JPS636036B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は回転伝達機構を介してパルセータを駆
動する脱水兼用洗濯機に関する。

脱水兼用洗濯機では、近時洗浄効果の向上を目
的としてパルセータを回転槽の内底部に偏心して
配置し、洗い軸の回転を例えば歯車機構を介して
前記パルセータに伝達する構成とするものが考え
られている。また、脱水兼用洗濯機において、パ
ルセータの裏羽根により循環水流を生成して洗い
水中のリントを捕獲するものは例えば特開昭54―
112568号により公知である。しかしながら、パル
セータを回転槽の内底部に偏心して配置し、且つ
パルセータの裏羽根によりリント捕獲用の循環水
流を生成するようにした脱水兼用洗濯機について
は未だ実用化されていない。その理由は、パルセ
ータの回転に伴う裏羽根のポンプ作用により洗い
水がパルセータ下面に吸引されると、この洗い水
と共にリント等の異物がパルセータ下面に侵入
し、これが歯車機構に噛み込まれたり、パルセー
タの枢軸にからみついたりするという不具合を生
じるためである。

そこで、本発明の目的は、パルセータを回転伝
達機構を介して駆動するものにおいて、リント等
の異物により回転伝達機構に不具合を生じさせる
ことなく循環水流を生成して洗い水中のリントを
捕獲することができる脱水兼用洗濯機を提供する
ことにある。

以下本発明の一実施例につき図面を参照して説
明する。

まず、全体構成の概略を示す第１図において、
１は外箱、２は外箱１内に弾性吊持機構の吊り棒
３を介して弾性吊持した水受槽、４は水受槽２内
に配設した洗い槽及び脱水槽兼用の回転槽で、こ
の回転槽４には周壁に多数の脱水孔５を形成して
いる。６は外箱１の開放上面に被着した蓋枠で、
その略中央には洗濯物の出入口７を形成すると共
に後方部に操作箱８を立設し、該操作箱８にタイ
ムスイツチ９を取着している。次に、前記回転槽
４の駆動機構等を示す第２図において、１０は水
受槽２の外底部２ａに固定したハウジング、１１
はこのハウジング１０に軸受１１ａを介して挿通
支持した脱水軸で、この脱水軸１１の上端部には
連結用の筒体１２を嵌着している。１３は軸受１
３ａを介して脱水軸１１及び筒体１２に挿通支持
した洗い軸で、その上端部は筒体１２の上端部に
嵌着したシール部材１２ａを挿通して上方に突出
している。そして、この洗い軸１３及び前記脱水
軸１１は図示しないクラツチ機構を介してモータ
に連結しており、該クラツチ機構の作用によりモ
ータの回転が選択的に伝達されるようになつてい
る。一方、前記回転槽４の底部には下面を底板１
４により閉鎖して成る円形の凹所１５を回転槽４
の中心から所定距離偏心させて形成している。そ
して、底板１４のうち回転槽４の中心に相当する
部位には嵌合孔１４ａを形成して、該嵌合孔１４
ａ部を前記筒体１２に嵌合固定し、もつて回転槽
４を前記脱水軸１１に直結状態に取付けている。
１６は凹所１５内に配設した密閉ケースで、これ
は底板部１６ａとこの底ケース部１６ａにシール
リング１６ｂを介して密嵌される蓋ケース部１６
ｃとから成る上下二分割形に形成しており、この
底ケース部１６ａの外底部には第３図に示すよう
に略Ｖ字状の案内壁１７を一体成形により放射状
に形成している。１８は例えばプラスチツク製の
駆動歯車で、これは密閉ケース１６の底ケース部
１６ａに形成した透孔１９を挿通して上方に突出
する洗い軸１３の上端部にねじ止めされており、
回転伝達機構に相当する歯車機構２０の一方を構
成するものである。尚、前記透孔１９にはこれを
取り巻くよう環状リブ２１を突設すると共にこの
環状リブ２１を前記筒体１２の上端部にシールリ
ング２２を介して嵌合しており、もつて透孔１９
から密閉ケース１６内に水が侵入しないようにし
ている。２３は歯車機構２０の他方を構成する例
えばプラスチツク製の内歯車で、これの中心には
パルセータ軸２４をインサート成形により一体に
取着してあり、斯る内歯車２３は密閉ケース１６
内に前記駆動歯車１８と噛合状態に配置されてそ
のパルセータ軸２４を底ケース部１６ａ及び蓋ケ
ース部１６ｃの略中央に取着した軸受２４ａ，２
４ａに回転可能に支持せしめている。２５はシー
ル部材で、これは密閉ケース１６の蓋ケース部１
６ｃの上面略中央に突設した環状リブ２６内に嵌
着されており、密閉ケース１６から上方に突出す
るパルセータ軸２４と蓋ケース部１６ｃとの間を
シールするものである。このようにして、密閉ケ
ース１６は歯車機構２０を水密に覆い、且つ底ケ
ース部１６ａの案内壁１７をスペーサとするよう
にして凹所１５の内底部との間に所定の隙間２７
を存して凹所１５の内底部の略中央にねじ止めに
より固定されている。２８は吸水孔で、これは前
記底板１４のうち密閉ケース１６の中央下方部位
に底ケース部１６ａの案内壁１７間に位置するよ
うにして間欠的に形成されており、吸水経路に相
当する水受槽２及び回転槽４の脱水孔５を順に介
して回転槽４内に連通すると共に密閉ケース１６
と凹所１５内底部との間の隙間２７を介して密閉
ケース１６の外周側空間と連通している。２９は
前記パルセータ軸２４の上端部に嵌合してねじ止
めしたパルセータで、これの下面外周縁部には密
閉ケース１６の周りに位置するようにして多数の
裏羽根３０を突設し、且つボス部２９ａの周囲に
密閉ケース１６上面の環状リブ２６の周りに位置
するようにして遮壁３１を垂下状態に形設してい
る。一方、３２は回転槽４の内側部に形成した循
環路で、これは回転槽４の周壁に上方に延び且つ
外方に膨出するよう形成した凹条部３３をカバー
３４により覆つて成るもので、下端部を前記凹所
１５に連通させている。そして、回転槽４のバラ
ンスリング３５にフイルタ装着部３６を形成して
ここに容器状のフイルタ３７を着脱可能に装着す
ると共に、このフイルタ３７に前記循環路３２の
上端部を連通させている。

次に上記構成の作用を説明する。回転槽４内に
洗濯物を洗剤と共に投入し、タイムスイツチをセ
ツトすると、図示しない給水弁が開いて回転槽４
内に水が供給され、所定水位に達すると図示しな
い水位スイツチが作動して給水弁が閉じると共に
モータが起動される。これにより、洗い軸１３が
回転して駆動歯車１８及び内歯車２３を介してパ
ルセータ２９が回転駆動される。そして、このパ
ルセータ２９の撹拌作用により回転槽４内に渦水
流が生成され、偏心配置されたパルセータ２９が
生成する複雑な水流により洗濯物が十分に撹拌さ
れ洗われる。これと同時にパルセータ２９の裏羽
根３０のポンプ作用により、水受槽２内の水は吸
水孔２８を介して回転槽４内に吸引されて密閉ケ
ース１６と凹所１５内底部との間の隙間２７を案
内壁１７に案内されつつ外側に向つて流れて裏羽
根３０の内側に吸引され、更に裏羽根３０の外側
に送出されて循環路３２内に流入する（第２図矢
印Ａ参照）。循環路３２内に流入した水は裏羽根
３０のポンプ作用により押上げられ、循環路３２
上端から吐出されてフイルタ３７内に流入し、該
フイルタ３７を通過して再び回転槽４内に戻さ
れ、そして脱水孔５を通じて水受槽２内に流入す
る。以下同様の動作を繰返すことにより回転槽４
内の水が循環路３２を介して強制循環され、その
循環する水がフイルタ３７を通過する際にその水
に含まれているリントがフイルタ３７によつて捕
獲される。そして、この洗剤洗い行程が終了する
と図示しない排水弁を開いて回転槽４ひいては水
受槽２内の水を排出する行程を経て、脱水行程に
移る。この脱水行程では、クラツチ装置が切換わ
ると共にモータが起動することから、回転槽４は
高速で回転駆動され、洗濯物中の水が遠心脱水さ
れる。そしてこの後、再び回転槽４に水を貯留し
てパルセータ２９を駆動するすすぎ洗い行程、排
水行程及び脱水行程を順に複数回繰返して全行程
が終了する。

このように本実施例では、パルセータ２９の裏
羽根３０のポンプ作用によりパルセータ２９下面
に水が吸引されるも、歯車機構１８を密閉ケース
１６により水密に覆うようにしたから歯車機構１
９にリント等の異物が噛み込まれることを確実に
防止できる。また、密閉ケース１６の上面からは
パルセータ軸２４が上方に突出しているが、リン
ト等を含む循環水流は密閉ケース１６の下方に形
成した吸水孔２８から流入して密閉ケース１６の
下面に沿つてその外側空間に流入しそして直ちに
裏羽根３０の外側に送出されるようになり、密閉
ケース１６の上方即ちパルセータ軸２４の附近に
はほとんど流れ込まないから、パルセータ軸２４
にリントがからみ付いたり、パルセータ軸２４と
シール部材２５との間に異物が食込んだりするよ
うな事態をも未然に防止できる。また、特に本実
施例の如く、パルセータ２９の下面にパルセータ
軸２４を取り巻くような遮壁３１を設ければ、パ
ルセータ軸２４へのリントのからみ付き等を一層
確実に防止できる。

また、本実施例では特に密閉ケース１６と凹所
１５との間の隙間２７内に案内壁１７を放射状に
設けるようにしたから、吸水孔２８から流入した
水は案内壁１７によりパルセータ２９の裏羽根３
０側に案内されるようになつて水の流れが円滑に
なり、ポンプ効率を向上させ得る。この場合、案
内壁１７を本実施例のように密閉ケース１６の底
板部１６ａに一体形成により形成すれば、底板部
１６ａの補強を図り得るのみならず、スペーサと
して作用するから密閉ケース１６と凹所１５内底
部との間の隙間２７の寸法を常に一定に確保し得
る。但し、この案内壁は底板１３側に一体に形成
してもよく、また単体として別個に形成してもよ
いことは勿論である。

尚、上記実施例では回転伝達機構は歯車機構２
０により構成したが、本発明はこれに限られず、
他にベルト、摩擦車或いはチエーン等により回転
伝達機構を構成することができる。

本発明は以上述べたように、パルセータをその
下方に配設した回転伝達機構を介して駆動するも
のにおいて、リント等の異物により回転伝達機構
やパルセータ軸等に不具合を生じさせることなく
循環水流を生成して洗い水中のリントを捕獲する
ことができる脱水兼用洗濯機を提供し得る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は一部
破断して示す全体の側面図、第２図は要部の拡大
縦断面図、第３図は歯車機構を除去して示す密閉
ケースの横断面図である。 図中、４は回転槽、１３は洗い軸、１６は密閉
ケース、１７は案内壁、２０は歯車機構（回転伝
達機構）、２４はパルセータ軸、２７は隙間、２
８は吸水孔、２９はパルセータ、３０は裏羽根、
３２は循環路、３７はフイルタである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 回転槽を内設した水受槽と、回転槽内底部の
   パルセータ軸に取付けられたパルセータと、この
   パルセータの下方にあつて且つ前記回転槽底部と
   の間に隙間を存して配置され洗い軸の回転を前記
   パルセータに伝達する回転伝達機構を内設した密
   閉ケースと、前記パルセータ下面に前記密閉ケー
   スの周りに位置するよう形成した裏羽根と、前記
   密閉ケースの下方に位置して前記水受槽と回転槽
   間を連通するように形成された吸水孔と、前記パ
   ルセータの回転に伴う前記裏羽根のポンプ作用に
   より前記吸水孔を介して吸引した前記回転槽の水
   をフイルタを通して前記回転槽に戻す循環路とを
   具備したことを特徴とする脱水兼用洗濯機。 ２ 密閉ケースと回転槽底部との間の隙間内には
   案内壁が放射状に設けられていることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項に記載の脱水兼用洗濯
   機。 ３ 案内壁は密閉ケースの下面に一体成形により
   形成されていることを特徴とする特許請求の範囲
   第２項に記載の脱水兼用洗濯機。