JPS6331609B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、海洋資源開発に使用される海洋プラ
ツトフオームに関するものである。

海底に賦存する石油、ガス鉱床等の掘削または
生産に使用されるプラツトフオームとしては、ジ
ヤケツト型、係留型、ジヤツキアツプ型および重
力型があり、それぞれ利点を有しているが、また
欠点もある。

すなわち、ジヤケツト型のものは、水深が概ね
200ｍを超えると、構造重量の増加が著しく、曳
航据付も技術的に困難となり建設期間も長く、建
設費の増加が著しくなる。係留型のうち実績のあ
るものは、セミサブ型および一点係留ブイと船の
組合せ型であるが、いずれも、海象気象条件が厳
しい場合には、動揺による稼動率の低下は免れな
い。そしてこれらの型式の多くのものは海底抗口
および海中ライザーを採用しているので、その保
守点検が困難である。また、ジヤツキアツプ型の
ものも、水深の増大に伴い構造重量が著しく増加
し、建設費が高くなる。重力型のものも、同様に
水深の増大に伴い構造重量の増加が著しくなり、
更にプラツトフオームの上部および下部構造部分
を一体構造とするために、水深の深い港湾などを
建造場所として手配するのが困難である。

本発明は、上述のような従来の海洋プラツトフ
オームの欠点を鑑みなされたもので、ジヤケツト
型、係留型および重力型のそれぞれ優れた機能部
分を活用して新規な型式の海洋プラツトフオーム
を提供せんとするものである。すなわち、本発明
は、海底に着座するケーソンと、該ケーソン上に
立設されるタワーと、該タワーの上部に一端を固
定した複数の係留索を放射状に展張して、それら
の先端をケーソンから離れた位置の海底にアンカ
ーにより固定すると共に、各係留索の中間部に中
間シンカーを備えた係留装置とからなり、前記ケ
ーソン上面とタワー下面との接合部が同心円状で
上方に膨らむ同一曲率半径で球面状に形成された
点に特徴を有するものであり、これによつて、特
に水深が増加しても構造重量が少なく、耐波浪
性、安定性に優れ、曳航据付工事が容易な海洋プ
ラツトフオームの実現が期待できる。

以下、本発明海洋プラツトフオームの実施例を
図面を参照して説明すると第１図に示したよう
に、ケーソン部Ａと、タワーＢと、タワーＢの支
承部Ｃおよび係留装置Ｄとにより構成されてい
る。

ケーソン部Ａは、第２図にも示すようにケーソ
ン１の中央部に、抗井掘削用および生産井用のコ
ンダクターパイプ１７を通すための開口部２が設
けられ、その周囲には隔壁３によつて多数のバラ
スト水用および生産原油貯蔵用のタンク４，４…
が備えられていると共に、ケーソン１の下面には
下方に突出して海底地盤Ｅへ貫入するスカート５
が設けられている。

タワーＢは、第３図にも示すように、四隅に垂
直脚６，６…を配置したトラス構造体で形成さ
れ、その上端部には坑井の掘削設備および原油の
生産設備を搭載するデツキ７が載設されている。
そして、その下端部には、後述するようにケーソ
ン１の上面に設置した支承部に接合する構造を備
えている。

支承部Ｃは、タワーＢをケーソン１の上面に支
承する構造部分であり、タワーＢとケーソン１と
は、互に同心円状の同一曲率半径の上方に膨らむ
球面の部分をなす湾曲面によつて接合される。す
なわち、ケーソン１の上面には、開口部２の外側
に、前記球面の部分湾曲面ａを形成した小巾の支
承体８，８…が所定の間隔をおいて環状に配設さ
れると共、各支承体８は互に杆体９により連結さ
れ、ケーソン１にタワーＢの支承部を構成してい
るのである。一方、タワーＢの下端部には、各垂
直脚６およびこれらを連結しているボツクスガー
タに設けた接合脚体１０，１０…を介して、前記
の環状に配設された各支承体８上に当接するよう
に環状に形成されると共に、支承体８と対応する
個所に、支承体８と対応する湾曲接合面１２を形
成した環状の接合体１１が設けられている。した
がつて、タワーＢに外力が作用して動揺する場合
には、ケーソン１の支承体とタワーＢの接合体１
１との湾曲接合面は相対的に滑動が許容される。
また、タワーＢの湾曲接合面部分は支承体８より
若干広巾としてあり、その外側には、タワーＢの
鉛直軸まわりの回転を防止するためのストツパ１
３が設けられている。

係留装置Ｄは、タワーＢの立設状態を確保させ
るためのもので、タワーＢの上部に一端を固定し
た係留索１４の複数を放射状に張出して、その中
間部を中間シンガー１５により海底地盤Ｅに固定
すると共に、先端部を更にアンカー１６により固
定するのである。そして、通常時では、中間シン
カー１５をアンカーとして作用させ、タワーＢは
中間シンカー１５とタワーＢ間の係留索により支
持されるが、異常環境時など外力荷重が大きくな
ると中間シンカー１５は持ち上り、アンカー１６
からタワーＢまでの係留索１４全体でタワーＢは
支持されることになるのである。

第４図は本発明の他の実施例を示したもので、
前述の実施例と異るところは、支承部Ｃの構成に
ある。すなわち、支承体８およびこれに接合する
環状接合体１１の湾曲接合面を前述の実施例の場
合とは反対に下方に向けて膨出する球面１７に基
く湾曲面に形成している。この場合もタワーＢの
支承作用については前述の実施例と同様である。
なお、その他の構成については前述の実施例と同
じであるから、均等なものに同一符号を付しただ
けで説明は省略する。

以上説明したように、本発明のハイブリツド構
造の海洋プラツトフオームは、海底に着座するコ
ンクリート製重力型ケーソンと、該ケーソン上に
立設される柔構造のタワーと、該タワー上部に一
端が固定され他端が海底のアンカーに取付けられ
ると共に、その途中に中間シンカーを設けた複数
の係留索を有する係留装置とからなつており、前
記ケーソンの上面とタワー下面との接合部が同心
円状で上方に膨らむ同一曲率半径による球面状に
形成したので、次のように多くの優れた効果を奏
するものである。

(1) タワーは柔構造であるため、その固有振動周
期を波周期および地震周期との同調を避けるよ
うに大きくすることができる。

(2) タワーを係留索で支持したことにより、水深
の増大に伴う重量の増加は、ジヤケツト型、重
力型、またはジヤツキアツプ型に比べて非常に
少ない。しかも、係留索はその中途に中間シン
カーを設けたので、通常時はシンカーまでの係
留索の張設角度が適度であるが、外力の大きく
働く異常環境時には、タワーの揺動に対して、
係留索の張設角度が大きくなると共に、中間シ
ンカーの重錘作用が働いて、揺動を適度に制御
することができる。

(3) タワーとケーソンとの接合部は球面接合によ
るため、タワーに加わる水平外力による曲げモ
ーメントを生じない。また、接合球面は上方に
膨らむ凸面であるため、砂、ゴミ等の異物が入
りにくい。

(4) ケーソンはコンクリート製の重力型としたの
で、貯油機能を備えることができると共に、沈
設に際し大規模な土木工事を必要とせず、曳航
据付費が安価である。

(5) ケーソンとタワーはそれぞれ別個に既設の施
設で建造することができ、曳航にも便利である
と共に、全体の建設期間を短縮することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明ハイブリツド構造の海洋プラツ
トフオームの一実施例を示した一部縦断正面図、
第２図はケーソンと支承体の個所を示した平面
図、第３図はケーソンとタワーとの接合部の状態
を示した斜面図である。 Ａ……ケーソン部、Ｂ……タワー、Ｃ……支承
部、Ｄ……係留装置、Ｅ……海底地盤、１……ケ
ーソン、２……開口部、５……スカート、６……
垂直脚、７……デツキ、８……支承体、１１……
接合体、１４……係留索、１５……中間シンカ
ー、１６……アンカー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 海底に着座するコンクリート製重力型のケー
   ソンと、該ケーソン上に立設される柔構造による
   タワーと、該タワーの上部に一端を固定した複数
   の係留索を放射状に展張して、それらの先端をケ
   ーソンから離れた位置の海底にアンカーにより固
   定すると共に、各係留索の中間部に中間シンカー
   を備えた係留装置とからなり、前記ケーソンの上
   面とタワー下面との接合部が同心円状で上方に膨
   らむ同一曲率半径による球面状に形成されている
   ことを特徴とする、ハイブリツド構造の海洋プラ
   ツトフオーム。