JPWO2003025173A1 - C型肝炎ウイルスに対する新規なアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体 - Google Patents
C型肝炎ウイルスに対する新規なアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体Info
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Abstract
Description
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する新規なアンチセンスに関し、更に詳細には、本発明は糖部を修飾したヌクレオチド類縁体ユニットを1つ以上含有するオリゴヌクレオチド誘導体からなるHCVに対する新規なアンチセンスに関する。
[背景技術]
1978年にアンチセンス分子がインフルエンザウィルスの感染を阻害したとの報告が初めて成された。以後、ガン遺伝子発現やAIDS感染を阻害したとの報告もなされている。アンチセンスオリゴヌクレオチドが、望ましくない遺伝子の発現を特異的に制御することから、近年、医薬品として最も期待されている分野の一つである。
アンチセンス法とは、DNA→mRNA→タンパク質という、いわゆるセントラルドグマの一連の流れの中でmRNAからタンパク質への翻訳過程を、mRNAと相補なアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて阻害し、結果としてそのDNAの機能を制御しようという概念に基づいている。アンチセンス法は、外部から導入するアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて、疾病の原因となっている一本鎖mRNAと二重鎖を形成させ、そのタンパク質への翻訳を阻害する方法である。
しかしながら、天然型オリゴヌクレオチドをアンチセンス分子としてこの方法に適用した場合、生体内の各種ヌクレアーゼにより分解を受けたり、細胞膜透過性が高くないなどの問題が生じた。そのため、様々な核酸誘導体や類縁体が数多く合成され、研究が重ねられてきた。例えば、リン原子上の酸素原子をイオウ原子に置換したホスホロチオエート、メチル基に置換したメチルホスホネート、また最近になっては、リン原子も炭素原子で置換したもの、さらには糖部の構造を変換したもの、核酸塩基を修飾したものなども合成されている。しかし、いずれの場合も、細胞内での安定性、合成の容易さ、配列の結合特異性(特定の遺伝子発現のみを選択的に制御する)などの点で十分に満足のいく誘導体や類縁体が得られていないのが現状である。
特開平10−304889号公報には、アンチセンスを構成するオリゴヌクレオチドの糖部分を修飾したヌクレオチド類縁体ユニットが開示されている。このヌクレオチド類縁体ユニットは、糖部コンホメーションをN型に固定化した下記の式1で表される構造を有するものである。
この公報では、上記構造の糖部を有するヌクレオチド類縁体ユニットを1以上組み込んだオリゴヌクレオチド誘導体を合成し、そのオリゴヌクレオチド誘導体の基本的物性を細胞外で測定している。すなわち、当該オリゴヌクレオチド誘導体と天然DNAあるいはRNAからなるセンス鎖とをアニーリング処理したものの融解温度を測定して、二重鎖形成能を検討している。また、このオリゴヌクレオチド誘導体のヌクレアーゼ酵素に対する耐性をインビトロで測定している。
しかしながら、この公報には当該オリゴヌクレオチド誘導体が、細胞内においても、細胞外の実験結果と同ようにヌクレアーゼ耐性を示してアンチセンスとして安定に作用するのか否か、また、当該オリゴヌクレオチド誘導体が、天然に存在する遺伝子と特に細胞内で結合して二重鎖、三重鎖を形成し、実際に特定遺伝子の発現を阻止できるのか否かについては開示されていない。
一方、C型肝炎ウィルス(HCV)の発見は比較的新しく、1988年にHCVとして遺伝子が単離された(Choo,Q,L et al.,Science,244,359−362,(1989)。また、HCVについては全長塩基配列及びアミノ酸配列、5’非翻訳領域、インターナル・リボソーマル・エントリー・サイト(IRES)、ステム領域等について多数報告されている(Kato.N.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,87,9524−9528,(1990)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,88,2451−2455,(1991)、J.Virol.,65,1105−1113,(1991)、J.Gen.Virol.,72,2697−2704,(1991)、Virology,188,331−341,(1992)、Tsukiyama.Kohara.et al.,J.Virol.,66,1476−1483,(1992)、S.Tang.et al.,J.Virol.,73,2359−2364,(1999)、Honda Masao et al.,J.Virol.,73,1165−1174,(1999)、Honda Masao et al.,RNA.,2(10),955−968,(1996)、Sasano T.et al.,Genome Inf.Ser.,9,395−396,(1998)、Ito T.et al.,J.Virol.,72,8789−8796,(1998)、Kamoshita N.et al.,Virology.,233,9−18,(1997)、など)。これまでHCVに対しては、インターフェロン(IFN)が唯一の治療法と云われてきた。しかし、このIFNを用いた治療における大きな問題点として、その副作用の強さと共に著効率が低いといったことが挙られ、20%の患者にしか有効でないといった報告もある。その有効性を向上させるため、リバビリンとの併用療法などが応用されてきたが、未まだ満足のいくものとはなっていないのが現状である。
これに対して、遺伝子治療を目指しては、アンチセンス法、リボザイム、DNAzyme等を用いたものについて研究が行われており、アンチセンス法、リボザイムについては現在インビボでの研究も進められている。特にアンチセンスに関する技術は広く普及しており、HCVに対するアンチセンスについては多数の報告がされている(WO99/29350、WO99/29350、WO95/30746、WO94/08002、Wakita et al.,J.Biol.Chem.,269,14205−14210,(1994)、WO94/24864)。しかしながら、酵素耐性、親和力、細胞毒性などの点で満足のいくアンチセンスはほとんど得られていなかった。
このようなアンチセンス法において使用する目的で、細胞内でヌクレアーゼによる分解を受けにくく、高い親和力で標的のHCVに結合してその遺伝子の発現を効率良く制御、阻止できるアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体、特にHCVに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体の創製が望まれている。
[発明の開示]
本発明の発明者らは、アンチセンス法において有用と考えられる、核酸における糖部のコンホメーションの固定化を施したした核酸類縁体を設計し、その単位構造となるヌクレオチド類縁体ユニットの合成を行い、これを用いて調製したオリゴヌクレオチド誘導体がHCVアンチセンス分子として極めて有用であることを確認した。
HCVは一本鎖のRNAウィルスで、そのゲノムは全長約9500塩基であり、内部には1つのオープンリーディングフレームを持っている(図4)。このHCV−RNAは、キャップ非依存的に翻訳を開始するという特徴を持っており、それには5’非翻訳領域(5’UTR)内のIRES(internal ribosomal entry site)にリボソームが結合することが必要となる。このHCV−IRESは図2のような二次構造をした高度に保存された領域であり、その重要な機能もあり、アンチセンス法のターゲットの1つ本発明において選択した領域である。
したがって、本発明者等は、HCVに対するアンチセンス法のターゲットとして選択した5’非翻訳領域を含むIRES内の開始コドン近傍を実際のターゲットとして、アンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体を合成し、その誘導体について非常に優れた結合親和性及び配列特異的な大変優れたアンチセンス効果を確認して本発明を完成した。
また、本発明者等は、これまで天然型オリゴヌクレオチドではアンチセンス効果の見られなかった、HCV−IRES内の複数のステム領域をターゲットとした本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体を合成し、その結合親和性及びアンチセンス効果を確認して本発明を完成した。
[発明の実施の形態]
本発明のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド誘導体は下記の一般式
[式中、Bはピリミジン核酸塩基もしくはプリン核酸塩基又はそれらの類縁体である]で表わされる、糖部のコンホメーションを固定した構造を有するヌクレオチド類縁体ユニットを1又は2以上有する。以下、このようなオリゴヌクレオチド誘導体又はポリヌクレオチド誘導体をBNAオリゴヌクレオチドという。
本発明のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド誘導体は一般式
[式中、B1、B2は同一または異なり、ピリミジン核酸塩基もしくはプリン核酸塩基又はそれらの類縁体であり、Rは水素、水酸基、ハロゲン、またはアルコキシ基であり、W1、W2は同一または異なり、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、シリル基またはリン酸残基もしくはリン酸ジエステル結合を介した天然型ヌクレオチド、合成ヌクレオチドまたはこれらヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドであり、n1またはn2は同一または異なり、0〜50の整数である(ただし、n1またはn2が同時にゼロになることはない。また、n2の全てが同時にゼロになることはない。)、n3は1〜50の整数である、ただし、n1および/またはn2が2以上の場合にはB1とBは同一でなくてもよく、Rも同一でなくてもよい]で表されるオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド誘導体である。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体の塩基の数は特に制限はないが、通常5〜50、好ましくは9〜30個である。
本発明における、ピリミジン核酸塩基もしくはプリン核酸塩基またはその類縁体とは、チミン、ウラシル、シトシン、アデニン、グアニン及びそれらの類縁体である。これらの類縁体としてはプリン核酸塩基類縁体及びピリミジン核酸塩基類縁体を挙ることができる。
プリン核酸塩基類縁体としては、好ましくは下記の化合物から選択することができる。
即ち、グアノシンジフォスフェート、8−オキソ−アデノシン、8−オキソ−グアノシン、8−フロロ−アデノシン、8−フロロ−グアノシン、8−メトキシ−アデノシン、8−メトキシ−グアノシン、8−アザ−アデノシン、8−アザ−グアノシン、アザシチヂン、フルダラビンフォスフェート、6−MP、6−TG、アザチプリン、アロプリノール、アシクロビア、ガンシクロビア、デオキシホルミシン、アラビノシラジエニン(ara−A)、グアノシンジフォスフェートフコース、グアノシンジフォスフェート−2−フロロフコース、グアノシンジフォスフェート−βL−2−アミノフコース、グアノシンジフォスフェート−D−アラビノース及び2−アミノアデシン等である。
一方、ピリジン核酸塩基類縁体としては、好ましくは下記の化合物から選択することができる。即ち、
5−フロロウラシル、5−クロロウラシル、5−ブロモウラシル、ジヒドロウラシル、5−メチルシトシン、5−プロピニルチミン、5−プロピニルウラシル、5−プロピニルシトシン、5−フロロシトシン、フロキシウリジン、ウリジン、チミン、3’−アジド−デオキシチミジン、2−フロロデオキシシチジン、3−フロロ−3’−デオキシチミジン、3’−ジデオキシシチジン−2’−エン、3’−デオキシ−3’−デオキシチミジン−2’−エン、及びシトシンアラビノース等である。
本発明でアンチセンスとして使用できるヌクレオチド類縁体ユニット、及びそのヌクレオチド類縁体ユニットを含有するオリゴヌクレオチド誘導体の合成は、前記特開平10−304889号公報に詳細に記載されている。この説明は本明細書に含まれるものとする。
本発明のHCVに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体としては、HCVに結合して、その遺伝子の発現を阻止又は抑制できるものであればどのようなオリゴ又はポリヌクレオチドであってもよく、構成単位であるヌクレオチドの1つ又は2以上が本発明のヌクレオチド類縁体ユニットで置換されていればよい。HCVに結合するアンチセンスの配列の例としては、例えば、HCVの塩基配列と相補的な配列、HCVの塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列などが挙げられる。
アンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体の例としては、HCV−RNAの5’非翻訳領域を含むIRES内の開始コドン近傍に対するもの、及びステム領域に対するものが挙られるが、その他に、本発明の目的を達成できる種々の領域をターゲットとすることこができる。例えば、エクソンに対するもの又はイントロンに対するものなどが挙げられる。更に具体的には、下記のようなHCVに対するアンチセンス塩基配列が含まれる。
(IRES内の翻訳開始コドン近傍をターゲットとする配列)
(IRES内のステム領域をターゲットとする配列)
本発明のHCVに対するアンチセンスとしては、上記配列で表されるHCVに対するアンチセンス配列の1又は2以上の塩基が、本発明のヌクレオチド類縁体ユニットで置換されている配列及びその配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体、及び上記アンチセンス配列に対して相補的な配列であるDNA又はRNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチド誘導体を挙ることができる。ハイブリダイゼーションは既に良く知られた技術である(Sambrook,J et al.,Molecular Cloning 2nd ed.,Cold spring Harbor Lab.Press,1989等)。
本発明でいうストリンジェントな条件は、当業者であれば、適宜選択することが可能であるが、例えば、低ストリンジェントな条件である。低ストリンジェントな条件とは、例えば、ハイブリダイゼーション後の洗浄において、42℃、0.1×SSC、0.1%SDSの条件であり、好ましくは50℃、0.1×SSC、0.1%SDSである。さらに好ましいストリンジェントな条件としては高ストリンジェントな条件がある。高ストリンジェントの条件としては、65℃、6×SSC、0.1%SDSである。
また、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、同一の塩基配列を有する天然型オリゴヌクレオチドに比較して優れたヌクレアーゼ耐性を示すことも確認されている。したがって、細胞内に投与された場合にも安定であり、その優れたアンチセンス効果が持続するという利点がある(T.Imanishi,S.Obika,J.Synth.Org.Chem.,11,969(1999))。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体としては、糖部のみを修飾したヌクレオチド類縁体ユニットの使用が必須であるが、糖部の修飾に加えてさらに他の部分、例えば、ホスホロチオエートのようにリン酸ジエステル部を修飾したヌクレオチド類縁体ユニットを使用しても良い。また、本発明の糖部を修飾したヌクレオチド類縁体ユニットと他の公知のアンチセンス構成単位であるヌクレオチド類縁体ユニットとを組み合わせてオリゴヌクレオチド誘導体アンチセンスを作成することもできる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、それらに対して不活性な適当な基剤と混和して塗布剤、パップ剤などの外用剤とすることができる。
また、必要に応じて、賦形剤、等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、無痛化剤等を加えて錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、リポソームカプセル剤、注射剤、液剤、点鼻剤など、さらに凍結乾燥剤とすることができる。これらは常法に従って調製することができる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は患者の患部に直接適用するか、または血管内に投与するなどして結果的に患部に到達し得るように患者に適用する。さらに持続性、膜透過性を高めるアンチセンス封入素材を用いることもできる。例えば、リポゾーム、ポリ−L−リジン、リピッド、コレステロール、リポフェクチン又はこれらの類縁体が挙げられる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体の投与量は、患者の状態、年齢、性別、体重などに応じて適宜調整し好ましい量を用いることができる。また、その投与方法は、患者の状態、薬剤形態などに応じ、経口投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮内投与、皮下投与、静脈内投与、脈内投与、直腸投与などの種々の投与方法から適宜好ましい方法を用いることができる。
本発明のHCVに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、アンチセンスDNAとして優れた種々の特性を示すことを以下の実施例によって詳しく説明する。
実施例1:本発明のヌクレオチド類縁体ユニットを含むオリゴヌクレオチド
誘導体の融解温度の測定による二重鎖の形成能
(1) HCV−IRES内の開始コドン(342nt−344nt)近傍をターゲットとして考え、下記の配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計し、作成した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さとアンチセンス効果との関係について検討を行うため、オリゴヌクレオチドA−367を5’末端側から、それぞれ、5塩基及び10塩基削ったA362及びA357も合成した。
更に、これら種々の長さのオリゴヌクレオチドについて、天然型オリゴヌクレオチド(D−oligo)に加えて、BNAオリゴヌクレオチド(BNA−oligo)及びホスホロチオエート型オリゴヌクレオチド(S−oligo)を作成した。例えば、A367については、D−A367(天然型)、BNA−A367(BNA型)及びS−A367(ホスホロチオエート型)を作成した。
合成したオリゴヌクレオチドの配列は下記のとおりであった。
(2) これら合成したアンチセンスオリゴヌクレオチドの相補鎖RNAとの結合親和性を調べるために、Tm値(融解温度)の測定を行った。
上記の合成した天然型オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド誘導体をアンチセンス鎖とし、天然のDNAあるいはRNAからなるセンス鎖とアニーリング処理したものの融解温度(Tm値)を測定することにより、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体の相補DNAおよびRNAに対するハイブリッド形成能を調べた。
終濃度をそれぞれ、NaCl 100mM、リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)10mM、アンチセンス鎖1μM、センス鎖1μMとしたサンプル溶液(500μl)を沸騰水中に浴し、10時間をかけてゆっくり室温まで冷却した。分光光度計(Beckman DU650)のセル室内に結露防止のために窒素気流を通し、サンプル溶液を5℃まで徐々に冷却し、さらに20分間5℃に保った後、測定を開始した。サンプル温度は95℃まで毎分0.5℃ずつ上昇させ、0.5℃間隔で260nmにおける紫外線吸収を測定した。ある解く的の温度で紫外部吸収強度が大きく増加する。この遷移の中点における温度が融解温度、Tm値である。なお、結合親和性が高いほど、このTm値も高くなる。
結果は、下記の表に示した。ヌクレオチド配列のうち、下線を引いたものが本発明のヌクレオチド類縁体ユニットである。
(3) HCV−IRES内のステム領域をターゲットとする下記の配列の天然型アンチセンスオリゴヌクレオチド(D−oligo)及び本発明のオリゴヌクレオチド誘導体(BNA−oligo)も上記(1)と同様な方法で合成した。式中、ヌクレオチド配列のうち、下線を引いたものが本発明のヌクレオチド類縁体ユニットである。
上記のHCV−IRESをターゲットとするアンチセンスオリゴヌクレオチドと同様の条件でTm値を測定した。
結果を下記の表2に示す。
表1、表2から明らかなように、S−oligoがD−oligoと比較してTm値の減少、即ち結合親和性の低下を見せているのに対し、BNA−oligoは大幅なTm値の上昇が見られた。これによって、BNA−oligoがS−oligoやD−oligoに比べて、相補鎖RNAに対して極めて高い結合親和性を有していることが確認できた。このことは開始コドンターゲット及びステム領域ターゲットの何れにおいても確認された。また、開始コドンターゲットにおいては、オリゴヌクレオチドの長さを短くしたものにおいても同様の結果が確認された。
実施例2:オリゴヌクレオチド誘導体の非細胞系におけるHCV遺伝子翻訳
阻害効果
この実施例では、非細胞系でのHCV遺伝子に対するアンチセンス効果を確認した。C型肝炎ウィルスの5’非翻訳領域内のIRES(internal ribosomal entry site)を含むターゲットプラスミドpcDNA3−IES/Lucを設計、作成し、これを用いて、オリゴヌクレオチド誘導体のアンチセンス効果の確認に使用した。
(プラスミドpcDNA3−IES/Lucの構築)
ケーセルマンの方法(Caselmann et al.,Hepatology,22,707(1995))に従い、HCVのクローンDNAであるBK157(A.Takamizawa et al.,J.Virol.,65,1105(1991))をKpnI及びAatIIで切断することにより、ターゲット部位を含むフラグメントAを作製した(図3参照)。
次いで、レポーター遺伝子として用いるルシフェラーゼ遺伝子(Luc)を含むフラグメントBを作製した(図4参照)。これは、pTRE−LucをプライマーAとプライマーBを用いてPCRを行うことによりLucを増幅させ、更に、BamHI及びXhoIで切断することにより行った。
これらフラグメントA及びBをpcDNA3ベクターに組み込む際の問題点としてpcDNAにはAatIIの認識配列が数多く存在するためフラグメントBの組み込みが行えないことが考えられた。そこで、まずpCRIIベクターに両者を組み込んだ後、最終段階でベクターをpcDNA3に変えることにより目的とするプラスミドを得るこにした(図9参照)。
まず、pCRIIベクター(Invitrogen製)をBamHI及びXhoIで切断した後に、ルシフェラーゼ遺伝子を含むフラグメントBとライゲーションすることで、pCRII−Lucを得た。このようにして得られたpCRII−LucをKpnI及びXhoIで切断し、ターゲット部位を含むフラグメントAとライゲーションを行い、pCRII−IRES/Lucを作製した。
最後に、pCRII−IRES/Lucのベクターを非細胞系、及び細胞系のどちらの系でも作用するプロモーター(プロモーターCMV及びT7)を有するpcDNA3に変えるため、このpCRII−IRES/LucとpcDNA3ベクター(Invitrogen製)両者ををKpnI及びXhoIで切断した後、ライゲーションを行い、目的としたターゲットプラスミドをpcDNA3−IRES/Lucの作製に成功した。このプラスミドを用いて、以下の実験によりHCVに対するアンチセンス効果を評価した。
(非細胞系におけるHCV遺伝子翻訳阻害効果)
(1) C型肝炎ウィルスの5’非翻訳領域内のIRES(internal ribosomal entry site)を含むターゲットプラスミドpcDNA3−IES/Lucをインビボで転写反応させる際の効率の向上を考え、制限酵素XhoIを使用して直鎖化した。得られた直鎖DNAを用いてインビトロ転写反応させて、mRNAを合成した。このmRNAを、オリゴヌクレオチドと共にウサギ網状赤血球溶解液(RRL)を用いたインビトロ翻訳反応によってタンパク質にした後、ルシフェラーゼアッセイを行った。
最初に、開始コドン近傍をターゲットとするアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて検討を行った。ここではD−oligo及びBNA−oligoを用いた。D−oligo,BNA−oligoそれぞれのアンチセンスオリゴ(D−A367,BNA−A367)、及びネガティブコントロールとしてのランダムオリゴ(D−R367,BNA−R367)をmRNAとの濃度の比が、2.5:1、5:1、10:1となるように加えて、翻訳反応を行った。得られたタンパク質を用いてルシフェラーゼアッセイを行った。オリゴヌクレオチドを加えずに翻訳反応を行った場合を100%とい、結果を図6に示した。
結果から明らかなように、アンチセンスオリゴヌクレオチドを加えることでルシフェラーゼの発現は抑えられおり、この発現抑制は加えるオリゴヌクレオチドの濃度を上昇させるに連れて強くなっており、濃度依存的なアンチセンス効果を示すことが確認できた。
D−A367,BNA−A367のどちらにおいてもアンチセンス効果が見られるが、どの濃度においてもBNA−A367がより優れた遺伝子発現抑制効果を示しており、より優れたアンチセンスオリゴヌクレオチドであることが確認された。更に、対照として用いたランダムオリゴヌクレオチド(BNA−R367)においては遺伝子発現抑制効果は見られず、このアンチセンス効果が配列特異的なものであることも確認できた。
(2) 次いで、オリゴヌクレオチドの長さを短くすることによる、アンチセンス効果の変化を調べるため、A−367の5’側から5塩基削ったA362、及び10塩基削ったA357のD−oligo及びBNA−oligoを用いて上記と同様の試験を行った。
オリゴヌクレオチドを加えずに翻訳反応させた場合を100%として各オリゴヌクレオチドについての結果を図7、図8に示した。
図7、図8に示した結果から明らかなように、オリゴヌクレオチドの長さ短くした場合においても、BNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは優れた遺伝子発現抑制効果を示すことが確認された。特に、D−oligoにおいてあまりアンチセンス効果の見られない低濃度でも、BNA−oligo有意なアンチセンス効果を示すことが確認された。また、BNA−R362、BNA−R357のいずれも遺伝子発現抑制効果は見られず、配列特異的なアンチセンス効果であることが確認できた。
(3) 同様の試験をHCV−RNA内部のステム領域をターゲットとするD−A159及びBNA−A159について行った。mRNAとの濃度比を5:1、10:1、20:1となるようにオリゴヌクレオチドを加えて翻訳反応を行った。ルシフェラーゼアッセイの結果を、オリゴヌクレオチドを加えずに翻訳反応させた場合を100%として図9に示した。
D−A159を用いた場合、どの濃度においても遺伝子発現抑制効果は見られなかった。これは、D−oligoの結合力が弱いため、ステム領域の分子内水素結合を剥がしてまで結合することができなかったためと考えられる。
一方、BNA−A195を用いた場合、mRNAとの比が10:1、20:1のときに約50%の遺伝子発現抑制効果を示した。これは本発明のBNAオリゴヌクレオチドの強い結合親和性が効果を発揮したためと考えられる。
実施例3 細胞系におけるBNAアンチセンスオリゴヌクレオチドのHCV
遺伝子翻訳阻害効果
肝ガン由来の細胞株であるHepG2細胞(大阪大学薬学部より供与)を用いてHCV遺伝子翻訳阻害効果を細胞系において検討した。
(1) まず、HepG2細胞を各ウェル上に5×104づつ同数蒔き、24時間培養した。次いで、血清非存在下オリゴヌクレオチド、ターゲットプラスミドpcDNA3−IRES/Luc及びpRL−TKをリポフェクトアミンを用いてトランスフェクトした。このときターゲットプラスミドと共にトランスフェクションしたpRL−TKはターゲット部位であるHCV−IRESを含んでいないプラスミドであり、加えたオリゴヌクレオチドの毒性、即ち非特異的な発現抑制効果を調べるために用いた。このpRL−TKは、レポーター遺伝子としてウミシイタケのルシフェラーゼ遺伝子を含んでおり、デュアル・ルシフェラーゼ・アッセイ(dual luciferase assay)を行うことでターゲットプラスミドpcDNA3−IRES/Lucのレポーター遺伝子であるホタルのルシフェラーゼ遺伝子と別々に定量を行うことができる(図10)。即ち、ターゲットを含んでいないウミシイタケルシフェラーゼの発現を抑制するものは、非特異的な遺伝子発現抑制効果を示すものである。
血清非存在下Opti−MEMでのトランスフェクションを4時間行った後、培地を血清の存在するDMEMに培地交換した。その後20時間培養し、細胞を回収し、デュアル・ルシフェラーゼ・アッセイを行った。
(2) まず開始コドンをターゲットとしたアンチセンスオリゴヌクレオチドについて検討を行った。試験に使用したオリゴヌクレオチドは、D−oligo、BNA−oligo、S−oligoそれぞれの27merアンチセンス並びにランダムオリゴヌクレオチドで、終濃度120nMとなるように加えた。
オリゴヌクレオチドを加えずに、プラスミドのみをトランスフェクションした場合を100%として結果を図11に示した。
図11の結果から明らかなように、非細胞系ではアンチセンス効果を示したD−oligoであるD−A367において、この細胞系の試験では遺伝子発現抑制効果は全く見られなかった。これは、細胞内に存在するヌクレアーゼによって、D−oligoが分解を受けたためと考えられる。また、酵素耐性能が極めて優れていると評価されているS−oligoの場合、S−A367によってホタルルシフェラーゼの発現がされているS−oligoの場合、S−A367によってホタルルシフェラーゼの発現が大幅に抑制されている。しかしながら、S−oligoの場合は毒性が問題となっており、そのため非特異的な発現抑制効果があることが示された。即ち、発現を抑制しないはずのランダムオリゴヌクレオチドS−R367においてもホタルルシフェラーゼの発現抑制が見られた。更に、S−A367及びS−R367はターゲット配列を含んでいないのウミシイタケルシフェラーゼの発現も抑制しているからである。
一方、BNAオリゴヌクレオチドの場合、BNA−A367において、非常に優れたホタルルシフェラーゼの遺伝子発現抑制効果を示し、また、ウミシイタケルシフェラーゼの発現に影響を与えていない。また、ランダムオリゴヌクレオチドBNA−R367は遺伝子発現抑制効果を見せていない。これらの結果からみて、BNAアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果は、配列特異的な効果であり、これはBNAオリゴヌクレオチドの極めて優れた結合親和性及び酵素耐性能によるものであると考えられ、BNAオリゴヌクレオチドのみが細胞内においても優れたアンチセンス効果を示すことが明らかになった。
(3) 次に、HCV−IRES内のステム領域をターゲットとしたBNA−A159の細胞内でのアンチセンス効果について検討した。オリゴヌクレオチドとしては、D−A159及びBNA−A159を用いて、終濃度で60nM並びに120nMとなるようにトランスフェクションした。結果は、オリゴヌクレオチドを加えずにトランスフェクションした場合を100%として図12に示した。
図12の結果から明らかなように、D−A159では、非細胞系の場合と同じく発現抑制効果が見られずアンチセンス効果を示さないことが確認された。
一方、BNA−A159では、60nMにおいて約50%の、120nMにおいてはほぼ完全にルシフェラーゼの発現を抑制しており、極めて優れたアンチセンス効果を示すことが確認された。
(4) HCV−IRES内のステム領域をターゲットとする下記の配列の天然型アンチセンスオリゴヌクレオチド(D−oligo)及び本発明のオリゴヌクレオチド誘導体(BNA−oligo)をD−A159及びBNA−A159と同様の方法で合成した。式中、ヌクレオチド配列のうち、下線を引いたものが本発明のヌクレオチド類縁体ユニットである。
BNA−A159と同様にして、BNA−A191の細胞内でのアンチセンス効果について検討した。D−A191及びBNA−A191を用いて、終濃度で60nM、120nM、240nMとなるようにトランスフェクションした。結果はオリゴヌクレオチドを加えずにトランスフェクションした場合を100%として図13に示した。
図13の結果から明らかなように、D−191では発現抑制効果が見られずアンチセンス効果を示さないことが確認された。
一方、BNA−A191では極めて優れたアンチセンス効果を示すことが確認された。
このように、BNAアンチセンスオリゴヌクレオチドが、非細胞系に比べて細胞系における効果の方が顕著なのは、優れた酵素耐性能と共に、細胞内に高いリボヌクレアーゼ濃度によるものと考えられる。
[産業上の利用可能性]
本発明のBNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは、HCV−RNAに対して優れた結合親和性を有し、高い酵素耐性能を示し、さらに細胞毒性が低いため、非細胞系及び細胞系の両者において、特異的なHCV遺伝子発現抑制効果を示す。また、本発明のBNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは、対象RNA核酸におけるループやステム等の二次構造のいかんに関わらず、HCVを標的とするアンチセンス法に有効である。したがって、本発明のBNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは、従来、インターフェロン以外に有力な治療薬がなかったHCVの遺伝子治療用の治療薬として有望である。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、HCVゲノムの構造を示す図である。
図2は、HCV−IRESの二次構造を示す図解図である。
図3は、HCV−IRESを含むターゲットプラスミドの構築方法を示す説明図である。
図4は、HCV−IRESを含むターゲットプラスミドの構築方法を示す説明図である。
図5は、HCV−IRESを含むターゲットプラスミドの構築方法を示す説明図である。
図6は、非細胞系における、HCV−IRESの開始コドン近傍をターゲットとする本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体と天然型アンチセンスオリゴヌクレオチドとのHCV遺伝子翻訳阻害効果を示すグラフである。
図7は、非細胞系における、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体と天然型アンチセンスオリゴヌクレオチド(図6のものと長さが異なる)とのHCV遺伝子翻訳阻害効果を示すグラフである。
図8は、非細胞系における、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体と天然型アンチセンスオリゴヌクレオチド(図6、図7のものと長さが異なる)とのHCV遺伝子翻訳阻害効果を示すグラフである。
図9は、非細胞系における、HCV−IRESのステム領域をターゲットとする本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体と天然型アンチセンスオリゴヌクレオチドとのHCV遺伝子翻訳阻害効果を示すグラフである。
図10は、実施例3の細胞系におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドによるHCV遺伝子翻訳阻害効果を検討する試験に使用したプラスミドの構造を示す図である。
図11は、細胞系における、HCV−IRESの開始コドン近傍をターゲットとする本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体、天然型アンチセンスオリゴヌクレオチド等のHCV遺伝子翻訳阻害効果を示すグラフである。
図12は、細胞系における、HCV−IRESのステム領域をターゲットとする本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体(D−A159)と天然型アンチセンスオリゴヌクレオチド(BNA−A159)とのHCV遺伝子翻訳阻害効果を示すグラフである。
図13は、細胞系における、HCV−IRESのステム領域をターゲットとする本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体(BNA−A191)と天然型アンチセンスオリゴヌクレオチド(D−A191)とのHCV遺伝子翻訳阻害効果を示すグラフである。
Claims (8)
- 糖部を修飾したヌクレオチド類縁体ユニットを1つ以上含有する、C型肝炎ウイルスに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体。
- C型肝炎ウイルスRNAの5’非翻訳領域を標的とする請求項1又は2記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体。
- 前記5’非翻訳領域がインターナル・リボソーマル・エントリーサイト(IRES)である請求項3記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体。
- C型肝炎ウイルスRNAのステム領域を標的とする請求項1又は2記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体。
- 請求項6記載の何れかの塩基配列と相補的な配列のDNA又はRNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチド誘導体を含む請求項1〜5記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体。
- 請求項1〜7の何れかの項に記載のC型肝炎ウイルスRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体を有効成分として含有する抗C型肝炎ウイルス剤。
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