JPS6331884Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は工作物のばり取りや面取り作業に用い
られる回転研削工具の改良に関するものである。

（従来の技術） エアグラインダのように工作物のばり取りや面
取りを行う回転研削工具を工業用ロボツトなどに
取付けて使用する場合、工作物の硬度に応じた適
正な圧接力をもつて砥石を工作物に圧接させ難
い。このため、ばり取り或いは面取り作業時にお
いて、硬度の高い工作物に対して砥石の圧接力が
大きすぎると、摩擦抵抗が極端に大きくなり、砥
石が回転しなくなつて切削不良を生ずることとな
り、硬度の低い工作物に対して砥石の圧接力が大
きすぎると切削過多が生じ、また、工作物と砥石
との圧接力を小さくしすぎると切削時間が長くか
かり作業効率が低下する等の多くの問題点があつ
た。そこで、特開昭57−194877号公報に見られる
ように、シリンダーに押えばねをもつて下向きに
押圧された状態で嵌挿された支持枠体内にモータ
により回転する砥石車を備えた回転研削工具本体
を揺動ができるように保持させることによつて前
記のような問題点を解決する技術が公開されてい
る。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、前記公報の技術では上下方向へ
の圧力はばね圧の調整で行うことができても、横
方向への圧力調整は揺動が複数の球面軸受により
行えるようになつているため不可能であり、対象
工作物によつては前記のような問題点を解決でき
ないものであつた。

（課題を解決するための手段） 本考案は前記のような問題点を解決した回転研
削工具を目的として完成されたもので、シリンダ
ーに中空ピストンを相互間に該中空ピストンを下
向きに弾発する押えばねを介在させて嵌挿してそ
の下端を該シリンダーの下端に螺合させたばね圧
調整ナツトに当接支持させ、また、中空ピストン
内にはモータにより回転される砥石車を下端に備
えた回転研削工具本体を遊嵌してその上端を中空
ピストンの天井面に球面軸受を介して揺動自在に
保持させるとともに、該回転研削工具本体の下方
部を前記中空ピストンの下方部内壁に囲設されて
気圧調整機構に接続された圧力調整自在な圧縮空
気式式の弾性保持部材をもつて抱持させたことを
特徴とするものである。

（作用） このような回転研削工具は、工業用ロボツトの
アームの先端にシリンダをもつて固定しておき、
使用時には工作物の硬度に対応する弾性とばね圧
となるようばね圧調整ナツトと気圧調整機構とを
操作して弾性保持部材内の圧縮空気量と押えばね
の圧縮量とを調節し、圧縮空気により膨出させた
弾性保持部材により回転研削工具本体の下方部を
所定の保持力で弾性的に保持させた状態とし、こ
の状態でアームを所定の速度で移動させつつ回転
研削工具本体の砥石車を回転させ、この砥石車で
工作物のばり取りや面取り作業を常法により順次
行つてゆけばよい。

（実施例） 次に、本考案を図示の実施例について詳細に説
明する。

１は工業用ロボツトのアーム２の先端に取付け
られたシリンダーであり、その内部には中空ピス
トン３が昇降動自在に嵌挿され、該中空ピストン
３はシリンダー１の下部の凹部に設けられた押え
ばね４によつてシリンダー１に対し下向きに押圧
されているが、中空ピストン３の下端はシリンダ
ー１の下端に螺合されたばね圧調整ナツト５に当
接してばね圧調整自在となつていて中空ピストン
３は押えばね４に抗して上向きにのみ変位するこ
とができるようになつている。また、中空ピスト
ン３には回転研削工具本体７が遊嵌されていてそ
の上端は中空ピストン３の天井面に設けた球面軸
受６に保持されて回転研削工具本体７は上端を支
点として任意方向へ揺動できるようになつてお
り、さらに、中空ピストン３の下方部内壁には回
転研削工具本体７の下方部外壁を弾性的に抱持す
る軟質ゴム等よりなる膜状の弾性保持部材９がリ
ング状に囲設されて前記中空ピストン３の下方部
と該弾性保持部材９とをもつて空気室１０が形成
されており、該空気室１０には気圧調整機構１１
を介して圧縮空気が導入されるようになつてい
る。また、気圧調整機構１１は減圧弁１２と圧力
計１３とからなるもので、空気室１０の内圧を任
意の値に設定することができ、この減圧弁１２を
調節することにより圧縮空気式の弾性保持部材９
を調整自在に膨出させて回転研削工具本体７に対
する弾性的な保持力を可変としており、工作物の
硬度に応じて回転研削工具本体７の先端に取付け
られて内蔵するエアモータや電動モータで回転す
る砥石車１４と工作物との圧接力を変えることが
できるようになつている。

このように構成されたものは、工作物の硬度に
対応するようばね圧調整ナツト５を回動させて押
えばね４のばね圧を調節するとともに、気圧調整
機構１１の減圧弁を操作して弾性保持部材９内の
圧縮空気量を調節して使用した場合、回転研削工
具本体７は上端部を中空ピストン３に揺動自在に
保持されているうえに圧縮空気により調整自在に
膨出している弾性保持部材９が回転研削工具本体
７の下方部外壁を所定の保持力で抱持しているか
ら、工作物の硬度に応じて弾性保持部材９の膨出
量を変えることができ、従つて、回転研削工具本
体７の砥石車１４は常に適正な圧接力に調整され
た押えばね４と弾性保持部材９の弾発力の下で工
作物のばりを切削することとなり、回転研削工具
本体７の砥石車１４が過大な圧接力により回転し
なくなつて切削不良を生じることもなく、さら
に、硬度の低い工作物であつても過大な圧接力に
よつて切削過多が生じることは全くないし、切削
不良や切削過多を防ぐために砥石車１４と工作物
の圧接力を小さくした場合に生じる加工時間の増
大もないものである。なお、中空ピストンに設け
られた弾性保持部材９は第２図に示す他の実施例
のように上下のリング１６により固定して空気室
を設けることなく空気孔１５より供給される圧縮
空気により弾性保持部材９を膨出させるようにし
てもよい。

（考案の効果） 本考案は前記説明によつて明らかなように、対
象工作物がどのようなものでも回転研削工具本体
の砥石車を工作物に対して常に適正な圧接力をも
つて圧接することができて均一な仕上げ加工がで
きるものであり、しかも、ばね圧と空気圧の調整
はばね圧調整ナツトと気圧調整機構の操作でよい
から外部より簡単に行うことができる利点もあ
り、従来のこの種回転研削工具の問題点を解決し
たものとして実用的価値極めて大なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部切欠正面
図、第２図は本考案の他の実施例を示す要部の一
部切欠斜視図である。 １：シリンダー、２：中空ピストン、４：押え
ばね、５：ばね圧調整ナツト、６：球面軸受、
７：回転研削工具本体、９：圧縮空気式の弾性保
持部材、１１：気圧調整機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダー１に中空ピストン３を相互間に該中
   空ピストン３を下向きに弾発する押えばね４を介
   在させて嵌挿してその下端を該シリンダー１の下
   端に螺合させたばね圧調整ナツト５に当接支持さ
   せ、また、中空ピストン３内にはモータにより回
   転される砥石車１４を下端に備えた回転研削工具
   本体７を遊嵌してその上端を中空ピストン３の天
   井面に球面軸受６を介して揺動自在に保持させる
   とともに、該回転研削工具本体７の下方部を前記
   中空ピストン３の下方部内壁に囲設されて気圧調
   整機構１１に接続された圧力調整自在な圧縮空気
   式の弾性保持部材９をもつて抱持させたことを特
   徴とする回転研削工具。