JPS6451Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はブラシ方式による繭の毛羽取り装置
の改良に関する。

従来、繭の毛羽取り作業には第１図に示すよう
なベルト方式による毛羽取り装置が使用されてい
た。この装置は簇から抜き節等で押出された繭Ｍ
を順次移送して、表面に多数の横溝（幅方向へ延
びた溝）が形成され、矢印方向へ移動中の口出し
用ベルト２へ当接されると、毛羽は毛羽引込み口
５から引込まれる。この毛羽は表面に小さな凹凸
が形成され、矢印方向へ移動中の巻取り用ベルト
３に巻取られる。こうして毛羽取りを終えた繭Ｍ
はシユート４から順次右方向へ押出されるように
構成されている。

このため、毛羽引込み口５を構成する２本のロ
ーラ６，７をできるだけ強く圧接すると繭Ｍから
毛羽をきれいに取ることができるという長所があ
るが、上記ベルト２，３が蛇行してその調整が煩
雑であるとか、該ベルト２，３が早期に消耗する
ため、ひんぱんに交換する必要がある。

この点から上記ベルト方式による繭の毛羽取り
装置に代つてブラシ方式による繭の毛羽取り装置
が提案されたが、ブラシの回転による毛羽の引込
み作用が不十分なため、繭のブラシからの離れが
悪く、しかも毛羽が完全に取れず、とくに毛足の
短い毛羽が残つたまま排出されるとか、繭のブラ
シからの離れが悪いために新たに毛羽立てるとい
う欠点がある。こうした欠点を解消するためにブ
ラシの線径を太くしたり、毛足を短くして毛羽取
り作用を強くした場合は、繭の表面を傷めるほか
繰糸工程の作業性を著しく低下させて繭糸の品質
低下を招くことになる。

この考案は上記にかんがみて、瞬時に繭から長
い毛羽や短い毛羽をきれいに全部取去ることがで
きる簡単な繭の毛羽取り装置を提供することを目
的とする。

この考案の要旨は、斜め上方から送られてくる
繭の下方に、該繭の送られてくる側に回転駆動す
る第１毛羽取りブラシローラが配設され、 該第１毛羽取りブラシローラにおける前記繭の
送られてくる側の斜め下方に、前記第１毛羽取り
ブラシローラに圧接されて回転自在な第１圧接ロ
ーラが配設され、 該第１圧接ローラ側方に、斜め下方にのびて前
記繭を滑降させるシユートが配設され、 該シユート下端に、前記第１毛羽取りブラシロ
ーラと同方向に回転駆動する第２毛羽取りブラシ
ローラが配設され、 該第２毛羽取りブラシローラにおける前記繭の
滑降してくる側と反対側の斜め下方に、前記第２
毛羽取りブラシローラに圧接されて回転自在な第
２圧接ローラが配設され、 前記第２毛羽取りブラシローラの斜め上方に、
前記第２毛羽取りブラシローラとの間で滑降して
くる前記繭の大きさと近似する隙間を有して、押
圧板が配設され、 前記第１毛羽取りブラシローラ下方に、前記第
１・第２毛羽取りブラシローラと接して逆方向に
回転駆動する毛羽引込み用針布ローラが配設され
ている、 構成よりなる繭の毛羽取り装置にある。

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第２図に示す実施例の毛羽取り装置は、、斜め
上方から送られてくる繭Ｍの下方に、繭Ｍの送ら
れてくる側のイ方向に回転駆動し、外周面にブラ
シ群を植設した第１毛羽取りブラシローラ１１が
配設されている。

第１毛羽取りブラシローラ１１における繭Ｍの
送られてくる側の斜め下方には、外周面を平滑と
して等径の管または棒等で形成される回転自在な
第１圧接ローラ２１が、第１毛羽取りブラシロー
ラ１１に圧接されて配設されている。この第１圧
接ローラ２１は、図示しない押圧手段によつて第
１毛羽取りブラシローラ１１のブラシ群の先端部
が湾曲する程度に強めに圧接されて配設されてい
る。なお、この第１圧接ローラ２１は、第１毛羽
取りブラシローラ１１の回転駆動によつて、ロ方
向に回転することとなる。

第１圧接ローラ２１側方には、斜め下方にのび
て第１毛羽取りブラシローラ１１と第１圧接ロー
ラ２１とで長い毛羽を取られた繭Ｍを滑降させる
シユート１７が配設されている。

シユート１７の下端には、第１毛羽取りブラシ
ローラ１１と同様に、外周面にブラシ群を植設
し、第１毛羽取りブラシローラ１１と同方向のハ
方向へ回転駆動する第２毛羽取りブラシローラ１
２が配設されている。

第２毛羽取りブラシローラ１２における繭Ｍの
滑降してくる側と反対側の斜め下方には、第２毛
羽取りブラシローラ１２に圧接される回転自在な
第２圧接ローラ２２が配設されている、この第２
圧接ローラ２２は、第１圧接ローラ２１と同様
に、外周面を平滑として等径の管または棒等で形
成され、図示しない押圧手段につて第２毛羽取り
ブラシローラ１２のブラシ群の先端部が湾曲する
程度に強めに圧接されて配設されている。なお、
この第２圧接ローラ２２は、第２毛羽取りブラシ
ローラ１２の回転駆動によつて、ニ方向に回転す
ることとなる。

また、第２毛羽取りブラシローラ１２の斜め上
方には、第２毛羽取りブラシローラ１２との間
で、滑降してくる繭Ｍの大きさと近似する隙間を
有して、繭Ｍを第２毛羽取りブラシローラ１２側
へ押圧する薄い金属からなる押圧板１８が配設さ
れている。この押圧板１８は、下端先端部に丸味
をもつ折曲げ部が形成されており、この折曲げ部
には所定深さの切欠きが刻設され、繭Ｍの大きさ
によつて矢印方向へ移動可能に配設されている。

そして、第１毛羽取りブラシローラ１１下方に
は、外周面に金属製針布を植設し、第１・第２毛
羽取りブラシローラ１１，１２と互いに入り組む
ように接して逆方向のホ方向へ回転駆動する毛羽
引込み用針布ローラ１３が配設されている。

毛羽引込み用針布ローラ１３の下方には、外周
面の一部、たとえば円周の約４分の１に相当する
範囲に金属製針布を植設して回転駆動する自排用
ローラ１４が、毛羽引込み用針布ローラ１３と互
いに入り組むように接して配設されている。この
自排用ローラ１４は、周期的にヘ，ト方向へ揺動
するように構成されている。

自排用ローラ１４側方には、円弧状の内面に針
布群を植設した固定針布支持体１６が、ヘ，ト方
向へ周期的に揺動する自排用ローラ１４と互いに
入り組むように接して配設されている。この固定
針布支持体１６は、図示しない機枠に着脱可能に
取付けられている。

つぎに上記のように構成した繭の毛羽取り装置
の作動態様を説明する。

まず、斜め上方から送られてきた繭Ｍが第１毛
羽取りブラシローラ１１に当たると、その長い毛
羽がブラシ群にからまり第１毛羽取りブラシロー
ラ１１と第１圧接ローラ２１とに挟み込まれる。
その際、イ方向へ回転中の第１毛羽取りブラシロ
ーラ１１のブラシ群がロ方向へ回転する第１圧接
ローラ２１によつて湾曲されて、ブラシローラ１
１と圧接ローラ２１との接触部位上方の断面略三
角形状の空間が小さくなり、ブラシ先端が繭Ｍの
毛羽根元際まで接触するとともにブラシ先端と圧
接ローラ２１とで挟み込む部位が繭Ｍに接近する
ことから、毛羽の引込み作用が強くなつている。
そのため、脱繭後移送されてきた繭Ｍを被包して
いる毛足の長い毛羽は瞬時に第１毛羽取りブラシ
ローラ１１に巻取られる。

つぎに毛足の短い毛羽が残つている繭Ｍはシユ
ート１７上を滑降し、ハ方向へ回転中の毛羽取り
用ブラシローラ１２と押圧板１８との隙間を自転
しながら通過しようとする。ところが、この隙間
は上記のとおり繭Ｍの大きさと近似するように調
節されており、繭Ｍは、その毛羽を第２毛羽取り
ブラシローラ１２にからませ、第２毛羽取りブラ
シローラ１２の回転に伴なつて第２圧接ローラ２
２との挟み込む部位に、飛び出すことなく確実に
送られることとなる。そして、ハ方向へ回転中の
第２毛羽取り用ブラシローラ１２のブラシ群はニ
方向へ回転中の第２圧接ローラ２２よつて湾曲さ
れて、上述の第１毛羽取りブラシローラ１１と同
様に毛羽の引込み作用が強くなつているため、繭
Ｍに残つている毛足の短い毛羽は瞬時に根元際か
ら引込まれて第２毛羽取り用ブラシローラ１２へ
巻取られる。こうして、毛羽がきれいに取去られ
た繭Ｍは矢印方向へ排出される。

そして上記第１毛羽取り用ブラシローラ１１へ
巻取られた毛足の長い毛羽、上記第２毛羽取り用
ブラシローラ１２へ巻取られた毛足の短い毛羽等
はいづれもホ方向へ回転中の毛羽引込み用針布ロ
ーラ１３へ引込まれ、ついで、ヘ，ト方向へ揺動
中の自排用針布ローラ１４をへて固定針布支持体
１６へ引込まれ、その下方へ毛羽１９となつて順
次堆積される。

なお、上記毛羽取り用ブラシローラ１２の軸心
と圧接ローラ２２の軸心との距離をできるだけ小
さくする、つまり小径の圧接ローラ２２で強目に
圧接すると、さらに毛足の短い毛羽を毛取り用ブ
ラシローラ１２へ完全に引込み可能であることを
確認している。

以上のように、この考案の繭の毛羽取り装置
は、毛羽取りブラシローラと、これに圧接させて
ブラシ群を湾曲させる圧接ローラとが、シユート
を介して上下２段に設けられている。そのため、
各段では、毛羽取りブラシローラのブラシ群が圧
接ローラによつて湾曲されて、毛羽取りブラシロ
ーラと圧接ローラとの接触部位上方の断面略三角
形状の空間が小さくなり、ブラシ先端が繭の毛羽
根元際まで接触するとともにブラシ先端と圧接ロ
ーラとで挟み込む部囲が繭に接近することから、
毛羽の引込み作用が強く、しかも、これら引込み
作用が強い毛羽取りブラシローラと圧接ローラと
が上下２段に配設されていることから、当初、上
段で毛足の長い毛羽が瞬時にきれいに巻取られ、
その後、下段で巻取り難い毛足の短い毛羽が瞬時
に簡単かつきれいに巻取られ、結局、繭の毛羽を
きれいに取去ることができる。

そしてまた、下段の第２毛羽取りブラシローラ
上方には、繭の大きさに近似した隙間を有して押
圧板が配設されており、シユート上を滑降してく
る繭を、飛び出させることなく確実に毛羽取りで
きるよう確実に第２毛羽取りブラシローラにから
みつかせることができ、滑降してくる繭を全部き
れいに毛羽取りすることができる。

したがつて、この考案の繭の毛羽り装置は、従
来のブラシ方式の毛羽取り装置の欠点を除去し、
送られてくる繭の全部について、長い毛羽や短い
毛羽を瞬時にきれいに全部取去ることができる効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のベルト方式の毛羽取り装置を示
す概要図、第２図はこの考案の実施例に係るブラ
シ方式の毛羽取り装置を示す概要図である。 １１……第１毛羽取りブラシローラ、１２……
第２毛羽取りブラシローラ、１３……毛羽引込み
用針布ローラ、１７……シユート、１８……押圧
板、２１……第１圧接ローラ、２２……第２圧接
ローラ、Ｍ……繭。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 斜め上方から送られてくる繭の下方に、該繭の
   送られてくる側に回転駆動する第１毛羽取りブラ
   シローラが配設され、 該第１毛羽取りブラシローラにおける前記繭の
   送られてくる側の斜め下方に、前記第１毛羽取り
   ブラシローラに圧接されて回転自在な第１圧接ロ
   ーラが配設され、 該第１圧接ローラ側方に、斜め下方にのびて前
   記繭を滑降させるシユートが配設され、 該シユート下端に、前記第１毛羽取りブラシロ
   ーラと同方向に回転駆動する第２毛羽取りブラシ
   ローラが配設され、 該第２毛羽取りブラシローラにおける前記繭の
   滑降してくる側と反対側の斜め下方に、前記第２
   毛羽取りブラシローラに圧接されて回転自在な第
   ２圧接ローラが配設され、 前記第２毛羽取りブラシローラの斜め上方に、
   前記第２毛羽取りブラシローラとの間で滑降して
   くる前記繭の大きさと近似する隙間を有して、押
   圧板が配設され、 前記第１毛羽取りブラシローラ下方に、前記第
   １、第２毛羽取りブラシローラと接して逆方向に
   回転駆動する毛羽引込み用針布ローラが配設され
   ている、 構成よりなる繭の毛羽取り装置。