JPS648563B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば自動車のエンジンやその他諸
種の小型内燃機関、特に強制潤滑方式を用いた内
燃機関において好適に使用し得る潤滑油濾過装置
に関するものである。

〔従来の技術〕

一般に強制潤滑方式の内燃機関では、第３図に
例示するような経路で各部の潤滑が行われてい
る。即ち、ポンプ１により油タンク２内の潤滑油
を潤滑必要部３に送出して油タンク２へ還流する
のであるが、その途中には潤滑油中に混入してい
る夾雑物を除去するための濾過器が設けられてい
る。通常この濾過器としては、油タンク２内に配
置された所謂ストレーナと称される吸入側濾過器
４と、ポンプの吐出側に設けられ濾材を内蔵した
主濾過器５が用いられ、この主濾過器５は例えば
自動車では内燃機関の外部に交換容易なカートリ
ツジ方式で装着されている。しかし、これらの濾
過器４，５は内燃機関の潤滑必要部３へ潤滑油を
送る通路の途中に設けられており、主濾過器５の
閉塞や潤滑油の低温時における粘度増加等によつ
て生ずる圧力上昇から潤滑系統を保護する目的
で、主濾過器５の濾材には通常は密度の荒い濾紙
が使用されている。

また主濾過器５が閉鎖状態になれば、カートリ
ツジ内でこれと並列に設けられているリリーフ弁
６が作動し、潤滑油は主濾過器５を通らずに殆ど
濾過されない状態で潤滑必要部３へ送られる。そ
して、潤滑油の中に混入している夾雑物は吸入側
濾過器４により比較的大きなものだけが除去さ
れ、微細な夾雑物が次第に増加して潤滑油全体を
汚染することになる。このため、乗用車等のエン
ジンに使用されている潤滑油は、例えば走行距離
5000Km以内で交換するように各自動車メーカーか
ら指定されている。もし、交換しないで汚染され
た潤滑油をそのまま使用すれば、潤滑油を必要と
する内燃機関の摺動部や回転軸受部等に、潤滑油
中の夾雑物が入り込み摩耗を引き起こすという危
険性があり、また微細な夾雑物が潤滑油通路の比
較的細い管路や隙間等に堆積して潤滑油の通路を
妨害し、潤滑不足を起こす原因となるからであ
る。

このような理由から汚染された潤滑油は、時々
新しいものと全量を交換する必要があるが、この
時点での潤滑油は単に微細な夾雑物により汚染さ
れているだけであつて、潤滑油としての一般性状
は殆ど不変であるから、微細な夾雑物さえ除去で
きればまだまだ十分に使用可能である。特に近年
は、潤滑油の精製技術の向上、高分子系添加剤や
合成潤滑油の進歩等によつて、潤滑油の温度上昇
による劣化は発生し難くなり、潤滑油としての寿
命は長くなつている。しかし、内燃機関の運転に
よつて必然的に発生する夾雑物の潤滑油への混入
を防止することは殆ど不可能であるから、潤滑油
の交換期間を長くするためには、潤滑油中に混入
された微細な夾雑物を除去することが必要になつ
てくる。

乗用車等に塔載されている小型内燃機関には、
省資源・省エネルギの見地から排気タービンによ
り駆動されるターボチヤージヤを採用したり、軽
油を燃料とするデイーゼル機関も用いられてい
る。ターボチヤージヤを用いたものでは、高温の
排気ガス中で排気タービンを10000rpmも回転さ
せるため、その軸受部分にはでき得る限り清浄な
潤滑油を供給することが必要である。

またデイーゼル機関の場合は、燃料の性質上、
排気ガス中に多くのカーボン粒子が発生し、これ
が潤滑油に混入して著しく汚染され易い。しか
も、燃料中に含まれる硫黄分が燃焼して亜硫酸ガ
スを発生し、そのガスが排気中の水分と結合して
腐蝕性の強い無水硫酸となり潤滑油中に混入し
て、金属部分、特に軸受合金などを腐蝕させる原
因となる。このような種々の夾雑物を潤滑油から
除去するために、最近ではこの第３図に示すよう
に、ポンプ１の下流から直接に油タンク２に戻す
管路を設け、ここに主濾過器５よりも高密度の濾
材を有する補助濾過器７を備えた装置が大型内燃
機関では実用化され、潤滑油の清浄化維持と使用
期間の長期化に役立つている。

しかし、この補助濾過器７を乗用車等の既製の
小型内燃機関に装備しようとする場合には、次に
列挙するような種々の問題がある。

(1) 内燃機関の潤滑油のポンプ吐出側通路８ａか
ら補助濾過器７へ潤滑油を分流させるための機
械的加工が困難である。

(2) 補助濾過器７を通過した清浄な潤滑油を油タ
ンク２へ還流させるための加工が必要である。

(3) ポンプ吐出側通路８ａから一定量の潤滑油を
分流して油タンク２へ戻すため、主濾過器５の
抵抗が大になるにつれ潤滑必要部３に供給すべ
き潤滑油の量が不足し、潤滑不足を引き起こす
危険性がある。

補助濾過器７はこのような厄介な問題を抱えて
いるため、乗用車等の小型内燃機関については普
及が遅れている現状である。なお第３図におい
て、９は圧力調整器、１０は圧力計又は圧力警報
手段を示している。

本発明者は上述の問題点を除去するため、主濾
過器と内燃機関の間に高密度濾材を有する補助濾
過器により清浄化された潤滑油を得るようにし、
潤滑油中の微細な夾雑物をも効率よく除去して潤
滑油の長期使用を可能にすると共に、潤滑不足を
起す虞れのない内燃機関用潤滑油分流装置（特願
昭58−176017号）を既に開発している。

これは第４図に示すように、潤滑油回路のポン
プ吐出側に設けられた主濾過器５と並列に比較的
高密度の濾材を有する補助濾過器７を接続し、こ
の補助濾過器７に向けて潤滑油の一部を分流する
ための分流装置を有している。この場合に、主濾
過器５はカートリツジに内蔵され、分流装置を介
して潤滑必要部３である内燃機のシリンダブロツ
クに接続し、補助濾過部７は外部に配置し分流装
置から配管がなされている。この分流装置は潤滑
油のポンプ吐出側通路８ａと主濾過器５の入口を
連通する往路と、主濾過器５の出口と潤滑油の機
関入口側通路８ｂとを連通する帰路とを有し、往
路の途中に補助濾過器７へ接続するための分流路
を備えている。そして、分流装置の帰路に設けた
絞り機構によつて生ずる圧力低下を利用して潤滑
油の一部を補助濾過器７側から強制的に吸引し、
補助濾過器７を通過した清浄な潤滑油を機関入口
側通路８ｂへ戻すようにしたものである。

このような分流装置を併用すると、潤滑油中の
微細な夾雑物も効率よく除去され、その結果とし
て潤滑油の寿命を大幅に延長できるという大きな
利益が得られるが、分流装置と主濾過器５及び補
助濾過器７の三者が別々になつているため、設備
費が高価となり、また分流装置の取り付けに相当
の手数を要し、かつ余分のスペースを要する等の
改良すべき問題点がある。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、このような問題点を改善し、
上述の分流装置の機能及び主濾過器、補助濾過器
を１個のユニツトにまとめ、小型で安価しかも取
り付けの容易な潤滑油濾過装置を提供することに
ある。

〔発明の概要〕

上述の目的を達成するための本発明の要旨は、
共通のケース内に密度の粗い主濾過部と密度の高
い補助濾過部を連接し、該補助濾過部の中心には
前記主濾過部を通過した潤滑油が流通する流路を
設け、該流路内に絞り部を形成し、該絞り部には
前記補助濾過部を通過した潤滑油を前記流路に導
く側路を開通し、前記絞り部における圧力降下に
より潤滑油の一部を前記補助濾過部を通過させ前
記側路を介して前記流路内に吸引するようにした
ことを特徴とする潤滑油濾過装置である。

〔発明の実施例〕

本発明を第１図、第２図に図示の実施例に基づ
いて詳細に説明する。

第１図において、ケース１１内には第４図の主
濾過器５に相当する密度の粗い主濾過部１２、補
助濾過器７に相当する比較的高密度の補助濾過部
１３が、ケース１１と適当な間隔を隔てた状態で
連接されている。そして、主濾過部１２はケース
１１の奥部に、補助濾過部１３は開口側に位置
し、ケース１１の開口部には蓋体１４が被着され
ている。

主濾過部１２においては、第２図に示すように
多数の通孔を有する管体１５の周囲に、ひだ状の
濾過面を有する密度の粗い濾材１６が周設されて
おり、濾材１６の両端面は例えば金属製の底板１
７と中心に孔１８を設けた上板１９により挟設さ
れている。一方、補助濾過部１３は主濾過部１２
の管体１５と連通する軸心方向の流路２０を持つ
スプール状の例えば合成樹脂から成る枠体２１を
有し、流路２０を形成する芯部２２の周りに多数
の通孔を有する板体２３が空間部２４を形成する
ように周設され、この板体２３の周りに例えば濾
紙をこのように丸めた紐状の濾材２５が高密度に
巻付けられている。なお、この巻付けは内部ほど
高密度に外部に進むにつれ粗にすることが好適で
ある。流路２０内には絞り部２６が設けられ、こ
の絞り部２６部分に空間部２４から潤滑油を流路
２０に導くための側路２７が設けられている。こ
の絞り部２６は流路２０の任意の位置でよく例え
ば入口部であつてもよい。ただし、側路２７は実
施例のように絞り部２６に設けるか又は絞り部２
６の下流側とすることが必要である。そして、主
濾過部１２と補助濾過部１３とは接着剤により接
合されている。なお、２８は主濾過部１２、補助
濾過部１３を押し上げている圧縮ばねであり、２
９は取り付けるべきシリンダブロツクの管路と螺
合するねじ部である。

蓋体１４は補助濾過部１２の枠体２１の芯部２
２と油密に結合されており、中央部に流路２０と
連なる流出口３０及びその周りに複数個の孔から
成る潤滑油の流入口３１が設けられており、上部
にはパツキン３２が取り付けられている。

この濾過装置は従来の主濾過器と同様に内燃機
関のシリンダブロツクに交換自在に装着され、流
出口３０はねじ部２９を介して第４図の機関入口
側通路８ｂと連通され、流入口３１はパツキン３
２にシールされポンプ吐出側通路８ａと連通する
ことになる。

流入口３１から流入する潤滑油は、その大部分
がケース１１の壁面と補助濾過部１３との隙間を
通過し、密度の粗い主濾過部１２の周囲から濾材
１６を通り、その間に潤滑油に含まれる粗い夾雑
物の殆どが除去され、更に管体１５の通孔を通つ
て流路２０へ流入し流出口３０から流出する。

ここで、主濾過部１２を通過した潤滑油は、流
路２０の絞り部２６を通る際は、ベルヌーイの定
理により明らかなように流速が増大し圧力が降下
するので、補助濾過部１３の外側と空間部２４の
間で圧力差が生ずる。この圧力差によつて、潤滑
油の一部は密度の高い濾材２５を強制的に通過さ
せられ、側路２７を通つて流路２０内へ合流され
ることになる。なお、補助濾過部１３の濾材２５
を内部ほど高密度の密度勾配を持たせておけば、
潤滑油中の比較的密度の大きな夾雑物は外面側
で、小さな夾雑物は内面側で捕捉されることにな
り、濾材２５は平均的に目詰りすることによつ
て、濾材２５の寿命を最大限に発揮できるように
なる。

このようにして潤滑油の一部は高密度の補助濾
過部１３を強制的に通過させられるから、その間
に微細な夾雑物も徐々に除去されることになる。
上述の実施例では濾材２５に紐状のものを巻付け
た場合を説明したが、濾材２５の材質や枠体２１
の形状、或いは主濾過部１２の構成等には、実施
例以外にも種々の変形が可能であることは勿論で
ある。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明に係る潤滑油濾過装
置は、密度の粗い主濾過器と密度の高い補助濾過
器に潤滑油を分流させ、共通のケース内に合理的
にまとめて１個のユニツトとしたため、潤滑油中
の微細な夾雑物をも効率良く除去できスペースも
節減できる。更に、内燃機関への取り付けも何ら
かの加工を加えることなく、従来の交換式濾過器
と全く同様に簡便に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本発明に係る潤滑油濾過装置
の一実施例を示し、第１図はその縦断面図、第２
図は主濾過部の断面図、第３図、第４図は潤滑油
回路図である。 符号１１はケース、１２は主濾過部、１３は補
助濾過部、１６，２５は濾材、２０は流路、２１
は枠体、２６は絞り部、２７は側路、３０は流出
口、３１は流入口である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 共通のケース内に密度の粗い主濾過部と密度
   の高い補助濾過部を連接し、該補助濾過部の中心
   には前記主濾過部を通過した潤滑油が流通する流
   路を設け、該流路内に絞り部を形成し、該絞り部
   には前記補助濾過部を通過した潤滑油を前記流路
   に導く側路を開通し、前記絞り部における圧力降
   下により潤滑油の一部を前記補助濾過部を通過さ
   せ前記側路を介して前記流路内に吸引するように
   したことを特徴とする潤滑油濾過装置。 ２ 前記補助濾過部は、中心に前記流路を有する
   スプール状の枠体に紐状の濾材を巻回して構成し
   た特許請求の範囲第１項に記載の潤滑油濾過装
   置。 ３ 前記補助濾過部は内部ほど高密度とする密度
   勾配を有するようにした特許請求の範囲第１項に
   記載の潤滑油濾過装置。