JPS6346598Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は鉄筋コンクリートの建物等のスラブ貫
通配管穴等の穴埋用支持具に関する。

鉄筋コンクリートの建物等では完成後スラブ、
壁には必要な箇所以外は開口部のないことが防災
上要求される。特に配管用のスリーブ穴は施工上
避け難いものであり、配管後スリーブ穴とパイプ
との間の隙間は確実に塞がれる必要がある。しか
るに従来はこのパイプ回りの隙間へのモルタル充
填のためのスラブ天井部にあてがう型枠を固定す
るための支持具に好適なものがなかつたので、こ
の穴埋めが完全に行なわれていない不良施工箇所
が多く発生し、又穴埋めの作業能率も極めて悪か
つた。例えば支持具により型枠の押えが満足に行
なえないためにスラブの天井面との型枠との間に
大きな隙間ができ勝ちであつたから充填するモル
タルは流動性の小さい硬目のものを用いざるを得
ず、モルタルは棒材などでつつき込まなければな
らなかつた。このため、充填が完全にできなかつ
たり、棒材でつめ込むときの衝撃などにより支持
具が簡単に壊れて型枠がはずれてしまつたり、仕
上つた穴埋め箇所は垂れができたりしてきれいに
いかない等の多くの欠陥があつた。

本考案はこのような従来の支持具の欠陥をすべ
て解消して作業効率よくしかも的確かつ完全に穴
埋めのできる支持具を提供することを目的とす
る。

本考案の配管穴等の穴埋め用型枠支持具は、中
間にターンバツクルを設けた保持棒の一端に、両
端をほぼ同方向に曲折して凹部を設けた棒状保持
部を該保持部のなす面と該支持棒が交わるように
形成し、該支持棒の他端に固定金具との連結部を
設けた一対の支持腕と、該連結部を介して該一対
の支持腕を一定の間隔をおいて保持し、かつ支持
具全体をパイプに固定するための固定部材とより
なる。

以下に図示した一実施例の支持具に基づいて本
考案を詳細に説明する。

第１図は本考案の支持具の部分切欠斜視図であ
り、１，１はターンバツクル３，３を中間に設け
た支持棒２，２と該支持棒２，２の夫々一端に形
成したコの字型の保持部４，４とよりなる支持腕
であり、５はこの一対の支持腕を連結部６を介し
て一体的に連結保持し、かつ支持具全体をパイプ
に固着するための固定部材である。

本考案の支持具は典型的には鉄筋などの鋼材で
作られるのが普通であるが、強度上の要件を満す
ことができれば他の素材を用いてもよい。

保持部４，４は図示の如くコの字型でなくても
よく、平面を構成すると共に凹部にパイプを収容
できる形状であれば他の形状とすることができ
る。例えばコーナのないＵ字型としてもよくＶ字
型であつてもよい。

支持棒２，２は図では保持部４，４の中央から
下方に向け形成してあるが必要により一方に偏つ
た位置に形成してもよい。図示の実施例では保持
部４，４のなす面に支持棒２，２が夫々垂直に交
わるように形成してあり、この形状が最も好まし
いが必らずしも垂直でなくてもよい。

保持部４，４の形成は図示のものでは支持棒
２，２に溶接してあるが、一本の鉄筋材を連続し
て所定の形状に折り曲げて支持棒２，２と保持部
４，４を一体に形成してもよく又他の方法によつ
て形成してもよい。

保持部４，４の両端は図示のものではいずれも
リング状に折返してある。このリング８は必須で
はないが、一対の支持腕が離散しないようにヒモ
９等で結びつけておくために使用することもで
き、あるいは後述の如くセツテイングに際して該
リングに通したヒモを支持腕ひいては保持部の位
置決めのために使用することができるので大変便
利である。

固定部材５は一対のΩ形の帯状金具を中央に環
状の挟持部７，７ができるよう対向して重ね合せ
両側の腕をボルトとナツトで締着して組立るもの
である。腕にはボルト及びナツトにより支持棒
２，２の連結部を固着する。腕のボルト穴は図示
の如く２個設けて支持具締着用の穴と支持棒固着
用の穴とを使い分けるのが好ましい。勿論１個の
穴のみを設けてそれを共用してもよくその場合で
も支持具の基本的な機能は変らない。

固定部材５の中央に形成される環状挟持部７，
７はそこにパイプ１０を通して支持具をパイプに
固定するためのものである。従つてこの環状挟持
部はパイプの横断面形状と同じ形状とすると共に
その径もパイプの外径にほぼ一致させなければな
らない。

この固定部材５は専用のものを用いる代りにパ
イプ固定用の床バンドを利用してもよい。その場
合穴埋めの終つた後支持腕を取はずして床バンド
はパイプからはずすことなくそのまま所定の箇所
に固定すれば都合がよい。

ターンバツクル３，３の上下をナツト１１で固
定して支持腕が必要以上に短縮できないようにす
るのが好ましく、さらに一方を、特に保持部側を
ダブルナツトとすると保持部の方向決めが極めて
容易に行なえて至極便利である。

支持棒２，２の長さ及び形状には制限はない。
例えば中間部を凸出させた形状としてもあるいは
クランク形としてもよい。その場合一定の保持強
度を具備させる手段を講じなければならない。

次に本考案の支持具の設置方法と作動について
説明する。

まず固定すべきパイプに合つた一対の固定部材
５に支持腕１，１を取付ける。２本の支持腕１，
１をどちらか一方の固定部材５に取付ると支持具
のセツテイングがより容易に行なえるがスラブ１
３の表面の状態、穴の位置等の条件に応じて別別
の固定部材に別々に支持腕を取付けてもよく、又
第１図に示す如く一方の腕に２個のボルト穴のあ
る場合にはそのボルト穴のどちら側に取付けるか
は必要により適宜選択すればよい。取付ける固定
部材の選択とボルト穴の選択とを組合せることに
よつて、パイプの太さ、穴の周囲の状態等につい
て非常に多種の態様に対応して支持具を好適に使
用することができる。支持腕は自由に回転しない
程度に軽く締着しておく。

このように組立てた支持具を固定部材５の環状
挟持部７，７がパイプを挟みつけるように保持部
を上にしてパイプに取付ける。この時点では支持
具はパイプに固定せず自由に上下動できる状態に
しておく。スラブのスリーブ穴１４をカバーする
型枠１２は事前にパイプに取付けておき、仮設し
た支持具ごと上方に該型枠がスラブ面に当接する
まで押上げる。支持具が型枠をスラブ面に押しつ
けた状態で支持具をパイプの回りに回転させスラ
ブ面に型枠が最も密着する位置で止めその位置で
支持具が下がらないように保持しつつ固定部材を
ナツトで本締めして支持具をパイプに固定しつい
で支持腕を固着するナツトも本締めする。さらに
型枠とスラブ面との密着状態の如何によつて必要
な場合にはターンバツクルにより支持腕を伸長さ
せて型枠をスラブ面により強く押しつけ、密着さ
せる。

セツテイングに際して、保持部４，４の先端に
設けたリングに図示のように通したヒモ９は支持
腕相互が一定間隔以上に開かないように保つのに
役立ち又そのヒモの先端を引張ることによつて支
持腕の所定の位置への位置決めを一動作で容易に
行うのに役立つ。

スラブ１３とパイプ１０とが多少傾斜して交差
している場合でも、２本の支持腕がスラブの傾斜
の方向に並ぶように配置すると共にターンバツク
ルによつて支持腕の長さを調節することにより、
該支持腕は固定部材からやや斜めに立ち上る状態
で固定されるのみで、型枠は常にスラブ面に沿つ
て支持されることができる。

パイプが１か所に多数設けてある場合には第３
図に示す如く２個の支持具を用いて夫々の支持具
の中の片方の支持腕のみを利用して複数の配管ス
リーブ穴を一括してカバーする型枠を副木１５を
介して一本のパイプの場合と同様な方法により支
持することもできる。

本考案の支持具を用いることによつて型枠がス
リーブ面にほとんど隙間ができないように確実に
保持されるので、穴埋め用のモルタルは流動性の
非常に大きなものを用いることができるようにな
つた。例えば砂（乾燥）：セメント：水が２：
１：１の混合比のものは流動性が大きく従来では
全く使用できなかつたが本考案の支持具を用いれ
ば最も好適に使用できる。このような流動性の大
きいモルタルは従来の場合のように棒材などでつ
つき込む必要は全くなく隙間に流れ込んで他の力
をかりることなく充填される。このため埋め残り
のある不良充填が生じるおそれはほとんどなく、
また支持具に不要な力を与えて支持具がはずれる
というような事故も皆無となり、さらには穴埋め
箇所の仕上りが垂れなどの全くないきれいなもの
となる。

上記の説明ではスラブの穴埋めに用いる場合に
ついて記してあるがパイプが横パイプの場合、即
ち壁の穴埋めについても本考案の支持具は同様に
用いることができる。その使用状態の一例を第４
図に示す。その場合流動性の大きいモルタルを用
いるときには壁の両面から壁をはさみつけるよう
に、本考案の支持具によつて型枠を壁面に密着支
持し、モルタルは例えば型枠の一部を切欠いて該
切欠部からホースなどを介してモルタルを穴に流
し込むことによりスラブの穴埋めと同様に容易か
つ確実な穴埋めができるものである。

本考案の支持具は上記の如き構造であるから１
個の支持具で径の異なる多種類のパイプに適用す
ることができ、又、第５図に示す如く、比較的狭
い場所、例えば天井内で本考案の支持具を使用す
るような場合には支持腕を短かくしたものを用い
ればよく施工場所を選ぶことがないので極めて有
用なものである。

以上の他本考案の支持具によつて奏される効果
は、 (イ) 作業能率が向上する。出願人の実験によれば
少なくとも40％の向上が可能である。

(ロ) 穴埋めの不良施工がほとんどなくなる。

(ハ) 施工が安全、確実に行なえる。

(ニ) パイプ等を痛めることがない。

(ホ) 仕上りがきれいである。

(ヘ) 支持具の耐久性が高く半永久的に反覆使用が
可能なこと、穴埋めの手直しがほとんどないこ
と等直接、間接の経費が激減できる。

等極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の支持具の部分切欠斜視図、第
２図、第３図、第４図、第５図は使用状態を示す
図で、第２図、第４図および第５図は斜視図、第
３図は断面図である。 １……支持腕、２……支持棒、３……ターンバ
ツクル、４……保持部、５……固定部材、６……
連結部、７……挟持部、１０……パイプ、１２…
…型枠、１３……スラブ、１４……配管用スリー
ブ穴、２３……壁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 中間にターンバツクルを設けた支持棒の一端
   に、両端をほぼ同方向に曲折して凹部を設けた
   棒状保持部を該保持部のなす面と該支持棒が交
   わるように形成し、該支持棒の他端に固定金具
   との連結部を設けた一対の支持腕と、該連結部
   を介して該一対の支持腕を一定の間隔をおいて
   保持し、かつ支持具全体をパイプに固定するた
   めの固定部材とよりなることを特徴とするスラ
   ブ等貫通配管穴埋め用型枠支持具。 (2) 該保持部のなす面に該支持棒が垂直に交わる
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項の支持具。 (3) 該保持部がコの字型である実用新案登録請求
   の範囲第１項の支持具。 (4) 該保持部がＵ字形である実用新案登録請求の
   範囲第１項の支持具。 (5) 該保持部がＶ字型である実用新案登録請求の
   範囲第１項の支持具。 (6) 固定部材が一対のΩ形帯状部材よりなること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項の
   支持具。 (7) ターンバツクルの両側にナツトをら着したこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   の支持具。 (8) 保持部側のナツトをダブルナツトとしたこと
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第７項の
   支持具。