JPS6350318Y2

JPS6350318Y2 -

Info

Publication number: JPS6350318Y2
Application number: JP1987160510U
Authority: JP
Priority date: 1987-10-20
Filing date: 1987-10-20
Publication date: 1988-12-23
Also published as: JPS6378092U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は、スエード調又は銀面加工用人工皮革
に相当する、高級合成皮革用基材に関するもので
ある。

従来、不織布を基材とする合成皮革用基材とし
ては２〜３デニールのナイロン、ポリエステル等
の合成繊維ウエブをニードルパンチ加工して得ら
れるものが主に用いられている。この不織布に
SBR、アクリル、塩化ビニル等の合成樹脂エマ
ルジヨンを乾式含浸加工して合成皮革を形成して
いる。また天然皮革に近い又はそれ以上の風合、
感触を持つものとして、２〜３デニールの海島型
複合繊維をカーデイングにより紡出し、ニードル
パンチ、湿式含浸処理後、上記複合繊維の海部
分、又は島部分のいずれか一方を溶剤にて溶解除
去して後処理加工したものがある。

これらの合成皮革、人工皮革の間には相当のギ
ヤツプがあり、中間的な合成、人工皮革が見られ
ないのが現状である。これは、従来の合成皮革で
は、合成繊維紡出可能限界が0.5デニール以上で
あるため、フアインデニール基材が得られず、人
工皮革となし得ないのが主原因である。又人工皮
革の基材である、海島型複合繊維使用基材では、
紡出方法が特殊である上、海・島のどちらか一方
を溶剤にて除去しなければならず、製造工程上、
公害規制上に非常な設備投資を必要とし、非常に
高価なものになつているのが現状である。

本考案の目的は、上記２つの欠点を改良し、合
成皮革用基材を簡単な製造条件にて形成し、人工
皮革用基材の特徴を付与したものである。即ち、
カーデイング可能な0.5〜3.0デニールの合成繊維
ウエブ層と、メルトブロー法により得られる0.5
デニール以下のフアインデニール不織布シートを
組み合せて、フアインデニール不織布シート層か
らのみニードルパンチ加工することにより、基材
としての必要な引張強力、引裂強力等の諸物性
に、不織ウエブ層の機械的結合により付与し、人
工皮革調の感触、風合はフアインデニールの不織
布シートにより付与するものである。本考案の基
材を、従来の湿式ウレタン樹脂加工することによ
り、海島型複合繊維を使用し、海又は島部分を除
去した人工皮革に類似する人工皮革調の合成皮革
を得ることが出来る。

この様にして本考案品は、不織布シート層、フ
アインデニール不織布シート層の各々の性能を有
効に発現せしめたものである。

しかし、人工皮革用基材として理想的な、メル
トブロー法により紡糸した0.5デニール以下のフ
アインデニール不織布シートは、製法上絡みが全
くなく引張、引裂強力が非常に弱い欠点がある。

これを改良すべくニードルパンチ加工を行つて
も、繊維間の絡みが発現せず、逆に引張、引裂強
度が共に低下する現象が見られる。更に、織物を
中間層に挿入して強力保持を付与した基材も考え
られたが、フアインデニール不織布シートに絡み
がなく、層間剥離が発生し易く、ニードルパンチ
数を増加すれば織物の損傷が激しく強力保持性が
低下する欠点があつた。

本考案品は、上記の様なフアインデニール不織
布シート層の欠点をも改良した合成皮革用基材を
提供するものである。

以下本考案の１実施例を図面に従つて説明す
る。

カード紡出可能ナ0.5〜3.0デニールの合成繊維
ウエブ１の片面に、メルトブロー法により得られ
る0.5デニール以下（好ましくは0.03デニール）
のフアインデニール不織布シート２を積層し、フ
アインデニール不織布層２からのみニードルパン
チ加工３を施した。

上記加工により、フアインデニール不織布層に
は、0.5デニール以上の太い繊維が存在せず、か
つ0.5デニール以上の合成繊維ウエブ１の外面に、
ランダムに無数の0.5デニール以下のフアインデ
ニール繊維４が突出したスエードタツチの表面状
態を呈した人工皮革用基材としては理想的なもの
が得られた。

ところで、合成繊維ウエブ１の両面にフアイン
デニール不織布シート２を積層して同様にして構
成することも可能である。

尚上記ニードルパンチ加工条件としては、ニー
ドルパンチ打込深さは10〜12mmが好適であり、10
mm未満では不織布ウエブとフアインデニール不織
布シート層の絡みができず、層間剥離の原因とな
る。又12mmを越える場合ではフアインデニール不
織布シートの損傷が激しく、フアインデニール不
織布シート部が太い不織布ウエブ層内に挿入され
て、表面に太い繊維が現われる問題を生じるので
好ましくない。

又ニードルパンチ数は、層間剥離と引張、引裂
強力に大きく影響し、500〜1000P／cm²が適当で
ある。500P／cm²未満では、層間剥離、引張強力
が不足し、1000P／cm²を越えると、表面のフアイ
ンデニール不織布シート層の表面損傷と、絡み合
つた繊維の切断による引張強力、引裂強力低下を
招くので好ましくない。

また積層する0.5デニール以上の不織布ウエブ
と0.5デニール以下のフアインデニール不織布シ
ートとの比率と目付、厚みは、本考案の合成皮革
用基材が使用される用途により種々変えて構成す
ることができる。

即ち、風合、感触を重視する衣料用分野には、
引張、引裂強力を犠牲にしてフアインデニール不
織布シートの比率を50〜70％、目付も80〜130
ｇ／m²として構成する。

又、カバン、袋物等の雑貨類は、風合、感触、
強力とも中間的で、フアインデニール不織布シー
トの比率は30〜50％、目付130〜200ｇ／m²に構成
する。

更に、くつ等の様に強力を重視する分野には、
フアインデニール不織布シートの比率は10〜30％
で目付200〜300ｇ／m²の範囲として基材を構成す
ることが好ましい。

この様に用途により種々構成をかえることによ
り得られた本考案の合成皮革用基材を用いて、湿
式含浸処理加工された合成皮革は、海島型複合繊
維基材を用いて湿式含浸処理後、海又は島部分を
溶剤除去された人工皮革と何ら遜色のない、天然
皮革に非常に類似したものであつた。従つて従
来、風合、感触的に素晴らしい人工皮革を価格が
高価なために使用できなかつた分野にまで、従来
の合成皮革と同工程にて製造可能となる画期的な
スエード調の合成皮革用基材が得られる。

また、従来、製造上繊維間相互の絡みが全くな
く、引張、引裂強力が非常に弱いため、人工皮革
用基材として利用されなかつたメルトブロー法に
より紡糸した0.5デニール以下のフアインデニー
ル不織布シートとカーデイング可能な0.5デニー
ル以上の繊維ウエブとを積層し、ニードルパンチ
条件に制限を加えることにより始めて人工皮革用
基材への使用を可能とすることができる。更に、
フアインデニール不織布シート側からのニードル
パンチングにより、フアインデニール不織布層側
には0.5デニール以上の太い繊維が存在せずかつ
0.5デニール以上の合成繊維ウエブ表面に多数の
0.5デニール以下のフアインデニール繊維が突出
した表面状態を呈するため、二次加工（湿式含
浸）によりバツクスキン状の外観が得られ、肌ざ
わりがよく、柔軟性と強度が増加し、またフアイ
ンデニール側には太デニールの繊維が存在しない
ため、非常にぬめり感の高いヌバツク調の合成皮
革が得られる。積層する0.5デニール以下のフア
インデニール不織布シートと0.5デニール以上の
合成繊維ウエブの比率を増減することにより衣料
用の他、カバン・袋物・靴等種々の用途に用いる
ことができる等の効果を有する考案である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の合成皮革用基材の概略構成を示
す断面図である。１……合成繊維ウエブ、２……フアインデニー
ル不織布シート、３……ニードルパンチ加工、４
……突出したフアインデニール繊維。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

カーデイング可能な繊維径0.5デニール以上好
ましくは0.5乃至３デニールの合成繊維により形
成した繊維ウエブとメルトブロー法により形成し
た0.5デニール以下のフアインデニール不織布シ
ートとの積層体よりなり、上記フアインデニール
不織布シートと合成繊維ウエブとの重量比率が10
〜70％：90〜30％であり、且該フアインデニール
不織布シート側からのみ打込数500〜1000P／cm²
により、ニードルパンチ加工が施され、上記合成
繊維ウエブ側表面より0.5デニール以下のフアイ
ンデニール繊維を突出せしめてなる合成皮革用基
材。