JPS6361096B2 - - Google Patents

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JPS6361096B2
JPS6361096B2 JP2916480A JP2916480A JPS6361096B2 JP S6361096 B2 JPS6361096 B2 JP S6361096B2 JP 2916480 A JP2916480 A JP 2916480A JP 2916480 A JP2916480 A JP 2916480A JP S6361096 B2 JPS6361096 B2 JP S6361096B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は熱間静水圧プレス成形(以下HIPとい
う)の改良法に関し、詳しくは被成形材料をHIP
処理に先立つて予熱する場合の作業時間の短縮を
図り、歩留りの向上を達成し得る改良されたHIP
プロセスに関するものである。
近年高速度鋼粉末、超合金粉末等の成形、緻密
化及び焼結にHIPプロセスが用いられ、企業化さ
れつつある。この場合、比較的高価なHIP装置の
稼動率をいかに高めるか、換言すれば、HIPのサ
イクル時間をいかに短縮するかが、コスト低減に
大きく寄与する。とくに、最近のように製品の大
型化に併い、HIP装置本体も大型化の傾向にあ
り、HIPサイクル時間はますます増大するため、
それを短縮する目的で、コンプレツサーの高能率
化、大容量化、加熱装置の改善、その他のHIP装
置を高能率化させるための手段が種々とられてい
るが、装置自体の改善にはおのずから限界があ
り、装置価格も莫大なものになる。
その他に最も効果のある方法として、HIP処理
に先立つて、容器に充填した粉末の密度を上昇さ
せるために冷間圧縮成形を施したり、あるいは常
圧炉で被処理体を予熱する方式、またはそれらの
組合わせが採用されている。ところで、本発明者
らは、HIPプロセスについて種々の検討し、試行
錯誤をくり返えしたところ、圧力下と大気圧下と
では、被処理体を必要な温度にまで昇温するのに
要する時間に大きな差異の生じることを見い出し
た。つまり、容器に充填した粉末材料の中心部を
必要な温度にまで加熱するのに要する時間は、以
下の理由によつて、圧力下の場合は大気圧下の場
合よりも著しく短くなることが判つた。
a 圧力下では、炉雰囲気から被処理体への熱伝
導率が極めて大きくなる。すなわち、雰囲気か
ら被処理体へ熱が良く伝わる。たとえば、1000
Kg/cm2の高圧アルゴンガスは、大気圧のアルゴ
ンに比べて、数百倍の密度を有する反面、その
粘性は1.1〜3倍程度に過ぎないため、激しい
対流が生じ、対流熱伝達率が極めて大きな値と
なる。
b HIPサイクルの初期の段階に、粉末材料の緻
密化が進行し、この結果、粉末材料の熱伝導率
が飛躍的に向上する。すなわち、被処理体内部
の熱の伝導が良くなる。
c 緻密化の進行によつて、容器が収縮する。昇
温時間は、被処理体直径の2乗に反比例するた
め、この作用によつても、昇温時間は短縮す
る。つぎに、第1図は、炉雰囲気温度を1000℃
として、高速度鋼粉末が充填された外径310mm
の容器を、0℃から加熱する場合の昇温曲線あ
り、縦軸は被処理体中心部温度、横軸は時間を
示したもので、計算は有限要素法を用いて行な
つた。
図中、#1〜#4は下記の条件に相当するもの
である。
#1:大気圧下の加熱に相当 #2:高圧下(1000Kg/cm2)での熱伝達の向上
のみを考慮 #3:緻密化による熱伝導率の向上を考慮 #4:緻密化による容器の収縮も考慮 第1図から判るように、容器中心部が950℃
(炉雰囲気温度の95%)に達するのに要する時間
は、#1で435分、#2で368分、#3で94分、
#4で79分となつた。この結果、容器に充填した
粉末を加熱する場合、圧力下では大気圧の4ない
し5分の1の昇温時間で済むことが判り、そのな
かでも、とくに#3の緻密化による熱伝導率の向
上が昇温時間の短縮に大きく寄与していることが
判明した。
つぎに、第2図は、同じ高速度鋼粉末を用いた
場合の、圧力の粉末の密度との関係を示した線図
でである。この場合の炉の温度は1050℃である
が、加圧前の初期の粉末充填密度が65%であつた
のにも拘らず、僅か200Kg/cm2の圧力で粉末の密
度は90%にまで上昇し、熱伝導の向上に充分寄与
していることが判る。ところで、前記のように、
被処理体の熱伝導率を向上させようとする場合、
冷間で圧縮して充填密度を上昇させる方法はよく
知られているが、この場合には、冷間ゆえに4000
〜5000Kg/cm2もの圧力が必要で、かつそのときの
圧縮密度は数%上昇するに過ぎず、高価な冷間成
形機を使用する割りには、熱伝導率の改善への効
果は小さいものである。
さらに通常、粉末をHIP処理する場合には、気
体浸透性のない材料で作られた容器内に粉末を充
填し、内部を真空脱気したのち、容器を密封して
HIP処理するのが一般的である。又、複雑な形状
をした工具鋼製品等をHIP法によつて製品するた
めに、製品形状に対応する形状の鋳型容器中に金
属粉末材料を充填し、該鋳型容器を、圧媒粒子を
収容した外側容器中に埋設し、前記同様、真空脱
気、予熱工程を経て、HIP処理を行なうことも既
に周知である。
かゝる周知慣用の方法にあつては、容器内部の
脱気を充分に行なわなければ、残存空気あるいは
置換ガスであるN2等、若しくは金属粉末材料か
ら発生するガスのために、最終製品内部に実用上
問題となる様な気孔あるいは組織が生じる結果を
招来すると信じられ、長時間かけて丹念な脱気作
業を行なうことが重要とされ、更に脱気によつて
容器内が真空状態となり熱伝導が低下する為、予
熱工程に長時間を要する等、工程の効率化を著し
く阻害する要因を包蔵していた。特公昭51−
18202号公報には予熱工程において効果的な熱伝
導を与える為、脱気工程後にヘリウム、水素のよ
うな不活性の、分子量の小さいガス容器を一旦充
満し、予熱時間の短縮を図り、所望の温度迄加熱
したならばガスを除去してHIP処理に付する方法
が開示されている。この方法においても、脱気、
ガス置換、排ガスを順次行なわねばならず、依然
として工程の簡略化は達成されていない。
一方、本発明者等は、HIP法を種々の被処理材
料について試み、仔細に検討を加えたところ、非
常に成分規定の厳密なものを除けば、一般に残留
ガスが及ぼす成分変動は微々たるものであること
を知見するに至つた。かゝる事実は次に説明によ
つても明らかである。
今、窒素ガスアトマイズ法によつて製造された
被処理鉄合金粉末を内容積V(l)なる外側容器
中に空気中で充填し、その充填率が、圧媒粒子型
及び合金粉末を含め全体でβであつたとする。そ
してそのまゝ前記外側容器内部に空気が残存する
状態で容器を密封すると、容器中にはV(1−β)
(l)の空気が閉じ込められていることになる。
ところが、空気中の主要成分はO2:20.93%,
N2:78.10%,Ar:0.9325%である。従つて、容
器中に閉じ込められたV(1−β)(l)の空気中
には下記の量のO2.N2及びArが夫々存在すること
になる。
O2:V(1−β)×32/22.4×0.2093 =0.299V(1−β)(g) N2:V(1−β)×28/2.24×0.7810 =0.976V(1−β)(g) Ar:V(1−β)×0.009325 =0.009325V(1−β)(l) しかし、上記の粉末と共に外側容器中に閉じ込
められた空気中のN2は、HIP工程における加熱
の際、合金粉末中に殆んど吸収されてしまい、
HIP後の焼結体には最早、ガスとして存在しな
い。因に、この空気中の窒素によつて増加する窒
素濃度は次のようになる。即ち、今、合金材料の
真密度をρ(g/l)、外側容器に対する合金粉末
の充填率をγ(%)とすると、最終的に得られる
焼結体の重量はVγρ(g)である。従つて、最初、
外側容器内に残存していた空気中の窒素が全て合
金粉末中に吸収されるとした場合これによつて増
加する窒素濃度は 0.976V(1−β)/Vγρ=0.976(1−β)/γρ
となる。
次に一方、空気中の酸素であるが、全ての金属
は高温に加熱された際に酸化され、酸化物を形成
することが知られている。従つて、初期に容器内
に残存していた空気中の酸素は、酸化物として粉
末中に吸収されてしまい、HIP処理後の焼結体中
には最早、ガスとして残存しない。そして、この
空気中の酸素によつて増加する酸素濃度は同様に
0.299(1−β)/γρとなる。
以上述べたところから明らかなように当初粉末
と共に外側容器中に閉じ込められた空気のうち、
少くとも20.93+78.10=90.03%のガス成分がHIP
工程中に粉末中に吸収されてしまうことになる。
そこで、上記の酸素及び窒素の酸素濃度増量につ
いて検討を加えて見るに、合金を高速度鋼として
その真密度(ρ)を8200g/、外側容器への全
体の充填率(β)を70%、外側容器に対する合金
粉末の充填率(γ)を50%とすると、 窒素濃度増量=0.976(1−0.70)/0.5×8200 =7.14×10-5=71.4ppm 酸素濃度増量=0.299(1−0.70)/0.5×8200 =2.18×10-5=21.8ppm となる。
そして、この程度の窒素及び酸素濃度の増加は
製品品質に全く悪影響を与えないことは既に公知
の事実であり、逆に合金材料の種類によつては、
例えば特開昭50−49108号公報特に開示されてい
るように、窒素の含有が製品品質の向上をもたら
すものと見られる。
又、最後に前記空気中のアルゴンの影響につい
て検討を加える。
アルゴンは不活性ガスであり、ごく少数の部分
は高圧高温下で金属中に溶けこむが、殆んどの部
分は最終的にガスの状態で外側容器内に存在する
ことになると一般に考えられる。そこで、このア
ルゴンについて定量的な検討を加えてみると既に
述べたように、当初外側容器中に閉じ込められた
アルゴンの量は0.009325V(1−β)(l)である。
HIP処理の温度をT(〓)、圧力をP(atm)と
し、HIP処理後のアルゴンの容積をV(l)とす
る。容器の密封を300〓(27℃)で実施し、閉じ
込められたアルゴンが全て気体のまゝ外側容器内
の圧密体中に残及するとすれば、次式が成立す
る。
1(atm)×0.009325V(1−β)(l)/300(〓) =P(atm)・V(l)/T(〓) 従つて V=0.009325V(1−β)T/300P (l) 一方、HIP後の外側容器の容積はVβ(l)である
から 気孔率=0.009325V(1−β)T/300P/Vβ =3.11×10-5(1−β)T/Pβ となる。
今ここで、β=0.70,T=1373(〓) P=1000(atm)とすると 気孔率=3.11×10-5(1−0.70)×1373/1000×0.75 =1.71×10-5=0.0017% となり、焼結体の密度は外側容器内のその他の物
質と同程度に圧縮されているとすると、相対密度
99.9983%、即ち実用上全く問題のない値まで高
密度化することが判る。
以上の説明により、容器内部を脱気しなくて
も、粉末が前記合金のように、N2,O2を吸収す
る材料であれば、HIP処理の最終製品には、ほと
んど弊害を及ぼさないことが判る。しかし、この
ような有利なプロセスを用いても、製品の生産性
を向上させるために予熱工程をとろうとした場合
には、実際には大きな問題が生じる。つまり、無
脱気の粉末充填容器を予熱しようとして、予め加
熱されている予熱炉に挿入した瞬間、容器内部の
残留ガスが熱膨脹して、容器を破壊してしまうの
である。このような現象を防止する意味からも、
現状では容器内部を真空に脱気しているのが一般
的である。このように、真空脱気を行なうとする
と、容器形状が複雑となり、脱気管の密封が困
難、真空脱気に長時間を要する等の問題が生じ
る。また、無脱気の密封カプセルを直接HIP炉に
装入するという既に提案された方法では、HIP炉
内における昇温時間が長くなり、HIPサイクルタ
イムの増大による生産性の低下が、尚解決を要す
る大きな問題点として残されていた。
本発明方法は叙上の如き従来技術に付帯する
種々の問題点を解消する為に鋭意研究の結果、前
述の如き技術的知見に基き、HIP処理に先立つて
特定の予熱条件を採用することによつて完成され
たもので、その特徴とするところは、金属粉末を
充填した内側容器を、圧媒粒子を充填した外側容
器内に埋設し、これを予熱した後、熱間静水圧プ
レス処理を行なう方法において、内側容器素材を
充填すべき金属粉末に対し不活性な素材とし、一
方、外側容器をガス不透過性材料をもつて作製し
て前記内側容器に被処理金属粉末を充填し、これ
を外側容器内に埋設した後、該外側容器を密封し
てこれを予熱炉内にて加圧ガス雰囲気下で所定温
度に予熱し、しかる後、高圧炉にて高温高圧ガス
雰囲気下で熱間静水圧プレス処理を行なうことに
より前記内側容器内の金属粉末の緻密化焼結を行
なうことにある。
こゝに本発明方法を適用する金属粉末は、例え
ば、Fe基合金、Ni基合金チタン合金、コバルト
金属等の金属粉末が挙げられ、特にFe基合金、
Ni基合金は本発明方法を行なうに最も好適であ
る。
かゝる金属粉末を充填すべき内側容器は収容す
る金属粉末に対して不活性の素材、例えばシリ
カ、アルミナ、ジルコニウム、ニツケル、白金或
いはそれらの混合物、又はそれらを含有する金属
を以て作られる。内側容器はこのような素材によ
つて最終製品の形状に応じた形状で且つその一部
に開口部を備える如くに形成される。この開口部
より前記金属粉末を大気中又は窒素ガス雰囲気下
に内側容器中に、好ましくは撹拌又は振盪し乍ら
充填する。充填後は開口部に、ノズルを有する蓋
体を溶接して取付け、更に此のノズルを鍜圧又は
挾圧し、気体の流通を許容するが、前記金属粉末
及び後述の圧媒粒子の流通を阻止する程度の狭隘
な間隙を残して閉塞することが好ましい。斯くす
ることにより、内側容器を圧媒粒子中に埋設した
際、圧媒粒子が該容器中に侵入混合し、製品に悪
影響を与えることを防止し、又金属粒子の漏洩溢
出を阻止する。
又、製品における成分規定が厳密で、被処理金
属材料と酸素又は窒素との反応を回避する必要が
ある場合は、金属粉末を充填した内側容器の前記
ノズルを経て真空ポンプ等の手段により容器内部
の空気或いは窒素ガスを吸引脱気した後、ノズル
を鍜圧閉塞し、更に溶接等を施して溶着密封す
る。
内側容器が収容される外側容器は、ガス不透過
性材料を以つて作製され、内側容器及び圧媒粒子
を受け入れる為の開口部を備え、更にその開口部
は容易に密封し得る構造に適宜形成される。例え
ば内側容器及び圧媒粒子を収納後、蓋体を溶接し
て取付け密閉するか、又は、ノズルを有する蓋体
を取付け、内部のガスを該ノズルを経て真空ポン
プで吸引脱気し、ノズル部分を閉塞して密封す
る。ガス不透過性材料としては、金属、特に軟鋼
が好ましく又ガラス或は金属とガラスとの複合材
料等が適用可能である。
斯かる外側容器中には微細な粉末よりなる圧媒
粒子が適量収納されており、圧媒粒子はその内部
に埋設された内側容器の全周面と外側容器の内壁
との間隙を隅無く埋め、内側容器の位置決めをも
行なう。
上記の如く金属粒子及び圧媒粒子を充填して二
重に組合わされた容器は内部を脱気するか又は脱
気することなく、既述の通り密封し、予熱炉に装
入され加圧ガス雰囲気下で所定温度に予熱される
のである。此の場合の雰囲気ガスの圧力は予熱温
度によつて相違するが、特に無脱気方式の場合、
約1000℃の温度に予熱されるときは少なくとも約
4.2Kg/cm2、約1100℃のときは少なくとも4.6Kg/
cm2程度とすることが良い。脱気方式の場合は、よ
り少ない圧力も採用し得るが、何れの場合でも更
に良好な加熱効率を達成し、予熱時間を短縮する
ためには少なくとも100Kg/cm2、好ましくは200
Kg/cm2程度の圧力を作用させることがよい。
即ち、第3図に示すような密封容器1内に粉末
2とガスとが入つており、充填時の温度を300〓
(27℃)、圧力を1Kg/cm2とし、予熱温度を例えば
1373〓(1100℃)とする。加熱により粉末が焼結
して体積が変化しないと仮定すれば、ガスの熱膨
脹により容器内圧は1373(〓)/300(〓)≒4.6(Kg/
cm2)と なる。この値自体はそれ程大きくないが、例えば
容器内径を300mmとすれば、上下蓋全体には、
夫々3.25トンの圧力がかゝつていることになる。
そして、たとえば、上蓋の場合、断面でみれば、
A,Bのみで拘束されているので、この部分に結
局、3.25トンの応力が集中し、上蓋は加熱により
図の点線のようにふくれ、ついにはA,B部で破
壊してしまうのである。このような、熱膨脹の防
止のために本発明方法における加圧予熱が極めて
有効となるのである。その時に必要な圧力は、た
とえば上記条件であれば、わずか4.6Kg/cm2良い
のであるが、予熱時間の短縮も考慮すれば、前述
のように、好ましくは少なくとも100Kg/cm2、特
に好ましくは少なくとも200Kg/cm2程度が妥当と
思われる。
本発明方法を適用すれば、容器内部を脱気する
ことなく、予熱してHIP処理することが可能とな
ることは大きな利点である。つまり、容器内部に
空気あるいは置換用のN2ガスが残留していても、
加圧予熱を行なうことによつて、加熱中の容器の
膨脹による破壊は抑えられ、内部の粉末が高温に
なつた時点では、内部残留ガスを吸収してしまう
ので、その後、たとえばHIP装置に挿入するため
に、減圧しても、もはや容器が内圧で破壊すると
いう現象は起らない。また、もし粉末がN2,O2
を吸収しない材料の場合には、容器内部の一端に
N2,O2吸収剤(たとえば、チタン粉末、アルミ
ニウム粉末等)を挿入しておくことによつて、同
様の効果が得られる。
次に本発明方法による具体的実施例を掲げる。
(実施例 1) C:1.57% Cr:4.21% W:12.50% V:4.71% Co:4.97% Fe:残部 上記組成の高速度鋼粉末を窒素ガスアトマイズ
法によつて製造した。そしてこの粉末を内径200
mm,高さ250mmのアルミナとソーダー鉛ガラスと
の混合物で形成した内側円筒容器に大気中で撹拌
しつつ充填し、充填後容器の開口部に、通気ノズ
ルを備えた同材質の蓋を装着した。このものを内
径310mm、高さ350mmの軟鋼製薄肉外側容器に装入
した。軟鋼製容器中にはシリカ粒子とソーダー鉛
ガラス粉末の混合粉が入れられ、内側容器の周囲
を取巻く様に軟鋼製容器の内壁との間隙に隅なく
充填された。
次いで、軟鋼製容器内部を脱気することなく、
空気が残留した状態で上方開口部に、軟鋼製の上
蓋を溶接し密封した。このものを予め1100℃に加
熱されている予熱炉に装入し、200Kg/cm2のArガ
ス加圧しながら加熱した。このような状態で2時
間保持したのち(この時点では、予備実験の結
果、粉末充填容器の中心部は予熱炉の保持温度に
対して95%以上の温度に上昇している)、ただち
に圧力を減圧したが、減圧により容器が破損する
ことはなかつた。そして、この予熱された容器
を、これも1100℃に予熱されているHIP装置内に
直ちに装入し1100℃、800気圧、30分の保持で
HIP処理を行なつた。
このようにして製造した高速度鋼焼結体の組織
を顕微鏡写真で観察したところ、残留空孔、残留
ガスとの反応による介在物等の欠陥は全く認めら
れず、粉末治金製品の特徴である均一微細な健全
組織を呈している。
つぎに、この材料から所定の工程により、工具
を製作し、1210℃×3分.OQ(油急冷)の焼入
れ、560℃×1.5時間×3回の焼戻し熱処理を施し
たのち、バイト取付角0−15−6−6−15−
R0.4,バイト突出し量34mm,切込み量1.5mm,送
り量0.2mm,被削材SNCM8(HRC32)(4本溝付
き)で断続切削を行なつた。同一鋼種による従来
溶解材工具との切削性能結果を第4図に示す。第
4図の横軸には衝撃回数を、縦軸には工具の逃げ
面最大磨耗量をとり、曲線Aは本発明方法によつ
て得られた工具を、又曲線Bは従来の溶解材工具
を夫々示すものである。同図で明らかな通り、本
発明方法によつて製作された工具の優位性は顕著
である。
(実施例 2) C:0.86% Cr:4.24% W:6.14% V:1.89% Mo:5.01% Fe:残部 上記組成からなる高速度鋼粉末を窒素ガスアト
マイズ法によつて製造した。この粉末は酸素分析
の結果、その酸素濃度65ppmであつた。次にこの
粉末を内径140mm,高さ260mmの軟鋼製内側円筒容
器に大気中で充填率70%迄充填し、充填後、通気
ノズルを備えた軟鋼製蓋を溶接し、更に通気ノズ
ルの途中を鍜圧して第5図に示す如く、狭隘な間
隙を残して閉塞した。次に此の軟鋼製容器を内径
310mm,高さ340mmの軟鋼製外側円筒容器に装入
し、同時にシリカ粒子とソーダー鉛ガラスとの混
合粉末を充填して内側容器が混合粉末中に完全に
埋設する様に位置決めを行ない、更に通気ノズル
を備えた軟鋼製蓋を軟鋼容器の上部開口部を覆う
様に溶接した。又通気ノズルを導管により真空ポ
ンプに接続し、容器内部の空気を真空度0.02torr
まで脱気し、その真空度を維持した状態通気ノズ
ルを鍜圧法により鍜圧封止して後、鍜圧部を切断
し更に切断部を溶接密封した。このものを予め
1100℃に加熱されている予熱炉に装入し、100
Kg/cm2のArガスで加圧しながら加熱した。その
状態2.5時間保持した後(この時点では予備実験
の結果、粉末充填容器の中心部は予熱炉の保持温
度に対して95%以上の温度に上昇している)、圧
力を大気圧迄減圧し、この予熱された容器を、こ
れも1100℃に予熱されているHIP装置内に直ちに
装入し、1100℃,800気圧、30分の保持でHIP処
理を行なつた。得られた製品を取り出し酸素分析
したところ、その酸素濃度は60ppmであつた。又
顕微鏡によつて気孔は観察されず、その密度は
8.12g/cm2と理論密度に達していた。
本発明方法は上述のように、容器内脱気工程の
有無に拘らず、予熱効率を大幅に向上せしめ、予
熱時間を著しく短縮し、更にそれに伴ないHIP処
理時間をも短縮し、高価なHIP装置の稼働率を高
めて高能率化を達成することができると共に、得
られた製品についても従来のものと較べて優ると
も劣らない品質のものが得られる等、工業的に極
めて有利な方法である。とりわけ本発明方法は、
その内側容器と外側容器の素材に着目し、内側容
器を内部に充填される金属粉末に対し不活性の素
材とし、外側容器をガス不透過性材料をもつて作
製したことにより内側容器に波及するガス圧は内
側容器と外側容器間の圧媒粒子を介してきわめて
均等に内側容器に波及し、しかも確実に位置決め
状態として良好なHIP処理を加え、内側容器内の
金属粉末の緻密化焼結を促すと共に、内側容器
と、内部の金属粉末とは互いに影響し合うことが
なく、従つて、前記緻密化焼結をより安定ならし
め、HIP処理の効果を頗る有効に発揮することが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は予熱炉内で加熱する場合における被処
理体中心温度の時間的変化を示す線図、第2図は
高速度鋼粉末を予熱する場合の雰囲気ガス圧力と
粉末の密度との関係を示す線図、第3図は粉末充
填カプセルを無加圧予熱した場合のカプセル膨脹
の状態を示す概略説明図、第4図は本発明方法に
よつて得られた冶金製品を以つて作製された工具
と従来法による工具との切削性能を夫々示す線
図、又第5図は本発明方法に好適に適用される内
側容器の通気ノズルの一例を示す概略図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 金属粉末を充填した内側容器を、圧媒粒子を
    充填した外側容器内に埋設し、これを予熱した
    後、熱間静水圧プレス処理を行なう方法におい
    て、内側容器を充填すべき金属粉末に対して不活
    性な素材で作製し、一方、外側容器をガス不透過
    性材料をもつて作製して前記内側容器に被処理金
    属粉末を充填し、これを外側容器内に埋設した
    後、該外側容器を密封してこれを予熱炉内にて加
    圧ガス雰囲気下で所定温度に予熱し、しかる後、
    高圧炉にて高温高圧ガス雰囲気下で熱間静水圧プ
    レス処理を行なうことにより前記内側容器内の金
    属粉末の緻密化焼結を行なうことを特徴とする熱
    間静水圧プレス方法。 2 大気中若しくは窒素ガス雰囲気下で内側容器
    への金属粉末の充填及びこの内側容器の外側容器
    への埋設を行ない、両容器を脱気することなく外
    側容器を密封する前記特許請求の範囲第1項記載
    の熱間静水圧プレス方法。 3 大気中若しくは窒素ガス雰囲気下で内側容器
    への金属粉末の充填及びこの内側容器の外側容器
    への埋設を行ない、両容器を脱気した後、外側容
    器を密封する前記特許請求の範囲第1項記載の熱
    間静水圧プレス方法。 4 大気中若しくは窒素ガス雰囲気下で内側容器
    への金属粉末の充填を行ない、これを脱気密封し
    た後、外側容器に埋設し該外側容器を密封する前
    記特許請求の範囲第1項記載の熱間静水圧プレス
    方法。
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