JPS63800Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はワイヤーローのロングスプライス形成
時に用いられるセキ巻き機に関するものである。

〔従来の技術とその問題点〕

ワイヤーロープを直線状あるいはエンドレス状
に継ぎ合わせる手段ないし方法としてロングスプ
ライスが汎用されている。このロングスプライス
は、通常、接続しようとするワイヤーロープ双方
の端末部を解撚して長短２グループのストランド
に分け、短ストランドを解いてそのあとに相手方
長ストランドを入れ替え、長短両ストランドを一
定長さに切断、整直後、ワイヤーロープの心綱を
除去し、この部分にストランドを差し込む作業を
反復することで得られるが、差し込むストランド
は除去した心綱より細径なため、差し込みに先立
つて、ストランド外周に糸や細い繊維ロープを密
接して巻き付ける作業（セキ巻き）が行われる。

このセキ巻きに関し、従来では、セキ巻き用の
糸又は繊維ロープ（以下セキ巻き条体という）の
一端をストランドに止着した後、セキ巻き条体を
ボビンから繰り出しつつ、手指でストランド外周
にスパイラル状に巻き付ける方法が採られてい
た。

しかし、この方法はすべて手作業であり、セキ
巻き条体をストランド外周に密接させて巻着する
にはかなりの熟練と複数の要員の的確な連携を必
要とし、ともするとセキ巻き用条体に捻れが生じ
たり、セキ巻き用条体相互間に隙間や重なりあい
が生じやすく、その調整に手間と時間がかかる。
そのため、細径なワイヤーロープはともかく、太
径のワイヤーロープの場合に、セキ巻きの作業性
と作業能率が非常に悪いという問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は前記のような問題点を解消し、ロング
スプライス用のセキ巻き作業を、熟練を要さず、
一人の要員によつても確実かつ容易に行える手段
を提供しようとするもので、その特徴とするとこ
ろは、ストランドの軸線方向に移動可能に外挿さ
れ外周にセキ巻き用条体のボビンを外嵌する中空
シヤフトと、中空シヤフトの端部外周に固定され
た回転操作ハンドルと、回転操作ハンドルから中
空シヤフトと平行状に延びる支持部材に間隔的に
取付けられた引出しガイドと、支持部材と反対側
に固定した整列用ガイドと、この整列用ガイドで
整列されたセキ巻き用条体をストランドにガイド
するため中空シヤフト先端に取付けられる巻き付
けガイドと、中空シヤフト後端側から前記ボビン
を押圧する張力調整部材とを備えた構造としたこ
とにある。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を添付図面に基づいて説明
する。

第１図ないし第３図は本考案によるワイヤーロ
ープスプライス用セキ巻き機の実施例を示すもの
で、第１図は１本のストランドが既に心綱の代わ
りに差し込まれ、残る１本のストランドにセキ巻
きを行つている状態を示している。

図面において、１は中空シヤフトであり、ワイ
ヤーロープＢから延びるストランドｂの軸線方向
に移動可能な内径を有するとともに、セキ巻き条
体ａを巻収したボビン３を外嵌するに足る外径を
有する。

そして、複数条のセキ巻き条体ａを同時巻きし
得るようにするため、中空シヤフト１は複数のボ
ビン胴長を合計した長さ以上の長さを有し、後端
部には固定用ナツト１３と螺合するおねじ部１４
が、また、長手方向には、ボビン間に介装される
間隔保持リング１５の押しねじ１６を係止する溝
１７が形成されている。

２は前記中空シヤフト１の前端部に固定された
回転操作用ハンドルであり、この回転操作用ハン
ドル２には、中空シヤフト１と平行状の支持部材
４が設けられ、支持部材４には互いに位相をずら
せてリング状の引出しガイド５，５が配設されて
いる。

６は前記支持部材４と反対側に固定された整列
用ガイドで、引出しガイド５，５で屈曲させたセ
キ巻き条体ａをストランドの軸線と直角方向に導
く孔または溝１２を有する。

７は前記整列用ガイド６で平行状に整列された
セキ巻き条体ａをストランド外周に案内する筒状
の巻き付けガイドで、プラスチツクなど摩擦係数
の小さい材料により対象ストランド径に応じた寸
法に作られ、中空シヤフト１の口端部１１に嵌合
部９を介して着脱自在に取付けられ、周部にテー
パー状のスリツト１０が形成されている。

８はボビン３から引出されるセキ巻き条体ａに
適度な張力を与えるための張力調整部材であり、
コイルスプリングのごとき弾性材料からなり、間
隔保持リング１５と固定用ナツト１３間に介装さ
れる。

その他図面において、１８は整列用ガイド６と
巻き付けガイド７間に設けられたサブガイド、１
９は中空シヤフト１の後端部に着脱自在に嵌合さ
れる筒状ガイドで、ストランド径に対応する内径
を有する。

次に本考案の使用方法を説明すると、まず、所
要径のセキ巻き条体ａを巻収したボビン３を中空
シヤフト１の後端から外嵌するもので、ボビン３
は回転操作ハンドル２に当接して位置決めされ
る。ボビン３が複数個の場合には、間隔保持リン
グ１５をボビン３，３間に配し、押しねじ１６を
回動して先端を中空シヤフト１の溝１７に係合さ
せる。

次いで張力調整部材８を中空シヤフト１にはめ
た後、固定用ナツト１３を中空シヤフト１後端の
おねじ部１４と螺合させ、ボビン３がフリーに回
転しない程度の押圧力を得るように張力調整部材
８を締め付ける。そして、中空シヤフト１の両端
に施工するストランド径に応じた巻き付けガイド
９と筒状ガイド１９を取付けておく。

以上で組立てが完了するので、次にボビン３か
らセキ巻き条体ａを引出し、支持部材４の対応す
る引出しガイド５を介して回転操作ハンドル方向
へと導き、整列用ガイド６を経由して導出する。

そして、ワイヤーロープＢの心綱の代りに差し
込むストランドｂを、巻き付けガイド７側から中
空シヤフト１の内部に通し、後端から引出してス
トランド端末をバイス等で固定する。この状態で
巻き付けガイド７がセキ巻き開始予定位置に到る
まで中空シヤフト１をストランドｂに沿つて移動
させる。

次いで、セキ巻条体ａを更に引出し、巻き付け
ガイド７のスリツト１０にボビンから引出した順
で通過させ、巻き付けガイド７近傍のストランド
ｂの外周に適当回数巻き付けてからセキ巻き条体
端部を粘着テープ類で固定する。

これで準備が完了し、あとは回転操作ハンドル
２をセキ巻き条体ａの繰出し方向に回転させなが
ら本機全体をストランドｂに沿つて移動させれば
よく、セキ巻き条体ａはボビン３から引出しガイ
ド５により方向転換されてストランド軸線方向に
導かれ、整列用ガイド６により中空シヤフト１の
軸線と直角方向に変向されるとともに、一定間隔
でかつ互いに平行状になるように引き揃えられ、
巻き付けガイド７を通過してストランドｂに巻回
され、本機のストランド軸線方向に移動に伴い連
続的に密接して巻き付けられる。

このとき、ボビン３が張力調整部材８により押
圧されているため、ボビンが複数であつてもそれ
ぞれの回転に適度かつ均等なブレーキが生じ、セ
キ巻き条体ａに良好なバツクテンシヨンが与えら
れる。しかもその強さを固定ナツト５の締め込み
により随時調整しうる。そのため、セキ巻き条体
ａの繰出しに緩みが生じず、程よい緊張状態でス
トランドｂへと供給され、これの外周に緊密に巻
き付けることができる。

なお、ボビン３の取り付け数を変えることで単
条巻きから複条巻きまで自在に行うことができ、
また、中空シヤフト１に巻き付けガイド７と筒状
ガイド１９を付け換えるだけで各種ストランド径
に対応することが可能である。

〔考案の効果〕

以上説明した本考案によるときには、セキ巻す
べきストランドをガイドとしてこれに沿つて移動
しながら自転させるだけで、セキ巻き用条体がス
トランド外周に相互に密接して巻き付けられるた
め、ロングスプライス用のセキ巻き作業を熟練を
要さず容易に行うことができ、ことに太径のワイ
ヤーロープに対するこの種作業の容易化と能率化
を図ることができるものであり、また、構造も簡
単で、単条巻き、複条巻きも自在に行うことがで
きるなどの優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかるワイヤーロープスプラ
イス用セキ巻き機の一実施例を示す平面図、第２
図は同じくその側面図、第３図は同じくその分解
斜視図である。 １……中空シヤフト、２……回転用ハンドル、
３……ボビン、４……支持部材、５……引出しガ
イド、６……整列用ガイド、７……巻き付けガイ
ド、８……張力調整部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ストランドの軸線方向に移動可能に外挿され、
   かつ外周にセキ巻き条体ａのボビン３を外嵌する
   中空シヤフト１と、中空シヤフト１の端部外周に
   固定された回転操作ハンドル２と、回転操作ハン
   ドル２から中空シヤフト１と平行状に延びる支持
   部材４に間隔的に取付けられた引出しガイド５，
   ５と、支持部材４と反対側に固定した整列用ガイ
   ド６と、この整列用ガイド６で整列されたセキ巻
   き条体ａをストランドにガイドするため中空シヤ
   フト１先端に取付けられる巻き付けガイド７と、
   中空シヤフト１後端側から前記ボビン３を押圧す
   る張力調整部材８とを備えてなるワイヤーロープ
   スプライス用セキ巻き機。