JPWO2003063142A1 - 浮上スライダ、およびこの浮上スライダを備えた光磁気記憶装置 - Google Patents

浮上スライダ、およびこの浮上スライダを備えた光磁気記憶装置 Download PDF

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Abstract

浮上スライダ(1)は、記憶媒体(Dc)に対向配置される対向面(11)を有している。この対向面(11)には、この記憶媒体(Dc)の半径方向に沿って延びる軸心を有する円柱外面状に形成されたクラウン面(7)が設けられている。この浮上スライダ(1)は、上記記憶媒体(Dc)が回転する際に、上記記憶媒体(Dc)と上記対向面(11)との間に空気が流入することによって上記記憶媒体(Dc)から離間するように浮上する構成とされている。この浮上スライダ(1)は、上記クラウン面(7)の断面における円弧の頂点とその弦との間の距離とされるクラウン量をd、上記対向面における上記弦と平行な方向に沿った長さとされるスライダ長さをLとすると、となるように形成されている。

Description

技術分野
本発明は、回転する記憶媒体に情報を記録したり、この記憶媒体に記録された情報を再生したりする記憶装置に適用される浮上スライダに関する。また、本発明は、この浮上スライダを備えた記憶装置に関する。
背景技術
この種の記憶装置のうち、たとえばHDD記憶装置などの磁気記憶装置は、表面に磁気記録層が形成された記憶媒体が内蔵されており、この磁気記録層における1ビット分の情報が記録される各領域(マーク)をS−NまたはN−Sの方向に磁化したり各マークの磁化方向を読み取ることによって情報の記録・再生を行うように構成されている。このような磁気記録装置では、各マーク近傍に磁界を発生させるための磁界発生手段が、記憶媒体の回転時において記憶媒体に対して離間して位置することが可能な浮上スライダに搭載された構成とされている。
この浮上スライダは、記憶媒体に対して弾性的に押しつけられており、記憶媒体が回転する際に、記憶媒体との間に形成される流体くさびの圧力上昇によって、記憶媒体の表面に対してわずかに浮上するように構成されている。このような浮上スライダは、他の位置調節機構を具備せずとも記憶媒体に対して離間して位置することができることから、記憶媒体として可換媒体である光ディスクあるいは光磁気ディスクを用いる記憶装置にも適用されつつある。
光磁気ディスクは、記録された情報が容易に消えないように、比較的保磁力が強い磁気記録層を有しており、光磁気ディスクを用いる光磁気記憶装置は、レーザビームを照射して温度を上昇させることにより各マークの保磁力を弱めた上でそれら各マークを磁化することによって情報を記録する一方、レーザビームをマークに照射してマークの磁化方向に応じて変化する反射光の偏光角度を読み取ることによって、マークに記録された情報を再生するよう構成されている。このような光磁気記憶装置のうち、各マークを磁化する際に、常にレーザビームを照射して磁気記録層の高温状態を維持した状態で、磁界発生手段で発生する磁界を変調させるように構成された磁界変調方式を採用したタイプのものには、浮上スライダに、磁界発生手段と、ビームスポットを形成するための対物レンズとが搭載されているものがあり、このような浮上スライダは、記憶媒体と対向する対向面が、磁気記憶装置に備えられた浮上スライダの対向面に比して比較的大となる。
ところで、近年においては、磁気記憶装置あるいは光磁気記憶装置の大容量化に向け、記憶媒体のさらなる高記録密度化が求められている。このような場合では、各マークの占有面積がより小さくなり、各マークの磁力が弱くなる傾向にある。したがって、記憶媒体の高記録密度化を達成するために磁気記憶装置あるいは光磁気記憶装置上でなしうる方策の1つとして、各マークを磁化する際の磁力の弱小化を防止するため、回転する記憶媒体と浮上スライダ(磁界発生装置)との間の距離、すなわち浮上スライダの浮上量を極力小さくすることが挙げられる。具体的には、光磁気記憶装置の場合では、浮上スライダの浮上量は、可換媒体としての光磁気ディスクに付着しうる塵埃を考慮して、好ましくは、2μm〜4μm、より好ましくは、約3μm程度とされる。
しかしながら、可換式の光磁気ディスクは、取り扱い性の向上および軽量化を考慮して、ポリカーボネイトなどの樹脂を成形加工することにより得られた基板を用いているため、アルミニウムなどの金属を精密研磨することにより得られた基板を用いているHDDなどとは異なり、成形誤差等に起因して、たとえばディスクの円周方向にうねりが生じていたり、全体としての外観が略円錐台形状を呈したりして、その表面に凹部や凸部を有している。これにより、浮上スライダが光磁気ディスクに近接する(浮上スライダの浮上量が小さくなる)ほど、上記凹凸部の影響によって、浮上スライダの浮上量が変動しやすくなる。このような場合、対物レンズと記憶媒体との距離が変動してレーザビームがフォーカスボケしてしまうこととなる。
そこで、浮上量の変動が抑制されうる浮上スライダとして、たとえば特開平8−235666号公報に開示されている浮上スライダが提案されている。しかしながら、この公報の浮上スライダは、比較的浮上量が大きい(5μm〜15μm)場合において浮上量の変動を抑制しうるものであるため、このような浮上スライダを、上記したように浮上量が比較的小さい(2μm〜4μm)場合に用いられる浮上スライダに適用しても、この場合における浮上量の変動を防止することができなかった。
発明の開示
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものである。したがって、本発明の課題は、回転する記憶媒体に対する浮上量が比較的小さい場合において、その浮上量が変動するのを防止することができる浮上スライダを提供することである。
また、本発明の別の課題は、このような浮上スライダを備えた光磁気記憶装置を提供することである。
本発明の第1の側面により提供される浮上スライダは、記憶媒体に対向配置される対向面に、この記憶媒体の半径方向に沿って延びる軸心を有する円柱外面状に形成されたクラウン面が設けられている。この浮上スライダは、上記記憶媒体が回転する際に、上記記憶媒体と上記対向面との間に空気が流入することによって上記記憶媒体から離間するように浮上する構成とされている。この浮上スライダは、上記クラウン面の断面における円弧の頂点とその弦との間の距離とされるクラウン量をd、上記対向面における上記弦と平行な方向に沿った長さとされるスライダ長さをLとすると、
Figure 2003063142
となるように形成されている。
好ましくは、上記対向面における空気が流入してくる流入端部には、上記弦方向の長さが0.3mm〜0.5mmとされかつ上記弦に対して0.5度〜1.0度の角度で交差する平面状のテーパ面が設けられている。
好ましくは、上記対向面における空気が流入してくる流入端部には、深さが1μm〜5μmの凹状に形成されたステップが設けられている。
好ましくは、上記浮上スライダは、上記クラウン面が全体として1つの面として形成されているモノレールスライダである。
好ましくは、上記スライダ長さLは、2mm〜6mmであり、上記対向面における上記記憶媒体の半径方向に沿った長さとされるスライダ幅Wは、1.2mm〜5.0mmであり、かつ上記クラウン量dは、500nm〜3000nmである。
好ましくは、上記スライダ長さLは、約6mmであり、上記対向面における上記記憶媒体の半径方向に沿った長さとされるスライダ幅Wは、約4mmであり、かつ上記クラウン量dは、1500nm〜3000nmである。
本発明の第2の側面により提供される光磁気記憶装置は、記憶媒体上にレーザスポットを形成するための集光手段と、記憶媒体におけるレーザスポットが形成される領域に対して磁界を発生させる磁界発生手段とを備えた光磁気記憶装置である。この光磁気記憶装置は、上記集光手段と上記磁界発生手段とが、本発明の第1の側面により提供される浮上スライダに搭載されている。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明よって、より明らかとなろう。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好ましい実施例を、添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図9は、本発明に基づく浮上スライダおよびこの浮上スライダを備えた光磁気記憶装置を説明するための図である。図1に示す光磁気記憶装置10は、記憶媒体として可換媒体である光磁気ディスクDcを用い、この光磁気ディスクDcをスピンドルSpにより回転させた状態において、光磁気ディスクDcに対して磁界変調方式により情報を記録したり、光磁気ディスクDcに記録された情報を、光を利用して再生するものである。この光磁気記憶装置10は、光源部2と、光源部2からの光を集束して光磁気ディスクDcの表面にレーザビームスポットを形成する集光手段3と、光磁気ディスクDcにおけるレーザビームスポットが形成される領域に対して磁界を発生させる磁界発生手段4(図3参照)とを備えており、本実施形態では、集光手段3および磁界発生手段4は、光磁気ディスクDcの表面に倣ってこの光磁気ディスクDcに対して相対的に移動する浮上スライダ1に搭載されている。
光磁気ディスクDcは、磁性体により形成された薄膜状の磁気記録層と、ポリカーボネイトなどの樹脂を成形加工することにより形成された樹脂基板とを有している。磁気記録層は、1ビット分の情報が記録される各領域(マーク)がS−NまたはN−Sの方向に磁化されることによって情報を記録するように構成されており、近年においては、光磁気ディスクDcの高記録密度化にともなって各マークの占有面積をより小とすることが求められている。
上記光源部2は、その内部に備えられた半導体レーザ素子から発せられるレーザ光をコリーメータレンズ(図示略)などにより平行光束光とし、これを出射するように構成されている。図1に示すように、この光源部2は、入射した光(光磁気ディスクDcからの反射光)を電気信号に変換する光検出器21や、光源部2からの光を光磁気ディスクDcへ向けて透過する一方、光磁気ディスクDcからの反射光を光検出器21に向けて反射させるビームスプリッタ22などとともに光学ユニット部20に備えられている。この光磁気記憶装置10は、光磁気ディスクDcの厚み方向に大きくならないように、光源部2から出射される光(光路2a)が光磁気ディスクDcの表面に沿って進行するように構成されており、この光を屈曲させて集光手段3に導くための立ち上げミラー23がさらに備えられている。この立ち上げミラー23は、集光手段3の上方に配置されており、立ち上げミラー23で反射した光源部2からの光は、集光手段3に対して上方から入射する。
また、この光磁気記憶装置10には、図示していないが、たとえば直進型ボイスコイルモータなどの直進駆動機構などにより、光磁気ディスクDcの半径方向(図1の矢印R方向)に移動可能なキャリッジが、光磁気ディスクDcの第1面Dc側に配置されており、上記光路2aの一部および立ち上げミラー23は、このキャリッジ内に設けられている。
上記集光手段3は、高NA化を達成すべく、図3に示すように、光磁気ディスクDcに対して近位に配置された第1対物レンズ31と、光磁気ディスクDcに対して遠位に配置された第2対物レンズ32とからなる。第1対物レンズ31は、光磁気ディスクDcに形成されるビームスポットを光磁気ディスクDc(図1参照)の半径方向に沿って微小変位させてトラッキング制御を行うための微小変位機構33に搭載されている。第2対物レンズ32は、微小変位機構33を覆うケース部34に支持されている。第1対物レンズ31および第2対物レンズ32は、光磁気ディスクDcが回転する際に、その主平面が光磁気ディスクDcと平行となるように浮上スライダ1に搭載されている。光源部2からの平行光束光は、第2対物レンズ32により集束された後さらに第1対物レンズ31により集束されて、光磁気ディスクDc上に結像されることによりビームスポットとなる。上記微小変位機構33は、平面視長矩形状を呈したシリコン基板33a上に対して、可動部33bと、固定部33cとを導体層により形成した静電アクチュエータとして形成されており、可動部33bと固定部33cとの間に電圧を印加することによって、固定部33cに対して可動部33bないし第1対物レンズ31が、光磁気ディスクDcの半径方向(図3の矢印R方向)に沿って微小動する。これにより、光磁気ディスクDcに形成されるビームスポットが第1対物レンズ31の移動距離分だけ微小変位し、トラッキング制御が行なわれる。
なお、集光手段3は、図1および図2に示すように、上記立ち上げミラー23で反射した光源部2からの光が、上述したように、第2対物レンズ32に対して上方から入射するため、この光が後述するサスペンション部材5に遮断されないように配置されている。すなわち、集光手段3は、浮上スライダ1上において、第2対物レンズ32がサスペンション部材5の先端部から光磁気ディスクDcの回転方向にずれるように配置されている。
上記磁界発生手段4は、図3に示すように、微小変位機構33の上記シリコン基板33aの底部に位置する透明基板40に、集光手段3と対応するコイル41を埋設するなどして形成されている。コイル41は、たとえば銅などの金属膜をパターニングすることにより渦巻き状に形成されており、電気絶縁性を有する透明な材料、たとえば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン、酸化珪素、または窒化珪素などにより覆うことにより透明基板40内に埋設されている。このような磁界発生手段4は、透明基板40が浮上スライダ1の底面で露出するようにかつコイル41が光磁気ディスクDcと平行となるように配置されており、コイル41を通電することにより磁界を発生させて光磁気ディスクDcの磁気記録層の磁化方向を規定するように構成されている。
上記浮上スライダ1は、図1に示すように、光磁気ディスクDcの半径方向に延びるサスペンション部材5の先端に対してジンバルバネ6(図2参照)を介して支持されている。
より詳細には、図2に示すように、ジンバルバネ6のサスペンション側取付け部61がサスペンション部材5の底板部51の先端に重合接続されるとともに、ジンバルバネ6のスライダ側取付け部62が浮上スライダ1の上面側に重合接続されている。このとき、サスペンション部材5の底板部51には、図2および図4に示すように、浮上スライダ1の重心に対応する部位に点接触する膨出突起55が形成されており、浮上スライダ1は、膨出突起55がピボットを形成することによって、自在に揺動可能となる。また、サスペンション部材5は、その基端部5aが上記した図示しないキャリッジに支持されており、これにより、浮上スライダ1(集光手段3および磁界発生手段4)は、キャリッジが移動することによって光磁気ディスクDcの半径方向に相対的に移動することができる。
また、浮上スライダ1は、サスペンション部材5の底板部51が所定の弾性を有する板バネ状に形成されているため、サスペンション部材5によって光磁気ディスクDcに対して弾性的に押しつけられる。その一方で、浮上スライダ1は、光磁気ディスクDcが高速回転する際には、浮上スライダ1と光磁気ディスクDcとの間に流入する空気により形成された流体くさびの圧力上昇によって、光磁気ディスクDcからわずかに離間して浮上するように構成されている。なお、浮上スライダ1は、このようにして光磁気ディスクDcに対して浮上した状態において、下流側の領域と光磁気ディスクDcとの間の距離よりも上流側の領域と光磁気ディスクDcとの間の距離の方が大きくなるように所定の角度に若干傾斜する。このとき、浮上スライダ1における光磁気ディスクDcまでの距離が最短距離となる位置を最下点7aとすると、浮上スライダ1は、最下点7aを通りかつ光磁気ディスクDcに垂直な直線上に上記集光手段3および磁界発生手段4の中心線が載るように構成されており、この最下点7aと光磁気ディスクDcまでの距離が浮上量Hとされる。
ところで、浮上スライダ1においては、光磁気ディスクDcにおける小型化された各マークから発せられる比較的弱い磁力を読み取るようにするため、その浮上量Hがより小さいほうがよい(具体的には、好ましくは2μm(2000nm)〜4μm(4000nm)、より好ましくは約3μm(3000nm))。また、浮上スライダ1に搭載した集光手段3のフォーカスボケするのを防止するために、浮上スライダ1の浮上量Hが変動しないことが好ましい。そこで、これらの条件を満たすべく、この光磁気記憶装置10では、浮上スライダ1における光磁気ディスクDcに対向配置される対向面11(図2および図4参照)が以下のように規定されている。
すなわち、浮上スライダ1の対向面11には、図4に示すように、円柱外面状に形成されたクラウン面7が設けられており、このクラウン面7の軸心は、光磁気ディスクDcの半径方向に沿って延びている。このような浮上スライダ1において、クラウン面7と光磁気ディスクDcとの間に空気が流入する場合、流入してきた空気によって、上記最下点7aよりも上流側の領域と光磁気ディスクDcとの間で流体くさびが形成される。これらの間にさらに空気が流入すると、流体くさびの圧力が上昇し、これにより、上記サスペンション部材5の弾性力および浮上スライダ1の重量に抗して流体くさびが浮上スライダ1を浮上させる。
また、浮上スライダ1は、クラウン面7が全体として1つの面として形成されている、いわゆるモノレールスライダであり、クラウン面7が凹状の溝によって区切られたタイプのスライダとは異なる。したがって、浮上スライダ1においては、流体くさびの圧力上昇により受ける浮上力がクラウン面7の全域でほぼ一様となるので、浮上量Hの変動が抑制されうる。
光磁気ディスクDcは、上述したように上記樹脂基板が成形加工により形成されているため、その表面に凹部や凸部を有する傾向にあり、その影響によって浮上スライダ1の浮上量Hが変動しやすくなる。より詳細には、図5Aに示すように、浮上スライダ1は、光磁気ディスク1の表面に生じた凹部上に位置する場合では、この凹部にクラウン面7が沿うことができるため、浮上量Hを確保することができる一方、特に、図5Bに示すように、光磁気ディスク1の表面に生じた凸部上に位置する場合など、クラウン面11における最下点7aよりも下流側の領域と光磁気ディスクDcとの間の距離H′が浮上スライダ1の浮上量Hに比して極度に大となる場合では、浮上スライダ1と光磁気ディスクDcとの間から流出していく空気が断熱膨張するため、浮上スライダ1が光磁気ディスクDcの表面から浮上しにくくなり、浮上量Hが小さくなる。
ここで、上記距離H′は、クラウン面7の断面における円弧の頂点71とその弦70との間の距離であるクラウン量d、および対向面11における上記弦70と平行な方向に沿った長さであるスライダ長さLが大きく影響して変化するものと考えられる。したがって、適切なクラウン量dおよびスライダ長さLを導き出すことによって、浮上量Hの変動を抑制することが可能となると考えられる。
なお、浮上スライダ1のサイズについては、上記第2対物レンズ32の直径およびジンバルバネ6の幅がそれぞれ、最小のもので0.5mmおよび1mm程度、平均的なサイズのもので2mmおよび2mm程度とされることから、スライダ長さLは、好ましくは2mm〜6mm、より好ましくは約6mmとされる。一方、対向面11における光磁気ディスクDcの半径方向に沿った長さであるスライダ幅Wは、好ましくは1.2mm〜5mm、より好ましくは約4mmとされる。
図6は、クラウン量dおよびスライダ長さLと、浮上スライダ1の浮上量Hとの関係についてシミュレーションした結果を示す図である。なお、このシミュレーションにおいて、スライダ幅Wは、4.1mmとした。
ところで、樹脂成形による基板を備える可換式の光磁気ディスクDcのように、記憶媒体の表面に凹凸部がある場合については、次のようなことを考慮しなければならない。すなわち、浮上スライダ1が記憶媒体の凹部上を移動する場合には(図5A)、相対的にクラウン面11の曲率半径が大きくなったのと等価となり、逆に、浮上スライダ1が記憶媒体の凸部上を移動する場合には(図5B)、相対的にクラウン面11の曲率半径が小さくなったのと等価となるということである。すなわち、このような凹凸部の存在が避けられない可換式の記憶媒体に対して浮上スライダ1を浮上させる場合、クラウン面11の曲率半径が動的に変化するのと等価となるのである。クラウン面11の曲率半径は、クラウン量dとスライダ長さLとから規定される値であるため、適度な浮上量Hを確保するためには、図6において、クラウン量dが変化しても、浮上量Hの変化の少ない領域を選ぶ必要がある。すなわち、図6において、浮上量Hごとの帯の傾きが小さい領域のクラウン量dを選ぶ必要がある。
より詳細には、図6においては、たとえばスライダ長さLが2mmの場合では、クラウン量dが500nm〜2000nmの範囲にあるとき、浮上量Hごとの帯の傾きが小さくなっている。また、たとえばスライダ長さLが4mmの場合では、クラウン量dが1000nm〜2500nmの範囲にあるとき、浮上量Hごとの帯の傾きが小さくなっている。また、たとえばスライダ長さLが6mmの場合では、クラウン量dが1500nm〜3000nmの範囲にあるとき、浮上量Hごとの帯の傾きが小さくなっている。
このように、各スライダ長さLについて、浮上量Hごとの帯の傾きが小さくなっている領域、すなわち浮上量Hがあまり変動しない領域を図示すれば、図6において直線Sおよび直線Sで囲まれた領域となり、この領域内でスライダ長さLおよびクラウン量dを規定すれば、浮上量Hの変動を防止することができる。すなわち、スライダ長さをL、クラウン量をdとしたとき、
Figure 2003063142
となるようにすればよい。具体的には、スライダ長さLが上記した好ましい値、すなわち2mm〜6mmであるとき、クラウン量dは、500nm〜3000nmとなる。また、スライダ長さLが上記したより好ましい値、すなわち6mmであるとき、クラウン量dは、1500nm〜3000nmとなる。
なお、このシミュレーションにおいて、浮上スライダ1に対する光磁気ディスクDcの相対線速度を約3m/sとした。また、サスペンション部材5の弾性力および浮上スライダ1の自重により浮上スライダ1が光磁気ディスクDcに対して押しつけられる際の押圧力を約4gfとした。これらの条件(光磁気ディスク、上記相対線速度および上記押圧力の設定事項)については、それらが変化しても、浮上スライダ1の浮上量Hにおける変動の傾向をあまり変化させないと思われ、本明細書中における他のシミュレーションについてもこのシミュレーションと同様の条件を採用した。
図7は、スライダ幅Wと浮上スライダ1の浮上量Hとの関係についてシミュレーションした結果を示す図である。このシミュレーションにおいて、スライダ長さLは、6mmとし、クラウン量dは、図6のシミュレーションから、1500nmおよび3000nmとした。図7において、スライダ幅Wが上記した好ましい値、すなわち1.2mm〜5mmである場合、クラウン量d=1500nmおよびクラウン量d=3000nmの双方において、スライダ幅Wの増加割合に対する浮上量Hの増加割合がほぼ等しくなっている。したがって、スライダ幅Wが1.2mm〜5mmである場合では、浮上量Hの変動幅がスライダ幅に左右されないといえる。すなわち、浮上スライダ1の浮上量Hが変動するのを防止することができる。
したがって、以上のことにより、スライダ長さL=2mm〜6mm、スライダ幅W=1.2mm〜5.0mm、そしてクラウン量d=500nm〜3000nmとすることによって、浮上スライダ1の浮上量Hが変動するのを防止することができる。また、浮上量Hを、上述したより好ましい値、すなわちH=3μm(3000nm)とするには、スライダ長さL=約6mm、スライダ幅W=約4mm、そしてクラウン量d=1500nm〜3000nmとするのが好ましい。
この光磁気記憶装置10においてはまた、浮上スライダ1は、上記対向面11における空気が流入してくる流入端部80に、図4および図8にそれぞれ示すように、平面状に形成されたテーパ面8A、または凹状に形成されたステップ8Bが設けられている。テーパ面8Aおよびステップ8Bは、空気中の塵埃がクラウン面7に付着することによって浮上スライダ1の浮上量Hが変動するのを防止するためのものである。より詳細には、光磁気ディスクDcは、可換媒体であるが故に、媒体交換時に汚染された空気にさらされることによって、このような空気中に含まれる塵埃が付着する。この塵埃は、たとえば平均粒径が約0.7μm程度のタバコの煙粒であり、光磁気ディスクDcの回転時にクラウン面7の比較的上流側の領域に付着する。このような塵埃が堆積して大きくなり、やがてクラウン面7上に凸状部分を形成することとなる。このような凸状部分の高さが約1μm程度以上となった場合、この凸状部分に、流入してくる空気があたると、凸状部分の下流側の側面とクラウン面7との間の領域が負圧になり、これにより、浮上スライダ1の浮上量Hが小さくなってしまう。テーパ面8Aは、空気の流れをやや下向きにすることにより、クラウン面7上に塵埃が付着するのを防止することができる。一方、ステップ8Bは、その凹状とされた内部に塵埃を付着させることにより、塵埃がクラウン面7から突出して凸状部分を形成するのを防止することができる。したがって、テーパ面8Aまたはステップ8Bにより、浮上スライダ1の浮上量Hが変動するのを防止することができる。
上記テーパ面8Aにおいて、クラウン面7の弦70に沿った方向の長さをM、クラウン面7の弦70に対する傾斜角度をθとすると、これらの長さMおよび角度θは、次のように規定される。すなわち、長さMの値が大きい場合では、浮上スライダ1の浮上量Hに影響を与えるため、長さMはより短い方がよい一方、M=0.3mm以下にするには、加工が困難となることから、M=0.3mm〜0.5mmとするのが好ましい。また、角度θの値が大きい場合では、テーパ面8A自体に塵埃が付着してしまうため、角度θはより小さい方がよい一方、形成に際して0.25度程度の誤差が生じることから、θ=0.5度〜1.0度とするのが好ましい。
上記ステップ8Bにおいて、浮上スライダ1の対向面11からの深さをDとすると、この深さDは、次のように規定される。すなわち、上記したように、塵埃によりクラウン面7上に形成された凸状部分は、その高さが1μm程度以上となった際に、浮上スライダ1の浮上量Hを変動させうるので、D=1μm〜5μmとするのが好ましい。
図9は、本発明に係る浮上スライダ1において、スライダ長さL=6mm、スライダ幅W=4.1mm、テーパ面8Aの長さM=0.3mm、テーパ面8Aの角度θ=0.5度とした場合について、クラウン量dと浮上スライダ1の浮上量Hとの関係についてシミュレーションした結果を示す。同図より、クラウン量1500nm〜3000nmとすれば、浮上スライダ1を、所望の浮上量H=約3μm(3000nm)に浮上させることができ、しかもこのときの浮上量が変動するのを防止できることを確認することができる。
以上において説明したが、これを他の様々な態様に改変し得ることは明らかである。このような改変は、本発明の思想及び範囲から逸脱するものではなく、当業者に自明な全ての変更は、以下における特許請求の範囲に含まれるべきものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る光磁気記憶装置の一例を示す概略斜視図である。
図2は、図1における浮上スライダを拡大して示す概略斜視図である。
図3は、図2の浮上スライダの内部構造を示す分解斜視図である。
図4は、図2の浮上スライダの右側面図である。
図5Aおよび図5Bは、図2のスライダの作用を説明するための図である。
図6は、クラウン量およびスライダ長さと、浮上スライダの浮上量との関係を示す図である。
図7は、スライダ幅と浮上スライダの浮上量との関係を示す図である。
図8は、本発明に係る浮上スライダの他の例を示す概略側面図である。
図9は、図2の浮上スライダが奏する効果を説明するための図である。
【書類名】 明細書
【特許請求の範囲】
【請求項1】 記憶媒体に対向配置される対向面に、この記憶媒体の半径方向に沿って延びる軸心を有する円柱外面状に形成されたクラウン面が設けられており、上記記憶媒体が回転する際に、上記記憶媒体と上記対向面との間に空気が流入することによって上記記憶媒体から離間するように浮上する構成とされた浮上スライダであって、
上記クラウン面の断面における円弧の頂点とその弦との間の距離とされるクラウン量をd、上記対向面における上記弦と平行な方向に沿った長さとされるスライダ長さをLとすると、
【数1】
Figure 2003063142
となることを特徴とする、浮上スライダ。
【請求項2】 上記対向面における空気が流入してくる流入端部には、上記弦方向の長さが0.3mm〜0.5mmとされかつ上記弦に対して0.5度〜1.0度の角度で交差する平面状のテーパ面が設けられている、請求項1に記載の浮上スライダ。
【請求項3】 上記対向面における空気が流入してくる流入端部には、深さが1μm〜5μmの凹状に形成されたステップが設けられている、請求項1に記載の浮上スライダ。
【請求項4】 上記クラウン面が全体として1つの面として形成されているモノレールスライダである、請求項1に記載の浮上スライダ。
【請求項5】 上記スライダ長さは、2mm〜6mmであり、上記対向面における上記記憶媒体の半径方向に沿った長さとされるスライダ幅は、1.2mm〜5.0mmであり、かつ上記クラウン量dは、500nm〜3000nmである、請求項1に記載の浮上スライダ。
【請求項6】 上記スライダ長さは、約6mmであり、上記対向面における上記記憶媒体の半径方向に沿った長さとされるスライダ幅は、約4mmであり、かつ上記クラウン量dは、1500nm〜3000nmである、請求項1に記載の浮上スライダ。
【請求項7】 記憶媒体上にレーザスポットを形成するための集光手段と、記憶媒体におけるレーザスポットが形成される領域に対して磁界を発生させる磁界発生手段とを備えた光磁気記憶装置であって、
上記集光手段と上記磁界発生手段とが、請求項1に記載の浮上スライダに搭載されていることを特徴とする、光磁気記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
本発明は、回転する記憶媒体に情報を記録したり、この記憶媒体に記録された情報を再生したりする記憶装置に適用される浮上スライダに関する。また、本発明は、この浮上スライダを備えた記憶装置に関する。
【0002】
【背景技術】
この種の記憶装置のうち、たとえばHDD記憶装置などの磁気記憶装置は、表面に磁気記録層が形成された記憶媒体が内蔵されており、この磁気記録層における1ビット分の情報が記録される各領域(マーク)をS−NまたはN−Sの方向に磁化したり各マークの磁化方向を読み取ることによって情報の記録・再生を行うように構成されている。このような磁気記憶装置では、各マーク近傍に磁界を発生させるための磁界発生手段が、記憶媒体の回転時において記憶媒体に対して離間して位置することが可能な浮上スライダに搭載された構成とされている。
【0003】
この浮上スライダは、記憶媒体に対して弾性的に押しつけられており、記憶媒体が回転する際に、記憶媒体との間に形成される流体くさびの圧力上昇によって、記憶媒体の表面に対してわずかに浮上するように構成されている。このような浮上スライダは、他の位置調節機構を具備せずとも記憶媒体に対して離間して位置することができることから、記憶媒体として可換媒体である光ディスクあるいは光磁気ディスクを用いる記憶装置にも適用されつつある。
【0004】
光磁気ディスクは、記録された情報が容易に消えないように、比較的保磁力が強い磁気記録層を有しており、光磁気ディスクを用いる光磁気記憶装置は、レーザビームを照射して温度を上昇させることにより各マークの保磁力を弱めた上でそれら各マークを磁化することによって情報を記録する一方、レーザビームをマークに照射してマークの磁化方向に応じて変化する反射光の偏光角度を読み取ることによって、マークに記録された情報を再生するよう構成されている。このような光磁気記憶装置のうち、各マークを磁化する際に、常にレーザビームを照射して磁気記録層の高温状態を維持した状態で、磁界発生手段で発生する磁界を変調させるように構成された磁界変調方式を採用したタイプのものには、浮上スライダに、磁界発生手段と、ビームスポットを形成するための対物レンズとが搭載されているものがあり、このような浮上スライダは、記憶媒体と対向する対向面が、磁気記憶装置に備えられた浮上スライダの対向面に比して比較的大となる。
【0005】
ところで、近年においては、磁気記憶装置あるいは光磁気記憶装置の大容量化に向け、記憶媒体のさらなる高記録密度化が求められている。このような場合では、各マークの占有面積がより小さくなり、各マークの磁力が弱くなる傾向にある。したがって、記憶媒体の高記録密度化を達成するために磁気記憶装置あるいは光磁気記憶装置上でなしうる方策の1つとして、各マークを磁化する際の磁力の弱小化を防止するため、回転する記憶媒体と浮上スライダ(磁界発生装置)との間の距離、すなわち浮上スライダの浮上量を極力小さくすることが挙げられる。具体的には、光磁気記憶装置の場合では、浮上スライダの浮上量は、可換媒体としての光磁気ディスクに付着しうる塵埃を考慮して、好ましくは、2μm〜4μm、より好ましくは約3μm程度とされる。
【0006】
しかしながら、可換式の光磁気ディスクは、取り扱い性の向上および軽量化を考慮して、ポリカーボネイトなどの樹脂を成形加工することにより得られた基板を用いているため、アルミニウムなどの金属を精密研磨することにより得られた基板を用いているHDDなどとは異なり、成形誤差等に起因して、たとえばディスクの円周方向にうねりが生じていたり、全体としての外観が略円錐台形状を呈したりして、その表面に凹部や凸部を有している。これにより、浮上スライダが光磁気ディスクに近接する(浮上スライダの浮上量が小さくなる)ほど、上記凹凸部の影響によって、浮上スライダの浮上量が変動しやすくなる。このような場合、対物レンズと記憶媒体との距離が変動してレーザビームがフォーカスボケしてしまうこととなる。
【0007】
そこで、浮上量の変動が抑制されうる浮上スライダとして、たとえば特開平8−235666号公報に開示されている浮上スライダが提案されている。しかしながら、この公報の浮上スライダは、比較的浮上量が大きい(5μm〜15μm)場合において浮上量の変動を抑制しうるものであるため、このような浮上スライダを、上記したように浮上量が比較的小さい(2μm〜4μm)場合に用いられる浮上スライダに適用しても、この場合における浮上量の変動を防止することができなかった。
【0008】
【発明の開示】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものである。したがって、本発明の課題は、回転する記憶媒体に対する浮上量が比較的小さい場合において、その浮上量が変動するのを防止することができる浮上スライダを提供することである。
【0009】
また、本発明の別の課題は、このような浮上スライダを備えた光磁気記憶装置を提供することである。
【0010】
本発明の第1の側面により提供される浮上スライダは、記憶媒体に対向配置される対向面に、この記憶媒体の半径方向に沿って延びる軸心を有する円柱外面状に形成されたクラウン面が設けられている。この浮上スライダは、上記記憶媒体が回転する際に、上記記憶媒体と上記対向面との間に空気が流入することによって上記記憶媒体から離間するように浮上する構成とされている。この浮上スライダは、上記クラウン面の断面における円弧の頂点とその弦との間の距離とされるクラウン量をd、上記対向面における上記弦と平行な方向に沿った長さとされるスライダ長さをLとすると、
【数2】
Figure 2003063142
となるように形成されている。
【0011】
好ましくは、上記対向面における空気が流入してくる流入端部には、上記弦方向の長さが0.3mm〜0.5mmとされかつ上記弦に対して0.5度〜1.0度の角度で交差する平面状のテーパ面が設けられている。
【0012】
好ましくは、上記対向面における空気が流入してくる流入端部には、深さが1μm〜5μmの凹状に形成されたステップが設けられている。
【0013】
好ましくは、上記浮上スライダは、上記クラウン面が全体として1つの面として形成されているモノレールスライダである。
【0014】
好ましくは、上記スライダ長さLは、2mm〜6mmであり、上記対向面における上記記憶媒体の半径方向に沿った長さとされるスライダ幅Wは、1.2mm〜5.0mmであり、かつクラウン量dは、500nm〜3000nmである。
【0015】
好ましくは、上記スライダ長さLは、約6mmであり、上記対向面における上記記憶媒体の半径方向に沿った長さとされるスライダ幅Wは、約4mmであり、かつ上記クラウン量dは、1500nm〜3000nmである。
【0016】
本発明の第2の側面により提供される光磁気記憶装置は、記憶媒体上にレーザスポットを形成するための集光手段と、記憶媒体におけるレーザスポットが形成される領域に対して磁界を発生させる磁界発生手段とを備えた光磁気記憶装置である。この光磁気記憶装置は、上記集光手段と上記磁界発生手段とが、本発明の第1の側面により提供される浮上スライダに搭載されている。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明よって、より明らかとなろう。
【0018】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の好ましい実施例を、添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1〜図9は、本発明に基づく浮上スライダおよびこの浮上スライダを備えた光磁気記憶装置を説明するための図である。図1に示す光磁気記憶装置10は、記憶媒体として可換媒体である光磁気ディスクDcを用い、この光磁気ディスクDcをスピンドルSpにより回転させた状態において、光磁気ディスクDcに対して磁界変調方式により情報を記録したり、光磁気ディスクDcに記録された情報を、光を利用して再生するものである。この光磁気記憶装置10は、光源部2と、光源部2からの光を集束して光磁気ディスクDcの表面にレーザビームスポットを形成する集光手段3と、光磁気ディスクDcにおけるレーザビームスポットが形成される領域に対して磁界を発生させる磁界発生手段4(図3参照)とを備えており、本実施形態では、集光手段3および磁界発生手段4は、光磁気ディスクDcの表面に倣ってこの光磁気ディスクDcに対して相対的に移動する浮上スライダ1に搭載されている。
【0020】
光磁気ディスクDcは、磁性体により形成された薄膜状の磁気記録層と、ポリカーボネイトなどの樹脂を成形加工することにより形成された樹脂基板とを有している。磁気記録層は、1ビット分の情報が記録される各領域(マーク)がS−NまたはN−Sの方向に磁化されることによって情報を記録するように構成されており、近年においては、光磁気ディスクDcの高記録密度化にともなって各マークの占有面積をより小とすることが求められている。
【0021】
上記光源部2は、その内部に備えられた半導体レーザ素子から発せられるレーザ光をコリメータレンズ(図示略)などにより平行光束光とし、これを出射するように構成されている。図1に示すように、この光源部2は、入射した光(光磁気ディスクDcからの反射光)を電気信号に変換する光検出器21や、光源部2からの光を光磁気ディスクDcへ向けて透過する一方、光磁気ディスクDcからの反射光を光検出器21に向けて反射させるビームスプリッタ22などとともに光学ユニット部20に備えられている。この光磁気記憶装置10は、光磁気ディスクDcの厚み方向に大きくならないように、光源部2から出射される光(光路2a)が光磁気ディスクDcの表面に沿って進行するように構成されており、この光を屈曲させて集光手段3に導くための立ち上げミラー23がさらに備えられている。この立ち上げミラー23は、集光手段3の上方に配置されており、立ち上げミラー23で反射した光源部2からの光は、集光手段3に対して上方から入射する。
【0022】
また、この光磁気記憶装置10には、図示していないが、たとえば直進型ボイスコイルモータなどの直進駆動機構などにより、光磁気ディスクDcの半径方向(図1の矢印R方向)に移動可能なキャリッジが、光磁気ディスクDcの第1面Dc1側に配置されており、上記光路2aの一部および立ち上げミラー23は、このキャリッジ内に設けられている。
【0023】
上記集光手段3は、高NA化を達成すべく、図3に示すように、光磁気ディスクDcに対して近位に配置された第1対物レンズ31と、光磁気ディスクDcに対して遠位に配置された第2対物レンズ32とからなる。第1対物レンズ31は、光磁気ディスクDcに形成されるビームスポットを光磁気ディスクDc(図1参照)の半径方向に沿って微小変位させてトラッキング制御を行うための微小変位機構33に搭載されている。第2対物レンズ32は、微小変位機構33を覆うケース部34に支持されている。第1対物レンズ31および第2対物レンズ32は、光磁気ディスクDcが回転する際に、その主平面が光磁気ディスクDcと平行となるように浮上スライダ1に搭載されている。光源部2からの平行光束光は、第2対物レンズ32により集束された後さらに第1対物レンズ31により集束されて、光磁気ディスクDc上に結像されることによりビームスポットとなる。上記微小変位機構33は、平面視長矩形状を呈したシリコン基板33a上に対して、可動部33bと、固定部33cとを導体層により形成した静電アクチュエータとして形成されており、可動部33bと固定部33cとの間に電圧を印加することによって、固定部33cに対して可動部33bないし第1対物レンズ31が、光磁気ディスクDcの半径方向(図3の矢印R方向)に沿って微小動する。これにより、光磁気ディスクDcに形成されるビームスポットが第1対物レンズ31の移動距離分だけ微小変位し、トラッキング制御が行なわれる。
【0024】
なお、集光手段3は、図1および図2に示すように、上記立ち上げミラー23で反射した光源部2からの光が、上述したように、第2対物レンズ32に対して上方から入射するため、この光が後述するサスペンション部材5に遮断されないように配置されている。すなわち、集光手段3は、浮上スライダ1上において、第2対物レンズ32がサスペンション部材5の先端部から光磁気ディスクDcの回転方向にずれるように配置されている。
【0025】
上記磁界発生手段4は、図3に示すように、微小変位機構33の上記シリコン基板33aの底部に位置する透明基板40に、集光手段3と対応するコイル41を埋設するなどして形成されている。コイル41は、たとえば銅などの金属膜をパターニングすることにより渦巻き状に形成されており、電気絶縁性を有する透明な材料、たとえば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン、酸化珪素、または窒化珪素などにより覆うことにより透明基板40内に埋設されている。このような磁界発生手段4は、透明基板40が浮上スライダ1の底面で露出するようにかつコイル41が光磁気ディスクDcと平行となるように配置されており、コイル41を通電することにより磁界を発生させて光磁気ディスクDcの磁気記録層の磁化方向を規定するように構成されている。
【0026】
上記浮上スライダ1は、図1に示すように、光磁気ディスクDcの半径方向に延びるサスペンション部材5の先端に対してジンバルバネ6(図2参照)を介して支持されている。
【0027】
より詳細には、図2に示すように、ジンバルバネ6のサスペンション側取付け部61がサスペンション部材5の底板部51の先端に重合接続されるとともに、ジンバルバネ6のスライダ側取付け部62が浮上スライダ1の上面側に重合接続されている。このとき、サスペンション部材5の底板部51には、図2および図4に示すように、浮上スライダ1の重心に対応する部位に点接触する膨出突起55が形成されており、浮上スライダ1は、膨出突起55がピボットを形成することによって、自在に揺動可能となる。また、サスペンション部材5は、その基端部5aが上記した図示しないキャリッジに支持されており、これにより、浮上スライダ1(集光手段3および磁界発生手段4)は、キャリッジが移動することによって光磁気ディスクDcの半径方向に相対的に移動することができる。
【0028】
また、浮上スライダ1は、サスペンション部材5の底板部51が所定の弾性を有する板バネ状に形成されているため、サスペンション部材5によって光磁気ディスクDcに対して弾性的に押しつけられる。その一方で、浮上スライダ1は、光磁気ディスクDcが高速回転する際には、浮上スライダ1と光磁気ディスクDcとの間に流入する空気により形成された流体くさびの圧力上昇によって、光磁気ディスクDcからわずかに離間して浮上するように構成されている。なお、浮上スライダ1は、このようにして光磁気ディスクDcに対して浮上した状態において、下流側の領域と光磁気ディスクDcとの間の距離よりも上流側の領域と光磁気ディスクDcとの間の距離の方が大きくなるように所定の角度に若干傾斜する。このとき、浮上スライダ1における光磁気ディスクDcまでの距離が最短距離となる位置を最下点7aとすると、浮上スライダ1は、最下点7aを通りかつ光磁気ディスクDcに垂直な直線上に上記集光手段3および磁界発生手段4の中心線が載るように構成されており、この最下点7aと光磁気ディスクDcまでの距離が浮上量Hとされる。
【0029】
ところで、浮上スライダ1においては、光磁気ディスクDcにおける小型化された各マークから発せられる比較的弱い磁力を読み取るようにするため、その浮上量Hがより小さいほうがよい(具体的には、好ましくは2μm(2000nm)〜4μm(4000nm)、より好ましくは約3μm(3000nm))。また、浮上スライダ1に搭載した集光手段3のフォーカスボケするのを防止するために、浮上スライダ1の浮上量Hが変動しないことが好ましい。そこで、これらの条件を満たすべく、この光磁気記憶装置10では、浮上スライダ1における光磁気ディスクDcに対向配置される対向面11(図2および図4参照)が以下のように規定されている。
【0030】
すなわち、浮上スライダ1の対向面11には、図4に示すように、円柱外面状に形成されたクラウン面7が設けられており、このクラウン面7の軸心は、光磁気ディスクDcの半径方向に沿って延びている。このような浮上スライダ1において、クラウン面7と光磁気ディスクDcとの間に空気が流入する場合、流入してきた空気によって、上記最下点7aよりも上流側の領域と光磁気ディスクDcとの間で流体くさびが形成される。これらの間にさらに空気が流入すると、流体くさびの圧力が上昇し、これにより、上記サスペンション部材5の弾性力および浮上スライダ1の重量に抗して流体くさびが浮上スライダ1を浮上させる。
【0031】
また、浮上スライダ1は、クラウン面7が全体として1つの面として形成されている、いわゆるモノレールスライダであり、クラウン面7が凹状の溝によって区切られたタイプのスライダとは異なる。したがって、浮上スライダ1においては、流体くさびの圧力上昇により受ける浮上力がクラウン面7の全域でほぼ一様となるので、浮上量Hの変動が抑制されうる。
【0032】
光磁気ディスクDcは、上述したように上記樹脂基板が成形加工により形成されているため、その表面に凹部や凸部を有する傾向にあり、その影響によって浮上スライダ1の浮上量Hが変動しやすくなる。より詳細には、図5Aに示すように、浮上スライダ1は、光磁気ディスクDcの表面に生じた凹部上に位置する場合では、この凹部にクラウン面7が沿うことができるため、浮上量Hを確保することができる一方、特に、図5Bに示すように、光磁気ディスクDcの表面に生じた凸部上に位置する場合など、クラウン面における最下点7aよりも下流側の領域と光磁気ディスクDcとの間の距離H′が浮上スライダ1の浮上量Hに比して極度に大となる場合では、浮上スライダ1と光磁気ディスクDcとの間から流出していく空気が断熱膨張するため、浮上スライダ1が光磁気ディスクDcの表面から浮上しにくくなり、浮上量Hが小さくなる。
【0033】
ここで、上記距離H′は、クラウン面7の断面における円弧の頂点71とその弦70との間の距離であるクラウン量d、および対向面11における上記弦70と平行な方向に沿った長さであるスライダ長さLが大きく影響して変化するものと考えられる。したがって、適切なクラウン量dおよびスライダ長さLを導き出すことによって、浮上量Hの変動を抑制することが可能となると考えられる。
【0034】
なお、浮上スライダ1のサイズについては、上記第2対物レンズ32の直径およびジンバルバネ6の幅がそれぞれ、最小のもので0.5mmおよび1mm程度、平均的なサイズのもので2mmおよび2mm程度とされることから、スライダ長さLは、好ましくは2mm〜6mm、より好ましくは約6mmとされる。一方、対向面11における光磁気ディスクDcの半径方向に沿った長さであるスライダ幅Wは、好ましくは1.2mm〜5mm、より好ましくは約4mmとされる。
【0035】
図6は、クラウン量dおよびスライダ長さLと、浮上スライダ1の浮上量Hとの関係についてシミュレーションした結果を示す図である。なお、このシミュレーションにおいて、スライダ幅Wは、4.1mmとした。
【0036】
ところで、樹脂成形による基板を備える可換式の光磁気ディスクDcのように、記憶媒体の表面に凹凸部がある場合については、次のようなことを考慮しなければならない。すなわち、浮上スライダ1が記憶媒体の凹部上を移動する場合には(図5A)、相対的にクラウン面の曲率半径が大きくなったのと等価となり、逆に、浮上スライダ1が記憶媒体の凸部上を移動する場合には(図5B)、相対的にクラウン面の曲率半径が小さくなったのと等価となるということである。すなわち、このような凹凸部の存在が避けられない可換式の記憶媒体に対して浮上スライダ1を浮上させる場合、クラウン面の曲率半径が動的に変化するのと等価となるのである。クラウン面の曲率半径は、クラウン量dとスライダ長さLとから規定される値であるため、適度な浮上量Hを確保するためには、図6において、クラウン量dが変化しても、浮上量Hの変化の少ない領域を選ぶ必要がある。すなわち、図6において、浮上量Hごとの帯の傾きが小さい領域のクラウン量dを選ぶ必要がある。
【0037】
より詳細には、図6において、たとえばスライダ長さLが2mmの場合では、クラウン量dが500nm〜2000nmの範囲にあるとき、浮上量Hごとの帯の傾きが小さくなっている。また、たとえばスライダ長さLが4mmの場合では、クラウン量dが1000nm〜2500nmの範囲にあるとき、浮上量Hごとの帯の傾きが小さくなっている。また、たとえばスライダ長さLが6mmの場合では、クラウン量dが1500nm〜3000nmの範囲にあるとき、浮上量Hごとの帯の傾きが小さくなっている。
【0038】
このように、各スライダ長さLについて、浮上量Hごとの帯の傾きが小さくなっている領域、すなわち浮上量Hがあまり変動しない領域を図示すれば、図6において直線S1および直線S2で囲まれた領域となり、この領域内でスライダ長さLおよびクラウン量dを規定すれば、浮上量Hの変動を防止することができる。すなわち、スライダ長さをL、クラウン量をdとしたとき、
【数3】
Figure 2003063142
となるようにすればよい。具体的には、スライダ長さLが上記した好ましい値、すなわち2mm〜6mmであるとき、クラウン量dは、500nm〜3000nmとなる。また、スライダ長さLが上記したより好ましい値、すなわち6mmであるとき、クラウン量dは、1500nm〜3000nmとなる。
【0039】
なお、このシミュレーションにおいて、浮上スライダ1に対する光磁気ディスクDcの相対線速度を約3m/sとした。また、サスペンション部材5の弾性力および浮上スライダ1の自重により浮上スライダ1が光磁気ディスクDcに対して押しつけられる際の押圧力を約4gfとした。これらの条件(光磁気ディスク、上記相対線速度および上記押圧力の設定事項)については、それらが変化しても、浮上スライダ1の浮上量Hにおける変動の傾向をあまり変化させないと思われ、本明細書中における他のシミュレーションについてもこのシミュレーションと同様の条件を採用した。
【0040】
図7は、スライダ幅Wと浮上スライダ1の浮上量Hとの関係についてシミュレーションした結果を示す図である。このシミュレーションにおいて、スライダ長さLは、6mmとし、クラウン量dは、図6のシミュレーションから、1500nmおよび3000nmとした。図7において、スライダ幅Wが上記した好ましい値、すなわち1.2mm〜5mmである場合、クラウン量d=1500nmおよびクラウン量d=3000nmの双方において、スライダ幅Wの増加割合に対する浮上量Hの増加割合がほぼ等しくなっている。したがって、スライダ幅Wが1.2mm〜5mmである場合では、浮上量Hの変動幅がスライダ幅に左右されないといえる。すなわち、浮上スライダ1の浮上量Hが変動するのを防止することができる。
【0041】
したがって、以上のことにより、スライダ長さL=2mm〜6mm、スライダ幅W=1.2mm〜5.0mm、そしてクラウン量d=500nm〜3000nmとすることによって、浮上スライダ1の浮上量Hが変動するのを防止することができる。また、浮上量Hを、上述したより好ましい値、すなわちH=3μm(3000nm)とするには、スライダ長さL=約6mm、スライダ幅W=約4mm、そしてクラウン量d=1500nm〜3000nmとするのが好ましい。
【0042】
この光磁気記憶装置10においてはまた、浮上スライダ1は、上記対向面11における空気が流入してくる流入端部80に、図4および図8にそれぞれ示すように、平面状に形成されたテーパ面8A、または凹状に形成されたステップ8Bが設けられている。テーパ面8Aおよびステップ8Bは、空気中の塵埃がクラウン面7に付着することによって浮上スライダ1の浮上量Hが変動するのを防止するためのものである。より詳細には、光磁気ディスクDcは、可換媒体であるが故に、媒体交換時に汚染された空気にさらされることによって、このような空気中に含まれる塵埃が付着する。この塵埃は、たとえは平均粒径が約0.7μm程度のタバコの煙粒であり、光磁気ディスクDcの回転時にクラウン面7の比較的上流側の領域に付着する。このような塵埃が堆積して大きくなり、やがてクラウン面7上に凸状部分を形成することとなる。このような凸状部分の高さが約1μm程度以上となった場合、この凸状部分に、流入してくる空気があたると、凸状部分の下流側の側面とクラウン面7との間の領域が負圧になり、これにより、浮上スライダ1の浮上量Hが小さくなってしまう。テーパ面8Aは、空気の流れをやや下向きにすることにより、クラウン面7上に塵埃が付着するのを防止することができる。一方、ステップ8Bは、その凹状とされた内部に塵埃を付着させることにより、塵埃がクラウン面7から突出して凸状部分を形成するのを防止することができる。したがって、テーパ面8Aまたはステップ8Bにより、浮上スライダ1の浮上量Hが変動するのを防止することができる。
【0043】
上記テーパ面8Aにおいて、クラウン面7の弦70に沿った方向の長さをM8、クラウン面7の弦70に対する傾斜角度をθとすると、これらの長さM8および角度θは、次のように規定される。すなわち、長さM8の値が大きい場合では、浮上スライダ1の浮上量Hに影響を与えるため、長さM8はより短い方がよい一方、M8=0.3mm以下にするには、加工が困難となることから、M8=0.3mm〜0.5mmとするのが好ましい。また、角度θの値が大きい場合では、テーパ面8A自体に塵埃が付着してしまうため、角度θはより小さい方がよい一方、形成に際して0.25度程度の誤差が生じることから、θ=0.5度〜1.0度とするのが好ましい。
【0044】
上記ステップ8Bにおいて、浮上スライダ1の対向面11からの深さをD8とすると、この深さD8は、次のように規定される。すなわち、上記したように、塵埃によりクラウン面7上に形成された凸状部分は、その高さが1μm程度以上となった際に、浮上スライダ1の浮上量Hを変動させうるので、D8=1μm〜5μmとするのが好ましい。
【0045】
図9は、本発明に係る浮上スライダ1において、スライダ長さL=6mm、スライダ幅W=4.1mm、テーパ面8Aの長さM8=0.3mm、テーパ面8Aの角度θ=0.5度とした場合について、クラウン量dと浮上スライダ1の浮上量Hとの関係についてシミュレーションした結果を示す。同図より、クラウン量1500nm〜3000nmとすれば、浮上スライダ1を、所望の浮上量H=約3μm(3000nm)に浮上させることができ、しかもこのときの浮上量が変動するのを防止できることを確認することができる。
【0046】
以上において説明したが、これを他の様々な態様に改変し得ることは明らかである。このような改変は、本発明の思想及び範囲から逸脱するものではなく、当業者に自明な全ての変更は、特許請求の範囲に含まれるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明に係る光磁気記憶装置の一例を示す概略斜視図である。
【図2】
図2は、図1における浮上スライダを拡大して示す概略斜視図である。
【図3】
図3は、図2の浮上スライダの内部構造を示す分解斜視図である。
【図4】
図4は、図2の浮上スライダの右側面図である。
【図5】
図5Aおよび図5Bは、図2のスライダの作用を説明するための図である。
【図6】
図6は、クラウン量およびスライダ長さと、浮上スライダの浮上量との関係を示す図である。
【図7】
図7は、スライダ幅と浮上スライダの浮上量との関係を示す図である。
【図8】
図8は、本発明に係る浮上スライダの他の例を示す概略側面図である。
【図9】
図9は、図2の浮上スライダが奏する効果を説明するための図である。

Claims (7)

  1. 記憶媒体に対向配置される対向面に、この記憶媒体の半径方向に沿って延びる軸心を有する円柱外面状に形成されたクラウン面が設けられており、上記記憶媒体が回転する際に、上記記憶媒体と上記対向面との間に空気が流入することによって上記記憶媒体から離間するように浮上する構成とされた浮上スライダであって、
    上記クラウン面の断面における円弧の頂点とその弦との間の距離とされるクラウン量をd、上記対向面における上記弦と平行な方向に沿った長さとされるスライダ長さをLとすると、
    Figure 2003063142
    となることを特徴とする、浮上スライダ。
  2. 上記対向面における空気が流入してくる流入端部には、上記弦方向の長さが0.3mm〜0.5mmとされかつ上記弦に対して0.5度〜1.0度の角度で交差する平面状のテーパ面が設けられている、請求項1に記載の浮上スライダ。
  3. 上記対向面における空気が流入してくる流入端部には、深さが1μm〜5μmの凹状に形成されたステップが設けられている、請求項1に記載の浮上スライダ。
  4. 上記クラウン面が全体として1つの面として形成されているモノレールスライダである、請求項1に記載の浮上スライダ。
  5. 上記スライダ長さは、2mm〜6mmであり、上記対向面における上記記憶媒体の半径方向に沿った長さとされるスライダ幅は、1.2mm〜5.0mmであり、かつ上記クラウン量dは、500nm〜3000nmである、請求項1に記載の浮上スライダ。
  6. 上記スライダ長さは、約6mmであり、上記対向面における上記記憶媒体の半径方向に沿った長さとされるスライダ幅は、約4mmであり、かつ上記クラウン量dは、1500nm〜3000nmである、請求項1に記載の浮上スライダ。
  7. 記憶媒体上にレーザスポットを形成するための集光手段と、記憶媒体におけるレーザスポットが形成される領域に対して磁界を発生させる磁界発生手段とを備えた光磁気記憶装置であって、
    上記集光手段と上記磁界発生手段とが、請求項1に記載の浮上スライダに搭載されていることを特徴とする、光磁気記憶装置。
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