JPS634365Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は各セル内で発生する排気ガスを一括し
て外部に排気する装置を備えた一括排気型蓄電池
の改良に関するものである。

自動車用の蓄電池は、一般に電槽内を複数のセ
ルに区分した構造をなし、充電時に各セル内で発
生するガスを外部に排気するため、電槽蓋に補水
と排気口を兼ねた液口を設け、ここに液口栓が取
付けられている。

近年、自動車用蓄電池はメンテナンスフリー化
と上面を平滑化したトツプフラツト方式化が進め
られ、液口栓を電槽蓋の上面に突設した構造のも
のに代り、排気口を電槽蓋の側壁に設けて、各セ
ル内で発生するガスを一括排気するようにしたも
のが開発されている。

従来の一括排気型蓄電池としては、例えば電槽
蓋の内側を二重構造とし、この間に各セルと連通
する排気ガス通路を形成して一括排気するように
したものがある。しかしながら電槽蓋を二重構造
としたものは液面上の空間が少ないため、補水を
頻繁に行なわなければならない。

またこの他の構造として、第１図に示すような
一括排気型の蓄電池も開発されている。この蓄電
池は電槽蓋１の側壁１ａおよび複数のセル２…に
区分する仕切板３を水平に貫挿して排気パイプ４
を設け、この一端を外部に突出させてここに排気
口５を形成すると共に、排気パイプ４の長手方向
に沿つた側面に、各セル２…に対応してガス導入
口６を開口した構造をなしている。

しかしながら上記蓄電池では、ガス導入口６が
排気パイプ４の側面に開口されているため、自動
車が急ブレーキをかけたときや、蓄電池を傾けた
ときに電槽７内の電解液がガス導入口６から排気
パイプ４内に流入し、更に排気口５から外部に漏
液する事故が発生することがあつた。

本考案はかかる点に鑑みなされたもので、電解
液の漏液を確実に防止して安全性を高めると共
に、電槽内の有効空間を拡大して電解液量を増大
させ、補水頻度の向上を図つた一括排気型蓄電池
を提供するものである。

以下本考案を図面に示す実施例を参照して詳細
に説明する。

第２図乃至第４図は本考案の一実施例を示すも
のである。

電槽７内には５枚の仕切板８…が等間隔で設け
られ、この電槽７の上面開口部を塞ぐ電槽蓋１の
内側にも前記電槽７の仕切板８と対応して５枚の
仕切板３…が設けられ、前記仕切板３，８によつ
て内部が６個のセル２…に区分されている。

電槽蓋１の内側には、その両側壁１ａ，１ｂお
よび仕切板３…の中央部を貫挿して、角パイプで
形成された排気パイプ４が水平に設けられ、この
両端を排気口５，５とし、ここに外部からの引火
を防止する多孔質のセラミツクフイルター９が
夫々取付けられている。更に排気パイプ４には、
その長手方向に沿つた上面の、各セル２…の中央
部に位置する所に、夫々丸パイプで形成されたガ
ス導入管１０…が上方に向つて突設され、このガ
ス導入管１０の上端開口部をガス導入口６として
いる。

前記電槽蓋１の上面１ｃには、各セル２…内の
ガス導入管１０に対応して注口１１が形成され、
この液口１１に夫々無孔栓１２が螺合され、注口
１１を密閉して上面１ｃが平滑になつている。

前記無孔栓１２は上面が閉塞され、下端が開口
した円筒状に形成され、その内径はガス導入管１
０の外径より大きく形成され、無孔栓１２を被せ
た状態でこの内周面とガス導入管１０の外周面と
の間にガス流路となる間隙１３が形成されるよう
になつている。

なお図中１４は電槽７と電槽蓋１との熱融着
面、１５は陽極端子、１６は陰極端子を夫々示
す。

上記構造をなす一括排気型蓄電池は、充電時に
各セル２…内で発生したガスは、筒状の無孔栓１
２とガス導入管１０との間の間隙１３を矢印方向
に沿つて上昇した後、ガス導入口６からガス導入
管１０内に入つて下降し、更に排気パイプ４内を
水平に移動して、セラミツクフイルター９を設け
た排気口５から外部に一括排気される。このよう
にガスの流路が複雑に構成されしかもガス導入口
６は電槽蓋１の上面内側に近接して設けられてい
ると共に、ガス導入管１０の外側を囲むように筒
状の無孔栓１２が設けられているので急ブレーキ
によつて自動車が停止した場合や、蓄電池を傾け
た場合にも電解液の外部への漏液を確実に防止す
ることができると共に充電時に発生する酸霧の防
沫効果を有する。

更にガス導入口６は電槽蓋１の長手方向に沿つ
た中央部に取付けられているので、急ブレーキや
蓄電池の傾けによる電解液の波打ち作用の影響を
受けにくく、漏液を更に確実に防止することがで
きる。

従つて本考案は上記の如く漏液防止が確実であ
るため、蓄電池上部の有効空間が拡大され、電解
液量を増大することができ、この結果補水頻度を
向上させメンテンナンスフリー化を達成すること
ができる。

第５図は本考案の他の実施例を示すもので、ガ
ス導入管１０を断面半円形状のパイプで形成し、
筒状の無孔栓１２を丸パイプで形成したもので、
他の部分は上記実施例と同様に構成されている。

この構造のものは電解液の注液、および補水時
に無孔栓１２を取外したときに液口１１とガス導
入管１０との間の間隔が大きく、液注が容易で、
ガス導入口６への流入を防止することができる。
なお筒状の無孔栓１２の肉厚を大きくすることに
よつても同様の効果が得られる。

なお上記実施例では無孔栓１２を各セル２…毎
に取付けた場合について示したが、ガス導入管１
０を囲む筒体が３つに分岐した３セル分一体の嵌
込み構造でも良い。

以上説明した如く、本考案に係わる一括排気型
蓄電池によれば電解液の漏液を確実に防止して安
全性を高めると共に、電槽内の有効空間を拡大し
て電解液量を増大させ、補水頻度の向上を図るこ
とができるなど顕著な効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の一括排気型蓄電池の正面上部を
示す縦断面図、第２図乃至第４図は本考案の一実
施例を示すもので第２図は一括排気型蓄電池の正
面上部を示す縦断面図、第３図は第２図の側面上
部を示す縦断面図、第４図は平面図、第５図は本
考案の他の実施例によるガス導入管を拡大して示
す平面図である。 １……電槽蓋、１ａ，１ｂ……側壁、２……セ
ル、３，８……仕切板、４……排気パイプ、５…
…排気口、６……ガス導入口、７……電槽、１０
……ガス導入管、１１……液口、１２……無孔
栓、１３……間隙、１５……陽極端子、１６……
陰極端子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電槽蓋の側壁および複数のセルに区分する仕切
   板を貫通して排気パイプを設け、該排気パイプの
   端部を排気口とすると共に、排気パイプの長手方
   向に沿つて各セル毎にガス導入管を上方に向つて
   突設し、且つ電槽蓋に前記ガス導入管の外周を間
   隙を設けて囲むように筒状の無孔栓を取付けたこ
   とを特徴とする一括排気型蓄電池。