JPS6342855Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動車用シートのシートバツクを
分割して、外観を損なうことなく各シートバツク
を着座者の身体に適合させ得るように調節自在と
した自動車用シートバツク構造の改良に関するも
のである。

従来、自動車用シートのシートバツクは、着座
者の身体形状にかかわりなくその座面形状が一定
であつたために、着座姿勢の拘束がが大きく着座
感が悪いものであつた。

特に運転席では、その運転姿勢のために背上部
はシートバツクに保持されず、頭部とヘツドレス
ト間は相当離れることになるから、急停車時には
頭部がヘツドレストに衝突してむち打ち症になり
やすかつた。

このため、例えば特開昭54−89872号（発明の
名称「座席の背もたれ構造」）において、背もた
れを複数個の背もたれ片に分割し、各背もたれ片
の突き合わせ部を連結装置で回転可能に連結し、
各連結装置の操作で各背もたれ片を互いに回転さ
せて背もたれの支持面を所望の形状に調節する座
席の背もたれ構造が提案されているが、連結腕が
各背もたれ片の外に露出するので外観が著しく損
なわれるばかりでなく、操作のための連結装置を
回転支点となる軸に対して設けるので微調節が困
難なうえ、連結装置に着座者の背圧が直接に加わ
つて強度上、耐久性の上からも問題がある。

また、実公昭53−30409号（考案の名称「シー
ト」）には、シートクツシヨンに乗員が着座した
時、該乗員の腰椎部の位置に対応するシートバツ
クの一部を区割し、シートバツクフレームに設け
たヒンジを中心に該区割部分を回動自在に枢支
し、その下端がシートバツク前方に移動しうるよ
うにしたシート構造が提案されているが、シート
バツクが背面（ロアフレーム）と前面（アツパー
フレーム）とに前後に２分割されていて、しかも
前面のみが上部側を揺動支点にして揺動させうる
のであるから、腰椎部を押圧してバツクアングル
を大きくとることができるのみである。

この考案は、上記従来の問題点に鑑みてなされ
たもので、シートバツクをアツパーシートバツク
とロアシートバツクとに上下に離間して２分割し
たものにおいて、アツパーシートバツクの第１支
持部材の下端とロアシートバツクの第２支持部材
の上端とのヒンジ軸による揺動支点を、アツパー
シートバツク内もしくはロアシートバツク内のい
ずれか一方に収容して、人間工学上からみた外観
の向上を図る一方、第１支持部材の第１突出部と
第２支持部材の第２突出部を、ヒンジ軸より離れ
た位置で、ダイヤルのカム部をガイド長孔に嵌合
することにより連結し、ダイヤルの回転操作で両
支持部材の相対角度を調節して、シートバツクの
なめからな曲折を得ることにより、着座席の背圧
がヒンジ軸に直接加わるのを防止して着座者がす
わり心地よく座るようになし得る上に、ヒンジ軸
等の強度上、耐久性の向上を図ると共に、シート
バツク外部の操作しやすい最適位置にダイヤルの
つまみ部を臨ませて、アツパーシートバツクの揺
動角の調節を着座者の操作リーチ内での操作で容
易かつ正確に行い得るようにしたものであり、こ
の種シートバツクの高級品化を達成し得るもので
ある。

以下、この考案の実施例を添付図面によつて詳
細に説明する。

第１図及び第２図に示すように、自動車用シー
ト１は、シートクツシヨン２とシートバツク３と
で構成され、シートクツシヨン２は、クツシヨン
フレーム４とクツシヨンばね５とクツシヨン材６
とを表皮７で被覆して形成する一方、シートバツ
ク３は、ヘツドレスト１３を有し、アツパーフレ
ーム８とクツシヨンばね９とクツシヨン材１０と
を表皮１１で被覆して形成したアツパーシートバ
ツク１２と、ロアフレーム１４とクツシヨンばね
１５とクツシヨン材１６とを表皮１７で被覆して
形成したロアシートバツク１８との２分割構造と
して、ロアフレーム１４の下部に取付けたブラケ
ツト１９をクツシヨンフレーム４にヒンジ軸２０
により揺動自在に枢着し、シートクツシヨン２に
対してシートバツク３全体の揺動角を調節し得る
ようになつている。

第３図に示すように、上記アツパーフレーム８
の下部には、アツパーシートバツク１２のシート
外に突出する第１支持部材としてのアツパーブラ
ケツト２１を固着すると共に、上記ロアフレーム
１４の上部には、ロアシートバツク１８のシート
内に没入する第２支持部材としてのロアブラケツ
ト２２を固着して、アツパーブラケツト２１の下
端とロアブラケツト２２の上端の各孔２１ａ，２
２ａを貫通するヒンジ軸２３により揺動自在に枢
着する。

こうして、アツパーシートバツク１２はロアシ
ートバツク１８に対して揺動角の調節が可能に支
持されると共に、両ブラケツト２１，２２はシー
ト内に収納されるので外観を損なうこともない。

上記ロアブラケツト２２の前方突出部の先端側
には、小孔２２ａから離れた位置の小孔２２ｂに
支軸２４を挿通して溶接固定すると共に、上記ア
ツパーブラケツト２１の前方突出部の先端側に
は、上記小孔２２ｂに対応する位置に大径のガイ
ド長孔２１ｂを穿設する。

該ガイド長孔２１ｂに嵌合するカム部２５と大
径のつまみ部２６とを有する手操作用のダイヤル
２７を設け、該ダイヤル２７のカム部２５を、外
部から上記ロアシートバツク１８の表皮１７を貫
通させてガイド長孔２１ｂに嵌合させると共に、
ダイヤル２７の偏心中心孔２８を上記支軸２４に
嵌合させ、外部からワツシヤー２９を介してビス
３０により支軸２４に対して抜脱不自在にセツト
する。

こうして、アツパーブラケツト２１とロアブラ
ケツト２２は、ダイヤル２７のカム部２５を介し
て連結され、第４図に示すように、ダイヤル２７
の回転操作によるカム部２５の偏心回転で、ガイ
ド長孔２１ｂによりアツパーブラケツト２１、つ
まりアツパーシートバツク１２がヒンジ軸２３を
中心に揺動されるようになる。

また、ダイヤル２７のカム部２５が、ヒンジ軸
２３より離れた位置にあるので、着座者の背圧力
がヒンジ軸２３に直接加わることがなく、ヒンジ
軸２３の強度もさほど問題とならず耐久性もよ
く、さらに微調節も容易に行なえる。

さらに、ダイヤル２７は、アツパーシートバツ
ク１２とロアシートバツク１８との突き合わせ部
でなく、さらに低いロアシートバツク１８の側部
に配置されるので、着座者の操作リーチ内に位置
して、操作が容易でもある。

なお、上記実施例では、シートバツクの一側に
調節機構を設けたものであるが、両側に設ければ
強度上有利であり、また、シートクツシヨン２に
対して設ければ、簡易な前縁調節とすることもで
きる。

また、上記実施例では、アツパーシートバツク
１２のアツパーブラケツト２１をロアシートバツ
ク１８内で、ロアブラケツト２２にヒンジ軸２３
で枢着したもので述べたが、逆にロアシートバツ
ク１８のロアブラケツト２２をアツパーシートバ
ツク１２内で、アツパーブラケツト２１にヒンジ
軸２３で枢着し、ダイヤル２７をアツパーシート
バツク１２の外に配設しても良い。

以上の説明からも明らかなように、この考案
は、ダブルリクライニングにおいて、アツパーシ
ートバツクもしくはロアシートバツクのいずれか
一方のシートバツク内に揺動支点を設けたもので
あるから、両支持部材及びヒンジ軸が外に露出せ
ず、外観が向上する。

また、ヒンジ軸より離れた位置で、第１支持部
材と第２支持部材の各突出部を、ダイヤルのカム
部をガイド長孔に嵌合することにより連結して、
ダイヤルの回転操作で両支持部材の相対角度を調
節するようにしたから、ダイヤルの軽い回転操作
でアツパーシートバツクの揺動角の微調節が容易
に行なえ、着座者の背圧がヒンジ軸に直接に加わ
らず、強度上の問題も少なく耐久性も向上する。

さらに、アツパーシートバツクもしくはロアシ
ートバツクの外側部の手操作ダイヤルでアツパー
シートバツクの揺動角を調節でき、操作ダイヤル
をアツパーシートバツク側に設けた場合には他の
操作体を干渉することなく確実に操作できるし、
操作ダイヤルをロアシートバツク側に設けた場合
には着座者が操作リーチ内で無理なく揺動調節で
きるようになる如き、いずれの場合でも実用的価
値の大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車用シートの斜視図、第２図は第
１図の要部破断斜視図、第３図はブラケツトとダ
イヤルの取付関係を示す斜視図、第４図はアツパ
ーシートバツクの揺動状態を示す側面図である。 ３……シートバツク、８……アツパーフレー
ム、１２……アツパーシートバツク、１３……ロ
アフレーム、１８……ロアシートバツク、２１…
…アツパーブラケツト、２１ｂ……ガイド長孔、
２２……ロアブラケツト、２３……ヒンジ軸、２
４……支軸、２５……カム部、２６……つまみ
部、２７……ダイヤル、２８……偏心中心孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車体側に固着されるシートクツシヨンに下部が
   ヒンジ軸で揺動角を調節自在に枢着されたシート
   バツクを、アツパーシートバツクとロアシートバ
   ツクとに上下に離間して２分割し、この分割した
   アツパーシートバツクの芯材をなすアツパーフレ
   ームに第１支持部材を固着し、ロアシートバツク
   の芯材をなすロアフレームに第２支持部材を固着
   し、このアツパーシートバツクの第１支持部材の
   下端をヒンジ軸により第２支持部材の上端に対し
   て揺動自在に枢着する自動車用シートにおいて、 上記アツパーシートバツクの第１支持部材の下
   端と上記ロアシートバツクの第２支持部材の上端
   とのヒンジ軸による揺動支点を、上記アツパーシ
   ートバツク内もしくはロアシートバツク内のいず
   れか一方に収容する一方、上記第１支持部材の下
   端から前方へ突出する第１突出部を設け、上記第
   ２支持部材の上端から前方へ突出する第２突出部
   を設け、上記ヒンジ軸より離れた第１突出部と第
   ２突出部の先端側のいずれか一方に支軸を固定
   し、いずれか他方にガイド長孔を穿設し、上記支
   軸にダイヤルの偏心中心孔を嵌合し、上記ガイド
   長孔にダイヤルのカム部を嵌合し、該ダイヤルの
   つまみ部をアツパーシートバツクもしくはロアシ
   ートバツクの外部に臨ませたことを特徴とする自
   動車用シートバツクの構造。