JPS645843Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は正の抵抗温度係数を有するチタン酸バ
リウム系半導体磁器より成る正特性サーミスタを
使用した正特性サーミスタ装置に関する。

正特性サーミスタは、キユリー温度を適当に選
定することにより任意の発熱温度が得られるこ
と、発熱温度がキユリー温度を超えると電気抵抗
が急激に増加して自己発熱を制御する自己温度制
御機能を有し過熱の危険がないこと等々の優れた
特長を有し、安全で信頼性が高いことから、従来
より各種の発熱装置の発熱源または電子、電気回
路における電流制御素子として広く利用されてい
る。

本考案は、正特性サーミスタに熱遅延部を介し
て感熱スイツチを組合せ、感熱スイツチの動作時
期及び正特性サーミスタの動作時間を、熱遅延部
の熱遅延特性に応じて制御すると共に、正特性サ
ーミスタの動作時間に合せて、殺虫液等の薬液を
加熱蒸発させることができるようにした正特性サ
ーミスタ装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本考案に係る正特性
サーミスタ装置は、略水平に配置された平板状の
正特性サーミスタと、前記正特性サーミスタの上
面側に形成された薬液容器載置面と、前記正特性
サーミスタの下面側に熱遅延部を介して熱結合さ
れた感熱スイツチとを備え、前記正特性サーミス
タおよび前記感熱スイツチを電気的に直列に導通
接続したことを特徴とする。

以下実施例たる添付図面を参照し、本考案の内
容を具体的に詳説する。

第１図は本考案に係るサーミスタ装置の断面図
である。図において、１は略水平に配置された平
板状の正特性サーミスタで、その板厚方向の両面
にオーム性もしくは非オーム性接触電極２，３を
設け、該電極２，３上に電極板４，５を対接させ
てある。電極板４のある上面側は殺虫液等の薬液
を収納した薬液容器の載置面として利用する。

６は感熱スイツチである。この実施例では押ボ
タン７、リード端子８，９を備えた手動復帰式の
バイメタルスイツチによつて構成してあるが、他
の構造のバイメタルスイツチまたは感温フエライ
トリードスイツチ等によつて構成してもよい。ま
た該感熱スイツチ６のスイツチ形式は、常開接
点、常閉接点またはトランスフア接点など各種の
接点形式でよい。

１０は正特性サーミスタ１の下面側と感熱スイ
ツチ６との間に形成された熱遅延部である。該熱
遅延部１０は、正特性サーミスタ１から感熱スイ
ツチ６に伝達される熱に、一定の時間遅れを生じ
させるために設けたもので、その熱伝導率、熱容
量、熱放熱量は、所定の遅延時間が得られるよう
に選定される。この熱遅延部１０は、上述のよう
な熱的条件を考慮したうえで、たとえば耐熱性合
成樹脂、各種の磁器、絶縁処理を施した金属体も
しくは空気層またはこれらの組合せ等によつて構
成される。

上述の如く、本考案においては、正特性サーミ
スタ１に熱遅延部１０を介して感熱スイツチ６を
熱結合させてあるから、熱遅延部１０の熱伝導特
性に基づく遅延時間をおいて感熱スイツチ６が動
作し、遅延時間の比較的長い限時スイツチとして
動作することとなる。しかもこの遅延時間は、熱
遅延部１０の熱伝導特性、正特性サーミスタ１の
発熱温度、発熱量または感熱スイツチ６の動作温
度を適当に選定することにより、幅広く設定する
ことができる。

正特性サーミスタ１および感熱スイツチ６は、
直列接続回路として駆動する。直列接続回路であ
ると、感熱スイツチ６がスイツチング動作するま
で正特性サーミスタ１を発熱動作させ、感熱スイ
ツチ６のスイツチング動作と同時に、正特性サー
ミスタ１の電源回路を遮断できるから、正特性サ
ーミスタ１に残留電流が流れることがなく、省電
力形で、安全性の高い正特性サーミスタ装置を実
現できる。また、電極板４の上に載置された薬液
容器を、正特性サーミスタ１が発熱動作をしてい
る一定の時間だけ加熱して薬液を蒸発させ、殺虫
作用等を行なわせることができる。

次に直列接続方式とした正特性サーミスタ装置
の具体例について説明する。

まず第２図は、第１図において示した正特性サ
ーミスタ装置の電極板４上に、たとえばベリリア
磁器、アルミナ磁器などによつて構成された放熱
板１１を取付け、該放熱板１１上に被加熱物、た
とえば殺虫溶液１２等を収容した容器１３を載置
した構造となつている。

第３図は上記正特性サーミスタ装置の電気回路
図であり、正特性サーミスタ１の電極板５と感熱
スイツチ６のリード端子８とを電気的に導通接続
することにより、正特性サーミスタ１と感熱スイ
ツチ６とを直列に接続した回路構成となつてい
る。なおこの実施例では、感熱スイツチ６は常閉
接点構造のものを使用してある。

上記構成の正特性サーミスタ装置において、電
極板４とリード端子９との間に直流または交流電
圧を印加すると、感熱スイツチ６が常閉接点であ
ることから、正特性サーミスタ１が直ちに発熱動
作に入る。

第４図はこのときの動作特性図を示している。
まず正特性サーミスタ１が起動した直後は、初期
抵抗値が低いこともあつて、その発熱温度は曲線
A₁に沿つて急激に上昇する。発熱温度がキユリ
ー温度付近に達すると、その電気抵抗が急激に増
加し、自己温度制御機能が生じるので、発熱温度
は熱平衡温度Tmで安定する。この発熱温度によ
つて容器１３内の殺虫溶液１２等が加熱され、蒸
発し、殺虫作用が行なわれる。

一方、正特性サーミスタ１に発生した熱は、熱
遅延部１０を介し、一定の時間遅れをもつて感熱
スイツチ６へと伝達される。第４図の曲線A₂は
感熱スイツチ６の温度上昇特性曲線であり、正特
性サーミスタ１の温度上昇特性曲線A₁より緩や
かな勾配を有して上昇する。

感熱スイツチ６の温度が、その動作温度Tsに
達すると、感熱スイツチ６はオンからオフに切替
る。これにより正特性サーミスタ１の電源供給ラ
インが遮断され、その発熱動作が停止する。すな
わち正特性サーミスタ１の動作時間及び容器１３
内の殺虫溶液１２の蒸発時間は、起動したとき
（ｔ＝ｏ）から、感熱スイツチ６の温度が動作温
度Tsに達するまでの時間Td₁となる。この動作
継続時間Td₁は、熱遅延部１０の熱伝達特性、正
特性サーミスタ１の発熱温度、発熱量または感熱
スイツチ６の動作温度の設定いかんによつて、簡
単に変更することができる。

第５図は本考案に係る正特性サーミスタ装置の
他の実施例における断面図である。この実施例の
特徴は、熱遅延部１０を、熱遅延物１０Ａと空気
層１０Ｂとによつて構成したことである。熱遅延
物１０Ａは、たとえば耐熱性合成樹脂、各種の磁
器その他適当な熱伝導率を有する材料を使用して
構成される。また空気層１０Ｂを設けるために、
本実施例では、前記熱遅延物１０Ａに耐熱ケース
１４の上面部を固着すると共に、該ケース１４の
底部に、上方に空気層１０Ｂを有して、感熱スイ
ツチ６を取付けた構造としてある。

上述のような構造であると、空気層１０Ｂの断
熱効果により、正特性サーミスタ１から感熱スイ
ツチ６に伝達される熱の時間遅れが非常に大きく
なり、感熱スイツチ６の動作時間を著しく遅延さ
せることができる。したがつて、正特性サーミス
タ１の動作時間及び容器１３内の殺虫溶液１２の
蒸発時間の長い正特性サーミスタ装置が実現でき
る。

以上述べたように、本考案に係る正特性サーミ
スタ装置は、略水平に配置された平板状の正特性
サーミスタと、前記正特性サーミスタの上面側に
形成された薬液容器載置面と、前記正特性サーミ
スタの下面側に熱遅延部を介して熱結合された感
熱スイツチとを備え、前記正特性サーミスタおよ
び前記感熱スイツチを電気的に直列に導通接続し
たことを特徴とするから、感熱スイツチの動作時
期及び正特性サーミスタの動作時間を、熱遅延部
の熱遅延特性に応じて制御すると共に、正特性サ
ーミスタの動作時間に合せて、殺虫液等の薬液を
加熱蒸発させ得る正特性サーミスタ装置を提供す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る正特性サーミスタ装置の
断面図、第２図は同じくその使用状態を説明する
図、第３図は同じくその電気回路図、第４図は同
じくその動作特性図、第５図は同じく他の使用状
態における断面図である。 １……正特性サーミスタ、６……感熱スイツ
チ、１０……熱遅延部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 略水平に配置された平板状の正特性サーミス
   タと、前記正特性サーミスタの上面側に形成さ
   れた薬液容器載置面と、前記正特性サーミスタ
   の下面側に熱遅延部を介して熱結合された感熱
   スイツチとを備え、前記正特性サーミスタおよ
   び前記感熱スイツチを電気的に直列に導通接続
   したことを特徴とする正特性サーミスタ装置。 (2) 前記熱遅延部は熱遅延物より構成されること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に
   記載の正特性サーミスタ装置。 (3) 前記熱遅延部は空気層を備えて構成されるこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   または第２項に記載の正特性サーミスタ装置。