JPWO2002073148A1 - 静電容量式センサ - Google Patents
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Abstract
基板(20)上に変位電極(40)と対向するように、容量素子用電極(E1)および基準電極(E31)を形成し、基準電極(E31)に接触するとともに、基準電極(E31)の内側に形成されたスイッチ用固定電極(E11)と離隔しつつこれを覆うようにドーム形状を有するスイッチ用可動電極(E21)を配置する。検知部材(30)に操作が施され、スイッチ用可動電極(E21)の頂部近傍が変位して、スイッチ用固定電極(E11)と接触すると、スイッチがON状態になる。また、変位電極(40)と容量素子用電極(E1)との間に構成される容量素子(C1)の静電容量値の変化から検知部材(30)への力の大きさを認識できる。
Description
技術分野
本発明は、静電容量式センサに関し、特に、多次元方向の操作入力を行うために用いて好適であると共にスイッチ機能を有する装置としても利用できる静電容量式センサに関する。
背景技術
静電容量式センサは、操作者が加えた力の大きさおよび方向を電気信号に変換する装置として一般的に利用されている。例えば、ゲーム機器の入力装置として、多次元方向の操作入力を行うための静電容量式力覚センサ(いわゆるジョイスティック)として組み込んだ装置が利用されている。
静電容量式センサでは、操作者から伝えられた力の大きさとして、所定のダイナミックレンジをもった操作量を入力することができる。また、加えられた力を各方向成分ごとに分けて検出することが可能な二次元または三次元力覚センサとしても利用されている。特に、2枚の電極によって静電容量素子を形成し、電極間隔の変化に起因する静電容量値の変化に基づいて力の検出を行う静電容量式力覚センサは、構造を単純化してコストダウンを図ることができるメリットがあるために、さまざまな分野で実用化されている。
例えば、日本国特開平7(1995)−200164号公報には、第30図に示すような静電容量式センサが開示されている。静電容量式センサ510は、基板520と、基板520上に設けられた弾性ゴム板530と、弾性ゴム板530の下面に設けられた電極部540と、基板520の上面に設けられた電極部500〜504(第31図参照)と、弾性ゴム板530を基板520に対して支持固定する押え板560と、基板520の下面に設けられた電子装置580とから構成されている。また、電極部500〜504は、第31図に示すように、Y軸に対して線対称に配置された電極部501、502と、X軸に対して線対称に配置された電極部503、504と、これらの外側に配置された円環状の電極部500とにより構成されている。また、電極部540の外周部分は、接地されている電極部500と接触しており、電極部500を介して接地されている。
操作者が弾性ゴム板530を押下すると、その押下力に伴って電極部540が下方に変位して、これと4つの電極部501〜504との間の距離が変化する。すると、4つの電極部501〜504のそれぞれと電極部540との間で構成された容量素子の静電容量値が変化する。従って、この静電容量値の変化を検出することによって、操作者が加えた力の大きさおよび方向を知ることが可能となっている。
しかしながら、第30図および第31図に示した静電容量式センサ510は、操作者が弾性ゴム板530を押下したときの力の大きさを認識することができる装置(力覚センサ)として利用するためには適しているが、異なる2つの状態(例えば、ON状態またはOFF状態)を切り替えるスイッチ機能を有する装置として利用するためには適していない。したがって、静電容量式センサ510を各方向へのスイッチ機能を有する装置として機器に組み込む場合には、静電容量式センサ510をそのまま利用することは難しく、各方向に対応するスイッチ機能を別に設ける必要がある。
そこで、本発明の目的は、各方向の力の大きさを認識する装置およびスイッチ機能を有する装置のいずれにも利用することができる静電容量式センサを提供することである。
発明の開示
本発明の静電容量式センサは、XYZ三次元座標系を定義したときに、XY平面を規定する基板と、前記基板と対向している検知部材と、前記基板と前記検知部材との間に位置し、前記検知部材がZ軸方向に変位するのにともなってZ軸方向に変位する導電性部材と、前記基板上に形成され、前記導電性部材と電気的に接続されるとともに、接地または一定の電位に保持された基準電極と、前記基板上に形成された第1の電極と、前記基板上に形成され、前記導電性部材との間で第1の容量素子を構成する第2の電極と、前記基準電極に接触し且つ前記第1の電極から離隔するように配置されていると共に、前記導電性部材が変位するのに伴って、前記第1の電極と接触可能な第3の電極とを備えており、前記第2の電極に対して入力される信号を利用して前記導電性部材と前記第2の電極との間隔の変化に起因する前記第2の容量素子の静電容量値の変化を検出することに基づく前記検知部材の変位および前記第1の電極と前記第3の電極との接触の有無の少なくとも1つを認識可能であることを特徴としている。
このような構成にすることにより、導電性部材と第2の電極との間隔の変化に起因する第1の容量素子の静電容量値の変化を検出することによって、検知部材の変位を認識することができるため、検知部材に外部から加えられた力の大きさを認識可能である。また、第1の電極と第3の電極との接触の有無を認識することができるため、これをスイッチ機能として利用することができる。したがって、本発明の静電容量式センサは、検知部材の変位(検知部材に外部から加えられた力の大きさ)を信号(アナログ信号)として出力する機能を有する装置または/およびスイッチ機能を有する装置として利用することが可能である。これにより、この静電容量式センサは上記のいずれの装置としても利用できる複合デバイスとしての機能を有し、上記両用途に合わせて製造し直す必要がなくなる。
また、本発明の静電容量式センサでは、前記第3の電極は、前記基準電極に接触していてよい。これによると、第3の電極に対する配線を別途設ける必要がない。
また、本発明の静電容量式センサでは、前記導電性部材が変位するのに伴ってクリック感を付随しつつ弾性変形する前記第3の電極を備えていてよい。
ここで、第3の電極がクリック感を付随しつつ弾性変形して第1の電極と接触可能とするために、第3の電極は、ある一定以上の外力を加えると第1の電極の方向への変位速度が(好ましくは急激に)大きくなる部材、つまり、加えられる外力が所定値を超えると、外力が所定値よりも小さいとき(このときの変位速度はゼロでもよい)よりも第1の電極の方向への変位速度が大きくなる部材で構成されている。
このような構成によると、本発明の静電容量式センサをスイッチ機能を有する装置として利用した場合に、検知部材に対して操作を施したとき、操作方向に対応する第3の電極がクリック感を付随しつつ弾性変形して第1の電極と接触するため、操作者はクリック感を感じつつ操作を行うことができ、操作を実行したことを感覚的に容易に把握することができる。特に、第3の電極がドーム形状を有しており、その内側に第1の電極が配置されている場合には、導電性部材から作用する力が所定値に達したときにドーム形状をした第3の電極の頂部近傍が急激に変位して凹んだ状態となって第1の電極に接触するため、操作者に明瞭なクリック感を与えることが可能となる。
また、本発明の静電容量式センサでは、前記基準電極と前記導電性部材との間に、第2の容量素子が構成されていてよい。このような構成によると、導電性部材が直接接触することによってではなく、容量結合によって接地または一定の電位に保持された基準電極と電気的に結合される。そのため、センサの耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによってセンサが破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサを得ることができる。また、基準電極と導電性部材との間に絶縁膜を配置した場合においても、絶縁膜の一部をカットして基準電極と導電性部材とを接触させる必要がないため、組立および実装面でも有利となる。
また、本発明の静電容量式センサでは、前記基準電極、前記第1の電極、前記第2の電極および前記第3の電極の組が複数形成されていることが好ましい。これによると、各組を別方向の力を認識するために用いることによって多次元的な力の認識が可能になる。また、異なる方向に対応するスイッチ機能を有する装置として利用することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記基準電極、前記第1の電極、前記第2の電極および前記第3の電極の組を2つ有しており、これら二組の一方を含む回路および他方を含む回路に、互いに位相が異なる信号が供給されるものであってよい。これによると、二組の一方を含む回路および他方を含む回路の時定数が同じものであるかどうかにかかわらず、検知部材の変位を認識することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記基準電極、前記第1の電極、前記第2の電極および前記第3の電極の組を2つ有しており、これら二組の一方を含むCR回路と他方を含むCR回路との時定数が異なるものであってよい。これによると、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくできるため、検知部材の変位認識の精度を向上させることができる。また、検知部材の変位検出可能範囲を大きくすることができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記基準電極、前記第1の電極、前記第2の電極および前記第3の電極の組を2つ有しており、これら二組の一方を含む回路および他方を含む回路にそれぞれ入力された信号の出力信号が排他的論理和演算、論理和演算、論理積演算、論理積演算および否定演算のいずれかを行う論理素子を利用した信号処理回路により検出されることが好ましい。これによると、出力信号を精度よく検出することができ、さらに必要に応じて検出精度を調整することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記検知部材が、前記基準電極、前記第1の電極および前記第3の電極と、前記第2の電極とのそれぞれに対応して分割されていることが好ましい。このような構成によると、操作方向に対応する外部から力とスイッチに対応する外部からの力とが明確に分離されるため、互いに干渉するのを軽減することができ、誤操作を減少させることができる。
さらに、本発明の静電容量式センサは、前記第2の電極が、Y軸に対して線対称に配置された一対の第4の電極と、X軸に対して線対称に配置された一対の第5の電極とを含んでいるものであってよい。これによると、検知部材が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記検知部材が、前記第4の電極および前記第5の電極のそれぞれに対応して分割されていることが好ましい。このような構成によると、外部からの力のX軸方向またはY軸方向の各成分が明確に分離されるため、異なる方向の成分が互いに干渉するのを軽減することができ、誤操作を減少させることができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記基板上に形成された第6の電極と、前記基準電極に接触し且つ前記第6の電極から離隔するように配置されていると共に、前記導電性部材が変位するのに伴って弾性変形して前記第6の電極と接触可能な第7の電極とをさらに備えているものであってよい。このような構成によると、上述した効果が得られるほか、さらに、検知部材の操作によって互いに接触可能な第6の電極および第7の電極を備えていることで、入力の決定操作を行う際などに使用可能なスイッチを付加することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記検知部材が、前記第2の電極および前記第6の電極に対応して分割されていることが好ましい。このような構成によると、操作方向に対応する外部からの力と決定操作に対応する外部からの力とが明確に分離されるため、これらの力が互いに干渉するのを軽減することができ、誤操作を減少させることができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記検知部材が、絶縁性を有する部材で覆われていることが好ましい。このような構成によると、検知部材が金属により形成されている場合に、検知部材の表面が空気にさらされて酸化するのを防止することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記基板上に配置された光源と、透光領域および非透光領域を有する膜状部材とをさらに備えているとともに、前記検知部材は、透光性を有しているものであってよい。このような構成によると、光源から出射された光は、膜状部材に形成された所定形状の透光部に対応する部分を通過して検知部材に達するため、検知部材を外部から見たとき、透光部の所定形状の部分のみを照らし出すようにすることができる。したがって、検知部材の位置および操作方向を容易に把握することができるようになり、特に静電容量式センサを備えた機器を暗い場所で使用する場合でも検知部材に対する操作を適切に施すことができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記導電性部材が、透光性を有していることが好ましい。このような構成によると、光源から出射された光が検知部材に導かれ易くなるため、検知部材を外部から見たとき、膜状部材に形成された透光領域の所定形状の部分を十分な明るさで照らし出すようにすることができる。
また、本発明の静電容量式センサは、有色で透光性を有しており、前記光源と前記検知部材との間に配置された着色部材をさらに備えていてよい。これによると、検知部材を外部から見たときに、透光部の所定形状の部分のみが照らし出される光の色を変更することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記検知部材が、透光性および絶縁性を有する部材で覆われていることが好ましい。このような構成によると、検知部材が金属により形成されている場合に、検知部材の表面が空気にさらされて酸化するのを防止することができる。さらに、光源から出射された光は、絶縁性を有する部材を通過して外部に導かれるため、検知部材を外部から見たとき、透光領域の所定形状の部分のみを照らし出すようにすることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
第1図は、本発明の第1の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。第2図は、第1図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。第3図は、第1図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
静電容量式センサ10は、基板20と、人などによって操作されることによって外部から力が加えられる操作用の検知部材30と、変位電極40と、基板20上に形成された容量素子用電極E1〜E4と、ドーム形状を有するスイッチ用可動電極E21〜E24(第1図ではE21およびE22のみを示す)と、その内側に配置されたスイッチ用固定電極E11〜E14(第1図ではE11およびE12のみを示す)と、ドーム形状を有するボタン用可動電極E25と、その内側に配置されたボタン用固定電極E15と、基準電極(共通電極)E31〜35と、複数の電極に密着して基板20上を覆うように形成された絶縁膜50と、検知部材30および変位電極40を基板20に対して支持固定する支持部材60と、支持部材60および検知用部材30の周囲を覆うように配置されたカバーケース70とを有している。
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、XYZ三次元座標系を定義し、この座標系を参照しながら各部品に配置説明を行うことにする。すなわち、第1図では、基板20上のボタン用固定電極E15の中心位置に原点Oが定義され、右水平方向にX軸が、上垂直方向にZ軸が、紙面に垂直奥行方向にY軸がそれぞれ定義されている。ここで、基板20の表面は、XY平面を規定し、基板20上のボタン用固定電極E15、検知部材30および変位電極40のそれぞれの中心位置をZ軸が通ることになる。
基板20は、一般的な電子回路用のプリント回路基板であり、この例ではガラスエポキシ基板が用いられている。また、基板20として、ポリイミドフィルムなどのフィルム状の基板を用いてもよいが、フィルム状の基板の場合は可撓性を有しているため、十分な剛性をもった支持基板上に配置して用いるのが好ましい。
検知部材30は、原点を中心とする円形の中央ボタン31と、中央ボタン31の外側に配置されたリング状のサイドボタン32とから構成されている。ここで、中央ボタン31の径は、基準電極E35の外径とほぼ同じである。また、サイドボタン32は、受力部となる小径の上段部32aと上段部32aの下端部に伸延する大径の下段部32bから構成されており、上段部32aの径は、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同じであり、下段部32bの径は、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きくなっている。なお、中央ボタン31およびサイドボタン32は別部材である方が好ましいが、同一部材であってもよい。
中央ボタン31は、ボタン用可動電極E25、ボタン用固定電極E15および基準電極E35に対応するように支持部材60の上面に接着されている。また、サイドボタン32は、その下段部32bがカバーケース70の一部である止め部70aにより押止され、支持部材60の上面に抜け止め構造により配置されている。なお、サイドボタン32は支持部材60の上面に接着されていてもよい。
また、サイドボタン32の上段部32aの上面には、第2図に示すように、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応するように、すなわち、容量素子用電極E1〜E4に対応するように、操作方向(カーソルの移動方向)に対応した矢印が形成されている。
支持部材60は、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい径を有する円盤状の部材であり、弾性を有するシリコンゴムにより形成されている。また、支持部材60の下面には、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい径を有する円形で下方に開いた凹部60aが形成されており、支持部材60の下面の凹部60a以外の部分が基盤20に接触するように配置されている。
変位電極40は、導電性を有するシリコンゴムで形成され、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同一の径を有する円盤状であり、支持部材60の下面の凹部60a内に付着されている。また、変位電極40の下面のボタン用固定電極E15に対向する位置には突起体41が形成されており、スイッチ用固定電極E11〜E14にそれぞれ対向する位置には、4つの突起体42が形成されている。
なお、変位電極40としては、シリコンゴムの他、例えば、導電性インク、導電性熱可塑性樹脂(PPT、エラストマー)、導電性プラスチック、金属蒸着フィルムを用いてもよい。また、変位電極40の突起体41、42は無くてもよい。
また、基板20上には、第3図に示すように、原点Oを中心とする円形のボタン用固定電極E15と、ボタン用固定電極E15の外側に配置されたリング状の基準電極E35と、その外側に扇形であり、それぞれのほぼ中央部に円形の孔H1〜H4を有する容量素子用電極E1〜E4と、孔H1〜H4の内側で、孔H1〜H4の径よりも小さい外径を有するリング状の基準電極E31〜E34と、基準電極E31〜E34の内側に配置されたスイッチ用固定電極E11〜E14とが形成されている。
一対の容量素子用電極E1およびE2は、X軸方向に離隔してY軸に対して線対称に配置されている。また、一対の容量素子用電極E3およびE4は、Y軸方向に離隔してX軸に対して線対称に配置されている。ここでは、容量素子用電極E1はX軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E2はX軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のX軸方向成分の検出に利用される。また、容量素子用電極E3はY軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E4はY軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のY軸方向成分の検出に利用される。
容量素子用電極E1〜E4、スイッチ用固定電極E11〜E14、ボタン用固定電極E15および基準電極E31〜35は、スルーホールなどを利用して端子T1〜T4、T11〜T14、T15およびT31〜T35(第4図参照)にそれぞれ接続されており、これらの端子を通じて外部の電子回路に接続されるようになっている。なお、ここでは、基準電極E31〜35は、端子T31〜T35を介して接地されている。
また、基準電極E31〜34にそれぞれ接触するとともに、スイッチ用固定電極E11〜E14と離隔しつつこれを覆うようにドーム状のスイッチ用可動電極E21〜E24が配置されている。したがって、スイッチ用可動電極E21〜E24は孔H1〜H4よりも大きい径を有している。同様に、基準電極E35に接触するとともに、ボタン用固定電極E15と離隔しつつこれを覆うようにドーム状のボタン用可動電極E25が配置されている。したがって、ボタン用可動電極E25は基準電極E35の内径よりも大きい径を有している。
また、絶縁膜50は、基板20上の容量素子用電極E1〜E4、基準電極E31〜35の一部およびスイッチ用可動電極E21〜E25に密着して、基板20上を覆うように形成されている。このため、銅などで形成された容量素子用電極E1〜E4、基準電極E31〜35およびスイッチ用可動電極E21〜E25の絶縁膜50で覆われている部分は空気にさらされることがなく、それらが酸化されるのを防止する機能を有している。なお、容量素子用電極E1〜E4、基準電極E31〜35およびスイッチ用可動電極E21〜E25に対して、その表面への金メッキの形成などの酸化防止対策を施しておいてもよい。また、絶縁膜50が形成されているため、容量素子用電極E1〜E4、基準電極E31〜35およびスイッチ用可動電極E21〜E24と、変位電極40とが直接接触することはない。
次に、上述のように構成された本実施の形態に係る静電容量式センサ10の構成について、図面を参照して説明する。第4図は、第1図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
静電容量式センサ10の構成と等価な回路構成について、第4図を参照して説明する。基板20上に形成された容量素子用電極E1〜E4および基準電極E31〜E35は、変位電極40と対向しており、共通の電極である変位可能な変位電極40と、固定された個別の容量素子用電極E1〜E4および基準電極E31〜E35との間で容量素子C1〜C4および容量素子C31〜35を形成している。容量素子C1〜C4および容量素子C31〜35は、それぞれ変位電極40の変位に起因して静電容量値が変化するように構成された可変容量素子であるということができる。
容量素子C1〜C4のそれぞれの静電容量値は、変位電極40と、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれに接続された端子T1〜T4との間の静電容量値として、それぞれ独立して測定することができる。ここで、基準電極E31〜E35は、それぞれ端子T31〜T35を介して接地されており、容量素子C1〜C4における共通の電極である変位電極40は、容量素子C31〜C35および端子T31〜T35を介して接地されていると考えられる。すなわち、容量素子C31〜C35は、変位電極40と端子T31〜T35とを容量結合している。
また、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応する基準電極E31〜E34に接続されたスイッチ用可動電極E21〜E24は、スイッチ用固定電極E11〜E14と接触する位置または接触しない位置を選択的にとり得ることにより、基準電極E31〜E34と端子T11〜T14とを接続させるまたは接続させないスイッチS1〜S4としての機能を有している。さらに、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向の4方向に対応するスイッチS1〜S4とは別に、基準電極E35に接続されたスイッチ用可動電極E25は、スイッチ用固定電極E15と接触する位置または接触しない位置を選択的にとり得ることにより、基準電極E35と端子T15とを接続させるまたは接続させないスイッチS5としての機能を有している。ここで、スイッチS1〜S5の状態に対応するスイッチ信号は、端子T11〜T14からそれぞれ出力される。
次に、静電容量式センサ10が検知部材30への力の大きさを検出する装置(力覚センサ)として利用される場合の動作について説明する。
まず、容量素子C1〜C4のそれぞれの静電容量値の変化から検知部材30への外部からの力の大きさおよび方向を示す出力信号の導出方法について、図面を参照して説明する。第5図は、第1図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。なお、第5図では出力信号を導出する方法の説明に必要な部分のみを示している。また、出力信号Vx、Vyは、それぞれ外部からの力のX軸方向成分およびY軸方向成分の大きさおよび方向を示す。
ここで、出力信号Vx、Vyを導出するために、端子T1〜T4に対して、常にクロック信号などの周期信号が入力される。端子T1に入力された周期信号に対して、2つの容量素子C1とC31は直列に接続された関係となっている。同様に、2つの容量素子C2とC32は端子T2に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C3とC33は端子T3に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C4とC34は端子T4に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっている。
端子T1〜T4に周期信号が入力されている状態で検知部材30が外部からの力を受けて変位すると、これにともなって変位電極40がZ軸方向に変位し、容量素子C1〜C4の電極間隔が変化して、容量素子C1〜C4のそれぞれの静電容量値が変化する。すると、端子T1〜T4に入力された周期信号の位相にずれが生じる。このように、周期信号に生じる位相のずれを利用して、検知部材30の変位、つまり検知部材30が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の大きさと方向を示す出力信号Vx、Vyを得ることができる。
さらに詳細に説明すると、端子T1〜T4に対して周期信号を入力するとき、端子T1、T3に対しては周期信号Aが入力され、一方、端子T2、T4に対しては周期信号Aと同一の周期で、かつ、周期信号Aの位相とは異なる周期信号Bが入力される。そのとき、検知部材30が外部から力を受けて、容量素子C1〜C4の静電容量値がそれぞれ変化すると、端子T1〜T4にそれぞれ入力された周期信号Aまたは周期信号Bの位相にそれぞれ異なった量のずれが生じる。
すなわち、外部からの力にX軸正方向成分が含まれる場合は、容量素子C1の静電容量値が変化し、端子T1に入力された周期信号Aの位相にずれが生じる。また、外部からの力にX軸負方向成分が含まれる場合は、容量素子C2の静電容量値が変化し、端子T2に入力された周期信号Bの位相にもずれが生じる。ここで、容量素子C1、C2の静電容量値の変化量は、それぞれ外部からの力のX軸正方向成分、X軸負方向成分の大きさに対応している。このように、端子T1および端子T2にそれぞれ入力された周期信号Aおよび周期信号Bの位相のずれを排他和回路で読み取ることによって、出力信号Vxが導出される。この出力信号Vxの符号が、外部からの力のX軸方向成分が正方向または負方向の向きかを示し、その絶対値がX軸方向成分の大きさを示す。
また、外部からの力にY軸正方向成分が含まれる場合は、容量素子C3の静電容量値が変化し、端子T3に入力された周期信号Aの位相にずれが生じる。また、外部からの力にY軸負方向成分が含まれる場合は、容量素子C4の静電容量値が変化し、端子T4に入力された周期信号Bの位相にもずれが生じる。ここで、容量素子C3、C4の静電容量値の変化量は、それぞれ外部からの力のY軸正方向成分、Y軸負方向成分の大きさに対応している。このように、端子T3および端子T4にそれぞれ入力された周期信号Aおよび周期信号Bの位相のずれを排他和回路で読み取ることによって、出力信号Vyが導出される。この出力信号Vyの符号が、外部からの力のY軸方向成分が正方向または負方向の向きかを示し、その絶対値がY軸方向成分の大きさを示す。
なお、外部からの力にX軸方向成分またはY軸方向成分が含まれる場合において、X軸正方向およびX軸負方向の両方の成分またはY軸正方向およびY軸負方向の両方の成分を含む場合がある。ここで、例えばX軸方向について考えると、X軸正方向成分およびX軸負方向成分のそれぞれの大きさが同じ場合の出力信号Vxの値は、外部からの力にX軸方向成分が含まれない場合の出力信号Vxの値とほとんど同じである(詳細は、後述する)。一方、X軸正方向成分とX軸負方向成分とが異なる場合には、端子T1、T2に入力されたそれぞれの周期信号Aおよび周期信号Bの位相のずれる量がそれぞれ異なり、上述した場合と同様に、その位相のずれを排他和回路で読み取ることによって、出力信号Vxが導出される。また、このことは、Y軸方向についての出力信号Vyの導出に対しても同様のことがいえる。
次に、端子T1〜T4に入力された周期信号A、Bによる出力信号Vx、Vyを導出するための信号処理回路について、図面を参照しながら説明する。第6図は、第1図に示す静電容量式センサの信号処理回路を示す回路図である。なお、第6図では信号処理回路の説明に必要な部分のみを示している。
第6図に示す信号処理回路において、端子T1〜T4には、図示されていない交流信号発振器から所定周波数の周期信号が入力される。これらの端子T1〜T4には、抵抗素子R1〜R4がそれぞれ接続されている。また、抵抗素子R1、R2の出力端および抵抗素子R3、R4の出力端には、それぞれ排他和回路の論理素子であるEX−OR素子81、82が接続されており、その出力端は端子T51、T52に接続されている。また、抵抗素子R1〜R4の出力端は、それぞれ容量素子用電極E1〜E4と変位電極40との間で構成する容量素子C1〜C4に接続されている。また、容量素子C1、C2のそれぞれの一方の電極である変位電極40は、変位電極40と基準電極E31との間で構成される容量素子C31を介して接地されている。同様に、容量素子C3、C4のそれぞれの一方の電極である変位電極40は、変位電極40と基準電極E33との間で構成される容量素子C33を介して接地されている。なお、変位電極40と基準電極E31〜E35との間で構成される容量素子C31〜C35は、いずれも同様に変位電極40を接地させる機能を有している。
ここから、例として、X軸方向成分の出力信号Vxの導出方法について、第7図を参照して説明する。なお、Y軸方向成分の出力信号Vyの導出方法についても同様であるので説明を省略する。第7図は、第1図に示す静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図(第6図の一部分)である。この信号処理回路において、容量素子C1と抵抗素子R1および容量素子C2と抵抗素子R2はそれぞれCR遅延回路を形成している。端子T1、T2に入力された周期信号(矩形波信号)は、それぞれCR遅延回路によって所定の遅延が生じ、EX−OR素子81において合流する。
なお、端子T1、T2に対して十分な駆動能力を持った信号を供給することが出来ない場合には、端子T1と抵抗素子R1との間および端子T2と抵抗素子R2との間にインバータ素子を挿入するのが好ましい。ここで、インバータ素子は、CR遅延回路を駆動するために十分な駆動電力を発生させる素子であり、論理的には意味のない素子である。また、インバータ素子として、同一の素子を用いることにより、異なる経路の信号を同じ条件で比較することが可能である。
次に、第7図の回路の動作について、第8図を参照して説明する。第8図は、第7図に示す信号処理回路の各端子および各節点における周期信号の波形を示す図である。
第7図の信号処理回路において、端子T1、T2のそれぞれに入力された周期信号は、CR遅延回路を通過することにより、それぞれ所定の遅延を生じて、それぞれEX−OR素子81に入力される。詳細に説明すると、端子T1には周期信号f(φ)(上述の周期信号Aに対応しており、以下周期信号Aと称する)が入力され、また、端子T2にはf(φ)と同一の周期で、かつ、位相がθだけずれている周期信号f(φ+θ)(上述の周期信号Bに対応しており、以下周期信号Bと称する)が入力される。ここでは、周期信号Aのデューティ比D0は50%であり、周期信号Bは周期信号Aの位相が周期信号Aの周期の1/4だけ進んでいる場合について説明する。
ここで、端子T1、T2にそれぞれ入力される異なる位相の周期信号Aおよび周期信号Bは、1つの交流信号発振器から出力された周期信号を2つの経路に分け、その一方の経路に図示しないCR遅延回路を設け、CR遅延回路を通過する周期信号の位相を遅延させることによって発生させられる。なお、周期信号の位相をずらせる方法は、CR遅延回路を用いる方法に限らず、他のどのような方法であってもよいし、また、2つの交流信号発振器を用いて、それぞれ異なる位相の周期信号Aおよび周期信号Bを発生させ、端子T1、T2のそれぞれに入力してもよい。
第8図の(a)、(b)は、端子T1、T2に入力される周期信号Aおよび周期信号Bの波形を示している。ここで、検知部材30に外部から力が作用していない(操作が施されない)状態では、端子T1、T2に入力される周期信号Aおよび周期信号Bはほとんど遅延することなくEX−OR素子81に入力される。したがって、EX−OR素子81には、端子T1、T2における周期信号と同一の波形の信号が入力され、これらの信号の間で排他的論理演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子T51に対して出力される出力信号Vxは、第8図の(c)に示すように、デューティ比D1を有する矩形波信号である。
次に、検知部材30にX軸正方向への操作のみが施された場合には、端子T1に入力される周期信号Aは、容量素子C1および抵抗素子R1で構成する遅延回路を通過することにより遅延して節点X1に到達する。ここで、第8図(d)は、端子T1に周期信号Aを入力した場合の第7図に示す信号処理回路の節点X1における電位の変化を示している。
端子T1に「Hi」または「Lo」の信号を繰り返す周期信号が入力された場合には、第8図(d)に示すように、「Hi」の信号の入力が開始するとCR遅延回路を構成する容量素子C1に次第に電荷が蓄えられることにより、節点X1における電位は次第に増加し、また、「Lo」の信号の入力が開始するとCR遅延回路を構成する容量素子C1の電荷が次第に放電されることにより節点X1における電位は次第に減少するという変化を繰り返す。
なお、実際には、節点X1の電位の波形は、所定のしきい値を有するコンパレータ(図示しない)を介することによって矩形波(パルス波形)に変換されるようになっている。このコンパレータでは、設定されたしきい値よりも大きい場合は「Hi」の信号を出力し、小さい場合は「Lo」の信号を出力することにより矩形波を形成する。ここで、EX−OR素子81がC−MOS型の論理素子の場合には、電源電圧がVccであれば、コンパレータのしきい値電圧をVcc/2程度としておくことが好ましい。このように、節点X1の電位の波形は、コンパレータを介することにより、第8図(e)に示すように、デューティ比D2を有する矩形波に変換される。
また、このとき、端子T2に入力される周期信号Bはほとんど遅延することがないため、節点X2に到達する周期信号の波形は周期信号B(第8図(b)に示す波形の信号)と同一である。
したがって、EX−OR素子81には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号(第8図(b)および第8図(e)に示す波形の信号)が入力され、これらの信号の間で排他的論理演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子T51に対して出力される出力信号Vxは、第8図(f)に示すようにデューティ比D3を有する矩形波信号である。
なお、検知部材30のX軸正方向部分がさらに押下されると、変位電極40と容量素子用電極E1との間隔が小さくなり、それに伴って容量素子C1の静電容量値が大きくなる。このとき、周期信号Aが遅延回路を通過することによる位相のずれ(遅延する量)はおおきくなり、端子T51に対して出力される出力信号Vxのデューティ比D3も大きくなる。
次に、検知部材30にX軸負方向への操作のみが施された場合には、端子T2に入力される周期信号Bは、容量素子C2および抵抗素子R2で構成する遅延回路を通過することにより遅延して節点X2に到達する。ここで、第8図(g)は、端子T2に周期信号Bを入力した場合の第7図に示す信号処理回路の節点X2における電位の変化を示している。
端子T2に「Hi」または「Lo」の信号を繰り返す周期信号が入力された場合には、第9図(g)に示すように、「Hi」の信号の入力が開始するとCR遅延回路を構成する容量素子C2に次第に電荷が蓄えられることにより、節点X2における電位は次第に増加し、また、「Lo」の信号の入力が開始するとCR遅延回路を構成する容量素子C2の電荷が次第に放電されることにより節点X2における電位は次第に減少するという変化を繰り返す。
なお、実際には、節点X2の電位の波形は、所定のしきい値を有するコンパレータ(図示しない)を介することによって矩形波(パルス波形)に変換されるようになっている。このコンパレータでは、設定されたしきい値よりも大きい場合は「Hi」の信号を出力し、小さい場合は「Lo」の信号を出力することにより矩形波を形成する。ここで、EX−OR素子81がC−MOS型の論理素子の場合には、電源電圧がVccであれば、コンパレータのしきい値電圧をVcc/2程度としておくことが好ましい。このように、節点X2の電位の波形は、コンパレータを介することにより、第8図(h)に示すように、デューティ比D4を有する矩形波に変換される。
また、このとき、端子T1に入力される周期信号Aはほとんど遅延することがないため、節点X1に到達する周期信号の波形は周期信号A(第8図(a)に示す波形の信号)と同一である。
したがって、EX−OR素子81には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号(第8図(a)および第8図(h)に示す波形の信号)が入力され、これらの信号の間で排他的論理演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子T51に対して出力される出力信号Vxは、第8図(i)に示すようにデューティ比D5を有する矩形波信号である。
検知部材30のX軸負方向部分がさらに押下されると、変位電極40と容量素子用電極E2との間隔が小さくなり、それに伴って容量素子C2の静電容量値が大きくなる。このとき、周期信号Bが遅延回路を通過することによる位相のずれ(遅延する量)はおおきくなり、端子T51に対して出力される出力信号Vxのデューティ比D3は小さくなる。
このように、検知部材30にX軸負方向への操作のみが施された場合に端子T51に対して出力される出力信号Vxのデューティ比D5(第8図(i)参照)は、検知部材30にX軸正方向への操作のみが施された場合に端子T51に対して出力される出力信号Vxのデューティ比D2(第8図(e)参照)よりも小さくなっている。
ここで、検知部材30にX軸正方向およびX軸負方向への操作が同時に施された場合には、端子T1、T2に入力される周期信号Aおよび周期信号Bは、容量素子C1および抵抗素子R1で構成する遅延回路および容量素子C2および抵抗素子R2で構成する遅延回路をそれぞれ通過して節点X1、X2に到達する。したがって、このときの節点X1、X2における電位の変化は第8図(d)および第8図(g)に示すようになる。
したがって、EX−OR素子81には、節点X1、X2における電位の変化(第8図(d)および第8図(g)に示す波形)を所定のしきい値でデジタル化した信号(第8図(e)および第8図(h)に示す波形の信号)が入力され、これらの信号の間で排他的論理演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子T51に対して出力される出力信号Vxは、第8図(j)に示すようにデューティ比D6を有する矩形波信号である。
このように、検知部材30にX軸正方向およびX軸負方向への操作が同時に施された場合に端子T51に対して出力される出力信号Vxのデューティ比D6(第8図(j)参照)は、検知部材30に操作が施されない場合に端子T51に対して出力される出力信号Vxのデューティ比D1(第9図(c)参照)とほとんど同じである。但し、両者の信号の位相はずれている。
また、端子T51に対して出力される出力信号Vxは、アナログ電圧Vx’に変換して利用することができる。第9図は、第1図に示す静電容量式センサのX軸方向成分についての出力信号をアナログ電圧に変換する回路を含む信号処理回路を示す回路図である。
第9図に示すように、端子T51に対して出力される出力信号Vxは、抵抗素子R70および容量素子C70で構成されるローパスフィルター70を通過することにより平滑され、端子70に対してアナログ電圧Vx’として出力される。このアナログ電圧Vx’の値は、出力信号Vxのデューティ比に比例して変化する。したがって、出力信号Vxのデューティ比が大きくなるとそれに伴ってアナログ電圧Vx’の値も大きくなり、一方、出力信号Vxのデューティ比が小さくなるとそれに伴ってアナログ電圧Vx’の値も小さくなる。また、出力信号Vxデューティ比がほとんど変化しないときはアナログ電圧Vx’の値もほとんど変化しない。
次に、静電容量式センサ10がスイッチ機能を有する装置(スイッチ信号出力装置)として利用される場合の動作について説明する。ここでは、検知部材30のX軸正方向に対応する部分が押し下げられた場合の動作についてのみ説明する。なお、検知部材30のX軸負方向、Y軸正方向またはY軸負方向に対応する部分が押し下げられた場合の動作は、X軸正方向に対応する部分が押し下げられた場合の動作と同様であるため、その説明は省略する。
検知部材30に操作が施されていない場合には、スイッチ用可動電極E21とスイッチ用固定電極E11とは離隔しているため、スイッチS1はOFF状態であり、端子11からはOFF状態を示すスイッチ信号が出力されている。そして、検知部材30のX軸正方向に対応する部分が押し下げられると、変位電極40に形成されたX軸正方向に対応する突起体42が下方へと変位する。すると、突起体42から絶縁膜50を介してスイッチ用可動電極E21の中央部に対して下方向への力が作用する。そして、その力が所定値に満たないときにはスイッチ用可動電極E21はほとんど変位しないが、その力が所定値に達したときには、スイッチ用可動電極E21の頂部近傍部分が座屈を伴って急激に弾性変形して凹んだ状態となってスイッチ用固定電極E11と接触する。これにより、スイッチS1がON状態になって、操作者には、明瞭なクリック感が与えられることになる。また、このとき、端子11から出力されるスイッチ信号は、OFF状態を示す信号からON状態を示す信号に切り替わる。
このように、操作者は検知部材30のX軸正方向、X軸負方向、Y軸正方向およびY軸負方向に対応する部分を押下することにより、それぞれの方向に対応した4つの独立したスイッチ信号を出力することができる。
なお、静電容量式センサ10が検知部材30への力の大きさを検出する装置およびスイッチ機能を有する装置として利用される場合のいずれにおいても、中央ボタン31を押下して、ボタン用可動電極E25とボタン用固定電極E15とで構成されるスイッチS5を切り替えることにより、独立したスイッチ信号を端子15から出力することができる。したがって、これを決定操作用のスイッチとして利用することができる。
また、静電容量式センサ10が、検知部材30への力の大きさを検出する装置およびスイッチ機能を有する装置のいずれにも併用されている場合も考えられる。このときには、検知部材30のX軸正方向に対応する部分が(スイッチ用可動電極E21とスイッチ用固定電極E11とが離隔している状態を保持する程度の力で)押し下げられると、スイッチS1がOFF状態において、変位電極40のX軸正方向部分と容量素子用電極E1との間隔が変化し、容量素子C1の静電容量値が変化する。この静電容量値の変化から検知部材30のX軸正方向に加えられた力の大きさが認識される。そして、その力が所定値に達したときには、スイッチ用可動電極E21の頂部近傍部分が座屈を伴って急激に弾性変形して凹んだ状態となってスイッチ用固定電極E11と接触して、スイッチS1がON状態になる。その後、引き続き検知部材30が変位すると、スイッチS1がON状態を保持しつつ変位電極40がさらに変位することにより、変位電極40のX軸正方向部分と容量素子用電極E1との間隔が変化し、容量素子C1の静電容量値が変化する。この静電容量値の変化から検知部材30のX軸正方向に加えられた力の大きさを認識する。
以上のように、本実施の形態の静電容量式センサ10は、変位電極40と容量素子用電極E1〜E4との間隔の変化に起因する容量素子C1〜C4の静電容量値の変化を検出することによって、検知部材30のサイドボタン32の変位を認識することができるため、検知部材30のサイドボタン32に外部から加えられた力の大きさを認識可能である。また、スイッチ用固定電極E11〜E14とスイッチ用可動電極E21〜E24との接触の有無を認識することができるため、これをスイッチ機能として利用することができる。したがって、静電容量式センサ10は、検知部材30のサイドボタン31の変位を信号(アナログ信号)として出力する機能を有する装置または/およびスイッチ機能を有する装置として利用することが可能である。これにより、この静電容量式センサ10は上記のいずれの装置としても利用できる複合デバイスとしての機能を有し、上記両用途に合わせて製造し直す必要がなくなる。
また、スイッチ機能を有する装置として利用した場合に、検知部材30のサイドボタン32に対して操作を施したとき、操作方向に対応するドーム形状をしたスイッチ用可動電極E21〜E24がクリック感を付随しつつ弾性変形してスイッチ用固定電極E11〜E14と接触するため、操作者はクリック感を感じつつ操作を行うことができ、操作を実行したことを感覚的に容易に把握することができる。また、スイッチ用可動電極E21〜E24およびボタン用可動電極E25が基準電極E31〜35に接触するように配置されているため、スイッチ用可動電極E21〜E24およびボタン用可動電極E25に対する配線を別途設ける必要がない。
また、複数の容量素子用電極E1〜E4が形成され、検知部材30のサイドボタン32が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。ここで、対となる容量素子用電極(E1およびE2、E3およびE4)に対して、互いに位相が異なる信号が供給されるため、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくでき、さらに、その信号を論理素子を利用した信号処理回路を用いるため、精度よく検出することができる。また、X軸方向およびY軸方向に対応するように複数のスイッチ用可動電極E21〜E24およびスイッチ用固定電極E11〜E14が形成されており、異なる方向に対応するスイッチとして利用することができる。
また、変位電極40は、直接接触することによってではなく、容量素子C31〜C35(カップリングコンデンサとしての機能を有している)による容量結合によって接地された基準電極E31〜E35と電気的に結合されるため、静電容量式センサ10の耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによってセンサが破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサを得ることができる。また、基準電極E31〜35と変位電極40との間に絶縁膜50が配置されているが、絶縁膜50の一部をカットして基準電極E31〜35と変位電極40とを接触させる必要がないため、組立および実装面でも有利となる。
また、決定操作用のスイッチ(中央ボタン31)の付いた入力装置を作成することができ、決定操作をしたときに、明確な操作触感が得られるため、誤操作を防止することができる。また、検知部材130が中央ボタン131とサイドボタン132とに分割されているため、サイドボタン132に作用する操作方向に対応する外部からの力と中央ボタン131に作用する決定操作に対応する外部からの力とが明確に分離されるため、これらの力が互いに干渉するのを軽減することができ、誤操作を減少させることができる。なお、この構成の静電容量式センサは、パソコン、携帯電話、ゲームなどの入力装置として利用されるのに好ましい。
次に、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例について、図面を参照しつつ説明する。第10図は、第1の変形例に係る静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。第10図の信号処理回路が、第1図の静電容量式センサの信号処理回路と異なる点は、論理素子として、EX−OR素子の代わりにOR素子が用いられている点である。なお、その他の構成は、第1図の静電容量式センサと同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
第10図において、検知部材30のX軸正方向部分が押下されると、端子T1に入力された周期信号Aは、容量素子C1と抵抗素子R1により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X1に到達する。このとき、節点X1における周期信号には、第8図(e)に示すように所定の遅延が生じている。同様に、検知部材30のX軸負方向部分が押下されると、端子T2に入力された周期信号Bは、容量素子C2と抵抗素子R2により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X2に到達する。このとき、節点2における周期信号には、第8図(h)に示すように所定の遅延が生じている。
したがって、第7図と同様に、OR素子83には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号が入力され、これらの信号の間で論理和演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子51に対して出力される信号は、所定のデューティ比をもった矩形波信号である。
ここで、OR素子83が用いられた場合に端子51に対して出力される矩形波信号と検知部材30に操作が施されていないときに端子51に対して出力される矩形波信号との間のデューティ比の変化量は、EX−OR素子が用いられた場合に端子51に対して出力される矩形波信号のそれと比較して小さくなり、このため、静電容量式センサとしての感度が低減すると考えられる。
したがって、静電容量式センサの各部材が感度が非常によくなる材料で製作された場合に、信号処理回路の構成によって、静電容量式センサの感度を調節する(ここでは、感度を低下させる)ために用いるのに好ましい。
次に、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例について、図面を参照しつつ説明する。第11図は、第2の変形例に係る静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。第11図の信号処理回路が、第1図の静電容量式センサの信号処理回路と異なる点は、論理素子として、EX−OR素子の代わりにAND素子が用いられている点である。なお、その他の構成は、第1図の静電容量式センサと同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
第11図において、検知部材30のX軸正方向部分が押下されると、端子T1に入力された周期信号Aは、容量素子C1と抵抗素子R1により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X1に到達する。このとき、節点X1における周期信号には、第8図(e)に示すように所定の遅延が生じている。同様に、検知部材30のX軸負方向部分が押下されると、端子T2に入力された周期信号Bは、容量素子C2と抵抗素子R2により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X2に到達する。このとき、節点2における周期信号には、第8図(h)に示すように所定の遅延が生じている。
したがって、第7図と同様に、AND素子84には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号が入力され、これらの信号の間で論理和演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子51に対して出力される信号は、所定のデューティ比をもった矩形波信号である。
ここで、AND素子84が用いられた場合に端子51に対して出力される矩形波信号と検知部材30に操作が施されていないときに端子51に対して出力される矩形波信号との間のデューティ比の変化量は、EX−OR素子が用いられた場合に端子51に対して出力される矩形波信号のそれと比較して小さくなり、このため、静電容量式センサとしての感度が低減すると考えられる。
したがって、静電容量式センサの各部材が、静電容量式センサとしたときの感度が非常によくなる材料で製作された場合に、信号処理回路の構成によって、静電容量式センサの感度を調節する(ここでは、感度を低下させる)ために用いるのが好ましい。
次に、本発明の第1の実施の形態の第3の変形例について、図面を参照しつつ説明する。第12図は、第3の変形例に係る静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。第12図の信号処理回路が、第1図の静電容量式センサの信号処理回路と異なる点は、論理素子として、EX−OR素子の代わりにNAND素子が用いられている点である。なお、その他の構成は、第1図の静電容量式センサと同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
第12図において、検知部材30のX軸正方向部分が押下されると、端子T1に入力された周期信号Aは、容量素子C1と抵抗素子R1により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X1に到達する。このとき、節点X1における周期信号には、第8図(e)に示すように所定の遅延が生じている。同様に、検知部材30のX軸負方向部分が押下されると、端子T2に入力された周期信号Bは、容量素子C2と抵抗素子R2により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X2に到達する。このとき、節点2における周期信号には、第8図(h)に示すように所定の遅延が生じている。
したがって、第7図と同様に、NAND素子85には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号が入力され、これらの信号の間で論理和演算が行われた後、引き続き否定演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子51に対して出力される信号は、所定のデューティ比をもった矩形波信号である。
ここで、NAND素子85が用いられた場合に端子51に対して出力される矩形波信号と検知部材30に操作が施されていないときに端子51に対して出力される矩形波信号との間のデューティ比の変化量は、EX−OR素子が用いられた場合に端子51に対して出力される矩形波信号のそれと比較して小さくなり、このため、静電容量式センサとしての感度が低減すると考えられる。
したがって、静電容量式センサの各部材が、静電容量式センサとしたときの感度が非常によくなる材料で製作された場合に、信号処理回路の構成によって、静電容量式センサの感度を調節する(ここでは、感度を低下させる)ために用いるのが好ましい。
次に、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
第13図は、本発明の他の実施の形態に係る静電容量式センサの側面の模式的な断面図である。第14図は、第13図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。第15図は、第13図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。第16図は、第13図の静電容量式センサの文字印刷部材の上面図である。
静電容量式センサ110は、基板120と、人などによって操作されることによって外部から力が加えられる操作用の検知部材130と、変位電極140と、基板120上に形成された容量素子用電極E101〜E104と、ドーム形状を有するスイッチ用可動電極E121〜E124(第13図ではE121およびE122のみを示す)と、その内側に配置されたスイッチ用固定電極E111〜E114と、基準電極(共通電極)E131〜E134と、複数の電極に密着して基板120上を覆うように形成された樹脂フィルム150と、変位電極140を基板120に対して支持固定する支持部材160と、検知部材130と支持部材160との間に配置された文字印刷部材180および有色印刷部材190と、支持部材160内部に配置された発光ダイオード200と、支持部材160の周囲を覆うように配置されたカバーケース170とを有している。
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、XYZ三次元座標系を定義し、この座標系を参照しながら各部品に配置説明を行うことにする。すなわち、基板120上の容量素子用電極E101〜E104の中心位置(第13図では、容量素子用電極E101、E102の間の中心位置)に原点Oが定義され、右水平方向にX軸が、上垂直方向にZ軸が、紙面に垂直奥行方向にY軸がそれぞれ定義されている。ここで、基板120の表面は、XY平面を規定し、基板120上の容量素子用電極E101〜E104の中心位置、検知部材130、文字印刷部材180、有色印刷部材190および変位電極140のそれぞれの中心位置をZ軸が通ることになる。
基板120は、基板20と同様に、一般的な電子回路用のプリント回路基板であり、この例ではガラスエポキシ基板が用いられている。また、基板120として、ポリイミドフィルムなどのフィルム状の基板を用いてもよいが、フィルム状の基板の場合は可撓性を有しているため、十分な剛性をもった支持基板上に配置して用いるのが好ましい。
検知部材130は、受力部となる小径の上段部131と、上段部131の下端部に伸延する大径の下段部132とから構成され、全体として円盤状の透光性を有するポリカーボネイト、アクリルなどにより形成されている。ここで、上段部131の径は、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同じであり、下段部132の径は、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい。なお、操作性を向上させるために、検知部材30に樹脂製のキャップをかぶせてもよい。
支持部材160は、容量素子用電極E101〜E104のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい径を有する円盤状の弾性および透光性を有するシリコンゴムにより形成されている。なお、支持部材160を形成する材料としては、シリコンゴムの他、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ポリエステル系またはポリイミド系などの熱可塑性樹脂などが使用される。
また、支持部材160の下面には、容量素子用電極E101〜E104のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい径を有する円形で下方に開いた凹部160aと、凹部160cとが形成されており、支持部材160の下面の凹部160aおよび凹部160c以外の部分が基盤120に接触するように配置されている。さらに、支持部材160の下面の凹部160a内部には、凹部160aの中央を中心とする突起部160bが形成されている。また、基板120上の支持部材160の凹部160cに対応する位置には、発光ダイオード200が配置されている。
変位電極140は、導電性および透明な(透光性を有する)シリコンゴムにより形成され、容量素子用電極E101〜E104のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同一の径を有する円盤状の膜状部材であり、支持部材160の下面の突起部160bに付着されている。なお、変位電極140は、シリコンゴムで形成されたもの他、ウレタン、エチレンプロピレンゴム、透明な樹脂の中に酸化イレジウム、酸化スズなどの金属粒子または繊維状の金属などを分散混入したフィルムまたは膜状部材が形成されたものであってもよい。ここで、支持部材160の下面に平板状に(面一に)形成されるため、変位電極140はスクリーン印刷により透明導電性インクを塗布することによって形成することも可能である。
また、基板120上には、第15図に示すように、原点Oを中心とする扇形であり、それぞれのほぼ中央部に円形の孔H101〜H104を有する容量素子用電極E101〜E104と、孔H101〜H104の内側で、孔H101〜H104の径よりも小さい外径を有するリング状の基準電極E131〜E134と、基準電極E131〜E134の内側に配置されたスイッチ用固定電極E111〜E114とが形成されている。一対の容量素子用電極E101およびE102は、X軸方向に離隔してY軸に対して線対称に配置されている。また、一対の容量素子用電極E103およびE104は、Y軸方向に離隔してX軸に対して線対称に配置されている。
ここでは、容量素子用電極E101はX軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E102はX軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のX軸方向成分の検出に利用される。また、容量素子用電極E103はY軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E104はY軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のY軸方向成分の検出に利用される。
容量素子用電極E101〜E104、スイッチ用固定電極E111〜E114および基準電極E131〜134は、スルーホールなどを利用して端子T101〜T104、T111〜T114およびT131〜T134(第16図参照)にそれぞれ接続されており、これらの端子を通じて外部の電子回路に接続されるようになっている。なお、ここでは、基準電極E131〜134は、端子T131〜T134を介して接地されている。
また、基準電極E131〜134にそれぞれ接触するとともに、スイッチ用固定電極E111〜E114と離隔しつつこれを覆うようにドーム状のスイッチ用可動電極E121〜E124が配置されている。したがって、スイッチ用可動電極E121〜E124は孔H1〜H4よりも大きい径を有している。ここで、スイッチ用可動電極E121〜E124は、透明な樹脂フィルムにより形成されており、その材料としてはポリエステル、ポリカーボネイトなどが使用される。
また、樹脂フィルム150は、絶縁性を有した透明な部材であり、基板120上の容量素子用電極E101〜E104、基準電極E131〜134の一部およびスイッチ用可動電極E121〜E124に密着して、基板120上を覆うように接着剤により接着固定されている。このため、銅などで形成された容量素子用電極E101〜E104、基準電極E131〜134およびスイッチ用可動電極E121〜E124の樹脂フィルム150で覆われている部分は空気にさらされることがなく、それらが酸化されるのを防止する機能を有している。また、樹脂フィルム150が形成されているため、容量素子用電極E101〜E104、基準電極E131〜134およびスイッチ用可動電極E121〜E124と、変位電極140とが直接接触することはない。
また、支持部材160の上面には、検知部材130と同じ径を有する円盤状の有色印刷部材190、検知部材130と同じ径を有する円盤状の文字印刷部材180および検知部材130がそれぞれの中心位置が一致して重なるように配置されている。支持部材160、有色印刷部材190、文字印刷部材180および検知部材130は、それぞれ溶着、接着または印刷により固定されている。
文字印刷部材180は、透光性を有さない部材であり、第16図に示すように、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応するように、すなわち、スイッチ用固定電極E111〜E114に対応するように、操作方向(カーソルの移動方向)を示す矢印の形状の貫通孔180aが形成されている。ここでは、貫通孔180aは、スイッチ用可動電極E111〜E114、スイッチ用固定電極E121〜E124および基準電極E131〜E134にそれぞれ対応する位置に形成されている。なお、文字印刷部材180に形成される貫通孔180aの形状は、数字、文字、記号など必要に応じて適宜変更してもよい。
文字印刷部材180は、貫通孔180aの部分のみ光を通過させ、貫通孔180a以外の部分は光を通過させないようになっている。これにより、支持部材160の内部に配置された発光ダイオード200から出射された光は、支持部材160、有色印刷部材190、文字印刷部材180の貫通孔180a、検知部材130の順に検知部材130の上方に向かって通過する。したがって、検知部材130を上方から見ると、操作方向を示す矢印(文字印刷部材180に形成された貫通孔180aの部分)が発光ダイオード200の光により照らし出されて見える。これにより、検知部材130の位置および操作方向を容易に把握することができ、特に静電容量式センサ110を備えた機器を暗い場所で使用するときでも、検知部材130に対する操作を適切に施すことができる。
また、有色印刷部材190は、透光性を有し、所定の色に全面が着色された部材である。有色印刷部材190を文字印刷部材180の下方に配置することにより、検知部材130を上方から見たときの操作方向を示す矢印の色を有色印刷部材190が着色された色に見えるようにすることができる。なお、有色印刷部材190は、文字印刷部材180の貫通孔180aに対応する部分のみが着色されたものであってもよいし、複数の色で着色されたものであってもよい。また、有色印刷部材190は、文字印刷部材180の上方に配置されていてもよいし、無くてもよい。
なお、変位電極140および樹脂フィルム150は、発光ダイオード200から出射された光を透過および散乱させるため、検知部材130全体に光を行き渡らせることができ、文字印刷部材180に形成された貫通孔180aの部分を効率よく照らし出すことができる。これにより、発光ダイオード200の消費電力の低減させることが可能である。
次に、上述のように構成された本実施の形態に係る静電容量式センサ110の動作について、図面を参照して説明する。第17図は、第13図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
まず、静電容量式センサ110の構成と等価な回路構成について、第17図を参照して説明する。基板120上に形成された容量素子用電極E101〜E104および基準電極E131〜E134は、変位電極140と対向しており、共通の電極である変位可能な変位電極140と、固定された個別の容量素子用電極E101〜E104および基準電極E131〜E134との間で容量素子C101〜C104および容量素子C131〜C134を形成している。容量素子C101〜C104および容量素子C131〜C134は、それぞれ変位電極140の変位に起因して静電容量値が変化するように構成された可変容量素子であるということができる。
容量素子C101〜C104のそれぞれの静電容量値は、変位電極140と、容量素子用電極E101〜E104のそれぞれに接続された端子T101〜T104との間の静電容量値として、それぞれ独立して測定することができる。ここで、基準電極E131〜E134は、それぞれ端子T131〜T134を介して接地されており、容量素子C101〜C104における共通の電極である変位電極140は、容量素子C131〜C134および端子T131〜T134を介して接地されていると考えられる。すなわち、容量素子C131〜C134は、変位電極140と端子T131〜T134とを容量結合している。
また、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応する基準電極E131〜E134に接続されたスイッチ用可動電極E121〜E124は、スイッチ用固定電極E111〜E114と接触する位置または接触しない位置を選択的にとり得ることにより、基準電極E131〜E134と端子T111〜T114とを接続させるまたは接続させないスイッチS101〜S104としての機能を有している。ここで、スイッチS101〜S104の状態に対応するスイッチ信号は、端子T111〜T114からそれぞれ出力される。
次に、静電容量式センサ110が検知部材130への力の大きさを検出する装置(力覚センサ)として利用される場合の動作について説明する。
まず、容量素子C101〜C104のそれぞれの静電容量値の変化から検知部材130への外部からの力の大きさおよび方向を示す出力信号の導出方法について、図面を参照して説明する。第18図は、第13図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。なお、第18図では出力信号を導出する方法の説明に必要な部分のみを示している。また、出力信号Vx、Vyは、それぞれ外部からの力のX軸方向成分およびY軸方向成分の大きさおよび方向を示す。
ここで、出力信号Vx、Vyを導出するために、端子T101〜T104に対して、常にクロック信号などの周期信号が入力される。端子T101に入力された周期信号に対して、2つの容量素子C101とC131は直列に接続された関係となっている。同様に、2つの容量素子C102とC132は端子T102に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C103とC133は端子T103に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C104とC134は端子T104に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっている。
端子T101〜T104に周期信号が入力されている状態で検知部材130が外部からの力を受けて変位すると、これにともなって変位電極140がZ軸方向に変位し、容量素子C101〜C104の電極間隔が変化して、容量素子C101〜C104のそれぞれの静電容量値が変化する。すると、端子T101〜T104に入力された周期信号の位相にずれが生じる。このように、周期信号に生じる位相のずれを利用して、検知部材130の変位、つまり検知部材130が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の大きさと方向を示す出力信号Vx、Vyを得ることができる。なお、導出方法の詳細については、図1の静電容量式センサにおける信号処理回路について説明したのと同様であるので省略する。
次に、静電容量式センサ110がスイッチ機能を有する装置(スイッチ信号出力装置)として利用される場合の動作について説明する。ここでは、検知部材130のX軸正方向に対応する部分が押し下げられた場合の動作についてのみ説明する。なお、検知部材130のX軸負方向、Y軸正方向またはY軸負方向に対応する部分が押し下げられた場合の動作は、X軸正方向に対応する部分が押し下げられた場合の動作と同様であるため、その説明は省略する。
検知部材130に操作が施されていない場合には、スイッチ用可動電極E121とスイッチ用固定電極E111とは離隔しているため、スイッチS101はOFF状態であり、端子111からはOFF状態を示すスイッチ信号が出力されている。そして、検知部材130のX軸正方向に対応する部分が押し下げられると、変位電極140のX軸正方向部分が下方へと変位する。すると、突起体42から樹脂フィルム150を介してスイッチ用可動電極E121の中央部に対して下方向への力が作用する。そして、その力が所定値に満たないときにはスイッチ用可動電極E121はほとんど変位しないが、その力が所定値に達したときには、スイッチ用可動電極E121の頂部近傍部分が座屈を伴って急激に弾性変形して凹んだ状態となってスイッチ用固定電極E111と接触する。これにより、スイッチS101がON状態になる。このとき、端子111から出力されるスイッチ信号は、OFF状態を示す信号からON状態を示す信号に切り替わる。なお、操作者には、明瞭なクリック感が与えられることになる。
このように、操作者は検知部材130のX軸正方向、X軸負方向、Y軸正方向およびY軸負方向に対応する部分を押下することにより、それぞれの方向に対応した4つの独立したスイッチ信号を出力することができる。
次に、本実施の形態において用いることができる他の変位電極140の構成について、図面を参照して説明する。第19図は、保持部材と蒸着膜または印刷層とにより構成された変位電極を示す図である。第20図は、織布により構成された変位電極を示す図である。第21図は、不織布により構成された変位電極を示す図である。第22図は、フィルムにより構成された変位電極を示す図である。第23図は、変位電極と弾性体とを複合させた場合の構造を示す図である。
変位電極140として、第19図(a)、(b)に示すように、透光性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂(プラスチック)により形成された保持部材400の表面に、透光性および導電性を有するITO膜(スズ含有酸化インジウム)および金属薄膜などの蒸着膜401が全面に形成されたものを用いることができる。また、蒸着膜401は、第19図(c)に示すように網目状に形成されていてもよいし、第19図(d)に示すように抜きがら状に形成されていてもよい。なお、網目状に形成されている場合の網目の大きさ若しくは抜きがら状に形成されている場合の抜きがら(蒸着膜401が形成されていない部分)の大きさ、形状および配置は適宜変更してもよい。
また、変位電極140として、第19図(a)、(b)に示すように、透光性を有する保持部材400の表面に、透光性を有する導電性インクおよび導電性塗料などを塗布した印刷層402が全面に形成されたものを用いることができる。また、印刷層402は、第19図(c)に示すように網目状に形成されていてもよいし、第19図(d)に示すように抜きがら状に形成されていてもよい。なお、網目状に形成されている場合の網目の大きさ若しくは抜きがら状に形成されている場合の抜きがら(印刷層402が形成されていない部分)の大きさ、形状および配置は適宜変更してもよい。なお、透光性を有していない導電性インクまたは導電性塗料を用いてもよい。また、支持部材160の下面に変位電極140を付着する代わりに、支持部材160の下面に印刷層402を直接形成することもできる。
また、変位電極140として、第20図に示すように、導電性を有する繊維によって形成された織布403を用いることができる。なお、織布403を形成する導電性を有する繊維としては、ステンレス、銅などの金属繊維、カーボン繊維、導電性を有していない繊維に導電性を有する皮膜系繊維を織り込んだものなどがある。
また、変位電極140として、第21図に示すように、導電性を有する繊維によって形成された不織布(不繊維)404を用いることができる。なお、不織布404を形成する導電性を有する繊維としては、ステンレス、銅などの金属繊維、カーボン繊維、導電性を有していない繊維に導電性を有する皮膜系繊維を織り込んだものなどがある。
ここで、織布403および不織布404では、導電性を有する繊維同士が互いに接触しているため、繊維の密度を小さくして薄く形成しても面として導電性を維持することができる。また、透光性を有し、導電性を有していない弾性体に導電性を有する繊維を混入したものを変位電極140として用いることもできるが、この場合には、大量の導電性を有する繊維を高密度に混入する必要があり、十分な透光性が確保出来るように注意しなければならない。
また、変位電極140として、第22図に示すように、空孔を有する非透光性の材料で形成されたフィルム(シート)405を用いることができる。なお、フィルム405を形成する材料としては、金属、導電性プラスチック、導電性ゴム、導電性熱可塑性エラストマーなどがある。なお、空孔の大きさ、形状は適宜変更してもよいし、空孔の配置は規則的であってもよいし、不規則的であってもよい。ここで、空孔の面積のフィルム405全体の面積に対する割合(占有率)を大きくすると、フィルム405の透光性が向上する(光の透過率が大きくなる)ため、支持部材160の内部に配置された発光ダイオード200から出射された光が検知部材130に導かれやすくなるが、容量素子用電極E101〜E105と対向する面積が小さくなることによって、容量素子C101〜C105の静電容量が小さくなる。従って、空孔の大きさおよび配置を決定する際には、上述したことを考慮する必要がある。
ここで、上述のような変位電極140(蒸着膜401または印刷層402が形成された保持部材400、織布403、不織布404、フィルム(シート)405)を単独で用いることもできるが、透光性を有する弾性体145と複合して用いることもできる。このように、変位電極140を弾性体145と複合することにより、変位電極140の取り扱いや実装が容易になるという効果がある。また、両者を複合させた場合の構造は、第23図(a)に示すように変位電極140を弾性体145の内部に内包させたものであってもよいし、第23図(b)に示すように変位電極140を挟むように弾性体145を積層させたものであってもよいし、さらに第23図(c)に示すように変位電極140を弾性体145に接合させたものであってもよい。
なお、弾性体145を形成する材料としては、シリコンゴム、EPDM(エチレン−プロピレンゴム)、NR(天然ゴム)、BR(ブタジエンゴム)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、IIR(ブチルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、CSM(クロロスルホン化ポリエチレン)、ACM(アクリルゴム)、ANM(アクリルゴム)などの透光性を有するゴム配合品およびスチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリジエン系、フッ素系などの透光性を有する熱可塑性エラストマーなどがある。
また、変位電極140と弾性体145とを複合する方法には、変位電極140に液状の弾性体145の材料をコーティングした後で架橋する(熱を加える)、変位電極140を液状の弾性体145の材料に浸けてコーティングし、乾燥させて溶剤などを除去した後で架橋する、変位電極140とシート状の弾性体145を積層した後で架橋して接着するおよび変位電極140を金型に入れ、その上から弾性体145を入れた後で架橋して接着するなどがある。なお、上述の金型を用いる方法によると、例えば変位電極140の表面に突起体を形成するなど、変位電極140の3次元的な形状の加工を容易に行うことができる。
以上のように、本実施の形態の静電容量式センサ110は、変位電極140と容量素子用電極E101〜E104との間隔の変化に起因する容量素子C101〜C104の静電容量値の変化を検出することによって、検知部材130のの変位を認識することができるため、検知部材130に外部から加えられた力の大きさを認識可能である。また、スイッチ用固定電極E111〜E114とスイッチ用可動電極E121〜E124との接触の有無を認識することができるため、これをスイッチとして利用することができる。したがって、静電容量式センサ110は、検知部材130の変位を信号(アナログ信号)として出力する機能を有する装置または/およびスイッチ機能を有する装置として利用することが可能である。これにより、この静電容量式センサ110は上記のいずれの装置としても利用できる複合デバイスとしての機能を有し、上記両用途に合わせて製造し直す必要がなくなる。
また、スイッチ機能を有する装置として利用した場合に、検知部材130に対して操作を施したとき、操作方向に対応するドーム形状をしたスイッチ用可動電極E121〜E124がクリック感を付随しつつ弾性変形してスイッチ用固定電極E111〜E114と接触するため、操作者はクリック感を感じつつ操作を行うことができ、操作を実行したことを感覚的に容易に把握することができる。また、スイッチ用可動電極E121〜E124が基準電極E131〜134に接触するように配置されているため、スイッチ用可動電極E121〜E124に対する配線を別途設ける必要がない。
また、複数の容量素子用電極E101〜E104が形成され、検知部材130が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。ここで、対となる容量素子用電極(E101およびE102、E103およびE104)に対して、互いに位相が異なる信号が供給されるため、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくでき、さらに、その信号を論理素子を利用した信号処理回路を用いるため、精度よく検出することができる。また、X軸方向およびY軸方向に対応するように複数のスイッチ用可動電極E121〜E124およびスイッチ用固定電極E111〜E114が形成されており、異なる方向に対応するスイッチとして利用することができる。なお、この構成の静電容量式センサは、パソコン、携帯電話、ゲームなどの入力装置として利用されるのに好ましい。
また、変位電極140は、直接接触することによってではなく、容量素子C131〜C134(カップリングコンデンサとしての機能を有している)による容量結合によって接地された基準電極E131〜E134と電気的に結合されるため、静電容量式センサ110の耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによってセンサが破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサを得ることができる。また、基準電極E131〜134と変位電極140との間に樹脂フィルム150が配置されているが、樹脂フィルム150の一部をカットして基準電極E131〜134と変位電極140とを接触させる必要がないため、組立および実装面でも有利となる。
また、発光ダイオード200から出射された光が文字印刷部材180に形成された貫通孔180aのみを通過して検知部材130に達するため、検知部材130を外部から見たとき、貫通孔180aのみを照らし出すようにすることができる。したがって、検知部材130の位置および操作方向を容易に把握することができるようになり、特に静電容量式センサ110を備えた機器を暗い場所で使用する場合でも検知部材に対する操作を適切に施すことができる。さらに、検知部材130を外部から見たときに、貫通孔180aが照らし出される光の色を変更することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
第24図は、本発明の第3の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。第25図は、第24図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。第26図は、第24図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。第27図は、第24図の静電容量式センサの文字印刷部材の上面図である。
静電容量式センサ210は、基板220と、人などによって操作されることによって外部から力が加えられる操作用の中央ボタン231およびサイドボタン232で構成された検知部材230と、変位電極240と、基板220上に形成された容量素子用電極E201〜E205と、ドーム形状を有するスイッチ用可動電極E221〜E224(第24図ではE221およびE222のみを示す)と、その内側に配置されたスイッチ用固定電極E211〜E214(第24図ではE211およびE212のみを示す)と、基準電極(共通電極)E231〜235と、複数の電極に密着して基板220上を覆うように配置された樹脂フィルム250と、検知部材230および変位電極240を基板220に対して支持固定する支持部材260と、支持部材260および中央ボタン231を覆うように配置された文字印刷フィルム280と、サイドボタン232と文字印刷フィルム280との間に配置された文字印刷部材290と、支持部材260内部に配置された2つの発光ダイオード300と、支持部材260および検知用部材230の周囲を覆うように配置されたカバーケース270とを有している。
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、XYZ三次元座標系を定義し、この座標系を参照しながら各部品に配置説明を行うことにする。すなわち、第24図では、基板220上の容量素子用電極E205の中心位置に原点Oが定義され、右水平方向にX軸が、上垂直方向にZ軸が、紙面に垂直奥行方向にY軸がそれぞれ定義されている。ここで、基板220の表面は、XY平面を規定し、基板220上の容量素子用電極E205、検知部材230および変位電極240のそれぞれの中心位置をZ軸が通ることになる。
基板220は、基板20と同様に、一般的な電子回路用のプリント回路基板であり、この例ではガラスエポキシ基板が用いられている。また、基板220として、ポリイミドフィルムなどのフィルム状の基板を用いてもよいが、フィルム状の基板の場合は可撓性を有しているため、十分な剛性をもった支持基板上に配置して用いるのが好ましい。
検知部材230は、原点を中心とする円形の中央ボタン231と、中央ボタン231の外側に配置されたリング状のサイドボタン232とから構成されており、中央ボタン231およびサイドボタン232はいずれも透光性を有する部材により形成されている。このように、中央ボタン231とサイドボタン232とは別部材であるため、それぞれに対する操作(Z軸方向の操作とX軸方向およびY軸方向の操作)が干渉することがほとんどない。ここで、中央ボタン231の径は、基準電極E235の外径とほぼ同じである。また、サイドボタン232は、受力部となる小径の上段部232aと上段部232aの下端部に伸延する大径の下段部232bから構成されており、上段部232aの径は、容量素子用電極E201〜E204のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも小さく、下段部232bの径は、容量素子用電極E201〜E204のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同じである。
中央ボタン231は、文字印刷フィルム280と一体に成形されており、容量素子用電極E205および基準電極E235に対応するように支持部材260の上面に接着されている。また、中央ボタン231の上面には、第25図に示すように、「+」という記号が印刷されている。なお、中央ボタン231の上面に印刷する形状は、機能を示す数字、文字、記号など適宜変更してもよい。また、サイドボタン232は、その下段部232bがカバーケース270の一部である止め部270aにより押止され、支持部材260の上面に抜け止め構造により配置されている。なお、サイドボタン232は支持部材260の上面に接着されていてもよい。
支持部材260は、容量素子用電極E201〜E204のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい径を有する円盤状の弾性および透光性を有するシリコンゴムにより形成されている。なお、支持部材260を形成する材料としては、シリコンゴムの他、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ポリエステル系またはポリイミド系などの熱可塑性樹脂などが使用される。
また、支持部材260の下面には、容量素子用電極E201〜E204のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい径を有する円形で下方に開いた凹部260aと、2つの凹部260bとが形成されており、支持部材260の下面の凹部260aおよび凹部260b以外の部分が基盤220に接触するように配置されている。また、基板220上の支持部材260の2つの凹部260bに対応する位置には、それぞれ発光ダイオード300が配置されている。
変位電極240は、導電性および透光性を有するシリコンゴムにより形成され、容量素子用電極E201〜E204のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同一の径を有する円盤状の部材であり、支持部材260の下面の凹部260a内に付着されている。
また、基板220上には、第26図に示すように、原点Oを中心とする円形の容量素子用電極E205と、容量素子用電極E205の外側に配置されたリング状の基準電極E235と、その外側に扇形であり、それぞれのほぼ中央部に円形の孔H201〜H204を有する容量素子用電極E201〜E204と、孔H201〜H204の内側で、孔H201〜H204の径よりも小さい外径を有するリング状の基準電極E231〜E234と、基準電極E231〜E234の内側に配置されたスイッチ用固定電極E211〜E214とが形成されている。
一対の容量素子用電極E201およびE202は、X軸方向に離隔してY軸に対して線対称に配置されている。また、一対の容量素子用電極E203およびE204は、Y軸方向に離隔してX軸に対して線対称に配置されている。ここでは、容量素子用電極E201はX軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E202はX軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のX軸方向成分の検出に利用される。また、容量素子用電極E203はY軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E204はY軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のY軸方向成分の検出に利用される。つまり、容量素子用電極E201〜E204は、各電極を押す力の検出に利用される。また、容量素子用電極E205は、上述したように原点上に配置されており、外部からの力のZ軸方向成分の検出に利用される。
容量素子用電極E201〜E205、スイッチ用固定電極E211〜E214および基準電極E231〜235は、スルーホールなどを利用して端子T201〜T205、T211〜T214、T231〜T235(第28図参照)にそれぞれ接続されており、これらの端子を通じて外部の電子回路に接続されるようになっている。なお、ここでは、基準電極E231〜235は、端子T231〜T235を介して接地されている。
また、基準電極E231〜E234にそれぞれ接触するとともに、スイッチ用固定電極E211〜E214と離隔しつつこれを覆うようにドーム状のスイッチ用可動電極E221〜E224が配置されている。したがって、スイッチ用可動電極E221〜E224は、基準電極E231〜E234の内径よりも大きい径を有している。
また、樹脂フィルム250は、絶縁性を有した部材であり、基板220上の容量素子用電極E201〜E205、基準電極E231〜234の一部、基準電極E235およびスイッチ用可動電極E221〜E224に密着して、基板220上を覆うように接着剤により接着固定されている。このため、銅などで形成された容量素子用電極E201〜E205、基準電極E231〜235およびスイッチ用可動電極E221〜E224の絶縁膜250で覆われている部分は空気にさらされることがなく、それらが酸化されるのを防止する機能を有しているとともに、スイッチ用可動電極E221〜E224を基準電極E231〜234に固定する機能を有している。なお、容量素子用電極E201〜E205、基準電極E231〜235およびスイッチ用可動電極E221〜E225に対して、その表面への金メッキの形成などの酸化防止対策を施しておいてもよい。また、絶縁膜250が形成されているため、容量素子用電極E201〜E205、基準電極E231〜E235およびスイッチ用可動電極E221〜E224と、変位電極240とが直接接触することはない。
また、支持部材260の上面には、ほぼ全面を覆うように配置された文字印刷フィルム280と、サイドボタン232と同じ外径を有する円盤状の文字印刷部材290とがそれぞれの中心位置が一致するように配置されている。文字印刷フィルム280は、透光性および絶縁性を有する無色透明の部材である。また、上述したように、文字印刷フィルム280は、中央ボタン231と一体に成形されている。ここで、文字印刷フィルム280は、絶縁性を有しており、中央ボタン23を覆うように形成されているため、中央ボタン23が金属により形成されている場合に、中央ボタン23の表面が空気にさらされて酸化するのを防止することができる。なお、文字印刷フィルム280は、透光性を有しない部材により形成されてもよいが、この場合には、発光ダイオード300から出射された光は、中央ボタン23の上方に向かって通過しなくなる。なお、文字印刷フィルム280は、全体的に薄く着色されていてもよい。また、中央ボタン231の上面に文字などが印刷され、中央ボタン231を覆うように文字印刷フィルム280が形成される代わりに、文字印刷フィルム280の中央ボタン231に対応する位置に文字などが印刷されて、文字印刷フィルム280が中央ボタン231と支持部材260との間に配置されていてもよい。
文字印刷部材290は、第27図に示すように、その上面にX軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応するように、すなわち、スイッチ用固定電極E211〜E214に対応するように、操作方向(カーソルの移動方向)を示す矢印が印刷された透光性を有する部材である。なお、文字印刷部材290の上面に印刷する形状は、機能を示す数字、文字、記号など必要に応じて適宜変更してもよい。なお、文字印刷部材290は、全体的に薄く着色されていてもよい。また、文字印刷部材290は、サイドボタン232の上方に配置されていてもよい。
このように、文字印刷フィルム280および文字印刷部材290が配置されていることにより、支持部材260の内部に配置された発光ダイオード300から出射された光は、周囲の部材に透過または反射されて、中央ボタン231および文字印刷部材290に印刷された記号以外の部分を、支持部材260、文字印刷フィルム280、文字印刷部材290および検知部材230を検知部材230の上方に向かって通過する。したがって、中央ボタン231を上方から見たとき、中央ボタン231の上面に印刷された「+」という記号が確認することができ、サイドボタン232を上方から見たとき、文字印刷部材290に印刷された操作方向を示す矢印を確認することができる。これにより、検知部材230の位置および操作方向を容易に把握することができ、特に静電容量式センサ210を備えた機器を暗い場所で使用するときでも、検知部材230に対する操作を適切に施すことができる。また、装飾の効果がある。
なお、中央ボタン231および文字印刷部材290に印刷された記号は、所定の色に着色されていてもよい。また、中央ボタン231および文字印刷部材290に印刷された記号以外の部分のみが、黒色または所定の色に着色されていてもよい。ここで、中央ボタン231および文字印刷フィルム280の位置関係とサイドボタン232および文字印刷部材290の位置関係とが反対になっている、すなわち、文字印刷フィルム280が中央ボタン231の上方にあるのに対して、文字印刷部材290はサイドボタン232の下方に配置されている。これにより、中央ボタン231およびサイドボタン232を上方から見たときの文字などの見え方が異なる、すなわち、サイドボタン232に対応する文字の方が中央ボタン231に対応する文字よりも奥行き感があるように見える。なお、中央ボタン231および文字印刷フィルム280の位置関係とサイドボタン232および文字印刷部材290の位置関係とは、必ずしも反対にする必要はない。
次に、上述のように構成された本実施の形態に係る静電容量式センサ210の構成について、図面を参照して説明する。第28図は、第24図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
静電容量式センサ210の構成と等価な回路構成について、第28図を参照して説明する。基板220上に形成された容量素子用電極E201〜E205および基準電極E231〜E235は、変位電極240と対向しており、共通の電極である変位可能な変位電極240と、固定された個別の容量素子用電極E201〜E205および基準電極E231〜E235との間で容量素子C201〜C205および容量素子C231〜C235を形成している。容量素子C201〜C205および容量素子C231〜C235は、それぞれ変位電極240の変位に起因して静電容量値が変化するように構成された可変容量素子であるということができる。
容量素子C201〜C205のそれぞれの静電容量値は、変位電極240と、容量素子用電極E201〜E205のそれぞれに接続された端子T201〜T205との間の静電容量値として、それぞれ独立して測定することができる。ここで、基準電極E231〜E235は、それぞれ端子T231〜T235を介して接地されており、容量素子C201〜C205における共通の電極である変位電極240は、容量素子C231〜C235および端子T231〜T235を介して接地されていると考えられる。すなわち、容量素子C231〜C235は、変位電極240と端子T231〜T235とを容量結合している。
また、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応する基準電極E231〜E234に接続されたスイッチ用可動電極E221〜E224は、スイッチ用固定電極E211〜E214と接触する位置または接触しない位置を選択的にとり得ることにより、基準電極E231〜E234と端子T211〜T214とを接続させるまたは接続させないスイッチS201〜S204としての機能を有している。ここで、スイッチS201〜S204の状態に対応するスイッチ信号は、端子T211〜T214からそれぞれ出力される。
次に、静電容量式センサ210が検知部材230への力の大きさを検出する装置(力覚センサ)として利用される場合の動作、および、静電容量式センサ210がスイッチ機能を有する装置(スイッチ信号出力装置)として利用される場合の動作について、図面を参照して説明する。第29図は、第24図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。なお、第29図では出力信号を導出する方法の説明に必要な部分のみを示している。
ここで、静電容量式センサ210の動作が図1の静電容量式センサ10と異なる点は、静電容量式センサ10の中央ボタン31が決定操作用のスイッチとして用いられるのに対して、静電容量式センサ210の中央ボタン231がZ軸方向の力の大きさを検出するために用いられる点である。その他の動作は、図1の静電容量式センサ10について説明したのと同様であるのでその説明は省略する。
容量素子C205の静電容量値の変化から中央ボタン231への外部からのZ軸方向の力の大きさを示す出力信号の導出方法について、第29図を参照して説明する。ここで、出力信号Vzは、外部からの力のZ軸方向成分の大きさおよび方向を示す。なお、第29図に示す容量素子C206は、常に一定の静電容量値を保つように基板220の下面に形成されており、容量素子C206を構成する一方の電極は端子T206に接続されており、他方の電極は接地されている。この容量素子C206は、容量素子C205とともに、外部からの力のZ軸方向成分の出力信号Vzを導出するために用いられる。なお、容量素子C206は、回路パターンやICなどの入力容量を利用して構成してもよい。
ここで、出力信号Vzを導出するために、端子T205、T206に対して、常にクロック信号などの周期信号が入力される。そのとき、中央ボタン231が外部からZ軸方向の力を受けて変位するのにともなって変位電極240が変位し、容量素子C205を構成する電極の間隔が変化して、容量素子C205の静電容量値が変化すると、端子T205、T206に入力された周期信号の位相にずれが生じる。このように、周期信号に生じる位相のずれを利用して、中央ボタン231が外部から受けたZ軸方向の力の大きさと方向を示す出力信号Vzを得ることができる。
さらに詳細に説明すると、端子T205、T206に対して周期信号を入力するとき、端子T205に対しては周期信号Aが入力され、一方、端子T206に対しては周期信号Aの位相とは異なる周期信号Bが入力される。そのとき、中央ボタン231が外部からZ軸方向の力を受けて、容量素子C205の静電容量値が変化すると、端子T205に入力された周期信号Aの位相にずれが生じる。なお、容量素子C206の静電容量値は変化しないため、端子T206に入力された周期信号Bの位相にはずれは生じない。従って、端子T205に入力された周期信号Aにのみ位相のずれが生じ、この周期信号Aの位相のずれを排他和回路などで読み取ることによって、出力信号Vzが導出される。この出力信号Vzの符号が、外部からの力のZ軸方向成分が正方向または負方向の向きかを示し、その絶対値がZ軸方向成分の大きさを示す。
なお、第2の実施の形態と同様に、蒸着膜401または印刷層402が形成された保持部材400、織布403、不織布404、フィルム(シート)405)を変位電極240として用いることができる。
以上のように、本実施の形態の静電容量式センサ210は、変位電極240と容量素子用電極E201〜E205との間隔の変化に起因する容量素子C201〜C205の静電容量値の変化を検出することによって、検知部材230のの変位を認識することができるため、検知部材230に外部から加えられた力の大きさを認識可能である。また、スイッチ用固定電極E211〜E214とスイッチ用可動電極E221〜E224との接触の有無を認識することができるため、これをスイッチとして利用することができる。したがって、静電容量式センサ210は、検知部材230の変位を信号(アナログ信号)として出力する機能を有する装置または/およびスイッチ機能を有する装置として利用することが可能である。これにより、この静電容量式センサ210は上記のいずれの装置としても利用できる複合デバイスとしての機能を有し、上記両用途に合わせて製造し直す必要がなくなる。
また、スイッチ機能を有する装置として利用した場合に、検知部材230に対して操作を施したとき、操作方向に対応するドーム形状をしたスイッチ用可動電極E221〜E224がクリック感を付随しつつ弾性変形してスイッチ用固定電極E211〜E214と接触するため、操作者はクリック感を感じつつ操作を行うことができ、操作を実行したことを感覚的に容易に把握することができる。また、スイッチ用可動電極E221〜E224が基準電極E231〜234に接触するように配置されているため、スイッチ用可動電極E221〜E224に対する配線を別途設ける必要がない。
また、複数の容量素子用電極E201〜E205が形成され、検知部材230が外部から受けた力のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。ここで、対となる容量素子用電極(E201およびE202、E203およびE204)に対して、互いに位相が異なる信号が供給されるため、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくでき、さらに、その信号を論理素子を利用した信号処理回路を用いるため、精度よく検出することができる。また、X軸方向およびY軸方向に対応するように複数のスイッチ用可動電極E221〜E224およびスイッチ用固定電極E211〜E214が形成されており、異なる方向に対応するスイッチとして利用することができる。なお、この構成の静電容量式センサは、パソコン、携帯電話、ゲームなどの入力装置として利用されるのに好ましい。特に、携帯電話などでは、各種の設定などを行う場合にスイッチ機能を利用できるようにし、ナビゲーションやゲームなどでは、X軸方向およびY軸方向の力を検出する信号を利用するようにすれば非常に有用である。
また、変位電極240は、直接接触することによってではなく、容量素子C231〜234(カップリングコンデンサとしての機能を有している)による容量結合によって接地された基準電極E231〜E234と電気的に結合されるため、静電容量式センサ210の耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによってセンサが破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサを得ることができる。また、基準電極E231〜234と変位電極240との間に樹脂フィルム250が配置されているが、樹脂フィルム250の一部をカットして基準電極E231〜234と変位電極240とを接触させる必要がないため、組立および実装面でも有利となる。
また、発光ダイオード300から出射された光が中央ボタン231および文字印刷部材290に印刷された記号以外の部分のみを通過して検知部材230に達するため、検知部材230を外部から見たとき、中央ボタン231および文字印刷部材290に印刷された記号を確認することができる。したがって、検知部材230の位置および操作方向を容易に把握することができるようになり、特に静電容量式センサ210を備えた機器を暗い場所で使用する場合でも検知部材に対する操作を適切に施すことができる。
なお、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の第1〜第3の実施の形態では、スイッチ用固定電極が容量素子用電極の内側に形成されたものについて説明しているが、これに限らず、スイッチ用固定電極が容量素子用電極に隣接するように形成されたものであってもよい。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、スイッチ用可動電極が基準電極と接触するように配置されたものについて説明しているが、これに限らず、変位電極が変位するのに伴ってスイッチ用固定電極と接触可能な配置であれば、どのように配置されていてもよい。なお、この場合には、スイッチ用可動電極に対する配線を別途設ける必要がある。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、変位電極が、変位電極と基準電極との間に構成される容量素子を介して接地された基準電極と電気的に接続されているものについて説明しているが、これに限らず、例えば、絶縁膜または樹脂フィルムが基板上の容量素子用電極のみに密着して基板上を覆うように形成され、基準電極およびスイッチ用可動電極を覆うようには形成されていないものであり、変位電極がスイッチ用可動電極と直接接触して接地された基準電極と電気的に接続されているものなど、変位電極は基準電極と電気的に接続されていれば、どのような構成のものであってもよい。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、スイッチ用可動電極として、ドーム形状を有する電極を用いたものについて説明しているが、これに限らず、変位電極が変位するのに伴ってスイッチ用固定電極と接触可能な電極であれば、どのような形状の電極を用いてもよい。
また、上述の第2の実施の形態では、文字印刷部材として、透光性を有さない部材に貫通孔(透光領域)が形成されているものについて説明しているが、これに限らず、透光性を有さない部材に透光性を有する部材により窓などの透光領域が形成されているものであってもよい。また、文字印刷部材として、透光性を有する部材に透光性を有さない非透光領域は形成されているものを用いてもよい。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、検知部材が容量素子用電極と、基準電極、スイッチ用可動電極およびスイッチ用固定電極とに対して一体に形成されているものについて説明しているが、これに限らず、検知部材が容量素子用電極と、基準電極、スイッチ用可動電極およびスイッチ用固定電極とのそれぞれに対応して分割されているものであってもよい。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、基板上の複数の電極に密着して基板上を覆うように絶縁膜または樹脂フィルムが形成されているものについて説明しているが、これに限らず、絶縁膜または樹脂フィルムが形成されていないものであってもよい。
また、上述の第2または第3の実施の形態では、変位電極が透光性を有しているものについて説明しているが、これに限らず、変位電極は必ずしも透光性を有していなくてもよい。ここで、変位電極が透光性を有していない場合には、発光ダイオードから出射された光の一部は、透光性を有する支持部材の内部を通過する(支持部材が導光板として働く)ことにより検知部材に導かれる。ただし、支持部材の厚さが薄く、検知部材の面積が大きい場合には、変位電極が透光性を有していることが好ましい。なお、変位電極が透光性を有する場合であっても、必ずしも全面的な(全方向の)透光性は必ずしも必要ではなく、少なくとも変位電極に垂直な方向(図中においてはZ軸方向)の透光性を有していればよい。
また、上述の第2または第3の実施の形態では、光源として発光ダイオードを用いているが、これに限らず、どのような光源であってもよい。また、光源が支持部材内部に配置されたものについて説明しているが、これに限らず、基板と検知部材との間に配置され、検知部材に対して光を出射することが可能な位置であれば、光源はどこに配置されていてもよい。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、検知部材がX軸方向およびY軸方向に対応する容量素子用電極に対して一体に形成されているものについて説明しているが、これに限らず、検知部材がX軸方向およびY軸方向に対応する容量素子用電極のそれぞれに対応して分割されているものであってもよい。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、X軸およびY軸の正方向および負方向の4方向に対応する容量素子用電極が形成されているものについて説明しているが、これに限らず、用途に合わせて必要な方向の成分だけを検出できるように容量素子用電極を形成してもよい。
産業上の利用の可能性
本発明は、各方向の力の大きさを認識する装置およびスイッチ機能を有する装置のいずれにも利用することができ、パソコン、携帯電話、ゲームなどの入力装置として用いることができる静電容量式センサとして最適である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。
第2図は、第1図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。
第3図は、第1図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
第4図は、第1図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
第5図は、第1図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。
第6図は、第1図に示す静電容量式センサの信号処理回路を示す回路図である。
第7図は、第1図に示す静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第8図は、第1図に示す信号処理回路の各端子および各節点における周期信号の波形を示す図である。
第9図は、第1図に示す静電容量式センサのX軸方向成分についての出力信号をアナログ電圧に変換する回路を含む信号処理回路を示す回路図である。
第10図は、第1図に示す静電容量式センサの第1の変形例のX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第11図は、第1図に示す静電容量式センサの第2の変形例のX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第12図は、第1図に示す静電容量式センサの第3の変形例のX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第13図は、本発明の第2の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。
第14図は、第13図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。
第15図は、第13図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
第16図は、第13図の静電容量式センサの文字印刷部材の上面図である。
第17図は、第13図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
第18図は、第13図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。
第19図は、保持部材と蒸着膜または印刷層とにより構成された変位電極を示す図である。
第20図は、織布により構成された変位電極を示す図である。
第21図は、不織布により構成された変位電極を示す図である。
第22図は、フィルムにより構成された変位電極を示す図である。
第23図は、変位電極と弾性体とを複合させた場合の構造を示す図である。
第24図は、本発明の第3の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。
第25図は、第24図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。
第26図は、第24図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
第27図は、第24図の静電容量式センサの文字印刷部材の上面図である。
第28図は、第24図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
第29図は、第24図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。
第30図は、従来の静電容量式センサの模式的な断面図である。
第31図は、第30図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
本発明は、静電容量式センサに関し、特に、多次元方向の操作入力を行うために用いて好適であると共にスイッチ機能を有する装置としても利用できる静電容量式センサに関する。
背景技術
静電容量式センサは、操作者が加えた力の大きさおよび方向を電気信号に変換する装置として一般的に利用されている。例えば、ゲーム機器の入力装置として、多次元方向の操作入力を行うための静電容量式力覚センサ(いわゆるジョイスティック)として組み込んだ装置が利用されている。
静電容量式センサでは、操作者から伝えられた力の大きさとして、所定のダイナミックレンジをもった操作量を入力することができる。また、加えられた力を各方向成分ごとに分けて検出することが可能な二次元または三次元力覚センサとしても利用されている。特に、2枚の電極によって静電容量素子を形成し、電極間隔の変化に起因する静電容量値の変化に基づいて力の検出を行う静電容量式力覚センサは、構造を単純化してコストダウンを図ることができるメリットがあるために、さまざまな分野で実用化されている。
例えば、日本国特開平7(1995)−200164号公報には、第30図に示すような静電容量式センサが開示されている。静電容量式センサ510は、基板520と、基板520上に設けられた弾性ゴム板530と、弾性ゴム板530の下面に設けられた電極部540と、基板520の上面に設けられた電極部500〜504(第31図参照)と、弾性ゴム板530を基板520に対して支持固定する押え板560と、基板520の下面に設けられた電子装置580とから構成されている。また、電極部500〜504は、第31図に示すように、Y軸に対して線対称に配置された電極部501、502と、X軸に対して線対称に配置された電極部503、504と、これらの外側に配置された円環状の電極部500とにより構成されている。また、電極部540の外周部分は、接地されている電極部500と接触しており、電極部500を介して接地されている。
操作者が弾性ゴム板530を押下すると、その押下力に伴って電極部540が下方に変位して、これと4つの電極部501〜504との間の距離が変化する。すると、4つの電極部501〜504のそれぞれと電極部540との間で構成された容量素子の静電容量値が変化する。従って、この静電容量値の変化を検出することによって、操作者が加えた力の大きさおよび方向を知ることが可能となっている。
しかしながら、第30図および第31図に示した静電容量式センサ510は、操作者が弾性ゴム板530を押下したときの力の大きさを認識することができる装置(力覚センサ)として利用するためには適しているが、異なる2つの状態(例えば、ON状態またはOFF状態)を切り替えるスイッチ機能を有する装置として利用するためには適していない。したがって、静電容量式センサ510を各方向へのスイッチ機能を有する装置として機器に組み込む場合には、静電容量式センサ510をそのまま利用することは難しく、各方向に対応するスイッチ機能を別に設ける必要がある。
そこで、本発明の目的は、各方向の力の大きさを認識する装置およびスイッチ機能を有する装置のいずれにも利用することができる静電容量式センサを提供することである。
発明の開示
本発明の静電容量式センサは、XYZ三次元座標系を定義したときに、XY平面を規定する基板と、前記基板と対向している検知部材と、前記基板と前記検知部材との間に位置し、前記検知部材がZ軸方向に変位するのにともなってZ軸方向に変位する導電性部材と、前記基板上に形成され、前記導電性部材と電気的に接続されるとともに、接地または一定の電位に保持された基準電極と、前記基板上に形成された第1の電極と、前記基板上に形成され、前記導電性部材との間で第1の容量素子を構成する第2の電極と、前記基準電極に接触し且つ前記第1の電極から離隔するように配置されていると共に、前記導電性部材が変位するのに伴って、前記第1の電極と接触可能な第3の電極とを備えており、前記第2の電極に対して入力される信号を利用して前記導電性部材と前記第2の電極との間隔の変化に起因する前記第2の容量素子の静電容量値の変化を検出することに基づく前記検知部材の変位および前記第1の電極と前記第3の電極との接触の有無の少なくとも1つを認識可能であることを特徴としている。
このような構成にすることにより、導電性部材と第2の電極との間隔の変化に起因する第1の容量素子の静電容量値の変化を検出することによって、検知部材の変位を認識することができるため、検知部材に外部から加えられた力の大きさを認識可能である。また、第1の電極と第3の電極との接触の有無を認識することができるため、これをスイッチ機能として利用することができる。したがって、本発明の静電容量式センサは、検知部材の変位(検知部材に外部から加えられた力の大きさ)を信号(アナログ信号)として出力する機能を有する装置または/およびスイッチ機能を有する装置として利用することが可能である。これにより、この静電容量式センサは上記のいずれの装置としても利用できる複合デバイスとしての機能を有し、上記両用途に合わせて製造し直す必要がなくなる。
また、本発明の静電容量式センサでは、前記第3の電極は、前記基準電極に接触していてよい。これによると、第3の電極に対する配線を別途設ける必要がない。
また、本発明の静電容量式センサでは、前記導電性部材が変位するのに伴ってクリック感を付随しつつ弾性変形する前記第3の電極を備えていてよい。
ここで、第3の電極がクリック感を付随しつつ弾性変形して第1の電極と接触可能とするために、第3の電極は、ある一定以上の外力を加えると第1の電極の方向への変位速度が(好ましくは急激に)大きくなる部材、つまり、加えられる外力が所定値を超えると、外力が所定値よりも小さいとき(このときの変位速度はゼロでもよい)よりも第1の電極の方向への変位速度が大きくなる部材で構成されている。
このような構成によると、本発明の静電容量式センサをスイッチ機能を有する装置として利用した場合に、検知部材に対して操作を施したとき、操作方向に対応する第3の電極がクリック感を付随しつつ弾性変形して第1の電極と接触するため、操作者はクリック感を感じつつ操作を行うことができ、操作を実行したことを感覚的に容易に把握することができる。特に、第3の電極がドーム形状を有しており、その内側に第1の電極が配置されている場合には、導電性部材から作用する力が所定値に達したときにドーム形状をした第3の電極の頂部近傍が急激に変位して凹んだ状態となって第1の電極に接触するため、操作者に明瞭なクリック感を与えることが可能となる。
また、本発明の静電容量式センサでは、前記基準電極と前記導電性部材との間に、第2の容量素子が構成されていてよい。このような構成によると、導電性部材が直接接触することによってではなく、容量結合によって接地または一定の電位に保持された基準電極と電気的に結合される。そのため、センサの耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによってセンサが破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサを得ることができる。また、基準電極と導電性部材との間に絶縁膜を配置した場合においても、絶縁膜の一部をカットして基準電極と導電性部材とを接触させる必要がないため、組立および実装面でも有利となる。
また、本発明の静電容量式センサでは、前記基準電極、前記第1の電極、前記第2の電極および前記第3の電極の組が複数形成されていることが好ましい。これによると、各組を別方向の力を認識するために用いることによって多次元的な力の認識が可能になる。また、異なる方向に対応するスイッチ機能を有する装置として利用することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記基準電極、前記第1の電極、前記第2の電極および前記第3の電極の組を2つ有しており、これら二組の一方を含む回路および他方を含む回路に、互いに位相が異なる信号が供給されるものであってよい。これによると、二組の一方を含む回路および他方を含む回路の時定数が同じものであるかどうかにかかわらず、検知部材の変位を認識することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記基準電極、前記第1の電極、前記第2の電極および前記第3の電極の組を2つ有しており、これら二組の一方を含むCR回路と他方を含むCR回路との時定数が異なるものであってよい。これによると、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくできるため、検知部材の変位認識の精度を向上させることができる。また、検知部材の変位検出可能範囲を大きくすることができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記基準電極、前記第1の電極、前記第2の電極および前記第3の電極の組を2つ有しており、これら二組の一方を含む回路および他方を含む回路にそれぞれ入力された信号の出力信号が排他的論理和演算、論理和演算、論理積演算、論理積演算および否定演算のいずれかを行う論理素子を利用した信号処理回路により検出されることが好ましい。これによると、出力信号を精度よく検出することができ、さらに必要に応じて検出精度を調整することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記検知部材が、前記基準電極、前記第1の電極および前記第3の電極と、前記第2の電極とのそれぞれに対応して分割されていることが好ましい。このような構成によると、操作方向に対応する外部から力とスイッチに対応する外部からの力とが明確に分離されるため、互いに干渉するのを軽減することができ、誤操作を減少させることができる。
さらに、本発明の静電容量式センサは、前記第2の電極が、Y軸に対して線対称に配置された一対の第4の電極と、X軸に対して線対称に配置された一対の第5の電極とを含んでいるものであってよい。これによると、検知部材が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記検知部材が、前記第4の電極および前記第5の電極のそれぞれに対応して分割されていることが好ましい。このような構成によると、外部からの力のX軸方向またはY軸方向の各成分が明確に分離されるため、異なる方向の成分が互いに干渉するのを軽減することができ、誤操作を減少させることができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記基板上に形成された第6の電極と、前記基準電極に接触し且つ前記第6の電極から離隔するように配置されていると共に、前記導電性部材が変位するのに伴って弾性変形して前記第6の電極と接触可能な第7の電極とをさらに備えているものであってよい。このような構成によると、上述した効果が得られるほか、さらに、検知部材の操作によって互いに接触可能な第6の電極および第7の電極を備えていることで、入力の決定操作を行う際などに使用可能なスイッチを付加することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記検知部材が、前記第2の電極および前記第6の電極に対応して分割されていることが好ましい。このような構成によると、操作方向に対応する外部からの力と決定操作に対応する外部からの力とが明確に分離されるため、これらの力が互いに干渉するのを軽減することができ、誤操作を減少させることができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記検知部材が、絶縁性を有する部材で覆われていることが好ましい。このような構成によると、検知部材が金属により形成されている場合に、検知部材の表面が空気にさらされて酸化するのを防止することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記基板上に配置された光源と、透光領域および非透光領域を有する膜状部材とをさらに備えているとともに、前記検知部材は、透光性を有しているものであってよい。このような構成によると、光源から出射された光は、膜状部材に形成された所定形状の透光部に対応する部分を通過して検知部材に達するため、検知部材を外部から見たとき、透光部の所定形状の部分のみを照らし出すようにすることができる。したがって、検知部材の位置および操作方向を容易に把握することができるようになり、特に静電容量式センサを備えた機器を暗い場所で使用する場合でも検知部材に対する操作を適切に施すことができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記導電性部材が、透光性を有していることが好ましい。このような構成によると、光源から出射された光が検知部材に導かれ易くなるため、検知部材を外部から見たとき、膜状部材に形成された透光領域の所定形状の部分を十分な明るさで照らし出すようにすることができる。
また、本発明の静電容量式センサは、有色で透光性を有しており、前記光源と前記検知部材との間に配置された着色部材をさらに備えていてよい。これによると、検知部材を外部から見たときに、透光部の所定形状の部分のみが照らし出される光の色を変更することができる。
また、本発明の静電容量式センサは、前記検知部材が、透光性および絶縁性を有する部材で覆われていることが好ましい。このような構成によると、検知部材が金属により形成されている場合に、検知部材の表面が空気にさらされて酸化するのを防止することができる。さらに、光源から出射された光は、絶縁性を有する部材を通過して外部に導かれるため、検知部材を外部から見たとき、透光領域の所定形状の部分のみを照らし出すようにすることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
第1図は、本発明の第1の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。第2図は、第1図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。第3図は、第1図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
静電容量式センサ10は、基板20と、人などによって操作されることによって外部から力が加えられる操作用の検知部材30と、変位電極40と、基板20上に形成された容量素子用電極E1〜E4と、ドーム形状を有するスイッチ用可動電極E21〜E24(第1図ではE21およびE22のみを示す)と、その内側に配置されたスイッチ用固定電極E11〜E14(第1図ではE11およびE12のみを示す)と、ドーム形状を有するボタン用可動電極E25と、その内側に配置されたボタン用固定電極E15と、基準電極(共通電極)E31〜35と、複数の電極に密着して基板20上を覆うように形成された絶縁膜50と、検知部材30および変位電極40を基板20に対して支持固定する支持部材60と、支持部材60および検知用部材30の周囲を覆うように配置されたカバーケース70とを有している。
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、XYZ三次元座標系を定義し、この座標系を参照しながら各部品に配置説明を行うことにする。すなわち、第1図では、基板20上のボタン用固定電極E15の中心位置に原点Oが定義され、右水平方向にX軸が、上垂直方向にZ軸が、紙面に垂直奥行方向にY軸がそれぞれ定義されている。ここで、基板20の表面は、XY平面を規定し、基板20上のボタン用固定電極E15、検知部材30および変位電極40のそれぞれの中心位置をZ軸が通ることになる。
基板20は、一般的な電子回路用のプリント回路基板であり、この例ではガラスエポキシ基板が用いられている。また、基板20として、ポリイミドフィルムなどのフィルム状の基板を用いてもよいが、フィルム状の基板の場合は可撓性を有しているため、十分な剛性をもった支持基板上に配置して用いるのが好ましい。
検知部材30は、原点を中心とする円形の中央ボタン31と、中央ボタン31の外側に配置されたリング状のサイドボタン32とから構成されている。ここで、中央ボタン31の径は、基準電極E35の外径とほぼ同じである。また、サイドボタン32は、受力部となる小径の上段部32aと上段部32aの下端部に伸延する大径の下段部32bから構成されており、上段部32aの径は、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同じであり、下段部32bの径は、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きくなっている。なお、中央ボタン31およびサイドボタン32は別部材である方が好ましいが、同一部材であってもよい。
中央ボタン31は、ボタン用可動電極E25、ボタン用固定電極E15および基準電極E35に対応するように支持部材60の上面に接着されている。また、サイドボタン32は、その下段部32bがカバーケース70の一部である止め部70aにより押止され、支持部材60の上面に抜け止め構造により配置されている。なお、サイドボタン32は支持部材60の上面に接着されていてもよい。
また、サイドボタン32の上段部32aの上面には、第2図に示すように、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応するように、すなわち、容量素子用電極E1〜E4に対応するように、操作方向(カーソルの移動方向)に対応した矢印が形成されている。
支持部材60は、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい径を有する円盤状の部材であり、弾性を有するシリコンゴムにより形成されている。また、支持部材60の下面には、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい径を有する円形で下方に開いた凹部60aが形成されており、支持部材60の下面の凹部60a以外の部分が基盤20に接触するように配置されている。
変位電極40は、導電性を有するシリコンゴムで形成され、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同一の径を有する円盤状であり、支持部材60の下面の凹部60a内に付着されている。また、変位電極40の下面のボタン用固定電極E15に対向する位置には突起体41が形成されており、スイッチ用固定電極E11〜E14にそれぞれ対向する位置には、4つの突起体42が形成されている。
なお、変位電極40としては、シリコンゴムの他、例えば、導電性インク、導電性熱可塑性樹脂(PPT、エラストマー)、導電性プラスチック、金属蒸着フィルムを用いてもよい。また、変位電極40の突起体41、42は無くてもよい。
また、基板20上には、第3図に示すように、原点Oを中心とする円形のボタン用固定電極E15と、ボタン用固定電極E15の外側に配置されたリング状の基準電極E35と、その外側に扇形であり、それぞれのほぼ中央部に円形の孔H1〜H4を有する容量素子用電極E1〜E4と、孔H1〜H4の内側で、孔H1〜H4の径よりも小さい外径を有するリング状の基準電極E31〜E34と、基準電極E31〜E34の内側に配置されたスイッチ用固定電極E11〜E14とが形成されている。
一対の容量素子用電極E1およびE2は、X軸方向に離隔してY軸に対して線対称に配置されている。また、一対の容量素子用電極E3およびE4は、Y軸方向に離隔してX軸に対して線対称に配置されている。ここでは、容量素子用電極E1はX軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E2はX軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のX軸方向成分の検出に利用される。また、容量素子用電極E3はY軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E4はY軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のY軸方向成分の検出に利用される。
容量素子用電極E1〜E4、スイッチ用固定電極E11〜E14、ボタン用固定電極E15および基準電極E31〜35は、スルーホールなどを利用して端子T1〜T4、T11〜T14、T15およびT31〜T35(第4図参照)にそれぞれ接続されており、これらの端子を通じて外部の電子回路に接続されるようになっている。なお、ここでは、基準電極E31〜35は、端子T31〜T35を介して接地されている。
また、基準電極E31〜34にそれぞれ接触するとともに、スイッチ用固定電極E11〜E14と離隔しつつこれを覆うようにドーム状のスイッチ用可動電極E21〜E24が配置されている。したがって、スイッチ用可動電極E21〜E24は孔H1〜H4よりも大きい径を有している。同様に、基準電極E35に接触するとともに、ボタン用固定電極E15と離隔しつつこれを覆うようにドーム状のボタン用可動電極E25が配置されている。したがって、ボタン用可動電極E25は基準電極E35の内径よりも大きい径を有している。
また、絶縁膜50は、基板20上の容量素子用電極E1〜E4、基準電極E31〜35の一部およびスイッチ用可動電極E21〜E25に密着して、基板20上を覆うように形成されている。このため、銅などで形成された容量素子用電極E1〜E4、基準電極E31〜35およびスイッチ用可動電極E21〜E25の絶縁膜50で覆われている部分は空気にさらされることがなく、それらが酸化されるのを防止する機能を有している。なお、容量素子用電極E1〜E4、基準電極E31〜35およびスイッチ用可動電極E21〜E25に対して、その表面への金メッキの形成などの酸化防止対策を施しておいてもよい。また、絶縁膜50が形成されているため、容量素子用電極E1〜E4、基準電極E31〜35およびスイッチ用可動電極E21〜E24と、変位電極40とが直接接触することはない。
次に、上述のように構成された本実施の形態に係る静電容量式センサ10の構成について、図面を参照して説明する。第4図は、第1図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
静電容量式センサ10の構成と等価な回路構成について、第4図を参照して説明する。基板20上に形成された容量素子用電極E1〜E4および基準電極E31〜E35は、変位電極40と対向しており、共通の電極である変位可能な変位電極40と、固定された個別の容量素子用電極E1〜E4および基準電極E31〜E35との間で容量素子C1〜C4および容量素子C31〜35を形成している。容量素子C1〜C4および容量素子C31〜35は、それぞれ変位電極40の変位に起因して静電容量値が変化するように構成された可変容量素子であるということができる。
容量素子C1〜C4のそれぞれの静電容量値は、変位電極40と、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれに接続された端子T1〜T4との間の静電容量値として、それぞれ独立して測定することができる。ここで、基準電極E31〜E35は、それぞれ端子T31〜T35を介して接地されており、容量素子C1〜C4における共通の電極である変位電極40は、容量素子C31〜C35および端子T31〜T35を介して接地されていると考えられる。すなわち、容量素子C31〜C35は、変位電極40と端子T31〜T35とを容量結合している。
また、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応する基準電極E31〜E34に接続されたスイッチ用可動電極E21〜E24は、スイッチ用固定電極E11〜E14と接触する位置または接触しない位置を選択的にとり得ることにより、基準電極E31〜E34と端子T11〜T14とを接続させるまたは接続させないスイッチS1〜S4としての機能を有している。さらに、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向の4方向に対応するスイッチS1〜S4とは別に、基準電極E35に接続されたスイッチ用可動電極E25は、スイッチ用固定電極E15と接触する位置または接触しない位置を選択的にとり得ることにより、基準電極E35と端子T15とを接続させるまたは接続させないスイッチS5としての機能を有している。ここで、スイッチS1〜S5の状態に対応するスイッチ信号は、端子T11〜T14からそれぞれ出力される。
次に、静電容量式センサ10が検知部材30への力の大きさを検出する装置(力覚センサ)として利用される場合の動作について説明する。
まず、容量素子C1〜C4のそれぞれの静電容量値の変化から検知部材30への外部からの力の大きさおよび方向を示す出力信号の導出方法について、図面を参照して説明する。第5図は、第1図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。なお、第5図では出力信号を導出する方法の説明に必要な部分のみを示している。また、出力信号Vx、Vyは、それぞれ外部からの力のX軸方向成分およびY軸方向成分の大きさおよび方向を示す。
ここで、出力信号Vx、Vyを導出するために、端子T1〜T4に対して、常にクロック信号などの周期信号が入力される。端子T1に入力された周期信号に対して、2つの容量素子C1とC31は直列に接続された関係となっている。同様に、2つの容量素子C2とC32は端子T2に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C3とC33は端子T3に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C4とC34は端子T4に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっている。
端子T1〜T4に周期信号が入力されている状態で検知部材30が外部からの力を受けて変位すると、これにともなって変位電極40がZ軸方向に変位し、容量素子C1〜C4の電極間隔が変化して、容量素子C1〜C4のそれぞれの静電容量値が変化する。すると、端子T1〜T4に入力された周期信号の位相にずれが生じる。このように、周期信号に生じる位相のずれを利用して、検知部材30の変位、つまり検知部材30が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の大きさと方向を示す出力信号Vx、Vyを得ることができる。
さらに詳細に説明すると、端子T1〜T4に対して周期信号を入力するとき、端子T1、T3に対しては周期信号Aが入力され、一方、端子T2、T4に対しては周期信号Aと同一の周期で、かつ、周期信号Aの位相とは異なる周期信号Bが入力される。そのとき、検知部材30が外部から力を受けて、容量素子C1〜C4の静電容量値がそれぞれ変化すると、端子T1〜T4にそれぞれ入力された周期信号Aまたは周期信号Bの位相にそれぞれ異なった量のずれが生じる。
すなわち、外部からの力にX軸正方向成分が含まれる場合は、容量素子C1の静電容量値が変化し、端子T1に入力された周期信号Aの位相にずれが生じる。また、外部からの力にX軸負方向成分が含まれる場合は、容量素子C2の静電容量値が変化し、端子T2に入力された周期信号Bの位相にもずれが生じる。ここで、容量素子C1、C2の静電容量値の変化量は、それぞれ外部からの力のX軸正方向成分、X軸負方向成分の大きさに対応している。このように、端子T1および端子T2にそれぞれ入力された周期信号Aおよび周期信号Bの位相のずれを排他和回路で読み取ることによって、出力信号Vxが導出される。この出力信号Vxの符号が、外部からの力のX軸方向成分が正方向または負方向の向きかを示し、その絶対値がX軸方向成分の大きさを示す。
また、外部からの力にY軸正方向成分が含まれる場合は、容量素子C3の静電容量値が変化し、端子T3に入力された周期信号Aの位相にずれが生じる。また、外部からの力にY軸負方向成分が含まれる場合は、容量素子C4の静電容量値が変化し、端子T4に入力された周期信号Bの位相にもずれが生じる。ここで、容量素子C3、C4の静電容量値の変化量は、それぞれ外部からの力のY軸正方向成分、Y軸負方向成分の大きさに対応している。このように、端子T3および端子T4にそれぞれ入力された周期信号Aおよび周期信号Bの位相のずれを排他和回路で読み取ることによって、出力信号Vyが導出される。この出力信号Vyの符号が、外部からの力のY軸方向成分が正方向または負方向の向きかを示し、その絶対値がY軸方向成分の大きさを示す。
なお、外部からの力にX軸方向成分またはY軸方向成分が含まれる場合において、X軸正方向およびX軸負方向の両方の成分またはY軸正方向およびY軸負方向の両方の成分を含む場合がある。ここで、例えばX軸方向について考えると、X軸正方向成分およびX軸負方向成分のそれぞれの大きさが同じ場合の出力信号Vxの値は、外部からの力にX軸方向成分が含まれない場合の出力信号Vxの値とほとんど同じである(詳細は、後述する)。一方、X軸正方向成分とX軸負方向成分とが異なる場合には、端子T1、T2に入力されたそれぞれの周期信号Aおよび周期信号Bの位相のずれる量がそれぞれ異なり、上述した場合と同様に、その位相のずれを排他和回路で読み取ることによって、出力信号Vxが導出される。また、このことは、Y軸方向についての出力信号Vyの導出に対しても同様のことがいえる。
次に、端子T1〜T4に入力された周期信号A、Bによる出力信号Vx、Vyを導出するための信号処理回路について、図面を参照しながら説明する。第6図は、第1図に示す静電容量式センサの信号処理回路を示す回路図である。なお、第6図では信号処理回路の説明に必要な部分のみを示している。
第6図に示す信号処理回路において、端子T1〜T4には、図示されていない交流信号発振器から所定周波数の周期信号が入力される。これらの端子T1〜T4には、抵抗素子R1〜R4がそれぞれ接続されている。また、抵抗素子R1、R2の出力端および抵抗素子R3、R4の出力端には、それぞれ排他和回路の論理素子であるEX−OR素子81、82が接続されており、その出力端は端子T51、T52に接続されている。また、抵抗素子R1〜R4の出力端は、それぞれ容量素子用電極E1〜E4と変位電極40との間で構成する容量素子C1〜C4に接続されている。また、容量素子C1、C2のそれぞれの一方の電極である変位電極40は、変位電極40と基準電極E31との間で構成される容量素子C31を介して接地されている。同様に、容量素子C3、C4のそれぞれの一方の電極である変位電極40は、変位電極40と基準電極E33との間で構成される容量素子C33を介して接地されている。なお、変位電極40と基準電極E31〜E35との間で構成される容量素子C31〜C35は、いずれも同様に変位電極40を接地させる機能を有している。
ここから、例として、X軸方向成分の出力信号Vxの導出方法について、第7図を参照して説明する。なお、Y軸方向成分の出力信号Vyの導出方法についても同様であるので説明を省略する。第7図は、第1図に示す静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図(第6図の一部分)である。この信号処理回路において、容量素子C1と抵抗素子R1および容量素子C2と抵抗素子R2はそれぞれCR遅延回路を形成している。端子T1、T2に入力された周期信号(矩形波信号)は、それぞれCR遅延回路によって所定の遅延が生じ、EX−OR素子81において合流する。
なお、端子T1、T2に対して十分な駆動能力を持った信号を供給することが出来ない場合には、端子T1と抵抗素子R1との間および端子T2と抵抗素子R2との間にインバータ素子を挿入するのが好ましい。ここで、インバータ素子は、CR遅延回路を駆動するために十分な駆動電力を発生させる素子であり、論理的には意味のない素子である。また、インバータ素子として、同一の素子を用いることにより、異なる経路の信号を同じ条件で比較することが可能である。
次に、第7図の回路の動作について、第8図を参照して説明する。第8図は、第7図に示す信号処理回路の各端子および各節点における周期信号の波形を示す図である。
第7図の信号処理回路において、端子T1、T2のそれぞれに入力された周期信号は、CR遅延回路を通過することにより、それぞれ所定の遅延を生じて、それぞれEX−OR素子81に入力される。詳細に説明すると、端子T1には周期信号f(φ)(上述の周期信号Aに対応しており、以下周期信号Aと称する)が入力され、また、端子T2にはf(φ)と同一の周期で、かつ、位相がθだけずれている周期信号f(φ+θ)(上述の周期信号Bに対応しており、以下周期信号Bと称する)が入力される。ここでは、周期信号Aのデューティ比D0は50%であり、周期信号Bは周期信号Aの位相が周期信号Aの周期の1/4だけ進んでいる場合について説明する。
ここで、端子T1、T2にそれぞれ入力される異なる位相の周期信号Aおよび周期信号Bは、1つの交流信号発振器から出力された周期信号を2つの経路に分け、その一方の経路に図示しないCR遅延回路を設け、CR遅延回路を通過する周期信号の位相を遅延させることによって発生させられる。なお、周期信号の位相をずらせる方法は、CR遅延回路を用いる方法に限らず、他のどのような方法であってもよいし、また、2つの交流信号発振器を用いて、それぞれ異なる位相の周期信号Aおよび周期信号Bを発生させ、端子T1、T2のそれぞれに入力してもよい。
第8図の(a)、(b)は、端子T1、T2に入力される周期信号Aおよび周期信号Bの波形を示している。ここで、検知部材30に外部から力が作用していない(操作が施されない)状態では、端子T1、T2に入力される周期信号Aおよび周期信号Bはほとんど遅延することなくEX−OR素子81に入力される。したがって、EX−OR素子81には、端子T1、T2における周期信号と同一の波形の信号が入力され、これらの信号の間で排他的論理演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子T51に対して出力される出力信号Vxは、第8図の(c)に示すように、デューティ比D1を有する矩形波信号である。
次に、検知部材30にX軸正方向への操作のみが施された場合には、端子T1に入力される周期信号Aは、容量素子C1および抵抗素子R1で構成する遅延回路を通過することにより遅延して節点X1に到達する。ここで、第8図(d)は、端子T1に周期信号Aを入力した場合の第7図に示す信号処理回路の節点X1における電位の変化を示している。
端子T1に「Hi」または「Lo」の信号を繰り返す周期信号が入力された場合には、第8図(d)に示すように、「Hi」の信号の入力が開始するとCR遅延回路を構成する容量素子C1に次第に電荷が蓄えられることにより、節点X1における電位は次第に増加し、また、「Lo」の信号の入力が開始するとCR遅延回路を構成する容量素子C1の電荷が次第に放電されることにより節点X1における電位は次第に減少するという変化を繰り返す。
なお、実際には、節点X1の電位の波形は、所定のしきい値を有するコンパレータ(図示しない)を介することによって矩形波(パルス波形)に変換されるようになっている。このコンパレータでは、設定されたしきい値よりも大きい場合は「Hi」の信号を出力し、小さい場合は「Lo」の信号を出力することにより矩形波を形成する。ここで、EX−OR素子81がC−MOS型の論理素子の場合には、電源電圧がVccであれば、コンパレータのしきい値電圧をVcc/2程度としておくことが好ましい。このように、節点X1の電位の波形は、コンパレータを介することにより、第8図(e)に示すように、デューティ比D2を有する矩形波に変換される。
また、このとき、端子T2に入力される周期信号Bはほとんど遅延することがないため、節点X2に到達する周期信号の波形は周期信号B(第8図(b)に示す波形の信号)と同一である。
したがって、EX−OR素子81には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号(第8図(b)および第8図(e)に示す波形の信号)が入力され、これらの信号の間で排他的論理演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子T51に対して出力される出力信号Vxは、第8図(f)に示すようにデューティ比D3を有する矩形波信号である。
なお、検知部材30のX軸正方向部分がさらに押下されると、変位電極40と容量素子用電極E1との間隔が小さくなり、それに伴って容量素子C1の静電容量値が大きくなる。このとき、周期信号Aが遅延回路を通過することによる位相のずれ(遅延する量)はおおきくなり、端子T51に対して出力される出力信号Vxのデューティ比D3も大きくなる。
次に、検知部材30にX軸負方向への操作のみが施された場合には、端子T2に入力される周期信号Bは、容量素子C2および抵抗素子R2で構成する遅延回路を通過することにより遅延して節点X2に到達する。ここで、第8図(g)は、端子T2に周期信号Bを入力した場合の第7図に示す信号処理回路の節点X2における電位の変化を示している。
端子T2に「Hi」または「Lo」の信号を繰り返す周期信号が入力された場合には、第9図(g)に示すように、「Hi」の信号の入力が開始するとCR遅延回路を構成する容量素子C2に次第に電荷が蓄えられることにより、節点X2における電位は次第に増加し、また、「Lo」の信号の入力が開始するとCR遅延回路を構成する容量素子C2の電荷が次第に放電されることにより節点X2における電位は次第に減少するという変化を繰り返す。
なお、実際には、節点X2の電位の波形は、所定のしきい値を有するコンパレータ(図示しない)を介することによって矩形波(パルス波形)に変換されるようになっている。このコンパレータでは、設定されたしきい値よりも大きい場合は「Hi」の信号を出力し、小さい場合は「Lo」の信号を出力することにより矩形波を形成する。ここで、EX−OR素子81がC−MOS型の論理素子の場合には、電源電圧がVccであれば、コンパレータのしきい値電圧をVcc/2程度としておくことが好ましい。このように、節点X2の電位の波形は、コンパレータを介することにより、第8図(h)に示すように、デューティ比D4を有する矩形波に変換される。
また、このとき、端子T1に入力される周期信号Aはほとんど遅延することがないため、節点X1に到達する周期信号の波形は周期信号A(第8図(a)に示す波形の信号)と同一である。
したがって、EX−OR素子81には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号(第8図(a)および第8図(h)に示す波形の信号)が入力され、これらの信号の間で排他的論理演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子T51に対して出力される出力信号Vxは、第8図(i)に示すようにデューティ比D5を有する矩形波信号である。
検知部材30のX軸負方向部分がさらに押下されると、変位電極40と容量素子用電極E2との間隔が小さくなり、それに伴って容量素子C2の静電容量値が大きくなる。このとき、周期信号Bが遅延回路を通過することによる位相のずれ(遅延する量)はおおきくなり、端子T51に対して出力される出力信号Vxのデューティ比D3は小さくなる。
このように、検知部材30にX軸負方向への操作のみが施された場合に端子T51に対して出力される出力信号Vxのデューティ比D5(第8図(i)参照)は、検知部材30にX軸正方向への操作のみが施された場合に端子T51に対して出力される出力信号Vxのデューティ比D2(第8図(e)参照)よりも小さくなっている。
ここで、検知部材30にX軸正方向およびX軸負方向への操作が同時に施された場合には、端子T1、T2に入力される周期信号Aおよび周期信号Bは、容量素子C1および抵抗素子R1で構成する遅延回路および容量素子C2および抵抗素子R2で構成する遅延回路をそれぞれ通過して節点X1、X2に到達する。したがって、このときの節点X1、X2における電位の変化は第8図(d)および第8図(g)に示すようになる。
したがって、EX−OR素子81には、節点X1、X2における電位の変化(第8図(d)および第8図(g)に示す波形)を所定のしきい値でデジタル化した信号(第8図(e)および第8図(h)に示す波形の信号)が入力され、これらの信号の間で排他的論理演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子T51に対して出力される出力信号Vxは、第8図(j)に示すようにデューティ比D6を有する矩形波信号である。
このように、検知部材30にX軸正方向およびX軸負方向への操作が同時に施された場合に端子T51に対して出力される出力信号Vxのデューティ比D6(第8図(j)参照)は、検知部材30に操作が施されない場合に端子T51に対して出力される出力信号Vxのデューティ比D1(第9図(c)参照)とほとんど同じである。但し、両者の信号の位相はずれている。
また、端子T51に対して出力される出力信号Vxは、アナログ電圧Vx’に変換して利用することができる。第9図は、第1図に示す静電容量式センサのX軸方向成分についての出力信号をアナログ電圧に変換する回路を含む信号処理回路を示す回路図である。
第9図に示すように、端子T51に対して出力される出力信号Vxは、抵抗素子R70および容量素子C70で構成されるローパスフィルター70を通過することにより平滑され、端子70に対してアナログ電圧Vx’として出力される。このアナログ電圧Vx’の値は、出力信号Vxのデューティ比に比例して変化する。したがって、出力信号Vxのデューティ比が大きくなるとそれに伴ってアナログ電圧Vx’の値も大きくなり、一方、出力信号Vxのデューティ比が小さくなるとそれに伴ってアナログ電圧Vx’の値も小さくなる。また、出力信号Vxデューティ比がほとんど変化しないときはアナログ電圧Vx’の値もほとんど変化しない。
次に、静電容量式センサ10がスイッチ機能を有する装置(スイッチ信号出力装置)として利用される場合の動作について説明する。ここでは、検知部材30のX軸正方向に対応する部分が押し下げられた場合の動作についてのみ説明する。なお、検知部材30のX軸負方向、Y軸正方向またはY軸負方向に対応する部分が押し下げられた場合の動作は、X軸正方向に対応する部分が押し下げられた場合の動作と同様であるため、その説明は省略する。
検知部材30に操作が施されていない場合には、スイッチ用可動電極E21とスイッチ用固定電極E11とは離隔しているため、スイッチS1はOFF状態であり、端子11からはOFF状態を示すスイッチ信号が出力されている。そして、検知部材30のX軸正方向に対応する部分が押し下げられると、変位電極40に形成されたX軸正方向に対応する突起体42が下方へと変位する。すると、突起体42から絶縁膜50を介してスイッチ用可動電極E21の中央部に対して下方向への力が作用する。そして、その力が所定値に満たないときにはスイッチ用可動電極E21はほとんど変位しないが、その力が所定値に達したときには、スイッチ用可動電極E21の頂部近傍部分が座屈を伴って急激に弾性変形して凹んだ状態となってスイッチ用固定電極E11と接触する。これにより、スイッチS1がON状態になって、操作者には、明瞭なクリック感が与えられることになる。また、このとき、端子11から出力されるスイッチ信号は、OFF状態を示す信号からON状態を示す信号に切り替わる。
このように、操作者は検知部材30のX軸正方向、X軸負方向、Y軸正方向およびY軸負方向に対応する部分を押下することにより、それぞれの方向に対応した4つの独立したスイッチ信号を出力することができる。
なお、静電容量式センサ10が検知部材30への力の大きさを検出する装置およびスイッチ機能を有する装置として利用される場合のいずれにおいても、中央ボタン31を押下して、ボタン用可動電極E25とボタン用固定電極E15とで構成されるスイッチS5を切り替えることにより、独立したスイッチ信号を端子15から出力することができる。したがって、これを決定操作用のスイッチとして利用することができる。
また、静電容量式センサ10が、検知部材30への力の大きさを検出する装置およびスイッチ機能を有する装置のいずれにも併用されている場合も考えられる。このときには、検知部材30のX軸正方向に対応する部分が(スイッチ用可動電極E21とスイッチ用固定電極E11とが離隔している状態を保持する程度の力で)押し下げられると、スイッチS1がOFF状態において、変位電極40のX軸正方向部分と容量素子用電極E1との間隔が変化し、容量素子C1の静電容量値が変化する。この静電容量値の変化から検知部材30のX軸正方向に加えられた力の大きさが認識される。そして、その力が所定値に達したときには、スイッチ用可動電極E21の頂部近傍部分が座屈を伴って急激に弾性変形して凹んだ状態となってスイッチ用固定電極E11と接触して、スイッチS1がON状態になる。その後、引き続き検知部材30が変位すると、スイッチS1がON状態を保持しつつ変位電極40がさらに変位することにより、変位電極40のX軸正方向部分と容量素子用電極E1との間隔が変化し、容量素子C1の静電容量値が変化する。この静電容量値の変化から検知部材30のX軸正方向に加えられた力の大きさを認識する。
以上のように、本実施の形態の静電容量式センサ10は、変位電極40と容量素子用電極E1〜E4との間隔の変化に起因する容量素子C1〜C4の静電容量値の変化を検出することによって、検知部材30のサイドボタン32の変位を認識することができるため、検知部材30のサイドボタン32に外部から加えられた力の大きさを認識可能である。また、スイッチ用固定電極E11〜E14とスイッチ用可動電極E21〜E24との接触の有無を認識することができるため、これをスイッチ機能として利用することができる。したがって、静電容量式センサ10は、検知部材30のサイドボタン31の変位を信号(アナログ信号)として出力する機能を有する装置または/およびスイッチ機能を有する装置として利用することが可能である。これにより、この静電容量式センサ10は上記のいずれの装置としても利用できる複合デバイスとしての機能を有し、上記両用途に合わせて製造し直す必要がなくなる。
また、スイッチ機能を有する装置として利用した場合に、検知部材30のサイドボタン32に対して操作を施したとき、操作方向に対応するドーム形状をしたスイッチ用可動電極E21〜E24がクリック感を付随しつつ弾性変形してスイッチ用固定電極E11〜E14と接触するため、操作者はクリック感を感じつつ操作を行うことができ、操作を実行したことを感覚的に容易に把握することができる。また、スイッチ用可動電極E21〜E24およびボタン用可動電極E25が基準電極E31〜35に接触するように配置されているため、スイッチ用可動電極E21〜E24およびボタン用可動電極E25に対する配線を別途設ける必要がない。
また、複数の容量素子用電極E1〜E4が形成され、検知部材30のサイドボタン32が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。ここで、対となる容量素子用電極(E1およびE2、E3およびE4)に対して、互いに位相が異なる信号が供給されるため、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくでき、さらに、その信号を論理素子を利用した信号処理回路を用いるため、精度よく検出することができる。また、X軸方向およびY軸方向に対応するように複数のスイッチ用可動電極E21〜E24およびスイッチ用固定電極E11〜E14が形成されており、異なる方向に対応するスイッチとして利用することができる。
また、変位電極40は、直接接触することによってではなく、容量素子C31〜C35(カップリングコンデンサとしての機能を有している)による容量結合によって接地された基準電極E31〜E35と電気的に結合されるため、静電容量式センサ10の耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによってセンサが破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサを得ることができる。また、基準電極E31〜35と変位電極40との間に絶縁膜50が配置されているが、絶縁膜50の一部をカットして基準電極E31〜35と変位電極40とを接触させる必要がないため、組立および実装面でも有利となる。
また、決定操作用のスイッチ(中央ボタン31)の付いた入力装置を作成することができ、決定操作をしたときに、明確な操作触感が得られるため、誤操作を防止することができる。また、検知部材130が中央ボタン131とサイドボタン132とに分割されているため、サイドボタン132に作用する操作方向に対応する外部からの力と中央ボタン131に作用する決定操作に対応する外部からの力とが明確に分離されるため、これらの力が互いに干渉するのを軽減することができ、誤操作を減少させることができる。なお、この構成の静電容量式センサは、パソコン、携帯電話、ゲームなどの入力装置として利用されるのに好ましい。
次に、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例について、図面を参照しつつ説明する。第10図は、第1の変形例に係る静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。第10図の信号処理回路が、第1図の静電容量式センサの信号処理回路と異なる点は、論理素子として、EX−OR素子の代わりにOR素子が用いられている点である。なお、その他の構成は、第1図の静電容量式センサと同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
第10図において、検知部材30のX軸正方向部分が押下されると、端子T1に入力された周期信号Aは、容量素子C1と抵抗素子R1により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X1に到達する。このとき、節点X1における周期信号には、第8図(e)に示すように所定の遅延が生じている。同様に、検知部材30のX軸負方向部分が押下されると、端子T2に入力された周期信号Bは、容量素子C2と抵抗素子R2により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X2に到達する。このとき、節点2における周期信号には、第8図(h)に示すように所定の遅延が生じている。
したがって、第7図と同様に、OR素子83には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号が入力され、これらの信号の間で論理和演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子51に対して出力される信号は、所定のデューティ比をもった矩形波信号である。
ここで、OR素子83が用いられた場合に端子51に対して出力される矩形波信号と検知部材30に操作が施されていないときに端子51に対して出力される矩形波信号との間のデューティ比の変化量は、EX−OR素子が用いられた場合に端子51に対して出力される矩形波信号のそれと比較して小さくなり、このため、静電容量式センサとしての感度が低減すると考えられる。
したがって、静電容量式センサの各部材が感度が非常によくなる材料で製作された場合に、信号処理回路の構成によって、静電容量式センサの感度を調節する(ここでは、感度を低下させる)ために用いるのに好ましい。
次に、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例について、図面を参照しつつ説明する。第11図は、第2の変形例に係る静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。第11図の信号処理回路が、第1図の静電容量式センサの信号処理回路と異なる点は、論理素子として、EX−OR素子の代わりにAND素子が用いられている点である。なお、その他の構成は、第1図の静電容量式センサと同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
第11図において、検知部材30のX軸正方向部分が押下されると、端子T1に入力された周期信号Aは、容量素子C1と抵抗素子R1により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X1に到達する。このとき、節点X1における周期信号には、第8図(e)に示すように所定の遅延が生じている。同様に、検知部材30のX軸負方向部分が押下されると、端子T2に入力された周期信号Bは、容量素子C2と抵抗素子R2により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X2に到達する。このとき、節点2における周期信号には、第8図(h)に示すように所定の遅延が生じている。
したがって、第7図と同様に、AND素子84には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号が入力され、これらの信号の間で論理和演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子51に対して出力される信号は、所定のデューティ比をもった矩形波信号である。
ここで、AND素子84が用いられた場合に端子51に対して出力される矩形波信号と検知部材30に操作が施されていないときに端子51に対して出力される矩形波信号との間のデューティ比の変化量は、EX−OR素子が用いられた場合に端子51に対して出力される矩形波信号のそれと比較して小さくなり、このため、静電容量式センサとしての感度が低減すると考えられる。
したがって、静電容量式センサの各部材が、静電容量式センサとしたときの感度が非常によくなる材料で製作された場合に、信号処理回路の構成によって、静電容量式センサの感度を調節する(ここでは、感度を低下させる)ために用いるのが好ましい。
次に、本発明の第1の実施の形態の第3の変形例について、図面を参照しつつ説明する。第12図は、第3の変形例に係る静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。第12図の信号処理回路が、第1図の静電容量式センサの信号処理回路と異なる点は、論理素子として、EX−OR素子の代わりにNAND素子が用いられている点である。なお、その他の構成は、第1図の静電容量式センサと同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
第12図において、検知部材30のX軸正方向部分が押下されると、端子T1に入力された周期信号Aは、容量素子C1と抵抗素子R1により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X1に到達する。このとき、節点X1における周期信号には、第8図(e)に示すように所定の遅延が生じている。同様に、検知部材30のX軸負方向部分が押下されると、端子T2に入力された周期信号Bは、容量素子C2と抵抗素子R2により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X2に到達する。このとき、節点2における周期信号には、第8図(h)に示すように所定の遅延が生じている。
したがって、第7図と同様に、NAND素子85には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号が入力され、これらの信号の間で論理和演算が行われた後、引き続き否定演算が行われ、その結果を端子T51に対して出力される。ここで、端子51に対して出力される信号は、所定のデューティ比をもった矩形波信号である。
ここで、NAND素子85が用いられた場合に端子51に対して出力される矩形波信号と検知部材30に操作が施されていないときに端子51に対して出力される矩形波信号との間のデューティ比の変化量は、EX−OR素子が用いられた場合に端子51に対して出力される矩形波信号のそれと比較して小さくなり、このため、静電容量式センサとしての感度が低減すると考えられる。
したがって、静電容量式センサの各部材が、静電容量式センサとしたときの感度が非常によくなる材料で製作された場合に、信号処理回路の構成によって、静電容量式センサの感度を調節する(ここでは、感度を低下させる)ために用いるのが好ましい。
次に、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
第13図は、本発明の他の実施の形態に係る静電容量式センサの側面の模式的な断面図である。第14図は、第13図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。第15図は、第13図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。第16図は、第13図の静電容量式センサの文字印刷部材の上面図である。
静電容量式センサ110は、基板120と、人などによって操作されることによって外部から力が加えられる操作用の検知部材130と、変位電極140と、基板120上に形成された容量素子用電極E101〜E104と、ドーム形状を有するスイッチ用可動電極E121〜E124(第13図ではE121およびE122のみを示す)と、その内側に配置されたスイッチ用固定電極E111〜E114と、基準電極(共通電極)E131〜E134と、複数の電極に密着して基板120上を覆うように形成された樹脂フィルム150と、変位電極140を基板120に対して支持固定する支持部材160と、検知部材130と支持部材160との間に配置された文字印刷部材180および有色印刷部材190と、支持部材160内部に配置された発光ダイオード200と、支持部材160の周囲を覆うように配置されたカバーケース170とを有している。
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、XYZ三次元座標系を定義し、この座標系を参照しながら各部品に配置説明を行うことにする。すなわち、基板120上の容量素子用電極E101〜E104の中心位置(第13図では、容量素子用電極E101、E102の間の中心位置)に原点Oが定義され、右水平方向にX軸が、上垂直方向にZ軸が、紙面に垂直奥行方向にY軸がそれぞれ定義されている。ここで、基板120の表面は、XY平面を規定し、基板120上の容量素子用電極E101〜E104の中心位置、検知部材130、文字印刷部材180、有色印刷部材190および変位電極140のそれぞれの中心位置をZ軸が通ることになる。
基板120は、基板20と同様に、一般的な電子回路用のプリント回路基板であり、この例ではガラスエポキシ基板が用いられている。また、基板120として、ポリイミドフィルムなどのフィルム状の基板を用いてもよいが、フィルム状の基板の場合は可撓性を有しているため、十分な剛性をもった支持基板上に配置して用いるのが好ましい。
検知部材130は、受力部となる小径の上段部131と、上段部131の下端部に伸延する大径の下段部132とから構成され、全体として円盤状の透光性を有するポリカーボネイト、アクリルなどにより形成されている。ここで、上段部131の径は、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同じであり、下段部132の径は、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい。なお、操作性を向上させるために、検知部材30に樹脂製のキャップをかぶせてもよい。
支持部材160は、容量素子用電極E101〜E104のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい径を有する円盤状の弾性および透光性を有するシリコンゴムにより形成されている。なお、支持部材160を形成する材料としては、シリコンゴムの他、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ポリエステル系またはポリイミド系などの熱可塑性樹脂などが使用される。
また、支持部材160の下面には、容量素子用電極E101〜E104のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい径を有する円形で下方に開いた凹部160aと、凹部160cとが形成されており、支持部材160の下面の凹部160aおよび凹部160c以外の部分が基盤120に接触するように配置されている。さらに、支持部材160の下面の凹部160a内部には、凹部160aの中央を中心とする突起部160bが形成されている。また、基板120上の支持部材160の凹部160cに対応する位置には、発光ダイオード200が配置されている。
変位電極140は、導電性および透明な(透光性を有する)シリコンゴムにより形成され、容量素子用電極E101〜E104のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同一の径を有する円盤状の膜状部材であり、支持部材160の下面の突起部160bに付着されている。なお、変位電極140は、シリコンゴムで形成されたもの他、ウレタン、エチレンプロピレンゴム、透明な樹脂の中に酸化イレジウム、酸化スズなどの金属粒子または繊維状の金属などを分散混入したフィルムまたは膜状部材が形成されたものであってもよい。ここで、支持部材160の下面に平板状に(面一に)形成されるため、変位電極140はスクリーン印刷により透明導電性インクを塗布することによって形成することも可能である。
また、基板120上には、第15図に示すように、原点Oを中心とする扇形であり、それぞれのほぼ中央部に円形の孔H101〜H104を有する容量素子用電極E101〜E104と、孔H101〜H104の内側で、孔H101〜H104の径よりも小さい外径を有するリング状の基準電極E131〜E134と、基準電極E131〜E134の内側に配置されたスイッチ用固定電極E111〜E114とが形成されている。一対の容量素子用電極E101およびE102は、X軸方向に離隔してY軸に対して線対称に配置されている。また、一対の容量素子用電極E103およびE104は、Y軸方向に離隔してX軸に対して線対称に配置されている。
ここでは、容量素子用電極E101はX軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E102はX軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のX軸方向成分の検出に利用される。また、容量素子用電極E103はY軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E104はY軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のY軸方向成分の検出に利用される。
容量素子用電極E101〜E104、スイッチ用固定電極E111〜E114および基準電極E131〜134は、スルーホールなどを利用して端子T101〜T104、T111〜T114およびT131〜T134(第16図参照)にそれぞれ接続されており、これらの端子を通じて外部の電子回路に接続されるようになっている。なお、ここでは、基準電極E131〜134は、端子T131〜T134を介して接地されている。
また、基準電極E131〜134にそれぞれ接触するとともに、スイッチ用固定電極E111〜E114と離隔しつつこれを覆うようにドーム状のスイッチ用可動電極E121〜E124が配置されている。したがって、スイッチ用可動電極E121〜E124は孔H1〜H4よりも大きい径を有している。ここで、スイッチ用可動電極E121〜E124は、透明な樹脂フィルムにより形成されており、その材料としてはポリエステル、ポリカーボネイトなどが使用される。
また、樹脂フィルム150は、絶縁性を有した透明な部材であり、基板120上の容量素子用電極E101〜E104、基準電極E131〜134の一部およびスイッチ用可動電極E121〜E124に密着して、基板120上を覆うように接着剤により接着固定されている。このため、銅などで形成された容量素子用電極E101〜E104、基準電極E131〜134およびスイッチ用可動電極E121〜E124の樹脂フィルム150で覆われている部分は空気にさらされることがなく、それらが酸化されるのを防止する機能を有している。また、樹脂フィルム150が形成されているため、容量素子用電極E101〜E104、基準電極E131〜134およびスイッチ用可動電極E121〜E124と、変位電極140とが直接接触することはない。
また、支持部材160の上面には、検知部材130と同じ径を有する円盤状の有色印刷部材190、検知部材130と同じ径を有する円盤状の文字印刷部材180および検知部材130がそれぞれの中心位置が一致して重なるように配置されている。支持部材160、有色印刷部材190、文字印刷部材180および検知部材130は、それぞれ溶着、接着または印刷により固定されている。
文字印刷部材180は、透光性を有さない部材であり、第16図に示すように、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応するように、すなわち、スイッチ用固定電極E111〜E114に対応するように、操作方向(カーソルの移動方向)を示す矢印の形状の貫通孔180aが形成されている。ここでは、貫通孔180aは、スイッチ用可動電極E111〜E114、スイッチ用固定電極E121〜E124および基準電極E131〜E134にそれぞれ対応する位置に形成されている。なお、文字印刷部材180に形成される貫通孔180aの形状は、数字、文字、記号など必要に応じて適宜変更してもよい。
文字印刷部材180は、貫通孔180aの部分のみ光を通過させ、貫通孔180a以外の部分は光を通過させないようになっている。これにより、支持部材160の内部に配置された発光ダイオード200から出射された光は、支持部材160、有色印刷部材190、文字印刷部材180の貫通孔180a、検知部材130の順に検知部材130の上方に向かって通過する。したがって、検知部材130を上方から見ると、操作方向を示す矢印(文字印刷部材180に形成された貫通孔180aの部分)が発光ダイオード200の光により照らし出されて見える。これにより、検知部材130の位置および操作方向を容易に把握することができ、特に静電容量式センサ110を備えた機器を暗い場所で使用するときでも、検知部材130に対する操作を適切に施すことができる。
また、有色印刷部材190は、透光性を有し、所定の色に全面が着色された部材である。有色印刷部材190を文字印刷部材180の下方に配置することにより、検知部材130を上方から見たときの操作方向を示す矢印の色を有色印刷部材190が着色された色に見えるようにすることができる。なお、有色印刷部材190は、文字印刷部材180の貫通孔180aに対応する部分のみが着色されたものであってもよいし、複数の色で着色されたものであってもよい。また、有色印刷部材190は、文字印刷部材180の上方に配置されていてもよいし、無くてもよい。
なお、変位電極140および樹脂フィルム150は、発光ダイオード200から出射された光を透過および散乱させるため、検知部材130全体に光を行き渡らせることができ、文字印刷部材180に形成された貫通孔180aの部分を効率よく照らし出すことができる。これにより、発光ダイオード200の消費電力の低減させることが可能である。
次に、上述のように構成された本実施の形態に係る静電容量式センサ110の動作について、図面を参照して説明する。第17図は、第13図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
まず、静電容量式センサ110の構成と等価な回路構成について、第17図を参照して説明する。基板120上に形成された容量素子用電極E101〜E104および基準電極E131〜E134は、変位電極140と対向しており、共通の電極である変位可能な変位電極140と、固定された個別の容量素子用電極E101〜E104および基準電極E131〜E134との間で容量素子C101〜C104および容量素子C131〜C134を形成している。容量素子C101〜C104および容量素子C131〜C134は、それぞれ変位電極140の変位に起因して静電容量値が変化するように構成された可変容量素子であるということができる。
容量素子C101〜C104のそれぞれの静電容量値は、変位電極140と、容量素子用電極E101〜E104のそれぞれに接続された端子T101〜T104との間の静電容量値として、それぞれ独立して測定することができる。ここで、基準電極E131〜E134は、それぞれ端子T131〜T134を介して接地されており、容量素子C101〜C104における共通の電極である変位電極140は、容量素子C131〜C134および端子T131〜T134を介して接地されていると考えられる。すなわち、容量素子C131〜C134は、変位電極140と端子T131〜T134とを容量結合している。
また、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応する基準電極E131〜E134に接続されたスイッチ用可動電極E121〜E124は、スイッチ用固定電極E111〜E114と接触する位置または接触しない位置を選択的にとり得ることにより、基準電極E131〜E134と端子T111〜T114とを接続させるまたは接続させないスイッチS101〜S104としての機能を有している。ここで、スイッチS101〜S104の状態に対応するスイッチ信号は、端子T111〜T114からそれぞれ出力される。
次に、静電容量式センサ110が検知部材130への力の大きさを検出する装置(力覚センサ)として利用される場合の動作について説明する。
まず、容量素子C101〜C104のそれぞれの静電容量値の変化から検知部材130への外部からの力の大きさおよび方向を示す出力信号の導出方法について、図面を参照して説明する。第18図は、第13図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。なお、第18図では出力信号を導出する方法の説明に必要な部分のみを示している。また、出力信号Vx、Vyは、それぞれ外部からの力のX軸方向成分およびY軸方向成分の大きさおよび方向を示す。
ここで、出力信号Vx、Vyを導出するために、端子T101〜T104に対して、常にクロック信号などの周期信号が入力される。端子T101に入力された周期信号に対して、2つの容量素子C101とC131は直列に接続された関係となっている。同様に、2つの容量素子C102とC132は端子T102に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C103とC133は端子T103に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C104とC134は端子T104に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっている。
端子T101〜T104に周期信号が入力されている状態で検知部材130が外部からの力を受けて変位すると、これにともなって変位電極140がZ軸方向に変位し、容量素子C101〜C104の電極間隔が変化して、容量素子C101〜C104のそれぞれの静電容量値が変化する。すると、端子T101〜T104に入力された周期信号の位相にずれが生じる。このように、周期信号に生じる位相のずれを利用して、検知部材130の変位、つまり検知部材130が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の大きさと方向を示す出力信号Vx、Vyを得ることができる。なお、導出方法の詳細については、図1の静電容量式センサにおける信号処理回路について説明したのと同様であるので省略する。
次に、静電容量式センサ110がスイッチ機能を有する装置(スイッチ信号出力装置)として利用される場合の動作について説明する。ここでは、検知部材130のX軸正方向に対応する部分が押し下げられた場合の動作についてのみ説明する。なお、検知部材130のX軸負方向、Y軸正方向またはY軸負方向に対応する部分が押し下げられた場合の動作は、X軸正方向に対応する部分が押し下げられた場合の動作と同様であるため、その説明は省略する。
検知部材130に操作が施されていない場合には、スイッチ用可動電極E121とスイッチ用固定電極E111とは離隔しているため、スイッチS101はOFF状態であり、端子111からはOFF状態を示すスイッチ信号が出力されている。そして、検知部材130のX軸正方向に対応する部分が押し下げられると、変位電極140のX軸正方向部分が下方へと変位する。すると、突起体42から樹脂フィルム150を介してスイッチ用可動電極E121の中央部に対して下方向への力が作用する。そして、その力が所定値に満たないときにはスイッチ用可動電極E121はほとんど変位しないが、その力が所定値に達したときには、スイッチ用可動電極E121の頂部近傍部分が座屈を伴って急激に弾性変形して凹んだ状態となってスイッチ用固定電極E111と接触する。これにより、スイッチS101がON状態になる。このとき、端子111から出力されるスイッチ信号は、OFF状態を示す信号からON状態を示す信号に切り替わる。なお、操作者には、明瞭なクリック感が与えられることになる。
このように、操作者は検知部材130のX軸正方向、X軸負方向、Y軸正方向およびY軸負方向に対応する部分を押下することにより、それぞれの方向に対応した4つの独立したスイッチ信号を出力することができる。
次に、本実施の形態において用いることができる他の変位電極140の構成について、図面を参照して説明する。第19図は、保持部材と蒸着膜または印刷層とにより構成された変位電極を示す図である。第20図は、織布により構成された変位電極を示す図である。第21図は、不織布により構成された変位電極を示す図である。第22図は、フィルムにより構成された変位電極を示す図である。第23図は、変位電極と弾性体とを複合させた場合の構造を示す図である。
変位電極140として、第19図(a)、(b)に示すように、透光性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂(プラスチック)により形成された保持部材400の表面に、透光性および導電性を有するITO膜(スズ含有酸化インジウム)および金属薄膜などの蒸着膜401が全面に形成されたものを用いることができる。また、蒸着膜401は、第19図(c)に示すように網目状に形成されていてもよいし、第19図(d)に示すように抜きがら状に形成されていてもよい。なお、網目状に形成されている場合の網目の大きさ若しくは抜きがら状に形成されている場合の抜きがら(蒸着膜401が形成されていない部分)の大きさ、形状および配置は適宜変更してもよい。
また、変位電極140として、第19図(a)、(b)に示すように、透光性を有する保持部材400の表面に、透光性を有する導電性インクおよび導電性塗料などを塗布した印刷層402が全面に形成されたものを用いることができる。また、印刷層402は、第19図(c)に示すように網目状に形成されていてもよいし、第19図(d)に示すように抜きがら状に形成されていてもよい。なお、網目状に形成されている場合の網目の大きさ若しくは抜きがら状に形成されている場合の抜きがら(印刷層402が形成されていない部分)の大きさ、形状および配置は適宜変更してもよい。なお、透光性を有していない導電性インクまたは導電性塗料を用いてもよい。また、支持部材160の下面に変位電極140を付着する代わりに、支持部材160の下面に印刷層402を直接形成することもできる。
また、変位電極140として、第20図に示すように、導電性を有する繊維によって形成された織布403を用いることができる。なお、織布403を形成する導電性を有する繊維としては、ステンレス、銅などの金属繊維、カーボン繊維、導電性を有していない繊維に導電性を有する皮膜系繊維を織り込んだものなどがある。
また、変位電極140として、第21図に示すように、導電性を有する繊維によって形成された不織布(不繊維)404を用いることができる。なお、不織布404を形成する導電性を有する繊維としては、ステンレス、銅などの金属繊維、カーボン繊維、導電性を有していない繊維に導電性を有する皮膜系繊維を織り込んだものなどがある。
ここで、織布403および不織布404では、導電性を有する繊維同士が互いに接触しているため、繊維の密度を小さくして薄く形成しても面として導電性を維持することができる。また、透光性を有し、導電性を有していない弾性体に導電性を有する繊維を混入したものを変位電極140として用いることもできるが、この場合には、大量の導電性を有する繊維を高密度に混入する必要があり、十分な透光性が確保出来るように注意しなければならない。
また、変位電極140として、第22図に示すように、空孔を有する非透光性の材料で形成されたフィルム(シート)405を用いることができる。なお、フィルム405を形成する材料としては、金属、導電性プラスチック、導電性ゴム、導電性熱可塑性エラストマーなどがある。なお、空孔の大きさ、形状は適宜変更してもよいし、空孔の配置は規則的であってもよいし、不規則的であってもよい。ここで、空孔の面積のフィルム405全体の面積に対する割合(占有率)を大きくすると、フィルム405の透光性が向上する(光の透過率が大きくなる)ため、支持部材160の内部に配置された発光ダイオード200から出射された光が検知部材130に導かれやすくなるが、容量素子用電極E101〜E105と対向する面積が小さくなることによって、容量素子C101〜C105の静電容量が小さくなる。従って、空孔の大きさおよび配置を決定する際には、上述したことを考慮する必要がある。
ここで、上述のような変位電極140(蒸着膜401または印刷層402が形成された保持部材400、織布403、不織布404、フィルム(シート)405)を単独で用いることもできるが、透光性を有する弾性体145と複合して用いることもできる。このように、変位電極140を弾性体145と複合することにより、変位電極140の取り扱いや実装が容易になるという効果がある。また、両者を複合させた場合の構造は、第23図(a)に示すように変位電極140を弾性体145の内部に内包させたものであってもよいし、第23図(b)に示すように変位電極140を挟むように弾性体145を積層させたものであってもよいし、さらに第23図(c)に示すように変位電極140を弾性体145に接合させたものであってもよい。
なお、弾性体145を形成する材料としては、シリコンゴム、EPDM(エチレン−プロピレンゴム)、NR(天然ゴム)、BR(ブタジエンゴム)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、IIR(ブチルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、CSM(クロロスルホン化ポリエチレン)、ACM(アクリルゴム)、ANM(アクリルゴム)などの透光性を有するゴム配合品およびスチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリジエン系、フッ素系などの透光性を有する熱可塑性エラストマーなどがある。
また、変位電極140と弾性体145とを複合する方法には、変位電極140に液状の弾性体145の材料をコーティングした後で架橋する(熱を加える)、変位電極140を液状の弾性体145の材料に浸けてコーティングし、乾燥させて溶剤などを除去した後で架橋する、変位電極140とシート状の弾性体145を積層した後で架橋して接着するおよび変位電極140を金型に入れ、その上から弾性体145を入れた後で架橋して接着するなどがある。なお、上述の金型を用いる方法によると、例えば変位電極140の表面に突起体を形成するなど、変位電極140の3次元的な形状の加工を容易に行うことができる。
以上のように、本実施の形態の静電容量式センサ110は、変位電極140と容量素子用電極E101〜E104との間隔の変化に起因する容量素子C101〜C104の静電容量値の変化を検出することによって、検知部材130のの変位を認識することができるため、検知部材130に外部から加えられた力の大きさを認識可能である。また、スイッチ用固定電極E111〜E114とスイッチ用可動電極E121〜E124との接触の有無を認識することができるため、これをスイッチとして利用することができる。したがって、静電容量式センサ110は、検知部材130の変位を信号(アナログ信号)として出力する機能を有する装置または/およびスイッチ機能を有する装置として利用することが可能である。これにより、この静電容量式センサ110は上記のいずれの装置としても利用できる複合デバイスとしての機能を有し、上記両用途に合わせて製造し直す必要がなくなる。
また、スイッチ機能を有する装置として利用した場合に、検知部材130に対して操作を施したとき、操作方向に対応するドーム形状をしたスイッチ用可動電極E121〜E124がクリック感を付随しつつ弾性変形してスイッチ用固定電極E111〜E114と接触するため、操作者はクリック感を感じつつ操作を行うことができ、操作を実行したことを感覚的に容易に把握することができる。また、スイッチ用可動電極E121〜E124が基準電極E131〜134に接触するように配置されているため、スイッチ用可動電極E121〜E124に対する配線を別途設ける必要がない。
また、複数の容量素子用電極E101〜E104が形成され、検知部材130が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。ここで、対となる容量素子用電極(E101およびE102、E103およびE104)に対して、互いに位相が異なる信号が供給されるため、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくでき、さらに、その信号を論理素子を利用した信号処理回路を用いるため、精度よく検出することができる。また、X軸方向およびY軸方向に対応するように複数のスイッチ用可動電極E121〜E124およびスイッチ用固定電極E111〜E114が形成されており、異なる方向に対応するスイッチとして利用することができる。なお、この構成の静電容量式センサは、パソコン、携帯電話、ゲームなどの入力装置として利用されるのに好ましい。
また、変位電極140は、直接接触することによってではなく、容量素子C131〜C134(カップリングコンデンサとしての機能を有している)による容量結合によって接地された基準電極E131〜E134と電気的に結合されるため、静電容量式センサ110の耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによってセンサが破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサを得ることができる。また、基準電極E131〜134と変位電極140との間に樹脂フィルム150が配置されているが、樹脂フィルム150の一部をカットして基準電極E131〜134と変位電極140とを接触させる必要がないため、組立および実装面でも有利となる。
また、発光ダイオード200から出射された光が文字印刷部材180に形成された貫通孔180aのみを通過して検知部材130に達するため、検知部材130を外部から見たとき、貫通孔180aのみを照らし出すようにすることができる。したがって、検知部材130の位置および操作方向を容易に把握することができるようになり、特に静電容量式センサ110を備えた機器を暗い場所で使用する場合でも検知部材に対する操作を適切に施すことができる。さらに、検知部材130を外部から見たときに、貫通孔180aが照らし出される光の色を変更することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
第24図は、本発明の第3の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。第25図は、第24図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。第26図は、第24図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。第27図は、第24図の静電容量式センサの文字印刷部材の上面図である。
静電容量式センサ210は、基板220と、人などによって操作されることによって外部から力が加えられる操作用の中央ボタン231およびサイドボタン232で構成された検知部材230と、変位電極240と、基板220上に形成された容量素子用電極E201〜E205と、ドーム形状を有するスイッチ用可動電極E221〜E224(第24図ではE221およびE222のみを示す)と、その内側に配置されたスイッチ用固定電極E211〜E214(第24図ではE211およびE212のみを示す)と、基準電極(共通電極)E231〜235と、複数の電極に密着して基板220上を覆うように配置された樹脂フィルム250と、検知部材230および変位電極240を基板220に対して支持固定する支持部材260と、支持部材260および中央ボタン231を覆うように配置された文字印刷フィルム280と、サイドボタン232と文字印刷フィルム280との間に配置された文字印刷部材290と、支持部材260内部に配置された2つの発光ダイオード300と、支持部材260および検知用部材230の周囲を覆うように配置されたカバーケース270とを有している。
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、XYZ三次元座標系を定義し、この座標系を参照しながら各部品に配置説明を行うことにする。すなわち、第24図では、基板220上の容量素子用電極E205の中心位置に原点Oが定義され、右水平方向にX軸が、上垂直方向にZ軸が、紙面に垂直奥行方向にY軸がそれぞれ定義されている。ここで、基板220の表面は、XY平面を規定し、基板220上の容量素子用電極E205、検知部材230および変位電極240のそれぞれの中心位置をZ軸が通ることになる。
基板220は、基板20と同様に、一般的な電子回路用のプリント回路基板であり、この例ではガラスエポキシ基板が用いられている。また、基板220として、ポリイミドフィルムなどのフィルム状の基板を用いてもよいが、フィルム状の基板の場合は可撓性を有しているため、十分な剛性をもった支持基板上に配置して用いるのが好ましい。
検知部材230は、原点を中心とする円形の中央ボタン231と、中央ボタン231の外側に配置されたリング状のサイドボタン232とから構成されており、中央ボタン231およびサイドボタン232はいずれも透光性を有する部材により形成されている。このように、中央ボタン231とサイドボタン232とは別部材であるため、それぞれに対する操作(Z軸方向の操作とX軸方向およびY軸方向の操作)が干渉することがほとんどない。ここで、中央ボタン231の径は、基準電極E235の外径とほぼ同じである。また、サイドボタン232は、受力部となる小径の上段部232aと上段部232aの下端部に伸延する大径の下段部232bから構成されており、上段部232aの径は、容量素子用電極E201〜E204のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも小さく、下段部232bの径は、容量素子用電極E201〜E204のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同じである。
中央ボタン231は、文字印刷フィルム280と一体に成形されており、容量素子用電極E205および基準電極E235に対応するように支持部材260の上面に接着されている。また、中央ボタン231の上面には、第25図に示すように、「+」という記号が印刷されている。なお、中央ボタン231の上面に印刷する形状は、機能を示す数字、文字、記号など適宜変更してもよい。また、サイドボタン232は、その下段部232bがカバーケース270の一部である止め部270aにより押止され、支持部材260の上面に抜け止め構造により配置されている。なお、サイドボタン232は支持部材260の上面に接着されていてもよい。
支持部材260は、容量素子用電極E201〜E204のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい径を有する円盤状の弾性および透光性を有するシリコンゴムにより形成されている。なお、支持部材260を形成する材料としては、シリコンゴムの他、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ポリエステル系またはポリイミド系などの熱可塑性樹脂などが使用される。
また、支持部材260の下面には、容量素子用電極E201〜E204のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径よりも大きい径を有する円形で下方に開いた凹部260aと、2つの凹部260bとが形成されており、支持部材260の下面の凹部260aおよび凹部260b以外の部分が基盤220に接触するように配置されている。また、基板220上の支持部材260の2つの凹部260bに対応する位置には、それぞれ発光ダイオード300が配置されている。
変位電極240は、導電性および透光性を有するシリコンゴムにより形成され、容量素子用電極E201〜E204のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同一の径を有する円盤状の部材であり、支持部材260の下面の凹部260a内に付着されている。
また、基板220上には、第26図に示すように、原点Oを中心とする円形の容量素子用電極E205と、容量素子用電極E205の外側に配置されたリング状の基準電極E235と、その外側に扇形であり、それぞれのほぼ中央部に円形の孔H201〜H204を有する容量素子用電極E201〜E204と、孔H201〜H204の内側で、孔H201〜H204の径よりも小さい外径を有するリング状の基準電極E231〜E234と、基準電極E231〜E234の内側に配置されたスイッチ用固定電極E211〜E214とが形成されている。
一対の容量素子用電極E201およびE202は、X軸方向に離隔してY軸に対して線対称に配置されている。また、一対の容量素子用電極E203およびE204は、Y軸方向に離隔してX軸に対して線対称に配置されている。ここでは、容量素子用電極E201はX軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E202はX軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のX軸方向成分の検出に利用される。また、容量素子用電極E203はY軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E204はY軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のY軸方向成分の検出に利用される。つまり、容量素子用電極E201〜E204は、各電極を押す力の検出に利用される。また、容量素子用電極E205は、上述したように原点上に配置されており、外部からの力のZ軸方向成分の検出に利用される。
容量素子用電極E201〜E205、スイッチ用固定電極E211〜E214および基準電極E231〜235は、スルーホールなどを利用して端子T201〜T205、T211〜T214、T231〜T235(第28図参照)にそれぞれ接続されており、これらの端子を通じて外部の電子回路に接続されるようになっている。なお、ここでは、基準電極E231〜235は、端子T231〜T235を介して接地されている。
また、基準電極E231〜E234にそれぞれ接触するとともに、スイッチ用固定電極E211〜E214と離隔しつつこれを覆うようにドーム状のスイッチ用可動電極E221〜E224が配置されている。したがって、スイッチ用可動電極E221〜E224は、基準電極E231〜E234の内径よりも大きい径を有している。
また、樹脂フィルム250は、絶縁性を有した部材であり、基板220上の容量素子用電極E201〜E205、基準電極E231〜234の一部、基準電極E235およびスイッチ用可動電極E221〜E224に密着して、基板220上を覆うように接着剤により接着固定されている。このため、銅などで形成された容量素子用電極E201〜E205、基準電極E231〜235およびスイッチ用可動電極E221〜E224の絶縁膜250で覆われている部分は空気にさらされることがなく、それらが酸化されるのを防止する機能を有しているとともに、スイッチ用可動電極E221〜E224を基準電極E231〜234に固定する機能を有している。なお、容量素子用電極E201〜E205、基準電極E231〜235およびスイッチ用可動電極E221〜E225に対して、その表面への金メッキの形成などの酸化防止対策を施しておいてもよい。また、絶縁膜250が形成されているため、容量素子用電極E201〜E205、基準電極E231〜E235およびスイッチ用可動電極E221〜E224と、変位電極240とが直接接触することはない。
また、支持部材260の上面には、ほぼ全面を覆うように配置された文字印刷フィルム280と、サイドボタン232と同じ外径を有する円盤状の文字印刷部材290とがそれぞれの中心位置が一致するように配置されている。文字印刷フィルム280は、透光性および絶縁性を有する無色透明の部材である。また、上述したように、文字印刷フィルム280は、中央ボタン231と一体に成形されている。ここで、文字印刷フィルム280は、絶縁性を有しており、中央ボタン23を覆うように形成されているため、中央ボタン23が金属により形成されている場合に、中央ボタン23の表面が空気にさらされて酸化するのを防止することができる。なお、文字印刷フィルム280は、透光性を有しない部材により形成されてもよいが、この場合には、発光ダイオード300から出射された光は、中央ボタン23の上方に向かって通過しなくなる。なお、文字印刷フィルム280は、全体的に薄く着色されていてもよい。また、中央ボタン231の上面に文字などが印刷され、中央ボタン231を覆うように文字印刷フィルム280が形成される代わりに、文字印刷フィルム280の中央ボタン231に対応する位置に文字などが印刷されて、文字印刷フィルム280が中央ボタン231と支持部材260との間に配置されていてもよい。
文字印刷部材290は、第27図に示すように、その上面にX軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応するように、すなわち、スイッチ用固定電極E211〜E214に対応するように、操作方向(カーソルの移動方向)を示す矢印が印刷された透光性を有する部材である。なお、文字印刷部材290の上面に印刷する形状は、機能を示す数字、文字、記号など必要に応じて適宜変更してもよい。なお、文字印刷部材290は、全体的に薄く着色されていてもよい。また、文字印刷部材290は、サイドボタン232の上方に配置されていてもよい。
このように、文字印刷フィルム280および文字印刷部材290が配置されていることにより、支持部材260の内部に配置された発光ダイオード300から出射された光は、周囲の部材に透過または反射されて、中央ボタン231および文字印刷部材290に印刷された記号以外の部分を、支持部材260、文字印刷フィルム280、文字印刷部材290および検知部材230を検知部材230の上方に向かって通過する。したがって、中央ボタン231を上方から見たとき、中央ボタン231の上面に印刷された「+」という記号が確認することができ、サイドボタン232を上方から見たとき、文字印刷部材290に印刷された操作方向を示す矢印を確認することができる。これにより、検知部材230の位置および操作方向を容易に把握することができ、特に静電容量式センサ210を備えた機器を暗い場所で使用するときでも、検知部材230に対する操作を適切に施すことができる。また、装飾の効果がある。
なお、中央ボタン231および文字印刷部材290に印刷された記号は、所定の色に着色されていてもよい。また、中央ボタン231および文字印刷部材290に印刷された記号以外の部分のみが、黒色または所定の色に着色されていてもよい。ここで、中央ボタン231および文字印刷フィルム280の位置関係とサイドボタン232および文字印刷部材290の位置関係とが反対になっている、すなわち、文字印刷フィルム280が中央ボタン231の上方にあるのに対して、文字印刷部材290はサイドボタン232の下方に配置されている。これにより、中央ボタン231およびサイドボタン232を上方から見たときの文字などの見え方が異なる、すなわち、サイドボタン232に対応する文字の方が中央ボタン231に対応する文字よりも奥行き感があるように見える。なお、中央ボタン231および文字印刷フィルム280の位置関係とサイドボタン232および文字印刷部材290の位置関係とは、必ずしも反対にする必要はない。
次に、上述のように構成された本実施の形態に係る静電容量式センサ210の構成について、図面を参照して説明する。第28図は、第24図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
静電容量式センサ210の構成と等価な回路構成について、第28図を参照して説明する。基板220上に形成された容量素子用電極E201〜E205および基準電極E231〜E235は、変位電極240と対向しており、共通の電極である変位可能な変位電極240と、固定された個別の容量素子用電極E201〜E205および基準電極E231〜E235との間で容量素子C201〜C205および容量素子C231〜C235を形成している。容量素子C201〜C205および容量素子C231〜C235は、それぞれ変位電極240の変位に起因して静電容量値が変化するように構成された可変容量素子であるということができる。
容量素子C201〜C205のそれぞれの静電容量値は、変位電極240と、容量素子用電極E201〜E205のそれぞれに接続された端子T201〜T205との間の静電容量値として、それぞれ独立して測定することができる。ここで、基準電極E231〜E235は、それぞれ端子T231〜T235を介して接地されており、容量素子C201〜C205における共通の電極である変位電極240は、容量素子C231〜C235および端子T231〜T235を介して接地されていると考えられる。すなわち、容量素子C231〜C235は、変位電極240と端子T231〜T235とを容量結合している。
また、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応する基準電極E231〜E234に接続されたスイッチ用可動電極E221〜E224は、スイッチ用固定電極E211〜E214と接触する位置または接触しない位置を選択的にとり得ることにより、基準電極E231〜E234と端子T211〜T214とを接続させるまたは接続させないスイッチS201〜S204としての機能を有している。ここで、スイッチS201〜S204の状態に対応するスイッチ信号は、端子T211〜T214からそれぞれ出力される。
次に、静電容量式センサ210が検知部材230への力の大きさを検出する装置(力覚センサ)として利用される場合の動作、および、静電容量式センサ210がスイッチ機能を有する装置(スイッチ信号出力装置)として利用される場合の動作について、図面を参照して説明する。第29図は、第24図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。なお、第29図では出力信号を導出する方法の説明に必要な部分のみを示している。
ここで、静電容量式センサ210の動作が図1の静電容量式センサ10と異なる点は、静電容量式センサ10の中央ボタン31が決定操作用のスイッチとして用いられるのに対して、静電容量式センサ210の中央ボタン231がZ軸方向の力の大きさを検出するために用いられる点である。その他の動作は、図1の静電容量式センサ10について説明したのと同様であるのでその説明は省略する。
容量素子C205の静電容量値の変化から中央ボタン231への外部からのZ軸方向の力の大きさを示す出力信号の導出方法について、第29図を参照して説明する。ここで、出力信号Vzは、外部からの力のZ軸方向成分の大きさおよび方向を示す。なお、第29図に示す容量素子C206は、常に一定の静電容量値を保つように基板220の下面に形成されており、容量素子C206を構成する一方の電極は端子T206に接続されており、他方の電極は接地されている。この容量素子C206は、容量素子C205とともに、外部からの力のZ軸方向成分の出力信号Vzを導出するために用いられる。なお、容量素子C206は、回路パターンやICなどの入力容量を利用して構成してもよい。
ここで、出力信号Vzを導出するために、端子T205、T206に対して、常にクロック信号などの周期信号が入力される。そのとき、中央ボタン231が外部からZ軸方向の力を受けて変位するのにともなって変位電極240が変位し、容量素子C205を構成する電極の間隔が変化して、容量素子C205の静電容量値が変化すると、端子T205、T206に入力された周期信号の位相にずれが生じる。このように、周期信号に生じる位相のずれを利用して、中央ボタン231が外部から受けたZ軸方向の力の大きさと方向を示す出力信号Vzを得ることができる。
さらに詳細に説明すると、端子T205、T206に対して周期信号を入力するとき、端子T205に対しては周期信号Aが入力され、一方、端子T206に対しては周期信号Aの位相とは異なる周期信号Bが入力される。そのとき、中央ボタン231が外部からZ軸方向の力を受けて、容量素子C205の静電容量値が変化すると、端子T205に入力された周期信号Aの位相にずれが生じる。なお、容量素子C206の静電容量値は変化しないため、端子T206に入力された周期信号Bの位相にはずれは生じない。従って、端子T205に入力された周期信号Aにのみ位相のずれが生じ、この周期信号Aの位相のずれを排他和回路などで読み取ることによって、出力信号Vzが導出される。この出力信号Vzの符号が、外部からの力のZ軸方向成分が正方向または負方向の向きかを示し、その絶対値がZ軸方向成分の大きさを示す。
なお、第2の実施の形態と同様に、蒸着膜401または印刷層402が形成された保持部材400、織布403、不織布404、フィルム(シート)405)を変位電極240として用いることができる。
以上のように、本実施の形態の静電容量式センサ210は、変位電極240と容量素子用電極E201〜E205との間隔の変化に起因する容量素子C201〜C205の静電容量値の変化を検出することによって、検知部材230のの変位を認識することができるため、検知部材230に外部から加えられた力の大きさを認識可能である。また、スイッチ用固定電極E211〜E214とスイッチ用可動電極E221〜E224との接触の有無を認識することができるため、これをスイッチとして利用することができる。したがって、静電容量式センサ210は、検知部材230の変位を信号(アナログ信号)として出力する機能を有する装置または/およびスイッチ機能を有する装置として利用することが可能である。これにより、この静電容量式センサ210は上記のいずれの装置としても利用できる複合デバイスとしての機能を有し、上記両用途に合わせて製造し直す必要がなくなる。
また、スイッチ機能を有する装置として利用した場合に、検知部材230に対して操作を施したとき、操作方向に対応するドーム形状をしたスイッチ用可動電極E221〜E224がクリック感を付随しつつ弾性変形してスイッチ用固定電極E211〜E214と接触するため、操作者はクリック感を感じつつ操作を行うことができ、操作を実行したことを感覚的に容易に把握することができる。また、スイッチ用可動電極E221〜E224が基準電極E231〜234に接触するように配置されているため、スイッチ用可動電極E221〜E224に対する配線を別途設ける必要がない。
また、複数の容量素子用電極E201〜E205が形成され、検知部材230が外部から受けた力のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。ここで、対となる容量素子用電極(E201およびE202、E203およびE204)に対して、互いに位相が異なる信号が供給されるため、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくでき、さらに、その信号を論理素子を利用した信号処理回路を用いるため、精度よく検出することができる。また、X軸方向およびY軸方向に対応するように複数のスイッチ用可動電極E221〜E224およびスイッチ用固定電極E211〜E214が形成されており、異なる方向に対応するスイッチとして利用することができる。なお、この構成の静電容量式センサは、パソコン、携帯電話、ゲームなどの入力装置として利用されるのに好ましい。特に、携帯電話などでは、各種の設定などを行う場合にスイッチ機能を利用できるようにし、ナビゲーションやゲームなどでは、X軸方向およびY軸方向の力を検出する信号を利用するようにすれば非常に有用である。
また、変位電極240は、直接接触することによってではなく、容量素子C231〜234(カップリングコンデンサとしての機能を有している)による容量結合によって接地された基準電極E231〜E234と電気的に結合されるため、静電容量式センサ210の耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによってセンサが破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサを得ることができる。また、基準電極E231〜234と変位電極240との間に樹脂フィルム250が配置されているが、樹脂フィルム250の一部をカットして基準電極E231〜234と変位電極240とを接触させる必要がないため、組立および実装面でも有利となる。
また、発光ダイオード300から出射された光が中央ボタン231および文字印刷部材290に印刷された記号以外の部分のみを通過して検知部材230に達するため、検知部材230を外部から見たとき、中央ボタン231および文字印刷部材290に印刷された記号を確認することができる。したがって、検知部材230の位置および操作方向を容易に把握することができるようになり、特に静電容量式センサ210を備えた機器を暗い場所で使用する場合でも検知部材に対する操作を適切に施すことができる。
なお、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の第1〜第3の実施の形態では、スイッチ用固定電極が容量素子用電極の内側に形成されたものについて説明しているが、これに限らず、スイッチ用固定電極が容量素子用電極に隣接するように形成されたものであってもよい。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、スイッチ用可動電極が基準電極と接触するように配置されたものについて説明しているが、これに限らず、変位電極が変位するのに伴ってスイッチ用固定電極と接触可能な配置であれば、どのように配置されていてもよい。なお、この場合には、スイッチ用可動電極に対する配線を別途設ける必要がある。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、変位電極が、変位電極と基準電極との間に構成される容量素子を介して接地された基準電極と電気的に接続されているものについて説明しているが、これに限らず、例えば、絶縁膜または樹脂フィルムが基板上の容量素子用電極のみに密着して基板上を覆うように形成され、基準電極およびスイッチ用可動電極を覆うようには形成されていないものであり、変位電極がスイッチ用可動電極と直接接触して接地された基準電極と電気的に接続されているものなど、変位電極は基準電極と電気的に接続されていれば、どのような構成のものであってもよい。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、スイッチ用可動電極として、ドーム形状を有する電極を用いたものについて説明しているが、これに限らず、変位電極が変位するのに伴ってスイッチ用固定電極と接触可能な電極であれば、どのような形状の電極を用いてもよい。
また、上述の第2の実施の形態では、文字印刷部材として、透光性を有さない部材に貫通孔(透光領域)が形成されているものについて説明しているが、これに限らず、透光性を有さない部材に透光性を有する部材により窓などの透光領域が形成されているものであってもよい。また、文字印刷部材として、透光性を有する部材に透光性を有さない非透光領域は形成されているものを用いてもよい。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、検知部材が容量素子用電極と、基準電極、スイッチ用可動電極およびスイッチ用固定電極とに対して一体に形成されているものについて説明しているが、これに限らず、検知部材が容量素子用電極と、基準電極、スイッチ用可動電極およびスイッチ用固定電極とのそれぞれに対応して分割されているものであってもよい。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、基板上の複数の電極に密着して基板上を覆うように絶縁膜または樹脂フィルムが形成されているものについて説明しているが、これに限らず、絶縁膜または樹脂フィルムが形成されていないものであってもよい。
また、上述の第2または第3の実施の形態では、変位電極が透光性を有しているものについて説明しているが、これに限らず、変位電極は必ずしも透光性を有していなくてもよい。ここで、変位電極が透光性を有していない場合には、発光ダイオードから出射された光の一部は、透光性を有する支持部材の内部を通過する(支持部材が導光板として働く)ことにより検知部材に導かれる。ただし、支持部材の厚さが薄く、検知部材の面積が大きい場合には、変位電極が透光性を有していることが好ましい。なお、変位電極が透光性を有する場合であっても、必ずしも全面的な(全方向の)透光性は必ずしも必要ではなく、少なくとも変位電極に垂直な方向(図中においてはZ軸方向)の透光性を有していればよい。
また、上述の第2または第3の実施の形態では、光源として発光ダイオードを用いているが、これに限らず、どのような光源であってもよい。また、光源が支持部材内部に配置されたものについて説明しているが、これに限らず、基板と検知部材との間に配置され、検知部材に対して光を出射することが可能な位置であれば、光源はどこに配置されていてもよい。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、検知部材がX軸方向およびY軸方向に対応する容量素子用電極に対して一体に形成されているものについて説明しているが、これに限らず、検知部材がX軸方向およびY軸方向に対応する容量素子用電極のそれぞれに対応して分割されているものであってもよい。
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、X軸およびY軸の正方向および負方向の4方向に対応する容量素子用電極が形成されているものについて説明しているが、これに限らず、用途に合わせて必要な方向の成分だけを検出できるように容量素子用電極を形成してもよい。
産業上の利用の可能性
本発明は、各方向の力の大きさを認識する装置およびスイッチ機能を有する装置のいずれにも利用することができ、パソコン、携帯電話、ゲームなどの入力装置として用いることができる静電容量式センサとして最適である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。
第2図は、第1図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。
第3図は、第1図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
第4図は、第1図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
第5図は、第1図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。
第6図は、第1図に示す静電容量式センサの信号処理回路を示す回路図である。
第7図は、第1図に示す静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第8図は、第1図に示す信号処理回路の各端子および各節点における周期信号の波形を示す図である。
第9図は、第1図に示す静電容量式センサのX軸方向成分についての出力信号をアナログ電圧に変換する回路を含む信号処理回路を示す回路図である。
第10図は、第1図に示す静電容量式センサの第1の変形例のX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第11図は、第1図に示す静電容量式センサの第2の変形例のX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第12図は、第1図に示す静電容量式センサの第3の変形例のX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第13図は、本発明の第2の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。
第14図は、第13図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。
第15図は、第13図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
第16図は、第13図の静電容量式センサの文字印刷部材の上面図である。
第17図は、第13図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
第18図は、第13図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。
第19図は、保持部材と蒸着膜または印刷層とにより構成された変位電極を示す図である。
第20図は、織布により構成された変位電極を示す図である。
第21図は、不織布により構成された変位電極を示す図である。
第22図は、フィルムにより構成された変位電極を示す図である。
第23図は、変位電極と弾性体とを複合させた場合の構造を示す図である。
第24図は、本発明の第3の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。
第25図は、第24図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。
第26図は、第24図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
第27図は、第24図の静電容量式センサの文字印刷部材の上面図である。
第28図は、第24図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
第29図は、第24図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。
第30図は、従来の静電容量式センサの模式的な断面図である。
第31図は、第30図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
Claims (22)
- XYZ三次元座標系を定義したときに、XY平面を規定する基板と、
前記基板と対向している検知部材と、
前記基板と前記検知部材との間に位置し、前記検知部材がZ軸方向に変位するのにともなってZ軸方向に変位する導電性部材と、
前記基板上に形成され、前記導電性部材と電気的に接続されるとともに、接地または一定の電位に保持された基準電極と、
前記基板上に形成された第1の電極と、
前記基板上に形成され、前記導電性部材との間で第1の容量素子を構成する第2の電極と、
前記第1の電極から離隔するように配置されていると共に、前記導電性部材が変位するのに伴って、前記第1の電極と接触可能な第3の電極とを備えており、
前記第2の電極に対して入力される信号を利用して前記導電性部材と前記第2の電極との間隔の変化に起因する前記第1の容量素子の静電容量値の変化を検出することに基づく前記検知部材の変位、および、前記第1の電極と前記第3の電極との接触の有無の少なくとも1つを認識可能であることを特徴とする静電容量式センサ。 - 前記第3の電極は、前記基準電極に接触していることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式センサ。
- 前記第3の電極は、前記導電性部材が変位するのに伴ってクリック感を付随しつつ弾性変形することを特徴とする請求項1または2に記載の静電容量式センサ。
- 前記基準電極と前記導電性部材との間に、第2の容量素子が構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
- 前記基準電極、前記第1の電極、前記第2の電極および前記第3の電極の組が複数形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
- 前記基準電極、前記第1の電極、前記第2の電極および前記第3の電極の組を2つ有しており、これら二組の一方を含む回路および他方を含む回路に、互いに位相が異なる信号が供給されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
- 前記基準電極、前記第1の電極、前記第2の電極および前記第3の電極の組を2つ有しており、これら二組の一方を含むCR回路と他方を含むCR回路との時定数が異なることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
- 前記基準電極、前記第1の電極、前記第2の電極および前記第3の電極の組を2つ有しており、これら二組の一方を含む回路および他方を含む回路にそれぞれ入力された信号の出力信号が論理素子を利用した信号処理回路により検出されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
- 前記論理素子が、排他的論理和演算を行うことを特徴とする請求項8に記載の静電容量式センサ。
- 前記論理素子が、論理和演算を行うことを特徴とする請求項8に記載の静電容量式センサ。
- 前記論理素子が、論理積演算を行うことを特徴とする請求項8に記載の静電容量式センサ。
- 前記論理素子が、論理積演算および否定演算を行うことを特徴とする請求項8に記載の静電容量式センサ。
- 前記検知部材が、前記基準電極、前記第1の電極および前記第3の電極と、前記第2の電極とのそれぞれに対応して分割されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
- 前記第2の電極が、Y軸に対して線対称に配置された一対の第4の電極と、X軸に対して線対称に配置された一対の第5の電極とを含んでいることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
- 前記検知部材が、前記第4の電極および前記第5の電極のそれぞれに対応して分割されていることを特徴とする請求項14に記載の静電容量式センサ。
- 前記基板上に形成された第6の電極と、
前記第6の電極から離隔するように配置されていると共に、前記導電性部材が変位するのに伴って弾性変形して前記第6の電極と接触可能な第7の電極とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。 - 前記検知部材が、前記第2の電極および前記第6の電極に対応して分割されていることを特徴とする請求項16に記載の静電容量式センサ。
- 前記検知部材は、絶縁性を有する部材で覆われていることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
- 前記基板上に配置された光源と、
透光領域および非透光領域を有する膜状部材とをさらに備えているとともに、前記検知部材は、透光性を有していることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。 - 前記導電性部材は、透光性を有していることを特徴とする請求項18に記載の静電容量式センサ。
- 有色で透光性を有しており、前記光源と前記検知部材との間に配置された着色部材をさらに備えていることを特徴とする請求項18に記載の静電容量式センサ。
- 前記検知部材は、透光性および絶縁性を有する部材で覆われていることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
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