JPS5821477Y2 - 密閉形鉛蓄電池

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【考案の詳細な説明】本考案は、密閉形鉛蓋電池の排気室構造に関するもので
ある。

従来、密閉形鉛蓄電池は、各セル毎か、複数セル一括の
排気室に１個の排気筒を設け、該排気筒の排気孔にゴム
等の弁体を装着し、更にどの方向で使用しても電解液が
漏洩しないように、ゲル状電解液を用いて密閉化を行な
ってきた。

また、発生した酸素ガスを陰極板に吸収させて密閉化を
行う方式があるが、充電中に陰極板における酸素ガス吸
収能力を上回る酸素ガスが発生した場合、発生ガスは排
気室を経て排気筒のガス排気孔より外部へ放出せざるを
得ない。

従って、発生ガスは、ゲル状電解液中を通り排気室に至
り、これに伴う硫酸および水分ミストの排気室への飛散
は避けられない。

排気室に至った硫酸及び水分ミストのうち一部は、発生
ガスと共に直接排気孔から外部へ飛散するが、残りは排
気室にて凝縮し、液滴となって排気室の底面に設けた開
口から電池内に還流する。

ところが、排気室の上面および底面は、傾斜のない平面
になっている為、凝縮液滴が付着したままになっている
ことが多く、更に発生ガスの圧力によって電池内への還
流が完全に行なわれず、排気室内に溜り易くなっている
。

従って、液滴は電池の使用方向によっては、排気筒内に
溜り、排気孔から外部に放出されて液漏れにつながる欠
点を有していた。

本考案は上記の欠点を除去するため、排気室の上面と底
面に傾斜面を形成し、排気室の上面と底面との間隙の大
きさを各セルの隔壁部分および一括排気部分で最少に、
排気室底面に設けた排気口部分で最大にしたものである
。

本考案の一例を図面によって説明する。

図面は、電槽１の上部に排気室２を形成した蓄電池であ
り、排気室２は電槽蓋３とその覆蓋４によって構成され
ている。

そして、排気室２は、電槽蓋３に設けた排気口５を介し
て電槽１の各セルと連絡しており、覆蓋４に設けた一括
排気筒６の排気孔７より外部に通じている。

一括排気筒６には、ゴム等からなる弁体８が装着され、
常態では排気孔７を閉塞している。

上記構造の蓄電池において、排気室２の底面および上面
、すなわち、電槽蓋３および覆蓋４は断面ジグザグ状に
形成され傾斜面をなしている。

そして、電槽蓋３と覆蓋４との間隙の大きさは、電槽１
の隔壁９の上部および一括排気筒６の下部で最少になっ
ており、電槽蓋３に設けた排気口５の上部で最大となる
ように傾斜面を形成しである。

本考案蓄電池では、発生ガスがゲル状電解液中を通過し
硫酸および水分ミストを伴なって排気室に至った場合、
これらミストは凝縮して蓋体内面に液滴として付着する
が、傾斜面に沿って隔壁の上方まで流下しこの突出部か
ら滴下する。

そして、滴下した液滴は、電槽蓋の傾斜面に沿って流下
し、電槽蓋に設けた排気口から各セルに良好に還流する
。

上記は蓄電池を正常な位置で使用した場合であるが、転
倒して使用した場合でも、液滴は、覆蓋の凹部に残留す
るので、一括排気筒中への液滴の浸入を防ぎ、液洩れ防
止を図ることができる。

上述のように、本考案は発生ガスに伴なう硫酸および水
分ミストの凝縮還流が容易であり、電解液の損失を最少
限に抑えることができる点極めて実用的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一例を示す平面図、第２図は第１図の
Ａ−Ａ’線に沿う要部断面図である。１は電槽、２は排気室、３は電槽蓋、４は覆蓋、５は排
気口、６は一括排気筒、７は排気孔、８は弁体、９は弁
体。

【実用新案登録請求の範囲】