JPWO2002097421A1 - 電気泳動法 - Google Patents

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Abstract

β−1,3−グルカン及び/又はメチルセルロースを含有した分離用担体;それを含有した泳動用緩衝液;該緩衝液の存在下に、高分子化合物を含有した試料を泳動する、キャピラリーまたはマイクロチップ電気泳動法;電気的試料注入又は加圧によりインジェクトする、キャピラリーまたはマイクロチップ電気泳動法;並びに該電気泳動法により、高分子化合物を解析する方法。本発明によれば、迅速に、高い分離能を得ることができ、遺伝子解析、プロテオーム解析またはグライコーム解析におけるタンパク質または糖鎖のHigh Through−putスクリーニング解析に有用であり、医療診療装置への応用、および生体機能、疾患発症機構などの解明への応用が可能になる。

Description

技術分野
本発明は、高分子化合物の泳動に適し、簡便、かつ迅速に、高い分離能を得ることができ、遺伝子解析、プロテオーム解析、グライコーム解析などへの応用が可能な、電気泳動法および高分子化合物の解析方法に関する。さらに詳しくは、電気泳動において、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類、核酸(例えば、DNA、RNA)などの高分子化合物を迅速にかつ高い分離能で分離することができる、分離用担体、泳動用緩衝液、電気泳動法ならびに該高分子化合物の解析方法に関する。
背景技術
ヒトゲノム解析に伴い、ゲノム機能の解明が期待されている。具体的には、例えば、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析、メタボローム解析、グライコーム解析などにより、塩基配列情報に基づく転写産物の発現や遺伝子産物(タンパク質)、生体内代謝産物、糖鎖などの機能を解明し、それにより、疾患発症機構を解明されることが期待される。また、前記疾患発症機構の解明により、かかる疾患の予防、治療などへの応用が期待される。
現在、例えば、プロテオーム解析に関し、2次元電気泳動によるタンパク質のプロファイリングなどが行なわれている。しかしながら、前記2次元電気泳動は、操作が煩雑であること、操作に時間を要すること、多量の試料を要することなどの欠点を有する。
また、タンパク質や糖鎖の解析のために、キャピラリー電気泳動やマイクロチップ電気泳動が用いられる場合もある。しかしながら、タンパク質を、かかるキャピラリー電気泳動またはマイクロチップ電気泳動により解析する場合、該タンパク質がキャピラリーに吸着する場合があるため、展開が妨げられ、解析が困難になる場合があるという欠点を有する。
さらに、従来の電気泳動においては、分離時間の高速化に限界があり、高速化の達成のために、高電圧をかけることにより、電気泳動が行なわれるが、高電圧下での分離により、分離能が低下する場合があるという欠点を有する。
したがって、操作が簡便であり、迅速に、高い分離能を得ることが可能な、高分子化合物、具体的には、タンパク質や糖鎖のHigh Through−putスクリーニング解析のための手法の確立が望まれている。
発明の開示
本発明は、高分子化合物の泳動に適し、操作が簡便であり、迅速に、高い分離能を得ることができる、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類、核酸(例えば、DNA、RNAなど)などの高分子化合物の解析が可能な分離用担体、泳動用緩衝液および電気泳動法、ならびに該電気泳動法に基づく該高分子化合物の解析方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 β−グルカンおよびメチルセルロースからなる群より選ばれた1種の化合物を含有してなる、キャピラリー電気泳動またはマイクロチップ電気泳動に用いるための分離用担体、
〔2〕 β−グルカンとして、β−1,3−グルカンを含むラミナラン、β−1,3−グルカンを含むカードラン、β−1,3−グルカンを含む植物抽出物、β−1,3−グルカンを含む海藻抽出物、β−1,3−グルカンを含む酵母抽出物、β−1,3−グルカンを含む真菌抽出物、およびβ−1,3−グルカンを含む真菌の培養液からなる群より選ばれた少なくとも1種を含有してなる、前記〔1〕記載の分離用担体、
〔3〕 β−グルカンとして、β−1,3−グルカンを含む海藻抽出物を含有してなる、前記〔1〕記載の分離用担体、
〔4〕 海藻抽出物が、原藻を、水抽出、酸アルカリ抽出および溶媒抽出からなる群より選ばれた1種の抽出法により処理することにより得られた抽出物である、前記〔3〕記載の分離用担体、
〔5〕 前記〔1〕〜〔4〕いずれか1項に記載の分離用担体を含有してなる、キャピラリー電気泳動またはマイクロチップ電気泳動に用いるための泳動用緩衝液。
〔6〕 下記(1)〜(3):
(1)pH1.0〜12.0であるリン酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、
(2)pH5.0〜11.0であるホウ酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、および
(3)pH5.0〜11.0であり、1mM〜0.5Mの濃度でトリス−ホウ酸緩衝液を含有した緩衝液
からなる群より選ばれた1種の緩衝液であって、かつメチルセルロースを0.001〜0.5重量%の濃度で含有してなる、前記〔5〕記載の泳動用緩衝液、
〔7〕 下記(1)〜(4):
(1)pH1.0〜12.0であるリン酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、
(2)pH5.0〜11.0であるホウ酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、
(3)pH5.0〜11.0であり、1mM〜0.5Mの濃度でトリス−ホウ酸緩衝液を含有した緩衝液
(4)前記(3)において、0.001〜1.0重量%のメチルセルロースをさらに含有した緩衝液
からなる群より選ばれた1種の緩衝液であって、かつカードランを0.000001〜0.1重量%の濃度で含有してなる、前記〔5〕記載の泳動用緩衝液、
〔8〕 下記(1)〜(4):
(1)pH1.0〜12.0であるリン酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、
(2)pH5.0〜11.0であるホウ酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、
(3)pH5.0〜11.0であり、1mM〜0.5Mの濃度でトリス−ホウ酸緩衝液を含有した緩衝液
(4)前記(3)において、0.001〜1.0重量%のメチルセルロースをさらに含有した緩衝液
からなる群より選ばれた1種の緩衝液であって、かつ海藻抽出物を0.000001〜0.1重量%の濃度で含有してなる、前記〔5〕記載の泳動用緩衝液、
〔9〕 キャピラリー電気泳動またはマイクロチップ電気泳動において、前記〔5〕〜〔8〕いずれか1項に記載の泳動用緩衝液の存在下に、高分子化合物を含有した試料を泳動することを特徴とする、電気泳動法、
〔10〕 高分子化合物が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類および核酸からなる群より選ばれた1種である、前記〔9〕記載の電気泳動法、
〔11〕 キャピラリー電気泳動において、高分子化合物を含有した試料をキャピラリーにインジェクトし、ついで、加圧し、該試料を、高分子化合物の分離が可能な泳動電場下に泳動することを特徴とする、電気泳動法、
〔12〕 高分子化合物が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類および核酸からなる群より選ばれた1種である、前記〔11〕記載の電気泳動法、
〔13〕 キャピラリー電気泳動において、
(a)試料注入口とアウトレットとを備え、かつ泳動用緩衝液が充填されたキャピラリーの試料注入口から、加圧または電気的注入により試料をインジェクトするステップ〔ステップ(a)という〕、および
(b)加圧し、ついで、試料を泳動するステップ〔ステップ(b)という〕
を含むプロセスを行なう、前記〔11〕または〔12〕記載の電気泳動法、
〔14〕 ステップ(a)において、キャピラリーのアウトレットに水または泳動用緩衝液をセッティングしない条件下に、該試料をキャピラリーにインジェクトし、ステップ(b)において、水または緩衝液を加圧する、前記〔13〕記載の電気泳動法、
〔15〕 ステップ(a)において、1〜30kV、1〜30秒での電気的注入により、該試料をキャピラリーにインジェクトし、
ステップ(b)において、20V/cm〜10kV/cmの泳動電場下に泳動する、前記〔13〕または〔14〕記載の電気泳動法、
〔16〕 ステップ(a)において、1〜30kV、1〜60秒での電気的注入により、該試料をキャピラリーにインジェクトし、ステップ(b)において、2〜50mbar、2〜30秒で加圧する、前記〔13〕または〔14〕記載の電気泳動法。
〔17〕 前記〔5〕〜〔8〕いずれか1項に記載の泳動用緩衝液の存在下に、試料を泳動する、前記〔11〕〜〔16〕いずれか1項に記載の電気泳動法、
〔18〕 マイクロチップ電気泳動において、
(A)ローディングチャネルと、該ローディングチャネルに交差する分離用チャネルとを備え、かつ該ローディングチャネルの一端に試料リザーバーが配置され、該ローディングチャネルの他端にアウトレットが配置されたマイクロチップであって、該ローディングチャネルおよび分離用チャネルに泳動用緩衝液が充填されたマイクロチップを用い、
該ローディングチャネルに電圧又は圧力を負荷して、高分子化合物を含有した試料を該試料リザーバーから供給して、分離用チャネルに導入するステップ〔ステップ(A)という〕、ならびに
(B)分離用チャネルを加圧し、ついで、該試料を泳動するステップ〔ステップ(B)という〕
を含むプロセスを行なうことを特徴とする、電気泳動法、
〔19〕 高分子化合物が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類および核酸からなる群より選ばれた1種である、前記〔18〕記載の電気泳動法、
〔20〕 ステップ(B)における加圧の際の圧力の大きさを調節することにより、分離能を調整する、前記〔18〕または〔19〕記載の電気泳動法、
〔21〕 ステップ(A)において、アウトレットに泳動用緩衝液をセッティングしない条件下に、ローディングチャネルを電圧を負荷することにより、試料を該分離用チャネルに導入し、
ステップ(B)において、ローディングチャネルに電圧を負荷し、かつ分離用チャネルを電圧を負荷することにより、試料を泳動する、前記〔18〕〜〔20〕いずれか1項に記載の電気泳動法、
〔22〕 ステップ(A)において、ローディングチャネルに10〜500Vの電圧(ローディング電圧)2〜60秒を負荷し、
ステップ(B)において、ローディングチャネルに10〜500Vの電圧(スクイージング電圧)を負荷し、かつ分離用チャネルに20V/cm〜50kV/cmの電場を負荷する、前記〔21〕記載の電気泳動法、
〔23〕 ステップ(A)において、アウトレットに泳動用緩衝液をセッティングしない条件下に、試料リザーバーを加圧することにより、試料を該分離用チャネルに導入し、
ステップ(B)において、分離用チャネルを加圧し、ついで、試料を泳動する、前記〔18〕〜〔20〕いずれか1項に記載の電気泳動法、
〔24〕 ステップ(A)において、試料リザーバーに1〜1520mbarの圧力を加圧し、
ステップ(B)において、分離用チャネルに1〜1520mbarを加圧し、ついで、20V/cm〜50kV/cmの電場を負荷する、前記〔23〕記載の電気泳動法、
〔25〕 分子量9〜205kDaのタンパク質を15秒以内に分離する、前記〔18〕〜〔24〕いずれか1項に記載の電気泳動法。
〔26〕 2〜100個の単糖を構成糖として有する糖を15秒以内に分離する、前記〔18〕〜〔24〕いずれか1項に記載の電気泳動法、
〔27〕 10塩基〜10キロ塩基の核酸を50秒以内に分離しうる、前記〔18〕〜〔24〕いずれか1項に記載の電気泳動法、
〔28〕 前記〔9〕〜〔27〕いずれか1項に記載の電気泳動法により、高分子化合物を含有した試料を泳動して、該高分子化合物を分離し、分離された高分子化合物を検出して移動度を測定することを特徴とする、高分子化合物の解析方法、
〔29〕 高分子化合物が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖および核酸からなる群より選ばれた1種である、前記〔28〕記載の高分子化合物の解析方法、ならびに
〔30〕 UV波長光の吸収、蛍光検出、電気化学的検出および化学発光検出からなる群より選ばれた少なくとも1種により、分離された高分子化合物を検出する、前記〔28〕または〔29〕記載の高分子化合物の解析方法、
に関する。
発明を実施するための最良の形態
本発明の分離用担体によれば、キャピラリー電気泳動およびマイクロチップ電気泳動において、操作を簡便にすることができ、かつ高分子化合物などの解析を高速で行なうことができ、高い分離能を得ることができる。
本明細書においては、高分子化合物としては、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類、核酸(例えば、DNA、RNAなど)などが挙げられる。
前記核酸は、一本鎖であっても、二本鎖であってもよい。
本発明の分離用担体は、キャピラリー電気泳動またはマイクロチップ電気泳動に用いるための分離用担体であり、かつβ−グルカンおよびメチルセルロースからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含有することに1つの特徴がある。
本発明の分離用担体は、β−グルカンまたはメチルセルロースを含有しているため、電気泳動時に、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類、核酸(DNA、RNAなど)などが、キャピラリー電気泳動に用いられるキャピラリーの壁面またはマイクロチップ電気泳動に用いられるマイクロチップ上のチャネルの壁面に付着することを抑制することができるという優れた効果を発揮する。
前記β−グルカンは、β−グリコシド結合を含有したD−グルコースから構成され多糖であればよく、側鎖または直鎖内にβ−1,6結合、β−1,4結合を含有した多糖であってもよい。本発明の分離用担体は、β−グルカンとして、β−1,3−グルカンを含む化合物または混合物が挙げられ、例えば、ラミナラン、カードラン、植物抽出物、海藻抽出物、酵母抽出物、真菌抽出物もしくは培養液などが挙げられる。
かかるβ−グルカンは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記β−グルカンは、高い分離能を得、高速分離を達成させる観点から、平均重合度が、2以上、好ましくは、10以上、より好ましくは、20以上であることが望ましく、分離に適した溶解性、粘度、付着性を得る観点から、10000以下、好ましくは、1000以下、より好ましくは、40以下であることが望ましい。
なお、本明細書において、平均重合度は、分子量/モノマー分子量により求められる値を意味する。
β−グルカンの混合物としては、例えば、海藻抽出物、アガリスク、シイタケ、ヒラタケ、ヤマブシタケ、ハナビラタケ、スエヒロタケ、カワラタケなどのキノコ類の抽出物;大麦、カラス麦、オートムギなどの植物の抽出物;パン酵母、ビール酵母、マイコバクテリウム、真菌、糸状菌、クロレラ、微細藻類などの微生物の抽出物またはその培養液などが挙げられる。
前記海藻抽出物は、例えば、文献(特願2000−229369号など)に記載の方法に従って、海藻(ワカメ、コンブ、アラメなど)から得られるものである。具体的には、前記海藻抽出物は、例えば、海藻(ワカメ、コンブ、アラメなど)を、水抽出(熱水、温水、冷水、氷冷水などによる抽出)、各種温度の酸アルカリ抽出、溶媒(エタノール、メタノール、アセトン、エーテルなど)などに供することにより得られうる。
前記海藻抽出物は、例えば、β−1,6結合が多いβ−1,3−グルカンである水溶性ラミナラン、β−1,6結合が少ないβ−1,3−グルカンである難溶性ラミナランなどの混合物である。
前記メチルセルロースは、分離に適した溶解性、粘度、付着性を得る観点から、平均重合度が、10以上、好ましくは、180以上、より好ましくは、1800以上であることが望ましく、十分な分離度を得る観点から、30000以下、好ましくは、10000以下、より好ましくは、3000以下であることが望ましい。
また、前記メチルセルロースは、その誘導体であってもよく、かかる誘導体としては、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースなどが挙げられる。
本発明の分離用担体は、電気泳動における泳動用緩衝液に添加して用いることにより、キャピラリー電気泳動およびマイクロチップ電気泳動において、操作を簡便にすることができ、かつ高分子化合物、具体的には、タンパク質、ペプチド、糖鎖、多糖類などの解析を高速で行なうことができ、高い分離能を得ることができる。
したがって、本発明により、前記分離用担体を含有した泳動用緩衝液が提供される。
本発明の泳動用緩衝液は、キャピラリー電気泳動またはマイクロチップ電気泳動に用いるための泳動用緩衝液であり、前記分離用担体を含有することに1つの特徴がある。
かかる泳動用緩衝液によれば、電気泳動時に、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類、核酸などの測定試料が、キャピラリー電気泳動に用いられるキャピラリーの壁面またはマイクロチップ電気泳動に用いられるマイクロチップ上のチャネルの壁面に付着することを抑制することができる。したがって、本発明の泳動用緩衝液によれば、高分子化合物の泳動に適し、操作が簡便であり、高速かつ高い分離能を得ることができるキャピラリー電気泳動およびマイクロチップ電気泳動を可能にする。
なお、本明細書において、「測定試料」とは、試料中に含まれる測定対象の物質、すなわち、高分子化合物を意味する。また、単に「試料」と表記した場合、高分子化合物を含有した混合物などを意味する。
本発明の泳動用緩衝液は、高速かつ高い分離能を得る観点から、例えば、測定試料がペプチドである場合、pH1.0〜12.0、好ましくは、pH2.0〜4.0であるリン酸緩衝液を1mM〜0.5M、好ましくは、10mM〜0.5Mの濃度で含有することが望ましい。
本発明の泳動用緩衝液におけるリン酸緩衝液の濃度は、分離能の効果を十分に発揮させる観点から、1mM以上が好ましく、10mM以上がより好ましく、50mM以上がさらに好ましく、75mM以上がよりさらに好ましく、移動時間を短縮しかつ高い分離能を得る効果を十分に発揮させる観点から、0.5M以下が好ましく、0.2M以下がより好ましく、0.1M以下がさらに好ましい。
前記リン酸緩衝液のpHは、緩衝能、電気泳動における分離能の観点から、1.0〜12.0が好ましく、2.0〜4.0がより好ましく、2.0〜2.8がさらに好ましく、2.5〜2.8がよりさらに好ましく、2.5が特に好ましい。
測定試料が、例えば、タンパク質である場合、本発明の泳動用緩衝液は、pH5.0〜11.0、好ましくはpH7.0〜9.6であるホウ酸緩衝液を1mM〜0.5M、好ましくは10mM〜0.15Mの濃度で含有することが望ましい。ここで、本発明の泳動用緩衝液におけるホウ酸緩衝液の濃度は、分離能の効果を十分に発揮する観点から、1mM以上が好ましく、2.0mM以上がより好ましく、10mM以上がさらに好ましく、20mM以上がよりさらに好ましく、40mM以上が特に好ましく、移動時間を短縮し、かつ高い分離能を得る効果を十分に発揮させる観点から、0.5M以下が好ましく、0.15M以下がより好ましく、0.1M以下がさらに好ましく、75mM以下がよりさらに好ましい。前記ホウ酸緩衝液のpHは、緩衝能、電気泳動における分離能の観点から、5.0〜11.0が好ましく、7.0〜9.5がより好ましく、8.0〜9.0がさらに好ましい。
また、測定試料が、例えば、糖類、多糖の場合には、pH5.0〜11.0、好ましくは7.0〜9.6であり、1mM〜0.5M、好ましくは10mM〜0.5M、より好ましくは10mM〜0.15Mの濃度でトリス−ホウ酸緩衝液を含有した緩衝液であることが望ましい。ここで、本発明の泳動用緩衝液におけるトリス−ホウ酸緩衝液の濃度は、分離能の効果を十分に発揮する観点から、1mM以上が好ましく、10mM以上がより好ましく、20mM以上がさらに好ましく、40mM以上がよりさらに好ましく、移動時間を短縮し、かつ高い分離能を得る効果を十分に発揮させる観点から、0.5M以下が好ましく、0.25M以下がより好ましく、0.15M以下がさらに好ましく、0.1M以下がよりさらに好ましく、75mM以下が特に好ましい。また、前記トリス−ホウ酸緩衝液のpHは、緩衝能、電気泳動における分離能の観点から、5.0〜11.0が好ましく、7.0〜9.5がより好ましく、8.0〜9.0がさらに好ましく、8.0〜9.0がよりさらに好ましい。
例えば、測定試料が、核酸の場合、前記10mM〜0.5M、好ましくは10mM〜0.15Mのトリス−ホウ酸緩衝液を含有した緩衝液に0.001〜0.7重量%、好ましくは0.05〜0.7重量%のメチルセルロースを含有していることが望ましい。
分離用担体を含有した泳動用緩衝液における分離用担体の濃度は、用いる化合物の種類により、適宜設定されうるが、例えば、メチルセルロースの場合、分離能向上の観点から、0.001〜1.0重量%が好ましく、0.7重量%がより好ましく、0.05〜0.5重量%がさらに好ましく、0.1重量%であることが特に好ましい。
分離用担体がカードランである場合、高速分離、分離能向上、測定試料の壁面吸着防止の観点から、0.000001〜0.1重量%が好ましく、0.00001〜0.01重量%がより好ましく、0.0001〜0.001重量%がさらに好ましい。
分離用担体が海藻抽出物である場合、高速分離、分離能向上、測定試料の壁面吸着防止の観点から、0.000001〜0.1重量%が好ましく、0.00001〜0.001重量%がより好ましく、0.0001重量%であることが特に好ましい。
本発明の泳動用緩衝液により、キャピラリー電気泳動およびマイクロチップ電気泳動に基づく電気泳動法であって、高分子化合物の泳動に適し、操作が簡便であり、高速かつ高い分離能を得ることができる、電気泳動法が提供される。
本発明の電気泳動法としては、具体的には、
(1)キャピラリー電気泳動またはマイクロチップ電気泳動において、前記泳動用緩衝液の存在下に、高分子化合物を含有した試料を泳動することを特徴とする方法;
(2)キャピラリー電気泳動において、高分子化合物を含有した試料をキャピラリーにインジェクトし、ついで、加圧し、該試料を、高分子化合物の分離が可能な泳動電場下に泳動することを特徴とする、電気泳動法;
(3)マイクロチップ電気泳動において、
(A)ローディングチャネルと、該ローディングチャネルに交差する分離用チャネルとを備え、かつ該ローディングチャネルの一端に試料リザーバーが配置され、該ローディングチャネルの他端にアウトレットが配置されたマイクロチップであって、該ローディングチャネルおよび分離用チャネルに泳動用緩衝液が充填されたマイクロチップを用い、
該ローディングチャネルに電圧を負荷、または圧力を加圧して、高分子化合物を含有した試料を該試料リザーバーから供給して、分離用チャネルに導入するステップ〔ステップ(A)という〕、ならびに
(B)分離用チャネルを加圧し、ついで、試料を泳動するステップ〔ステップ(B)という〕
を含むプロセスを行なうことを特徴とする方法
が挙げられる。
本発明の電気泳動法に適用される試料としては、高分子化合物を含有した試料が挙げられ、具体的には、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類、核酸(例えば、DNA、RNAなど)などを含有した試料が上げられる。かかる試料は、特に限定されないが、生物由来の試料などが挙げられる。
泳動電場は、キャピラリー電気泳動の場合、良好な分離能を得、移動時間を短縮する観点から、20V/cm〜10kV/cmであり、好ましくは、50V/cm〜5kV/cmであり、より好ましくは100V/cm〜1kV/cmであることが望ましい。
また、泳動電場は、マイクロチップ電気泳動の場合、良好な分離能を得、移動時間を短縮する観点から、20V/vm〜50kV/cmであり、好ましくは、50V/cm〜20kV/cmであり、より好ましくは100V/cm〜10kV/cmであることが望ましい。
前記キャピラリー電気泳動に使用されるキャピラリーにおいて、内径、外径、全長、有効長は、特に限定されるものではなく、特に、有効長に関して、高速での解析を可能にする観点から、短い有効長のキャピラリーを用いることができる。ここで、キャピラリーの有効長とは、試料注入口から検出部の距離をいう。
前記マイクロチップ電気泳動においては、ローディングチャネルと、該ローディングチャネルに交差する分離用チャネルとを備え、かつ該ローディングチャネルの一端に試料リザーバーが配置され、該ローディングチャネルの他端にアウトレットが配置されたマイクロチップが用いられうる。かかるマイクロチップの一例を第11図に示す。第11図中、マイクロチップ基板5上において、ローディングチャネル2と分離用チャネル4とは交差し、該ローディングチャネル2の一端に試料リザーバー1が配置され、他端にアウトレット3が配置されている。
前記マイクロチップ基板の材質としては、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガタス、ソーダガラス、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ジメチルシロキサンなどが挙げられる。なかでも、試料の吸着が少なく、チップ加工が容易である観点から、ガラス、およびポリメタクリレートが望ましい。
前記マイクロチップの大きさは、例えば、縦10〜120mm、横10〜120mm、厚さ500〜5000μmである。
前記マイクロチップにおけるローディングチャネルおよび分離用チャネルのそれぞれの形状は特に限定されるものではない。
前記チャネルの幅は、マイクロチップの大きさ、使用目的などにより適宜設定されうる。具体的には、前記チャネルの幅は、十分な解析感度を得る観点から、0.1μm以上、好ましくは10μm以上であり、十分な解析精度を得る観点から、100μm以下、好ましくは50μm以下であることが望ましい。また、前記チャネルの深さは、マイクロチップの大きさ、使用目的などにより適宜設定されうるが、十分な解析感度を得る観点から、0.1μm以上、好ましくは10μm以上であり、十分な解析精度を得る観点から、100μm以下、好ましくは50μm以下であることが望ましい。さらに、前記分離用チャネルの長さは、マイクロチップの大きさ、解析対象の化合物に応じて適宜設定することができるが、有効長を、より長くすることが望ましい。有効長は、チャネル交差部から、高分子化合物の検出点(分離用チャネル上に配置)までの距離をいう。十分な分離能を得る観点から、0.1mm以上、好ましくは10mm以上であり、高速分離の観点から、100mm以下、好ましくは50mm以下であることが望ましい。
また、前記リザーバーの大きさは、試料の容量に応じて適宜設定することができる。具体的には、リザーバーの大きさは、試料導入のハンドリング及び電極の太さの観点から、直径0.05mm以上、好ましくは1mm以上であり、用いる試料量の観点から、5mm以下、好ましくは3mm以下であることが望ましい。
マイクロチップ電気泳動において、インジェクションする際の試料の量(濃度)は、良好な分離能を得る観点から、試料が、ペプチドまたはタンパク質の場合、0.1ng/ml〜1g/mlであり、好ましくは、10ng/ml〜100mg/mlであり、より好ましくは、0.1μg/ml〜10mg/mlであることが望ましい。前記試料が、糖または多糖の場合、インジェクションする際の試料の量(濃度)は、良好な分離能を得る観点から、0.1μg/ml〜10g/mlであり、好ましくは、1mg/ml〜5g/mlであり、より好ましくは、100mg/ml〜1g/mlであることが望ましい。前記試料が、核酸の場合、インジェクションする際の試料の量(濃度)は、良好な分離能を得る観点から、1ng/ml〜500μg/mlであり、好ましくは、10ng/ml〜100μg/mlであり、より好ましくは、100ng/ml〜50μg/mlであることが望ましい。
前記(1)の電気泳動法においては、電気泳動時の泳動電圧などは、解析対象の化合物〔タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類、核酸(例えば、DNA、RNAなど)など〕により適宜設定されうる。かかる泳動電圧は、例えば、試料の分離能、用いる泳動用緩衝液の粘度、試料中に含まれる試料数などにより決定されうる。
前記(2)の電気泳動法としては、具体的には、キャピラリー電気泳動において、
(a)試料注入口とアウトレットとを備え、かつ泳動用緩衝液が充填されたキャピラリーの試料注入口から、電圧の負荷、または加圧により試料をインジェクトするステップ〔ステップ(a)という〕、および
(b)水または緩衝液を用いて加圧し、ついで、試料を泳動するステップ〔ステップ(b)という〕
を含むプロセスを行なう方法が挙げられる。
ここで、泳動用緩衝液としては、pH1.0〜12.0、好ましくはpH2.0〜4.0である10mM〜0.5M リン酸緩衝液、pH5.0〜11.0、好ましくは7.0〜9.5である10mM〜0.5M、好ましくは10mM〜0.15Mのホウ酸緩衝液、pH5.0〜11.0、好ましくは7.0〜9.5である10mM〜0.5M、好ましくは10mM〜0.15Mのトリス−ホウ酸緩衝液、本発明の分離用担体を含む泳動用緩衝液などが挙げられる。解析を高速で行ない、かつ高い分離能を得る観点から、本発明の分離用担体を含む泳動用緩衝液が好ましい。
前記ステップ(a)においては、解析を高速で行ない、かつ高い分離能を得る観点から、キャピラリーのアウトレットに泳動用緩衝液をセッティングしない条件下に、試料をインジェクトすることが好ましい。
前記ステップ(a)における電気的注入としては、試料をキャピラリーにインジェクトするに適した電場の負荷が挙げられる。
前記ステップ(b)においては、みかけの有効長を短くするに適した圧力の負荷が挙げられ、試料中の高分子化合物を分離するに適した泳動電圧下に泳動する。前記ステップ(b)における泳動電圧は、解析対象の化合物〔タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類、核酸(例えば、DNA、RNAなど)など〕、試料の分離能、用いる泳動用緩衝液の粘度、試料中に含まれる試料数により決定されうる。
前記(2)の電気泳動法は、具体的には、例えば、ステップ(a)において、電圧1〜30kV、好ましくは5〜15kVで1〜30秒、好ましくは5〜15秒でインジェクトすることにより、該試料をキャピラリーにインジェクトすること、および
ステップ(b)において、水または緩衝液を2〜50mbar、2〜30秒で加圧して、20V/cm〜50kV/cmの泳動電場下に分離すること
により実施されうる。
また、試料注入条件、加圧条件は、装置の種類および性能、インジェクト部分の形状、サンプルバイアルの形および大きさ、サンプルキャップの材質および形状、試料粘度、濃度などに応じて適宜設定される。
前記(3)の電気泳動法としては、具体的には、
ステップ(A)において、アウトレットに泳動用緩衝液をセッティングしない条件下に、ローディングチャネルに電圧を負荷することにより、試料を該分離用チャネルに導入し、
ステップ(B)において、分離用チャネルを加圧し、ついで、ローディングチャネルを加圧し、かつ分離用チャネルに電圧を負荷することにより、試料を泳動するプロセス〔プロセス1という〕;
または
ステップ(A)において、アウトレットに泳動用緩衝液をセッティングしない条件下に、試料リザーバーを加圧して、高分子化合物を含有した試料を分離用チャネルに導入し、
ステップ(B)において、分離用チャネルを加圧し、ついで、試料を泳動するプロセス〔プロセス2という〕
を行なう方法が挙げられる。
前記(3)の方法によれば、前記ステップを行なうため、分子量9〜205kDaのタンパク質を15秒以内に分離することができ、2〜100個の単糖を構成糖として有する糖を15秒以内に分離することができ、10塩基〜10キロ塩基のDNAを50秒以内に分離することができるという優れた効果が発揮される。
前記プロセス1においては、前記ステップ(A)においては、導入する試料及び用いる緩衝液粘度に適した電圧(もしくは電場)により負荷する。
具体的には、ステップ(A)において、ローディングチャネルに100〜500Vの電圧を負荷し、
ステップ(B)において、分離用チャネルを1〜1520mbar、好ましくは10〜760mbarで加圧し、ついで、ローディングチャネルに100〜500Vの電圧を負荷し、かつ分離用チャネルに20V/cm〜50kV/cmの電場を負荷する。
前記ステップ(B)における加圧の際の圧力の大きさを調節することにより、分離能を調整することができる。
一方、プロセス2においては、前記ステップ(A)における加圧としては、導入する試料および緩衝液の粘度に適した圧力が挙げられる。
具体的には、ステップ(A)において、試料リザーバーに、圧力(1〜1520mbar、好ましくは50〜760mbar)を加圧し、
ステップ(B)において、分離用チャネルに、1〜1520mbar、好ましくは10〜760mbarの加圧し、ついで、20V〜50kV/cmの電場を負荷する。
前記ステップ(B)における加圧の際の圧力の大きさを調節することにより、分離能を調整することができる。
したがって、本発明の電気泳動法に用いる装置には、加圧装置が備えられていることが望ましい。本発明には、本発明の電気泳動法に用いるに適した電気泳動装置も含まれる。かかる装置としては、キャピラリーもしくはマイクロチップ;該キャピラリーもしくはマイクロチップを保持する手段;該キャピラリーもしくはマイクロチップに電場または電圧を負荷する手段;該キャピラリーもしくはマイクロチップに圧力を加圧する手段;これらの手段に適した電力を供給するための電源;変圧器;電場または電圧または圧力を制御する手段(コンピュータなど);該キャピラリーもしくはマイクロチップに試料を注入する手段などを備えた装置などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の電気泳動法により、簡便、かつ迅速に、高い分離能を得ることができ、プロテオーム解析、グライコーム解析などへの応用が可能な、高分子化合物の解析方法が提供される。かかる解析方法は、高分子化合物を含有した試料を泳動して、該高分子化合物を分離し、分離された高分子化合物を検出して移動度を測定することを1つの特徴とする。
本発明の解析方法においては、試料中の高分子化合物は、例えば、UV波長光による吸収、蛍光、レーザー、ランプ、LEDなどによる検出、電気化学的検出化学発光検出を測定することにより検出されうる。具体的には、高分子化合物が、タンパク質またはペプチドの場合、200nmにおける吸収を測定すること;SYPRO Orangeとタンパク質またはペプチドとを反応させ、460〜550nmで励起させ、550〜650nmで蛍光を測定すること、および電気化学的測定、化学発光測定などにより、タンパク質またはペプチドを検出することができる。また、高分子化合物が、糖鎖または多糖類の場合、260nmまたは280nmにおける吸収を測定すること;SYPRO Orangeと糖鎖または多糖類とを反応させ、蛍光測定、および電気化学的測定、化学発光測定などにより、糖鎖または多糖類を検出することができる。
前記キャピラリー電気泳動においては、例えば、キャピラリーのアウトレットに、UV波長光を発しうる装置と該UV波長光の検出器とを設置してもよく、あるいは蛍光波長を発しうる装置と該蛍光波長を検出可能な検出器とを設置してもよい。
前記マイクロチップ電気泳動においては、例えば、分離用チャネル上に配置された検出点にUV波長光の検出器を設置してもよく、あるいは、蛍光波長を発しうる装置と該蛍光波長を検出可能な検出器とを設置してもよい。
検出の際、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類、核酸(DNA、RNAなど)などの同定を行なう場合には、UV吸収、標品との移動時間の比較、マススペクトルの解析などにより行なうことができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
製造例1
文献[例えば、特願2000−229369号など]に記載の方法に従い、ワカメ(胞子葉または茎または根または葉状体を含む)、コンブ、アラメなどの海藻類を熱水抽出し、抽出物を得た。
ついで、前記抽出物を、脱イオン水に溶解した。得られた溶液を、キャピラリー電気泳動に供し、抽出物の組成を解析した。
なお、キャピラリー電気泳動には、Hewlett Packard社製HP3DCEシステムを用いた。また、キャピラリーとして、ジフェニル ジメチルポリシロキサンにより内壁がコーティングされたDB−17キャピラリー〔内径0.1mm、外径0.36mm、全長32.5cm、有効長24cm;J&W Scientific社製〕を用いた。検出は、フォトダイオードアレイにより、260nmおよび280nmで行なった。
キャピラリー電気泳動の条件は、キャピラリー温度:25℃、電場:200または300V/cm、注入条件:5kVで5秒である。
その結果、電場300V/cmの場合、移動時間3.5〜4分において、260nmに最大吸収波長度を呈する画分1と、移動時間4〜6分において、280nmに最大吸収波長度を呈する画分2とが得られた。
また、標品との比較に基づき、前記画分1は、β−1,6結合を含むβ−1,3−グルカンを主成分とした水溶性ラミナランであり、前記画分2は、ガラクトースまたはウロン酸を含有した多糖であることが示された。
実施例1
キャピラリー電気泳動における泳動条件を検討した。
バイオラッドラボラトリー社製のペプチド標品〔Bardykinin(MW:1,060),Angiotensin II(MW:1,046),α−Melanocyte stimulating hormone(MW:1,665),Thyrotropin releasing hormone(MW362),Luteinizing hormone releasing hormone(MW:1,182),Bombesin(MW:1,629),Leucine enkephalin(MW:392),Methionine enkephalin(MW:574),Oxytocin(MW:1,007)〕を、最終濃度50μg/mlとなるように脱イオン水(ICNバイオメディカルズインコーポレティド製)に溶解した。得られた溶液を、以下、ペプチド試料として用いた。
キャピラリー電気泳動には、Hewlett Packard社製HP3DCEシステムを用いた。また、キャピラリーとして、ジフェニル ジメチル ポリシロキサンにより内壁がコーティングされたDB−17キャピラリー〔内径0.1mm、外径0.36mm、全長32.5cm、コーティング相の厚さ0.1μm;J&W Scientific社製〕を用いた。ペプチドの検出は、200nmの吸収を指標として行なった。キャピラリー電気泳動の条件は、方法:CZE、電極の設定:陽極−陰極、キャピラリー温度:25℃、泳動:10kVである。また、電気泳動用緩衝液として、0.1M リン酸緩衝液(pH2.5)を用いた。
まず、試料注入時における条件および泳動時における泳動電圧の条件について検討した。試料注入については、5〜8kVで5〜8秒で検討を行ない、泳動電圧については、5〜15kVで検討を行なった。第1図に、有効長24cmのキャピラリーにおける移動時間およびペプチドの分離に対する試料注入条件および泳動電圧の影響を調べた結果を示す。
その結果、パネルDおよびパネルEに示すように、8kVで8秒での試料注入により、十分な強度が得られることが示された。
シャープなピークを得、良好な分離能を得、かつ移動時間を短くする観点から、8kVで8秒での試料注入を行ない、10kVの泳動電圧により、電気泳動を行なう条件が、最も適していることが示唆された。
また、5kVで5秒での試料注入と、6.5kVの泳動電圧により、電気泳動を行なう条件、8kVで8秒の試料注入と15kVの泳動電圧によっても十分な強度が得られた。
前記結果を基に、キャピラリーの有効長について、有効長24cmまたは8.5cmのキャピラリーを用いて検討を行なった。第2図に、移動時間およびペプチドの分離に対するキャピラリーの有効長への影響を調べた結果を示す。
その結果、有効長8.5cmのキャピラリーを用いた場合においても、24cmのキャピラリーを用いた場合の分離能を損なうことなく、移動時間を短縮できることが示された。
実施例2
試料注入後に加圧することによる、移動時間の短縮効果を調べた。具体的には、水もしくは緩衝液を試料注入口またはアウトレットにセッティングした条件下あるいは水もしくは緩衝液を試料注入口またはアウトレットにセッティングしない条件下に、試料注入を行ない、ついで、加圧した場合(10mbar、8秒)、あるいは加圧しない場合における試料の移動時間および分離能を調べた。なお、試料として、前記実施例1におけるペプチド試料を用いた。結果を、第3図に示す。
パネルAは、従来より行なわれてきた方法(試料注入後に加圧しない場合)による電気泳動のパターンを示す。パネルBは、試料注入後に、加圧(10mbar、8秒)する条件であり、試料注入を、キャピラリーのアウトレットにリン酸緩衝液(pH2.5)をセッティングして行なった結果を示す。また、パネルCは、試料注入後に、加圧(10mbar、8秒)する条件であり、試料注入を、キャピラリーのアウトレットにリン酸緩衝液(pH2.5)をセッティングせずに行なった結果を示す。
その結果、試料注入を、キャピラリーのアウトレットに緩衝液をセッティングせずに行ない、試料注入後に、加圧する条件において、良好な分離能を得ることができ、かつ移動時間を短縮できることが示された。
さらに、キャピラリーのアウトレットに緩衝液をセッティングした条件下に試料注入を行ない、ついで、水もしくは緩衝液を試料注入口またはアウトレットにセッティングした条件あるいは水もしくは緩衝液を試料注入口またはアウトレットにセッティングしない条件において、10mbarで6〜8秒の加圧した場合における分離能および移動時間を調べた。その結果を第4図に示す。
パネルAは、試料注入後に、加圧しない従来の条件による結果を示す。また、パネルB〜Dは、試料注入を、キャピラリーのアウトレットに緩衝液をセッティングせずに行ない、キャピラリーの試料注入口に水をセッティングした条件下に加圧した場合の結果を示す。また、パネルEは、試料注入を、キャピラリーのアウトレットに緩衝液をセッティングせずに行ない、キャピラリーの試料注入口に緩衝液をセッティングした条件下に圧力をかけた場合の結果を示す。なお、各加圧条件を以下に示す。
パネルBにおける条件
試料注入後、10mbarで6秒の加圧、試料注入口:水、アウトレット:緩衝液なし
パネルCにおける条件
試料注入後、10mbarで6秒の加圧、試料注入口:水、アウトレット:水パネルDにおける条件
試料注入後、10mbarで8秒の加圧、試料注入口:水、アウトレット:緩衝液
パネルEにおける条件
試料注入後、10mbarで7秒の加圧、試料注入口:緩衝液、アウトレット:緩衝液
その結果、第4図のパネルDに示すように、前記第3図のパネルCと同じ条件において、移動時間が短縮され、良好な分離能を得ることができることが示された。
さらに、第4図のパネルDにおける条件において、加圧時間による移動時間および分離能への影響を検討した。その結果の一部を第5図に示す。
なお、加圧条件は、パネルA:10mbarで2秒、パネルB:10mbarで6秒、パネルD:10mbarで8秒である。
第5図に示すように、6秒を超える加圧時間(7〜8秒)により、シャープなピークが得られることがわかる。
実施例3
試料注入を、有効長8.5cmのキャピラリーのアウトレットにリン酸緩衝液(pH2.5)をセッティングせずに行ない、ついで、加圧(10mbar、8秒)する条件において、泳動用緩衝液に、β−1,3−グルカン(カードラン)を分離用担体として添加した系(終濃度0.0001重量%)を用いて、移動時間、分離能への影響を調べた。なお、試料として、前記実施例1におけるペプチド試料を用いた。
その結果、第6図に示すように、0.0001重量% カードランを分離用担体として用いた場合、分離用担体を用いない場合に比べ、よりピークがシャープになり、かつ短時間での分離が可能になることがわかる。
有効長24cmのキャピラリーでは、ペプチドの解析に25分かかるが、0.0001重量% カードランを分離用担体として用いる方法によれば、有効長8.5cmのキャピラリーにより5分でペプチドを解析することができ、かつ良好な分離能を得ることができる。
実施例4
キャピラリー電気泳動により、タンパク質を解析するに適した電気泳動用緩衝液の検討を行なった。
電気泳動用緩衝液として、0.5〜0.1Mの範囲の濃度の緩衝液〔リン酸緩衝液(pH2.5)、ホウ酸緩衝液(pH5.5)またはトリス−ホウ酸緩衝液(pH8.5)〕を用い、タンパク質試料の分離の至適条件を検討した。
キャピラリー電気泳動には、Hewlett Packard社製HP3DCEシステムを用いた。また、キャピラリーとして、ジフェニル ジメチル ポリシロキサンにより内壁がコーティングされたDB−17キャピラリー〔内径0.1mm、外径0.36mm、全長32.5cm、有効長24cm;J&W Scientific社製〕を用いた。ペプチドの検出は、200nmの吸収を指標として行なった。キャピラリー電気泳動の条件は、方法:CZE、電極の設定:陽極−陰極、キャピラリー温度:25℃、泳動:10kVである。
試料として、実施例1に記載のペプチド試料を用いた。
その結果、0.1M以下の濃度のリン酸緩衝液(pH2.5)を用いた場合、移動時間の短縮および分離能の向上が認められた。
実施例5
分離用担体として、メチルセルロース〔平均分子量:約400,000、シグマ社製〕、デキストラン〔平均分子量:約100,000〜200,000および平均分子量60,000〜90,000、いずれも和光純薬社製〕、カードラン〔和光純薬社製〕、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、和光純薬社製)、アルギン酸ナトリウム〔ナカライテスク社製〕および前記製造例1で得られた海藻抽出物のそれぞれを用い、タンパク質、ペプチド試料の分離のための至適条件を検討した。
キャピラリー電気泳動には、Hewlett Packard社製HP3DCEシステムを用いた。また、キャピラリーとして、ジフェニルジメチルポリシロキサンにより内壁がコーティングされたDB−17キャピラリー〔内径0.1mm、外径0.36mm、全長32.5cm、有効長24cm;J&W Scientific社製〕を用いた。ペプチドの検出は、200nmの吸収を指標として行なった。キャピラリー電気泳動の条件は、方法:CZE、電極の設定:陽極−陰極、キャピラリー温度:25℃、泳動:10kVである。また、電気泳動用緩衝液として、75mM リン酸緩衝液(pH2.5)を用いた。試料として、実施例1に記載のペプチド試料を用いた。結果を第7図〜第10図に示す。
その結果、0.1重量% メチルセルロースの添加(第7図のパネルC)、0.0001〜0.001重量% カードランの添加(第8図のパネルBおよびC)および0.0001重量% 海藻抽出物の添加(第8図のパネルD)により、移動時間の短縮および良好な分離能を得ることができることが示された。
実施例6
マイクロチップ電気泳動における泳動条件を検討した。
マイクロチップ電気泳動には、LED検出器を備えたマイクロチップ電気泳動装置〔SV1100、日立電子工業社製〕を、マイクロチップにおけるタンパク質分離の評価に用いた。マイクロチップとして、DNA解析用に開発されたi−chipキットのマイクロチップ〔日立化成工業社製〕を用いた。前記マイクロチップは、ポリ(メチルメタクリラート)(PMMA)から製造されたものであり、幅50μm、深さ30μm、長さ8mmのローディングチャネルと幅50μm、深さ30μm、長さ30mmの分離用チャネルとリザーバーとを有する〔第11図参照のこと〕。
マイクロチップ電気泳動の手順を以下に示す。
▲1▼VP法
前記チャネルを、緩衝液および試料で満たした。ついで、アウトレット〔第11図中、3に該当〕に泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、10〜500Vの電圧(ローディング電圧)10〜60秒を負荷して、試料をインジェクトした。分離用チャネルに圧力(1〜520mbar)を負荷した後、10〜500Vの電圧(スクイージング電圧)および300〜900Vの電圧(泳動電圧)(100〜300V/cmの電場)を負荷して電気泳動を行ない、試料を分離した。
▲2▼PP法
前記VP法において、電圧による試料の分離用チャネルへのインジェクションの代わりに、圧力(1〜1520mbar)を負荷することにより、試料のインジェクションを行なった。さらに、分離用チャネルに圧力(1〜1520mbar)を負荷した後、300〜900Vの電圧(泳動電圧)(100〜300V/cmの電場)を負荷して電気泳動を行ない、試料を分離した。
▲3▼従来のマイクロチップ電気泳動
前記チャネルおよびウェルを、緩衝液および試料で満たした。100〜500Vの電圧をローディングチャネルに20秒負荷した。ついで、マイクロチップの交差部に100〜500Vの電圧を負荷し、分離チャネルに300〜900Vの電圧(泳動電圧)(100〜300V/cmの電場)を負荷し、それにより試料を分離した。
(1)タンパク質の検出
タンパク質標品として、Lysozyme(MW:14,400)、Trypsin inhibitor(MW:21,500)、Carbonic anhidororase(MW:31,000)、Ovalbumin(MW:45,000)、Serum albumin(MW:66,200)、Phosphorylase B(MW:97,000)、β−Galactosidase(MW:116,000)、Myosin(MW:200,000)〔以上、バイオラッドラボラトリー社製〕を用いた。前記タンパク質標品を、それぞれ脱イオン水に溶解し、終濃度0.3μg〜7.5mg/mlのタンパク質溶液を得た。
タンパク質の電気泳動用緩衝液として、0.05M ホウ酸緩衝液(pH9.3)を用いた。
また、マイクロチップにおいて、1μlのSYPRO Orangeを10μlのタンパク質溶液と反応させた。タンパク質は、220nmにおける吸収により検出した。
その結果を第12図に示す。第12図において、パネルAは、従来のマイクロチップ電気泳動において、低ローディング電圧(100〜300V)10〜20秒および低スクイージング電圧(100〜400V)を負荷した場合の結果を示す。パネルBは、高ローディング電圧(500V)10〜20秒および高スクイージング電圧(500V)を負荷した場合の結果を示す。パネルCは、前記VP法に準じて、ローディング電圧およびスクイージング電圧として、共に、100Vを負荷し、泳動前に分離チャネルに50mbarで加圧した場合の結果を示す。パネルDは、前記VP法に準じて、8種類のタンパク質の混合物について解析した結果である。具体的には、パネルDは、150mbarの加圧でローディングチャネルに試料注入した後、分離チャネルに100mbarで加圧し、スクイージング電圧(100V)を負荷した場合の結果を示す。かかるパネルDにおいて、各ピークは以下の通りである。1:Lysozyme、2:Trypsin inhibitor、3:Carbonic anhydrase、4:Ovalbumin、5:Serum albumin、6:Phosphorylase、7:β−Galactosidase、8:Myosin。パネルEは、前記PP法に準じて、150mbarの加圧でローディングチャネルに試料注入した後、分離チャネルに150mbarで加圧し、スクイージング電圧(100V)を負荷した場合の結果を示す。なお、それぞれ、泳動電圧は、800V(267V/cmの電場)とした。
その結果、従来のマイクロチップ電気泳動においては、タンパク質のピークを分離することができなかったが、前記VP法およびPP法によれば、良好な分離能を得ることができた。
特に、パネルDに示すPP法によれば、分離能を自在に変えることができるため、ピーク数が多い場合にも良好に検出できた。
さらに、パネルEに示すPP法によれば、9〜205kDaのタンパク質を分離することができ、15秒以内に分離することができた。
また、キャピラリー電気泳動により、同じ試料を分離した場合〔第13図を参照のこと〕〕に比べ、前記VP法およびPP法によれば、操作に要する時間を短縮することができた。
なお、かかるキャピラリー電気泳動には、Hewlett Packard社製HP3DCEシステムを用い、キャピラリーとして、ジフェニルジメチルポリシロキサンにより内壁がコーティングされたDB−17キャピラリー〔内径0.1mm、外径0.36mm、全長32.5cm、有効長24cm;J&W Scientific社製〕を用い、ペプチドの検出は、200nmの吸収を指標として行なった。キャピラリー電気泳動の条件は、方法:CZE、電極の設定:陽極−陰極、キャピラリー温度:25℃、泳動:10kVである。
(2)マイクロチップ電気泳動の分離工程における2種のタンパク質間の相互作用への影響
Bovine insulin(MW:5733.5)とMyogrobin(MW:16950.9)と〔共にシグマ社製〕を用い、前記VP法に準じて、アウトレット〔第11図中3〕に泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、100〜500Vの電場(ローディング電圧)を負荷して、試料をインジェクトし、マイクロチップ電気泳動を行なった。その結果を第14図に示す。
かかる条件下では、パネルAおよびBにおけるBovine insulinおよびMyogrobinそれぞれの移動度と、パネルCに示す2種のタンパク質のそれぞれの移動度とが同一であることがわかる。これにより、前記条件下には、タンパク質間の相互作用によった移動度変化は認められないことが示される。
(3)VP法における電気泳動前の加圧による移動時間の短縮効果
前記VP法における工程において、電気泳動前の加圧時における圧力〔加圧なし、低い加圧、より強い加圧〕の影響を調べた。結果を第15図に示す。
パネルAは、従来のマイクロチップ電気泳動と同様に加圧を行なわなかった場合の結果を示す。また、パネルBは、低い加圧(50mbar)を負荷した場合の結果を示し、パネルCは、より強い加圧(150mbar)を負荷した場合の結果を示す。
その結果、加圧により、移動時間が短縮できることが示された。また、より強い加圧(150mbar)を負荷した場合、ベースラインの乱れが低減することが示された。
(4)2種のタンパク質の分離
前記VP法により、Bovine insulinとMyosinとを電気泳動した。結果を第16図に示す。
パネルAおよびパネルBは、従来のマイクロチップ電気泳動により、Bovine insulinおよびMyosinそれぞれを分離した結果を示す。また、パネルCは、前記VP法により、Bovine insulinとMyosinとを分離した結果を示す。
かかる結果および前記第14図において、VP法によりタンパク質間の相互作用による移動度変化がないことにより、前記VP法により、両方のタンパク質の移動時間が短縮できることが示された。
(5)多糖類の検出
以下、多糖標品として、α−D(+)−Galacturonic acid monohydorate、β−1,3−Glucan(カードラン)〔以上、和光純薬社製〕、D−Glucuronic acid〔ナカライテスク社製〕を用いた。また、前記製造例1により得られた海藻抽出物を多糖類の天然試料として用いた。前記多糖を、それぞれ脱イオン水に溶解し、1〜2M多糖溶液を得た。
多糖類の電気泳動用緩衝液として、0.1M トリス−ホウ酸緩衝液(pH8.5)を用いた。また、マイクロチップ中において、また、1μlのSYPRO Orangeを20μlの多糖溶液と反応させた。多糖は、260nmまたは280nmの吸収により検出した。
前記VP法およびPP法のそれぞれについて、前記多糖類の検出における条件を検討した。なお、対照として、従来のマイクロチップ電気泳動により多糖類の検出を行なった。結果を第17図に示す。
パネルAは、従来のマイクロチップ電気泳動において、500Vで20秒の電圧(ローディング電圧)を負荷した条件により行なった結果を示す。パネルBは、従来のマイクロチップ電気泳動において、300Vで10秒の電圧(ローディング電圧)を負荷して行なった結果を示す。これらのように、従来の方法によれば、ピークを検出できなかった。
パネルCは、VP法において、アウトレットに泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、500Vの電圧(ローディング電圧)20秒を負荷して、試料をインジェクトし、ついで、分離用チャネルに低い圧力(50mbar)を負荷した場合の結果を示す。
パネルDは、VP法において、アウトレットに泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、300Vの電圧(ローディング電圧)20秒を負荷して、試料をインジェクトし、ついで、分離用チャネルに低圧力(50mbar)を負荷した場合の結果を示す。
パネルEは、VP法において、アウトレットに泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、300Vの電圧(ローディング電圧)20秒を負荷して、試料をインジェクトし、ついで、分離用チャネルに中程度の圧力(100mbar)を負荷した場合の結果を示す。
パネルFは、VP法において、アウトレットに泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、300Vの電圧(ローディング電圧)20秒を負荷して、試料をインジェクトし、ついで、分離用チャネルに高圧力(150mbar)を負荷した場合の結果を示す。
パネルGは、PP法において、アウトレットに泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、圧力(150mbar)を負荷して、試料をインジェクトし、ついで、分離用チャネルに低圧力(50mbar)を負荷した場合の結果を示す。
パネルHは、PP法において、アウトレットに泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、圧力(150mbar)を負荷して、試料をインジェクトし、ついで、分離用チャネルに高圧力(50mbar)を負荷した場合の結果を示す。
それぞれの泳動電圧は、800V(267V/cmの電場)とした。その結果、パネルHにおける条件下において、より移動時間を短縮することができ、かつ良好な分離能を得ることができることが示された。
(6)DNAの検出
0.1μg〜500μg/μlのDNA〔大きさ10kbのラダー(フナコシ社製)〕溶液を試料とした。10mM〜0.15Mのトリス−ホウ酸緩衝液(pH7.0〜10.0)を含有した緩衝液に0.01〜1.0重量%のメチルセルロースを含有した溶液を泳動用緩衝液として用い、前記(5)におけるVP法、PP法に準じて、マイクロチップ電気泳動を行なった。
その結果、従来のマイクロチップ電気泳動では、移動時間が10キロ塩基に対し、最短で170秒であるのに対し、VP法およびPP法によれば、約50秒であり、より移動時間を短縮することができ、かつ良好な分離能を得ることができることが示された。
産業上の利用可能性
本発明の電気泳動法および高分子化合物の解析方法によれば、迅速に、高い分離能を得ることができるため、遺伝子の解析、プロテオーム解析またはグライコーム解析におけるタンパク質または糖鎖のHigh Through−putスクリーニング解析に有用であり、医療診療装置への応用、および生体機能、疾患発症機構などの解明への応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、キャピラリー電気泳動において、試料注入時における至適条件および泳動時における泳動電圧の至適条件を検討した結果を示す図である。図中、各パネルは、以下の通りである:パネルA、試料注入時5kVで5秒、泳動電圧3.75kV;パネルB、試料注入時5kVで5秒、泳動電圧6.5kV;パネルC、試料注入時5kVで5秒、泳動電圧15kV;パネルD、試料注入時8kVで8秒、泳動電圧10kV;パネルE、試料注入時8kVで8秒、泳動電圧15kV。また、各ピークは、以下の通りである:1、Bardykinin(MW:1,060);2、Angiotensin II(MW:1,046);3、α−Melanocyte stimulating hormone(MW:1,665);4、Thyrotropin releasing hormone(MW:362);5、Luteinizing hormone releasing hormone(MW:1,182);6、Leucine enkephalin(MW:392);7、Bombesin(MW:1,620);8、Methionine enkephalin(MW:574);9、Oxytocin(MW:1,007)。
第2図は、有効長24cmのキャピラリーと有効長8.5cmのキャピラリーとによる移動時間および分離能への影響を比較した結果を示す図である。
第3図は、試料注入後で、かつ泳動前の加圧による移動時間への影響を調べた結果を示す図である。各加圧条件は、以下の通りである:パネルA、試料注入後に加圧なし;パネルB、試料注入後に加圧、加圧は、緩衝液をアウトレットにセッティングした条件下に行なった;パネルC、試料注入後に加圧、加圧は、緩衝液をアウトレットにセッティングしない条件下に行なった。
第4図は、試料注入条件を検討した結果を示す図である。なお、試料は、アウトレットに緩衝液をセッティングせずに注入された。各試料注入条件について、パネルAは、試料注入後、加圧なし;パネルBは、試料注入後、10mbarで6秒加圧、試料注入口:水、アウトレット:緩衝液なし;パネルCは、試料注入後、10mbarで6秒加圧、試料注入口:水、アウトレット:水;パネルDは、試料注入後、10mbarで8秒加圧、試料注入口:水、アウトレット:緩衝液;パネルEは、試料注入後、10mbarで7秒加圧、試料注入口:緩衝液、アウトレット:緩衝液である。
第5図は、第4図のパネルDにおける条件において、加圧時間による移動時間および分離能への影響を検討した結果を示す図である。各加圧時間について、パネルAは、10mbarで2秒、パネルBは、10mbarで6秒、パネルCは、10mbarで8秒である。
第6図は、β−1,3−グルカン(カードラン)を分離用担体として添加した系(終濃度0.0001重量%)を用いて、移動時間、分離能への影響を調べた結果を示す図である。パネルAは、カードランを添加しない条件、パネルA’は、カードランを添加した条件を示す。
第7図は、メチルセルロースの添加によるペプチドの移動時間および分解能への影響を示す図である。パネルAは、無添加、パネルBは、0.5%メチルセルロース添加、パネルCは、0.1%メチルセルロース添加を示す。
第8図は、多糖類の添加によるペプチドの移動時間および分解能への影響を示す図である。パネルAは、無添加、パネルBは、0.001%カードラン添加、パネルCは、0.0001%カードラン添加、パネルDは、0.0001%海藻抽出物添加を示す。
第9図は、デキストランの添加によるペプチドの移動時間および分解能への影響を示す図である。パネルAは、無添加、パネルBは、0.5%デキストラン添加、パネルCは、1%デキストラン添加、パネルDは、5%デキストラン添加、パネルEは、10%デキストラン添加、パネルFは、5%デキストラン添加を示す。パネルA〜Eのデキストランは、平均分子量約100,000〜200,000であり、パネルFのデキストランは、平均分子量約60,000〜90,000である。
第10図は、SDSの添加によるペプチドの移動時間および分解能への影響を示す図である。パネルAは、無添加、パネルBは、0.01% SDS添加、パネルCは、0.05% SDS添加、パネルDは、0.1% SDS添加、パネルEは、1% SDS添加、パネルFは、5% SDS添加を示す。
第11図は、マイクロチップ電気泳動に用いたマイクロチップの1例を示す図である。1:試料リザーバー、2:ローディングチャネル、3:アウトレット、4:分離用チャネル、5:マイクロチップ基板。
第12図は、マイクロチップ電気泳動におけるローディング条件およびスクイージング条件を検討した結果を示す図である。パネルAは、従来のマイクロチップ電気泳動において、低ローディング電圧(100〜300V)10〜20秒および低スクイージング電圧(100〜400V)を負荷した場合の結果の結果を示す。パネルBは、高ローディング電圧(500V)10〜20秒および高スクイージング電圧(500V)を負荷した場合の結果を示す。パネルCは、前記VP法に準じて、ローディング電圧およびスクイージング電圧として、共に、100Vを負荷し、泳動前に分離チャネルに50mbarで加圧した場合の結果を示す。パネルDは、前記PP法に準じて、150mbarの加圧でローディングチャネルに試料注入した後、分離チャネルに100mbarで加圧し、スクイージング電圧(100V)を負荷した場合の結果を示す。パネルEは、前記PP法に準じて150mbarの加圧でローディングチャネルに試料注入した後、分離チャネルに150mbarで加圧し、スクイージング電圧(100V)を負荷した場合の結果を示す。なお、それぞれ、泳動電場は、267V/cmとした。
第13図は、通常のキャピラリーを用いたキャピラリー電気泳動による電気泳動パターンを示す図である。
第14図は、VP法に準じて、2種のタンパク質についてマイクロチップ電気泳動を行なった結果を示す図である。パネルAは、Bovine insulin(MW:5733.5)のみを電気泳動した結果、パネルBは、Myogrobin(MW:16950.9)のみを電気泳動した結果、パネルCは、Bovine insulin(MW:5733.5)とMyogrobin(MW:16950.9)との両方を電気泳動した結果を示す。
第15図は、VP法における工程において、マイクロチップ電気泳動前の加圧時における圧力の影響を調べた結果を示す図である。パネルAは、従来のマイクロチップ電気泳動と同様に加圧を行なわなかった場合の結果、パネルBは、低い加圧(50mbar)を負荷した場合の結果、パネルCは、高い加圧(150mbar)を負荷した場合の結果を示す。
第16図は、VP法により、Bovine insulinとMyosinとをマイクロチップ電気泳動した結果を示す図である。パネルAおよびパネルBは、従来のマイクロチップ電気泳動により、Bovine insulinおよびMyosinそれぞれを分離した結果、パネルCは、VP法により、Bovine insulinとMyosinとを分離した結果を示す。
第17図は、VP法およびPP法のそれぞれについて、多糖類[α−D(+)−Galacturonic acid monohydrorate、β−1,3−Glucan、D−Glucronic acid及び海藻抽出物]の検出における条件を検討した結果を示す図である。パネルAは、従来のマイクロチップ電気泳動において、500Vで20秒の電圧(ローディング電圧)を負荷した結果を示す。パネルBは、従来のマイクロチップ電気泳動において、300Vで10秒の電圧(ローディング電圧)を負荷して行なった結果を示す。パネルCは、VP法において、アウトレットに泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、500Vの電場(ローディング電圧)を負荷して、試料をインジェクトし、ついで、分離用チャネルに低い圧力(50mbar)を負荷した場合の結果を示す。パネルDは、VP法において、アウトレットに泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、300Vの電圧(ローディング電圧)を負荷して、試料をインジェクトし、ついで、分離用チャネルに低い圧力(50mbar)を負荷した場合の結果を示す。パネルEは、VP法において、アウトレットに泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、300Vの電圧(ローディング電圧)を負荷して、試料をインジェクトし、ついで、分離用チャネルに中程度の圧力(100mbar)を負荷した場合の結果を示す。パネルFは、VP法において、アウトレットに泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、300Vの電圧(ローディング電圧)を負荷して、試料をインジェクトし、ついで、分離用チャネルに高い圧力(150mbar)を負荷した場合の結果を示す。パネルGは、PP法において、アウトレットに泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、圧力(150mbar)を負荷して、試料をインジェクトし、ついで、分離用チャネルに低い圧力(50mbar)を負荷した場合の結果を示す。パネルHは、PP法において、アウトレットに泳動用緩衝液がない条件下に、ローディングチャネルに、圧力(150mbar)を負荷し、試料をインジェクトし、ついで、分離用チャネルに高い圧力(150mbar)を負荷した場合の結果を示す
【0004】
01〜0.1重量%の濃度で含有してなる、前記〔5〕記載の泳動用緩衝液、
〔8〕 下記(1)〜(4):
(1)pH1.0〜12.0であるリン酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、
(2)pH5.0〜11.0であるホウ酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、
(3)pH5.0〜11.0であり、1mM〜0.5Mの濃度でトリス−ホウ酸緩衝液を含有した緩衝液
(4)前記(3)において、0.001〜1.0重量%のメチルセルロースをさらに含有した緩衝液
からなる群より選ばれた1種の緩衝液であって、かつ海藻抽出物を0.000001〜0.1重量%の濃度で含有してなる、前記〔5〕記載の泳動用緩衝液、
〔9〕 キャピラリー電気泳動またはマイクロチップ電気泳動において、前記〔5〕〜〔8〕いずれか1項に記載の泳動用緩衝液の存在下に、高分子化合物を含有した試料を泳動することを特徴とする、電気泳動法、
〔10〕 高分子化合物が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類および核酸からなる群より選ばれた1種である、前記〔9〕記載の電気泳動法、
〔11〕 キャピラリー電気泳動において、高分子化合物を含有した試料をキャピラリーにインジェクトし、ついで、加圧し、ついで、該試料を、高分子化合物の分離が可能な泳動電場下に泳動することを特徴とする、電気泳動法、
〔12〕 高分子化合物が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類および核酸からなる群より選ばれた1種である、前記〔11〕記載の電気泳動法、
〔13〕 キャピラリー電気泳動において、
(a)試料注入口とアウトレットとを備え、かつ泳動用緩衝液が充填されたキャピラリーの試料注入口から、加圧または電気的注入により試料をインジェクトするステップ〔ステップ(a)という〕、および

Claims (30)

  1. β−グルカンおよびメチルセルロースからなる群より選ばれた1種の化合物を含有してなる、キャピラリー電気泳動またはマイクロチップ電気泳動に用いるための分離用担体。
  2. β−グルカンとして、β−1,3−グルカンを含むラミナラン、β−1,3−グルカンを含むカードラン、β−1,3−グルカンを含む植物抽出物、β−1,3−グルカンを含む海藻抽出物、β−1,3−グルカンを含む酵母抽出物、β−1,3−グルカンを含む真菌抽出物およびβ−1,3−グルカンを含む真菌培養液からなる群より選ばれた少なくとも1種を含有してなる、請求項1記載の分離用担体。
  3. β−グルカンとして、β−1,3−を含むグルカン海藻抽出物を含有してなる、請求項1記載の分離用担体。
  4. 海藻抽出物が、原藻を、水抽出、酸アルカリ抽出および溶媒抽出からなる群より選ばれた1種の抽出法により処理することにより得られた抽出物である、請求項3記載の分離用担体。
  5. 請求項1〜4いずれか1項に記載の分離用担体を含有してなる、キャピラリー電気泳動またはマイクロチップ電気泳動に用いるための泳動用緩衝液。
  6. 下記(1)〜(3):
    下記(1)〜(3):
    (1)pH1.0〜12.0であるリン酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、
    (2)pH5.0〜11.0であるホウ酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、および
    (3)pH5.0〜11.0であり、1mM〜0.5Mの濃度でトリス−ホウ酸緩衝液を含有した緩衝液
    からなる群より選ばれた1種の緩衝液であって、かつメチルセルロースを0.001〜0.5重量%の濃度で含有してなる、請求項5記載の泳動用緩衝液。
  7. 下記(1)〜(4):
    (1)pH1.0〜12.0であるリン酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、
    (2)pH5.0〜11.0であるホウ酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、
    (3)pH5.0〜11.0であり、1mM〜0.5Mの濃度でトリス−ホウ酸緩衝液を含有した緩衝液
    (4)前記(3)において、0.001〜1.0重量%のメチルセルロースをさらに含有した緩衝液
    からなる群より選ばれた1種の緩衝液であって、かつカードランを0.000001〜0.1重量%の濃度で含有してなる、請求項5記載の泳動用緩衝液。
  8. 下記(1)〜(4):
    (1)pH1.0〜12.0であるリン酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、
    (2)pH5.0〜11.0であるホウ酸緩衝液を1mM〜0.5Mの濃度で含有した緩衝液、
    (3)pH5.0〜11.0であり、1mM〜0.5Mの濃度でトリス−ホウ酸緩衝液を含有した緩衝液
    (4)前記(3)において、0.001〜1.0重量%のメチルセルロースをさらに含有した緩衝液
    からなる群より選ばれた1種の緩衝液であって、かつ海藻抽出物を0.000001〜0.1重量%の濃度で含有してなる、請求項5記載の泳動用緩衝液。
  9. キャピラリー電気泳動またはマイクロチップ電気泳動において、請求項5〜8いずれか1項に記載の泳動用緩衝液の存在下に、高分子化合物を含有した試料を泳動することを特徴とする、電気泳動法。
  10. 高分子化合物が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類および核酸からなる群より選ばれた1種である、請求項9記載の電気泳動法。
  11. キャピラリー電気泳動において、高分子化合物を含有した試料をキャピラリーにインジェクトし、ついで、加圧し、該試料を、高分子化合物の分離が可能な泳動電場下に泳動することを特徴とする、電気泳動法。
  12. 高分子化合物が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類および核酸からなる群より選ばれた1種である、請求項11記載の電気泳動法。
  13. キャピラリー電気泳動において、
    (a)試料注入口とアウトレットとを備え、かつ泳動用緩衝液が充填されたキャピラリーの試料注入口から、加圧または電気的注入により試料をインジェクトするステップ〔ステップ(a)という〕、および
    (b)加圧し、ついで、試料を泳動するステップ〔ステップ(b)という〕
    を含むプロセスを行なう、請求項11または12記載の電気泳動法。
  14. ステップ(a)において、キャピラリーのアウトレットに水または泳動用緩衝液をセッティングしない条件下に、該試料をキャピラリーにインジェクトし、ステップ(b)において水または緩衝液を加圧する、請求項13記載の電気泳動法。
  15. ステップ(a)において、1〜30kV、1〜30秒での電気的注入により、該試料をキャピラリーにインジェクトし、
    ステップ(b)において、20V/cm〜10kV/cmの泳動電場下に泳動する、請求項13または14記載の電気泳動法。
  16. ステップ(a)において、1〜30kV、1〜60秒での電気的注入により、該試料をキャピラリーにインジェクトし、ステップ(b)において、2〜50mbar、2〜30秒で加圧する、請求項13または14記載の電気泳動法。
  17. 請求項5〜8いずれか1項に記載の泳動用緩衝液の存在下に、試料を泳動する、請求項11〜16いずれか1項に記載の電気泳動法。
  18. マイクロチップ電気泳動において、
    (A)ローディングチャネルと、該ローディングチャネルに交差する分離用チャネルとを備え、かつ該ローディングチャネルの一端に試料リザーバーが配置され、該ローディングチャネルの他端にアウトレットが配置されたマイクロチップであって、該ローディングチャネルおよび分離用チャネルに泳動用緩衝液が充填されたマイクロチップを用い、
    該ローディングチャネルに電圧又は圧力を負荷して、高分子化合物を含有した試料を該試料リザーバーから供給して、分離用チャネルに導入するステップ〔ステップ(A)という〕、ならびに
    (B)分離用チャネルを加圧し、ついで、該試料を泳動するステップ〔ステップ(B)という〕
    を含むプロセスを行なうことを特徴とする、電気泳動法。
  19. 高分子化合物が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖類および核酸からなる群より選ばれた1種である、請求項18記載の電気泳動法。
  20. ステップ(B)における加圧の際の圧力の大きさを調節することにより、分離能を調整する、請求項18または19記載の電気泳動法。
  21. ステップ(A)において、アウトレットに泳動用緩衝液をセッティングしない条件下に、ローディングチャネルを電圧を負荷することにより、試料を該分離用チャネルに導入し、
    ステップ(B)において、ローディングチャネルに電圧を負荷し、かつ分離用チャネルを電圧を負荷することにより、試料を泳動する、請求項18〜20いずれか1項に記載の電気泳動法。
  22. ステップ(A)において、ローディングチャネルに10〜500Vの電圧(ローディング電圧)2〜60秒)を負荷し、
    ステップ(B)において、ローディングチャネルに10〜500Vの電圧(スクイージング電圧)を負荷し、かつ分離用チャネルに20V/cm〜50kV/cmの電場を負荷する、請求項21記載の電気泳動法。
  23. ステップ(A)において、アウトレットに泳動用緩衝液をセッティングしない条件下に、試料リザーバーを加圧することにより、試料を該分離用チャネルに導入し、
    ステップ(B)において、分離用チャネルを加圧し、ついで、試料を泳動する、請求項18〜20いずれか1項に記載の電気泳動法。
  24. ステップ(A)において、試料リザーバーに1〜1520mbarの圧力を加圧し、
    ステップ(B)において、分離用チャネルに1〜1520mbarの加圧後、20V/cm〜50kV/cmの電場を負荷する、請求項23記載の電気泳動法。
  25. 分子量9〜205kDaのタンパク質を15秒以内に分離する、請求項18〜24いずれか1項に記載の電気泳動法。
  26. 2〜100個の単糖を構成糖として有する糖を15秒以内に分離する、請求項18〜24いずれか1項に記載の電気泳動法。
  27. 10塩基〜10キロ塩基の核酸を50秒以内に分離しうる、請求項18〜24いずれか1項に記載の電気泳動法。
  28. 請求項9〜27いずれか1項に記載の電気泳動法により、高分子化合物を含有した試料を泳動して、該高分子化合物を分離し、分離された高分子化合物を検出して移動度を測定することを特徴とする、高分子化合物の解析方法。
  29. 高分子化合物が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、多糖および核酸からなる群より選ばれた1種である、請求項28記載の高分子化合物の解析方法。
  30. UV波長光の吸収、蛍光検出、電気化学的検出および化学発光検出からなる群より選ばれた少なくとも1種により、分離された高分子化合物を検出する、請求項28または29記載の高分子化合物の解析方法。
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