JPS6410660B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、スパーク放電による火花点火機能及
びプラズマガスの噴射によるプラズマ点火機能を
備えたエンジンの点火装置、とくにその点火時期
の制御方式に関するものである。

従来より、正負両電極間の点火間〓の周囲を電
気絶縁材で包囲して放電空間を形成し、この放電
空間に発生するプラズマ状ガスを噴孔から燃焼室
に噴出させるようにしたプラズマ点火プラグは公
知であり、通常の火花点火プラグに比して高い点
火エネルギを得ることができるので、エンジンの
着火性ならびに燃焼性を向上できる利点があるこ
とが知られている。

ところで、プラズマ点火では、点火エネルギが
高く、従来の火花点火に比して混合気の燃焼速度
も早くなるため、火花点火におけるMBT（最大
トルク時の最小進角値）とはおのずから異なる
MBTを設定する必要がある。

したがつて、火花点火及びプラズマ点火の両機
能を備えたエンジンでは、プラズマ点火時に、火
花点火時におけるMBTに対し、プラズマ点火に
とつて必要なMBTに変更する必要がある。

本発明は、かかる要請に基づいてなされたもの
であつて、エンジンの運転域を、低回転低負荷域
等の特定運転域とそれ以外の運転域とに区分け
し、特定運転域では少なくともプラズマ点火を行
わせる一方、特定運転域以外の運転域では火花点
火のみを行わせるようにし、特定運転域での混合
気への着火時期を特定運転域以外の運転域での火
花点火のみによる混合気への着火時期より遅れ側
に設定する点火時期選択手段を設け、特定運転域
ではプラズマ点火による燃焼速度の向上に見合つ
て混合気への着火時期を設定する一方、特定運転
域以外の運転域では火花点火のみを用い、火花点
火による混合気への着火時期を設定するように
し、その結果、エンジンの全運転領域において、
エンジンの効率及び燃費性能を良好に維持するこ
とができるエンジンの点火装置を提供することを
目的としている。

以下、図示の実施例に基づいて本発明を具体的
に説明する。

第１図において、１は燃焼室２内でピストン３
を上下方向に往復運動させるようにしたレシプロ
エンジン、４は燃焼室２の上部を画成するシリン
ダヘツド５に螺合固定して先端を燃焼室２内に突
出させた通常の火花点火プラグ、６は火花点火プ
ラグ４とは離してシリンダヘツド５に螺合固定し
たプラズマ点火プラグで、プラズマ点火プラグ６
は、よく知られているように、中心電極８と外周
部にねじを切つた側方電極９とをセラミツク等の
電気絶縁材で仕切つて内部に放電空間１１を形成
し、最初、中心電極８と側方電極９との間に高電
圧を印加してスパーク放電を行つて放電空間１１
を絶縁破壊し、次いで中心電極８と側方電極９間
に低電圧を印加してプラズマ放電を行わせ、放電
空間１１内に発生したプラズマガスを噴孔１２か
ら燃焼室２に向けて噴出するようにした構造を有
する。

上記火花点火プラグ４に対しては、点火時期設
定手段１３を備えた通常の火花点火回路１４を設
け、バツテリ１５の正極にキースイツチ１６を介
して接続した点火コイル１７の１次コイル１７ａ
をエンジンの回転に同期して点火時期設定手段１
３により設定されたタイミングでオンオフし、そ
のオフ時点火コイル１７の２次コイル１７ｂに発
生する20KV程度の高電圧を第１配電部１８を介
して火花点火プラグ４に印加する。なお、１９は
逆方向の電流を防ぐため、２次コイル１７ｂと第
１配電部１８との間に接続したダイオードであ
る。

一方、プラズマ点火プラグ６に対しては、いま
一つの点火時期設定手段２１を備えた通常の火花
点火回路と同様の構成を有する高電圧発生回路２
２を設けるとともに、プラズマ点火プラグ６にプ
ラズマ点火を行わせるための低電圧発生回路２３
を設けている。

上記高電圧発生回路２２は、バツテリ２４の正
極側にキースイツチ２５を介して接続した点火コ
イル２６の１次コイル２６ａをエンジンの回転に
同期して点火時期設定手段２１により設定された
タイミングでオンオフし、そのオフ時点火コイル
２６の２次コイル２６ｂに高電圧を発生させ、第
２配電部２７を介して、中心電極８と側方電極９
との間に印加して、両電極８，９間にスパーク放
電を行わせ、放電空間１１の絶縁破壊を行う。こ
の場合、高電圧発生回路２２は、放電空間１１の
絶縁破壊を行うに足る高電圧、例えば50KVを発
生するように点火コイル２６を設定する。なお、
２８は、高電圧発生回路２２の２次コイル２６ｂ
と第２配電部２７との間に接続した逆流防止用の
ダイオードである。

また、低電圧発生回路２３は、正極がアースさ
れたバツテリ２９の負極に、低電圧発生回路２３
をオンオフするスイツチ３０および抵抗３１を介
してアースとの間に接続されたコンデンサ３２
と、中心電極８に対して逆両防止用のダイオード
３３の順方向にコンデンサ３２との間で直列され
た抵抗３４およびコイル３５とからなり、スイツ
チ３０がオンされているときには、高電圧発生回
路２２によるスパーク放電の後に、バツテリ２９
によつて充電されたコンデンサ３２の放電で中心
電極８と側方電極９間に、例えば3KV程度の比
較的低い電圧を発生させ、上記スパーク放電によ
つて絶縁破壊した放電空間１１にプラズマ放電を
惹起させてプラズマ状ガスを発生させ、発生した
プラズマ状ガスを噴孔１２から燃焼室２内に噴出
していわゆるプラズマ点火を行う。

なお、プラズマ放電の放電時間、換言すればコ
ンデンサ３２の放電時間は、コンデンサ３２、抵
抗３４、コイル３５によつて設定する。

上記の火花点火プラグ４の点火期間を設定する
点火時期設定手段１３、プラズマ点火プラグ６の
スパーク放電（火花点火）の点火時期を設定する
高電圧発生回路２２の点火時期設定手段２１並び
に低電圧発生回路３２のスイツチ３０に対して
は、エンジンの特定運転時としての低負荷運転時
を検出する、例えばスロツトル開度センサ等の検
出手段を備えた制御回路３４を設け、エンジンの
低負荷運転時には制御回路３４からON信号を出
力して低電圧発生回路２３のスイツチ３０をオン
すると同時に、各点火時期設定手段１３および２
１を遅れ側に切換える。

上記各点火時期設定手段１３，２１は基本的に
同様の構成を有し、第２図に示すように、各点火
コイル１７，２６の１次コイル１７ａ，２６ａに
対して並列に接続した進み側ポイント３５と遅れ
側ポイント３６および遅れ側ポイント３６に対し
て設けた常開のスイツチ３７からなり、制御回路
３４のオン信号によつて上記スイツチ３７をオン
することにより、点火時期を遅れ側ポイント３６
によつてセツトするようにしている。

第３図に示すように、進み側ポイント３５のオ
フのタイミング、即ち火花点火の点火時期tsは、
火花点火の場合のMBTに設定する一方、遅れ側
ポイント３６のオフのタイミング、即ちプラズマ
点火の点火時期tpは、プラズマ点火による混合気
の燃焼速度の上昇分に応じて決まるプラズマ点火
の場合のMBTに設定し、プラズマ点火時の点火
時期tpを火花点火の点火時期tsに比して上死点T.
D.Cに近付けて設定する。

なお、各点火時期設定手段１３，２１による火
花点火プラグ４の進み側および遅れ側の点火時期
と、プラズマ点火プラグ６の進み側および遅れ側
の点火時期は、若干異ならせるようにしてもよ
い。

また、点火時期設定手段としては、上記の例に
限られず、従来公知の種々の手段、例えばポイン
トを取付けたブレーカプレートをエンジンの特定
運転時遅れ側に回動するようにしてもよく、電気
進角装置を備えるものでは、制御回路３４からの
オン信号に応じて点火時期を所定量だけ遅れさせ
る補正機構を設けるようにしてもよい。

上記の構成において、いまエンジン１が低負荷
で運転されているエンジンの特定運転域では、制
御回路３４は、火花点火プラグ４の点火時期設定
手段１３およびプラズマ点火プラグ６の点火時期
設定手段２１の点火時期をプラズマ点火のMBT
に切換えると同時に低電圧発生回路２３のスイツ
チ３０をオンする。その結果、火花点火プラグ４
およびプラズマ点火プラグ６の火花点火は、遅れ
側にセツトされ、プラズマ点火プラグ６は遅れ側
にセツトされた火花点火に続けてプラズマガスの
噴孔１２からの噴出によるプラズマ点火を行いエ
ンジンをプラズマ点火の場合のMBTで駆動す
る。即ち、特定運転域では、プラズマ点火の最適
点火時期で混合気への着火時期が決定される。

一方、エンジンの負荷が増大して高負荷運転に
移行されると、制御回路３４はスイツチ３０をオ
フして低電圧発生回路２３を不能化する。と同時
に、各点火時期設定手段１３および２１は、遅れ
側から進み側に切換えられ、火花点火プラグ４お
よびプラズマ点火プラグ６を夫々火花点火させ、
エンジンを火花点火の場合のMBTで駆動する。
即ち、特定運転域以外の運転域では、混合気への
着火時期は、火花点火の最適点火時期によつて決
定される。この場合には、プラズマ点火を中止す
るので、とくにエンジンの高回転高負荷時に問題
となるプラズマ点火プラグ６の過度の温度上昇を
防止することができる。

以上の実施例では、同一の燃焼室２に対して火
花点火プラグ４とプラズマ点火プラグ６とを並設
したが、プラズマ点火プラグ６は火花点火機能と
プラズマ点火機能とを併有するので、火花点火プ
ラグ４を省略することも可能である。しかしなが
ら、両プラグ４，６を併設した場合には、点火源
を複数とすることができるので、とくに燃焼性が
悪化するエンジンの冷間時等においても燃焼性を
補償できる点で有利である。

以上の説明から明らかなように、本発明は、火
花点火機能とプラズマ点火機能とを併有するエン
ジンの点火装置において、少なくともプラズマ点
火を行わせる特定運転域では、混合気への着火時
期をプラズマ点火の点火時期に合わせて遅れ側に
セツトするようにする一方、特定運転域以外の運
転域では火花点火のみとして、混合気への着火時
期を火花点火の点火時期に合わせて進み側にセツ
トするようにしたことを特徴とするエンジンの点
火装置を提供するものである。

したがつて、本発明によれば、プラズマ点火に
よつてエンジンの運転性を良好に確保できるう
え、エンジンを常時その時の点火状態（火花、プ
ラズマ点火）に応じて、それにふさわしい点火時
期で着火、燃焼させることができるので機関効率
の向上、燃費性能の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例にかかるエンジンの
点火装置の全体概略説明図、第２図は本発明に係
る点火時期設定手段の一例を示す要部回路図、第
３図は本発明に係る点火時期の設定方式を示すグ
ラフである。 １……エンジン、２……燃焼室、４……火花点
火プラグ、６……プラズマ点火プラグ、１４……
火花点火回路、１３……点火時期設定手段、２２
……高電圧発生回路、２１……点火時期設定手
段、２３……低電圧発生回路、３０……スイツ
チ、３４……制御回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ エンジンの運転状態に応じて所定の着火時期
   特性を設定する第１の設定手段と、 エンジンの運転状態に応じて上記第１の設定手
   段よりも所定量着火時期の遅れた着火時期特性を
   設定する第２の設定手段と、 火花点火を行う火花点火手段と、 プラズマガスの噴出によるプラズマ点火手段
   と、 エンジンの特定運転時、少なくともプラズマ点
   火手段を作動させ、特定運転以外で火花点火のみ
   を作動させる点火選択手段と、 該点火選択手段によりプラズマ点火手段が作動
   している時、第２の設定手段の着火時期特性で、
   混合気の着火を行う一方、火花点火のみ作動して
   いる時、火花点火手段の点火時期を第１の設定手
   段の着火時期特性にする点火時期選択手段とを設
   けたことを特徴とするエンジンの点火装置。