JPS641898B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、陰極線励起型線状蛍光表示面およ
びこの表示面から離間して管内に取付けられた細
隙状（スリツト状）開孔を有する多孔シヤドーマ
スクを具えた陰極線管に関し、特に滑らかな輪郭
限界線をもつた視覚的に改良された表示面を有す
る陰極線管に関する。

カラーテレビジヨン用として開発、販売されて
いる最近の陰極線管は内面に陰極線で励起される
線状蛍光表示面を持つ球面状の矩形フエースプレ
ートと、その表示面に隣接するやゝ球面状の細隙
状開孔シヤドーマスクとを有する。シヤドーマス
ク（以下では単にマスクと称することもある）の
細隙状開孔は平行な垂直列に配列され、その各列
はマスクの帯状部で垂直に分離された複数個の細
隙状開孔を含んでいる。隣接列の帯状部は垂直方
向に互いに食違つて配置されている。このように
帯状部が各列毎に上下に食違つて配置されてお
り、また各細隙状開孔は一般に一定長さに保たれ
ているので、シヤドーマスクの上下の輪郭限界線
は主として各列中の開孔部を通過するが、しばし
ば帯状部も通る。ある列が輪郭限界線に帯状部で
接し、他の列が輪郭限界線に開孔部で接すると、
表示面の上下輪郭限界線の或る部分に段が付き、
この段は表示面に接近して座つている視聴者に見
えるので美観上好ましくない。

この発明に係る陰極線管は陰極線励起型線状蛍
光表示面と、管内にその表示面から離間して取付
けられた細隙状開孔シヤドーマスクとを有し、そ
のマスクの細隙状開孔は実質的に平行な列を成し
て配置されている。また、各列の細隙状開孔はマ
スクの帯状部によつて垂直方向に分離されてい
る。この発明で使用されるシヤドーマスクでは、
細隙状開孔列の端部のいくつかは、表示面の上下
端部に段のない視覚的に改良された表示面を形成
することができるように改善されている。

以下、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。

第１図は矩形パネル２２、フアンネル部２６お
よび管状ネツク部２４より成る真空ガラス外囲器
２０を有する矩形のカラー映像管を示す。パネル
の内部図を第２図に示す。パネル２２は観察用フ
エースプレート２８と、フアンネル部２６へ封止
された外周フランジすなわち側壁３０とから成
る。フエースプレート２８の内面には管体の垂直
軸（ｙ−ｙ）に実質的に平行に延びる蛍光体の線
列を持つモザイク状３色陰極線励起型線状蛍光表
示面３２が設けられている。各蛍光体相互間を吸
光材料で埋めることもある。この表示面３２に対
して所定の間隔を保つて多孔選色電極すなわちシ
ヤドーマスク３４（略示）がパネル２２の内側に
着脱自在に取付けられている。このシヤドーマス
ク３４は実質的に平行な垂直列を成して配列され
た多数の細隙状開孔を有し、各列はシヤドーマス
ク中の帯状部によつて垂直に分離された複数個の
細隙状開孔を含んでいる。隣接列の帯状部は垂直
方向に食違つて配置されているので、側方から見
たとき、開孔は普通のれんが状パターンになる。

ネツク部２４の内部にはインライン型電子銃３
６（略示）が取付けられ、３本の電子ビーム３８
Ｂ，３８Ｒ，３８Ｇを発生してこれを同一平面内
の集中経路に沿いマスク３４を通して表示面に向
ける。

第１図の映像管のネツク部２４とフアンネル部
２６との結合部近傍にはこれを包囲して外部磁気
偏向ヨーク４０が設けられている。この偏向ヨー
ク４０に適当な電流を流すと、３本の電子ビーム
３８Ｂ，３８Ｒ，３８Ｇが垂直および水平偏向磁
界の作用により垂直および水平偏向されて表示面
３２上に矩形ラスタを形成する。簡単のために第
１図では偏向領域における偏向電子ビームの経路
の実際の彎曲を示さず、電子ビームが偏向面Ｐ−
Ｐで瞬時に曲げられるように略示されている。

従来の映像管における第２図の円４で示すパネ
ル２２の一部分の拡大図を第３図に示す。第３図
ではシヤドーマスク４２の一部を除去して映像管
表示面４４の一部を露出させて示している。シヤ
ドーマスク４２は列４８に配列された複数個の細
隙状開孔４６を有し、このシヤドーマスク外周近
傍のいくつかの細隙状開孔５０を除いて、すべて
の細隙状開孔４６は同じ長さを持つている。各列
４８中の各細隙状開孔４６は、列の長さ方向に測
つて実質的に同じ長さの帯状部５２によつて同列
中の隣接する細隙状開孔から分離されている。同
じ列における隣接帯状部５２の中心間距離（すな
わち、標準長さの細隙状開孔と１個の帯状部との
和に等しい長さ）を垂直帯状部反復距離
（WRD）と呼ぶ。この帯状部反復距離はマスク
全体を通じて維持されている。この帯状部の反復
パターンのためおよび表示面の所定の輪郭限界線
８８をパネル２２およびマスク４２の僅かに彎曲
した上下輪郭に平行にしたいため、上記所定の輪
郭限界線８８は一般に各列中の細隙状開孔を切る
が、時には帯状部またはこれに十分に近い位置で
細隙状開孔を切つて完全なエツチングを行うには
不十分な細隙状開孔パターンを形成することがあ
る。このようなパターンのためにエツチングされ
ない細隙状開孔パターンが第３図の破線５４およ
び５６で示されている。シヤドーマスク４２はま
た蛍光表示面の形成時にホトマスタとしても使用
されるので、所定の輪郭限界線８８が帯状部また
はその近傍を通ると上下輪郭限界線付近に不規則
な凹凸のある表示面が形成されることになる。第
３図における点線で示す不完全な細隙状開孔パタ
ーン５６が完全にエツチングされないため、この
列の３本組の蛍光体線５８は隣接する３本組の蛍
光体線６０より低い点で終つている。

このような蛍光体線の上下の端部の不揃いのた
めに、表示面の上下の端部に不規則な段が付き、
美観上好ましくない。

表示面の上下端部に上記のような不規則な段が
付くのを防止するためには、上記所定の輪郭限界
線８８に近い位置に形成される帯状部をすべて廃
止して、各列の上下端部の細隙状開孔がすべて上
記所定の輪郭限界線８８と接して終端するように
すればよい。実際には、輪郭限界線８８に接して
１／２WRD以下の短かい細隙状開孔パターンが形
成されるのを防止するために、上記所定の輪郭限
界線８８から1/2WRD以内に中心が来る帯状部
はすべて廃止される。そうすると、第４図のシヤ
ドーマスク６２に示すように、各列の上下端部の
細隙状開孔、例えば６１，６３，６５，６７，６
９はすべて上記所定の輪郭限界線８８と接して終
端するから、これに基いて形成された表示面７０
の上下端部は滑らかな輪郭線を形成し、表示面の
上下端部に第３図の蛍光体線５８で示すような段
が付くことはない。なお、第４図も３図と同様に
マスク６２の一部を除去して映像管表示面の一部
を露出させて示している。

ところが、上記のように所定の輪郭限界線８８
から1/2WRD以内に中心が位置する帯状部をす
べて廃止すると、ある列の端部細隙状開孔、例え
ば細隙状開孔６３，６９は図示のように1WRD
以上の長さになり、標準の細隙状開孔６４に比し
て相当に長くなる。このため、このマスクをドー
ム状に形成したときに上記長い細隙状開孔６３，
６９の付近の機械的強度が極端に低下して、これ
らの長い細隙状開孔の部分で大きな歪が生ずる。

そこで、本発明ではこのような歪が生ずるのを
防止するために、各列６６中の正規の帯状部６８
の他に、上記1WRD以上の長い細隙状開孔６３，
６９の中心部に新たに帯状部を追加する。第５図
の７２はこのような追加の帯状部Ａが設けられた
本発明によるシヤドーマスクの一例を示す。

第５図の本発明によるシヤドーマスク７２の構
造から明らかなように、各列の端部細隙状開孔６
１，７３，６５，６７，７９はすべて所定の輪郭
限界線８８と接して終端しているから、段のない
滑らかな上下輪郭線をもつた表示面が得られ、し
かもマスクの上下端部に標準の細隙状開孔６４に
比して極端に長い細隙状開孔が形成されることは
ないから、マスクの上下端部の機械的強度が低下
することもない。なお、第５図のシヤドーマスク
７２において、端部細隙状開孔６７はほゞ
1WRDの長さを有し、標準長さの細隙状開孔６
４に比して１個の帯状部の長さに相当する分だけ
長くなつているが、この程度の長さであればその
部分の機械的強度はそれ程低下しないから、この
細隙状開孔６７に追加の帯状部を設ける必要はな
い。

以上の説明から明らかなように、本発明のシヤ
ドーマスクでは、所定の輪郭限界線８８から1/2
WRD以内に位置する帯状部を廃止したため、端
部細隙状開孔の長さが1WRDよりも長くなると、
その細隙状開孔の中心部に追加の帯状部Ａが設け
られる。因に、所定の輪郭限界線から1WRDの
位置に帯状部の中心が存在すれば、上記輪郭限界
線８８に接する端部細隙状開孔（例えば、後程説
明する第６図の８５）は実質的に標準長さである
から、この細隙状開孔に追加の帯状部を設ける必
要はない。また、上記所定の輪郭限界線８８から
ほゞ1.5WRDの位置に帯状部の中心が存在する
と、上記所定の輪郭限界線８８から1/2WRDの
付近に最初の帯状部が存在する筈であるから（例
えば、第５図の細隙状開孔６１，６５に隣接する
帯状部６８、第６図の帯状部８９）、この場合も
追加の帯状部を設ける必要はない。

上の説明では帯状部反復距離WRDを一定とし
たが、この発明の技術的範囲は帯状部反復距離が
特別の目的でマスク全体に亘つて僅かに変化した
実施例も含み、また垂直の開孔列を持つものが引
用されているが、この発明は水平の開孔列を持つ
ものにも適用することができる。

シヤドーマスクの細隙状開孔は普通そのマスク
の電子銃側より表示面側の方が大きくなつてい
る。このような開孔形状は、１枚のマスク材料の
両面に感光性被膜を被覆し、次にそのマスク材料
の一方の面と反対側の面とからそれぞれ対応する
ホトマスタを通してその被膜を露光した後現像
し、その後マスク材料をエツチングして開孔を形
成することにより得られる。第６図および第７図
はシヤドーマスクの両側の露光に使用されるホト
マスタ８４，８６の開孔パターン８０，８２を示
す。第６図のパターン８０はシヤドーマスクの電
子銃側に形成される開孔の形状と同じ形状を、第
７図のパターン８２はシヤドーマスクの表示面側
に形成される開孔の形状と同じ形状を示す。電子
銃側のパターン８０のパターン構成要素は輪郭限
界線８８で終つているが、表示面側のパターン８
２のパターン構成要素は輪郭限界線８８を越えて
延びている。シヤドーマスクの表示面側を露光す
るために使用されるホトマスタ８６のパターン列
が開孔領域外へ飛出しているのは、上記シヤドー
マスクの表示面側にくぼみを形成してマスクをド
ーム型に成形するときに生じる応力を減少させる
ためである。開孔列のすぐ外側の外周領域を弱く
することにより、マスクの帯状部の外力が若干減
少し、成形時に帯状部が裂け難くなる。

第６図および第７図のホトマスタにおいて輪郭
限界線８８の内側の破線９０は上記輪郭限界線８
８から1/2WRDの線を示す。図から伴るように、
帯状部の中心が破線９０と輪郭限界線８８との間
にないため、このホトマスタを使用して作られた
シヤドーマスクの各開孔列の端部細隙状開孔は第
５図に示すように輪郭限界線８８で終端する。

なお、第６図および第７図において、Ａはこの
発明のシヤドーマスクを形成するために輪郭限界
線８８から1/2WRDの線９０のすぐ内側（マス
タの中心に近い側）に追加された帯状部を示す。
第５図に関して説明したように、ホトマスタにお
いても輪郭限界線８８から1/2WRD以内の帯状
部を廃止したために輪郭限界線８８に接する端部
細隙状開孔が1WRDよりも長く1.5WRD以下の長
さになつた場合はそのほぼ中心部に追加の帯状部
Ａが設けられる。この追加の帯状部Ａの垂直寸法
は正規の帯状部の垂直寸法の約半分である。第６
図および第７図において、輪郭限界線８８から
1WRDおよび1.5WRDの位置を示す線を破線９２
および９４で示す。

第７図のホトマスタ８６のパターンの輪郭限界
線８８から外側に飛出した部分に対しても下記の
隅部を除いて輪郭限界線８８の内側に対して用い
た帯状部除去の基準をそのまま使用する。飛出し
た部分における帯状部の除去は帯状部が部分的に
輪郭限界線８８で形成されてそれがその部分の開
孔の形状または長さに影響するのを防ぐために必
要である。

輪郭限界線８８から外側に飛出した部分から帯
状部を除去すると、ホトマスタの隅部においては
強度低下の基本的問題が起る。これを防ぐために
マスクの隅部における飛出した部分では開孔パタ
ーンの輪郭限界線８８の位置に帯状部が追加され
ている。この追加の帯状部を第７図にＢで示す。

【図面の簡単な説明】

第１図は多孔シヤドーマスク型陰極線管の縦断
平面図、第２図は第１図の線２−２で切断したシ
ヤドーマスクおよびフエースプレートの背面図、
第３図は従来の映像管についての第２図の円４内
の構造を示す部分拡大図、第４図は従来の改良型
映像管についての第２図の円４内の構造を示す部
分拡大図、第５図はこの発明の映像管の一実施例
についての第２図の円４内の構造を示す部分拡大
図、第６図はこの発明によつて構成されるシヤド
ーマスクの電子銃側の面を露光するために使用さ
れるホトマスタの部分拡大図、第７図はこの発明
によつて構成されるシヤドーマスクの表示面側の
面を露光するために使用されるホトマスタの部分
拡大図である。 ２０……陰極線管、３２，７０……表示面、３
４，７２……シヤドーマスク、６１，６４，６
５，６７，７３，７９……細隙状開孔、６６……
細隙状開孔列、６８……帯状部、Ａ……追加の帯
状部、８８……輪郭限界線。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 陰極線励起型線状蛍光表示面と、この表示面
   から離間して管内に取付けられたシヤドーマスク
   とを具備し、該シヤドーマスクには実質的に平行
   な列をなして複数の細隙状開孔が形成されてお
   り、各列中の細隙状開孔は帯状部によつて互いに
   隔てられており、また隣接する列の帯状部は互い
   に長手方向に食違つており、 上記シヤドーマスクにおける各列内の隣接する
   帯状部の中心間距離を帯状部反復距離と定義する
   と、上記各列の端部によつて形成される輪郭限界
   線から上記帯状部反復距離の約0.5倍以内に位置
   する帯状部はすべて廃止され、この帯状部の廃止
   によつて上記輪郭限界線に接する端部細隙状開孔
   が上記帯状部反復距離よりも長く且つ帯状部反復
   距離の1.5倍以下の長さになる場合は、この長く
   なつた端部細隙状開孔のほゞ中心部に追加の帯状
   部が設けられた陰極線管。