JPS635983Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は鉄道車両の車体を構成する側構、台枠
および屋根構を相互に結合する鉄道車両の側構と
横方向構体との結合装置に関する。

一般に鉄道車両においては、第１〜２図に示す
ように側構１と横方向構体となる屋根構体２およ
び台枠３をそれぞれ別個に製し、その後溶接等に
より相互に結合していた。

即ち、側構１は車体側面を形成する側外板４に
複数の側柱５を溶接等により固着して形成され、
この側構１を上端部において側外板４を屋根構体
２の屋根外板６および長桁７の縦辺部分７ａに溶
接するとともに側柱５の上端面を長桁７の張出し
辺７ｂに溶接して結合し、一方側構を下端部にお
いて台枠３の横梁８の側端に固着された側梁９と
側外板４とを溶接するとともに側柱５の下端面を
側梁９の上辺に溶接して結合していた。

ところが上記従来の結合装置においては、側構
１は単に側外板１に側柱４を固着しただけである
から第１図太矢印のように鉛直軸を中心として曲
がり易いため、溶接作業時に側構全体を反転させ
たり、組立時に移動する際に側構が彎曲して作業
が困難であり、またその彎曲が側構に永久ひずみ
として残つた場合にはひずみ除去の作業をしなけ
ればならない等の不都合があつた。また、第２図
に示すように、側構１の側柱４を直に長桁７の張
出し辺７ｂや側梁９の上辺にＡ点で溶接していた
から相互の結合状態があまりにも強固となり、側
構に第２図矢印のように横方向の力が作用すると
Ａ点の溶接部に応力集中が生じ、その溶接部が疲
労破壊するおそれがあつた。

本考案はこれらの点に鑑みてなされたものであ
り、側構の剛性が大きく、運搬や組立作業が容易
であり、また側構と横方向構体との結合部にフリ
キシビリテイを持たせ結合部特に側柱上下端の結
合部への応力集中を緩和でき疲労破壊することの
ない鉄道車両の側構と横方向構体との結合装置を
提供することを目的とする。

以下、本考案を第３〜６図に示す実施例につい
て説明する。

第３〜４図は本考案の一実施例を示す。

本考案は側構１の側外板４の上下端にそれぞれ
横長の上部縦通材１０および下部縦通材１１を固
着し、この上部縦通材１０および下部縦通材１１
を介して側構１を屋根構体２および台枠３に結合
して構成されている。

更に説明すると、上部縦通材１０は横辺１０ａ
と立上がり辺１０ｂとを連設した形状を有し、横
辺１０ａに連設した取付辺１０ｃを側外板４の上
端にスポツト溶接により固着されている。一方の
下部縦通材１１は横片１１ａと立下がり辺１１ｂ
とを連設した形状を有し、横辺１１ａに連設した
取付辺１１ｃを側外板４の下端部にスポツト溶接
により固着されている。そして、複数の側柱５は
両縦通材１０，１１の間に渡され側外板４にスポ
ツト溶接１２されるとともに上下端部をそれぞれ
両縦通材１０，１１の横１０ａ，１１ａに溶接１
３されている。

このようにして形成された側構１と屋根構体２
とは、側構１の上端部を長桁７の下方内面に当接
させ、上部縦通材１０の立上がり辺１０ｂに連接
した取付辺１０ｄと長桁７の張出し辺７ｂとを相
互にスポツト溶接１４し、一方屋根外板６、長桁
７の縦辺７ａ、側外板４および取付辺１０ｃを相
互にスポツト溶接１５して結合される。また、側
構と台枠３とは、台枠３の側梁９を側構１の下方
内面に当接させ、下部縦通材１１の立下がり辺１
１ｂに連接した取付辺１１ｄと側梁９の上辺９ａ
とを相互に穴溶接１６し、一方側外板４と側梁９
の縦辺９ｂとを相互にスポツト溶接１７して結合
される。

次に、本実施例の作用を説明する。

側構１は上下端に断面係数の大きい断面をした
横長の上部縦通材１０および下部縦通材１１を長
手方向に固着したから、剛性が大きくなり鉛直軸
を中心として彎曲することがなくなり、取扱いが
容易となる。

また、側構１と屋根構体２との結合部には、上
部縦通材１０の横辺１０ａおよび立上がり辺１０
ｂと長桁７の張出し辺７ｂおよび縦辺７ａとによ
り断面矩形の上部矩形縦通部が形成され、一方の
側構１と台枠３との結合部にも下部縦通材１１の
横辺１１ａおよび立下がり辺１１ｂと側梁９の上
辺９ａと側外板４とにより断面矩形の下部矩形縦
通部が形成されている。この両矩形縦通部はフレ
キシビリテイがあり、側構１に第３図矢印方向の
外力が作用するとその外力方向に傾むくようにし
て変形する（第３図鎖線参照）。従つて両矩形縦
通部の上記変形に外力が費やされ、側柱５と両縦
通材１０，１１との溶接１３部に加わる外力は小
さくなり応力集中は緩和される。これにより、溶
接１３の部分が疲労破壊することがなくなる。

なお、第５図に示すように側柱５と各縦通材１
０，１１とはそれぞれがセツトプレート１８をス
ポツト溶接１９することにより結合することもで
きる。また、第６図に示すように、下部縦通材１
１の横辺１１ａに連設した取付辺１１ｃを前記実
施例と逆に曲げて形成し、側外板４と側梁９の縦
辺９ｂとの間に挾んでスポツト溶接するように形
成することもできる。この第５〜６図の実施例
も、第３〜４図に示す実施例と同様に作用する。

このように本考案の鉄道車両の側構と横方向構
体との結合装置は、側構の上下端にそれぞれ上部
縦通材および下部縦通材を取付けたから側構の剛
性が大きくなり鉛直軸回りに彎曲することがなく
なり、運搬や組立作業が容易となり、しかも側外
板に永久ひずみが残らないから外観も美麗に保つ
ことができ、ひずみ除去作業等を要しない。ま
た、側構と横方向構体との結合部にそれぞれ矩形
縦通部を設けるようにしたから、その矩形縦通部
の外力方向への変形により側柱と各縦通部材との
結合部特に溶接部への応力集中が緩和され、その
結合部が疲労破壊することが防止され、車体の耐
久性が向上される等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の結合装置を示す車体内部の斜視
図、第１図の羽根矢視図、第２〜６図は本考案の
鉄道車両の側構と横方向構体との結合装置を示
し、第３図の一実施例を示す一部省略端面図、第
４図は第３図の実施例の斜視図、第５図は他の実
施例を示す第４図同様の斜視図、第６図は更に他
の実施例を示す側構と台枠との結合部を示す端面
図である。 １……側構、２……屋根構体、３……台枠、４
……側外板、５……側柱、６……屋根外板、７…
…長桁、７ｂ……張出し辺、９……側梁、９ａ…
…上辺、９ｂ……縦辺、１０……上部縦通材、１
０ａ……横辺、１０ｂ……立上がり辺、１０ｃ，
１０ｄ……取付辺、１１……下部縦通材、１１ａ
……横辺、１１ｂ……立下がり辺、１１ｃ，１１
ｄ……取付辺。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 側構の上端部を屋根構体の長桁の下方内側に結
   合し、前記側構の下端部内側に台枠の側梁を結合
   してなる鉄道車両の側構と横方向構体との結合装
   置において、前記側構を側外板の上端部に横辺と
   立上がり辺とを連接してなる上部縦通材を前有横
   辺に連設した取付辺をもつて固着し、前記側外板
   の下端部に横辺と立下がり辺とを連接してなる下
   部縦通材を前記横辺に連設した取付辺をもつて固
   着するとともに前記側外板の内面および前記両縦
   通材間に複数の側柱を取付けて構成し、前記屋根
   構体と前記側構の上端とは前記上部縦通材の立上
   がり辺に連設した取付辺と前記長桁の張出し辺と
   を相互に結合するとともに側外板と屋根外板とを
   相互に結合することにより結合し、前記台枠と側
   構の下端とは前記下部縦通材の立下がり部に連接
   した取付辺と前記側梁の上辺とを結合するととも
   に側外板と側梁の縦辺とを結合することにより結
   合したことを特徴とする鉄道車両の側構と横方向
   構体との結合装置。