTは、XYステージ42と、該XYステージ42上に搭載されたZチルトステージ38とを含んで構成されている。
前記XYステージ42は、ウエハステージWSTの基盤であるウエハベース16の上面の上方に不図示のエアベアリングによって例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。さらに、XYステージ42は、ウエハステージ駆動系56Wを構成する不図示のリニアモータ等によって走査方向であるY軸方向(図1における紙面内左右方向)及びこれに直交するX軸方向(図1における紙面直交方向)に2次元駆動可能に構成されている。このXYステージ42上にZチルトステージ38が搭載され、該Zチルトステージ38上にウエハホルダ25が載置されている。このウエハホルダ25によって、ウエハWが真空吸着等により保持されている。
Zチルトステージ38は、図2に示されるように、3つのZ位置駆動部27A、27B、27C(但し、紙面奥側のZ位置駆動部27Cは不図示)によってXYステージ42上に3点で支持されている。これらのZ位置駆動部27A〜27Cは、Zチルトステージ38下面のそれぞれの支持点を投影光学系PLの光軸方向(Z軸方向)に独立して駆動する3つのアクチュエータ(例えばボイスコイルモータなど)21A、21B、21C(但し、図2における紙面奥側のアクチュエータ21Cは不図示)と、Zチルトステージ38のZ位置駆動部27A、27B、27Cによる各支持点のアクチュエータ21A、21B、21CによるZ軸方向の駆動量(基準位置からの変位)を検出するエンコーダ23A〜23C(但し、図2における紙面奥側のエンコーダ23Cは不図示)とを含んで構成されている。
ここで、エンコーダ23A〜23Cとしては、例えば光学式又は静電容量式等のリニアエンコーダが使用されている。本第1の実施形態では、上記アクチュエータ21A、21B、21Cによって、Zチルトステージ38を、光軸AX方向(Z軸方向)及び光軸に直交する面(XY面)に対する傾斜方向、すなわちX軸回りの回転方向であるθx方向、Y軸回りの回転方向であるθy方向に駆動する。また、エンコーダ23A〜23Cで計測されるZチルトステージ38のZ位置駆動部27A、27B、27Cによる各支持点のZ軸方向の駆動量(基準点からの変位量)は、ステージ制御装置70及びこれを介して主制御装置50に供給される。主制御装置50は、Zチルトステージ38のZ軸方向の位置及びレベリング量(θx回転量、θy回転量)を算出する。なお、図1では、XYステージ42を駆動するリニアモータ等、及びZ位置駆動部27A〜27C(アクチュエータ21A〜21C及びエンコーダ23A〜23C)がまとめてウエハステージ駆動系56Wとして示されている。
前記Zチルトステージ38上には、ウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)54Wからのレーザビームを反射する移動鏡52Wが固定されている。ウエハ干渉計54Wによって、Zチルトステージ38(ウエハステージWST)のXY面内の位置が、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されるようになっている。
ここで、実際には、Zチルトステージ38上には、走査露光時の走査方向であるY軸方向に直交する反射面を有する移動鏡と非走査方向であるX軸方向に直交する反射面を有する移動鏡とが設けられ、これに対応してウエハ干渉計もX軸方向、Y軸方向にそれぞれ複数軸設けられ、Zチルトステージ38の5自由度方向(X軸方向、Y軸方向、θx方向、θy方向、θz方向)の位置が計測可能となっているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡52W、ウエハ干渉計54Wとして示されている。ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)は、ステージ制御装置70、及びこれを介して主制御装置50に供給されるようになっている。ステージ制御装置70は、主制御装置50の指示に応じてウエハステージ駆動系56Wを介してウエハステージWSTのXY面内の位置を制御する。なお、移動鏡52WをZチルトステージ38に固定する代わりに、ウエハステージWST、例えばZチルトステージ38の端面を鏡面加工して前述の反射面を形成するようにしてもよい。
また、Zチルトステージ38の内部には、投影光学系PLの光学特性の計測に用いられる空間像計測装置59を構成する光学系の一部が配置されている。ここで、この空間像計測装置59の構成について詳述する。この空間像計測装置59は、図3に示されるように、Zチルトステージ38に設けられたステージ側構成部分、すなわちパターン形成部材としてのスリット板90、レンズ84、86から成るリレー光学系、光路折り曲げ用のミラー88、送光レンズ87と、ウエハステージWST外部に設けられたステージ外構成部分、すなわちミラー96、受光レンズ89、光電変換素子から成る光センサ94等とを備えている。
これを更に詳述すると、スリット板90は、図3に示されるように、ウエハステージWSTの一端部上面に設けられた上部が開口した突設部58に対し、その開口を塞ぐ状態で上方から嵌め込まれている。このスリット板90は、平面視長方形状の受光ガラス82の上面に遮光膜を兼ねる反射膜83が形成され、その反射膜83の一部に所定の計測用パターンとしての所定幅2Dのスリット状の開口パターン(以下、「スリット」と呼ぶ)122が形成されている。
前記受光ガラス82の素材としては、ここでは、ArFエキシマレーザ光の透過性の良い、合成石英、あるいはホタル石などが用いられる。
スリット122下方のZチルトステージ38内部には、スリット122を介して鉛直下向きに入射した照明光束(像光束)の光路を水平に折り曲げるミラー88を介在させてレンズ84、86から成るリレー光学系(84、86)が配置されている。また、このリレー光学系(84、86)の光路後方のウエハステージWSTの+Y側の側壁には、リレー光学系(84、86)によって所定の光路長分リレーされた照明光束をウエハステージWSTの外部に送光する送光レンズ87が固定されている。
送光レンズ87によってウエハステージWSTの外部に送り出される照明光束の光路上には、X軸方向に所定長さを有するミラー96が傾斜角45°で斜設されている。このミラー96によって、ウエハステージWSTの外部に送り出された照明光束の光路が鉛直上方に向けて90°折り曲げられるようになっている。この折り曲げられた光路上に送光レンズ87に比べて大径の受光レンズ89が配置されている。この受光レンズ89の上方には、光センサ94が配置されている。これら受光レンズ89及び光センサ94は、所定の位置関係を保ってケース92内に収納されている。ケース92は、取付け部材93を介してウエハベース16の上面に植設された支柱97の上端部近傍に固定されている。
前記光センサ94としては、微弱な光を精度良く検出することが可能な光電変換素子(受光素子)、例えばフォト・マルチプライヤ・チューブ(PMT、光電子増倍管)などが用いられる。光センサ94からの光電変換信号Pは、図1の信号処理装置80を介して主制御装置50に送られるようになっている。なお、信号処理装置80は、例えば増幅器、サンプルホルダ、A/Dコンバータ(通常16ビットの分解能のものが用いられる)などを含んで構成することができる。
なお、前述の如く、スリット122は反射膜83に形成されているが、以下においては、便宜上スリット板90にスリット122が形成されているものとして説明を行う。なお、スリット122の配置及び寸法については、後述する。
上述のようにして構成された空間像計測装置59によると、後述する、レチクルマーク板RFMに形成された計測マークPMの投影光学系PLを介して得られる投影像(空間像)の計測の際に、投影光学系PLを透過してきた照明光ILによって空間像計測装置59を構成するスリット板90が照明されると、そのスリット板90上のスリット122を透過した照明光ILがレンズ84、ミラー88及びレンズ86、送光レンズ87を介してウエハステージWSTの外部に導き出される。そして、そのウエハステージWSTの外部に導き出された光は、ミラー96によって光路が鉛直上方に折り曲げられ、受光レンズ89を介して光センサ94によって受光され、該光センサ94からその受光量に応じた光電変換信号(光量信号)Pが信号処理装置80を介して主制御装置50に出力される。
本第1の実施形態では、計測マークの投影像(空間像)の計測がスリットスキャン方式によって実行されるので、その際には、送光レンズ87が、受光レンズ89及び光センサ94に対して移動することになる。そこで、空間像計測装置59では、所定の範囲内で移動する送光レンズ87を介した光がすべて受光レンズ89に入射するように、各レンズ、及びミラー96の大きさが設定されている。
このように、空間像計測装置59では、スリット板90、レンズ84、86、ミラー88、及び送光レンズ87により、スリット122を介した光をウエハステージWST外に導出する光導出部が構成され、受光レンズ89及び光センサ94によって、ウエハステージWST外へ導出された光を受光する受光部が構成されている。この場合、これら光導出部と受光部とは、機械的に分離されている。そして、空間像計測に際してのみ、光導出部と受光部とは、ミラー96を介して光学的に接続される。
すなわち、空間像計測装置59では、光センサ94がウエハステージWSTの外部の所定位置に設けられているため、光センサ94の発熱に起因するウエハ干渉計54Wの計測精度等に及ぼす悪影響を可能な範囲で抑制するようにしている。また、ウエハステージWSTの外部と内部とがライトガイド等によって接続されていないので、ウエハステージWSTの外部と内部とがライトガイドによって接続された場合のようにウエハステージWSTの駆動精度がそのライトガイドによって悪影響を受けることはない。
勿論、熱の影響等を無視、あるいは排除できるような場合には、光センサ94をウエハステージWSTの内部に設けてもよい。なお、空間像計測装置59を用いて行われる空間像計測及び収差計測方法などについては、後に詳述する。
図1に戻り、投影光学系PLの側面には、ウエハW上のアライメントマーク(位置合わせマーク)又は位置制御の基準となる基準マークを検出するマーク検出系としてのオフアクシス・アライメント系ALGが設けられている。本第1の実施形態では、このアライメント系ALGとして、画像処理方式のアライメントセンサ、いわゆるFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。このアライメント系ALGは、アライメント用光源と、ハーフミラー及び対物レンズ群から成る光学系、指標マークが形成されている指標板、撮像素子(CCD)等を含んで構成されている。アライメント用光源として、ブロードバンドの照明光を出射するハロゲンランプ等が用いられる。このアライメント用光源からの照明光により、光学系を介してウエハW上のアライメントマークが照明され、そのアライメントマークからの反射光を、光学系及び指標板を介して撮像素子が受光する。これにより、撮像素子の受光面に、そのアライメントマークの明視野像(指標マークの像を含む)が結像される。そして、この明視野像に対応する光電変換信号、すなわちアライメントマークの反射像に対応する光強度信号が撮像素子から不図示のアライメント制御装置を介して主制御装置50に供給される。主制御装置50は、この光強度信号に基づき、アライメント系ALGの検出中心(前述の指標マークの中心に相当する)を基準とするウエハW上のアライメントマークの位置を算出するとともに、その算出結果とそのときのウエハ干渉計54Wの出力であるウエハステージWSTの位置情報とに基づいて、ウエハ干渉計54Wの光軸で規定されるステージ座標系におけるアライメントマークの座標位置を算出するようになっている。
さらに、本第1の実施形態の露光装置10では、図1に示されるように、照射系60a及び受光系60bから成る斜入射方式の多点焦点位置検出系(60a,60b)が設けられている。照射系60aは、主制御装置50によってそのオン・オフが制御される光源を有しており、投影光学系PLの結像面に向けて多数のピンホール又はスリットの像を形成するための結像光束を、光軸AXに対して斜め方向よりウエハWの表面に照射する。受光系60bは、それらの結像光束がウエハW表面で反射することによって発生する反射光束を受光し、主制御装置50に対して焦点ずれを検出するための焦点ずれ信号を送信する。なお、この多点焦点位置検出系(60a、60b)と、同様の多点焦点位置検出系の詳細な構成は、例えば特開平6−283403号公報及びこれに対応する米国特許第5,448,332号公報等に開示されているため、その構成についての詳細な説明を省略する。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記各米国特許における開示を援用して本明細書の一部とする。
主制御装置50は、後述する走査露光時等に、受光系60bからの焦点ずれ信号(デフォーカス信号)、例えばSカーブ信号に基づいて、投影光学系PLの焦点ずれが零となるように、ウエハステージ駆動系56Wを介してZチルトステージ38のZ軸方向への移動及び傾斜(すなわち、θx,θy方向の回転)を制御する。すなわち、主制御装置50は、多点焦点位置検出系(60a、60b)を用いてZチルトステージ38の移動を制御することにより、照明光ILの照射領域である露光領域IA(照明領域IARと結像関係にある)内で投影光学系PLの結像面とウエハWの表面とを実質的に合致させるオートフォーカス(自動焦点合わせ)及びオートレベリングを実行する。なお、投影光学系PLのフォーカスが変動した場合、主制御装置50は、例えば、受光系60b内の図示しない平行平板の反射光束の光軸に対する傾きを制御することにより投影光学系PLのフォーカス変動量に応じて多点焦点位置検出系(60a、60b)に原点の再設定を行ってそのキャリブレーションを行うようになっている。
また、前述した不図示の環境制御チャンバ内の投影光学系PL近傍には、大気圧変動や、温度変動を検知する環境センサ81が設けられている。この環境センサ81による計測結果は主制御装置50に供給されている。
前記制御系は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)から成る主制御装置50を中心として、該主制御装置50の制御下にあるステージ制御装置70などを含んで構成されている。また、主制御装置50が読み書き可能な記憶装置としてのメモリ51が設けられている。このメモリ51内には、本第1の実施形態の収差計測方法によって求められた投影光学系PLの収差量などが記憶される。
次に、本第1の実施形態の露光装置10における走査露光動作について簡単に説明する。
まず、不図示のレチクル搬送系により回路パターンが形成されたレチクルRが搬送され、ローディングポジションにあるレチクルステージRSTにレチクルRが吸着保持される。次に、主制御装置50は、レチクルRを用いた露光に最適な照明条件をオペレータの指示に基づいて設定する。
次いで、主制御装置50の指示の下、ステージ制御装置70によりウエハステージWST及びレチクルステージRSTの位置が制御され、主制御装置50により、レチクルR上に形成された不図示のレチクルアライメントマークの投影像(空間像)が空間像計測装置59を用いて後述するようにして計測され、レチクルパターン像の投影位置が求められる。すなわち、レチクルアライメントが行われる。なお、レチクルアライメントは、前述の一対のRA検出系(不図示)により、レチクルR上の一対のレチクルアライメントマーク(不図示)の像とウエハステージWST上の基準マーク板(不図示)に形成されたレチクルアライメント用基準マークの投影光学系PLを介した像とを同時に観察し、両マーク像の相対位置関係と、そのときのレチクル干渉計54R及びウエハ干渉計54Wの計測値とに基づいてレチクルパターン像の投影位置を求めることにより行ってもよい。
次に、主制御装置50によって、スリット板90がアライメント系ALGの直下へ位置するように、ウエハステージWSTが移動され、アライメント系ALGによって空間像計測装置59の位置基準となるスリット122が検出される。主制御装置50は、このアライメント系ALGの検出信号及びそのときのウエハ干渉計54Wの計測値、並びに先に求めたレチクルパターン像の投影位置に基づいて、レチクルRのパターン像の投影位置とアライメント系ALGとの相対位置、すなわちアライメント系ALGのベースラインを求める。なお、ベースライン計測ではスリット122の代わりに、ウエハステージWST上の基準マーク板(不図示)に形成されたベースライン計測用基準マークを用いても良い。
かかるベースライン計測が終了すると、主制御装置50により、例えば特開昭61−44429号公報及びこれに対応する米国特許4,780,617号などに詳細に開示されるEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)等のウエハアライメントが行われ、ウエハW上の全てのショット領域の位置が求められる。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記各米国特許における開示を援用して本明細書の一部とする。なお、このウエハアライメントの際には、ウエハW上の複数のショット領域のうちの予め定められた所定のサンプルショットのウエハアライメントマークが、アライメント系ALGを用いて、前述したように計測される。
次いで、主制御装置50は、上で求めたウエハW上の各ショット領域の位置情報及びベースラインに基づいて、干渉計54W、54Rからの位置情報をモニタしつつ、ウエハステージWSTを第1ショット領域の走査開始位置(加速開始位置)に移動するとともに、レチクルステージRSTを走査開始位置(加速開始位置)に移動して、その第1ショット領域の走査露光を行う。
具体的には、主制御装置50は、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとをY軸方向に互いに逆向きに移動させることによって相対走査を開始させる。両ステージRST、WSTがそれぞれの目標走査速度に達すると、照明光ILによってレチクルRのパターン領域が照明され始め、走査露光が開始される。なお、この走査露光の開始に先立って、光源14の発光は開始されており、主制御装置50によって可動レチクルブラインド30Bの各ブレードの移動がレチクルステージRSTの移動に対して同期制御されている。これにより、レチクルR上のパターン領域外への照明光ILの照射が遮光される。
主制御装置50は、上述の走査露光時には、レチクルステージRSTのY軸方向の移動速度VrとウエハステージWSTのY軸方向の移動速度Vwとが前述の投影光学系PLの投影倍率に応じた速度比に維持されるようにレチクルステージRST及びウエハステージWSTを同期制御する。
そして、レチクルRのパターン領域の異なる領域が、照明光ILで逐次照明され、パターン領域全面に対する照明が完了することにより、ウエハW上の第1ショット領域の走査露光が終了する。これにより、レチクルRの回路パターンが投影光学系PLを介して第1ショット領域に縮小転写される。
こうして第1ショット領域の走査露光が終了すると、ウエハステージWSTを次の第2ショット領域の走査開始位置(加速開始位置)へ移動させるショット間のステッピング動作を行う。そして、その第2ショット領域に対する走査露光を上述と同様にして行う。以後、第3ショット領域以降のショット領域に対する走査露光も同様にして行う。
このようにして、ショット間のステッピング動作とショットの走査露光動作とが繰り返され、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の全てのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。
なお、上記の走査露光中には、投影光学系PLに一体的に取付けられた多点焦点位置検出系(60a、60b)を用いて、前述したオートフォーカス、オートレベリングが行われる。
ところで、上述した走査露光動作において、レチクルRのパターンとウエハW上のショット領域に既に形成されたパターンとを正確に重ね合わせるためには、投影光学系PLの収差やベースラインが正確に計測されていること、及び投影光学系PLの結像特性が適切な状態に調整されていることなどが重要である。このような投影光学系PLの収差には、球面収差や、フォーカス等の偶関数収差が含まれる。なお、偶関数収差とは、波面収差を表すフリンジツェルニケ多項式の各項の動径関数が偶関数で表される収差である。
本第1の実施形態では、上記の球面収差等の偶関数収差の計測に、前述した空間像計測装置59が用いられる。以下、この空間像計測装置59による空間像計測、及び投影光学系PLの偶関数収差の計測等について詳述する。
図3には、空間像計測装置59を用いて、レチクルマーク板RFMに形成された計測マークPMの空間像が計測されている最中の状態が示されている。なお、レチクルマーク板RFMに代えて、空間像計測専用のレチクル、あるいはデバイスの製造に用いられるレチクルRに専用の計測マークを形成したものなどを用いることも可能である。ここで、レチクルマーク板RFMには、所定の箇所にY軸方向に周期性を有するライン部の幅とスペース部の幅との比(デューティ比)が1:1のラインアンドスペース(L/S)パターン(周期パターン)から成る計測マークPMが形成されているものとする。なお、このような計測マークPMは、レチクルマーク板RFM上に複数設けられていても良い。
ここで、空間像計測装置59を用いた空間像計測の方法について簡単に説明する。なお、スリット板90には、例えば図4Aに示されるように、X軸方向に延びる所定幅2Dのスリット122が形成されているものとする。
空間像の計測にあたり、主制御装置50によって、可動レチクルブラインド30Bが不図示のブラインド駆動装置を介して駆動され、図3に示されるように、レチクルRの照明光ILの照明領域が計測マークPMを含む所定領域のみに制限される。
この状態で、照明光ILがレチクルマーク板RFMに照射されると、図4Aに示されるように、計測マークPMによって回折、散乱した光(照明光IL)は、投影光学系PLにより屈折され、該投影光学系PLの像面に計測マークPMの空間像(投影像)PM’が形成される。このとき、ウエハステージWSTは、空間像計測装置59のスリット板90上のスリット122の+Y側(−Y側でもよい)に前記空間像PM’が形成される位置に設定されているものとする。このときの空間像計測装置59の投影光学系PL側から見たときの上面図が図4Aに示されている。なお、投影光学系PLの投影倍率が1/4であるとすると、この空間像PM’の周期は、計測マークPMのL/Sパターンの周期の1/4となる。なお、以下の説明では、計測マーク等の周期(ピッチ)は、この空間像の周期を指しているものとする。
そして、主制御装置50によって、ウエハステージ駆動系56Wを介してウエハステージWSTが図4A中に矢印Fで示されるように+Y方向に駆動されると、スリット122が空間像PM’に対してY軸方向に走査される。この走査中に、スリット122を通過する光(照明光IL)がウエハステージWST内の光導出部、ミラー96、受光レンズ89を介して光センサ94で受光され、その光電変換信号Pが信号処理装置80を介して主制御装置50に供給される。主制御装置50は、その光電変換信号Pに基づいて空間像PM’に対応する光強度分布を取得する。
図4Bには、上記の空間像計測の際に得られる光電変換信号(光強度信号)Pの一例が示されている。この場合、空間像PM’は、スリット122の走査方向(Y軸方向)の幅(2D)の影響で像が平均化する。
従って、スリット122をp(y)とし、空間像の強度分布をi(y)とし、観測される光強度信号をm(y)とすると、空間像の強度分布i(y)と観測される強度信号m(y)との関係は、以下の式(2)で表される。なお、この式(2)において、強度分布i(y)、強度信号m(y)の単位は、単位長さ当たりの強度であり、u軸は、y軸と同一の座標軸であるとする。
Figure 2004059710
但し、スリット122の関数p(y)は、以下の式(3)で表される。
Figure 2004059710
すなわち、観測される強度信号m(y)は、スリットの関数p(y)と空間像の強度分布i(y)とのコンボリューションになる。
従って、計測精度の面からは、スリット122の走査方向(Y軸方向)の幅(以下、単に「スリット幅」と呼ぶ)2Dは小さい程良い。本第1の実施形態のように、フォト・マルチプライヤ・チューブ(PMT)を光センサ94として用いる場合には、スリット幅が非常に小さくなっても走査速度を遅くして計測に時間をかければ光量(光強度)の検出は可能である。しかしながら、現実には、スループットの面から空間像計測時の走査速度に一定の制約があるため、スリット幅2Dがあまりにも小さいと、スリット122を透過する光量が小さくなり過ぎて、計測が困難となってしまう。
なお、実際には、空間像計測装置59を構成するスリット板90上には、図5に示されるように、X軸方向に伸びる所定幅2D、長さLのスリット122aと、Y軸方向に伸びる所定幅2D、長さLのスリット122bとが形成されている。ここで、2Dは例えば200nm以下に設定されており、Lは例えば16μmに設定され、図4Aに示されるように、計測マークのラインパターンの長さより短くなるように設定されている。また、スリット122bはスリット122aの−X側及び+Y側に約4μmそれぞれ隔てて配置されている。また、空間像計測装置59では、ウエハステージWSTの内部の光導出部、ミラー96及び受光レンズ89を介して、光センサ94によりスリット122a、122bのいずれを透過した光をも受光が可能になっているものとする。なお、以下では、特に必要が無い限り、スリット122a、122bを区別することなくスリット122と呼ぶ。
以上述べたように、空間像計測装置59を用いた上述の空間像計測動作によって、計測マークPMの空間像(投影像)PM’における光強度分布を計測することができる。本第1の実施形態では、計測された光強度分布に基づいて、投影光学系PLの偶関数収差、例えば球面収差を計測する。
ここで、計測マークPMの空間像PM’におけるY軸方向の複素振幅分布をo(y)とし、その空間周波数スペクトルをO(s)とする(sは、空間周波数軸の流通座標である)。計測マークPMの空間像PM’の周期パターンに含まれる空間周波数成分のうち、2つの空間周波数成分をそれぞれf’、f”とすると、そのスペクトルO(f’)、O(f”)とのビートによって生じる干渉縞に、ある重みを掛けたものを全体の空間周波数で積分したものが計測マークPMの空間像PM’の強度分布i(y)となる。この重みをクロスモジュレーション係数(The Cross modulation coefficient)というが、このクロスモジュレーション係数は、以下の式(4)によって定義される。
Figure 2004059710
ここで、Fは投影光学系PLの射出瞳における瞳関数であり(は複素共役を示す)、σ(ξ,η)は有効光源である。なお、ξ、ηは、投影光学系PLの射出瞳上における直交座標軸である。
従って、部分コヒーレント照明による計測マークPMの結像式は、以下の式(5)によって表される。
Figure 2004059710
図4Aに示されるように、計測マークPMの投影像である空間像PM’の周期がP=1/fであり、50%デューティ(ラインとスペースの幅が同じ)であるとする。空間像PM’の周期Pに対応する空間周波数成分を基本周波数成分とした場合のN次の高調波成分(Nは奇数)の強度IhN_even(y)は、以下の式(6)で示される。なお、この場合、fは空間像PM’の基本周波数である。
Figure 2004059710
従って、投影光学系PLの偶関数収差の収差量をexp(iφN_even)とすると、コヒーレント照明での前述の強度IhN_even_coh(y)は、上述の式(6)から、以下の式(7)で示される。
Figure 2004059710
上記式(7)から明らかなように、偶関数収差によって、基本周波数成分のN次の高調波成分の位相差は変化せず、その成分の振幅が変化する。従って、本第1の実施形態の収差計測方法では、所定次数(N次)の空間周波数成分の振幅に基づいて、投影光学系PLの偶関数収差の収差量を算出する。なお、本第1の実施形態では、偶数次、例えば2次の高調波成分の振幅に基づいて、偶関数収差の収差量を求めるようにしてもよい。しかしながら、この場合には、デューティ50%のL/Sパターンである計測マークPMの空間像PM’の空間周波数成分には、2次の高調波成分が原則的には存在しないため、偶数次の高調波成分の振幅に基づいて、他の周波数成分同士のビート成分の合成を、2次の高調波成分として用いる必要がある。
上述のように、計測マークが50%デューティでピッチ(周期)がP=1/fのL/Sパターンである場合、O(y)はフーリエ級数によって以下の式(8)のように表される。なお、計測マークPMを0.5μmL/Sパターン(空間像PM’のピッチPが1.0μmとなるパターン)とし、投影光学系PLの開口数(N.A.)を0.78とすると、コヒーレント照明の場合を考えると、投影光学系PLを実際に通過する高調波は3次までとなる。また、1次の基本周波数成分の偶関数収差の収差量をexp(iφ)及び3次の高調波成分の偶関数収差の収差量をexp(iφ)としている。
Figure 2004059710
上記式(8)より、2次の高調波に相当するビート成分には、1次の基本周波数成分及び3次の高調波成分のビート成分と、1次の基本周波数成分及び1次(−1)の基本周波数成分のビート成分とが考えられる。
まず、1次の基本周波数成分同士のビート成分Ih2_1_1_even(y)は、以下の式(9)のように表される。
Figure 2004059710
このビート成分Ih2_1_1_even(y)は、コヒーレント照明の場合には、以下の式(10)(これをIh2_1_1_even_coh(y)とする)のように表される。
Figure 2004059710
上記式(10)から、1次同士のビート成分は、偶関数収差に影響を受けないということがわかる。
一方、1次の基本周波数成分とその3次の高調波成分とのビート成分Ih2_1_3_even(y)は、以下の式(11)のように表される。
Figure 2004059710
上記式(11)に示されるように、1次の基本周波数成分と3次の高調波成分とのビート成分の振幅はT(f、3f)の実数部の大きさによって決まる。
このビート成分Ih2_1_3_even(y)は、コヒーレント照明の場合、1次の基本周波数成分についての収差量をexp(iφ)とし、3次の高調波成分についての収差量をexp(iφ)とすると、以下の式(12)のように表される。
Figure 2004059710
上記式(12)から明らかなように、1次の基本周波数成分の位相φと3次の高調波成分の位相φの差によって振幅が変化するようになる。
以上述べたように、偶関数収差の収差量の変化によって、2次等の偶数次の高調波成分の振幅も変化するようになるため、その振幅によって偶関数収差の収差量を求めることができるが、偶数次の高調波成分は、複数次数の高調波成分同士のビート成分であるため、例えば5次の高調波成分や7次の高調波成分の存在の有無によって、その振幅が変化し、不安定となり易い。従って、偶数次の高調波成分の振幅を偶関数収差の評価量として用いるよりも、前述の5次、7次の高調波成分に影響を受けない奇数次の高調波成分の振幅を偶関数収差の評価量として用いて直接的に偶関数収差の収差量を求めた方が、より高精度に投影光学系PLの偶関数収差を求めることができる場合が多い。高調波成分として、2次を用いるか3次を用いるかは、高調波成分の状態を考慮して、適宜決定するのが望ましい。
次に、本第1の実施形態における投影光学系PLの偶関数収差の計測方法について具体的に説明する。
まず、上述した空間像計測動作で述べたように、主制御装置50の指示により、ウエハステージ駆動系がウエハステージWSTを+Y方向に駆動してスリット122が空間像PM’に対して相対的にY軸方向に走査されると、空間像計測装置59によってその光電変換信号Pが得られる。この光電変換信号Pは、最終的に主制御装置50に供給される。主制御装置50は、その光電変換信号Pに基づいて空間像PM’に対応する光強度分布を取得する(第1工程)。なお、このとき、周期パターンとしてのL/Sパターンを含む計測マークPMは、図3に示されるように、常に投影光学系PLの有効視野内に位置された状態となっている。また、投影光学系PLの光軸AXの方向に関するスリット122(所定の計測用パターン)の位置は、空間像PM’が、結像する像面の近傍の位置であれば良いものとする。
図6には、計測された空間像PM’の光強度分布が示されている。図6では、横軸はスリット122のY軸方向の位置を示し、横軸はそのY軸方向の位置にあるときに得られた光強度を示す。図6に示されるように、この空間像PM’の光強度分布は、Y軸方向に9つのピークを有している。このピークの出現周期は、空間像PM’の周期に対応している。なお、投影光学系PLのコマ収差等の要因により、空間像PM’の周期に対応する1次の空間周波数成分と、その3次の高調波成分との間にはY軸方向に位相差が生じているため、各ピークがそれぞれ有する2つのピークは非対称となっている。
処理装置としての主制御装置50は、この光強度分布をi(y)とすると、計測マークPMのウエハW上での周期を基準とする所定次数の空間周波数成分(ここでは1次の基本周波数成分)の振幅を示す以下のサイン関数で表現されるフーリエ係数(a1)を算出する(以下の式(13)参照)。これにより、光強度分布i(y)に含まれる1次の基本周波数成分の大きさ(例えば、振幅あるいはコントラスト等)を抽出することができる。
Figure 2004059710
主制御装置50は、前述の式(7)に示される例えば1次の基本周波数成分の振幅と偶関数収差との関係に基づいて、振幅の値a1に対応する偶関数収差の収差量の大きさを算出する(第2工程)。
次に、調整装置としての主制御装置50は、算出された偶関数収差の収差量の大きさに基づいて、結像特性補正コントローラ78を駆動して投影光学系PLの結像特性を調整する。なお、この時点では、偶関数収差の収差量の大きさだけが求められた状態であり、その極性(投影光学系PLの光軸AXの方向における正負の向き)は未知のままとなっている。本第1の実施形態では、偶関数収差の収差量の極性を所定の向き(投影光学系PLの光軸方向における正負のいずれか)に決めておき、その方向に基づいて投影光学系PLの結像特性を調整する。なお、ここでは、その収差量の極性が正であるとして、主制御装置50は、その正の収差量をキャンセルするように、結像特性補正コントローラ78を駆動して投影光学系PLの結像特性を調整するものとする。
次に、主制御装置50は、ウエハステージ駆動系を介してウエハステージWSTを再び+Y方向に駆動させる。この駆動により、スリット122が空間像PM’に対してY軸方向に走査され、空間像計測装置59によって光電変換信号Pが得られる。得られた光電変換信号Pは、最終的に主制御装置50に供給される。主制御装置50は、その光電変換信号Pに基づいて空間像PM’に対応する光強度分布を取得する。すなわち、主制御装置50によって、再び前述の第1工程が実行される。そして、主制御装置50は、今回の第1工程で得られた光強度分布に含まれる1次の基本周波数成分の振幅を示す上述の式(13)で表現されるサイン関数のフーリエ係数(a1)を算出する。さらに、主制御装置50は、上述の式(7)に示される1次の基本周波数成分と偶関数収差の収差量との関係から、振幅の大きさa1に対応する偶関数収差の収差量の大きさを算出する第2工程を再び実行する。
そして、主制御装置50は、今回の第2工程で算出された偶関数収差の収差量と、前回の第2工程で算出された偶関数収差の収差量とを比較する。そして、今回算出された収差量が前回算出された収差量よりも大きくなっている場合には、実際の偶関数収差の収差量の極性は、仮に決定されていた偶関数収差の収差量の極性(ここでは正)の逆であるということになる。この場合、主制御装置50は、改めて、偶関数収差の収差量の極性がここでは負であるとして、その負の収差量をキャンセルするように、投影光学系PLの結像特性を調整する。また、今回算出された収差量が前回算出された収差量よりも小さくなって、所定の収差量以下に収束している場合、前回の投影光学系PLの調整時に仮に決定されていた偶関数収差の収差量の極性(正)は、実際の偶関数収差の収差量に一致していたということになる。この場合、主制御装置50は、投影光学系PLが、適切に調整されたものと判断してその極性をそのまま正として決定し、偶関数収差の収差量の計測及び投影光学系PLの調整を終了する。なお、今回算出された収差量が前回算出された収差量よりも小さくなっていても、まだ所定の収差量より大きい場合には、第1工程及び第2工程を再び繰り返せば良い。
そして、主制御装置50が、投影光学系PLの結像特性が調整された後に、上述の走査露光動作を実行すれば、レチクルR上に形成された回路パターンを精度良くウエハW上に転写することができるようになる。
以上詳細に述べたように、本第1の実施形態の収差計測方法では、偶関数収差の収差量と空間像の所定次数(本第1の実施形態では1次であるが、3次及び5次その他の次数であってもよい)の空間周波数成分の大きさとが所定の関係にあることを利用して、計測マークPMの空間像PM’に対応する光強度信号を得て、その光強度信号に含まれる所定次数の空間周波数成分の大きさを計測し、計測されたその大きさに基づいて投影光学系の偶関数収差の収差量を算出する。このようにすれば、1つの周期パターンの空間像を1回計測するだけで、偶関数収差の収差量(少なくともその大きさ)を計測することができるようになるため、短時間に偶関数収差の収差量を計測することができる。なお、収差量を計測するための周期パターンを1つだけとすれば、複数の周期パターンの製造誤差などの外乱要因が収差の計測値に含まれるのを回避することができるので、高精度に投影光学系PLの収差を計測することができる。
また、前述の偶関数収差の収差量とそのパターンの空間像に対応する光強度分布に含まれる所定次数の空間周波数成分の大きさとの関係(上述の式(7)で表される)は、部分コヒーレント照明系を前提として定められたものであるため、照明系のコヒーレンスファクタ(σ値)が大きくても、精度良く偶関数収差を計測することが可能となる。
また、本第1の実施形態の収差計測方法では、第1工程及び第2工程を1回実行した時点では、偶関数収差の収差量の大きさを求めることができるが、その収差量の極性まで求めることはできない。そこで、本第1の実施形態では、投影光学系PLの結像特性の調整後に再び第1工程及び第2工程を実行して偶関数収差の収差量を求め、前回計測された偶関数収差の収差量と比較することによって、偶関数収差の極性を決定する。具体的には、今回計測された偶関数収差の収差量が、前回計測された偶関数収差の収差量よりも小さくなっている場合には、その調整時の極性が所期のものであると判断し、大きくなっている場合には、その調整時の極性が所期のものとは反対であると判断する。このようにすれば、結果的に、投影光学系の結像特性を適切に調整することができるようになる。
なお、本第1の実施形態では、偶関数収差の収差量の極性を正負いずれかに仮に設定したうえで投影光学系PLの結像特性を調整したが、本発明はこれに限定されるものではなく、次に説明するように、偶関数収差の収差量の極性を検出してもよい。
例えば、投影光学系PLの数学モデルを用いたシミュレーションによって、図7に示されるような、その投影光学系PLのフォーカス位置と、光電変換信号Pに基づく光強度分布に含まれる所定次数の空間周波数成分のコントラスト(その空間周波数成分を、光強度分布に含まれる直流成分で除したもの)との関係を示す曲線、すなわちコントラストカーブを予め求めておく。ここで、図7では、横軸は投影光学系PLのフォーカス位置を示し、縦軸はそのときの所定次数の空間周波数成分のコントラストを示す。ここでは、所定次数の空間周波数成分が、1次の基本周波数成分であるとする。なお、図7においては、シミュレーション条件として、照明光ILの波長を193nmとし、コヒーレンスファクタσを0.15とし、投影光学系PLのN.A.を0.78とし、空間像PM’の周期を200nmとした。また、図7に示すコントラストカーブは、実際の装置における空間像計測によって算出されたものであってもよい。
そして、主制御装置50は、そのコントラストカーブにおいて、その空間周波数成分のコントラストがほぼ0となるフォーカス位置(例えば図7に示される約0.3μmの位置、すなわちコントラストの値が最大となる位置から所定のオフセットを有する位置)に、スリット122を、ステージ制御装置70及びウエハステージ駆動系56W等を介して位置させる。そして、主制御装置50は、この状態で、前述の第1工程及び第2工程を実行して、空間像PM’に対応する1次の基本周波数成分の大きさを上述の式(13)に基づいて算出し、前述の式(7)に基づいて偶関数収差の収差量の大きさを得る。
次いで、主制御装置50は、投影光学系PLのフォーカス位置をその位置としたまま、結像特性補正コントローラ78を介して、投影光学系PLに所望の値の偶関数収差を発生させ、その偶関数収差の収差量の変化と空間像PM’に対応する光強度分布に含まれる1次の基本周波数成分のコントラストの変化との関係を求める。
図8A、図8Bには、上述の動作によって求められた偶関数収差の収差量の変化と、1次基本周波数のコントラストの変化との関係の一例が示されている。図8Aには、低次の球面収差Zの収差量の変化と1次の基本周波数成分のコントラストの変化との関係が示されており、図8Bには、高次の球面収差Z16の収差量と1次の基本周波数成分のコントラストの変化との関係が示されている。両図とも、コヒーレンスファクタσ及び計測マークPMの空間像PM’の周期パターンの複数の組合せ(コヒーレンスファクタは0.05及び0.3のいずれか、L/Sパターンのピッチは、0.12、0.2、0.25、0.3のいずれか)における各球面収差Z、Z16の収差量と1次の基本周波数成分のコントラストとの関係が示されている。
図8A、図8Bに示されるように、投影光学系PLのフォーカス位置を1次の基本周波数成分のコントラストが0となる位置に設定しているため、投影光学系PLの偶関数収差を意識的に発生させていない状態、すなわち図8Aにおける低次球面収差Zの収差量が0mλ、図8Bにおける高次球面収差Z16の収差量が0mλである場合には、その1次の基本周波数成分のコントラストは0となっている。この状態で、主制御装置50は、結像特性補正コントローラ78を介して、低次球面収差Zや高次球面収差Z16の収差量をプラス方向及ぶマイナス方向に発生させながら、その都度、上述した空間像計測装置59を介して空間像計測を実行し、得られた光強度分布に含まれる1次の空間周波数成分の大きさを求めていく。そのようにすれば、主制御装置50は、図8A、図8Bに示されるような、偶関数収差の収差量に対するコントラストの特性を得ることができる。
この図8A、図8Bを参照すると、低次球面収差Z及び高次球面収差Z16の収差量がマイナスからプラスに増加するのに比例して1次の空間周波数成分のコントラストが直線的に減少していっているのがわかる。このような、コントラストの変化に対する各偶関数収差の変化の特性から、偶関数収差の収差量を読み取ることができるとともに、その極性を明らかとすることができる。
主制御装置50は、上述のようにして、求められたオフセット位置における偶関数収差の収差量と1次の基本周波数成分の大きさ(ここではコントラスト)との関係を求め、その関係に基づいて偶関数収差の収差量の極性を決定する。このようにすれば、第1工程において、偶関数収差の収差量の大きさだけでなく、その収差量の極性も決定することができるようになるため、本第1の実施形態のように、トライアル・アンド・エラーによる投影光学系PLの調整によって、偶関数収差を所定の収差量以下に収斂させていくのではなく、1回の投影光学系PLの調整だけで偶関数収差を調整することができるようになる。
なお、この場合、1次の基本周波数成分の大きさ(コントラスト)がほぼ0となるように、所定のオフセット位置を決定したが、発生しうる偶関数収差の収差量は予想することができるので、そこから計測すべきコントラスト値の範囲を予想し、その範囲から、必要な最小限度のフォーカスオフセット量を見積もるようにしてもよい。
また、本第1の実施形態の収差計測方法のように、露光装置の投影光学系PLの収差をオンボディで計測する場合には、投影光学系PLの低次収差が重要な計測対象となる。低次収差とは、一般的には、フリンジツェルニケ多項式においてZまでを指す。従来、低次収差の収差量は時間や温度に依存して変化する可能性が高いが、高次収差の収差量は、レンズエレメントの形状の誤差が支配的であって時間や温度によって変化する可能性は低く、投影光学系PLの収差を低減するためには、低次収差の収差量を計測し、低次収差をキャンセルする機能があればよいと考えられてきた。しかしながら、本発明者は、温度変化に対応する投影光学系PLの収差変動を解析した結果、投影光学系PLの光軸に対称な収差、すなわち偶関数収差のうち、低次収差Zだけでなく、高次収差Z16、Z25まで変化することを突きとめた。従って、本第1の実施形態の収差計測方法では、計測された偶関数収差の収差量から、低次収差と高次収差とを分離して、温度変化に応じた球面収差の補正を行うことが望ましい。
その点、上述のように、そのオフセット位置における低次球面収差Z及び高次球面収差Z16の特性(図8A、図8B参照)をそれぞれ求めておけば、低次球面収差の収差量と高次球面収差の収差量とを分離することも可能となる。
なお、本第1の実施形態では、上述のように、その空間周波数成分の振幅をその大きさの評価量としてもよいし、そのコントラストを評価量としてもよい。コントラストとは、その空間周波数成分の振幅を、光強度信号に含まれる直流成分で除したものであり、このコントラストを評価量とすることによって、照明光の光源の光量変化の収差計測への影響を緩和することができるようになる。
また、上記第1の実施形態では、レチクルマーク板RFMに計測マークPMだけ形成されているとしたが、他の計測マークを形成しておいてもよい。例えば、その周期方向がX軸方向に配置されたL/Sパターンの計測マークなどを形成し、X軸方向のスリットスキャン動作を実行して(この場合には、スリット板90上のスリット122bを用いる)、空間像を計測するようにしてもよい。
また、上記第1の実施形態では、空間像計測装置59の光導出部と受光部とを機械的に分離しているとしたが、これらを可撓な光ファイバケーブルで接続するようにしてもよい。
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態について、図9A、図9B等に基づいて説明する。
本第2の実施形態に係る露光装置は、投影光学系PLの収差計測の際の主制御装置50内の動作等が前述の第1の実施形態と相違するのみで、装置構成などは、図1〜図5に示される第1の実施形態の露光装置10と同一となっている。従って、以下においては、重複説明を避けるため、第1の実施形態との相違点、すなわち投影光学系PLの偶関数収差計測の動作を中心に説明する。また、同様の趣旨から同一若しくは同等の構成部分について同一の符号を用いるとともに、その説明を省略するものとする。
本第2の実施形態の露光装置における投影光学系PLの偶関数収差の計測方法について具体的に説明する。まず、主制御装置50は、空間像計測動作を実行する。上記第1の実施形態では、スリット板90を走査させる投影光学系PLの光軸方向の位置、すなわち投影光学系PLのフォーカス位置(所定の計測用パターンとしてのスリット122を走査させる位置)を、1箇所に固定して空間像計測を行ったが、本第2の実施形態では、投影光学系PLの光軸方向の複数の位置(以下、「フォーカス位置」と略述する)で、空間像計測を行う(第1工程)。なお、各フォーカス位置における空間像計測動作は、上記第1の実施形態での動作と同一であるため、詳細な説明を省略する。
複数のフォーカス位置における空間像計測動作により、各フォーカス位置で計測された光電変換信号Pは、主制御装置50に送信される。そして、主制御装置50は、各フォーカス位置における光電変換信号Pに基づく光強度分布から、それぞれのフォーカス位置で計測された光強度分布に含まれる1次の基本周波数成分、その3次の高調波成分、その5次の高調波成分などの大きさ(ここでは、コントラストとする)を抽出する。そして、主制御装置50は、複数のフォーカス位置におけるそれぞれの周波数成分のコントラストに基づいて、図9Aに示されるような各次数の空間周波数成分のコントラストカーブを算出する。なお、図9Aでは、1次の基本周波数成分のコントラストカーブ(実線)と、3次の高調波成分のコントラストカーブ(点線)だけが示されている。
図9Aでは、横軸はフォーカス位置を示し、縦軸は空間周波数成分のコントラストを示す。図9Aに示されるように、投影光学系PLに偶関数収差がある場合には、1次の基本周波数成分のコントラストカーブが最大となるフォーカス位置(図9Aのグラフでは、このフォーカス位置を原点としている)と、3次の高調波成分のコントラストカーブが最大となるフォーカス位置との間には位置ずれ、いわゆるフォーカス差が生じる。
図9Bには、フォーカス差と偶関数収差の収差量との関係が示されている。図9Bでは、横軸は偶関数収差の収差量を示し、縦軸はその収差量によって発生する1次の基本周波数成分のベストフォーカス位置と3次の高調波成分のベストフォーカス位置とのフォーカス差を示す。図9Bに示されるように、偶関数収差の収差量とそれらのベストフォーカス位置同士のフォーカス差とは、比例関係にあり、このフォーカス差を計測すれば、そのときの偶関数収差の収差量を求めることが可能となる。なお、このようなフォーカス差と偶関数収差の収差量との関係は、投影光学系PLの数学モデルを用いた空間像シミュレーションによって求められており、メモリ51に記憶されているものとする。
従って、処理装置としての主制御装置50は、図9Aに示されるような1次の基本周波数成分のコントラストカーブと、3次の高調波成分のコントラストカーブとを求め、それぞれのベストフォーカス位置を求め、ベストフォーカス位置のフォーカス差(図9Aでは、R1で示される)を求めた後、そのフォーカス差R1に対応する偶関数収差の収差量をメモリ51に記憶された図9Bに示されるフォーカス差と偶関数収差の収差量との特性を参照して算出する(第2工程)。
調整装置としての主制御装置50は、算出された偶関数収差の収差量に基づいて、結像特性補正コントローラ78を介して投影光学系PLの偶関数収差の収差量を調整する。そして、主制御装置50が、投影光学系PLの結像特性が調整された後に、上述の走査露光動作を実行すれば、レチクルR上に形成された回路パターンを精度良くウエハW上に転写することができるようになる。
以上詳細に述べたように、本第2の実施形態の露光装置及びその収差計測方法によれば、空間像に含まれる1次の基本周波数成分のコントラストが最大となるフォーカス位置と、その3次の高調波成分のコントラストが最大となるフォーカス位置との位置ずれ、すなわちフォーカス差を算出すれば、偶関数収差の収差量を算出することができる。なお、このフォーカス差は、符号付きで求められるので、この方法では、収差量の大きさとともにその極性も同時に求めることができる。なお、本第2の実施形態では、収差量を計測するための周期パターンを1つだけとして、複数の周期パターンの製造誤差などの外乱要因が収差の計測に含まれるのを回避することができるので、高精度に投影光学系PLの収差を計測することができる。
ところで、計測された偶関数収差の収差量から低次の球面収差と高次の球面収差とを分離するためには、周期の異なる複数のL/Sパターンを計測マークとして用意する必要がある。
例えば、レチクルマーク板RFM上の計測マークとして、異なる周期を有する2つの周期パターン、それぞれの空間像の周期がそれぞれ0.5μmと1.0μmとなるような2つのL/Sパターンを有する計測マークを用意して、計測マーク毎に前述の第1工程及び第2工程を実行して、それぞれの空間像を計測する。
L/Sパターンの周期によって、低次の球面収差と高次の球面収差とのフォーカス差に関する寄与度、すなわちフォーカス差に対するツェルニケ感度(以下、フォーカス差感度と略述する)がそれぞれ異なる。そのため、低次の球面収差(Z)と高次の球面収差(Z16)との分離が可能となる。空間像の周期が1.0μmとなるL/Sパターンでの1次の基本周波数成分と3次の高調波成分とのフォーカス差をδF(L/S=1.0)とし、空間像の周期が0.5μmとなるL/Sパターンでの1次の基本周波数成分と3次の高調波成分とのフォーカス差をδF(L/S=0.5)とする。さらに、1.0μmの低次球面収差Zに対するフォーカス差感度をαとし、1.0μmの高次球面収差Z16に対するフォーカス差感度をβとし、0.5μmの低次球面収差Zに対するフォーカス差感度をα、0.5μmの高次球面収差Z16に対するフォーカス差感度をβとすると、以下の式(14)、式(15)が成立する。
Figure 2004059710
上述したフォーカス差感度は、投影光学系PLの数学モデルを用いた空間像シミュレーションによって求めることができる。以下の表2に、σ=0.15、N.A.=0.78、波長193nmの場合に空間像シミュレーションによって求められたフォーカス差感度を示す。この表2では、3種類のL/Sパターンについての、フォーカス差の変化に対する偶関数収差である各球面収差Z、Z16、Z25、Z36の感度が表示されている。4つの球面収差Z、Z16、Z25、Z36を分離するためには、L/Sパターンの周期及び高調波の次数の組合せであって、少なくとも4種類の組合せについての基本周波数成分とその所定次数(3次又は5次)の高調波成分とのフォーカス差を算出し、そのフォーカス差と、下の表2に示されるその組合せでのツェルニケ感度を用いて連立方程式を作成し、それを解く必要がある。
Figure 2004059710
例えば、0.5μmL/Sパターンについての1次の基本周波数成分と3次の高調波成分とのフォーカス差に対するZ、Z16、Z25、Z36のツェルニケ感度をそれぞれα、β、γ、δとし、0.7μmL/Sパターンについての1次の基本周波数成分と3次の高調波成分とのフォーカス差に対するZ、Z16、Z25、Z36のツェルニケ感度をそれぞれα、β、γ、δとし、1.0μmL/Sパターンについての1次の基本周波数成分と3次の高調波成分とのフォーカス差に対するZ、Z16、Z25、Z36のツェルニケ感度をそれぞれα、β、γ、δとする。また、1.0μmL/Sパターンについての1次の基本周波数成分と5次の高調波成分とのフォーカス差に対するZ、Z16、Z25、Z36のツェルニケ感度をそれぞれα、β、γ、δとすると、以下の式(16)〜式(19)が得られ、これらの式からZ、Z16、Z25、Z36の分離が可能となる。
Figure 2004059710
なお、本第2の実施形態では、求められたフォーカス差の数が、求める球面収差の数よりも多い場合などには、最小二乗法を用いて、各偶関数収差の各々の収差量を求めるようにしてもよい。なお、最小二乗法による収差量の計測方法の詳細については後述する。
また、上記第1、第2の実施形態では、デューティ50%のL/Sパターンには、基本的に偶数次の空間周波数成分が存在しないため、所定次数の空間周波数成分として、奇数次の空間周波数成分を用いるのが望ましい。
また、上記第1、第2の実施形態では、計測用パターンとしてスリット122を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ピンホールパターンを用いてもよい。なお、この場合、スリット122と同レベルの光量を確保するため、ピンホールパターンの直径は、その幅の2倍程度(400nm以下)とすることが望ましい。
また、上記第2の実施形態では、複数のフォーカス位置においてスリット板90を走査させて空間像計測を行ったが、投影光学系PLの実際の収差、例えば偶関数収差の一部の収差量を変化させながら、他の偶関数収差の収差量を計測することも可能である。具体的には、例えばZなどの低次偶関数収差成分を変化させ、各周波数成分の振幅のピークを与えるZの値を評価量として他の収差、例えばZ16等の高次の偶関数収差の収差量を計測することができる。
上記第1、第2の実施形態における露光装置10に用いられる投影光学系PLのような、最近の半導体露光装置に用いられる投影光学系は、前述のように、収差を補正するための駆動素子20を内蔵している(図2参照)。この駆動素子20を駆動し、投影光学系PLのレンズのレンズエレメントを調整することによって、Zの値を変化させることができる。駆動素子20は駆動しうる軸数、自由度によって補正しうる収差の種類が異なるが、最新の投影光学系(すなわち、投影光学系PL)では、駆動素子20を複数のレンズエレメントについて装備しており、球面収差Z,Z16、コマ収差Z,Z,Z14,Z15、ディストーションZ,Zなど多種多様な収差の収差量を所望の値に調整することが可能となっている。
ここで、Z16の計測方法について説明する。図10には、規格化された瞳位置に対する偶関数成分の各収差(Z,Z,Z16,Z25)による位相遅れレベルの変化が示され、図11には、Zによる振幅の調整を説明するための図が示されている。図10に示されるように、実線で表されるZ16についての位相遅れレベルは、瞳位置の座標値が±0.525のところで極値を有しており、その値は0.447となっている。瞳位置の座標値0.525に位置する1次回折光を発生するパターンとしては、光学系の条件を、N.A.=0.78,σ=0(コヒーレント照明),λ=193nmとした場合に、ピッチ=λ/(N.A.×0.525)=471nmとなるので、235nmL/Sパターンが用いられている。このパターンの振幅は、投影光学系PLの収差がZ16のみであるとすると、Z16が0の時に最大となる。このことは、式(7)から明らかである。
フリンジツェルニケ係数相当でZ16の収差量がC(今のところ未知数のため「C」と規定している)だけ存在するとした場合、瞳座標0.525に位置する1次回折光と0次光との位相差Aは、A=C×1.447となる(図11参照)。この位相差Aが0となるときに235nmL/Sパターンの空間像の振幅は最大となる。また、位相差Aは、Zを変化させることによって任意に設定可能である。
また、図11に示されるように、Z相当で1.2Cの収差を発生させると、B=−C×1.2=−1.44Cの位相差を0次光と1次回折光との位相差に対して発生させることができ、Z16による位相差Aを相殺することができる。すなわち、言い換えれば、Z16の値をZの値から換算可能ということになる。なお、この際には、計測精度を高める観点からすれば、Zを順次変更した際の空間像の基本波成分の振幅が最大となるZの値から、Z16の値を換算するのが望ましい。
図12には、Zを変化させたときの、空間像強度の基本周波数成分の振幅をシミュレーションで計算したときの計算結果が示されている。このシミュレーションでは、光学系の条件を、N.A.=0.78、σ=0.1、λ=193nmとし、計測マークを0.235μmL/Sとした。なお、ここで、Zを変化させながら振幅の値を順次計測しているのは振幅のピーク位置を高精度に決定するためである。
振幅のピーク位置はZ換算で求められる。振幅のピーク位置はZ16の量に比例して変化する。図13にはZ16の収差量とZ換算でのピーク位置との相関関係が示されている。図13に示されるように、Z16の収差量とZ換算でのピーク位置とは、ほぼ完全に比例関係にあり、相関係数R=1となっている。Z16の変化に対するピーク位置の変化の割合は、いわゆるツェルニケ感度で0.9157と計算される。なお、この感度はN.A.、σ、波長、計測マークによって変化する。
以上述べたように、空間像計測を、投影光学系PLの第1の収差としてのZを複数の収差量に設定して実行し、計測された空間像、すなわち光強度信号に含まれる所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化量をZ換算で求め、これらの位置の変化量を評価量として第2の収差としてのZ16を算出することができる。
なお、その他の偶関数成分の収差Z25,Z36も計測する場合、計測マークを3種類以上とし、これらの計測マークにおけるツェルニケ感度をZ16,Z25,Z36に関して求めておき、3種類以上のマークでZ換算での振幅のピーク位置δを測定し、以下の式(20)に示されるような連立方程式を解くことによってZ16,Z25,Z36それぞれの収差量を求めることができる。
Figure 2004059710
ここで、上述の式(20)における係数
Figure 2004059710
は、各偶関数収差Z16,Z25,Z36の成分の量に対するZ相当の振幅のピーク位置の変化の割合、すなわちツェルニケ感度を示す。ツェルニケ感度
Figure 2004059710
は、空間像シミュレーションにより、前もって計算しておくのが一般的であるが、場合によっては投影光学系PLの駆動素子20を駆動させて収差を変化させて実測しても良い。例えば
Figure 2004059710
は、偶関数収差Z16に対するZ換算の振幅ピーク位置の変化の割合、すなわちツェルニケ感度を示し、空間像シミュレーションによって、偶関数収差Z16を変化させたときのZ換算の振幅ピーク位置の変化の割合から、ツェルニケ感度を求めることができる。
m個のL/Sパターンの位相差を計測すると、m個の1次式を作成することができる。収差量Z16,Z25,Z36が未知数であり、3つあるとする。一般に未知数をnとすると、m=nの場合、上述の式(20)の連立1次方程式を解けばすべての未知数の値を求めることができる。すなわち、3個のL/Sパターンの位相差を計測すると、収差量Z16,Z25,Z36の値を求めることができる。なお、m≧nの場合には、最小二乗法を用いて未知数の値を求めるようにすれば良い。
なお、複数のマークを用いる代わりに、同一マークでσ,N.A.など他の条件を変えてZ16,Z25,Z36に対するツェルニケ感度を変化させ、連立方程式を解くことも可能である。
以上、Zを変化させて偶関数の収差を計測する例を説明したが、投影光学系PLのレンズエレメントの位置、内部の圧力などを変化させて、Zの代わりに他の偶関数収差成分を変化させて計測を行っても良い。例えばZは、フォーカス(デフォーカス)と等価な収差であるが、投影光学系PLの像面側の焦点距離、即ち光軸AXの方向に関する像面の位置を変化させずにZを投影光学系PL内の収差変動として与えることが可能である。すなわちZをZの代わりに変化させても良い。
なお、本第2の実施形態では、投影光学系PLと空間像計測装置59との距離を等距離に保って偶関数収差の計測を行えるので、照明光学系のテレセントリシティ(照明テレセン)が斜めでも、デフォーカス時に像がずれないという特徴がある。このため、投影光学系PLのZをステップさせながら複数のZの発生状態で像コントラストと像位置を同時に計測することで偶関数と奇関数の収差を同時に計測することができる。これは、特にマイクロフライアイレンズを有する照明光学系では重要な特徴である。なぜならば、この照明光学系には0次光をカットする遮光円板が照明光学系の開口数(コヒーレンスファクタσ値)相当で0.04〜0.05程度の大きさでその瞳面の中心に位置しているので、照明テレセンを斜めにしないと、照明光学系の開口数(σ値)を小さくする、特に0.04〜0.05以下にする場合には照明光ILがけられてしまい、上記計測を実現できないためである。
≪第3の実施形態≫
次に、本発明の第3の実施形態について、図14A、図14B、図15A、図15B等に基づいて説明する。
本第3の実施形態に係る露光装置は、投影光学系PLの収差計測の際の動作が前述の第1、第2の実施形態と相違するが、装置構成などは、一部を除き第1の実施形態の露光装置10とほぼ同一となっている。従って、重複説明を避けるため、以下においては第1、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。また、同様の趣旨から同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を省略するものとする。
本第3の実施形態では、マーク保持部材としてのレチクルマーク板と、計測用パターンとしてのスリットの構成が、上記第1、第2の実施形態と異なっている。本第3の実施形態では、図14A、図14Bに示されるように、レチクルマーク板RFMの代わりにレチクルマーク板RFM’を用い、スリット122の代わりに、スリット122’を用いる。
図14Aには、本第3の実施形態におけるレチクルマーク板RFM’上の計測マークの一例が示されている。図14Aに示されるように、このレチクルマーク板RFM’の計測マークには、第1周期パターンとしての1つのL/SパターンLS1と、第2周期パターンとしての一対のL/SパターンLS2と、一対のL/SパターンLS3とが、その周期方向に直交する方向に並列に配置されている。L/SパターンLS1〜LS3は、互いに周期が異なるデューティ50%のパターンである。一対のL/SパターンLS2は、L/SパターンLS1を挟むように、周期方向の互いの位相差がほぼ0となるように配設され、一対のL/SパターンLS3も、L/SパターンLS1、LS2を挟むように、周期方向の互いの位相差がほぼ0となるように配設されている。なお、各L/SパターンLS1〜LS3は、その周期方向における空間像の全長が12μmより小さくなるように設定されており、それぞれのX軸方向(L/SパターンLS1〜LS3の周期方向に垂直な方向)の空間像の長さが2μm程度で、各L/SパターンLS1〜LS3の空間像の隙間が1μm程度となるように設定されている。
図14Bには、本第3実施形態の収差計測方法において、空間像計測を行う際のスリット板90’の一例が示されている。このスリット板90’には、図14Bに示されるように、X軸方向に延びる所定幅2Dのスリット122’が形成されている。スリット122’は、そのX軸方向の長さがL/SパターンLS1、LS2(2つ)、LS3(2つ)全体の空間像のX軸方向の長さ以上となるように形成されている。
本第3実施形態では、周期が異なる複数のL/SパターンLS1〜LS3を並列して配置した計測マークを、上記第1、第2実施形態と同様に(計測マークPMと同じように)、それらのパターンを全て投影光学系PLの有効視野内に位置させた状態で、照明光ILにより計測マークを照明する。このようにすれば、投影光学系PLを介して計測マークの空間像が形成される。
主制御装置50は、図14Bに示されるように、それらの空間像を一括してスリット122’にて走査させながら、スリット122’を介して得られる計測マークを介した照明光を空間像計測装置59によって光電検出する(第1工程)。このようにすれば、空間像計測装置59において、それぞれのL/Sパターンの空間像の成分を含む合成空間像強度に相当する光強度信号Pを検出することができるようになる。主制御装置50は、空間像計測装置59より得られた光強度信号Pに基づく合成空間像強度を周波数解析することによって、各L/Sパターンに対応する空間周波数成分の大きさを求め、これによって投影光学系PLの収差量を計測し、その収差量に基づいて投影光学系PLの結像特性を調整する。
なお、本第3実施形態では、複数のL/Sパターンにおける最小周期に対する最大周期の比率は、3倍以下とすることが望ましい。図14Aに示されるように、L/SパターンLS1〜LS3の中では、L/SパターンLS1の周期が最大となっており、L/SパターンLS3の周期が最小となっている。従って、レチクルマーク板RFM’では、L/SパターンLS3の周期に対してL/SパターンLS1の周期が3倍以下となるように設定されている。このようにすれば、空間像計測装置59によって得られる光強度信号Pに基づく光強度分布に含まれる空間周波数成分において、最小周期を有するL/SパターンLS3による1次の基本周波数成分と、最大周期を有するL/SパターンLS1による3次の高調波成分とが混在するのを防ぐことができる。例えば、各L/SパターンLS1〜LS3の空間像の周期の組合せとしては、それらの単位をμmとすると、それぞれ(LS1,LS2,LS3)=(0.225,0.175,0.125)、(0.275,0.225,0.150)、(0.275,0.250,0.200)、(0.450,0.350,0.300)、(0.60,0.450,0.325)、(0.600,0.500,0.400)などが考えられる。
なお、図14Aでは、周期が異なるL/SパターンとしてLS1〜LS3だけ示されているが、周期が異なるL/Sパターンは、4種類以上(例えば、L/SパターンLS1〜LS3とは周期が異なるL/SパターンLS4、LS5等をさらに含むものとする)あっても良い。
まず、投影光学系PLの偶関数収差を計測する場合について説明する。この場合には、上記第2の実施形態と同様に、スリット122’を走査する位置を、投影光学系PLの光軸AXの方向に関する複数の位置に変更しながら、上述した第1工程における空間像計測を実行する。そして、主制御装置50は、それらの位置でそれぞれ得られた基本周波数成分の大きさ(ここではコントラストとする)に基づいて、各L/SパターンLS1〜LS3に対応するコントラストカーブを作成する。
図15Aには、周期が異なる2つのL/SパターンLS1、LS2におけるコントラストカーブの一例が示されている。図15Aに示されるように、L/SパターンLS1においてコントラストが最大となる位置と、L/SパターンLS2においてコントラストが最大となる位置との間には位置ずれ、すなわちフォーカス差が生じている。なお、図15Aでは、L/SパターンLS1のコントラストカーブが最大となる位置が原点として設定されている。
図15Bには、このフォーカス差と偶関数収差の収差量との関係の一例が示されている。図15Bでは、横軸は偶関数収差の収差量を示し、縦軸はその収差量によって発生するL/SパターンLS1とL/SパターンLS2とのフォーカス差を示す。図15Bに示されるように、偶関数収差の収差量とそれらのベストフォーカス位置同士のフォーカス差とは比例関係にあり、このフォーカス差(例えばR’)を計測すれば、そのときの偶関数収差の収差量を求めることが可能となる。なお、このようなフォーカス差と偶関数収差の収差量との関係は、投影光学系PLの数学モデルを用いた空間像シミュレーションによって求めることが可能であり、この関係が予めメモリ51に記憶されているものとする。
主制御装置50は、各パターンについて図15Aに示されるようなコントラストカーブを作成し、それらのカーブの値が最大となる位置の各パターン間の位置ずれ、すなわちフォーカス差を算出し、メモリ51に記憶された図15Bに示される関係に基づいて、偶関数収差の収差量を求める。
次いで、主制御装置50は、最も長いピッチのL/SパターンLS1の第1の基本周波数成分を基準とし、他のL/SパターンLS2、LS3、LS4、LS5・・・との相対的な前述のフォーカス差をそれぞれ第1フォーカス差δF、第2フォーカス差δF、第3フォーカス差δF、第4フォーカス差δFとして前述のようにして求める。これらのフォーカス差と、低次球面収差Z、高次球面収差Z16等の複数の偶関数収差(Z、Z16、Z25、Z36)との関係は以下の式(21)に示される連立方程式で表される。主制御装置50は、この式(21)を解いて、各偶関数収差(Z、Z16、Z25、Z36)を求める。
Figure 2004059710
ここで、係数α〜α、β〜β、γ〜γ、δ〜δは、フォーカス差の変化に対する各偶関数収差(球面収差等)の成分の量の感度である。例えば、係数αは、第1フォーカス差δF(L/SパターンLS1の1次の基本周波数成分と、L/SパターンLS2の1次の基本周波数成分との位相差)の変化に対する低次球面収差Zの感度を示す。これらの感度は、投影光学系PLの数学モデルを用いた空間像シミュレーションによって前もって計算されたものを用いることができる。
なお、本第3実施形態では、上述のように、各L/Sパターンにおけるフォーカス差に基づいて各偶関数収差を計測したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記第1の実施形態と同様に、各L/Sパターンに対応する所定次数の空間周波数成分の大きさに基づいて、各偶関数収差を求めるようにしてもよい(投影光学系PLの光軸方向に関して、その空間周波数成分が最大となる位置から所定のオフセットを有する位置でスリットを走査させて空間像計測を行う方法を含む)。
また、図14Aに示されるような周期が異なる複数のL/Sパターンを用いて投影光学系PLの奇関数収差、例えばコマ収差を計測することも可能である。例えば、主制御装置50は、前述の第1工程を実行し、計測された合成空間像強度を周波数解析することによって各L/Sパターンに対応する空間周波数成分を抽出する。そして、主制御装置50は、例えば、最も長い周期を有するL/SパターンLS1に対応する基本周波数成分の位相を基準とし、他のL/SパターンLS2、LS3、LS4、LS5・・・の基本周波数成分との相対的な位相差をそれぞれ第1位相差Φ、第2位相差Φ、第3位相差Φ、第4位相差Φとする。これらの位相差と、低次コマ収差Z、高次コマ収差Z14等の複数の奇関数収差(Z、Z14、Z23、Z34)との関係は以下の式(22)のように表される。主制御装置50は、この式(22)を解いて、各奇関数収差(Z、Z14、Z23、Z34)を求める。
Figure 2004059710
ここで、係数α〜α、β〜β、γ〜γ、δ〜δは、各奇関数収差(コマ収差)の成分に対する位相差変化の感度である。例えば、係数αは、低次コマ収差Zに対する第1位相差Φ(L/SパターンLS1の1次の基本周波数成分と、L/SパターンLS2の1次の基本周波数成分との位相差)の変化の感度を示す。これらの感度は、投影光学系PLの数学モデルを用いた空間像シミュレーションにより前もって計算されたものを用いることができる。
なお、本第3実施形態では、n個の奇関数収差を計測しようとする場合には、n個以上の位相差を計測すればよい。例えば、6個の奇関数収差を計測しようとする場合には、6個以上の位相差を計測する必要がある。このとき、レチクルマーク板RFM’には、必ずしも6個のL/Sパターンを用意する必要はなく、L/Sパターンは少なくとも4個配設されていればよい。なぜならば、前述のように各位相差の基準を1つのL/Sパターン(例えばL/SパターンLS1)に限定する必要はなく、周期が異なるL/Sパターンを4つ配設しておけば、1組のL/Sパターンの組合せとして6つの組合せを作成することができ、6つの位相差を計測可能となるからである。
以上述べたように、n個の奇関数収差を計測しようとして、n個の位相差が計測されている場合には、上述のようにn個の連立方程式を解くことによって、各奇関数収差の収差量が得られる。ところで、n個より多いm個の位相差が計測されている場合には、以下の式(23)に表されるm個の位相差に対応するm個の1次方程式から成る連立方程式を作成し、最小二乗法を用いて未知数、すなわち各奇関数収差を求めればよい。
Figure 2004059710
ここで、S(j=1〜n)は、未知数、すなわち計測対象となる各奇関数収差のいずれかを示し、aij(i=1〜m、j=1〜n)は、各奇関数収差の収差量Sに対する位相差Φ(i=1〜m)の変化の感度を示す。
最小二乗法による各奇関数収差の収差量の求め方について説明する。上述の式(23)は、右辺を、aij(i=1〜m、j=1〜n)を各要素とするm行n列の定数行列Aと、未知数S(j=1〜n)を要素とするn次元ベクトルSとでまとめて表すことができる。左辺の位相差Φ(i=1〜m)をm次元ベクトルΦとしてまとめて表すと、以下の式(24)のように表される。
Figure 2004059710
最小二乗法は、上記式(24)のように、ベクトル形式で表現した場合に、ベクトルAS−Φ同士の内積(AS−Φ、AS−Φ)を最小とするSを求める方法である。なお、上述の式(24)は、以下の式(25)のように変形される。
Figure 2004059710
ここで、行列Aは、行列Aの転置行列である。AAはn次元の正方行列であり、AΦは、n次元のベクトルであるから、上述の式(25)は、その解を解くことができ、これによりn次元ベクトルSを求めることができる。n次元ベクトルSは、以下の式(26)のように表される。従って、主制御装置50は、以下の式(26)を計算して、各奇関数収差の収差量を求める。
Figure 2004059710
なお、このような最小二乗法を用いた、収差計測方法は、前述のように、奇関数収差だけではなく、前述(上記第2の実施形態も含む)の各偶関数収差の計測にも利用できることはいうまでもない。なお、この場合には、上述の式(23)における連立方程式の左辺は、各L/Sパターン間の位相差ではなく、各パターン間のコントラストが最大となる位置の位置ずれ等になる。
以上詳細に述べたように、本第3の実施形態では、並列に配置された周期が互いに異なる複数の周期パターンLS1、LS2・・・を含む計測マークの空間像に対して走査させる計測用パターン122’の長さを、計測マークの空間像の長さ以上としている。従って、この計測用パターン122’を用いれば、1回の走査で、すべての周期パターンを介した照明光の光強度信号を得ることができるようになるため、投影光学系PLの収差(低次、高次球面収差等を含む偶関数収差や低次、高次コマ収差等を含む奇関数収差)の計測時間を短縮することができるようになる。
なお、本第3の実施形態でも、上記第1、第2の実施形態と同様に、その空間周波数成分の振幅をその大きさの評価量としてもよいし、そのコントラストを評価量としてもよい。コントラストとは、その空間周波数成分の振幅を、光強度信号に含まれる直流成分で除したものであり、このコントラストを評価量とすることによって、照明光の光源の光量変化の収差計測への影響を緩和することができるようになる。
≪第4の実施形態≫
次に、本発明の第4の実施形態について、図16A〜図28に基づいて説明する。
上記第2の実施形態では、デューティ比が1:1のL/Sパターンの計測マークの空間像を複数のフォーカス位置で計測して、この空間像に対しフーリエ変換を実行することにより、その空間像に含まれる基本周波数成分と3次高調波成分のフーリエ係数を求め、そのフーリエ係数に基づいて、基本周波数成分と3次高調波成分とのコントラストカーブを求め、それらのコントラストカーブが最大になる位置の位置ずれに基づいて、投影光学系PLの収差量を求めた。
このような高調波成分を用いて投影光学系PLの収差を求める方法では、L/Sパターンのデューティ比の精度が、投影光学系PLの収差量の計測精度に多大な影響を与える。例えば、以下の表3に、デューティ比が異なるL/Sパターンでの、1次の基本周波数成分とその高調波成分との位相差、いわゆる横ずれ量(この量が、投影光学系PLのコマ収差等の奇関数収差に対応する)の違いを示す。なお、ここでは、照明光ILの波長が193nm、コヒーレンスファクタσが0.3、投影光学系PLの開口数が0.78、L/Sパターンの空間像の周期が1.0μmという条件の下、その空間像のラインとスペースとの幅の比を、それぞれ0.5μm:0.5μm、0.45μm:0.55μm、0.55μm:0.45μmとしている。
Figure 2004059710
なお、このときの基本周波数成分と、2次の高調波成分と、3次の高調波成分との振幅比は、0.31:0.032:0.071となった。すなわち、空間像に含まれる各空間周波数成分の大きさは、次数が高くなればなるほど小さくなっており、ここでは、3次の高調波成分の大きさは、基本周波数成分の大きさの約30%程度となっている。
また、このような空間像計測には、前述のように、光電変換素子としてフォト・マルチプライヤ・チューブ(以下、「PMT」と略述する)を用いるが、計測される収差量は、このPMTの非線形性による出力電圧の歪みにも影響を受ける。このようなPMTの非線形性を考慮した場合、上述の条件による横ずれ量の計測値は、以下の表4のように表される。
Figure 2004059710
なお、このときの基本周波数成分と、2次の高調波成分と、3次の高調波成分との振幅比は、0.31:0.030:0.07となった。
また、以下の表5には、照明光ILの波長を248nmとし、投影光学系PLの開口数N.A.を0.82とし、PMTの非線形性を考慮しない場合の横ずれ量の計測値が示されている。
Figure 2004059710
なお、このときの基本周波数成分と、2次の高調波成分と、3次の高調波成分との振幅比は、0.31:0.053:0.045となった。
また、以下の表6には、照明光ILの波長を248nmとし、投影光学系PLの開口数N.A.を0.82とし、PMTの非線形性を考慮した場合の横ずれ量の計測値が示されている。
Figure 2004059710
なお、このときの基本周波数成分と、2次の高調波成分と、3次の高調波成分との振幅比は、0.31:0.048:0.046となった。
上記表3〜表6から明らかなように、L/Sパターンのデューティ比が変化すると、そのデューティ比の変化率を大幅に上回る横ずれ量等の感度変化が発生して収差量の計測精度が悪化してしまうという不都合がある。また、PMTの非線形性により、投影光学系PLの収差量の計測精度に限界があるという不都合もある。
また、上記第1〜第3実施形態では、透過光量が減少してS/N比が悪化するのを防ぎ、計測時間を短縮するという観点から、計測用パターンとして、ピンホールパターンよりも、スリットパターンを用いていた。しかし、投影光学系PLの収差を、より精度良く求めるためには、あらゆる方向に延びる周期パターンの空間周波数成分を計測することが望ましく、所定の計測用パターンをスリットパターンのみとすると、前述のように、計測マークの周期方向が、スリットパターンの長手方向に垂直な方向に限られてしまうという不都合がある。
本第4の実施形態に係る露光装置は、上述の不都合を解決するためのものである。本第4の実施形態に係る露光装置は、その装置構成などは、一部を除き第1の実施形態の露光装置10とほぼ同一となっている。従って、重複説明を避けるため、以下においては第1〜第3の実施形態との相違点を中心に説明する。また、同様の趣旨から同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を省略するものとする。
本第4の実施形態では、マーク保持部材としてのレチクルマーク板と、計測用パターンとしてのスリットの構成が、上記第1〜第3の実施形態と異なっている。本第4の実施形態では、図16A〜図16C又は図17A、図17Bに示されるレチクルマークRFM”のうち、いずれか1つのレチクルマーク板RFM”を用いる。
図16Aには、本第4の実施形態におけるレチクルマーク板RFM”上の計測マークの一例が示されている。図16Aに示されるように、このレチクルマーク板RFM”の計測マークでは、幅4dの光透過部(斜線で示される部分)が周期(周期8d)的に設けられており、幅2dの光透過部(斜線で示される部分)が、幅dの2つの遮光部に挟まれるように周期的(周期8d)に設けられている。従って、この計測マークでは、周期8dのデューティ比1:1の基本パターン(第1周期パターン)と、周期8dのデューティ比1:3の補助パターン(基本パターンとは線幅が異なる第2周期パターン)とが、それらの周期方向に混在するように配置されているとみなすことができる。
図16Bには、本第4の実施形態におけるレチクルマーク板RFM”上の計測マークの他の例が示されている。図16Bに示されるように、このレチクルマーク板RFM”の計測マークでは、幅3dの光透過部(斜線で示される部分)が周期的(周期6d)に設けられており、幅dの光透過部(斜線で示される部分)が、幅dの2つの遮光部に挟まれるように周期的(周期6d)に設けられている。従って、この計測マークでは、周期6dのデューティ比1:1の基本パターン(第1周期パターン)と、周期6dのデューティ比1:5の補助パターン(第2周期パターン)とが、それらの周期方向に混在するように配置されているとみなすことができる。
図16Cには、本第4の実施形態におけるレチクルマーク板RFM”上の計測マークの他の例が示されている。図16Cに示されるように、このレチクルマーク板RFM”の計測マークでは、幅8dの光透過部(斜線で示される部分)が周期的(周期16d)に設けられており、幅2dの2つの光透過部(斜線で示される部分)が、幅2dの遮光部を挟んだ状態で、かつ幅dの2つの遮光部に挟まれるように周期的(周期16d)に設けられている。従って、この計測マークでは、周期16dのデューティ比1:1の基本パターン(第1周期パターン)と、周期16dのデューティ比1:7の補助パターン(第2周期パターン)とが、それらの周期方向に混在するように配置されているとみなすことができる。
また、図17Aには、本第4の実施形態におけるレチクルマーク板RFM”上の計測マークの他の例が示されている。図17Aに示されるように、このレチクルマーク板RFM”の計測マークでは、幅5dの光透過部(斜線で示される部分)が周期的(周期10d)に設けられており、幅dの2つの光透過部(斜線で示される部分)が、幅dの遮光部を挟んだ状態で、かつ幅dの2つの遮光部に挟まれるように周期的(周期10d)に設けられている。従って、この計測マークでは、周期10dのデューティ比1:1の基本パターン(第1周期パターン)と、周期10dのデューティ比1:9の補助パターンとが、それらの周期方向に混在するように配置されているとみなすことができる。
図17Bには、本第4の実施形態におけるレチクルマーク板RFM”上の計測マークの他の例が示されている。図17Bに示されるように、このレチクルマーク板RFM”の計測マークでは、幅12dの光透過部(斜線で示される部分)が周期的(周期24d)に設けられており、幅2dの3つの光透過部(斜線で示される部分)が、それぞれの間隔(遮光部)がそれぞれ2dとなり、幅12dの遮光部との間隔(遮光部)がそれぞれdとなるように周期的(周期24d)に設けられている。従って、この計測マークでは、周期24dのデューティ比1:1の基本パターン(第1周期パターン)と、周期24dのデューティ比1:11の補助パターン(第2周期パターン)とが、それらの周期方向に混在するように配置されているとみなすことができる。
次に、図16A〜図16C、図17A、図17Bに示されるような計測マークの設計方法について説明する。まず、基本パターンだけの計測マークを考慮する。例えば、図16Aに示される計測マークを設計する場合には、周期8dでデューティ比1:1の基本パターン(幅4dの遮光部及び光透過部のみから成る周期パターン)だけの計測マークを考慮する。そして、その計測マークの空間像を、上記第1、第2の実施形態と同様にスリットパターンを走査させて、その計測マークの空間像を、空間像計測装置59を用いて計測するか、シミュレーションによって解析する。
図18には、基本パターンのみの計測マークの空間像をシミュレーションで解析したときの解析結果が示されている。図18に示されるように、太線の矩形波は、レチクルパターン(投影光学系PLの投影倍率によって縮小されている)を示しており、実線Qは、投影光学系PLによって実際に結像する空間像を示している。また、点線Pは、空間像計測装置59による走査(スリットスキャン)によって検出される光強度信号Pを示している。図18に示されるように、空間像計測装置59による走査によって得られた光強度信号Pは、実際の空間像をほぼ再現しているとみなすことができる。
光強度信号Pをフーリエ変換すると、その所望の空間周波数成分(例えば基本周波数成分、2次〜6次の高調波成分)のフーリエ係数が得られる。そして、所望の空間周波数成分のフーリエ係数を逆フーリエ変換すると、その周波数成分の正弦波が得られる。図18には、そのようにして得られた基本周波数成分、その2次〜6次の高調波成分が示されている。なお、図18では、これらの成分を元の計測マークの空間像等とあわせて表示するために、各空間周波数成分の値に0.5だけオフセットが付与されている。なお、この図18に示されるシミュレーションでは、照明光ILの波長を193nmとし、投影光学系PLのN.A.を0.82とし、コヒーレンスファクタσを0.3とし、L/Sパターンの空間像の周期を1.0μmとした。
次に、補助パターンを形成する場所を特定する。例えば、図19に示されるように、基本周波数成分が負となっており、2次の高調波成分が正となっている区間に対応する計測マークの部分(ここは遮光部となっている)に、新たに幅2d(周期P=8dの1/4、すなわちP/4)の光透過部を設ける。このようにすれば、基本パターンの周期の1/2の周期を有する補助パターンを形成して、図16Aに示されるような計測マークを設計することができる。なお、図18等では、各成分に0.5のオフセットを与えていることに注意する。
このように、基本周波数成分が負(すなわち基本パターンの遮光部に相当)となっていて、その高調波成分が正となっている区間に対応する部分に補助パターンの光透過部を設ければ、図16A〜図16C、図17A、図17Bに示されるような計測マークを設計することが可能となる。例えば、図20に示されるように、基本周波数成分が負となっていて、3次の高調波成分が正となっている区間に対応する部分に補助パターンとして光透過部(P/6で示される部分)を設ければ、図16Bに示されるような計測マークを設計することができる。また、図21に示されるように、基本周波数成分が負となっていて、4次の高調波成分が正となっている区間に対応する部分に補助パターンとして光透過部(P/8で示される部分)を設ければ、図16Cに示されるような計測マークを設計することができる。また、図22に示されるように、基本周波数成分が負となっていて、5次の高調波成分が正となっている区間に対応する部分に補助パターンとして光透過部(P/10で示される部分)を設ければ、図17Aに示されるような計測マークを設計することができる。また、図23に示されるように、基本周波数成分が負となっていて、6次の高調波成分が正となっている区間に対応する部分に補助パターンとして光透過部(P/12で示される部分)を設ければ、図17Bに示されるような計測マークを設計することができる。
このように、基本周波数成分が負になっていて、高調波成分が正になっている部分に対応する部分に補助パターンの光透過部を設ければ、基本パターンによる高調波成分と、補助パターンによる空間周波数成分との周期方向の位相差をほぼ0にすることができるようになるため、結果的に、基本パターンに対応する空間像の高調波成分が強調される。なお、以下では、図16Aに示されるような2次高調波成分を強調するように設計された計測マークを2次高調波強調マークとし、図16Bに示されるような3次高調波成分を強調するように設計された計測マークを3次高調波強調マークとし、図16Cに示されるような4次高調波成分を強調するように設計された計測マークを4次高調波強調マークとし、図17Aに示されるような5次高調波成分を強調するように設計された計測マークを5次高調波強調マークとし、図17Bに示されるような6次高調波成分を強調するように設計された計測マークを6次高調波強調マークとする。
図24には、ピッチ1.0μmの2次高調波強調マーク(図16A)を計測マークとした場合の空間像計測のシミュレーションの結果が示されている。この図24では、実線が投影光学系PLを介して得られる空間像を示し、点線がスリットスキャンによって得られる空間像を示している。図24に示されるように、2次高調波強調マークを用いれば、2次の高調波成分の大きさが図19に示される2次の高調波成分の大きさよりも大きくなり、2次高調波成分がより強調されたものになっている。また、図25には、ピッチ1.0μmの3次高調波強調マーク(図16B)を計測マークとした場合の空間像計測のシミュレーションの結果が示されている。図25に示されるように、3次高調波強調マークを用いれば、3次の高調波成分の大きさが図20に示される3次の高調波成分の大きさよりも大きくなっており、その3次高調波成分がより強調されたものになっている。なお、図24、図25に示されるシミュレーション結果はいずれも、投影光学系PLのN.A.が0.78、照明光ILの波長が193nm、コヒーレンスファクタσが0.3の条件で算出されたものである。
また、本第4の実施形態では、空間像計測装置59を構成するスリット板90”上には、図26Aに示されるように、X軸方向に伸びる所定幅2D、長さLのスリット122aと、Y軸方向に伸びる所定幅2D、長さLのスリット122bと、ピンホールパターン123とが形成されている。ここで、2Dは例えば200nm以下に設定されており、Lは例えば16μmに設定されている。また、スリット122bはスリット122aの−X側及び+Y側にそれぞれ約4μm隔てて配置されている。また、ピンホールパターンの直径は、400nm以下(スリット122a、122bの約2倍程度)となるように設定されている。
本第4の実施形態では、このようにスリットパターンとピンホールパターンとを組み合わせた計測用パターンを用いて空間像計測動作を実行する。例えば、投影光学系PLのフォーカス管理等を行う場合のような、できるだけ計測時間を短縮することが望まれる場合には、空間像を計測する際には、例えば図26Bに示されるように、スリット122a(又はスリット122b)を計測用パターンとして、空間像計測動作を実行すればよい(図26Bでは、0.2μmL/Sパターン(5本)3組のマークの空間像を計測するようになっている)。スリットパターンは、ピンホールパターンに比べて多くの光量を受光可能であり、計測値のS/N比が高く、計測時間の短縮化が可能だからである。なお、計測用パターンとして、スリットを用いる場合、ピンホールパターン123は、図26Bに示されるように、走査中の計測マークを介した照明光IL(空間像)を入射しない位置に配設されている必要がある。すなわち、スリットパターン122a,122bとピンホールパターン123とは、計測する空間像に対してスリットパターン122a,122bを相対的に走査させる際に、ピンホールパターン123がその空間像に干渉することなく、かつ空間像に対してピンホールパターン123を相対走査する際に、スリットパターン122a,122bがその空間像に干渉することのない位置関係となるように配置されている。
また、定期的に投影光学系PLの収差の計測を行う際には、ピンホールパターン123を用いて空間像計測を行うのが望ましい。ピンホールパターン123を計測用パターンとして用いれば、図27に示されるように、レチクルマーク板に形成されたあらゆる周期方向の計測マークに対して、計測用パターンを走査させることができるようになるので、投影光学系PLの収差をさらにきめ細かく計測することが可能となり、その収差を精度良く求めることができるからである。
すなわち、本第4の実施形態に係る露光装置では、計測用パターンとしてスリットパターン122a,122bとピンホールパターン123とを有しているため、その空間像の計測目的、計測時間、計測精度等に合わせて、適宜、計測用パターンを選択して空間像計測を実行することができる。
本第4の実施形態では、前述した図16A〜図16C、図17A、図17Bに示されるような計測マークを用い、スリット122a、122bやピンホールパターン123を、計測用パターンとして適宜選択し、上記各実施形態と同様に空間像計測動作を実行し(第1工程)、検出された光強度信号に含まれる基本パターンの周期に相当する基本周波数成分の大きさ又は位相と、補助パターンの周期に相当する高調波成分の大きさ又は位相とに基づいて、投影光学系PLのコマ収差等の奇関数収差又は球面収差等の偶関数収差などを算出する(第2工程)。このようにすれば、単調なL/Sパターン(基本パターンのみの計測マーク)の空間像を計測するよりも、光強度信号に含まれる高調波成分の大きさが大きくなるため、S/N比が大きくなるので、PMTの非線形性や計測マークの線幅誤差の計測結果に対する影響を低くすることができる。従って、投影光学系PLの収差を精度良く計測することができるようになる。なお、上記各実施形態で説明したように、第2工程では、奇関数収差の収差量は、前述の基本周波数成分と高調波成分との位相差に基づいて算出することができ、偶関数収差の収差量は、基本周波数成分の大きさ(振幅又はコントラスト)が最大となる位置と、高調波成分の大きさ(振幅又はコントラスト)が最大となる位置との投影光学系PLの光軸AXの方向に関する位置ずれ等に基づいて、算出することができる。
図16Aに示される2次高調波強調マークを用い、照明光ILの波長を193nmとし、投影光学系PLのN.A.を0.78とした場合のシミュレーションの結果を以下の表7に示す。
Figure 2004059710
なお、このときの基本周波数成分の大きさと、2次の高調波成分の大きさと、3次の高調波成分の大きさとの比は、0.11:0.18:0.17となった。すなわち、前述の表3に示される単純な矩形波の計測マークでの計測結果に比べて、基本周波数成分の大きさは、1/3程度まで減少しているものの、2次の高調波成分の大きさは約6倍、3次の高調波成分の大きさは2倍以上と、高調波成分の大きさは著しく大きくなっている。そして、各空間周波数成分の大きさがほぼ同じ大きさとなっているため、PMTの非線形性(10%)の影響が少なくなっている。また、線幅誤差(線幅100%→90%)による感度変化(横ずれ量の変化)も著しく減少しており、その感度変化は線幅変化と比例して大きくなる程度となっている。
図16Aに示される2次高調波強調マークを用い、照明光ILの波長を248nm(krFエキシマレーザの発振波長相当)とし、投影光学系PLのN.A.を0.82とした場合のシミュレーションの結果を以下の表8に示す。
Figure 2004059710
なお、このときの基本周波数成分の大きさと、2次の高調波成分の大きさと、3次の高調波成分の大きさとの比は、0.13:0.19:0.11となった。すなわち、上述の表4に示した単純な矩形波の計測マークに比べて、基本周波数成分の大きさは、1/2程度まで減少しているものの、2次の高調波成分の大きさは約6倍、3次の高調波成分の大きさは2倍以上と、高調波成分の大きさは著しく大きくなっている。そして、各空間周波数成分の大きさがほぼ同じ大きさとなっているため、PMTの非線形性(10%)の影響が少なくなっている。また、線幅誤差(線幅100%→90%)による感度変化(横ずれ量の変化)も著しく減少しており、その感度変化は線幅変化と比例して大きくなる程度となっている。
図16Bに示される3次高調波強調マークを用い、照明光ILの波長を193nm(ArFエキシマレーザの発振波長相当)とし、投影光学系PLのN.A.を0.78とした場合のシミュレーションの結果を以下の表9に示す。
Figure 2004059710
なお、このときの基本周波数成分の大きさと、2次の高調波成分の大きさと、3次の高調波成分の大きさとの比は、0.18:0.13:0.16となった。すなわち、上述の表5に示した単純な矩形波の計測マークに比べて、基本周波数成分の大きさは、2/3程度まで減少しているものの、2次の高調波成分の大きさは約2倍、3次の高調波成分の大きさは3倍以上と、高調波成分の大きさは著しく大きくなっている。そして、各空間周波数成分の大きさがほぼ同じ大きさとなっているため、PMTの非線形性(10%)の影響が少なくなっている。また、線幅誤差(線幅100%→90%)による感度変化(横ずれ量の変化)も著しく減少しており、その感度変化は線幅変化と比例して大きくなる程度となっている。
図16Bに示される3次高調波強調マークを用い、照明光ILの波長を248nm(KrFエキシマレーザの発振波長相当)とし、投影光学系PLのN.A.を0.82とした場合のシミュレーションの結果を以下の表10に示す。
Figure 2004059710
なお、このときの基本周波数成分の大きさと、2次の高調波成分の大きさと、3次の高調波成分の大きさとの比は、0.20:0.14:0.10となった。すなわち、上述の表6に示した単純な矩形波の計測マークに比べて、基本周波数成分の大きさは、2/3程度まで減少しているものの、2次の高調波成分の大きさは約2倍、3次の高調波成分の大きさは3倍以上と、高調波成分の大きさは著しく大きくなっている。そして、各空間周波数成分の大きさがほぼ同じ大きさとなっているため、PMTの非線形性(10%)の影響が少なくなっている。また、線幅誤差(線幅100%→90%)による感度変化(横ずれ量の変化)も著しく減少しており、その感度変化は線幅変化と比例して大きくなる程度となっている。
以上詳細に述べたように、本第4の実施形態によれば、計測マークに空間像の高調波成分に対応する周期の周期パターンが含まれているため、高調波成分の大きさを大きくして、S/N比を大きくすることができるので、PMTの非線形性や計測マーク(レチクルマーク板など)の製造誤差の影響を低減することができるようになり、投影光学系PLの収差を精度良く計測することができる。
なお、本第4の実施形態では、投影光学系PLの収差の計測をさらに高精度化するため、PMTの非線形性を予め計測しておき、計測された空間像の所定次数の空間周波数成分の大きさや位相を、計測された非線形性をキャンセルするように補正することも可能である。図28には、PMTの入出力特性が示されている。図28に示されるように、PMTの入出力特性は線形ではないので、この特性を予め計測しておき、PMTの出力電圧を補正することができる。
また、計測マークの線幅誤差を予め計測しておけば、収差に対する感度をシミュレーションによって予想可能となる。なお、上述した本第4の実施形態の計測マークのサイズは、すべて投影光学系PLを介して得られる空間像のサイズであり、実際の計測マークのサイズは、投影光学系PLの投影倍率(1/4)の逆数、すなわち4倍程度であるので、既存の検査装置でも、それらの線幅を十分精度良く計測することができる。
なお、本第4の実施形態の計測マークでは、基本パターンの遮光部に補助パターンを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、基本パターンの光透過部に補助パターン(この場合、補助パターンとしては、遮光部が新たに形成される)を形成するようにしてもよい。また、本第4の実施形態では、透過型マスクを用いたが、反射型マスクでも本発明を適用することができるのは勿論である。
また、図16C、図17A、図17Bに示されるレチクルマーク板では、補助パターンの一部として、2つの光透過部を作成したが、いずれか一方の光透過部はなくてもよい。
また、上記各実施形態の収差計測方法によって計測された収差量に基づいて、投影光学系PLを調整し、本来なら投影光学系PLの収差を0にすることが望ましいが、実際には、投影光学系PLの調整後にも収差が若干残留するようになる。そのため、露光装置10の運用に関しては、投影光学系PLの調整後に、上記第1の実施形態の収差計測方法を用いて、投影光学系PLに残留した収差を、初期収差量として改めて計測しておく。そして、露光装置10では、上記第1の実施形態の収差計測方法によって収差の変動を定期的に計測し、経時変化等により収差に変化が生じた場合には、主制御装置50が、結像特性補正コントローラ78を介してレンズエレメント13…を駆動させてそれらの収差量が初期の収差量に戻るように投影光学系PLの結像特性を調整すればよい。なお、投影光学系PLの少なくとも1つの収差を、零以外の所定値(前述した初期の収差量)に設定してレチクルパターンの転写を行うときなどは、収差量がその所定値に戻るように投影光学系PLの結像特性を調整すれば良い。
一般に、投影光学系PLの収差の経時変化は、投影光学系PLの鏡筒の温度変化による伸び縮み、レンズエレメント13…の駆動素子20のリセット時の位置の微小誤差などによって発生する低次の収差の変化を考慮すればよい。従って、投影光学系PLの調整後の初期収差量を空間像計測によって求め、定期的な収差計測の際に、これを参照することによって低次収差の経時変化を検出し、低次収差の収差量を初期収差量に復帰させればよい。なお、定期的な収差の計測は、レチクルマーク板RFM等に形成された計測マークを用いて行うことが計測の安定性の観点から望ましい。
また、上記各実施形態では、コマ収差あるいは球面収差を計測対象としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、フリンジツェルニケ多項式における各項によって示される収差であれば、その収差量を計測することができる。
また、上記各実施形態では、投影光学系PLの投影視野(イメージフィールド)内、特に照明光ILが照射される露光領域(即ち、照明領域と共役な投影領域)内の1つの計測点のみで前述の収差計測を行うものとしたが、露光領域内の複数の計測点にそれぞれ対応する照明領域内の各位置に計測マークを配置して、その計測点毎に収差を計測するようにしても良い。このとき、1つの計測マークのみを用いて複数の計測点での収差計測を行っても良いが、例えば複数の計測点と実質的に同じ配置で複数の計測マークが設けられるレチクルマーク板(又はレチクル)を用いる、あるいは非走査方向(X軸方向)に所定間隔で複数の計測マークが配置されるレチクルマーク板(又はレチクル)をY軸方向にステップ移動することで、前述の露光領域内で2次元に設定される複数の計測点での収差計測を行うようにしても良い。
また、上記各実施形態では計測マークの照明条件について説明していなかったが、例えばコヒーレンスファクタ(σ値)が小さい照明条件(いわゆる小σ照明)とすることが好ましい。このとき、特にσ値は0.1程度以下に設定すると良い。
なお、上記第3の実施形態では、Zチルトステージ38を駆動して複数のフォーカス位置でそれぞれ前述の光強度信号を得るものとしたが、上記第2の実施形態と同様に投影光学系PLの球面収差などを調整して複数の光強度信号を得るようにしても良い。即ち、上記第2及び第3の実施形態に限らず、Zチルトステージ38を駆動する代わりに、投影光学系PLの球面収差などを調整しても良い。さらに、上記各実施形態で用いる空間像計測装置は図3の構成に限られるものではなく任意で良いし、前述の光強度信号を得るためにウエハステージWSTを駆動する代わりに、レチクルステージRSTを駆動しても良い。
また、上記各実施形態では、露光用照明光としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)などを用いる場合について説明したが、これに限らず、前述のKrFエキシマレーザ光(波長248nm)、あるいはg線(波長436nm)、i線(波長365nm)、Fレーザ光(波長157nm)、銅蒸気レーザ、YAGレーザ、半導体レーザなどの高調波、EUV光、硬X線、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線等を露光用照明光として用いることができる。なお、EUV光を用いる露光装置では、前述の計測マークが反射型となり、空間像計測装置59はEUV光を、例えば蛍光などによって波長変換して前述の光強度信号を得ることになる。
また、上記各実施形態では、投影光学系として縮小系を用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系として等倍あるいは拡大系を用いても良いし、屈折系、反射屈折系、及び反射系のいずれであっても良いし、投影像は倒立像だけでなく、正立像などでも良い。また、上記各実施形態と同様の縮小系を用いる場合に、その投影倍率は1/5、1/6などであっても良く、このような場合には、計測マーク、基準マークのサイズ、配置などを、その投影倍率に応じて定めることが望ましい。
なお、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系PLを露光装置本体に組み込み光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージRSTやウエハステージWSTを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより上記各実施形態の露光装置100を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
また、上記各実施形態では、本発明がステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、マスクとウエハとを静止した状態でマスクのパターンをウエハに転写するとともに、ウエハを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート型の露光装置等他のタイプの露光装置にも本発明を適用することができる。
また、本発明は、半導体製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)、有機EL、マイクロマシン、DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、螢石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。この他、例えば国際公開WO99/49504号などに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体が満たされる液浸型露光装置などに本発明を適用しても良く、この液浸型露光装置では投影光学系PLとスリット板90との間に液体を満たした状態で前述の計測を行うことが好ましい。また、投影光学系を介してレチクルパターンの転写が行われる露光位置と、ウエハアライメント系によるマーク検出が行われる計測位置(アライメント位置)とにそれぞれウエハステージを配置して、露光動作と計測動作とをほぼ並行して実行可能なツインウエハステージ方式の露光装置などに本発明を適用しても良い。このツインウエハステージ方式の露光装置は、例えば特開平10−214783号公報及び対応する米国特許第6,341,007号、あるいは国際公開WO98/40791号及び対応する米国特許第6,262,796号などに開示されており、本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、その米国特許の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
以上説明したように、本発明の収差計測方法は、投影光学系の収差の計測に適している。また、本発明の露光方法及び装置は、投影光学系を用いて露光をするのに適している。

Claims (64)

  1. 投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、
    前記投影光学系の有効視野内に周期パターンを含む少なくとも1つの計測マークを位置させた状態で、照明光により前記計測マークを照明して前記投影光学系により前記計測マークの空間像を形成し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で前記空間像に対して所定の計測用パターンを相対的に走査して該走査中に前記計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を行う工程と;
    前記光強度信号に含まれる所定次数の空間周波数成分の大きさに基づいて、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が偶関数で表される偶関数収差の収差量を算出する工程と;を含む収差計測方法。
  2. 請求項1に記載の収差計測方法において、
    前記算出する工程で算出された偶関数収差の収差量に基づいて前記投影光学系の結像特性を調整したうえで、前記空間像計測及び前記偶関数収差の収差量算出を再び実行し、今回算出された偶関数収差の収差量と前回算出された偶関数収差の収差量との比較結果に基づいて、前記偶関数収差の極性を決定する工程をさらに含む収差計測方法。
  3. 請求項1に記載の収差計測方法において、
    前記所定次数の空間周波数成分の大きさが最大となる前記投影光学系の光軸方向に関する位置から所定のオフセットを有する位置で、前記空間像計測を実行し、
    前記所定のオフセットを有する位置における前記偶関数収差の収差量の変化に対する前記所定次数の空間周波数成分の大きさの変化の特性を求め、その特性に基づいて前記偶関数収差の収差量の極性を決定することを特徴とする収差計測方法。
  4. 請求項3に記載の収差計測方法において、
    前記所定のオフセットとして、前記投影光学系の数学モデルを用いたシミュレーションによって算出された前記投影光学系の特性に基づいて決定されたオフセットを用いることを特徴とする収差計測方法。
  5. 請求項4に記載の収差計測方法において、
    前記所定次数の空間周波数成分の大きさがほぼ0となるように前記所定のオフセットを決定することを特徴とする収差計測方法。
  6. 請求項1に記載の収差計測方法において、前記所定次数は、奇数であることを特徴とする収差計測方法。
  7. 請求項1に記載の収差計測方法において、
    前記偶関数収差は球面収差であることを特徴とする収差計測方法。
  8. 請求項1に記載の収差計測方法において、前記所定の計測用パターンは、ピンホールパターンであることを特徴とする収差計測方法。
  9. 請求項1に記載の収差計測方法において、
    前記動径多項式は、フリンジツェルニケ多項式であり、
    前記計測用パターンは、スリットパターンであることを特徴とする収差計測方法。
  10. 請求項1に記載の収差計測方法において、
    前記計測用パターンとして、互いに長手方向が交差する複数のスリットパターンを含むことを特徴とする収差計測方法。
  11. 請求項1に記載の収差計測方法において、
    前記光強度信号に含まれる空間周波数成分の振幅を、その大きさの評価量とすることを特徴とする収差計測方法。
  12. 請求項1に記載の収差計測方法において、
    前記光強度信号に含まれる空間周波数成分のコントラストを、その大きさの評価量とすることを特徴とする収差計測方法。
  13. 請求項1に記載の収差計測方法において、
    前記計測用パターンは、前記相対走査方向に関してその幅が前記空間像の幅と同程度以下であることを特徴とする収差計測方法。
  14. 投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、
    前記投影光学系の有効視野内に周期パターンを含む少なくとも1つの計測マークを位置させた状態で、照明光により前記計測マークを照明して前記投影光学系により前記計測マークの空間像を形成し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で前記空間像に対して所定の計測用パターンを相対的に走査して該走査中に前記計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を、前記投影光学系の光軸方向における複数の位置について実行する工程と;
    前記光強度信号に含まれる基本周波数成分の大きさが最大となる位置とその所定次数の高調波成分の大きさが最大となる位置との前記投影光学系の光軸方向に関する位置ずれに基づいて、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が偶関数で表される偶関数収差の収差量を算出する工程と;を含む収差計測方法。
  15. 請求項14に記載の収差計測方法において、
    前記空間像計測を、周期パターンの周期が異なる複数の前記計測マークについて実行し、
    前記収差量の算出に際し、前記計測マーク毎に得られる前記光強度信号に含まれる基本周波数成分の大きさが最大となる位置とその高調波成分の大きさが最大となる位置との位置ずれと、前記各計測マークにおける前記位置ずれの変化に対応する複数の偶関数収差の感度とに基づいて、前記複数の偶関数収差の各々の収差量を算出することを特徴とする収差計測方法。
  16. 請求項15に記載の収差計測方法において、
    前記各計測マークにおける前記位置ずれと前記複数の偶関数収差の感度とに基づいて、最小二乗法を用いて、前記複数の偶関数収差の各々の収差量を求めることを特徴とする収差計測方法。
  17. 請求項14に記載の収差計測方法において、
    前記所定次数は、奇数であることを特徴とする収差計測方法。
  18. 請求項14に記載の収差計測方法において、
    前記偶関数収差は球面収差であることを特徴とする収差計測方法。
  19. 請求項14に記載の収差計測方法において、
    前記所定の計測用パターンは、ピンホールパターンであることを特徴とする収差計測方法。
  20. 請求項14に記載の収差計測方法において、
    前記動径多項式は、フリンジツェルニケ多項式であり、
    前記計測用パターンは、スリットパターンであることを特徴とする収差計測方法。
  21. 請求項14に記載の収差計測方法において、
    前記計測用パターンとして、互いに長手方向が交差する複数のスリットパターンを含むことを特徴とする収差計測方法。
  22. 請求項14に記載の収差計測方法において、
    前記光強度信号に含まれる空間周波数成分の振幅を、その大きさの評価量とすることを特徴とする収差計測方法。
  23. 請求項14に記載の収差計測方法において、
    前記光強度信号に含まれる空間周波数成分のコントラストを、その大きさの評価量とすることを特徴とする収差計測方法。
  24. 請求項14に記載の収差計測方法において、
    前記計測用パターンは、前記相対走査方向に関してその幅が前記空間像の幅と同程度以下であることを特徴とする収差計測方法。
  25. 投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、
    周期が異なる複数の周期パターンがそれらの周期方向と垂直な方向に並列に配置された計測マークを、前記投影光学系の有効視野内に位置させた状態で、照明光により前記計測マークを照明して前記投影光学系を介して形成された前記計測マークの空間像に対し、前記垂直な方向における前記空間像の長さ以上の長さを前記垂直な方向に有する計測用パターンを相対的に走査させながら、前記計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を、前記投影光学系の光軸方向に関する少なくとも1つの位置について実行する工程と;
    前記光強度信号に含まれる前記各周期パターンに対応する空間周波数成分の位相及び大きさの少なくとも一方に基づいて、前記投影光学系の収差量を算出する工程と;を含む収差計測方法。
  26. 請求項25に記載の収差計測方法において、
    前記複数の周期パターンでは、最小周期に対する最大周期の比が3倍以下であることを特徴とする収差計測方法。
  27. 請求項25に記載の収差計測方法において、
    前記収差量の算出に際し、前記光強度信号に含まれる前記各周期パターンに対応する空間周波数成分同士の位相差に基づいて、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が奇関数で表される奇関数収差の収差量を算出することを特徴とする収差計測方法。
  28. 請求項27に記載の収差計測方法において、
    前記計測マークに配置された少なくとも3つの周期パターンから選択される一対の周期パターンの組合せにおいてそれぞれ算出される空間周波数成分同士の位相差と、前記各位相差の変化に対応する複数の奇関数収差の感度とに基づいて、前記複数の奇関数収差の各々の収差量を算出することを特徴とする収差計測方法。
  29. 請求項28に記載の収差計測方法において、
    前記各位相差と前記複数の奇関数収差の感度とに基づいて、最小二乗法を用いて、前記複数の奇関数収差の各々の収差量を算出することを特徴とする収差計測方法。
  30. 請求項25に記載の収差計測方法において、
    前記複数の周期パターンには、基本周期を有する第1周期パターンと、前記基本周期とは異なる所定周期を有する少なくとも一対の第2周期パターンとが含まれており、
    前記一対の第2周期パターンは、前記第1周期パターンを挟んで、互いの前記周期方向の位相差がほぼ0となるように配設されていることを特徴とする収差計測方法。
  31. 請求項25に記載の収差計測方法において、
    前記空間像計測を、前記投影光学系の光軸方向における複数の位置についてそれぞれ実行し、
    前記光強度信号に含まれる前記複数の周期パターンのうちの第1周期パターンの周期に対応する空間周波数成分の大きさが最大となる位置と前記複数の周期パターンのうちの第2周期パターンの周期に対応する空間周波数成分の大きさが最大となる位置との前記投影光学系の光軸方向に関する位置ずれに基づいて、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が偶関数で表される偶関数収差の収差量を算出することを特徴とする収差計測方法。
  32. 請求項31に記載の収差計測方法において、
    前記周期パターン毎に得られる前記光強度信号に含まれる基本周波数成分の大きさが最大となる位置とその奇数次の高調波成分の大きさが最大となる位置との位置ずれと、前記各周期パターンにおける前記位置ずれの変化に対応する複数の偶関数収差の感度とに基づいて、前記複数の偶関数収差の各々の収差量を算出することを特徴とする収差計測方法。
  33. 請求項32に記載の収差計測方法において、
    前記各周期パターンにおける前記位置ずれと前記複数の偶関数収差の感度とに基づいて、最小二乗法を用いて、前記複数の偶関数収差の各々の収差量を算出することを特徴とする収差計測方法。
  34. 請求項25に記載の収差計測方法において、
    前記動径多項式は、フリンジツェルニケ多項式であり、
    前記計測用パターンは、スリットパターンであることを特徴とする収差計測方法。
  35. 請求項25に記載の収差計測方法において、
    前記計測用パターンとして、互いに長手方向が交差する複数のスリットパターンを含むことを特徴とする収差計測方法。
  36. 請求項25に記載の収差計測方法において、
    前記光強度信号に含まれる空間周波数成分の振幅を、その大きさの評価量とすることを特徴とする収差計測方法。
  37. 請求項25に記載の収差計測方法において、
    前記光強度信号に含まれる空間周波数成分のコントラストを、その大きさの評価量とすることを特徴とする収差計測方法。
  38. 請求項25に記載の収差計測方法において、
    前記計測用パターンは、前記相対走査方向に関してその幅が前記空間像の幅と同程度以下であることを特徴とする収差計測方法。
  39. 投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、
    前記投影光学系の有効視野内に、線幅が異なる複数の周期パターンがそれらの周期方向に混在するように配置された少なくとも1つの計測マークを位置させた状態で、照明光により前記計測マークを照明して前記投影光学系により前記計測マークの空間像を形成し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で前記空間像に対して、所定の計測用パターンを相対的に走査し、該走査中に前記計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を行う工程と;
    前記光強度信号に含まれる、前記各周期パターンに対応する空間周波数成分の位相及び大きさの少なくとも一方に基づいて、前記投影光学系の収差量を算出する工程と;を含む収差計測方法。
  40. 請求項39に記載の収差計測方法において、
    前記各周期パターンは、互いに周期が同一でデューティ比が異なるパターンであることを特徴とする収差計測方法。
  41. 請求項40に記載の収差計測方法において、
    前記各周期パターンの線幅は、前記周期の自然数分の一であることを特徴とする収差計測方法。
  42. 請求項41に記載の収差計測方法において、
    前記計測マークでは、前記複数の周期パターンとして、光透過部と遮光部との比が1:1である第1周期パターンと、光透過部と遮光部との比が1:m(mは奇数)の第2周期パターンとが配置されており、
    前記第1周期パターンの遮光部であって、前記第1周期パターンのみから成る計測マークを用いて前記空間像計測を実行したときに得られる光強度信号に含まれる(m+1)/2次の空間周波数成分の極性が負である部分に対応する部分に、前記第2周期パターンの光透過部が形成されていることを特徴とする収差計測方法。
  43. 請求項41に記載の収差計測方法において、
    前記計測マークでは、前記複数の周期パターンとして、光透過部と遮光部との比が1:1である第1周期パターンと、光透過部と遮光部との比が1:m(mは奇数)の第2周期パターンとが配置されており、
    前記第1周期パターンの光透過部であって、前記第1周期パターンのみから成る計測マークを用いて前記空間像計測を実行したときに得られる光強度信号に含まれる(m+1)/2次の空間周波数成分の極性が正である部分に対応する部分に、前記第2周期パターンの遮光部が形成されていることを特徴とする収差計測方法。
  44. 請求項39に記載の収差計測方法において、
    前記計測用パターンとして、互いに長手方向が交差する複数のスリットパターンを含むことを特徴とする収差計測方法。
  45. 請求項44に記載の収差計測方法において、
    前記計測用パターンとして、ピンホールパターンをさらに含むことを特徴とする収差計測方法。
  46. 請求項45に記載の収差計測方法において、
    前記周期方向が互いに交差する複数の前記計測マークを有することを特徴とする収差計測方法。
  47. 請求項45に記載の収差計測方法において、
    前記スリットパターンと前記ピンホールパターンとは、前記空間像に対して前記スリットパターンを相対的に走査する際に、前記ピンホールパターンが前記空間像に干渉することなく、かつ前記空間像に対して前記ピンホールパターンを相対走査する際に、前記スリットパターンが前記空間像に干渉することのない位置関係となるように配置されていることを特微とする収差計測方法。
  48. 請求項39に記載の収差計測方法において、
    前記光強度信号に含まれる空間周波数成分の振幅を、その大きさの評価量とすることを特徴とする収差計測方法。
  49. 請求項39に記載の収差計測方法において、
    前記光強度信号に含まれる空間周波数成分のコントラストを、その大きさの評価量とすることを特徴とする収差計測方法。
  50. 請求項39に記載の収差計測方法において、
    前記計測用パターンは、前記相対走査方向に関してその幅が前記空間像の幅と同程度以下であることを特徴とする収差計測方法。
  51. 投影光学系の収差を計測する収差計測方法であって、
    前記投影光学系の有効視野内に周期パターンを含む少なくとも1つの計測マークを位置させた状態で、照明光により前記計測マークを照明して前記投影光学系により前記計測マークの空間像を形成し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で前記空間像に対して所定の計測用パターンを相対的に走査して該走査中に前記計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を、前記投影光学系の第1の収差を複数の収差量に設定したときの各々について実行する工程と;
    前記第1の収差を所定量だけ変化させた場合の、前記光強度信号に含まれる所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化量を評価量として少なくとも1つの第2の収差の収差量を算出する工程と;を含む収差計測方法。
  52. 請求項51に記載の収差計測方法において、
    前記第2の収差が複数ある場合には、
    前記空間像計測を、周期パターンの周期が異なる複数の前記計測マークについて実行し、
    前記収差量の算出に際し、前記計測マーク毎に得られる、前記第1の収差を所定量だけ変化させた場合の前記光強度信号に含まれる所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化量と、前記各計測マークにおける複数の第2の収差各々の変化に対する第1の収差換算の前記所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化の割合とに基づいて、前記複数の第2の収差の各々の収差量を算出することを特徴とする収差計測方法。
  53. 請求項51の記載の収差計測方法において、
    前記第2の収差が複数ある場合には、
    前記空間像計測を、複数の光学条件の下で実行し、
    前記収差量の算出に際し、前記光学条件毎に得られる、前記第1の収差を所定量だけ変化させた場合の前記光強度信号に含まれる所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化量と、前記各光学条件における複数の第2の収差各々の変化に対する第1の収差換算の前記所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化の割合とに基づいて、前記複数の第2の収差の各々の収差量を算出することを特徴とする収差計測方法。
  54. 請求項51に記載の収差計測方法において、
    前記第1の収差及び前記第2の収差はともに、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が偶関数で表される偶関数収差であって、前記第1の収差は前記第2の収差よりも低次の項であることを特徴とする収差計測方法。
  55. 請求項51に記載の収差計測方法において、
    前記光強度信号に含まれる空間周波数成分の振幅を、その大きさの評価量とすることを特徴とする収差計測方法。
  56. 請求項51に記載の収差計測方法において、
    前記光強度信号に含まれる空間周波数成分のコントラストを、その大きさの評価量とすることを特徴とする収差計測方法。
  57. 請求項51に記載の収差計測方法において、
    前記計測用パターンは、前記相対走査方向に関してその幅が前記空間像の幅と同程度以下であることを特徴とする収差計測方法。
  58. マスクのパターンを、投影光学系を介して感光物体上に転写する露光方法であって、
    請求項1〜57のいずれか一項に記載の収差計測方法によって、前記投影光学系の収差を計測する工程と;
    前記計測された収差に基づいて、前記投影光学系の結像特性を調整する工程と;
    前記調整後の前記投影光学系を介して前記パターンを前記感光物体上に転写する工程と;を含む露光方法。
  59. マスクのパターンを、投影光学系を介して感光物体上に転写する露光装置であって、
    周期パターンを含む少なくとも1つの計測マークが形成されたマーク形成部材と;
    前記マーク形成部材を照明光により照明する照明ユニットと;
    前記照明ユニットによる照明により前記投影光学系を介して形成された前記計測マークの空間像に対し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で、所定の計測用パターンを相対的に走査し、該走査中に前記所定の計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測装置と;
    前記光強度信号に含まれる所定次数の空間周波数成分の大きさに基づいて、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が偶関数で表される偶関数収差の収差量を算出する処理装置と;
    前記算出された収差量に基づいて、前記投影光学系の結像特性を調整する調整装置と;を備える露光装置。
  60. マスクのパターンを、投影光学系を介して感光物体上に転写する露光装置であって、
    周期パターンを含む少なくとも1つの計測マークが形成されたマーク形成部材と;
    前記マーク形成部材を照明光により照明する照明ユニットと;
    前記照明ユニットによる照明により前記投影光学系を介して形成された前記計測マークの空間像に対し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で、所定の計測用パターンを相対的に走査し、該走査中に前記所定の計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を、前記投影光学系の光軸方向に関する複数の位置について実行する空間像計測装置と;
    前記光強度信号に含まれる基本周波数成分の大きさが最大となる位置とその所定次数の高調波成分の大きさが最大となる位置との前記投影光学系の光軸方向に関する位置ずれに基づいて、前記投影光学系の射出瞳上の波面収差を示す収差関数を展開することによって得られる動径多項式の各項の動径関数が偶関数で表される偶関数収差の収差量を算出する処理装置と;
    前記算出された収差量に基づいて、前記投影光学系の結像特性を調整する調整装置と;を備える露光装置。
  61. マスクのパターンを、投影光学系を介して感光物体上に転写する露光装置であって、
    周期が異なる複数の周期パターンがそれらの周期方向と垂直な方向に並列に配置されている少なくとも1つの計測マークが形成されたマーク形成部材と;
    前記マーク形成部材を照明光により照明する照明ユニットと;
    前記照明ユニットによる照明により前記投影光学系を介して形成された前記計測マークの空間像に対し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で、前記垂直な方向における前記空間像の長さ以上の長さを前記垂直な方向に有する計測用パターンを相対的に走査し、該走査中に前記計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測装置と;
    前記光強度信号に含まれる前記各周期パターンの周期に対応する奇数次の空間周波数成分の位相差及び大きさの少なくとも一方に基づいて、前記投影光学系の収差量を算出する処理装置と;
    前記算出された収差量に基づいて、前記投影光学系の結像特性を調整する調整装置と;を備える露光装置。
  62. マスクのパターンを、投影光学系を介して感光物体上に転写する露光装置であって、
    線幅が異なる複数の周期パターンがそれらの周期方向に混在するように配置された少なくとも1つの計測マークが形成されたマーク形成部材と;
    前記マーク形成部材を照明光により照明する照明ユニットと;
    前記照明ユニットによる照明により前記投影光学系を介して形成された前記計測マークの空間像に対し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で、所定の計測用パターンを相対的に走査し、該走査中に前記所定の計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測装置と;
    前記光強度信号に含まれる、前記各周期パターンに対応する空間周波数成分の位相及び大きさの少なくとも一方に基づいて、前記投影光学系の収差量を算出する処理装置と;
    前記算出された収差量に基づいて、前記投影光学系の結像特性を調整する調整装置と;を備える露光装置。
  63. マスクのパターンを、投影光学系を介して感光物体上に転写する露光装置であって、
    周期パターンを含む少なくとも1つの計測マークが形成されたマーク形成部材と;
    前記マーク形成部材を照明光により照明する照明ユニットと;
    前記照明ユニットによる照明により前記投影光学系を介して形成された前記計測マークの空間像に対し、前記投影光学系の光軸方向に関する像面近傍の位置で、所定の計測用パターンを相対的に走査し、該走査中に前記所定の計測用パターンを介して得られる前記照明光を光電検出し、前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計測を、前記投影光学系の第1の収差を複数の収差量に設定したときの各々について実行する空間像計測装置と;
    前記第1の収差を所定量だけ変化させた場合の、前記光強度信号に含まれる所定周波数成分の大きさが最大となる位置の変化量を評価量として少なくとも1つの第2の収差の収差量を算出する処理装置と;
    前記算出された収差量に基づいて、前記投影光学系の結像特性を調整する調整装置と;を備える露光装置。
  64. 請求項59〜63のいずれか一項に記載の露光装置において、
    前記パターンが形成されたマスクを保持するマスクステージを更に備え、
    前記マーク形成部材は、前記マスクステージ上に配置された基準マーク板であることを特徴とする露光装置。
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