JPWO2002047190A1 - 高分子電解質型燃料電池と、その運転方法 - Google Patents
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Abstract
水素イオン高分子電解質膜を挟む位置に配置した一対の電極及び、前記一方の電極に燃料ガスを供給排出し、前記他方の電極に酸化剤ガスを供給排出する供給排出手段とを有する単電池が、導電性セパレータを介して積層され、前記電極を冷却するための冷却媒体を流通する流通手段が備えられ、前記冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整されている高分子電解質型燃料電池である。
Description
技術分野
本発明は、ポータブル電源、電気自動車用電源、家庭内コージェネシステム等に使用する常温作動型の高分子電解質型燃料電池と、その運転方法に関する。
背景技術
高分子電解質型型燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気など酸素を含有する酸化剤ガスとを、電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させるものである。その構造は、まず、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜の両面に、白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする電極触媒層を形成する。次に、この触媒層の外面に、燃料ガスまたは酸化剤ガスの通気性と、電子導電性を併せ持つ電極拡散層を形成し、触媒層とこの拡散層とを合わせて電極とする。この、電極と電解質膜の接合体をMEAと呼ぶ。
次に、供給するガスが外にリークしたり、燃料ガスと酸化剤ガスが互いに混合しないように、電極の周囲には高分子電解質膜を挟んでガスケットを配置する。このガスケットは、場合によっては、電極及び高分子電解質膜と一体化してあらかじめ組み立て、これをMEAと呼ぶ場合もある。
MEAの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接したMEAを互いに電気的に直列に接続するための導電性のセパレータ板を配置する。セパレータ板のMEAと接触する部分には、電極面に反応ガスを供給し、生成ガスや余剰ガスを運び去るためのガス流路を形成する。ガス流路はセパレータ板と別に設けることもできるが、セパレータの表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的である。
通常、燃料電池を実際に使用するときは、上述の単電池を数多く重ねた積層構造を採っている。燃料電池の運転時には電力発生と共に発熱が起こるが、積層電池では、単電池1〜2セル毎に冷却板を設け、電池温度を一定に保つと同時に発生した熱エネルギーを温水などの形で利用できるようにしている。冷却板としては薄い金属板の内部に冷却水などの熱媒体が貫流する構造が一般的であるが、単電池を構成するセパレータの背面、すなわち冷却水を流したい面を流路加工し冷却板を構成する構造もある。その際、冷却水などの熱媒体をシールするためのO−リングやガスケットも必要となる。このシーールではO−リングを完全につぶすなどして冷却板の上下間で十分な導電性が確保されていることが必要である。
このような積層電池では、マニホールドと呼ばれる各単電池への燃料ガスの供給排出孔が必要である。これには、冷却水の供給排出孔を積層電池内部に確保した、いわいる内部マニホールド型が一般的である。
内部マニホールド形式、または外部マニホールド形式のいずれを用いても、冷却部を含む複数の単電池を一方向に積み重ね、その両端に一対の端板を配し、その2枚の端板の間を締結ロッドで固定することが必要である。締め付け方式は、単電池を面内でできるだけ均一に締め付けることが望ましい。機械的強度の観点から、端板や締結ロッドには通常ステンレスなどの金属材料を用いる。これらの端板や締結ロッドと、積層電池とは、絶縁板により電気的に絶縁し、電流が端板を通して外部に漏れ出ることのない構造とする。締結ロッドについても、セパレータ内部の貫通孔の中を通したり、積層池全体を端板越しに金属のベルトで締め上げる方式も提案されている。
以上に示した高分子電解質型燃料電池は、電解質膜が水分を含んだ状態で電解質として機能するため、供給する燃料ガスや酸化剤ガスを加湿して供給する必要がある。また、高分子電解質膜は、少なくとも100℃までの温度範囲では、含水率が高くなればなるほど、イオン伝導度が増加し、電池の内部抵抗を低減させ、高性能にする効果がある。そこで、電解質膜中の含水率を高めるためには、供給ガスを高加湿にして供給する必要がある。
しかしながら、電池運転温度以上の高加湿ガスを供給すると、電池内部で結露水が発生し、水滴がスムーズなガスの供給を阻害するとともに、酸化剤ガスを供給する空気極側では、発電によって水が生成するため、生成水の除去効率が低下し、電池性能を低下させる問題が発生する。そのため、通常は電池運転温度より若干低めの露点に加湿してガスを供給する。
供給ガスの加湿方法としては、所定の温度に保った脱イオン水中に供給ガスをバブリングし加湿するバブラー加湿方式や、電解質膜などの水分が容易に移動可能な膜の一方の面に所定の温度に保った脱イオン水を流し、他方の面に供給ガスを流して加湿する膜加湿方式が一般的である。燃料ガスとして、メタノールやメタンなどの化石燃料を水蒸気改質したガスを用いる場合には、改質ガス中に水蒸気を含んでいるため、加湿が必要ない場合もある。
加湿された燃料ガスや酸化剤ガスは、高分子電解質型燃料電池に供給され、発電に供する。このとき、電池積層体中の任意の単電池の単一面内では、電流密度の分布が発生する。すなわち、燃料ガスはガス供給入り口部で所定量の加湿がなされ供給されるが、燃料ガス中の水素が発電によって消費されるため、ガス上流部ほど水素分圧が高く水蒸気分圧が低く、ガス下流部ほど水素分圧が低く水蒸気分圧が高くなる現象が発生する。
また、酸化剤ガスもガス供給入り口部で所定の加湿がなされ供給されるが、酸化剤ガス中の酸素が発電によって消費され、発電によって生成した水が発生するため、ガス上流部ほど酸素分圧が高く水蒸気分圧が低く、ガス下流部ほど酸素分圧が低く水蒸気分圧が高くなる現象が発生する。さらに、電池を冷却するための冷却水温度は、入り口ほど低く、出口ほど高くなるため、電池の単一面内に温度分布が発生する。以上のような理由から、電池の単一面内では電流密度分布(性能分布)が発生する。
また、上述のような理由で発生した、電池の単一面内での燃料ガス中の水素や水蒸気分圧の不均一や、酸化剤ガス中の酸素や水蒸気分圧の不均一、さらに温度分布などが、極端に大きくなり最適な状態から逸脱すると、極端な乾きすぎ(オーバードライ)状態や、極端な濡れすぎ(オーバーフラッディング)状態を招来し、電流密度分布の発生程度では収まらず、場合によっては電池として機能しなくなる。
さらに、上述のような理由で発生した、電池の単一面内での燃料ガス中の水素や水蒸気分圧の不均一や、酸化剤ガス中の酸素や水蒸気分圧の不均一、さらに温度分布などによって、電池の単一面内でオーバードライとオーバーフラッディングが共存する現象も発生しうる。
電池を高積層にした場合、積層した多数の電池の一部の電池に上述のような問題が発生すると、一部の性能低下した電池のために、積層電池全体の運転に支障を来す。すなわち、積層した電池の一部の電池がオーバーフラッディングに陥った場合、オーバーフラッディングに陥った電池は、ガス供給のための圧力損失が増大する。ガス供給のマニホールドは、積層電池内で共通であるため、オーバーフラッディングに陥った電池には、ガスが流れにくくなり、結果として益々オーバーフラッディングを招来する。逆に、積層電池の一部がオーバードライに陥った場合、オーバードライに陥った電池は、ガス供給のための圧力損失が減少する。従って、オーバードライに陥った電池には、ガスが流れやすくなり、結果として益々オーバードライを招来する。
特に、オーバーフラッディングに陥った場合、上述の理由によってガスが流れにくくなる現象が進行すると、ついには電池反応に必要なガス流量が確保できなくなる現象が発生する。積層電池の場合には、積層した電池のうちの小数の電池にこのような不具合が生じても、電池スタック全体のトータル電圧は高電圧が維持されているため、不具合の生じた電池にも強制的に電流が流れ、不具合の生じた電池が転極する現象が発生する。この現象が空気極側に生じた場合には、空気極側の電池の低下を招くだけであるため、極端な電位の低下でない限り大きな問題は発生しない。ところが、オーバーフラッディングによる燃料ガスの供給不足が生じた場合には、燃料極側の電位が上昇するため、電極触媒層を構成するカーボン粉末が酸化され溶出する問題が発生する。カーボン粉末の溶出が発生すると、非可逆な反応であるため、電池は回復不可能なダメージをうける問題がある。
上述のような問題は、燃料ガスを供給する燃料極側においても、酸化剤ガスを供給する空気極側においても、ガス入り口側に比べてガス出口側ほどガス中の水蒸気分圧が高くなることに起因する場合が多い。
そこで、特表平9−511356に示されているように、酸化剤ガスの流れ方向と冷却水の流れ方向を同方向とし、冷却水の温度分布により酸化剤ガスの下流部の温度を上流部に比べて高くすることで、空気極下流部のオーバーフラッディングを抑制し、電池の単一面内の電流密度分布を低減させる試みもなされてきた。
しかしながら、電池にガスを供給する場合、ガス入り口部では必ず圧力損失が存在するため、電池内部では、供給ガスの圧力分布も存在し、必ず入り口側が高圧になる。空気極側では、水が生成するため、水蒸気の分圧は出口側ほど高くなるが、圧力分布の影響で、電池運転条件によっては、相対湿度は必ずしも出口側が高くなるとは限らない。そのため、入り口側ほど相対湿度が高くなる運転条件で電池を発電させ、酸化剤ガスの流れ方向と冷却水の流れ方向を同方向とし、冷却水の温度分布により酸化剤ガスの下流部の温度を上流部に比べて高くすると、ガス入り口側でのオーバーフラッディングが加速され逆効果となる場合もある。
このように、燃料電池を作動させるためには、ガス供給系、ガス加湿系、冷却水供給系、排熱回収系、制御系等のシステムと、電力がDCで出力されるため、場合によってはACに変換する等のパワーマネージメントシステムが必要である。システム全体の効率、コンパクト性、コスト等を考慮すると、燃料電池に供給するガスの露点は低いほど有利である。しかしながら、上述のような理由から、供給ガスの露点を低くすると、燃料電池の性能は低下する。さらに、特に供給する酸化剤ガスの露点を低くすると、燃料電池特性の経時的な劣化特性を加速させてしまうことを発見した。
発明の開示
以上のことを考慮し、本発明は、高い初期特性と寿命特性を有することができる高分子電解質型燃料電池及びその運転方法を提供することを目的とする。
第1の本発明(請求項1に対応)は、水素イオン高分子電解質膜を挟む位置に配置した一対の電極及び、前記一方の電極に燃料ガスを供給排出し、前記他方の電極に酸化剤ガスを供給排出する供給排出手段とを有する単電池が、導電性セパレータを介して積層され、前記電極を冷却するための冷却媒体を流通する流通手段が備えられた高分子電解質型燃料電池において、
前記冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整されている高分子電解質型燃料電池である。
第2の本発明(請求項2に対応)は、前記高分子電解質型燃料電池の燃料ガス供給口に供給する燃料ガス供給総流量(Vain(NL/min)、ただし水蒸気を含む)と、前記燃料ガス供給口に供給する前記燃料ガス中の水素ガスの含有率(ΔPah(atm)、ただし水蒸気を含む)と、前記燃料ガス供給口に供給する前記燃料ガス中に含まれる水蒸気の分圧(ΔPain(atm))と、前記高分子電解質型燃料電池の燃料ガス利用率(Uf、ただし0≦Uf≦1)と、前記燃料ガス供給口に供給する前記燃料ガス中に含まれる水蒸気の露点(Rain(℃))と、前記燃料ガス供給部の電池温度(Tain(℃))と、燃料ガス排出部の電池温度(Taout(℃))とを、Rain<Tainに保つように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整している第1の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第3の本発明(請求項3に対応)は、Rain≦(Tain−5)となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整することを特徴とする第2の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第4の本発明(請求項4に対応)は、(Tain−15)≦Rain≦(Tain−5)となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整することを特徴とする第2の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第5の本発明(請求項5に対応)は、ΔPain/(1−Uf×ΔPah)で算出される、燃料ガス出口付近の水蒸気分圧(ΔPaout(atm))から近似式22.921Ln(ΔPaout×760)−53.988によって得られる、燃料ガス出口付近の露点(Raout(℃))が、Raout≦(Taout+5)となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整することを特徴とする第2の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第6の本発明(請求項6に対応)は、前記導電性セパレーターにおける前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとの流通方向が同じ向きであり、かつ、
前記酸化剤ガス供給部の電池温度(Tcin(℃))もしくは前記燃料ガス供給部の電池温度(Tain(℃))または冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整し、かつ、
前記高分子電解質型燃料電池の酸化剤ガス利用率(Uo、ただし0≦Uo≦1)と、酸化剤ガス供給口に供給する前記酸化剤ガス中に含まれる水蒸気の露点(Rcin)と、酸化剤ガス供給部の電池温度(Tcin(℃))と、酸化剤ガス排出部の電池温度(Tcout)とを、Rcinが、TwinまたはTwoutより、10℃以上低く保たれる第1から5のいずれかの本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第7の本発明(請求項7に対応)は、前記Rcinが、TwinまたはTwoutより、20℃以上低く保たれる第5の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第8の本発明(請求項8に対応)は、前記Uoが、Uo≧0.5(50%)となるように、
前記酸化剤ガスの供給量を調整することを特徴とする第6の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第9の本発明(請求項9に対応)は、前記Rainが、前記Rcinより10℃以上高く、前記Twinまたは前記Tainまたは前記Taoutまたは前記Tcinまたは前記Tcoutより低いことを特徴とする第6の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第10の本発明(請求項10に対応)は、前記Uoが0.6(60%)以上、0.9(90%)以下であることを特徴とする第6の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第11の本発明(請求項11に対応)前記導電性セパレーターにおける前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとの流通方向が重力に対して上から下向きである第1から10のいずれかの本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第12の本発明(請求項12に対応)は、カソード及びアノードから排出される燃料ガス及び酸化剤ガスが、燃料ガス及び酸化剤ガスが流通する部分の圧力損失に相当する不可避部分を除いて実質的に常圧に開放されている第1から11の本発明のいずれかの高分子電解質型燃料電池である。
第13の本発明(請求項13に対応)は、電池から取り出す電流値と前記Uoとを連動制御し、前記電流値が小さいほど前記Uoを大きくすることを特徴とする第6の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第14の本発明(請求項14に対応)は、前記Twinまたは前記Twoutまたは前記Tainまたは前記Taoutまたは前記Tcinまたは前記Tcoutを、70℃以上でかつ95℃以下としたことを特徴とする第6の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第15の本発明(請求項15に対応)は、前記燃料ガスのドライベース組成に、15体積%以上45体積%以下の二酸化炭素ガスが含まれている、または燃料利用率が0.7(70%)以上である第1から14の本発明いずれかに記載の高分子電解質型燃料電池である。
第16の本発明(請求項16に対応)は、水素イオン高分子電解質膜を挟む位置に配置した一対の電極及び、前記一方の電極に燃料ガスを供給排出し、前記他方の電極に酸化剤ガスを供給排出する供給排出手段とを有する単電池が、導電性セパレータを介して積層され、前記電極を冷却するための冷却媒体を流通する流通手段が備えられた高分子電解質型燃料電池の運転方法において、
前記冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整する高分子電解質型燃料電池の運転方法である。
第17の本発明(請求項17に対応)は、前記導電性セパレーターにおける前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとの流通方向が同じ向きであり、かつ、
前記酸化剤ガス供給部の電池温度(Tcin(℃))もしくは前記燃料ガス供給部の電池温度(Tain(℃))または冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整し、かつ、
前記高分子電解質型燃料電池の酸化剤ガス利用率(Uo、ただし0≦Uo≦1)と、酸化剤ガス供給口に供給する前記酸化剤ガス中に含まれる水蒸気の露点(Rcin)と、酸化剤ガス供給部の電池温度(Tcin(℃))と、酸化剤ガス排出部の電池温度(Tcout)とを、Rcinが、TwinまたはTwoutより、10℃以上低く保つ第16の本発明の高分子電解質型燃料電池の運転方法である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施例を以下に説明する。
(実施例1−1)
まず、触媒層を形成した電極の作成方法を説明する。カーボンブラック粉末に、平均粒径約30Åの白金粒子を50重量%担持したものをカソード触媒材料とした。さらに、このカーボンブラック粉末に、平均粒径約30Åの白金−ルテニウム合金粒子を50重量%担持したものをアノード触媒材料とした。水素イオン伝導性高分子電解質としては、化1に示した化学構造を持つパーフルオロカーボンスルホン酸を用いた。この触媒材料20重量%を、9wt%の水素イオン伝導性高分子電解質を溶解したエタノール溶液80重量%にボールミル混合し、電極作成用インクを調整した。
次に、9wt%の水素イオン伝導性高分子電解質を平滑なガラス基板上にキャストし、乾燥することで平均膜厚30μmの水素イオン伝導性高分子電解質膜を得た。次に、この水素イオン伝導性高分子電解質膜の両面に、前記電極作成用インクをスクリーン印刷法により電極形状に印刷し、触媒層付き高分子電解質膜を得た。
一方、拡散層となるカーボンペーパーを撥水処理した。外寸16cm×20cm、厚み360μmのカーボン不織布(東レ製、TGP−H−120)を、フッ素樹脂含有の水性ディスパージョン(ダイキン工業製、ネオフロンND1)に含浸した後、これを乾燥し、400℃で30分加熱することで、撥水性を与えた。
次に、カーボンブラック粉末と、PTFE粉末の水性ディスパージョンを混合し、撥水層作成用インクとした。拡散層である前記カーボン不織布の一方の面に、前記撥水層作成用インクをスクリーン印刷法をもちいて塗布することで撥水層を形成した。このとき、撥水層の一部は、カーボン不織布の中に埋まり込んでおり、また残りの部分はカーボン不織布表面に浮くように存在していた。次に、触媒層付き高分子電解質膜の裏表両面に、一対の撥水層付き拡散層を撥水層が高分子電解質膜上の触媒層と接するようにホットプレスで接合し、これを電極/膜接合体とした。
この電極/膜接合体を、120℃の飽和水蒸気雰囲気中で1時間熱処理し、水素イオン伝導経路を十分に発達させた。ここで、化1で示した水素イオン伝導性高分子電解質は、100℃以上程度の比較的高温の湿潤雰囲気下で熱処理を行うと、水素イオン伝導経路である親水チャンネルが発達し、逆ミセル構造を形成することを見いだした。
このようにして、外寸が20cm×32cmの水素イオン伝導性高分子電解質膜の裏表両面に、外寸が16cm×20cmの電極が接合された、電極反応用触媒を担持した導電体を含む電極/膜接合体を得た。
次に、前記電極/膜接合体の高分子電解質膜の外周部にゴム製のガスケット板を接合し、冷却水と燃料ガス及び酸化剤ガス流通用のマニホールド穴を形成して、MEAとした。
次に、外寸が20cm×32cm、厚みが1.3mm、ガス流路および冷却水流路の深さが0.5mmの樹脂含浸黒鉛板から構成したセパレーターを準備し、セパレータ2枚を用い、MEAシートの一方の面に酸化剤ガス流路が形成されたセパレーターを、裏面に燃料ガス流路が形成されたセパレーターをを重ね合わせ、これを単電池とした。この単電池を2セル積層した後、冷却水路溝を形成したセパレータでこの2セル積層電池を挟み込み、このパターンを繰り返して100セル積層の電池スタックを作成した。この時、電池スタックの両端部には、ステンレス製の集電板と電気絶縁材料の絶縁板、さらに端板と締結ロッドで固定した。この時の締結圧はセパレータの面積当たり10kgf/cm2とした。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の燃料ガス入口付近の温度(Tain)を60℃から85℃に保持し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に50℃から80℃の露点となるように加湿・加温した空気を供給した。または乾燥空気を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
本実施例では、燃料ガス中に、水素に比べて拡散性の悪い二酸化炭素ガスが含まれる場合や、燃料利用率が高く良好なガスの分配性が要求される場合に、より効果的であることが判明した。
この電池を燃料利用率0.85(85%)、酸素利用率0.5(50%)、電流密度0.3A/cm2、及び0.5A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化を計測した。
表1に、本実施例による、発電試験結果を示す。
比較のために、本実施例によらない運転条件による例を、表2に示す。
次に、別の本発明の各施例を説明する。
各実施例を説明する前に、本発明の概略を説明する。本発明は、冷却水の入口温度または電池温度が60℃以上であり、電極に供給する酸化剤ガスの入口露点が、冷却水の入口温度または電池温度より20℃以上低い高分子電解質型燃料電池において、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向であることを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
または、冷却水の入口温度または電池温度が60℃以上であり、電極に供給する酸化剤ガスの入口露点が、冷却水の入口温度または電池温度より20℃以上低い高分子電解質型燃料電池において、酸化剤ガスの利用率が60%以上となるよう供給する酸化剤ガスの流量を調整して供給することを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
または、冷却水の入口温度または電池温度が60℃以上であり、電極に供給する酸化剤ガスの入口露点が、冷却水の入口温度または電池温度より20℃以上低く、電極から排出される燃料ガス及び酸化剤ガスが熱交換器及び配管等の圧力損失に相当する不可避の部分を除いて実質的に常圧に開放された高分子電解質型燃料電池において、酸化剤ガスの利用率が60%以上となるよう供給する酸化剤ガスの流量を調整して供給することを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
好ましくは、電極に供給する燃料ガスの入口露点が、酸化剤ガスの入口露点より10℃以上高く、冷却水の入口温度または電池温度以下であることを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
さらに好ましくは、酸化剤ガスの利用率が60%以上、90%以下であることを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
さらに好ましくは、電極に供給する酸化剤ガスが実質的に無加湿であることを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
さらに好ましくは、電流密度によって、酸化剤ガスの利用率を変化させ、低電流密度ほど酸化剤ガスの利用率を大きくすることを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
さらに好ましくは、冷却水の入口温度または電池温度が70℃以上90℃以下であることを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
ここで、空気極側に供給する酸化剤ガスの露点を低くすると、当然電池内で濡れすぎによるオーバーフラッディング現象は起こりづらくなり、むしろオーバードライ現象が発生しやすくなる。オーバードライ現象が発生すると、電池性能は低下するが、積層電池に供給するガスの分配の観点からは、均等に分配しやすい方向になる。従って、従来困難であった酸化剤ガスの高利用率化は容易な方向になるため、高加湿の酸化剤ガスを供給する場合、通常30%〜50%程度で運転されることが一般的であった酸化剤ガスの利用率を60%以上に高めても運転可能となることを発見した。しかしながら、積層電池のガス分配性の観点から、特に酸化剤ガスの供給圧損を0.1kgf/cm2以下に低減した場合、90%以上の酸化剤ガス利用率とすることは困難であることも発見した。
また、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向となるような対向流方式とし、空気極側に供給する酸化剤ガスの露点を低くすると、冷却水の入口温度または平均電池温度が60℃以下の比較的低い温度の場合には、加湿供給された燃料ガス中の水分が高分子電解質膜を介して酸化剤ガス側に効果的に移動するため良好な運転状態となることを発見した。
しかしながら、冷却水の入口温度または電池温度が60℃以上の比較的高い温度の場合に、対向流方式で空気極側に供給する酸化剤ガスの露点を低くすると、加湿供給された燃料ガス中の水分は、入口近傍では空気極側の出口近傍の酸化剤ガスへ移動し、入口近傍で水分が奪われた燃料ガスは、燃料ガスの出口近傍で、さらに空気極側の酸化剤ガスの入口近傍の最も乾燥した酸化剤ガスに水分が奪われるため、燃料ガスの出口露点は酸化剤ガスの入口露点とほぼ等しくなる程度まで低下し、出口近傍の燃料ガスの露点が低下しすぎて性能が低下する問題を発見した。このとき、燃料ガスと酸化剤ガスの入口ガス露点は燃料ガスの方が高くても、出口露点を測定すると、燃料ガスよりも酸化剤ガスの露点が高くなってしまうことを発見した。
また、燃料ガスの出口露点が低いまま運転を続けると、燃料極側の電極特性は加湿温度(露点)の影響を大きく受けるため、徐々に性能が低下を続け、ついには燃料極側の分極が大きくなりすぎて、燃料極側の電極構成材料の一つであるカーボン担体が溶出し、不可逆で致命的な性能低下となることを発見した。
さらに、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向となるような並向流方式とし、空気極側に供給する酸化剤ガスの露点を低くすると、冷却水の入口温度または平均電池温度が60℃以下の比較的低い温度の場合には、加湿供給された燃料ガス中の水分が高分子電解質膜を介して酸化剤ガス側に移動し、燃料ガスと酸化剤ガスの出口露点はほぼ同一の温度となるよう均一化されることを見いだした。
従って、冷却水の入口温度または平均電池温度が60℃以下の比較的低い温度の場合には、酸化剤ガスの利用率を40%程度以下の低利用率にしなければ、燃料ガスおよび酸化剤ガスの出口露点が冷却水の入口温度または平均電池温度以上になり、電池内で水分が結露し運転しづらい状況になることを発見した。
しかしながら、冷却水の入口温度または電池温度が60℃以上の比較的高い温度の場合に、並向流方式で空気極側に供給する酸化剤ガスの露点を低くすると、加湿供給された燃料ガス中の水分は、冷却水の入口温度または電池温度が比較的低い場合と同様に、加湿供給された燃料ガス中の水分が高分子電解質膜を介して酸化剤ガス側に移動し、燃料ガスと酸化剤ガスの出口露点はほぼ同一の温度となるよう均一化されることを見いだした。
このとき、水の飽和蒸気圧は、100℃までの温度範囲では温度が高くなるほど急激に大きくなるため、冷却水の入口温度または電池温度が比較的高い場合には、酸化剤ガスの利用率を60%以上の高利用率にしなければ電池内が乾いてしまい充分な性能が得られないことを発見した。また、酸化剤ガスの利用率を60%以下の低利用率のまま運転を続けると、特に燃料極側の電極特性は加湿温度(露点)の影響を大きく受けるため、徐々に性能が低下を続け、ついには燃料極側の分極が大きくなりすぎて、燃料極側の電極構成材料の一つであるカーボン担体が溶出し、不可逆で致命的な性能低下となることを発見した。
また、以上の効果は、冷却水の入口温度または平均電池温度が70℃以上の場合、水の飽和水蒸気圧が70℃以上付近から特に急激に大きくなるため、より顕著になることを見いだした。また、以上の効果は、冷却水の入口温度または平均電池温度と供給する酸化剤ガスの露点、または供給する燃料ガスの露点と供給する酸化剤ガスの露点の差が大きいほど顕著な効果を示し、そのような理由から、酸化剤ガスを実質的に無加湿で供給する場合に、より顕著になることを見いだした。
本発明の各実施例を、図面を参照しながら説明する。
(実施例2−1)
まず、触媒層を形成した電極の作成方法を説明する。30nmの平均一次粒子径を持つ導電性カーボン粒子であるケッチェンブラックEC(オランダ国、AKZO Chemie社)に、平均粒径約30Åの白金粒子を50重量%担持したものをカソード触媒材料とした。さらに、同じケッチェンブラックECに、平均粒径約30Åの白金−ルテニウム合金粒子(重量比1:1)を50重量%担持したものをアノード触媒材料とした。水素イオン伝導性高分子電解質としては、化1に示した化学構造を持つパーフルオロカーボンスルホン酸を用いた。この触媒材料20重量%を、10重量%の水素イオン伝導性高分子電解質を溶解したエタノール溶液80重量%にボールミル混合し、電極作成用インクを調整した。
次に、20重量%の水素イオン伝導性高分子電解質のアルコール溶液を平滑なガラス基板上にキャストし、乾燥することで平均膜厚30μmの水素イオン伝導性高分子電解質膜を得た。次に、この水素イオン伝導性高分子電解質膜の両面に、前記電極作成用インクをスクリーン印刷法により電極形状に印刷し、触媒層付き高分子電解質膜を得た。
一方、拡散層となるカーボンペーパーを撥水処理した。外寸16cm×20cm、厚み360μmのカーボン不織布(東レ製、TGP−H−120)を、フッ素樹脂含有の水性ディスパージョン(ダイキン工業製、ネオフロンND1)に含浸した後、これを乾燥し、400℃で30分加熱することで、撥水性を与えた。
次に、カーボンブラック粉末と、PTFE粉末の水性ディスパージョンを混合し、撥水層作成用インクとした。拡散層である前記カーボン不織布の一方の面に、前記撥水層作成用インクをスクリーン印刷法をもちいて塗布することで撥水層を形成した。このとき、撥水層の一部は、カーボン不織布の中に埋まり込んでおり、また残りの部分はカーボン不織布表面に浮くように存在していた。次に、触媒層付き高分子電解質膜の裏表両面に、一対の撥水層付き拡散層を撥水層が高分子電解質膜上の触媒層と接するようにホットプレスで接合し、これを電極/膜接合体とした。
この電極/膜接合体を、120℃の飽和水蒸気雰囲気中で1時間熱処理し、水素イオン伝導経路を十分に発達させた。ここで、化1で示した水素イオン伝導性高分子電解質は、100℃以上程度の比較的高温の湿潤雰囲気下で熱処理を行うと、水素イオン伝導経路である親水チャンネルが発達し、逆ミセル構造を形成することを見いだした。
このようにして、外寸が20cm×32cmの水素イオン伝導性高分子電解質膜の裏表両面に、外寸が16cm×20cmの電極が接合された、電極反応用触媒を担持した導電体を含む電極/膜接合体を得た。
次に、前記電極/膜接合体の高分子電解質膜の外周部にゴム製のガスケット板を接合し、冷却水と燃料ガス及び酸化剤ガス流通用のマニホールド穴を形成して、MEAとした。
次に、セパレーターの構成を示す。セパレーターの寸法は、全て20cm×32cm、厚みが1.4mm、ガス流路および冷却水流路の深さが0.5mmとし、樹脂含浸黒鉛板に切削加工を施してセパレーターとした。
第一のセパレーターは、一方の面に図1で示した加工を、その裏面に図2で示した加工を施し、一方の面に酸化剤ガス、他方の面に燃料ガスが流れる、C/Aセパレーターとした。
第二のセパレーターは、一方の面に図1で示した加工を、その裏面に図3で示した加工を施し、一方の面に酸化剤ガス、他方の面に冷却水が流れる、C/Wセパレーターとした。第三のセパレーターは、一方の面に図2で示した加工を、その裏面に図3で示した加工を施し、一方の面に燃料ガス、他方の面に冷却水が流れる、A/Wセパレーターとした。ここでC/WセパレーターとA/Wセパレーターの冷却水が流れる面どうしを、接合シール部(10)に接合剤を設置した状態で接合し、一方の面を酸化剤ガスが、他方の面を燃料ガスが、セパレーターの内部を冷却水が流れるC/W/Aセパレーターを作製した。
C/Aセパレータ2枚を用い、MEAシートの一方の面に酸化剤ガス流路が形成された面を、裏面に燃料ガス流路が形成された面を重ね合わせ、これを単電池とした。この単電池を2セル積層した後、冷却水路溝を形成したC/W/Aセパレータでこの2セル積層電池を挟み込み、このパターンを繰り返して100セル積層の電池スタックを作成した。この時、電池スタックの両端部には、ステンレス製の集電板と電気絶縁材料の絶縁板、さらに端板と締結ロッドで固定した。この時の締結圧はセパレータの面積当たり10kgf/cm2とした。
ここで、酸化剤ガスは酸化剤ガス入口マニホールド孔(1)から入って酸化剤ガス流路溝(7)を流れ、酸化剤ガス出口マニホールド孔(2)から排出され、燃料ガスは燃料ガス入口マニホールド孔(3)から入って燃料ガス流路溝(8)を流れ、燃料ガス出口マニホールド孔(4)から排出される構成とした。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向である用に設定した。また、冷却水は冷却水入口マニホールド孔(5)から入って冷却水流路溝(9)を流れ、冷却水出口マニホールド孔(6)から排出されように設定した。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部と冷却水の実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部と冷却水の実質的な下流部が同一方向である用に設定した。すなわち、酸化剤ガス、燃料ガス、冷却水共に並向流となるよう設定した。また、それぞれのガスの出口部では、排出ガス中の水分を凝縮させて回収するための熱交換機を介して大気開放し、できる限り背圧がかからないようにした。また、酸化剤ガス、燃料ガス、冷却水共に、実質的な上流部が上部に、実質的な下流部が下部になるよう燃料電池スタックを設置した。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度(Twin)を60℃から85℃に保持し、燃料極側に調湿、調温して露点(水蒸気分圧)を調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に50℃から80℃の露点となるように加湿・加温した空気を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
本実施例では、燃料ガス中に、水素に比べて拡散性に悪い二酸化炭素ガスが含まれる場合や、燃料利用率が高く、良好なガスの分配性が要求される場合に、より効果的であることが判明した。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。
表3に、本実施例の発電試験結果を示す。比較のために、上記以外の運転条件による結果を表4に示した。
実施例2−1の結果から、高電流密度発電においては、酸化剤ガス利用率を90%程度まで上昇させて運転すると、5000時間後にはフラッディングによる性能低下が起こるため、電流密度によって、酸化剤ガスの利用率を変化させ、低電流密度ほど酸化剤ガスの利用率を大きくすることが有効であることが判明した。
また、0.2A/cm2で発電している場合の酸化剤ガスおよび燃料ガスの圧力損失を測定した。酸化剤ガス利用率が40%、空気入り口露点が45℃の場合、電池入り口部での酸化剤ガス側の圧力損失が80mmAq、燃料ガス入り口部での圧力損失が100mmAqであった。また燃料電池スタックの出口部での圧力損失(熱交換機の圧力損失)は、酸化剤ガス側が40mmAq、燃料ガス側が20mmAqであった。従って、燃料電池スタックのみの圧力損失は、酸化剤ガス側が40mmAq、燃料ガス側が80mmAqであった。
同様に、0.2A/cm2で発電している場合、酸化剤ガス利用率が60%、空気入り口露点が0℃の場合、電池入り口部での酸化剤ガス側の圧力損失が50mmAq、燃料ガス入り口部での圧力損失が80mmAqであった。また燃料電池スタックの出口部での圧力損失(熱交換機の圧力損失)は、酸化剤ガス側が30mmAq、燃料ガス側が10mmAqであった。従って、燃料電池スタックのみの圧力損失は、酸化剤ガス側が20mmAq、燃料ガス側が70mmAqであった。
以上の結果から、燃料電池スタックに供給するガスの圧力損失は、酸化剤ガス側より燃料ガス側を大きくした方が、分配性などの観点から良好であることを発見した。
また、酸化剤ガスおよび燃料ガスの出口露点は、酸化剤ガスと燃料ガスの実質的な流れ方向が並向流である場合には、ほぼ等しくなることを発見した。このことから、高分子電解質膜中の水の移動速度がかなり速いことも発見した。また、供給ガスの出口露点は、供給ガスの入り口露点と供給ガスの利用率が同一であれば、電流密度によらずほぼ同一の出口露点となることを発見した。しかしながら、80%程度以上の高い酸化剤ガス利用率の場合、低電流密度と高電流密度の場合の性能を比較すると、低電流密度の場合には90%の酸化剤ガス利用率でも充分な性能を発揮するが、高電流密度の場合には90%の酸化剤ガス利用率では性能低下が確認された。このことから、電流密度によって最適な酸化剤ガス利用率が変化し、最適運転を行うためには電流密度によって酸化剤ガス利用率を変化させる必要があることを発見した。
(実施例2−2)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、実施例2−1と同一の方法でセパレーターを作製し、同様に電池を組み立てた。ここで、酸化剤ガスは酸化剤ガス入口マニホールド孔(1)から入って酸化剤ガス流路溝(7)を流れ、酸化剤ガス出口マニホールド孔(2)から排出され、燃料ガスは燃料ガス入口マニホールド孔(3)から入って燃料ガス流路溝(8)を流れ、燃料ガス出口マニホールド孔(4)から排出される構成とした。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向である用に設定した。また、冷却水は冷却水出口マニホールド孔(6)から入って冷却水流路溝(9)を流れ、冷却水入口マニホールド孔(5)から排出されように設定した。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部と冷却水の実質的な下流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部と冷却水の実質的な上流部が同一方向である用に設定した。すなわち、燃料ガスと酸化剤ガスは並向流、これに対して冷却水だけが対向流となって流れるよう配置した。また、それぞれのガスの出口部では、排出ガスを大気開放し、できる限り背圧がかからないようにした。また、酸化剤ガスおよび燃料ガスの実質的な上流部が上部に、実質的な下流部が下部になるよう燃料電池スタックを設置した。従って、冷却水に関しては、実質的な上流部が下部に、実質的な下流部が上部になるよう燃料電池スタックを配置した。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を70℃に保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が75℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を70℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に45℃の露点となるように加湿・加温した空気、または乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。
その結果、実施例2−1に示した結果と同様以上の良好な結果を得、冷却水の流れ方向は、本発明において影響がなく、むしろ冷却水の流れ方向に関しては酸化剤ガスおよび燃料ガスの流れに対して対向流である方が運転条件によっては望ましいことを確認した。また、酸化剤ガスおよび燃料ガスは重力方向に対して平行となるよう燃料電池スタックを設置したが、冷却水の流れ方向に対しては重力方向と対向するよう配置したが、全く問題ないことを確認した。
また、実施例2−1同様供給ガスの圧力損失を測定したが、実施例2−1の結果とほぼ同一の結果が得られた。
(比較例)
比較のために、本発明によらない酸化剤ガスと燃料ガスが対向流となるよう構成した場合の例を示す。
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、実施例2−1と同一の方法でセパレーターを作製し、同様に電池を組み立てた。ここで、酸化剤ガスは酸化剤ガス入口マニホールド孔(1)から入って酸化剤ガス流路溝(7)を流れ、酸化剤ガス出口マニホールド孔(2)から排出され、燃料ガスは燃料ガス出口マニホールド孔(4)から入って燃料ガス流路溝(8)を流れ、燃料ガス入口マニホールド孔(3)から排出される構成とした。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向である用に設定した。従って、燃料ガスと酸化剤ガスが対向流で流れるように設定した。
また、冷却水は冷却水入口マニホールド孔(5)から入って冷却水流路溝(9)を流れ、冷却水出口マニホールド孔(6)から排出されように設定した。すなわち、燃料ガスと酸化剤ガスは対向流、これに対して冷却水は酸化剤ガスと並向流となって流れるよう配置した。また、それぞれのガスの出口部では、排出ガスを大気開放し、できる限り背圧がかからないようにした。また、燃料ガスの実質的な上流部が上部に、実質的な下流部が下部になるよう燃料電池スタックを設置した。従って、酸化剤ガスおよび冷却水に関しては、実質的な上流部が下部に、実質的な下流部が上部になるよう燃料電池スタックを配置した。
このように作製した本例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を70℃に保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が75℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を70℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に45℃の露点となるように加湿・加温した空気、または乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。表5にその結果を示した。
また、比較のために、燃料電池スタックの設置方向を変更し、酸化剤ガスおよび冷却水の実質的な上流部が上部に、実質的な下流部が下部になるよう燃料電池スタックを設置し、再試験を行った。従って、燃料ガスに関しては、実質的な上流部が下部に、実質的な下流部が上部になるよう燃料電池スタックを配置した。
その結果、発電時の各セルの電圧が大きくばらつき、転極するセルも出現したため、特性を測定することすらできない状態に陥った。従って、燃料ガスに関しては、実質的な上流部が上部に、実質的な下流部が下部になるよう、重力方向に従って燃料ガスが流れるよう燃料電池スタックを配置する必要があることを発見した。
しかしながら、同様の試験を燃料ガス供給側セパレーターの流露断面積を小さくすることで燃料ガス供給時の圧力損失を上昇さる、または電流密度を大きくして燃料ガスの流量を増加させる、または燃料利用率を低下させて燃料ガスの流量を増加させることを行い、同様の試験を行ったところ、燃料ガス供給の圧力損失が300mmAq以上の高い圧力損失を有する燃料電池スタックまたは電池運転条件の場合には、燃料ガスの流れ方向を重力方向に沿って設置する必要はなく、重力方向と反対であっても充分運転可能であることを発見した。
(実施例2−3)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、セパレーターの構成を示す。セパレーターの寸法は、全て20cm×32cm、厚みが1.4mm、ガス流路および冷却水流路の深さが0.5mmとし、樹脂含浸黒鉛板に切削加工を施してセパレーターとした。
第一のセパレーターは、一方の面に図4で示した加工を、その裏面に図5で示した加工を施し、一方の面に酸化剤ガス、他方の面に燃料ガスが流れる、C/Aセパレーターとした。第二のセパレーターは、一方の面に図4で示した加工を、その裏面に図6で示した加工を施し、一方の面に酸化剤ガス、他方の面に冷却水が流れる、C/Wセパレーターとした。第三のセパレーターは、一方の面に図5で示した加工を、その裏面に図6で示した加工を施し、一方の面に燃料ガス、他方の面に冷却水が流れる、A/Wセパレーターとした。ここでC/WセパレーターとA/Wセパレーターの冷却水が流れる面どうしを、接合シール部(10)に接合剤を設置した状態で接合し、一方の面を酸化剤ガスが、他方の面を燃料ガスが、セパレーターの内部を冷却水が流れるC/W/Aセパレーターを作製した。
C/Aセパレータ2枚を用い、MEAシートの一方の面に酸化剤ガス流路が形成された面を、裏面に燃料ガス流路が形成された面を重ね合わせ、これを単電池とした。この単電池を2セル積層した後、冷却水路溝を形成したC/W/Aセパレータでこの2セル積層電池を挟み込み、このパターンを繰り返して100セル積層の電池スタックを作成した。この時、電池スタックの両端部には、ステンレス製の集電板と電気絶縁材料の絶縁板、さらに端板と締結ロッドで固定した。この時の締結圧はセパレータの面積当たり10kgf/cm2とした。
ここで、酸化剤ガスは酸化剤ガス入口マニホールド孔(1)から入って酸化剤ガス流路溝(7)を流れ、酸化剤ガス出口マニホールド孔(2)から排出され、燃料ガスは燃料ガス入口マニホールド孔(3)から入って燃料ガス流路溝(8)を流れ、燃料ガス出口マニホールド孔(4)から排出される構成とした。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向である用に設定した。また、冷却水は冷却水入口マニホールド孔(5)から入って冷却水流路溝(9)を流れ、冷却水出口マニホールド孔(6)から排出されように設定した。
従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部と冷却水の実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部と冷却水の実質的な下流部が同一方向である用に設定した。すなわち、酸化剤ガス、燃料ガス、冷却水共に並向流となるよう設定した。また、それぞれのガスの出口部では、排出ガスを大気開放し、できる限り背圧がかからないようにした。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を75℃保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が80℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を75℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。表6に、本実施例の発電試験の結果を示した。
(実施例2−4)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、実施例2−3同一の方法でセパレーターを作製し、同様に電池を組み立て、同様にガス及び冷却水を全て並向流となるよう設定した。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を85℃に保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が90℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を85℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。表7に、本実施例の発電試験の結果を示した。
(実施例2−5)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、実施例2−3同一の方法でセパレーターを作製し、同様に電池を組み立て、同様にガス及び冷却水を全て並向流となるよう設定した。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を60℃に保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が65℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を60℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。表8に、本実施例の発電試験の結果を示した。
(実施例2−6)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、実施例2−3同一の方法でセパレーターを作製し、同様に電池を組み立て、同様にガス及び冷却水を全て並向流となるよう設定した。
このように作製した高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を、比較のために本発明以下の温度である45℃に保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が50℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を45℃に調整した純水素ガスを、空気極側に乾燥空気(露点0℃)を供給した。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。表9に、本実施例での発電試験の結果を示した。
以上のように、冷却水入口温度または平均電池温度が60℃より低い場合には、酸化剤ガス利用率を低減する必要があり、60%以上の利用率では、逆に動作に支障をきたすことを発見した。また、本発明で意味する並向流は、酸化剤ガスと燃料ガスの実質的な入口と出口の関係が同一方向であればもちろん良い。以上の実施例からも明らかなように、部分的には対向流あるいは直交流となる箇所が存在しても、セパレーター全面での全体的なガス流れ方向が一致していれば効果が得られた。
(実施例2−7)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、セパレーターの構成を示す。セパレーターの寸法は、全て20cm×32cm、厚みが1.4mm、ガス流路および冷却水流路の深さが0.5mmとし、樹脂含浸黒鉛板に切削加工を施してセパレーターとした。
第一のセパレーターは、一方の面に図7で示した加工を、その裏面に図8で示した加工を施し、一方の面に酸化剤ガス、他方の面に燃料ガスが流れる、C/Aセパレーターとした。第二のセパレーターは、一方の面に図7で示した加工を、その裏面に図9で示した加工を施し、一方の面に酸化剤ガス、他方の面に冷却水が流れる、C/Wセパレーターとした。第三のセパレーターは、一方の面に図8で示した加工を、その裏面に図9で示した加工を施し、一方の面に燃料ガス、他方の面に冷却水が流れる、A/Wセパレーターとした。ここでC/WセパレーターとA/Wセパレーターの冷却水が流れる面どうしを、接合シール部に接合剤を設置した状態で接合し、一方の面を酸化剤ガスが、他方の面を燃料ガスが、セパレーターの内部を冷却水が流れるC/W/Aセパレーターを作製した。
C/Aセパレータ2枚を用い、MEAシートの一方の面に酸化剤ガス流路が形成された面を、裏面に燃料ガス流路が形成された面を重ね合わせ、これを単電池とした。この単電池を2セル積層した後、冷却水路溝を形成したC/W/Aセパレータでこの2セル積層電池を挟み込み、このパターンを繰り返して100セル積層の電池スタックを作成した。この時、電池スタックの両端部には、ステンレス製の集電板と電気絶縁材料の絶縁板、さらに端板と締結ロッドで固定した。この時の締結圧はセパレータの面積当たり10kgf/cm2とした。
ここで、酸化剤ガスは酸化剤ガス入口マニホールド孔(1)から入って酸化剤ガス流路溝(7)を流れ、酸化剤ガス出口マニホールド孔(2)から排出され、燃料ガスは燃料ガス入口マニホールド孔(3)から入って燃料ガス流路溝(8)を流れ、燃料ガス出口マニホールド孔(4)から排出される構成とした。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向である用に設定した。また、冷却水は冷却水入口マニホールド孔(5)から入って冷却水流路溝(9)を流れ、冷却水出口マニホールド孔(6)から排出されように設定した。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部と冷却水の実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部と冷却水の実質的な下流部が同一方向である用に設定した。すなわち、酸化剤ガス、燃料ガス、冷却水共に並向流となるよう設定した。また、それぞれのガスの出口部では、排出ガスを大気開放し、できる限り背圧がかからないようにした。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を75℃保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が80℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を75℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。メタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。表10に、本実施例での発電試験の結果を示した。
以上の実施例から、燃料ガスの出口露点および酸化剤ガスの出口露点ともに、電池の平均運転温度または冷却水入り口温度に対して5℃以上低い場合とて5℃以内となるよう低く保つことによって、良好な電池特性および寿命特性が得られることを発見した。これを実現するためには、供給する酸化剤ガスの露点が低い場合には、酸化剤ガス利用率を高くし、燃料ガスと並向流にすることが必要であることを発見した。
(実施例2−8)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。
次に、実施例2−3同一の方法でセパレーターを作製し、同様に電池を組み立て、同様にガス及び冷却水を全て並向流となるよう設定した。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を70℃に保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が80℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を65℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの部分酸化改質ガスを、空気極側に露点60℃に加湿した空気を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約52%、CO2:約43%、N2:約5%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。
表11に、本発明による実施例と本発明によらない比較例の発電試験結果を示す。
また、このとき同時に純水素ガスを燃料ガスに用い、露点65℃から80℃に加湿して供給し、同様の試験を行った。その結果、純水素ガスを燃料に用いた場合には、燃料極側で純水素が消費されると残りのガスは水蒸気のみとなるため、仮に分配不良などが生じた場合にも燃料窒息による性能低下は非常に起こりにくく、特に二酸化炭素ガスは拡散性が悪いために、燃料ガス中の二酸化炭素ガス含有率がドライベースで15%以上含まれている場合に本発明の効果が顕著に有効であることを発見した。
以上の実施例を総合すると、本発明が最も顕著に有効である条件は、冷却水入り口付近の温度が65℃以上80℃以下であり、燃料ガスの加湿温度が冷却水入り口温度または冷却水出口温度に対して5℃から10℃低い露点で供給され、燃料ガスの利用率が70%から80%であり、燃料ガスが二酸化炭素を含む改質ガスであり、酸化剤ガスが空気であり、空気が冷却水入り口付近の温度または冷却水出口付近の温度に対して10℃から20℃低い露点に加湿して供給される場合、酸化剤ガス利用率を50%から60%に設定し、電流密度を0.2から0.7A/cm2とし、コフローのガス流路が重力に対して上から下に流れる形状を有する燃料電池が最も効果的であることを発見した。
産業上の利用可能性
以上の説明から明らかなように、本発明は、高い初期特性と寿命特性を有することができる高分子電解質型燃料電池及びその運転方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第2−1の実施例である高分子電解質型燃料電池の空気極側セパレーターの構成を示した図である。
図2は、本発明の第2−1の実施例である高分子電解質型燃料電池の燃料極側セパレーターの構成を示した図である。
図3は、本発明の第2−1の実施例である高分子電解質型燃料電池の冷却水側セパレーターの構成を示した図である。
図4は、本発明の第2−3の実施例である高分子電解質型燃料電池の空気極側セパレーターの構成を示した図である。
図5は、本発明の第2−3の実施例である高分子電解質型燃料電池の燃料極側セパレーターの構成を示した図である。
図6は、本発明の第2−3の実施例である高分子電解質型燃料電池の冷却水側セパレーターの構成を示した図である。
図7は、本発明の第2−3の実施例である高分子電解質型燃料電池の空気極側セパレーターの構成を示した図である。
図8は、本発明の第2−3の実施例である高分子電解質型燃料電池の燃料極側セパレーターの構成を示した図である。
図9は、本発明の第2−3の実施例である高分子電解質型燃料電池の冷却水側セパレーターの構成を示した図である。
(符号の説明)
1 酸化剤ガス入口マニホールド孔
2 酸化剤ガス出口マニホールド孔
3 燃料ガス入口マニホールド孔
4 燃料ガス出口マニホールド孔
5 冷却水入口マニホールド孔
6 冷却水出口マニホールド孔
7 酸化剤ガス流路溝
8 燃料ガス流路溝
9 冷却水流路溝
10 接合シール部
本発明は、ポータブル電源、電気自動車用電源、家庭内コージェネシステム等に使用する常温作動型の高分子電解質型燃料電池と、その運転方法に関する。
背景技術
高分子電解質型型燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気など酸素を含有する酸化剤ガスとを、電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させるものである。その構造は、まず、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜の両面に、白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする電極触媒層を形成する。次に、この触媒層の外面に、燃料ガスまたは酸化剤ガスの通気性と、電子導電性を併せ持つ電極拡散層を形成し、触媒層とこの拡散層とを合わせて電極とする。この、電極と電解質膜の接合体をMEAと呼ぶ。
次に、供給するガスが外にリークしたり、燃料ガスと酸化剤ガスが互いに混合しないように、電極の周囲には高分子電解質膜を挟んでガスケットを配置する。このガスケットは、場合によっては、電極及び高分子電解質膜と一体化してあらかじめ組み立て、これをMEAと呼ぶ場合もある。
MEAの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接したMEAを互いに電気的に直列に接続するための導電性のセパレータ板を配置する。セパレータ板のMEAと接触する部分には、電極面に反応ガスを供給し、生成ガスや余剰ガスを運び去るためのガス流路を形成する。ガス流路はセパレータ板と別に設けることもできるが、セパレータの表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的である。
通常、燃料電池を実際に使用するときは、上述の単電池を数多く重ねた積層構造を採っている。燃料電池の運転時には電力発生と共に発熱が起こるが、積層電池では、単電池1〜2セル毎に冷却板を設け、電池温度を一定に保つと同時に発生した熱エネルギーを温水などの形で利用できるようにしている。冷却板としては薄い金属板の内部に冷却水などの熱媒体が貫流する構造が一般的であるが、単電池を構成するセパレータの背面、すなわち冷却水を流したい面を流路加工し冷却板を構成する構造もある。その際、冷却水などの熱媒体をシールするためのO−リングやガスケットも必要となる。このシーールではO−リングを完全につぶすなどして冷却板の上下間で十分な導電性が確保されていることが必要である。
このような積層電池では、マニホールドと呼ばれる各単電池への燃料ガスの供給排出孔が必要である。これには、冷却水の供給排出孔を積層電池内部に確保した、いわいる内部マニホールド型が一般的である。
内部マニホールド形式、または外部マニホールド形式のいずれを用いても、冷却部を含む複数の単電池を一方向に積み重ね、その両端に一対の端板を配し、その2枚の端板の間を締結ロッドで固定することが必要である。締め付け方式は、単電池を面内でできるだけ均一に締め付けることが望ましい。機械的強度の観点から、端板や締結ロッドには通常ステンレスなどの金属材料を用いる。これらの端板や締結ロッドと、積層電池とは、絶縁板により電気的に絶縁し、電流が端板を通して外部に漏れ出ることのない構造とする。締結ロッドについても、セパレータ内部の貫通孔の中を通したり、積層池全体を端板越しに金属のベルトで締め上げる方式も提案されている。
以上に示した高分子電解質型燃料電池は、電解質膜が水分を含んだ状態で電解質として機能するため、供給する燃料ガスや酸化剤ガスを加湿して供給する必要がある。また、高分子電解質膜は、少なくとも100℃までの温度範囲では、含水率が高くなればなるほど、イオン伝導度が増加し、電池の内部抵抗を低減させ、高性能にする効果がある。そこで、電解質膜中の含水率を高めるためには、供給ガスを高加湿にして供給する必要がある。
しかしながら、電池運転温度以上の高加湿ガスを供給すると、電池内部で結露水が発生し、水滴がスムーズなガスの供給を阻害するとともに、酸化剤ガスを供給する空気極側では、発電によって水が生成するため、生成水の除去効率が低下し、電池性能を低下させる問題が発生する。そのため、通常は電池運転温度より若干低めの露点に加湿してガスを供給する。
供給ガスの加湿方法としては、所定の温度に保った脱イオン水中に供給ガスをバブリングし加湿するバブラー加湿方式や、電解質膜などの水分が容易に移動可能な膜の一方の面に所定の温度に保った脱イオン水を流し、他方の面に供給ガスを流して加湿する膜加湿方式が一般的である。燃料ガスとして、メタノールやメタンなどの化石燃料を水蒸気改質したガスを用いる場合には、改質ガス中に水蒸気を含んでいるため、加湿が必要ない場合もある。
加湿された燃料ガスや酸化剤ガスは、高分子電解質型燃料電池に供給され、発電に供する。このとき、電池積層体中の任意の単電池の単一面内では、電流密度の分布が発生する。すなわち、燃料ガスはガス供給入り口部で所定量の加湿がなされ供給されるが、燃料ガス中の水素が発電によって消費されるため、ガス上流部ほど水素分圧が高く水蒸気分圧が低く、ガス下流部ほど水素分圧が低く水蒸気分圧が高くなる現象が発生する。
また、酸化剤ガスもガス供給入り口部で所定の加湿がなされ供給されるが、酸化剤ガス中の酸素が発電によって消費され、発電によって生成した水が発生するため、ガス上流部ほど酸素分圧が高く水蒸気分圧が低く、ガス下流部ほど酸素分圧が低く水蒸気分圧が高くなる現象が発生する。さらに、電池を冷却するための冷却水温度は、入り口ほど低く、出口ほど高くなるため、電池の単一面内に温度分布が発生する。以上のような理由から、電池の単一面内では電流密度分布(性能分布)が発生する。
また、上述のような理由で発生した、電池の単一面内での燃料ガス中の水素や水蒸気分圧の不均一や、酸化剤ガス中の酸素や水蒸気分圧の不均一、さらに温度分布などが、極端に大きくなり最適な状態から逸脱すると、極端な乾きすぎ(オーバードライ)状態や、極端な濡れすぎ(オーバーフラッディング)状態を招来し、電流密度分布の発生程度では収まらず、場合によっては電池として機能しなくなる。
さらに、上述のような理由で発生した、電池の単一面内での燃料ガス中の水素や水蒸気分圧の不均一や、酸化剤ガス中の酸素や水蒸気分圧の不均一、さらに温度分布などによって、電池の単一面内でオーバードライとオーバーフラッディングが共存する現象も発生しうる。
電池を高積層にした場合、積層した多数の電池の一部の電池に上述のような問題が発生すると、一部の性能低下した電池のために、積層電池全体の運転に支障を来す。すなわち、積層した電池の一部の電池がオーバーフラッディングに陥った場合、オーバーフラッディングに陥った電池は、ガス供給のための圧力損失が増大する。ガス供給のマニホールドは、積層電池内で共通であるため、オーバーフラッディングに陥った電池には、ガスが流れにくくなり、結果として益々オーバーフラッディングを招来する。逆に、積層電池の一部がオーバードライに陥った場合、オーバードライに陥った電池は、ガス供給のための圧力損失が減少する。従って、オーバードライに陥った電池には、ガスが流れやすくなり、結果として益々オーバードライを招来する。
特に、オーバーフラッディングに陥った場合、上述の理由によってガスが流れにくくなる現象が進行すると、ついには電池反応に必要なガス流量が確保できなくなる現象が発生する。積層電池の場合には、積層した電池のうちの小数の電池にこのような不具合が生じても、電池スタック全体のトータル電圧は高電圧が維持されているため、不具合の生じた電池にも強制的に電流が流れ、不具合の生じた電池が転極する現象が発生する。この現象が空気極側に生じた場合には、空気極側の電池の低下を招くだけであるため、極端な電位の低下でない限り大きな問題は発生しない。ところが、オーバーフラッディングによる燃料ガスの供給不足が生じた場合には、燃料極側の電位が上昇するため、電極触媒層を構成するカーボン粉末が酸化され溶出する問題が発生する。カーボン粉末の溶出が発生すると、非可逆な反応であるため、電池は回復不可能なダメージをうける問題がある。
上述のような問題は、燃料ガスを供給する燃料極側においても、酸化剤ガスを供給する空気極側においても、ガス入り口側に比べてガス出口側ほどガス中の水蒸気分圧が高くなることに起因する場合が多い。
そこで、特表平9−511356に示されているように、酸化剤ガスの流れ方向と冷却水の流れ方向を同方向とし、冷却水の温度分布により酸化剤ガスの下流部の温度を上流部に比べて高くすることで、空気極下流部のオーバーフラッディングを抑制し、電池の単一面内の電流密度分布を低減させる試みもなされてきた。
しかしながら、電池にガスを供給する場合、ガス入り口部では必ず圧力損失が存在するため、電池内部では、供給ガスの圧力分布も存在し、必ず入り口側が高圧になる。空気極側では、水が生成するため、水蒸気の分圧は出口側ほど高くなるが、圧力分布の影響で、電池運転条件によっては、相対湿度は必ずしも出口側が高くなるとは限らない。そのため、入り口側ほど相対湿度が高くなる運転条件で電池を発電させ、酸化剤ガスの流れ方向と冷却水の流れ方向を同方向とし、冷却水の温度分布により酸化剤ガスの下流部の温度を上流部に比べて高くすると、ガス入り口側でのオーバーフラッディングが加速され逆効果となる場合もある。
このように、燃料電池を作動させるためには、ガス供給系、ガス加湿系、冷却水供給系、排熱回収系、制御系等のシステムと、電力がDCで出力されるため、場合によってはACに変換する等のパワーマネージメントシステムが必要である。システム全体の効率、コンパクト性、コスト等を考慮すると、燃料電池に供給するガスの露点は低いほど有利である。しかしながら、上述のような理由から、供給ガスの露点を低くすると、燃料電池の性能は低下する。さらに、特に供給する酸化剤ガスの露点を低くすると、燃料電池特性の経時的な劣化特性を加速させてしまうことを発見した。
発明の開示
以上のことを考慮し、本発明は、高い初期特性と寿命特性を有することができる高分子電解質型燃料電池及びその運転方法を提供することを目的とする。
第1の本発明(請求項1に対応)は、水素イオン高分子電解質膜を挟む位置に配置した一対の電極及び、前記一方の電極に燃料ガスを供給排出し、前記他方の電極に酸化剤ガスを供給排出する供給排出手段とを有する単電池が、導電性セパレータを介して積層され、前記電極を冷却するための冷却媒体を流通する流通手段が備えられた高分子電解質型燃料電池において、
前記冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整されている高分子電解質型燃料電池である。
第2の本発明(請求項2に対応)は、前記高分子電解質型燃料電池の燃料ガス供給口に供給する燃料ガス供給総流量(Vain(NL/min)、ただし水蒸気を含む)と、前記燃料ガス供給口に供給する前記燃料ガス中の水素ガスの含有率(ΔPah(atm)、ただし水蒸気を含む)と、前記燃料ガス供給口に供給する前記燃料ガス中に含まれる水蒸気の分圧(ΔPain(atm))と、前記高分子電解質型燃料電池の燃料ガス利用率(Uf、ただし0≦Uf≦1)と、前記燃料ガス供給口に供給する前記燃料ガス中に含まれる水蒸気の露点(Rain(℃))と、前記燃料ガス供給部の電池温度(Tain(℃))と、燃料ガス排出部の電池温度(Taout(℃))とを、Rain<Tainに保つように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整している第1の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第3の本発明(請求項3に対応)は、Rain≦(Tain−5)となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整することを特徴とする第2の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第4の本発明(請求項4に対応)は、(Tain−15)≦Rain≦(Tain−5)となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整することを特徴とする第2の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第5の本発明(請求項5に対応)は、ΔPain/(1−Uf×ΔPah)で算出される、燃料ガス出口付近の水蒸気分圧(ΔPaout(atm))から近似式22.921Ln(ΔPaout×760)−53.988によって得られる、燃料ガス出口付近の露点(Raout(℃))が、Raout≦(Taout+5)となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整することを特徴とする第2の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第6の本発明(請求項6に対応)は、前記導電性セパレーターにおける前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとの流通方向が同じ向きであり、かつ、
前記酸化剤ガス供給部の電池温度(Tcin(℃))もしくは前記燃料ガス供給部の電池温度(Tain(℃))または冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整し、かつ、
前記高分子電解質型燃料電池の酸化剤ガス利用率(Uo、ただし0≦Uo≦1)と、酸化剤ガス供給口に供給する前記酸化剤ガス中に含まれる水蒸気の露点(Rcin)と、酸化剤ガス供給部の電池温度(Tcin(℃))と、酸化剤ガス排出部の電池温度(Tcout)とを、Rcinが、TwinまたはTwoutより、10℃以上低く保たれる第1から5のいずれかの本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第7の本発明(請求項7に対応)は、前記Rcinが、TwinまたはTwoutより、20℃以上低く保たれる第5の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第8の本発明(請求項8に対応)は、前記Uoが、Uo≧0.5(50%)となるように、
前記酸化剤ガスの供給量を調整することを特徴とする第6の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第9の本発明(請求項9に対応)は、前記Rainが、前記Rcinより10℃以上高く、前記Twinまたは前記Tainまたは前記Taoutまたは前記Tcinまたは前記Tcoutより低いことを特徴とする第6の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第10の本発明(請求項10に対応)は、前記Uoが0.6(60%)以上、0.9(90%)以下であることを特徴とする第6の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第11の本発明(請求項11に対応)前記導電性セパレーターにおける前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとの流通方向が重力に対して上から下向きである第1から10のいずれかの本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第12の本発明(請求項12に対応)は、カソード及びアノードから排出される燃料ガス及び酸化剤ガスが、燃料ガス及び酸化剤ガスが流通する部分の圧力損失に相当する不可避部分を除いて実質的に常圧に開放されている第1から11の本発明のいずれかの高分子電解質型燃料電池である。
第13の本発明(請求項13に対応)は、電池から取り出す電流値と前記Uoとを連動制御し、前記電流値が小さいほど前記Uoを大きくすることを特徴とする第6の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第14の本発明(請求項14に対応)は、前記Twinまたは前記Twoutまたは前記Tainまたは前記Taoutまたは前記Tcinまたは前記Tcoutを、70℃以上でかつ95℃以下としたことを特徴とする第6の本発明の高分子電解質型燃料電池である。
第15の本発明(請求項15に対応)は、前記燃料ガスのドライベース組成に、15体積%以上45体積%以下の二酸化炭素ガスが含まれている、または燃料利用率が0.7(70%)以上である第1から14の本発明いずれかに記載の高分子電解質型燃料電池である。
第16の本発明(請求項16に対応)は、水素イオン高分子電解質膜を挟む位置に配置した一対の電極及び、前記一方の電極に燃料ガスを供給排出し、前記他方の電極に酸化剤ガスを供給排出する供給排出手段とを有する単電池が、導電性セパレータを介して積層され、前記電極を冷却するための冷却媒体を流通する流通手段が備えられた高分子電解質型燃料電池の運転方法において、
前記冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整する高分子電解質型燃料電池の運転方法である。
第17の本発明(請求項17に対応)は、前記導電性セパレーターにおける前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとの流通方向が同じ向きであり、かつ、
前記酸化剤ガス供給部の電池温度(Tcin(℃))もしくは前記燃料ガス供給部の電池温度(Tain(℃))または冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整し、かつ、
前記高分子電解質型燃料電池の酸化剤ガス利用率(Uo、ただし0≦Uo≦1)と、酸化剤ガス供給口に供給する前記酸化剤ガス中に含まれる水蒸気の露点(Rcin)と、酸化剤ガス供給部の電池温度(Tcin(℃))と、酸化剤ガス排出部の電池温度(Tcout)とを、Rcinが、TwinまたはTwoutより、10℃以上低く保つ第16の本発明の高分子電解質型燃料電池の運転方法である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施例を以下に説明する。
(実施例1−1)
まず、触媒層を形成した電極の作成方法を説明する。カーボンブラック粉末に、平均粒径約30Åの白金粒子を50重量%担持したものをカソード触媒材料とした。さらに、このカーボンブラック粉末に、平均粒径約30Åの白金−ルテニウム合金粒子を50重量%担持したものをアノード触媒材料とした。水素イオン伝導性高分子電解質としては、化1に示した化学構造を持つパーフルオロカーボンスルホン酸を用いた。この触媒材料20重量%を、9wt%の水素イオン伝導性高分子電解質を溶解したエタノール溶液80重量%にボールミル混合し、電極作成用インクを調整した。
次に、9wt%の水素イオン伝導性高分子電解質を平滑なガラス基板上にキャストし、乾燥することで平均膜厚30μmの水素イオン伝導性高分子電解質膜を得た。次に、この水素イオン伝導性高分子電解質膜の両面に、前記電極作成用インクをスクリーン印刷法により電極形状に印刷し、触媒層付き高分子電解質膜を得た。
一方、拡散層となるカーボンペーパーを撥水処理した。外寸16cm×20cm、厚み360μmのカーボン不織布(東レ製、TGP−H−120)を、フッ素樹脂含有の水性ディスパージョン(ダイキン工業製、ネオフロンND1)に含浸した後、これを乾燥し、400℃で30分加熱することで、撥水性を与えた。
次に、カーボンブラック粉末と、PTFE粉末の水性ディスパージョンを混合し、撥水層作成用インクとした。拡散層である前記カーボン不織布の一方の面に、前記撥水層作成用インクをスクリーン印刷法をもちいて塗布することで撥水層を形成した。このとき、撥水層の一部は、カーボン不織布の中に埋まり込んでおり、また残りの部分はカーボン不織布表面に浮くように存在していた。次に、触媒層付き高分子電解質膜の裏表両面に、一対の撥水層付き拡散層を撥水層が高分子電解質膜上の触媒層と接するようにホットプレスで接合し、これを電極/膜接合体とした。
この電極/膜接合体を、120℃の飽和水蒸気雰囲気中で1時間熱処理し、水素イオン伝導経路を十分に発達させた。ここで、化1で示した水素イオン伝導性高分子電解質は、100℃以上程度の比較的高温の湿潤雰囲気下で熱処理を行うと、水素イオン伝導経路である親水チャンネルが発達し、逆ミセル構造を形成することを見いだした。
このようにして、外寸が20cm×32cmの水素イオン伝導性高分子電解質膜の裏表両面に、外寸が16cm×20cmの電極が接合された、電極反応用触媒を担持した導電体を含む電極/膜接合体を得た。
次に、前記電極/膜接合体の高分子電解質膜の外周部にゴム製のガスケット板を接合し、冷却水と燃料ガス及び酸化剤ガス流通用のマニホールド穴を形成して、MEAとした。
次に、外寸が20cm×32cm、厚みが1.3mm、ガス流路および冷却水流路の深さが0.5mmの樹脂含浸黒鉛板から構成したセパレーターを準備し、セパレータ2枚を用い、MEAシートの一方の面に酸化剤ガス流路が形成されたセパレーターを、裏面に燃料ガス流路が形成されたセパレーターをを重ね合わせ、これを単電池とした。この単電池を2セル積層した後、冷却水路溝を形成したセパレータでこの2セル積層電池を挟み込み、このパターンを繰り返して100セル積層の電池スタックを作成した。この時、電池スタックの両端部には、ステンレス製の集電板と電気絶縁材料の絶縁板、さらに端板と締結ロッドで固定した。この時の締結圧はセパレータの面積当たり10kgf/cm2とした。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の燃料ガス入口付近の温度(Tain)を60℃から85℃に保持し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に50℃から80℃の露点となるように加湿・加温した空気を供給した。または乾燥空気を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
本実施例では、燃料ガス中に、水素に比べて拡散性の悪い二酸化炭素ガスが含まれる場合や、燃料利用率が高く良好なガスの分配性が要求される場合に、より効果的であることが判明した。
この電池を燃料利用率0.85(85%)、酸素利用率0.5(50%)、電流密度0.3A/cm2、及び0.5A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化を計測した。
表1に、本実施例による、発電試験結果を示す。
比較のために、本実施例によらない運転条件による例を、表2に示す。
次に、別の本発明の各施例を説明する。
各実施例を説明する前に、本発明の概略を説明する。本発明は、冷却水の入口温度または電池温度が60℃以上であり、電極に供給する酸化剤ガスの入口露点が、冷却水の入口温度または電池温度より20℃以上低い高分子電解質型燃料電池において、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向であることを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
または、冷却水の入口温度または電池温度が60℃以上であり、電極に供給する酸化剤ガスの入口露点が、冷却水の入口温度または電池温度より20℃以上低い高分子電解質型燃料電池において、酸化剤ガスの利用率が60%以上となるよう供給する酸化剤ガスの流量を調整して供給することを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
または、冷却水の入口温度または電池温度が60℃以上であり、電極に供給する酸化剤ガスの入口露点が、冷却水の入口温度または電池温度より20℃以上低く、電極から排出される燃料ガス及び酸化剤ガスが熱交換器及び配管等の圧力損失に相当する不可避の部分を除いて実質的に常圧に開放された高分子電解質型燃料電池において、酸化剤ガスの利用率が60%以上となるよう供給する酸化剤ガスの流量を調整して供給することを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
好ましくは、電極に供給する燃料ガスの入口露点が、酸化剤ガスの入口露点より10℃以上高く、冷却水の入口温度または電池温度以下であることを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
さらに好ましくは、酸化剤ガスの利用率が60%以上、90%以下であることを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
さらに好ましくは、電極に供給する酸化剤ガスが実質的に無加湿であることを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
さらに好ましくは、電流密度によって、酸化剤ガスの利用率を変化させ、低電流密度ほど酸化剤ガスの利用率を大きくすることを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
さらに好ましくは、冷却水の入口温度または電池温度が70℃以上90℃以下であることを特徴とする高分子電解質型燃料電池である。
ここで、空気極側に供給する酸化剤ガスの露点を低くすると、当然電池内で濡れすぎによるオーバーフラッディング現象は起こりづらくなり、むしろオーバードライ現象が発生しやすくなる。オーバードライ現象が発生すると、電池性能は低下するが、積層電池に供給するガスの分配の観点からは、均等に分配しやすい方向になる。従って、従来困難であった酸化剤ガスの高利用率化は容易な方向になるため、高加湿の酸化剤ガスを供給する場合、通常30%〜50%程度で運転されることが一般的であった酸化剤ガスの利用率を60%以上に高めても運転可能となることを発見した。しかしながら、積層電池のガス分配性の観点から、特に酸化剤ガスの供給圧損を0.1kgf/cm2以下に低減した場合、90%以上の酸化剤ガス利用率とすることは困難であることも発見した。
また、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向となるような対向流方式とし、空気極側に供給する酸化剤ガスの露点を低くすると、冷却水の入口温度または平均電池温度が60℃以下の比較的低い温度の場合には、加湿供給された燃料ガス中の水分が高分子電解質膜を介して酸化剤ガス側に効果的に移動するため良好な運転状態となることを発見した。
しかしながら、冷却水の入口温度または電池温度が60℃以上の比較的高い温度の場合に、対向流方式で空気極側に供給する酸化剤ガスの露点を低くすると、加湿供給された燃料ガス中の水分は、入口近傍では空気極側の出口近傍の酸化剤ガスへ移動し、入口近傍で水分が奪われた燃料ガスは、燃料ガスの出口近傍で、さらに空気極側の酸化剤ガスの入口近傍の最も乾燥した酸化剤ガスに水分が奪われるため、燃料ガスの出口露点は酸化剤ガスの入口露点とほぼ等しくなる程度まで低下し、出口近傍の燃料ガスの露点が低下しすぎて性能が低下する問題を発見した。このとき、燃料ガスと酸化剤ガスの入口ガス露点は燃料ガスの方が高くても、出口露点を測定すると、燃料ガスよりも酸化剤ガスの露点が高くなってしまうことを発見した。
また、燃料ガスの出口露点が低いまま運転を続けると、燃料極側の電極特性は加湿温度(露点)の影響を大きく受けるため、徐々に性能が低下を続け、ついには燃料極側の分極が大きくなりすぎて、燃料極側の電極構成材料の一つであるカーボン担体が溶出し、不可逆で致命的な性能低下となることを発見した。
さらに、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向となるような並向流方式とし、空気極側に供給する酸化剤ガスの露点を低くすると、冷却水の入口温度または平均電池温度が60℃以下の比較的低い温度の場合には、加湿供給された燃料ガス中の水分が高分子電解質膜を介して酸化剤ガス側に移動し、燃料ガスと酸化剤ガスの出口露点はほぼ同一の温度となるよう均一化されることを見いだした。
従って、冷却水の入口温度または平均電池温度が60℃以下の比較的低い温度の場合には、酸化剤ガスの利用率を40%程度以下の低利用率にしなければ、燃料ガスおよび酸化剤ガスの出口露点が冷却水の入口温度または平均電池温度以上になり、電池内で水分が結露し運転しづらい状況になることを発見した。
しかしながら、冷却水の入口温度または電池温度が60℃以上の比較的高い温度の場合に、並向流方式で空気極側に供給する酸化剤ガスの露点を低くすると、加湿供給された燃料ガス中の水分は、冷却水の入口温度または電池温度が比較的低い場合と同様に、加湿供給された燃料ガス中の水分が高分子電解質膜を介して酸化剤ガス側に移動し、燃料ガスと酸化剤ガスの出口露点はほぼ同一の温度となるよう均一化されることを見いだした。
このとき、水の飽和蒸気圧は、100℃までの温度範囲では温度が高くなるほど急激に大きくなるため、冷却水の入口温度または電池温度が比較的高い場合には、酸化剤ガスの利用率を60%以上の高利用率にしなければ電池内が乾いてしまい充分な性能が得られないことを発見した。また、酸化剤ガスの利用率を60%以下の低利用率のまま運転を続けると、特に燃料極側の電極特性は加湿温度(露点)の影響を大きく受けるため、徐々に性能が低下を続け、ついには燃料極側の分極が大きくなりすぎて、燃料極側の電極構成材料の一つであるカーボン担体が溶出し、不可逆で致命的な性能低下となることを発見した。
また、以上の効果は、冷却水の入口温度または平均電池温度が70℃以上の場合、水の飽和水蒸気圧が70℃以上付近から特に急激に大きくなるため、より顕著になることを見いだした。また、以上の効果は、冷却水の入口温度または平均電池温度と供給する酸化剤ガスの露点、または供給する燃料ガスの露点と供給する酸化剤ガスの露点の差が大きいほど顕著な効果を示し、そのような理由から、酸化剤ガスを実質的に無加湿で供給する場合に、より顕著になることを見いだした。
本発明の各実施例を、図面を参照しながら説明する。
(実施例2−1)
まず、触媒層を形成した電極の作成方法を説明する。30nmの平均一次粒子径を持つ導電性カーボン粒子であるケッチェンブラックEC(オランダ国、AKZO Chemie社)に、平均粒径約30Åの白金粒子を50重量%担持したものをカソード触媒材料とした。さらに、同じケッチェンブラックECに、平均粒径約30Åの白金−ルテニウム合金粒子(重量比1:1)を50重量%担持したものをアノード触媒材料とした。水素イオン伝導性高分子電解質としては、化1に示した化学構造を持つパーフルオロカーボンスルホン酸を用いた。この触媒材料20重量%を、10重量%の水素イオン伝導性高分子電解質を溶解したエタノール溶液80重量%にボールミル混合し、電極作成用インクを調整した。
次に、20重量%の水素イオン伝導性高分子電解質のアルコール溶液を平滑なガラス基板上にキャストし、乾燥することで平均膜厚30μmの水素イオン伝導性高分子電解質膜を得た。次に、この水素イオン伝導性高分子電解質膜の両面に、前記電極作成用インクをスクリーン印刷法により電極形状に印刷し、触媒層付き高分子電解質膜を得た。
一方、拡散層となるカーボンペーパーを撥水処理した。外寸16cm×20cm、厚み360μmのカーボン不織布(東レ製、TGP−H−120)を、フッ素樹脂含有の水性ディスパージョン(ダイキン工業製、ネオフロンND1)に含浸した後、これを乾燥し、400℃で30分加熱することで、撥水性を与えた。
次に、カーボンブラック粉末と、PTFE粉末の水性ディスパージョンを混合し、撥水層作成用インクとした。拡散層である前記カーボン不織布の一方の面に、前記撥水層作成用インクをスクリーン印刷法をもちいて塗布することで撥水層を形成した。このとき、撥水層の一部は、カーボン不織布の中に埋まり込んでおり、また残りの部分はカーボン不織布表面に浮くように存在していた。次に、触媒層付き高分子電解質膜の裏表両面に、一対の撥水層付き拡散層を撥水層が高分子電解質膜上の触媒層と接するようにホットプレスで接合し、これを電極/膜接合体とした。
この電極/膜接合体を、120℃の飽和水蒸気雰囲気中で1時間熱処理し、水素イオン伝導経路を十分に発達させた。ここで、化1で示した水素イオン伝導性高分子電解質は、100℃以上程度の比較的高温の湿潤雰囲気下で熱処理を行うと、水素イオン伝導経路である親水チャンネルが発達し、逆ミセル構造を形成することを見いだした。
このようにして、外寸が20cm×32cmの水素イオン伝導性高分子電解質膜の裏表両面に、外寸が16cm×20cmの電極が接合された、電極反応用触媒を担持した導電体を含む電極/膜接合体を得た。
次に、前記電極/膜接合体の高分子電解質膜の外周部にゴム製のガスケット板を接合し、冷却水と燃料ガス及び酸化剤ガス流通用のマニホールド穴を形成して、MEAとした。
次に、セパレーターの構成を示す。セパレーターの寸法は、全て20cm×32cm、厚みが1.4mm、ガス流路および冷却水流路の深さが0.5mmとし、樹脂含浸黒鉛板に切削加工を施してセパレーターとした。
第一のセパレーターは、一方の面に図1で示した加工を、その裏面に図2で示した加工を施し、一方の面に酸化剤ガス、他方の面に燃料ガスが流れる、C/Aセパレーターとした。
第二のセパレーターは、一方の面に図1で示した加工を、その裏面に図3で示した加工を施し、一方の面に酸化剤ガス、他方の面に冷却水が流れる、C/Wセパレーターとした。第三のセパレーターは、一方の面に図2で示した加工を、その裏面に図3で示した加工を施し、一方の面に燃料ガス、他方の面に冷却水が流れる、A/Wセパレーターとした。ここでC/WセパレーターとA/Wセパレーターの冷却水が流れる面どうしを、接合シール部(10)に接合剤を設置した状態で接合し、一方の面を酸化剤ガスが、他方の面を燃料ガスが、セパレーターの内部を冷却水が流れるC/W/Aセパレーターを作製した。
C/Aセパレータ2枚を用い、MEAシートの一方の面に酸化剤ガス流路が形成された面を、裏面に燃料ガス流路が形成された面を重ね合わせ、これを単電池とした。この単電池を2セル積層した後、冷却水路溝を形成したC/W/Aセパレータでこの2セル積層電池を挟み込み、このパターンを繰り返して100セル積層の電池スタックを作成した。この時、電池スタックの両端部には、ステンレス製の集電板と電気絶縁材料の絶縁板、さらに端板と締結ロッドで固定した。この時の締結圧はセパレータの面積当たり10kgf/cm2とした。
ここで、酸化剤ガスは酸化剤ガス入口マニホールド孔(1)から入って酸化剤ガス流路溝(7)を流れ、酸化剤ガス出口マニホールド孔(2)から排出され、燃料ガスは燃料ガス入口マニホールド孔(3)から入って燃料ガス流路溝(8)を流れ、燃料ガス出口マニホールド孔(4)から排出される構成とした。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向である用に設定した。また、冷却水は冷却水入口マニホールド孔(5)から入って冷却水流路溝(9)を流れ、冷却水出口マニホールド孔(6)から排出されように設定した。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部と冷却水の実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部と冷却水の実質的な下流部が同一方向である用に設定した。すなわち、酸化剤ガス、燃料ガス、冷却水共に並向流となるよう設定した。また、それぞれのガスの出口部では、排出ガス中の水分を凝縮させて回収するための熱交換機を介して大気開放し、できる限り背圧がかからないようにした。また、酸化剤ガス、燃料ガス、冷却水共に、実質的な上流部が上部に、実質的な下流部が下部になるよう燃料電池スタックを設置した。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度(Twin)を60℃から85℃に保持し、燃料極側に調湿、調温して露点(水蒸気分圧)を調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に50℃から80℃の露点となるように加湿・加温した空気を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
本実施例では、燃料ガス中に、水素に比べて拡散性に悪い二酸化炭素ガスが含まれる場合や、燃料利用率が高く、良好なガスの分配性が要求される場合に、より効果的であることが判明した。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。
表3に、本実施例の発電試験結果を示す。比較のために、上記以外の運転条件による結果を表4に示した。
実施例2−1の結果から、高電流密度発電においては、酸化剤ガス利用率を90%程度まで上昇させて運転すると、5000時間後にはフラッディングによる性能低下が起こるため、電流密度によって、酸化剤ガスの利用率を変化させ、低電流密度ほど酸化剤ガスの利用率を大きくすることが有効であることが判明した。
また、0.2A/cm2で発電している場合の酸化剤ガスおよび燃料ガスの圧力損失を測定した。酸化剤ガス利用率が40%、空気入り口露点が45℃の場合、電池入り口部での酸化剤ガス側の圧力損失が80mmAq、燃料ガス入り口部での圧力損失が100mmAqであった。また燃料電池スタックの出口部での圧力損失(熱交換機の圧力損失)は、酸化剤ガス側が40mmAq、燃料ガス側が20mmAqであった。従って、燃料電池スタックのみの圧力損失は、酸化剤ガス側が40mmAq、燃料ガス側が80mmAqであった。
同様に、0.2A/cm2で発電している場合、酸化剤ガス利用率が60%、空気入り口露点が0℃の場合、電池入り口部での酸化剤ガス側の圧力損失が50mmAq、燃料ガス入り口部での圧力損失が80mmAqであった。また燃料電池スタックの出口部での圧力損失(熱交換機の圧力損失)は、酸化剤ガス側が30mmAq、燃料ガス側が10mmAqであった。従って、燃料電池スタックのみの圧力損失は、酸化剤ガス側が20mmAq、燃料ガス側が70mmAqであった。
以上の結果から、燃料電池スタックに供給するガスの圧力損失は、酸化剤ガス側より燃料ガス側を大きくした方が、分配性などの観点から良好であることを発見した。
また、酸化剤ガスおよび燃料ガスの出口露点は、酸化剤ガスと燃料ガスの実質的な流れ方向が並向流である場合には、ほぼ等しくなることを発見した。このことから、高分子電解質膜中の水の移動速度がかなり速いことも発見した。また、供給ガスの出口露点は、供給ガスの入り口露点と供給ガスの利用率が同一であれば、電流密度によらずほぼ同一の出口露点となることを発見した。しかしながら、80%程度以上の高い酸化剤ガス利用率の場合、低電流密度と高電流密度の場合の性能を比較すると、低電流密度の場合には90%の酸化剤ガス利用率でも充分な性能を発揮するが、高電流密度の場合には90%の酸化剤ガス利用率では性能低下が確認された。このことから、電流密度によって最適な酸化剤ガス利用率が変化し、最適運転を行うためには電流密度によって酸化剤ガス利用率を変化させる必要があることを発見した。
(実施例2−2)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、実施例2−1と同一の方法でセパレーターを作製し、同様に電池を組み立てた。ここで、酸化剤ガスは酸化剤ガス入口マニホールド孔(1)から入って酸化剤ガス流路溝(7)を流れ、酸化剤ガス出口マニホールド孔(2)から排出され、燃料ガスは燃料ガス入口マニホールド孔(3)から入って燃料ガス流路溝(8)を流れ、燃料ガス出口マニホールド孔(4)から排出される構成とした。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向である用に設定した。また、冷却水は冷却水出口マニホールド孔(6)から入って冷却水流路溝(9)を流れ、冷却水入口マニホールド孔(5)から排出されように設定した。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部と冷却水の実質的な下流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部と冷却水の実質的な上流部が同一方向である用に設定した。すなわち、燃料ガスと酸化剤ガスは並向流、これに対して冷却水だけが対向流となって流れるよう配置した。また、それぞれのガスの出口部では、排出ガスを大気開放し、できる限り背圧がかからないようにした。また、酸化剤ガスおよび燃料ガスの実質的な上流部が上部に、実質的な下流部が下部になるよう燃料電池スタックを設置した。従って、冷却水に関しては、実質的な上流部が下部に、実質的な下流部が上部になるよう燃料電池スタックを配置した。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を70℃に保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が75℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を70℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に45℃の露点となるように加湿・加温した空気、または乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。
その結果、実施例2−1に示した結果と同様以上の良好な結果を得、冷却水の流れ方向は、本発明において影響がなく、むしろ冷却水の流れ方向に関しては酸化剤ガスおよび燃料ガスの流れに対して対向流である方が運転条件によっては望ましいことを確認した。また、酸化剤ガスおよび燃料ガスは重力方向に対して平行となるよう燃料電池スタックを設置したが、冷却水の流れ方向に対しては重力方向と対向するよう配置したが、全く問題ないことを確認した。
また、実施例2−1同様供給ガスの圧力損失を測定したが、実施例2−1の結果とほぼ同一の結果が得られた。
(比較例)
比較のために、本発明によらない酸化剤ガスと燃料ガスが対向流となるよう構成した場合の例を示す。
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、実施例2−1と同一の方法でセパレーターを作製し、同様に電池を組み立てた。ここで、酸化剤ガスは酸化剤ガス入口マニホールド孔(1)から入って酸化剤ガス流路溝(7)を流れ、酸化剤ガス出口マニホールド孔(2)から排出され、燃料ガスは燃料ガス出口マニホールド孔(4)から入って燃料ガス流路溝(8)を流れ、燃料ガス入口マニホールド孔(3)から排出される構成とした。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向である用に設定した。従って、燃料ガスと酸化剤ガスが対向流で流れるように設定した。
また、冷却水は冷却水入口マニホールド孔(5)から入って冷却水流路溝(9)を流れ、冷却水出口マニホールド孔(6)から排出されように設定した。すなわち、燃料ガスと酸化剤ガスは対向流、これに対して冷却水は酸化剤ガスと並向流となって流れるよう配置した。また、それぞれのガスの出口部では、排出ガスを大気開放し、できる限り背圧がかからないようにした。また、燃料ガスの実質的な上流部が上部に、実質的な下流部が下部になるよう燃料電池スタックを設置した。従って、酸化剤ガスおよび冷却水に関しては、実質的な上流部が下部に、実質的な下流部が上部になるよう燃料電池スタックを配置した。
このように作製した本例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を70℃に保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が75℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を70℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に45℃の露点となるように加湿・加温した空気、または乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。表5にその結果を示した。
また、比較のために、燃料電池スタックの設置方向を変更し、酸化剤ガスおよび冷却水の実質的な上流部が上部に、実質的な下流部が下部になるよう燃料電池スタックを設置し、再試験を行った。従って、燃料ガスに関しては、実質的な上流部が下部に、実質的な下流部が上部になるよう燃料電池スタックを配置した。
その結果、発電時の各セルの電圧が大きくばらつき、転極するセルも出現したため、特性を測定することすらできない状態に陥った。従って、燃料ガスに関しては、実質的な上流部が上部に、実質的な下流部が下部になるよう、重力方向に従って燃料ガスが流れるよう燃料電池スタックを配置する必要があることを発見した。
しかしながら、同様の試験を燃料ガス供給側セパレーターの流露断面積を小さくすることで燃料ガス供給時の圧力損失を上昇さる、または電流密度を大きくして燃料ガスの流量を増加させる、または燃料利用率を低下させて燃料ガスの流量を増加させることを行い、同様の試験を行ったところ、燃料ガス供給の圧力損失が300mmAq以上の高い圧力損失を有する燃料電池スタックまたは電池運転条件の場合には、燃料ガスの流れ方向を重力方向に沿って設置する必要はなく、重力方向と反対であっても充分運転可能であることを発見した。
(実施例2−3)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、セパレーターの構成を示す。セパレーターの寸法は、全て20cm×32cm、厚みが1.4mm、ガス流路および冷却水流路の深さが0.5mmとし、樹脂含浸黒鉛板に切削加工を施してセパレーターとした。
第一のセパレーターは、一方の面に図4で示した加工を、その裏面に図5で示した加工を施し、一方の面に酸化剤ガス、他方の面に燃料ガスが流れる、C/Aセパレーターとした。第二のセパレーターは、一方の面に図4で示した加工を、その裏面に図6で示した加工を施し、一方の面に酸化剤ガス、他方の面に冷却水が流れる、C/Wセパレーターとした。第三のセパレーターは、一方の面に図5で示した加工を、その裏面に図6で示した加工を施し、一方の面に燃料ガス、他方の面に冷却水が流れる、A/Wセパレーターとした。ここでC/WセパレーターとA/Wセパレーターの冷却水が流れる面どうしを、接合シール部(10)に接合剤を設置した状態で接合し、一方の面を酸化剤ガスが、他方の面を燃料ガスが、セパレーターの内部を冷却水が流れるC/W/Aセパレーターを作製した。
C/Aセパレータ2枚を用い、MEAシートの一方の面に酸化剤ガス流路が形成された面を、裏面に燃料ガス流路が形成された面を重ね合わせ、これを単電池とした。この単電池を2セル積層した後、冷却水路溝を形成したC/W/Aセパレータでこの2セル積層電池を挟み込み、このパターンを繰り返して100セル積層の電池スタックを作成した。この時、電池スタックの両端部には、ステンレス製の集電板と電気絶縁材料の絶縁板、さらに端板と締結ロッドで固定した。この時の締結圧はセパレータの面積当たり10kgf/cm2とした。
ここで、酸化剤ガスは酸化剤ガス入口マニホールド孔(1)から入って酸化剤ガス流路溝(7)を流れ、酸化剤ガス出口マニホールド孔(2)から排出され、燃料ガスは燃料ガス入口マニホールド孔(3)から入って燃料ガス流路溝(8)を流れ、燃料ガス出口マニホールド孔(4)から排出される構成とした。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向である用に設定した。また、冷却水は冷却水入口マニホールド孔(5)から入って冷却水流路溝(9)を流れ、冷却水出口マニホールド孔(6)から排出されように設定した。
従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部と冷却水の実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部と冷却水の実質的な下流部が同一方向である用に設定した。すなわち、酸化剤ガス、燃料ガス、冷却水共に並向流となるよう設定した。また、それぞれのガスの出口部では、排出ガスを大気開放し、できる限り背圧がかからないようにした。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を75℃保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が80℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を75℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。表6に、本実施例の発電試験の結果を示した。
(実施例2−4)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、実施例2−3同一の方法でセパレーターを作製し、同様に電池を組み立て、同様にガス及び冷却水を全て並向流となるよう設定した。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を85℃に保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が90℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を85℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。表7に、本実施例の発電試験の結果を示した。
(実施例2−5)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、実施例2−3同一の方法でセパレーターを作製し、同様に電池を組み立て、同様にガス及び冷却水を全て並向流となるよう設定した。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を60℃に保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が65℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を60℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。表8に、本実施例の発電試験の結果を示した。
(実施例2−6)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、実施例2−3同一の方法でセパレーターを作製し、同様に電池を組み立て、同様にガス及び冷却水を全て並向流となるよう設定した。
このように作製した高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を、比較のために本発明以下の温度である45℃に保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が50℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を45℃に調整した純水素ガスを、空気極側に乾燥空気(露点0℃)を供給した。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。表9に、本実施例での発電試験の結果を示した。
以上のように、冷却水入口温度または平均電池温度が60℃より低い場合には、酸化剤ガス利用率を低減する必要があり、60%以上の利用率では、逆に動作に支障をきたすことを発見した。また、本発明で意味する並向流は、酸化剤ガスと燃料ガスの実質的な入口と出口の関係が同一方向であればもちろん良い。以上の実施例からも明らかなように、部分的には対向流あるいは直交流となる箇所が存在しても、セパレーター全面での全体的なガス流れ方向が一致していれば効果が得られた。
(実施例2−7)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。次に、セパレーターの構成を示す。セパレーターの寸法は、全て20cm×32cm、厚みが1.4mm、ガス流路および冷却水流路の深さが0.5mmとし、樹脂含浸黒鉛板に切削加工を施してセパレーターとした。
第一のセパレーターは、一方の面に図7で示した加工を、その裏面に図8で示した加工を施し、一方の面に酸化剤ガス、他方の面に燃料ガスが流れる、C/Aセパレーターとした。第二のセパレーターは、一方の面に図7で示した加工を、その裏面に図9で示した加工を施し、一方の面に酸化剤ガス、他方の面に冷却水が流れる、C/Wセパレーターとした。第三のセパレーターは、一方の面に図8で示した加工を、その裏面に図9で示した加工を施し、一方の面に燃料ガス、他方の面に冷却水が流れる、A/Wセパレーターとした。ここでC/WセパレーターとA/Wセパレーターの冷却水が流れる面どうしを、接合シール部に接合剤を設置した状態で接合し、一方の面を酸化剤ガスが、他方の面を燃料ガスが、セパレーターの内部を冷却水が流れるC/W/Aセパレーターを作製した。
C/Aセパレータ2枚を用い、MEAシートの一方の面に酸化剤ガス流路が形成された面を、裏面に燃料ガス流路が形成された面を重ね合わせ、これを単電池とした。この単電池を2セル積層した後、冷却水路溝を形成したC/W/Aセパレータでこの2セル積層電池を挟み込み、このパターンを繰り返して100セル積層の電池スタックを作成した。この時、電池スタックの両端部には、ステンレス製の集電板と電気絶縁材料の絶縁板、さらに端板と締結ロッドで固定した。この時の締結圧はセパレータの面積当たり10kgf/cm2とした。
ここで、酸化剤ガスは酸化剤ガス入口マニホールド孔(1)から入って酸化剤ガス流路溝(7)を流れ、酸化剤ガス出口マニホールド孔(2)から排出され、燃料ガスは燃料ガス入口マニホールド孔(3)から入って燃料ガス流路溝(8)を流れ、燃料ガス出口マニホールド孔(4)から排出される構成とした。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部が同一方向である用に設定した。また、冷却水は冷却水入口マニホールド孔(5)から入って冷却水流路溝(9)を流れ、冷却水出口マニホールド孔(6)から排出されように設定した。従って、燃料ガスの実質的な上流部と酸化剤ガスの実質的な上流部と冷却水の実質的な上流部が同一方向であり、燃料ガスの実質的な下流部と酸化剤ガスの実質的な下流部と冷却水の実質的な下流部が同一方向である用に設定した。すなわち、酸化剤ガス、燃料ガス、冷却水共に並向流となるよう設定した。また、それぞれのガスの出口部では、排出ガスを大気開放し、できる限り背圧がかからないようにした。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を75℃保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が80℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を75℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。メタンの水蒸気改質ガスを、空気極側に乾燥空気(露点0℃)を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約79%、CO2:約20%、N2:約1%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。表10に、本実施例での発電試験の結果を示した。
以上の実施例から、燃料ガスの出口露点および酸化剤ガスの出口露点ともに、電池の平均運転温度または冷却水入り口温度に対して5℃以上低い場合とて5℃以内となるよう低く保つことによって、良好な電池特性および寿命特性が得られることを発見した。これを実現するためには、供給する酸化剤ガスの露点が低い場合には、酸化剤ガス利用率を高くし、燃料ガスと並向流にすることが必要であることを発見した。
(実施例2−8)
まず、電極/膜接合体を、実施例2−1と同一の方法で作成した。
次に、実施例2−3同一の方法でセパレーターを作製し、同様に電池を組み立て、同様にガス及び冷却水を全て並向流となるよう設定した。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池の冷却水入口付近の温度を70℃に保持し、冷却水流量を調整することで発電時の冷却水出口付近の温度が80℃となるように制御し、燃料極側に調湿・調温して露点(水蒸気分圧)を65℃に調整し、一酸化炭素濃度を50ppm以下に低減したメタンの部分酸化改質ガスを、空気極側に露点60℃に加湿した空気を供給した。このときの定常運転状態でのドライベースでのメタン改質ガスの組成は、H2:約52%、CO2:約43%、N2:約5%、CO:約20ppmであった。
この電池を燃料利用率70%、酸素利用率を酸化剤ガスの流量を調整することで制御し、電流密度0.2A/cm2、及び0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化と、酸化剤ガス及び燃料ガスの出口露点を計測した。
表11に、本発明による実施例と本発明によらない比較例の発電試験結果を示す。
また、このとき同時に純水素ガスを燃料ガスに用い、露点65℃から80℃に加湿して供給し、同様の試験を行った。その結果、純水素ガスを燃料に用いた場合には、燃料極側で純水素が消費されると残りのガスは水蒸気のみとなるため、仮に分配不良などが生じた場合にも燃料窒息による性能低下は非常に起こりにくく、特に二酸化炭素ガスは拡散性が悪いために、燃料ガス中の二酸化炭素ガス含有率がドライベースで15%以上含まれている場合に本発明の効果が顕著に有効であることを発見した。
以上の実施例を総合すると、本発明が最も顕著に有効である条件は、冷却水入り口付近の温度が65℃以上80℃以下であり、燃料ガスの加湿温度が冷却水入り口温度または冷却水出口温度に対して5℃から10℃低い露点で供給され、燃料ガスの利用率が70%から80%であり、燃料ガスが二酸化炭素を含む改質ガスであり、酸化剤ガスが空気であり、空気が冷却水入り口付近の温度または冷却水出口付近の温度に対して10℃から20℃低い露点に加湿して供給される場合、酸化剤ガス利用率を50%から60%に設定し、電流密度を0.2から0.7A/cm2とし、コフローのガス流路が重力に対して上から下に流れる形状を有する燃料電池が最も効果的であることを発見した。
産業上の利用可能性
以上の説明から明らかなように、本発明は、高い初期特性と寿命特性を有することができる高分子電解質型燃料電池及びその運転方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第2−1の実施例である高分子電解質型燃料電池の空気極側セパレーターの構成を示した図である。
図2は、本発明の第2−1の実施例である高分子電解質型燃料電池の燃料極側セパレーターの構成を示した図である。
図3は、本発明の第2−1の実施例である高分子電解質型燃料電池の冷却水側セパレーターの構成を示した図である。
図4は、本発明の第2−3の実施例である高分子電解質型燃料電池の空気極側セパレーターの構成を示した図である。
図5は、本発明の第2−3の実施例である高分子電解質型燃料電池の燃料極側セパレーターの構成を示した図である。
図6は、本発明の第2−3の実施例である高分子電解質型燃料電池の冷却水側セパレーターの構成を示した図である。
図7は、本発明の第2−3の実施例である高分子電解質型燃料電池の空気極側セパレーターの構成を示した図である。
図8は、本発明の第2−3の実施例である高分子電解質型燃料電池の燃料極側セパレーターの構成を示した図である。
図9は、本発明の第2−3の実施例である高分子電解質型燃料電池の冷却水側セパレーターの構成を示した図である。
(符号の説明)
1 酸化剤ガス入口マニホールド孔
2 酸化剤ガス出口マニホールド孔
3 燃料ガス入口マニホールド孔
4 燃料ガス出口マニホールド孔
5 冷却水入口マニホールド孔
6 冷却水出口マニホールド孔
7 酸化剤ガス流路溝
8 燃料ガス流路溝
9 冷却水流路溝
10 接合シール部
Claims (17)
- 水素イオン高分子電解質膜を挟む位置に配置した一対の電極及び、前記一方の電極に燃料ガスを供給排出し、前記他方の電極に酸化剤ガスを供給排出する供給排出手段とを有する単電池が、導電性セパレータを介して積層され、前記電極を冷却するための冷却媒体を流通する流通手段が備えられた高分子電解質型燃料電池において、
前記冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整されている高分子電解質型燃料電池である。 - 前記高分子電解質型燃料電池の燃料ガス供給口に供給する燃料ガス供給総流量(Vain(NL/min)、ただし水蒸気を含む)と、前記燃料ガス供給口に供給する前記燃料ガス中の水素ガスの含有率(ΔPah(atm)、ただし水蒸気を含む)と、前記燃料ガス供給口に供給する前記燃料ガス中に含まれる水蒸気の分圧(ΔPain(atm))と、前記高分子電解質型燃料電池の燃料ガス利用率(Uf、ただし0≦Uf≦1)と、前記燃料ガス供給口に供給する前記燃料ガス中に含まれる水蒸気の露点(Rain(℃))と、前記燃料ガス供給部の電池温度(Tain(℃))と、燃料ガス排出部の電池温度(Taout(℃))とを、Rain<Tainに保つように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整している請求項1に記載の高分子電解質型燃料電池である。 - Rain≦(Tain−5)となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整することを特徴とする請求項2に記載の高分子電解質型燃料電池である。 - (Tain−15)≦Rain≦(Tain−5)となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整することを特徴とする請求項2の高分子電解質型燃料電池である。 - ΔPain/(1−Uf×ΔPah)で算出される、燃料ガス出口付近の水蒸気分圧(ΔPaout(atm))から近似式22.921Ln(ΔPaout×760)−53.988によって得られる、燃料ガス出口付近の露点(Raout(℃))が、Raout≦(Taout+5)となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整することを特徴とする請求項2の高分子電解質型燃料電池である。 - 前記導電性セパレーターにおける前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとの流通方向が同じ向きであり、かつ、
前記酸化剤ガス供給部の電池温度(Tcin(℃))もしくは前記燃料ガス供給部の電池温度(Tain(℃))または冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整し、かつ、
前記高分子電解質型燃料電池の酸化剤ガス利用率(Uo、ただし0≦Uo≦1)と、酸化剤ガス供給口に供給する前記酸化剤ガス中に含まれる水蒸気の露点(Rcin)と、酸化剤ガス供給部の電池温度(Tcin(℃))と、酸化剤ガス排出部の電池温度(Tcout)とを、Rcinが、TwinまたはTwoutより、10℃以上低く保たれる請求項1から5のいずれかに記載の高分子電解質型燃料電池である。 - 前記Rcinが、TwinまたはTwoutより、20℃以上低く保たれる請求項5に記載の高分子電解質型燃料電池である。
- 前記Uoが、Uo≧0.5(50%)となるように、
前記酸化剤ガスの供給量を調整することを特徴とする請求項6に記載の高分子電解質型燃料電池である。 - 前記Rainが、前記Rcinより10℃以上高く、前記Twinまたは前記Tainまたは前記Taoutまたは前記Tcinまたは前記Tcoutより低いことを特徴とする請求項6に記載の高分子電解質型燃料電池である。
- 前記Uoが0.6(60%)以上、0.9(90%)以下であることを特徴とする請求項6に記載の高分子電解質型燃料電池である。
- 前記導電性セパレーターにおける前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとの流通方向が重力に対して上から下向きである請求項1から10のいずれかに記載の高分子電解質型燃料電池である。
- カソード及びアノードから排出される燃料ガス及び酸化剤ガスが、燃料ガス及び酸化剤ガスが流通する部分の圧力損失に相当する不可避部分を除いて実質的に常圧に開放されている請求項1から11のいずれかに記載の高分子電解質型燃料電池である。
- 電池から取り出す電流値と前記Uoとを連動制御し、前記電流値が小さいほど前記Uoを大きくすることを特徴とする請求項6に記載の高分子電解質型燃料電池である。
- 前記Twinまたは前記Twoutまたは前記Tainまたは前記Taoutまたは前記Tcinまたは前記Tcoutを、70℃以上でかつ95℃以下としたことを特徴とする請求項6に記載の高分子電解質型燃料電池である。
- 前記燃料ガスのドライベース組成に、15体積%以上45体積%以下の二酸化炭素ガスが含まれている、または燃料利用率が0.7(70%)以上である請求項1から14のいずれかに記載の高分子電解質型燃料電池である。
- 水素イオン高分子電解質膜を挟む位置に配置した一対の電極及び、前記一方の電極に燃料ガスを供給排出し、前記他方の電極に酸化剤ガスを供給排出する供給排出手段とを有する単電池が、導電性セパレータを介して積層され、前記電極を冷却するための冷却媒体を流通する流通手段が備えられた高分子電解質型燃料電池の運転方法において、
前記冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、
前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整する高分子電解質型燃料電池の運転方法である。 - 前記導電性セパレーターにおける前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとの流通方向が同じ向きであり、かつ、
前記酸化剤ガス供給部の電池温度(Tcin(℃))もしくは前記燃料ガス供給部の電池温度(Tain(℃))または冷却媒体の入り口温度(Twin(℃))または冷却媒体の出口温度(Twout(℃))が60℃以上となるように、前記燃料ガスの供給量、前記燃料ガスの加湿量、前記酸化剤ガスの供給量、前記酸化剤ガスの加湿量、前記冷却媒体の流量または温度、または高分子電解質型燃料電池の出力電流値から選ばれる少なくとも一つを調整し、かつ、
前記高分子電解質型燃料電池の酸化剤ガス利用率(Uo、ただし0≦Uo≦1)と、酸化剤ガス供給口に供給する前記酸化剤ガス中に含まれる水蒸気の露点(Rcin)と、酸化剤ガス供給部の電池温度(Tcin(℃))と、酸化剤ガス排出部の電池温度(Tcout)とを、Rcinが、TwinまたはTwoutより、10℃以上低く保つ請求項16に記載の高分子電解質型燃料電池の運転方法である。
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